Denture attachment

申请号 JP2001083502 申请日 2001-03-22 公开(公告)号 JP2002282281A 公开(公告)日 2002-10-02
申请人 Aichi Steel Works Ltd; 愛知製鋼株式会社; 发明人 MOTOKURA YOSHINOBU; ARAI KAZUO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a denture attachment enabling a denture to moderately rock and turn without a gap between a magnet structure and a keeper in occlu sion, and having superior strength and corrosion resistance.
SOLUTION: This denture attachment is formed by the keeper 5 made of magnetic material and a denture 1 having a magnet structure 4 attracted to the keeper 5 by magnetic attractive force. The magnet structure 4 has a magnet body 41 having N-pole and S-pole on both faces disposed back to back in the direction of tooth height, a first yoke 42 having a recessed part for storing the magnet body 41, and a second yoke 43 facing to the keeper. An attractive face 40 facing to the keeper 5 has a recessed spherical shape symmetrical with an attracted surface 53 of the keeper.
COPYRIGHT: (C)2002,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 顎骨側に配置する固定用支台と,該固定用支台に支持され球面状の被吸着面をもつ磁性材料からなるキーパーと,磁気吸引力により上記キーパーに吸着する磁石構造体及び歯部を植設した義歯床を有する義歯とよりなり,上記磁石構造体は,歯丈方向に互いに背向する両面がN極及びS極となる磁石体と,該磁石体を収納する凹部を有する第1ヨークと,該第1ヨークの開口部に配設され,上記磁石体をシールし上記キーパーに対面する第2ヨークと,上記第1ヨークと第2ヨークとの境界に位置する非磁性部とを有し,また,該磁石構造体は,上記第1ヨーク,第2ヨーク,および非磁性部によって形成され,上記キーパーと対面する吸着面が,上記キーパーの被吸着面と型対称な凹球面状を有していることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 【請求項2】 請求項1において,上記固定用支台は歯根部に埋込み固定する根面板であることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 【請求項3】 請求項1において,上記固定用支台は歯根部に埋め込み固定するコンポジットレジンであることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 【請求項4】 請求項1において,上記固定用支台は顎骨に固定される人工歯根であることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 【請求項5】 請求項4において,上記人工歯根は,本体部と,該本体部において上記義歯に対向する面に設けた嵌め合せ用凸部と,該嵌め合せ用凸部に穿設されて上記キーパーの雄ネジ部を螺合するためのネジ穴とよりなるキーパー支持部と,上記嵌め合せ用凸部の周囲に嵌め合せる非磁性材料からなるリングとを有し,上記人工歯根に上記キーパーを装着するに当っては,上記キーパー支持部の嵌め合せ用凸部に上記リングを嵌め,次いで上記ネジ穴にキーパーの雄ネジ部を螺合し,上記キーパーと上記キーパー支持部とによって上記リングを挟持するよう構成してなることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項において,
    上記磁石構造体の吸着面には,耐摩耗性を高めるための表面処理が施されていることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項において,
    上記第1ヨークの上記開口部に対して側方側となる面の一部は突部又は凹部を形成していることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一項において,
    上記第1ヨークの外周面は,上記義歯床との接合性を高めるプライマーコートが施されていることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【技術分野】本発明は,磁気吸引によって,義歯を固定用支台のキーパーに対して着脱自在に固定する義歯アタッチメントに関する。

    【0002】

    【従来技術】歯科治療においては,義歯の着脱が容易であるという観点から,例えば特開平7−136190号公報,米国特許4,508,507号等に開示されているように,磁気吸引力を利用する義歯アタッチメントが種々提案されている。 上記特開平7−136190号公報に開示されたアタッチメントは,図8に示すように,
    義歯床82に植設された磁石構造体61と,顎骨11に埋設した人工歯根19に固定したキーパー62とからなる。 そして,磁石構造体61の吸着面611とキーパー62の被吸着面621とを磁気吸引力によって固定するものである。

    【0003】

    【解決しようとする課題】しかしながら,この義歯アタッチメントは上記磁石構造体61の吸着面611とキーパー62の被吸着面621とは平面状であるため,噛み合わせに伴う義歯の揺動,回転ができない。 また,米国特許4,508,507号に開示されているアタッチメントは,図9に示すように,上記揺動に対処するため,
    磁石構造体71の吸着面713とキーパー72の被吸着面723に曲面を形成させてある。

    【0004】しかし,この場合でも,噛み合わせに伴う義歯の揺動で磁石構造体71がキーパー72から滑り,
    磁石構造体71とキーパー72との間に隙間を生じることがある。 そこで,この隙間発生を防止すべく,キーパー72の頂部に,突部73を設けてある。 そのため,このキーパーの頂部の突起73,及び該突起73を挿入するための磁石構造体側の凹所711の形成加工が複雑となり,コストが高くなる。

    【0005】その上,上記義歯アタッチメントにおいては,上記のごとく,磁石構造体71の下面が,キーパーの突起73とスライド可能に形成するという複雑な形状のため,磁石をシールすることが困難である。 そのため,実際には磁石がシールされず,磁石の表面が口腔内に露出している。 このため,磁石体710は,常に口内の唾液に接触し,腐食し易いという問題を有する。

    【0006】また,アタッチメントを構成する磁石構造体71は,一対のヨーク715で磁石体710を挟むサンドイッチ構造を有するため,磁石構造体71自体の高さが高い。 そのため,歯部81と磁石構造体71との間の距離が接近する。 それ故,義歯床82の厚さを薄くせざるを得なくなり,その結果義歯の強度が低下するおそれがある。

    【0007】さらに,磁石構造体71とキーパー72との各摺動面,磁石構造体71の磁石710,上記突起7
    3が摩耗しやすいという問題がある。

    【0008】本発明は,かかる従来の問題点に鑑み,噛み合せ時に磁石構造体とキーパーとの間に隙間を生ずることがなく,義歯が適度に揺動,回動できると共に,強度に優れ,かつ耐腐食性に優れた義歯アタッチメントを提供しようとするものである。

    【0009】

    【課題の解決手段】請求項1の発明は,顎骨側に配置する固定用支台と,該固定用支台に支持され球面状の被吸着面をもつ磁性材料からなるキーパーと,磁気吸引力により上記キーパーに吸着する磁石構造体及び歯部を植設した義歯床を有する義歯とよりなり,上記磁石構造体は,歯丈方向に互いに背向する両面がN極及びS極となる磁石体と,該磁石体を収納する凹部を有する第1ヨークと,該第1ヨークの開口部に配設され,上記磁石体をシールし上記キーパーに対面する第2ヨークと,上記第1ヨークと第2ヨークとの境界に位置する非磁性部とを有し,また,該磁石構造体は,上記第1ヨーク,第2ヨーク,および非磁性部によって形成され,上記キーパーと対面する吸着面が,上記キーパーの被吸着面と型対称な凹球面状を有していることを特徴とする義歯アタッチメントである。

    【0010】本発明において,上記固定用支台としては,後述のごとく,顎骨に植設されている自然の歯根部に埋設固定する根面板,或いは顎骨に固定する人工歯根などがある。

    【0011】本発明においては,磁石の吸引力を利用してキーパーに義歯を固定するため,義歯の着脱が容易な義歯アタッチメントとなる。 すなわち,上記従来のアタッチメントとは異なり,口腔内において位置合わせが簡単となり,ワンタッチで義歯の着脱が可能となる。

    【0012】また,本発明の義歯アタッチメントを構成する磁石構造体は,その吸着面がキーパーの球面状の被吸着面と型対称な凹球面状である。 そのため,磁石構造体とキーパーとの吸着性が良好であると共に,回動機能を有することになる。 そのため,義歯がキーパーに対して揺動,回動し,磁石構造体とキーパーとの間に隙間を生ずることなく,噛み合わせに伴う義歯の揺動,回動が可能となる。

    【0013】さらに,本発明の磁石構造体は,第1ヨークおよび第2ヨークが磁石体を覆う,いわゆるキャップ型構造を有する。 そして,これらはキーパーに対面する第2ヨーク,磁石体,義歯床の順に,噛み合い方向に積層された偏平な状態に構成でき,磁石構造体の高さを低くすることができる。 そのため,従来のサンドイッチ構造の磁石構造体(上記米国特許参照)に比べ義歯床の厚さを厚く確保でき,義歯床の強度を向上させることができる。

    【0014】また,磁石体自体は,口内において比較的腐食しやすいものであるが,その全周囲がヨークに覆われているため,耐腐食性に優れている。 そして,第1ヨークと第2ヨークとの境界には,非磁性部が配置されているため,第1ヨークと第2ヨークとは磁気的に絶縁され,第1ヨークと第2ヨークとの間にキーパーを通らない磁力線が通じて,両者が磁気的に短絡するということはない。 そのため,磁石構造体とキーパーとを,磁気吸引力により強く吸着することができる。

    【0015】上記のごとく,本発明によれば,噛み合せ時に磁石構造体とキーパーとの間に隙間を生ずることなく,義歯が適度に揺動,回動できると共に,強度に優れ,口腔内における噛み合せ調整が容易で,かつ耐腐食性に優れた義歯アタッチメントを提供することができる。

    【0016】次に,請求項2の発明のように,上記固定用支台は歯根部に埋込み固定する根面板とすることができる。 この場合には,口腔内において,顎骨に生来植設されている自然の歯根部を用い,これに根面板を埋設しているので,固定用支台は強固にキーパーを保持することができる。 そのため,耐久性に優れた義歯アタッチメントを提供することができる。 また,上記の固定用支台は,キーパーを歯根部に固定する部材である。

    【0017】次に,請求項3の発明のように,上記固定用支台は歯根部に埋め込み固定するコンポジットレジンであることが好ましい。 この場合には,上記と同様に自然の歯根部に固定用支台を埋め込み固定するので,固定用支台は強固にキーパーを保持することができる。 そのため,耐久性に優れた義歯アタッチメントを提供することができる。 上記コンポジットレジンとしては,アクリルレンジなどの樹脂を用いる。

    【0018】次に,請求項4の発明のように,上記固定用支台は顎骨に固定される人工歯根とすることができる。 この場合は,自然の歯根部が破損しているときに,
    人工歯根を顎骨に挿入固定する。 これにより,固定用支台としての人工歯根を顎骨に対して強く植設することができる。 上記の人工歯根は,通称インプラントと称されている。

    【0019】次に,請求項5の発明のように,上記人工歯根は,本体部と,該本体部において上記義歯に対向する面に設けた嵌め合せ用凸部と,該嵌め合せ用凸部に穿設されて上記キーパーの雄ネジ部を螺合するためのネジ穴とよりなるキーパー支持部と,上記嵌め合せ用凸部の周囲に嵌め合わせる非磁性材料からなるリングとを有し,上記人工歯根に上記キーパーを装着するに当っては,上記キーパー支持部の嵌め合せ用凸部に上記リングを嵌め,次いで上記ネジ穴にキーパーの雄ネジ部を螺合し,上記キーパーと上記キーパー支持部とによって上記リングを挟持するよう構成してなることが好ましい。

    【0020】また,上記のごとく,キーパーをねじ式にすることで,固定用支台への結合が容易となり,さらに,キーパーと固定用支台との間に上記のリングを介在させることにより,食物を食べるときの咬合力がリングへ分散し,咬合力がキーパーの雄ネジ部へ集中することを防止することができる。 なお,キーパーの側面には少なくとも2つの直線部を設けることが好ましい。 これにより,キーパーを固定用支台に固定する際に回転工具を用いることができ,キーパーに損傷を与えることなくより強く,固定用支台に固定することができる。 さらに,
    キーパーの外径をリングの外径より大きくすることが好ましい。 この場合には,キーパーに回転工具を係合させるときにリングが妨げになりにくい。

    【0021】また,リングは,キーパー支持部における上記嵌め合せ用凸部の外側においてキーパー支持部の本体部に設けた凹部と嵌め合せる凸部と,キーパーの下部周縁を嵌め合せる凹部とを有することが好ましい(図4
    参照)。 これらの嵌め合せにより,キーパーがキーパー支持部から横ずれすることを防止することができる。 なお,リングは非磁性材料で形成し,特に,生体との馴染みが良い非磁性材料であるSUS316L,純Ti,T
    合金等を用いることが望ましい。

    【0022】次に,請求項6の発明のように,上記磁石構造体の吸着面には,耐摩耗性を高めるための表面処理が施されていることが好ましい。 この場合には,キーパーとの吸着面表面を表面処理することによって,繰り返し行われる着脱や咬合による磁石構造体の吸着面の摩耗をより減少することができ,より寿命の長い義歯アタッチメントとなる。 なお,表面処理は,通常耐摩耗性を向上するために行われる種々の処理を行うことができ,例えば,TiN,ダイヤモンド,N,Cr,セラミック等のコーティングや窒化処理,クロム処理などの表面処理が挙げられる。

    【0023】次に,請求項7の発明のように,上記第1
    ヨークの上記開口部に対して側方側となる面の一部は突部又は凹部を形成していることが好ましい。 この場合には,突部または凹部を設けることにより,磁石構造体を義歯床に対してより強く固定することができる。

    【0024】すなわち,磁石構造体は,レジン材料等からなる義歯床内に接着剤を用いて埋設固定するが,長期間の使用によって義歯床との間に剥離を生じるおそれがある。 これに対して,上記突部または凹部の形成により,該突部が義歯床に侵入し,または該凹部に義歯床が侵入した状態で磁石構造体が固定される。 そのため,磁石構造体の剥離,脱落を一層確実に防止することができる。 なお,突部および凹部の形状は特に限定するものではなく,種々の形状を採用することができる。

    【0025】次に,請求項8の発明のように,上記第1
    ヨークの外周面は,上記義歯床との接合性を高めるプライマーコートが施されていることが好ましい。 この場合には,プライマーコートを設けることで,磁石構造体と義歯床のレジン(合成樹脂)材料等との接合性をより高めることができ,上述の突部または凹部の作用と同様,
    磁石構造体を義歯床により強く固定することができる。
    なお,プライマーは,義歯床との接合性を高めるためのものであれば種々のものを用いることができ,例えば金属接着系アクリル樹脂等が挙げられる。

    【0026】以下,本発明の義歯アタッチメントの好適な実施の形態を説明する。 本発明の義歯アタッチメントは,歯根部に埋設される固定用支台と,固定用支台に支持されるキーパーと,キーパーの被吸着面に磁気吸引力で吸着する磁石構造体とから構成される。 上記固定用支台は歯根部や人工歯根に埋設され,キーパーを支持する部材である。 固定用支台は非磁性材料で形成され,なかでも生体との馴染みが良い非磁性材料であるチタン合金を用いることが望ましい。

    【0027】次に,キーパーは,固定用支台の上部(磁石構造体側)に固定され,磁石構造体とともに磁気回路を形成し,義歯を固定用支台へ固定する部材である。 キーパーを形成する材料としては,従来より磁気吸引力を利用する義歯アタッチメントのキーパーとして使用されている種々の歯科用の耐食性磁性材料を用いることができる。 特に,飽和磁束密度1.3T以上,透磁率300
    0以上の磁性材料を用いることが望ましく,このような特性を有する磁性材料には,鉄・クロム・モリブデン合金や,19Cr−2Mo−0.2Ti鋼,17Cr−2
    Mo−0.2Ti鋼等の軟磁性ステンレス鋼等がある。

    【0028】キーパーの被吸着面は球面状であり,磁石構造体の吸着面もキーパーの被吸着面と型対称な凹球面状である。 なお,被吸着面を除くキーパーの形状は,特に限定するものではなく,八形,十二角形等の多角形や,円形等の形状とすることができる。 特に,上記の形状は,工具を用いてキーパーの取り外しを容易にするという理由から,八角形,または十二角形,或いは,中心部に多角形の穴を形成しておくことが望ましい。

    【0029】次に,磁石構造体は,キーパーとともに磁気回路を形成し,義歯を固定用支台へ固定する部材である。 磁石体は,特に限定されるものではなく,従来より磁気吸引力を利用する義歯アタッチメントの磁石体として使用されている種々の磁性体を用いることができる。
    特に,高いエネルギー積をもつ磁性体を用いることが望ましく,具体的には,2388kJ/m 以上のエネルギー積をもつ磁性体を用いることが実用的に望ましい。
    このような磁性体としては,Nd−Fe−B系やSm−
    Co系の希土類磁石等がある。

    【0030】磁石構造体における第1ヨークは,その凹部に磁石体を収納する。 そして第2ヨークは第1ヨークに収納された磁石体のキーパーとの対向面,つまり義歯床の開口部をシールする。 これら第1ヨークおよび第2
    ヨークの材料は,特に限定されるものではなく,従来より磁気吸引力を利用する義歯アタッチメントのヨークとして使用されている種々の材料を用いることができる。
    なかでも軟磁性材料を用いることが望ましく,特に磁石の腐食を防止する観点から耐食性の軟磁性材料を用いることが望ましい。 具体的には,鉄・クロム・モリブデン合金や,19Cr−2Mo−0.2Ti鋼,17Cr−
    2Mo−0.2Ti鋼,純鉄等が挙げられる。

    【0031】また,第1ヨークの開口部周縁,つまりキーパーとの対向面および第2ヨークのキーパーとの対向面及び両者の境界部に位置する非磁性部は,キーパーの球面状の被吸着面と型対称な凹球面状である吸着面を形成しているため,上述のごとく,本発明の義歯アタッチメントは,回動機能を有し,噛み合わせに伴う義歯の揺動に対応が可能となる。

    【0032】また,第1ヨークと第2ヨークとの境界には,非磁性部が配置されているため,第1ヨークと第2
    ヨークとは磁気的に絶縁される。 この非磁性部は,例えば,第1ヨークと第2ヨークとの境界にNi等を添加しつつ,レーザー,電子ビーム等により,非磁性改質することにより,形成することができる。

    【0033】

    【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる義歯アタッチメントにつき,図1〜図3を用いて説明する。 本例の義歯アタッチメントは,図1〜図3に示すごとく,顎骨11側に配置する固定用支台としての根面板55と,該固定用支台に支持され球面状の被吸着面53をもつ磁性材料からなるキーパー5と,磁気吸引力により上記キーパー5に吸着する磁石構造体4及び歯部81を植設した義歯床82を有する義歯1とよりなる。

    【0034】また,上記磁石構造体4は,歯丈方向に互いに背向する両面がN極及びS極となる磁石体41と,
    該磁石体41を収納する凹部49を有する第1ヨーク4
    2と,該第1ヨーク42の開口部421に配設され,上記磁石体41をシールし上記キーパー5に対面する第2
    ヨーク43と,上記第1ヨーク42と第2ヨーク43との境界に位置する非磁性部44とを有する。 また,該磁石構造体4は,上記第1ヨーク42,第2ヨーク43,
    および非磁性部44によって形成されると共に,上記キーパー5と対面する吸着面40が,上記キーパー5の被吸着面53と型対称な凹球面状を有している。

    【0035】そして,上記固定用支台は,上記のごとく歯根部13に埋込み固定するコンポジットレンジ55である。 また,上記磁石構造体4の吸着面40には,耐摩耗性を高めるための表面処理として,Al 23のコーティング460が施されている。 また,上記第1ヨーク4
    2の上記開口部421に対して側方側となる面の一部は,突部45を形成している(図3)。

    【0036】また,本例において,固定用支台としての上記コンポジットレンジ55は,顎骨11に生来植設されている,自然生えの歯根部13に深穴130を穿設し,その中にコンポジットレジン用の樹脂を注入し,固化することにより形成してある。 そして,このコンポジットレジン用の樹脂を注入する際に,キーパー5の下部に設けたルート51を上記深穴130内に挿入しておく。 これにより,キーパー5は,ルート51とコンポジットレジンとによって歯根部13に強固に固定される。

    【0037】このように,固定されたキーパー5に対して,義歯1を上方より覆い,義歯1に設けた磁石構造体4の凹球面状の吸着面40とキーパー5の凸球面状の被吸着面53とを磁気吸引力により吸着させる。 上記義歯1は,図1,図2に示すごとく,顎骨11上の歯肉12
    を覆う義歯床82と,義歯床82の内側に固定した上記磁石構造体4と,義歯床82の上部に固定した歯部81
    とよりなる。

    【0038】本例における,磁石構造体等の具体例につき,以下に示す。 上記磁石構造体4は,外周径が4.4
    mm,高さ1.5mmで,吸着面40の直径は4mmであり,磁石構造体4はNd系希土類磁石を用いた。 第1
    ヨーク42,第2ヨーク43には19Cr−2Mo−
    0.2Ti磁性ステンレス鋼を用いた。 また,本義歯アタッチメントにおける磁気吸引力は8Nであった。

    【0039】また,キーパー5は,直径4.0mm,厚さ0.8mmで19Cr−2Mo−0.2Ti材料を用い,被吸着面53の外側形状は12角形とした。 そして,このキーパー5の下方に設けたルート51は,最大径1.2mm,全体長さが7mmで,途中の外周に根面板55との接合を向上させるための凹部を設けた。 また,ルート51は,SUS316Lステンレス鋼で,キーパー5とレーザ溶接されている。 キーパー5の被吸着面53の曲率半径は6mmである。

    【0040】本例においては,磁石の吸引力を利用してキーパー5に義歯1を固定するため,義歯1の着脱が容易な義歯アタッチメントとなる。 すなわち,上記従来のアタッチメントとは異なり,口腔内において位置合わせが不要となり,ワンタッチで義歯の着脱が可能となる。

    【0041】また,磁石構造体4は,その吸着面40がキーパー5の球面状の被吸着面53と型対称な凹球面状であるため,磁石構造体4とキーパー5との吸着性が良好であると共に,回動機能を有することになる。 そのため,義歯1がキーパー5に対して揺動,回動し,磁石構造体とキーパーとの間に隙間を生ずることなく,噛み合わせに伴う義歯の揺動,回動が可能となる。

    【0042】さらに,磁石構造体4は,第1ヨーク42
    および第2ヨーク43が磁石体41を覆う,いわゆるキャップ型構造を有する。 そして,これらはキーパー5に対面する第2ヨーク43,磁石体41,義歯床82の順に,噛み合い方向に積層された偏平な状態に構成でき,
    磁石構造体4の高さを低くすることができる。 そのため,従来のサンドイッチ構造の磁石構造体(上記米国特許参照)に比べ義歯床の厚さを厚く確保でき,義歯床の強度を向上させることができる。

    【0043】また,磁石体自体4は,その全周囲がヨーク42,43に覆われているため,磁石体41の腐食のおそれがなく,耐腐食性に優れている。 また,第1ヨーク42と第2ヨーク43との境界には非磁性部44が配置されているため,第1ヨーク42と第2ヨーク43とは磁気的に絶縁され,両者が磁気的に短絡することはない。 そのため,磁石構造体4とキーパー5とを,磁気により強く吸着することができる。

    【0044】また,上記コンポジットレジン55が,キーパーと歯根部13とを強固に接合する。 また,上記磁石構造体4の吸着面40には,耐摩耗性を高めるための表面処理が施されているので,繰り返し行われる着脱や咬合による磁石構造体4の吸着面40の摩耗をより減少させることができ,より寿命の長い義歯アタッチメントとなる。

    【0045】また,上記第1ヨーク42の上記開口部に対して側方側となる面には,突部45を形成しているので,磁石構造体4を義歯床82に対してより強く固定することができる。 即ち,突部45が義歯床82の樹脂材料中に侵入した状態で磁石構造体4が固定される。 そのため,磁石構造体4の剥離,脱落を一層確実に防止することができる。

    【0046】上記のごとく,本例によれば,噛み合せ時に磁石構造体4とキーパー5との間に隙間を生ずることなく,義歯1が適度に揺動,回動できると共に,強度に優れ,口腔内における噛み合せ調整が容易で,かつ耐腐食性に優れた義歯アタッチメントを提供することができる。

    【0047】実施形態例2 本例は,図4〜図6に示すごとく,固定用支台として顎骨11に固定する人工歯根2を用いたもので,いわゆるインプラント式の例である。 本例の義歯アタッチメントにおいて,上記人工歯根2は,図4に示すごとく,本体部20と,該本体部20において義歯に対向する面に設けた嵌め合せ用凸部215と,該嵌め合せ用凸部215
    に穿設されてキーパー3の雄ネジ部32を螺合するためのネジ穴212とよりなるキーパー支持部21と,上記ネジ穴212に嵌め合せる非磁性材料からなるリング2
    2とを有する。

    【0048】そして,上記人工歯根2に上記キーパー3
    を装着するに当っては,上記キーパー支持部21の嵌め合せ用凸部215に上記リング22を嵌め,次いで上記ネジ穴212にキーパー3の雄ネジ部32を螺合し,上記キーパー3と上記キーパー支持部21とによって上記リング22を挟持する。 以下,これらにつき詳細に説明する。

    【0049】図4に示すように,キーパー支持部21
    は,本体部20の上端に嵌め合せ用凸部215を有し,
    該嵌め合せ用凸部215の外周において本体部20の頂部に凹部211を有する。 そして,嵌め合せ用凸部21
    5には,キーパー支持部21の軸方向に沿って,ネジ穴212を有する。 リング22は,キーパー支持部21の頂部に位置する凹部211と嵌め合せる凸部222と,
    凸部222と背向する面にキーパー3を嵌め合せる凹部221とを有する。

    【0050】本例では,キーパー支持部21の凹部21
    1の中央部分に,キーパー3をキーパー支持部21へ固定するための嵌め合せ用凸部215が設けられている。
    また,キーパー3は,その被吸着面31と背向する面にキーパー支持部21のねじ穴212に螺合する雄ネジ部32を有する。

    【0051】すなわち,キーパー3は雄ネジ部32によりキーパー支持部21に固定されるが,キーパー3とキーパー支持部21との間にリング22を介在させることにより,雄ネジ部32への咬合力の集中を防止することができる。 また,リング22は凸部222,凹部221
    により,それぞれキーパー支持部21およびキーパー3
    と嵌め合せるため,キーパー3がキーパー支持部21から横ずれすることを防止することができる。

    【0052】磁石構造体4は,歯丈方向に互いに背向する両面がN極及びS極となる磁石体41と,磁石体41
    を収納する凹部49と,キーパー3との吸着面40の外縁部分を形成するケース状の第1ヨーク42と,磁石体41のキーパー3との対向面をシールし,キーパー3との吸着面40を形成する第2ヨーク43と,第1ヨーク42と第2ヨーク43との境界に位置する非磁性部44
    とから構成される。 この磁石構造体4がキーパー3に着脱自在に吸着することによって,義歯の固定,取り外しを容易に行うことができる。 この両者の吸着状態は,実施形態例1と同様である。

    【0053】そして,上記吸着面40は,キーパー3の被吸着面31と型対称な凹球面状となっている。 したがって,義歯アタッチメント1は,回動機能を有し,噛み合わせに伴う義歯の揺動に対応できる。 さらに,磁石構造体4は,義歯床からの脱落を防止するため,第1ヨーク42の外周側面に突部45を有し,キーパー3との吸着面40は,耐摩耗性を高めるため,TiN膜46による表面処理がなされている。

    【0054】次に,本例の義歯アタッチメントの材料および寸法の具体例につき説明する。 キーパー支持部21
    は,Ti(チタン)製で,その大きさは,直径4.5m
    m,高さ13mmとした。 また,凹部211の受部の直径は3.4mm,凹部211の深さは0.3mm,嵌め合せ用凸部215は直径2.4mmの六角形とした。 リング22はSUS316L製とし,その大きさは,直径4.5mm,高さ1.0mmとし,凸部222および凹部221の高さは0.3mm,凸部222の先端部および凹部221の受部の各直径は3.4mmとした。

    【0055】キーパー3には,19Cr−2Mo−0.
    2Tiを用い,被吸着面31の外側形状は12角形とし,その最大径は5.0mm,厚さは1.0mm,被吸着面31の曲率半径は8mmとした。 また,雄ネジ部3
    2の直径は1.4mm,ピッチは0.3mmとし,リング22を嵌め合せる嵌め合せ用凸部215の高さは0.
    7mmとした。 磁石構造体4の外周径は4.4mm,高さは1.3mmとした。

    【0056】磁石構造体4を構成する磁石体41には,
    Nd系希土類磁石を用い,第1ヨーク42および第2ヨーク43には,19Cr−2Mo−0.2Tiを用いた。 なお,本義歯アタッチメントにおける磁気吸引力は7Nであった。

    【0057】本例は,自然の歯根部が破損しているときに,人工歯根2を顎骨11に挿入固定する例である。 本例によれば,固定用支台としての人工歯根2を顎骨11
    に対して強く植設することができる。 上記の人工歯根は,通称インプラントと称されている。

    【0058】また,本例によれば,上記のごとく,キーパー3をねじ式にすることで,固定用支台としての人工歯根2への結合が容易となり,さらに,キーパー3とキーパー支持部21との間にリング22を介在させることにより,食物を食べるときの咬合力がリングへ分散し,
    キーパー3の雄ネジ部32へ咬合力が集中することを防止することができる。

    【0059】また,本例においては,図6に示すごとく,上記第1ヨーク42の外周面は,上記義歯床82との接合性を高める接着性レジン材料からなるプライマーコート47が施されている。 そのため,磁石構造体4を義歯床82により強く固定することができる。

    【0060】なお,キーパー3の側面には少なくとも2
    つの直線部を設けることが好ましい。 これにより,キーパー3をキーパー支持部に固定する際に回転工具を用いることができ,キーパー3に損傷を与えることなくより強く,固定することができる。 さらに,キーパー3の外径をリング22の外径より大きくすることが好ましい。
    この場合には,キーパーに回転工具を係合させるときにリングが妨げになりにくい。 その他,実施形態例1と同様の効果を得ることができる。

    【0061】実施形態例3 実施形態例2に示した義歯アタッチメントについて,図7に示すごとく,キーパーの構造,材料及び寸法に関する具体例を示す。 上記実施形態例2の,人工歯根2を用いた義歯アタッチメントの構成において,キーパー3の構造,磁石構造体4のキーパー3との吸着面の表面処理をTiNに代えてダイヤモンドを用いて行った以外は,
    実施形態例2の義歯アタッチメントの構成と同様とした。 即ち,Ti製のキーパー支持部21を用い,その大きさは,直径3.5mm,高さ10mmとした。 また,
    凹部211の直径は2.4mm,凹部211の深さは0.2mmとした。

    【0062】リング22はTi製とし,その大きさは,
    直径3.5mm,高さ1.0mmとし,凸部222および凹部221の高さは0.2mm,凸部222および凹部221の直径は2.4mmとした。 キーパー3には,
    17Cr−2Mo−0.2Tiを用い,その最大径は3.5mm,厚さは0.8mm,被吸着面31の曲率半径は10mmとした。 そして,キーパー3の上部中央部には六角穴35を形成した。 該六角穴35の直径は1.
    0mm,深さは0.9mmである。 また,雄ネジ部32
    の直径は1.4mm,ピッチは0.3mmとし,リング22と嵌め合せる凸部高さは0.2mmとした。

    【0063】磁石構造体4の外周径は3.4mm,高さは1.0mmとした。 磁石構造体4を構成する磁石体4
    1には,Sm−Co系を用い,第1ヨーク42および第2ヨーク43には,17Cr−2Mo−0.2Tiを用いた。 なお,本義歯アタッチメントにおける磁気吸引力は5Nであった。 本例においては,上記六角穴35に六角レンチを嵌合して,キーパー3を回動し,その装着取り外しを行なう。 本例の場合も,実施形態例2と同様の効果を得ることができた。

    【0064】実施形態例4 実施形態例1〜実施形態例3の各義歯アタッチメントについて,その着脱操作性および耐久性を評価した。 まず,着脱操作性について述べると,上記実施形態例1〜
    3の義歯アタッチメントは,磁石構造体4が上記構造を有しているので,装着の際に厳密な位置合わせや圧入操作が不要であり,ワンタッチで義歯を装着できた。 また同様に,ワンタッチで取り外すことも可能であった。

    【0065】次に,耐久性は,義歯アタッチメントの取り外し回数および咬合負荷回数で評価した。 義歯アタッチメントの取り外しを,一日当たり5回行うと仮定して,それを3年間継続して行った場合,すなわち500
    0回程度取り外しを繰り返しても,磁気吸引力の低下が1%未満であることが耐久性が良好であるための一つの条件となる。 また,義歯は回転角±3度で揺動し,噛み合わせを一日当たり1000回行うと仮定して,それを3年間継続して行った場合,すなわち100万回程度の咬合を繰り返しても,磁石構造体のキーパーとの吸着面の摩耗量が1μm以下であることが,耐久性が良好であるためのもう一つの条件となる。

    【0066】なお,実施形態例1〜3の義歯アタッチメントにおける吸着面は,Al 23 ,TiNまたはダイヤモンドによる表面処理が施されているため,吸着面は厚さ1μmの膜が形成され,地色以外の色を有する。 したがって,咬合により吸着面の摩耗量が1μmを超えた場合には,吸着面の地色が表出するため確認できる。

    【0067】上記の評価テストを行なったところ,上記の実施形態例1〜3の義歯アタッチメントは,取り外し回数10000回においても,磁気吸引力の低下が1%
    未満であり,咬合負荷回数200万回においても,磁石構造体のキーパーとの吸着面の摩耗量が1μm以下であった。

    【0068】また,実施形態例1〜3の義歯アタッチメントは,取り外し回数20000回においても,磁気吸引力の低下が1%未満であり,咬合負荷回数300万回においても,磁石構造体のキーパーとの吸着面の摩耗量が1μm以下であった。 したがって,耐久性に優れ,寿命の長い義歯アタッチメントであることが分る。 なお,
    実施形態例3の義歯アタッチメントは,吸着面にダイヤモンドを用いた表面処理を施したことから,実施形態例2の義歯アタッチメントと比較して,耐久性もより優れたものとなっている。

    【0069】

    【発明の効果】本発明によれば,噛み合せ時に磁石構造体とキーパーとの間に隙間を生ずることなく,義歯が適度に揺動,回動できると共に,強度に優れ,かつ耐腐食性に優れた義歯アタッチメントを提供することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】実施形態例1における,義歯アタッチメントの展開説明図。

    【図2】実施形態例1における,義歯アタッチメントを装着した状態の説明図。

    【図3】実施形態例1における,義歯アタッチメントにおける磁石構造体の説明図。

    【図4】実施形態例2における,義歯アタッチメントの展開要部断面図。

    【図5】実施形態例2における,義歯アタッチメントを装着した状態の説明図。

    【図6】実施形態例2における,義歯アタッチメントにおいて,プライマーコートを設けた磁石構造体の断面図。

    【図7】実施形態例3における,(A)キーパー及び人工歯根の断面図,(B)キーパーの平面図。

    【図8】従来例の義歯アタッチメントの側断面図。

    【図9】他の従来例の義歯アタッチメントの側断面図。

    【符号の説明】

    1. . . 義歯アタッチメント, 11. . . 顎骨, 13. . . 歯根部, 2. . . 人工歯根, 21. . . キーパー支持部, 22. . . リング, 3. . . キーパー, 31. . . 被吸着面, 4. . . 磁石構造体, 41. . . 磁石体, 42. . . 第1ヨーク, 43. . . 第2ヨーク, 44. . . 被磁性部, 47. . . プライマーコート, 5. . . キーパー, 55. . . 根面板, 81. . . 歯部,

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