Orthodontic appliance

申请号 JP2012165371 申请日 2012-07-26 公开(公告)号 JP2014023671A 公开(公告)日 2014-02-06
申请人 Atsushi Otsuka; 淳 大塚; 发明人 OTSUKA ATSUSHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an orthodontic appliance of a mouthpiece type, capable of solving or reducing reversed occlusion even in a permanent dentition period.SOLUTION: An orthodontic appliance is composed of a base 1 having a U-shape in a plane view, and put between tooth rows 61 and 71 of the upper jaw 6 and the lower jaw 7, an upper jaw side outer peripheral wall 2 projecting upward from the outer peripheral edge of the base 1 and contacting the upper lip 62 from the inside, a lower jaw side outer peripheral wall 3 projecting downward from the outer peripheral edge of the base 1, contacting the lower lip 72 from the inside, and contacting the front tooth part 711 of the lower jaw 7 from the outside, and an upper jaw side inner peripheral wall 4 projecting upward from the inner peripheral edge of the base 1 and contacting the front tooth part 611 of the upper jaw 6 from the inside. The distance between the inner peripheral surface of the upper jaw side outer peripheral wall 2 and the outer peripheral surface of the upper jaw side inner peripheral wall 4 is larger than the thickness of the tooth row 61 of the upper jaw 6.
权利要求
  • 上顎及び下顎の歯列に挟まれる平面視U字状のベースと、
    前記ベースの外周縁から上方に突出して上唇に内側から当接する上顎側外周壁と、
    前記ベースの外周縁から下方に突出して下唇に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接する下顎側外周壁と、
    前記ベースの内周縁から上方に突出して上顎の前歯部に内側から当接する上顎側内周壁とから構成され、
    上顎側外周壁の内周面と上顎側内周壁の外周面とが上顎の歯列の厚みより離れていることを特徴とする歯科矯正装置。
  • ベース、上顎側外周壁、下顎側外周壁及び上顎側内周壁は、弾性又は可撓性を備えた樹脂素材で一体成形された請求項1記載の歯科矯正装置。
  • 下顎側外周壁は、ベースに沿って延び、下顎の前歯部に外側から当接する下支持条を内周面に設けた請求項1又は2いずれか記載の歯科矯正装置。
  • 上顎側内周壁は、ベースに沿って延び、上顎の前歯部に内側から当接する上支持条を内周面に設けた請求項1〜3いずれか記載の歯科矯正装置。
  • ベースは、内周縁から下方に延び、舌下方に潜り込む舌位置矯正フランジを設けた請求項1〜4いずれか記載の歯科矯正装置。
  • ベース、上顎側外周壁、下顎側外周壁、上顎側内周壁及び舌位置矯正フランジは、弾性又は可撓性を備えた樹脂素材で一体成形された請求項5記載の歯科矯正装置。
  • 说明书全文

    本発明は、反対咬合を解消する又は軽減するために好適な歯科矯正装置に関する。

    本発明において、「前歯部」は左右の中切歯、側切歯及び犬歯(1番〜3番、永久歯の場合)、乳中切歯、乳側切歯及び乳犬歯(A〜C、乳歯の場合)を、「臼歯部」は左右の第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯、第二大臼歯及び第三大臼歯(4番〜8番、永久歯の場合)、第一乳臼歯及び第二乳臼歯(D及びE、乳歯の場合)をそれぞれ意味する。 そして、「前歯部」と左右の「臼歯部」とを合わせて上顎又は下顎の「歯列」と呼ぶ。

    反対咬合(下顎前突症)は、見た目を悪くするだけでなく、下顎の動きが制限されることから、前記下顎の痛み(顎関節症)を引き起こす問題がある。 また、子供の場合、正常な上顎の成長を阻害する虞もあり、できるだけ早く解消する方が好ましい。 これから、従来より、反対咬合を解消する(反対咬合が完治する)又は軽減する(反対咬合の症状が緩和し、別の治療と共に完治する)ための歯科矯正装置が様々提案されている。

    特許文献1は、チンキャップタイプと呼ばれる歯科矯正装置(顎牽引固定装置)を開示する。 特許文献1が開示する歯科矯正装置は、頭部に装着したヘッド部から下顎にチンキャップを掛け回し、前記下顎を後方に引っ張ることにより、反対咬合を解消又は軽減する(特許文献1・[請求項1])。 特許文献1が開示する歯科矯正装置は、チンキャップの牽引方向及び牽引の強さを、より細かく調整できるようにしている(特許文献1・[0024])。

    特許文献2は、アーチワイヤタイプと呼ばれる歯科矯正装置(咬合矯正装置)を開示する。 特許文献2が開示する歯科矯正装置は、下顎前歯の内側前方から舌を挙上させる舌挙上部と、下顎臼歯の内側である下顎内側に当接させる当接部と、前記当接部を拡幅方向へ付勢する付勢部とを、弾性を備えたワイヤで構成する(特許文献2・[請求項1][0022])。 付勢部は、レジンパッドを介して下顎を内側から左右拡幅方向へ押圧する(特許文献2・[0026])。

    特許文献3は、マウスピースタイプと呼ばれる歯科矯正装置(舌及び下顎位矯正訓練器具)を開示する。 特許文献3が開示する歯科矯正装置は、上顎の歯列に嵌合しうる歯列嵌合部と、前記歯列嵌合部から下方に向かって膨出して形成された舌位置矯正部とを、可撓性を有する熱可塑性エラストマー(スチレン系樹脂)から構成している(特許文献3・[請求項1])。 歯列嵌合部を構成する立ち上がり部には上唇小帯に嵌合しうる切り欠き部が、舌位置矯正部には舌小帯に嵌合しうる切り欠き部が、それぞれ設けられる(特許文献3・[請求項3])。

    特開2006-020907号公報(チンキャップタイプ)

    特開2011-115316号公報(アーチワイヤタイプ)

    登録実用新案第3153815号公報(マウスピースタイプ)

    反対咬合を解消する又は軽減する歯科矯正装置は、反対咬合が自然治癒しなかった乳歯列期(3歳ごろ)以降の幼児から利用されるところ、チンキャップタイプの歯科矯正装置(特許文献1)やアーチワイヤタイプの歯科矯正装置(特許文献2)は、幼児に負担が大きすぎて、治療手段としてあまり好ましくなかった。 このほか、チンキャップタイプの歯科矯正装置(特許文献1)は、装着状態が外部から視認され、見映えがよくなかった。

    また、旧来のマウスピースタイプの歯科矯正装置は、硬質樹脂製で、予め患者の歯型の型取りが必要であったり、変形し難いため、口腔に装着すると違和感が少なからずあった。 しかし、特許文献3が開示するマウスピースタイプの歯科矯正装置は、可撓性を有する熱可塑性エラストマー(スチレン系樹脂)から構成して、調整作業を要することなく口腔に適合し、違和感を低減する効果を得ている(特許文献3・[0011])。

    特許文献3が開示するマウスピースタイプの歯科矯正装置は、低い位置にある舌を舌位置矯正部により持ち上げ、上顎の歯列の歯茎に内側から歯列嵌合部を当接させることにより口腔周辺の筋機能を整え、上顎の成長を促し、逆に下顎の成長を抑えて、反対咬合を解消又は軽減する。 上述のように、特許文献3が開示するマウスピースタイプの歯科矯正装置は、調整作業を要することなく口腔に適合できることもあり、特に乳歯列期から混合歯列期初期までの反対咬合の患者に好適な歯科矯正装置として多用されている。

    しかし、特許文献3が開示するマウスピースタイプの歯科矯正装置は、舌位置矯正部により舌を持ち上げ、歯列嵌合部を歯茎に当接させて、口腔周辺の筋機能を整えているだけで、積極的に反対咬合を矯正するものではないため、特に永久歯列期以降の患者に対して十分な矯正作用を発揮できなかった。 そこで、永久歯列期においても、反対咬合を解消又は軽減できるマウスピースタイプの歯科矯正装置について、検討した。

    検討の結果開発したものが、上顎及び下顎の歯列に挟まれる平面視U字状のベースと、前記ベースの外周縁から上方に突出して上唇に内側から当接する上顎側外周壁と、前記ベースの外周縁から下方に突出して下唇に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接する下顎側外周壁と、前記ベースの内周縁から上方に突出して上顎の前歯部に内側から当接する上顎側内周壁とから構成され、上顎側外周壁の内周面と上顎側内周壁の外周面とが上顎の歯列の厚みより離れていることを特徴とする歯科矯正装置である。

    本発明において、「外」は上顎又は下顎の歯列を挟んで唇側又は頬側、逆に「内」は上顎又は下顎の歯列を挟んで口蓋側又は舌側をそれぞれ意味する。 これから、上顎側外周壁、下顎側外周壁又は上顎側内周壁それぞれの「外周面」は歯列の外に面する周面(前歯部の唇側にある周面や左右の臼歯部の頬側にある周面)を、同じく「内周面」は歯列の内に面する周面(前歯部や左右の臼歯部の口蓋側又は舌側にある周面)をそれぞれ意味する。

    本発明の歯科矯正装置は、上顎及び下顎の歯列でベースを噛むように口腔に装着させると、上顎側外周壁、下顎側外周壁及び上顎側内周壁それぞれの働きと前記働きの相乗作用とにより、反対咬合を解消又は軽減する。 上顎側外周壁は、上唇に内側から当接させ、口輪筋上部に引っ張られる上唇が上顎の前歯部に当たらないようにし、前記上唇が上顎の発育を邪魔しないようにする。 下顎側外周壁は、下唇に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接させ、下顎の発育を抑制しつつ、下唇を外方に向けて押し、口を閉じた状態の下唇に負荷を与えて口輪筋下部の発育を促す。 上顎側内周壁は、上顎の前歯部に内側から当接し、前記前歯部を外に向けて押し、上顎の発育を助ける。

    本発明の歯科矯正装置は、上述の通り、各部それぞれの働きと前記働きの相乗作用により、反対咬合を解消又はするため、患者の口腔にきっちり適合する必要はなく、口腔に安定して装着できればよい。 これから、型取りを省略できるように、ベース、上顎側外周壁、下顎側外周壁及び上顎側内周壁は、弾性又は可撓性を備えた樹脂素材で一体成形されるとよい。 これにより、本発明の歯科矯正装置は、多少の位置ズレを各部の変形によって吸収し、歯型を型取りしなくても多数の患者にそのまま利用できる。 また、各部が弾性又は可撓性を備えていることにより、上顎及び下顎の歯列でベースを噛ませ、口腔に安定して装着させることができる。

    下顎側外周壁は、ベースに沿って延び、下顎の前歯部に外側から当接する下支持条を内周面に設け、前記下支持条の断面頂部を前記下顎の前歯部に部分的に当接させるとよい。 下支持条は、下顎の前歯部の成長を許容しつつ、全体的に等しく当接するように前記前歯部の並びを矯正する。 下支持条が複数ある場合、下顎の前歯部は全下支持条の断面頂部を含む倣い面に等しく当接するように前記前歯部の並びを矯正する。 これから、下支持条が複数ある場合、各下支持条を個別に削ってそれぞれの断面頂部の高さを加減して前記倣い面の度を変えることにより、前記下顎の前歯部の矯正具合を微調整できる。

    同様に、上顎側内周壁は、ベースに沿って延び、上顎の前歯部に内側から当接する上支持条を内周面に設け、前記上支持条の断面頂部を前記上顎の前歯部に部分的に当接させるとよい。 上支持条は、上顎の前歯部の成長を許容しつつ、全体的に等しく当接するように前記前歯部の並びを矯正する。 上支持条が複数ある場合、上顎の前歯部は全上支持条の断面頂部を含む倣い面に等しく当接するように前記前歯部の並びを矯正する。 これから、上支持条が複数ある場合、各上支持条を個別に削ってそれぞれの断面頂部の高さを加減して前記倣い面の角度を変えることにより、前記上顎の前歯部の矯正具合を微調整できる。

    ベースは、内周縁から下方に延び、舌下方に潜り込む舌位置矯正フランジを設けるとよい。 舌位置矯正フランジは、舌小帯を避ける切欠を設けた平面視U字状の構成や、前記舌小帯を避けて左右一対設けた構成等を例示できる。 舌位置矯正フランジは、舌尖を下顎の前歯部から離して、前歯部が前記舌尖に押されて下顎が押し出される状態を解消する。 舌位置矯正フランジを追加した場合、ベース、上顎側外周壁、下顎側外周壁、上顎側内周壁及び舌位置矯正フランジは、弾性又は可撓性を備えた樹脂素材で一体成形されると、上述同様、本発明の歯科矯正装置の成形に際して型取りを不要としたり、前記しか矯正装置を口腔に安定して装着できるようになる。

    本発明の歯科矯正装置は、口腔周辺の筋機能を整えるだけでなく、積極的に反対咬合を矯正する効果を有する。 これは、上唇に内側から当接させて口輪筋上部による上唇の力が上顎の前歯部に加わらないようにし、上唇が上顎の発育を邪魔させない上顎側外周壁の働き、下唇に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接させ、下顎の発育を抑制しつつ、下唇を外に向けて押し、前記下唇を介して負荷を与えて口輪筋下部の発育を促す下顎側外周壁の働き、そして上顎の前歯部を外に向けて押し、上顎の発育を助ける上顎側内周壁の働きと、これら働きの相乗作用による効果である。

    また、上述のような上顎側外周壁、下顎側外周壁及び上顎側内周壁の働きは、乳歯列期から混合歯列期初期を越えて永久歯列期でも有効であり、従来に比べて幅広い時期にわたって、反対咬合の解消又は軽減ができる効果をもたらす。 舌位置矯正部は、舌尖を下顎の前歯部から離し、下顎の前歯部が前記舌尖に押されることを防止することにより、特に下顎側外周壁の働きが十分に発揮されるようにする効果を有する。 このほか、本発明の歯科矯正装置は、弾性又は可撓性を備えた樹脂素材で一体成形することにより、型取りを不要にし、口腔の装着安定性を高めるので、従来に比べて幅広い時期かつ様々な利用者に対して、反対咬合の解消又は軽減ができる効果を得ている。

    本発明の一例である歯科矯正装置の平面図である。

    本例の歯科矯正装置の底面図である。

    本例の歯科矯正装置の正面図である。

    本例の歯科矯正装置の背面図である。

    本例の歯科矯正装置の左側面図である。

    本例の歯科矯正装置の右側面図である。

    本例の歯科矯正装置の前後方向断面図である。

    上顎側内周壁及び舌位置矯正フランジの一部を省略した図7相当前後方向断面図である。

    本例の歯科矯正装置の左右方向断面図である。

    以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。 本発明の歯科矯正装置は、図1〜図6に見られるように、ベース1、上顎側外周壁2、下顎側外周壁3、上顎側内周壁4及び舌位置矯正フランジ5が、弾性又は可撓性を備えたシリコーン樹脂で一体成形される。 本例の歯科矯正装置は、各部を構成するシリコーン樹脂の変形によって位置ズレを吸収することにより、型取りを要することなく、多数の患者がそのまま利用できる(汎用性)。 また、本例の歯科矯正装置は、上顎6及び下顎7の歯列61,71でベース1をしっかりと噛ませること(後掲図8参照)により、口腔の装着を安定させることができる。

    このほか、可撓性又は弾性を備えたシリコーン樹脂で一体成形することにより、本例の歯科矯正装置を口腔に装着した場合、歯茎や頬9に対する圧迫が少なく、患者に痛みを与えず、また歯茎や頬9を傷つける虞もない。 また、可撓性又は弾性を備えたシリコーン樹脂で一体成形された歯科矯正装置は、例えば上顎側内周壁4の外周面に形成した3条の上支持条41の倣い面411の角度を調整する場合(図7及び図8参照)、シリコーン樹脂が容易に削れるので、前記角度の調整が容易である利点がある。

    ベース1は、上顎6及び下顎7の歯列61,71に挟まれる平面視U字状の部分である。 シリコーン樹脂製である本例のベース1は、数mm厚である。 本例では、便宜上、前歯部611,711に挟まれる部分をベース前部11、臼歯部612,712に挟まれる部分をベース側部12と呼ぶ。 本例のベース1は、ベース前部11とベース側部12との厚みが等しくなっている。 しかし、例えば両者の厚みに差を設け、ベース側部12を臼歯部612,712に噛ませた状態で、前歯部611,711をベース前部11から離して、不正咬合の開咬を矯正させる働きを付加してもよい。

    ベース側部12は、上顎側の上面と下顎側の下面とが内外方向の幅が同じ大きさで、また前記上面及び下面それぞれの外周縁及び内周縁が内外方向にズレなく、一致している。 具体的には、上顎側外周壁2の内周面と下顎側外周壁3の内周面とがベース側部12を挟んで連続し、また上顎側内周壁4の外周面と舌位置矯正フランジ5の外周面とがベース側部12を挟んで連続しており、ベース側部12の上面と下面とが上下対称である(図4参照)。 このため、上顎6の臼歯部612は、上顎側内周壁4の外周面が内側から当接し、また下顎7の臼歯部712は、ベース側部12の内周縁から下方に延びる舌位置矯正フランジ5の基部が内側から当接する。

    ベース前部11は、上顎側の上面が広く、下顎側の下面が狭い上下非対称である(図7及び図8参照)。 ベース前部11の上面は、上顎側外周壁2の内周面を上顎側内周壁4の外周面から遠ざけるため、広くなっている。 これに対し、ベース前部11の下面は、下唇72に内側から当接させる下顎側外周壁3を下顎7の前歯部51にも外側から当接させるため、前記下顎側外周壁3を下方に突出させるベース前部11の外周縁が内方向にズレており、また舌位置矯正フランジ5の基部を前歯部51に内側から当接させるため、前記ベース前部11の内周縁が外方に寄せているので、内外方向の幅が狭くなっている。 この結果、ベース前部11は、上顎側の上面が広く、下顎側の下面が狭い上下非対称になっている。

    上顎側外周壁2は、ベース1の外周縁から上方に突出し、上唇62に内側から当接する外方に向けて凸な断面円弧状の壁面部分である。 シリコーン樹脂製である本例の上顎側外周壁2は、数mm厚である。 本例の上顎側外周壁2は、上顎6側の口腔前庭に収まる大きさ及び外形で、頬9を内側から圧迫しないように頬筋と平行に内側に傾いており、上縁の左右中央に上唇小帯回避凹部21を、上縁の左右対称位置に一対の頬小帯回避凹部22,22をそれぞれ設けている。 上顎側外周壁2の端部は、左右の臼歯部611に及ぶところまで延びている(図8参照)ので、上唇62を介した口輪筋上部の圧力が上顎6の歯列61に加わる虞がない。

    下顎側外周壁3は、ベース1の外周縁から下方に突出して下唇72に内側から当接し、かつ下顎6の前歯部611に外側から当接する外方に向けて凸な断面円弧状の壁面部分でである。 シリコーン樹脂製である本例の下顎側外周壁3は、下顎7の前歯部711に当接する付近を除いて数mm厚である。 本例の下顎側外周壁3は、既述したように、下唇72に内側から当接させ、下顎7の前歯部51にも外側から当接させる必要から、ベース前部11に対して内外方向に肉厚の断面山形で、ベース側部12に向かって薄くしている(図4と図7又は図8を比較対照)。 これは、下顎7の前方に弾性変形しにくい肉厚のシリコーン樹脂を宛てがっているのと同じ状態である。 こうして、下顎側外周壁3は、特に下顎7が前方に突出しようとする発育を抑制又は防止している。

    本例の下顎側外周壁3は、下縁の左右中央に下唇小帯回避凹部32を設けている(図3参照)。 また、本例の下顎側外周壁3は、ベース1に沿って延び、下顎7の前歯部71に外側から当接する下支持条31を内周面に設けている(図7及び図8参照)。 下支持条31は、断面頂部を前記下顎7の前歯部71に部分的に当接させ、下顎7の前歯部71の成長を許容しつつ、全体的に等しく当接するように前記前歯部71の並びを矯正する。 下顎7の前歯部71に対する下支持条31の当たり具合は、前記下支持条31を部分的に削って調整する。 本例の下支持条31は、下顎側外周壁3と一体にシリコーン樹脂で形成されているので、削りやすい。

    上顎側内周壁4は、ベース1の内周縁から上顎6の前歯部61に当接する高さだけ上方に突出し、前記前歯部61に内側から当接する外方に向けて凸な断面円弧状の壁面部分である。 シリコーン樹脂製である本例の上顎側内周壁4は、数mm厚である。 本例の上顎側内周壁4は、上顎6の前歯部61に内側から当接し、前記前歯部61を外に向けて押し、上顎の発育を助ける。 また、上顎6の前歯部61に内側から当接する上顎側内周壁4は、舌位置矯正フランジ5の働きにより持ち上げられた舌8の舌尖81が前記前歯部61を内側から押すことを防止し、上顎6の前歯61の並びが悪くなる事態を回避する。

    本例の上顎側内周壁4は、外周面が上顎6の前歯部61に直接当接するのではなく、外方に向かって下り勾配の外周面に等間隔で、それぞれベース1に沿って設けられる3条の上支持条41の断面頂部それぞれを上顎6の前歯部61に内側から当接させている(図7及び図8参照)。 上支持条41は、上顎6の前歯部61の成長を許容しつつ、全体的に等しく当接するように前記前歯部61の並びを矯正する。 上顎6の前歯部61に対する上支持条41の当たり具合は、前記上支持条41を部分的に削って調整する。 本例の上支持条41は、上顎側内周壁4と一体にシリコーン樹脂で形成されているので、削りやすい。

    本例の上支持条41は3条あり、しかもいずれも外方に向かって下り勾配の外周面に等間隔で設けられているので、全上支持条41の断面頂部を含む倣い面411は方に向かって下り勾配である。 これから、各上支持条41を個別又は部分的に削ってそれぞれの断面頂部の高さを加減すれば、倣い面411の勾配角度を変えることができ、前記倣い面411に等しく当接するように矯正される上顎6の前歯部61の矯正具合を細かく調整できる。
    本例の上支持条41は、上顎側内周壁4と一体にシリコーン樹脂で形成されているので、削りやすい。

    舌位置矯正フランジ5は、ベース1の内周縁から下方に延び、徐変に平に曲がる断面湾曲状フランジ部分で、舌8下方に潜り込み、舌尖81を下顎7の前歯部711から離して、前記前歯部711が前記舌尖81に押されて下顎7が押し出される状態を解消する。 本例の舌位置矯正フランジ5は、平坦部分の左右中央に前後方向に延びる舌小帯回避切欠51を設けた平面視U字状であるが、前記舌小帯回避切欠51により左右に分割された舌位置矯正フランジ5を一対設ける構成でもよい。 また、舌位置矯正フランジ5は、舌8を下顎7にくっつけさせない働きを有すればよく、本例より薄くても又は厚くてもよいし、例えば複数枚の薄板を積層して構成し、前記積層数を調整可能にしてもよい。

    本例の舌位置矯正フランジ5は、ベース側部12の内周縁から下方に延びる舌位置矯正フランジ5の基部を下顎7の歯列71に内方から当接させることにより、歯列矯正の働きも発揮する。 これから、上顎6の歯列61と下顎7の歯列71とが揃うように、本例の本例の舌位置矯正フランジ5は、上顎側内周壁4の外周面と舌位置矯正フランジ5の基部の外面とを内外方向に一致させている。 また、本例の舌位置矯正フランジ5は、上顎側内周壁4と厚みが等しいので、上顎側内周壁4の内周面と舌位置矯正フランジ5の基部の内面とが連続し、舌を包み込む空間を形成している。 これにより、前記空間が口腔での舌8を拘束し、不正咬合の矯正に悪影響が出る舌8の動きを封じている。

    本発明の歯科矯正装置は、患者が起きている間に、図8に見られるように、上顎6及び下顎7の歯列61,71でベース1を噛むように口腔に装着させ、上唇62及び下唇72がくっつくように口を閉じる状態を規定時間(例えば1時間)維持させて、反対咬合を解消又は軽減させる。 歯科矯正装置を口腔に装着して口を閉じると、上唇62が口輪筋上部に引っ張られるが、上顎側外周壁2が上唇62と上顎6の前歯部611との間に介在し、上顎側外周壁2の内周面と前記前歯部611との間に隙間Δを形成して(図7〜図9参照)、前歯部611に対する上唇62の圧迫を防ぐ。 上顎側外周壁2は、口輪筋上部に対応して口腔前庭に収まる外形及び大きさとしているが、頬筋と平行に内側に傾くことで頬9への圧迫をなくし、口を閉じた口腔に歯科矯正装置を装着し続けることの負担を軽減している。

    歯科矯正装置を口腔に装着して口を閉じると、図7に見られるように、下唇72と下顎7の前歯部711との間に、内外方向に肉厚な下顎側外周壁3が介在することになり、前記下唇72に負荷を与えて口輪筋下部の発育を促すと同時に、下顎7の突出を妨げて、前記下顎7の発育を抑制又は防止する。 本例の下顎側外周壁3は、下顎7の前歯部711に対して下支持条31を当接させているが、下顎7の臼歯部712との間には隙間Δを形成している(図7〜図9参照)。 下顎7の発育を抑制又は防止する働きは、口を閉じなくても、歯科矯正装置を口腔に装着すれば得られるが、口を閉じることにより、口輪筋下部の発育を促す働きが得られる。 これから、本発明の歯科矯正装置は、患者が意識的に口を閉じることのできる起きている間での使用が好ましい。

    上顎側内周壁4は、上顎6の前歯部611に内側から押し、前記上顎6の発育を助ける働きのほか、直接当接又は上支持条41が当接する前歯部611を整列させる歯列矯正の働きを有する。 こうした上顎側内周壁2の歯列矯正の働きは、上顎6の発育を助ける働きに対して二次的なものであり、上顎6の発育を助ける働きを十分に発揮させる観点から、歯科矯正装置を口腔に装着したら、上顎6及び下顎7を動かさないことが好ましい。 同様に、舌位置矯正フランジ5の基部も歯列矯正の働きを有するが、あくまで舌8を持ち上げる働きが主であり、舌8がむやみに動かないことが好ましいことから、やはり歯科矯正装置を口腔に装着したら、上顎6及び下顎7を動かさないことが好ましい。

    1 ベース 2 上顎側外周壁 3 下顎側外周壁 4 上顎側内周壁 5 舌位置矯正フランジ 6 上顎
    61 歯列 7 下顎
    71 歯列 8 舌 9 頬

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