味覚物供給物

申请号 JP2016527764 申请日 2015-06-03 公开(公告)号 JPWO2015190366A1 公开(公告)日 2017-04-20
申请人 学校法人慶應義塾; 发明人 則尚 三木; 則尚 三木; 和彦 東; 和彦 東;
摘要 味覚物の含有量が極めて少ない飲食物を 口腔 内に取り込んだときに、味覚物の味覚を楽しむことが可能な味覚物供給物を提供すること。味覚物供給物1は、味覚受容器に 接触 して味覚を生じさせる味覚物と、味覚物を保持し、味覚物を徐々に放出する放出部と、を有する味覚物供給本体と、放出部を口腔の部分であって味覚受容器を有する部分の一部に対して当接可能に味覚物供給本体を口腔に対して固定する固定部80と、を備える。放出部が味覚受容器に当接して、味覚物を味覚受容器へ供給して接触させる。
权利要求

味覚受容器に接触して味覚を生じさせる味覚物と、前記味覚物を保持し、前記味覚物を徐々に放出する放出部と、を有する味覚物供給本体と、 前記放出部を口腔の部分であって味覚受容器を有する部分の一部に対して当接可能に前記味覚物供給本体を口腔に対して固定する固定部と、を備え、 前記放出部が味覚受容器に当接して、味覚物を味覚受容器へ供給して接触させる味覚物供給物。前記味覚物供給本体は、前記味覚物を収容可能な収容空間と、前記放出部と、を有する味覚物収容部を備え、 前記放出部は、前記収容空間に収容された前記味覚物を、前記収容空間から前記収容空間の外部へ徐々に放出し、 前記固定部は、口腔の一部に支持され、前記放出部を口腔の味覚受容器に対して当接可能に前記味覚物収容部を口腔において支持する収容部支持部を備える請求項1に記載の味覚物供給物。前記味覚物収容部は、開口を有する収容容器を有し、 前記収容空間は、前記収容容器の内部空間により構成され、 前記放出部は、前記開口を覆うように前記開口に配置されている請求項2に記載の味覚物供給物。前記放出部は、多孔質膜により構成されている請求項3に記載の味覚物供給物。前記味覚物収容部は、開口を有する収容容器を有し、前記収容空間は、前記収容容器の内部空間により構成され、 前記放出部は、前記開口及び前記収容空間に配置された多孔質材により構成され、 味覚物は、前記多孔質材に含浸されている請求項2に記載の味覚物供給物。前記収容容器は、前記収容空間の容積を変化可能に変形可能である請求項3〜請求項5のいずれかに記載の味覚物供給物。前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の一端部に固定され、 前記収容部支持部の他端部は、口腔の一部に固定されるアタッチメント部材に固定される請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の味覚物供給物。前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の中央部に固定され、 前記収容部支持部の一端部は、口腔の一部に固定されるアタッチメント部材に固定され、前記収容部支持部の他端部は、口腔の前記一部以外の他の部分に固定されるアタッチメント部材に固定される請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の味覚物供給物。前記アタッチメント部材は、上あごに固定される歯の矯正器具により構成され、 前記放出部は、口蓋の味覚受容器に当接する請求項7又は請求項8に記載の味覚物供給物。前記アタッチメント部材は、上あごに固定される入れ歯により構成され、 前記放出部は、口蓋の味覚受容器に当接する請求項7又は請求項8に記載の味覚物供給物。前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の一端部に固定され、 前記収容部支持部の他端部は、口腔の一部に固定される請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の味覚物供給物。前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の中央部に固定され、 前記収容部支持部の一端部は、口腔の一部に固定され、前記収容部支持部の他端部は、口腔の前記一部以外の他の部分に固定される請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の味覚物供給物。前記収容部支持部は、一端部と他端部とを有する環状を有し、 前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の中央部に固定され、 前記収容部支持部及び前記味覚物収容部は、前記収容部支持部及び前記味覚物収容部で舌を巻回するように舌に固定され、 前記放出部は、舌の上面の味覚受容器に当接する請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の味覚物供給物。前記収容空間に収容された味覚物を前記放出部から徐々に放出するように前記放出部を変化させる放出部変化駆動部と、 味覚物供給物の使用者による咀嚼、味覚物供給物の使用者の口腔への飲食物の取り込み、味覚物供給物の使用者の口腔内電位の変化、味覚物供給物の使用者の口腔内温度の変化、のうちの少なくとも一つを検知することにより、味覚物供給物の使用者の口腔内への飲食物の取り入れを検知可能な飲食物検知部と、 前記飲食物検知部による、味覚物供給物の使用者の口腔内への飲食物の取り入れを検知したときに、前記収容空間に収容された味覚物の、前記収容空間から前記収容空間の外部への放出を開始する制御を、前記放出部変化駆動部に対して行う制御部と、を備える請求項2乃至請求項13のいずれかに記載の味覚物供給物。前記固定部は、粘着物により構成される請求項1に記載の味覚物供給物。前記味覚物供給本体は、口腔の部分であって味覚受容器を有する部分の一部を覆うように、口腔の部分の前記一部に固定される請求項1に記載の味覚物供給物。前記味覚物供給本体は、網状を有している請求項1に記載の味覚物供給物。前記放出部は、口腔内において崩壊可能、又は、溶解可能である請求項1〜請求項17のいずれかに記載の味覚物供給物。

说明书全文

本発明は、口腔内に飲食物が取り込まれたときに、味覚物を味覚受容器へ供給して、味覚物からの味覚を飲食物の味覚に合成して味覚を楽しむことを可能とする味覚物供給物に関する。

従来より、透析患者や糖尿病患者のように、塩分や糖分等の味覚物の摂取の制限を受けている人は、塩分や糖分が極めて少ない飲食物を摂取しなければならない。このため、当人が所望する、塩味等の味覚を十分に楽しむことができない。一方、口腔内の味覚受容器へ電極を接触させて、電極から電気を味覚受容器へ印加することにより、味覚物を摂取せずに、味覚を感じることが知られている(非特許文献1参照)。また、急激に血糖値が上昇しないキャンディ等が提案されている(特許文献1参照)。

特開2011−254782号公報

Nimesha Ranasinghe et al., Tongue Mounted Interface for Digitally Actuatinog the Sence of Taste, 16th International Symposium on Wearable Computers, (2012), pp.80−87

口腔内においては、塩味、甘味、酸味、うま味のそれぞれを感知する味覚受容器は、狭い範囲に密集している。このため、前述のように、電極から電気を味覚受容器へ印加することにより、味覚物を摂取せずに味覚を感じる場合には、電極から電気が、塩味、甘味、酸味、うま味のそれぞれを感知する味覚受容器に同時に印加される。このため、全体として苦味のみ感じられてしまうという問題が生ずる。

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、味覚物の含有量が極めて少ない飲食物を口腔内に取り込んだときに、味覚物の味覚を楽しむことが可能な味覚物供給物に関する。

本発明は、味覚受容器に接触して味覚を生じさせる味覚物と、前記味覚物を保持し、前記味覚物を徐々に放出する放出部と、を有する味覚物供給本体と、前記放出部を口腔の部分であって味覚受容器を有する部分の一部に対して当接可能に前記味覚物供給本体を口腔に対して固定する固定部と、を備え、前記放出部が味覚受容器に当接して、味覚物を味覚受容器へ供給して接触させる味覚物供給物に関する。

また、前記味覚物供給本体は、前記味覚物を収容可能な収容空間と、前記放出部と、を有する味覚物収容部を備え、前記放出部は、前記収容空間に収容された前記味覚物を、前記収容空間から前記収容空間の外部へ徐々に放出し、前記固定部は、口腔の一部に支持され、前記放出部を口腔の味覚受容器に対して当接可能に前記味覚物収容部を口腔において支持する収容部支持部と、を備えることが好ましい。

また、前記味覚物収容部は、開口を有する収容容器を有し、前記収容空間は、前記収容容器の内部空間により構成され、前記放出部は、前記開口を覆うように前記開口に配置されていることが好ましい。

また、前記放出部は、多孔質膜により構成されていることが好ましい。

また、前記味覚物収容部は、開口を有する収容容器を有し、前記収容空間は、前記収容容器の内部空間により構成され、前記放出部は、前記開口及び前記収容空間に配置された多孔質材により構成され、味覚物は、前記多孔質材に含浸されていることが好ましい。

また、前記収容容器は、前記収容空間の容積を変化可能に変形可能であることが好ましい。

また、前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の一端部に固定され、前記収容部支持部の他端部は、口腔の一部に固定されるアタッチメント部材に固定されることが好ましい。

また、前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の中央部に固定され、前記収容部支持部の一端部は、口腔の一部に固定されるアタッチメント部材に固定され、前記収容部支持部の他端部は、口腔の前記一部以外の他の部分に固定されるアタッチメント部材に固定されることが好ましい。

また、前記アタッチメント部材は、上あごに固定される歯の矯正器具により構成され、前記放出部は、口蓋の味覚受容器に当接することが好ましい。

また、前記アタッチメント部材は、上あごに固定される入れ歯により構成され、前記放出部は、口蓋の味覚受容器に当接することが好ましい。

また、前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の一端部に固定され、前記収容部支持部の他端部は、口腔の一部に固定されることが好ましい。

また、前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の中央部に固定され、前記収容部支持部の一端部は、口腔の一部に固定され、前記収容部支持部の他端部は、口腔の前記一部以外の他の部分に固定されることが好ましい。

また、前記収容部支持部は、一端部と他端部とを有する環状を有し、前記味覚物収容部は、前記収容部支持部の中央部に固定され、前記収容部支持部及び前記味覚物収容部は、前記収容部支持部及び前記味覚物収容部で舌を巻回するように舌に固定され、前記放出部は、舌の上面の味覚受容器に当接することが好ましい。

また、前記収容空間に収容された味覚物を前記放出部から徐々に放出するように前記放出部を変化させる放出部変化駆動部と、味覚物供給物の使用者による咀嚼、味覚物供給物の使用者の口腔への飲食物の取り込み、味覚物供給物の使用者の口腔内電位の変化、味覚物供給物の使用者の口腔内温度の変化、のうちの少なくとも一つを検知することにより、味覚物供給物の使用者の口腔内への飲食物の取り入れを検知可能な飲食物検知部と、前記飲食物検知部による、味覚物供給物の使用者の口腔内への飲食物の取り入れを検知したときに、前記収容空間に収容された味覚物の、前記収容空間から前記収容空間の外部への放出を開始する制御を、前記放出部変化駆動部に対して行う制御部と、を備えることが好ましい。

また、前記固定部は、粘着物により構成されることが好ましい。また、前記味覚物供給本体は、口腔の部分であって味覚受容器を有する部分の一部を覆うように、口腔の部分の前記一部に固定されることが好ましい。また、前記味覚物供給本体は、網状を有していることが好ましい。また、前記放出部は、口腔内において崩壊可能、又は、溶解可能であることが好ましい。

本発明によれば、味覚物の含有量が極めて少ない飲食物を口腔内に取り込んだときに、味覚物の味覚を楽しむことが可能な味覚物供給物を提供することができる。

本発明の第1実施形態による味覚物供給物1の収容部支持部80が上あごの歯3に固定された様子を示す概略図である。

本発明の第1実施形態による味覚物供給物1の味覚物収容部10を示す概略分解斜視図である。

本発明の第1実施形態による味覚物供給物1の味覚物収容部10が口蓋2に接触した状態で固定されている様子を示す概略断面図である。

本発明の第1実施形態による味覚物供給物1の多孔質膜13から味覚物145としての塩が口蓋2の味覚受容器2010へ放出されている様子を示す概略断面図である。

本発明の第2実施形態による味覚物供給物1Aの収容部支持部80Aが入れ歯4Aに固定された様子を示す概略図である。

本発明の第3実施形態による味覚物供給物1Bが口蓋2に固定された様子を示す概略分解斜視図である。

本発明の第4実施形態による味覚物供給物1Cが舌6に固定された様子を示す概略分解斜視図である。

本発明の第5実施形態による味覚物供給物1Dの収容部支持部80Dが歯の矯正器具6Dに固定された様子を示す概略図である。

本発明の第6実施形態による味覚物供給物1Eを示すブロック図である。

本発明の第6実施形態による味覚物供給物1Eの制御部51による制御を示すフローチャートである。

本発明の第7実施形態による味覚物供給物1Fが上あごの歯3に固定された様子を示す概略正面図である。

本発明の第8実施形態による味覚物供給物1Gが上あごの歯3に固定された様子を示す概略正面図である。

本発明の第9実施形態による味覚物供給物1Hの放出部13Hが溶解している様子を示す概略断面図である。

本発明の第10実施形態による味覚物供給物1Iの放出部13Iが溶解している様子を示す概略断面図である。

本発明の第11実施形態による味覚物供給物1Jが舌6に固定された様子を示す概略斜視図である。

本発明の第12実施形態による味覚物供給物1Kの味覚物供給本体10Kが舌6に接触した様子を示す概略断面図である。

本発明の第13実施形態による味覚物供給物1Lの味覚物供給本体10Lが舌6に固定された様子を示す概略断面図である。

以下、本発明の第1実施形態による味覚物供給物1について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態による味覚物供給物1の収容部支持部80が上あごの歯3に固定された様子を示す概略図である。図2は、本発明の第1実施形態による味覚物供給物1の味覚物収容部10を示す概略分解斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態による味覚物供給物1の味覚物収容部10が口蓋2に接触した状態で固定されている様子を示す概略断面図である。図4は、本発明の第1実施形態による味覚物供給物1の多孔質膜13から味覚物145としての塩が口蓋2の味覚受容器2010へ放出されている様子を示す概略断面図である。

図1に示すように、味覚物供給物1は、味覚物145と味覚物収容部10と固定部としての収容部支持部80とを備えている。味覚物収容部10は、収容容器11と、収容空間12と、放出部としての多孔質膜13と、味覚物含浸材14と、を有している。 味覚物145及び味覚物収容部10は、味覚物供給本体を構成する。収容部支持部80は、一対のブリッジ部81を有している。

ここで、説明の便宜上、後述の容器本体112(図2参照)から多孔質膜13へと向かう方向(図2における上方向)を上方向D11と定義し、その反対の方向を下方向D12と定義し、これらを上下方向D1と定義する。後述の一対のブリッジ部81のうちの図1に示す右側のブリッジ部81から左側のブリッジ部81へと向かう方向(図1における左方向)を左上方向D21と定義し、その反対の方向を右方向D22と定義し、これらを左右方向D2と定義する。また、上下方向D1及び左右方向D2に直交する方向であって、図1に示す上方向を前方向D31と定義し、その反対の方向を後方向D32と定義し、これらを前後方向D3と定義する。以下、主要な図面には、これの方向を示す矢印を図示する。

収容容器11は、図2に示すように、外形が略直方体形状の箱状を有する容器本体112を有している。容器本体112は、箱の上壁に代えて上方へ開口する開口部111を有する。容器本体112は、弾性的に変形可能であり味覚物145を通さない材料により構成されており、本実施形態では、例えばゴム等により構成されている。このため、収容容器11の容器本体112は、収容空間12の容積を変化可能に、その全体が変形可能である。収容空間12は、収容容器11の容器本体112の内部空間により構成されており、味覚物145を含浸させた味覚物含浸材14を収容可能であり保持可能である。

多孔質膜13は、開口部111の開口を覆うように開口部111に配置されている。多孔質膜13は、半透膜や、逆浸透膜(RO膜)や、形状記憶合金製の多孔質膜等により構成されており、本実施形態では、透析膜、より具体的には、ポリエーテルスルホンのようなポリマー多孔質膜により構成されている。多孔質膜13の孔径は、最大で数10nmであり、それよりも小さくなるように変動可能である。多孔質膜13は、収容空間12に収容された味覚物145を、収容空間12から収容空間12の外部へ徐々に放出する。

味覚物145を徐々に放出する(しみ出させる)制御のメカニズムとしては、例えば、以下の2つのメカニズムのうちの少なくとも一方を用いることが可能である。1つ目のメカニズムは、多孔質膜13における小さな孔の拡散により制御するメカニズムである。このメカニズムでは、多孔質膜13における小さな孔の径を所定の値とすることにより、味覚物145のしみ出し量を制御する。2つ目のメカニズムとしては、味覚物含浸材14からの味覚物145のしみだし量により制御するメカニズムである。味覚物含浸材14への加圧を調整することによりしみだす量を決定し、多孔質膜13における比較的大きな孔を通して、多孔質膜13の上面131に味覚物145を到達させる。本実施形態では、2つ目のメカニズムが用いられる。

味覚物含浸材14は、収容空間12内に収容されている。味覚物145は、塩、砂糖等の調味料等であり、より具体的には、塩、グルタミン酸、イノシン酸、ショ糖等であり、本実施形態では塩である。これらの味覚物145の分子サイズは、0.1nm〜10nmのオーダーである。味覚物含浸材14は、寒天、アルギン酸などのヒドロゲル、ポリウレタン、シリコーンゴムなどの高分子が用いられ、このような味覚物含浸材14に味覚物145が含浸されて構成されており、本実施形態では、寒天に味覚物145が含浸されて構成されている。味覚物含浸材14に含浸している味覚物145は、多孔質材膜によって、収容空間12内から収容空間12外への放出が制限されている。味覚物145は、収容空間12内から収容空間12外へ放出され、味覚物供給物1の使用者の味覚受容器2010の一部に接触して、味覚物供給物1の使用者に味覚を生じさせる。

一対のブリッジ部81は、それぞれ略等間隔で離間した位置関係で略左右方向に延びる一対の針金により構成されている。図1に示すように、左側のブリッジ部81の一端部としての右端部は、収容容器11(図2参照)の容器本体112の左側の側壁に固定されている。右側のブリッジ部81の一端部としての左端部は、収容容器11(図2参照)の容器本体112の右側の側壁に固定されている。左側のブリッジ部81の他端部としての左端部においては、一対の針金は、一体的に接続されている。同様に、右側のブリッジ部81の他端部としての右端部においては、一対の針金は、一体的に接続されている。

従って、味覚物収容部10は、左側のブリッジ部81と右側のブリッジ部81との一対のブリッジ部81により構成される収容部支持部80の中央部に固定されている。そして、図1に示すように、一対のブリッジ部81により構成される収容部支持部80の一端部(左側のブリッジ部81の左端部)は、口腔の一部である、味覚物供給物1の使用者の上あごの左側の歯に固定される。また、一対のブリッジ部81により構成される収容部支持部80の他端部(右側のブリッジ部81の右端部)は、口腔の一部以外の他の部分である、味覚物供給物1の使用者の上あごの右側の歯に固定される。このように固定されることによって、一対のブリッジ部81は、口腔の一部である歯に支持され、放出部としての多孔質膜13を、口蓋2の部分であって味覚受容器2010を有する部分の一部に対して当接可能に、味覚物収容部10を口腔において支持する。この支持により、放出部としての多孔質膜13が味覚受容器2010に当接して、味覚物145としての塩を味覚受容器2010へ供給して接触させる。

以上のような構成による味覚物供給物1から、味覚物145が放出される動作は、以下通りである。先ず、図1に示すように、味覚物供給物1の一対のブリッジ部81を味覚物供給物1の使用者の上あごの歯に、それぞれ固定する。図4に示すように、この固定により、多孔質膜13の上面131(図2参照)が口腔の味覚受容器2010を有する部分の一部に当接する。

次に、味覚物供給物1の使用者は、塩分の極めて少ない飲食物、例えば、塩分を含まないおにぎり等を口腔内に取り込み、食事を開始する。このとき、味覚物供給物1の使用者は、図4に示すように、舌6で収容容器11を下方から押圧する。これにより、容器本体112(図2参照)は変形し、収容空間12の容積が変化して、容積が小さくなる。即ち、味覚物含浸材14は潰され、味覚物含浸材14に含浸されている味覚物145である塩は、黒い矢印で示すように、多孔質膜13の下面132から上面131へと多孔質膜13を通して口蓋2の味覚受容器2010に供給され、味覚受容器2010に接触する。

実際には、味覚受容器2010に接触する味覚物145である塩は、唾液等の溶媒に溶けて電解質の状態になっている。味覚受容器2010に接触する塩の濃度は、0.01%〜3%程度であり、本実施形態では、人工透析を受けている患者が味覚物供給物1の使用者であることを想定して、極低い濃度とされる。この結果、味覚物供給物1の使用者は、塩気のないおにぎりを食べているにもかかわらず、味覚物供給物1からのごく僅かな味覚物145である塩により、塩味を十分に感じることができる。即ち、味覚物供給物1の使用者は、擬似的に、塩を多く含むおにぎりの味を楽しむことができる。

上記構成の実施形態による味覚物供給物1によれば、以下のような効果を得ることができる。上述のように、味覚物供給物1は、味覚受容器2010に接触して味覚を生じさせる味覚物145と、味覚物145を保持し、味覚物145を徐々に放出する放出部としての多孔質膜13と、を有する味覚物供給本体と、放出部を口腔の部分であって味覚受容器2010を有する部分の一部に対して当接可能に味覚物供給本体を口腔に対して固定する固定部としての収容部支持部80と、を備える。放出部としての多孔質膜13が味覚受容器2010に当接して、味覚物供給物1は、味覚物145を味覚受容器2010へ供給して接触させる。 そして、味覚物供給物1は、味覚物145を収容可能な収容空間12と、放出部としての多孔質膜13と、を有する味覚物収容部を備え、多孔質膜13は、収容空間12に収容された味覚物145を、収容空間12から収容空間12の外部へ徐々に放出し、固定部は、口腔の一部に支持され、放出部を口腔の味覚受容器2010に対して当接可能に味覚物収容部10を口腔において支持する収容部支持部80を備える。

この構成により、塩等の味覚物145をほとんど含まない飲食物を口腔に取り込んで食事をしているときに、味覚受容器2010へ、僅かな量の塩等の味覚物145を供給することができる。これにより、味覚物供給物1の使用者は、塩等の味覚物145をほとんど含まない飲食物の味と、味覚受容器2010へ供給された塩等の味覚物145の味とが合成された味を感じることができる。この際、味覚受容器2010に直接的に味覚物145が供給され接触するため、僅かな量の味覚物145であっても、味覚物供給物1の使用者は、味覚物145の味を濃厚に感じ取ることができる。この結果、塩等の味覚物145をほとんど含まない飲食物と、味覚物供給物1からのごく僅かな量の塩等の味覚物145とにより、疑似的に、大量の味覚物145を有する飲食物の味を楽しむことができる。このため、例えば、人工透析を受けている患者のように、塩分の摂取を制限されている人が塩気のないおにぎりを食べたときに、おにぎり自体には塩味が無くても、味覚物供給物1からの塩等の味覚物145が無駄なく効率よく味覚受容器2010へ供給される。その効果として、ごく僅かな量の味覚物145であっても、味覚物供給物1の使用者は、しっかりとした塩味のあるおにぎりとして美味しさを感じ取ることができ、食事を通した生活の質が向上する。

また、味覚物収容部10は、開口を有する収容容器11を有し、収容空間12は、収容容器11の内部空間により構成され、放出部としての多孔質膜13は、開口部111の開口を覆うように開口に配置されている。

この構成により、味覚物供給物1を使用しないときには、味覚物145を収容容器11内に収容しておくことができる。また、味覚物145を、開口を通して収容容器11内から収容容器11外へ放出することができる。

また、放出部は、多孔質膜13により構成されている。この構成により、多孔質膜13を通して、味覚物145を、収容空間12から収容空間12の外部へ徐々に放出することを容易とすることができる。

また、収容容器11は、収容空間12の容積を変化可能に変形可能である。この構成により、収容容器11の収容空間12の容積を変化させることにより、容易に味覚物145を、収容空間12から収容空間12の外部へ放出することができる。

また、味覚物収容部10は、収容部支持部80の中央部、即ち、一対のブリッジ部81間においてブリッジ部81に固定され、収容部支持部80の一端部は、口腔の一部としての上あごの左側の歯に固定され、収容部支持部80の他端部は、口腔の一部以外の他の部分としての上あごの右側の歯に固定される。この構成により、一対のブリッジ部81により構成される収容部支持部80を容易に口腔の一部である歯によって支持することができ、これにより、味覚物収容部10の放出部としての多孔質膜13を、味覚受容器2010に容易に当接させた状態とすることができる。

次に、第2実施形態による味覚物供給物1Aについて、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第2実施形態による味覚物供給物1Aの収容部支持部80Aが入れ歯4Aに固定された様子を示す概略図である。

第2実施形態による味覚物供給物1Aにおいては、収容部支持部80Aの構成が第1実施形態における収容部支持部80とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

収容部支持部80Aを構成するブリッジ部81Aは、略等間隔で離間して略左右方向に延びる一対の針金により構成されている。図5に示すように、ブリッジ部81Aの一端部としての右端部は、味覚物収容部10Aの収容容器11(図2参照)の容器本体112の左側の側壁に固定されている。ブリッジ部81Aの他端部としての左端部においては、一対の針金は、口腔の一部に固定されるアタッチメント部材としての、上あごに固定される入れ歯4Aの義歯3Aではなく、入れ歯本体5Aに接続されて固定されている。

このように固定されることによって、ブリッジ部81Aは、アタッチメント部材としての入れ歯4Aに固定されて支持され、放出部としての多孔質膜13を、口蓋2の部分であって味覚受容器2010(図4参照)を有する部分に対して当接可能に、味覚物収容部10Aを口腔において支持する。この支持により、放出部としての多孔質膜13が味覚受容器2010に当接して、味覚物145(図4参照)としての塩を味覚受容器2010へ供給して接触させる。

第2実施形態による味覚物供給物1Aによれば、以下のような効果を得ることができる。味覚物収容部10Aは、収容部支持部80Aの一端部に固定され、収容部支持部80Aの他端部は、口腔の一部に固定されるアタッチメント部材に固定される。そして、アタッチメント部材は、上あごに固定される入れ歯4Aにより構成され、放出部としての多孔質膜13は、口蓋2の味覚受容器2010に当接する。

この構成により、食事をする際に入れ歯4Aを装着することで、味覚物供給物1Aの放出部としての多孔質膜13を口蓋2の味覚受容器2010に当接させることができる。従って、味覚物供給物1Aを、入れ歯4Aとは別途口腔内に配置させる手間を省くことができる。また、食事後には、入れ歯4Aの手入れと共に、味覚物供給物1Aの手入れを同時に行うことができる。また、入れ歯4Aはしっかりと口蓋2に固定されるため、放出部としての多孔質膜13を口蓋2の味覚受容器2010の部分に密着した状態を、安定して維持することができる。

次に、第3実施形態による味覚物供給物1Bについて、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の第3実施形態による味覚物供給物1Bが口蓋2に固定された様子を示す概略分解斜視図である。

第3実施形態による味覚物供給物1Bにおいては、収容部支持部の構成が第1実施形態における収容部支持部80とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

収容部支持部は、粘着性を有する上面131(図2参照)を有する多孔質膜13により構成されている。粘着性を有する上面131を有する多孔質膜13としては、例えば、入れ歯安定剤(シオノギ製薬タッチコレクトII(登録商標)(ポリエチレングリコール(PEG)及びカルメロースナトリウムを含有)や、エーザイ・シーボンド(登録商標)(ポリエチレングリコール(PEG)及びアルギン酸ナトリウムを含有)等)等が塗布された多孔質膜13を用いることができる。味覚物供給物1Bの使用者が食事をする前に、粘着性を有する上面131を有する多孔質膜13は、口蓋2の部分であって味覚受容器2010を有する部分の一部に貼付けられる。これにより、味覚物収容部10Bを有する味覚物供給物1Bは口蓋2に固定されて支持される。

第3実施形態による味覚物供給物1Bによれば、以下のような効果を得ることができる。収容部支持部80Bを、粘着性を有する多孔質膜13により構成したため、容易に、味覚物供給物1Bの使用者の口蓋2の部分であって味覚受容器2010の存在卯する部分に多孔質膜13を貼付けることができる。このため、食事前の味覚物供給物1Bの装着の手間を、大幅に省くことができる。

次に、第4実施形態による味覚物供給物1Cについて、図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の第4実施形態による味覚物供給物1Cが舌6に固定された様子を示す概略分解斜視図である。

第4実施形態による味覚物供給物1Cにおいては、収容部支持部80Cの構成が第1実施形態における収容部支持部80とは異なる。このため、多孔質膜13が当接する口腔の部分も、第1実施形態において多孔質膜13が当接する口腔の部分である口蓋2とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

収容部支持部80Cは、バンド状部81Cを有している。バンド状部81Cは、帯状を有している。バンド状部81Cは、丸められて環状を有しており、バンド状部81Cの一端部は、味覚物供給物1Cの収容容器11(図2参照)の容器本体112の左側の側壁に固定されている。バンド状部81Cの他端部は、味覚物供給物1Cの収容容器11(図2参照)の容器本体112の右側の側壁に固定されている。従って、味覚物供給物1Cの味覚物収容部10Cは、バンド状部81Cにより構成される収容部支持部80Cの中央部に固定されている。

図7に示すように、収容部支持部80C及び味覚物収容部10Cは、収容部支持部80C及び味覚物収容部10Cで舌6を巻回するように舌6に固定される。この際、放出部としての多孔質膜13(図2参照)の上面131は、舌6の上面の味覚受容器2010の一部に当接する。

第4実施形態による味覚物供給物1Cによれば、以下のような効果を得ることができる。収容部支持部80Cは、一端部と他端部とを有する環状を有し、味覚物収容部10Cは、収容部支持部80Cの中央部に固定され、収容部支持部80C及び味覚物収容部10Cは、収容部支持部80C及び味覚物収容部10Cで舌6を巻回するように舌6に固定され、放出部としての多孔質膜13は、舌6の上面の味覚受容器2010に当接する。

この構成により、味覚物供給物1Cの使用者の食事前に、口腔の一部である舌6に、容易に味覚物供給物1Cを装着して固定することができ、舌6によって収容部支持部80C及び味覚物収容部10Cを支持することができる。

次に、第5実施形態による味覚物供給物1Dについて、図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の第5実施形態による味覚物供給物1Dの収容部支持部80Dが歯の矯正器具6Dに固定された様子を示す概略図である。

第5実施形態による味覚物供給物1Dにおいては、収容部支持部80Dの端部が固定される対象が、第1実施形態における収容部支持部80Dの端部が固定される対象とは異なる。このため、収容容器支持部を構成するブリッジ部81Dの構成が、第1実施形態におけるブリッジ部81Dの構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

歯の矯正器具6Dは、一対の器具本体部61Dと、本体部連結部材62Dと、器具本体部61Dに固定された針金部7Dと、を備えている。器具本体部61Dは樹脂製であり、金属製の本体部連結部材62Dにより連結されている。本体部連結部材62Dには、針金の先等の細いものの先端を差し込んで回転させる回転部を有しており、回転部を回転させることにより、左右方向D2における一対の器具本体部61D間の距離を調整可能に構成されている。針金部7Dが、歯3に掛けられて固定されることにより、歯の矯正器具6Dは、歯3に固定される。

ブリッジ部81Dは、弾性的な伸縮性を有する線状の材料により構成され、本実施形態では、線状のゴムにより構成されている。左側のブリッジ部81Dは、口腔の一部に固定されるアタッチメント部材としての、上あごに固定される歯の矯正器具6Dの、左側の針金部7Dに掛けられて、支持され固定されている。右側のブリッジ部81Dは、上あごに固定される歯の矯正器具6Dの右側の針金部7Dに掛けられて、支持され固定されている。ブリッジ部81Dを矯正器具6Dの右側の針金部7Dに掛ける際には、ブリッジ部81Dを一時的に弾性的に引き延ばして、針金部7Dに掛ける。

即ち、味覚物収容部10Dは、一対のブリッジ部81Dにより構成される収容部支持部80Dの中央部に固定されている。収容部支持部80Dの一端部としての左側のブリッジ部81Dの左端部は、口腔の一部に固定されるアタッチメント部材としての歯の矯正器具6Dの左側の部分に固定されている。収容部支持部80Dの他端部としての右側のブリッジ部81Dの右端部は、口腔の一部以外の他の部分に固定されるアタッチメント部材としての歯の矯正器具6Dの右側の部分に固定されている。

第5実施形態による味覚物供給物1Dによれば、以下のような効果を得ることができる。アタッチメント部材は、上あごに固定される歯の矯正器具6Dにより構成され、放出部としての多孔質膜13は、口蓋2の部分であって味覚受容器2010を有する部分に当接する。この構成により、口蓋2にしっかりと固定された歯の矯正器具6Dに味覚物供給物1Dが固定されているため、口腔内において、味覚物供給物1Dを安定して支持することができ、確実に放出部としての多孔質膜13を、口蓋2の味覚受容器2010に接触させることができる。

次に、第6実施形態による味覚物供給物1Eについて、図9〜図10を参照しながら説明する。図9は、本発明の第5実施形態による味覚物供給物1Eを示すブロック図である。図10は、本発明の第5実施形態による味覚物供給物1Eの制御部51による制御を示すフローチャートである。

第6実施形態による味覚物供給物1Eは、制御部51による制御により、自動的に塩等の味覚物を多孔質膜13から放出させる点において、第1実施形態による味覚物供給物1とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

図9に示すように、味覚物供給物1Eは、内部に小型の制御部51と、放出部変化駆動部としてのアクチュエータ133Eと、飲食物検知部としての加速度センサ61、振動センサ62、電圧センサ63、及び、温度センサ64と、装着センサ65とを有している。

加速度センサ61は、味覚物供給物1Eの使用者による飲食物の咀嚼により生ずる加速度を検出する。振動センサ62は、味覚物供給物1Eの使用者の口腔に取り入れられた飲食物が味覚物供給物1Eに衝突することにより生ずる振動を検出する。電圧センサ63は、味覚物供給物1Eの使用者の口腔に飲食物が取り入れられたことにより生ずる口腔内電位の変化を検出する。温度センサ64は、味覚物供給物1Eの使用者の口腔に飲食物が取り入れられたことにより生ずる口腔内温度の変化を検出する。即ち、加速度センサ61、振動センサ62、電圧センサ63、及び、温度センサ64のいずれも、味覚物供給物1Eの使用者の口腔内への飲食物の取り入れを検知可能である。

装着センサ65は、圧電素子を備えており、ブリッジ部81を介して味覚物供給物1Eに作用する力による収容容器11の変形を検出する。アクチュエータ133Eは、多孔質膜13内に内蔵されており、制御部51による制御により、多孔質膜13の膜孔の径を拡大させたり縮小させたりする。即ち、本実施形態において味覚物145を徐々に多孔質膜13から放出する(しみ出させる)制御のメカニズムとしては、アクチュエータ133Eの駆動により、多孔質膜13の膜孔の径を1nm〜10nmの範囲で変動させて、拡大させたり縮小させたりして、収容空間12に収容された味覚物145を放出部から徐々に放出するメカニズムが用いられる。

制御部51は、各種演算処理を行う処理装置(図示せず)や各種情報を記憶する記憶装置(図示せず)や、これらに電力を供給する電池等により構成される電源部(図示せず)等を有している。制御部51は、アクチュエータ133Eと、加速度センサ61と、振動センサ62と、電圧センサ63と、温度センサ64と、装着センサ65とに電気的に接続されている。制御部51は、加速度センサ61、振動センサ62、電圧センサ63、温度センサ64、及び、装着センサ65からの信号に基づきアクチュエータ133Eを駆動させる。

以下、味覚物供給物1Eの使用者の口腔に飲食物が取り入れられたときの、制御部51による制御について、図10に基づき説明する。先ず、ステップS11において、味覚物供給物1Eの一対のブリッジ部81(図1参照)を味覚物供給物1Eの使用者の上あごの歯に固定して、味覚物供給物1Eを味覚物供給物1Eの使用者の口蓋2に固定する。すると、ブリッジ部81を介して味覚物供給物1Eの装着センサ65に力が作用し、装着センサ65は、味覚物供給物1Eが口蓋2に固定されたことを検出する。これにより、ステップS12において、制御部51は、加速度センサ61、振動センサ62、電圧センサ63、及び、温度センサ64を起動させる制御を行う。

次に、制御部51は、ステップ13において、加速度センサ61、振動センサ62、電圧センサ63、温度センサ64、のうちの少なくとも1つにおいて、味覚物供給物1Eの使用者の口腔内への飲食物の取り入れが行われたことを検知したか否かの判断を行う。ステップ13において、味覚物供給物1Eの使用者の口腔内への飲食物の取り入れが行われたことを検知した場合には(YES)、制御部51の処理は、ステップ14へと進む。ステップ13において、味覚物供給物1Eの使用者の口腔内への飲食物の取り入れが行われたことを検知しない場合には(NO)、制御部51の処理は、再びステップ13へと戻る。

ステップ14において、制御部51は、アクチュエータ133Eに対して、収容空間12に収容された味覚物145の、収容空間12内から収容空間12の外部への放出を開始する制御を行う。具体的には、アクチュエータ133Eが多孔質膜13の膜孔の径を、適切に拡大させることにより、味覚物145を多孔質膜13の孔を通して、口蓋2の味覚受容器2010へ供給し接触させる。そして、一定時間経過後に、制御部51は、アクチュエータ133Eに対して、多孔質膜13の膜孔の径を縮小させる制御を行う。これにより、収容空間12に収容された味覚物145の、収容空間12内から収容空間12の外部への放出を停止させる。

次に、制御部51は、ステップ15において、食事後に、味覚物供給物1Eが味覚物供給物1Eの使用者の口蓋2から取り外されたか否かの判断を、装着センサ65からの信号に基づき行う。ステップ15において、味覚物供給物1Eが味覚物供給物1Eの使用者の口蓋2から取り外された場合には(YES)、制御部51は、処理を終了する。ステップ15において、味覚物供給物1Eが味覚物供給物1Eの使用者の口蓋2から取り外されていない場合には(NO)、制御部51による処理は、再びステップ13へと戻る。

第6実施形態による味覚物供給物1Eによれば、以下のような効果を得ることができる。味覚物供給物1Eは、収容空間12に収容された味覚物145を、放出部としての多孔質膜13から徐々に放出するように多孔質膜13を変化させる放出部変化駆動部としてのアクチュエータ133Eと、味覚物供給物1Eの使用者による咀嚼、味覚物供給物1Eの使用者の口腔への飲食物の取り込み、味覚物供給物1Eの使用者の口腔内電位の変化、味覚物供給物1Eの使用者の口腔内温度の変化、のうちの少なくとも一つを検知することにより、味覚物供給物1Eの使用者の口腔内への飲食物の取り入れを検知可能な飲食物検知部としての加速度センサ61、振動センサ62、電圧センサ63、及び、温度センサ64と、飲食物検知部による、味覚物供給物1Eの使用者の口腔内への飲食物の取り入れを検知したときに、収容空間12に収容された味覚物145の、収容空間12から収容空間12の外部への放出を開始する制御を、放出部変化駆動部としてのアクチュエータ133Eに対して行う制御部51と、を備える。

この構成により、味覚物供給物1Eは、自動的に味覚物145を味覚受容器2010に対して放出することができるため、第1実施形態における味覚物供給物1の場合のように、舌6を使って味覚物145を放出させるようにする必要はない。このため、舌6の負担なく味覚物145による味を楽しむことができる。また、放出される味覚物145の量を精度よく制御できる。

次に、第7実施形態による味覚物供給物1Fについて、図11を参照しながら説明する。図11は、本発明の第7実施形態による味覚物供給物1Fが上あごの歯3に固定された様子を示す概略正面図である。

第7実施形態による味覚物供給物1Fにおいては、収容部支持部80Fの構成が第6実施形態における収容部支持部80とは異なる。また、味覚物供給物1Eの放出部の構成が第6実施形態における味覚物供給物1Eの放出部の構成とは異なる。これ以外の構成については、第6実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

収容部支持部80Fを構成する一対のブリッジ部81Fは、口腔の一部である歯3に支持されているが、味覚物収容部10Fは、図11に示すように、口蓋2には当接していない。収容部支持部80Fの放出部は、口蓋2に対向する位置関係で、口蓋2から離間して配置されている。

第6実施形態における味覚物供給物1Eの放出部は、アクチュエータ133Eの駆動により、多孔質膜13の膜孔の径を、適切に拡大させたが、第7実施形態における味覚物供給物1Fにおいては、アクチュエータは、表面弾性波(SAW=surface acaustic wave)を発生させる圧電体(圧電振動子)により構成され、SAWデバイス(表面弾性波デバイス)を構成する。圧電体を駆動させることにより、多孔質膜13の膜孔及びその近傍に存在する液状の味覚物145が噴霧状とされ、口蓋2の部分であって味覚受容器を有する部分に当接する。これにより、放出部からの味覚物145が味覚受容器に供給される。

次に、第8実施形態による味覚物供給物1Gについて、図12を参照しながら説明する。図12は、本発明の第8実施形態による味覚物供給物1Gが上あごの歯3に固定された様子を示す概略正面図である。

第8実施形態による味覚物供給物1Gにおいては、収容部支持部80Gを構成する一対のブリッジ部81Gの構成が、第1実施形態における収容部支持部80を構成する一対のブリッジ部81の構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

収容部支持部80Gを構成する一対のブリッジ部81Gは、伸縮性及び弾力性を有するゴムやバネ等の材料が用いられて構成されており、本実施形態では、ゴムが用いられている。一対のブリッジ部81Gは、口腔の一部である歯3に支持されているが、味覚物収容部10Gは、図12に示すように、口蓋2には当接していない。収容部支持部80Gの放出部は、口蓋2に対向する位置関係で、口蓋2から離間して配置されている。

例えば、舌6によって味覚物供給物1Gの収容部支持部80Gが押されたときに、伸縮性を有するゴムの弾性力により、味覚物収容部10Gが変形して、放出部が味覚受容器に当接する。これにより、放出部からの味覚物145が味覚受容器に供給される。

次に、第9実施形態による味覚物供給物1Hについて、図13を参照しながら説明する。図13は、本発明の第9実施形態による味覚物供給物1Hの放出部13Hが溶解している様子を示す概略断面図である。

第9実施形態による味覚物供給物1Hにおいては、味覚物供給本体を口腔に対して固定する固定部が粘着物により構成されている点と、放出部が口腔内において溶解可能である点において、第1実施形態における固定部、放出部とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

放出部13Hは、唾液に含まれる分が触れることにより、徐々に溶解する材質により構成されている。具体的には、放出部13Hは、例えば、ポリエチレングリコールにより構成される。味覚物145としては、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム等が用いられ、味覚物145は、放出部13Hを構成するポリエチレングリコールに混合された状態で固形化されている。味覚物供給物1Hにおける味覚物145の量は、80mg程度である。このような構成の味覚物145及び放出部13Hにより、味覚物供給本体が構成されている。固定部80Hは、味覚物供給本体の上面に接合された粘着物により構成されている。粘着物としては、例えば、高重合ポリエチレングリコール等の適度な粘着性を有する材料が用いられる。粘着物により味覚物供給本体の上面は、味覚受容器2010の一部に当接した状態で口蓋2に固定される。

口蓋2に付着していた唾液により、口腔内において、放出部13Hを構成するポリエチレングリコールが溶解する。これに伴い、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム等により構成される味覚物145は、味覚物供給物1Hから放出され、固定部80Hを通過して味覚受容器2010に供給される。放出部13Hは、数分〜数時間で全て溶解する。

第9実施形態による味覚物供給物1Hによれば、以下のような効果を得ることができる。 固定部80Hは、粘着物により構成される。この構成により、容易に、味覚物供給物1Hを口蓋2等に固定することができる。また、放出部13Hは、口腔内において溶解可能である。この構成により、口腔内に、味覚物145を収容する容器である味覚物収容部が残留しない構成とすることができ、使用者が味覚物供給物1Hを使用する際の使用感を向上させることができる。

次に、第10実施形態による味覚物供給物1Iについて、図14を参照しながら説明する。図14は、本発明の第10実施形態による味覚物供給物1Iの放出部13Iが溶解している様子を示す概略断面図である。

第10実施形態による味覚物供給物1Iにおいては、味覚物供給本体を口腔に対して固定する固定部が味覚物供給本体を覆うようにして口腔の一部に固定する点において、第9実施形態における味覚物供給物1Hとは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

第9実施形態と同一の材質により構成される放出部13I及び味覚物145により構成される味覚物供給本体10Iは、固定部80Iを構成する粘着物により覆われている。固定部80Iの端部は、口蓋2の味覚受容器2010に固定されている。これにより、固定部80Iにより、味覚物供給本体10Iは、口蓋2の一部に固定されている。

第10実施形態による味覚物供給物1Iによれば、以下のような効果を得ることができる。 固定部80Iを介さずに、放出部13I及び味覚物145を直接味覚受容器2010に接触させることができるため、直接味覚受容器2010に付着していた唾液に含まれる水分により、放出部の溶解の進行を速くすることができる。この結果、即時的な味覚受容により即時的に味覚物による味覚を感じ取ることができる。

次に、第11実施形態による味覚物供給物1Jについて、図15を参照しながら説明する。図15は、本発明の第11実施形態による味覚物供給物1Jが舌6に固定された様子を示す概略斜視図である。

第11実施形態による味覚物供給物1Jにおいては、味覚物供給物1Jの全体の形状が網状を有している点において、第9実施形態における味覚物供給物1Hとは異なる。これ以外の構成については、第9実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

味覚物供給本体10Jを構成する放出部及び味覚物は、第9実施形態の放出部13H及び味覚物145と同一の材料により構成されている。同様に、固定部は、第9実施形態の固定部80Hと同一の材料により構成されている。味覚物供給本体10Jは、網状を有しており、味覚物供給本体10Jは、舌6のほぼ全体を取り囲むように舌6に対して被せられて配置されている。粘着物により構成される固定部が味覚物供給本体10Jの表面に設けられており、これにより、味覚物供給本体10Jは、舌6に固定されている。

第11実施形態による味覚物供給物1Jによれば、以下のような効果を得ることができる。 味覚物供給本体10Jは、口腔の部分であって味覚受容器を有する舌6の部分の一部を覆うように、口腔の部分である舌6の一部に固定される。また、味覚物供給本体10Jは、網状を有している。この構成により、味覚物供給本体10Jが、味覚受容器を有する舌6のほぼ全体を取り囲むように舌6に対して被せられて配置され固定されているにも関わらず、味覚物供給本体10Jに覆われない舌6の味覚受容器の部分を確保することができる。このため、味覚物供給物1Jの使用者の味覚受容器全体が、味覚物による味覚のみを感じ取ってしまい、実際に食べている食物の味覚を感じ取ることができないという不具合の発生を防止することができる。この結果、味覚物供給物1Jの使用者は、バランスよく味覚を感じ取ることができる。

次に、第12実施形態による味覚物供給物1Kについて、図16を参照しながら説明する。図16は、本発明の第12実施形態による味覚物供給物1Kの味覚物供給本体10Kが舌6に接触した様子を示す概略断面図である。

第12実施形態による味覚物供給物1Kは、口腔において味覚受容器を有していない部分である歯3に固定されている点において、第9実施形態における味覚物供給物1Hとは異なる。これ以外の構成については、第9実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

味覚物供給本体10Kを構成する放出部及び味覚物は、第9実施形態の放出部及び味覚物と同一の材料により構成されている。同様に、固定部は、第9実施形態の固定部と同一の材料により構成されている。味覚物供給本体10Kは、歯1本分とほぼ同一の大きさの寸法を有している。味覚物供給本体10Kの表面には、固定部を構成する粘着剤が設けられており、これにより、歯3の内側面に、味覚物供給本体10Kは固定されている。

味覚物供給物1Kの使用者の食事中に、味覚物による味覚を感じ取るためには、使用者が舌6を動かして、6舌を味覚物供給物1Kに当接させる。これにより、舌6に付着していた唾液に含まれる水分により放出部が溶解し、味覚物が放出部から放出され、味覚受容器に当接し、味覚物供給物1Kの使用者は、味覚物による味覚を感じ取る。

第12実施形態による味覚物供給物1Kによれば、以下のような効果を得ることができる。 味覚物供給物1Kの味覚物供給本体は、口腔の部分であって味覚受容器を有していない部分である歯3に固定される。この構成により、味覚物供給物1Kが味覚物による味覚を感じ取ることを欲するときに、味覚物供給物1Kの使用者は、舌6を動かして舌6を味覚物供給物1Kに当接させることにより、味覚物による味覚を感じ取ることができる。逆に、味覚物供給物1Kが味覚物による味覚を感じ取ることを欲していないときには、味覚物供給物1Kの放出部は、味覚物供給物1Kの使用者の味覚受容器に当接していないため、味覚を感じない状態とすることができる。

次に、第13実施形態による味覚物供給物1Lについて、図17を参照しながら説明する。図17は、本発明の第13実施形態による味覚物供給物1Lの味覚物供給本体10Lが舌6に固定された様子を示す概略断面図である。

第13実施形態による味覚物供給物1Lは、放出部が粘着性のある材料により構成されて固定部をも構成する点において、第9実施形態における味覚物供給物1Hとは異なる。これ以外の構成については、第9実施形態の構成と同一であるため、同一の部材については説明を省略する。

味覚物、放出部、及び、固定部を有する味覚物供給物1Lは、高重合ポリエチレングリコール等の粘着性物質と味覚物とが、ワセリン、ミツロウ、マクロゴール等により構成された基剤に分散されて構成される。味覚物は、第9実施形態の味覚物と同一の材料により構成されている。この構成により、味覚物供給物1Lは、常温で粘着性を有するとともに、軟膏のようなゲル状を有している。このため、放出部、味覚物、及び、固定部を有する味覚物供給物1Lは、舌6等に塗布されて固定されて使用される。

または、味覚物供給物1Lは、フィルム状の固体物質により構成される。具体的には、味覚物供給物1Lは、高重合ポリエチレングリコール等の粘着性物質と味覚物の混合物により構成される。このため、放出部、味覚物、及び、固定部を有する味覚物供給物1Lは、舌6等に張り付けられて固定されて使用される。

舌6に固定されている味覚物供給物1Lが味覚受容器2010に付着している唾液に当接すると、唾液に含まれる水分により、口腔内において、放出部が溶解し、味覚物145が舌6に存在する味覚受容器に当接して、味覚物供給物1Lの使用者は、味覚物による味覚を感じ取る。

第13実施形態による味覚物供給物1Lによれば、以下のような効果を得ることができる。味覚物供給物1Lは、溶解可能且つ粘着性を有する放出部及び固定部により構成されている。この構成により、味覚物供給物1Lを容易に口蓋2の一部に塗布または貼り付けて、固定することができ、味覚物供給物1Lの利便性を高めることができる。

〔実施例〕 次に、前述の第12実施形態による味覚物供給物1Kを実際に作成し、効果を試すための試験を行った。試験では、直方体形状の味覚物供給本体と、直方体形状の固定部と、が積層されて構成された味覚物供給物1Kを用いた。味覚物供給本体の寸法は、縦が16mmであり、横が6mmであり、厚さが2mmである。固定部の寸法は、縦が16mmであり、横が6mmであり、厚さが1mmである。味覚物供給本体は、塩化ナトリウムを味覚物として有している。1つの味覚物供給物1Kあたりに含まれる塩化ナトリウムの量は、150mg程度である。このような味覚物供給物1Kを、以下の工程により製造した。

〔粘着層(固定部)の作製〕 まず、10gのポリエチレングリコール(分子量1000)を加熱して融解させる。これに、2gのポリエチレンオキシド(分子量400万)と、2gのCMC−Na(分子量70万)とを高速ミキサーで5分間撹拌したものを加えて混合する。この混合物をシリコーン製の鋳型に流し込み、2℃で30分間冷却することにより、粘着層を作製した。

〔呈味層(味覚物供給本体)の作製〕 8.5gのポリエチレングリコール(分子量1000)、1.5gのポリエチレングリコール(分子量2000)、2.4gのCMC−Na(分子量90000)、10gの塩化ナトリウムおよび3mLの純水を、高速ミキサーで20分間撹拌し、混合した。この混合物をシリコーン製の鋳型に流し込み、60℃で2時間加熱し、混合物を乾燥させて、呈味層を作製した。

そして、作製した呈味層を60℃で加熱し融解させた状態として、粘着層を呈味層に当接させて、2℃で30分間冷却することにより、呈味層と粘着層とを接合した。試験においては、作製した味覚物供給物1Kを水に5秒間浸漬し、粘着層を、図16に示すように下歯の前歯3の裏側に貼付けた。被験者は、塩分を含まない飲食物を摂食しながら、呈味層を舐めることで適度な塩味を約10分間味わうことができた。このことから、被験者は、呈味層のわずかな量の塩化ナトリウムを舐めることで、塩分を全く含まない飲食物を摂食しているにも関わらず、十分な塩気を味わうことができることが分かる。

本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。例えば、第1実施形態では、味覚物供給物1は、一対のブリッジ部81を有していたが、この構成に限定されない。例えば、収容部支持部は、第2実施形態のように、一方のブリッジ部のみにより構成されていてもよい。即ち、味覚物収容部は、収容部支持部の一端部に固定され、収容部支持部の他端部は、口腔の一部に固定されてもよい。同様に、第5実施形態では、味覚物供給物1Dは、一対のブリッジ部81Dを有していたが、この構成に限定されない。第2実施形態のように収容部支持部は、一方のブリッジ部のみにより構成されていてもよい。

また逆に、第2実施形態では、味覚物供給物1Aは、一対ではなく一方のブリッジ部81Aのみを有していたが、この構成に限定されない。口蓋2の右側にも入れ歯を入れるのであれば、第1実施形態、第5実施形態のように、味覚物供給物が一対のブリッジ部を有する構成として、他方のブリッジ部を口蓋2の右側の入れ歯に固定するようにしてもよい。

また、放出部は、多孔質膜13により構成されたが、この構成に限定されない。例えば、放出部は、開口及び収容空間12に配置された多孔質材により構成されてもよい。この場合には、味覚物145は、多孔質材に含浸される。多孔質材としては、例えば、スポンジや、海綿等を用いることができ、また、多孔質材を用いることに限定されずに、抗がん剤等に用いられるドラッグデリバリー等を用いることができる。ここで、ドラッグデリバリーとは、例えば、所定の時間で適切に薬剤が徐々に放出(徐放)されるように計算された材料を意味する。例えば、アメ等は、急に溶けずに、長時間かけて徐々に溶けるように作られているが、このようなものもドラッグデリバリーには含まれる。

また、第6実施形態では、味覚物供給物1Eの使用者による飲食物の咀嚼を検出するために、加速度センサ61を用いたが、この構成に限定されない。また、味覚物供給物1Eの使用者の口腔に取り入れられた飲食物の検出に振動センサ62を用いたが、この構成に限定されない。

また、第6実施形態では、味覚物供給物1Eが口蓋2から取り外されることにより、制御部51による制御を終了したが、この構成に限定されない。例えば、タイマーを用いて、最初に口腔内に飲食物が取り入れられたことを検出したときから、例えば10分後に、制御部51による制御を、終了するようにしてもよい。

また、第6実施形態では、味覚物145を徐々に多孔質膜13から放出する(しみ出させる)制御のメカニズムとしては、アクチュエータ133Eの駆動により、多孔質膜13の膜孔の径を1nm〜10nmの範囲で変動させて、拡大させたり縮小させたりして、収容空間12に収容された味覚物145を放出部から徐々に放出するメカニズムが用いられたが、この構成に限定されない。例えば、アクチュエータにより味覚物含浸材を加圧可能な構成として、第1実施形態のように、味覚物含浸材への加圧を調整することによりしみだす量を決定し、多孔質膜における比較的大きな孔を通して、多孔質膜の上面に味覚物を到達させるメカニズムが用いられてもよい。

また、第7実施形態では、味覚物145を噴霧状とするために、表面弾性波(SAW=surface acaustic wave)を発生させる圧電体(圧電振動子)を用いたが、これに限定されない。他の構成により、味覚物145を噴霧状としてもよい。

口腔の一部に固定されるアタッチメント部材として歯の矯正器具6D等の歯への取り付け器具や入れ歯4Aを用いたが、これらに限定されない。例えば、アタッチメント部材として、インプラント(人工歯根)を用いてもよい。また、味覚物供給物の各部の形状や構成は、本実施形態の形状や構成に限定されない。また、放出部は、水分を吸収することにより、味覚物145を放出するように構成されてもよい。

また、味覚物供給物の各構成に用いられる材料は、上述の実施形態の各構成に用いられている材料に限定されない。例えば、第9実施形態等では、放出部13Hは、徐々に溶解する材料により構成されていたが、これに限定されない。例えば、放出部は、口腔内において崩壊可能な材料により構成されていてもよい。この場合、放出部の全体が崩壊してもよいし、骨格となる部分は崩壊せずに形状が維持され、それ以外の部分が崩壊する構成を有していてもよい。崩壊する放出部は、飲食可能な材料により構成されていてもよい。

また、第9実施形態等では、放出部13Hは、唾液が触れることにより、徐々に溶解する材質により構成されていたが、これに限定されない。例えば、放出部は、水分以外の他の化学物質に接触したり、熱、光、磁場、圧力や機械的力等が作用したりすることにより、徐々に溶解したり崩壊したりしてもよい。また、例えば、放出部は、口腔の部分に固定され所定時間経過した後に放出部が溶解する材料により構成されていてもよい。

また、第9実施形態等では、放出部13Hと固定部80Hとにより構成される味覚物供給本体は、被覆されていてもよい。例えば、放出部13Hと固定部80Hとにより構成される味覚物供給本体は、シリコーンの膜等により被覆されてもよい。従って、味覚物供給本体が使用される際に、膜を剥離することにより、固定部を構成する粘着物を露出させ、露出させた粘着物を口腔の一部に当接させて、味覚物供給本体を口腔の一部に固定させるようにしてもよい。また、必要に応じて放出部13Hを可食性物質(エチルセルロース等)で被覆して、放出部13Hに含有される味覚物145の溶出を防ぐようにしてもよい。また、放出部13Hと固定部80Hとにより構成される味覚物供給本体は、また、唾液等に接触することにより溶解する材料や崩壊する材料により被覆されてもよい。また、固定部を構成する粘着物は、味覚物供給本体を口腔の一部に固定することに限定されない。例えば、固定部を構成する粘着物は、収容部支持部を口腔の一部に固定してもよい。

また、第10実施形態等では、必要に応じて固定部80Iを可食性物質(エチルセルロース等)で被覆してもよい。これにより、所望しない口腔内の部位又は飲食物に、固定部80Iが粘着し、味覚物供給本体10Iが固定部80Iから脱離することを防ぐことができる。

また、第9実施形態や第10実施形態では、味覚物供給物1H、1Iは口蓋2に固定されていたが、口蓋2に限定されない。味覚物供給物1H、1Iは、口腔の一部に固定されればよい。

また、第11実施形態による味覚物供給物1Jでは、味覚物供給本体10Jは、舌6のほぼ全体を取り囲むように舌6に対して被せられて配置されたが、この構成に限定されない。例えば、口腔の全域のうちのいずれかの部分に配置されてもよい。

また、第11実施形態による味覚物供給物1Jでは、覚物供給本体は、網状を有していたが、この構成に限定されない。例えば、第9実施形態による味覚物供給物1Hに、図13の上下方向に貫通する貫通孔が形成された構成を有していてもよい。この構成により、貫通孔を通して、味覚物供給物の使用者が食事中に、実際に食べている食物の味覚を、味覚物145による味覚と共に味覚受容器により感じ取ることができる。

また、網状を有する味覚物供給物の構成は、第11実施形態による味覚物供給物1Jの構成に限定されない。例えば、網状を有する味覚物供給物の味覚物供給本体は、第10実施形態と同様に、固定部によって全体が覆われて口蓋の一部に固定されてもよいし、また、第13実施形態と同様に口蓋の一部に塗布されたり、又は、口蓋の一部に貼付けられたりしてもよい。

また、第12実施形態では、放出部と固定部とにより構成される味覚物供給本体10Kは、歯3の内側面に、固定部を構成する粘着剤により固定されていたが、この構成に限定されない。味覚物供給本体は、口腔の部分であって味覚受容器を有していない部分、例えば、唇の下の部分やほおの奥の部分等の、使用者が食事をする際に邪魔にならない部分に固定されればよい。

1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J、1K、1L 味覚物供給物 2 口蓋 4A 入れ歯 6 舌 6D 矯正器具 10、10A、10B、10C、10D 味覚物収容部 10I、10J、10K、10L 味覚物供給本体 11 収容容器 12 収容空間 13 多孔質膜(放出部) 14 味覚物含浸材 80、80A、80C、80D、80F、80G 収容部支持部 80H 放出部 111 開口部 145 味覚物 2010 味覚受容器

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