【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は一般に歯列矯正用ブラケットに関し、特に口に対する接着が容易でかつ接着の外しが容易なように取り付けられた金属のベースパッドを有するセラミック歯列矯正用ブラケットに関する。 【0002】 【従来技術及びその課題】歯列矯正用ブラケットは歯に直接取り付けられ、かつブラケットの取り付けられた歯に歯列矯正用アーチワイヤーから修正力を伝達するように作用する。 歯列矯正用ブラケットに対する要求は極めて厳しい。 第1に、これは受けるであろう力に耐える充分な機械的強度を持たねばならない。 典型的な力は、アーチワイヤーにより、結紮により、及び咀嚼により伝達される。 第2にブラケットは腐食せずかつ生物医学的融和性を保つであろうように化学的に不活性でなければならない。 第3に、ブラケットは歯に適合するに充分に小さくなければならない。 【0003】多種の異なった材料より歯列矯正用ブラケットを作る提案、歯列矯正用ブラケットの圧倒的多数はまだ金属、通常はステンレス鋼で作られる。 金属ブラケットはこれらの本質的な要求の総てに適合するが、一つの望ましくない性質−これが見えること−を持つ。 歯列矯正処置を受けている人の歯の前面の全部に目立った量の金属がある。 更に、処置は多年にわたるので、この外見はかなりの期間にわたりこれを我慢しなければならない。 【0004】多年にわたり、より目障りにならない材料でブラケットを作ろうとする誘因が存在している。 近年は、歯列矯正処置を受ける成人の数が増加しており、この人達に対しては金属ブラケットの外見は全くの迷惑である。 この目障りな様相を避けるために透明又は(ポリカーボネートのような)半透明なプラスチック、又は本当の歯に非常に似たセラミック材料のような目立ち方のより少ない材料で歯列矯正用ブラケットを作ることが提案されている。 また、アーチワイヤー群用の強化用金属インサート又はライナーを有するセラミック又はプラスチックのブラケットを作ることが提案されている。 最近、結晶αアルミナのような結晶アルミナを含んだ歯列矯正用ブラケットが提案された。 結晶アルミナ及びある種のその他の結晶αアルミナ材料の強度及び透明性は、 金属ブラケットよりも外見の良い歯列矯正用ブラケットの提供を許すが、プラスチックとセラミックとの積層ブラケットの強度を大きく低下させる。 【0005】それにもかかわらず、なお結晶アルミナ又は「サファイア」歯列矯正用ブラケットに伴う問題がある。 問題はブラケットを歯に接合するための接合機構にある。 即ち、非金属材料は美的な外見を与えるために使用するには望ましいが、この材料は歯への接合には望ましいとは言えない。 これは、接合が不充分なこと、及び非金属ブラケットはこれを口から外そうとしたときにさへ歯に接合して留まる傾向のあることの2点のため真実である。 これは、このような頑固な接合ブラケットを外すために接合を外すための化学薬剤を使用しなければならなかったときに、美的見地からより望ましくない結果をもたらす。 【0006】 【課題を解決するための手段】従って、金属製歯科用ブラケットの能力を有し歯に接合しかつ接合を外す美的なブラケットを提供することが本発明の目的である。 【0007】自然の色、又は総ての側に沿った透明面を提供して美的な喜びを与え得る歯科用ブラケットを提供することが本発明の別の目的である。 【0008】最後に、ブラケット組立体のベースパッドが歯科用ブラケットの後面の自然色接着剤を介した接着領域である歯科用ブラケット組立体を提供することが本発明の目的である。 【0009】本発明のこれら及びその他の目的は、歯に面した表面を有する非金属歯科用ブラケットを備えた歯科用ブラケット組立体において達成される。 この非金属ブラケットは、適宜の結晶αアルミナ又はセラミック又はプラスチックより形成することができる。 歯科用ブラケットが美的目的のため透明であることが特に意図される。 ブラケットへの接着領域は金属パッドである。 好ましくは、金属パッドはフォイルメッシュで形成される。 金属パッドは一般にステンレス鋼で作られる。 このフォイルメッシュはステンレス鋼ブラケットと共に使用される典型的な接着剤により歯の表面に接合できる。 更に、 金属パッドはある種のその他の接着剤を使用して非金属ブラケットに接着される。 更に、美的外見が改良されるようにブラケットの非金属表面に接着剤を焼き付けることが可能である。 【0010】上述のブラケットの使用の結果、歯列矯正医は患者に改良された美的なブラケットを提供でき、更に先に参照とした金属ベースパッドの望ましい接着及び除去ができる。 【0011】本発明のこれらの態様は、本発明の以下の説明に関連し得られる図面の簡単な説明より更によく理解されるであろう。 【0012】 【実施例】本発明の装置は、結晶アルミナ材料、好ましくは結晶αアルミナより作られた負荷支持部材を備えた歯列矯正用ブラケット50を有する歯科用ブラケット組立体40である。 ここに使用される「結晶アルミナ(c rystalline alumina)」は、単結晶アルミナ及び多結晶アルミナの両者を含むことが意図される。 本発明の好ましい態様においては、歯列矯正用ブラケットは全体が結晶αアルミナである。 本発明の別の態様においては、歯列矯正用ブラケットはセラミック又は透明プラスチックで作られる。 最も望ましいことは、 歯列矯正用ブラケット50が大部分透明でありしかも負荷を維持し又は支持し得ることである。 かかる歯列矯正用ブラケットの一つが本発明の譲受人の子会社、ジョンソン・アンド・ジョンソン・デンタル・プロダクツ・コンパニイに譲渡されたジョーンズ他の米国特許第463 9218号に説明される。 【0013】図1−4は、セラミック又は結晶アルミナのブラケット50より作られかつステンレス鋼パッド8 0の取り付けられた歯列矯正用ブラケット組立体40の種々の図面である。 これらに見られるように、歯科用ブラケット50は、側壁42a、42b、42c、42 d、42e、42fにより定められたアーチワイヤ溝、 及び2個の翼又は双子のブラケットの壁43a、43 b、43cにより定められた「サドル」を持つ。 ブラケット50が歯に面する表面72を持つことが最も重要である。 この表面は一般に中低であり、結晶アルミナブラケット50の表面へのダイヤモンド研磨車の適用により形成される。 【0014】種々の図面に見られるように、ここに説明されるベースパッド80がある。 このベースパッドは前面75、背面73及び1対の側面74を持つ。 ベースパッド80は、第1の面又は前面75が歯科用ブラケット50の背面又は歯に面した表面72とちょうど一致できるように形成される。 【0015】一般に、本発明に説明されるように、パッド80はステンレス鋼で形成される。 ステンレス鋼はフォイルメッシュのように形成されうることが好ましい。 フォイルメッシュの前面75は、ロクタイト・コーポレーションより提供のロクタイト447(Loctite 447、商品名)グリューのような接着糊剤で接合されたときは、表面72においてセラミックブラケット5 0に接着接合できることが見いだされた。 【0016】ベースパッド80を歯に接合したいときは、使用者は、通常は、ステンレス鋼歯科用ブラケット用の接着剤を表面73に塗布し、この表面を歯に取り付ける。 従って、歯科用ブラケットの接着に伴う問題は避けられる。 歯科医は、公知の技術を使って、ステンレス鋼の表面73を歯の表面に適切に接合しかつ接合を外すことができる。 【0017】パッド80の別の好ましい実施例もまたここに具体化される。 パッド80の表面75はポーセレンで被覆できる。 従って、口を経て、ポーセレン表面75 が、歯科用ブラケット50の表面72に暴露される。 メッシュパッド80に焼き付けられたポーセレンは、更にロクタイト447(商品名)グリューのような糊剤を適切に保持でき、従って歯科用ブラケットをここに接合しうることが見いだされた。 【0018】セラミックブラケット50をベースパッド80に接着する別の方法は鑞付けのような技法である。 鑞付け材料自体は、歯に取り付けられたときにパッド8 0があまり鋼のように見えないように、ステンレス鋼パッド80とは異なった色調のものとすることができる。 最後に、白色染料を添加したロクタイト447(商品名)グリューがステンレス鋼パッドに自然の色調を与えうることが見いだされた。 従って、歯科用ブラケット5 0を通して見られたとき、使用者は歯又はパッド80の彩色面だけを観察し、従って歯に取り付けられた本発明のブラケットを更に美的に受け入れる。 【0019】従って、外見のよい歯科用ブラケット50 と組み合わせられたステンレス鋼パッド80は、外見がよく、強く、更に接合と接合の外しとが容易な特殊な組み合わせを形成することが観察された。 従って、請求項及びこれに相当するものに説明されたかかる組み合わせに対する特許取得を望む。 【0020】本発明の実施態様は次の通りである。 【0021】1. 歯に面する表面を有する非金属歯科用ブラケット;及び前記歯に面する表面に接着連結された金属パッドであって、前記歯に面する表面と一致するようにされた第1の表面、及び歯に置かれるようにされた第2の表面を有する金属パッドを備えた歯科用ブラケット組立体。 【0022】2. 前記金属パッドがステンレス鋼より形成される実施態様1のブラケット組立体。 【0023】3. 前記非金属ブラケットが結晶アルミナより形成される実施態様1のブラケット組立体。 【0024】4. フォイルメッシュのように形成された前記金属パッドを更に備える実施態様1のブラケット組立体。 【0025】5. 前記第1の表面が、これに取り付けられかつ前記歯に面した表面への取り付けのためのポーセレンの被覆を有する実施態様1のブラケット組立体。 【0026】6. 前記パッドが前記非金属ブラケットに鑞付けされる実施態様1のブラケット組立体。 【0027】7. 前記第1の表面が歯の色に着色された糊剤の手段により前記歯科用ブラケットに接着連結され、金属パッドが前記歯の上に置かれたときにこれを見え難くさせる実施態様1のブラケット組立体。 【0028】8. セラミック材料で形成されかつ歯に面する表面を有する歯科用ブラケット;及び前記歯に面する表面に接着取り付けられた第1の表面、及び歯に取り付けられるようにされた第2の表面を有するステンレス鋼パッドを備えた歯科用ブラケット組立体。 【0029】9. 結晶アルミナより形成されかつ歯に面する背面を有する透明な歯科用ブラケット;及び前記歯に面する表面に接着取り付けられた第1の表面、及び歯に取り付けられるようにされた第2の表面を有するフォイルメッシュ金属パッドを備え、前記第1の表面が前記歯科用ブラケットを通して観察可能であるように、前記第1の面が前記歯に面する表面に取り付けられる歯科用ブラケット組立体。 【0030】10. 前記金属パッドがステンレス鋼で形成される実施態様9のブラケット組立体。 【0031】11. 前記第1の表面が、これに取り付けられかつ前記歯に面した表面への取り付けのためのポーセレンの被覆を有する実施態様9のブラケット組立体。 【0032】12. 前記パッドが前記非金属ブラケットに鑞付けされる実施態様11のブラケット組立体。 【0033】13. 前記第1の表面が歯の色に着色された糊剤の手段により前記歯科用ブラケットに接着連結され、金属パッドが前記歯の上に置かれたときにこれを見え難くさせる実施態様9のブラケット組立体。 【図面の簡単な説明】 【図1】透明材料で形成されかつ取り付けられた金属パッドのある歯列矯正用ブラケットの斜視図である。 【図2】図1のブラケットの側面図である。 【図3】図1のブラケットの正面図である。 【図4】図1のブラケットの平面図である。 【符号の説明】 50 ブラケット 73 背面 76 前面 80 ベースパッド |