Orthodontic bracket

申请号 JP8147192 申请日 1992-03-04 公开(公告)号 JP3259183B2 公开(公告)日 2002-02-25
申请人 トミー株式会社; 发明人 浩三 川口;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 ブラケット本体の接着ベース面 全域に、
    歯科用有機接着剤と化学結合する有機シラン層を形成した歯科矯正用ブラケットにおいて、上記有機シラン層の
    周縁部を除く中央部分を、歯科用有機接着剤と化学結合しにくいコントロール膜で被覆したことを特徴とする歯科矯正用ブラケット。
  • 【請求項2】 上記コントロール膜が、アクリル系樹脂・ウレタン系樹脂・アルキッド系樹 脂のいずれか一つである特許請求の範囲請求項1記載の歯科矯正用ブラケット。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、歯科矯正の領域において、歯に矯正を付与するアーチワイヤーを保持するために、患者の歯面に接着固定される歯科矯正用ブラケットに関するもので、特に詳しくは、歯科用有機接着剤と化学的に結合するその接着ベース面の改良に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】近年、審美性の要求の下で、透明又は半透明のセラミック製ブラケットが広く使用される傾向にあるが、このセラミック製ブラケットを患者の歯面に接着する場合には、該セラミック製ブラケットをそのまま歯面に必要な強度をもって接着することが技術的に困難なことに鑑み、一般には、その工夫として、機械的結合方法と化学的結合方法が採用されている。 そして、前者の機械的結合方法は、例えば、ブラケット本体の接着ベース面に複数の凹溝や凹部を形成したり、逆に、接着ベース面に複数の凸部を形成したり、或いは、接着ベース面に多数の細粒体を溶着したりして、当該接着ベース面を歯科用接着剤を介して歯面に接着固定する場合に、上記凹溝や凸部等の作用で、必要な接着強度を得ようとするものである。 又、後者の化学的結合方法は、ブラケット本体の接着ベース面にシランカップリング剤を塗布したり、接着ベース面をシリカ系ガラス質で被覆したりして、当該接着ベース面を歯科用接着剤を介して歯面に接着する場合に、上記シランカップリング剤やシリカ系ガラス質と有機接着剤の化学的な結合反応を促して、必要な接着強度を得ようとするものである。

    【0003】しかし、斯る結合方法の内、特に、上記シランカップリング剤を用いた化学的結合方法を採用した場合には、シランカップリング剤の有機反応基と歯科用接着剤の有機基との反応により、セラミック製ブラケットを患者の歯面に強固に接着固定できる利点を有するが、2年〜3年後に、所期の矯正治療を終えて、患者の歯面からブラケットを撤去しようとすると、今度は、この強固な接着強度が逆に禍して、撤去時に、かなりの作業時間を費やしたり、患者に大きな痛みを与えたり、歯のエナメル質を損傷してしまう大きな問題点を有することとなる。 従って、当該分野においては、通常の歯の噛み合わせやアーチワイヤーの矯正力等に耐えられる必要最小限度の接着強度があれば十分で、それ以上の接着強度は逆に不要であるとされている。

    【0004】そこで、斯る要請に応えるために、特開昭64−22250号公報に示す改良型のセラミック製ブラケットが提供されている。 斯る従来の改良型ブラケットは、そのセラミック製の接着ベース面に塗布されるシランカップリング剤を、歯科用有機接着剤と反応する有機基を有する有機官能性シランと、歯科用有機接着剤と反応しない有機基を有する有機シランの混合組成物で構成して、両者の混合比率を適宜選択して、有機官能性シランを歯科用接着剤と反応しない有機シランで希釈化することにより、セラミック製ブラケットと歯科用有機接着剤との結合強度を、有機官能性シランのみを用いて得られる結合強度よりも弱くせんとするものである。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】従って、上記改良型セラミック製ブラケットにあっては、シランカップリング剤中の有機官能性シランを歯科用有機接着剤と反応しない有機シランで任意に希釈化することにより、理論上は、確かに、有機官能性シランのみを用いて得られる強度よりも弱くして、ブラケットの接着強度をコントロールすることは一応可能となるが、反面、以下のような問題点が招来される。

    【0006】即ち、ブラケットに要求される接着強度は、厳密には、接着対象となる歯の種類やブラケット本体の接着ベース面の大きさ等によって異なり、各ブラケット毎で個々に決定されるものであるから、斯る要求を十分に満足するためには、当該改良型ブラケットにあっても、各ブラケット毎で、有機官能性シランと有機シランの混合比率を正確に設定しなければならない訳であるが、実際の製造過程で、両シランの混合比率を個々に正確に設定して、各ブラケット毎の最適接着強度を得ることは、技術的に見て、頗る煩雑である。 又、ブラケットを歯面から撤去する場合には、通常、ブラケット本体を器具で近遠心方向に挾んで、捩じりながら歯面から取り除くが、この場合には、接着ベース面の中央部分に最大の応力がかかるとされているので、歯のエナメル質の損傷を防止するために接着強度をコントロールする場合には、斯る最大の応力がかかる中央部分の配慮が特に重要となるが、上記改良型ブラケットにあっては、あくまでも、その接着ベース面の全域で、接着強度を画一的にコントロールするだけのものであるから、このような要請にも十分に対応することができない。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】本発明は、斯る従来の改良型ブラケットの問題点を有効に解決するために開発されたもので、ブラケット本体の接着ベース面全域に、歯科用有機接着剤と化学結合する有機シラン層を形成した歯科矯正用ブラケットを前提として、上記有機シラン層の周縁部を除く中央部分を、歯科用有機接着剤と化学結合しにくいコントロール膜で被覆する構成を採用した。
    又、この場合において、上記のコントロール膜は、有機接着剤との結合力を低下させる無機顔料を含むアクリル系樹脂か同ウレタン系樹脂か同アルキッド系樹脂で形成するのが好ましい。

    【0008】

    【作用】依って、本発明の歯科矯正用ブラケットにあっては、各ブラケット毎の接着強度のコントロールを、その有機シラン層の表面に被覆されるコントロール膜の面積で調節することを特徴とするものであるから、前記した改良型ブラケットと比較すると、各ブラケット毎の最適接着強度をより合理的な方法で簡単に得ることが可能となる。 又、接着ベース面に対するコントロール膜の被覆位置を適宜選択すれば、1個の接着ベース面の中でも、その接着強度に強弱を自在に付けることが可能となるので、ブラケットの撤去時に最大の応力がかかる部分に対する配慮も十分に行なえることとなる。

    【0009】

    【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて詳述すれば、該実施例に係る歯科矯正用ブラケットは、平均粒径が10〜30μで透光率が70〜80%の多結晶アルミナより一体に成形されて、その基本的な形態は、
    図1に示す如く、ブラケット本体1の中央部にアーチワイヤーを保持するスロット2を形成すると共に、その両側縁に結紮線等の結紮手段を引っ掛けるウイング3を形成し、且つ、該本体1の接着ベース面4にガンマメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の公知シランカップリング剤を塗布して、該接着ベース面4全域に歯科用有機接着剤と強固に化学結合する有機シラン層5を形成したものである。 但し、ブラケット自体の形態に関しては、あくまでも、その代表的な一例を示したに過ぎず、これ以外の形態を有するものであっても良い。

    【0010】そして、本実施例にあっては、斯る構成を前提として、上記接着ベース面4に形成された有機シラン層5の表面所定部位を、アクリル又はメタクリル樹脂等の歯科用有機接着剤と化学結合しにくい所定肉厚のコントロール膜6で被覆して、該コントロール膜6の被覆面積を適宜選択することにより、各ブラケット自体の接着強度を機械的にコントロールする構成となしたものである。 尚、上記コントロール膜6の被覆に関しては、図1に示す如く、接着ベース面4全域に形成された有機シラン層5の周縁部を除く中央部分を被覆するか、図2に示す如く、同有機シラン層5の中央部分を円状に被覆するか、又は、図3に示す如く、有機シラン層5の周縁部を除く略中央全域を格子状に被覆することなどが考えられるが、これらは、あるまでも、その一例であって、その他の状態をもって被覆することも十分に可能であることは言うまでもない。

    【0011】又、当該コントロール膜6の条件としては、その目的からして、人体に対して有害でなく且つ吸性が低く、接着剤との結合力が弱いことなどが要求されるので、本実施例にあっては、チタン白・二酸化ケイ素等の無機顔料とバインダーとしての樹脂を含む所謂塗料又はインキを使用して、これをオフセット印刷やシルク印刷等の印刷方法か、ディスペンサーの如く粘性流体を吐出する方法か、又は、筆で1個1個の塗るなどの方法を用いて、上記有機シラン層5の周縁部を除く中央部
    に施すものとする。 そして、上記の樹脂としては、メタクリル樹脂等のアクリル系樹脂や、ポリウレタン等のウレタン系樹脂や、グリプタル樹脂等のアルキッド系樹脂が考えられるが、この中では、特に、アクリル系樹脂が好ましいと言える。

    【0012】依って、今仮に、図1に示す歯科矯正用ブラケットを患者の歯に接着固定する場合には、ブラケット本体1の接着ベース面4に形成された有機シラン層5
    の露呈部分と有機シラン層5の所定部位を被覆したコントロール膜6上に、通常一般に使用されている歯科用有機接着剤7を塗布して、該接着ベース面4を患者の歯T
    の所定位置に押し付ければ、図に示す如く、ブラケット本体1が歯T面に接着固定されるので、後は、該各ブラケット本体1のスロット2内にアーチワイヤー(図示せず)を挿入して、該アーチワイヤーをウイング3と結紮手段(図示せず)を介して結紮すれば、アーチワイヤーの弾性力で歯Tを所定方向に移動させる矯正治療が可能となる。

    【0013】そして、このブラケット本体1の接着固定状態にあっては、図示する如く、コントロール膜6で被覆されていない有機シラン層5の露呈部分では、歯科用接着剤7と強固に化学結合し、上記無機顔料を含むアクリル系樹脂等で形成されたコントロール膜6の部分では、逆に、歯科用接着剤7との化学的な結合が弱くなっているので、このコントロール膜6の存在により、有機シラン層5のみでは強すぎる接着強度を効果的に低下させて、ブラケット本体1は、接着剤7を介して通常の歯の噛み合わせやアーチワイヤーの矯正力等に耐えられる必要最小限度の接着強度で接着固定されることとなる。
    従って、本実施例のブラケットにあっては、例え、各ブラケットに要求される接着強度が、接着対象となる歯の種類やブラケット本体1の接着ベース面4の大きさ等によって異なるとしても、各自の有機シラン層5の表面を被覆するコントロール膜6の面積を適宜選択することにより、各ブラケット毎で、その最適な接着強度を機械的且つ簡単にコントロールすることが可能となるので、従来の改良型ブラケットと比較すると、各ブラケット毎で最適接着強度を得る場合に頗る好都合となる訳である。

    【0014】この結果、矯正治療を終えて、患者の歯T
    面からブラケットを撤去する場合には、上記のコントロールされた最適接着強度の下で、ブラケット本体1を器具で近遠心方向に挾んで、捩じりながら歯T面から取り除ければ、従来の如く、撤去にかなりの作業時間を費やしたり、患者に大きな痛みを与えたり、歯のエナメル質を損傷することなく、ブラケットを容易に撤去することが可能となるが、その撤去時には、所定肉厚のコントロール膜6の存在により、有機シラン層5とコントロール膜6の界面、又は、コントロール膜6の内部、或いは、
    コントロール膜6と接着剤7の界面での破壊が積極的に促されて、ブラケットの簡単な撤去が一層助長されることとなる。

    【0015】このことは、以下の試験結果からも裏付けられる。 そこで、この試験内容を説明すると、まず、通常市販されている上顎中切歯用の多結晶アルミナブラケットを試材とし、その接着ベース面に形成された有機シラン層の約60%の部位に、株式会社セイコーアドバンスのアクリル塗料(商品名:ABS120ホワイト)を図1に示す状態に印刷して、このアクリル塗料を室温で約4時間放置して乾燥させた後、該ブラケットを上顎中切歯と同一条件面上に、リライアンス社の歯科用接着剤(商品名:リライアボンド)で接着固定して、室温で2
    4時間放置して、その剪断力に対する引張り試験を行なった。 尚、この引張り試験においては、CROSSHE
    AD SPEED:5mm/min、CHART SPE
    ED:50mm/min、FULL SCALE:50
    Kgfとして、5個のサンプルを、そのままの状態と、
    冷熱サイクルテスト(60°C1分と4°C1分を1サイクル)を1000回行なった後の状態の両方を測定した。 そして、前者の測定結果は、サイプル(1)については20.8Kgf、サンプル(2)については19.
    3Kgf、サンプル(3)については13.7Kgf、
    サンプル(4)については22.2Kgf、サンプル(5)については19.6Kgfの値を得、その平均値は19.12Kgfであり、又、後者の測定結果は、サンプル(1)については16.6Kgf、サンプル(2)については19.7Kgf、サンプル(3)については18.5Kgf、サンプル(4)については1
    3.8Kgf、サンプル(5)については16.0Kg
    fの値を得、その平均値は16.92Kgfであった。
    従って、仮に、接着強度が約15〜20Kgfを理想とした場合には、単にシランカップリング剤を接着ベース面に塗布して、そこに有機シラン層のみを形成したものでは、30Kgf以上の接着強度となっているにも拘らず、この各試験結果は、いずれも、上記理想の接着強度を完全に満足するものである。

    【0016】以上のことからすると、単に有機シラン層のみを形成した接着ベース面と歯科用接着剤との結合強度を100とすると、無機顔料を含むアクリル系樹脂等のコントロール膜6で被覆した部分の強さは約40%となることが判明した。 即ち、上顎中切歯用ブラケットのシラン層の接着強度が30Kgfであった場合には、その60%を被覆するコントロール膜6の接着強度は0.
    6×0.4×30=7.2Kgfとなり、露呈するシラン層の接着強度は0.4×1.0×30=12Kgfとなって、全体の合計が上記そのままの状態の平均値と略等しい19.2Kgfとなる訳である。 従って、理想とされる接着強度は、治療開始では15〜20Kgfで、
    2〜3年経過したブラケットの撤去時では10〜15K
    gfであるとされているので、上記のようにシラン層5
    の所定部位をコントロール膜6で被覆することは、特に、初期の接着強度をコントロールする上では極めて有効となる。 又、ブラケットの接着ベース面4の面積は、
    固定される歯の種類に応じて大小あり、例えば、下顎前歯用と上顎中切歯用とでは、上顎中切歯用の方が約2倍である。 この為、単位面積あたりの接着強度が同じとすれば、下顎前歯に使用されるブラケットの強度は弱くなり、上顎中切歯に使用されるブラケットの強度が必要以上に強くなってしまうが、斯る自体を避けるためには、
    上顎中切歯用ブラケットの接着ベース面の約70%をコントロール膜6で被覆し、下顎前歯用ブラケットの接着ベース面にはコントロール膜6の被覆を施さなければ、
    略同等の接着強度が得られることとなるので、この観点の下で、コントロール膜6の被覆面積を適宜選択すれば、1回の治療に使用される全てのブラケットの接着強度を略等しくすることも十分に可能となる。

    【0017】その上、シラン層5を被覆するコントロール膜6の状態は、任意に決定できるものであることは先に述べたが、特に、図1乃至図3に示す如く、その周縁部分を露呈させる構成となせば、以下の如き利点もある。 即ち、患者の口腔内は、常時、唾液などの水分に浸されている訳であるから、耐水性が無いと、ブラケットの接着ベース面と接着剤の界面から徐々に水の分子が侵入して、その接着強度が低下し、2年と経たないうちにブラケットが歯面から剥がれてしまう恐れがあるが、有機シラン層5の周縁部を露呈させている場合には、上記冷熱サイクルテスト結果からも明らかな如く、極端な強度低下が認められないので、接着ベース面と接着剤の界面での耐水性が高くなって、唾液などの水分の影響を受けにくくなると共に、ブラケットを近遠心方向に挾んで撤去する場合に、接着ベース面4の中央部分に最大の応力がかかるとしても、この最大の応力がかかる中央部分をコントロール膜6で被覆すれば、歯のエナメル質を損傷する心配が殆どなくなるので、従来の如く、接着ベース面全域において画一的に接着強度をコントロールするものよりも、エナメル質の損傷をより確実に防止できることともなる。

    【0018】尚、上記した実施例は、多結晶アルミナのブラケットを対象としたものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、透光性を有するジルコニアや単結晶アルミナや強化ガラスのブラケットであっても良いし、又、本発明の精神に反しない限りは、強化プラスチック・ステンレス又はチタン製のブラケットに対しても応用することが可能となる。 又、本発明にあって、コントロール膜6が、無機顔料を含む樹脂で形成される場合には、当該顔料の選択により、膜6自体を歯の色に合わせたシェーディングも可能となる。

    【0019】

    【発明の効果】以上の如く、本発明は、ブラケットの接着強度のコントロールを、有機シラン層の表面に被覆されるコントロール膜の面積や成分等で調節するものであるから、改良型ブラケットと比較すると、各ブラケット毎の最適接着強度をより合理的な方法で簡単に得ることが可能となると共に、接着ベース面に対するコントロール膜の被覆位置を適宜選択すれば、1個の接着ベース面の中でも、その接着強度に強弱を自在に付けることが可能となるので、ブラケットの撤去時に最大の応力がかかる部分に対する配慮も十分に行なえることとなって、改良型ブラケットの問題点を一掃することが可能となった。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の実施例に係る歯科矯正用ブラケットを接着ベース面側から示す斜視図である。

    【図2】コントロール膜の被覆状態の他例を示す説明図である。

    【図3】コントロール膜の被覆状態の別の他例を示す説明図である。

    【図4】ブラケット本体を歯面に接着固定した状態を示す要部拡大説明図である。

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