歯の移動を調節する方法及び装置

申请号 JP2012513427 申请日 2010-06-07 公开(公告)号 JP5705838B2 公开(公告)日 2015-04-22
申请人 バイオルックス リサーチ リミテッド; 发明人 ブラウン,ピーター ロバート;
摘要
权利要求

光線治療装置であって、 患者の顔の第一側及び前記患者の口の上に配置されるように構成されるとともに、前記患者の顔に接触する第一の光源を有する第一の支持アームと、 前記患者の顔の第一側及び前記患者の口の下に配置されるように構成されるとともに、前記患者の顔に接触する第二の光源を有する第二の支持アームと、を備え、 前記第一の支持アームの少なくとも一部及び前記第二の支持アームの少なくとも一部は、離隔しており、 前記第一の光源及び前記第二の光源は、使用時に口腔外から前記患者の顔の一部を通して前記患者の口腔内の一領域に光線を投与するように構成され、 前記第一の光源は、前記第一の支持アームに沿って移動可能であり、 前記第二の光源は、前記第二の支持アームに沿って移動可能である、光線治療装置。前記領域が、下顎歯槽骨又は上顎歯槽骨である、請求項1に記載の光線治療装置。光線を前記患者の上顎又は下顎骨に投与できるように、前記第一の光源又は前記第二の光源が配置される、請求項1に記載の光線治療装置。歯列矯正治療のアライメントフェーズにおけるアライメントに向けた歯の移動速度を増加させる方法に使用される、請求項3に記載の光線治療装置。前記光線治療装置が、3つ以上の光源を備える、請求項1に記載の光線治療装置。前記第一及び第二の光源が、独立して動作可能である、請求項1に記載の光線治療装置。前記第一の光源が、585nmプラスマイナス最大10%〜665nmプラスマイナス最大10%の範囲内の波長を有する光線を放射するように構成された第1の光エミッタを有し、 前記第二の光源が、815nmプラスマイナス最大10%〜895nmプラスマイナス最大10%の範囲内の波長を有する光線を放射するように構成された第2の光エミッタを有する、請求項1に記載の光線治療装置。前記第一の光源が、845nmプラスマイナス最大10%〜865nmプラスマイナス最大10%の範囲内の波長を有する光線を放射するように構成された第1の光エミッタを有し、 前記第二の光源が、845nmプラスマイナス最大10%〜865nmプラスマイナス最大10%の範囲内の波長を有する光線を放射するように構成された第2の光エミッタを有する、請求項1に記載の光線治療装置。前記第一の光源が、855nmプラスマイナス最大10%の波長を有する光線を放射するように構成された第1の光エミッタを有し、 前記第二の光源が、855nmプラスマイナス最大10%の波長を有する光線を放射するように構成された第2の光エミッタを有する、請求項8に記載の光線治療装置。前記第一の光源が、少なくとも10mW/cm2の強度を有する光線を放射するように構成された第1の光エミッタを有し、 前記第二の光源が、少なくとも10mW/cm2の強度を有する光線を放射するように構成された第2の光エミッタを有する、請求項8に記載の光線治療装置。前記第一又は第二の支持アームが、前記患者の顔の皮膚に対して1つ又は複数の光源を付勢するように構成される、請求項1に記載の光線治療装置。前記第一又は第二の支持アームに関連付けられ、前記装置の使用時に患者の皮膚に隣接するように配置された反射率センサをさらに備える、請求項1に記載の光線治療装置。前記第一又は第二の支持アームが、前記支持アームの一部の内面に形成されたトラックを含む、請求項1に記載の光線治療装置。前記第一又は第二の光源を前記第一又は第二の支持アームに固定するための、前記トラックとの係合の形状を有し露出したトラック係合突起をさらに含む、請求項13に記載の光線治療装置。支持特徴としてのトラックをさらに含む、請求項1に記載の光線治療装置。二次支持特徴をさらに含み、前記二次支持特徴が二次トラックであり、前記二次トラックがトラックへの非平行配向に提供される、請求項15に記載の光線治療装置。前記第一又は第二の光源が、前記二次トラックに係合する、請求項16に記載の光線治療装置。前記第一又は第二の光源が、前記二次トラックの全長に沿って移動可能である、請求項17に記載の光線治療装置。蝶番を備え、前記第一又は第二の光源が前記蝶番を中心に回転自在である、請求項18に記載の光線治療装置。前記第一及び第二の光源の各々に接続されたヒートシンクをさらに備える、請求項1に記載の光線治療装置。前記光エミッタが、発光ダイオードである、請求項7に記載の光線治療装置。前記光エミッタが、垂直共振器面発光レーザである、請求項7に記載の光線治療装置。前記第一又は第二の支持アームが、前記患者の鼻梁と頬の上に覆いかぶさり、前記患者の口には覆いかぶさらない、請求項1に記載の光線治療装置。二次支持特徴をさらに備え、前記トラックは平トラックであり、前記二次支持特徴が垂直トラックである、請求項15に記載の光線治療装置。前記二次支持特徴が、前記第一又は第二の支持アームに沿って摺動し、前記第一又は第二の光源が前記二次支持特徴に沿って摺動する、請求項24に記載の光線治療装置。美容整形方法に使用される、請求項1から25のいずれか1項に記載の光線治療装置。

说明书全文

相互参照 [0001] 本願は、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする2009年6月8出願のPCT/CA2009/000808の米国特許法第120条のもとでの一部継続出願である。

[0002] 本発明は、歯列矯正に有用な方法及び装置に関し、特に、歯列矯正中の歯の移動の質を加速し、制御し又は改善するのに有用な方法及び装置に関する。

[0003] 歯列矯正は骨内の歯の移動を含む。歯に圧を加えることで、骨は歯の前縁で破砕され歯の移動を容易にする。次に、歯の後縁で新しい骨が形成される。骨内の歯の移動は遅いため、所望の歯の位置を達成するには長期間の治療が必要である。長期間の歯列矯正治療は、歯根吸収、歯肉炎及び齲食症のリスクを増加させる可能性がある。さらに、加えられる力のために歯が「傾斜する」ことがある、すなわち、歯冠が歯根よりも速く所望の方向に移動して歯の傾斜を引き起こすことから、骨内の歯の移動が不均一になる可能性がある。歯が骨内で「歯槽骨ごと」移動する、すなわち、骨に対してほぼ垂直の向きに移動する時には、歯は傾斜なしに又はわずかな程度の傾斜をもって移動する。

[0004] 歯と歯周組織とに損傷を与えることなく歯の移動速度を増加させる方法が探求されてきた。例えば、歯の移動速度の加速は、ビタミンD3の活性化形態であるプロスタグランジン、及びオステオカルシンを歯槽窩の周囲に局所注射することで達成できる。上記の物質は歯の移動速度を増加させる可能性があるが注射工程中の患者の局所的な痛みと不快感などの副作用を引き起こす場合がある。

[0005] 歯の移動速度を増加させる代替戦略は歯の再生を改善することである。例えば、光線治療が歯の疾患の治療及び骨と軟組織の刺激治療法に有効であり、歯槽骨再生の加速に有効である可能性があることが分かっている。光線は例えば、チトクロームCオキシダーゼ又は酸化窒素シンターゼを刺激することによって機能が低下した細胞及び組織内の様々な生物学的活動を刺激することができる。

[0006] 光線療法又は光線治療は、通常、携帯型発光装置の光線を患部に誘導する医師又は療法士によって施される。発光装置は、患部の上方に一貫して配置することが困難である。患部を識別するために入れ墨が使用されることがある。しかし、入れ墨又はその他の基準マークを用いても患部に光線治療をむらなく施すことは場合によって困難である。

[0007] 光線治療は通常、少なくとも数日間にわたる反復治療を含む。したがって、光線治療を受ける患者は、治療計画を完了するために開業医の医院又はクリニックに複数回通院しなければならない。そのような繰り返しの通院は時間がかかるか又はコスト高につく可能性がある。

[0008] 光線治療のための光線を生成するのに好適なLED及びその他の発光装置は動作時に高温になることがある。そのような発光装置は高温で効率が低下することがある。高温の装置は、患者にとって不快であり又は危険ですらある。

[0009] 例えば、ともに参照によりその全体を本明細書に組み込むものとするPCT公開番号WO2009/000075及びWO2006/087633に記載されているように、患者の歯及び上顎顔面区域に光線治療を施す装置が開発されている。しかし、患者の顎骨の所望の領域に所望の特性を有する光線を照射する特定標的光線治療を施す光線治療装置の必要が依然として存在する。

[0010] 歯列矯正治療に応答して骨内の歯の移動の速度を増加させ又は質を向上させて不要な副作用又は痛みを与えることなく患者の治療回数を低減する方法及び装置がさらに必要である。また、骨内の歯の移動、例えば、骨内の歯槽骨ごとの移動の所望のモード又は質を達成するために使用可能であって歯の移動を患者の顎領域内の所望の特定の1つ又は複数の場所で変調できるように調整可能な方法及び装置が必要である。

[0011] 従来技術の上記の例及びそれに関連する制約は例示的であって排他的なものではない。従来技術のその他の制約は、本明細書を読み図面を検討することで当業者には明らかになろう。

[0012] 一態様では、本発明は、それを必要とする患者の上顎又は下顎歯槽骨に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む歯の移動を調節する方法を提供する。

[0013] 別の態様によれば、本発明は患者の口腔組織の一領域に光線を投与する方法であって、患者の顔の特徴に係合するサイズと形状の支持体と該支持体によって支持された1つ又は複数の光源とを備える光線治療装置を提供するステップと、支持体を患者の顔の1つ又は複数の特徴に係合させるステップと、上記領域に所望の強度の光線を投与するために1つ又は複数の光源の位置を調整する必要があるか否かを決定するステップと、上記決定に従って、上記1つ又は複数の光源の位置を変更又は維持するステップと、該領域に光線を投与するステップと、を含む方法を提供する。

[0014] 追加の態様では、本発明は、光線治療装置であって、患者の顔の特徴に係合するサイズと形状の支持体であって、少なくとも支持体の右側と左側の一方が支持特徴である支持体と、該支持特徴に係合するように構成された1つ又は複数の光アセンブリとを備え、上記1つ又は複数の光アセンブリが二次支持特徴と、該二次支持特徴に係合し、使用時に口腔外から患者の顔の一部を通して患者の口腔内の一領域に光線を投与するように構成された1つ又は複数の光源とを備え、該1つ又は複数の光アセンブリが、二次支持特徴に沿って移動可能である光線治療装置を提供する。

[0015] 本開示の追加の態様及び利点は、本開示のもっぱら例示的な実施形態を図示し記載する以下の詳細な説明を読むことで当業者は容易に理解できよう。本開示はその他の上記と異なる実施形態も実施でき、その幾つかの詳細内容は本開示を逸脱しない限り様々な明白な事項を様々に変更可能であることが理解されよう。したがって、図面及び説明は本来例示としてのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。

参照による組み込み [0016] 本明細書に記載する出版物、特許及び特許出願は参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。

[0017] 以下に添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。

[0018]患者の上顎又は下顎歯槽骨の特定の領域に光線治療を提供するのに有用な光線治療装置の一実施形態の等図である。

[0019]図1に示す実施形態の正面図である。

[0020]図1に示す実施形態の上面図である。

[0021]図1に示す実施形態の右側等角図である。

[0022]光エミッタ及びリフレクタを有する光源の一部の概略断面図である。

[0023]光線治療装置と併用するプログラマラブルコントローラの上面図である。

[0024]光源上のトラック係合隆起と支持アーム内に形成されたトラックとの係合を示す光線治療装置の一実施形態の支持アームの部分断面図である。

[0025]ヒートシンク上のトラック係合隆起と支持アーム内に形成されたトラックとの係合を示す光線治療装置の一実施形態の支持アームの部分断面図である。

[0026]本発明の別の実施形態による光線治療装置の第1の図である。

[0027]光線治療装置の別の図である。

[0028]光線治療装置の追加の図である。

[0029]光線治療装置の別の図である。

[0030]口腔内トレイと、口腔外ブリッジと、左及び右側面口腔外LEDアレイとを有する口腔外光線治療装置を前面から見た図である。

[0031]冷却ファンと、ヒートシンクと、光エミッタの2つのアレイとを有する光源の断面図である。

[0031]冷却ファンと、ヒートシンクと、光エミッタの2つのアレイとを有する光源の正面図である。

[0031]冷却ファンと、ヒートシンクと、光エミッタの2つのアレイとを有する光源の背面図である。

[0032]口腔外ブリッジの端部が口腔外LEDアレイに装着された図9の装置の右側面図である。

[0033]図9の口腔外ブリッジ、口腔内トレイ、及び口腔外LEDアレイの左前方から見た図である。

[0034]図9の口腔外ブリッジ、口腔内トレイ、及び口腔外LEDアレイの右後方から見た図である。

[0035]口腔内トレイを取り外した状態の図9の口腔外ブリッジ、口腔内トレイ、及び口腔外LEDアレイの左後方から見た図である。

[0036]LEDアレイがヘッドセットによって支持された代替実施形態による光線治療装置の斜視図である。

[0037]図14の光線治療装置の側面図である。

[0038]LEDアレイがヘッドセットによって支持された別の代替実施形態による光線治療装置の斜視図である。

[0039]少なくとも1つのLEDアレイと、ヘッドセットから取り外されたコネクタとの正面図である。

[0040]2つのLEDアレイ、蝶番様部材、及び装着手段を有する外部光線治療装置の正面図である。

[0041]基板上に搭載されたLEDアレイの断面図である。

[0042]基板から取り外されたLEDアレイの断面図である。

[0043]様々な群での歯の移動の実施例を示す図である。

[0044]様々な群での骨質の態様を示す図である。

[0045]光線がLED又は赤外線光源によって提供される時の基準線と歯の移動との比較を示す図である。

[0046]様々な群の組織学のROI−2レベルを示す図である。

[0047]様々な群の骨質のROI−1の実施例を示す図である。

[0048]様々な群の組織学のROI−1レベルを示す図である。

[0049]TRAP−1臼歯の平均値の実施例を示す図である。

[0050]第3臼歯TRAPの平均値の実施例を示す図である。

[0051]第1臼歯対照側TRAP&HEへの遠隔効果の実施例を示す図である。

[0052]様々な条件下での安定性の変化の実施例を示す図である。




[0053] 以下の説明を通して、当業者により徹底的な理解を提供するために具体例が記載されている。しかし、本開示を不必要に曖昧にしないために、周知の要素は詳細な図示又は説明をしていない場合がある。したがって、以下の説明及び図面は限定的ではなく例示的であるとみなすべきである。


[0054] 言及した数字と併用する「約」という用語は、当該言及した数字の言及した数字のプラスマイナス最大10%を意味する。例えば、「約50」という表現は45〜55の範囲を示す。


[0055]歯の移動を調節する方法 [0056] 本発明の一態様によれば、それを必要とする患者の上顎又は下顎歯槽骨の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む歯の移動を調節する方法が提供される。


[0057] 患者は哺乳動物であってもよく、一実施形態では人間であってもよい。患者は成人又は子供であってもよい。患者は、光線の投与を受ける生きた被験者であってもよい。幾つかの実施形態では、患者は口腔又は歯列矯正器具を装着している。他の実施形態では、患者は患者の上顎又は下顎歯槽骨の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与される前に口腔又は歯列矯正器具を装着していた。他の実施形態では、患者は患者の上顎又は下顎歯槽骨の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与された後に口腔又は歯列矯正器具を装着する。


[0058] 歯の移動の調節は、支持組織に対して1つ又は複数の歯の位置を制御するステップを含んでもよい。歯の移動の調節は、支持組織に対する歯の移動速度を制御する(例えば、増加させる、減少させる、維持する)ステップをさらに含んでもよい。例えば、歯の移動の調節は、歯の移動速度を増加させるステップを含んでもよい。歯の移動の調節は、1つ又は複数の歯の歯槽骨ごとの移動を制御する(例えば、傾斜を減少させる、傾斜を増加させる)ステップをさらに含んでもよい。歯の移動の調節は、1つ又は複数の歯を歯槽骨ごと移動させるステップを含んでもよい。「歯槽骨ごとの」移動は、歯の歯冠又は冠領域が歯の歯根又は先端領域よりもより迅速に移動する「傾斜」移動とは対照的に歯が骨に対してほぼ垂直である場合に生起する。歯の歯槽骨ごとの移動は、歯の大幅な傾斜を引き起こすことなく歯を移動させるステップを含んでもよい。「大幅な傾斜」とは、歯の約20%が残りの約80%と同じ横方向に移動しないという意味である。別の実施形態では、歯の約10%が残りの約90%と同じ横方向に移動しない。別の実施形態では、歯の約5%が残りの約95%と同じ横方向に移動しない。歯の移動は、1つ又は複数の歯の横方向の変位を含んでもよい。歯の移動の調節は、1つ又は複数の歯の傾き又は傾斜を引き起こすステップ、1つ又は複数の歯の傾き又は傾斜を最小限にするか若しくは防止するステップ、又は1つ又は複数の歯のアライメント若しくは配向を維持するステップを含んでもよい。また歯の移動の調節は、歯の移動を安定化させるステップを含んでもよい。幾つかの例では、歯の移動の調節は、1つ又は複数の歯にその位置を維持させるステップを含んでもよい。幾つかの実施形態では、歯の移動の調節は、1つ又は複数の歯の変位を引き起こすステップと1つ又は複数の歯にその位置を維持させるステップとの組合せを含んでもよい。


[0059] 患者の上顎又は下顎歯槽骨の一領域、又は患者のその他の領域に光線を投与できる。幾つかの実施形態では、患者の1つ又は複数の領域に光線を誘導できる。領域は患者の口腔内であってもよい。領域の幾つかの実施例は、1つ又は複数の歯(例えば、上顎中切歯、上顎側切歯、上顎犬歯、上顎第1小臼歯、上顎第2小臼歯、上顎第1臼歯、上顎第2臼歯、上顎第3臼歯、下顎中切歯、下顎側切歯、下顎犬歯、下顎第1小臼歯、下顎第2小臼歯、下顎第1臼歯、下顎第2臼歯、又は下顎第3臼歯などの切歯、犬歯、小臼歯、又は臼歯)、1つ又は複数の歯を支持する組織、上顎の一部(例えば、患者の上顎歯槽骨の一部)、下顎の一部(例えば、患者の下顎歯槽骨の一部)、歯槽、基底組織、歯肉、歯周靭帯、セメント質、歯根膜、顎の骨又は組織の一領域、又は少なくとも患者のその他の口腔軟組織又は骨組織を含むが、これらに限定されない。領域は、患者の顔の左側又は右側に位置してもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の領域は、患者の顔の左側と右側の両方に位置してもよい。幾つかの実施形態では、領域は患者の顔の前側に位置してもよい。領域は、1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本又はそれ以上の本数の歯又はそれらの歯を取り囲むか又は支持する組織を含んでもよい。領域は、歯自体を含むか又は含まずに指定した歯のいずれかを取り囲むか又は支持する組織(例えば、歯槽骨又は基底組織)を含んでもよい。領域は、上顎によって支持された歯又は組織あるいは下顎によって支持された歯を含んでもよい。1つ又は複数の領域は互いに隣接してもよく、互いに連続していても、又は互いに離間してもよい。領域又は領域の実施例に関する本明細書内の説明は、本明細書に記載する他の任意の領域又は治療領域の実施例に適用できる。


[0060] 幾つかの実施形態では、光線は、患者の口腔内の1つ又は複数のその他の部分を照射することなく、組織の一部(例えば、骨組織、又は軟組織)を含むことができる領域あるいは患者の口腔内のその他の領域を照射できる。幾つかの実施形態では、光線は、患者の口腔内の1つ又は複数のその他の部分を照射するよりもはるかに大きい強度で、組織の一部(例えば、骨組織、又は軟組織)を含むことができる領域あるいは患者の口腔内のその他の領域を照射できる。例えば、光線は、患者の口腔内の1つ又は複数のその他の部分を照射する強度の3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、又は100倍の強度である領域を照射できる。一実施形態では、光線は、患者の歯のいずれかを照射する光線の強度よりも大きい強度で患者の上顎又は下顎歯槽骨を照射できる。幾つかの実施形態では、これは、1つ又は複数の領域を光線から遮蔽する1つ又は複数の口腔内又は口腔外の光半透過又は光非透過のマスクを患者に施すことで、又は患者内で調整することで達成される。幾つかの実施形態では、ある領域に達する光線は、しきい値よりも大きい強度を有してもよい。幾つかの実施形態では、しきい値は、本明細書に記載する強度を有してもよい。


[0061] 領域は、患者の口内の表面の付近であってもよく、又は軟組織若しくは骨組織内であってもよい。領域は、患者の顔の表面からある深さの位置にあってもよい。例えば、領域は、患者の顔の表面から約1nm、約1μm、約10μm、約50μm、約100μm、約200μm、約300μm、約500μm、約750μm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約7mm、約10mm、約15mm、約20mm、約25mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、又は約70mmの深さの位置にあってもよい。光線は、約1nm2、約1μm2、約1mm2、約10mm2、約1cm2、約2cm2、約3cm2、約5cm2、約7cm2、約10cm2、約15cm2、約20cm2、約25cm2、約30cm2、約35cm2、約40cm2、約50cm2、又は約60cm2の面積を有する領域を照射できる。幾つかの実施形態では、光線は、周辺の領域を大きい強度で照射することなく特定の領域を照射できる。例えば、光線は、下顎骨上の歯を大きい強度で照射することなく下顎骨の一部を照射できる。別の実施形態では、光線は、隣接する歯を十分な量の光線で照射することなく特定の歯又は一組の歯を照射できる。


[0062] 光線は、口腔外から患者に投与できる。幾つかの実施形態では、光線は光線治療装置から提供できる。その実施形態について以下に説明する。下記のように、光線は、いずれかの光線治療装置の実施形態の特性、特徴、構成要素又は構成を含む光源から放射できる。歯の移動を調節する方法は、光線治療装置を提供するステップをさらに含んでもよい。また歯の移動を調節する方法は、光線治療装置から光線を投与するステップをさらに含んでもよい。光線は他の任意の光源から提供でき、下記の光線治療装置に限定されない。


[0063] 光線は、患者の顔の外側から投与できる。幾つかの実施形態では、光線は患者の顔に接触可能な光源から提供できる。同様に、光源は患者の顔に接触可能な複数の光源から放射できる。一実施形態では、1つ又は複数の光源は、ある領域に覆いかぶさるように患者の顔の皮膚に接触できる。光線は、患者の顔に圧力を提供できる光源から投与できる。光線は、患者の顔を通して領域を照射できる。領域は、患者の口腔内に位置してもよい。幾つかの実施形態では、光エミッタを口腔の外側に提供してもよい。頬、顎の皮膚、唇、又は下顎などの患者の顔の一部を光エミッタと口腔との間に配置してもよい。患者の口腔内に位置する領域に光線を経皮的に投与してもよい。光線は、患者の皮膚を通して領域を照射できる。光線は、患者の頬、患者の顎の上に覆いかぶさる皮膚、患者の下顎、患者の唇、又は患者の顔が外接するか又はその他の方法で画定するその他の任意の領域を通過できる。幾つかの実施形態では、光線は、患者の1つ又は複数の領域に1つ又は複数の波長の光線を提供する1つ又は複数の光源を手動で保持することである領域を照射できる。幾つかの実施形態では、光線は、患者の皮膚を通して経皮的にのみある領域を照射できる。幾つかの実施形態では、光線は口腔外からのみ投与され、口腔内では投与されない。幾つかの代替実施形態では、光線は口腔外から、また口腔内で投与できる。一実施形態では、光線を投与される患者はその口を閉じている。


[0064] 他の実施形態では、光源は患者の顔に接触しない。光源と患者の顔との間にギャップを設け、口腔外の光線を患者に投与することができる。光源は、患者の顔に接触せず患者の顔の皮膚の近辺にあってもよい。幾つかの実施形態では、患者の顔が緩んでいる時には患者の顔に接触しないが患者が顔の一部を動かすか又は顔を緊張させると顔に接触する光源から光線を投与できる。幾つかの実施形態では、光源は、患者の顔が緩んでいるか緊張している間、患者の顔からの距離が約1mm以下、約2mm以下、約3mm以下、約5mm以下、約7mm以下、約1cm以下、約1.5cm以下、約2cm以下、約2.5cm以下、又は約3cm以下であってもよい。ある領域から特定の距離の位置にある光源から光線を放射できる。幾つかの実施形態では、距離は、約0.1mm以下、約0.5mm以下、約1mm以下、約2mm以下、約3mm以下、約5mm以下、約7mm以下、約1cm以下、約1.5cm以下、約2cm以下、約2.5cm以下、又は約3cm以下である。


[0065] 単一の光源から光線を投与できる。あるいは、複数の光源から光線を投与できる。光線は、連続する領域又は1つ又は複数の離散的な領域を照射できる。光線は、異なる方向から様々な領域を照射できる。例えば、患者の顔の右側及び患者の顔の左側から光線を投与できる。ある領域に対して光線が上向きの角度を有するように光線を投与でき、又はある領域に対して光線が下向きの角度を有するように光線を投与できる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の静止した光源から光線を投与できる。例えば、投与中に光源は静止していてもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の移動する光源から光線を投与できる。光線は変位させることができ、角度を付けることができ、回転させることができ、又はこれらの任意の組合せが可能である。連続的に移動している光源から光線を投与でき、又は離散的に若しくは突然に移動している光源から光線を投与できる。


[0066] 有効な量の光線を投与できる。有効な量の光線は、歯の移動の調節に影響する特性を有する光線を含んでもよい。特性は、光の強度、光の波長、光の可干渉性、光の範囲、放射のピーク波長、光エネルギー密度、連続性、パルシング、デューティサイクル、周波数、継続期間、又は光エミッタがオンであるかオフであるかを含んでもよいが、これらに限定されない。


[0067] 歯の移動を調節する方法は、光線の有効放射線量を決定するステップを含んでもよい。決定は、所期の歯の移動の調節効果に基づいてもよい。この方法は、光線の有効放射線量を提供する1つ又は複数の光線の特性を選択するステップをさらに含んでもよい。この方法は、コントローラからの命令を受信して特定の特性を有する光線を放射するステップをさらに含んでもよい。コントローラは本明細書に記載する任意のコントローラであってもよく、又は本明細書に記載するステップのいずれかを実施することができる。


[0068] 所期の特性を有する光線を放射することができる1つ又は複数の光源から光線を投与できる。光源は、1つ又は複数のエミッタから光線を放射できる。幾つかの実施形態では、光源は、約10個〜約15個のエミッタ、約15個〜約20個のエミッタ、約20個〜約30個のエミッタ、約30個〜約40個のエミッタ、約40個〜約50個のエミッタ、約50個〜約70個のエミッタ、又は約70個のエミッタ〜約100個のエミッタを備える。例えば、アレイ内に存在できる発光ダイオード(LED)、及びレーザ、例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又はリン化インジウムガリウムアルミニウム(InGaAlP)レーザ、リン化ガリウムヒ素/リン化ガリウム(GaAsP/GaP)レーザ、又はガリウムアルミニウムヒ素/ガリウムヒ素(GaAlAs/GaAs)レーザなどのその他の好適な光エミッタなどの1つ又は複数のエミッタを備えることができる光源から光線を投与できる。一実施形態では、光源は複数のレーザを備える。複数の光エミッタは、1つ又は複数の波長の光線を放射できる。あるいは、1つ又は複数の光エミッタは、光源のために同じ波長の光を放射できる。1つ又は複数の光エミッタは、直線のアレイ又は本明細書に記載する別の構成などの任意の形で光源上に配置できる。


[0069] 有効な量の光線は、歯の移動の調節に有効な強度を有してもよい。一実施形態では、光線強度は少なくとも10mW/cm2である。他の実施形態では、光線強度は、約1mW/cm2以上、約3mW/cm2以上、約5mW/cm2以上、約5mW/cm2以上、約7mW/cm2以上、約12mW/cm2以上、約15mW/cm2以上、約20mW/cm2以上、約30mW/cm2以上、約50mW/cm2以上、約75mW/cm2以上、約100mW/cm2以上、約200mW/cm2以上、約500mW/cm2以上、又は約1W/cm2以上である。他の実施形態では、光線強度は、約20mW/cm2以下、約30mW/cm2以下、約50mW/cm2以下、約75mW/cm2以下、約100mW/cm2以下、約200mW/cm2以下、約500mW/cm2以下、約1W/cm2以下、又は約2W/cm2以下である。幾つかの実施形態では、強度は平均強度である。上記の強度のいずれかによって決定される範囲内の強度を有する光線を投与できる。幾つかの実施形態では、強度は、約10mW/cm2〜約60mW/cm2、又は約20mW/cm2〜約60mW/cm2の範囲内の強度を有する。そのような環境では、ピークの光線強度は約50mW/cm2以上であってもよい。ピーク波長は最大強度の光が放射される波長である。幾つかの実施形態では、光線はパルス光方式である。他の実施形態では、光線は連続的である。幾つかの実施形態では、光線強度は周期的又は非周期的に時間と共に変化する。光線強度はパルシングを伴って、又は伴わずに変化する。幾つかの実施形態では、パルス幅変調を用いて所望の光線強度を得ることができる。1つ又は複数の光線強度を投与する場合、固有の強度の波長を投与できる。


[0070] 幾つかの実施形態では、有効な量の光線は 特定の範囲内の波長を有する光線又はある波長範囲の光線を含んでもよい。光線は可視光線でなくてもよい。例えば、光線は赤外線又は近赤外線を含んでもよい。光線は可視光領域内でも提供できる。約620nm〜約1000nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有する光線を投与できる。幾つかの実施形態では、投与される光線は、約585nm〜約665nm、約815nm〜約895nm、約640nm〜約680nm、又は約740nm〜約780nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有し、あるいは例えば、約625nm又は約855nm、又は約605nm〜約645nm、又は約835nm〜約875nmなどの上記範囲内の任意の所与の波長若しくは波長範囲を有する。幾つかの実施形態では、投与される光線は、約605nm〜約645nm又は約835nm〜約875nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有する。幾つかの実施形態では、投与される光線は、約615nm〜約635nm又は約845nm〜約865nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有する。幾つかの実施形態では、投与される光線の波長は約625nm又は約855nmである。追加の実施形態では、投与される光線は、約400nm〜約1200nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有する。特定の実施形態では、投与される光線は、約500nm〜約700nm、約585nm〜約665nm、約605nm〜約630nm、約620nm〜約680nm、約815nm〜約895nm、約820nm〜約890nm、約640nm〜約680nm、又は約740nm〜約780nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有する。幾つかの実施形態では、投与される光線は、約820nm〜約890nm及び約620nm〜約680nmの波長範囲の一方又は両方の範囲内の1つ又は複数の波長を有する。幾つかの実施形態では、投与される光線は、約820nm〜約890nm及び約620nm〜約680nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有する。幾つかの実施形態では、投与される光線は、約815nm〜約895nm及び約585nm〜約665nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有する。あるいは、投与される光線は、約613nm〜約624nm、約667nm〜約684nm、約750nm〜約773nm、約812nm〜約846nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有してもよい。


[0071] 幾つかの実施形態では、投与される光線は、上記の光線範囲の1つ、2つ、又はそれ以上で投与される。幾つかの例では、光線は、上記の光線範囲の1つ、2つ、又はそれ以上の外側で投与される。他の実施形態では、投与される光線は、特定の用途に応じて適宜別の波長を有する。幾つかの実施形態では、第1の組の特性(例えば、波長、強度、パルシング、タイミング)を有する光線を第1の領域に投与し、第2の組の特性を有する光線を第2の領域に投与してもよい。第1の領域と第2の領域は同じ領域であってもよく、部分的に重なっていてもよく、又は重なっていなくてもよい。第1の組の特性は第2の組の特性と同じであってもよく、部分的に重なっていてもよく、又は第2の組とすべて異なっていてもよい。一実施形態では、顎の一領域が第1の波長範囲内の光線を受光し、顎の別の領域が第2の波長範囲内の光線を受光してもよい。第1及び第2の波長は重なっていてもよい。あるいは、第1及び第2の波長は重なっていない。


[0072] 様々な用途について以下に光線の波長範囲の実施例を記載するが、上記の光線波長値を含むその他の任意の光線の波長の値をそれらの用途で投与してもよい。


[0073] 患者の歯槽及び歯に約815nm〜約895nmの範囲内、例えば約835nm〜約875nm又は約855nmの波長を有する光線を口腔外から経皮的に投与することは、歯の移動速度を増加させることに有用である。一実施形態では、歯の移動速度を増加させることで光線を投与されない歯列矯正患者が経験する程度を超えた傾斜運動の増加を阻止できる。


[0074] 患者の歯槽及び歯に約585nm〜約665nmの範囲内、例えば約605nm〜約645nm又は約625nmの波長を有する光線を口腔外から経皮的に投与することも同様に歯の移動速度を増加させることに有用である。


[0075] 一実施形態では、約585nm〜約665nmの範囲内の波長を有する光線の投与は、約815nm〜約895nmの範囲内の波長を有する光線の投与と比較して歯の歯槽骨ごとの移動の程度を増加させる。約585nm〜約665nmの範囲内(例えば、約625nm)の波長を有する光線の投与の結果、約815nm〜約895nm(例えば、約855nm)の範囲内の波長を有する光線の投与と比較して傾斜が約10%〜約50%低減する。例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、又は約50%の傾斜の低減が可能である。特定の波長の光線は傾斜を最小限にできる。


[0076] したがって、約605nm〜約645nmの範囲内の波長、例えば約625nmの波長を有する光線の投与は歯列矯正治療での歯の歯槽骨ごとの移動を容易にするのに有用であり、オプションとして骨再生を増加させる。幾つかの実施形態では、この方法は、骨再生を増加させるステップをさらに含む。別の実施形態では、約835nm〜約875nmの範囲内の波長、例えば約855nmの波長を有する光線の投与はある程度の傾斜移動が望ましいか又は許容され、オプションとして骨再生を増加させる歯の移動の速度を高めるのに有用である。


[0077] 他の実施形態では、約605nm〜約645nmの範囲内の波長、例えば約625nmの波長を有する光線の投与は、骨整形の質又は程度を増加させるのに有用である。したがって、本発明は、それを必要とする患者の上顎又は下顎歯槽骨の一領域又は上記のその他の任意の領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む骨整形の質又は程度を増加させる方法にさらに関する。例えば、口腔及び上顎顔面骨又は組織の領域に光線を照射できる。


[0078] 骨整形は、骨の形状、骨量、骨密度、又は骨ミネラル含量などの任意の骨の特性の変化を含んでもよいが、これらに限定されない。骨整形の質又は程度を増加させることで歯の特定の位置、例えば、1つ又は複数の口腔又は歯列矯正器具のうち任意の器具などの歯列矯正治療以前の位置などの以前の位置に歯が戻る可能性を低減する1つ又は複数の口腔又は歯列矯正器具のうちのある器具などの歯列矯正治療の結果として得られる位置の歯の保持を増加させる助けになる。したがって、約585nm〜約665nm、又は約605nm〜約645nm、又は約615nm〜約635nmの範囲内、又は約625nmの波長、さらにオプションとして815nm〜895nmの範囲内の波長の光線の投与は、歯列矯正治療前、その後、又はそれと同時の歯の移動を安定化させるのに有用である。したがって、他の実施形態では、本発明の方法は、光線の投与前、その後、又はそれと同時に患者に1つ又は複数の口腔又は歯列矯正器具を装着するステップなどの歯列矯正治療を実行するステップをさらに含む。一実施形態では、器具は、リテーナ装置又は受動的歯列矯正器具である。例えば、好適な器具は、ホーリーリテーナ又は真空形成リテーナなどの着脱式リテーナ、あるいは接着リンガルリテーナなどの固定リテーナを含む。これらの器具は、例えば、歯の再生を刺激することによって光線の投与前、その後、又はそれと同時に歯の位置を保持する助力となる。一実施形態では、歯列矯正治療前、その後、又はそれと同時の歯の移動を安定化させるために、約815nm〜約895nm、又は約835nm〜約875nm、又は約845nm〜約865nmの範囲内、又は約855nmの波長の光線の投与も有用である。一実施形態では、約585nm〜約665nmの範囲内の波長の光線の投与は、約815nm〜約895nmの範囲内の波長の光線の投与と比較して大幅に骨再生を増加させる。


[0079] したがって、特定の波長を有する光線の投与は、歯の移動の速度、質及び歯槽骨ごとの移動対傾斜などの歯の移動のタイプを調整し、歯の移動を増加させ又は安定化させるのに有用である。幾つかの実施形態では、歯の移動の安定化は、より少ない傾斜で1つ又は複数の歯を移動させるステップを含んでもよい。歯の移動の安定化は、特定の方法で歯の移動を遅らせるか又は阻止するステップを含んでもよい。例えば、これは、傾斜量を最小限にするか又は傾斜を解消するステップを含んでもよい。骨再生には光線の投与も有用である。


[0080] 幾つかの実施形態では、患者の上顎及び下顎骨の実質的に全体に光線を投与することができる。あるいは、光線治療装置又はその他の好適な装置を用いて、患者の上顎及び下顎歯槽骨の異なる選択された領域に1つ又は複数の波長の光線を投与して患者の口の1つ又は複数の領域内の歯の移動(例えば、固定する(移動なし)、歯の歯槽骨ごとの移動、又は傾斜移動)を実行することができる。例えば、歯を移動させないか又は歯が患者の顎のその他の選択された領域内での歯の移動を容易にするための固定具として働くことが望まれる1つ又は複数の領域をオプションとしてスクリーニング又はマスクしてそれらが光線を受光しないようにできる。歯を歯槽骨ごと移動させることが望まれる領域には、約585nm〜約665nm、約605nm〜約645nm、約615nm〜約635nmの範囲内、又は約625nmの波長を有する光線を投与できる。歯の移動を増加させるが歯のある程度の傾斜を許容することが望まれる領域には、約815nm〜約895nm、約835nm〜約875nm、約845nm〜約865nmの範囲内、又は約855nmの波長を有する光線を投与できる。歯の移動は、患者の上顎又は下顎骨の1つ又は複数の選択された領域に1つの波長を有する有効な量の光線を投与し、骨の1つ又は複数の選択された異なる領域に異なる波長を有する有効な量の光線を投与することで選択的に調節できる。


[0081] 幾つかの実施形態では、狭い範囲の波長(例えば、50nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、5nm以下)あるいは単一の波長の光線を投与できる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の放射ピーク波長の光線を投与できる。ピーク波長とは最大強度の光線が放射される波長である。幾つかの実施形態では、範囲内に最大強度のピーク波長を含むある範囲の波長の光線を投与できる。幾つかの実施形態では、ピーク波長は、約620nm、約640nm、約650nm、約655nm、約660nm、約665nm、約670nm、約680nm、約690nm、約800nm、約820nm、約830nm、約835nm、約840nm、約845nm、約850nm、約860nm、約870nm、又は約890nmであってもよい。


[0082] 1つ又は複数の光線波長を投与する場合、任意の割合の各々の波長の強度を有する光線を投与できる。例えば、第1の波長で投与される光線は、第2の波長で投与される光線の約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.5倍、1.7倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、5.0倍、10倍、12倍、15倍、20倍、30倍、50倍、100倍の強度を有してもよい。幾つかの実施形態では、投与される光線は1つ又は複数の光源から放射され、一実施形態では、第1の特性の組を有する1つ又は複数のエミッタから放射され、オプションとして、第2の特性の組を有する光エミッタの第2の組から放射される。他の実施形態では、第1の特性の組を有する光エミッタの数は、第2の特性の組を有する光エミッタの数より大きい。例えば、第1の特性の組を有する光エミッタの数は、第2の特性の組を有する光エミッタの数の約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.5倍、1.7倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、5.0倍、10倍、12倍、15倍、20倍、30倍、50倍、100倍であってもよく、又はその逆であってもよい。


[0083] 光線は、オプションとして実質的に単色であってもよい。複数の波長で放射する光エミッタから光線を投与することで選択的に複数の波長での放射と投与の精度が確保される。オプションとして、光線は、非コヒーレント光を含んでもよい。幾つかの実施形態では、単一周波数で光線を投与でき、光線は比較的迅速にドリフトする位相を有してもよく、光波のパルスは迅速に変化する振幅を有し、又は光波は幅広い周波数を含んでもよい。


[0084] 光エミッタから光線を直接投与できる。光線は、放射して患者の顔を通して直接にある領域に到達する。幾つかの実施形態では、患者の顔に到達する前に、又は患者の顔を通過する前に、光学装置で光線を修正できる。例えば、光線の放射後、患者の顔に到達する前に、又は患者の顔を通過する前に、光線を拡散させ、合焦させ、平行にし、反射させ、方向転換させ、又はフィルタリングすることができる。一実施形態では、患者の顔又は領域に到達する前に1つ又は複数の波長の光線を選択的に閉塞し又は部分的にフィルタリングできる。幾つかの実施形態では、光線は、領域に到達する前に放射源から発散又は収束してもよい。例えば、約45〜60°の範囲内の挟角θを有するビームに発散してもよい。放射光は、発散して0〜約15°、0〜約30°、0〜約45°、0〜約60°、0〜約75°、0〜約90°、又は0〜約120°の範囲内の挟角を有してもよい。


[0085] 領域を照射する光線は、オプションとして放射光と同じ又はほぼ同じ特性を有してもよい。幾つかの実施形態では、領域に到達する光線は放射光と同じ特性を有しない。オプションとして、光線の特性の1つ以上は、投与の前に又は患者の顔を通過する時に変更できる。オプションとして、光線の特性の1つ以上は、1つ又は複数のレンズ又はミラーなどの光学装置を通過する時に変更できる。例えば、光線の特性の1つ以上は、約±20%以下、約±15%以下、約±10%以下、約±5%以下、約±3%以下、約±1%以下、約±0.5%以下、又は約±0.1%以下の範囲内で変更できる。


[0086] 光線の有効放射線量は、約24J/cm2〜約200J/cm2の範囲内であってもよい。光線の有効放射線量は1回で、又は繰り返し投与できる。幾つかの実施形態では、有効放射線量は、約約30J/cm2〜約100J/cm2の範囲内の光エネルギー密度を有してもよい。他の実施形態では、光線の放射線量は、約5J/cm2以下、約10J/cm2以下、約20J/cm2以下、約30J/cm2以下、約50J/cm2以下、約75J/cm2以下、約100J/cm2以下、約125J/cm2以下、約150J/cm2以下、約175J/cm2以下、又は約200J/cm2以下であってもよい。光線の放射線量は、約1J/cm2以上、約5J/cm2以上、約10J/cm2以上、約20J/cm2以上、約25J/cm2以上、約30J/cm2以上、約40J/cm2以上、約50J/cm2以上、約60J/cm2以上、約75J/cm2以上、約100J/cm2以下、約125J/cm2以上、約150J/cm2以上、又は約175J/cm2以上であってもよい。光線の放射線量は、上記のエネルギー密度値のいずれかに境界を接する範囲内であってもよい。光線の放射線量は、例えば、比較的高い平均強度を有する光線を放射する光源を用いて、又は光線の投与期間を引き延ばすことで増加させることができる。


[0087] オプションとして反復可能な有効放射線量が投与される期間は約10〜約40分である。他の実施形態では、放射線量は、約30秒以上、約1分以上、約2分以上、約3分以上、約5分以上、約7分以上、約10分以上、約15分以上、約20分以上、約25分以上、約30分以上、約40分以上、約50分以上、約1時間以上、約1時間15分以上、約1時間30分以上、又は約2時間以上の期間にわたって投与できる。放射線量は、約3分以下、約5分以下、約10分以下、約15分以下、約20分以下、約25分以下、約30分以下、約35分以下、約40分以下、約50分以下、約1時間以下、約1時間15分以下、約1時間30分以下、約2時間以下、又は約4時間以下の期間にわたって投与できる。放射線量は、上記のいずれかの時間値に収まる時間範囲内で投与できる。そのような光線治療は、口腔外から提供された光線の放射を含んでもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の口腔内光遮断マスク又はシェードを使用できる。口腔マスクは、口腔マスクによって覆われた領域に光線の1つ又は複数の波長が到達するのを阻止でき、又は光線の1つ又は複数の波長の強度を低減できる。これは、上弓(例えば上顎骨)又は下弓(例えば下顎骨)を含んでもよい。したがって、他の実施形態では、この方法は、患者に口腔内又は口腔外シェード又はマスクを装着するステップをさらに含む。口腔内又は口腔外シェード又はマスクは、光線の投与の前に、又はそれと同時に装着できる。


[0088] 放射線投与の間に任意の期間を提供できる。例えば、放射線投与の間の期間は、秒単位、分単位、時間単位、日単位、週単位、月単位、3ヶ月単位、又は年単位であってもよい。


[0089] 幾つかの実施形態では反復的な有効放射線量を任意の所望の周期で、例えば、毎日4回、毎日3回、毎日2回、毎日、1日おき、毎週、隔週、毎月、又は3ヶ月ごとに投与できる。実施形態によっては、放射線量を規則的な間隔で(例えば、毎日)投与でき、また他の実施形態では、放射線量は規則的な間隔で投与されない(例えば、週の任意の時点で週2回投与できる)。一実施形態では、朝と夜に光線を投与できる。患者が歯列矯正治療を受けている期間を通して、又は治療後に光線を投与して歯の移動を安定化させることができる。例えば、本明細書に記載するように、器具を装着した後、除去した後、調整した後、予約後、又はアクティブフェーズ後に光線を投与できる。患者が歯列矯正治療を受けている間、光線投与の頻度を増やすことが望ましい(例えば、1日4回、1日3回、1日2回、毎日又は1日おき)。歯の移動を安定化させるために光線を投与する場合、頻度を減らした(例えば、毎週、隔週、毎月、又は3ヶ月おき)治療を用いて患者の不便を最小限にできる。光線は任意の長さの時間だけ投与できる。幾つかの実施形態では、光線は、週、月、3ヶ月、又は年単位で投与できる。


[0090] 光エミッタがパルス光方式の場合、そのデューティサイクルを適宜調整できる。例えば、デューティサイクルが約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%の光線を投与できる。パルス照射は任意の周波数で実行できる。例えば、光線は、ピコ秒、ナノ秒、マイクロ秒、ミリ秒、秒、数秒又は数分毎にパルス照射できる。周波数は、約1mHz、約10mHz、約50mHz、約100mHz、約500mHz、約1Hz、約2Hz、約5Hz、約10Hz、約15Hz、約20Hz、約25Hz、約30Hz、約35Hz、約40Hz、約50Hz、約70Hz、約100Hz、約200Hz、約500Hz、又は約1kHzを含んでもよいが、これらに限定されない。光線放射の上記の特性(例えば、光線がオンかオフか、連続的かパルス的か、デューティサイクル、周波数、強度、波長)を変更又は維持できる。コントローラを有する光源から光線を放射する場合、そのコントローラからの命令に従って光線放射の任意の特性を変更又は維持できる。


[0091] 光線を1つ又はそれ以上の光源から放射する場合、所与の期間にオン又はオフである光源の数を個別に制御できるように光源を制御できる。例えば、ある光源を他の光源に対してオン又はオフにすることができる。様々な光源を個別に調整して患者の上顎又は下顎歯槽骨又はその他の領域の個別の部分を所望のエネルギー密度に曝露することができる。これは、様々な領域に光線を投与することが望まれる時に望ましい。したがって、投与される光線の位置を変更できる。別の実施形態では、異なるタイプの光源を他の光エミッタに対してオン又はオフにすることができる。例えば、ある時には、第1の波長範囲内の放射光をオンにして第2の波長範囲内の放射光をオフにすることができ、またその逆も可能であり、あるいは両方のタイプの光エミッタをオン又はオフにすることができる。したがって、投与する光線の波長を変更できる。幾つかの実施形態では、投与する光線の強度を変更することができる(例えば、幾つかの光源をオン又はオフにすることで、又は光源によって放射された強度を変更することで)。光線を選択的に投与することで全く光線にさらされない歯の固定効果を増加させることができ(歯の移動性が低減するという理由で)、それによって、光が投与される歯のより正確な移動が確保される。


[0092] ある領域に赤外線が投与される幾つかの実施形態では、可視光も放射できる。一実施形態では、可視光は明るい。明るい可視光は、光源の動作中にユーザ又は患者が光源を覗き込むことを抑止し、光線が放射されているという知覚可能な表示を提供でき、光源の適正な位置決めに有用である。可視光は、必須ではないが、光線治療又は歯の移動の調節に有益な波長範囲内であってもよい。幾つかの実施形態では、光線の可視光及び赤外光成分の強度の割合は可視光が1以下に対して赤外光が5以上である。幾つかの実施形態では、相互に1桁未満の大きさの波長を含んでもよい範囲内の光線を放射できる。あるいは、範囲は相互に1桁、2桁、3桁又はそれ以上の大きさの波長を含んでもよい。


[0093] 領域及び所望の光線の特性は患者によって異なっていてもよい。医師、歯科医又は患者は患者の光線治療計画を決定できる。幾つかの実施形態では、医師、歯科医又は患者は、光線を投与して所望の治療を提供する光線治療装置を使用できる。


[0094] 幾つかの例では、他の領域の歯を移動させないということが望まれる場合(例えば、患者の上側の歯又は下側の歯の移動だけを調節し、又は光線を全く投与しない、例えば、光線を固定用の歯から遮断することで他の歯の移動を調節する時にある歯を固定具として使用することを望んでもよい)。また、下記のように、患者の歯の移動を別な形で操作することを望む場合、患者の上顎又は下顎歯槽骨の異なる領域に異なる波長の光線を投与することを望んでもよい。例えば、第1の領域に第1の波長の光線を投与でき、第2の領域に第2の波長の光線を投与できる。第1及び第2の波長は、約585nm〜約665nm、又は約815nm〜約895nmなどの本明細書の別の箇所に記載する任意の波長を含んでもよい。


[0095] ある区域全体に光線を投与できる。例えば、ある区域を備えた領域に光線を投与できる。幾つかの実施形態では、光線の特性は区域全体で一様であってもよい。他の実施形態では、光線の特性は区域全体で変化してもよい。例えば、光線の特性は、領域内の区域全体で一様であっても変化してもよい。光線が投与される区域は、任意の形状又はサイズを有してもよい。


[0096] 任意のサイズと形状の光線放射区域に光線を投与できる。例えば、患者の上顎又は下顎歯槽骨の指定された領域などの領域は、任意の形状又はサイズを有してもよい。光線放射区域の1つ又は複数の寸法は、約1〜約70mmの範囲内であってもよい。幾つかの実施形態では、光線照射区域の1つ又は複数の寸法(例えば、長さ、幅、直径)は、約1〜約3mm、約3〜約5mm、約5〜約7mm、約7〜約10mm、約10〜約15mm、約15〜約20mm、約20〜約25mm、約25〜約30mm、約30〜約35mm、約35〜約40mm、約40〜約50mm、又は約50〜約60mmであってもよい。


[0097] 光線放射区域は、実質的に矩形の形状、四角形の形状、三角形の形状、六角形の形状、八角形の形状、台形の形状、円形の形状、楕円形の形状、三日月の形状、円柱の形状又は半円を含んでもよいが、これらに限定されない任意の形状を有してもよい。幾つかの実施形態では、光源の寸法は、光線放射区域の寸法とほぼ同じであってもよい。他の実施形態では、光源の寸法は、光線放射区域の寸法よりも大きくてもよい。あるいは、光源の寸法は、光線放射区域の寸法よりも小さくてもよい。光源と光線放射区域の相対的な区域は、平行、収束、又は発散など、光線が放射される任意の角度に依存してもよい。


[0098] 幾つかの実施形態では、有効な放射線量の光線が治療計画内で提供される。有効な放射線量の光線を投与することで歯の移動を調節する方法内で治療計画が使用される。一実施形態では、通常の治療計画は毎日の放射線量を提供する。毎日の光線の放射線量は、数分〜約1時間の期間にわたって投与される。例えば、毎日の1/2時間の光線の放射線量は有効で患者によって不当に不便なものではない。毎日1回ある放射線量を投与することは、1日の異なる時刻に複数のセッションに分けてこれを投与するのと同じ効果がある。幾つかの治療計画は、12週にわたって週当たり5回の治療で光線を投与するステップを含んでもよい。各治療は1/2時間継続してもよく、660nm及び840nmの波長を有する光線を患者の顎の組織に照射することができる。660nmの光線は、皮膚の表面で約20mW/cm2の強度を有してもよい。840nmの光線は、皮膚の表面で約10mW/cm2の強度を有してもよい。これらの治療計画は、骨密度を増加させることができる。


[0099] その他の治療計画は、21日間にわたって毎日の治療で光線を投与するステップを含んでもよい。各々の治療は20分〜1時間継続し、618nmの波長を有し患者の皮膚の表面での強度が20mW/cm2の光線を患者の顎の組織に照射する。これらの治療計画は骨移植片の治癒を加速することができる。


[00100] 別の治療計画は、6ヶ月にわたって光線を毎日2回投与するステップを含んでもよい。一実施形態では、光線は光線治療装置から投与される。光線は、約660nm又は約840nm、又はその両方の波長で投与できる。光線の強度は、皮膚の表面で20mW/cm2であってもよい。光線の投与中に患者の口内に歯列矯正器具を装着してもよい。第1の6ヶ月の期間に続けて、1日おきに1回光線を投与する第2の6ヶ月の期間を提供できる。この時、患者の口内に同じ歯列矯正器具又は1つ又は複数の別の歯列矯正器具を装着してもよい。オプションとして、治療の進行と共に光線の投与の頻度を下げ、又は光線の強度を下げて投与してもよい。


[00101] 本発明の方法は、患者の顔の温度又は患者の顔又は領域に適用する任意の光源の温度を制御するステップをさらに含んでもよい。例えば、この方法は、患者の顔での冷却、加熱、又は温度維持のステップを含んでもよい。患者の顔を制御機構に接触させてそこから熱を除去又は提供できる。幾つかの実施形態では、光源によって熱が生成される。幾つかの実施形態では、光源の温度を制御できる。温度制御機構は光源と通信できる。光源から熱を除去し又は光源に熱を提供できる。本明細書に記載する温度調節の任意の実施形態をこの方法で使用できる。この方法は、患者の顔又は光源の温度を測定するステップをさらに含んでもよい。温度調節は、1回又は複数回の温度測定の実行に応答してオプションとして実行できる。


[00102] 一実施形態では、歯の移動の調節は、患者の歯列矯正治療前、その後、又はそれと同時に実行される。一実施形態では、光線の投与は反復的である。


[00103] 歯列矯正治療によって1つ又は複数の歯は歯を支持する上顎又は下顎に対してその位置を移動し又は維持することができる。あるいは歯列矯正治療は歯の移動の調節を含んでもよい。幾つかの例では、歯列矯正治療は、歯の整列ステップを含んでもよい。歯列矯正治療は、例えば、複数の歯が互いに関連する歯の個別の位置又は土台の顎の骨の位置の結果として歯の噛み合わせが不適正である時に発生する不正咬合の調節を含んでもよい。不正咬合は、本明細書に記載する方法による光線治療又は歯の移動の調節を用いて治療できる。したがって、本発明は、それを必要とする患者の上顎又は下顎歯槽骨の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む不正咬合を治療又は防止する方法にさらに関する。


[00104] 歯列矯正治療は、患者への歯列矯正器具の装着を含んでもよい。歯列矯正器具は、患者の1つ又は複数の歯に装着できる。この方法は、患者に歯列矯正器具を装着するステップ、例えば患者の1つ又は複数の歯に器具を装着するステップ、患者の歯列矯正器具を調整するステップを含んでもよく、又は患者から歯列矯正器具を除去するステップを含んでもよい。歯列矯正治療は、歯列矯正器具を患者に装着する期間を含んでもよい。幾つかの実施形態では、歯列矯正治療は、歯列矯正器具を装着した後、又は患者から除去した後の期間を含んでもよい。幾つかの例では、歯列矯正治療は、歯列矯正器具の装着前の期間を含んでもよい。歯列矯正治療は、患者が歯列矯正医に面会しているか又は相談している期間を含んでもよい。


[00105] 幾つかの実施形態では、歯列矯正治療は、アクティブステージとパッシブステージとを含んでもよい。アクティブステージは、歯列矯正器具が患者に装着されている時間を含んでもよい。幾つかの例では、アクティブステージは、歯を移動させるために歯に力を加える期間を含んでもよい。アクティブステージは、患者が患者の器具に対する1つ又は複数の調整を受けている期間を含んでもよい。パッシブステージは、患者から器具が除去された後の期間を含んでもよい。幾つかの例では、パッシブステージは、器具が装着されたが調整を受けていない期間を含んでもよい。幾つかの例では、パッシブステージは器具が歯を移動させるための力を提供していない期間を含んでもよい。逆に、パッシブステージは、器具が患者に装着されそれによって1つ又は複数の歯をその位置に維持する期間を含んでもよい。幾つかの実施形態では、歯列矯正治療のいずれかのステージは、日、週、月、3ヶ月、又は年単位にわたって継続していてもよい。


[00106] 幾つかの実施形態では、歯列矯正治療の結果として骨整形が実行される。1つ又は複数の歯、顎の任意の領域、又は口又は頭のその他の任意の領域に力を作用させることができる。力は、歯列矯正器具によって作用させることができる。骨整形は、顎の骨を含む骨の位置又は形態の変更を含んでもよい。例えば、顎の骨を前方に移動させ、又は引き伸ばすことができる。幾つかの実施形態では、骨整形は、歯の移動の調節と併用して実行される。したがって、本発明の方法は骨整形に有用である。本発明の方法は、骨整形ステップをさらに含んでもよい。顎骨の一領域などの領域又は任意の口腔の骨又は組織に光線を投与でき、光線は骨整形に有用である。したがって、本発明は、それを必要とする患者の口腔組織の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む骨整形を実行する方法をさらに提供する。骨整形と併用して光線治療を提供でき、光線治療は、骨整形の速度を増加させることができる。例えば、本発明の方法に記載する有効な量の光線を印加することで光線なしで同じ程度の骨整形を達成する時間量を約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%だけ低減することができる。光線治療は、骨整形を促進して歯の移動速度を増加させることができる。これによって、小さい力よりもさらに歯の移動を加速できるより大きい力を使用できる。そのような力は1つ又は複数の器具によって加えることができる。


[00107] 本発明の方法は、患者が1つ又は複数の歯列矯正器具を装着する前、患者が1つ又は複数の歯列矯正器具を装着している期間、又は患者から1つ又は複数の歯列矯正器具を除去した後に、患者に対して実施できる。歯列矯正器具は、患者の歯に対して固定式であっても可動式であってもよい。歯列矯正器具は、ピン及びチューブ器具、ワイヤ又は固定金具又はばねを使用する器具、リボンアーチ器具、Begg Light Wire装置、エッジワイズ装置、事前調整エッジワイズ装置、セルフライゲーティングエッジワイズ装置、二重らせん、三重らせん、四重らせん、上顎急速拡大装置(RPE)などの固定式能動器具、拡大及び口唇部アライメント器具INVISALIGN(商標)などの着脱式能動器具、ヘルブスト、バイオネータ、フレンケル、バイオブロック、アクティベータなどの機能器具、リバースヘッドギア及び従来のヘッドギアを含む歯列矯正ヘッドギア、及びその他のタイプの歯列矯正装置を含んでもよい。歯列矯正器具は、患者の1つ又は複数の歯に力を加えることができる。歯列矯正器具を用いて1つ又は複数の歯の位置を移動させ又は維持することができる。


[00108] 歯列矯正器具の装着、調整、又は除去は光線の投与の前又は後に実行できる。幾つかの実施形態では、有効な量の光線は、歯列矯正器具による歯列矯正治療中の歯の移動の調節又は加速の助けになる。有効な量の光線は、歯列矯正治療中に歯列矯正器具を装着する時間量を低減するのに有用である。例えば、本発明の方法によれば、光線の投与は、治療時間(例えば、歯列矯正デバイスを装着している)を治療時間の最大約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%だけ低減することができる。例えば、約585nm〜約665nmの範囲内(例えば、約625nm)の波長を有する光線を投与することで患者が歯列矯正器具を装着する時間量を約5%〜約90%、例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%だけ低減することができる。約815nm〜約895nmの範囲内(例えば、約855nm)の波長を有する光線を投与することで患者が歯列矯正器具を装着する時間量を約5%〜約90%、例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%だけ低減することができる。


[00109] 約585nm〜約665nmの範囲内(例えば、約625nm)の波長を有する光線を投与することで光線を投与しない場合と比較して約5%〜約90%速い歯の移動速度が達成できる。例えば、歯の移動速度は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%だけ速くなる。


[00110] 約815nm〜約895nmの範囲内(例えば、約855nm)の波長を有する光線を投与することで約585nm〜約665nmの範囲内(例えば、約625nm)の波長を有する光線を投与した場合と比較して約5%〜約60%速い歯の移動速度が達成できる。例えば、歯の移動速度は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、又は約60%だけ速くなる。


[00111] 約815nm〜約895nmの範囲内(例えば、約855nm)の波長を有する光線を投与することで光線を投与しない場合と比較して約5%〜約95%速い歯の移動速度が達成できる。例えば、歯の移動速度は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%だけ速くなる。


[00112] 幾つかの実施形態では、本発明の方法による光線治療の処方は、コルチコトミーで得られる歯の移動よりも速い歯の移動速度を達成する。


[00113] 治療計画に従って光線を投与できる。幾つかの実施形態では、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与する前に装着でき、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与するのと同時に装着でき、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与した後に装着でき、又はそのいずれの組合せも可能である。幾つかの実施形態では、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与する前に除去することができ、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与するのと同時に除去することができ、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与した後に除去することができ、又はそのいずれの組合せも可能である。幾つかの実施形態では、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与する前に調整でき、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与するのと同時に調整でき、歯列矯正器具を口腔外から光線を投与した後に調整でき、又はそのいずれの組合せも可能である。


[00114] 一実施形態では、有効な放射線量は、約24J/cm2〜約200J/cm2の範囲内であってもよく、約585nm〜665nmの範囲内、又は約815nm〜895nmの範囲内の波長を有してもよい。約585nm〜665nmの範囲内の波長を有する光線の投与は、歯の歯槽骨ごとの移動を促進するか又は歯の傾斜を最小限にするのに、あるいはその両方に有用である。約815nm〜895nmの範囲内の波長を有する光線の投与は、患者の骨内の歯の移動速度を増加させるのに有用である。幾つかの他の実施例では、光線の有効放射線量は、上記の光線の特性のいずれかを有してもよい。光線が投与されない患者の上顎又は下顎歯槽骨の領域内の歯を固定具として用いて選択された領域の歯の移動を容易にすることができる。一実施形態では、光線は患者の顔に投与される。


[00115] 幾つかの実施形態では、それを必要とする患者に対して、患者の上顎又は下顎歯槽骨の選択された第1の領域に第1の波長を有する光線の有効放射線量を口腔外から投与するステップと、患者の上顎又は下顎歯槽骨の選択された第2の領域に第2の波長を有する光線の有効放射線量を口腔外から投与するステップとを含む歯の移動を調節する方法が提供される。一実施形態では、調節ステップは患者の歯列矯正治療の前、その後、又はそれと同時に実行される。一実施形態では、第1の波長を有する光線の有効放射線量は反復放射線量である。別の実施形態では、第2の波長を有する光線の有効放射線量は反復放射線量である。歯槽骨以外の領域も第1又は第2の波長の光線を受光できる。一実施形態では、光線の有効放射線量は24J/cm2〜200J/cm2の範囲内であってもよい。第1の波長は約585nm〜665nmの範囲内であってもよく、第2の波長は約815nm〜895nmの範囲内であってもよい。他の実施例では、光線の有効放射線量は上記の任意の光線の特性を有してもよい。一実施形態では、光線は患者の顔に投与される。


[00116] 幾つかの実施形態では、この方法は、歯列矯正器具を装着するステップ、歯列矯正器具を除去するステップ又は歯列矯正器具を調整するステップを含む。他の実施形態では、この方法は、歯列矯正治療が完了するまで光線を投与するステップを含む。歯列矯正治療は、歯列矯正の専門医の予約が完了した後、1つ又は複数の歯の移動が安定化して歯列矯正器具の助けなしに実質的に同じ位置に定着した後、又は以下に詳述する歯列矯正治療のパッシブステージ中に完了したと見なされる。歯列矯正器具が装着され、調整され、又は除去される前に、その間に、後に、又はそれらの任意の組合せの時期に光線を投与できる。歯列矯正器具は、光線の投与前、投与中、投与後、又はそれらの任意の組合せの時期に装着し、調整し、又は除去することができる。


[00117] 本明細書に記載するように、例えば、骨内部での歯の移動速度又はその移動の質(例えば、「歯槽骨ごとの」移動)は光線の投与によって調節できる。一実施形態では、本発明の方法は、歯の移動の調節と同時に発生することがある骨再生を実現するのに有用である。骨再生は、本発明の方法による光線の投与によって促進できる。光線は、歯列矯正治療の前、その間又は後に投与できる。光線は、本明細書に記載する光線治療装置から放射できる。骨再生は、骨成長又は骨吸収を含んでもよい。これは、骨芽細胞又は破骨細胞の活性化を含んでもよい。歯の移動は、場合によって骨芽細胞又は破骨細胞の活動を必要とする。一実施形態では、本発明の方法による光線の投与は骨芽細胞又は破骨細胞を、したがって、骨芽細胞又は破骨細胞の活動を刺激する。光線の投与は、歯の移動に伴う歯の再生を促進できる。


[00118] 例えば、歯の移動を調節する方法は、歯のマスク又はその他の口腔マスクを装着、調整又は除去するステップをさらに含んでもよい。歯のマスクは、光線の投与前、投与中又は投与後に実行できる。光線は口腔マスクが装着され、調整され、又は除去される前、その最中、その後、又はその任意の組合せの時点で投与できる。幾つかの実施形態では、患者の歯の1つ以上は、少なくとも光線の一部を遮断できる歯のマスクで少なくとも部分的に覆うことができる。歯のマスクは、1つ又は複数の波長の光線を遮断できる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の波長の光線を完全に遮断でき、他の実施形態では、歯のマスクは、歯に到達する光線の量又は強度を低減できる。幾つかの実施形態では、歯に投与される光線の強度はゼロであってもよく、又は光源から放射される光線の強度よりも小さくてもよい。


[00119] 本発明の別の態様によれば、歯の移動の調節方法は歯の移動の再生を調節できる。例えば、歯の移動の調節方法は、歯の再生速度を増加させることができる。幾つかの実施形態では、歯の再生は歯の移動の調節を容易にでき、例えば、移動速度又は質を増加させ、又は歯の移動を安定化させることができる。例えば、歯の再生は、歯の移動の前、その最中、又はその後に生起する。歯の再生は歯の成長、歯の強化又は歯の吸収を含んでもよい。例えば、歯の再生中に、骨ミネラル密度(BMD)が増加し、骨量(BV)が増加し、骨ミネラル含量(BMC)が増加し、骨体積率(BV/TV)又は骨密度が増加する可能性がある。BV/TVの高い値は骨密度の高さを示し、その場合に骨再生は少なく、これは歯の移動後に歯の安定性を高めるのに望ましい。歯の再生中に影響されるパラメータの他の実施例は、海綿骨表面、骨質、破骨細胞活動(例えば、破骨細胞及び前破骨細胞の数)、骨吸収を含んでもよい。光線治療は、既存の細胞プロセスを促進することができる。骨再生は、任意の骨組織又は口腔領域内で実行される。例えば、骨再生は、上顎歯槽骨、下顎歯槽骨、あるいは1つ又は複数の歯の周囲の一部又は全体で実行される。幾つかの実施形態では、骨再生は、歯根膜を含む1つ又は複数の歯の周囲で生起する。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の歯の周囲の領域は、歯の表面から約1mm、約2mm、又は約3mm以内であってもよい。


[00120] 幾つかの実施形態では、本発明の方法による光線治療によって顎骨壊死の治療又は防止が可能である。したがって、本発明の方法は、顎骨壊死の治療又は防止に有用である。したがって、本発明は、それを必要とする患者に対して患者の上顎又は下顎歯槽骨の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む顎骨壊死を治療又は防止する方法をさらに提供する。顎骨壊死の治療又は防止は、本明細書に記載する方法の光線治療を用いて壊死を遅らせるステップを含んでもよい。顎骨壊死は、任意の骨組織に関して生起する。例えば、顎骨壊死は、上顎歯槽骨、下顎歯槽骨、あるいは1つ又は複数の歯の一部又は全体に関して生起することがある。


[00121] 幾つかの実施形態では、光線が投与される領域は、軟組織又は骨組織などの任意の口腔組織である。幾つかの実施形態では、口腔組織は口腔手術が行われる組織である。本発明の方法は、口腔手術後の治療に有用である。口腔手術は、歯根膜の手術又は骨移植片に関する手術であってもよい。口腔組織は、1つ又は複数の歯、歯肉、上顎歯槽骨、下顎歯槽骨、又は1つ又は複数の歯を支持する組織の一部又は全体であってもよい。したがって、本発明は、それを必要とする患者に対して口腔手術が施された患者の口腔組織の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む口腔手術後の組織を治療する方法をさらに提供する。本発明は、また口腔手術後の口腔組織の治癒速度を増加させるのに有用である。したがって、本発明は、それを必要とする患者に対して口腔手術が施された患者の口腔組織の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む口腔手術後の口腔組織の治癒速度を増加させる方法をさらに提供する。幾つかの実施形態では、この方法は、口腔組織に口腔手術を施すステップをさらに含む。口腔手術は、本発明の方法による光線治療の前又は後に施される。幾つかの実施形態では、光線投与領域は歯槽骨であってもよい。幾つかの実施形態では、光線投与は口腔外から実行され、光線は経皮的に領域に投与される。幾つかの実施形態では、投与は約20分間実行される。幾つかの実施形態では、投与される光線の波長は約625nmである。


[00122] 他の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に対して患者の上顎又は下顎歯槽骨の一領域に有効な量の光線を口腔外から経皮的に投与するステップを含む骨内歯科用インプラントなどの歯科用インプラントを治癒させるか又は骨内歯科用インプラントの骨統合を加速する方法に関する。一実施形態では、これらの方法は、歯の移動を調節する方法についての本明細書に記載する教示に従って実行できる。


[00123] 幾つかの実施形態では、本発明は、光線の投与の前、投与中、又は投与後に一領域又は一領域の付近に物質を供給するステップをさらに含んでもよい。幾つかの実施形態では、歯の移動を調節する方法は、光線の投与の前、投与中、又は投与後に一領域又は一領域の付近に物質を供給するステップを除外してもよい。幾つかの例では、物質は一領域で自然に発生している。幾つかの実施形態では、歯の移動を調節する方法は、オプションとして、光線の投与の前、投与中、又は投与後に一領域に重なる顔の少なくとも一部に物質を供給するステップを含んでもよい。幾つかの実施形態では、歯の移動を調節する方法は、光線の投与の前、投与中、又は投与後に一領域に重なる顔の少なくとも一部に物質を供給するステップを除外してもよい。オプションとして、物質の投与前、投与中、又は投与後に光線を投与してもよい。幾つかの実施形態では、光線は物質の投与なしに投与される。物質は光線の投与を促進又は抑制することができる。一実施形態では、物質は、染料などの物質を吸収する可視光又は赤外光であってもよい。物質が存在するか又は投与される場合に波長などの1つ又は複数の光線の特性を選択することができる。


[00124]光線治療システム [00125] 本発明の一態様は光線治療装置に関する。光線治療装置は光線を提供するのに有用であり、したがって、本発明の方法において、歯の移動の調節、脳顔面頭蓋手術、口腔又は上顎顔面手術、頬顎異常矯正手術、骨再生、あるいは顎骨壊死、歯根膜炎、又は不正咬合の治療若しくは防止に有用である。歯科矯正で治療される状態、口腔手術又は歯根膜手術後の治癒の刺激及び加速、骨移植片の場所の傷の治癒の刺激、骨内歯科用インプラントの骨統合の治癒及び加速、あるいは本明細書に記載するその他の任意の用途を含む様々な状態の治療に本明細書に記載する装置及びシステムを適用できる。一実施形態では、顎骨壊死への適用によって既存の治療が極めて侵襲性の状態の治療が可能になる。光線を用いた骨壊死の治療は、既存の手術治療方法と比較して患者にとってはるかに費用効果が高く快適である。歯の移動を調節する方法に有用な光線治療装置にはその他の効果もある。例えば、下顎の顆部への口腔外からの光線の投与は、伸張及び成長治療で下顎の成長を増加させることができる。


[00126] 光線治療システムが提供され、光線治療装置を備える。光線治療システムは、オプションとして歯科矯正器具などの又は口腔器具又は口腔マスク若しくは歯のマスクを含んでもよい。上記の任意の歯列矯正器具は光線治療システムの一部であってもよい。口腔又は歯のマスクは、マスクによって覆われた領域からの光線の1つ又は複数の波長を阻止又は部分的にフィルタリングできる。例えば、歯のマスクは、1つ又は複数の歯を覆うことができる。歯のマスクは、1つ又は複数の上顎又は下顎歯を覆うことができる。口腔マスクは、口の任意の領域を覆うことができる。例えば、口腔マスクは1つ又は複数の歯、又は歯肉の1つ又は複数の部分を覆うことができる。口腔マスク又は歯のマスクは、透明、半透明、又は不透明であってもよい。口腔マスク又は歯のマスクはすべての波長を阻止でき、すべての波長の強度を低減でき、幾つかの波長だけをフィルタリングでき、又は幾つかの波長だけの強度を低減できる。幾つかの実施形態では、口腔マスク又は歯のマスクは、1つ又は複数の光線の特性を変えることができる。


[00127] またオプションとして光線治療は、外部コントローラ又はコントローラと通信するコンピュータ(あるいは下記のその他の任意のデバイス)を含む。


[00128] 本明細書に記載する光線治療装置の任意の実施形態を光線治療システムに組み込むことができる。光線治療装置は、オプションとして患者の顔又は頭の一部に係合できる1つ又は複数の支持特徴を含んでもよい。別の実施形態では、光線治療装置は患者の口に係合する。光線治療装置は、また各々が1つ又は複数の光エミッタを備える1つ又は複数の光源を備える。また光線治療システムは、光線治療装置の動作を制御するコントローラを含んでもよい。コントローラは、光線治療装置から放射された光線の波長、強度、又は継続時間又は光線治療装置の構成要素の位置を制御できる。コントローラは、その他の任意の光線の特性を制御できる。コントローラは、光線治療装置と一体であるか又はそれから独立していてもよい。光線治療システムは光線を提供し、したがって、本発明の方法で有用である。


[00129] 幾つかの実施形態では、光線治療システムは、1つ又は複数のその他の装置を備える。例えば、患者の口腔内に歯科矯正器具を装着できる。別の実施形態では、患者の口腔内に口腔マスク又は歯のマスクを装着できる。光線治療システムは、患者の口腔内の口腔器具又は挿入物を含んでもよい。


[00130] 光線治療装置は、歯科矯正器具、口腔又は歯のマスク、あるいはその他の任意の器具に対して固定されていても、又は可動式であってもよい。


[00131] 歯科矯正光線治療装置20の一実施形態を図1〜図4に示す。図1は、患者の上顎又は下顎歯槽骨の1つ又は複数の特定の領域に光線治療を提供するのに有用な光線治療装置の一実施形態の等角図である。図2は、図1に示す実施形態の正面図である。図3は、図1に示す実施形態の上面図である。図4は、図1に示す実施形態の右側等角図である。光線治療装置は、上記の任意の領域に光線を提供するのに有用である。


[00132] 光線治療装置20は、患者の顔の1つ又は複数の特徴に係合するサイズと形状である枠22を有する。患者の顔の特徴は、患者の目、鼻、鼻孔、口、唇、下顎、顎、頬、前頭、又は額を含んでもよいが、これらに限定されない。光線治療装置20は、オプションとして患者の頭又はその解剖学的構造の一部のその他の特徴と係合する枠22を有してもよい。例えば、枠は、患者の頭、患者の頭頂部又は後頭部、首、又は肩と係合することができる。


[00133] 図1〜図4に示す例示的な実施形態では、枠22は、に係合する部分24と、鼻に係合する部分26と、支持アーム28とを提供する形状である。枠は、特徴の形状に一致し、特徴を包み込み、特徴に重なり、特徴を把持し、特徴に密着し、又は特徴に圧力又は重量を印加することで患者の顔の特徴に係合できる。幾つかの実施形態では、枠22は、一体型ユニットとして形成される。他の実施形態では、枠22は、好適に組み合わさって枠22を提供する複数の別個の材料から形成される。幾つかの実施形態では、枠22は、複数の種類の材料を含む。例えば、支持アーム28は、枠22の他の部分とは異なる材料から構成されてもよい。あるいは、枠22は同じ種類の材料から形成されてもよい。


[00134] 支持アーム28は、光線治療装置20が患者によって使用構成で装着される時に、患者の顎の骨の真上で患者の顔の上に覆いかぶさり接触するように配置できる。下記のように、支持アーム28が複数の光源30(図によっては光源30A〜30Hとして示されている)を支持した状態で部分24及び26によって患者の顔の区域上に光線治療装置20を容易に留めることができる。また支持アーム28は、例えば患者の顔に対して内向きに付勢力を加えることで、患者の顔の領域上に光線治療装置20を容易に留めることができる。図示の実施形態以外の枠22のその他の好適な構成も所望の位置に所望の配向で光線治療装置20を患者の顔に固定して光源30を支持するのに有用である。枠は1つ又は複数の光源が患者の顔に接触するようにそれらを支持できる。枠は光源が領域の上から覆いかぶさる顔の部分の皮膚に接触できる位置に置くことができる。


[00135] 枠22は、細長い部分から形成できる1つ又は複数の支持アーム28を含んでもよい。支持アームは、適宜患者の顔に係合するために直線、湾曲、又は屈曲してもよい。幾つかの例では、枠22は、平坦、湾曲、又は屈曲した表面を含むことができる別の形の部分を含む。一実施形態では、枠22は、患者の鼻梁の上側で湾曲し、又は患者の耳の周りで湾曲してもよい。枠は、口又は口の一部の周りで湾曲してもよい。


[00136] 図2は、4つの細長い支持アームが口の周囲に進展する枠22の一実施例を示す。例えば、口の下に1つ、2つ又はそれ以上の支持アームを提供できる。支持アームは患者の顔の、患者の顎の真上に位置するように構成できる。1つ又は複数の細長い支持アームを口の上又は鼻の下に提供できる。支持アームは口の上の上側トラックと口の下の下側トラックとの2つのトラックを形成できる。別の実施形態では、口の上に、口の下に、又は口をなぞるように1つのトラックだけが提供される。あるいは、追加のトラックを提供できる。例えば、口の上側に、口の下側に、又は口をなぞるように複数のトラックを提供できる。支持アームは、患者の顔の右側又は左側の上に覆いかぶさっていてもよい。いくつかの実施形態では、細長い支持アームは患者の顔の右側と左側の両方の上に覆いかぶさる連続する部分を形成することができる。あるいは、患者の顔の右側と左側に別々の細長い部分を提供できる。細長い部分はオプションとして患者の顔の中央領域の上に覆いかぶさっていてもよい。いくつかの実施形態では、細長い部分は患者の顔の中央領域の上に覆いかぶさらない。本明細書内の細長い支持アームに関する記述は他の形状を有してもよい枠22の支持アーム又はその他の部分にも適用できる。支持アームのいずれかの構成を本明細書に記載する光線治療装置の実施形態のいずれかに適用できる。


[00137] 幾つかの実施形態では、支持アームは支持特徴を含んでもよい。幾つかの実施形態では、支持体の右側と支持体の左側の少なくとも一方が支持特徴を含んでもよい。幾つかの実施形態では、支持体の右側と左側の両方が支持特徴を含んでもよい。支持特徴によって光線治療装置の1つ又は複数の構成要素は着脱自在に支持体に係合できる。幾つかの実施形態では、支持特徴によって1つ又は複数の構成要素は支持体に係合した状態で支持体に対して移動できる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の構成要素は、光エミッタ、光源、二次支持体、蝶番、又は光アセンブリを含んでもよい。支持特徴はトラックであってもよい。幾つかの実施形態では、トラックは、スロット、チャネル、溝、又は光源、二次支持体、蝶番、又は光アセンブリなどの構成要素上に提供できる突起、隆起、又はその他の任意の雄の特徴を収容するように構成できる。一実施形態では、トラックは、支持体の内側表面部(例えば、使用時に患者の顔により近い支持体の側)上に形成できる。あるいは、トラックを支持体の外側表面部(例えば、使用時に患者の顔からより遠い支持体の側)上に形成できる。幾つかの実施形態では、トラックは支持体を通過して提供できる。あるいは、トラックなどの支持特徴は、構成要素の雌の特徴に係合できる雄の特徴を有してもよい。支持体と1つ又は複数の構成要素との間に連動特徴を提供してもよい。


[00138] 図8A〜図8Dは、光線治療装置80の別の実施形態を示す。光線治療装置80は、患者の顔の特徴に係合するサイズ及び形状である枠82を有してもよい。オプションとして枠82は、患者の頭又は患者の解剖学的構造の別の部分の特徴に係合する形状であってもよい。あるいは、枠82は、患者の頭又は患者の解剖学的構造の別の部分の特徴に係合する形状でなくてもよい。


[00139] 幾つかの実施形態では、枠82は、耳に係合する部分、鼻に係合する部分86、及び支持アーム88を提供する形状であってもよい。幾つかの実施形態では、枠82は一体型ユニットとして形成できる。例えば、耳に係合する部分、鼻に係合する部分、及び支持アームは、連続する一体型ユニットで形成できる。一例では、耳に係合する部分、鼻に係合する部分、及び支持アームは、1つの連続する細長い部分を形成できる。他の実施形態では、枠82は、好適に組み合わさって枠82を提供する複数の別個の材料から形成できる。幾つかの実施形態では、顔の片面当たり1つの支持アームを提供できる。あるいは、顔の片面当たり複数の支持アームを提供できる。1つ又は複数の支持アームは、鼻に係合する部分又は耳に係合する部分に係合してもよい。


[00140] 支持アーム88は、光線治療装置80が患者によって使用構成で装着される時に顎の骨の上に覆いかぶさって患者の顔に隣接するように、又は患者の顎の骨の付近にあるように配置できる。幾つかの実施形態では、支持アームは、1つ又は複数の光源81が患者の顎の骨の上に覆いかぶさるように患者の顔に接触するか又は患者の顔のその他の任意の選択された領域に接触するように配置できる。下記のように、支持アーム88が1つ又は複数の光源81(図によっては光源81A〜81Dとして示されている)を支持した状態で、耳に係合する部分、鼻に係合する部分26、又は患者の顔の特徴に係合できる枠のその他の任意の部分を含む部分によって患者の顔の区域上に光線治療装置80を容易に留めることができる。また支持アーム88は、例えば患者の顔に対して内向きに付勢力を加えることで、患者の顔の領域上に光線治療装置80を容易に留めることができる。図示の実施形態以外の枠82のその他の好適な構成も所望の位置に所望の向きで光線治療装置80を患者の顔に固定して光源81を支持するのに有用である。他の実施形態に記載するその他の特徴、構成、又は構成要素もこの実施形態に組み込むことができる。


[00141] 光線治療装置の任意の実施形態の枠は、軽量プラスチック、鋼、アルミニウム、銅、銅張り材料(アルミニウム又は鋼など)、ニッケル、チタン、銀、鉄、その他の好適な金属又はプラスチック、管状プラスチック、金属微粒子埋め込み型プラスチック複合材料、グラファイト、グラファイトエポキシ、又はそれらの任意の組合せ若しくは合金などの任意の好適な材料から構成できる。枠又は枠の部分は、オプションとして患者の顔を覆う樹脂又は患者の顔のクッションになる好適なパッドを含んでもよい。枠は柔軟な材料、又は熱伝導材料から製造されてもよい。下記のように、枠がアルミニウムなどの熱伝導材料から製造されている場合、枠は1つ又は複数の光源からの熱を放散できる。


[00142] 枠は、枠に柔軟性を与えるか又は特定の患者の顔の解剖学的特徴に枠を適合させる材料から製造できる。枠又は光線治療装置のその他の構成要素は、一方向又は二方向に屈曲できる。それらは、患者の顔の輪郭に合うように成形できる。医師、歯科医、歯列矯正医、療法士、技術者又は患者を含むその他の個人は特定の光線治療装置を特定の患者の解剖学的特徴に合わせて調整して適合させ、個別化されたフィット性を提供することで特定の患者に特定の光線治療装置を最初に「フィット」させることができる。枠を構成する材料は、その特定の患者の歯列矯正治療期間にわたって個別化されたフィット性を維持するのに十分な弾性を備え、同時にその特定の光線治療装置を再調整する(例えば、患者からの不快感の苦情に応答して)又は別の患者にフィットさせるのに十分な弾性を備えてもよい。


[00143] 光線治療装置の一実施形態のいずれかの説明、構成要素、特徴、詳細は光線治療装置のその他の任意の実施形態に適用でき、その逆も可能である。例えば、図1〜図4の任意のデバイス(例えば、図1〜図4に示す枠22又は光源30)への変更を、図8A〜図8D(例えば、図8A〜図8Dの枠82又は光源81)、図9、図14、図17、又は図18のいずれかに加えることができる。


[00144] 柔軟な枠22を提供することで光源30は支持アーム28によって患者の頬に容易に接触できる(すなわち、支持アーム28は患者の顔の顎の骨の真上の所望の光線投与領域へ光源30を付勢することができる)。幾つかの実施形態では、枠又は支持アームの形態によって、光線治療装置の使用時に、例えば、光線治療装置が患者によって装着されている時に、光源が患者の顔に接触できる。その他の特徴は、例えば圧力を提供することで光源を付勢して患者の顔の一部を、弾性の構成要素、ばね、膨張可能な部分、可動機械部分に接触させることができるが、これらに限定されない。そのような付勢力は、患者の顔が緩んでいるか緊張している時に提供できる。患者の頬にかかる光源30の付勢力は、軟組織を押し下げ、それによって組織を通過する光線の有効な伝達量が増加する。したがって、幾つかの実施形態では、光源が患者の顔の皮膚に接触するか患者の顔の皮膚を押し下げることが望ましい。


[00145] 他の実施形態では、光源と患者の顔の皮膚との間にギャップを提供してもよい。枠は、光源と患者の顔の皮膚との間にギャップを提供するように構成できる。光源は、患者の顔に接触することなく患者の顔の皮膚の付近にあってもよい。幾つかの実施形態では、光源は患者の顔は、緩んでいる時には患者の顔に接触しないが、患者がその顔の一部を曲げるか又は顔を緊張させると顔に接触できる。幾つかの実施形態では、光源は、患者の顔がリラックスしている時に患者の顔から約1mm以下、2mm以下、3mm以下、5mm以下、7mm以下、1cm以下、1.5cm以下、2cm以下、2.5cm以下、3cm以下、又は上記のいずれかの距離にあってもよい。


[00146] 幾つかの実施形態では、光源は、患者の顔に接触するゲル状又は固体の膜などの半透明又は透明の材料に接触できる。枠は、装置の使用時に半透明又は透明の材料が患者の顔に接触するように構成できる。幾つかの実施形態では、光源は、患者の顔に接触するゲル状又は固体の膜などの半透明又は透明の材料で形成された外面を含んでもよい。光源の1つ又は複数の光エミッタは外面に接触できる。あるいは、光エミッタと外面との間にギャップを提供してもよい。幾つかの実施形態では、半透明又は透明の材料は、1つ又は複数の特定の波長の光線を除去する。幾つかの他の実施形態では、材料は、光源の動作によって生成された熱を放散させる。


[00147] 幾つかの実施形態では、光源上に提供された光エミッタをある領域から一定距離を置いて配置してもよい。枠は、光源が領域から一定距離だけ離れた位置にするように構成できる。領域は患者の口腔内であってもよい。幾つかの実施形態では、光エミッタを口腔外に提供してもよい。頬、唇、又は顎先などの患者の顔の部分は、デバイス使用時に光エミッタと口腔との間にあってもよい。光エミッタは、領域から約0.1mm以下、約0.5mm以下、約1mm以下、約2mm以下、約3mm以下、約5mm以下、約7mm以下、約1cm以下、約1.5cm以下、約2cm以下、約2.5cm以下、約3cm以下、又は上記のいずれかの距離にあってもよい。


[00148] オプションとして、枠の残りの部分よりも弾性が大きい領域を光源の間、又は枠の他の好適な場所に提供して枠が屈曲して顔の領域の周囲によりよくフィットするようにしてもよい。より弾性が大きい領域は、例えば、枠の残りの部分よりも細い材料の部分からより弾性が大きい領域を形成し、枠の残りの部分よりも柔軟な材料の部分からより弾性が大きい領域を形成し、又は枠内に蝶番様の部材(例えば、枠を構成する材料に刻まれた薄いしわ又はその他の屈曲線)を提供することで提供できる。柔軟性の提供方法の他の実施例は、屈曲自在の材料を使用するステップ、伸縮自在の弾性材料を使用するステップ、ばねを使用するステップ、互いに展開自在の互いに摺動又は移動できる複数の構成要素を含むステップ、伸縮自在の特徴を使用するステップ、1つ又は複数の接続部(例えば、ボールソケット、蝶番)を含むステップ、又は異なるサイズのオプションに互いに固定できる部品を有するステップを含むことができる。枠を調整して異なるサイズ又は形状の頭を有する患者にフィットさせることができる。幾つかの例では、患者の頭のサイズ又は形状に基づいて枠のサイズを選択できる。


[00149] 幾つかの実施形態では、光線治療装置20が使用位置にある時に患者へ向けて光線を放射するために少なくとも1つの光源30が枠22に固定されている。光源30は、光線治療装置20が使用位置にある時に口腔外、すなわち、患者の口腔の外側に配置されている。使用時に、光源は患者の顔の皮膚を通して照射する。光線は、皮膚を通して経皮的に照射することで患者の口腔内の領域に到達できる。幾つかの実施形態では、使用時に光源30からの光線は口腔内を直接照射するように構成されておらず、皮膚を通してのみ口腔に到達する。一実施形態では、光線はもっぱら経皮的に領域に到達する。


[00150] 光線治療装置は、下記又は上記の波長の光線を放射することができる1つ又は複数の光源を有してもよい。光源によって提供される光線は可視光でなくてもよく、任意の所望の波長を使用できる。例えば、光源によって放射される光線は、赤外線又は近赤外線を含んでもよい。光源は可視光領域でも照射できる。例えば、光源は、約400nm〜約1200nmに収まる、すなわち、範囲内の光線を照射するように構成できる。特定の実施形態では、光源は、約500nm〜700、約585nm〜約665nm、約605nm〜約630nm、約620nm〜約680nm、約815nm〜約895nm、約820nm〜約890nm、約640nm〜約680nm、又は約740nm〜約780nmの光線を照射するように構成できる。幾つかの実施形態では、波長は、約605nm〜約645nm、又は約835nm〜約875nmに収まる、すなわち、範囲内であってもよい。幾つかの実施形態では、波長は約615nm〜約635nm、又は約845nm〜約865nmに収まる、すなわち、範囲内であってもよい。幾つかの実施形態では、波長は、約625nm又は約855nmであってもよい。幾つかの実施形態では、光源は、上記の1つ、2つ、又はそれを超える光線範囲の光線を放射するように構成できる。幾つかの例では、光源は、上記の1つ、2つ、又はそれを超える光線範囲外の光線を放射しない。他の実施形態では、光エミッタは、特定の用途について適宜その他の波長を有する光線を放射するように構成できる。光線は上記の波長のいずれかで放射できる。


[00151] 幾つかの実施形態では、光源は、1つ、2つ、又はそれを超える放射ピーク波長で光線を放射できる。ピーク波長は、最大強度の光線が放射される波長であってもよい。幾つかの実施形態では、光線はある範囲の波長で放射でき、ピーク波長はその範囲内で最大強度を備えた波長であってもよい。幾つかの実施形態では、ピーク波長は、約620nm、約640nm、約650nm、約655nm、約660nm、約665nm、約670nm、約680nm、約690nm、約800nm、約820nm、約830nm、約835nm、約840nm、約845nm、約850nm、約860nm、約870nm、又は約890nmで提供できる。光線は、上記のその他の任意の波長特性を有してもよい。


[00152] 光源は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又はそれ以上の光エミッタを含んでもよい任意の光源である。幾つかの実施形態では、光源は、約10個〜約15個のエミッタ、約15個〜約20個のエミッタ、約20個〜約30個のエミッタ、約30個〜約40個のエミッタ、約40個〜約50個のエミッタ、約50個〜約70個のエミッタ、又は約70個〜約100個のエミッタを備える。例えば、光源は、アレイ内にあってもよい発光ダイオード(LED)(例えば、ガリウムヒ素(GaAs)LED、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)LED、リン化ガリウムヒ素(GaAsP)LED、リン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)LED、リン化ガリウム(III)(GaP)LED、窒化インジウムガリウム(InGaN)/窒化ガリウム(III)(GaN)LED、又はリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaP)(LED)、又はレーザ、例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又はリン化インジウムガリウムアルミニウム(InGaAlP)レーザ、リン化ガリウムヒ素/リン化ガリウム(GaAsP/GaP)レーザ、又はガリウムアルミニウムヒ素/ガリウムアルミニウムヒ素(GaAlAs/GaAs)レーザなどのその他の好適な光エミッタなどの1つ又は複数のエミッタを備えてもよい。一実施形態では、光源は複数のレーザを備える。幾つかの異なる波長の光線を放射できる複数の光エミッタを光源30に使用できる。あるいは、同じ波長の光線を放射できる1つ又は複数の光エミッタを光源に使用できる。1つ又は複数の光エミッタは光源上に任意の形で配置できる。例えば、複数の光エミッタを1つ又は複数の横列又は縦列に配置できる。横列又は縦列は、アレイ、又は一組の互い違いの横列又は縦列、同心形状を形成できる。光エミッタはいずれかの製造元から提供でき、Optowell XH85 vcsel、ULM Vcsel、又はOsram MIDLEDを含んでもよいが、これらに限定されない。


[00153] 光源30は、患者の顔を通して患者の上顎又は下顎歯槽骨の指定された領域を照射するのに有用な任意のサイズと形状とを有してもよい。例えば、幾つかの実施形態では、光源30は、光線治療装置20が使用構成にある時の測定値として、患者の顔に接する垂直軸に沿って約9〜10mmの高さを有し、患者の顔に接する平軸に沿って約15〜18mmの範囲内の幅を有してもよい。光源の1つ又は複数の寸法は、約1〜70mmの範囲内である。一実施形態では、光源の1つ又は複数の寸法は、約1〜3mm、約3〜5mm、約5〜7mm、約7〜10mm、約10〜15mm、約15〜20mm、約20〜25mm、約25〜30mm、約30〜35mm、約35〜40mm、40〜50mm、又は約50〜60mmの範囲内である。


[00154] 光源は、実質的に矩形の形状、四角形の形状、三角形の形状、六角形の形状、八角形の形状、台形の形状、円形の形状、楕円形の形状、三日月の形状、円柱の形状又は半円を含む任意の形状を有してもよいが、これらに限定されない。光源は、丸い、又は尖った角を有してもよい。幾つかの実施形態では、光源の寸法は、領域面積の寸法とほぼ同じであってもよい。他の実施形態では、光源の寸法は、領域面積の寸法よりも大きくてもよい。あるいは、光源の寸法は、領域面積の寸法よりも小さくてもよい。光源と領域の相対的面積は、光線が放射される平行、収束、又は発散角度に依存してもよい。


[00155] 幾つかの実施形態では、光線治療装置内の光源の各々は、同じサイズ又は形状であってもよい。他の実施形態では、光源は、異なるサイズ又は形状を有してもよい。光源のサイズ又は形状は、所望の光線分配量を領域に投与するように選択できる。光源は1つのタイプの光エミッタを有してもよい。あるいは、光源は、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の異なるタイプの光エミッタを有してもよい。各々の光源は、別々の光エミッタ又は光エミッタの組合せを有してもよく、又は同じ光エミッタ又は光エミッタの組合せを有してもよい。例えば、各々の光源は、約585nm〜約665nmの範囲内の光線を放射するLEDと、約815nm〜約895nmの範囲内の光線を放射するLEDとを有してもよい。別の実施形態では、第1の光源は、約585nm〜約665nmの範囲内の光線を放射するLEDを有し、第2の光源は、約815nm〜約895nmの範囲内の光線を放射するLEDを有してもよい。


[00156] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源は、上記1つ又は複数の光エミッタを支持する基板を含んでもよい。例えば、1つ又は複数の光源は、屈曲された時に形状を保つ材料の柔軟なシートに搭載された光エミッタのアレイを備えてもよい。柔軟な材料は、有利にはヒートシンク又はヒートシンクへの熱経路の役割を果たす金属シートを備えてもよい。柔軟なシートを成形して光線治療装置はフィットされるか、又は使用中に患者の顔の輪郭に合わせることができる。基板は、また不快感を与えることなく患者の顔に接触できるクッション材料を含んでもよい。


[00157] 幾つかの実施形態では、光源に異なる特性(例えば、波長、強度、パルシング、サイズ)の光エミッタを提供できる。幾つかの実施形態では、異なる光エミッタを光源内に等間隔に離間させてもよい。例えば、第1の波長の光エミッタを第2の波長の光エミッタ内に等間隔に離間させてもよい。あるいは、異なる光エミッタを局所に集めてもよい。例えば、第1の波長の光エミッタを光源の第1の領域内に提供し、第2の波長の光エミッタを光源の第2の領域内に提供してもよい。


[00158] 複数の光源30を枠22上に配置して患者の顔の所望の領域に実質的に均等に所望の波長の光線を投与して、本明細書に記載するように、一実施形態では、顔を通して、患者の上顎又は下顎歯槽骨又はその他の任意の領域を照射することができる。枠の上には、任意の数の光源を配置できる。例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、又はそれ以上の光源を光線治療装置に提供できる。光源は、枠の任意の部分に沿って分散できる。幾つかの実施形態では、枠の右側と左側に同じ数の光源を提供できる。あるいは、枠の右側と左側に異なる数の光源を提供できる。1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の光源を配置してある領域に光線を投与できる。幾つかの実施形態では、光源によって特定の領域に投与される光線は各光源で同じであってもよく、又は異なっていてもよい。


[00159] 光源の1つ以上は着脱式であってもよい。幾つかの実施形態では、すべての光源は着脱式であるが、他の実施形態では、光源の1つ以上は着脱式でない。幾つかの例では、光源のいずれも着脱式でない。異なるタイプの光源を用いて所望の光線を所望の分配量だけ領域に提供できる。例えば、歯列矯正治療の異なるステージなどの異なる用途で異なる光源を使用することができる。例えば、第1の波長範囲の光線を提供する第1の光源を1つの目的に使用し、第2の波長範囲の光線を提供する第2の光源を同じか又は異なる目的に使用できる。又は、第1のサイズ又は形状を有する第1の光源を第2のサイズ又は形状を有する第2の光源の代わりに、又はそれと組み合わせて使用できる。追加の光源を追加又は除去できる。歯列矯正治療、骨再生治療、又は本明細書に開示するその他の任意の治療の過程で、あるいは本明細書に開示する1つ又は複数の異常状態を防止する過程で、異なる光源を追加又は除去できる。


[00160] 各々の個別の光源30は、特定の波長又は強度の光線を患者の顎の骨の特定の領域、又はその他の任意の領域に所望の期間だけ提供するように構成でき、そのように別々に制御可能である。一実施形態では、光線は患者の顔を通して提供される。


[00161] 幾つかの実施形態では、光源の1つ又は複数の群又は部分群は別々に構成でき、又は別々に制御可能であって、一方、その群又は部分群に属するすべての光源は同じ波長又は強度の光線を提供する。別の実施態様では、光線治療装置に属するすべての光源は一緒に制御可能である。


[00162] 幾つかの実施形態では、他の領域の歯を移動させないことが望まれる場合(例えば、患者の上の歯又は下の歯だけを移動させるか又は固定具の歯に光線を投与しないことで他の歯を移動させる時にある歯を固定具として使用することを望んでもよい)、患者の上顎又は下顎歯槽骨の幾つかの領域にだけ光線を投与するように光線治療装置を構成することができる。また、下記のように、患者の歯の移動を異なった形で操作することが望まれる場合に、患者の上顎又は下顎歯槽骨の異なる領域に異なる波長の光線を投与するように光線治療装置を構成することができる。例えば、第1の領域に第1の波長の光線を投与でき、第2の領域に第2の波長の光線を投与できる。第1及び第2の波長は、それぞれ約585nm〜約665nm及び約815nm〜約895nmなどの本明細書に記載する任意の波長を含んでもよい。


[00163] 幾つかの実施形態では、患者の口腔のその他の部分に光線を投与することなく、患者の口腔内の組織(骨組織又は軟組織)のある部分を含むことができる領域又はその他の領域に光線を投与できる。幾つかの実施形態では、患者の口腔のその他の部分に投与する強度よりもはるかに大きい強度で、患者の口腔内の組織(骨組織又は軟組織)のある部分を含むことができる領域又はその他の領域に光線を投与できる。例えば、患者の口腔のその他の部分よりも3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、又は100倍大きい強度の光線をある領域に投与できる。幾つかの実施形態では、これは1つ又は複数の非領域を光線から遮蔽する1つ又は複数の口腔内又は口腔外の光半透過又は光非透過マスクを患者に装着することで達成される。幾つかの実施形態では、ある領域に到達する光線はしきい値よりも大きい強度を有してもよい。幾つかの実施形態では、しきい値は本明細書に記載する強度を有してもよい。


[00164] 患者は光線治療装置20を自分で位置決めして、光線治療装置20が使用位置にある時に患者の歯及び上顎顔面区域内の所望の場所を正確に繰り返して照射することができる。患者の治療の過程で光線治療装置20の位置を一定にすることで治療の効率と反復性とを高める。また、光線治療装置20は扱い易く、患者が所与の治療計画を遵守することを容易にする。


[00165] 図1〜図4に示す実施形態では、複数の光源30A、30B、30C、30D、30E、30F、30G、及び30Hが枠22を中心に対称に配置されている。他の実施形態では、枠22上の複数の光源30が調整可能であり、又は1つ又は複数の光源30が着脱式で、一実施形態では患者の顔を通して、患者の上顎又は下顎歯槽骨の特定の1つ又は複数の領域に光線を投与するように光線治療装置20を構成することができる。例えば、特定の数の歯、例えば、特定の場所にある2つ又は3つの歯を取り囲む骨を照射するように各光源30を構成できる。


[00166] 使用時に、1つ又は複数の光源30の内面32から光線が口腔外から所望の区域へ向けて放射される。本明細書で使用する「内面」という用語は、光線治療装置20が使用位置にある時に患者の顔領域に最も近い要素の表面を指す。例えば図7A及び図7Bに示すように、内面32は角を丸めた縁部33を有してもよく、光エミッタを覆う透明の樹脂窓を含んでもよい。このため、光線治療装置20が使用位置にあり、光エミッタが患者の顔に接触している時の患者の快適さが増す。


[00167] 1つ又は複数の光源30のために任意の好適な光エミッタを使用できる。幾つかの実施形態では、光線は離散的なLEDのアレイから放射される。LEDは様々なパターンのうちいずれかのパターンで構成できる。例えば、LEDを互い違いの平行な列に配置してLEDアレイ内のLEDの密度を最大限にすることができる。LEDは、1つ又は複数の光源30の発光内面32上に実質的に均等な光線強度を達成するように構成できる。あるいは、LEDをクラスタ化し、又は分散させて光源のある領域にわたって変化する光線強度を提供することができる。幾つかの実施形態では、各々のアレイは、5〜約20個のLED又はその他の光エミッタを備えてもよい。幾つかの実施形態では、各々のアレイは、約20〜約50個又はそれ以上のLED又はその他の光エミッタを備えてもよい。他の実施形態では、1つ又は複数の光源30からの光線は、1つ又は複数のVCSELから放射できる。複数のVCSELを光源30上のアレイに配置できる。VCSELは、整列した又は互い違いの平行な列に配置できる。別の実施形態では、LED及びVCSELなどの異なるタイプの光エミッタを同じ光源に提供することができる。


[00168] 光線に所望の光線強度を提供するように光線治療装置を構成することができる。一実施形態では、光源30によって生成される平均光線強度は少なくとも約10mW/cm2である。他の実施形態では、光源によって生成される平均光線強度は、約1mW/cm2以上、約3mW/cm2以上、約5mW/cm2以上、約7mW/cm2以上、約12mW/cm2以上、約15mW/cm2以上、約20mW/cm2以上、約30mW/cm2以上、約50mW/cm2以上、約75mW/cm2以上、約100mW/cm2以上、約200mW/cm2以上、約500mW/cm2以上、又は約1W/cm2以上である。他の実施形態では、光源によって生成される平均光線強度は、約20mW/cm2以下、約30mW/cm2以下、約50mW/cm2以下、約75mW/cm2以下、約100mW/cm2以下、約200mW/cm2以下、約500mW/cm2以下、約1W/cm2以下、又は約2W/cm2以下であってもよい。幾つかの実施形態では、光源30は、約10mW/cm2〜約60mW/cm2、又は約20mW/cm2〜約60mW/cm2の範囲内又はその範囲内に調整可能な平均強度を有する。幾つかの実施形態では、光源30の出力は、パルス光方式である。そのような実施形態では、ピーク光線強度は、約50mW/cm2よりもはるかに大きい。他の実施形態では、光線の出力は連続的である。幾つかの実施形態では、光線強度は、周期的又は非周期的に時間と共に変化してもよい。光線強度は、パルシングを伴って、又は伴わずに変化してもよい。幾つかの実施形態では、光線強度はパルス幅変調で変化してもよい。上記のその他の任意の光線強度は、光線治療装置によって提供できる。


[00169] 光エミッタは、所与の期間にオン又はオフである光線の数が個別に制御可能であるように制御可能にできる。例えば、各光エミッタは、他の光エミッタに対してオン又はオフであってもよい。これは、異なる領域に光線を投与したい時に望ましい。したがって、光線治療装置は、投与されている光線の位置を変更できる。別の実施形態では、各光エミッタは、残りの光エミッタに対してオン又はオフであってもよい。例えば、時折、第1の波長内で放射している光エミッタがオンで第2の波長内で放射している光エミッタがオフであってもよく、その逆でもよく、又は両方のタイプの光エミッタがオン又はオフであってもよい。したがって、投与されている光線の波長を変化させることができる。幾つかの実施形態では、投与されている光線の強度を変化させることができる(例えば、幾つかの光エミッタをオン又はオフにすることで、又は光エミッタによって放射される強度を変化させることで)。光エミッタがパルス光方式の場合、そのデューティサイクルを調整できる。例えば、光エミッタは、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%のデューティサイクルを有してもよい。光エミッタは、任意の周波数で発生するパルシングを実行できる。例えば、光エミッタは、ピコ秒、ナノ秒、マイクロ秒、ミリ秒、秒、数秒又は数分毎にパルス照射できる。光エミッタは、約1mHz、約10mHz、約50mHz、約100mHz、約500mHz、約1Hz、約2Hz、約5Hz、約10Hz、約15Hz、約20Hz、約25Hz、約30Hz、約35Hz、約40Hz、約50Hz、約70Hz、約100Hz、約200Hz、約500Hz、又は約1kHzの波長を有する光線を提供できる。光線治療装置は、光線放射の上記の特性(例えば、光線がオンかオフか、連続的かパルス的か、デューティサイクル、周波数、強度、波長)がコントローラからの命令に従って変更又は維持できるように制御可能であってもよい。


[00170] 光線治療装置は、変化する強度を有する光線を放射する能力があってもよい。任意の波長で放射される光線に任意の割合の強度を提供できる。例えば、第1の波長で放射される光線は、第2の波長で放射される光線の約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.5倍、1.7倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、5.0倍、10倍、12倍、15倍、20倍、30倍、50倍、100倍の強度を有してもよい。幾つかの実施形態では、第1の特性の組と第2の特性の組とを有する同じ数の光エミッタを提供できる。他の実施形態では、第2の特性の組を有する光エミッタの数より大きい数の第1の特性の組を有する光エミッタを提供できる。例えば、第2の特性の組を有する光エミッタの数に対して約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.5倍、1.7倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、5.0倍、10倍、12倍、15倍、20倍、30倍、50倍、100倍の数の第1の特性の組を有する光エミッタを提供できる。


[00171] 1つ又は複数の光源30は、光線30を標的区域上に合焦させ、誘導する1つ又は複数のレンズ又はリフレクタなどの光学要素を含んでもよい。任意のタイプの光学レンズ又はリフレクタを使用できる。例えば、光学レンズを用いて光線を並行にし、光線を拡散させ、又は光線を合焦させることができる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のフレネルレンズ又はテレセントリックレンズを使用できる。任意のタイプのリフレクタを使用できる。レンズを提供して光線の発散又は光線の収束を引き起こすことができる。例えば、1つ又は複数のミラーを組み込むことができる。ミラーは光線を散乱させ、再誘導し、又は合焦させる助けに使用される。そのような光学要素は、好適には、透明、半透明又は不透明のプラスチック又は同様の材料でカプセル化できる。プラスチック又はその他の材料は光源の外面を形成できる。光エミッタ又は光学要素を光源の内部に提供できる。あるいは、カプセル化材料を提供する必要はなく、光学要素又は光エミッタを光源の外面として提供できる。幾つかの実施形態では、光エミッタとカプセル化材料との間にギャップがあってもよい。ギャップは、光エミッタと光源の外面との間に存在してもよい。


[00172] 光源の外面は患者の顔に接触できる。例えば、光源のカプセル化材料は患者の顔に接触できる。他の実施例では、レンズなどの光学部品がオプションとして患者の顔に接触する。幾つかの実施形態では、光エミッタは顔に直接接触でき、他の実施形態では、光エミッタは顔に直接接触しない。


[00173] 図5は、光源30の一部を示す。図示の実施形態では、光エミッタ38(例えば、発光ダイオード又はその他の発光半導体デバイス内に接続部を備えてもよい)は、反射バッキング40に隣接してもよい。湾曲した受光くぼみ42が光エミッタ38に隣接して提供される。光エミッタ38からの光線はくぼみ42に反射してビームを形成する。光源30のすべての光エミッタからのビームは、組み合わさって標的組織を照明する。ビームによって覆われる面積は、治療したい組織によって変わる。幾つかの実施形態では、光源30によって放射される光線ビームは、発散して光源30の発光部の面積よりも大きい組織の面積をカバーする。他の実施形態では、放射された光線は、収束して治療したい組織の場所で増大した光線強度を提供する。幾つかの実施形態では、放射光は、約45°〜約60°の範囲内の挟角θを有するビームに発散する。放射光は、0〜約15°、0〜約30°、0〜約45°、0〜約60°、0〜約75°、0〜約90°、又は0〜約120°の挟角θを有する発散を形成してもよい。


[00174] LED及びその他の光エミッタは操作時に熱を放射するため、熱を放散させて患者の皮膚の近位の光線治療装置20のいかなる部分も過熱するのを防止する好適な機構を提供することが望ましい。幾つかの実施形態では、熱は、例えば、適当なヒートシンクの提供又は光源30の周囲に空気を自由に通過させるといった受動冷却によって放散される。ヒートシンク36は受動冷却の一実施例である。ヒートシンクは、1つ又は複数の光源と熱連通してもよい。一実施形態では、1つ又は複数の光源は、好適なヒートシンクに搭載された熱伝導LEDウェーハを備えてもよい。LEDウェーハからの熱は、ヒートシンク内に伝導されて放散する。


[00175] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源30は、強制空気、液体、又は固体状態冷却システムを含んでもよい。一実施形態では、ヒートシンクは、LEDアレイから離れたその表面から突き出しているピンを有する。ファンによって、空気はピンの脇を通過して過剰な熱を運び去る。その他の気体又は水又はその他の液体などの他の流体は、駆動してピンの脇を通過して過剰な熱を運び去るのを助ける。


[00176] 冷却システムによって患者の潜在的な火傷の危険性がない光線の投与が可能になり、装置の効率と制御が向上する。冷却システムは、任意の好適な方法で光線治療装置20上に搭載できる。冷却システムは、1つ又は複数の光源と熱接触することがある。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源30内にケーブルくぼみ(図7A及び図7Bに64A及び64Bとして示す)を提供して光線治療装置20と併用できる、又はその一部を形成できる冷却システム又はケーブルの様々な態様を収容することができる。


[00177] 図8A〜図8Dに示すように、一実施形態では、冷却機構83を提供できる。一実施形態では、冷却機構は1つ又は複数の光源81に接触でき、導電性材料から形成できる。冷却機構は、1つ又は複数の光源から熱を伝導して熱を周囲に放散させることができる。冷却機構は、ヒートスプレッダ又はヒートシンクの役割を果たす。冷却機構は、1つ又は複数の固体領域83bの間に配置された1つ又は複数の開いた領域83aを含むことで増加した表面積を有してもよい。オプションとして流体が冷却機構内を圧送される。


[00178] 受動又は能動冷却、あるいはその両方を使用できる一実施形態では、支持アーム28をフライス加工したアルミニウムから構成でき、例えば図7Aに示すように、支持アーム28の内面34上に形成されたトラックに係合可能なように1つ又は複数の光源30を構成できる。1つ又は複数の光源30は、1つ又は複数の光源30上に形成されたトラック係合隆起62Aを介して支持アーム28の内面34に形成されたトラック60に係合できる。トラック60とトラック係合隆起62Aは、光線治療装置20が使用位置にある時に支持アーム28に対して1つ又は複数の光源30を留め、装着者の顔の方を向かせる任意の好適な補完構成及び配向を有してもよい。1つ又は複数の光源30は、トラック60内で摺動自在で光源30の位置決めを容易にする。あるいは、1つ又は複数の光源30は、クリップ、クランプ、接着剤、熱伝導性接着剤、フックアンドループファスナ、又はその他の任意の結合機構などによるその他の任意の好適な方法で支持アーム28に結合されてもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源30は、支持アーム28と一体形成されてもよい。


[00179] 幾つかの実施形態では、トラックは、枠の残りの部分に対して固定位置を有してもよい。一実施形態では、トラックは、枠内のある形状の特徴であってもよい。他の実施形態では、トラックは、枠の残りの部分に対して調整可能であってもよい。例えば、トラックは、ユーザがトラックを所望の構成に合わせて曲げることを可能にする材料で構成でき、その構造を維持することができる。他の実施形態では、蝶番、接続部、又はその他の可動部を用いて、ユーザはトラックの位置を調整できる。


[00180] 1つ又は複数の光源がトラックの全長に沿って摺動できる。あるいは、光源は、トラックに沿った異なる地点に装着又は除去できる。幾つかの実施形態では、光源は、トラックに沿った特定の位置(例えば、光源を装着可能な離散部分)にのみ装着又は除去できる。あるいは、1つ又は複数の光源はラックに沿った任意の地点に装着又は除去できる。したがって、1つ又は複数の光源は変位させることができる。


[00181] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源は、固定した配向を有するように枠に装着できる。あるいは、1つ又は複数の光源は、枠に対して回転自在であってもよい。これによって光源の寸法に応じて光線を受ける領域を変更できる。1つ又は複数の光源は、1つ又は複数の軸を中心に回転自在であってもよい。例えば、1つ又は複数の光源は、支持アームにほぼ平行な、すなわち、平行方向+18°〜−18°の範囲内にある第1の軸を中心に、支持アームに垂直な第2の軸を中心に、又は第1及び第2の軸の両方に垂直な第3の軸を中心に回転自在であってもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源は、蝶番、枢軸、又は1つの回転軸を可能にするその他の構成によって支持できる。他の実施形態では、複数の蝶番、枢軸、又は複数の回転軸を可能にするその他の機構を提供できる。別の実施形態では、1つ又は複数の光源は、複数の自由度を提供できるボールソケット接続部によって支持できる。枠に対する1つ又は複数の光源の配向は手動で調整できる。ユーザは、1つ又は複数の光源を所望の配向にすることができる。あるいは、1つ又は複数の光源の配向は遠隔で制御できる。例えば、1つ又は複数の光源を所望の配向にする1つ又は複数のアクチュエータを提供できる。アクチュエータは、コントローラから受信した信号に基づいて動作できる。信号は、下記のように有線接続又は無線接続を介して受信できる。


[00182] 図8A〜図8Dに示すように、別の実施形態では、1つ又は複数の光源81を支持アーム88に沿って摺動するように構成できる。例えば、顔の右側の支持アームと顔の左側の支持アームは、光アセンブリをトラックに沿って摺動できるようにするトラック85を含んでもよい。トラックは、支持アームに平行であってもよい。あるいは、トラックは、支持アームに対して平行でない角度の方向に提供できる。幾つかの実施形態では、トラック又は支持アームは、装置の使用時に実質的に水平の配向を有してもよい。光アセンブリは、1つ又は複数の光源81、温度制御システム83又は垂直トラック87を含んでもよい。幾つかの実施形態では、右側の支持アームに1つ又は複数の光アセンブリを提供し、左側の支持アームに1つ又は複数の光アセンブリを提供することができる。幾つかの実施形態では、支持アームは、光アセンブリを含まない。支持アーム上のトラックは、支持アームにほぼ平行、すなわち、平行方向+18°〜−18°の範囲内にあってもよい。代替実施形態では、トラックは、垂直トラック、傾斜レベル、又は湾曲したトラックを含むその他の任意の配向を有してもよい。幾つかの実施形態では、支持アーム上に1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のトラックを提供できる。支持アームに対する光アセンブリの位置は、手動で調整できる。例えば、ユーザは、光アセンブリを支持アームに沿った所望の位置に移動させることができる。あるいは、光アセンブリの位置は、遠隔で制御できる。例えば、1つ又は複数の光アセンブリを所望の配向にする1つ又は複数のアクチュエータを提供できる。アクチュエータは、モータ、ソレノイド、リニアアクチュエータ、油圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、圧電アクチュエータ、又は磁石を含んでもよいが、これらに限定されない。アクチュエータは、コントローラから受信した信号に基づいて光アセンブリを移動させることができる。


[00183] 幾つかの実施形態では、垂直トラック87を提供できる。垂直トラックは、支持アーム88に沿ったトラックに対してほぼ垂直、すなわち、垂直方向+9°〜−9°の範囲内にあってもよい。本明細書内の垂直トラックについての説明は、支持アーム上のトラックと連通できる任意の配向のその他の任意の二次トラックに適用できる。垂直トラックは、支持アーム上のトラックに対して調整できる。例えば、垂直トラックは、支持アームに沿ったトラックに沿って摺動できる。幾つかの実施形態では、垂直トラックは、支持アームに対して、例えば支持アームに沿ったトラック上で着脱自在である。幾つかの例では、垂直トラックを支持アームに沿った1つ又は複数の場所に装着できる。そのような場所は、離散的又は連続的であってもよい。支持アームに1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の垂直トラックを同時に装着できる。支持アームに対する垂直トラックの位置は、手動で調整できる。例えば、ユーザは、垂直トラックを支持アームに沿った所望の位置に移動させることができる。あるいは、光アセンブリの位置は遠隔で制御できる。例えば、1つ又は複数の光アセンブリを所望の配向にする1つ又は複数のアクチュエータを提供できる。アクチュエータは、コントローラからの信号に応答できる。オプションとして、垂直トラックは、支持アームに対して回転自在である。例えば、垂直トラックは、垂直方向を向いてはいないが水平方向を向くように、又は斜めの方向に提供されるように回転自在であってもよい。垂直トラックは、手動で回転させることができる。あるいは、垂直トラックを所望の位置まで回転させる1つ又は複数のアクチュエータを提供できる。アクチュエータは、コントローラからの1つ又は複数の信号に応答できる。


[00184] 1つ又は複数の光源81は、垂直トラックに沿って摺動するように構成できる。あるいは、1つ又は複数の光源は、垂直トラックの離散的又は連続的な場所で着脱自在であってもよい。垂直トラック対する1つ又は複数の光源の位置は手動で調整できる。例えば、ユーザは、1つ又は複数の光源を垂直トラックに沿った所望の位置に移動させることができる。あるいは、1つ又は複数の光源の位置は、遠隔で制御できる。例えば、1つ又は複数の光源を所望の位置へ移動させる1つ又は複数のアクチュエータを提供できる。1つ又は複数の光源は、垂直トラックに対して固定位置を有してもよい。あるいは、光源は、上記のような第1の軸、第2の軸、又は第3の軸を中心に回転自在であってもよい。1つ又は複数の光源は、手動で配向でき、又はコントローラから受信した信号に応答して光源を配向するアクチュエータを有してもよい。一実施形態では、光源が制限された範囲内でそれを中心に回転することを可能にする垂直バー89に1つ又は複数の光源を装着できる。これによって光源は、使用時に患者の顔に対して所望の位置を有することができる。一実施形態では、垂直トラックに沿って2つの光源を提供できる。本発明の代替実施形態では、垂直トラックは、支持アーム及び垂直に対して垂直でなくてもよい。例えば、支持アームに対して任意の角度(例えば、支持アームに対して約15度、約30度、約45度、約60度、約75度、又は約90度)で二次トラックを提供できる。幾つかの実施形態では、二次トラックは、支持アームに対して固定位置を有してもよい。あるいは、二次トラックは、支持アームに対して回転自在であってもよい。


[00185] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源は、二次トラックに対して回転又は移動できる。例えば、蝶番、枢軸、ボールソケット接続部、又は1つ又は複数の光源が二次トラックに対して回転又は移動することを可能にするその他のタイプの機構を提供できる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源を制限された範囲内で回転することができる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源の相対位置は手動で調整できる。例えば、1つ又は複数の光源は患者の顔に接触でき、光源の位置は患者の顔の輪郭に合わせることができる。例えば、光源の相対的角度は患者の顔に合わせることができる。他の実施形態では、1つ又は複数の光源の位置を調整する1つ又は複数のアクチュエータを提供できる。アクチュエータは、コントローラから受信した信号に応答して動作できる。幾つかの実施形態では、光源の所望の構成が設定されると手動で調整できないように1つ又は複数の光源の位置をロックすることができる。あるいは、1つ又は複数の光源は力に応答してもよく、したがって、患者又はその他の個人は光源の位置を調整できる。


[00186] 幾つかの実施形態では、第3のトラック、又は第4のトラックを提供できる。一実施形態では、二次トラック上に第3のトラックを提供でき、又は三次トラック上に第4のトラックを提供できる。支持アームは、1つ又は複数の光源の複数の場所に様々な自由度を提供する任意の数のトラックを備えてもよい。他の実施形態では、支持アームは、バー、切欠き、すべり面、ゴムバンド、又は穴を含む1つ又は複数のその他の構成要素又は構成を含むが、これらに限定されない。


[00187] ヒートシンク36は、1つ又は複数の光源30と支持アーム28の内面34の間に配置することができる。ヒートシンク36は、例えば、銅、アルミニウム、又はその他の好適な熱伝導材料から構成して光源30からの熱の放散を向上させることができる。図7Bを参照すると、ヒートシンク36は、ヒートシンク36上の形成されたトラック係合隆起62Bを介して支持アーム28の内面34に形成されたトラック60に係合可能であってもよい。トラック60とトラック係合隆起62Bは、光線治療装置20が使用位置にある時に支持アーム28に対してヒートシンク36を留め、光源30を装着者の顔の方を向かせる任意の好適な補完構成及び配向を有してもよい。あるいは、ヒートシンク36は、オプションのトラック係合隆起62Bによるトラック60との係合を介してではなく、支持アーム28の任意の好適な方法で結合してもよい。例えば、ヒートシンク36は、クリップ、クランプ、接着剤、熱伝導性接着剤、フックアンドループファスナ、又はその他の任意の結合機構によって光源30に結合されてもよい。幾つかの実施形態では、ヒートシンク36は、光源30又は支持アームの20の一方又は両方と一体形成されてもよい。幾つかの実施形態では、ヒートシンクは各々の光源に接続できる。


[00188] 気体、液体、又は固体冷却システムを支持アーム28上に提供して光源30を好適な温度に維持でき、又は上述したように、受動冷却手段を使用できる。幾つかの実施形態では、光源30の内面32の温度は、約41℃の温度未満に、一実施形態では、約20℃〜約35℃の範囲内に維持できる。例えば64A又は64B(図7A及び図7B)として示すケーブルくぼみを光源30内に提供して、光源30又は気体又は液体冷却システムの構成要素へ電気を搬送するケーブルを収容できる。下記のオプションのセンサ又はコントローラ50を提供して、任意の光源30の内面32又はその他の指定部分の温度が所定の値を超えた場合にその特定の光源をオフにすることができる。


[00189] 光源の温度を変化させ又は維持して所望の温度を維持し又はそれに近づけることができる。例えば、冷却システムを用いて光源の温度を低減し、温度が上昇しすぎないようにすることができる。幾つかの状況では、光源が低温又は高温になり過ぎないようにする温度制御システムを提供できる。所望の温度範囲を事前設定できる。所望の温度範囲は固定又は調整可能であってもよい。幾つかの実施形態では、所望の温度範囲は周囲空気温度の約±10℃、約±7℃、約±5℃、又は約±3℃の範囲内、あるいは装置を装着している患者の皮膚温度の約±10℃、約±7℃、約±5℃、又は約±3℃の範囲内であってもよい。


[00190] 幾つかの実施形態では、光線治療装置20は、排他的に又は実質的に患者の口の外側に配置され支持される。排他的に又は実質的に患者の口の外側に配置され支持される光線治療装置を用いて、オプションとして、その光線治療装置を1つ又は複数の様々な口腔内歯列矯正デバイスと容易に併用できる。例えば、本明細書に記載する歯列矯正器具を口腔内歯列矯正デバイスとして提供し、本発明の装置又は方法で使用できる。他の実施形態では、光線治療装置20の一部を患者の口内に配置して光線治療装置20を患者の顔又は頭の上に固定又は配置するのを助けることができる。例えば、患者にその上側の歯と下側の歯の間に口腔内トレイを保持させることで所定位置に支持されるバイトウィング又は口腔内トレイを光線治療装置20に接続して装置を保持又は支持するのを助けることができる。好適な口腔内トレイの実施例が、両方が参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする、PCT公開番号WO2009/000075及びWO2006/087633に記載されている。幾つかの実施形態では、口腔内デバイスは1つ又は複数の光源を備えるか又は口腔内からある領域に光線を投与することが可能であってもよい。幾つかの実施形態では、口腔内又は口腔外から、あるいはその両方からある領域に光線を投与できる。他の実施形態では、口腔外からのみある領域に光線が投与され口腔内からは投与されない。幾つかの例では、患者の顔を通して経皮的にのみある領域に光線を投与できる。


[00191] 図9は、右側1と左側3(装置の正面から見て)、口腔外ブリッジ5、及び口腔内トレイ7を有する口腔外光源4を備える例示的光線治療装置2を示す。口腔内トレイ7は患者の歯に合わせてある。光源4は口腔外ブリッジ5によって口腔内トレイ7に堅固に接続されている。あるいは、口腔内トレイと口腔外ブリッジとの間に多少の柔軟性を提供してもよい。したがって、患者は光源4を正確に繰り返し配置して口腔内トレイ7を患者の口内に挿入し口腔内トレイ7を噛んで少なくとも患者の歯の一部に合わせることで患者の歯又は上顎顔面区域の所望の場所を照明することができる。これによって光線治療装置2は安定化し、光源4は所望の位置に置かれる。後続の治療中、光源4からの光線を一貫して整列させ標的に向けることで治療の反復可能性は増す。


[00192] 図示の実施形態では、口腔外ブリッジ5は口腔外光源4と口腔内トレイ7に着脱自在である。互いに着脱自在に接続できる主要構成要素を有する光線治療装置2を提供することで融通性が向上する。口腔内トレイ7への口腔外光源4のアライメントを守りながら光線治療装置の主要構成要素を分解及び再組み立てすることを可能にする設計は、保管又は輸送のために装置を分解し、次に組み立てて直後に使用できるという利点を有する。図11は、口腔外光源の左側3を口腔外ブリッジ5から取り外した状態の光線治療装置2を示す。


[00193] 口腔外ブリッジ5、口腔外光源の右側1、及び口腔外光源の左側3を好適なコネクタを介して合体させることができる。例えば、口腔外光源の右側及び左側1及び3の雄コネクタ部分6Aを口腔外ブリッジ5の対応する雌コネクタ部分8Aに挿入することで、口腔外ブリッジ5、口腔外光源の右側1、及び口腔外光源の左側3を結合することができる(図11参照)。好ましくは、好適なコネクタによって口腔外ブリッジ5から口腔外光源の右側及び左側1及び3を取り外して使い易さと柔軟性とを実現できる。


[00194] 幾つかの実施形態では、口腔外光源の右側及び左側1及び3は矢状配向(図9に示す)と垂直配向(図9に点線の輪郭で示す)の間で回転自在である。光源の右側及び左側1及び3は任意の好適な機構によって所望の回転角に固定できる。これによって光源の右側及び左側1及び3が放射する光線が所望の治療区域をカバーするように光源の右側及び左側1及び3を構成することができる。


[00195] 口腔内トレイ7は別の好適なコネクタによって口腔外ブリッジ5に接続できる。図13に示す実施形態では、口腔内トレイ7の雄型部分6Bは口腔外ブリッジ5の雌型部分8B内に着脱自在に収容される。口腔内トレイ7が口腔外ブリッジ5から着脱自在である場合、口腔外ブリッジ5を他の患者に再使用できる(好適な殺菌後に)。口腔内トレイ7は患者が必要としなくなってから廃棄処分できる。幾つかの実施形態では、口腔外ブリッジ5は口腔内トレイ7に非着脱自在に装着されている。


[00196] 口腔内トレイ7は患者の口内に挿入され、好適には患者の歯の周囲にフィットする形状である。口腔内トレイ7は少数の選択された歯に適合でき(例えば、口腔内トレイ7は噛み合せタブを含んでもよい)、又は患者の歯全体の周囲にフィットできる。一実施形態では、口腔内トレイ7は硬化可能な材料の骨格の役割を果たすプラスチック又はその他の好適な材料の枠を備える。口腔内トレイの枠は穿孔して硬化可能な材料を留置するのを助けることができる。口腔内トレイの枠は口腔外ブリッジ5又は口腔外ブリッジ5に接続するコネクタを備えてもよい。口腔内トレイをオプションとして提供でき、口腔外ブリッジのためのその他の固定手段を提供できる。例えば、本明細書に記載するように、枠は口腔外ブリッジ又は口腔外光源を患者の顔に対して支持することができる。


[00197] 光線投与に使用される前に、患者の歯の周囲で硬化しその後患者の口内の口腔内トレイ7の反復アライメントを可能にする好適な硬化可能な材料(例えば、透明のシロキサンゲル又は同様の材料)で口腔内トレイ7用の枠を充填してもよい。口腔内トレイ7が光源4から標的組織まで移動する光線の経路内にある可能性を有する場合、口腔内トレイ7の材料は光透過性でなければならない。


[00198] 口腔外ブリッジ5は患者の顎の線の周囲に適合できる。光源の右側及び左側1及び3を患者の顎の線に沿ってそれぞれ患者の顔の右側及び左側に配置することができる。口腔外ブリッジ5を調整して光源の左側及び右側1及び3を照射する標的区域に整列させることができる。光源の左側及び右側1及び3は口腔外(患者の口腔の外側)にある。光線は左側及び右側1及び3から患者の唇及び頬の組織を通って患者の歯肉上又は患者の顎の内部の標的区域に達する。本明細書に開示するように、患者の顔を通して光線を経皮的に任意の領域に投与できる。


[00199] 幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上の光源4は患者へ向けて光線を放射する。本明細書に記載する光エミッタの任意の構成を備えた任意の光源を使用できる。幾つかの実施形態では、光源4は治療が望まれる組織に隣接する患者の皮膚の近く又はそれにもたせかけて配置された内面13(図12を参照)を有する。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源は患者の顔に接触できる。上記1つ又は複数の光源は、所望の領域の上に覆いかぶさる顔の部分に接触できる。光線が内面13から治療区域へ向けて放射される。幾つかの実施形態では、光源4の左側及び右側1及び3は各々、人間の顎の長さの有効小数部と同様の長さを有する。例えば、幾つかの実施形態では、左側及び右側1及び3は各々約20mm〜約90mmの長さを有してもよく、幾つかの実施形態では、約25mm〜約45mm又は約60mmの長さを有してもよい。光源は、本明細書に開示するその他の任意の寸法を有してもよい。光源4が局所的な状態を治療又は防止することが意図される場合、光源4はその広さがより小さくてもよい。幾つかの実施形態では、光源4は発散するビームの形状の光線を放射する光学装置を有する。光源は上記の光学装置と併用できる。その場合、光源4からの光線は顎及び歯肉の組織に到達する前に患者の唇及び頬の組織を通過する際に分散するため、光源4は治療区域より幾分小さくてもよい。


[00200] 光源4は患者の上顎と下顎とを同時に照射するだけの幅があってもよいが、幾つかの実施形態では光源4はより狭くてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、光源4は約12mm〜約40mm(例えば、幾つかの実施形態では約15mm〜約17mm)の範囲内であってもよい。幾つかの実施形態では、光源は上顎又は下顎、あるいはその一部だけを照射する。


[00201] 本明細書で本発明は有用にはLEDを使用すると記載しているが、レーザなどのその他の光エミッタも好適には使用できる。光源の右側及び左側1及び3によって放射される光線の性質は、光源4内のLED又はその他の光エミッタの性質に依存する。放射される光線は、620nm〜1000nmの範囲内の波長を含むことが一般に望ましい。幾つかの実施形態では、放射される光線は、約820nm〜約890nm又は約620nm〜約680nmの少なくとも一方の範囲内の波長を含む。幾つかの実施形態では、約820nm〜約890nm及び約620nm〜約680nmの範囲内の波長を有する光線を提供できる。約613nm〜約624nm、約667nm〜約684nm、約750nm〜約773nm、約812nm〜約846nmの範囲の1つ以上に対応するか又はその範囲内の波長あるいは本明細書に記載するその他の任意の波長を有する光線が特に有効である。約613nm〜約624nmの範囲は低減したチトクロームcオキシダーゼが光線を吸収する帯域に対応する。約812nm〜約846nmの範囲は酸化チトクロームcオキシダーゼが光線を吸収する帯域に対応する。光源は本明細書に記載するその他の任意の波長の光線を提供するように構成できる。


[00202] 図14及び図15は、ヘッドセットスタイルの構成を有する光線治療装置202Aを示す。光線治療装置202Aはヘッドセット217と好適なコネクタ221によってヘッドセット217に搭載された少なくとも1つの口腔外光源219とを備える。ヘッドセット217は、一般に眼鏡の枠の形態を有してもよい。図示の実施形態では、ヘッドセット217は患者の耳の上と周囲にフィットするアーム227と、患者の鼻梁の上側にフィットする枠229とを有する。ヘッドセット217は、またレンズ(図示せず)を含んでもよい。好適には、レンズは、患者の目を放射から保護するために光源219によって放射された光線を阻止する材料から構成されてもよい。光源219は、LED又は他の光エミッタのアレイを備えてもよい。


[00203] ヘッドセット217が個々の患者にフィットするように調整されると、枠229は患者の鼻梁に適合し、アーム227は患者の耳の上に載る。ヘッドセット217は装着するたびに患者の頭に同じように載るように構成される。ヘッドセット217は、個々のユーザによりよくさらに確実にフィットするように柔軟性を備えた堅固な弾性材料から構成されてもよい。幾つかの実施形態では、アーム227は、その軸に沿って水平に調整されてもよい。枠229も、例えば、よりよくさらに確実にフィットするように屈曲させることで調整可能である。弾性ストラップなどの弾性保持具を提供して、使用時にヘッドセット217を所定位置に保持できる。


[00204] 図16に示す実施形態では、コネクタ221によって光源219の位置をヘッドセット217に対して水平軸230Aと垂直軸230Bの両方に沿って調整することができる。ヨーク231Aがスロット231Cを貫通するねじ231Bによってヘッドセット217に搭載されている。水平方向230Aの光源219の位置は、ねじ231Bを緩め、スロット231Cに沿ってヨーク231Aを所望の位置へ摺動させ、ねじ231Bを締め直すことで調整できる。光源219はスロット231Fを貫通するねじ231Eによってヨーク231Aのアーム231Dに接続される。光源219の垂直位置は、ねじ231Eを緩め、スロット231Fに沿って光源219を所望の垂直位置へ上又は下に摺動させ、ねじ231Eを締め直すことで調整できる。本明細書に記載する機構を含むその他の任意の機構を用いて光源の位置を垂直又は水平方向に変更することができる。


[00205] 図示の実施形態では、スロット231Cは、上から見ると湾曲している。スロット231Cは、光源219がスロット231Cに沿った光源219の位置の範囲で患者の皮膚に有効に押し付けられるように通常の上顎骨の湾曲に合わせている。人間の顔の下側部分は上側部分よりも通常狭いため、コネクタ221は光源219を保持でき、光源は傾斜して下側縁部が上側縁部よりも患者側へ突き出ている。幾つかの実施形態では、光源219の傾斜角は調整可能である。ヘッドセット217を装着した時に患者の顔に対して光源219が付勢するようにヘッドセット217を調整できる。装置の使用時には、光源は患者の顔に接触してもよい。光源は領域の上に覆いかぶさる顔の領域に接触でき、それにより領域に光線を経皮的に投与できる。


[00206] コネクタ221の多数の代替設計を提供できる。例えば、コネクタ221は、ヘッドセット217にクランプ又はその他の方法で固定できるバー、棒、又は同様のデバイスと、光源219をバー、棒、又は同様のデバイスに固定するクリップ又は同様の機構とを備えてもよい。


[00207] 図17に示すように、幾つかの実施形態では、光源219はヘッドセット217から着脱自在に取り外すことができる。これは光線治療装置202Aの保管又は輸送にとって便利である。装置の使用時には、光源は患者の顔に接触できる。


[00208] 別の実施形態では、ヘッドセット217は、口腔外光線治療装置202Aを固定するために患者の頭頂部の周囲にフィットする調整式ストラップ(図示せず)を備える。調整式ストラップは、また患者の下顎の周囲にフィットして頭頂部に戻り、患者の頭頂部に巻き付く。調整式ストラップは、柔軟な弾性の織物から構成できる。


[00209] 図18は、少なくとも1つの光源235を備える光線治療装置234を示す。光源235は、薄い成形基板251(図19)上に搭載されたLEDアレイなどの少なくとも1つの光エミッタを備える。光源235内に光エミッタの複数のアレイを提供できる。例えば、図18に示す光源235はLEDの2つのアレイを有する。光エミッタのアレイ36を下段245と上段247内に配置できる。上段と下段とは別々に制御可能である。上段及び下段はそれぞれ上及び下顎の組織を照射する。装置を治療区域に固定する装着手段243が提供される。


[00210] 上記のプログラマブルコントローラ215を備える電源及びコントローラは、光源235を動作させて所望のプロトコルに従って光線を放射させる。


[00211] 図18に示す例示的装置234では、光源235は、右側部分237と、中央部分239と、左側部分241とを有する。右側部分237と左側部分241は、それぞれ患者の顔の右側と左側の上に支持されている。装置が患者によって装着されている時には、1つ又は複数の光源が患者の顔の接触できる。図18に示す光源235は、上記のヘッドセット217、上記のフルトレイ又は1つ又は複数の噛み合せタブとを備える口腔内トレイ7、両面接着テープなどの接着剤、ストラップ又は一組のストラップ、又は支持若しくは装着手段を含む任意の好適な装着手段によって支持できる。


[00212] LEDアレイは、リボンコネクタなどの好適なコネクタ238によって光源235に着脱自在に装着でき、又は図19に示すように、光源235により恒久的に一体化することもできる。光源235上に着脱式の再配置可能なLEDアレイを提供することで、標的組織を最適に照射するために光源235上にLEDアレイを配置できる。LEDアレイは標的組織を照射するために集中させてもよく、非標的組織の上から覆いかぶさる光源235の区域はLEDアレイを有する必要がない。


[00213] 図20は、基板251から取り外した外部光線治療装置234のLEDアレイ236の断面図である。クリップ又は同様の装着手段253を用いて少なくとも1つのLEDアレイ236を基板251上に搭載できる。上記のように、基板251はヒートシンクとしての役割を果たす。基板251は熱伝導性が優れたアルミニウム又は同様の金属から構成できる。基板251は成形可能である(すなわち、一又は二方向に柔軟であって、患者の顔の輪郭に合わせて形成でき、形成されるとその形状を保つ)。


[00214] アレイ236の間に蝶番様の部材249を提供して光源235を屈曲させ、顔の輪郭の周囲によりよいフィットを提供することができる。図19に示すように、蝶番様の部材249は、基板材料に組み込んだ薄い折り目250又はその他の屈曲線を含んでもよい。蝶番様の部材249によって中央部239は患者の口と、右側部分237と、左側部分241の周囲にフィットして患者の顔の周囲にフィットする。


[00215] 装置は、患者に支持体をフィットさせることで装着できる。支持体は、ヘッドセット、口腔内トレイ、噛み合せタブ、1つ又は複数のストラップ、1つ又は複数のノーズピース、1つ又は複数のイヤピース、又はその他の任意の支持若しくは装着機構を備えてもよい。患者が繰り返し装着できるように、支持体をフィットさせると、支持体の光源からの光線が治療区域を照明できる場所に1つ又は複数の光源を装着できる。


[00216] 次に、治療計画を決定できる。職場の医師、歯科医、又は療法士又は自宅の患者は、オプションとして本発明の方法で装置を使用できる。


[00217] 他の実施形態、構成、構成要素、ステップ、又は特徴を本発明に組み込むことができる。参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする米国特許公開第2007/0248930号及び米国特許公開第2006/0200212号を参照されたい。


[00218] 光線治療装置を較正するには、反射率を測定するのに有用なセンサ(図示せず)を光線治療装置が使用位置にある時に患者の皮膚に隣接する場所に提供できる。センサは患者の皮膚からの光線の反射率を測定でき、測定値が所定の範囲外(例えば、光線治療装置が患者の頭から取り外されたため)である場合、センサは治療又は光源からの光線の放射を自動的に休止する。光線治療装置が患者の頭から取り外された場合の治療又は光線の放射の休止によって、光源からの光線に患者の目を露出することによる偶発的な傷害のリスクが最小限にされる。


[00219] 幾つかの実施形態では、反射率センサからの信号に応じて、コントローラは1つ又は複数の光線特性を維持又は調整する(例えば、増加又は減少させる)か否かを決定できる。光線特性は、光線の強度、光線のコヒーレンス性、光線の範囲、放射のピーク波長、連続性、パルシング、デューティサイクル、周波数、継続期間、又は光エミッタがオンかオフかを含んでもよいが、これらに限定されない。


[00220] 幾つかの実施形態では、光源は実質的に単色である光線を放射するように構成できるが、これは必須ではない。複数の波長で放射可能な光線を提供することで複数の波長にわたって照射することができ、生物学的活動と投与における選択性と精度とが向上する。光源はインコヒーレント光を放射できるが、これは必須ではない。幾つかの実施形態では、光線は単一の周波数で提供でき、光線は迅速にドリフトする位相を有してもよく、光波のパルスは迅速に変化する振幅を有してもよく、又は広い範囲の周波数を備えた光波を提供できる。光線は連続投与でき、又は好適な周波数とデューティサイクルとでパルス放射できる。光源は、上記の光線特性のいずれかを投与するように構成できる。


[00221] 幾つかの実施形態では、光源は赤外線を含む光線を放射し、光源は明るい可視光を含む光線をさらに放射する。明るい可視光は動作時に患者が光源30を覗き込むのを抑止し、装置が動作中であるという知覚可能な表示を提供し、光線治療装置20を正しく位置決めする際に有用である。可視光は、必須ではないが、光線治療に有益な波長範囲内にあってもよい。幾つかの実施形態では、光線の可視光及び赤外光成分の強度の割合は可視光が1以下に対して赤外光が5以上である。幾つかの実施形態では、光源は、ある波長範囲にわたる光線を放射する光エミッタを備えてもよい。幾つかの実施形態では、範囲は1桁未満の大きさの波長を含んでもよい。あるいは、範囲は1桁、2桁、3桁又はそれ以上の大きさの波長を含んでもよい。


[00222] 図6は、光線治療装置20の動作を制御するために使用できるタイプのプログラマブルコントローラ50の一実施例を示す。この例示的実施形態では、コントローラ50はプログラマブルであるとして記述されているが、コントローラ50がプログラマブルである必要はない。例えば、コントローラは光線の波長、光線強度、光線のパルシング、光線のデューティサイクル、光線の周波数、又は光線の継続期間などの様々なパラメータを設定するためのつまみを有してもよく、適当な信号に応答して1つ又は複数の光源30の光エミッタを適当に起動することができる。コントローラは上記の特性を含む任意の光線特性を備えた光線を制御できる。各々の光源、例えば、図2に示す光源30A〜30Hは1つ又は複数のコントローラ50によって個別に調節できる。医師、歯科医、歯列矯正医、療法士、技術者又はその他の専門家はこれらのコントローラ又はプログラムコントローラ50を設定して患者が治療の送達を開始すると適当な治療が送達されるようにする。あるいは、治療を受けている患者はつまみをセットできる。幾つかの実施形態では、つまみは特定の状況に適したプリセットプログラムを含んでもよい。他の実施形態では、1つ又は複数のパラメータを個別に調整又は入力してもよい。


[00223] 図6に示すように、幾つかの実施形態では、プログラマブルコントローラは携帯型デバイスであってもよい。あるいは、プログラマブルコントローラは、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、又はラップトップコンピュータなどのコンピュータ、パームベースデバイス又はWindows(登録商標) CEデバイスなどの携帯情報端末(PDA)、携帯電話又は位置認識携帯電話(GPSなど)を含む電話機、ネットワーク接続ローミングデバイスなどのローミングデバイス、コンピュータネットワークと通信可能な無線eメールデバイス又はその他のデバイス、あるいはネットワーク上で通信可能なその他の任意のタイプのネットワークデバイスなどの別のデバイスの一部又は別のデバイスと通信してもよい。本明細書内のコンピュータ又はその他の任意のデバイスについての記述は、コントローラを含むその他のデバイスにも適用できる。デバイスは、コード、論理、又は任意のステップ、計算、アルゴリズムを実行する、又はプログラムを実行する命令、あるいは事前記憶された命令を含むメモリを有してもよい。


[00224] プログラマブルコントローラ50は独立したリモートユニットであってもよく、又は光源30に直接接続されるか、若しくは統合されてもよい。プログラマブルコントローラは、ローカルコントローラ、起動機構、フレーム、又はコントローラの任意の他の部分を含む光線治療装置の任意の部分に接続されるか、又は一体化されてもよい。


[00225] ケーブル52を提供して光線治療装置20をプログラマブルコントローラ50、光源30の電源、又は好適な加熱又は冷却システムに接続することができる。幾つかの実施形態では、プログラマブルコントローラと光線治療装置との間に有線通信を提供できる。他の実施形態では、プログラマブルコントローラと光線治療装置は無線で通信できる。無線信号の実施例は、無線周波数(例えば、RFID)信号、ブルートゥース、又はCAN(Control Area Network)メッセージを含んでもよいが、これらに限定されない。


[00226] 幾つかの実施形態では、コントローラ50は、マイクロプロセッサと、データ記憶装置と、電源と、クロックと、関連する電子回路とを備えてもよい。電源は、外部電源又は内部電源を含んでもよい。例えば、電気プラグによって電力を提供できる。プラグは、送電設備網/ユーティリティ、発電機、又はエネルギー貯蔵システムと連通してもよい。幾つかの実施形態では、電源は、更新可能な電源であってもよい。電源は、バッテリ、ウルトラキャパシタ、又は燃料電池などのエネルギー貯蔵システムであってもよい。幾つかの実施形態では、電源は可搬式であってもよい。


[00227] データ記憶装置内には制御パラメータが記憶されている。コントローラは、コード、論理、又は任意のステップ、計算、アルゴリズムを実行する、又はプログラムを実行する命令、あるいは事前記憶された命令を含む有形のコンピュータ可読媒体を含むメモリを備えてもよい。プログラマブルコントローラ50は、データ記憶装置内のパラメータに従って光源30を動作させる。パラメータは、治療期間、光エミッタ38によって放射された光線の1つ又は複数の波長、治療中の特定の波長又は波長範囲の光線強度、光エミッタ38が連続動作するか又はパルス光方式か、光エミッタ38がパルス光方式の場合、光エミッタ38のパルス照射のレート、光エミッタ38がパルス光方式の場合、光エミッタ38のパルス照射のデューティサイクル、光エミッタ38の光線のコヒーレンス性、又は上記のその他の任意の光線特性のうち1つ以上を指定できる。同じ光源内の光エミッタは、同じ光パラメータを有してもよい。あるいは、同じ光源内に異なる光パラメータの複数の光エミッタがあってもよい。


[00228] 光線治療装置20が異なる特性を有する数組の光エミッタ38(例えば、異なる波長で光線を放射する数組のLED、又は異なる場所の標的組織を照射する数組の光源30)を有する場合、異なる数組の光エミッタ38又は光源30に別々の制御パラメータを提供できる。幾つかの実施形態では、光線治療の異なるセグメント(間隔)に異なる数組のパラメータを指定できる。例えば、各々が数秒から数百秒又は1時間の何分の1だけ継続する一組の間隔について光線治療を定義できる。各々の間隔について異なるパラメータを指定できる。間隔は必ずしも長さが等しくない。幾つかの実施形態では、コントローラのクロックが所定の期間が過ぎたか否かを決定するのを助ける。


[00229] 幾つかの実施形態では、異なる光線治療装置20の異なる区域について数組の異なるパラメータを指定できる。幾つかの例では、ある患者の治療計画では光線治療装置20の上記部分に対応する場所に投与する特定の波長の光線又は全波長の光線が必要ないため、光線治療装置20の幾つかの光源30をオフにできる。例えば、図2を参照すると、光線治療を患者の上の歯にのみ投与することが望まれる特定の治療計画で、光源30A、30B、30C及び30Dだけが起動されるようにプログラマブルコントローラ50をプログラミングできる。あるいは、光線治療を患者の臼歯にのみ投与することが望まれる特定の治療計画で光源30A、30D、30E及び30Hだけが起動されるようにプログラマブルコントローラ50をプログラミングできる。所望の用途に応じて、任意の好適な構成の光線治療装置20の周囲に配置された様々な光源の起動のその他の様々な組合せ及び置換を考案して実施することができる。幾つかの実施形態では、患者の上顎及び下顎歯槽骨又は歯の実質的に全部を実質的に均等に照明するように光線治療装置20が構成される(すなわち、光源30が位置決めされ、配向される)。光線治療装置は、患者の他の領域を実質的に均等に照明するように構成できる。オプションとして領域を歯槽骨又は顎骨基底部に限定してもよい。


[00230] 医師、歯科医、歯列矯正医、療法士、助手、技術者、又はその他の専門家は患者の治療計画をプログラマブルコントローラ50内にプログラミングできる。これは、例えば、プログラマブルコントローラ50とデータ通信しているコンピュータ上で実行されている好適なソフトウェアの助けにより、又はプログラマブルコントローラ50内に構築された好適なユーザインターフェイスによって可能である。幾つかの実施形態では、治療計画のプログラミングは、光線治療の1つ又は複数のパラメータの所望の値を指定する工程を含んでもよい。治療計画のプログラミングは、また光線治療の1つ又は複数のパラメータに関連付けられたタイミング指定する工程を含む。例えば、治療計画は第1の数分間に第1の波長で光線が提供され、次の数分間に第2の波長で光線が提供されるようにプログラミングすることができる。幾つかの実施形態では、デフォルト値を提供できる。ユーザは、デフォルト値を調整してカスタム化した光線治療計画を作成することができる。他の実施形態では、デフォルト値は提供されず、ユーザは異なるパラメータ値を入力できる。


[00231] プログラミングコントローラ50は、1つ又は複数のプリセットプログラムを組み込んでいてもよい。プログラミングコントローラ50の代替案として、又はその補助として、医師、歯科医、歯列矯正医、療法士、又はその他の専門家は、光線治療装置20が患者に光線を投与するように制御するのにふさわしいプリセットプログラムを選択できる。そのようなプリセットプログラムを歯列矯正治療の特定のタイプ又はステージに提供できる。幾つかの実施形態では、プリセットプログラムを選択でき、ユーザは適宜プリセットプログラムを修正できる。例えば、ユーザは、タイミング、光線の波長、光線強度、光線がパルス光方式か連続的か、光線のデューティサイクル、光線の周波数、どの光線をオフ又はオンにするか、光源の場所、又は本明細書に記載するその他の任意のパラメータのいずれかを調整することでプリセットプログラムから外れてもよい。


[00232] 幾つかの実施形態では、プログラムは、光線治療装置の使用前に決定できる。例えば、ユーザがプログラムを作成又は選択した後で、光線治療装置を使用し、1つ又は複数の光源は光を放射できる。幾つかの実施形態では、プログラムが実行されるか光線治療装置が使用されると、光線治療計画は変更できない。他の実施形態では、光線治療装置の使用中に光線治療計画を変更できる。例えば、光線が放射されている間、光線の強度を調整でき、光線がパルス光方式か連続的かという特性、光線の波長、光線の選択、又は患者の顔に対する光源の場所を調整できる。治療計画は、コントローラ又はコントローラと通信するデバイスを介して調整できる。幾つかの実施形態では、光線治療装置を装着した患者が治療計画を調整できる。他の実施形態では、医師、歯科医、歯列矯正医、療法士、技術者、助手、又はその他の専門家は治療計画を調整できる。


[00233] ユーザは、ユーザインターフェイスと対話してコントローラをプログラミングするか、プログラムを選択するか、又はプログラムの値を調整できる。当技術分野で周知の任意のユーザインターフェイスを使用できる。例えば、プログラマブルコントローラは、1つ又は複数のボタン、ポインティングデバイス(例えば、マウス、ジョイスティック、トラックボール)、キーボード、スイッチ、ノブ、ダイヤル、タッチスクリーン、又はビデオディスプレイを含んでもよい。ユーザインターフェイスをコントローラに直接提供できる、又はコントローラと通信できるデバイス(例えば、コンピュータ)に提供できる。コントローラは、選択されたパラメータ、タイミング又はプリセットプログラムに関する情報をユーザに提供できるディスプレイを含んでもよい。


[00234] プログラマブルコントローラ50は、これまでに投与された治療のログを維持できる。例えば、コントローラ50は、各治療が開始された日時、治療の継続期間、及び治療が完了しているか否かを記録できる。日時は、プログラマブルコントローラに関連付けられたクロックに基づいて記録できる。タイミングを含む1つ又は複数のタイムスタンプを提供できる。ログは、治療に関連付けられたパラメータを示すことができる。ログは、プログラマブルコントローラのメモリ内に記憶できる。あるいは、ログは、コンピュータなどのプログラマブルコントローラと通信しているデバイスのメモリ内に記憶できる。


[00235] ログは、ログデータを表示するためにユーザによってアクセスされる。一実施形態では、ログは、光線治療装置を使用する歯科医、医師、歯列矯正医、技術者、又は患者によってアクセスできる。ユーザは、コントローラから直接、又はコントローラと通信しているデバイスにアクセスできる。ユーザは、ログデータを記憶したデバイスと通信可能な任意のデバイスからログをアクセスできる。コントローラ又はデバイスは、相互に直接、又はネットワーク上で通信できる。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク、又はインターネットなどのワイドエリアネットワークを含んでもよい。


[00236] このログは、その後歯科医、医師、歯列矯正医又はその他の医療専門家によって確認され、患者が処方された治療計画を遵守していたか否かが評価される。ログは、画面又はデバイスのその他のビデオディスプレイに表示される。ログは、光線治療装置20によって投与された光線治療の回数と継続時間とを追跡でき、また動作温度、動作状態、治療パラメータ、タイミング、又はこれらの任意の組合せなどのその他の特徴を追跡できる。


[00237] 幾つかの実施形態では、プログラマブルコントローラ50は、ユーザがデータ記憶装置内の設定済みパラメータに従って治療を開始するためのボタン又はその他の好適なユーザ患者インターフェイスを有する。幾つかの実施形態では、患者インターフェイスは、極めて簡単で、光線治療装置20の使用法を患者に説明するのに最小限の命令しか必要としない。プログラマブルコントローラ50は、治療の時間がきたことを(又は予定の治療が過ぎたことを)患者に思い出させる信号を生成する可聴又は可視インジケータを含んでもよい。


[00238] 幾つかの実施形態では、治療計画は、患者が治療を開始するのに用いる同じデバイス(例えば、コントローラ、コンピュータ)で事前選択又はプログラミングできる。あるいは、治療計画は、患者が治療を開始するのに用いる異なったデバイス(例えば、コントローラ、コンピュータ)で事前選択又はプログラミングできる。幾つかの実施形態では、コントローラと1つ又は複数の治療プログラムをコントローラに送達できる別のデバイス(例えば、コンピュータ)との間に通信を提供できる。幾つかの実施形態では、コントローラと別のデバイスとの間に双方向通信を提供できる。他の実施形態では、他のデバイスからコントローラへ、又は逆の向きに片方向通信を提供できる。


[00239] 患者は、プログラマブルコントローラ50を操作して治療の送達を開始することで、自宅又は別の場所で光線治療装置20を使用できる。患者は、医療専門家への予約に基づいて、又は検査室若しくはクリニックで光線治療装置を使用できる。あるいは、患者は、医療専門家への予約に基づかずに、又は検査室若しくはクリニック外でこの装置を使用できる。患者は、移動中又は旅行中にこの装置を使用できる。


[00240] プログラマブルコントローラ50は、光源30内の1つ又は複数の場所の温度をモニタする回路を備えてもよい。回路は、光源30内の温度センサによって変調された信号をモニタできる。幾つかの実施形態では、温度センサは、熱電対、サーミスタ、又は抵抗温度センサ(RTD)であってもよい。他の実施形態では、プログラマブルコントローラ50は、例えば光源30内の電流及び電圧駆動光エミッタ(例えば、LED、レーザ)をモニタできる。電流/電圧の関係は温度に依存し得る。したがって、電流/電圧の関係をモニタすることで、プログラマブルコントローラ50は、光エミッタ(例えば、LED、レーザ)が望ましくない程度に高温状態であるか否かを判定できる。また温度センサを用いて光源又は光アセンブリ、あるいはその任意の構成要素が望ましくない程度に高温状態であるか否かを判定できる。さらに、温度センサは、光エミッタ、光源、又は光アセンブリが望ましくない程度に低温状態であるか否かを判定できる。温度センサを用いて、光線治療装置のいかなる部分も所望の温度範囲内にあるか否かを判定できる。


[00241] プログラマブルコントローラ50は、任意の特定の光源(例えば、光源30A〜30Hの1つ以上)の温度が望ましくない程度に高温である(又は望ましくない程度の高温状態へ向かっている)ことを検出した時に、上記光源への電流を遮断又は低減できる。またプログラマブルコントローラは、任意の特定の光エミッタ(例えば、光源に1つ又は複数の光エミッタを提供できる)の温度が望ましくない程度に高温であることを検出した場合、上記光エミッタへの電流を遮断又は低減する。あるいは、特定の光エミッタ又は光源の温度が高すぎる場合に、プログラマブルコントローラは、光エミッタ又は光源の群又は部分群への電流を遮断又は低減することができる。例えば、温度が高すぎる場合に、プログラマブルコントローラは、すべての光源への電流を遮断又は低減することができる。


[00242] 光線治療装置20が冷却装置を備える場合、コントローラ50は、光源30の温度が所望のレベルを超えていることを検出した時に冷却装置の動作を増大させることができる。冷却装置の動作を増大させても光源又は光エミッタ又は光線治療装置のその他の任意の部分の温度が所望のレベルに戻らない場合、1つ又は複数の光エミッタ又は光源を遮断又は低減することができる。


[00243] 温度しきい値に達すると、遮断又は電流低減ステップが自動的に実行される。幾つかの実施形態では、ユーザは温度しきい値を定義できる。他の実施形態では、温度しきい値は事前設定できる。幾つかの実施形態では、温度しきい値に達すると、警報又は警告を提供でき、ユーザは、光源又は光エミッタへの電流を手動で遮断又は低減することができる。幾つかの実施形態では、温度測定値をユーザに表示することができる。


[00244] 本発明の別の態様は、本明細書に記載する光線治療装置と、本発明の方法で使用する命令とを含む光線治療キットをさらに提供する。このキットは、光線治療装置から独立した光源をさらに備えてもよい。光源は、所与の使用量に達した後で容易に交換できるように使い捨てであってもよい。幾つかの実施形態では、光線治療装置及び光源は、個別に包装してもよく、又は一緒に包装してもよい。


[00245] また、キットは、本明細書に記載するプログラマブルコントローラを備えてもよい。キットは、コントローラが動作するのに有用な任意の構成要素をさらに備えてもよい。例えば、キットは、コントローラ又は光線治療装置に給電する構成要素を備えてもよい。また、キットは、コントローラを光線治療装置と動作可能に接続させる構成要素を備えてもよい。


[00246] また、キットは、命令をコントローラに提供するソフトウェア、アルゴリズム、又は一組のコンピュータ可読媒体を備えてもよい。ソフトウェア、アルゴリズム、又は一組のコンピュータ可読媒体は、メモリ媒体に提供できる。メモリ媒体は、CD、USBフラッシュドライブ、又は外部ハードドライブなど着脱式又は携帯型であってもよい。


[00247] キットは、簡便に包装され、市販できる。また、キットは、その内部の品目を使用又は保守するための指示書を含んでもよい。


[00248] 使用時に、医師、歯科医、歯列矯正医、療法士又はその他の専門家は、患者の処方された治療計画をプログラマブルコンピュータ50内にプログラミングすることができる(例えば、図6を参照)。プログラマブルコントローラ50は、光線治療装置20によって投与される光線治療のパラメータを制御する。例えば、コントローラ50は、治療の継続期間、投与する光線の1つ又は複数の波長、光線強度、パルス周波数、又はその他の任意の光線又は治療特性を制御できる。プログラマブルコントローラ50は、患者の処方された治療計画を実行し、患者の上顎又は下顎歯槽骨の治療区域上に処方されたパラメータに従って指定された波長のパルス又は連続光線を少なくとも1つの光源30に放射させる。治療区域は、本明細書に記載するその他の任意の領域を含んでもよい。これは、歯槽骨、顎骨基底部、又は歯を含んでもよい。光線はほとんど治療区域にのみ投与できる。光線治療装置20は、有効で、安定して反復可能で、正確で、プログラマブルで、一貫した光線治療を所望の治療に提供し、所望の1つ又は複数の波長の光線を実質的に均一の強度で特定の治療領域に特異的に投与することができる。光線が患者の軟組織に進入する際の光線の散乱は、光線ビームを発散させ、患者の軟組織又は硬組織が均等に照明される。


[00249] 本発明の別の態様によれば、患者の口腔組織の一領域に光線を投与する方法で光線治療装置を使用できる。この方法は、患者の顔の特徴に係合するサイズと形状の支持体と、該支持体によって支持された1つ又は複数の光源とを備える光線治療装置を提供するステップと、上記支持体を患者の顔の1つ又は複数の特徴に係合させるステップと、上記領域に所望の強度の光線を投与するために1つ又は複数の光源の位置を調整する必要があるか否かを判定するステップと、上記判定に従って、上記1つ又は複数の光源の位置を変更又は維持するステップと、上記領域に光線を投与するステップとを含んでもよい。


[00250] オプションとして、光線治療装置は、上記の実施形態のいずれかに記載された装置であってもよい。光線治療装置は、患者の顔の1つ又は複数の特徴に係合できる支持体を含んでもよい。例えば、光線治療装置は、特徴の形状に適合し、特徴を包み込み、特徴の上から覆いかぶさり、特徴を把持し、特徴に固着し又は特徴に圧力又は重量をかけることで患者の顔の特徴に係合できる。例えば、光線治療装置は、患者の耳の後ろを包み込む耳係合部分を含んでもよい。別の実施形態では、光線治療装置は、患者の鼻梁に載る鼻係合部分を含んでもよい。


[00251] 一領域に光線を投与する方法は、該領域に所望の強度の光線を投与するために1つ又は複数の光源の位置を調整する必要があるか否かを判定するステップをさらに含んでもよい。そのような判定は、手動又は自動で実行できる。例えば、患者又は医療の専門家は、光線治療装置の装着時に光源の位置を決定できる。患者又は医療の専門家は、所望の領域に対する光源の相対位置を決定できる。光線治療装置は、1つ又は複数のセンサを備える。幾つかの実施形態では、センサは、温度センサ又は反射率センサであってもよい。別の実施形態では、センサは、上記領域に対する光源の相対位置を決定できる。上記領域に所望の光線を投与するために、光線特性を調整する必要があるか否かを判定するステップは、上記1つ又は複数のセンサからの1つ又は複数の信号に基づいてもよい。


[00252] 上記決定に応じて、1つ又は複数の光源の位置を変更又は維持できる。光線の位置は手動又は自動で実行できる。例えば、患者又は医療の専門家は手動で光源を移動させることができる。別の実施形態では、コントローラと通信する1つ又は複数のアクチュエータを提供できる。コントローラは、アクチュエータに1つ又は複数の信号を提供し、それによってアクチュエータにその位置を移動させるか、又は維持させる。光源を変位、回転又は傾斜させて、所望の強度の光線を一領域に提供できる。幾つかの例では、光源は上記領域の上側で患者の顔に押し付けることができ、光源の位置をその場所に設定できる。幾つかの実施形態では、光源の位置を調整した後、光源は外部の力が加わることなくその位置に留まることができる。幾つかの実施形態では、光源は調整後にある位置にロックでき、光源に力が加わっても光源はその場所に留まることができる。


[00253] 幾つかの実施形態では、光線が所望の位置に設定された後、この方法は領域に光線を投与するステップを含んでもよい。幾つかの他の実施形態では、光線が所望の位置に設定される前、又は設定されている間に光線を投与できる。幾つかの実施形態では、光線治療装置を患者に係合させ、光源を位置決めし、患者から光線治療装置を取り外すことなく光線を投与できる。幾つかの実施形態では、光線治療装置を患者に係合させ、光源を位置決めし、患者から光線治療装置を取り外すことができる。これは、光線治療装置を患者にフィットさせる一連のステップであってもよい。その後、光線治療装置を患者に再度係合させ、患者に光線を投与できる。これは、患者に光線治療装置をフィットさせた後で患者に光線を投与するステップを含んでもよい。光源を先に位置決めして領域に光線を投与してもよい。幾つかの実施形態では、1回のフィッティングに続けて複数回患者に光線を投与してもよい。


[00254] 幾つかの実施形態では、この方法は支持体の全長に沿って光線の位置を調整することで、1つ又は複数の光源の位置を変更するステップを含んでもよい。また、この方法は、軸を中心に光源を回転させることで、1つ又は複数の光線の位置を変更するステップを含んでもよい。軸は、垂直、水平、又はその他の任意の向きに提供できる。


実施例 [00255] 本発明を限定するのではなく、例示する以下の具体的な実施例を参照しながら本発明についてさらに説明する。


実施例1 1.0 歯列矯正による歯の移動のラットモデルでの実験 1.1 動物モデル [00256] 歯列矯正による歯の移動の承認モデルに従って19匹の健康な成体CRL−CD雄ラットについて実験を行った(例えば、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする、Ren Y, Maltha JC及びKuijpers−Jagtman AMの、「歯列矯正による歯の移動のモデルとしてのラット−発症レビュー及び提案される消散(The rat as a model for orthodontic tooth movement - a critical review and a proposed solution)」、Eur.J.Orthodontics,2004,26(5):483−90;及びSebaoun JD,Kantarci A,Turner JW,Carvalho RS,Van Dyke TE,Ferguson DJの「20匹のラットにおける選択的歯槽皮質除去に続く海綿骨及び硬板の型取り(Modeling of trabecular bone and lamina dura following selective alveolar decortication in 20 rats)」、J.Periodontol.,2008,79(9):1679-88を参照)。動物は、Charles River Laboratoriesから入手され、Boston UniversityのLaboratory Animal Science Centre動物介護施設に少なくとも3日間気候馴化された。動物は、随意にラット食と水とを与えられ、毎日計量された。Boston University Medical CentreのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)は、研究プロトコルを承認した。


[00257] 1つの群は、歯列矯正治療(「TM」)のみを受けた。1つの群は、TM及びLED光源からの10J/cm2の放射線量の625nmの赤色波長による光線治療を受けた(「LED Short」)。別の群は、TM及びLED光源からの30J/cm2の放射線量の625nmの光線治療を受けた(「LED Long」)。第4の実験群は、TM及びレーザ光源からの10J/cm2の放射線量の855nmの近赤外線(IR)波長の光線治療を受けた(「Laser Short」又は「IR Short」)。第5の実験群は、TM及びLED光源からの30J/cm2の放射線量の855nmの光線治療を受けた(「Laser Long」又は「IR Long」)。すべてのケースで、投与された光線のエネルギー密度はOsseoPulse(商標)装置(Biolux Research Ltd.)を用いて333秒(short)又は1000秒(long)で30mW/cm2で、所望の放射線量(すなわち、10J/cm2又は30J/cm2)が提供された。光線は経皮的に(すなわち、口腔外から皮膚を通して)投与された。光線は、患者の頬を通して投与された。対照群は、TMも光線治療も受けなかった。


[00258] 分析前に、動物は21日間治療された。歯列矯正デバイス及び光線療法を適用するために、キシラジン(5mg/kg)と併用してケタミン(8mg/kg)を腹腔内に注射して全身麻酔を行った。動物は誘導室内で4〜5%のイソフルランで麻酔し、光線照射の間、室内に留められた。


1.1.1 歯列矯正器具 [00259] 歯列矯正器具を装着して左上顎第1臼歯を近心方向に移動した。各動物に歯列矯正器具を装着する前に、ワイヤの安定性を高めるために小型の丸いバーを用いて左臼歯冠及び切歯の周囲に浅い切込みを入れた。次に、ステンレス鋼の結紮ワイヤを用いて10mmに付勢された25グラムのSentalloy(登録商標)コイルばね(GAC International LLC)を左上顎臼歯及び切歯に結紮した。麻酔から回復した後、動物はケージ内で自由に運動を許された。すべての動物は、随意にラット食と水とを与えられた。光線治療群の試験動物は、毎日LED又はレーザ照射を受け、イソフルラン麻酔をかけて歯列矯正器具の安定性が常時検査された。緩いワイヤが検出されると、固定されるか又は新しいワイヤと交換された。すべての動物は、21日間常時モニタされた。


1.1.2 光線治療装置 [00260] OsseoPulse装置(Biolux Research Ltd,Canada)は、2つの異なる発光治療アレイと制御デバイスとから構成されていた。制御デバイスを用いて、ユーザは、エネルギー密度が30mW/cm2の625nmの赤色波長スペクトルを有する発光ダイオード(LED)治療アレイか、又はエネルギー密度が30mW/cm2の855nmの近赤外波長スペクトルを有するレーザ治療アレイのいずれかを選択できる。装置によるエネルギー送達は一定であったため、2つの異なる放射線量を送達するために2つの異なる照射時間が選択された。これらの時間は、333秒(5分33秒)又は1000秒(16分40秒)で、それに従って光生物学的調節試験群は、LED−Short、Laser−Short、LED−Long、又はLaser−Longとして指定された。したがって、LED−Short群の動物には、10J/cm2の累積エネルギー放射線量で装置が装着された。LED−Long群は30J/cm2、Laser−Short群の動物は10J/cm2、Laser−Long群の動物は30J/cm2であった。光線の照射はイソフルラン麻酔をかけて実行され、試験動物の安定性が確保された。治療中、治療アレイは動物の実験側の上に覆いかぶさる頬の表面に配置され、照射は経皮的に投与された。起動後、照射時間が終了すると、装置は自動的に停止した。5つの主要群のすべての動物は二酸化炭素を過剰投与して22日目に安楽死させられた。犠牲の後で、上顎が除去され、軟組織を削り取って、燐酸緩衝液食塩水内の4%のパラホルムアルデヒドに置き、分析に使用した。


1.2 放射線分析 [00261] 歯の移動量を測定するため、Faxitron(登録商標)イメージングを用いて切開された上顎の二次元放射線画像が撮影され、第2臼歯の最も近心の面と第1臼歯の最も遠心の面との間の近遠心距離が中口蓋縫合線に平行な線上でミリメートル単位で測定された。


[00262] 骨反応を示すマイクロCT画像が得られた。すべての測定が、2つの関心領域、すなわち、第1臼歯の根間区域(ROI−1)と、第1臼歯の遠心歯根と第2臼歯の近心歯根の間の区域(ROI−2)について実行された。関心領域は、第1臼歯の5つの歯根の分離を示す最終レベルで冠状に終わっていた。先端限度は、5つのレベルすべてが識別可能な最終レベルであった。骨の分量は、骨量(BV、mm3)、骨体積率(BV/TV)、骨ミネラル密度(BMD、mgヒドロキシアパタイト(HA)/cm3)による骨質、及び骨ミネラル含量(BMC、mgHA)によって記述された。


1.3 組織病理学 [00263] 第1、第2、及び第3の臼歯歯根の試料が得られ、歯根の3つの異なる垂直レベル(先端、中央及び冠状)でのスライドがヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色された。2つの区域、すなわち、歯根を含む第1の臼歯歯根間の区域(ROI−1)と、第1臼歯の遠心歯根と第2臼歯の近心歯根の間の区域(ROI−2)が形態計測的に評価された。


[00264] 組織形態計測分析が実行されて海綿骨の量が分析され、歯列矯正治療だけ又は光線治療と組み合わせた治療後の全根間区域に対する割合が、3つの異なる垂直レベル、すなわち、冠状、中央及び先端レベルの基線レベルと比較された。ROI−1が第1臼歯の画像について各々の角度が第1の5つの臼歯歯根の中心によって形成された五角形の格子を介して評価された。ROI−2は、第1臼歯の2つの遠心歯根と第2臼歯の2つの近心歯根との中心にある角度が付いた第1及び第2の臼歯歯根の間の区域の画像上の四角形の格子として評価された。両方の格子内で、骨と歯周靱帯の総量は平方ミリメートル単位で記録され、全区域のパーセンテージとして計算された。


[00265] 歯槽骨内の異化活動が評価され、3つの異なるレベルのスライドが酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)で染色された。第1及び第3臼歯の画像が、臼歯歯根の幾何中心内軸対称で100倍に拡大されて撮影された。第1及び第3臼歯の画像内のTRAP染色された破骨細胞及び前破骨細胞が1.17mm2の根間区域内で記録され、歯周靭帯及び海面骨内の異化活動が測定された。試料毎に、また臼歯毎に3つの異なるレベルの各々で細胞のカウントが実行され、次に平均された。対照側(すなわち、ラットの上顎の対側の非治療側)でも測定が実行された。


2.0 結果 1.2 ROI−2 2.1.1 Faxitron(登録商標)画像内の獲得空間の二次元測定 [00266] 図21は、様々な群での歯の移動の実施例を示す。歯の冠状レベルでの二次元測定は、光線治療を受けないTM群(0.51mm)と比較してLED Long、Laser Short及びLaser Long群の第1臼歯の近心移動(それぞれ1.46mm、1.88mm及び1.50mm)が有意に(p<0.05)大きいことを示した(表1参照)。LED Shortは増加を示したが、TM群と比較して有意に異なる結果(1.17mm)として得られるのではない。したがって、855nmでの光線治療は625nmでの歯の移動よりも大きい加速を提供すると思われる。



2.1.2 海綿骨表面 [00267] 図24は、様々な群の組織学のROI−2レベルを示す。ヘマトキシリン‐エオシン染色のスライドの組織病理学分析は、LED Long、Laser Short、Laser Long(0.01〜0.11mm)とTM群(0.17mm2±0.16)の基線と比較して有意に(p<0.05)小さい海綿骨表面を示した。LED Short(0.32mm2±0.30)は、基線(0.55mm2±0.07)と比較して有意に低減した海綿骨表面を示さない唯一の群であった。図23は、海綿骨の断面図のマイクログラフを示す。さらに、LED Short群では、TM群同様、海綿骨はROI−2の口蓋側に残留するが、光線治療を受ける他の群は歯槽頂の頬口蓋面全体での骨損失を示した。


[00268] 垂直寸法の海綿骨表面に関して、LED Short(22.10%)群における冠状面は、TM(1.03%)と比較して有意な骨の増加と中央及び先端レベルでの同等の値を示し、したがってTM群で観察された傾斜と比較して歯の歯槽骨ごとの移動量が大きいことを示した(表2参照)。LED Short群の冠状(22.10%)及び中央レベル(24.34%)もLaser群(それぞれLaser ShortとLaser Longで、冠状が0.00%及び7.82%、中央が0.93%及び9.81%)と比較して海綿骨表面が有意に大きい結果となった。



2.1.3 骨質 [00269] 図22は、様々な群での骨質の態様の実施例を示す。表3を参照すると、海綿骨の量と骨質とを観察するために、マイクロCTの結果が評価された。近心の第1臼歯の遠心側で骨質のマイクロCT評価はLED Short群で最大骨量(BV)(0.60mm3)を示した。これはLaser Short(0.13mm3)及びLaser Long群(0.20mm3)よりも有意に高かった。骨ミネラル含量(BMC)に関して、Laser群(Laser ShortとLaser Longでそれぞれ0.11及び0.18mgHA)と比較して有意に高い値がLED Short群(0.52mgHA)で示された。Laser群は、LED Short及びLED Long及びTM群と比較して小さいBV及びBMCを示した。これは他のすべての群と比較してLaser群での移動の質が低いことを示す。BMD値は、群間で有意に異なってはいなかった。



2.2 ROI−1 2.2.1 海綿骨表面 [00270] 図26は、様々な群の組織学のROI−1レベルを示す。第1臼歯の歯根内の海綿骨表面の組織形態計測は、口腔外光線治療を受けるすべての群で、歯の移動のみ(TM)(30.71%)と比較して骨量の有意に大きい値を示した(60.67%〜71.45%)。TM群は、先端区域と比較して冠状面で骨量が小さかった(表4)。先端レベルでは、光線治療を受ける4つの群すべてがTM(39.95%)と比較して有意に優れた骨値(LED Short、LED Long、Laser Short及びLaser Longでそれぞれ71.36%、62.84%、37.58%及び35.87%)を有していた。中央及び冠状レベルでは、すべての群がTMと比較して優位に増加した骨を示し、Laser Shortだけがわずかに低い値を示した。したがって、第1臼歯歯根の中央の骨再生は、歯列矯正治療のみと比較してすべてのタイプの光線治療によって有意に向上したと思われる。



2.2.2 骨質 [00271] 図25は、様々な群の骨質(ROI−1)の実施例を示す。表5を参照すると、ROI−1のマイクロCT評価の結果が示されている。測定区域の骨体積率(BV/TV)はすべての群の間で、また基線と比較して有意差を示していない。骨ミネラル密度(BMD)に関して、Laser Short(833.77mgHA/cm3)は最も低い骨密度を示し、基線(874.05mgHA/cm3±29.23)よりも有意に下であった。



2.2.3 破骨細胞活動 [00272] 図27は、TRAP−1臼歯の平均値の実施例を示す。異化活動を評価するため、TRAP+破骨細胞及び前破骨細胞がカウントされた。第1臼歯の歯根内で破骨細胞がカウントされた時に、基線(5.17個の破骨細胞/1.17mm2)と比較してすべての群で歯の移動に関して有意に大きい破骨細胞数が判明した(表6参照)。歯列矯正治療群内では、光線治療のタイプが存在するにもかかわらず、5つの群のすべてで有意差はなかった。



2.2.4 遠隔効果 [00273] 図28は、第3臼歯TRAPの平均値の実施例を示す。光線治療の遠隔効果を評価するために、第3臼歯の歯根内の破骨細胞活動が評価された。歯の移動(TM)群は、第3臼歯の遠隔区域における基線2レベル(15.25個の破骨細胞/1.17mm2)と比較して増加した破骨細胞数(26.22個の破骨細胞/1.17mm2)を示した。光線治療を受ける群では、より高い放射線量の光線治療を受ける2つの群が同様に増加した破骨細胞数を示した。LED Short群(11.33個の破骨細胞/1.17mm2)は、LED Long、Laser Long及びTM群(それぞれ33.56、25.00及び26.22個の破骨細胞/1.17mm2)よりも有意に少ない第3臼歯の歯根内の破骨細胞活動を示した(表7参照)。



2.2.5 光線の浸透 [00274] 図29は、第1臼歯対照側TRAP&HEへの遠隔効果の実施例を示す。表8を参照すると、対照側の海綿骨表面と破骨細胞活動が評価されて光線治療による深層部の効果が考察されている。対照側の第1臼歯の歯根内で、海綿骨表面はすべての群内で、また基線と比較して同等の値を示した。破骨細胞活動についても同様の結果が判明した。



3.0 結果の分析 [00275] 最も低い骨吸収率とよりよい骨再生がLED Short群で観察された。しかし、光線治療を施さない場合よりも大きいとはいえ歯の移動の加速はLaser群ほど有意でなかった。したがって、625nmで投与された光線は骨再生を改善する高い潜在能力を有しているが、その歯の移動の加速の程度は855nmの近赤外線を用いて達成可能な場合よりも小さい。しかし、625nmの光線は、光線治療を併用しない伝統的な歯列矯正治療と比較すると歯の移動を加速することができる。


[00276] 有利には、625nm対855nmの光線治療の差分効果を、例えば、最適でない歯根膜状態で使用できる。そのような状況では、歯の移動の部位から遠隔側の吸収活動が少ない磨り減った骨を保全することが有益であろう。


[00277] さらに、光線治療は有害な副作用を引き起こさないようである。光線治療を受けるすべての治療群は、光線治療による深層部の効果なしに代謝活動の領域的な加速を示すようである。


[00278] 以上、幾つかの例示的態様及び実施形態について説明してきたが、ある種の変更、置換、追加及びそれらのサブの組合せは当業者には明らかであろう。したがって、以下の添付の請求の範囲及びこの後に導入される請求の範囲はその真の精神及び範囲内におさまる追加及びサブの組合せをすべて含むと解釈される。


実施例2 [00279] 治療計画の別の実施例は、クラス1の両顎の密集及び突出の治療である。この治療計画は、第1小臼歯の抜歯後、歯列矯正器具で歯のアライメントとレベリングとを実行しながら約3ヶ月にわたって約825nmの波長で上及び下前歯に毎日約20分間光線を照射するステップを含む。次に、この治療は、歯列矯正器具でギャップを閉鎖しながら約4ヶ月にわたって約625nmの波長で上及び下前歯に毎日約20分間光線を照射するステップを含む。その後、治療は理想的な咬合で歯を仕上げて固定しながら約2ヶ月にわたって約625nmの波長ですべての上及び下の歯に毎日約20分間光線を照射するステップを含む。仕上げはオプションとして歯の位置と配向に小さい調整を加えるステップを含む。固定は患者が噛み合せた時に所望の方法で歯が噛み合うように歯を整列させるステップを含んでもよい。仕上げと固定はオプションとして歯の位置決めの小さい調整を行うステップを含んでもよい。上記の光線の照射はオプションとして本明細書に記載する任意の波長で実行できる。オプションとして、治療は、上又は下前歯に週に1回、約20分間光線を照射するステップを含んでもよく、オプションとして患者がリテーナ装置を装着した状態でそのような光線の照射は毎日上前歯に約4ヶ月にわたって実行される。


実施例3 [00280] 治療計画の別の実施例は、クラス2上顎突出の治療である。この治療計画は、第1小臼歯の抜歯後、歯のアライメントとレベリングとを実行しながら約3ヶ月にわたって約825nmの波長で上及び下前歯に毎日約20分間光線を照射するステップを含む。またこの治療は、ギャップを閉鎖しながら約4ヶ月にわたって約625nmの波長で上前歯に毎日約20分間光線を照射するステップを含む。理想的な咬合で歯を仕上げて固定しながら約2ヶ月にわたって約625nmの波長ですべての上及び下の歯に毎日約20分間光線が照射される。その後、オプションとして、患者がリテーナ装置を装着した状態で約4ヶ月にわたって上及び下前歯に週に1回、約20分間光線が照射される。そのような光線の照射はオプションとして本明細書に記載する任意の波長で実行できる。


実施例4 [00281] 治療計画の追加の実施例は、クラス1片側性交叉咬合(上顎片側性絞窄)の治療である。この治療計画は、患者が上顎拡大を受けながら約4ヶ月にわたって約825nmの波長で上後方歯の片側のみに毎日約20分間光線を照射するステップを含む。例えば、上後方歯の右側のみ、又は左側のみに光線を照射できる。またこの治療計画は、理想的な咬合で歯を仕上げて固定しながら約2ヶ月にわたって約625nmの波長ですべての上及び下の歯に毎日約20分間光線を照射するステップを含む。


実施例5 [00282] 小臼歯を抜歯された3人の患者の犬歯の1つの歯槽骨を取り囲む領域に1日約20分間口腔外から光線を経皮的に投与した。この領域は犬歯から数mm以内で、約5cm2の面積を有していた。光線は、約855nmの波長を有し、犬歯歯根の中央点の上側で患者の顔の直接接触する光源から照射された。患者の他方の犬歯、すなわち対照犬歯は光線治療を受けなかった。14日後に、光線を受けた第1の患者の犬歯が対照犬歯に対して約0.25倍遠心側に移動した。光線を受けた第2の患者の犬歯が対照犬歯に対して約3.6倍遠心側に移動した。光線を受けた第3の患者の犬歯が対照犬歯に対して約2.1倍遠心側に移動した。したがって、本発明の方法によって投与された光線治療は歯の移動の調節に有効である。


実施例6 [00283] この研究には30人の患者が参加した。歯科用インプラントを埋め込む手術を受けた10人の患者からなる第1の群(対照群)は手術後に光線の投与を受けなかった。歯科用インプラントを埋め込む手術を受けた10人の患者からなる第2の群は、手術後21日にわたって毎日20分間約625nmの波長を有する光線を口腔外から投与された。光線は直径が約3.5mm〜約5mmの手術区域を有するインプラントの中央点の上から経皮的に投与された。歯科用インプラントを埋め込む手術を受けた患者からなる第3の群は手術の直前に約20分間約625nmの波長を有する口腔外光線を投与され、手術後10日にわたって毎日約20分間光線を投与された。光線は直径が約3.5mm〜約5mmの手術区域を有するインプラントの中央点の上から経皮的に投与された。図30は、90日にわたる上記条件下での各群のインプラントの平均機械的安定性のパーセント変化の実施例を示す。安定性のパーセント変化は手術による配置時点での安定性の初期レベルからの安定性の変化を反映していた。安定性は、Osstell Mentor ISQシステムによって測定された。このシステムは、振動及び共振周波数の計算によってインプラントの安定性を測定した。図30に示すように、光線治療を受けた第2及び第3群のインプラントの安定性は、光線治療を受けなかった第1群のそれを有意に上回った。したがって、本発明の方法に従って投与された光線治療は口腔手術の前又は後の口腔組織の治療に有効である。


[00284] 以上、本明細書で本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、そのような実施形態は単に例示として提供されていることは当業者には明らかであろう。本発明から逸脱しない多数の変形形態、変更、及び置換を当業者は直ちに思い付くであろう。本明細書に記載する本発明の実施形態の様々な代替形態を使用して本発明を実施できることを理解されたい。以下の請求項が本発明の範囲を定義し、これらの請求項及びその等効物の範囲内の方法及び構造がそれによって対照として含まれることが意図されている。



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