【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本申請は、1988年1月3日付、米国特許出願第07/460,287号の一部継続出願である 【0002】 【従来の技術】本発明は歯列矯正に使用する頬チューブ器具、詳細には、特に、1つあるいはそれ以上の臼歯が不都合な方向に回転しているところで、患者によりリップバンパー(lip bumper)あるいはフェイスバウ(face bow)の挿入を非常に容易にするための、チューブを有する臼歯チューブ、更に詳細には、 リップバンパーあるいはフェイスバウのワイヤ端部より大きい挿入端部の開口部を有する、リップバンパーあるいはフェイスバウ用の頬チューブと、リップバンパーあるいはフェイスバウと噛み合う遠心端部とに関する。 【0003】これまでは、リップバンパーあるいはフェイスバウの抹消端部を受領する頬チューブは近心と遠心との間が均等なサイズであり、米国特許第4,378, 210号明細書に示されているようにリップバンパーあるいはフェイスバウを近接して受領している。 【0004】リップバンパーあるいはフェイスバウを取りつけることはほとんど常に患者自身によって行われている。 唯一の例外は患者が歯列矯正歯科を訪れ、歯列矯正歯科医がその装置をどのように取りつけるかの指導を行う場合である。 リップバンパーあるいはフェイスバウチューブは、リップバンパーあるいはフェイスバウの端部を近接受領するようなサイズであり、リップバンパーあるいはフェイスバウ用に使用されたワイヤのサイズが前記端部を受領する頬チューブ内の開口部のサイズにほぼ等しい場合に、患者はリップバンパーあるいはフェイスバウを取りつけるのに困難を感じることが多い。 これらの困難はリップバンパーあるいはフェイスバウの端部が当接係合する場所で、口の中の組織を傷つける原因となることが多い。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】遠心に対してずれている臼歯のヘッドギアチューブが長年にわたって望まれていたが、問題はヘッドギアフェイスバウが、非常に固いアームあるいは端部を含み、標準の臼歯チューブへ挿入することが困難なことであり、更に挿入するために前記アームの端部を曲げなければならないことである。 【0006】米国特許第3,874,080号明細書の図3に示されているように、頬チューブの内側端部のテーパ部分が知られている。 そのような構造は、リップバンパーあるいはフェイスバウの挿入部に不都合を生じ、 突然「跳ね返る」結果となり、そして口内の組織を傷つける。 リップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部の挿入に関し患者が責任を有すること、及び患者がそのような操作に関して専門家と違って扱いに不慣れなことを考慮すると、突発的に傷害を負う危険はより大きい。 そのため、歯列矯正の扱いを改良し、患者との相性を改善するために、この危険を減少させること、及び特に1 つあるいは両方の臼歯が不都合な方向に回転する場合に患者によりリップバンパーあるいはフェイスバウを取りつけることが、より安全であることが重要である。 口内の傷に敏感な患者、及びそのような傷害を避けたいという要望が、リップバンパーあるいはフェイスバウを使わない傾向となり、それによりこの器具の目的を阻害し、 最終的に歯列矯正の目的が達成されなくなる。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の頬チューブ器具は、ヘッドギア器具のリップバンパーの端部あるいはフェイスバウの端部を受領するために使用される公知の頬チューブのこれまでの知られている欠点を克服し、それにより患者がリップバンパーあるいはフェイスバウの端部あるいはアームの挿入をより安全かつ簡単に可能なようにすることである。 【0009】本発明は、材料的に口内の柔らかい組織を傷つける機会を減少させ、それにより患者が前記器具を使用しやすくなり、結果としてよりよい使用成果を生ずるような、リップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部を受領するに適した臼歯チューブあるいは頬チューブに関する。 更に取扱時間が短縮される。 同様に、本発明はフェイスバウの挿入能力を損なうことなく、ヘッドギアチューブを遠心に対してずれさせることを可能とする。 まず第一に本発明により、遠心に対してずれた臼歯チューブあるいは頬チューブの製造を可能とし、これが望ましくかつ新規な特徴である。 【0010】そのため、本発明の目的は、1つあるいは両方の臼歯が不都合な方向に回転している場合に、患者がリップバンパーあるいはフェイスバウのアームあるいは端部を容易かつ安全に挿入できるように、ヘッドギアシステムのリップバンパーあるいはフェイスバウを使用するための新規かつ改良された臼歯チューブあるいは頬チューブを提供することである。 【0011】更に本発明の目的は、リップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部の挿入可能性を増大し、それにより患者によりなじみやすく、より良い処置効果が期待できるような、リップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部を受領するための臼歯チューブあるいは頬チューブ器具を用意することである。 【0012】本発明のその他の目的は、前記チューブのインレット端部がリップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部の寸法を越えて非常に大きく拡大されて、前記遠心端部を容易に挿入で可能なようなされたリップバンパーあるいはフェイスバウ用の臼歯チューブあるいは頬チューブを提供することである。 【0013】更にその他の本発明の目的は、リップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部の挿入を非常に容易にするために、リップバンパーあるいはフェイスバウのワイヤの寸法よりもずっと大きい広がった開口部とインレット端部とを有する、リップバンパーあるいはフェイスバウ用の臼歯チューブあるいは頬チューブを提供することである。 【0014】本発明の更にその他の目的は、遠心に対してずれており、なおフェイスバウの挿入が容易である、 臼歯ヘッドギアチューブを提供することである。 【0015】本発明のその他の目的、特徴及び利点は添付のシートあるいは図面、ここには類似の番号が類似の部品に使用されているが、これを参照して以下の詳細な説明から明白となる。 【0016】 【実施例】本発明はリップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部を受領するための臼歯チューブあるいは頬チューブ器具であり、この器具の通常の使用法である、 リップバンパーを受領するチューブが下部臼歯に取りつけられ、フェイスバウを受領するチューブが上部臼歯に取りつけられることが評価されることである。 同様に、 前記頬チューブは通常は組み合わせ器具の一部であり、 該器具は、メインアーチワイヤ及び/または補助アーチワイヤを受領する1つあるいはそれ以上の追加の臼歯チューブあるいは頬チューブを有し、更に補助的に、前記バンパーを適所に保持するリップバンパー上のフックを取りつけるために使用される場合に、弾力のある一端の取り付けのためにフックを有していることが評価される。 前記リップバンパーは通常は下部臼歯に遠心に向かう力をかけるために使用され、フェイスバウは上部臼歯に遠心へ向かう力をかけるために使用される。 【0017】本発明の臼歯チューブあるいは頬チューブ器具は、患者がリップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部を挿入することを容易にする点が新規である。 処置している間、あるいはその他の場合、拘束を受けていない臼歯は前方へ移動しようとし、かつ殆ど常に近心にむけて回転しようとする。 臼歯が遠心へ向けて回転しようとする場合はまれである。 そのため、臼歯が近心にむけて不都合な方向に回転しているのを見ることは稀ではなく、図19に描かれているように、近心にむけて回転した標準の頬チューブの中へ、リップバンパーあるいはフェイスバウを完璧に挿入することは不可能である。 このため次に、リップバンパーあるいはフェイスバウを調整する特別の方法、あるいはその他の特別の手順が、 患者が容易にリップバンパーあるいはフェイスバウを挿入する前に必要となる。 ここでは同様に、患者は専門家と異なり熟練しておらず、そのため患者がリップバンパーあるいはフェイスバウを容易に取りつけられることが望ましい。 不適切な方法で取りつけると、柔らかい組織を傷つけ、それは患者にとって大きな苦痛であり、患者がリップバンパーあるいはフェイスバウを使用しないようになる。 患者が該器具を使用しないと、治療が長引き、及び/または歯列矯正処置の成果が悪くなる。 【0018】本発明の臼歯チューブあるいは頬チューブ器具は広がった開口部を有し、これがリップバンパーあるいはフェイスバウの挿入を容易にして、患者がリップバンパーあるいはフェイスバウの取り付けを更に容易にできる。 こうして、リップバンパーを適切に取りつけると、リップバンパーチューブが取りつけられた臼歯に遠心へ向かう力をかけるため、リップからリップバンパーに圧力がかかるようになる。 同様に、ヘッドギアに使用されるフェイスバウを適切に取りつけると、ヘッドギアが取りつけられた臼歯に、遠心へ向かう力が適切にかかる。 臼歯が不都合な方向に回転しているところでは、本発明はリップバンパーあるいはフェイスバウの挿入を完壁な状態で可能とする。 それに加えて、臼歯が近心にむけて回転しているところでは、リップバンパーあるいはフェイスバウにより臼歯の頬側の表面にかかる遠心へ向いた力が口蓋バー、一連の調整アーチワイヤ、あるいはヘッドバウの必要なしに、あるいはリップバンパーを曲げる方法により、反復して調節する必要なしに遠心面− 舌面に向かう所望の回転(disto−lingual rotation)を提供する。 リップバンパーと協調するリップバンパーチューブを使用する場合、それらは低部アーチに使用され、前記チューブはほぼメインアーチワイヤに対して歯茎に近く配置されることが更に理解される。 上部アーチでフェイスバウを受領する場合に使用するためのヘッドギアの位置は、図1に示されているように、メインアーチワイヤ用の臼歯チューブに対して噛み合わせするように配置されるが、所望により歯茎に近く配置可能である。 【0019】本発明の1実施例にある臼歯チューブあるいは頬チューブは、前記チューブを貫通して伸びる開口部を含み、該チューブがより大きい近心端部、次に遠心端部を有し、遠心端部から近心端部にむけて広がっており、それにより大きい端部がチューブの遠心端部でなく近心端部にある。 それによりリップバンパーあるいはフェイスバウの端部を受領する場合に、近心端部においてより大きな許容度が提供される。 【0020】1実施例におけるチューブの広がりの形状は、舌壁を臼歯の表面に対し平行に維持する場合、前記チューブの外壁あるいは前記開口部の頬壁を含んで形成される。 前記開口部の遠心端部は、前記チューブが取りつけられる臼歯の回転を制御するのを補助するように、 リップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部に密着嵌合する寸法である。 こうして、前記開口部の舌壁は頬チューブ器具のベースに対してほぼ平行であり、これに対して、前記開口部の頬壁は、遠心端部に含み角があるところで水平の軸線に沿って傾斜している。 前記チューブの垂直高さは、歯の傾斜を制御し、垂直の誤差を排除し、あるいは少なくとも最小限に維持するするためにリップバンパーあるいはフェイスバウの遠心端部を近接受領するような寸法である。 【0021】その他の実施例においては、前記頬壁は前記ベースに対し平行であり、これに対して前記舌壁は前記頬壁と相互作用するように傾斜して、前記チューブ内の広がった穴を形成している。 【0022】更にその他の実施例においては、頬壁及び舌壁の両方が前記ベースに対して傾斜しており、最大インレットあるいは口を前記チューブを通って伸びる広がった穴に提供している。 【0023】ここで図面、特に図1、及び図1ないし図9の実施例を参照すると、本発明による一対の臼歯チューブあるいは頬チューブがそれぞれ臼歯に取りつけられているのが見える。 前記チューブが右及び左の歯のために形成されていることが評価される。 前記器具は図1にあるように番号10により示され、上部臼歯に取りつけるように形成され、それによりヘッドギアシステムのフェイスバウ11の遠心端部を受領するために使用可能である。 前記器具は、適当に歯に対してセメント止めされたバンド13に最初に固定されている臼歯12上に取りつけられる。 本発明の目的のために、前記器具の1つだけが特に説明のために必要なだけであり、ここでは左臼歯用の左側器具が使用される。 【0024】器具10は、フェイスバウ11の遠心端部を受領する、本発明の臼歯チューブあるいは頬チューブ15を含み、この場合は遠心端部16であり、これは通常0.045インチ(約1.143ミリ)の丸い形態のワイヤあるいはバーである。 ストップ17が前記端部1 6に設けられ、前記遠心端部の位置を限定して、遠心に向かう力がヘッドギアにかかるようになっている。 【0025】前記器具はベース18を含み、ここから頬チューブ15が頬側に伸び、前記ベースには舌側に向いた取り付け表面19がありこれが溶接のような方法でバンド13に適当に固定されていることが評価される。 それに加えて、前記器具は標準の、縁にあるアーチワイヤスロット22を含み、これが一時的に外側シールドを有し、メインアーチワイヤ用のチューブを形成し、かつ、 処置過程において前記器具上でアーチワイヤが適切に作用するように、後に除去可能である。 それに加えて、前記器具はフック23及び結合ウイング24をも含むことが可能で、これらは、適当な紐によりアーチワイヤをスロット22内に固定することが望ましい場合に、チューブ15と協調する。 【0026】頬チューブ15は細長い、長手方向に伸びる、近心端部29及び遠心端部30を有する開口部28 を含んでいる。 前記開口部は更に上部及び低部の、ほぼ平行に伸びる壁32及び33、ベース18に対しほぼ平行に伸びる内側舌壁34、及び遠心端部から近心端部へと伸びて広がりを形成するように、内側壁34に対し傾斜している外側頬壁35を含む。 【0027】更に、前記チューブのインレットエンドあるいは挿入端部29が楕円形であり、これに対してアウトレットあるいは遠心端部30が丸いことが評価される。 遠心端部30はまた、回転制御ができるように、前記フェイスバウの遠心端部を近接受領するような寸法でもある。 更に、楕円端部29の長軸はほぼ水平に伸び、 これに対して前記端部29の垂直サイズは、管状開口部の垂直軸に沿って緩くなることを防ぐように、丸い開口部30直径とほぼ同一である。 前記フェイスバウの端部が挿入されたばあい、それが前記開口部及び遠心端部3 0を通って移動するにつれて頬壁35の傾斜に沿って案内され、その後に近心端部29の水平幅のせいで舌壁3 4に接触あるいは係合する。 これが患者がフェイスバウを挿入するのを容易にし、フェイスバウの端部が柔らかい組織に触れて傷つけることを最小限にする。 【0028】図4に特に見えるように、前記開口部の内側頬壁35は、前記チューブの遠心端部において、内側舌壁34と共に含み角を形成している。 更に水平方向に空間が提供され、前記近心端部において前記チューブの水平幅を設けて、更にフェイスバウの挿入を容易にする。 【0029】ここで図6ないし図9を参照すると、リップバンパーに使用する本発明による頬チューブを有する器具が描かれ、ここでは前記リップバンパーチューブは、該リップバンパーが遠心に向かう力を下部臼歯にかけるために使用される時に、下部臼歯38に取りつけられる。 下部臼歯用の前記器具は番号10Aで示され、リップバンパーチューブ15Aを含み、これが、リップバンパーチューブが、メイナーチワイヤチューブあるいはスロットに対し歯茎に近く配置されることを除いて、図1ないし図5の実施例にある前記フェイスバウあるいはヘッドギアチューブと同様に形成されている。 リップバンパー40は遠心端部41を含み、該端部は丸いワイヤあるいはバー状の形態であり、通常は直径が0.045 インチ(約1.143ミリ)であり、フェイスバウチューブ15の開口部と同一の形状の開口部を有するリップバンパーチューブ15Aにより受領されるようになっている。 従って、同一の部分を示す、ヘッドギアチューブ15に使用される番号がチューブ15Aに使用されることもある。 それに加えて、前記リップバンパーは曲げあるいはストップ44を含み、これが前記リップバンパーが前記リップバンパーチューブを越えて遠心へ向けて移動することを防ぐようにストップとして機能する。 【0030】それ以外では、前記リップバンパーチューブは、前記リップバンパーの遠心端部を受領するための拡大近心端部を提供すること、及び歯の回転を制御するために遠心端部に密着嵌合することにおいて、前記フェイスバウチューブと同様の方式で作用する。 【0031】ここで図10ないし図12にある実施例を参照すると、フェイスバウを受領するための上部左臼歯用の頬チューブあるいは臼歯チューブ器具50が描かれている。 この器具は取り付けフランジ52を有するベース51を含み、前記器具を臼歯バンド54に適当に取りつけるのを補助するのに役立つ。 器具50の噛み合わせ端部において、本発明による臼歯チューブあるいは頬チューブ55は前記近心端部に、前記フェイスバウの挿入を容易にするための前記フェイスバウワイヤの直径よりも大きい寸法の頬−舌寸法を有する、拡大された開口部56を含んでいる。 前記フェイスバウを挿入すると、それはチューブの舌壁に沿って案内される。 器具50は噛み合わせ部分に前記臼歯チューブを取りつけて示されているが、該器具は所望により歯茎側の臼歯チューブに取り付け可能であることも評価される。 【0032】頬チューブ55は更に、前記フェイスバウのワイヤ端部を近接受領するように、前記フェイスバウのサイズよりもわずかに大きいサイズである前記チューブの遠心端部に、開口部57を含む。 更に、前記チューブを通る前記開口部は、前記取り付けフランジ52に対しほぼ平行に伸び、そのため前記器具が歯に取りつけられた場合に、前記歯の頬側の表面に対しほぼ平行に伸びる、頬壁58を含む。 前記チューブは舌壁59を有し、 これが角度を有して前記取り付けフランジ及び前記歯の頬側の表面に関連し、それにより、臼歯の頬側に正確に取りつけられた時に、図11に最も良く見えるように、 チューブ55が効率的に前記歯から遠心にむけてずれる。 前記チューブの開口部の垂直寸法は前記フェイスバウの端部の直径よりもわずかに大きく、それにより臼歯あるいは頬チューブ及びフェイスバウの間の垂直移動を精密に制御できる。 こうして、図22及び図23に描かれているように、歯が不都合な方向に回転している場合でも、前記フェイスバウを前記頬チューブに容易に挿入可能である。 【0033】前述のように、標準の臼歯チューブあるいは頬チューブにより、図21に示されているような状況が存在する場合、前記ワイヤ端部が調節しないでは挿入不可能であるところでは、所望の遠心面−舌面の回転が、数個のレベリングアーチワイヤあるいはリップバンパーあるいはフェイスバウになされる連続する調節の使用によってのみ発生可能である。 同様に、口蓋アーチバーの使用により該臼歯を回転させることが所望されてきたところでは、回転中に反復して前記アーチバーを調節する必要がある。 そのような調節過程は本発明には必要でない。 なぜなら、リップバンパーあるいはフェイスバウ65は図19に示されているように挿入され、そのため前記ストップが前記チューブに係合し、フェイスバウの遠心に向かう力が、悪い方向に回転している歯を、適切な方向に配置し直すために、遠心面−舌面に向かって回転させる。 【0034】図10ないし図12の実施例の頬チューブの開口部は、前記チューブが近心ではなく遠心に向かってずれて、それにより、遠心に向かってずれた頬チューブを有し、従来可能ではなかった、容易な挿入を可能とする利点を供給することを除いて、図1ないし図9のそれと同一である。 これは図20に描かれており、ここでは、従来の臼歯チューブあるいは頬チューブ64が、所望の遠心に向かったずれを生ずるために、所望の近心面−頬面回転を必要とする臼歯の上に取りつけられる。 図21は、前記フェイスバウの端部が所望の近心面−頬面回転を生ずるために曲げられなければならない方法、及びそれに続く、従来技術を使用する場合に図20に描かれているような、遠心に向かうずれを発生させる方法を描いている。 しかしながら、図22及び図23にある、 頬チューブ50により描かれている本発明は、所望の近心面−頬面回転と、それに続く遠心に向かうずれを、遠心に向かう力がこのチューブ及び取りつけられた歯にかかる時に、前記フェイスバウの端部を曲げることなく発生させることが可能である。 【0035】本発明のその他の実施例が図13ないし図15に示されている。 ここでは、頬チューブの穴あるいは開口部の舌壁及び頬壁の両方が前記器具の前記ベースに対し角度を有している点で、それ以前の実施例とは異なっている。 それに加えて、前記チューブを歯茎側あるいは噛み合わせ側から見ると、形状全体が異なっている。 この頬チューブ器具は番号70で示され、描かれている実施例は上部の左にずれた臼歯用のものである。 【0036】頬チューブ器具70は、図14に特に描かれている、前記器具を適切に臼歯バンド74に取りつけるための取り付けフランジ72及び73を有するベース71を含む。 臼歯チューブあるいは頬チューブ75は器具70の噛み合わせ端部に配置されている。 臼歯チューブ75は、リップバンパーあるいはフェイスバウのアームあるいは端部を受領するための、貫通開口部あるいは穴を含み、かつ、その近心端部に、1つあるいは両方の臼歯が不都合な方向に回転している場合に、特に患者により、前記フェイスバウの挿入を非常に容易にするために、前記フェイスバウワイヤの直径よりずっと大きい、 頬面−舌面寸法を有している。 前記頬チューブの穴は傾斜した舌壁77と、傾斜した頬壁78とを有し、この2 つが相互作用して、図4の点線77aおよび78aにより描かれた、前記頬チューブを通る広がった穴を形成している。 傾斜した舌壁あるいは内側壁は前記ベースに対し、前記チューブを通る前記開口部の近心端部にある含み角を含んで角度を有して伸びている。 臼歯がどちらの方向に回転しているかは問題ではなく、器具70が正確に臼歯に取りつけられれば、つまり、その歯の頬面の上及びそれに平行に取りつけられれば、頬チューブにある前記穴の開口部76は前記フェイスバウ端部あるいはアームをより容易に挿入することが可能となり、それを舌壁77に沿って、あるいは頬壁78に沿って前記チューブの遠心開口部79に到達するまで案内することが可能となる。 更に、前記近心端部にある頬チューブの開口部の口の幅、及び、前記遠心端部へ向かって収束する傾斜した壁が、前記フェイスバウの摩耗する間に、臼歯を適切な位置へと容易に回転させることを可能とする。 前記遠心端部にある前記穴の開口部79は、前記フェイスバウの摩耗中に所望の制御を行うタイプを提供する為に、 フェイスバウ端部あるいはアームのサイズに噛み合うようなサイズである。 こうして、本発明の実施例は、患者により安全かつ容易にフェイスバウの端部を受領する為に、より大きい開口部を頬面−舌面に提供することが評価される。 舌壁及び頬壁が傾斜して、構造的に安全なチューブを形成するように、前記チューブの開口部あるいは穴を製造するために、ベースに対しほぼ水平である従来技術による頬面の縁とは異なり、頬面の縁80は前記ベースに対して傾斜している。 更に、縁80は頬壁78 aに対しほぼ平行である。 【0037】これまでの説明を考慮すると、本発明の臼歯チューブあるいは頬チューブは、患者によりリップバンパーあるいはフェイスバウを安全に挿入する可能性が高まり、リップバンパーにとって特に有用であり、患者にとって取扱が便利であり、処置の成果が向上することが評価される。 【0038】修正及び変更は、本発明の新規の概念の範囲を逸脱することなく可能であるが、本申請は申請の請求の範囲によってのみ限定されるものであることを理解すべきである。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の臼歯チューブあるいは頬チューブにより受領された遠心端部を有するフェイスバウの見取り図である。 【図2】本発明の臼歯チューブあるいは頬チューブ器具の拡大上面図、及びフェイスバウの遠心端部と頬チューブの開口部との間の関係を示す図である。 【図3】本発明の臼歯チューブあるいは頬チューブ器具の拡大近心立面図である。 【図4】図3の器具の拡大上面図または歯茎の図である。 【図5】図3の器具の頬側の立面図である。 【図6】図1の見取り図及び本発明による臼歯チューブあるいは頬チューブの器具を伴ったリップバンパーの用法を描いた図である。 【図7】図6の臼歯チューブあるいは頬チューブの器具の拡大形態の噛み合わせの図である。 【図8】図6及び図7に示された器具の拡大近心立面図である。 【図9】図8の器具の頬側の立面図である。 【図10】本発明のその他の実施例で、近心から見た上部左臼歯用の本発明による臼歯チューブの器具の立面図である。 【図11】図10の器具で、矢印の方向から11−11 の線に沿ってみた上面図である。 【図12】図10の器具で、矢印の方向から12−12 の線に沿ってみた、器具の頬側の図である。 【図13】近心から見た、上部左側の臼歯用の本発明のその他の実施例の立面図である。 【図14】図13の器具で、矢印の方向から14−14 の線に沿って見た器具の上面図である。 【図15】図13の器具で、矢印の方向から15−15 の線に沿って見た器具の頬側の図である。 【図16】近心に回転した臼歯に取りつけられた、従来技術による臼歯チューブの図である。 【図17】図16に描かれた従来技術によるチューブへフェイスバウの係合と、挿入を可能とするために前記端部を曲げる必要とを描いた図で、図16に描かれているように、前記端部が実線に合わせて曲げられ、直線位置が点線で描かれている図である。 【図18】図1から図9までに描かれているように、図式的な本発明の頬チューブで、臼歯が近心に回転している場合に、容易かつ安全にリップバンパーあるいはフェイスバウの端部あるいはアームに挿入できる可能性を描いた図である。 【図19】リップバンパーあるいはフェイスバウにより前記チューブに近心に向けられた力がかかり、リップバンパーあるいはフェイスバウの端部を修正することなく、頬チューブが臼歯の不都合な方向の回転を修正する方法である。 【図20】従来技術による臼歯に取りつけられた臼歯チューブの図式図で、上あご側の臼歯に一般に望まれる遠心に対するずれを生ずるため近心の頬側に回転させる必要のある臼歯の図である。 【図21】フェイスバウの端部が所望の回転を発生させるために曲げられなければならない方法を示し、図20 に描かれているように、前記端部が実線に合わせて曲げられ、直線位置が点線で示されている図である。 【図22】図10ないし図12に描かれた本発明の実施例で、所望の遠心に対してずれを発生させるために、近心頬側に回転させることを必要とする臼歯上に取りつけられた図である。 【図23】近心に向けられた力がフェイスバウにより前記チューブ及び取りつけられた歯にかかる時に、フェイスバウの端部を修正することなく、前記チューブが所望の回転を発生させる方法を示す図である。 【符号の説明】 10 器具 11 フェイスバウ 13 バンド 15 頬チューブ 16 遠心端部 17 ストップ 18 ベース 22 アーチワイヤスロット 40 リップバンパー 54 臼歯バンド |