Jaw orthopedic device

申请号 JP2007264078 申请日 2007-10-10 公开(公告)号 JP2009089928A 公开(公告)日 2009-04-30
申请人 Yasushi Mitani; 寧 三谷; 发明人 MITANI YASUSHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To enable an odontoparallaxis to be eliminated by accelerating the proper forward growth of the upper jaw. SOLUTION: This jaw orthopedic device is constituted in a manner to have an upper jaw expanding utensil 41 which is fitted on the upper jaw in the mouth of a human being, and a utensil 42 to be towed which is connected with the upper jaw expanding utensil 41, and towed to the front side of the human being. Also, the utensil 42 to be towed is constituted of a left wire section 57, a right wire section 61, connecting tubes 71 and 72, and connecting wires 66 and 67. One end of the left wire section 57 is inserted in the left hole section of the upper jaw expanding utensil 41, and the other end of which protrudes to the outside of the mouth. One end of the right wire section 61 is inserted in the right hole section of the upper jaw expanding utensil 41, and the other end of which protrudes to the outside of the mouth. The connecting tubes 71 and 72 are installed on one of the left wire section 57 and the right wire section 61, and extend along a left contact section 43 and in the distance-changing direction of the left contact section 43 by an upper jaw expanding utensil adjusting mechanism 45. The connecting wires 66 and 67 are installed on the other of the left wire section 57 and the right wire section 61 and slidably inserted in the connecting tubes 71 and 72. COPYRIGHT: (C)2009,JPO&INPIT
权利要求
  • 人間の口内上顎に装着される上顎拡張器と、該上顎拡張器と接続され該人間の前方へ牽引される被牽引器とを有する顎顔面用矯正器具であって、
    該上顎拡張器は、
    該人間の左上顎歯列に対して内側から当接する左当接部と、
    該人間の右上顎歯列に対して内側から当接する右当接部と、
    該右当接部と該左当接部との間の距離を可変としながら該左当接部と該右当接部とを接続する調節機構と、
    該左当接部に形成された左穴部と、
    該右当接部に形成された右穴部とを有し、
    該被牽引器は、
    一端が該左穴部に挿入され他端が口外に突出した左ワイヤ部と、
    一端が該右穴部に挿入され他端が口外に突出した右ワイヤ部と、
    該左ワイヤ部および該右ワイヤ部のうちの一方に設けられ該調節機構による該左当接部および該右当接部の距離変更方向に沿って延在する接続チューブと、
    該左ワイヤ部および該右ワイヤ部のうちの他方に設けられ該接続チューブ内に摺動可能に挿入される接続ワイヤとを備えることを特徴とする、顎顔面用矯正器具。
  • 該左ワイヤ部の先端近傍に設けられ上方へ突出する左A先端ワイヤと、
    該右ワイヤ部の先端近傍に設けられ上方へ突出する右A先端ワイヤと、
    該左A先端ワイヤに設けられ該人間の顔面方向へ突出した左第1A突起部と、
    該右A先端ワイヤに設けられ該人間の顔面方向へ突出した右第1A突起部とをさらに備え、
    該左第1A突起部には、該左ワイヤ部を水平前方に牽引する左第1弾性体が係止されるとともに、
    該右第1A突起部には、該右ワイヤ部を水平前方に牽引する右第1弾性体が係止されることを特徴とする、請求項1記載の顎顔面用矯正器具。
  • 該接続チューブは、両端が開口し、
    該接続ワイヤは、該接続チューブを貫通することを特徴とする、請求項1または2記載の顎顔面用矯正器具。
  • 該接続チューブが、該左ワイヤ部および該右ワイヤ部のうちの一方において一対設けられ、
    該接続ワイヤが、該左ワイヤ部および該右ワイヤ部のうちの他方において一対設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の顎顔面用矯正器具。
  • 一対の該接続チューブは、双方同じ大きさの内径で形成され、
    一対の該接続ワイヤのうちの一方は、外径が該接続チューブの内径よりも0.1〜0.05mm小さい第1外径で形成され、
    一対の該接続ワイヤのうちの他方は、該第1外径よりも小さい第2外径で形成されていることを特徴とする、請求項3記載の顎顔面用矯正器具。
  • 該人間の頭部に装着されるヘッドサポートと、
    該人間の下顎部に装着されるチンサポートと、
    上端が該ヘッドサポートに接続されるとともに下端がチンサポートに接続され垂直方向に延在する一対のサイドフレームと、
    該人間の顔面前方で且つ該人間の口部よりも上方で左右方向に延在し一対の該サイドフレーム間を接続する水平バーと、
    該顔面の左側前方で該水平バーから突出し先端が該口部の前方に配設された左側B突出バーと、
    該顔面の右側前方で該水平バーから突出し先端が該口部の前方に配設された右側B突出バーと、
    該左側B突出バーの先端近傍に設けられ該左第1弾性体が係止される左第1B突起部と 該右側B突出バーの先端近傍に設けられ該右第1弾性体が係止される右第1B突起部とを備え、
    該左第1弾性体は、該左第1A突起部と該左第1B突起部とを接続し、
    該右第1弾性体は、該右第1A突起部と該右第1B突起部とを接続することを特徴とする、請求項1〜5記載の顎顔面用矯正器具。
  • 該左ワイヤ部の先端近傍に設けられ下方へ突出する左第2A突起部と、
    該右ワイヤ部の先端近傍に設けられ下方へ突出する右第2A突起部と、
    該顔面の左側において該水平バーと接続され上方へ突出した左第2B突起部と、
    該顔面の右側において該水平バーと接続され上方へ突出した右第2B突起部と、
    該左第2A突起部と該左第2B突起部とを接続し該左第2A突起部を上方へ付勢する左第2弾性体と、
    該右第2A突起部と該右第2B突起部とを接続し右第2A突起部を上方へ付勢する右第2弾性体とを備えることを特徴とする、請求項2〜6記載の顎顔面用矯正器具。
  • 说明书全文

    本発明は、歯列不正の解消に用いて好適な、顎顔面用矯正器具に関するものである。

    従来より、歯列不正を解消するために、種々の手法が用いられている。
    歯列不正により上顎前突(いわゆる出っ歯)が生じている場合、上顎歯列を後方移動(遠心移動)させる処置がとられ、また、下顎前突(いわゆる受け口)が生じている場合には、下顎歯列を後方移動(遠心移動)させる処置がとられるのが一般的である。
    ここで、一般的な歯列の遠心移動の一例について図7を用いて簡単に説明する。 なお、この図7(A)〜(C)は、いずれも上顎の歯牙を口腔内側から見た場合を示すものである。

    図7(A)に示すように、前歯部T 1 ,T 2 ,T 3での叢生が認められる場合、第4番歯牙(第一小臼歯)T 4 ,T 4を抜歯して空隙G 4 ,G 4を確保し(図7(B)参照)、その後、第3番歯牙(犬歯)T 3 ,T 3 、第2番歯牙(側切歯)T 2 ,T 2 、および、第1番歯牙(中切歯)T 1 ,T 1を遠心移動させて歯列を整える手法がとられることが一般的である。
    なお、ここでは、上顎歯列における遠心移動について説明したが、下顎歯列における遠心移動も、図7を用いて上述した手法と概ね同様である。 もっとも、下顎歯列における遠心移動においては、下顎の第5番歯牙(下顎第二小臼歯)を抜歯する場合もある。

    このような手法では、歯列を移動させることが出来る量が小さく、重度の不正咬合症例に対応することが出来ないため、場合によっては、骨を切断するという外科的手術による処置がとられる場合もある。
    なお、上記のような歯列矯正の手法は一般的に知られているものであり、また、このような歯列矯正に用いられる装置も広く知られているものであるが、その装置の一例が以下の特許文献1に開示されている。

    しかしながら、上述のように、遠心移動による歯列矯正、或いは、外科的処置を行なったとしても、その後、数年が経過すると、再び不正咬合が発生してしまう事態が生じている。
    従来より、このような事態が生じる原因は、そもそも歯列不正が遺伝的な原因で生じるためである、とする説を推す研究者が大勢を占める。

    つまり、この遺伝説に基づいて、上記の事態を説明するとすれば、遠心移動により歯牙の矯正を行なったり、外科的手術による処置をとったりしても、遺伝的な原因により再び歯列不正が生じることで、不正咬合が再発してしまう、ということになる。

    特開2006−42963号公報

    しかしながら、本発明者は、遺伝的な原因で歯列不正が生じるのではなく、上顎が前方へ適切に成長していないという原因により、歯列不正が生じ、この歯列不正により不正咬合が生じていると考察している。 換言すれば、上顎を適切に前方へ成長させない限り、歯列矯正や、外科的手術を行なったとしても、結局、歯列不正を根本的に治療することは事実上困難であると考察しているものである。

    この点をもう少し詳しく説明する。
    上顎を前方へ成長させるための施術手法の一例を、図8に示す。
    この手法においては、人間100の顔面101に上顎前方牽引装置102を装着するようになっている。
    この上顎前方牽引装置102は、額部103に当接するヘッドサポート104と、下顎105の下端106に当接するチンサポート107と、ヘッドサポート104とチンサポート107とを接続して垂直方向に延在する金属であるメインフレーム108とを有している。

    このメインフレーム108には、顔面101側とは反対側に突出したアウターフック109が設けられている。 このアウターフック109には、エラスティック111が係止されるようになっている。 また、このアウターフック109は、上顎前方牽引装置102が顔面101に装着された状態で鼻部112の前方に位置するように、メインフレーム108上に設けられている。

    また、この施術手法においては、上顎113にインナーフック114が設けられ、このインナーフック114により上記のエラスティック111が係止されるようになっている。 このインナーフック114は、口腔内の上顎114に装着された上顎拡大装置(図示略)に一対設けられた部品であって、上顎歯列115の左右外側においてそれぞれ上方に突出している。

    これにより、エラスティック111がインナーフック114とメインフック109との間の距離が短くなるように付勢する。 換言すれば、図中矢印F 109で示すように、インナーフック114が前方へ牽引される。
    しかしながら、この場合、図8中矢印M 113で示すように、上顎113には反時計回りのモーメントが作用し、後鼻棘PNS(Posterior Nasal Spine)が下方へ変位するばかりか、下顎105の上端である関節頭116も下方へ変位する。

    つまり、図8に示す手法では、下顎前突の症状を抑制することが困難である。 また、仮に下顎前突の症状をある程度は抑制出来たとしても、上顎113の前歯と下顎105の前歯との間に隙間が生じる(即ち、開口が生じる)おそれがある。
    そして、顔面101における鼻下点112の下端から下顎105の下端106までの距離(即ち、下顔面高;LFH(Lower Facial Height))は、施術前よりも長くなってしまう事態が生じる。

    また、後鼻棘PNSが下方に変位すると、口腔内で舌を上顎114の下面に当接した状態を保つことが困難になる、という問題も生じる。 これを図9および図10を用いて説明する。
    図9は正常咬合である人間120の顔面121を示す部分的な側方断面図であり、また、図10は下顎前突が生じている人間140の顔面141を示す部分的な側方断面図である。

    正常咬合の人間120における軟口蓋122は(図9参照)、下顎前突の人間140における軟口蓋142(図10参照)よりも、上方に位置している。 このため、図9に示す正常咬合の人間120においては、口腔内の舌(図示略)の可動スペース(即ち、舌可動域)S 120が口腔内全体に確保されており、また、舌を上顎123の下面に当接させた状態を維持するための口腔内スペースも十分に残されている。

    これに対して、図10に示す下顎前突が生じている人間140の舌可動域S 140は、正常咬合の人間120の舌可動域S 120よりも小さく、上顎143の下面に達することが出来ず、デッドスペースG 140が生じてしまう。
    そして、図8を用いて説明した施術手法では、後鼻棘PNSを下方へ変位させてしまうため、図10に示すように、軟口蓋142を下方に変位させることを促進してしまう、という事態が生じるのである。

    ここで、軟口蓋の下方変位と下顎前突の発症との関係について簡単に説明する。
    図11に示すように、人間150の頭部151内には副鼻腔152が形成されている。 そして、鼻部153から空気が吸い込まれると、この副鼻腔152内に空気が充填され、副鼻腔152内の気圧が高まる(即ち、陽圧が生じる)ようになっている。 そして、副鼻腔152内に陽圧が生じると、軟口蓋154および硬口蓋155が下前方へ押圧され、これにより、上顎156の前方への成長が促進されると考えられる。

    つまり、下顎前突を治療するためには、上顎156を適切に前方へ成長させることが必要であり、このためには、副鼻腔152内において陽圧を生じさせることが必要なのである。 そして、副鼻腔152内で陽圧を生じさせるためには、口呼吸ではなく、鼻呼吸を行なわせる必要がある。
    しかしながら、既に上述したように、図10に示す下顎前突の人間140においては、軟口蓋142の下方変位により、口腔内で舌が上顎143の下面に当接した状態を保つことが出来ないようになってしまっている。

    そして、舌を上顎143の下面に当接させない状態で鼻呼吸を行なうことは、生理学的に非常に困難である。
    つまり、舌を上顎143の下面に当接した状態を保つことが出来れば、無理なく鼻呼吸が行なわれるのであるが、舌を上顎143の下面に当接した状態を保つことが出来なければ、必然的に口呼吸が行なわれてしまうのである。

    そして、図8を用いて説明した施術手法によれば、結局のところ、鼻呼吸を阻害し、副鼻腔内で陽圧が生じにくい環境を作ってしまうため、適切な上顎の前方成長を促すことが出来ず、下顎前突の発生を防ぐことが出来ないのである。
    また、舌が上顎143の下面に当接した状態を保つためのスペースを口腔内で十分に確保することが出来ない場合、舌は上顎143の歯牙146と下顎144の歯牙145との間に突出してしまう。 このため、下顎144の歯牙145には口腔内から前方への舌圧が常時作用し(図10中、P 140参照)、下顎前突の症状がさらに助長されてしまう。

    なお、鼻呼吸ではなく口呼吸が行なわれると、下顎前突が助長されてしまう点について、図9〜図11を用いて説明したが、上顎前突が助長される場合もある。 これについて、上顎前突が生じている人間160の顔面161を示す部分的な側方断面図である図12を用いて説明する。
    この図12に示すように、上顎前突が生じている人間160の舌可動域S 160も、正常咬合の人間120の舌可動域S 120より小さく、上顎163の下面に達することが出来ず、デッドスペースG 160が生じてしまう。 このため、上顎前突が生じている人間160は、舌を上顎163の下面に当接させることが困難となり、必然的に口呼吸が行なわれてしまうのである。 また、舌が軟口蓋162を押し上げることが出来ないため、副鼻腔(図12では図示略)内で陽圧を発生させることも出来ない。

    このため、上顎163は前方への成長が妨げられてしまう。 もっとも、成長期にある上顎163の前方成長が妨げられると、この上顎163は下方へ成長することになる。
    一方、下顎164の前方への成長は、上顎163の前方への成長に追従するが、上述のように、上顎163の前方成長が妨げられている以上、下顎164は前方へ成長出来ず、さらには、上顎163が下方へ成長するため、上顎前突の症状が助長されてしまうのである。

    また、舌が上顎163の下面に当接した状態を保つためのスペースを口腔内で十分に確保することが出来ない場合、舌は上顎163の歯牙165と下顎164の歯牙166との間に突出してしまう。 このため、上顎163の歯牙165には口腔内から前方への舌圧が常時作用し(図12中、P 160参照)、上顎前突の症状がさらに助長されてしまう。
    他方、冒頭で説明した遠心移動による施術は、人間の成長方向に逆行する術式であり、好ましくないという課題もある。

    つまり、顔面頭蓋が成長するに連れて、上顎および下顎の骨(即ち、顎骨)も当然に成長するのであるが、この顎骨の成長方向は必ず近心(つまり、前方)であり、また、歯牙の萌出方向も必ず前方である。 しかしながら、遠心移動は、上述の通り、歯牙を遠心(つまり、後方)へ強制的に移動させるものである。 したがって、遠心移動による施術は、本来的な人間の成長方向とは逆行してしまうのである。

    本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、上顎の適切な前方成長を促すことで歯列不正を解消することが出来る、顎顔面用矯正器具を提供することを目的とする。

    上記目的を達成するため、本発明の顎顔面用矯正器具(請求項1)は、人間の口内上顎に装着される上顎拡張器と、該上顎拡張器と接続され該人間の前方へ牽引される被牽引器とを有する顎顔面用矯正器具であって、該上顎拡張器は、該人間の左上顎歯列に対して内側から当接する左当接部と、該人間の右上顎歯列に対して内側から当接する右当接部と、該右当接部と該左当接部との間の距離を可変としながら該左当接部と該右当接部とを接続する調節機構と、該左当接部に形成された左穴部と、該右当接部に形成された右穴部とを有し、該被牽引器は、一端が該左穴部に挿入され他端が口外に突出した左ワイヤ部と、一端が該右穴部に挿入され他端が口外に突出した右ワイヤ部と、該左ワイヤ部および該右ワイヤ部のうちの一方に設けられ該調節機構による該左当接部および該右当接部の距離変更方向に沿って延在する接続チューブと、該左ワイヤ部および該右ワイヤ部のうちの他方に設けられ該接続チューブ内に摺動可能に挿入される接続ワイヤとを備えることを特徴としている。

    また、請求項2記載の本発明の顎顔面用矯正器具は、請求項1記載の内容において、該左ワイヤ部の先端近傍に設けられ上方へ突出する左A先端ワイヤと、該右ワイヤ部の先端近傍に設けられ上方へ突出する右A先端ワイヤと、該左A先端ワイヤに設けられ該人間の顔面方向へ突出した左第1A突起部と、該右A先端ワイヤに設けられ該人間の顔面方向へ突出した右第1A突起部とをさらに備え、該左第1A突起部には、該左ワイヤ部を平前方に牽引する左第1弾性体が係止されるとともに、該右第1A突起部には、該右ワイヤ部を水平前方に牽引する右第1弾性体が係止されることを特徴としている。

    また、請求項3記載の本発明の顎顔面用矯正器具は、請求項1または2記載の内容において、該接続チューブは、両端が開口し、該接続ワイヤは、該接続チューブを貫通することを特徴としている。
    また、請求項4記載の本発明の顎顔面用矯正器具は、請求項1〜3いずれか1項に記載の内容において、該接続チューブが、該左ワイヤ部および該右ワイヤ部のうちの一方において一対設けられ、該接続ワイヤが、該左ワイヤ部および該右ワイヤ部のうちの他方において一対設けられていることを特徴としている。

    また、請求項5記載の本発明の顎顔面用矯正器具は、請求項3記載の内容において、一対の該接続チューブは、双方同じ大きさの内径で形成され、
    一対の該接続ワイヤのうちの一方は、外径が該接続チューブの内径よりも0.1〜0.05mm小さい第1外径で形成され、一対の該接続ワイヤのうちの他方は、該第1外径よりも小さい第2外径で形成されていることを特徴としている。

    また、請求項6記載の本発明の顎顔面用矯正器具は、請求項1〜5いずれか1項に記載の内容において、該人間の頭部に装着されるヘッドサポートと、該人間の下顎部に装着されるチンサポートと、上端が該ヘッドサポートに接続されるとともに下端がチンサポートに接続され垂直方向に延在する一対のサイドフレームと、該人間の顔面前方で且つ該人間の口部よりも上方で左右方向に延在し一対の該サイドフレーム間を接続する水平バーと、該顔面の左側前方で該水平バーから突出し先端が該口部の前方に配設された左側B突出バーと、該顔面の右側前方で該水平バーから突出し先端が該口部の前方に配設された右側B突出バーと、該左側B突出バーの先端近傍に設けられ該左第1弾性体が係止される左第1B突起部と該右側B突出バーの先端近傍に設けられ該右第1弾性体が係止される右第1B突起部とを備え、該左第1弾性体は、該左第1A突起部と該左第1B突起部とを接続し、該右第1弾性体は、該右第1A突起部と該右第1B突起部とを接続することを特徴としている。

    また、請求項7記載の本発明の顎顔面用矯正器具は、請求項2〜6いずれか1項に記載の内容において、該左ワイヤ部の先端近傍に設けられ下方へ突出する左第2A突起部と、該右ワイヤ部の先端近傍に設けられ下方へ突出する右第2A突起部と、該顔面の左側において該水平バーと接続され上方へ突出した左第2B突起部と、該顔面の右側において該水平バーと接続され上方へ突出した右第2B突起部と、該左第2A突起部と該左第2B突起部とを接続し該左第2A突起部を上方へ付勢する左第2弾性体と、該右第2A突起部と該右第2B突起部とを接続し右第2A突起部を上方へ付勢する右第2弾性体とを備えることを特徴としている。

    本発明の顎顔面用矯正器具によれば、人間個々の口腔内形状や施術段階に関わらず、上顎の適切な前方成長を促すことで歯列不正を解消することが出来る。 (請求項1)
    また、上顎に対し、口腔内側から上方へ押し上げるを作用させるとともに、口腔内側から前方へ押し出す力を作用させ、上顎を適切に成長させることを促進することが出来る。 (請求項2)
    また、上顎拡張器の幅が大きく変更されたり、右ワイヤ部および左ワイヤ部が捩れたりしたような場合であっても、右ワイヤ部と左ワイヤ部との接続が安易に解除されないようにすることが出来る。 (請求項3)
    また、一対の接続チューブに対して、一対の接続ワイヤが挿入されることで、右ワイヤ部と左ワイヤ部とを確実に接続することが出来る。 (請求項4)
    また、右ワイヤ部と左ワイヤ部との間の距離(すなわち、被牽引器の幅)の変更を容易にしながら、右ワイヤ部と左ワイヤ部とを適切に接続することが出来る。 (請求項5)
    また、被牽引器の幅が変更されることを許容しながら、右ワイヤ部および左ワイヤ部を適切に前方へ付勢することが出来る。 (請求項6)
    また、被牽引器の幅が変更されることを許容しながら、口腔内に装着された上顎拡張器を上方へ押し上げるモーメントが過度に大きくならないように調節することが可能となり、上顎拡張器が上顎口腔内から外れる事態を防ぐことが出来る。 (請求項7)

    以下、図面により、本発明の一実施形態に係る顎顔面用矯正器具について説明すると、図1はその全体構成を示す模式的な左側面図、図2はその全体構成を示す模式的な正面図、図3はマウスピースユニットを示す模式的な下面図、図4はマウスピースユニットを示す模式的な左側面図、図5はマウスピースユニットを示す模式的な右側面図、図6はマウスピースユニットのアクティブボーチューブ近傍を示す模式図である。

    図1および図2に示すように、顎顔面用矯正器具11は、主に、ヘッドユニット12とマウスピースユニット13とを有している。
    ヘッドユニット12は、フロントヘッドサポート(ヘッドサポート)14,ヘッドストラップ(ヘッドサポート)15,チンキャップ16およびメタルフレームセット17を有している。

    これらのうち、フロントヘッドサポート14およびヘッドストラップ15は、ヘッドユニット12を人間10の頭部18に固定するものである。
    また、フロントヘッドサポート14は、人間10の額部19の形状に合致する形状で、樹脂により形成されているが、実際に額部19に当接する面には図示しないスポンジシートが貼り付けられている。

    ヘッドストラップ15は、布製で帯状の部品であって、図2に示すメタルフレームセット17に形成された左側穴部21および右側穴部22に挿通され、頭部18を上方および後方から支持出来るようになっている。 また、このヘッドストラップ15は、その両端が面ファスナ(図示略)により解放可能に接続出来るようになっている。
    チンキャップ16は、下顎23の下端部24に当接する樹脂製の部品である。

    メタルフレームセット17は、いずれもスチール製のフレームである、上側トランスバー25,下側トランスバー(水平バー)26,左外側バーティカルバー27,左内側バーティカルバー28,右外側バーティカルバー29,右内側バーティカルバー31,左側エクステンデッドバー32,右側エクステンデッドバー33およびインターコネクティングバー34を有している。

    これらのうち、上側トランスバー25は、左端が左外側バーティカルバー27の上端に溶接されると共に、右端が右外側バーティカルバー29の上端に溶接され、額部19の前方において、頭部18の幅方向(左右方向)に延在するように形成されたフレームである。 また、この上側トランスバー25の中ほどには、上記のフロントヘッドサポート14が固定されている。 さらに、この上側トランスバー25は、その左端よりも顔面20の中心C 1側に左内側バーティカルバー28の上端が溶接されるとともに、その右端よりも顔面20の中心C 1側に右内側バーティカルバー31の上端が溶接されている。

    下側トランスバー26は、左端が左外側バーティカルバー27の中ほどに溶接されるとともに、右端が右外側バーティカルバー29の中ほどに溶接され、鼻部35の前方において、左右方向に延在するように形成されたフレームである。 さらに、この下側トランスバー26は、その左端よりも顔面20の中心C 1側に左内側バーティカルバー28の中ほどが溶接されるとともに、その右端よりも顔面20の中心C 1側に右内側バーティカルバー31の中ほどが溶接されている。

    また、図2に示すように、顔面20の左側における下側トランスバー26上には、左サブBフック(左第2B突起部)36が溶接されるとともに、顔面20の右側における下側トランスバー26上には、右サブBフック(右第2B突起部)37が溶接されている。
    これらの左サブBフック36および右サブBフック37には、それぞれ、左垂直エラスティック(左第2弾性体)38および右垂直エラスティック(右第2弾性体)39が係止されるようになっている。 なお、これらの左垂直エラスティック38および右垂直エラスティック39は、ともに、リング状の弾性体であって、ゴムにより形成されている。

    左外側バーティカルバー27は、メタルフレームセット17の左端を形成し、顔面20の左側方で略鉛直方向に延在するフレームである。 また、図2に示す正面視において、この左外側バーティカルバー27の下端は、その上端よりも、顔面20の中心C 1側に位置している。
    左内側バーティカルバー28は、左外側バーティカルバー28よりも顔面20の中心C 1側において、略鉛直方向に延在するフレームである。 また、図2に示す正面視において、この左内側バーティカルバー28の下端は、その上端よりも、顔面20の中心C 1側に位置している。

    なお、左外側バーティカルバー27および左外側バーティカルバー28はともに、下側トランスバー26よりも下側の部分が円弧状に形成されている。
    右外側バーティカルバー29は、メタルフレームセット17の右端を形成し、顔面20の右側方で略鉛直方向に延在するフレームである。 また、図2に示す正面視において、この右外側バーティカルバー29の下端は、その上端よりも、顔面20の中心C 1側に位置している。

    右内側バーティカルバー31は、右外側バーティカルバー29よりも顔面20の中心C 1側において、略鉛直方向に延在するフレームである。 また、図2に示す正面視において、この右内側バーティカルバー29の下端は、その上端よりも、顔面20の中心C 1側に位置している。
    なお、右外側バーティカルバー29および右外側バーティカルバー31はともに、下側トランスバー26よりも下側の部分が円弧状に形成されている。

    左側エクステンデッドバー(左側B突出バー)32は、顔面20の左側前方で下側トランスバー26から突出し、その先端32aが口部の前方に配設されたフレームである。 また、この左側エクステンデッドバー32の先端(左メインBフック)32aには、左水平エラスティック78が係止されるようになっている。
    右側エクステンデッドバー(右側B突出バー)33は、顔面20の右側前方で下側トランスバー26から突出し、その先端33aが口部の前方に配設されたフレームである。 また、この右側エクステンデッドバー33の先端(右メインBフック)33aには、右水平エラスティック79が係止されるようになっている。

    インターコネクティングバー34は、左側エクステンデッドバー32の先端32a近傍と、右側エクステンデッドバー33の先端33a近傍と接続し水平方向に延在するフレームである。
    次にマウスピースユニット13について説明する。
    図3に示すように、マウスピースユニット13は、主に、上顎拡張装置41とアクティブボー42とを有している。

    これらのうち、上顎拡張装置41は、人間10の口腔内の上顎30に装着され、上顎30を左右方向に拡張するものである。
    この上顎拡張装置41は、左床部(左当接部)43,右床部(右当接部)44を有している。
    左床部43は、図4に示すように上顎30の下面30aに当接するとともに、図3に示すように左上顎歯列の左上顎4番歯牙T UL4 ,左上顎5番歯牙T UL5および左上顎6番歯牙T UL6に対して内側から当接する部品である。

    右床部44は、図5に示すように上顎30の下面30aに当接するとともに、図3に示すように右上顎歯列の右上顎4番歯牙T UR4 ,右上顎5番歯牙T UR5および右上顎6番歯牙T UR6に対して内側から当接する部品である。
    また、これらの左床部43および右床部44は、ともに樹脂により形成され、拡大ネジ機構(調節機構)45により接続されている。

    この拡大ネジ機構45は、左床部43に埋設された左ブロック46と、右床部44に埋設された右ブロック47と、左右ブロック46,47間を接続する一対のシャフト48,49と、一対のシャフト48,49間に設けられ且つ左右ブロック46,47間の距離L 41を微調整する拡大ネジ51とを有している。 したがって、この拡大ネジ機構45により、上顎拡大装置41の幅(即ち、左床部43と右床部44との間の距離)L 41を自在に変更することが出来るようになっている。

    また、拡大ネジ51の中心には工具(図示略)が差し込まれるリング52が固定されている。
    そして、このリング52が工具により回されることにより、左右ブロック46,47間の距離L 41が変更され、このとき、左右ブロック46,47は一対のシャフト48,49に対して摺動出来るようになっている。

    なお、この拡大ネジ機構45の可動幅は最大約11mmであるが、実用上は約8〜9mm程度が適当である。
    また、左床部43には左スライディングチューブ(左穴部)53が埋設されるとともに、右床部44には右スライディングチューブ(右穴部)54が埋設されている。 なお、これらの左スライディングチューブ53および右スライディングチューブ54は、ともにステンレス製の円筒である。 もっとも、ステンレスだけではなく、チタンやアルミニウムといった金属を用いてもよい。

    さらに、左床部43には、左上顎5番歯牙T UL5を保持する左留金55が設けられ、右床部44には、右上顎5番歯牙T UR5を保持する右留金56が設けられている。
    左スライディングチューブ53の後端と、右スライディングチューブ54の後端とは、ともに、口腔内に連通するようになっている。
    一方、左スライディングチューブ53の前端は左床部43により塞がれ、右スライディングチューブ54の前端は右床部44により塞がれるようになっている。

    また、図3に示す平面視において、左スライディングチューブ53は上顎拡張装置13の中心線C 2に対して所定の度θ 53の角度を成して配設され、右スライディングチューブ54は上顎拡張装置13の中心線C 2に対して所定の角度θ 54の角度を成して配設されている。 なお、ここでは、θ 53およびθ 54を絶対値が同じ角度として設定しているが、口腔内の形状に応じて適宜変更しても良い。

    さらに、図4に示す左側面視において、上顎拡張装置13が上顎30に装着された状態で、左スライディングチューブ53は、その先端53aよりも後端53bが下方に位置するように傾いて配設されている。
    同様に、図5に示す右側面視において、右スライディングチューブ54も、上顎拡張装置41が上顎30に装着された状態で、その先端54aよりも後端54bが下方に位置するように傾いて配設されている。

    そして、左スライディングチューブ53の後端53bには、アクティブボー42の左ワイヤ部57の後端58aが挿入出来るようになっており、また、右スライディングチューブ54の後端には、右ワイヤ部61の後端62aが挿入出来るようになっている。
    左ワイヤ部57は、左インナーボー58と、左アウターボー59とを主に有しており、右ワイヤ部61は、右インナーボー62と、右アウターボー63とを有している。 なお、左インナーボー58および右インナーボー61を単にインナーボー64という。 また、左アウターボー59および右アウターボー63を単にアウターボー65という。

    ここで、図6にインナーボー64とアウターボー65との接続部分を示す。
    この図6に示すように、左インナーボー57の前端部(スライディングワイヤ)66と左アウターボー59の後端部(スライディングワイヤ)67は、ともに左右方向に真っ直ぐ延在しており、互いに溶接されている。
    また、右インナーボー62の前端部68と右アウターボー63の前端部69も、ともに左右方向に真っ直ぐ延在しており、互いに溶接されている。 さらに、これらの右インナーボー62の前端部68と右アウターボー63の後端部69には、一対のアクティブボーチューブ(接続チューブ)71,72が溶接されている。 なお、これらの溶接部分は銀鑞によりコーティングされている。 なお、銀鑞に代えて、パラジウム鑞や金鑞を用いるようにしても良い。

    一対のアクティブボーチューブ71,72のうち、一方をインナ側アクティブボーチューブ71といい、他方をアウタ側アクティブボーチューブ72という。 また、これらのインナ側アクティブボーチューブ71およびアウタ側アクティブボーチューブ72は、ともに両端が開口している。
    インナ側アクティブボーチューブ71には、左インナーボー58の前端部66が摺動可能に挿入され、且つ、貫通されるようになっている。

    アウタ側アクティブボーチューブ72には、左アウターボー59の後端部67が摺動可能に挿入され、且つ、貫通されるようになっている。
    そして、これらのインナ側アクティブボーチューブ71,アウタ側アクティブボーチューブ72,左インナーボー58の前端部66および左アウターボー59の後端部67によりスライダブル機構70が構成され、このスライダブル機構70により、アクティブボー42の幅、即ち、左ワイヤ部57と右ワイヤ部61との間の距離L 42 (図3参照)を自在に変更出来るようになっている。

    これらのアクティブボーチューブ71,72は、ともに、同様の内径(例えば、1.6mm程度)で形成されている。
    一方、左インナーボー58の前端部66は、アクティブボーチューブ71の内径よりも僅かに小さい第1外径(例えば、1.5mm程度)で形成されている。
    さらに、左アウターボー59の前端部67は、上記の第1外径よりも僅かに小さい第2外径(例えば、1.3mm程度)で形成されている。

    図4に示すように、左アウターボー59の前端には、上方へ突出する左A先端ワイヤ73が溶接されている。
    そして、この左A先端ワイヤ73の上端近傍には、後方向(顔面20の方向)に突出する左メインAフック(左第1A突起部)74が溶接されている。
    また、図5に示すように、右アウターボー63の前端には、上方へ突出する右A先端ワイヤ75が溶接されている。

    そして、この右A先端ワイヤ75の上端近傍には、後方向(顔面20の方向)に突出する右メインAフック(右第1A突起部)76が溶接されている。
    これらの左メインAフック74および右メインAフック76には、それぞれ、左水平エラスティック(左第1弾性体)78および右水平エラスティック(右第1弾性体)79が係止されるようになっている。 これらの左水平エラスティック78および右水平エラスティック79は、ともに、リング状の弾性体であってゴムにより形成されている。 そして、これらの左水平エラスティック78および右水平エラスティック79により、左メインAフック74および右メインAフック76を前方へ付勢することが出来るようになっている。

    また、左水平エラスティック78の付勢力F 78により、左アウターボー59と左A先端ワイヤ73との接続箇所を中心Cα Lとするモーメントα Lを生じさせ、また、右水平エラスティック79の付勢力F 79により、右アウターボー63と右A先端ワイヤ75との接続箇所を中心Cα Rとするモーメントα Rを生じさせることが出来るようになっている。
    なお、この左アウターボー59と左A先端ワイヤ73との接続箇所から左メインAフック74までの高さL 74は、モーメントα Lの大きさに応じて設定される。 同様に、この右アウターボー63と右A先端ワイヤ75との接続箇所から右メインAフック76までの高さL 76は、モーメントα Rの大きさに応じて設定される。

    さらに、図4に示すように、左アウターボー59の前端には、下方へ突出する左サブAフック(左第2A突起部)81が溶接されている。
    同様に、図5に示すように、右アウターボー63の前端には、下方へ突出する右サブAフック(右第2A突起部)82が溶接されている。
    これらの左サブAフック81および右サブAフック82には、それぞれ、左垂直エラスティック38および右垂直エラスティック39が係止されるようになっている。 また、上述の通り、これらの左垂直エラスティック38および右垂直エラスティック39は、下側トランスバー26上に溶接された左サブBフック36および右サブBフック37に係止されている。 したがって、これらの左垂直エラスティック38および右垂直エラスティック39により、左サブAフック81および右サブAフック82を上方へ付勢することが出来るようになっている。

    また、図4に示すように、左水平エラスティック78の伸縮方向、即ち、この左水平エラスティック78による付勢力F 78の作用方向と、左垂直エラスティック38の伸縮方向、即ち、左垂直エラスティック38による付勢力F 38の作用方向とは、概ね直交する(θ EL ≒90°)ように設定されている。
    同様に、図5に示すように、右水平エラスティック79の伸縮方向、即ち、この右水平エラスティック79による付勢力F 79の作用方向と、右垂直エラスティック39の伸縮方向、即ち、この右垂直エラスティック39による付勢力F 39の作用方向とは、概ね直交する(θ ER ≒90°)ように設定されている。

    本発明の一実施形態に係る顎顔面用矯正器具は上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
    本発明の顎顔面用矯正器具を使用する際には、まず、左インナーボー58の後端58aを左スライディングチューブ53に挿入するとともに、右インナーボー62の後端62aを右スライディングチューブ54に挿入することで、上顎拡大装置41に対してアクティブボー42を一体化させ、マウスピースユニット13を形成する。

    このとき、左床部43と右床部44との間の距離L 41は、拡大ネジ機構45により変更されるが、アクティブボー42の幅L 42もは、スライダブル機構70により、左床部43と右床部44との間の距離L 41に追従して変更される。
    したがって、ユーザは、アクティブボー42の幅L 42について特に意識することなく、左床部43と右床部44との間の距離L 41を調整するだけで、マウスピースユニット13を適切な幅に設定することが出来るのである。

    そして、上顎拡大装置41の幅は、施術段階が進むに連れて徐々に拡がっていく。 つまり、上顎30の幅が拡大されるに連れて、左床部43と右床部44との距離L 41が大きくなっていくのであるが、このような場合であっても、ユーザが、アクティブボー42の幅L 42を特に変更する必要は無い。 上述のように、アクティブボー42の幅L 42は、上顎拡大装置41の幅L 41に追従するためである。

    また、図6に示すように、スライダブル機構70において、左インナーボー58の前端部66は、アクティブボーチューブ71,72の内径(例えば、1.6mm)よりも僅かに小さい第1外径(例えば、1.5mm程度)で形成され、左アウターボー59の前端部67は、上記の第1外径よりも僅かに小さい第2外径(例えば、1.3mm程度)で形成されている。

    これにより、右ワイヤ部61のアクティブボーチューブ71,72と、左インナーボー58の前端部66および左アウターボー59の前端部67とを、適度な摩擦力で摺動させることが可能となり、アクティブボー42の幅L 42の変更を許容しながら、左ワイヤ部57と右ワイヤ部61とを適切に接続することが出来る。
    また、左アウターボー59の前端部67は、アクティブボーチューブ72に対して僅かな遊びが設定されているため、左ワイヤ部57と右ワイヤ部61とが相対的に捩れることが許容される。 したがって、左インナーボー58の後端58aを左スライディングチューブ53に挿入する操作と、右インナーボー62の後端62aを右スライディングチューブ54に挿入する操作とを容易に行なうことが可能となり、上顎拡大装置41に対してアクティブボー42を容易に一体化させることが出来る。

    また、インナ側アクティブボーチューブ71に挿入された左インナーボー58の前端部66は、このインナ側アクティブボーチューブ71を貫通しており、また、アウタ側アクティブボーチューブ72に挿入された左アウターボー59の後端部67は、このアウタ側アクティブボーチューブ72を貫通している。
    したがって、上顎拡張器41の幅が大きく変更されたり、左ワイヤ部57および右ワイヤ部61が捩れたりしたような場合であっても、左ワイヤ部57と右ワイヤ部61との接続が安易に解除されないようにすることが出来る。

    その後、ヘッドユニット12を頭部18に装着する。
    この場合、まず、チンキャップ16を下顎23の下端部24に当接させるとともに、フロントヘッドサポート14を額部19に当接させる。 このとき、ヘッドストラップ15をメタルフレームセット17に形成された左側穴部21および右側穴部22に挿通しておく。

    その後、図1に示すように、頭部18の頂部および後部に当接するようにヘッドストラップ15を配設し、ヘッドストラップ15の両端を面ファスナ(図示略)により接続する。
    これにより、ヘッドユニット12が頭部18に装着され、ヘッドユニット12に多少の力が加わったとしても、頭部18からヘッドユニット12がズレないようにすることが出来る。

    そして、マウスピースユニット13を上顎30に装着するとともに、ヘッドユニット12を頭部18に装着した状態で、左水平エラスティック78,右水平エラスティック79,左垂直エラスティック38および右垂直エラスティック39により、マウスピースユニット13とヘッドユニット12とを接続する。
    より具体的には、図4に示すように、左水平エラスティック78を、マウスピースユニット13の左メインAフック74に引っ掛けるとともに、ヘッドユニット12の左側エクステンデッドバー32の先端32aに引っ掛ける。 また、図5に示すように、右水平エラスティック79を、マウスピースユニット13の右メインAフック76に引っ掛けるとともに、ヘッドユニット12の右側エクステンデッドバー33の先端33aに引っ掛ける。

    したがって、左水平エラスティック78の付勢力F 78により、左アウターボー59と左A先端ワイヤ73との接続箇所を中心Cα Lとするモーメントα Lを発生させ、且つ、右水平エラスティック79の付勢力F 79により、右アウターボー63と右A先端ワイヤ75との接続箇所を中心Cα Rとするモーメントα Rを発生させる。
    これにより、上顎30を前方へ成長させるだけではなく、上顎拡大装置41を上方へ積極的に押し上げることで、上顎30を上方へ押し上げ、舌が上顎30の下面に当接した状態で収まるスペースを確保することが出来る。

    もっとも、上記のモーメントα L ,α Rが過剰に大きくなってしまうと、上顎30の適切な成長を促進させることが出来ず、また、上顎拡大装置41が上顎30から外れ易くなってしまうという事態を招くおそれがある。
    そこで、左垂直エラスティック38を、マウスピースユニット13の左サブAフック81に引っ掛けるとともに、ヘッドユニット12の左サブBフック36に引っ掛ける。 また、右垂直エラスティック39を、マウスピースユニット13の右サブAフック82に引っ掛けるとともに、ヘッドユニット12の右サブBフック37に引っ掛ける。

    これにより、左水平エラスティック78の付勢力F 78により生じたモーメントα Lおよび右水平エラスティック79の付勢力F 79により生じたモーメントα Rを、適切に抑制することが可能となる。
    また、本実施形態において、左水平エラスティック78による付勢力F 78 (例えば、約300g)と左垂直エラスティック38による付勢力F 38 (例えば、約100g)との関係は下式(1)を満たすように設定され、同様に、右水平エラスティック79による付勢力F 79 (例えば、約300g)と右垂直エラスティック39による付勢力F 39 (例えば、約100g)との関係は下式(2)を満たすように設定されている。

    78 :F 38 =3:1 ・・・(1)
    79 :F 39 =3:1 ・・・(2)
    また、左水平エラスティック78および右水平エラスティック79はともに、咬合平面OP(Occlusal Plane;図4および図5参照)の延在方向と平行になるように配設されている。 また、左水平エラスティック78と左垂直エラスティック38との成す角度θ ELは約90度であり、同様に、右水平エラスティック79と右垂直エラスティック39との成す角度θ ERも約90度となるように設定されている。

    これにより、舌が上顎30の下面に当接した状態で収まるスペースを確保することが可能となるので、口呼吸ではなく、鼻呼吸を自然に行なわせることが出来る。 また、鼻呼吸を行なわせることで、副鼻腔の内圧を高め(即ち、陽圧を発生させ)、上顎30の適切な成長をさらに促進することが可能となる。
    つまり、本発明の装置によれば、一見すると直接的に歯牙を押圧することで歯列矯正を行なっているように見えるものの、そうではなく、上顎30の適切な成長(特に、前方への成長)を促しているのである。 そして、上顎30を適切に前方成長させることで、歯牙の萌出空間を確保し、歯列を整えることが可能となり、不正咬合を解消することが出来るのである。

    また、上顎30を適切に成長させることで、下顎23の適切な成長(特に、前方への成長)を促すことが可能となるため、上顎30の歯列矯正だけでなく、下顎23の歯列矯正を行なうことも可能である。
    つまり、下顎前突のみならず、上顎前突をも解消することが出来るのである。
    また、背景技術の欄で説明した、遠心移動による歯列矯正では不可能であった大幅な移動(例えば、20mm程度の移動)も十分に可能であるという利点もある。

    また、本発明の装置を用いる場合には、原則的には抜歯の必要すらなく、高い安全性および経済性を確保できるという利点もある。
    以上、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが出来る。
    上述の実施形態においては、ヘッドユニット12のメタルフレームセット17が、顔面20の中心C 1を境に左右対称に形成されている場合を例にとって説明したが、このような場合に限定するものではない。 例えば、ヘッドユニット12のメタルフレームセット17を、人間10の頭部18の形状や顔面20の形状に合致するように形成し、顔面20の中心C 1を境に左右非対称に形成してもよい。

    また、上述の実施形態においては、右ワイヤ部61に一対のアクティブボーチューブ71,72が溶接されるとともに、左インナーボー58の前端部66がインナ側アクティブボーチューブ71に挿入され、且つ、左アウターボー59の後端部67がアウタ側アクティブボーチューブ72に挿入される場合について説明したが、このような場合に限定されるものではない。 例えば、左ワイヤ部57に一対のアクティブボーチューブ71,72を溶接し、右インナーボー62の前端部(図示略)がインナ側アクティブボーチューブ71に挿入され、且つ、右アウターボー63の後端部(図示略)がアウタ側アクティブボーチューブ72に挿入されるようにしても良い。

    また、上述の実施形態においては、図2に示すように、下側トランスバー26上に左サブBフック(左第2B突起部)36および右サブBフック(右第2B突起部)37が溶接されている場合を例にとって説明したが、このような場合に限定するものではない。 例えば、下側トランスバー26から下方に延在するサブフック用フレーム(図示略)を設け、このサブフック用フレームに、これらの左サブBフック36および右サブBフック37を設けるようにしてもよい。

    また、上述の実施形態においては、一対のアクティブボーチューブ71,72が用いられる場合について説明したが、このような場合に限定されるものではない。 例えば、アクティブボーチューブや、このアクティブボーチューブに挿入される部品(接続ワイヤ)の剛性を考慮したうえで、アクティブボーチューブを1つにしても良いし、3つ以上にしてもよい。

    また、上述の実施形態においては、一対のアクティブボーチューブ71,72の内径がそれぞれ1.6mm程度に形成されるとともに、左インナーボー58の前端部66の外径(第1外径)が1.5mm程度に形成され、さらに、左アウターボー59の後端部67の外径(第2外径)が1.3mm程度に形成された場合を例にとって説明したが、このような場合に限定するものではない。

    例えば、左インナーボー58の前端部66の外径を1.5〜1.55mm程度の外径に形成し、左アウターボー59の後端部67の外径を1.45〜1.35mm程度の外径に形成してもよい。
    また、上述の実施形態においては、左水平エラスティック78と左垂直エラスティック38との成す角度θ ELが約90度であり、且つ、右水平エラスティック79と右垂直エラスティック39との成す角度θ ERが約90度となるように設定された場合を説明した。 ここで、約90度とは、厳密に90度であることを規定するものではなく、実際の運用においては80〜100度となっても良い。

    また、上述の実施形態においては、左水平エラスティック78による付勢力F 78と左垂直エラスティック38による付勢力F 38との関係が上式(1)を満たすように設定され、同様に、右水平エラスティック79による付勢力F 79と右垂直エラスティック39による付勢力F 39との関係が上式(2)を満たすように設定された場合を例にとって説明したが、このような場合に限定するものではない。 例えば、下式(3)を満たすように付勢力F 78および付勢力F 38を設定しても良いし、下式(4)を満たすように付勢力F 79および付勢力F 39を設定しても良い。 なお、付勢力F 78や付勢力F 79を過剰に大きく設定すると、上顎30の成長を適切に促進させることが難しくなるため、下式(3)および(4)の規定を守るべきである。

    78 :F 38 =3〜5:1 ・・・(3)
    79 :F 39 =3〜5:1 ・・・(4)

    本発明の一実施形態に係る顎顔面用矯正器具の全体構成を左側から示す模式的な側面図であって、人間に装着された状態を示す。

    本発明の一実施形態に係る顎顔面用矯正器具の全体構成を示す模式的な正面図であって、人間に装着された状態を示す。

    本発明の一実施形態に係る顎顔面用矯正器具におけるマウスピースユニットを示す模式的な下面図である。

    本発明の一実施形態に係る顎顔面用矯正器具におけるマウスピースユニットの左側を示す模式的な側面図である。

    本発明の一実施形態に係る顎顔面用矯正器具におけるマウスピースユニットの右側を示す模式的な側面図である。

    本発明の一実施形態に係る顎顔面用矯正器具におけるマウスピースユニットのアクティブボーチューブ近傍を示す模式図である。

    一般的な遠心移動による歯列矯正の一例を示す模式図である。

    従来の顎顔面用矯正器の一例を示す模式図である。

    不正咬合の生じていない一般的な人間の口腔内を側方から示す模式図である。

    下顎前突が生じている一般的な人間の口腔内を側方から示す模式図である。

    人間の副鼻腔を主に示す模式図である。

    上顎前突が生じている一般的な人間の口腔内を側方から示す模式図である。

    符号の説明

    10 人間14 フロントヘッドサポート(ヘッドサポート)
    15 ヘッドストラップ(ヘッドサポート)
    16 チンキャップ(チンサポート)
    18 頭部20 顔面26 下側トランスバー(水平バー)
    27 左外側バーティカルバー(サイドフレーム)
    28 左内側バーティカルバー(サイドフレーム)
    29 右外側バーティカルバー(サイドフレーム)
    30 上顎31 右内側バーティカルバー(サイドフレーム)
    32 左側エクステンデッドバー(左側B突出バー)
    32a 左メインBフック(左第1B突起部)
    33 右側エクステンデッドバー(右側B突出バー)
    33a 右メインBフック(右第1B突起部)
    36 左サブBフック(左第2B突起部)
    37 右サブBフック(右第2B突起部)
    38 左垂直エラスティック(左第2弾性体)
    39 右垂直エラスティック(右第2弾性体)
    41 上顎拡張装置41(上顎拡張器)
    42 アクティブボー(被牽引器)
    43 左床部(左当接部)
    44 右床部(右当接部)
    45 拡大ネジ機構(調節機構)
    53 左スライディングチューブ(左穴部)
    54 右スライディングチューブ(右穴部)
    57 左ワイヤ部61 右ワイヤ部66,67 スライディングワイヤ(接続ワイヤ)
    71 インナ側アクティブボーチューブ(接続チューブ)
    72 アウタ側アクティブボーチューブ(接続チューブ)
    73 左A先端ワイヤ74 左Aメインフック(左第1A突起部)
    75 右A先端ワイヤ76 右メインAフック(右第1A突起部)
    78 左水平エラスティック(左第1弾性体)
    79 右水平エラスティック(右第1弾性体)
    81 左サブAフック(左第2A突起部)
    82 右サブAフック(右第2A突起部)
    UL1 ,T UL2 ,T UL3 ,T UL4 ,T UL5左上顎歯列T UR1 ,T UR2 ,T UR3 ,T UR4 ,T UR5右上顎歯列L 41左床部と右床部との間の距離

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