患者固有の支持台の作製方法およびこれに関連する支持台

申请号 JP2013552956 申请日 2012-02-08 公开(公告)号 JP6085254B2 公开(公告)日 2017-02-22
申请人 デーヴェー・リンギュアル・システムズ・ゲーエムベーハー; 发明人 ホアン・フィエト−ハ・ユリウス・フ; ディルク・ヴィエフマン;
摘要
权利要求

支持台(3)およびブラケット本体(7)を備えており、モジュール式に構成されているブラケット(1)のための、少なくとも1つの患者固有の支持台(3)の製造方法であって、 a)支持台材料領域を準備するステップと、 b)前記支持台材料領域から複数の半製品支持台(5)を打ち抜くため、少なくとも1つの抜き型を備えた型抜き機を準備するステップと、 c)前記型抜き機を用いて前記支持台材料領域から複数の半製品支持台(5)を打ち抜くステップと、 d)少なくとも14個の半製品支持台容器の第1列と、少なくとも14個の半製品支持台容器の第2列と、少なくとも1つのさらなる半製品支持台容器と、を備える1組の容器を準備するステップと、 e)前記第1列の半製品支持台容器のそれぞれが、上顎の1つの歯用の半製品支持台を含み、前記第2列の半製品支持台容器のそれぞれが、下顎の1つの歯用の半製品支持台を含み、かつ少なくとも1つのさらなる半製品支持台容器が、さらなる大きさの、および/またはウィング領域を備える、および/または半分の咬合領域を備える半製品支持台を含むような、前記1組の容器内に、複数の半製品支持台を配置するステップであって、それによって半製品支持台ライブラリーを作る、ステップと、 f)患者の上顎および/または下顎の治療すべき歯の患者固有の目標のセットアップを作製するステップと、 g)前記患者の治療すべき歯のための半製品支持台(5)を前記半製品支持台ライブラリーから選択するステップと、 h)前記支持台(3)に対し、前記患者の臨床の歯との形状結合を可能にする歯固有の接着面(3K)を作製するため、前記半製品支持台(5)と前記目標のセットアップでの関連する歯との隙間(27)をプラスチックの充填材料で埋めるステップと、 を含む方法。ステップc)では、前記支持台材料領域から複数の同じまたは異なる半製品支持台(5)が打ち抜かれることを特徴とする請求項1に記載の方法。上顎および/または下顎のすべての歯に対してそれぞれに半製品支持台(5)が打ち抜かれることを特徴とする請求項2に記載の方法。前記充填材料が、前記半製品支持台(5)とは反対側の表面で、前記セットアップの歯に対して形状による結合が可能な形状で硬化することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。ステップc)の後の、前記複数の半製品支持台(5)を特定の歯に合わせる予備調整を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。前記予備調整が、前記複数の半製品支持台(5)の頬/舌側の輪郭(5U)の適合を含み、これにより前記複数の半製品支持台(5)の前記輪郭(5U)のそれぞれが特定の歯の大きさまたは形状に適合されることを特徴とする請求項5に記載の方法。前記予備調整が、前記複数の半製品支持台(5)のうちの一つの半製品支持台の選択された領域の折曲げを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の方法。前記予備調整が、前記複数の半製品支持台(5)のうちの一つの半製品支持台の咬合領域の折曲げを含み、前記咬合領域が、後に、関連する歯の咬合面に載ることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。前記予備調整が、前記複数の半製品支持台(5)の少なくとも一つでの舌/頬側の突出部の形成を含むことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。ステップa)では、生体適合性の金属または生体適合性の合金から成る支持台材料領域が準備されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。ステップe)で選択された前記半製品支持台(5)の、前記半製品支持台の形状および/または大きさの適合を含む、その関連する歯への手作業での適合を特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。患者の治療すべき歯の各々に対して、支持台(3)がセットアップにおいて作製されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。それぞれの支持台(3)が、ブラケット(1)を作製するため、ブラケット本体(7)と結合されることを特徴とする請求項12に記載の方法。前記ブラケット(1)が、不正咬合模型において歯にポジショニングされ、その後、前記不正咬合模型にポジショニングされた前記ブラケット(1)上に硬化性ペーストを配置することで、トランスファートレーが作製されることを特徴とする請求項13に記載の方法。前記支持台材料領域が平らであることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。前記患者固有のセットアップは石膏から成ることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。前記充填材料はプラスチックから成ることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。ステップc)の後の、少なくとも1つの続くエンボスステップにおいて、前記複数の半製品支持台(5)の少なくとも一つは特定の歯、上顎および/または下顎のそれぞれの歯に適合されることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。予備調整が前記複数の半製品支持台(5)のうちの一つの半製品支持台の近心領域および/または遠心領域の折曲げを含み、これにより前記半製品支持台(5)の近心および/または遠心の翼領域(5m、5d)が形成され、前記翼領域が、関連する歯を少なくとも部分的に包み込むことを特徴とする請求項7から18のいずれか一項に記載の方法。予備調整が、前記複数の半製品支持台(5)の少なくとも一つでの舌/頬側の突出部の形成を含み、これにより特定の歯の舌側の凹面/凸面の構造に適合されることを特徴とする請求項9から19のいずれか一項に記載の方法。前記生体適合性の金属または生体適合性の合金は、チタン、金、銀、またはステンレス鋼、またはコバルトクロム合金であることを特徴とする請求項10から20のいずれか一項に記載の方法。それぞれの支持台(3)が、ブラケット本体(7)と接着または溶接により結合されることを特徴とする請求項13から21のいずれか一項に記載の方法。前記半製品支持台容器(21)が、マトリクス状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。前記半製品支持台容器(21)がFDI歯式に相当するように配置されていることを特徴とする請求項23に記載の方法。

说明书全文

本発明は、患者固有の支持台(パッド)の作製方法およびこれに関連する支持台に関する。

固定式の挟持具を用いた患者の歯列矯正治療のため、患者の治療すべき歯にブラケットを接着し、アーチワイヤによって相互につなぐ。ブラケットは、歯およびブラケット本体と結合するための支持台を備えており、ブラケット本体はアーチワイヤを収容する。

ブラケットとして、特定の標準値に基づいて規格化されており、したがって特定の変域幅に当てはまる患者に対して使用可能な標準ブラケットを使用することができる。しかし、例えば特許文献1〜4で開示されているように、ブラケットを患者に対して個別に作製させることもできる。

特許文献3は、ブラケットのための患者固有の支持台の製造方法を記載しており、この方法では、ブラケット本体に接着剤が施される。この接着剤は、硬化後にフライス加工により患者の歯の表面に適合される。代替策として、支持台を打ち抜き、続いてフライス加工により患者固有の形状にすることもできる。

標準ブラケットの作製が困難でないのに対し、完全に個別化されたブラケットの作製は非常に手間がかかる。一形態では、例えば掛け鉤(フック)、翼部(ウィング)、溝(スロット)、および支持台(パッド)のような個々のブラケット構成要素をコンピュータ内で提供し、その後、これらのブラケット構成要素をバーチャルなブラケットへと組み立て、このとき、これを患者の歯のバーチャルなセットアップにおいて行う。こうして形成されたバーチャルなブラケットを、実際のブラケットを作製するために3Dプリンタに送る。

標準ブラケットの場合、ブラケットが特定の患者に対して個別化されないことが不利と感じる。完全に個別化されたブラケットの場合、手間のかかる作製が不利と感じる。

欧州特許第1474064号明細書

欧州特許出願07111572号明細書

米国特許出願20020010568号明細書

欧州特許出願08103240号明細書

したがって、本発明の課題は、患者固有の支持台を簡単に作製することである。

この課題は、請求項の特徴を有する方法およびこの方法に基づいて作製された支持台によって解決される。

支持台およびブラケット本体を備えており、モジュール式に構成されているブラケットのための、患者固有の支持台の製造方法は、下記のステップを含んでいる。 a)好ましくは平らな支持台材料領域を準備するステップと、 b)支持台材料領域から少なくとも1つの半製品支持台を打ち抜くため、少なくとも1つの抜き型を備えた型抜き機を準備するステップと、 c)型抜き機を用いて支持台材料領域から少なくとも1つの半製品支持台を打ち抜くステップと、 d)患者の上顎および/または下顎の治療すべき歯の、特に石膏から成る患者固有のセットアップを作製するステップと、 e)患者の治療すべき歯のための半製品支持台を選択するステップと、 f)支持台に対し、患者の臨床の歯との形状結合を可能にする歯固有の接着面を作製するため、半製品支持台とセットアップでの関連する歯との隙間を、特にプラスチックから成る充填材料で埋め、好ましくは続いて硬化させるステップ。

ステップc)では、支持台材料領域から有利には複数の特に同じまたは異なる半製品支持台が打ち抜かれる。すなわち例えば特定の歯のための半製品支持台だけを打ち抜くことができる。さらに少なくとも2つの、それぞれ特定の歯、例えば歯11および14に対して規定されている異なる半製品支持台を打ち抜くことができる。

しかし、上顎および/または下顎のすべての歯に対してそれぞれに半製品支持台を打ち抜くこともできる。

半製品支持台は、打ち抜かれた後、さらにまたはより良好に特定の歯に適合させるため、有利には例えば少なくとも1つの続くエンボスステップにおいてさらに予備調整することができる。好ましくは、半製品支持台が上顎および/または下顎のそれぞれの歯に対して予備調整される。

予備調整は、少なくとも1つの半製品支持台の頬/舌側の輪郭の適合を含むことが好ましく、これにより半製品支持台のこの輪郭が特定の歯の大きさまたは形状に適合される。こうすることで、特定の歯に対して様々な大きさの半製品支持台を作製することができる。

予備調整は、半製品支持台の選択された領域の折曲げを含むこともできる。例えば、半製品支持台の近心領域および/または遠心領域を折り曲げることができ、これにより半製品支持台の近心および/または遠心の翼領域が形成され、この翼領域は、関連する歯を少なくとも部分的に包み込む。

予備調整は、半製品支持台の咬合領域の折曲げを含むこともできる。このようなブラケットを患者の歯に接着すると、この咬合領域が歯の咬合面に載る。

予備調整は、支持台における突出部、例えば舌側および/または頬側の突出部の形成を含むことも有利である。こうすることで半製品支持台を、例えば特定の歯の舌側の凹面/凸面の構造に適合させることができる。一例では、歯41用のリンガルブラケットのための半製品支持台が、歯41の舌側の凹面構造に適合するため、頬側に張り出した突出部を備えている。

ステップa)では、生体適合性の金属または生体適合性の合金、特にチタン、金、銀、またはステンレス鋼、またはコバルトクロム合金から成る支持台材料領域が準備されることが有利である。

ステップe)で特定の歯のために半製品支持台が選択されると、この半製品支持台は、セットアップでのその関連する歯に好ましくはまだ手作業で適合され、この適合は、半製品支持台の形状および/または大きさの適合を含むことができる。

患者の治療すべき歯の各々に対してブラケットを作製するため、これらの歯のそれぞれに対する患者固有の支持台をセットアップにおいて作製する。

それぞれの支持台は、ブラケットを作製するため、ブラケット本体と特に接着または溶接により結合される。

こうして作製されたブラケットを、不正咬合模型において歯にポジショニングし、その後、トランスファートレーを作製する。好ましくは、位置異常の歯列状態を表している不正咬合模型上で、ブラケットはその支持台を歯の表面に配置しており、またたくさんのブラケットが配置されており、不正咬合模型はこの歯列状態の歯の上でブラケットがとるそれぞれの位置にブラケットを固定させる。

半製品支持台の迅速な選択を可能にするため、それぞれ上顎の歯用の半製品支持台を内包する少なくとも14個、有利には16個の半製品支持台容器の列と、それぞれ下顎の歯用の半製品支持台を内包する少なくとも14個、有利には16個の半製品支持台容器のさらなる列とを備えた半製品支持台ライブラリーを準備することが有利である。

好ましくは、少なくとも1種の歯に対し、少なくとも1つのさらなる半製品支持台容器が設けられており、このさらなる半製品支持台容器内には、例えばもう1つの大きさの、および/または翼領域を備えた、および/または半分の咬合領域を備えた半製品支持台が配置されている。

有利には支持台容器は、マトリクス状に、特にFDI歯式に相当するように配置されている。

本発明のさらなる特徴、詳細、および利点は、請求項および以下の好ましい実施形態の説明から、ならびに図面に基づいて明らかである。

歯21用の半製品支持台の複数の面を示す図である。

歯23用の半製品支持台の複数の面を示す図である。

歯27用の半製品支持台の複数の面を示す図である。

歯35用の半製品支持台の複数の面を示す図である。

歯37用の半製品支持台の複数の面を示す図である。

上顎の歯1(OK 1番)用の半製品ブラケット本体の複数の面を示す図である。

図6の半製品ブラケット本体から作製されたブラケット本体の複数の面を示す図である。

OKまたはUK 6番(上顎または下顎の歯6)用の半製品ブラケット本体の複数の面を示す図である。

OKまたはUK 7番用の半製品ブラケット本体の複数の面を示す図である。

図8の半製品ブラケット本体から作製されたブラケット本体の複数の面を示す図である。

目標セットアップの透視図であり、半製品支持台が歯に配置されており、両者の隙間がプラスチックで埋められている。

完成したブラケットが案内されている歯の透視図である。

半製品支持台ライブラリーの上面図である。

ブラケット本体ライブラリーの上面図である。

最初に、型抜き機を用いて支持台材料テープから半製品支持台を打ち抜くため、ステンレス鋼から成る支持台材料テープ(100m長、5cm幅、および0.4mm厚)と、抜き型を備えた型抜き機とを準備する。型抜き機は、支持台材料テープのうち装填された支持台材料領域から複数の同じ半製品支持台を打ち抜き、この半製品支持台の頬/舌側の輪郭は、作製されたその半製品支持台が割り当てられる歯に適合されている。支持台材料テープの代わりに、代替策として支持台材料シートを使用してもよい。

図1には、こうして作製された歯21用の半製品支持台5の6つの側面図ならびに1つの透視図が示されている。この半製品支持台5は平らであり、面全体にわたって材料厚さが一定である。頬/舌側の輪郭5Uはほぼ三の形状を有しており、これによりこの半製品支持台5は歯21によく適合されている。打ち抜く際に生じた頬/舌側の輪郭5Uのエッジは、その後のエンボスステップにおいて取り除かれ、これによりこの輪郭5Uの側面が丸められる。

これに類似して、図2は同じ方法に基づいて作製された歯23用の半製品支持台5を示しており、この半製品支持台5は、図1の半製品支持台とは、頬/舌側の輪郭5Uの形状が違うことだけが相違している。

図3は、歯27用の半製品支持台5の6つの側面図ならびに1つの透視図を示している。この半製品支持台5は、図1および図2に関連して説明したのと同じ方法に基づいて作製されたが、ただしさらに続く2つの曲げステップが実施された。第1の曲げステップでは、適切な曲げ工具を備えたプレス機内で、近心の翼領域5mおよび遠心の翼領域5dを、折曲げによって形成した。第2の曲げステップでは、適切な曲げ工具を備えたプレス機内で、半製品支持台5の咬合領域5oを形成した。この咬合領域5oは、患者に装着した状態では歯27の咬合面に載っている。

図4は、歯35用の半製品支持台5の6つの側面図ならびに1つの透視図を示している。この半製品支持台5は、図1および図2に関連して説明したのと同じ方法に基づいて作製されたが、ただし続く1つの曲げステップにおいて、近心の翼領域5mおよび遠心の翼領域5dが形成された。

図5は、歯37用の半製品支持台5の6つの側面図ならびに1つの透視図を示している。この半製品支持台5は、図1および図2に関連して説明したのと同じ方法に基づいて作製されたが、ただし上で図3に関連して説明したようなさらに続く2つの曲げステップが実施された。すなわち、第1の曲げステップでは、適切な曲げ工具を備えたプレス機内で、近心の翼領域5mおよび遠心の翼領域5dを、折曲げによって形成した。第2の曲げステップでは、適切な曲げ工具を備えたプレス機内で、半製品支持台5の咬合領域5oを形成した。この咬合領域5oは、患者に装着した状態では歯37の咬合面に載っている。

こうして作製された半製品支持台5は、図11に示した半製品支持台ライブラリー19に分類して入れられる。半製品支持台ライブラリー19は、16×8個のマトリクス状に配置された半製品支持台容器21を含んでいる。OKGZ列およびUKGZ列には、それぞれ16個の半製品支持台容器21があり、つまり上顎および下顎のそれぞれの歯に対して半製品支持台容器21が設けられている。半製品支持台容器21は、歯科学におけるFDI歯式に倣って、すなわち左で8番から始まり、1番を経て右へと、もう一方の顔半分の8番まで配置されている。これに対応して半製品支持台容器は、18から、11および21を経て28まで、または48から、41および31を経て38までをもって表されている。この半製品支持台容器21の各々に、それぞれの歯に属する半製品支持台5が入っている。

OKGZ列およびUKGZ列には、大きな歯を備えた上顎または下顎のための半製品支持台5が入っている。OKKZ列およびUKKZ列には、小さな歯を備えた上顎または下顎のための半製品支持台5が入っている。OKOKZ列およびUKOKZ列には、小さな歯を備えた上顎または下顎のための咬合領域5oを備えた半製品支持台5が入っており、歯17、18、28、27ならびに34、35、37、38、44、45、47、および48に対してだけ存在している。OKFGZ列およびUKFGZ列には、大きな歯を備えた上顎または下顎のための翼領域5m、5dを備えた半製品支持台5が入っており、歯14、15、16、17、18、24、25、26、27、28ならびに34、35、36、37、38、44、45、46、47、および48に対してだけ存在している。

そして患者固有の支持台を作製するため、さらに以下のように行う。すなわち、患者の上顎および下顎からそれぞれ押し型を取り、この押し型を使って石膏模型を作製する。この石膏模型を、顎の互いに対する相対位置を反映している咬合器内にセットする(不正咬合模型)。この不正咬合模型から、治療が終わったときの予定状況を具現化した目標セットアップを作製する。この目標セットアップを作製するには、患者の不正咬合模型から歯を1本1本切り取り、その後、達成すべき目標状況に組み立て直し、これにより目標セットアップを生じさせる。

その後、治療すべき歯のために、半製品支持台ライブラリー19からそれぞれ適切な半製品支持台5を取り出す。取り出した半製品支持台5を、石膏模型(目標セットアップ)の関連する歯に対し、場合によってはまだ手作業でさらに適合させ、これに関しては形状および/または大きさを適合させることができるが、さらに曲げも手作業で実施することができる。続いて、半製品支持台5を、それぞれ目標セットアップでの関連する歯の表面に保持し、図9に示したように歯と半製品支持台5の隙間27をプラスチックから成る充填材料で埋める。こうして半製品支持台5に患者固有の接着面3Kができ、これにより支持台3になる。この患者固有の接着面3Kは、後に患者の歯に形状結合によって取り付けることができ、接着剤を用いて固定的に歯と結合させることができる。

こうして作製された患者固有の支持台3は、その後さらに、ブラケット本体ライブラリー23から取り出した患者固有のブラケット本体7とそれぞれ結合させ、このブラケット本体ライブラリーは、後で説明するように半製品支持台ライブラリーに倣って構成されている。

図6は、OK 1番用の半製品ブラケット本体9の様々な面を示しており、この半製品ブラケット本体は、固定領域9f、離隔領域9d、溝11、掛け鉤13、および翼部15を有している。図6aに示した切断面10は、3つのパラメータに基づいて配置されている切断面10を示している。

図7は、OKまたはUK 6番用の半製品ブラケット本体9の様々な面を示しており、この半製品ブラケット本体は、固定領域9f、離隔領域9d、溝11、2つの掛け鉤13、および2つの翼部15を有している。

図8は、OKまたはUK 7番用の小管(チューブ)17の形の半製品ブラケット本体9の様々な面を示しており、この半製品ブラケット本体も離隔領域9dを有している。

半製品ブラケット本体9は、MIM法で(代替策としてはSelective−Laser−Melting法で)作製され、コバルトクロム合金から(代替策としては例えばステンレス鋼から)成っている。掛け鉤13および翼部15はそれぞれ、その溝11に面した端部で材料が次第に細くなっており、これにより掛け鉤13および翼部15はそれぞれ溝11の周りの適切な角度位置に、まだ手作業で曲げることができる。

治療に最適な溝11をもたらすため、図6および図7の半製品ブラケット本体9を、その固定領域9fで支持体に固定する。支持体には約100個を固定することができる。半製品ブラケット本体9を備えた支持体を適切な液体槽に浸し、この液体槽内ではそれぞれの半製品ブラケット本体9の溝11がワイヤ放電加工法によって再切断される。これは、複数のサイクルにわたって行われてもよい(仕上げ加工)。こうすることで、規格の誤差許容範囲が小さい非常に精密な溝11が生じる。

図8の半製品ブラケット本体は、治療のために非常に精密に作製されなければならない溝がないので、固定領域は有していない。

このステップの後、図6〜図8の半製品ブラケット本体9は、その溝側の端部で、(この端部に対して)対応するネガ形状内に固定され、これに関してはその代わりに反対側の端部での固定が可能である。それぞれの半製品ブラケット本体9の離隔領域9dを、鋸を用いて様々な角度で切断する。切断する際に3つのパラメータを調整することができる。

第1のパラメータは、生じる切断面から溝11までの間隔である。この間隔をより小さく選択できればそれだけ、患者がブラケットをより知覚しにくくなる。

第2のパラメータは、溝11の長手軸(近心−遠心軸)の周りの角度である。この切断角度の平均的な標準値からの相違に応じて、より多くまたはより少なくトルクがもたらされる(用語については図6を参照)。

第3のパラメータは、半製品ブラケット本体9の長手軸に対する垂線(咬合−歯肉軸)の周りの角度である。この切断角度の平均的な標準値からの相違に応じて、より多くまたはより少なくローテーションがもたらされる(用語については図6を参照)。

こうして半製品ブラケット本体9に対し、この3つのパラメータが決定され、これに対応して離隔領域9dを鋸で切断し、これによりブラケット本体7ができる。図6aは、離隔領域をトルクに関しては55°、ローテーションに関しては15°で切断した図6の半製品ブラケット本体9を示しており、これにより図6aのブラケット本体7ができる。図8aは、離隔領域をトルクに関しては20°、ローテーションに関しては15°で切断した図8の半製品ブラケット本体9を示している。

こうして得られたブラケット本体7は、ブラケット本体ライブラリー23のブラケット本体容器25に分類して入れ(図12)、これに関しては図6〜図8の各半製品ブラケット本体9に対してそれぞれブラケット本体ライブラリーが提供される。言い換えると、図6の半製品ブラケット本体9にはそれ専用のブラケット本体ライブラリーがあり、図7および図8の半製品ブラケット本体も同様である。

図12は、半製品支持台ライブラリー19に倣って構成されており、ブラケット本体7で満たされているブラケット本体ライブラリー23を示している。ブラケット本体7は、ローテーションに関しては−5°〜+5°において1°間隔で区分されており、トルクに関しては40°〜70°において5°間隔で区分されている。もちろんここで別の範囲および別の間隔を使用することは可能であり、特に半製品ブラケット本体9に応じて別の範囲および別の間隔を使用することもでき、つまり図6の半製品ブラケット本体9のために、図7の半製品ブラケット本体のためとは違う範囲および違う間隔を使用することができる。ブラケット本体7は支持台3と一緒に、完成したブラケット1を形成する。

患者固有のブラケットを作製するための方法は以下のように続いていく。セットアップでの治療すべき歯には既に患者固有の支持台3が固定されている。そこでそれぞれの支持台3のために、ブラケット本体ライブラリーから適切なブラケット本体7を取り出し、そのそれぞれの支持台3に固定的に接着させる。有利には、ブラケット本体7は「機械の指」によりそれぞれの支持台3へと案内され、次いで固定的に接着される。

その後、こうして完成したブラケットセットアップにより、OK模型および/またはUK模型の、対応する頭側または尾側の方向からの2次元スキャン(上面図)がもたらされ、このデータに基づいて、対応するアーチワイヤをワイヤ曲げ機によって曲げることができる。

続いて石膏模型を槽に浸し、これにより支持台がそれに固定的に接着されたブラケット本体と共に剥がれ、これらはその後、レーザにより互いに固定的に溶接される。

こうして作製されたブラケット1を、患者の石膏模型(不正咬合模型)に取り付け(図10を参照)、そこで固定させ、好ましくは、不正咬合模型に配置されたブラケット1上に、好ましくはシリコーンベースの硬化性ペーストを配置することで、シリコーンから成るトランスファートレーが作製される。

歯21、23、27、35、および37に関しては、図1〜図5でそれぞれ半製品支持台5を紹介した。包括的には、上顎および/または下顎の各歯に対し、それぞれ特有にその歯に適合させた半製品支持台5を開発することができる。その代わりに、複数の歯に対して1種の半製品支持台5を使用すること、例えば歯32、31、41、および42に対して1種の半製品支持台5を使用することができる。

図11に基づく半製品支持台ライブラリー19は、各列に16個の半製品支持台容器21を含んでおり、半製品支持台容器内にはそれぞれ1種の歯に対して半製品支持台5が配置されている。つまり一方の側の8番からもう一方の側の8番まで、それぞれに半製品支持台5が設けられている。代替策としての一実施形態では、半製品支持台ライブラリー19は各列に14個の半製品支持台容器21を含んでおり、半製品支持台容器内にはそれぞれ1種の歯(7番〜7番)に対して半製品支持台5が配置されている。つまり一方の側の7番からもう一方の側の7番まで、それぞれに半製品支持台5が設けられている。

本発明の枠内では、マトリクス状の配置とは横列と縦列での配置のことである。

ブラケット本体ライブラリー23は、ブラケット本体容器25を、その中に配置されたブラケット本体7と共に含んでいる。これに関し、ブラケット本体容器25またはその中に配置されたブラケット本体7は、3つのパラメータ(切断面と溝の間隔、近心−遠心軸に対する角度、咬合−歯肉軸に対する角度)のパラメータ値に基づいて分類されている。半製品ブラケット本体9のブラケット本体ライブラリー23では、包括的には3つすべてのパラメータを変化させることができる。つまり例えば、図12のブラケット本体ライブラリー23を、トルクおよびローテーションに関しては同じ値で新たに作製することができ、ただしこの場合、第3のパラメータ(切断面と溝の間隔)を変化させており、例えば1mm大きくまたは小さくしている。こうすることで図12のブラケット本体ライブラリー23が2つになり、すなわちより大きな間隔のものが1つと、より小さな間隔のものが1つになり、これにより新たなブラケット本体ライブラリー23が形成されている。したがって図12のマトリクス状の配置は、さらなるパラメータが変化する第3の次元に広げられている。この包括的な形式は、実際には必要ないのが普通である。なぜなら切断面と溝の間隔は、できあがったブラケット1が患者をできるだけ煩わさないよう常に可能な限り小さくあるべきなので、図12の、切断面と溝の間隔が可能な限り小さいブラケット本体ライブラリー23で十分であり得る。

患者固有のブラケット本体7の作製方法は、包括的には下記のステップを含むことが有利である。 a)離隔領域9dを有する半製品ブラケット本体9を準備するステップと、 b)ブラケット本体7の適切な高さを決定するため、離隔領域9dを切断するための第1のパラメータを、離隔領域9dに生じる切断面から溝11までの間隔に対して決定するステップと、 c)ブラケット本体7の適切なトルク値を決定するため、離隔領域9dを切断するための第2のパラメータを、近心−遠心軸に対する切断角度に対して決定するステップと、 d)ブラケット本体7の適切なローテーション値を決定するため、離隔領域9dを切断するための第3のパラメータを、咬合−歯肉軸に対する切断角度に対して決定するステップと、 e)決定された3つのパラメータに対応して離隔領域(9d)を切断し、これによりブラケット本体7が作製されるステップ。

ブラケット本体9は、ステップa)でMIM法もしくはSelective−Laser−Melting法によって準備され、かつ/または生体適合性の金属もしくは生体適合性の合金、特にチタン、金、銀、ステンレス鋼、もしくはコバルトクロム合金から準備されるのが好ましい。

ステップe)での切断は、鋸を用いて行われるのが有利である。

ステップb)〜d)でのパラメータの決定は、一形態では患者に対して個別に行われる。

別の一形態では、ステップb)〜d)でのパラメータは、それぞれの様々なパラメータ値を有するブラケット本体7が中に配置されているブラケット本体ライブラリー23を作るため、それぞれ所定の範囲において所定の間隔で変化をつけられている。

ブラケット本体7は、ブラケット本体7を収容するためのブラケット本体容器25を備えた、半製品ブラケット本体9のブラケット本体ライブラリー23内に準備されるのが好ましく、このブラケット本体容器25は、マトリクス状に配置されている。ブラケット本体容器25内にはブラケット本体7が配置されている。ブラケット本体7は、有利には横列ごとに一方のパラメータに基づいて、縦列ごとにもう一方のパラメータに基づいて分類されて、ブラケット本体容器25内に配置されている。両方のパラメータは、それぞれ選択された範囲において選択された間隔で変化をつけられているのが好ましい。パラメータの一方が第3または第2のパラメータであり、もう一方のパラメータが第2または第3のパラメータであることが有利である。

要するに患者固有の支持台および患者固有のブラケット本体を備えた患者固有のブラケットを作製するための有利な方法は、下記のステップに区分することができる。

1.半製品支持台ライブラリーを作るステップ − 好ましくは平らな支持台材料領域を準備し、 − 支持台材料領域から歯固有の半製品支持台を打ち抜くため、少なくとも1つの抜き型を備えた型抜き機を準備し、 − 型抜き機を用いて支持台材料領域から歯固有の半製品支持台を打ち抜き、 − 任意選択で、半製品支持台を予備調整する。

2.ブラケット本体ライブラリーを作るステップ − 離隔領域を有するブラケット本体を準備し、 − 場合によっては、半製品ブラケット本体に非常に精密な溝を作製し(例えばワイヤ放電加工により)、 − 3つのパラメータに対して選択されたパラメータ値で、離隔領域を分断する。

3.患者の治療すべき上顎および/または下顎の、特に石膏から成る患者固有の目標セットアップを作製するステップ。

4.患者の治療すべき歯のために、半製品支持台ライブラリーから半製品支持台を選択するステップ。

5.支持台に対し、患者の臨床の歯との形状結合を可能にする歯固有の接着面を作製するため、半製品支持台と目標セットアップでの関連する歯との隙間を、特にプラスチックから成る充填材料で埋めるステップ。

6.それぞれの支持台のために、ブラケット本体ライブラリーからブラケット本体を選択するステップ。

7.患者固有のブラケットを形成するため、支持台にブラケット本体を固定するステップ。

ただしプロセスステップをこの順番で実施する必要はない。よって例えば、代替策として最初に半製品支持台5をその関連するブラケット本体7と結合し、こうしてから次いで接着面3Kを形成することができる。

1 ブラケット 3 支持台 3K 支持台の接着面 5 半製品支持台 5m 半製品支持台の近心の(翼)領域 5d 半製品支持台の遠心の(翼)領域 5o 半製品支持台の咬合領域 5U 頬/舌側の輪郭 7 ブラケット本体 9 半製品ブラケット本体 9d 半製品ブラケット本体の離隔領域 9f 半製品ブラケット本体の固定領域 10 切断面 11 溝 13 掛け鉤 15 翼部 17 小管 19 半製品支持台ライブラリー 21 半製品支持台容器 23 ブラケット本体ライブラリー 25 ブラケット本体容器 27 隙間

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