Orthodontic bracket

申请号 JP2012533981 申请日 2011-09-09 公开(公告)号 JP5154715B2 公开(公告)日 2013-02-27
申请人 トミー株式会社; 发明人 正明 折笠; 真吾 片寄; 浩正 遠藤;
摘要 In an orthodontic bracket 1, 101, 201 including a base part 2, a bracket body 3 which is fixed to the base part 2, and a clip 4 having a substantially U-shape in section which is mounted on the bracket body 3 so as to move, an archwire slot 5 in a shape of a groove which can contain an archwire is provided on an upper face of the bracket body 3, a guide groove 9 for guiding a lower extended part 42 of the clip 4 is formed on a lower face of the bracket body 3, and the guide groove 9 is provided at a position below the archwire slot 5. In a state where the slot is closed, an end 45 of the lower extended part 42 of the clip 4 does not pass through the bracket body 3 up to a side face at an opposite side to the curved part of the bracket body 3. In this manner, it is possible to provide an orthodontic bracket which has a lower height and has less possibility that a clip may be detached.
权利要求
  • 底面が歯に直接または間接的に固着される板状のベース部と、
    前記ベース部の上面に固定されたブラケット本体と、
    移動可能に前記ブラケット本体に取り付けられ、前記ブラケット本体の上面に沿って延びる上側延出部と、前記ブラケット本体の下面に沿って延びる下側延出部と、これらを接続する湾曲部を備えた断面略U字状のクリップとを備え、
    前記ブラケット本体の前記上面には、前記クリップの移動方向と交差する方向に沿って延びてアーチワイヤを収容可能な溝状のアーチワイヤスロットが設けられ、
    前記アーチワイヤスロットの反湾曲部側側面には、前記クリップの前記上側延出部の端部が挿入可能な係合部が設けられ、
    前記ブラケット本体の前記下面には、前記下側延出部を前記クリップの前記移動方向に案内する案内溝が設けられ、
    前記案内溝は前記アーチワイヤスロットの下方に設けられ、
    前記クリップの前記上側延出部の前記端部が前記係合部に挿入された状態で、前記クリップの前記下側延出部の端部は前記ブラケット本体の反湾曲部側端面に貫通しないことを特徴とする歯列矯正ブラケット。
  • 前記案内溝は、前記アーチワイヤスロットの下方に前記アーチワイヤスロットの底面と略平行な平面部を有することを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正ブラケット。
  • 前記係合部の上側には前記湾曲部側に張り出すワイヤ抜け止め庇部が設けられ、
    前記ワイヤ抜け止め庇部の張り出し端部は、前記アーチワイヤスロットの反湾曲部側側面よりも反湾曲部側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の歯列矯正ブラケット。
  • 前記クリップの前記下側延出部の前記端部に拡幅部が設けられ、
    前記案内溝の前記湾曲部側に、前記クリップの前記拡幅部よりも幅が狭いクリップ抜け止め部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の歯列矯正ブラケット。
  • 前記クリップの前記上側延出部に過開放防止部が設けられ、
    前記ブラケット本体の湾曲部側上面に、前記過開放防止部と嵌合する過開放防止突起が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の歯列矯正ブラケット。
  • 前記クリップの前記上側延出部の前記端部は幅方向両端が突出した二股形状とされており、
    前記係合部は、二股形状の前記上側延出部の突出した前記端部に対応するように前記アーチワイヤスロットに設けられ、
    前記係合部の間には、前記アーチワイヤスロットの前記反湾曲部側側面と面一なツール案内面が設けられ、
    前記ツール案内面の上部は上方に向かって開くテーパー形状とされていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の歯列矯正ブラケット。
  • 前記クリップの前記上側延出部の前記端部は幅方向両端が突出した二股形状とされており、
    二股形状の前記上側延出部の前記端部の幅方向中央には、上方に突出するツール係止突起が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の歯列矯正ブラケット。
  • 前記案内溝の反湾曲部側には、前記クリップの前記下側延出部の前記端部が当接する当接壁が設けられ、
    前記当接壁には、前記案内溝と外部とを連通する異物除去用の貫通部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の歯列矯正ブラケット。
  • 说明书全文

    本発明は、不整列歯や捻転歯の矯正に用いられる歯列矯正ブラケットに関する。

    従来、歯列矯正治療を行う際には、患者の歯に取り付けた歯列矯正ブラケットのアーチワイヤスロットにアーチワイヤを挿入し、アーチワイヤが外れないように歯列矯正ブラケットのタイウイングに樹脂製のリガチャーリングやステンレス製のリガチャーワイヤ等の結紮具を引っかけて結紮を行う方法が用いられていた。

    これに対して、セルフライゲーティングブラケットと呼ばれる結紮作業が不要なタイプの歯列矯正ブラケットが、特許文献1や特許文献2として知られている。 これらのセルフライゲーティングブラケットを治療に用いると、結紮具を歯列矯正ブラケットに取り付ける手間がないため、ドクターは患者に施術を行う時間(チェアタイム)を短縮できる。 また、結紮具の取付に伴う歯列矯正ブラケットや結紮具への食物残渣のこびり付きが生じないので、口腔内を衛生的に保つことができる。

    このようなセルフライゲーティングブラケットは、スライド式や回転式のクリップを備えている。 このクリップを移動させることによって、アーチワイヤスロット内にアーチワイヤを保持したり、或いはアーチワイヤスロットからアーチワイヤを外したりしている。

    日本国特許第4444410号公報

    日本国特表2001−503305号公報

    日本国特許第4411573号公報

    上述の特許文献1に記載の歯列矯正ブラケット1Aは図10に示すように、スライド式のクリップ4Aを採用している。 このクリップ4Aの下側延出部は、上側延出部よりも長く形成されている。 このため、取り付ける歯の表面の曲率や歯列矯正ブラケットのベースに設けた度(トルク)によってクリップ4Aの挿入方向がベース部2Aに対して大きな角度となる場合には、クリップ4Aをスロット閉鎖位置まで挿入する際に下側延出部の延出端部がベース部2Aや歯と干渉する虞がある。 この干渉を防止するために、ブラケット本体3Aのスロット5Aの下部の厚みは厚く形成されていた。

    以下にその理由を詳細に説明する。
    トルクインベースタイプの歯列矯正ブラケットを用いた歯列矯正治療時には、複数の歯列矯正ブラケット1Aを歯に直接又は間接的に取り付ける必要がある。 このとき、上顎と下顎あるいは前歯と臼歯で歯面の曲率が異なっていたり、歯列矯正ブラケット1Aを取り付ける位置が異なることがある。 このため、特定の歯に取り付けられた歯列矯正ブラケット1Aにおいて、歯面の形状に沿って固定されるベース部2Aとスロット5Aの底面とのなす角度が大きくなることがある。

    そこでベース部2Aとクリップ4Aとの干渉を防止するために、例えば図10に示すように、クリップ4Aのスライド方向がスロット5Aの底面と平行となるように歯列矯正ブラケット1Aを設計することが考えられる。 しかしこの場合には、スロット5Aの下部の厚みをクリップ4Aの下側延出部が挿通できるだけの厚み以上に形成する必要がある。 スロット5Aの下部の厚みが薄いと、クリップ4Aの下側延出部の延出端部がベース部2Aと干渉し、クリップ4Aを所望の位置までスライドさせることができないからである。

    特にスライド式クリップ4Aは、下側延出部の延出端部がブラケット本体3Aを貫通するように設けられている。 このため下側延出部が長く、干渉を回避するためにブラケット本体3Aのスロット5Aの下部が厚くなりやすかった。 このように、スロット5Aの下部が厚くなりブラケット全体の高さが大きくなると、患者の唇の裏側が歯列矯正ブラケット1Aに接触しやすくなり、患者が違和感を覚えるという問題があった。

    一方、特許文献2や特許文献3に記載の歯列矯正ブラケットは回動式のクリップを採用している。 特許文献2に記載の歯列矯正ブラケット1Bは、図11に示すように、回動式のクリップ4Bを採用している。 この歯列矯正ブラケット1Bでは、クリップ4Bの下端部41Bを中心にしてクリップ4Bが回動させられ、スロット5Bが開放される。 この回動式のクリップ4Bは前述のスライド式のクリップ4Aと比べて下側延出部の長さが短い。 したがって、ブラケット本体3Bに厚みを持たせる必要がなく、歯列矯正ブラケット1Bの高さを低くできる。

    ところが、この回動式のクリップ4Bを備えた歯列矯正ブラケット1Bではアーチワイヤが外れやすいという問題がある。 例えば、歯列矯正時に患者が硬い物を噛んだり、ワイヤが何かに引っかかるなどして、予期せぬ強いがアーチワイヤに加わることがある。 この時、アーチワイヤにスロット5Bから抜け出る方向の力が作用し、アーチワイヤがクリップ4Bの上側延出部を持ち上げることがある。 すると、クリップ4Bが回動して開いてアーチワイヤが外れたり、クリップ4Bが変形して歯列矯正ブラケット1Bの取り替えが必要になる場合があった。

    図12に示す特許文献3に記載の歯列矯正ブラケット1Cも回動式のクリップ4Cを採用している。 この歯列矯正ブラケット1Cにおいては、クリップ4Cを一度側方へスライド移動させ、クリップ4Cの下側端部41Cを回動部9Cに移動させてから、下側端部41Cを中心にクリップ4Cを回転させることにより、スロット5Cが開放される。

    この構造のクリップ4Cにおいても、アーチワイヤにスロット5Cから抜け出る方向の力が作用し、クリップ4Cの上側延出部に持ち上げようとする力が作用すると、クリップ4Cの弾性復元力によりクリップ4Cが側方に移動してしまう。 その結果、クリップ4Cが回動してスロット5Cが開いてアーチワイヤが外れたり、クリップ4Cが変形して歯列矯正ブラケット1Cの取り替えが必要になる場合があった。

    そこで本発明は、上記問題に鑑み、高さが低くかつクリップが外れにくい歯列矯正ブラケットを提供することを目的とする。

    上記目的を達成するために、本発明によれば以下が提供される。
    (1) 底面が歯に直接または間接的に固着される板状のベース部と、
    前記ベース部の上面に設けられたブラケット本体と、
    移動可能に前記ブラケット本体に取り付けられ、前記ブラケット本体の上面に沿って延びる上側延出部と、前記ブラケット本体の下面に沿って延びる下側延出部と、これらを接続する湾曲部を備えた断面略U字状のクリップとを備え、
    前記ブラケット本体の前記上面には、前記クリップの移動方向と交差する方向に沿って延びてアーチワイヤを収容可能な溝状のアーチワイヤスロットが設けられ、
    前記アーチワイヤスロットの反湾曲部側側面には、前記クリップの前記上側延出部の端部が挿入可能な係合部が設けられ、
    前記ブラケット本体の前記下面には、前記下側延出部を前記クリップの前記移動方向に案内する案内溝が設けられ、
    前記案内溝は前記アーチワイヤスロットの下方に設けられ、
    前記クリップの前記上側延出部の前記端部が前記係合部に挿入された状態で、前記クリップの前記下側延出部の端部は前記ブラケット本体の反湾曲部側端面に貫通しないことを特徴とする歯列矯正ブラケット。
    (2) 前記案内溝は、前記アーチワイヤスロットの下方に前記アーチワイヤスロットの底面と略平行な平面部を有することを特徴とする(1)の歯列矯正ブラケット。
    (3) 前記係合部の上側には前記湾曲部側に張り出すワイヤ抜け止め庇部が設けられ、
    前記ワイヤ抜け止め庇部の張り出し端部は、前記アーチワイヤスロットの反湾曲部側側面よりも反湾曲部側に位置することを特徴とする(1)または(2)の歯列矯正ブラケット。
    (4) 前記クリップの前記下側延出部の前記端部に拡幅部が設けられ、
    前記案内溝の前記湾曲部側に、前記クリップの前記拡幅部よりも幅が狭いクリップ抜け止め部が設けられていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの歯列矯正ブラケット。
    (5) 前記クリップの前記上側延出部に過開放防止部が設けられ、
    前記ブラケット本体の湾曲部側上面に、前記過開放防止部と嵌合する過開放防止突起が設けられていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの歯列矯正ブラケット。
    (6) 前記クリップの前記上側延出部の前記端部は幅方向両端が突出した二股形状とされており、
    前記係合部は、二股形状の前記上側延出部の前記端部に対応するように前記アーチワイヤスロットに設けられ、
    前記係合部の間には、前記アーチワイヤスロットの前記反湾曲部側側面と面一なツール案内面が設けられ、
    前記ツール案内面の上部は上方に向かって開くテーパー形状とされていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの歯列矯正ブラケット。
    (7) 前記クリップの前記上側延出部の前記端部は幅方向両端が突出した二股形状とされており、
    二股形状の前記上側延出部の前記端部の幅方向中央には、上方に突出するツール係止突起が設けられていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの歯列矯正ブラケット。
    (8) 前記案内溝の反湾曲部側には、前記クリップの前記下側延出部の前記端部が当接する当接壁が設けられ、
    前記当接壁には、前記案内溝と外部とを連通する異物除去用の貫通部が設けられていることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかの歯列矯正ブラケット。

    本発明に係る歯列矯正ブラケットによれば、クリップの上側延出部の端部が係合部に挿入された状態で、クリップの下側延出部の端部がブラケット本体の反湾曲部側端面に貫通しないようにクリップの下側延出部が短く設定されている。 したがって、クリップの上側延出部の端部を係合部に挿入したスロット閉鎖状態において、クリップの下側延出部が歯面と干渉せず、ブラケット本体の厚みを抑えてブラケットの高さを小さくすることができる。
    また、アーチワイヤがクリップの上側延出部を持ち上げようとした場合には、クリップの下側延出部が案内溝に当接し、持ち上げようとする力に対する反力を生じさせる。 このとき、案内溝がアーチワイヤスロットの下方に設けられているので、互いの力が相殺しあって、クリップに回転モーメントが作用することがない。 したがって、クリップが回転せずクリップが開放されてしまう虞がない。 以上より、高さが低く、かつ意図しないスロット開放の虞が少ない歯列矯正ブラケットを提供することができる。

    本発明の第1実施形態に係る歯列矯正ブラケットを示す斜視図である。

    図1に示す歯列矯正ブラケットのスロット閉鎖状態を示す断面図である。

    図1に示す歯列矯正ブラケットのスロット開放状態を示す断面図である。

    図1に示す歯列矯正ブラケットのブラケット本体の底面図である。

    本発明の第2実施形態に係る歯列矯正ブラケットを示す斜視図である。

    本発明の第3実施形態に係る歯列矯正ブラケットのスロット閉鎖状態を示す上面図である。

    本発明の第3実施形態に係る歯列矯正ブラケットのスロット開放状態を示す上面図である。

    本発明の変形例に係る歯列矯正ブラケットを示す上面図である。

    本発明の変形例に係る歯列矯正ブラケットを示す上面図である。

    従来例に係るスライド式クリップを備えた歯列矯正ブラケットを示す図である。

    従来例に係る回動式クリップを備えた歯列矯正ブラケットを示す図である。

    従来例に係る回動式クリップを備えた歯列矯正ブラケットを示す図である。

    以下、本発明の実施形態に係る歯列矯正ブラケットを、図面を参照して説明する。

    <第1実施形態>
    本発明の第1実施形態に係る歯列矯正ブラケット1について、図1から図4を参照して説明する。 図1は第1実施形態に係る歯列矯正ブラケット1のスロット開放状態を示す斜視図である。 また、図2は図1に示す歯列矯正ブラケット1の係合部6を含む面での断面図である。 図3はスロット開放状態での図2と同じ面の断面図であり、図4はブラケット本体3の底面図である。

    図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る歯列矯正ブラケット1は、その底面が歯の表面に直接または間接的に固着可能な板状のベース部2と、ベース部2の上面に固定されたブラケット本体3と、移動可能にブラケット本体3に取り付けられたクリップ4とを有する。 本実施形態のブラケット本体3は、平行に配置された二組のウィングを備えたツインタイプのブラケットである。 なお、以降の説明では、ベース部2の歯面に固着される底面側を下側、ベース部2のブラケット本体3が設けられる側を上側とする。

    (ブラケット本体3)
    図1,2に示すように、ブラケット本体3の上面(ベース部2とは反対側)には、クリップ4の上側延出部41と摺接して支持する上面支持部31が設けられ、その下面(ベース部2側の面)にはクリップ4の下側延出部42を案内する案内溝9とが設けられている。 これにより、ブラケット本体3はクリップ4を移動可能に保持している。

    また、ブラケット本体3のクリップ4側には、左右一対の張り出し部32が形成されている。 この張り出し部32は、クリップ4によってアーチワイヤスロット5を閉鎖した時(スロット閉鎖時)における、クリップ4の湾曲部43の位置を規制している。 また、上面支持部31には抜け止め突起(過開放防止突起)33が設けられている。

    図2に示すように、ブラケット本体3の上面支持部31のアーチワイヤスロット5側には、乗り越え段部31aが形成されている。 クリップ4によってアーチワイヤスロット5が閉鎖されていない時(スロット開放時)は、この乗り越え段部31aがクリップ4の上側端部44に当接する。 これにより、クリップ4が不用意にアーチワイヤスロット5側に移動してアーチワイヤスロット5が閉鎖されることを防止している。

    (クリップ4)
    クリップ4は断面略U字状の弾性変形可能な部材である。 このクリップ4は、ブラケット本体3の上面に延びる平面状の上側延出部41と、ブラケット本体3の下面に延びる平面状の下側延出部42と、これらを接続する湾曲部43を備えている。 下側延出部42の下側端部45は、アーチワイヤスロット5の底面53の下方まで延出されている。

    このクリップ4は上側端部44と下側端部45の間隔が最も狭くなるように湾曲されている。 ここで、クリップ4の湾曲部43は、上側延出部41と接続する上側は曲率半径が小さく、下側延出部42と接続する下側は曲率半径が大きく形成されている。 上側の曲率半径が下側の曲率半径よりも小さいので、クリップ4が上方に向かって長く延出することが無い。 これにより、クリップ4の高さ寸法が小さくされている。

    また図1に示すように、本実施形態に係るクリップ4は、上側延出部41の上側端部44の幅方向(アーチワイヤスロット5の長手方向)両端が突出する二股形状とされている。 また、クリップ4の上側端部44の幅方向の中間には、上方に突出したツール係止突起46が形成されている。

    クリップ4の上側端部44の二股形状の先端は、ブラケット本体3の抜け止め突起33と嵌合可能な左右一対の内方突起(過開放防止部)44aとされている。 左右の内方突起44aは、その先端が幅狭となる形状とされている。 スロット開放時には、クリップ4の内方突起44aがブラケット本体3の抜け止め突起33に引っ掛かることにより、クリップ4が開き過ぎてクリップ4に過大な力が作用しないようにされている。

    (アーチワイヤスロット5)
    ブラケット本体3の上面には、アーチワイヤを収容するアーチワイヤスロット5がクリップ4の移動方向と略直交する方向に沿って形成されている。 このアーチワイヤスロット5は、図2,3に示すように、上方に向かって開放された断面略U字状の溝として形成されている。 このアーチワイヤスロット5は、クリップ4の湾曲部43に近い側の湾曲部側側面51と、湾曲部側側面51と対向する反湾曲部側側面52と、湾曲部側側面51と反湾曲部側側面52とを接続する底面53とから構成されている。

    アーチワイヤスロット5の反湾曲部側側面52には、左右一対の係合部6が形成されている。 この係合部6は、クリップ4の二股に分かれた上側端部44が挿入可能なように、クリップ4と反対側に凹むように形成されている。

    また、係合部6の上部には係合部6の上端から湾曲部側に張り出す庇部(ワイヤ抜け止め庇部)7が設けられている。 図2に示したスロット閉鎖時に、アーチワイヤがクリップ4の上側延出部41を持ち上げるようとしても、庇部7が上側延出部41に当接し、クリップ4が係合部6から抜け出すことを防止する。

    庇部7の張り出し端部7aは、アーチワイヤスロット5の反湾曲部側側面52よりも反湾曲部側に位置されている。 張り出し端部7aが反湾曲部側側面52付近まで延出していると、クリップ4の抜け止めを防止するために必要な庇部7の強度を確保するために庇部7の肉厚が大きくなり、歯列矯正ブラケット1全体の高さが大きくなってしまうためである。

    また、図1に示したように、一対の係合部6の間にはツール案内面8が形成されている。 ツール案内面8はアーチワイヤスロット5の反湾曲部側側面52と面一な面である。 後述するように、スロット開放動作時に、このツール案内面8とクリップ4のツール係止突起46との間に開放ツール10が挿入される。 また、ツール案内面8の上部は上方に向かって開いたテーパー面とされている。 これにより、開放ツール10の先端がツール係止突起46とツール案内面8との間に挿入されやすくされている。

    (案内溝9)
    案内溝9は、ブラケット本体3の下側に形成されている。 図4に示すように、底面から見て、案内溝9は湾曲部43側に開口する略U字状に形成されている。 この案内溝9は、クリップ4の湾曲部43側から、アーチワイヤスロット5の下方付近に設けられた当接壁91まで、クリップ4の移動方向に沿って延びるように形成されている。

    また、案内溝9の幅はクリップ4の下側延出部42の下側端部45の幅よりも僅かに大きく設定されている。 クリップ4の下側延出部42は、この案内溝9とベース部2の上面との間に形成された空間内に挿入されている。 下側延出部42が案内溝9により案内され、クリップ4が移動する。

    案内溝9の当接壁91は、クリップ4の下側端部45に当接してクリップ4のそれ以上の挿入を規制する。 この当接壁91は、アーチワイヤスロット5の反湾曲部側側面52の下方付近に位置されている。 これによりスロット閉鎖時には、クリップ4の下側端部45はアーチワイヤスロット5の下方に位置される。

    また、案内溝9の当接壁91からは、クリップ4の湾曲部43側に延びるように平面部92が形成されている。 この平面部92は、アーチワイヤスロット5の底面53と略平行に形成されている。

    また、案内溝9の湾曲部側端部には、内側に張り出して両者間を幅狭とする一対の抜け止め部(クリップ抜け止め部)93が設けられている。 クリップの下側端部45は、下側延出部42よりも幅広に形成されている。 抜け止め部93がクリップ4の下側端部45を支承することにより、クリップ4の下側延出部42が案内溝9から脱落することが防止されている。 このため、一対の抜け止め部93間の幅は、クリップ4の下側延出部42より幅広に、かつ、下側端部45の幅より幅狭に形成されている。

    さらに案内溝9の反湾曲部側には、ブラケット本体3の反湾曲部側端面34に貫通する異物除去用の貫通溝(貫通部)94が設けられている。 これにより、歯列矯正ブラケット1を歯に取り付けた治療中であっても、案内溝9内に付着した異物を、貫通溝94を介して歯列矯正ブラケット1の外部からウォーターピックなどで洗浄して取り除くことができる。 したがって、口腔内を衛生的に保つことができる。 また、クリップ4と案内溝9との間に異物が入り込んでクリップ4が開かなくなることを防止する。

    なお、この貫通溝94の幅はクリップ4の下側端部45の幅よりも小さく設定されており、クリップ4の下側端部45が貫通溝94に侵入不可能とされている。 このため、スロット閉鎖時でも、クリップ4の下側端部45がブラケット本体3の反湾曲部側端面34を貫通することがない。

    歯列の矯正時には、このように構成された歯列矯正ブラケット1を複数の歯のそれぞれに取り付け、アーチワイヤをそれぞれの歯列矯正ブラケット1のアーチワイヤスロット5に挿入する。 更に、クリップ4でアーチワイヤスロット5を閉鎖してアーチワイヤの抜けを防止した状態で、歯列矯正ブラケット1を介して正常な歯列となる方向へ歯に矯正力を与える。

    (スロット閉鎖動作及びスロット開放動作)
    図2のスロット閉鎖状態から、図3のスロット開放状態とするには、まず、図2に示したようにツール係止突起46とツール案内面8の間に開放ツール10の先端を挿入する。 開放ツール10の先端でツール係止突起46を引っかけ、クリップ4の上側端部44を庇部7から抜き出すように、図2の矢印A方向にクリップ4とともに開放ツール10を移動させる。

    このとき、クリップ4の上側端部44を庇部7から抜き出す時には、まずクリップ4の下側端部45が案内溝9の平面部92中で移動方向が規制されながらクリップ4が横方向(図2の左側)に引き出される。 次に、下側端部45が抜け止め部93に当接し、クリップ4の横移動が止められる。 すると、下側端部45が抜け止め部93に当接した状態で、下側端部45を回動中心としてクリップ4が回転する。 これにより、アーチワイヤスロット5が開放される。

    このように、抜け止め部93がクリップ4の下側端部45の抜けを防止するので、クリップ4がブラケット本体3から脱落することが防止される。 歯列矯正ブラケット1を歯に取り付けた後アーチワイヤを付け替える時等、アーチワイヤスロット5を開放した時でも、クリップ4がブラケット本体3から脱落することがないので歯列矯正ブラケット1の取り扱いが容易である。

    また、スロット閉鎖時には上記とは逆に、クリップ4はまず抜け止め部93に当接した下側端部45が回転中心となって回転し、この後に平面部92に沿って横方向にスライド移動し、上側端部44が係合部6内に挿入される。 ここで、クリップ4が回転することにより上側端部44が下側に回動し、上側端部44が下がった状態でクリップ4は庇部7側へ横移動される。 上側端部44が挿入される庇部7を低い位置に形成することができるので、歯列矯正ブラケット1全体の高さを低くすることができる。

    (作用)
    以上の本実施形態に係る歯列矯正ブラケット1によれば、図2に示すようにスロット閉鎖時でもクリップ4の下側延出部42はブラケット本体3の反湾曲部側端面34を貫通することなく、クリップ4の下側端部45はアーチワイヤスロット5の下方に位置する。 したがって、特許文献1等のスライド式クリップを備える歯列矯正ブラケットと比べてクリップ4の下側延出部42は短い。

    特に特許文献1に記載のアーチワイヤスロットの下方が厚く形成されたスライド式のクリップを備えた歯列矯正ブラケットと比べて、本実施形態に係る歯列矯正ブラケット1では、下側延出部42が短く歯面と干渉することがないので、アーチワイヤスロット5の下方の厚みを薄くすることができる。 よって、歯列矯正ブラケット1全体の高さを低くすることができる。 これにより、歯列矯正ブラケット1を装着した患者が違和感を覚えることが少ない。

    また、治療中にアーチワイヤにアーチワイヤスロット5から抜け出す力が作用すると、クリップ4の上側延出部41はアーチワイヤから上方に押し上げられる力を受ける。 すると、クリップ4の下側延出部42は案内溝9からの反力を受ける。 クリップ4の下側延出部42はアーチワイヤスロット5の底面53の下方まで延出されているので、クリップ4の上側延出部41及び下側延出部42には、アーチワイヤスロット5を介して上下に力が作用する。 したがって、クリップ4に作用する力は互いに打ち消しあい、クリップ4に回転モーメントが作用しない。 したがって、本実施形態に係る歯列矯正ブラケット1によれば、意図せずにクリップ4が回転することがなく、アーチワイヤスロット5が開放されてしまう虞がない。

    なお従来の特許文献2,3に記載の回動式のクリップでは、クリップの下側端部がアーチワイヤスロットよりも湾曲部側の下方までしか延ばされていない。 このため、アーチワイヤにアーチワイヤスロットから抜け出す力が作用した時に、クリップの上側延出部と下側延出部に作用する力が打ち消し合うようには働かず、アーチワイヤがブラケット本体から脱落してしまう虞がある。

    また、アーチワイヤはアーチワイヤスロット5の両側面51,52に案内されるため、アーチワイヤからの力はアーチワイヤスロット5の底面53と垂直にクリップ4の上側延出部41に作用する。 一方で、案内溝9の平面部92はアーチワイヤスロット5の底面53と略平行に形成されているため、案内溝9の平面部92からの反力はアーチワイヤスロット5の底面53と垂直にクリップ4の下側延出部42に作用する。 したがって、本実施形態に係る歯列矯正ブラケット1によれば、確実にクリップ4に作用する二つの力を相殺させることができる。

    また、クリップ4を移動させてアーチワイヤスロット5を開放した後、更にクリップ4を移動させようとしても、ブラケット本体3の抜け止め突起33によりクリップ4の内方突起44aが支持される。 これにより、これ以上クリップ4が移動や変形することが防止されるので、クリップ4の破損を防止することができる。 また、クリップ4の下側延出部42が案内溝9の抜け止め部93に拘束されることで、クリップ4が歯列矯正ブラケット1から脱落することがなく、取り扱いが容易である。

    なお、上述の実施形態では、案内溝9の当接壁91がアーチワイヤスロット5の底面53の下方に位置する例を挙げて説明したが、例えば案内溝9の当接壁91を、アーチワイヤスロット5の湾曲部側側面51の下方と係合部6の反湾曲部側側面6aの下方との間に位置するように設定してもよい。

    このように設定した場合であっても、スロット閉鎖状態では、クリップ4の下側端部45は案内溝9の当接壁91に規制されて、クリップ4の下側端部45がアーチワイヤスロット5の湾曲部側側面の下方と係合部の反湾曲部側側面の下方との間に位置する。 したがって、上述の如くクリップ4の下側端部45が歯面と干渉することを抑制できるので、歯列矯正ブラケット1の高さを小さくすることができる。

    <第2実施形態>
    なお、上述の第1実施形態では、板状の開放ツール10によりクリップ4が移動させられる例を説明したが、本発明はこの形態に限られない。 図5は本発明の第2実施形態に係る歯列矯正ブラケット101を示す斜視図である。 第2実施形態は、上述した第1実施形態と、ツールとの係合構造及びクリップを抜け止めする嵌合構造のみが異なる。 そこで以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、同じ部材には同じ参照符号を付してその説明は省略する。

    第2実施形態は棒状の開放ツール110が適用可能な歯列矯正ブラケット101である。 第2実施形態に係るツール案内面108は、棒状の開放ツール110よりも僅かに大きな形状の凹部として形成されている。 また、クリップ4の左右一対の上側端部44の間は棒状の開放ツール110の先端形状に合わせてV字状に形成されており、ツール係止突起146もV字状に切り起こされて形成されている。 したがって、開放ツール110を凹部形状のツール案内面108とV字状のツール係止突起146との間に挿入し、開放ツール110をツール係止突起146に引っかけてクリップ4を移動させてスロット開放状態とすることができる。

    なお、ブラケット本体3の上面支持部31には抜け止め突起133が、クリップ4の上側延出部41には左右一対の矩形状の嵌合孔147が形成されている。 スロット開放状態とするべくクリップ4を移動させた後に、ブラケット本体3の抜け止め突起133がクリップ4の嵌合孔147に嵌合し、クリップ4が開き過ぎないようにしている。

    <第3実施形態>
    なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、二股形状とされたクリップ4の上側端部44が係合部6内に挿入されてアーチワイヤスロット5が閉鎖される例を示したが、本発明はこの構成に限定されることはない。 本発明の第3実施形態に係る歯列矯正ブラケット201を図6,7を参照して説明する。

    第3実施形態に係る歯列矯正ブラケット201は、上述の第1実施形態に係る歯列矯正ブラケットと、クリップ及びブラケット本体の係合部周辺の形状のみが異なるので、同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、異なる部分のみを説明する。

    図6は歯列矯正ブラケット201のスロット閉鎖状態を示す上面図であり、図7は歯列矯正ブラケット201のスロット開放状態を示す上面図である。 本実施形態において、クリップ4の上側延出部41は幅方向中央位置から突出する上側端部244を備えている。 アーチワイヤスロット5の反湾曲部側側面52には、クリップ4の上側端部244を挿入可能な挿入孔206が設けられている。 この挿入孔206は、アーチワイヤスロット5の反湾曲部側側面52からブラケット本体3の反湾曲部側端面34に貫通するように形成されている。

    図6の如く、スロット閉鎖状態では、クリップ4の上側端部244が挿入孔206の内部に挿入されている。 このとき、アーチワイヤに上方への力が作用してクリップ4の上側延出部41が上方に持ち上げられようとしても、挿入孔206の上面がクリップ4の上側端部244に当接し、クリップ4の抜け出しを防止する。

    図7の如く、スロット開放状態では、クリップ4の上側端部244と上側延出部41との接続部の両側に設けられた凹部に、ブラケット本体3の上面支持部31に設けられた過開放防止突起233が入り込んでいる。 これにより、クリップ4が過剰に移動することを防止している。 また、ブラケット本体3の上面支持部31のアーチワイヤスロット5側端部には乗り越え段部231aが設けられている。 この乗り越え段部231aがクリップ4の上側端部244に当接することにより、スロット開放状態が維持される。

    なお、本実施形態においても、スロット閉鎖状態において、クリップ4の下側端部45がブラケット本体3の反湾曲部側端面34に貫通せず、かつ、案内溝9がアーチワイヤスロット5の下方に配置されていることは上述の第1及び第2実施形態と同様である。 したがって、本実施形態でも、高さが低く、かつクリップが抜けにくい歯列矯正ブラケット201を提供できる。

    なお、上述の第1〜3実施形態においては、ブラケット本体3に平行に配置された二組のウィングが設けられたツインブラケットタイプの歯列矯正ブラケット1,101,201を例に挙げて説明したが、本発明はツインブラケットタイプの歯列矯正ブラケットに限られることはない。 図8は本発明の変形例に係る歯列矯正ブラケットの上面図である。 図8に示すように単一のウィングを有するシングルブラケットに本発明を適用することも可能である。

    また、図9も本発明の図8に示す変形例とは別の変形例に係る歯列矯正ブラケットの上面図である。 図9に示すようにブラケット本体3に牽引用のエラスティックをかけるためのフック11を設けてもよい。 このような形態を取ることにより、エラスティックを引っかけて歯列を矯正する施術に対応できる歯列矯正ブラケットに本発明を適用することができる。 なお、図9ではシングルブラケットタイプの歯列矯正ブラケットにフック11を設けた例を示したが、第1〜3実施形態のツインブラケットタイプの歯列矯正ブラケット1,101,201にフック11を設けても良い。

    なお、図8や図9に示す変形例においても、スロット閉鎖状態において、クリップ4の下側端部45がブラケット本体3の反湾曲部側端面34に貫通せず、かつ、案内溝9がアーチワイヤスロット5の下方に配置されていることは上述の第1及び第2実施形態と同様である。 したがって、本実施形態でも、高さが低く、かつクリップ4が抜けにくい歯列矯正ブラケットを提供できる。
    本出願は、2010年9月17日出願の日本特許出願(特願2010−210121)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

    1,101,201: 歯列矯正ブラケット、2: ベース部、3: ブラケット本体、31: 上面支持部、32: 張り出し部、33,133: 抜け止め突起(過開放防止突起)、34: 反湾曲部側端面、4: クリップ、41: 上側延出部、42: 下側延出部、43: 湾曲部、44,244: 上側端部、45: 下側端部、46,146: ツール係止突起、147: 嵌合孔、5: アーチワイヤスロット、51: 湾曲部側側面、52: 反湾曲部側側面、53: 底面、6: 係合部、206: 挿入孔(係合部)、7: 庇部(ワイヤ抜け止め庇部)、8,108: ツール案内面、9: 案内溝、91: 当接壁、92: 平面部、93: 抜け止め部、10,110: 開放ツール

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