【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一つのタンクを形成する気密性の内殻と、その内殻を悪天候から保護するために供せられる外殻とを備えたタイプの、ガス、特にバイオガスのための貯蔵装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、ガス貯蔵装置は、たとえば浄水場で使用され、水または汚泥の浄化作業中に回収されるガスがこのタンク(内殻)に貯蔵される。 そして、これらのガスは、たとえば施設の暖房、照明等に利用されたり、あるいは時として燃焼トーチに供給されたりする。 【0003】ガス貯蔵装置の使用に際しては、タンクの充填レベルを知ることが必要である。 たとえばある施設を暖房するために、貯蔵装置に蓄えられたガスを使用する場合には、その暖房に使用できるガス量が予め分かっていた方がよい。 また、タンクが満杯の場合、過圧を避けるために、たとえばトーチを用いてガスを燃やしタンクからガスを排出する必要がある。 【0004】しかしながら、内殻によって構成されるタンクは、外殻によって覆われており、またこの外殻は常に同じ外観を呈しているので、タンクの充填レベルを外部より知ることは容易でない。 このため、外殻にドアとして機能する装置を設け、外殻内への立ち入りを可能にするとともに、閉鎖することも可能な開口部を設けるようにしたものが知られている。 このような装置によれば、その開口部よりタンクの充填レベルを見ることが可能になる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この解決策は満足の得られるものではない。 つまり、外殻の内部に入ってタンクの充填状態を見るためには、人がその位置まで移動しなければならない。 さらに、この方法では、この充填状態を連続的に点検することができない。 【0006】また、外殻の天端と内殻(タンク)との間に一本のロープを固定するとともに、巻きとり装置でロープの長さを変えるようにした方法も知られている。 この方法によれば、タンクが空の場合、ロープの長さは長くなり、逆に、タンクが満タンの場合、ロープの長さは最小になる。 従って、ロープの長さを知ることにより、 タンクの充填状態を知ることができる。 【0007】しかしながら、この方法ではタンク内に貯蔵されているガス量を正確に知ることができない。 さらに、このシステムは信頼性に欠けている。 つまり、特にタンクがほぼ空の場合、ロープがタンクの凹部に固着される場合があり得、その際には、ロープを取り外すための作業も必要となる。 【0008】本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、内殻内に入っているガス量を正確に知ることができるガス貯蔵装置を提供することを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するため、本発明に係るガス貯蔵装置は、一つのタンクを形成する気密性の内殻2と、その内殻2を悪天候から保護するために設けた外殻4とを有する。 【0010】本発明によれば、内殻2はバラスト28を有するとともに、複数の箇所で外殻4に連結されており、かつある一つの基準位置に対してバラスト28の位置を検出するための手段が設けられている。 【0011】バラスト28と二つの殻2、4間に存在している連結手段によれば、ガスタンク(内殻4)の変形は規則性を有するように制御される。 タンクにガスが充填されるときも、タンクからガスが排出されるときも、 内殻4は同じ変形過程を通して変形する。 従って、内殻4の各構成部の位置状態には、一つの充填状態が対応する。 この規則性を利用してガスの充填状態を検出するため、バラスト28の位置は特徴を有する。 バラスト28 の位置を検出する手段によってバラストの位置が分かれば、タンクの充填状態を求めることができる。 つまり、 タンクの充填状態を知るには、バラストの位置が分かれば十分となる。 【0012】二つの殻2、4はほぼ球状形であることが好ましい。 この形は、与えられた被膜の表面に対して、 殻の内容積を最適化する。 殻がほぼ球状である場合には、内殻2は望ましくはその赤道ゾーンの高さにて外殻4に連結される(関連付けられる)。 これにより、タンクの変形制御を良好にするとともに、タンクからガスを完全に排出することが可能となる。 【0013】また、実施形態では、内殻2はロープ26 を用いて外殻4に連結される。 望ましくは、バラスト2 8は、内殻2がガスで満たされているときに内殻2の天端に位置する。 変形はこれにより規則的である。 さらに、実施形態では、バラストの位置の検出を可能にする手段は超音波センサ30により構成される。 超音波センサ30は、信頼性が高く、機械的接触が一切ない、非接触にてバラストの位置を検出可能にする。 バラストが内殻2の天端に位置し、かつ内殻2がガスで満たされているときに超音波センサ30は望ましくは外殻4の天端に位置する。 【0014】外殻内の圧力を一定に保つために、外殻4 の加圧は、ブロワ18を用いて行うことが好ましい。 また、この殻内における圧力の制御は望ましくはフローティングダンパ22を用いて確保される。 【0015】いずれにせよ、本発明は、非限定的な例として本発明による貯蔵装置の一つの実施形態を表した添付図を参照しながら以下の記述を読み進むに従ってよく理解されるであろう。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。 図1は、以下ガスタンクと呼称するガス貯蔵装置を示す断面図である。 このガスタンクは、 たとえばバイオガスなどのガス用のタンクとして機能する内殻2と、内殻2を悪天候から保護する外殻4とを有する。 【0017】内殻2は完全に密閉された一つの気密容器である。 この内殻2はガス流入口6を一つ有し、このガス流入口6はガス排出口としても兼用される。 勿論、流入口と排出口とは別個に設けることもできる。 内殻2のガス流入口6はガス供給・排出用パイプ8に接続される。 【0018】この内殻2はその全周にわたって配置されるアングル10を用いて床に固定される。 取付金具12 でこれを固定する。 内殻2がガスで満杯のとき、内殻2 は床で支持される表面を形成する平面部を有するほぼ球状形を呈する。 内殻2に用いられる材料は、その中に貯蔵されるガスに応じて、完全な気密性が得られるように選択される。 【0019】外殻4は内殻2によって形成されるタンクを覆い尽くす。 外殻4は玉の形を呈する。 内殻2とは異なって、この外殻4は密閉された容器ではないが、アングル16を用いて床に固定される縁14を持つ。 外殻4 はたとえばコーティング加工された織物で製作され、加圧によって形状が維持される。 エアパイプ20を通じて外殻4の内部に接続されるブロワ18によって、外殻4 の内部の加圧を保持することができる。 【0020】外殻4内における圧力を制御するために、 調節ダンパ22が設けられている。 これは、フローティングダンパ(水面昇降式通気弁)であることが好ましい。 このダンパ22は望ましくはブロワ18のエアパイプ20と正反対の位置にくるように置かれる。 【0021】内殻2と外殻4との間に形成される空間は、人が通れるのに十分なスペースであることが好ましい。 そのために、開口部24が外殻4に設けられる。 たとえば、織物でできたドアが設けられているが、このドアは図示されていない。 従って、外殻4は開口部24があるにもかかわらず、圧力を外殻4内で維持できる。 開口部24から人が出入りする際の圧力低下は小さく、外殻4の形状はその影響を受けない。 【0022】内殻2と外殻4とは、たとえば鋼でできたロープ26によって連結される。 これらのロープ26は望ましくは内殻2のほぼ赤道の高さでその一端が固定され、この赤道を外殻4に固定する。 このロープは内殻2 の赤道の全周にわたって規則的に、例えば等間隔で配置される。 バラスト28は内殻2に固定される。 このバラスト28は、内殻2がガスで満杯のときに内殻2の天端にくるように配置される。 【0023】ロープ26とバラスト28とにより、内殻2の変形は、タンクが満杯であろうと、空であろうと、 規則性を有するように完全に制御される。 各充填レベルには、内殻2の一つの形状だけが対応する。 したがって、内殻2の充填レベル(容積)とバラスト28の高度位置を予め対応づけることができ、バラスト28の高度(位置)を知ることにより、内殻2の形状(容積)を知ることができる。 バラスト28の高度は内殻2の容積測定を可能にする一つのデータとなる。 したがって内殻2 の充填レベルを知るには、バラスト28の高度位置を測定すればよいことととなる。 【0024】バラスト28の高度は、超音波センサ30 を用いて測定される。 このセンサ30は望ましくは外殻4の天端に配置される。 バラストは内殻2上に平に設置される円板の形を呈する。 この円板は常にほぼ水平に位置づけられる。 超音波センサ30から放出される超音波はバラスト28の方へ、その水平面に対して垂直に向かう。 こうして、センサ30からバラスト28までの距離を測定することが可能となる。 センサ30は一定の高度位置にあるので、センサ30からバラスト28までの距離を測定することで、バラスト28の高度を知ることができる。 従って、このようにして内殻2の体積を求めることが可能となる。 【0025】図1は三つの位置状態における内殻2によって構成されるタンクを示している。 第一位置、つまり真ん中の位置は実線で表示されている。 この位置はほぼ半分充填されている内殻(タンク)に対応する。 この実線より上の鎖線は、タンクが四分の三満たされている位置を表している。 点線で表示されている位置は、ほとんど空の状態のタンクを表している。 他の中間位置についても同様であるが、これらの各位置に、バラスト28の高さが対応している。 タンクが満杯であろうと空であろうと、バラスト28は常に同じように上昇し下降する。 バラスト28の各位置に、タンクに入っているガスの量が対応する。 したがって、バラスト28の高度を測定することで、タンク内のガスの量を知ることができ、人が開口部24を通ってタンクの状態を見るという必要もなくなる。 【0026】超音波センサ30によって行われるバラスト28の位置測定は、図示されてはいないが、コントロールセンタへ転送することができ、コントロールセンタからも、タンクへのガス供給あるいはこのタンクからのガス排出を制御することが可能である。 センサ30は終始作動できるので、いつでもタンク内にあるガスの量を検知できる。 あるいはまた、センサ30はオペレータから明白な要求があった場合のみこの情報を提供することが可能である。 【0027】以上のように、ロープ26とバラスト28 とにより、タンクの変形は、タンクが満杯のときでも空のときでも、規則性あるよう完全に制御される。 機械的接触のない非接触に測定できる測定手段を使用することにより、システムの信頼性を高めることができる。 【0028】当然のことながら、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明はあらゆる変形形態を包含する。 従って、たとえば、内殻と外殻との結合は、ここでは、ワイヤロープを用いて行われたが、他の結合手段を使用してもよい。 また、内殻の全周にわたってバンドを張りわたし、そのバンドを外殻の内面上に「ボタン留めする」ようにしてもよい。 勿論、他の結合も検討可能である。 同様に、上記例では外殻と内殻との結合は内殻の赤道の高さで行われたが、他の締結箇所も検討され得る。 また、すべての締結箇所が必ずしも同一高度にある必要はない。 【0029】さらに、バラストの位置を検出するために設けられる手段は、超音波センサに代えて光学的手段によっても代替され得るであろう。 また、たとえばロープを用いた従来の技術の既知の機械的手段を考えることもできる。 【0030】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、タンク(内殻)の変形は、よく制御されているので、バランサの位置を検出することによりガス量を正確に知ることができ、また、機械にからまる危険なしにロープの使用が可能になる。 【図面の簡単な説明】 【図1】ガス貯蔵装置の垂直断面図である。 【符号の説明】 2 内殻 4 外殻 6 ガス流入口 8 ガス供給・排出用パイプ 10 アングル 12 取付金具 14 縁 16 アングル 18 ブロワ 20 エアパイプ 22 フローティングダンパ 24 開口部 26 ロープ 28 バラスト 30 超音波センサ |