High pressure container and its manufacturing method

申请号 JP2003361781 申请日 2003-10-22 公开(公告)号 JP2005127388A 公开(公告)日 2005-05-19
申请人 Toyota Industries Corp; Toyota Motor Corp; トヨタ自動車株式会社; 株式会社豊田自動織機; 发明人 KANEHARA MASAHIKO; MORI DAIGORO; TSUZUKI MAKOTO; KUMANO AKIKO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To prevent slip between a metallic line and a shell made of a composite material by generally matching a deformation volume of the metallic line with that of the shell made of the composite material of the high pressure container.
SOLUTION: A high pressure tank 10 comprises a metallic liner 20 having a desired tank shape, and a shell 30 made of a composite material and formed on an outer periphery of the metallic liner 20. The metallic liner 20 has a cylindrical shell part 21, mouthpieces 22 on both ends, and a cap part 23 connecting the shell part 21 with the mouthpieces 22. A bellows-like telescopic part 211 is formed to the shell part 21 across the entire length in an axial direction (longitudinal direction) of the metallic liner 20. The telescopic part 211 prevents slip between the metallic shell part 21 and the shell 30 made of the composite material when the high pressure tank 10 is expanded or shrunk by an elastic action caused by opening or closing (deforming) its base end 211b.
COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI
权利要求
  • 高圧容器であって、
    軸方向への弾性変形を許容する軸方向変形許容部を軸方向全長にわたって備える中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナと、
    前記金属製ライナの外周を包む複合材製シェルとを備える高圧容器。
  • 請求項1に記載の高圧容器において、
    前記軸方向変形許容部は前記胴部にベローズ状に一体成形され、前記端部と前記胴部とは一体に成形されている高圧容器。
  • 請求項1に記載の高圧容器において、
    前記金属製ライナは、前記軸方向変形許容部を構成すると共に前記胴部を形成する複数の胴部構成材と、前記複数の構成材を挟み込むと共に前記胴部とは別体の前記端部を形成する端部構成材とによって形成されている高圧容器。
  • 高圧容器であって、
    軸方向への弾性変形を許容する軸方向変形許容部を軸方向全長にわたって有すると共に、径方向への弾性変形を許容する径方向変形許容部を周方向全周にわたって有する中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナと、
    前記金属製ライナの外周を包む複合材製シェルとを備える高圧容器。
  • 高圧容器であって、
    複合材製シェルと、
    前記複合材製シェルによって内包されると共に、前記複合材製シェルの軸方向の伸縮変化に合わせて軸方向全長にわたり伸縮変化する中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナとを備える高圧容器。
  • 請求項5に記載の高圧容器において、
    前記胴部はベローズ状に一体成形され、前記端部と前記胴部とは一体に成形されている高圧容器。
  • 請求項5に記載の高圧容器において、
    前記金属製ライナは、前記胴部を形成する複数の胴部構成材と、前記複数の構成材を挟み込むと共に前記胴部とは別体の前記端部を形成する端部構成材とによって形成されている高圧容器。
  • 請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の高圧容器において、
    前記胴部はさらに、前記複合材製シェルの周方向の伸縮変化に合わせて周方向全長にわたり伸縮変化する高圧容器。
  • 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の高圧容器において、
    前記金属製ライナには軸方向に予荷重がかけられている高圧容器。
  • 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の高圧容器において、
    前記金属製ライナは、その軸方向に直交して配置される補強板を内部に有する高圧容器。
  • 高圧容器であって、
    径方向への弾性変形を許容する径方向変形許容部を周方向全周にわたって備える中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナと、
    前記金属製ライナの外周を包む複合材製シェルとを備える高圧容器。
  • 高圧容器であって、
    複合材製シェルと、
    前記複合材製シェルによって内包されると共に、前記複合材製シェルの周方向の伸縮変化に合わせて周方向全長にわたり伸縮変化する中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナとを備える高圧容器。
  • 請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の高圧容器において、
    前記金属製ライナの内部には水素吸蔵合金が内蔵されている高圧容器。
  • 高圧容器の製造方法であって、
    胴部を構成する複数の胴部構成材を一列に配置し、
    前記整列された複数の胴部構成材の両端部にそれぞれ端部を構成する端部構成材を配置し、
    前記各端部構成材に対して前記胴部構成材に向けた荷重を加え、
    荷重が加えられた状態にて、前記胴部構成材および前記端部構成部材に対して強化繊維を巻き付け、
    前記巻き付けた強化繊維を樹脂剤によって固定する高圧容器の製造方法。
  • 高圧容器であって、
    軸方向全長または周方向全長または軸方向および周方向全長にわたって凹凸の断面形状を有し、それぞれ軸方向全長または周方向全長または軸方向および周方向に変形を与えたとき、平面で構成した場合よりも大きな弾性変化を許容することができる中空の金属製ライナ胴部と、
    前記金属製ライナ胴部に続く両端部と、
    前記金属製ライナ胴部および両端部を包む複合材製シェルとを備える高圧容器。
  • 請求項15に記載の高圧容器において、
    前記金属製ライナ胴部の外周面と前記複合材製シェルの内周面との間に樹脂またはゴムが埋められている高圧容器。
  • 請求項15または請求項16に記載の高圧容器において、
    前記金属製ライナ胴部と前記両端部とは一体に成形されてなる高圧容器。
  • 請求項15または請求項16に記載の高圧容器において、
    前記金属製ライナ胴部は複数の胴部構成部材から構成され、
    前記各胴部構成部材は、接触、シール材または溶接によって前記金属製ライナ胴部からの気体の漏れを防止する高圧容器。
  • 说明书全文

    本発明は、複合材製高圧容器および高圧容器の製造方法に関する。

    主に気体を収容する高圧容器として、従来の鋼製に代えて金属製ライナに複合材料製のシェルを被せた高圧容器が実用化されている。

    金属製ライナを採用した高圧容器では、気体(ガス)の充填放出に伴う容器の膨張・収縮に起因する金属製ライナの疲労が問題となる。 一方、軽量化とコストダウンのために複合材料製のシェルの繊維量を減らすと、膨張・収縮量が増加し、許容充填・放出回数が制限されてしまう。

    そこで、金属製ライナの一部に内圧の変動に起因して生じる軸方向の変動を緩和する湾曲形状部を有する圧容器が提案されている(特許文献1参照)。

    特開平9−42594号公報

    しかしながら、上記従来技術では、金属製ライナの一部にのみ大きな変形(弾性変形)を許容する湾曲形状部を有しているので、金属製ライナの変形量と複合材製シェルの変形量とが相違し、両者の間には滑りが発生する。 したがって、金属製ライナおよび複合材料製シェルの間には高い面圧下で剪断力が作用し、一部の滑る部分では摩擦が生じ、滑らない部分では金属製ライナと複合材料製シェルの変形量がほぼ同じになるため、金属製ライナにおける疲労の制約を排除することができなかった。

    本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高圧容器における金属製ライナと複合材製シェルの変形量をほぼ一致させて、金属製ライナと複合材製シェルの間に発生する滑りを防止することを目的とする。

    上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、高圧容器を提供する。 本発明の第1の態様に係る高圧容器は、軸方向への弾性変形を許容する軸方向変形許容部を軸方向全長にわたって備える中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナと、前記金属製ライナの外周を包む複合材製シェルとを備えることを特徴とする。

    本発明の第1の態様に係る高圧容器によれば、中空の胴部に軸方向への弾性変形を許容する軸方向変形許容部が軸方向全長にわたって備えられているので、高圧容器における金属製ライナと複合材製シェルの変形量をほぼ一致させて、金属製ライナと複合材製シェルの間に発生する軸方向の滑りを防止することができる。

    本発明の第1の態様に係る高圧容器において、前記軸方向変形許容部は前記胴部にベローズ状に一体成形され、前記端部と前記胴部とは一体に成形されていても良い。 かかる場合には、ベローズ状の軸方向変形許容部が弾性変形することによって、複合材製シェルの軸方向の伸縮に応じた金属製ライナの胴部の軸方向の伸縮がもたらされる。

    本発明の第1の態様に係る高圧容器において、前記金属製ライナは、前記軸方向変形許容部を構成すると共に前記胴部を形成する複数の胴部構成材と、前記複数の構成材を挟み込むと共に前記胴部とは別体の前記端部を形成する端部構成材とによって形成されていても良い。 かかる場合には、複数の胴部構成材からなる軸方向変形許容部によって、複合材製シェルの軸方向の伸縮に応じた金属製ライナの胴部の軸方向の伸縮がもたらされる。 また、胴部構成材の形状を自由に選択することができる。

    本発明の第1の態様に係る高圧容器において、前記胴部は、径方向への弾性変形を許容する径方向変形許容部を周方向全周にわたって有しても良い。 かかる場合には、径方向変形許容部によって、複合材製シェルの径方向(周方向)の伸縮に応じた金属製ライナの胴部の径方向の伸縮がもたらされる。 したがって、金属製ライナと複合材製シェルの間に発生する径方向の滑りを防止することができる。

    本発明の第2の態様は、高圧容器を提供する。 本発明の第2の態様に係る高圧容器は、複合材製シェルと、前記複合材製シェルによって内包されると共に、前記複合材製シェルの軸方向の伸縮変化に合わせて軸方向全長にわたり伸縮変化する中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナとを備えることを特徴とする。

    本発明の第2の態様に係る高圧容器によれば、中空の胴部が複合材製シェルの軸方向の伸縮変化に合わせて軸方向全長にわたり伸縮変化するので、高圧容器における金属製ライナと複合材製シェルの変形量をほぼ一致させて、金属製ライナと複合材製シェルの間に発生する軸方向の滑りを防止することができる。

    本発明の第2の態様に係る高圧容器において、前記胴部はベローズ状に一体成形され、前記端部と前記胴部とは一体に成形されていても良い。 かかる場合には、ベローズ状に形成された胴部が弾性変形することによって、複合材製シェルの軸方向の伸縮に応じた金属製ライナの胴部の軸方向の伸縮がもたらされる。

    本発明の第2の態様に係る高圧容器において、前記金属製ライナは、前記胴部を形成する複数の胴部構成材と、前記複数の構成材を挟み込むと共に前記胴部とは別体の前記端部を形成する端部構成材とによって形成されていても良い。 かかる場合には、複数の胴部構成材からなる胴部によって、複合材製シェルの軸方向の伸縮に応じた金属製ライナの胴部の軸方向の伸縮がもたらされる。 また、胴部構成材の形状を自由に選択することができる。

    本発明の第2の態様に係る高圧容器において、前記胴部はさらに、前記複合材製シェルの周方向の伸縮変化に合わせて周方向全長にわたり伸縮変化しても良い。 かかる場合には、胴部が複合材製シェルの周方向の伸縮変化に合わせて周方向全長にわたり伸縮変化するので、複合材製シェルの径方向(周方向)の伸縮に応じた金属製ライナの胴部の径方向の伸縮がもたらされる。 したがって、金属製ライナと複合材製シェルの間に発生する径方向の滑りを防止することができる。

    本発明の第1または第2の態様に係る高圧容器において、前記金属製ライナには軸方向に予荷重がかけられていても良い。 かかる場合には、金属製ライナの疲労限界を高めることができる。 また、胴部が複数の胴部構成材によって構成されている場合には、各胴部構成材間における気密性能を向上させることができる。

    本発明の第1または第2の態様に係る高圧容器において、前記金属製ライナは、その軸方向に直交して配置される補強板を内部に有しても良い。 かかる場合には、補強板によって高圧容器における径方向の変形を抑制することができる。 また、補強板が熱伝導性の高い材質で形成されている場合には、複合材製シェルに対する熱伝達速度を高めることができる。

    本発明の第3の態様は高圧容器を提供する。 本発明の第3の態様に係る高圧容器は、径方向への弾性変形を許容する径方向変形許容部を周方向全周にわたって備える中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナと、前記金属製ライナの外周を包む複合材製シェルとを備えることを特徴とする。

    本発明の第3の態様に係る高圧容器によれば、中空の胴部には、径方向への弾性変形を許容する径方向変形許容部を周方向全周にわたって備えられているので、高圧容器における金属製ライナと複合材製シェルの変形量をほぼ一致させて、金属製ライナと複合材製シェルの間に発生する径方向の滑りを防止することができる。

    本発明の第4の態様は高圧容器を提供する。 本発明の第4の態様に係る高圧容器は、複合材製シェルと、前記複合材製シェルによって内包されると共に、前記複合材製シェルの周方向の伸縮変化に合わせて周方向全長にわたり伸縮変化する中空の胴部と、端部とを有する金属製ライナとを備えることを特徴とする。

    本発明の第3の態様に係る高圧容器によれば、中空の胴部は、複合材製シェルの周方向の伸縮変化に合わせて周方向全長にわたり伸縮変化するので、高圧容器における金属製ライナと複合材製シェルの変形量をほぼ一致させて、金属製ライナと複合材製シェルの間に発生する径方向の滑りを防止することができる。

    本発明の第1ないし第4の態様のいずれかに係る高圧容器において、前記金属製ライナの内部には素吸蔵合金が内蔵されていてもよい。 かかる場合には、充填物である水素の充填量を向上させることができる。

    本発明の第5の態様は、高圧容器の製造方法を提供する。 本発明の第3の態様に係る高圧容器の製造方法は、胴部を構成する複数の胴部構成材を一列に配置し、前記整列された複数の胴部構成材の両端部にそれぞれ端部を構成する端部構成材を配置し、前記各端部構成材に対して前記胴部構成材に向けた荷重を加え、荷重が加えられた状態にて、前記胴部構成材および前記端部構成部材に対して強化繊維を巻き付け、前記巻き付けた強化繊維を樹脂剤によって固定することを特徴として備える。

    本発明の第5の態様に係る高圧容器の製造方法によれば、本発明の第1〜第4の態様に係る高圧容器を製造することができる。

    本発明の第6の態様は、高圧容器を提供する。 本発明の第6の態様に係る高圧容器は、軸方向全長または周方向全長または軸方向および周方向全長にわたって凹凸の断面形状を有し、それぞれ軸方向全長または周方向全長または軸方向および周方向に変形を与えたとき、平面で構成した場合よりも大きな弾性変化を許容することができる中空の金属製ライナ胴部と、前記金属製ライナ胴部に続く両端部と、前記金属製ライナ胴部および両端部を包む複合材製シェルとを備えることを特徴とする。

    本発明の第6の態様に係る高圧容器によれば、軸方向全長または周方向全長または軸方向および周方向全長にわたって凹凸の断面形状を有し、それぞれ軸方向全長または周方向全長または軸方向および周方向に変形を与えたとき、平面で構成した場合よりも大きな弾性変化を許容することができる中空の金属製ライナ胴部を備えているので、高圧容器における金属製ライナと複合材製シェルの変形量をほぼ一致させて、金属製ライナと複合材製シェルの間に発生する軸方向、周方向の滑りを防止することができる。

    本発明の第6の態様に係る高圧容器において、前記金属製ライナ胴部の外周面と前記複合材製シェルの内周面との間に樹脂またはゴムが埋められていても良い。

    本発明の第6の態様に係る高圧容器において、前記金属製ライナ胴部と前記両端部とは一体に成形されていても良い。

    本発明の第6の態様に係る高圧容器において、前記金属製ライナ胴部は複数の胴部構成部材から構成され、前記各胴部構成部材は、接触、シール材または溶接によって前記金属製ライナ胴部からの気体の漏れを防止するようにしても良い。

    以下、図面を参照しつついくつかの実施例に基づいて、本発明に係る高圧容器および高圧容器の製造方法について説明する。

    第1の実施例:
    図1〜図3を参照して第1の実施例に係る高圧タンクついて説明する。 図1は第1の実施例に係る高圧タンクの内部を説明するために一部を断面にて示す説明図である。 図2は第1の実施例に係る高圧タンクの外観を示す説明図である。 図3は第1の実施例に係る高圧タンクの第1の変形例を示す説明図である。

    第1の実施例に係る高圧タンク10は、図2に示すように円筒形状を有しており、また、図1に示すように、所望のタンク形状を有する金属製ライナ20と、金属製ライナ20の外周に形成された複合材製シェル30とを備える。 金属製ライナ20としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等が用いられ得る。

    金属製ライナ20は、円筒状の胴部21、両端部に口金部22、胴部21と口金部22とを接続するキャップ部23を有する。 本実施例に係る金属製ライナ20は、胴部21、口金部22およびキャップ部23が一体に成型されている。 胴部21には、図1に示すように、金属製ライナ20の軸方向(長手方向)の全長にわたってベローズ状の伸縮許容部211が形成されている。 伸縮許容部211の先端部211aは、内圧によって塑性変形することのない、半径の小さな折り返し形状を有している。

    伸縮許容部211は、その基端部211bの開閉(変形)によりもたらされる弾性作用によって、高圧タンク10が膨張・収縮する際に金属製の胴部21と複合材製シェル30との間に発生する滑りを防止する。 本実施例では、胴部21は、その全長にわたって伸縮許容部211を有しているので、複合材製シェル30の変形に応じて全長にわたって変形することができる。 すなわち、胴部21に要求される伸縮量は、伸縮許容部211によって、胴部21の全長に分散される。

    複合材製シェル30は、例えば、炭素繊維、セラミック繊維といった強化繊維を金属製ライナ20の外周にヘリカル巻きおよびフープ巻きの手法によって巻き付け、エポキシ樹脂等の樹脂によって含浸固定させることで形成される。 したがって、複合材製シェル30は、巻き方の手法により異なる層断面を表すが、本願の図面においては、層断面の詳細については省略する。 金属製ライナ20に対する強化繊維の巻き付けにあたっては、強化繊維の強化特性を有効に発揮させるように注意が払われる。

    金属製ライナ20に複合材製シェル30が形成された後、金属製ライナ20の口金部22に対してOリング24を介して接続バルブ25が装着されて高圧タンク10が完成する。

    伸縮許容部211は、胴部21に複合材製シェル30と同等の弾性変化をもたらすよう形成されていれば良いので、例えば、図3に示すように形成されていても良い。 図3に示す高圧タンク10は、略U字状の伸縮許容部212を有し、半径の小さな折り返し形状の先端部212aを有し、基端部212bの開閉(変形)により弾性作用をもたらす。

    以上説明したように、第1の実施例に係る高圧タンク10によれば、胴部21には伸縮許容部211がその全長にわたり形成されているので、内容物、例えば、気体の充填・放出に伴い高圧タンク10が軸方向に膨張・収縮する場合であっても、胴部21(金属製ライナ20)と複合材製シェル30との間に発生する軸方向の滑りを防止することができる。 すなわち、胴部21は、伸縮許容部211を胴部21の全長にわたって備えることによって、金属製ライナ20は、高圧タンク10の膨張・収縮に伴い均一に軸方向に伸縮する複合材製シェル30と同様にして均一に軸方向に伸縮することが可能となり、胴部21と複合材製シェル30との間に発生する軸方向の滑りを防止することができる。

    胴部21(金属製ライナ20)と複合材製シェル30との間に発生する滑りを防止することによって、両者21(20)、30との間における摩擦の発生を防止することが可能となり、摩擦に伴う胴部21(金属製ライナ20)および複合材製シェル30の摩耗を防止することができる。 この結果、高圧タンク10の寿命を向上させることができる。

    さらに、金属製ライナ20は、伸縮許容部211を備えることによって、弾性変化するため、金属製ライナ20の疲労寿命を向上させることができる。

    第2の実施例:
    図4〜図12を参照して第2の実施例に係る高圧タンクついて説明する。 図4は第2の実施例に係る高圧タンクの内部を詳細に示す詳細図である。 図5は第2の実施例に係る高圧タンクの第1の変形例を示す説明図である。 図6は第2の実施例に係る高圧タンクの第2の変形例を示す説明図である。 図7は第2の実施例に係る高圧タンクの第3の変形例を示す説明図である。 図8は第2の実施例に係る高圧タンクの第4の変形例を示す説明図である。 図9は第2の実施例に係る高圧タンクの第5の変形例を示す説明図である。 図10は第2の実施例に係る高圧タンクの製造工程を示すフローチャートである。 図11および図12は第2の実施例に係る高圧タンクの製造工程を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンク11は、金属製ライナ40の胴部41が複数の胴部構成材42によって形成され、金属製ライナ40の両端が胴部構成材42とは別体の端部構成材43によって形成されている点で第1の実施例に係る高圧タンク10と異なる。 すなわち、複数の胴部構成材42が複合材製シェル30の軸方向の伸縮に応じた金属製ライナ40の伸縮を許容する伸縮許容部を形成している。 一方で複合材製シェル30、接続バルブ25等については、第1の実施例に係る高圧タンク10と同様であるから、同一の符号を付してその説明を省略する。 また、高圧タンク11の外観については第1の実施例に係る高圧タンク10の外観と同一であるから図2を参照することで、図示を省略する。

    第2の実施例における金属製ライナ40の胴部41は、上述のように複数の胴部構成材42から構成されている。 胴部構成材42は、例えば、図4に示すように、C字状の断面を有するリンク状の部材であり、高圧タンク11の軸方向に加えられた応力によって開放端が近接・離間する弾性変形を示す。 胴部構成材42は、高圧タンク11の軸方向に複数配列されることによって胴部41を構成する。 各胴部構成材42は、単に密接(接触シール)されているだけでも良く、あるいは、互いに接着剤によって接着されていても良い。

    第2の実施例における金属製ライナ40を構成する端部構成材43は、第1の実施例における金属製ライナ20の口金部22に相当する第1の開口部431と、第1の開口部431よりも大きな開口面積を有し、第1の実施例における金属製ライナ20のキャップ部23に相当する第2の開口部432とを備えている。 端部構成材43は、第2の開口部432の周縁部433によって、配列されている複数の胴部構成材42のうち両端部に位置する胴部構成材42を支持する。

    胴部構成材42には、C字状の断面を有するリンク状の部材の他に、図5〜図9に示すリング状部材が用いられ得る。 図5に示す第1の変形例では、U字状の断面を有するリング状の胴部構成材42aが用いられている。 図6に示す第2の変形例では、U字状の断面を有する片つば付きリング状の胴部構成材42bが用いられており、つばによって隣接する胴部構成材42bの位置が互いに規制され、胴部構成材42bの配列を容易化することができる。 図7に示す第3の変形例では、U字状の断面を有するリング状の胴部構成材42aおよびU字状の断面を有する両つば付きリング状の胴部構成材42cが用いられている。

    図8に示す第4の変形例では、O字状の断面を有するリング状(パイプリング状)の胴部構成材42dが用いられている。 なお、胴部構成材42dには、その内側に(リングの中心に向けて)複数の孔が形成されていてもよい。 かかる場合には、孔から胴部構成材42dの内部に内圧が加わり、各胴部構成材42d間の接圧を増大させて、密接性を向上させることができる。 また、密接性が向上されることにより、各胴部構成材42d間を接合した場合における、接合部を引きはがす作用力を低減させることができる。

    図9に示す第5の変形例では、U字状の断面を有するリング状の胴部構成材42aとゴム、テフロン樹脂といった弾性体から成るシール材44とが用いられている。 この変形例では、金属製の胴部構成材42aと非金属性のシール材44とが交互に配列される。 シール材44を介在させることによって、胴部41と複合材製シェル30のシール性能を向上させることが可能となる。

    第2の実施例に係る高圧タンク11の製造工程について図10〜図12を参照して簡単に説明する。 図11に示すように、先ず、要求される高圧タンク11長さに合わせて、複数の胴部構成材42を配列し、複数の胴部構成材42により形成された胴部41の両端部に端部構成材43をそれぞれ配置して金属製ライナ40の組み立て(形成)が実行される(ステップS10)。 胴部構成材42および端部構成材43を配列、配置して金属製ライナ40を形成する際には、図示するように、軸方向に所定の圧力を加えつつ治具45を用いて位置決めが行われる。

    金属製ライナ40の形成が完了すると、図12に示すように、軸方向への加圧状態を維持したまま治具45を取り外し、フィラメントワインディング装置46を用いて金属製ライナ40に対する強化繊維31の巻き付けが実行される(ステップS11)。 強化繊維31の巻き付けにあたっては、ヘリカル巻きとフープ巻きのワインディング手法を用いられる。 一般的に、フープ巻きは胴部41に対して施され、ヘリカル巻きは胴部41および端部(端部構成材43)に対して施される。 強化繊維31が巻き付けられることによって胴部構成材42と端部構成材43とが強固に固定される。 なお、図12では、フィラメントワインディング装置46は概念的に示されている。

    巻き付けられた強化繊維31に対してエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させて、強化繊維31を固定して複合材製シェル30を形成する(ステップS12)。 最後に、接続バルブ25等の関連部品が組み付けられて(ステップS13)、高圧タンク11が完成する。

    以上説明したように第2の実施例に係る高圧タンク11によれば、第1の実施例に係る高圧タンク10により得られる効果に加えて次の効果を得ることができる。 高圧タンク11の金属製ライナ40の胴部41は複数の胴部構成材42形成されるが、軸方向に予圧が掛けられた状態にて製造されるため、各胴部構成材42における気密性を向上させることができる。 また、胴部構成材42と端部構成材43とは、接触シールとされているが、予圧および内容物充填後の内圧によって、両者42、43のシール性が向上され気密を維持することができる。

    さらに、金属製ライナ40には、軸方向に予圧が掛けられているため、金属製ライナ40の疲労限界を高めることができる。

    第2の実施例はまた、図13に示す態様によっても実施され得る。 図13は第2の実施例に係る高圧タンクの第6の変形例を示す説明図である。 第6の変形例では、高圧タンク11は、断面U字状の胴部構成材42aが接触および接着ではなく、溶接部47として示されているように溶接によって接合されている。 第2の実施例に係る高圧タンク11は、予圧を掛けた状態にて強化繊維31が巻き付けられて製造されると共に、胴部構成材42aが弾性変形をもたらすので、高圧タンク11が膨張・収縮する場合においても、溶接部47への応力集中を回避することができる。 したがって、胴部構成材42aを溶接によって接合した場合であっても金属製ライナ40の寿命限界を向上させることができる。 なお、溶接は周方向全域に亘って施されていても良く、あるいは、部分的に施されていても良い。

    第2の実施例において、金属製ライナ40に対する予圧は、軸方向のみならず、周方向、または軸方向および周方向にかけられても良い。 また、予圧を掛ける手段としては、機械的な加圧、流体を用いた内部の減圧または外部からの加圧のいずれを用いても良い。

    第3の実施例:
    図14を参照して第3の実施例に係る高圧タンクついて説明する。 図14は第3の実施例に係る高圧タンクの内部を詳細に示す詳細図である。 第3の実施例に係る高圧タンク12の金属製ライナ50は、伸縮許容部として機能する螺旋状の溝を有する一体に形成され胴部51を構成する胴部構成材52と、胴部構成材52に対して螺合される端部構成材53とによって形成される。 なお、第3の実施例に係る高圧タンク12の他の構成要素については、第1の実施例に係る高圧タンク10の構成要素と同様であるから、同一の符号を付して説明を省略する。

    第3の実施例に係る高圧タンク12によれば、胴部構成材52に対して端部構成材53が螺合させることによって金属製ライナ50を形成することができるので、金属製ライナ50を容易に形成することができる。 また、胴部構成材52は、伸縮許容部として機能する溝を有し、波状の縦断面を備えるので、第3の実施例に係る高圧タンク12は、第1の実施例に係る高圧タンクと同様の作用効果を得ることができる。

    第4の実施例:
    図15〜図20を参照して第4の実施例に係る高圧タンクついて説明する。 図15は第4の実施例に係る高圧タンクの内部構成を示す説明図である。 図16は図15に示す高圧タンクにおける円板と胴部構成材との接合手法を示す詳細図である。 図17は図15に示す高圧タンクにおける円板と胴部構成材との他の接合手法を示す詳細図である。 図18は第4の実施例に係る高圧タンクの第1の変形例を示す説明図である。 図19は第4の実施例に係る高圧タンクにおける円板と胴部構成材との他の接合手法を示す詳細図である。 図20は第4の実施例に係る高圧タンクの第2の変形例を示す説明図である。

    第4の実施例に係る高圧タンク13では、第2の実施例に係る高圧タンク11と同様に、金属製ライナ60の胴部61が伸縮許容部として機能する複数の胴部構成材62によって形成され、金属製ライナ60の両端が胴部構成材62とは別体の端部構成材63によって形成されている。 また、各胴部構成材62の間には円板64が介在されている。 なお、第4の実施例に係る高圧タンク13の他の構成要素については、第1の実施例に係る高圧タンク10または第2の実施例に係る高圧タンク11の構成要素と同様であるから、同一の符号を付して説明を省略する。

    第4の実施例における胴部構成材62は、例えば、図15に示すように、U字状の断面を有するリング状の部材であり、高圧タンク13の軸方向に加えられた応力によって開放端が近接・離間する弾性変形を示す。 胴部構成材62は、各胴部構成材62の間に円板64を挟んだ状態にて高圧タンク13の軸方向に複数配列されることによって胴部61を構成する。

    円板64は、銅またはアルミニウムといった金属またはFRPからなり、図15に示すように、内容物である気体の移動を許容する複数の孔641を有している。 円板64を備えることによって、高圧タンク13の径方向の変形を抑制することができる。 本実施例において、胴部構成材62は、ステンレス鋼、アルミニウム等から形成され得るが、一般的に、ステンレス鋼は強度が高いものの接合が困難である。 そこで、胴部構成材62としてステンレス鋼を用いる場合には、円板64との接合性能を向上させるために、銅またはアルミニウムによって被覆されたクラッド材を用いても良い。

    さらに、一般的に、複合材製シェル30は気体を透過しやすいので、円板64の表面には、内容物である気体の透過を防止するためのコーティングが施されていても良い。 コーティングに用いられるコーティング材としては、フッ素樹脂等の樹脂類、アルミ、金、銅等の金属類が用いられる。

    各胴部構成材62と円板64とは、図16に示すように互いに接合されており、胴部61の両端に位置する胴部構成材62と端部構成材63とは、接触シールとされている。 あるいは、円板64が胴部61の両端に位置する場合には、円板64と端部構成部材63とは接合される。 さらに、図17に示すように円周部近傍において周縁部に向かって厚みがます形状の円板642が用いられる場合には、胴部構成材62と円板642とは接触シールされても良い。 かかる場合には、高圧タンク13の内圧によって胴部構成材62と円板642との接圧が高まるため、接触シールによって充分なシール特性を得ることができる。 また、高圧タンク13を製造する際に、金属製ライナ60に予圧を掛けた場合には、高圧タンク13の内圧に加えて予圧によっても接圧が高められる。

    第4の実施例に係る高圧タンク13は、図18に示すように水素吸蔵合金MHを内蔵し、中心部に大きな開口部651を有する円板65を備えていても良い。 円板65の開口部651には、均一に分散された水素吸蔵合金MHを各円板65毎に分離するためのフィルター66が備えられている。 円板65を備えることによって、水素吸蔵時、すなわち、水素充填時に水素吸蔵合金MHにおいて発生した熱が複合材製シェル30に伝わる速度を向上させることができる。 高圧タンク13の容器内温度が上昇すると、貯蔵可能な充填量が低下することが知られているが、本変形例によれば、高圧タンク13の容器温度を低下させることが可能となり、高圧タンク13に対する水素の充填量を増大させることができる。

    第4の実施例に係る高圧タンク13における胴部構成材62と円板64との他の接合手法について図19を参照して説明する。 図19に示す接合手法では、胴部構成材62に円板64の端部を受ける円板装着部621を形成し、かかる円板接合部621において胴部構成材62と円板64とが接合、接着、嵌め合わされる。

    さらに、図20を参照して、第4の実施例に係る高圧タンクの第2の変形例について説明図する。 第2の変形例では、円板67に備えられた大きな開口部671に対して、開口部671への応力集中を防止するために、補強材672が被覆またが接合されている。 補強材672を備えることによって、開口部671の強度が向上され、開口部671に対する応力の集中を防止することができる。

    以上説明したように、第4の実施例に係る高圧タンク13によれば、金属製ライナ60の内部に円板64、65、67が備えられているので、高圧タンク13の膨張に伴う金属製ライナ60(高圧タンク13)の径方向への変形を防止することができる。 また、胴部構成材62は、U字状の断面を備えるので、第4の実施例に係る高圧タンク13は、第1の実施例に係る高圧タンク10と同様の作用効果を得ることができる。

    第5の実施例:
    図21を参照して第5の実施例に係る高圧タンクついて説明する。 図21は第5の実施例に係る高圧タンクの内部を詳細に示す詳細図である。

    第5の実施例に係る高圧タンク14において、金属製ライナ70は、胴部71を構成する胴部構成材72と、胴部構成材72を両端部にて支持する端部構成材73、胴部構成材72によって保持される円板74を備えている。 なお、複合材製シェル30、接続バルブ25等については、第1の実施例に係る高圧タンク10と同様であるから、同一の符号を付してその説明を省略する。

    第5の実施例に係る高圧タンク14では、図21に示すように、胴部構成材72は、円板74の周縁部を包み込むことによって円板74を保持している。 胴部構成材72と円板74との係合を確実なものとするため、円板74の周縁部741は厚みを持った形状とされていることが好ましい。 また、胴部構成材72は、高圧タンク14の内圧を受けて円板74の周縁部741を挟み付けるので、胴部構成材72と円板74との間の気密保持は、確実であること、すなわち、高圧タンク14の内圧と胴部構成材72と円板74とによって区画形成される空間圧力との間に充分な圧力差が存在することが要求される。

    第6の実施例:
    図22〜図24を参照して第6の実施例に係る高圧タンクついて説明する。 図22は第6の実施例に係る高圧タンクの内部構成を示す説明図である。 図23は第6の実施例に係る高圧タンクの横断面の一部を示す端面図である。 図24は第6の実施例に係る高圧タンクの他の横断面の一部を示す端面図である。 なお、図23および図24では、説明を容易にするため必要な構成要素のみが記載されている。

    第6の実施例に係る高圧タンク15では、金属製ライナ80の胴部81が直線状の複数の胴部構成材82によって形成され、金属製ライナ80の両端が胴部構成材82とは別体の端部構成材83によって形成されている。 第2の実施例に係る高圧タンク11では、複合材製シェル30の軸方向の伸縮に応じて金属製ライナ40を軸方向に伸縮させるために複数のリング状の胴部構成材41が用いられたのに対して、第6の実施例に係る高圧タンク15では、複合材製シェル30に生じる径方向(円周方向)の伸縮に応じて金属製ライナ80を径方向に伸縮させるために複数の直線状の胴部構成材81が用いられる。 なお、複合材製シェル30、接続バルブ25等については、第1の実施例に係る高圧タンク10と同様であるから、同一の符号を付してその説明を省略する。 また、高圧タンク15の外観については第1の実施例に係る高圧タンク10の外観と同一であるから図2を参照することで、図示を省略する。

    第5の実施例における金属製ライナ80の胴部81は、上述のように複数の胴部構成材82から構成されている。 胴部構成材82は、例えば、図23の横断面図に示すように、U字状の断面を有する直線形状の部材であり、高圧タンク15の径方向に加えられた応力によって開放端821が近接・離間する弾性変形を示す。 胴部構成材82は、高圧タンク15の径方向(周方向)に複数配列されることによって胴部81を構成する。 各胴部構成材82は、単に密接(接触シール)されているだけでも良く、あるいは、互いに接着剤によって接着されていても、溶接等で接合されていても良い。

    第6の実施例における金属製ライナ80を構成する端部構成材83は、第1の実施例における金属製ライナ20の口金部22に相当する第1の開口部831と、第1の開口部831よりも大きな開口面積を有し、第1の実施例における金属製ライナ20のキャップ部23に相当する第2の開口部832とを備えている。 端部構成材83は、第2の開口部832の周縁部833によって、配列されている複数の胴部構成材82の両端部を支持する。

    第6の実施例に係る高圧タンク15は、図24に示す第1の変形例に従って実現されても良い。 第1の変形例における胴部構成材84は、波板状断面を有する。 胴部構成材84は、例えば、1枚の板を波板状に加工することによって得られる。 かかる場合には、波板状部分が伸縮することによって、複合材製シェル30の径方向の伸縮に応じた金属製ライナ80の径方向の伸縮が実現される。

    胴部構成材82は、さらに、この他にも円状断面、C字状断面、Ω状断面を有していても良い。

    以上説明したように、第6の実施例に係る高圧タンク15によれば、胴部構成材82によって伸縮許容部が金属製ライナ80の径方向全域(全周)にわたり形成されているので、内容物、例えば、気体の充填・放出に伴い高圧タンク15が膨張・収縮する場合であっても、胴部81(金属製ライナ80)と複合材製シェル30との間に発生する径方向の滑りを防止することができる。 すなわち、胴部81は、伸縮許容部として機能する断面U字状の直線形状の胴部構成材82によって形成されているので、より小さな応力に対応して周方向に弾性変化することができる。 この結果、金属製ライナ80は、高圧タンク15の膨張・収縮に伴い周方向に均一に伸縮する複合材製シェル30と同様にして周方向に均一に伸縮することが可能となり、胴部81と複合材製シェル30との間に発生する滑りを防止することができる。

    胴部81(金属製ライナ80)と複合材製シェル30との間に発生する滑りを防止することによって、両者81、30との間における摩擦の発生を防止することが可能となり、摩擦に伴う胴部81および複合材製シェル30の摩耗を防止することができる。 この結果、高圧タンク15の寿命を向上させることができる。

    第7の実施例:
    図25および図26を参照して第7の実施例に係る高圧タンクついて説明する。 図25は第7の実施例に係る高圧タンクの内部構成を示す説明図である。 図26は第7の実施例に係る高圧タンクの横断面の一部を示す端面図である。 なお、図26では、説明を容易にするため必要な構成要素のみが記載されている。

    第7の実施例に係る高圧タンク16では、金属製ライナ90の胴部91が凹凸部を交互に有する直線状またはリング状の複数の胴部構成材92によって形成され、金属製ライナ90の両端が胴部構成材92とは別体の端部構成材93によって形成されている。 既述の実施例では、複合材製シェル30の軸方向および径方向のいずれか一方の伸縮に応じて金属製ライナを軸方向および径方向のいずれか一方に伸縮させるための実施例が説明されたきたが、第7の実施例に係る高圧タンク16では、複合材製シェル30に生じる軸方向および径方向(円周方向)の伸縮に応じて金属製ライナ90を軸方向および径方向に伸縮させる。 なお、複合材製シェル30、接続バルブ25等については、第1の実施例に係る高圧タンク10と同様であるから、同一の符号を付してその説明を省略する。 また、高圧タンク15の外観については第1の実施例に係る高圧タンク10の外観と同一であるから図2を参照することで、図示を省略する。

    第7の実施例に係る高圧タンク16では、金属製ライナ90は、複数の凹部92aおよび凸部92bを交互に有する胴部91を備える。 胴部91は、例えば、板状の部材に対して凹部92aおよび凸部92bをプレス成形することによって形成される。 あるいは、胴部91が複数のリング状の胴部構成材によって形成されている場合には、複数の胴部構成材を軸方向に配列し、密接させて、予圧を掛けた状態にて強化繊維を巻き付け固定することによって形成される。

    胴部91は、図25および図26に示すように、横断面および縦断面の双方において、波板状の断面を示す。 したがって、第7の実施例における金属製ライナ90は、軸方向の全長および径方向の全周にわたって、複数の凹部92aおよび凸部92bによって形成される伸縮許容部を備えている。 なお、胴部91は、この他にもU字・C字断面を有するリング状の部材を波板状化した胴部構成材、またはU字・C字断面を有する直線状の部材を波板状化した胴部構成材を配列させることによって形成されても良く、帯状材を軸方向および径方向にそれぞれ組み合わせて立体形状とすることによって形成されても良い。 いずれにしても、軸方向および径方向の双方において、大きな弾性変化を許容することができればよい。

    以上説明したように、第7の実施例に係る高圧タンク16によれば、複数の凹部92aおよび凸部92bによって形成される伸縮許容部が金属製ライナ90の軸方向全長および径方向全周にわたり形成されているので、胴部91(金属製ライナ90)と複合材製シェル30との間に発生する軸方向および径方向双方の滑りを防止することができる。 すなわち、胴部91は、伸縮許容部として機能する凹部92aおよび凸部92bを交互に有する板状の部材、またはリング状の複数の胴部構成材によって形成されているので、より小さな応力に対応して軸方向および径方向に弾性変化することができる。 この結果、金属製ライナ90は、高圧タンク16の膨張・収縮に伴い軸方向および径方向に均一に伸縮する複合材製シェル30と同様にして軸方向および径方向に均一に伸縮することが可能となり、胴部91と複合材製シェル30との間に発生する軸方向および径方向の滑りを防止することができる。

    ・その他の実施例:
    (1)上記各実施例では、接続バルブ25を両端部に備えた高圧タンク10、11を用いて説明したが、接続バルブ25は一端のみに備えられていても良い。

    (2)上記各実施例において、金属製ライナの外周に強化繊維を巻き付ける前に、金属製ライナの外周にフィルム、テープを巻き付けても良い。 また、樹脂成形品によって金属製ライナ(胴部)の外周に形成されている凹部(伸縮許容部)を埋めても良い。 樹脂を用いて強化繊維を固定する際には、金属製ライナ(胴部)の外周に形成されている凹部(伸縮許容部)に樹脂が抜け落ちてしまう可能性がある。 樹脂の抜け落ちは、複合材製シェルに樹脂不足部(成型不良部)の発生をもたらしてしまう。

    これに対して、予めフィルム、テープ、樹脂成形品等を用いて金属製ライナ(胴部)の外周に形成されている凹部(伸縮許容部)を覆い、あるいは塞げば、複合材製シェルにおける樹脂不足部(成型不良部)の発生を防止することができる。 樹脂成形品を用いる場合には、凹部が埋められるため、金属製ライナと複合材製シェルとの接触面積が拡大され、高圧タンクの内圧は広く複合材製シェル内面に伝達される。

    フィルム、テープ、樹脂の材質としては、例えば、ポリエチレン、ナイロン6、エポキシ樹脂、強化繊維プラスチック(FRP)等が用いられ得る。 樹脂成形品は、既製の樹脂成形品を加工して用いても良く、樹脂材料を金属製ライナ(胴部)の外周に形成されている凹部(伸縮許容部)に流し込み、凹部に適した形状に成形することによって得られても良い。

    以上、いくつかの実施例に基づき本発明に係る高圧容器および高圧容器の製造方法について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。 本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。

    第1の実施例に係る高圧タンクの内部を説明するために一部を断面にて示す説明図である。

    第1の実施例に係る高圧タンクの外観を示す説明図である。

    第1の実施例に係る高圧タンクの第1の変形例を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの内部を詳細に示す詳細図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの第1の変形例を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの第2の変形例を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの第3の変形例を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの第4の変形例を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの第5の変形例を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの製造工程を示すフローチャートである。

    第2の実施例に係る高圧タンクの製造工程を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの製造工程を示す説明図である。

    第2の実施例に係る高圧タンクの第6の変形例を示す説明図である。

    第3の実施例に係る高圧タンクの内部を詳細に示す詳細図である。

    第4の実施例に係る高圧タンクの内部構成を示す説明図である。

    図15に示す高圧タンクにおける円板と胴部構成材との接合手法を示す詳細図である。

    図15に示す高圧タンクにおける円板と胴部構成材との他の接合手法を示す詳細図である。

    第4の実施例に係る高圧タンクの第1の変形例を示す説明図である。

    第4の実施例に係る高圧タンクにおける円板と胴部構成材との他の接合手法を示す詳細図である。

    第4の実施例に係る高圧タンクの第2の変形例を示す説明図である。

    第5の実施例に係る高圧タンクの内部を詳細に示す詳細図である。

    第6の実施例に係る高圧タンクの内部構成を示す説明図である。

    第6の実施例に係る高圧タンクの横断面の一部を示す端面図である。

    第6の実施例に係る高圧タンクの他の横断面の一部を示す端面図である。

    第7の実施例に係る高圧タンクの内部構成を示す説明図である。

    第7の実施例に係る高圧タンクの横断面の一部を示す端面図である。

    符号の説明

    10、11、12、13、14、15、16…高圧タンク 20、40、50、60、70、80、90…金属製ライナ 30…複合材製シェル 31…強化繊維 21、41、51、61、71、81、91…胴部 211…伸縮許容部 22…口金部 23…キャップ部 24…Oリング 25…接続バルブ 42、52、62、72、82、92…胴部構成材 43、53、63、73、83、93…端部構成材 64、65、67、74…円板

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