歯科補綴物の統合陶材システム

申请号 JP2013184354 申请日 2013-09-05 公开(公告)号 JP5905862B2 公开(公告)日 2016-04-20
申请人 デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド; 发明人 チュー,クリストファー; バナシアク,スラヴォミール; シュテッセル−メンツァー,ヴィクトリヤ;
摘要
权利要求

歯科補綴物の製造方法であって、 (a)金属下部構造を設ける工程; (b)前記金属下部構造を覆うオペーク組成物を塗布する工程であって、前記オペーク組成物は以下の成分: を含む、工程、及び 860℃〜900℃の範囲の温度まで焼成して、オペーク化された金属下部構造を形成する工程; (c)前記オペーク化された金属下部構造を覆うインゴット陶材組成物を塗布する工程であって、前記インゴット陶材組成物は以下の成分: を含む、工程、及び 870℃〜910℃の範囲の温度でプレスしてオペーク化された下部構造を覆う象牙質体層を形成する工程であって、前記象牙質体層は前記オペーク化された下部構造と熱的に適合性を有する、工程; (d)以下の成分: を含む被覆陶材組成物を塗布する工程、及び 810℃〜860℃の範囲の温度で焼成して、前記オペーク化された金属下部構造を覆う象牙質エナメル層を形成する工程であって、前記象牙質エナメル層は前記オペーク化された金属下部構造と熱的に適合性を有する、工程; を有する、方法。前記オペーク組成物が、焼成される前は粉末状又はペースト状である、請求項1に記載の方法。前記オペーク組成物が、噴霧、スラリーディップ又は電着によって前記金属下部構造に塗布される、請求項1に記載の方法。(e)シェードステイン組成物及び/又はグレーズ組成物を塗布する工程であって、前記シェードステイン組成物及びグレーズ組成物はそれぞれ、以下の成分: を含む、工程、及び 780℃〜840℃の範囲の温度で焼成して、前記象牙質体層を覆うシェードステイン及び/又はグレーズ層を形成する工程であって、前記シェードステイン及び/又はグレーズ層は、前記象牙質体層と熱的に適合性を有するとともに、熱的に安定性を有する、工程; をさらに有する、請求項1に記載の方法。前記象牙質エナメル層は、ホットプレス技法又は手による築盛技法によって塗布される、請求項1に記載の方法。以下の成分: を含むグレーズ組成物を塗布する工程、及び 780℃〜840℃の範囲の温度まで焼成して、焼成された前記象牙質体層を覆うグレーズ上部層を形成する工程であって、前記グレーズ上部層は前記象牙質エナメル層と熱的に適合性を有する、工程; をさらに有する、請求項4に記載の方法。後に塗布される象牙質エナメル層は、手による築盛技法によって塗布される、請求項5に記載の方法。

说明书全文

本発明は包括的には、インレー、アンレー、ベニア、クラウン及びブリッジ等の歯科補綴物並びに修復物を作製するための材料に関する。詳細には、この材料は、様々な技法を使用して補綴物又は修復物を製造するために交換可能に使用することができるユニバーサル(universal)オペーク、ユニバーサル加圧成形インゴット、及びユニバーサル被覆(veneering)陶材を含む。この技法は、金属焼付陶材(PFM)、プレスタイプのメタルセラミックス(press-to-metal)(PTM)及びプレス又はコンピュータ支援製造(CAM)によって機械加工したオールセラミック技法を含む。

歯科技術分野において、歯科補綴物及び修復物を作製するための種々の方法が既知である。本明細書において使用する場合、「補綴物」又は「修復物」という用語は、インプラントステント、咬合採得材(bite registrations)、クラウン及びブリッジ、充填物、ベースプレート、スプリント、義歯裏装材、カスタムトレー、人工歯、自然歯用修復材、ベニア、義歯修復材、義歯リライン、リテーナ、歯列矯正部品、仮の歯科装置、インレー、アンレー、歯列矯正器具、仮義歯、仮部分義歯、顎顔面補綴物、栓塞子及び義眼(occular prostheses)等を含むが、これらに限定されない、失われた歯構造、歯、若しくは口腔組織の代わりとなるか又はこれらを修復する任意の製品を意味する。

従来の歯科補綴物は、付加的な機械的強度及び耐久性を補綴物に与えるメタルコーピング又は下部構造(substructure)を含み得る。実際には、メタルコーピングは、自然歯の色及び形状を模倣する、ガラス又はセラミックを主成分とする材料によって覆われる。メタルコーピングは、ガラス又はセラミックを主成分とする被覆層を支持し、構造強度及び強靭性の改善を修復物に与える。

歯科補綴物を作製する従来からの方法は、「金属焼付陶材」(PFM)として知られている。通常、PFM修復物を作製するプロセスには、3層の陶材を金属骨格へ適用することを伴う。最初に、粉末状又はペースト状であるオペーク陶材組成物を金属骨格を覆うように塗布し、金属を隠すオペーク層を形成する。次いで、象牙質陶材粉末を使用して象牙質体層を築盛し、次に、エナメル陶材粉末を使用して自然歯の切縁部を擬態する第3の層を築盛する。従来、PFM修復物では、含陶材組成物の層化は手で行う。陶材組成物は、高温で焼成され、自然歯の外観を有する、硬質で耐久性のある象牙質層及び切縁層を形成する。オペーシャス象牙質、象牙質調整剤及びステイン陶材、マージン用陶材、最終マージン用陶材等の他の陶材材料を添加し、最終歯科修復物の審美性を高めることができる。PFM修復物は、光沢のある表面に仕上げるためにグレーズ陶材の薄層を塗布することによって仕上げることができる。

PFM修復物に伴う1つの欠点は、暗色のマージンが歯肉線において露出する可能性があり、修復物が最も魅的な審美性を有しない可能性があることである。審美性を改善するために、「オールセラミック」システムが開発されている。これらのオールセラミックシステムは、金属骨格の代わりにセラミックコアを使用する。セラミックコアは少なくとも1つの陶材層でコーティングされる。1つの技法では、コアを有するオールセラミック補綴物は、ホットプレス技法を使用して製造される(例えば、Empress(登録商標)補綴システム(Ivoclar Vivadent AG, Liechtenstein)が開発された)。オールセラミックコアを製造する代替的な方法は、Cerec(登録商標)システム(Sirona Dental Systems GmbH, Germany)に記載されているように、コンピュータ支援製造(CAM)方法を使用してセラミックブロックを直接機械加工することである。オールセラミック補綴物は、PFM修復物に勝る審美性の改善を提供することができるが、より脆弱な傾向にある。従来、オールセラミック補綴物は、前歯から小臼歯の用途に概ね限定されている。しかし近年では、コアとしての高強度アルミナ及びジルコニアの使用によって、オールセラミック修復物を臼歯及びブリッジの用途において使用することが可能となった。

過去数年にわたって普及している別の方法が、「プレスタイプのメタルセラミックス」(PTM)プロセスとして知られている。PTMプロセスは、メタルコーピング又は下部構造をモールドに配置することを伴う。次いで、コーピングを、粉末状又はペースト状であり得るオペーク陶材組成物でコーティングする。続いて、オペークコーティングをワックスアップ及びスプルーイングし、補綴物形状を形成する。次いで、この形状をセラミック埋没材料中に埋没させ、ワックスを焼却除去する。これにより補綴物のモールドが形成される。インゴット陶材材料を、モールドに収容されているコーピング上へ溶融温度でホットプレスすることによって、陶材層をオペーク表面に融着させる。ホットプレスされた陶材は焼却除去によって生じたキャビティへ流れ込み、象牙質層を形成する。次いで、補綴物から成形材料を除去して(divested)仕上げを行う。その結果、陶材で被覆した(veneered)金属下部構造を有する強固で頑丈な歯科補綴物となる。この補綴物は概して、自然な歯の状態の外観に合う一体化された透明度を有する良好な審美性を有する。

PFM修復物、PTM修復物及びオールセラミック修復物を作製する従来の方法が特許文献に記載されている。例えば、特許文献1は、自然歯の蛍光に合う蛍光を有する陶材歯科修復物を作製することを開示している。この修復物は、金属支持基材、本体層及び切縁層を含む。オペーク陶材の水性スラリーを金属基材に塗布して焼成する。本体層及び切縁層は、蛍光顔料を含有する陶材粉末混合物から形成される。この粉末混合物は、ベース陶材、着色陶材及び蛍光剤を含み、修復物を築盛するために手で塗布される。

特許文献2は、金属及びセラミックの義歯を作製する方法を記載している。セラミック粉末を、水性スラリーとして金属骨格へ塗布して高温で焼成し、補綴物を製造する。特許文献2は、焼成及び冷却中にライニング層中に亀裂が生じないように、セラミック体の焼成温度(加工温度)が、金属骨格中の材料の固相線温度より下で、少なくとも100℃であり、また、セラミック体の熱膨張係数が、金属材料の熱膨張係数よりもほんのわずかにしか低くないことが重要であると指摘している。

特許文献3は、オールセラミック修復物及び金属焼付陶材(PFM)修復物の両方を作製するためのオペーク陶材材料に関するものである。オペーク陶材は、陶材が塗布される金属の熱膨張係数(CTE)と実質的に等しいか又はこれよりもわずかに高いCTEを示す。陶材材料は、2つのフリット組成物の混合物から製造される。陶材材料は、48%〜65%のSiO2、10%〜15%のAl2O3、0.5%〜2%のCaO、1.5%〜3%のLi2O、15%〜17%のK2O、4%〜約6%のNa2O、及び0.4%〜1%のFという組成を有する。

特許文献4は、オペークコーティングでコーティングされるメタルコーピングを有する歯科補綴物を開示している。歯と同様の一体化された透光性を有する単一の陶材層が、オペークコーティングを覆うようにコーティングされる。陶材層は、焼結されてインゴット形状になる象牙質フリット及びエナメルフリットから形成される。象牙質フリットの重量パーセントは70%〜85%の範囲であり、エナメルフリットの重量パーセントは15%〜30%の範囲である。結果として生じる修復物は、一体化された透明度を有する陶材で被覆した強固な下部構造である。

今日の市場で利用可能な従来のPFMシステム、PTMシステム及びオールセラミックシステムに関連する1つの大きな問題は、各システムの構成要素がそれら自身の用途に合わせて調整されていることである。材料は、構成要素及び/又は金属下部構造間で熱的適合性がないため、これらのシステムにわたって交換可能に使用することができない。したがって、様々な種類の修復物を作製するには、種々の構成要素を有するシステムを別々に購入する必要がある。これは、在庫が過剰になるという問題と、歯科技工室において複数の構成要素の混合使用による混乱を引き起こす可能性がある。

米国特許第4,741,699号

米国特許第5,281,563号

米国特許第6,428,614号

米国特許出願公開第2007/0196788号

本発明の目的は、金属焼付陶材(PFM)修復物、プレスタイプのメタルセラミックス(PTM)修復物、及びプレスするか又はコンピュータ支援製造(CAM)によって機械加工したオールセラミック修復物との間で交換可能に使用することができる構成要素を有する統合陶材システムを提供することである。本発明の別の目的は、PFM補綴物及びPTM補綴物を作製するのに使用することができるユニバーサルオペーク陶材組成物を提供することである。本発明のさらに別の目的は、PTM補綴物のオペーク化された金属骨格及びオールセラミックコアを覆う象牙質体層を作製するのに使用することができるユニバーサル加圧成形インゴットを提供することである。本発明のさらに別の目的は、象牙質エナメル層及びエナメル層を作製するのに使用することができるユニバーサル被覆陶材組成物を提供することである。本発明のこれら及び他の目的、特徴並びに利点は、以下の説明及び図示の実施形態から明らかである。

本発明は、歯科補綴物及び修復物を作製するための統合歯科陶材システムを提供する。本システムは、金属焼付陶材(PFM)修復物と、プレスタイプのメタルセラミックス(PTM)修復物と、プレスしたオールセラミック修復物及び/又は機械加工したオールセラミック修復物とを作製するために交換可能に使用することができる、3つの主なユニバーサル構成要素、すなわち、a)オペーク陶材組成物、b)加圧成形象牙質インゴット、及びc)被覆陶材組成物を含む。本システムは、患者用の補綴物又は修復物を製造するために、被覆陶材を手で層化すること(PFM)と、ホットプレスプロセス(PTM及びオールセラミック)との両方を用いる。

本発明の特徴である新規の特徴は添付の特許請求の範囲に記載される。しかし、本発明の好ましい実施形態は、さらなる目的及び付随する利点と共に、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。

本発明による構成要素によって製造される、ダイ模型に載っているPFMクラウンの概略的な断面図である。

本発明による構成要素によって製造される、ダイ模型に載っているフルカントゥア(full-contour)PTMクラウンの概略的な断面図である。

本発明による構成要素によって製造される、ダイ模型に載っている切縁カットバック(cutback)PTMクラウンの概略的な断面図である。

本発明による構成要素によって製造される、ダイ模型に載っているフルカントゥアの、プレスしたオールセラミッククラウンの概略的な断面図である。

本発明による構成要素によって製造される、ダイ模型に載っている切縁カットバックの、プレスしたオールセラミッククラウンの概略的な断面図である。

本発明による構成要素によって製造される、ダイ模型に載っているフルカントゥアの、CAM機械加工したオールセラミッククラウンの概略的な断面図である。

本発明による構成要素によって製造される、ダイ模型に載っている切縁築盛する、CAM機械加工したオールセラミッククラウンの概略的な断面図である。

本発明は、歯科補綴物を作製するための材料、方法及びキットに関する。キットの構成要素として供給することができる本発明の材料は、仕上げられた表面を施すために被覆陶材を手で層化すること(PFM)又はプレスプロセス(PTM)のいずれかを用いて、陶材/金属修復物、またオールセラミック修復物を提供するために使用することができる。

本発明による歯科補綴物を作製する材料は主に、(1)陶材被覆を通して見えかねない金属骨格の表面を隠すための、粉末状又はペースト状であるユニバーサルオペーク化陶材(これはPFM修復物及びPTM修復物の両方を作製するために使用される)、(2)PTM修復物を作製するためにオペーク化された金属骨格を覆うように象牙質体をプレスするか、又は独立型オールセラミックコアをプレスするためのユニバーサル加圧成形インゴット、並びに(3)PFM修復物、PTM修復物及び/又はオールセラミック(プレス又は機械加工される)修復物のいずれかを作製する際に切縁層を築盛するユニバーサル象牙質/エナメル陶材を含む。これらの材料は、歯科補綴物を作製するためにキットに入れて歯科技工室へ提供することができる。

加えて、キットは、フルカントゥアPTM修復物及び/又はオールセラミック修復物のいずれかをシェーディングして仕上げるために、グレーズ陶材と組み合わせてシェードステイン陶材を含むことができる。塗布されたシェードステイン陶材組成物及びグレーズ陶材組成物は、単一の工程で焼成される。また、同じグレーズ陶材を使用して、本発明によるPFM修復物、切縁カットバックPTM修復物、及びオールセラミック修復物を仕上げることができる。さらに、キットは、必要に応じて、補綴物を仕上げるためのオペーシャス象牙質、象牙質調整剤、矯正(correction)陶材、マージン陶材及び最終マージン陶材等の他の陶材材料を含んでもよい。キットの様々な構成要素を以下でさらに詳しく説明する。

ユニバーサルオペーク陶材 ユニバーサルオペーク陶材組成物は、補綴物の金属下部構造をコーティングするために使用される。オペークコーティングは、金属下部構造を隠し、下部構造の暗色の表面及び縁が見えることを防止する。このコーティング工程によって、「オペーク化された」金属下部構造が生じる。オペーク陶材は、粉末状又はペースト状で金属下部構造を覆うように塗布することができる。オペーク陶材は、噴霧、スラリーディップ、電着、又は当業者に既知の他の方法によって塗布することができる。次いで、組成物を焼成し、硬質で耐久性のあるコーティングを形成する。オペーク陶材の焼成温度は、好ましくは800℃〜1000℃、より好ましくは830℃〜930℃、最も好ましくは860℃〜900℃である。

この焼成工程の結果として形成されるオペークコーティングは、後に塗布される陶材被覆層との熱的適合性及び熱的安定性を有する。オペークコーティングに関して、「熱的適合性」又は「熱的に適合性を有する」という用語は、コーティングを、800℃〜1000℃の温度で焼成した後に光学顕微鏡(倍率10倍)下で試験すると、このコーティングに亀裂が実質的に見られず、また、陶材被覆層を、700℃〜1000℃の温度で焼成した後に光学顕微鏡(倍率10倍)下で試験すると、この層に亀裂が実質的に見られないことを意味する。本発明のオペークコーティングと陶材被覆層との熱的適合性は、材料の化学組成及び熱膨張係数(CTE)値が同程度であることを含むいくつかの理由によるものである。概して、オペークコーティングのCTEは、金属下部構造のCTEと実質的に等しいか又はこれよりもわずかに低く、被覆陶材のCTEと実質的に等しいか又はこれよりもわずかに高い。

オペークコーティングに関して「熱的安定性」又は「熱的に安定性を有する」という用語は、オペークコーティングが、後に塗布される陶材被覆層を700℃〜1000℃の温度で複数回焼成(すなわち少なくとも2回、最高5回の焼成)した後に、その形状及び形態を保持して、金属下部構造に付着したままであることを意味する。オペークコーティングの熱的安定性は、オペークコーティング及び陶材被覆層でコーティングされた修復物を光学顕微鏡(倍率10倍)下で試験することによって判断することができる。オペークコーティングが金属下部構造から剥がれるか又は離間してしまう場合、このオペークコーティングは陶材被覆層とは熱的に安定していないと考えられる。陶材被覆層は、以下でさらに記載するように、ホットプレスするか又は手で層化することによってオペークコーティングに塗布することができる。

好ましいオペーク陶材の組成を以下の表1に記載する。

オペーク陶材組成物を含む本発明の材料は、種々のメタルコーピング及び下部構造と共に使用することができる。概して貴金属合金、パラジウム系合金、コバルト系合金、ニッケル系合金、純チタン及び合金、金系金属セラミック合金、ニッケルクロム合金等の金属及び合金並びにそれらの混合物をコーピング及び下部構造として使用することができる。より詳細には、使用に好適な2つの市販されている合金は、共にDentsply Internationalが販売する卑金属の「DeguDent U」及び高貴金属(high-noble)の「UltraCrown SF」である。これらの合金を使用して、歯科技術分野の当業者に既知である従来の鋳造技法によって骨組を作製することができる。本発明の材料は、例えば500℃で約14.0ppm/℃の熱膨張係数(CTE)を有する従来のPFM用合金と共に使用するのが特に好適である。

ユニバーサル加圧成形インゴット ユニバーサル加圧成形インゴットは、プレスタイプのメタルセラミックス(PTM)補綴物のオペーク化された金属骨格又はホットプレス技法を使用する独立型オールセラミックコアを覆う象牙質体層を形成するのに使用される。2グラムサイズ又は5グラムサイズである適切な量の象牙質体インゴットを補綴物モールドへプレスする。象牙質体インゴットのシェードは、結果として生じる層が患者の歯の象牙質の自然な色と合うように選択される。プレス温度は、好ましくは700℃〜1000℃、より好ましくは840℃〜940℃、最も好ましくは870℃〜910℃である。典型的なプレス条件は以下の通りである:700℃(低温)、890℃(高温)、60℃/分(加熱速度)、20分(高温である時間)、10分〜30分(プレス時間)及び2.5バール〜4.25バール(プレス時間)。次いで、以下でさらに説明するように、後に被覆陶材を塗布するために補綴物から成形材料を除去する。

インゴットを870℃〜910℃の範囲の温度でプレスした後、プレスしたインゴット材料は、他の陶材層、すなわち、オペークコーティング及び後に塗布される被覆層及びステイン層と熱的に適合する象牙質体層を形成する。この象牙質体層はまた、被覆層及びステイン層が後に塗布されて焼成されるときに熱的に安定性を有する。

象牙質体層に関して、「熱的適合性」又は「熱的に適合性を有する」という用語は、象牙質体層を、870℃〜910℃の温度でプレスした後に光学顕微鏡(倍率10倍)下で試験すると、このプレスした層に亀裂が実質的に見られず、また、陶材被覆層を、810℃〜860℃の温度で焼成した後に光学顕微鏡(倍率10倍)下で試験すると、この層に亀裂が実質的に見られないことを意味する。

象牙質体層に関して、「熱的安定性」又は「熱的に安定性を有する」という用語は、象牙質体層が、後に塗布される陶材被覆層を810℃〜860℃の温度で複数回焼成(すなわち少なくとも2回、最高5回の焼成)した後に、その形状及び形態を保持して、オペーク化された金属下部構造に付着したままであることを意味する。

本発明に従って使用することができる好ましいインゴット陶材の組成を以下の表2に記載する。

ユニバーサル被覆陶材 ユニバーサル被覆陶材組成物は、オペーク化された金属下部構造又はオールセラミックコアを覆う被覆層を形成するのに使用される。被覆陶材組成物を歯科補綴物に塗布して、象牙質エナメル層(象牙質体層が予め形成されないPFM用途)又はエナメル層(象牙質体層が予め形成されるPTM及びオールセラミックの用途)を形成する。800℃〜850℃の範囲の温度まで組成物を焼成した後、コーティングは、患者の自然歯のシェード及び透光性に合うシェードを有する硬質で耐久性のある層を形成する。結果として生じる層は、オペーク化された金属下部構造及びオールセラミックコアと熱的に適合性を有すると共に熱的に安定性を有する。

被覆陶材象牙質エナメル層又はエナメル層に関して、「熱的適合性」又は「熱的に適合性を有する」という用語は、象牙質エナメル層又はエナメル層を810℃〜860℃の温度で焼成した後に、この焼成した層を10倍の倍率で光学顕微鏡下で試験すると、この層に亀裂が実質的に見られず、また、象牙質体層を、870℃〜910℃の温度でプレスした後に、10倍の倍率で光学顕微鏡下で試験すると、この層に亀裂が実質的に見られないことを意味する。

被覆陶材象牙質エナメル層又はエナメル層に関して、「熱的安定性」又は「熱的に安定性を有する」という用語は、象牙質エナメル層又はエナメル層が、後に塗布されるシェードステイン及びグレーズ上部層(overlayer)を780℃〜840℃の温度で焼成した後に、その形状及び形態を保持して、オペーク化された金属下部構造又は象牙質体層に付着したままであることを意味する。

好ましい被覆陶材の組成を以下の表3に記載する。

加えて、グレーズ陶材材料と組み合わせて一工程で焼成されるシェードステイン材料を、フルカントゥア技法によって作製されるPTM及び/又はオールセラミックのフルカントゥアクラウン及びブリッジを覆うように塗布し、修復物を完成することができる。シェードステイン陶材組成物は、修復物が隣接する歯のカラーシェードに合うように適したカラーシェードを有する修復物を提供する。一方で、グレーズ陶材は、硬質で滑らかな膜コーティングを有する修復物を提供する。シェードステイン材料及びグレーズ材料を塗布すると、完成した修復物は艶及び光沢のある外観を有する。シェードステイン及びグレーズは、別個の異なる材料であるが、通常は一緒に塗布され、本明細書では、上部層を形成するものとしてまとめて1つのものとして言及する。シェードステイン材料及び陶材材料は、塗布された後で単一の工程で焼成される。シェードステイン及びグレーズ上部層の焼成温度は、好ましくは750℃〜950℃、より好ましくは800℃〜900℃、最も好ましくは780℃〜840℃である。また、同じグレーズ陶材を、PFM、切縁カットバックPTM及び/又はオールセラミックコアを覆うように塗布し、これらの修復物を完成させてもよいことが認識される。PFM、切縁カットバックPTM及び/又はオールセラミックコアの場合、これらの製品は既にシェーディングされているため、シェードステイン陶材材料を塗布する必要はない。さらなるシェードステインをこれらの修復物に塗布する必要はない。シェードステイン陶材材料及びグレーズ陶材材料を作製するのに使用する構成要素を、以下の表4に概略的に列挙する。シェードステインの組成は、それぞれの組成物において使用される成分の様々な酸化物及び/又は重量パーセントを考慮するとグレーズ陶材の組成とは異なることを理解されたい。

ここで図面を参照して、本発明に従って作製される歯科補綴物を詳細に説明す。図1は、ダイ模型10に位置決めされて示されている、金属焼付陶材(PFM)プロセスによって作製されるクラウン8を示す。クラウンは、ユニバーサルオペーク化陶材層14、ユニバーサル象牙質被覆陶材層16、ユニバーサルエナメル被覆陶材層18、及び上部グレーズ陶材層20でコーティングされるメタルコーピング又は下部構造12を含む。

図2は、フルカントゥア技法を使用して作製される、ダイ模型10に載っているPTMクラウン8を示す。クラウン8は、ユニバーサルオペーク化陶材14と、象牙質体層を形成するユニバーサル加圧成形インゴット22と、シェードステイン/グレーズ陶材24とを有するメタルコーピング12を有する。

図3は、切縁カットバック技法を使用して作製される、ダイ模型10に載っているPTMクラウン8を示す。クラウン8は、ユニバーサルオペーク化陶材14と、象牙質体層を形成するユニバーサル加圧成形インゴット22と、ユニバーサルエナメル被覆陶材18と、上部グレーズ陶材20とを有するメタルコーピング12を有する。

図4は、フルカントゥア技法を使用して作製される、ダイ模型10に載っているオールセラミッククラウン8を示す。クラウン8は、象牙質体層を形成するユニバーサル加圧成形インゴット22を使用してプレスされるオールセラミックコーピングと、シェードステイン/グレーズ陶材24とを有する。

図5は、切縁カットバック技法を使用して作製される、ダイ模型10に載っているオールセラミッククラウン8を示す。クラウン8は、象牙質体層を形成するユニバーサル加圧成形インゴット22を使用してプレスされるオールセラミックコーピングと、エナメル層18を形成するユニバーサルエナメル被覆陶材と、上部グレーズ陶材20とを有する。

図6は、機械加工可能なブロックを使用して作製される、ダイ模型10に載っているオールセラミッククラウン8を示す。クラウン8は、機械加工可能なブロックを使用して機械加工されるオールセラミックフルカントゥアコーピング26と、シェードステイン/グレーズ陶材24とを有する。

図7は、機械加工可能なブロックを使用して作製される、ダイ模型10に載っているオールセラミッククラウン8を示す。クラウン8は、機械加工可能なブロックを使用して機械加工されるオールセラミックコーピング26と、エナメル層18を形成するユニバーサルエナメル被覆陶材と、上部グレーズ陶材20とを有する。

本発明に従って作製された完成した修復物を、その熱的特性をさらに評価するために「熱衝撃」テストに付すことができる。このテストでは、完成した修復物を、炉内で所与の温度まで加熱する。修復物を取り出した後、氷水(通常は0℃〜5℃の温度を有する)中で急冷する。次いで、修復物を光学顕微鏡(倍率10倍)下で試験し、修復物に一部でも亀裂が形成されているか判断する。例えば、修復物を炉内で80℃まで加熱し、取り出し、冷水中で急冷することができる。顕微鏡下試験で亀裂が見られない場合、修復物を炉内へ戻し、より高い温度まで加熱する。通常、温度は、10度(10℃)ずつ漸増させる。そのようにして、修復物を炉内で90℃まで加熱し、取り出し、冷水中で急冷する。亀裂に関して顕微鏡によって修復物を試験する。加熱及び急冷のこのシーケンスを、臨界急冷温度(亀裂が最初に出現する温度)が求められるまで繰り返す。好ましくは、本発明に従って作製される、1つのユニットから成るクラウン及び3つのユニットから成るブリッジは両方とも、約110℃の臨界急冷温度を有する。

物理的/機械的特性 本発明の統合歯科陶材システムの物理的/機械的特性を以下の表5に記載する。構成要素は、歯科陶材に関してはISO 6872(1995年9月1日)に記載されている方法、また金属セラミック歯科修復システムに関してはISO 9693(1999年)に記載されている方法に従って、様々な特性についてテストした。構成要素は、表5に示されるような全てのISO要件を満たしている。

本発明の統合歯科陶材システムは、PFM修復物、PTM修復物及びオールセラミック修復物を簡単な方法で作製するように設計されている。上述したように、本システムは、交換可能に使用することができる3つの主要なユニバーサル構成要素、すなわち、オペークコーティング、象牙質/エナメル陶材、及び加圧成形インゴットを含む。例えば、同じプレス温度及び同じインゴットを使用して、PTM修復物及び/又はオールセラミックコアを作製する場合には象牙質体をプレスすることができる。さらに、PFM修復物及び/又はPTM修復物を作製する場合には、同じ焼成温度及び同じオペークコーティングを使用して、金属下部構造に重ねることができる。また、同じ焼成温度及び同じ象牙質/エナメル陶材を使用して、PFM修復物を作製する場合にはオペーク化された金属下部構造を覆うように被覆することができるか、及び/又は、オールセラミック修復物を作製する場合にはプレス及び/又は機械加工したオールセラミックコアのいずれかを覆うように被覆することができる。

本発明を、その或る特定の実施形態に関してかなり詳細に説明したが、そのような実施形態に限定されるものとみなされるべきではなく、本発明の精神及び添付の特許請求の範囲から逸脱することなく他の方法で使用してもよいことを理解されたい。

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