【発明の詳細な説明】 【0001】 【技術分野】本発明は、歯牙や骨の連結固定に用いられて締結力を発揮する医療用連結固定具に関するものである。 【0002】 【背景技術】歯牙や骨の治療や矯正,接合などに際して、歯牙や骨を相互に連結固定することが必要となる場合があり、そのために、従来では、歯牙の連結固定用として各種の連結用ワイヤやブリッジ等が開発され、また、骨の連結固定用として金属板やセラミックス材を用いたボルト止めによる連結具等が開発されている。 【0003】ところが、連結用ワイヤは、充分な締結力や耐久性を得ることが難しく、また、ブリッジやボルト止め連結具は、装着に際しての作業が難しく面倒で時間がかかるという問題があった。 【0004】そこで、このような問題に鑑み、近年、歯牙の連結固定具の一種として、一定の温度に加熱することにより予め記憶させた元の形状に復元する特性を有する形状記憶合金を用いたものが提案されている。 かかる連結固定具は、図13に示されているように、全体として長手矩形板形状を有していると共に、長手方向両端部にそれぞれ所定長さで延びる切込溝2が設けられて、該切込溝2を挟んだ両側に一対の脚部4,4が形成されており、それら各一対の脚部4,4に対して、図中に仮想線で示されているように両側に広がった形状が記憶されている。 【0005】そして、かくの如き連結固定具は、被連結体間に跨がって予め形成した凹所内に挿入せしめた後、 加熱することによって、各一対の脚部4,4が開いて各被連結体に係止せしめられることとなり、以て、それら被連結体間に連結力を及ぼすようになっている。 【0006】ところが、かかる形状記憶合金を用いた連結固定具にあっても、歯牙等の被連結体に対して、未だ充分な締結力が及ぼされ難く、改良の余地があったのである。 【0007】 【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、歯牙や骨等の被連結体に対して、より大きな締結力を及ぼすことの出来る、改良された構造の連結固定具を提供することにある。 【0008】 【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本発明の特徴とするところは、歯牙や骨の被連結体間に装着されて、それら被連結体を相互に連結固定する医療用連結固定具であって、中央部分から対向方向両側にそれぞれ延び出す各一対の脚部を有し、所定の形状記憶合金材料で形成されて、かかる各対を為す脚部が開きまたは閉じる形状が記憶されていると共に、それら各対を為す脚部において、形状記憶作用による開閉方向前方側に位置する両外側面または両内側面に、それぞれ開閉方向に突出するふくらみ部を有する医療用連結固定具にある。 【0009】なお、かくの如き医療用連結固定具において、脚部に形成されるふくらみ部の具体的形状は特に限定されるものではなく、例えば、湾曲状の外周縁部を有する楕円形状や半円形状のものや、直線的な傾斜面からなる外周縁部を有する三角形状のものなど、各種の形状が採用され得る。 また、かかるふくらみ部は、少なくとも、形状記憶効果によって開閉移動せしめられる各脚部の移動方向前方側の側面部分に形成されていれば良い。 【0010】さらに、本発明は、歯牙や骨の被連結体間に装着されて、それら被連結体を相互に連結固定する医療用連結固定具であって、中央部分から対向方向両側にそれぞれ延び出す各一対の脚部を有し、所定の形状記憶合金材料で形成されて、前記各対を為す脚部が開きまたは閉じる形状が記憶されていると共に、それら各対を為す脚部において、形状記憶作用による開閉方向に略直交する方向に突出する係止突起を有する医療用連結固定具をも、特徴とする。 【0011】また、かくの如き医療用連結固定具においては、被連結体に対する係止力を有利に得るために、係止突起の先端部に傘状や茸状の如き形態を有する引掛部を設けることも可能である。 【0012】なお、本発明の好ましい態様においては、 脚部にふくらみ部を有する場合および係止突起を有する場合の何れにあっても、各対を為す脚部間における切込部の基端部が、かかる脚部を閉じた状態で略円形孔となる円弧状面をもって形成される。 【0013】また、本発明の別の好ましい態様においては、脚部にふくらみ部を有する場合および係止突起を有する場合の何れにあっても、前記中央部分および前記各一対の脚部を含む全体が、略一定厚さの板状体によって形成される。 【0014】 【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。 【0015】先ず、図1及び図2には、本発明の一実施例としての医療用連結固定具10が示されている。 この連結固定具10は、全体として略一定厚さの板体によって形成されており、各一対の脚部14,14および1 6,16が、所定大きさの板状の中央部分12から、該中央部分12を一方向に挟んだ両側に向かって延び出して、一体的に形成されてなる構造とされている。 なお、 本実施例では、一方の対を為す脚部14,14が、他方の対を為す脚部16,16より長さが短くされている。 【0016】また、各対を為す脚部14,14および1 6,16は、両内側面14a,14aおよび16a,1 6aが直線的に延びる形状を有している一方、両外側面14b,14bおよび16b,16bが、外方に向かって膨らむ円弧状の湾曲形状を有している。 即ち、本実施例では、各対を為す脚部14,14および16,16における両外側面14b,14bおよび16b,16bに対して、脚部14,14および16,16が開く方向に突出する円形乃至は楕円形状に湾曲した外周縁部を有するふくらみ部18,18および20,20が、一体的に形成されているのである。 【0017】さらに、各対を為す脚部14,14の間および脚部16,16の間に位置する切込部の基端部分、 換言すれば、脚部14,14における両内側面14a, 14aの中央部分12に対する接続側端部および脚部1 6,16における両内側面16a,16aの中央部分1 2に対する接続側端部には、円弧状内周面を有する基端孔22,24が、それぞれ設けられている。 【0018】ここにおいて、かかる連結固定具10は、 形状記憶合金によって形成されている。 形状記憶合金とは、良く知られているように、高温度(マルテンサイト変態開始温度より充分高い温度)で所定の形状を記憶させれば、低温度(マルテンサイト変態終了温度より低い温度)で変形させても、昇温することによって記憶された形状に回復する機能を有するものであって、従来から公知の各種の合金組成のものが採用され得るが、特に、 人体組織との適合性等を考慮して、Ni−Ti合金やC u−Zn−Al合金等が好適に採用される。 【0019】そして、本実施例では、図1に示されているように、中央部分12の両側に延出形成された各一対の脚部14,14および16,16が、それぞれ、開脚した形状が記憶されている。 なお、かかる脚部14,1 4および16,16の開脚角度は、連結固定具10に要求される締結力や被連結体の材質,形状,大きさ、脚部14,14および16,16の長さや形状等を考慮して適宜に決定されるものであって限定されるものではないが、本実施例では、α=略50°に設定されている。 【0020】また、かくの如き形状が記憶された連結固定具10は、低温下で変形されることにより、図3に示されているように、各対を為す脚部14,14および1 6,16が、それぞれ閉脚された形状とされており、低温状態下では閉脚状態に保持されて、その状態で使用に供されるようになっている。 なお、かかる閉脚状態下では、各対を為す脚部14,14および16,16の両内側面14a,14aおよび16a,16aが、それぞれ、互いに接触せしめられると共に、それら両内側面1 4a,14aおよび16a,16aの基端部に設けられた基端孔22,24が、それぞれ、略円形孔となるようにされている。 【0021】このような構成の連結固定具10を用いて歯牙を連結固定する場合には、図4に示されているように、先ず、被連結体としての連結すべき歯牙26,28 に対して、連結固定具10の装着穴30,32を形成する。 かかる装着穴30,32は、連結固定具の各対を為す脚部14,14および16,16に形成されたふくらみ部18,18および20,20の形状に対応した内周面形状とされるが、有効な締結力を得るためには、各対を為す脚部14,14および16,16が、形状記憶された開脚角度:αにまで至らない角度:α′(α′< α)だけ開脚することによって、そのふくらみ部18, 18および20,20の外側面14b,14bおよび1 6b,16bが当接して嵌合し得る内周面形状をもって、かかる装着穴30,32を形成することが望ましい。 【0022】その後、所定の低温度に保たれて図3に示された閉脚状態に保持された連結固定具10を、歯牙2 6,28に形成された装着穴30,32に跨がるように装入し、体温により、或いは外部からの熱伝導や通電加熱等によって、かかる連結固定具10を、逆変態終了温度より高い温度まで昇温する。 【0023】それによって、連結固定具10の各対を為す脚部14,14および16,16を、形状記憶効果によって、それぞれ開脚方向に変形せしめて、それら各脚部14,14および16,16の外側面14b,14b および16b,16bを、歯牙26,28に形成された装着穴30,32の内周面に当接させて嵌合せしめる。 また、連結固定具10の歯牙26,28への装着後、更に、必要に応じて、樹脂や金属等を装着穴30,32に充填する。 【0024】このようにして装着された連結固定具10 は、形状記憶効果による原形状への復元力に基づいて、 歯牙26,28の装着穴30,32に嵌合することにより、歯牙26,28間に締結力を及ぼし得ることとなる。 そこにおいて、かかる連結固定具10の装着穴3 0,32への当接面である外側面14b,14bおよび16b,16bは、ふくらみ部18,18および20, 20によって円弧状面とされていることから、それらの外側面14b,14bおよび16b,16bの開き角度が各脚部14,14および16,16の開脚角度:α′ よりも実質的に大きくされて、各脚部14,14および16,16の装着穴30,32に対する当接力の分力が、両歯牙26,28の締結方向に有利に及ぼされるのであり、それ故、連結固定具10の復元力が、歯牙2 6,28の締結力として効率的に利用され得て、大きな締結力を容易に得ることができるのである。 【0025】しかも、本実施例の連結固定具10にあっては、各対を為す脚部14,14および16,16の基端部において、形状記憶効果による変形に伴って生ぜしめられる応力の集中が、基端孔22,24によって吸収,緩和されるのであり、それ故、目的とする締結力を安定して且つ良好なる耐久性をもって得ることができるのである。 【0026】また、本実施例の連結固定具10にあっては、全体として所定厚さの板状構造とされていることから、打抜加工等によって、容易に製造することができるといった利点も有している。 【0027】次に、図5及び図6には、本発明の別の実施例としての連結固定具36が、示されている。 なお、 本実施例中、前記第一実施例と同様な構造とされた部位については、それぞれ、第一実施例と同一の符号を図面中に付することにより、詳細な説明を省略する。 【0028】本実施例の連結固定具36においては、図5に仮想線で示されているように、各対を為す脚部1 4,14および16,16が、閉脚した形態が記憶されていると共に、低温下で変形されることにより、図5に実線で示されているように、各対を為す脚部14,14 および16,16が、それぞれ開脚された形状とされて、低温状態下では開脚状態に保持されるようになっている。 【0029】また、各対を為す脚部14,14および1 6,16は、前記第一実施例とは逆に、それらの両外側面14b,14bおよび16b,16bが直線的に延びる形状を有している一方、両内側面14a,14aおよび16a,16aが、内方に向かって膨らむ円弧状の湾曲形状を有している。 即ち、本実施例では、各対を為す脚部14,14および16,16における両内側面14 a,14aおよび16a,16aに対して、脚部14, 14および16,16が閉じる方向に突出するふくらみ部38,38および40,40が、一体的に形成されているのである。 【0030】そして、このような構成の連結固定具10 を用いて歯牙の連結固定を行うには、図6に示されているように、連結すべき歯牙26,28に形成された装着穴30,32内に、低温度に保たれて開脚状態に保持された連結固定具10を装入した後、かかる連結固定具1 0を逆変態終了温度より高い温度まで昇温する。 【0031】それによって、連結固定具10の各対を為す脚部14,14および16,16が、形状記憶効果によって、それぞれ閉脚方向に変形せしめられて、それら各脚部14,14および16,16の内側面14a,1 4aおよび16a,16aが、歯牙26,28に形成された装着穴30,32の内周面に当接,嵌合されることにより、歯牙26,28間に締結力が及ぼされるのである。 【0032】そこにおいて、本実施例の連結固定具36 にあっても、前記第一実施例の連結固定具10と同様、 装着穴30,32への当接面である内側面14a,14 aおよび16a,16aが、ふくらみ部38,38および40,40によって円弧状面とされていることから、 各対を為す脚部14,14および16,16の閉脚変形時に、それらの内側面14a,14aおよび16a,1 6aの開き角度が各脚部14,14および16,16の開脚角度よりも実質的に小さくされて、各脚部14,1 4および16,16の装着穴30,32に対する当接力の分力が、両歯牙26,28の締結方向に有利に及ぼされ得て、大きな締結力が効率的に発揮され得ることとなるのであり、また、その他、前記第一実施例と同様な効果が、何れも、有効に発揮され得るのである。 【0033】次に、図7及び図8には、本発明の更に別の実施例としての連結固定具44が、示されている。 なお、本実施例でも、前記第一実施例と同様な構造とされた部位については、それぞれ、第一実施例と同一の符号を図面中に付することにより、その詳細な説明を省略する。 【0034】本実施例の連結固定具44においては、各対を為す脚部14,14および16,16が、何れも、 中央部分12から直線的な内外両側面14a,14bおよび16a,16bをもって、略一定の幅で延出形成されている。 即ち、本実施例の連結固定具44においては、何れの脚部に対しても、前記第一及び第二実施例のようなふくらみ部(18,20,38,40)が形成されていないのである。 【0035】さらに、各対を為す脚部14,14および16,16には、それぞれ、延出先端部近くに位置して、脚部の延出方向および開閉方向に略直交する方向に向かって、一方の面上に突出するピン状の係止突起4 6,46および48,48が突設されている。 なお、本実施例では、かかる係止突起46,48が、それぞれ、 長さ方向に略一体の大きさの円形断面を有する円形ロッド形状をもって形成されている。 【0036】そして、本実施例の連結固定具44は、図7に示されているように、各対を為す脚部14,14および16,16が、開脚した形態が記憶されていると共に、低温下で変形されることにより、図9に示されているように、各対を為す脚部14,14および16,16 がそれぞれ閉脚されており、低温状態下で閉脚状態に保持されている。 【0037】このような構成の連結固定具10を用いて歯牙の連結固定を行うには、図10に示されているように、先ず、連結すべき歯牙26,28に対して係合穴5 0,52を形成し、低温度に保たれて閉脚状態に保持された連結固定具10の脚部14,14および16,16 に突設された係止突起46,46および48,48を、 それぞれ、各係合穴50および52に挿入する。 そして、その後、かかる連結固定具10を逆変態終了温度より高い温度まで昇温する。 【0038】それによって、連結固定具44の各対を為す脚部14,14および16,16が、形状記憶効果によって、それぞれ開脚方向に変形せしめられて、それら各脚部14,14および16,16に突設された係止突起46,46および48,48が、それぞれ、歯牙2 6,28に形成された係合穴50,52の内周面に当接,嵌合されることにより、歯牙26,28間に締結力が及ぼされるのである。 【0039】そこにおいて、本実施例の連結固定具44 にあっては、歯牙26,28における係合穴50,52 の内周面形状(係合突起46,48の当接部位の曲率や傾斜角等)を適当に設定することにより、それら係合穴50および52の内周面に対する係合突起46,46および48,48の当接によって及ぼされる連結固定具4 4の復元力に基づく当接力の分力が、両歯牙26,28 の締結方向に有利に及ぼされ得ると共に、連結固定具4 4の歯牙26,28に対する位置決め力としても有利に及ぼされ得るのであり、それによって、前記第一実施例と同様、大きな締結力が効率的に発揮されるのである。 【0040】しかも、本実施例の連結固定具44にあっては、連結固定具44の全体を歯牙の内部に埋める必要がなく、係合突起46,48が係合する係合穴50,5 2だけを形成すれば良いことから、歯牙26,28の切削量を少なくすることができるという効果もある。 【0041】なお、図11に示されているように、係合突起46,48の先端部に大径の引掛部54を設けることも可能である。 そして、歯牙26,28の係合穴5 0,52にアンダーカット部分を設けて、そこにこの引掛部54を係止させるようにすれば、連結固定具44を歯牙26,28に対して、より強固に固定することが可能となり、連結固定具44の歯牙26,28からの外れが効果的に防止され得ることとなる。 【0042】また、このような係合突起46,48を有する連結固定具にあっても、前記第二実施例と同様、各対を為す脚部14,14および16,16が閉脚した形態を記憶させると共に、低温下で変形させて、各対を為す脚部14,14および16,16をそれぞれ開脚させた形状とし、閉脚方向に復元する形状記憶作用に基づいて歯牙に対する締結力を得るようにすることも、勿論、 可能である。 【0043】以上、本発明の実施例について詳述してきたが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、かかる具体例にのみ限定して解釈されるものではない。 【0044】例えば、前記第一及び第二の実施例における連結固定具10,36においては、何れも、各脚部1 4,16に対して、各一つのふくらみ部18,20,3 8,40が形成されており、また、第三の実施例における連結固定具44においては、各脚部14,16に対して、各一つの係止突起46,48が形成されていたが、 それらふくらみ部や係止突起の数は限定されるものではなく、各脚部14,16に対して、二つ以上のふくらみ部や係止突起を形成することも可能である。 【0045】また、前記第一及び第二の実施例における連結固定具10,36においては、何れも、各脚部1 4,16におけるふくらみ部18,20,38,40 が、湾曲状の外周縁部を有する円形乃至は楕円形状をもって形成されていたが、その具体的形状は限定されるものではなく、例えば、図12に示されているように、直線的な傾斜面からなる外周縁部を有する三角形状のふくらみ部58,60を採用することも可能である。 なお、 図12は、図1に対応する図であって、理解を容易とするために、それぞれ、対応する各部位に対して、第一実施例と同一の符号を付しておくこととする。 【0046】さらに、前記実施例では、本発明を歯牙の連結固定具に適用したものの具体例を示したが、その他、歯牙の矯正のための連結固定具や、義歯を健歯に連結固定させてブリッジ構造とするための連結固定具など、或いは、骨折部分を連結固定する骨の連結固定具等にも、本発明は、同様に適用され得るものである。 【0047】そして、本発明に係る連結固定具における全体のサイズや各脚部のサイズおよび具体的形状などは、適用部位や要求される締結力等に応じて、適宜に決定されるものであり、限定されるものではない。 特に、 前記実施例では、各対を為す脚部14,14と16,1 6の長さが互いに異なるように設定されていたが、それらを同一長さで形成することも、勿論、可能である。 【0048】また、第一実施例の連結固定具10における各脚部14,16の内側面14a,16aおよび第二実施例の連結固定具36における各脚部14,16の外側面14b,16b、更に第三実施例の連結固定具44 における各脚部14,16の両側面14a,14b,1 6a,16bは、必ずしも直線形状とする必要はなく、 湾曲形状等としても良い。 【0049】更にまた、前記実施例の連結固定具10, 36,44に形成されていた基端孔22,24は、必ずしも設ける必要はなく、また、各脚部14,16を、板状でなくロッド状等として形成することも可能である。 【0050】その他、一々列挙はしないが、本発明は、 当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、 そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。 【0051】 【発明の効果】上述の説明から明らかなように、各脚部に対して形状記憶効果による開閉方向の前方側に突出するふくらみ部が形成されてなる、本発明に従う構造とされた連結固定具においては、被連結体に対する装着時に、ふくらみ部の形成された脚部の側面が被連結体に当接せしめられた際、かかる脚部の側面がふくらみ部によって湾曲面等とされていることにより、当接分力が被連結体に対して締結方向に有利に及ぼされるのであり、それによって、形状記憶作用に基づく復元力が、締結力として効率的に利用され得て、大きな締結力が発揮され得るのである。 【0052】また、各脚部に対して係止突起が形成されてなる、本発明に従う構造とされた連結固定具にあっては、その装着時に係止突起が当接されることとなる被連結体の当接面の形状を適当に設定することにより、該係止突起の当接によって被連結体に及ぼされる当接分力が、被連結体に対して締結方向に有利に及ぼされるのであり、それによって、形状記憶作用に基づく復元力が、 締結力として効率的に利用され得て、大きな締結力が発揮され得るのである。 【0053】しかも、かくの如き、係止突起が形成された連結固定具においては、被連結体に対する装着に際して、係合突起が係合する係合面だけを形成すれば良いことから、歯牙等の被連結体に対する切削等の加工量を少なくすることができるという利点もある。 【0054】また、各対を為す脚部間における切込部の基端部が円弧状面とされた連結固定具にあっては、脚部の開閉変形時における応力の集中が緩和されて、亀裂等の不良の発生が防止されるといった効果も、発揮され得る。 【0055】更にまた、全体が略一体厚さの板状体によって形成された連結固定具にあっては、板体の打抜成形等によって形成することができることから、製造が容易で低コスト化が図られるといった効果も、発揮され得る。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例としての連結固定具を、記憶された形状で示す平面図である。 【図2】図1におけるII−II断面図である。 【図3】図1に示された連結固定具の形状記憶作用による復元前における装着時の変形形状を示す平面図である。 【図4】図3に示された連結固定具を用いて歯牙を締結した状態を示す説明図である。 【図5】本発明の別の実施例としての連結固定具の形状記憶作用による復元前における装着時の変形形状を実線で示すと共に、記憶された形状を仮想線で示す平面説明図である。 【図6】図5に示された連結固定具を用いて歯牙を締結した状態を示す説明図である。 【図7】本発明の更に別の実施例としての連結固定具を、記憶された形状で示す平面図である。 【図8】図7におけるVIII−VIII断面図である。 【図9】図7に示された連結固定具の形状記憶作用による復元前における装着時の変形形状を示す平面図である。 【図10】図9に示された連結固定具を用いて歯牙を締結した状態を示す説明図である。 【図11】図7に示された連結固定具において採用され得る、係止突起の他の具体例を示す要部側面図である。 【図12】本発明の更に別の実施例としての連結固定具を記憶された形状で示す、図1に対応する平面図である。 【図13】歯牙用連結固定具として従来から知られているものの一具体例を示す平面図である。 【符号の説明】 10,36,44 連結固定具 12 中央部分 14,16 脚部 14a,16a 内側面 14b,16b 外側面 18,20,38,40,58,60 ふくらみ部 22,24 基端孔 26,28 歯牙 30,32 装着穴 46,48 係止突起 50,52 係合穴 |