【発明の詳細な説明】 【0001】 本発明は、請求項1に記載される、特に歯又は歯科用補綴装置の補強に使用するための装置に関する。 【0002】 歯科において、歯の固定及び補強のため、並びに、歯冠、固定架工義歯、可撤義歯及びいわゆる表面取り付け可能な架工義歯若しくは軽量架工義歯又はメリーランドタイプ架工義歯のような様々な歯科用補綴装置の補強のために、繊維製品が一般的に使用されている。 このような繊維補強製品は、単に繊維から構成されているか、又はポリマ又はモノマを予め含浸させた繊維補強製品である。 商業上利用可能なこの種の製品が以下の表1に一覧で示されている。 【0003】 【表1】 【0004】 UHMWP製品では、繊維とポリマとの間に付着又がなく、繊維の含浸は不十分で、製品は結果として疲労強度の増加は約25%に過ぎない。 アラミド繊維製品でも、繊維はポリマと十分には付着せず、繊維の含浸は不十分である。 ポリマママトリックスによる予含浸のないガラス繊維製品では、繊維の含浸は不十分であり、ガラス繊維製品の強度も不十分である。 【0005】 予め含浸したガラス繊維製品は高価であるが、それらは結果として良好な強度となる。 国際公開特許第WO96/25911号公報はこのようなガラス繊維を基にした多孔性プレプレッグを開示しており、このプレプレッグはポリマを含浸している。 【0006】 商業的に入手可能な繊維強化製品は、通常、織物形態又は繊維が一方向になっている繊維束の形態になっている。 繊維織物製品の取り扱いはむしろ容易である。 このような製品が例えば鋏で切断されると、繊維束はみごとにうまく纏まった状態に保たれ、目立ってほつれることもない。 一方向繊維からなる不織繊維束の取り扱いは比較して著しく困難である。 これらの製品を切断すると、いかようにしても個々の繊維は纏まった状態に保たれず、繊維束は自由にバラバラになり得る。 この問題は、付加的な糸で繊維束を結びつけること、繊維束を織り合わせること又は多孔性ポリママトリックスを束に予め含浸させることによって、解決を試みられてきた。 これらの解決方法は新しい問題を伴う。 束を糸で結びつけたり束を編み合わせたりすれば、繊維は密着したままとなる。 これは、モノマ液が個々の繊維の間に容易に浸透できなくなるので、繊維束の含浸を悪化させる。 他の問題は、繊維束がきつく結び合わせられる又は編み合わせられれば、繊維束の繊維はもはや広げることはできなくなることである。 【0007】 ポリマを含浸した繊維束は切断するのが容易であり、繊維間にポリママトリックスが存在するので、モノマがよく浸透する。 モノマを含浸すれば、ポリママトリックスがモノマに溶解し始め、個々の繊維が繊維束からほぐれて離れ始める。 結果として、繊維束はもはや結びつけられなくなるので、繊維束はモールド(歯型)上又は口の中で取り扱い難くなる。 第2に、全てのタイプのガラス繊維束に共通する問題は、ガラス繊維の高い縦弾性係数に繊維束がまっすぐになることである。 したがって、繊維束を曲がった歯のアーチ上に適用することは非常に困難である。 【0008】 要約すれば、目的は、所望されれば、繊維を纏まった状態にすることもできれば広げることもできることである。 さらに、繊維束は、繊維束の制動を連続的に保ちながら歯のアーチの形状にぴったりと追従するように成形され得ることが望ましい。 加えて、気化モノマの反復皮膚汚染及びアレルギ特性のため、繊維束の湿潤と取り扱い及び保管は安全であることが望ましい。 さらに、濡れた繊維束は、後の段階で光(青色光)で硬化させられることになるが、その濡れた繊維束が目的の場所に適用される前に、室内照明により又は光硬化装置からの硬化光により硬化しないことが望ましい。 【0009】 上記目的は、特許請求の範囲の特徴部分に開示されている事項によって特徴付けられた本発明による装置によって達成される。 したがって、本発明の目的は、補強用繊維束を湿潤させ、(例えば、歯又は歯科用補綴装置に)塗布するために使用され、特に歯又は歯科用補綴装置の補強に使用するための装置である。 この装置は、 可撓性管と、ノズルとを備え、 該可撓性管の第1の端部を通して前記補強用繊維束を挿入し、該可撓性管の第2の端部を通して前記補強用繊維束を取り出すことができ、前記可撓性管の壁が、前記補強用繊維束の硬化のための光を実質的に透過させないように処理されており、 該ノズルが前記可撓性管の前記第2の端部に配置され、前記ノズルの断面が前記可撓性管の断面よりも小さくなっていることを特徴とする。 【0010】 添付の図面を参照することによって、本発明をさらに詳細に説明する。 図1は好ましい実施態様による本発明の装置10を示している。 この装置は可撓性材料から形成されている管11を備えており、管11の第1の端部12を通して補強用繊維束(図中には示されていない)を管内に挿入することができる。 補強用繊維束は、管の第2の端部13を通して、取り出される、すなわち所定の場所に適用又は塗布させられる。 管の長さは、最も長い補強用繊維束がその中にまっすぐに入ることを許容するに十分に長いことが好ましい。 実際には、このような最も長い繊維束は、歯のアーチの長さ、すなわち約15cmと一致する。 管の断面積は、少なくとも1つの補強繊維束及びその湿潤に必要な液体が困難なし管内に入るような大きさでなければならない。 好ましい実施態様によれば、管の断面積は、管が複数の補強用繊維束を同時に並べて収容することを許容するに十分に大きく、繊維束を同時に濡らすことができるようになっている。 単数又は複数の補強用繊維束を管に挿入すると、補強用繊維束のポリマ塊を溶解させる湿潤液(モノマ液)が添加される。 柔らかくなった補強用繊維束は、それを装置10 から取り出して最終的な場所に適用した後、例えば、青色光(波長約400nm )で硬化させられる。 管は、可撓性材料、適当には湿潤液に対して不活性である(すなわち、湿潤液が、反応、付着又は浸透しない)プラスチックから作成されているので、湿潤液の補強用繊維束への分散は管の壁を押圧することによって強められ得る。 管の壁は補強用繊維束の硬化のための光を本質的には通過させないように処理されていることが重要である。 オレンジ色は青色光を吸収するので、 オレンジ色のプラスチックを使用することによってこのことを適宜盛り込むことができる。 あるいはまた、黒色を使用することもできるが、オレンジ色は管を透明にすることを許容するので、オレンジ色が好ましい。 【0011】 ノズル14が管の第2の端部13に配置されており、ノズルの断面は管11の断面よりも小さくなっている。 この特徴のため、補強用繊維束は、装置を出たときに、十分にまとまった状態を保たれる。 好ましい実施態様によれば、ノズル1 4は図1に示されているような形状になっている。 すなわち、ノズル14は繊維の走行方向(繊維の延びている方向)に先細になっている円錐状形状の部品である。 ノズル14の放出口18の直径は好ましくは約1.5mmである。 円錐状形状のノズル14は、様々な厚さの補強用繊維束に合った単数又は複数の切断線1 5a、15b、15c・・・を備えることができる。 より厚い繊維束を使用するときには、所望される点で円錐状形状のノズルを切断することができる。 切断線15a、15b、15c・・・に放出口の内径(例えば、2mm、2.5mm及び3mm)を付記することができ、これは、使用者が適宜の位置でノズルを切断する手助けとなる。 【0012】 ノズルは硬質材料から作成されることが好ましい。 図1の配置構成では、ノズル14と接触している管の端部13は、管の主要部分よりも硬い材料から作成されることも可能である。 【0013】 装置は硬質材料から作成された先端16を備えていることが好ましい。 この先端16は管11自体に接続されていてもよく、図1に示されているように、ノズル14に接続されていてもよい。 濡れた繊維束の一部がノズル14から引き出され最終的な場所に適用又は塗布されると、補強用繊維束は、硬化する時間の間、 先端16によって歯又は歯科用補綴装置にしっかりと押し付けられ得る。 先端1 6により、補強用繊維束を所定の場所に付着させるために他の歯科用器具を使用する必要はなくなる。 【0014】 図2は先端16のより好ましい実施態様を示している。 先端は湾曲した部品であり、その形態は管の或る扇形部分に最もよく対応している。 先端は、その凹状表面が補強用繊維束に向いた状態になるように配置される。 凹状表面は、補強用繊維束の個々の繊維をしっかりと纏まった状態に保ち、繊維がほぐれて離れることを防止する。 先端の幅は適切には約1mmである。 【0015】 さらに、装置は管の第1の端部12に接続されている供給ノズル17を備えていることが適している。 図1に示されている実施態様によれば、供給ノズルは繊維の走行方向に先細になっている円錐状形状の部品である。 供給ノズルの入口開口19の直径は約6mmであることが好ましい。 円錐状形状は湿潤液が管へ進入することを容易にする。 【0016】 図1の供給ノズル17はカバー20を備えており、カバー20は細長片21を介して装置に接続されている。 図3は、ノズル14及び先端16を保護するために使用されている分離した保護キャップ22を示している。 【0017】 装置は管の内部に入るプランジャをさらに備えることができ、プランジャにより装置から補強用繊維束を押し出すことができる。 管の断面は円形に形成されている必要はないことに留意するべきである。 したがって、管は例えば楕円形としたり、若しくは円形とは異ならせたりすることができる。 【0018】 本発明による装置は任意の補強用繊維束を歯又は歯科用補綴装置に適用又は塗布するために使用され得る。 したがって、補強用繊維束は含浸していることも可能であれば、含浸していなくてもよい。 補強用繊維束の硬化は、光により又は化学的に、行われ得る。 光硬化は装置から取り出された補強用繊維束の一部の選択的な硬化を可能とさせるので、光硬化が好ましい。 装置は、ガラス繊維を基にした補強用繊維束の適用に特に有用である。 【0019】 装置は、臨床上で、患者の口及び実験室の両方における歯科矯正装置及び補綴架工義歯の作成の際に、歯の固定のために使用され得る。 実験室では、多数の異なる種類の補綴装置の作成のために装置が使用され得る。 【0020】 さらに、大別して医療及び外科分野において、例えば補強用繊維束による様々な整形外科用補綴装置の補強のために、装置を使用することができる。 本発明の上述した実施態様は本発明の発想の使用方法の例に過ぎない。 本発明の様々な実施態様が特許請求の範囲内で変化し得ることは当該分野の専門家にとっては明らかである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 好ましい実施態様による本発明の装置を示している。 【図2】 図1の装置の先端を示している。 【図3】 図1の装置のノズルのための保護キャップを示している。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW |