Unit for oral cavity care

申请号 JP2011086318 申请日 2011-04-08 公开(公告)号 JP2012217616A 公开(公告)日 2012-11-12
申请人 Lion Corp; ライオン株式会社; 发明人 HAKAMATA YUSUKE;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a unit for oral cavity care, capable of sufficiently exhibiting the effect of a drug.SOLUTION: The unit for oral cavity care includes an oral cavity preparation and an applicator 1 for applying the oral cavity preparation to the oral cavity. The oral cavity preparation contains a cation sterilizer as the active ingredient thereof. The applicator 1 includes: a handle 4; a conductive applicator 2 attached to the handle 4; a power source; a negative electrode terminal 5 connected to a negative electrode of the power source and formed in an exposed state to the handle 4; and a positive electrode terminal 3 connected to a positive electrode of the power source and the applicator 2, and separated from the negative electrode terminal 5.
权利要求
  • 口腔内製剤と、該口腔内製剤を口腔内に塗布する塗布具とを備える口腔内ケアユニットにおいて、
    前記口腔内製剤は、その有効成分としてカチオン性殺菌剤を含有し、
    前記塗布具は、把持体と、該把持体に設けられた導電性の塗布体と、電源と、該電源の負極に接続され前記把持体に露出して形成された負極端子と、前記電源の正極及び前記塗布体に接続されると共に前記負極端子と離間した正極端子とを備えることを特徴とする口腔内ケアユニット。
  • 前記塗布体は、導電性高分子で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の口腔内ケアユニット。
  • 前記有効成分は、第4級アンモニウム塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の口腔内ケアユニット。
  • 说明书全文

    本発明は、口腔内ケアユニットに関する。

    歯周病の予防には、歯周病菌の殺菌やバイオフィルムの除去が重要であるが、歯間部や歯頸部に形成されたバイオフィルムを通常の歯ブラシで除去するのは困難である。
    また、歯周病の予防、改善には、殺菌等の有効成分を含有した口腔内製剤を歯間部や歯頸部に塗布し、原因となる病原性細菌を死滅させることが有効であるとされている。 一般に、殺菌剤としては、第4級アンモニウム塩等のカチオン性殺菌剤が用いられている。

    従来、歯間部の清掃と、歯間部への薬剤の塗布とを目的とし、種々の歯間ブラシが提案されている。
    変形可能な弾性材で成形した把手空洞内に薬液類を収容すると共に、ブラシ取付基部付近に前記空洞と外部空間とを連通する小孔を穿設した歯間清掃具が提案されている(例えば、特許文献1)。 特許文献1の発明によれば、ブラシで歯間部を清掃しつつ、把手空洞内の薬液を歯間部に塗布することが図られている。
    また、中空糸を用いた歯間部用小ブラシが提案されている(例えば、特許文献2)。 特許文献2の発明によれば、中空糸に歯磨剤の成分を予め挿入しておくことで、歯間部の歯垢を効率的に取り除くことが図られている。
    あるいは、樹脂フィラメントに無機粉体を練和し、この樹脂フィラメントの表面に露出した無機粉体に有効成分を吸着せしめた歯間ブラシが提案されている(例えば、特許文献3)。 特許文献3の発明によれば、歯間部を清掃しつつ、樹脂フィラメントに吸着せしめた有効成分を罹患部に塗布することが図られている。

    また、歯垢を効率的に除去するための器具として、イオン歯ブラシ(例えば、特許文献4)や、イオン歯間ブラシ(例えば、特許文献5)が提案されている。 唾液中には正電荷のカルシウムイオンが含まれており、このカルシウムイオンが、負電荷である歯牙と負電荷である歯垢とを架橋している。 特許文献4、5の発明は、負イオンを口腔内に導入し、歯垢中のカルシウムイオンの電荷を中和し、歯垢の吸着性を弱め、歯垢を擦掃により除去するものである。

    実開昭63−194633号公報

    特開平5−192355号公報

    特開2003−61746号公報

    特開2001−190336号公報

    特開平10−243820号公報

    しかしながら、特許文献1〜3の発明では、薬剤を歯間ブラシから放出するのが困難である。
    特許文献4〜5の発明では、歯垢の除去を促進するものの、歯周病の予防、改善の点で未だ満足できるものではなかった。
    加えて、単に罹患部にカチオン性殺菌剤等の薬剤を塗布しても、薬剤の効果が十分に発揮されないという問題があった。
    そこで、本発明は、薬剤の効果を十分に発揮できる、口腔内ケアユニットを目的とする。

    一般に、カチオン性殺菌剤は、病原性細菌を死滅させる効果が高いといわれているが、カチオン性殺菌剤を口腔内に塗布しても、十分な効果が得られにくかった。
    本発明者は、鋭意検討した結果、口腔内のバイオフィルムがアニオン性であるため、単にカチオン性殺菌剤を罹患部に塗布しても、カチオン性殺菌剤が有効な状態で細菌に作用できないとの知見を得た。
    本発明者は、上記の知見に基づき、さらに検討を進めた結果、正電荷を口腔内に導入することで、カチオン性殺菌剤をバイオフィルムに効率的に浸透させ、有効に作用させられることを見出し、本発明に至った。

    即ち、本発明の口腔内ケアユニットは、口腔内製剤と、該口腔内製剤を口腔内に塗布する塗布具とを備える口腔内ケアユニットにおいて、前記口腔内製剤は、その有効成分としてカチオン性殺菌剤を含有し、前記塗布具は、把持体と、該把持体に設けられた導電性の塗布体と、電源と、該電源の負極に接続され前記把持体に露出して形成された負極端子と、前記電源の正極及び前記塗布体に接続されると共に前記負極端子と離間した正極端子とを備えることを特徴とする。
    前記塗布体は、導電性高分子で構成されていることが好ましく、前記有効成分は、第4級アンモニウム塩であることが好ましい。

    本発明の口腔内ケアユニットによれば、薬剤の効果を十分に発揮できる。

    本発明の一実施形態にかかる塗布具の平面図である。

    本発明の一実施形態にかかる塗布具の断面図である。

    (a)本発明の一実施形態にかかる塗布体の平面図である。 (b)本発明の一実施形態にかかる塗布体の平面図である。 (c)本発明の一実施形態にかかる塗布体の平面図である。 (d)本発明の一実施形態にかかる塗布体の平面図である。 (e)本発明の一実施形態にかかる塗布体の平面図である。 (f)本発明の一実施形態にかかる塗布体の平面図である。

    モデル殺菌試験の実験系を示す模式図である。

    本発明の口腔内ケアユニットは、カチオン性殺菌剤を含有する口腔内製剤と、この口腔内製剤を口腔内に塗布する塗布具とを備えるものである。
    なお、「口腔内ケア」は、口腔内の清掃、歯茎のマッサージ、歯周病又はむし歯の治療、改善もしくは予防等、口腔内の衛生を維持する行為である。

    (口腔内製剤)
    本発明の口腔内製剤は、カチオン性殺菌剤を含有するものである。
    口腔内製剤の剤形は、特に限定されず、例えば、溶液又は水分散液等の液体、ゾル状、ゲル状、粉粒状等、従来の口腔内製剤と同様の剤形を採用できる。

    <カチオン性殺菌剤>
    カチオン性殺菌剤としては、従来、口腔内製剤に用いられている成分であれば特に限定されず、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アレキシジン、グルコン酸アレキシジン等のビグアナイド系殺菌剤が挙げられる。 カチオン性殺菌剤の中でも、殺菌に優れる第4級アンモニウム塩が好ましく、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムがより好ましく、塩化セチルピリジニウムがさらに好ましい。 これらのカチオン性殺菌剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。

    口腔内製剤中のカチオン性殺菌剤の含有量は、カチオン性殺菌剤の種類を勘案して決定でき、例えば、0.001〜0.2質量%とされる。

    <任意成分>
    本発明の口腔内製剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、カチオン性殺菌剤以外の薬剤(任意薬剤)、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、カチオン性殺菌剤を除く界面活性剤(任意界面活性剤)、甘味剤、色素、香料、pH調整剤、緩衝剤等を配合してもよい。

    ≪任意薬剤≫
    任意薬剤としては、トラネキサム酸、イプシロンカプロン酸、β-グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体等の抗酸化剤、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、塩化ナトリウム、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェート等のキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸又はその誘導体、ゼオライト、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の植物抽出物等が挙げられる。 これらの任意薬剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
    なお、口腔内組成物中の任意薬剤の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。

    研磨剤としては、例えば、第2リン酸カルシウム2水和物、第2リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等が挙げられる。 口腔内製剤中の研磨剤の含有量は、例えば、5〜50質量%とされる。

    粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、平均分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、還元でんぷん糖化物等の糖アルコール、多価アルコールの少なくとも1種が使用できる。 口腔内製剤中の粘稠剤の含有量は、例えば、10〜40質量%とされる。

    粘結剤としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、カーボポール、グアガム、ゼラチン、アビセル等の有機粘結剤や、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト等の無機粘結剤が挙げられる。 口腔内製剤中の粘結剤の含有量は、例えば、0.5〜3質量%とされる。

    任意界面活性剤としては、公知のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を添加することができる。 例えば、アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリスチルサルコシンナトリウム等のアシルサルコシン塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−ラウロイルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。 ノニオン性界面活性剤としては、例えばアルキル基の炭素数が8〜16であるアルキルグリコシド、ショ糖モノ又はジラウレート等の脂肪酸基の炭素数が12〜18であるショ糖脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウロイルジエタノールアミド等のアルキロイルエタノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ラウリン酸デカグリセリル等が挙げられる。 両性界面活性剤としては、例えばアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。

    これら任意界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。 口腔内製剤中の任意界面活性剤の含有量は、例えば、0.1〜3質量%とされる。

    甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ぺリラルチン等が挙げられる。

    (塗布具)
    本発明の一実施形態にかかる塗布具について、以下に図面を参照して説明する。
    図1〜2に示す塗布具1は、塗布体2と、把持体4と、正極端子3と、負極端子5とを備える、いわゆるイオン歯間ブラシである。

    図2に示すように、把持体4内には、電池6が備えられ、電池6の負極62に接続された負極導電部50と、電池6の正極64に接続された正極導電部30とが設けられている。
    負極導電部50は、把持体4に露出して設けられた負極端子5と接続されている。
    正極導電部30は、把持体4の先端から突出する導線である正極端子3と接続され、正極端子3には、正極端子3の先端32を覆うように塗布体2が設けられている。

    把持体4は、有底筒状のものである。 把持体4の後端から先端までの長さLは、特に限定されず、例えば、5〜20cmとされる。 把持体4の太さRは、特に限定されず、例えば、1.6〜5cmとされる。
    把持体4の材質は、絶縁性の材質であれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン等の樹脂が挙げられる。

    塗布体2は、歯茎の表面に当接され、あるいは歯間部に挿入されて、口腔内製剤を歯牙や歯茎等の口腔内組織に塗布する部材である。
    塗布体2の材質は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、体積抵抗率1×10 Ω・cm以下が好ましく、体積抵抗率60Ω・cm以下がより好ましい。 上記上限値超であると、塗布体2の部位によって流れる電流量にムラが生じる恐れがある。
    塗布体2の硬さは、特に限定されないが、歯牙や歯茎への物理的な刺激を緩和するため、柔軟なものが好ましく、硬さ(デュロメータAでの測定値)80以下がより好ましい。

    このような材質としては、メチルシリコンゴム、ビニルメチルシリコンゴム、フェニルメチルシリコンゴム又はこれらの混合物等のシリコンゴムに導電性物質を含有させた導電性シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの混合物等のポリオレフィンに導電性物質を含有させた導電性ポリオレフィン、ポリアミドに導電性物質を含有させた導電性ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルに導電性物質を含有させた導電性ポリエステル等の導電性高分子が挙げられる。

    導電性高分子が含有する導電性物質としては、例えば、金、銀等の金属、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物やカーボン等が挙げられ、塗布体2が口腔内で使用されること、安定性の観点からカーボンが好ましい。 これらの導電性物質は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。

    導電性高分子は、導電性物質の含有量が多いほど、体積抵抗率が低下するものの、硬くなる傾向にある。 このため、導電性高分子中の導電性物質の含有量は、高分子の種類や導電性物質の種類を勘案して決定できる。

    塗布体2の形状は、塗布対象を勘案して決定でき、例えば、先端に向かうに従い縮径する略円錐形とされる。 塗布体2を略円錐形とすることで、歯間部、歯牙と歯茎の境目等の狭小部に口腔内製剤を塗布しやすくなる。

    また、他の形態としては、図3(a)に示す塗布体100のように、略円錐形とされ、その側面に周方向に伸びる凹条102が複数形成されたものが挙げられる。 塗布体100は、口腔内製剤を凹条102で保持しつつ、塗布対象に塗布できる。
    塗布体100の材質は、塗布体2の材質と同様である。

    また、例えば、図3(b)に示す塗布体110のように、略円錐形とされ、その側面に螺旋状に伸びる凹条112が形成されたものが挙げられる。 塗布体110は、口腔内製剤を凹条112で保持しつつ、塗布対象に塗布できる。
    塗布体110の材質は、塗布体2の材質と同様である。

    あるいは、図3(c)に示す塗布体120のように、略円錐形とされ、その側面に基端から先端に向けて伸びる凹条122が形成されたものが挙げられる。 塗布体120は、口腔内製剤を凹条122で保持しつつ、塗布対象に塗布できる。
    塗布体120の材質は、塗布体2の材質と同様である。

    さらに他の形態として、図3(d)に示す塗布体130のように、正極端子3の延在方向を長手とする平面視略長方形の板状であってもよい。 塗布体130は、板状であるため広範な領域に口腔内製剤を塗布するのに好適である。
    塗布体130の材質は、塗布体2の材質と同様である。

    また、例えば、図3(e)に示す塗布体140のように、導電性を有する複数のフィラメント(導電性フィラメント)からなる刷毛部144を支持部142に形成したものが挙げられる。
    刷毛部144は、基端から先端に向かうに従い縮径する形状とされている。
    支持部142の材質は、塗布体2の材質と同様である。

    刷毛部144を形成する導電性フィラメントは、導電性高分子を紡糸したフィラメント、導電性高分子を芯とし導電性物質を含まない高分子で被覆した芯鞘構造のフィラメント、導電性高分子を島とし導電性物質を含まない高分子を海とする海島構造のフィラメント、導電性物質を含まない高分子を紡糸しその表面に導電性物質をコーティングしたフィラメント等が挙げられる。 このようなフィラメントは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いられる。
    導電性フィラメントは、体積抵抗率1×10 Ω・cm以下が好ましく、体積抵抗率60Ω・cm以下がより好ましい。
    導電性フィラメントの太さは、特に限定されず、例えば、φ0.05〜0.3mmとされる。

    また、例えば、図3(f)に示す塗布体150のように、導電性フィラメントからなる刷毛部154を支持部152に形成したものが挙げられる。 この刷毛部154は、基端から先端に向かい略同等の径とされたものである。
    刷毛部154を形成する導電性フィラメントは、刷毛部144を形成する導電性フィラメントと同様である。

    また、他の形態として、導電性を有し又は導電性を有しないフィラメントを、導電性を有するワイヤで捻り合わせて、塗布体としてもよい。 ただし、離間部への刺激を緩和する観点から、ワイヤ等の正極端子を覆うように塗布体が設けられていることが好ましい。

    正極端子3の材質は、導電性を有するものであればよく、例えば、金、銀等の金属、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物やカーボン等が挙げられる。
    正極導電部30の材質は、正極端子3と同様である。

    負極端子5の材質は、正極端子3と同様であり、負極導電部50の材質は、正極端子3と同様である。

    (口腔内ケアの方法)
    次に、塗布具1を用いた口腔内ケアの方法について、歯周病バイオフィルム殺菌を例にして説明する。
    まず、塗布体2に口腔内製剤を付着させ、負極端子5に手を当接し把持体4を把持する。 塗布体2を口腔内、例えば、歯間部に挿入する。 塗布体2は、歯間部に挿入されると、口腔内製剤、唾液又は口腔内の水分によって濡れ、口腔内組織と塗布体2とが電気的に導通する。 そして、電流は、電池6の負極62、負極導電部50、負極端子5、使用者の手、体、口腔内、塗布体2、正極端子3、正極導電部30、正極64の順で流れる。 この時、塗布体2から口腔内組織に向けて正電荷の対流が生じ、この対流により反発された正電荷のカチオン性殺菌剤がバイオフィルムに浸透する。 この結果、カチオン性殺菌剤は、バイオフィルム内の病原性細菌に作用し、これらの病原性細菌を死滅させる。 加えて、人体内に1〜100μAの電流が流れるため、電流が、歯茎の血行を促進し、歯茎組織を活性化する。

    上述の通り、本実施形態によれば、カチオン性殺菌剤を含有する口腔内製剤と、正極端子に塗布体が設けられた塗布具とを備えるため、バイオフィルム内にカチオン性殺菌剤を効率よく浸透させ、カチオン性殺菌剤の効果を十分に発揮できる。
    加えて、塗布体が軟質な導電性高分子で構成されているため、歯牙や歯茎への物理的な刺激を緩和できる。

    (その他の実施形態)
    本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
    上述の実施形態では、塗布具が、イオン歯間ブラシとされているが、塗布具は、正極端子に塗布体が設けられていればよく、例えば、把持体に延設されたヘッド部を備え、前記把持体に負極端子を設け、前記ヘッド部に正極端子とこれを覆う導電性のフィラメントを植設した、いわゆるイオン歯ブラシであってもよい。 このイオン歯ブラシに用いられるフィラメントは、先端に向かい漸次縮径する形状のいわゆるテーパー毛であることが好ましい。 テーパー毛は、撓みやすいために、罹患部に痛みを与えにくく、かつ細かい隙間に浸入して、カチオン性殺菌剤をバイオフィルム内に浸透させることができる。

    上述の実施形態では、図3(a)〜(c)の塗布体には、側面に凹条が形成されているが、本発明はこれに限定されず、塗布体の側面には、凹条に換えて凸条が形成されていてもよい。

    上述の実施形態では、塗布体が把持体の長さ方向に延在するイオン歯間ブラシを例にして説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、塗布具は、把持体の長さ方向と交差する方向に塗布体が接続されたイオン歯間ブラシであってもよい。

    以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。

    (製造例1)口腔内製剤の調製 pH7.0リン酸緩衝生理食塩水(PBS溶液)に、塩化セチルピリジニウム(CPC)を溶解し、0.1質量%CPC溶液を調製し、口腔内製剤とした。

    (実施例1)
    導電性シリコン(導電性物質:カーボン、体積抵抗率20Ω・cm)を基端部の直径3mm、長さ10mmの円錐形に成形した塗布体(硬さ(デュロメータAでの測定値)=50)を用い、図1の塗布具1と同様の塗布具を作製した。 この塗布具には、把持体としてポリプロピレンの成形体、正極端子としてφ0.25mmのSUS304製のワイヤー、負極端子として酸化チタン製の平板をそれぞれ用いた。 電源には、9Vの電池を用いた。
    得られた塗布具を用い、以下に示す方法で、殺菌効果及び使用感を評価し、その結果を表1に示す。

    (評価方法)
    <殺菌効果>
    図4に示す実験系200を用いたモデル殺菌試験により、殺菌効果を評価した。
    実験系200は、外容器230と、外容器230内に設けられた内容器220と、塗布具1と、導電性の負極延長体52とを備えるものである。

    外容器230と内容器220を図4のようにセットした。 外容器230には、PBS溶液232を貯留し、内容器220には、内底面に設けたメンブレンフィルター221上にモデルバイオフィルム224を形成し、口腔内製剤222を貯留した。 モデルバイオフィルム224は、森嶋等の方法(口腔衛生会誌54(4)437、2004)に準拠してアクチノマイセス ビスコーサス(A.viscosus)、ベイヨネラ パルビュラ(V.parvula)、フゾバクテリウム ヌクレアタム(F.nucleatum)、ポルフィロモナス ジンジバリス(P.gingivalis
    )の4種混合培養にて形成した。 塗布具1の塗布体2を口腔内製剤222に浸漬し、負極端子5に負極延長体52を接続した。 負極延長体52の先端をPBS溶液212内に位置された負極板54に接続した。
    9Vの直流電流で10分間通電した後、モデルバイオフィルム224の生菌数を測定した。

    <生菌数測定>
    実験終了時にメンブレンフィルター上のバイオフィルムをサンプリングし、これを超音波で分散後、寒天平板上で培養し、寒天平板上のP. ジンジバリスのコロニー数をカウントして生細菌数(CFU/disk)を求め、常用対数logCFUで表した。
    (CFU:colony forming unitの略)

    <使用感>
    10人のモニターが、塗布体を歯間部に挿入した時、及び歯間部から塗布体を引き出した時の歯茎への刺激の有無を下記評価基準に従って評価した。 10人の評価点の平均が2.5点以上を「○」、2点以上2.5点未満を「△」、2点未満を「×」と評価した。

    ≪評価基準≫
    3点:歯茎への刺激を殆ど感じない。
    2点:歯茎への刺激をやや感じる。
    1点:歯茎への刺激を強く感じる。

    (実施例2)
    塗布体の硬さを80とした以外は、実施例1と同様にして塗布具を得、得られた塗布具について使用感を評価した。 評価結果を表1に示す。 なお、本実施例においては、塗布体の硬さによる使用感の差異のみを確認したため、殺菌効果の評価を行わなかった。

    (実施例3)
    塗布体の硬さを90とした以外は、実施例1と同様にして塗布具を得、得られた塗布具について使用感を評価した。 評価結果を表1に示す。 なお、本実施例においては、塗布体の硬さによる使用感の差異のみを確認したため、殺菌効果の評価を行わなかった。

    (比較例1)
    内容器220内の口腔内製剤222に換えてPBS溶液を用い、通電せずに塗布体2をPBS溶液に10分間浸漬した後、バイオフィルムの生菌数を測定し、その結果を表1に示す。 加えて、使用感を評価し、その結果を表1に示す。

    (比較例2)
    PBS溶液に換えて口腔内製剤を用いた以外は、比較例1と同様にしてバイオフィルムの生菌数を測定し、その結果を表1に示す。 加えて、使用感を評価し、その結果を表1に示す。

    (比較例3)
    内容器220内の口腔内製剤222に換えてPBS溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして10分間通電処理した。 通電処理後、バイオフィルムの生菌数を測定し、その結果を表1に示す。 加えて、使用感を評価し、その結果を表1に示す。

    (比較例4)
    内容器220内の口腔内製剤222に換えて、0.1質量%イソプロピルメチルフェノール(IPMP)水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして10分間通電処理した。 通電処理後、バイオフィルムの生菌数を測定し、その結果を表1に示す。 加えて、使用感を評価し、その結果を表1に示す。

    (比較例5)
    表面をポリエチレンで被覆した絶縁性のワイヤ(φ0.25mm、SUS製)を捻り合わせ、このワイヤの間にナイロン製フィラメント(φ0.05mm)300本を挟持させ、基端部の直径3mm、先端部の直径2mm、長さ10mmの塗布体とした。 この塗布体について、実施例1と同様にして殺菌効果及び使用感を評価し、その結果を表1に示す。

    表1に示すように、本発明を適用した実施例1は、logCFUが3.2であり、使用感が「○」であった。 一方、塗布体から正電荷の対流が生じない比較例1,2,5、及びカチオン性殺菌剤に換えてPBS溶液又はIPMP水溶液を用いた比較例3,4は、logCFUが7以上であり、有効な殺菌効果が認められないものであった。
    これらの結果から、カチオン性殺菌剤を含有する口腔内製剤と、塗布体に正極端子を接続した塗布具とを備える口腔内ケアユニットを用いることで、カチオン性殺菌剤をバイオフィルム内に有効に浸透できることが判った。

    1 塗布具 2、100、110、120、13、140、150 塗布体 3 正極端子 4 把持体 5 負極端子 6 電池

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