【技術分野】 【0001】 この出願は、共に継続中の2001年4月5日付け出願の米国仮特許出願第60/281,667号の優先権を主張する。 本発明は、革新的な連接歯間用具、詳しくは、変性熱可塑性エラストマーから製造されたデンタルテープ及びデンタルフロスに関する。 これらの連接歯間用具は、耐細断性であって、例えば、2001年1月22日付けの共に継続中の米国特許出願第60/263,220号に記載された所有者の唾液可溶性の被覆でもって被覆することができる。 これらの連接歯間用具は、1999年6月11日付けの継続中の米国特許出願第09/330,491号及び1999年8月5日付けの継続中の同第09/368,664号の開示に従って更に改善することができる。 【背景技術】 【0002】 モノフィラメント連接歯間用具は、米国特許再発行第35,439号、米国特許第3,800,812号、同4,974,615号、同5,760,117号、同5,433,226号、同5,479,952号、同5,503,842号、同5,755,243号、同5,845,652号、同5,884,639号、同5,918,609号、同5,962,572号、同5,998,431号、同6,003,525号、同6,083,208号、同6,148,830号、同6,161,555号及び同6,027,592号(これらの開示は参照することによりここに含めるものとする。)に記載されている。 これらのデンタルテープは、一般的に、優しさ、フロッシング中の被覆物の送出並びにフロッシング中の取扱の容易さ及び簡便さの点で大きな欠点を有する。 【0003】 ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)を基材とした連接歯間用具が、米国特許第5,209,251号、同5,033,488号、同5,518,012号、同5,911,228号、同5,220,932号、同4,776,358号、同5,718,251号、同5,848,600号、同5,787,758号及び同5,765,576号に記載されている。 今日まで、これらのテープの商業用の変形は、効果的に被覆されず、フロッシング中に活性成分を連接歯間的及び歯肉下的に送出するのに使用することができない。 フロッシング中の取扱いも困難である。 大部分は、消費者に満足できる縁を与えるのに折り曲げなければならない。 更に、多くは、大きな寸法の不一致の問題に悩まされる。 【0004】 マルチフィラメントの連接歯間用具が、米国特許第5,033,365号、同3,943,949号、同6,080,481号、同5,830,495号、同2,667,443号、同4,638,823号、同4,029,113号、同2,772,205号、同4,627,975号、同4,414,990号、同3,699,979号、同3,897,795号、同3,838,702号、同4,776,358号、同5,718,251号、同5,603,921号、同5,558,901号、同5,423,337号、同5,357,990号、同4,986,288号、同3,897,795号、同3,928,618号、同5,433,226号及び同4,033,365号(これらの開示は参照することによりここに含めるものとする。)に記載されている。 【0005】 ヒル他の特許、即ち、米国特許第4,911,927号、同5,098,711号、同5,165,913号及び同5,711,935号には、圧縮塗布マルチフィラメントフロスが記載されている。 全てのマルチフィラメント連接歯間用具は、細断、破断などの点で消費者に大きな問題を提起させる。 PTFE及びその他のモノフィラメント用具の商業的成功のための基礎となっていたのがこの欠点である。 【0006】 上記の参考文献の全ては関連するものであり、よって参照することによりここに含めるものとする。 しかし、これらの参考文献は、本発明の変性熱可塑性エラストマー(即ち、TPE)性のモノフィラメント材料をデンタルテープ又はデンタルフロスとして使用することを教示も示唆もしていない。 また、従来技術のどれも、これらの変性TPEテープが提供する実質的な消費者の利点を現在流布しているテープ以上に並びにマルチフィラメントフロス以上に教示しないし示唆もしていない。 これらの利点を以下に詳述する。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明の目的は、流布しているものよりも大きな利点を提供する連接歯間用具、特にデンタルテープを提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明は、約25%以下の弾性限界と共に、破断点伸びを約50%以下に低下させるべく分子配向を使用して熱可塑性エラストマーを基材としたテープを変性することに関する。 これらの典型的ではないエラストマー特性が優しさの向上と共に達成される。 これらの変性TPEデンタルテープは、フロッシング中に完全に放出される所有者の自立性で唾液可溶性で結晶不含の被覆により被覆することができる。 【0009】 この性質の組合せにより、これらの変性TPEテープに連接歯間用具として独特の資格を与えることができる。 即ち、この典型的なエラストマー延伸性及び弾性限界性の調節が、変性テープを実質的に結晶不含の被覆により被覆すること並びにこれらの被覆を使用中に実質的にフレーキングなしに保持すると共にこれらの被覆の実質的に全部をフロッシング中に口腔中に放出させることを可能にさせる。 【0010】 これらの変性熱可塑性エラストマーテープは、これらの被覆をフロッシング中に放出させると共にこれらの被覆が実質的にフレーキングなしで付着する大きな面積を提供する。 本発明の変性TPEモノフィラメントテープは、今日市販されている商用のPTFE、二成分及びホモ重合体のテープのようなモノフィラメントテープの耐細断性及び向上された連接歯間挿入特性を、ある種の商用のマルチフィラメントデンタルフロスの“手触り”性、口当たり性及び“塗布物”送出性と結び付けるものである。 【0011】 本発明の革新的な熱可塑性エラストマーテープは、“テープとフロス”との間のギャップを埋めるものであり、事実、J&J社のREACH(登録商標)ワックス付きミントデンタルフロスのような商用のワックス付きデンタルフロスと共に、両商用テープ、例えばゴア社のGlide(登録商標)、J&J社のEasy Slide(登録商標)及びOral−B社のSatin(登録商標)に取って代わるものである。 【0012】 唾液可溶性被覆を持つこれらの変性熱可塑性エラストマーテープをモノフィラメントテープの使用者並びにマルチフィラメントフロスの使用者の双方に広くアピールすることは、フロッシング中に広範囲の軟質研磨剤、洗浄剤、マウスコンディショナー及び活性成分を連接歯間に且つ歯肉下に、最低の細断及び破断でもって、送出すると共に、フロッシングの慣行を奨励することを約束する連接歯間用具に大きな進歩をもたらす。 【発明の効果】 【0013】 本発明によるデンタルテープは、流布しているものよりも大きな利点を使用者に提供する。 【0014】 従って、本発明は、約4:1〜約7.5:1の延伸比及び約80℃〜約265℃の延伸温度で実施される溶融紡糸押出によって押出された延伸(配向)熱可塑性エラストマー系のデンタルテープであって、該延伸テープが次の物性: ・約50%以下の破断点伸び、及び・約25%以下の弾性限界を有し、該熱可塑性エラストマーがスチレン系、オレフィン系ブレンド、エラストマーアロイ、ウレタン、コポリエステル、ポリアミド並びにこれらの2種以上の混合物及び(又は)共重合体よりなる群から選ばれることを特徴とする、延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープに関する。 【0015】 有益には、ここに記載する延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、約2.5〜約5のテープ曲げ−撚り指数を有し、溶融紡糸押出中に加工用添加剤が使用されることを特徴とするものである。 【0016】 有利には、加工用添加剤は、有機樹脂キャリアー中の超高分子量ポリジメチルシロキサン、共重合体、ステアリン酸カルシウム及びこれらの2種以上の混合物よりなる群から選ばれる。 有益には、該加工用添加剤のための有機樹脂キャリアーは、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、エチレンマレイン酸共重合体、高密度ポリエチレン、ナイロン及びこれらの2種以上の混合物よりなる群から選ばれる。 【0017】 有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、次の物性: a. 約10ニュートン〜約40ニュートンの破断強さ、 b. 約5〜約8の優しさ認識度、 c. 約30〜約40のショアA硬度、及びd. 約2.5〜約5のテープ曲げ−撚り指数を有する。 【0018】 有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、 ・式1: 【化1】
(ここで、a=16〜40、x=10〜50、b=16〜40である。) ・式2:
【化2】
・式3:
【化3】
・式4:
【化4】
(上記の式で、AはC
19 〜C 21ジカルボン酸であり、Bは次式: −(CH
2 ) 3 −O−[−(CH 2 ) 4 −O−] v −(CH 2 ) 3 − の基であり、n、v、w、y及びzは整数である。 )
・式5:
【化5】
(ここで、PAはポリアミドセグメントを表わし、PEはポリエーテルセグメントを表わし、nは整数である。)
よりなる構造式の群から選ばれるポリアミドからなる。
【0019】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、構造式1:
【化6】
(ここで、a及びb=16〜40、x=16〜50である。)
を有するポリアミドからなる。
【0020】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、構造式2:
【化7】
(ここで、w及びzは整数である。)
を有するポリアミドである熱可塑性エラストマーからなる。
【0021】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、構造式3:
【化8】
(ここで、AはC
19 〜C 21ジカルボン酸であり、Bは次式: −(CH
2 ) 3 −O−[−(CH 2 ) 4 −O−] v −(CH 2 ) 3 − の基である。 )
を有するポリアミドである熱可塑性エラストマーからなる。
【0022】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、構造式4:
【化9】
(ここで、n、y及びwは整数である。)
を有するポリアミドである。
【0023】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、構造式5:
【化10】
(ここで、PAはポリアミドセグメントを表わし、PEはポリエーテルセグメントを表わし、nは整数である。)
を有するポリアミドである。
【0024】
本発明の他の具体例は、熱可塑性エラストマーを基材とした延伸デンタルテープを溶融紡糸するに当たり、次の工程:
a. 該熱可塑性エラストマーを約170℃〜約300℃の範囲の溶融温度で溶融し、
b. 該溶融物を溶融紡糸押出機における好適な寸法のテープ形状の孔に圧送し、
c. 該テープを冷却浴に通しながら該テープを紡糸速度で引取り、
d. 該冷却テープを約4:1〜約7.5:1の間の延伸比で約80℃〜約265℃の間の延伸温度で延伸することを含む、延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープの溶融紡糸押出方法である。
【0025】
有利には、本発明に従う方法は、更に、溶融紡糸押出機であって、該テープ形状の孔が約1.05mm〜約2.15mmの幅及び約0.05mm〜約0.09mmの厚みを有する孔から選ばれ、これらの孔から生じるテープが約700〜約1700の間のデシテックスを有することを特徴とするようなものを利用する。
【0026】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、約15%までの弾性限界を有する。
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、約2.5〜約5のテープ曲げ−撚り指数を有する。
【0027】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、実質的にフレーク不含である、自立性で唾液可溶性で結晶不含の被覆でもって被覆することができ、該被覆はフロッシング中に連接歯間に且つ歯肉下に実質上完全に放出されるものである。
【0028】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、自立性でフレーク不含の唾液可溶性の被覆をフロッシング中に連接歯間に且つ歯肉下に送出させるのに使用することができる。
【0029】
有利には、本発明に従う延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープは、商用のデンタルテープよりも相当に低いショア硬度を有する、自立性で結晶不含の被覆でもって被覆することができる。
【0030】
本発明の他の具体例は、口腔内の連接歯間及び歯肉下の領域を処置するに当たり、該領域を、約50%以下の破断点伸び及び約25%までの弾性限界を有する延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープであって、実質的にフレーク不含であり且つフロッシング中に該テープから完全に放出される自立性で結晶不含の被覆でもって被覆されてなるものによってフロッシングすることを含む、口腔内の連接歯間及び歯肉下領域の処置方法からなる。
【0031】
本発明の他の具体例は、緑、青、水色、オレンジ色及び紫よりなる群から選ばれる色を全体にわたって有する延伸熱可塑性エラストマー系デンタルテープを提供することからなる。
【0032】
図面の説明本発明の変性熱可塑性エラストマー系デンタルテープを図1、2及び3により詳述する。
図1については、本発明のデンタルテープに好適であるブロック共重合体熱可塑性エラストマーの形態を例示するが、Aは溶融条件でのブロック共重合体の硬質熱可塑性領域を描写し、Bは固化条件でのブロック共重合体の軟質エラストマー領域を描写する。
図2については、6群の変性可能な熱可塑性エラストマーの相対的コストを性能のレベルに対して比較する。
図3については、広範な物質について加えられた力対伸びのプロットを示す。 加えられた力が低い場合(例えば、指の周囲に巻いた本発明のデンタルテープを引っ張ることにより加えられるであろう力)には、物質は、弾性限界に達するまで容易に伸びる。 次いで、更なる力が永久歪みの点に達するまでそれほどの伸びなしに加えられるはずであり、そして永久変形による伸びが導入される。 極限強さ(本発明のために示す実施例ではニュートンで表わした破断強さ)の点で、テープは破断し、応力が解除される。
【0033】
重要な定義本発明のためには、溶融温度、延伸温度、延伸比、破断強さ、デシテックス、破断点伸び、ショアD硬度を含む重要な技術用語が従来技術において記載されるように認められた定義を有するが、これに対して優しさ認識度、テープ曲げ−撚り指数及び弾性限界は本発明のために後記の表4〜7の導入部に記載するように定義される。
【0034】
発明の好ましい観点本発明の好ましい観点の一つによれば、約4:1〜約7.5:1の延伸比及び約80℃〜約265℃の延伸温度で実施される押出によって形成された連接歯間用具であって、該延伸された用具が次の物性:
・約50%以下の破断点伸び、及び・約25%以下の弾性限界を有し、該熱可塑性エラストマーがスチレン系、オレフィン系ブレンド、エラストマーアロイ、ウレタン、コポリエステル、ポリアミド並びにこれらの2種以上の混合物及び(又は)共重合体よりなる群から選ばれることを特徴とする、連接歯間用具が提供される。
【0035】
本発明の他の好ましい観点に従えば、約4:1〜約7.5:1の延伸比及び約80℃〜約265℃の延伸温度で実施される溶融紡糸押出によって押出された延伸熱可塑性エラストマー系連接歯間用具であって、該延伸テープが次の物性:
・約50%以下の破断点伸び、及び・約25%以下の弾性限界を有し、該熱可塑性エラストマーがスチレン系、オレフィン系ブレンド、エラストマーアロイ、ウレタン、コポリエステル、ポリアミド並びにこれらの2種以上の混合物及び(又は)共重合体よりなる群から選ばれることを特徴とする、延伸熱可塑性エラストマー系連接歯間用具が提供される。
【0036】
本発明の他の観点に従えば、約4:1〜約7.5:1の延伸比及び約80℃〜約265℃の延伸温度で実施される溶融紡糸押出によって押出され、しかも約50%以下の破断点伸び、約25%以下の弾性限界及び約2.5〜約5のテープ曲げ−撚り指数を、フロッシング中に自立性でフレーク不含の唾液可溶性の被覆を放出させる能力と共に有する分子配向された熱可塑性エラストマー系連接歯間用具が提供される。
【0037】
本発明の他の好ましい観点に従えば、熱可塑性エラストマーを基材とした連接歯間用具を押出すに当たり、次の工程:
a. 該熱可塑性エラストマーを約170℃〜約300℃の範囲の溶融温度で溶融し、
b. 該溶融物を押出機における好適な寸法形状の孔に圧送し、
c. 該用具を冷却浴に通しながら該用具を紡糸速度で引取り、
d. 該冷却用具を約4:1〜約7.5:1の間の延伸比で約80℃〜約265℃の間の延伸温度で延伸することを含む、熱可塑性エラストマー系連接歯間用具の押出方法が提供される。
押出機は、押出ダイ又は紡糸口金よりなっていてよい。
【0038】
本発明の他の好ましい観点に従えば、熱可塑性エラストマーを基材とした延伸連接歯間用具を溶融紡糸するに当たり、次の工程:
a. 該熱可塑性エラストマーを約170℃〜約300℃の範囲の溶融温度で溶融し、
b. 該溶融物を溶融紡糸押出機における好適な寸法形状の孔に圧送し、
c. 該用具を冷却浴に通しながら該用具を紡糸速度で引取り、
d. 該冷却用具を約4:1〜約7.5:1の間の延伸比で約80℃〜約265℃の間の延伸温度で延伸することを含む、延伸熱可塑性エラストマー系連接歯間用具の溶融紡糸押出方法が提供される。
【0039】
上記の五つの段落で説明した連接歯間用具の特に好ましい具体例は、歯科用の連接歯間用具であって、デンタルテープ又はデンタルフロスの形態であってよいものである。
【0040】
本発明の特に好ましい具体例は、変性熱可塑性エラストマーから製造されたデンタルテープ又はデンタルフロスに関する。 これらのテープ又はフロスは、耐細断性であり、所有者の唾液可溶性の被覆、例えば、2001年1月22日付け出願の共に係属中の米国特許出願“発明の名称:改良されたデンタルテープ”に記載のものによって被覆され得る。
【0041】
本発明の特に好ましい具体例は、約25%以下の弾性限界と共に破断点伸びを約50%以下に低下させる分子配向を使用して、熱可塑性エラストマー(TPE)を基材としたテープを変性させることに関する。 好ましい具体例では、これらの典型的でないエラストマー特性が、破断強さ及び優しさの向上と共に達成される。 これらの変性TPEデンタルテープは、フロッシング中に完全に放出される所有者の自立性で唾液可溶性の結晶不含の被覆でもって被覆することができる。
【0042】
この性質の組合せは、特に好ましい具体例のこれらの変性TPEテープに連接歯間用具として独特の資格を与えることができる。 即ち、この典型的なエラストマーの延伸及び弾性限界特性の調節が、変性テープを実質的に結晶不含の被覆でもって被覆すること並びにこれらの被覆を使用中に実質的にフレーキングなしに保持すると共にこれらの被覆の実質的に全部をフロッシング中に口腔中に放出させることを可能にさせる。
【0043】
特に好ましい具体例のこれらの変性熱可塑性エラストマーテープは、これらの被覆をフロッシング中に放出させると共にこれらの被覆が実質的にフレーキングなしに付着する大きな面積を提供する。 好ましい具体例の変性TPEモノフィラメントテープは、今日市販されているPTFE、二成分及びホモ重合体の商用テープのようなモノフィラメントテープの耐細断性及び向上された連接歯間挿入特性を、ある種の商用のマルチフィラメントデンタルフロスの“手触り”性、口当たり性及び“塗布物”送出性と結び付けるものである。
【0044】
本発明の他の好ましい観点は、約50%以下の破断点伸び及び25%までの弾性限界、即ち、延伸前の寸法に戻らないという延伸後の傾向を有する変性熱可塑性エラストマー系デンタルテープを開発することである。
【0045】
本発明の他の好ましい観点は、実質的にフレーク不含の自立性で結晶不含の被覆でもって被覆することができる変性熱可塑性エラストマー系デンタルテープを開発することである。
【0046】
本発明の更に好ましい他の観点は、唾液可溶性の被覆をフロッシング中に連接歯間に且つ歯肉下に送出させるためのデンタルテープとして使用するのに好適な、向上した靭性と優しさを有する変性熱可塑性エラストマー系テープを開発することである。
【0047】
本発明の更に好ましい他の観点は、スチレン系、オレフィン系ブレンド、エラストマーアロイ、ウレタン、コポリエステル及びポリアミドを含めて広範囲の熱可塑性エラストマーから変性熱可塑性エラストマー系デンタルテープを開発することである。
【0048】
本発明の更に好ましい観点は、向上した靭性と優しさ及び約50%以下の破断点伸びを25%までの弾性限界と共に有する変性熱可塑性エラストマー系デンタルテープを製造する方法を提供することである。
【0049】
本発明の他の好ましい観点は、使用中に放出される唾液可溶性の被覆でもって被覆された変性熱可塑性エラストマー系デンタルテープを使用して連接歯間及び歯肉下部位を処理し、洗浄し及び(又は)フロッシングするための手段を提供することである。
【0050】
本発明の更に他の好ましい観点は、モノフィラメントテープ及びマルチフィラメントデンタルフロスよりも優れた消費者属性を提供する変性熱可塑性エラストマー系デンタルテープを提供することである。
【0051】
本発明の更に好ましい観点は、自立性で結晶不含で完全に唾液可溶性のフレーク不含の被覆でもって被覆するのに好適な低コストの優れたモノフィラメントテープを提供することである。
【0052】
本発明の最後の好ましい観点は、自立性で結晶不含の唾液可溶性の被覆でもって被覆された変性熱可塑性エラストマー系デンタルテープによってフロッシングしない人のうちのフロッシング慣行を向上させることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明のテープは、熱可塑性エラストマー(TPE)から押出される。 熱可塑性エラストマーは、慣用の加硫されたゴムとは異なって、熱可塑性物質のように加工処理し、リサイクルすることができる多様な部類のゴム様物質である。 特性及び機能的用途の面において、TPEはゴムである。 加工処理及び製造の面において、TPEは熱可塑性である。
【0054】
TPEは、1950年代に熱可塑性ポリウレタン(TPU)の開発と共に誕生した。 これらは、1930年代にポリウレタンの発見から進化した最初の真正の商用TPEであった。 強く可塑化されたポリ塩化ビニル(PVC)が、第二次世界大戦の直前にB. F. グッドリッチ社から市販され、多くの望ましいゴム様特性を有するが、ゴムの認められた定義を満たさない。
【0055】
1960年代の初期に、シェルデベロップメント社が、別の部類のTPEであるスチレン−ジエンブロック共重合体を工業市場に導入した。 これらに続いて、1970年代にジュポン社からコポリエステル(COP)が、またユニローヤル社から熱可塑性ポリオレフィンエラストマーブレンド(TPOとして知られる。)が続いて出た。 また、若干のエラストマー性と熱可塑性加工性を持ったPVCとニトリルゴム(NBR)とのブレンドがこの間に開発されたが、北米及び欧州におけるよりも日本で多くの意義を有した。 エラストマーアロイ(EA)(ここでは、熱可塑性加硫物と称する。)が、モンサント化学社より1981年に市販され、これは熱可塑性の架橋ゴムの組成物に基づいていた。 最高の性能と最高のコストのTPEであるエラストマー性ポリアミド(PEBA)が1980年代の初期に導入された。
【0056】
実質上全てのTPEは、少なくとも二つの重合体相:硬質熱可塑性相及び軟質エラストマー相を有する。 生じるTPEの性質は、二つの相のそれぞれの性質並びにそれらの相互作用から誘導される。 二つの相は、ポリプロピレン(PP)のような硬質熱可塑性プラスチックとエチレン−プロピレン三元共重合体(EPDM)のような軟質エラストマーとのブレンドにおけるように、熱可塑性エラストマー性オレフィン(TEO)を与えるように2種の異なった重合体を単に混合することによって生じさせることができる。 このようなブレンドのエラストマー相の動的な加硫(高剪断及び高温の条件下での)は、慣用の熱硬化ゴムの性質にもっと近似する性質を持った熱可塑性加硫物(TPV)を与える。 また、TPEの二つの相が、共通の重合体主鎖に沿って交互の硬質及び軟質のセグメントとして存在し得る。 これはブロック共重合体についての場合であるが、多くの商業的に重要なTPEの基礎である。 表1は、六つの異なった一般的部類のTPEの性能特性を比較する。
【0057】
本発明の目的にとって好適な種々のTPEが次の米国特許第5,086,121号、同4,311,628号、同5,354,811号、同5,070,111号及び同5,244,978号並びに後記の表4に記載の種々の商用TPEをカバーする対応特許に記載されている(これらの全ては参照することによってここに含める。)。
【0058】
【表1】
【0059】
TPEの性能特性は、硬質熱可塑性相の融点(T
m )及び軟質エラストマー相のガラス転移温度(T g )に依存する。 TPEのために有用な温度範囲はT mとT gとの間にある。 この範囲内では、硬質熱可塑性相は溶融し、TPEは流体になるので、通常の熱可塑性技術により加工処理することができる。 T gより下では、TPEは脆くなり、その有用なエラストマー特性の全てを失う。 【0060】
ブロック共重合体TPEは、以下に例示するように、共通の重合体鎖に沿って硬質セグメントと軟質セグメントの両方を含有する。 図1を参照されたい。 硬質相の有効T
mより低い温度では、硬質セグメントは硬い領域中に凝結し、TPEを固体にさせる。 これらの温度では、軟質セグメントは、TPEに少なくとも何らかのエラストマー性を付与する非晶質のゴム状領域として存在する。 ブロック共重合体TPEの有用な供用温度領域においては、硬質相は、熱硬化ゴムの架橋がエラストマー鎖の運動を制限するのと全く同様に、軟質相セグメントの運動を制限する。 TPEブロック共重合体には、スチレンとジエンとの重合体(スチレン系)、コポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテルブロックアミドが含まれる。 本発明の目的のために有用な六つの部類のエラストマーのうちで、コポリエステル及びポリアミドが本発明のテープのために特に好ましい。
【0061】
−A−B−A−B構造(ここで、A及びBはエステル結合によって連結された交互の硬質及び軟質の重合体セグメントである。)を持つ重合体は、コポリエステルCOPとして知られる。 これらは、次の構造式:
【化11】
(ここで、a=16〜40、x=10〜50、b=16〜40である。)
で例示される。
【0062】
これらのブロック共重合体は、有機二塩基酸とジオールとの典型的に硬質の結晶質重合体である単純なポリエステルとは異なっている。 図2に示すように、COPは、優秀な特性の組合せを提供し、従ってTEO又はTPVよりも高価である。
【0063】
COPの形態は、図1に示すものである。 これらの物質は、A及びBの構造が有用な温度範囲にわたってゴム性を共重合体に与えるように選ばれるならば、TPEとして働く。 軟質セグメントのガラス転移点がCOPのためのT
gを規定するので、作業している物質が受ける最低の温度での脆化を防止するのに十分に低くあるべきである。 このセグメントの構造は、エラストマー性能のために必要とされる可撓性及び易動性を提供する。 硬質セグメントの融点は、該物質が経験する最高温度で作られた形状を保持させるのに十分に高いが、しかし、標準的な熱可塑性装置上での加工処理を可能ならしめるのに十分に低くあるべきである。 軟質セグメントに必要な特性は、上に記載した構造式で例示されるようなポリエーテル結合によって提供される。 【0064】
本発明のデンタルテープに使用するのに好ましいTPEは、ポリエーテルブロックアミド、PEBA並びにポリエステル/エステルTPEである。 ブロック共重合体のPEBAは、これらのTPEの硬質セグメントと軟質セグメントを連結させるアミド結合を有するが、軟質セグメントはCOPに類似するポリエステル又はポリエーテル構造を有することができる。 三つの典型的な商用PEBAの構造式を以下に記載する。
【化12】
(上記の式で、AはC
19 〜C 21ジカルボン酸であり、Bは次式: −(CH
2 ) 3 −O−[−(CH 2 ) 4 −O−] v −(CH 2 ) 3 − の基であり、n、v、w、y及びzは整数である。 )
【0065】
PEBAの形態は、図1に示す通りの典型的なブロック共重合体のそれである。
【0066】
PEBAの硬質ブロックと軟質ブロックを連結するアミド結合は、エーテル又はウレタン結合のいずれよりも耐薬品性である。 この理由から、PEBAは、典型的に、TPU又はCOPよりも高い耐熱性及び耐薬品性を有し、その結果それらのコストはより大きい。
【0067】
また、硬質ブロックと軟質ブロックの構造は、PEBAの性能特性に寄与する。 軟質セグメントは、ポリエステル、ポリエーテル又はポリエーテルエステル鎖からなっていてよい。 ポリエーテル鎖は良好な低温特性及び耐加水分解性を与えるが、軟質セグメントにおけるポリエステル鎖は高められた温度で良好な流体抵抗性及び耐酸化性を与える。 その他のブロック共重合体TPEにおいては、同じように、硬質セグメントの性質がPEBAの融点及びそれらの高められた温度での性能を決定する。
【0068】
PEBAは、72ショアDの高さから下がって60ショアAまでの広い硬度範囲をカバーし、従って、COPよりも軟質であり得るが、若干のTPUほどに軟質ではない。 これらのエラストマーPEBAは、周囲温度で有用な引張特性を有し、また高温でこれらの特性の優秀な保持を達成する。 50ショアAのPEBAは、その引張強さ及び弾性率を100℃で50%以上保持する。 PEBAを硬質相の融点よりも高い温度でアニールと、引張強さ、弾性率及び極限伸びの有意な増大がもたらされる。 PEBAは、耐摩耗性においてTPUに劣るだけであり、デンタルテープとして使用するのに理想的である優秀な耐疲労性及び引裂き強さを示す。
【0069】
本発明の目的のために好ましい他のPEBAは、エルフアトケム社のPEBAX(登録商標)ポリエーテルブロックアミドである。 PEBAXの構造は、可撓性のポリエーテルセグメントが間に入っている硬質ポリアミドセグメントの規則的な線状鎖よりなる。 PEBAXは、次の一般化学式:
【化13】
(ここで、PAはポリアミドセグメントを表わし、PEはポリエーテルセグメントを表わし、nは整数である。)
を有する。
【0070】
固体状での高分子鎖の配置の分析では、図1に例示するものと類似する形態学的構造を示し、非晶質/溶融相と固化した結晶相を有する。
【0071】
PEBAXポリエーテルブロックアミドは、広い融通性の範囲にわたり顕著な機械的、物理的及び化学的特性を演ずる可塑剤不含の熱可塑性エラストマーである。
PEBAXポリエーテルブロックアミドは、標準ASTM2240に基づいて、70A〜72Dのショア硬度を有する種々のPEBAX等級によって、ショア硬度の点で熱可塑性プラスチックとゴムとの間のギャップを埋めるものである。
PEBAXは、ポリアミドの押出のために使用されるのと同じタイプの機械及びスクリューを使用して押出すことができる。
PEBAX33シリーズの樹脂が本発明のデンタルテープを押出すのに特に好ましい。 PEBAX33シリーズ樹脂の重要な性質の比較を表2に記載する。
【0072】
【表2】
【0073】
変性のために好適なその他の好ましい熱可塑性エラストマーには、熱可塑性オレフィン(TPO)ブレンド、スチレン−ブロックTPEと選ばれた位置での可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)が含まれる。 例えば、Vistaflex(登録商標)エラストマーは、未加硫のゴム相を有するTPOである。 特に好ましいVistaflexエラストマーには、Vistaflex641−N及びVistaflex671−Nがある。
【0074】
表5において例27〜32に記載するTPEは、弾性限界と好ましい実用性係数を有する最も有望な破断強さのテープのいくつかを提供する。
【0075】
本発明の変性熱可塑性エラストマーテープは、繊維の溶融紡糸押出方法を使用して製造される。 この方法では、熱可塑性エラストマー溶融物が、これを小さいオリフィスに圧送し、次いでそれを該オリフィスから巻取装置により紡糸速度(これはオリフィスの入口での速度よりも高い。)として定義される速度で引き抜くことによってテープに賦形される。
【0076】
デンタルテープとして特に有用なTPEテープは、ある範囲の寸法に切ることができる一連の孔を持つダイから製造される。 例えば、好適な寸法の孔には、6mm×0.4mm、8mm×0.25mm、5mm×0.375mm、12mm×0.325mm及びこれらの二つ以上の種々の組合せが含まれる。 本発明の特に好ましい具体例では、ダイは、それぞれ次の寸法:8mm×0.325mmに切られた12個の孔を有する。 このダイを付けた押出機が同時に押出テープ12本のテープを生じさせる。
【0077】
好ましくは、それぞれの孔の出口と巻取装置との間で、引落しスピンラインのそれぞれが水浴に通すことによって冷却される。 続いて、この紡糸されたテープは、上で検討した独特の予期できなかった特性を付与するべく固体状態で引取ることによって更に延伸される。 これはこれらのテープを歯科用用具として特に効果的にさせる。
【0078】
この延伸は、本発明のTPE変性テープの伸びを実質的に低下させ、それに弾性限界を付与する。 50%以下の伸びは、好ましい約20%〜約40%の間の伸びと全く共通している。 延伸熱可塑性エラストマーの最も予期できなかった特色は、伸ばした後に元の寸法に戻らないという傾向、即ち、弾性限界である(後記の表4〜7及び図3を参照。)。 この低下された伸びは、伸ばした後に元の寸法に戻ることに対する抵抗性と結び付いて、フレーク不含の唾液可溶性の被覆を被覆するための手段を提供すると共に、有効な連接歯間用具の性能にとって必須である手触り、優しさ、靭性及び耐細断性を提供する。
【0079】
溶融紡糸とこれに対応する繊維構造の形成が1932年に最初に記載され、最初の成功した商用の溶融紡糸法は1939年におけるナイロン66のものであった。 しかし、スピンラインの動力学並びにスピンラインに沿って起こる流動学的な及び構造形成の現象の最初の定量的な説明は1959〜1962年に刊行された文書に現われた。 それ以来、いくつかの研究が、定常状態の繊維紡糸の機構、スレッドラインの安定性、スピンラインに沿った構造の展開並びに紡糸繊維の性質に及ぼす紡糸条件の効果について発表された。 これらの教示の全ては、ここで参照することによってここに含める。
【0080】
更に、以下に詳細に説明するようなある種の加工用添加剤が本発明の溶融紡糸法に使用されたときに、熱可塑性エラストマー分子が効果的に変性されて、即ち、配向されて、連接歯間用具としてのこれらの熱可塑性エラストマー系テープの性能にとって非常に重要である低い伸び及び“伸ばした後に元の寸法に戻らない”という性質を生じさせ得ることが予期せずして見出された。
【0081】
本発明の押出方法に有用なこれらの加工用添加剤は、加工処理速度、エラストマーの流れを増大させ、エネルギー消費、加工温度及び圧力の低下を助成させる。 最終製品に関しては、これらの加工助剤のある種のものは、テープの機械的性質を向上させ、表面欠陥及び溶融破壊を低下させる。 更に、シリコーン添加剤のある種のものは、滑性、スリップ及び耐摩耗性を向上させると共に摩擦係数を低下させる。 これらの製品性能の全ては、本発明の変性TPEテープの性能に実質的に寄与する。
【0082】
これらの加工用添加剤は、通常、約0.6%〜約1.0%のレベルで使用されるが、特別のテープの性質を向上させるためにときには5%ほどに高いレベルが使用される。 後記の表4〜7を参照されたい。
【0083】
加工助剤が、TPEに融解及び溶融性を高めるために添加される。 これらの加工助剤は、典型的に非常に高分子量のポリジメチルシロキサン重合体であり、乾燥ブレンド中に低レベルで使用される。 それらは、TPEと溶融混合装置の内部金属表面との間の摩擦力を増大させてTPEの融解を高めるように機能する。 また、これらの加工用添加剤の高い分子量が溶融粘度の制御を助成するのにも有効である。
【0084】
これらの加工用添加剤は、通常は、ペレットとして、エラストマーペレットと混合されて紡糸方法中に導入される。 しかし、これらの加工用添加剤のさらさらした粉末がペレット形態よりも望ましい場合がある。
【0085】
本発明で使用するのに好適な商用の超高分子量のポリジメチルシロキサン添加剤は、一般に、有機樹脂キャリアー、例えば、高密度ポリエチレン、高耐衝撃性ポリスチレン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、ポリプロピレン、エポキシ反応性を持つ熱可塑性プラスチック、メタクリレート反応性を持つ熱可塑性プラスチック、アミン反応性を持つ熱可塑性プラスチックと混合される。 これらの加工用添加剤は、MI、ミッドランド、48686−0994のダウコーニング社から、商品名:ダウコーニングMB50−002(ポリエチレンに分散されたシリコーン)、MB50−004(高耐衝撃性ポリスチレンに分散されたシリコーン)、MB50−010(ハイトレルポリエステルエラストマーに分散されたシリコーン)、MB50−001(ポリプロピレンに分散されたシリコーン)、4−7105ロジン変性剤、4−7051ロジン変性剤、4−7081ロジン変性剤、1−9641ロジン変性剤で商業的に入手できる。 表4〜7を参照されたい。
【0086】
本発明のデンタルテープに好適なその他の加工用添加剤の例としては、アトフィナ社製のKynar Flex PPAのような弗素化共重合体、樹脂キャリアー不含のポリジメチルシロキサン(数百万〜5千万csの分子量を持つPDMS物質を含む。)がある。
【0087】
本発明の熱可塑性エラストマーテープの延伸方法に対するステアリン酸カルシウムのような加工助剤の影響は、後記の表4〜7における実施例のいくつかで明瞭に立証される。
【0088】
大抵のデンタルテープは、白色テープとして市販されている。 従って、好ましくは、TiO
2の“白色充填剤”が押出方法において添加される。 例えば、表4〜7に記載のテープはそれぞれ3%のTiO 2を含有する。 勿論、その他の着色成分を必要に応じて添加することができよう。 例えば、青、緑及び水色テープを生じさせるための顔料が、“ミント”の香りを暗示させる緑色のテープ及び清潔を暗示させる青色のテープで好適であろう。 本発明にとって好適な種々の着色され物理的に変性されたテープが、下記の共に継続中の米国特許出願に記載されている。 【表3】
これらの仮出願をここで参照することによってここに含める。
【0089】
本発明のTPEテープの向上した柔らかさはテープ消費者の優しさ認識度にとって重要であり、このことは流布している商用のモノフィラメントテープ及びワックス被覆マルチフィラメントフロスを超える明白な利点である。
【0090】
後記の表4〜7は、本発明の種々の変性TPEテープを詳細に記載する。 “実用性係数”、優しさ認識度、テープ曲げ−撚り指数及びショアD硬度は、全て消費者による優しさの認識度に寄与する。
【0091】
本発明のテープの巻取られたボビンは、フレックスバー社の携帯ショア硬度試験機、モデルNo. 18877で試験したときに、競争的なテープよりも相当に低いショアD硬度値を示した。 後記の表3を参照されたい。 この優しさの様相は、主として、本発明の変性TPEテープに適用された自立性で唾液可溶性のフレーク不含の被覆によるところである。
【0092】
【表4】
【0093】
伸び及び弾性限界の値を低下させるように熱可塑性エラストマーテープを変性させること、即ち、テープが伸ばした後に元の寸法に戻らないという傾向は、本発明の熱可塑性エラストマーにとって独特なものである。 これらの部類の熱可塑性エラストマーテープの性質を変性させる技術分野における唯一の教示は“架橋方法”であるが、この場合には架橋性の単量体が熱可塑性エラストマーに低下した弾性を付与するように活性化されるものである。 MDDI Magazine(1999年6月)のL. A. アクアルロ Jr、C. J. オネイルによる論文“製品性能の向上のための架橋性熱可塑性エラストマー”を参照されたい。 また、ジュポン社のTetrathanePTMEGブタンジオール技術情報の第11頁を参照されたい。
【実施例】
【0094】
本発明を後記の種々の実施例により更に説明し例示する。
【0095】
例1
本発明に有用な変性熱可塑性エラストマーを基材としたデンタルテープを次のように製造した。
PEBA顆粒(PEBAX5033ペレット)を乾燥させ、押出機ホッパーに導入する。 別のホッパーで、二酸化チタン(TiO
2 )(PEBAキャリヤーを加えて)及び加工助剤であるダウコーニングMB−50−001超高分子量シリコーン(PDMS)のタンブルブレンドマスターバッチをポリプロピレン(PP)に分散させる。 【0096】
PEBAとマスターバッチの比率を次に示す。
90%のPEBA
10%のマスターバッチ(20%TiO
2 /PP及び80%PDMS/PPに分類される) (白色マスターは60%TiO
2 :40%PPであり、シリコーンは50:50である)。 【0097】
製造に使用されたパラメーターは次の通りである(加工範囲は括弧内に示す)。
押出機では、次の加工条件に従う。
供給部:220℃(200℃〜230℃)、
圧縮(中央)部:260℃(240℃〜280℃)、
計量部:260℃(240℃〜280℃)、
フィルター部:260℃(240℃〜280℃)、
ポンプ部:260℃(240℃〜280℃)、
ダイ部1:270℃(250℃〜285℃)、
ダイ部2:270℃(250℃〜285℃)、
ダイ部3:270℃(250℃〜285℃)。
次の3点で圧力を制御する:
プレフィルター:1200psi(1000−1400)、
プレポンプ:1200psi(1000−1400)、
ダイヘッド:200psi(100〜300)、
計量ポンプ:9.3rpm(8〜11)。
【0098】
この押出機は、8mm×0.375mmにカットされた孔を有するダイから12本のPEBAテープを製造する。
【0099】
押出機から、このテープを冷却するために水浴に導入する。 この水浴は、ダイから垂直に5〜10mmあり且つ19〜21℃に保持されている。 次いで、テープの12個の端部をガイド棒の下に送り、次いで45°の角度でその上の水除去用ファン棒に送る。 第2水除去用棒がこれよりも上に垂直に存在し、押出物は「S」字形を形成する。
【0100】
押出物を水浴及び水除去用棒に通すのに必要な引張り作用は、一連の初期引取りローラーによって達成される。 これは、一連の5個のローラー(3個が上部にあり、2個が下部にある)であり、このうち端部が通過する最後の2個のローラーが加熱される。
ローラーの引取り設定:1分当たり15.3メートル(14〜16)、
加熱されたローラー(両方):100℃〜110℃(95℃〜120℃)。
冷却後、テープを次のように延伸する:
端部を、第2の一連の5個ローラーによって制御された速度増加でもって熱板上で延伸する。
熱板の温度:130℃(120℃〜140℃)、
ローラー速度:1分当たり103メートル(95〜110)。
これらのローラーは、積極的には加熱又は冷却されない。
【0101】
延伸後には、最終特性を「設定」することに加えて、僅かな伸縮性が材料に戻る「緩和段階」がある。 再度、上記のような5個のローラーの配置を使用して端部を熱板上で引っ張る。 このローラーのセットを、冷却器を経た循環水によって冷却する。
熱板の温度:130℃(120℃〜140℃)、
ローラー速度:1分当たり100メートル(92〜107)、
循環水の温度:18℃(16℃〜20℃)。
【0102】
次いで、端部を、独立した張力及びトルク制御を有し、しかも条件にあったフェノール樹脂製コーンに巻き付ける。
この実験についての最終製品の規格値を次に示す。
幅:1.3mm±0.1mm
厚さ:0.060mm±0.01mm
デシテックス:650〜800
靱性:>25N
伸び:25〜40%。
【0103】
次いで、最終製品を同時係属特許出願第60/263,220に記載され且つ特許請求されたような被覆方法を使用して、該同時係属仮特許出願に記載され且つ特許請求されたような結晶不含で実質的にフレーク不含の唾液に可溶の被覆剤で被覆した。
【0104】
次いで、このテープの完成被覆バージョンを、一連の単体の家庭選定試験で、被覆されていないテープ及びGlide(登録商標)に対して消費者試験した。 本発明の被覆された変性TPEテープは、11種の重要な消費者属性のそれぞれについてその他のテープよりも好ましかった。
【0105】
例2〜59
本発明の目的に好適な様々なTPEを以下の表4〜7に示す。 全てのパーセンテージは重量%である。 詳述されるような実用性係数と共に、示された破断に至るまでの伸び、靱性及び弾性限度の値は、本発明のデンタルテープの予期されないユニークな特徴を明らかに示している。
【0106】
表4〜7の概説:
テープ組成物に関連する定義:
「熱可塑性エラストマーのタイプ」とは、実施されるときの本発明の特性ではなく、本発明のための出発原料を定義している。 これらのエラストマーは、定義及び本来の目的では、「ゴム状」であり且つ100%以上、多くの場合200〜300%容易に伸長又は圧縮されるという特性を有する。 そのため、解放されるときには、何度でも元の寸法に戻ることができる。 このような特性は、「ゴムバンド」効果、スポーツ用品、衝撃吸収剤、延伸フィルム、延伸性の衣類及び靴下などに有用である。 本発明を実行する過程において、熱可塑性エラストマーの分子はかなり配向されるため、その伸縮及び戻り特性が大きく減少し、いくらかの例では、「弾性限度」がゼロにまで効果的に減少する。 本発明の方法及び化学の終了時には、該材料はもはやエラストマーの典型的な特性しか有しないものではなく、ここで記載されるようなデンタルフロス用テープとして使用するのを好適にさせる新規で非常に驚くべき特性を呈する。 しかして、本発明のデンタルテープは、「変性熱可塑性エラストマー」と呼ばれる。 なぜならば、これらのものは、もはや戻りに関して予期される伸長又は圧縮特性しか有しないものではないからである。
【0107】
「シリコーン加工助剤」とは、超高分子量のポリジメチルシロキサン及び関連するシリコーンを示している。 例及び例示例では、シリコーンを取り込むために2つの方法が使用されている:
(a)シリコーンがポリプロピレンのような別の重合体(典型的には50%のシリコーン濃度で)又は熱可塑性エラストマー出発原料の一部分に実質的に等しい重合体(例えばコポリエステル/ポリアミドと共に使用するためのポリアミド様ナイロン)に予備配合されたマスターバッチ材料、
(b)出発TPE自体、及び(c)ペレット化又は粉末の形の純粋なシリコーン。
【0108】
表は、「第2の重合体添加」の欄にキャリヤー重合体の適切な量を含めることによってどういう場合にTPEとは別の重合体がマスターバッチに使用されるのかを明らかに例示している。 シリコーン加工助剤が純粋なシリコーン又は予備配合されたもののいずれかとして導入された場合には、第2重合体の欄への記入はない。 なぜならば、その化学の効果が同一であり、しかもその選択が作業者の便宜の一つだからである。
【0109】
TiO
2は非常に細かく分割されるため、マスターバッチとして添加されなければならない。 従って、実施例で使用されるときには、キャリヤー重合体の当量も第2重合体の欄に含められる。 【0110】
「第2重合体」は、上記の注(2)及び(3)で触れた目的のために含められる。 また、これらのものは、TPEをさらに変性させて本発明のある種の所望の特性を達成させるためにも含められる。 EMA、Adflex、ナイロン、HDPE及びPBTの例は、本発明が本発明によって予期されるような変性助剤を更に添加するために当業者に容易に利用されることを示している。
【0111】
「その他の添加のタイプ」とは、ステアリン酸カルシウム及びPVDFのような標準的な「加工」助剤及び変性助剤も本発明の教示の範囲内にあることを示している。 化学及び特性が非常に異なるようなこれら2つの例のため、当業者であれば、押出法に配合され得るほとんどの材料が所望の特性に依存して具体例の多様性の予期される拡大を与えることを認識するであろう。
【0112】
加工条件に関する定義:
「溶融温度」及び「延伸温度」は、重合体の押出及び延伸についての当業者に周知である。 これらは、実施例1の詳述と併せて、本発明のTPEをうまく変性させるために使用される加工条件の詳細な開示を与える。
【0113】
「延伸比」とは、テープを水浴によって冷却し、次いで、発熱体を横切って又はそれを介して高速度で走行する次のゴデットの各セットで引張った後に生じる延伸の範囲を表す。 水冷浴からテープを引っ張る第1のゴデットと最後のゴデットの速度との間の速度の相違は、比率として表される。 大部分の紡糸及び延伸方法では、かなりの量の延伸が生じる。 なぜならば、フィラメントの束は、ゴデットの第1セットによって長い空冷溝の下に引っ張られ、次いで加熱されたローラー上でさらに延伸されるからである。 本発明のユニークな特徴の一つは、高い延伸比を使用してこの方法の終了時に保持されるエラストマー材料に異常なほど高い配向度を導入することである。 換言すれば、該エラストマーはもはや弾性ではない。
【0114】
特性の定義:
「破断強度」とは、得られた本発明のテープを破断させるのに必要な力の測定値である。 それぞれの例は、「ニュートン」の標準的な測定値で表される。 なぜならば、それぞれのテープは長さ及び寸法当たりの重量が異なるからである。
【0115】
「破断に至るまでの伸び」は、破断強度又は靱性が測定されると同時に測定される。 本発明の変性熱可塑性エラストマーは、非常に小さい弾性限度を有するため、この測定値は、主として、さらに破断前に生じる応力下での永久歪を表す。
【0116】
「弾性限度」とは、加えられた力が製品を変形させ始める前に製品が示す「ゴムのような伸び」の量である。 この特性を測定するために、テープは、力が大きく増加しなければそれ以上伸びないところまで伸ばされる。 これは、Spandex(登録商標)又はLycra(登録商標)又は合成若しくは天然ゴムバンドのような熱可塑性エラストマー繊維が最も一般的に示す特性である。 TPEを本発明に従って変性させた後に、熱可塑性エラストマーについて一般的な200〜300%の弾性限度は、約0〜約25%の間に劇的に減少する。
【0117】
寸法の定義:
「寸法」とは、当業者に知られた標準的な測定値である。 これらの例は、本発明の性質がデンタルフロスとしての望ましい使用のために実質的に無制限の範囲の寸法及び形状特性を与えることを示している。
【0118】
実用性係数に関する定義:
「優しさ認識度」とは、使用中に歯茎に痛み又は炎症がないことを示す知覚特性を定量化したものである。 材料は、神経終末を刺激するときに様々な方法で痛みを与えるため、物理的測定値は、参考にはなるが、必ずしも知覚と直接相関するわけではない。 痛みの強さの認識は個人によって異なるであろうが、これらの変差を、検量された数値尺度に基づいて知覚を記録する際に訓練された個人を使用することによって標準化することが一般的な手法である。 本発明者が「優しさ」という重要な使用者の利益を評価するために開発したこの尺度は、悪臭、衣類の荒さ/柔らかさ、衣類の視覚的な清潔さ、音又は光の強さ等を評価するのに使用されるものに類似する。 明らかに、多数の訓練された観測者の全体にわたって個人の認識を標準化することは測定値の正確性を増大させるが、実際面では、よく訓練された一人の観測者はこの尺度に基づいて±0.5〜1の相違を再現可能に感知できる。
【0119】
「優しさ認識度」の欄の下に記録された優しさの指数は、特に次のように定義される:
1〜10の尺度に基づいて、評価者は、一般的な個人のフロッシング技術を使用して「フロッシング中に歯茎に優しい」と認めることを「検量」するように指示される。 彼らは、選択された標準的なフロス製品に対して優しい又はそれが欠如していると感じることを独断的に割り当てるように指示される。
a. 「最も優しい」一般的に知られるフロス製品(Glide(登録商標)のようなPTFEテープのデンタルフロス)は8.0の「優しさ指数」とし、
b. 典型的なワックス付きでない多繊維デンタルフロス(J&Jワックスミント)は3.0の優しさ指数とし、
c. ポリエチレン製の硬くて粗いテープは1.0の優しさ指数とする。
【0120】
「テープの曲げ−撚り指数」とは、優しさに影響を及ぼす因子のうちの一つの物理的測定値であって、使用中に歯茎に「跳ね返る」又は「バチッと当たる(snap)」傾向の測定値を示す。 任意の1つの物理的測定値は完全には優しさを評価できないが、この要素を分離することは、本発明を様々な具体例の開発及び評価中に追跡させるのを可能にする。 この指数は、容易に説明され且つ再現される。
a. テープの20cmの断片をクランプから吊し、その下端部を30gの重量を有する15cmの棒鋼の中心に固定する。
b. 該棒を10回のフル回転にわたって水平に撚り、該テープに撚りを導入する。
c. 該棒を解放し、ゼロ点を超えた回転の数を計数する。
このゼロ点を超えた回転の総数がテープの曲げ−撚り指数の数である。
【0121】
高分子物質のために一般的に使用する際には様々な可撓性指数が存在するが、これらは、主としてデンタルフロスに有用なテープの寸法よりも大きい寸法の可撓性を評価するのに有用である。 この指数のユニークな特徴は、テープの「減衰」効果を測定するということである。 これは、結果として、知覚された優しさとよく相関する。 なぜならば、この測定は、事実上、通常のデンタルフロス及びテープの「ワイヤ様」又は「バネ様」特性の減少を定量化するものだからである。 テープが使用され且つ歯間の狭い空間に拘束されるときに、歯茎に移行するエネルギーを「減衰させる」能力が重要になる。 デンタルフロスが該テープを挿入するのに必要なエネルギーを任意に衰弱させることなく「バチッと当たる」場合には、このエネルギーは神経終末に移行し、さらに大きな痛み又はさらに小さい優しさを生じさせるであろう。
【0122】
「ショア硬度D」とは、恐らく優しさの関数として重合体テープに適合する最も自明の標準測定値である。 表3は、ショアD測定値に及ぼす異なるテープ材料を異なる被覆剤と組み合わせる影響を例示している。 例えば、Glide(登録商標)上のマイクロクリスタリンワックスは全製品を僅かに柔らかくするが、非結晶被覆剤で被覆された本発明の製品は非常に小さいショアD数を有し、一方、同一の非被覆PEBAテープは、ワックス付きのPTEFテープと実質的に同一である。 この観察の追跡は、本発明のワックス付きPEBAテープの優しさがワックス付きのPTFEテープの優しさに等しいと認められることを証明する評価研究を使用している。 しかしながら、非結晶被覆剤で被覆されたときに、PEBAテープは、ワックス付きのPTFE又はワックス付きのPEBAのいずれかよりもさらに優しいと認められる。 PTFE程度に優しい変性TPEテープを製造することは、本発明の一つの所望の目的であり、総合すれば、曲げ−撚り指数とショアDは、優しさの有用な予測指標を与える。
【0123】
【表5】
【0124】
【表6】
【0125】
【表7】
【0126】
【表8】
【0127】
表6及び7に詳述されるような次の例(38〜59)は、本発明のデンタルテープとして使用するのに好適な変性性熱可塑性エラストマーを例示する。
【0128】
【表9】
【0129】
【表10】
【0130】
【表11】
【0131】
【表12】
【0132】
本発明を実施する現時点で好ましい態様を包含する特定の実施例に関して本発明を記載してきたが、当業者であれば、添付した特許請求の範囲に表されるような本発明の精神及び範囲内にある多数の変形例及び置換が存在することを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明のデンタルテープに好適であるブロック共重合体熱可塑性エラストマーの形態を例示する。
【図2】6群の変性可能な熱可塑性エラストマーの相対的コストを性能のレベルに対して比較する。
【図3】広範な物質について加えられた力対伸びのプロットを示す。
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