Human body information extractor

申请号 JP2008187993 申请日 2008-07-21 公开(公告)号 JP4446094B2 公开(公告)日 2010-04-07
申请人 株式会社アイキャット; 发明人 隆介 中井; 基文 十河; 佳久 染川;
摘要
权利要求
  • 空間内の任意の位置に位置決めされた上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報から該上顎部及び/又は下顎部の所望部分の撮影情報を抽出する人体情報抽出装置であって、
    咬合平面に沿って配置される板状部材を有する位置決め部材を配設した状態の該上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報を仮想空間としてのワールド領域内の任意位置に配置する人体情報配置手段と、
    ワールド領域内に配置された3次元撮影情報の中で前記位置決め部材の3点以上の特定部分がそれぞれ占有するワールド領域内の位置情報を検出し、該位置情報からワールド領域内の前記咬合平面の位置情報を検出する基準面検出手段と、
    前記咬合平面に対して前記ワールド領域における前記上顎部及び/又は下顎部の相対的位置情報を検出する基準位置情報検出手段と、を有し、
    前記位置決め部材の3点以上の特定部分は、該3点以上の特定部分をつなぐ平面と前記板状部材とが固定の位置関係を有し、
    前記上顎部及び/又は下顎部の所望部分と略同一外形を有するように作成された人体模型の3次元撮影情報を仮想空間としての前記ワールド領域内で一体のオブジェクトとして変位可能に配置する模型情報配置手段と、
    ワールド領域内で前記模型情報配置手段により配置された人体模型の3次元撮影情報と重複する領域内に配置された上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報を検出する重複情報検出手段と、
    前記重複情報検出手段により検出された上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報を人体撮影情報として設定する手段と、を有することを特徴とする人体情報抽出装置。
  • 说明书全文

    本発明は、人体要素を精緻に位置決めして撮影されていないCT等撮影情報から人体要素の基準面に対する人体情報を抽出し、処理する装置、またはCT等撮影情報を人体要素の基準面に対する撮影情報に変換する方法に関する。 さらに、本発明は、人体要素のCT撮影情報から、任意に選択された基準軸を含む断面情報を検出する断面情報検出装置に関する。

    患者を患部の疾患を検出する一つ方法としてCT撮影が存在する。 このCT撮影は患者内部の断層画像を取得する撮影方法であるが、2次元のアナログ情報であるため撮影部位の任意断層を平面的に視認することはできても3次元イメージとして把握することができないという不具合があった。 近年、この不具合を解消するためにCT撮影から取得された2次元アナログ情報を3次元デジタル情報に変換し、変換された情報をディスプレイ上に3次元画像として表示するシステムが開発されてきた。 このシステムでは、オペレータがディスプレイ上の患者部位の3次元イメージを視認しながら該イメージの任意位置を指定することで目的とする患者部位の断層画像を取得することができる。 実際には、CT撮影より得た患者部位の3次元情報をディスプレイ上に画像表示するには、その処理上、ワールド領域なる絶対座標を有する仮想空間上に患者部位の情報(以下、「人体情報」とも称する)を配設して画像表示することとなる。

    しかしながら、上記システムではオペレータがディスプレイに表示された3次元画像を視認することはできても、歯科医師等が所望する基準位置からの見た画像情報を取得することはできない。 これは、CT撮影情報がワールド領域上の絶対的な座標上に撮影情報が配置されているに過ぎないからであり、基準位置に対する相対的な撮影情報の設定がなされていないからである。 例えば歯列欠損部に歯科用インプラント(以下、人工歯根とも称する)を埋入する目的で患者の顎部をCT撮影した場合で説明すれば、CT撮影は患者の頭部を寝台に載置してなすものであり撮影された断層情報は寝台を位置基準とする断面情報となる。

    これに対して歯科医師が要求する断層情報はその治療態様に応じて歯科医師が所望する人体要素を位置基準とした情報である。 従って、CT撮影を実行する歯科医師(又は歯科医師の指示を受けたオペレータ)は所望する位置基準に基づいて患者を位置決めして撮影する必要がある。 これは非常に困難且つ経験を要する作業である反面、患者の被爆度を考慮すれば撮影やり直しを繰り返すことができない事情がある。 このような事情により、従来から医療関係者の間では任意の位置に位置決めされた患者部位のCT撮影情報を患者部位の基準面(咬合面のごとき)からの相対的位置情報を含む人体情報として検出する手段が求められてきた。

    また、CT撮影情報からの3次元情報を画像表示した場合、人体情報とそれ以外のノイズとが混在して表示されることが多く、所望の人体情報を視認し難いという実情があった。 例えば、代表的には人体要素に付加された金属片等の他の要素から生じるアーティファクトと称されるノイズ情報が存在する。 このようなノイズ情報を含んだまま医師がCT撮影による患者部位の3次元情報を視認し理解しようとしても上記ノイズ情報が邪魔になり、所望部位情報を正確に取得することができないという問題があった。

    さらに、上記問題を解決するために近年、種々の技術が開発検討されてきたが、処理速度が遅い又は装置が大型化するという問題も指摘されている。

    とりわけ、インプラント手術を実行する歯科医師にとってCT等撮影情報から埋入するインプラントを基準とした断面情報の取得が望ましいが、従来のCT等撮影の場合、歯科医師は患者の前方から咬合平面を視認した状態の視点座標に基づいて施術を実行するのに対してCT撮影情報はワールド領域を外部から視認した座標系で画像表示され、歯科医師にとって施術段階での視点と異なる断面画像が提供されるという問題もあった。 これは断面画像を見て施術する歯科医師の豊富な経験を要する作業である。 このような事情により、従来から歯科関係者の間では任意の基準位置に基づいた患者の断面情報、さらには歯科医師の施術視点で要求される断面画像の提供が望まれていた。

    特開2002−177262号公報

    特開2001−000430号公報

    米国特許第6,704,439号公報

    本発明は、以上の事情に鑑みて創作されたものであり、簡易な処理により精緻に位置決めされていない3次元人体情報を所望の基準面に位置決めすることができ、さらにはノイズ情報を排除可能である人体情報抽出装置を提供することを目的とする。 また、本発明は、簡易且つ確実な処理によりCT撮影情報等の患者の3次元撮影情報を人体的基準面に基づく3次元撮影情報に変換する人体撮影情報の基準面変換方法を提供することをも目的とする。

    本発明の人体情報抽出装置によれば、空間内の任意の位置に位置決めされた上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報から該上顎部及び/又は下顎部の所望部分の撮影情報を抽出する人体情報抽出装置を提供する。 この装置では、歯科医療上の目的となる基準面と相対的に固定された位置に位置決めされる位置決め部材を配設した状態の該上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報を仮想空間としてのワールド領域内の任意位置に配置する人体情報配置手段と、ワールド領域内に配置された3次元撮影情報の中で前記位置決め部材の3点以上の特定部分がそれぞれ占有するワールド領域内の位置情報を検出し、該位置情報からワールド領域内の前記基準面の位置情報を検出する基準面検出手段と、前記基準面に対して前記ワールド領域における前記上顎部及び/又は下顎部の相対的位置情報を検出する基準位置情報検出手段と、を有している。

    また、前記位置決め部材の3点以上の特定部分は、該3点以上の特定部分をつなぐ平面は前記歯科医療上の目的となる基準面と固定の位置関係を有する。

    また、前記位置決め部材は、前記上顎部及び/又は下顎部に位置決めされたときに該上顎部及び/又は下顎部から外部に突出しても良い。

    また、本人体情報抽出装置は、前記上顎部及び/又は下顎部の所望部分と略同一外形を有するように作成された人体模型の3次元撮影情報を仮想空間としての前記ワールド領域内で一体のオブジェクトとして変位可能に配置する模型情報配置手段と、ワールド領域内で前記模型情報配置手段により配置された人体模型の3次元撮影情報と重複する領域内に配置された上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報を検出する重複情報検出手段と、前記重複情報検出手段により検出された上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報を人体撮影情報として設定する手段と、を有する場合もある。

    さらに別の本発明では、少なくとも上下方向に所定距離の位置関係を有する上当接部と下当接部と、該上当接部と下当接部とを連結する連結部と、を有する人体模型の3次元撮影を行うための3次元撮影用治具が提供されている。 前記上当接部は、下面に歯列模型の上顎部を直接又は所定の部材を介して当接維持することができるとともに離間することができ、前記下当接部は、上面に前記歯列模型の下顎部を直接又は所定の部材を介して当接維持することができるとともに離間することができる。

    さらに、前記上当接部又は下当接部は、両者に歯列模型の上顎部と下顎部とが当接維持された状態で咬合平面に配置させる位置決め部材の模型が歯列模型の上顎部と下顎部との間に介挿維持できるように前記連結部に対して上下移動する。

    また、他の本発明では、空間内の任意の位置に位置決めされた上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報を歯科医療上の一の人体的基準面を基準位置とした情報に変換する人体撮影情報の基準面変換方法を提供する。

    この基準面変換方法は、患者の上顎部及び/又は下顎部の模型を固定治具に固定するときに固定治具の一部材を該模型における歯科医療上の他の人体的基準面と一致させて、前記固定治具の一部材に対する前記歯科医療上の一の人体的基準面を検出する模型基準面検出工程と、前記模型が固定された固定治具を撮影して3次元画像情報を取得する固定治具画像取得工程と、患者の上顎部及び/又は下顎部の撮影により取得された3次元画像情報における歯科医療上の他の人体的基準面の位置に、前記固定治具画像取得工程により取得された固定治具の3次元画像情報における前記固定部材の一部材を位置決めることによって両3次元画像情報を重ね合わせ、これによって固定治具の3次元画像情報のうち前記模型基準面検出工程により検出された前記歯科医療上の一の人体的基準面に位置する患者の3次元画像情報を患者の前記歯科医療上の一の人体的基準面として検出する患者画像基準面検出工程と、該患者画像基準面検出工程により検出された前記歯科医療上の一の人体的基準面を基準位置とした画像情報に患者の上顎部及び/又は下顎部を撮影した3次元画像情報を変換する変換工程と、を有している。

    さらに、本発明の断面情報検出装置によれば、歯列を含む上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報から、任意に位置決めされた基準軸である歯科用インプラント長軸(以下、「基準軸」又は「歯科用インプラント長軸」のいずれかで称する)を含む所定の平面領域の3次元撮影情報を断面情報として抽出する。 この装置は、人体の一部である歯列を含む上顎部および下顎部の3次元撮影画像上の任意の位置に、歯科用インプラント長軸を設定し位置決めする手段と、3次元撮影画像上に付与され位置決めされた歯科用インプラント長軸を含む所定の平面領域を生成する手段と、平面領域に位置する歯列を含む上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影情報を抽出する人体情報抽出手段と、を有している。 ここでの基準軸たる歯科用インプラント長軸は、予め作成された任意の歯科用インプラントの軸線であって前記歯列を含む上顎部及び/又は下顎部の3次元撮影画像上に設定され表示されるものである。

    また、本断面情報検出装置によれば、上記歯科用インプラント長軸は所定の方向に傾斜させることができ、且つ上記平面領域は歯科用インプラント長軸とともに傾斜させることができる。 また、歯科用インプラント長軸が所定の方向に傾斜したときには歯科用インプラント長軸と平面領域とはその傾斜状態を維持したまま回転させることがもできる。

    さらに、上記歯科用インプラント長軸は所定の方向に傾斜させたときに、平面領域を歯科用インプラント長軸の傾斜に拘わらず咬合平面を基準として表示させることもできる。

    また、断面情報検出装置は、平面領域に2以上の所望の位置検出点の座標を設定する位置検出点設定手段と、設定された前記位置検出点が2点であるときには該検出点それぞれの座標を用いて検出点間の距離を測定し、設定された前記位置検出点が3点以上であるときには該検出点のうち任意の2点で形成される線分同士の度及び/又は該線分の距離を検出点の座標を用いて測定する、平面領域内の位置関係測定手段と、を有しても良い。

    さらに、前記上顎部及び下顎部の3次元撮影情報は、該上顎部及び下顎部に含まれる歯列を少なくとも有する中空又は薄肉表面のみで形成された人体模型の3次元撮影情報と重ね合わせて設定され、人体情報抽出手段は、平面領域に位置する上下顎部の3次元撮影情報と、該平面領域に位置する人体模型の3次元撮影情報とを抽出しても良い。

    本発明の人体情報抽出装置によれば、患者を精緻に位置決めできないCT撮影情報等から得た人体要素、とりわけ歯列を含む上顎部及び/又は下顎部の3次元情報をディスプレイ上で位置決めすることができる。 具体的には、咬合平面等の基準面に位置決め部材を配設してCT撮影等を実行し、撮影情報を3次元デジタル化した情報(又はこれに医療データを包摂させた情報:総じて「人体要素の3次元情報」、「人体情報」とも称し、より具体的には「上顎部及び/又は下顎部の3次元情報」、「上顎部及び/又は下顎部の情報」とも称する)を人体情報配置手段によりワールド座標系を有するワールドエリア(ワールド領域)で画像表示する。 この表示画像では患者以外に患者に固定の位置決め部材も表示されており、ディスプレイ上でこれを歯科医師等のオペレータが視認し、その特定部分を指定することで位置基準となる基準面(咬合面等)を検出することができる。 ここで基準面とは医療上の目的となる基準面であり、特に歯科医療上の基準面、例えば咬合平面や眼平面等があげられる。

    また、本発明の人体情報抽出装置によれば上記基準面の検出をからの3次元情報のみならず、歯型模型のCT撮影情報からの3次元情報でも実行し、これをディスプレイ上で一致させ、歯型模型からの情報に対応する患者の撮影情報を抽出する(以下、「フィッティング」とも称する)。 これにより、位置決めされておらず単にワールドエリア上に配設されているに過ぎない患者の撮影情報を基準面に基づいて相対的に位置決めされたローカル座標系で位置決めすることができ、さらにCT撮影時に生じるノイズ情報を排除した人体情報を抽出することができる。

    また、位置決め部材の他の兼用機能として人体のCT等撮影情報のうち所望する範囲のデータのみを抽出することも可能である。 例えば、位置決め部材により検出された咬合面を基準とした着目部位の抽出や、上顎部又は下顎部の自動分離を実行することができる。 これによって抽出領域を所望範囲に限定することができ、その後の各処理を大幅に迅速化することができる。 また、本発明の人体情報抽出装置では、歯冠画像を患者の欠損部近傍に配置することができる。 さらに、本発明の撮影用治具によれば、人体模型の上顎部と下顎部とに位置決め部を介挿維持させた状態でCT撮影可能であるとともに、上下顎部の位置関係を維持したままでそれぞれCT撮影可能となる。 これによって、人体情報抽出装置によって抽出された人体情報のうち上下顎部のみを画像表示し、位置決め部材の画像化を排除することができ、その後に画像を視認しながら処理するオペレータの作業性を向上させることができる。

    また、本発明の人体撮影情報の基準面変換方法では、患者のCT撮影画像300を上下咬合平面それぞれを基準としたCT撮影画像とすることができる。 これによって、患者がどのような姿勢でCT撮影したとしても歯科医師に理解し易い咬合平面を基準にした撮影情報を取得することができる。 また、噛合わせが正常にできない程度まで歯列欠損している患者においても容易に咬合平面を基準としたCT撮影情報を取得することができる。 また、固定治具は鼻聴導線や眼耳平面を用いて咬合平面を検出するものであり、その意味で平均値咬合器、調節性咬合器と称する既知の咬合器(咬合平面確認装置)と同様の機能を有しているため通常よりこれを使用する歯科医師にとっても使用し易い。 固定治具がアクリル等のX線透過率の低い材料で構成されているため、アーティファクトの問題も回避することができる。

    本発明の断面情報検出装置では、歯科医師が所望する基準軸周り、とりわけ歯科用インプラント長軸周りの断面情報を取得することができる。 また、この基準軸には医療部材を表示することもできるため、医師はディスプレイ上で自己の治療状態をイメージしながら医療部材を基準とした座標系で断面情報を取得することができる。 例えば、インプラントの埋入位置を画定させたい歯科医師においては歯冠を歯列画像に埋入させた様子を視認しつつ下顎管等の神経に当接しないインプラント位置を検出することができる。 さらに、本発明の断面情報検出装置では、歯科医師等が施術の際に思考する視点座標で断面情報を取得することができる。
    さらに、本発明の断面情報検出装置によれば、CT撮影画像特有の画像の不明確性を排除し、とりわけ歯科医師にとって歯科用インプラントの軸周りの断面画像を視認でき且つ歯科医師の医療上基準として考える咬合平面を基準と画像を表示させることができる。 従って、CT撮影画像及びその断面情報に基づいて人工歯根の埋入画像処理を実行する歯科医師のユーザビリティが大幅に向上する。

    CT撮影画像は患者顎部の断層画像であり2次元アナログ情報である。 従って、3次元情報として視認させるために、2次元アナログ情報をデジタル化した後に3次元情報への変換がなされ、変換された3次元情報に基づいてディスプレイ上に患者顎部が画像表示されることとなる。 また、CT撮影情報により得た3次元情報は、患者の人体要素の構成状態が検出されたものであり、そのままでは基本的に位置情報(変位情報)で構成されているに過ぎないが、3次元デジタル化された情報にすれば歯科医師が有する他の臨床データ等の医療情報を含めた3次元の人体情報としてディスプレイに画像表示することもできる。 従って、歯科医師は、ディスプレイ上の任意点又は任意面を指定すれば該当部分の断層画像や医療情報を視認することができる。

    しかしながら、上記3次元情報の3次元画像表示は、画像の各単位領域(voxcel)ごとに対応する位置情報や医療情報に基づいて画像化する構成の処理がなされ、各voxcel表示の集合群として組織画像(患者顎部等)が表示されるものである。 具体的には、画像処理上、画像表示が可能な3次元空間軸を撮影画像上の空間軸であるワールドエリア(ワールド領域)として設定し、ワールドエリアの位置を決定する1つの座標系(ワールド座標系)に各voxcelごとの情報を対応させた画像表示情報を形成し、画像表示をワールドエリア全域に亘って実行して各vocelごとの画像が集合群とすれば患者顎部の組織画像として視認されるものである。 いわば、ディスプレイ上に表示された顎部の3次元画像はそれぞれ別個に表示された点の集合体に過ぎず、顎部又はこれを構成する各部位や組織としての情報により形成されるものではない。 さらに、CT撮影情報は患者を寝台に位置決め(載置)させて撮影した情報であり、CT撮影機器(寝台等)の固定点からの任意座標(上記ワールド座標に相当)における患者情報を取得しているものであるため撮影対象である顎部がCT撮影機器に対する位置情報は表示できても、いかなる位置に位置決めされているかの情報は含まれておらず、上記ディスプレイに画像表示した場合に顎部がどのような状態(首の傾斜角や振り角等)で表示されているかを検出することができない。 すなわち、CT撮影画像に基づく3次元画像はワールド座標で特定した座標内の人体情報を検出することはできても、これを顎部内の特定位置、例えば歯科医師が基準面として扱う咬合平面や顔耳平面を基準とした相対的情報として捉えることはできないものとなる。

    従って、ワールドエリア内の任意位置に位置決めされた顎部分の3次元情報を所望の基準位置に対する相対的位置に位置決めされるように変換し、この基準位置に基づく位置関係で情報形成された顎部分情報を構成することが求められる。 従って、本実施形態ではまず、CT撮影時に医療的見地からの位置決めがなされていない3次元人体情報をコンピュータ上で位置決めする前提となる基準面の検出、すなわちワールド座標系での人体情報から位置決めの基準面を検出する装置が提供されている。 具体的には、本実施形態の人体情報抽出装置では、基準面として歯科医療的に活用性の高い咬合平面を採用し、この咬合平面のワールド座標系における位置情報を検出することとしている。

    本実施形態の人体情報抽出装置では、CT撮影時に患者に位置決め部材を装着することが前提とされる。 具体的には歯科治療に活用する場合を例にとって説明する。 図1を参照すれば人体情報抽出装置の位置決め部材10が患者の咬合平面に噛み合わされた状態を示す顎部(上顎部と下顎部)16の斜視図である(見やすいように上下歯列近傍のみ示しており、実際には他の顎部要素も表示される)。 図からも理解されるように位置決め部材10は、板状部材10aと3個の球状体10bとで構成されている。 板状部材10aは患者が噛み合せた際にその上下平面に上歯列12と下歯列14とが当接されることとなり、当接された板状部材は概ね平坦であるがに上下歯列12、14に広くフィットし得る程度の可撓性を有していても良い。 従って、位置決め部材10の板状部材10aは咬合平面に沿って配設されていることとなる。

    このような状態で患者をCT撮影すればディスプレイ上に表示される顎部16の画像も図1と同様に位置決め部材10が装着された顎部分16の3次元画像となる。 なお、実際にはディスプレイ上に表示される画像は、CT撮影時に発生するノイズ情報を含んだ3次元情報に基づくものであるため図1と同様のものとはならないが、この点については後述することとし、ここでは図1を用いて説明することとする。
    図1に示す3次元情報はオペレータにとってはディスプレイ上に顎部が表示されていると認識されるが、上述するように単に画像表示単位であるvoxelごとに情報を対応付けてワールドエリア上に表示したものに過ぎず、情報構成としては咬合平面とそれ以外の顎部の情報と何ら差別化されているものではなく、咬合平面の位置情報も形成されていない。 従って、本実施形態では、表示画像から位置決め部材10として視認できる画像箇所を指定することで差別化されていない3次元情報から咬合平面を検出する方法を採用している。

    まず、図1及び上記説明から明らかなように位置決め部材10はその板状部材10aが咬合平面に沿って配設されており、板状部材10aの側部に球状体10bが突出して配設されているので、球状体10bは咬合平面上に配設されていることとなる。 また、この球状体10bは3個配設されている。 従って、各球状体10aの中心点の位置(ワールド座標系)を検出することができれば、咬合平面上にある3点を検出できることとなり、ひいては咬合平面の位置を検出することができる。 ここで咬合平面を検出するために板状部材10自体の位置を検出することも考えられる。 しかしながら、CT撮影により得た実際の3次元情報は人体に近づくほどノイズ(後述)が多く、又歯列等の人体要素と重複することもあり得るため、位置決め部材10による画像であるかその他の情報に基づく画像であるかを視覚的に判別することが困難である。 従って、本実施形態では好ましい構成として、人体要素から離間し、位置決め部材10以外の情報が混在し難い位置に配設された球状体10bを使用する方法を採用している(だから、球状体10bは板状部材10aから突出しているのである)。

    次にオペレータが実行するステップについて説明する。 咬合平面を検出するために3個の球状体10bの中心位置を検出することを上述してきたが、実際のステップとしては図2に示すようにオペレータは、まず球状体10bを表示する画像領域から検出する領域を指定する(STEP10)。 これは、球状体10bは板状部材10aに固定する必要があり板状部材10aに埋入される部分があることに起因しており、この部分においては球状体10bのみならず板状部材10aの位置情報も混在するので板状部材10aから外部に突出し球状体10bの情報のみを抽出することが好ましいからである。 次に、オペレータは球状体10bと視認される画像の中心近傍点のvoxelを指定する(STEP12)。 ここで指定するvoxelは、検出領域の中心となる。 検出中心点が指定されるとその隣接する点が検出され、さらに検出された隣接点に隣接する点が順次検出される(STEP14)。 この隣接点は、隣接voxelであっても、所定距離離間するvoxelであっても良い。 この隣接点の検出は前述した検出領域内で実行され、検出領域外に到達すると次ステップに移行する(STEP16)。 次に検出領域内で検出された点を設定する(STEP18)。 これによって検出領域内における球状体10b表面の複数点が設定されたこととなる。 なお、STEP18では図示していないが設定点を所定の色でマーキング(画像表示)するステップが含まれることが好ましい。 検出領域が球状体10b以外の位置領域、すなわち板状部材10aや人体要素の位置領域まで到達していないかをオペレータに視認させるためであり、STEP10での検出領域指定の良否を判断する指針とすることができるからである。

    また、検出点が設定されると(STEP18)、各検出点間の法線が検出され(STEP20)、さらに検出された法線の交点位置が検出される。 これは球表面の2点間の法線が球中心を通るという原理を用いて球状体10bの中心位置を検出するステップである。 その意味において、検出する法線は理想的には2本で足りることとなるが実際には検出点が球状体表面に位置していない場合やノイズ等による誤差が生じる場合があるため複数本検出し、それぞれの交点を検出しておく必要がある。 従って、次のステップでは検出された複数の交点位置を平均化することで実際の球状体10bの中心位置に近似させるステップが必要とされる(STEP24)。 以上のステップにより1つの球状体10bの中心位置(ワールド座標系)が検出される。

    さらに、上述のとおり咬合平面は少なくとも3個の球状体10bの中心位置により検出されるものであるため、球状体10bの中心位置が検出された後に3個の球状体中心点が検出されたか否かを検出し(STEP26)、検出されていない場合にはさらに他の球状体10bの中心位置検出ステップ(STEP12〜STEP24)を繰り返すこととなる。 そして、3個の球状体10b中心位置が検出されると咬合平面が検出され(STEP28)される。 なお、図示していないが検出された咬合平面はオペレータが視認できるように所定の色で表示されることが好ましく、例えば三角平面で表示する等が考えられる(後述の発明での説明に使用する図5中参照番号102、106参照)。
    上記咬合平面の検出では球表面上の2点間法線が球中心を通るという数学的原理を利用する方法が開示されたが、他の数学的原理を利用する方法も考えられる。 具体的には、球表面位置を一般化された関数(球中心位置、三角関数を用いてx、y、z座標をパラメータ化)で設定し、実際の球表面座標を代入することで球中心座標(ワールド座標系)を検出する原理を利用する。 図3を参照すれば、その検出ステップが示されている。 このステップでは図2と同様のステップも多くあるため同様のステップについては図2と同じ参照番号を付している。 ここでは図2と異なるステップについて説明すれば、まずにおいて球表面の一般化された関数が設定される(STEP30)。 このステップは、STEP18とSTEP32との間のステップとして構成しても良い。 また、STEP32では球状体10b表面の検出点を変数としてSTEP30で設定された関数に代入し、関数の不明定数を算出することで球状体10bの中心座標を検出する(STEP33)。 その後、検出された中心座標を平均化することで誤差を解消することは図2と同様である。

    以上、咬合平面の検出方法について説明してきたが、CT撮影時に使用する位置決め部材は図1のごとき板状部材10aとその側面に配設される球状体(突出部分としては半球状体と言える)10bとで構成されるもの以外も考えられる。 位置決め部材は、咬合平面(人体要素の基準面)と相対的に固定された平面を検出できれば良いからである。 むしろ、顎部から離間された位置に検出面が存在する方がノイズ等を考慮すれば好ましい。 具体的に略例示すれば、図4−1では咬合平面に対して側方からみた位置決め部材の第2例40が示されており、図4−2では位置検出面44を上方からみた(X−X視)構成が略示されている。 また、図4−3では咬合平面に対して側方からみた位置決め部材の第3例50が示されており、図4−4では位置検出面54を上方からみた(Y−Y視)構成が略示されている。 位置決め部材40では図4−1、図4−2に示すように咬合平面に沿った噛み合わせ部材42と、咬合平面に平行に配設された検出部材44と、これらを繋ぐ棒状等の部材46で構成されている。 この構成によれば、検出部材44は少なくとも三角平面を検出できる構成であれば足りるため板状部材のみならず3本の棒状部材で構成しても良い。 従って、三角平面の頂点に配設される球状体48は、顎部から離間されノイズ等の影響が少なく且つ咬合平面に平行する検出部材44に埋入される部分が少なくてすむため、より精度の高い咬合平面の検出が可能となる。 また、図4−3、図4−4に示す位置決め部材50のように、咬合平面に垂直な平面を有する検出部材54により咬合平面に垂直で所定の位置関係に固定された検出平面を検出することで咬合平面を検出しても良い。 この場合も図4−1、図4−2の位置決め部材と同様にノイズ等の影響を抑えつつ精度の高い咬合平面検出が可能となる。

    このようにして咬合平面が検出されると、ワールドエリアの任意の位置に位置決めされた3次元人体情報(ここでは顎部情報)をその人体要素の位置決めの基準面として設定すれば、該人体要素の相対的位置を検出することが可能となる。 但し、ここでは、この基準面としての咬合平面の検出方法(人体情報抽出装置で実行される工程)を用いてさらに他の発明(本発明の人体情報抽出装置に相当)が提供されている。 以下、その具体的実施形態を例示する。
    理想的には上述する咬合平面を検出し、これを基準面とする3次元情報を変換すれば、オペレータは所望する部位の情報をディスプレイ上の顎部を視認しながら指定し3次元画像から取得することが可能となる。 しかしながら、上述するようにCT撮影画像から得られる3次元情報は、撮影対象たる人体要素に基づく情報以外にアーティファクト等のノイズ情報が含まれていることが通常である。 従って、表示された画像が人体要素に起因するものであるか不明であり、ノイズ情報が多い場合には人体要素の外形画像さえ鮮明に把握できないことも想定される。 従って、何らかの方法でノイズ情報を除去することが要求される。 一方、歯形模型等は同一材料で形成されているため、これをCT撮影し3次元デジタル情報に変換してもアーティファクト等のノイズ情報はほとんど含まれない。 この点に注目し、上記人体情報抽出装置で採用された咬合平面(基準面)検出方法を用いて人体情報からノイズ情報を除去可能な人体情報抽出装置が発明されている。 この装置の実施形態について以下に説明する。

    図5を参照すれば、人体情報抽出装置において2つの3次元撮影情報から検出された2つの咬合平面を重ね合わせていく様子を略示している。 まず、右側の顎部100は患者のCT撮影より得た3次元画像(3次元情報)を示している。 この画像はワールドエリア内に配設された画像であり、咬合平面を検出するステップについては上述したとおりである。 図5では検出された咬合平面を参照番号102で示している(後述する咬合平面106が重ねられているため台形状に視認されるが、実際には三角平面である)。 次に、左側に示される顎部104は、患者の歯型模型のCT撮影情報から得た3次元画像である。 この画像はワールドエリアにおいて一体のオブジェクトとして配設されたものであり、顎部104の画像はワールドエリアに対して相対的に変位することができるように設定されている。 従って、顎部104画像はオブジェクトをワールドエリア内で変位させることに伴い変位(移動や回転)する。
    この歯型模型からの3次元情報についても上述するステップで咬合平面106を検出する。 上記人体情報抽出装置では、歯型模型からの3次元画像(顎部100)を患者情報から得た3次元画像(顎部104)を表示するワールドエリア内で変位させ、見かけ上、両者の咬合平面102、106とが一致する位置に位置決めする。 このとき、咬合平面を表示する三角平面102、106の大きさが異なる場合には、両者が同一面積になるように顎部100又は顎部104を拡縮させ、三角平面102、104の完全一致を実行する。 次に、咬合平面102、104の一致がなされると、歯形模型の3次元画像に対応する位置にある3次元人体情報を検出する。 そして、検出された人体情報(画像情報およびその他の医療情報)を抽出し、その後の処理に使用する人体情報として設定する。

    ここで上述するように歯型模型から得られる3次元情報は歯型模型が同一材料の中実状態で形成されたあることに鑑みれば表示された画像はノイズ情報のない(又は少ない)人体要素の外形表示となる。 従って、咬合平面102、106とを一致させると、顎部100、104の画像もその外形表示上は一致するはずである。 しかしながら、実際には一致しない部分が存在し、これこそがCT撮影時に生じたノイズ情報に起因する表示画像である。 従って、本実施形態では、CT撮影情報から得た3次元情報のうち歯型模型に対応する人体情報のみを検出し、設定することでノイズ情報のない3次元人体情報を抽出することができる。
    次に、患者のCT撮影情報におけるCT値の校正(キャリブレーション)について説明する。 CT撮影情報は、画像した際に患者部位(人体要素、特に本実施形態では歯列を含む上下顎部を意味する)の情報を濃淡(グレースケール)で表示されていることが知られている。 この濃淡は、患者部位(詳細には該部位に含まれる物質成分)のX線吸収量を無次元化して設定した数値に応じて画像表示したものであり、CT値と称している。 このCT値はCT撮影器ごと、患者ごとに変化するものであり、同一CT撮影器で撮影した同一患者内でのX線吸収率の相対値に過ぎず絶対的なものではない。 従って、他のCT撮影情報の同一部位におけるCT値が同じ数値であるというものではなく、CT撮影器や患者差(特に容積差)によって同一箇所の部位でもCT値に差があり、複数のCT撮影情報をCT値で絶対比較することができないという問題を有する。 このため、医療分野ではCT値を絶対化させるために物質成分に対応して標準化された規格値(ハンスフィールド値)に実際の使用するCT撮影器CT値を校正する努がなされている。 これを医療分野では通常、CT値のキャリブレーションと称している。

    具体的に従来のキャリブレーションを説明すれば、患者をCT撮影する事前の調整として内部にを注入した透明体を撮影し、その撮影情報から水部分のCT値と空気部分のCT値を検出する。 そして、これらのCT値をそれぞれ空気のハンスフィールド値(具体的には−1024)と水のハンスフィールド値(具体的には0)と比較する。 この比較により実測CT値のずれが2点で判るためCT撮影器ごとに生じるCT値全体のずれ(ハンスフィールド値に対するずれ)を傾きで検出できる。 従って、水部分と空気部分とのCT値をハンスフィールド値に校正すればCT値のキャリブレーションを達成することができるというものである。 しかしながら、医療分野においてはその手続の煩雑差等から一患者ごとに事前にキャリブレーションをしてからCT撮影することは難しく、キャリブレーションは定期的にしか実行されない又は全く実行されない状況が大半であった。 また、従来式のキャリブレーションではCT撮影器ごとに生じるCT値のずれを校正することは可能であっても、患者個々の容積差に起因するCT値のずれを校正することはできなかった。

    これに対して本実施形態では、従来のようにCT撮影前にキャリブレーションを実行しなくとも、CT撮影後にその撮影情報(3次元人体情報)から事後的にキャリブレーションを実行することを可能としている。 具体的には上述する本実施形態で使用した位置決め部材を利用する。 例えば、上述する位置決め部材10を使用した場合で説明する。 位置決め部材10には咬合平面を検出するために球状体10bを備えていることは前述した通りであるが、ここではこの球状体をX線透過性を有する中空の透明セラミック等で構成し、その内部に水を注入しておく。 このように構成した球状体を有する位置決め部材10を患者に噛合させてCT撮影を実行する。 そして、CT撮影情報のうち球状体10bのCT値と、患者以外の空気部分(人体要素以外の部分であって図1では周囲黒色部分が相当する)のCT値とを検出する。 このとき、上述したように水成分と空気成分のハンスフィールド値は既知であり(それぞれ、0、−1024の数値である)、患者やCT撮影器のいかんにかかわらず固定されたものである。 従って、実測2箇所(球状体10bと空気部分)のCT値と対応するハンスフィールド値とからハンスフィールド値に対する実測CT値の関数を検出することができる。 この関数にワールドエリア内に配置された人体情報としての上顎部、下顎部の各位置における実測CT値を順次当てはめると全体としてハンスフィールド値に変換された3次元撮影情報を得ることができる。 換言すれば、本実施形態では、人体要素の基準面(例えば咬合平面)の検出に用いる規定の位置決め部材10bを活用することで、CT撮影器個々の調整差や患者の個体差にかかわらずCT撮影情報から事後的にキャリブレーションすることができる。 なお、上記説明では、球状体の材質をセラミックと内部に水を注入する構成を例示したが、これに限定されるものではなく、安定したCT値を検出できるものであれば他の材質でも良い。

    また、位置決め部材10bはCT撮影時の歪みを校正することにも使用することができる。 CT撮影器は、通常、中空ドーム上の撮影器内に患者をその中心軸方向(Z軸方向としている)に移動させて撮影する。 このとき実際のCT撮影器では患者の周囲(Z軸周り)を所定ピッチで回転させながら微少ずつZ方向に相対移動させて撮影し、重ね合わせていく方法を採用している(一般にヘリカルスキャンと称し、各ピッチをヘリカルピッチと称する)。 このようにヘリカルスキャンすると必然的に撮影画像がZ軸方向にずれていくという問題がある。 例えば、球状の物体のCT撮影画像は微少ながらZ軸方向を長軸とする楕円球状になる。 すなわち、CT撮影情報はZ軸方向の位置情報が精緻でないこととなる。 本実施形態では、この問題を解決するために上述する位置決め部材10の特定部分間、ここでは球状体10b間の検出距離を実際の距離に校正することでヘリカルスキャンの問題を回避している。 具体的には、CT撮影情報のうち上記基準面で実行したと同様に2つの球状体10bの中心位置を検出する。 この検出結果から撮影情報における球状体10b間の距離、特にZ軸方向距離が検出される。 また、位置決め部材10bの球状体10b間の現実の中心間距離を測定しておく。 そして、CT撮影情報上の検出距離を現実の距離に合致させるようにCT撮影情報の位置情報全体を校正する。 このような校正を実行すれば、既知の距離を有する位置決め部材10を使用してCT撮影時に生じるヘリカルスキャンの影響を校正することが可能となる。

    また、位置決め部材10は、CT撮影情報から必要部位の情報だけを抽出するツールとしても使用可能である。 例えば、CT撮影情報から上述するように位置決め部材10を用いて基準面としての咬合平面を検出した際に、咬合平面を基準として上方の所定領域を設定し、該設定領域、例えば上顎部のみを事前に抽出することができ、又上下顎部を咬合平面を基準として分離抽出することもできる。 従って、CT撮影情報のデータサイズを縮小化することも、標準化するも可能であり、事後の処理を簡素化することができる。

    次に、人体模型のCT撮影時における固定治具について例示する。 図5及び図1を参照して上述するように本実施形態では、CT撮影情報(人体要素の3次元撮影情報)から顎部16の上下歯列12、14の撮影情報を抽出するために、顎部16のCT撮影画像100と人体模型のCT撮影画像104とをそれぞれの咬合平面102、104を基準に重ね合わせることで重複部分の人体撮影情報を抽出している。 しかしながら、実際にはこの処理をした場合、咬合平面を検出するために用いた位置決め部材10も画像として残存したままである。 このため、その後、人工歯根の埋入シュミレーション等の処理を画像を介して実行する場合、この位置決め部材の存在がオペレータにとって邪魔なものとなり、迅速、高精度なオペレータ処理を企図する際の弊害となる。 このため、位置決め部材の画像情報を事後効果的に排除する必要が生じる。

    本実施形態では、この点も考慮してユーザビリティーに富んだ人体情報抽出装置を提供している。 図8を参照すれば、(a)〜(c)に上下歯列と位置決め部材の模型の撮影方法および撮影時における固定治具が示されており、(d)〜(e)には人体情報を抽出する方法と画像上位置決め部材を排除する方法とが示されている。 図8(a)においては、上下歯列模型22、24が位置決め部材の模型20を嵌合させた状態で模型撮影用治具30に固定された様子を示している。 撮影用治具30は、上当接部材30aと下当接部30bとこれを連結する連結部30cとで構成されている。 上下歯列模型22、24を固定させた状態では常にその上下当接部材30a、bの間の距離(位置関係)は同じであるが、上下歯列模型22,24を固定させる段階では作業効率の便宜上、上下当接部材30a、bを分離することも可能である。

    まず、図8(a)に示すように最初に上下歯列模型22,24を位置決め部材模型20を嵌合させた状態、すなわち患者をCT撮影する状態と同様の模型状態で撮影用治具30に固定する。 このとき、撮影用治具30の上下当接部材30a、bと上下歯列模型22,24との隙間には、上下歯列模型22,24を上下当接部材30a、bに当接維持可能であるとともに両者を容易に分離できるような軟質材28a、bが挟み込まれている。 この図8(a)の状態でまずCT撮影を実行する。 そして、図5及びこれに関する上記説明で示した手法により模型画像と患者画像とを咬合平面を基準にフィッティングし、所望の患者情報のみを抽出する。 図8(d)には、フィッティングされた画像が示されている。

    しかしながら、図8(d)で示すように位置決め部材10の画像120や軟質材28a、bの画像130a、bが残存したままである。 従って、その後、画像を視認しながら種々の処理を実行するユーザにとっては作業性向上のため上下歯列のみをマーキングし、位置決め部材等の画像を消去することを要求するであろう。 このようなユーザ要求を満足させるため、本実施形態では、図8(d)のフィッティングにより所望人体情報の抽出を実行した後に模型情報を画像表示上は一旦、消滅させる。

    次に、図8(b)(c)に示すように上下歯列模型22,24それぞれのみをCT撮影する。 これにより、上下歯列模型22,24は位置決め部材模型20が存在しない状態でも図8(a)と同じ位置関係を有するそれぞれ単独の模型画像を取得することができる。 この模型画像を図8(e)に示すように図8(d)でフィッティング後に模型画像等を種滅させた画像上に重ね合わせる。 この重ねあわせの際、図8(b)、(c)の撮影画像は図8(a)と同じ位置関係を有するため図8(d)での位置関係と同じ位置関係で画像を重ね合わせるだけで両画像は表示上も完全に一致する。 従って、このような重ね合わせ処理を実行すれば、画像表示上はユーザが所望する部位、例えば上下歯列(上下顎歯列)のみをマーキングし、位置決め部材120等の邪魔になる画像を排除することが可能となる。

    上記実施形態では、上下顎部に対して相対的位置関係を有する人体的な基準面(咬合平面等)に一致する位置決め部材20を使用して撮影されたCT撮影画像から基準面に基づく3次元画像情報を取得する方法について説明されたが、位置決め部材20を使用せず固定治具30自体を位置決め部材20の代替として使用することも可能である。 以下、その実施形態について説明する。 ここでは上記実施形態の説明と同様に歯科医療において基準面の一つである咬合平面に基づくCT撮影画像取得の例で説明する。

    図11では、上下歯列模型を固定する上下歯列と固定治具の模型の撮影方法および咬合平面の取得について示している。 この図に示す参照番号において上記説明及び図8で示す同種の参照番号は同種のものを意味しており、例えば固定治具30'は模型作成用治具30の変形例である。 図11(a)では、上下歯列模型22'、24'が噛合わされた状態で固定治具30'に固定された様子を示している。 また、図11(b)では、連接部材30'cが揺動されて固定治具30'が開いた状態を示している(後述するように上下歯列模型22',24'もそれぞれ上下当接部材30'a、30'bも固定されているが、ここでは視認し易さを考慮して図示を省略している)。 まず、固定治具30'は、上当接部材30'aと下当接部30'bとこれを連結する連結部材30'cと上当接部材30'aと連接部材30'cとを揺動可能に連結するヒンジ30'dとで構成されている。 従って、図11(a)のように上下歯列模型22',24'が噛合している状態では連結部材30'cの長さが固定であるためその上下当接部材30'a、bの間の距離(位置関係)は同じであるが、図11(b)の実線で示すように下当接部材30'bをヒンジ30'dを中心に下方揺動させた場合には上下当接部材30'a、30'bは開放され(図示)、これに固定される上下歯列模型22'、24'も互いに開放される(図示せず)。 このとき、連結部材30'cと下当接部材30'bとは互いに固定されているため、連接部材30'cと下当接部材30'bとは同じ位置関係で揺動する。

    また、図11(a)では正常な噛合わせが可能な歯列を有する患者の場合における歯列模型22',24'の固定の様子を示しており、固定治具30'への上下歯列模型22'、24'の固定は、上下歯列が噛合うように位置決めされている。 この位置決めについては図8の場合と同様に固定治具30'の上下当接部材30'a、30'bと上下歯列模型22',24'との隙間に上下歯列模型22',24'を上下当接部材30'a、30'bに当接維持可能であるとともに両者を容易に分離できるような軟質材28'a、28'bを挟み込むことで行われる。 このように位置決めすれば、図11(a)の場合、一点鎖線A1、A2に示すように模型上の咬合平面を固定治具30'に相対的に固定された位置に検出することができる。 この咬合平面A1、A2はそれぞれ上下顎の咬合平面を意味しており、図11(a)の状態においては、上下歯列が噛合わせられているので、それぞれの咬合平面(上顎咬合平面A1、下顎咬合平面A2)も重複している。 また、この固定治具30'では図8に示すような位置決め部材20を歯列模型に噛合わせることで咬合平面を検出するのではないため、多数の歯列が欠損している場合等、噛合わせが正常にできない場合であっても上下顎の咬合平面を検出することが可能である。 具体的には、図11(b)に示すように歯科医師等のオペレータがヒンジ30d'を中心に歯列模型22',24'を固定した状態で上下当接部材30a'、30b'を揺動させながら上下歯列模型22'、24'を視認して噛合わせ位置を認定(推測)する。 そして噛合わせ位置が認定されるとヒンジ30'dを固定する。 このとき上顎咬合平面A1、下顎咬合平面A2はそれぞれ上当接部材30'a、下当接部材30'b、に平行な平面をなしており、さらに上下当接部材30a'、30b'間の相対的位置はヒンジ30'dを中心とした回転方向を除いては固定であるため下顎咬合平面A2も回転方向を除いては上顎咬合平面A1に対して位置決めされている。 すなわち、この固定治具30'を使用すれば、患者の歯列状態を問わず上下顎咬合平面A1、A2をそれぞれ上当接部材30'aを基準として検出することができる。

    次に、本実施形態では、図11(a)の状態で歯列模型を固定した固定治具30'をCT撮影を実行する。 そして、位置決め部材20を使用する図5及び図8(d)〜図8(e)で説明した手法と類似の手法により模型画像(患者の模型画像)を含む固定治具30'の画像と患者画像とをフィッティングする。 図8(a)の方法においては上述するように上下歯列模型22、24のCT撮影画像を患者のCT撮影画像の対応部分に重複させ、重複部分の画像情報を位置決め部材20に対する相対的位置情報として抽出していたが、本実施形態では、固定治具30'の上当接部材30'aの画像を患者の撮影画像内の鼻聴導線(カンペル平面とも称する。以下、平面であることを明確にするため「鼻聴平面」と称する)に重複させる。 ここで鼻聴平面とは、歯科医師が人体の基準面として通常的に使用するものであり、患者の鼻下と耳の所定位置とを結んだ平面である。 この鼻聴平面は上顎咬合平面に平行をなしている。

    ここで図12を参照すれば、患者のCT撮影画像300に固定治具30'のCT撮影画像をフィッティングする様子を示した略示図であり、図12(a)は固定治具30'のCT撮影画像(視認し易さを考慮して固定治具30'に固定された上下歯列模型22'、24'のCT撮影画像は省略している)、図12(b)は患者のCT撮影画像300、図12(c)は図12(b)に示す患者のCT撮影画像300に図12(a)に示す固定治具30'のCT撮影画像を重ね合わせたものである。 これらの図において一点鎖線A1、A2、A3はそれぞれ上顎咬合平面、下顎咬合平面、鼻聴平面を示している。 上述するように上顎咬合平面A1は上当接部材30'a対して平行で所定距離に位置するため、固定治具30'のCT撮影画像における上当接部材30'を患者のCT撮影画像300上の鼻聴平面A3に一致させると鼻聴平面に平行な上顎咬合平面A1を検出することができる。 このとき、固定治具30'の軟質材28'aの厚みの変化により固定治具30'のCT撮影画像上の上当接部材30'aと上顎咬合平面A1の距離と実際の患者のCT撮影画像300上の鼻聴平面A3と上顎咬合平面A1の距離がずれることがあるが、これは上当接部材30'aの画像情報を咬合平面A1に対して垂直方向(図12(c)におけるZ'方向)に移動させれば足りる。 このとき患者のCT撮影画像300内の歯列部分300aに歯列模型22'(図12では示さず)をフィッティングさせることで上記Z'方向の移動距離を正しく決定することができる。

    また、下顎咬合平面A2も上当接部材30'aと所定の位置関係に位置決めされているため(上述)、上当接部材30'aのCT撮影画像を患者のCT撮影画像の鼻聴平面A3に重複させると、患者のCT撮影画像中の上咬合平面A1および下咬合平面A2を検出することができる。

    従って、患者のCT撮影画像300を上下咬合平面A1,A2それぞれを基準としたCT撮影画像とすることができる。 これによって、患者がどのような姿勢でCT撮影したとしても歯科医師に理解し易い咬合平面を基準にした撮影情報を取得することができる。 また、噛合わせが正常にできない程度まで歯列欠損している患者においても容易に咬合平面を基準としたCT撮影情報を取得することができる。 さらに、図11、図12に示す上記実施形態の固定治具30'は平均値咬合器と称する既知の咬合器(咬合平面確認装置)と同様の機能を有しているため通常よりこれを使用する歯科医師にとっても使用し易い。

    また、上記図11、図12を参照して説明した実施形態では、上当接部材30'aを鼻聴平面(カンペル平面)を基準にして咬合平面を検出することとしていたが、鼻聴平面以外として歯科医師が使用する人体の基準面として眼耳平面(フランクフルト平面)が存在する。 眼耳平面とは眼下と耳とを結んだ平面であって、調節性咬合器と称する既知の咬合器においても該平面を基準に咬合平面を検出している。 本実施形態においてもこの眼耳平面を基準として咬合平面を検出することができる。 図13(a)を参照すれば、図11(a)と同様に歯列模型22'、24'が固定治具30'に位置決めされており、図11、図12で同一の参照番号を付した要素は、同一のものを意味している。 このとき図11(a)の場合には上下当接部材30'a、30'bに平行に上下顎部咬合平面A1,A2が位置するように軟質材28'a、28'bにより歯列模型22',24'を固定していたが、図13(a)に示す実施形態では、上当接部材30'aが眼耳平面A4に一致して上下顎部咬合平面A1,A2が位置するように軟質材28'a、28'bにより歯列模型22',24'を固定している。 なお、ここでは上下顎部咬合平面A1,A2が一致するものとして説明するが、両者がずれている場合への対応については固定治具30'を揺動させて位置決めすれば良く、すでに図11、図12に示す実施形態で説明を参照することとする。

    このようにして構成された図13(a)の固定治具30'をCT撮影してその画像を図13(b)に示すように患者のCT撮影画像300に重複させる(図12(a)〜(c)も参照)。 このとき固定治具30'のCT撮影画像のうち上当接部材30'aの画像を患者のCT撮影画像300内の眼耳平面A4に一致させる。 このとき固定治具30'に対して相対的に位置決めされた上下咬合平面A1,A2に一致する患者のCT撮影画像300上の上下咬合平面として検出される。 従って、眼耳平面A4を基準に用いても咬合平面を基準とした患者のCT撮影画像を取得することが可能となり、図13に示す実施形態の固定治具30'は調節性咬合器と称する既知の咬合器(咬合平面確認装置)と同様の機能を有しているため通常よりこれを使用する歯科医師にとっても使用し易い。

    さらに、上記説明において図11〜図13に示す固定治具30'は、その構成要素である上下当接部材30'a、30'b、連接部材30'c、およびヒンジ30'dがアクリル等、X線透過率の高い材料で構成されることが好ましい。 患者のCT撮影画像300には多くのアーティファクトと称するノイズ情報(画像)が含まれており、これがCT撮影画像から直接咬合平面を検出する際の弊害およびフィッティングの必要性となっている。 特に、金属製材料等、X線透過率の低い材質では大きくアーティファクトの影響を受けることとなる。 これに対して本固定治具30'では、アーティファクトの影響が少なく明確に歯列模型22',24'等が表示されるため患者のCT撮影画像にフィッティングし易いという利点がある。

    次に、上記人体情報抽出装置により抽出された人体情報に基づく3次元画像の断面情報を検出する装置について説明する。 図6は本装置により処理されるステップをディスプレイ上の画像表示で示しており、図7はそのステップのフローチャートが示されている。 まず、ディスプレイ上の画像で説明すれば図6(a)に示すようにディスプレイ上にはCT撮影により得た3次元情報に基づいて顎部200が表示されている。 この表示画像はワールドエリア上に配設されたものである。 オペレータは、この画像を視認しながら歯列の欠損部(図示しない)を認識する。 欠損部が認識されるとまず最初にオペレータは歯冠画像208を欠損部に嵌合させてみる。

    ここで、歯冠画像208の嵌合について説明する。 歯冠画像208は予め作成された歯冠形状の模型をCT撮影しておき、その撮影情報に基づいて一つのオブジェクトとしてワールドエリア上の任意の位置に配置される。 通常、この画像(オブジェクト)をオペレータがワールドエリア上で移動させ、上記欠損部に重ね合わせ適当と判断される位置に画像配置する。 しかしながら、患者によっては多数の歯列欠損が生じている場合もあり、オブジェクトの移動実行前に欠損箇所から離間した任意の位置に複数の歯冠画像208が配置されているとオペレータにとってどの歯冠画像が各欠損歯列に適合するものか判りにくくなり、処理効率が悪くなる可能性がある。 このため本実施形態では、自動的に歯冠画像を欠損歯列の近傍に配置し、歯冠画像がどの欠損歯列に適合するか明白にさせておくようにしている。 具体的には、上述する位置決め部材10から検出された基準面(咬合平面)を利用する。 詳細には、まず予め検出された咬合平面上に歯列を設定し、その歯列上に各歯冠画像情報を配置しておき、画面には各歯冠画像を非表示としておく。 そして、欠損部に歯冠画像を重ね合わす処理をオペレータが実行する段階において該当する欠損箇所に対応する咬合平面上の歯冠画像208を表示する。 このような処理を行うと、歯冠画像を移動させる前の初期段階においてもオペレータが所望する歯冠画像をある程度欠損部に近接した位置に自動的に表示することができ、逆に直近に所望しない歯冠画像を表示させないようにすることができる。

    次に、歯冠画像208が欠損箇所に適合したと視認された後の処理について説明する。 この歯冠画像208の下端には基準軸に沿ってインプラント206(参照番号206は基準軸としてのインプラント長軸をも示している)が表示されており、さらに基準軸206には該軸を含む所定の平面領域204が付与されている。

    従って、オペレータが歯冠画像208を歯列欠損部に嵌合するようにワールドエリア上を移動させ位置決めすると、これに応じてインプラントおよび基準軸206も位置決めされる。 さらに、基準軸206が位置決めされると平面領域204も位置決めされることとなる。 この平面領域204こそが断面情報を所望する平面である。 ここで平面領域204の位置決めについて言及すれば、断面検出用画像202はワールドエリア内で該画像が配設されたローカルエリアを設定すれば、歯冠画像位置、基準軸206の傾斜角、平面領域204の回転角を設定することができる。 図6(a)では、基準軸206をZ軸としてワールドエリア内を回転させることで基準軸を矢印A方向に回転させ、これに伴ってインプラント(206と平面領域204とを回転させる様子を略示している。この際、基準軸206をZ軸とし、平面領域204をXY平面とするローカル座標系を設定すれば、該座標系に対応するワールド座標系での3次元撮影情報が所望する平面領域204上の断面情報となる。また、図6(b)では、基準軸206に基づくローカル座標系をワールド座標系に対して傾斜させることで基準軸を矢印B方向に傾斜させ、これに伴ってインプラント206と平面領域204とを回転させる様子を略示している。このようにして位置決めされたローカル座標系での平面領域の人体情報に対応するワールドエリア上の人体情報を取得すれば、該平面領域上の人体情報を取得できる。従って、本装置によれば歯冠およびインプラントの埋入位置を確認しながら、その断面情報を取得することが可能となる。

    以上が本発明の断面情報検出装置の説明であるが、この装置で具体的に処理されるステップの一例についても説明しておく。 図7に示すようにオペレータは上述するように基準軸の回転、傾斜を実行することで平面領域204、すなわち所望する検出断面を設定する(STEP20)。 次に検出断面内における検出点を設定する。 具体的には検出断面に配置された多数のvoxelから予め設定された位置に存在するvoxelを検出し、これを検出点として設定する(STEP22)。 次に設定された平面領域における複数の検出点から1つの検出点を検出中心として設定する(STEP24)。 さらに、検出中心の近傍に位置する隣接点を検出し、設定する(STEP26)。 このステップで設定される隣接点は、検出中心から予め設定された領域(voxel群領域)内に存在する点(voxel)を検出することにより実行される。 そして、設定された検出中心と隣接点とに対応するワールドエリア上の人体情報を取得し(STEP28)、取得された複数の人体情報を平均化する(STEP30)。 さらに、このようにして検出中心に対応する人体情報が平面領域全体に亘って検出(取得)されたか否かが判定され、検出されるまではSTEP22〜30を繰り返すこととなる(STEP32)。 そして、平面領域全体に亘って人体情報が検出されると、これを別途設定した画面内に2次元情報として設定することで(STEP34)、ディスプレイ上にインプラント等基準軸周りの断面情報を提供することが可能となる。 なお、図7では、検出領域ごとに人体情報を取得し、平均化するステップが示されているが、一旦、平面領域全体に亘って各検出点の人体情報を取得した後に、各検出中心および隣接点を有する検出領域における人体情報を平均化するステップであっても差し支えない。 具体的には、図7のSTEP28、STEP32をSTEP22〜24の間に介挿させること等が考えられる。

    なお、平面領域204の任意の2点間の距離を測定することも、任意の3点間の角度を測定することも可能である。 具体的には、所望する2点以上の位置検出点(voxel)のワールドエリア上の座標を設定し、設定された位置検出点が2点であるときには検出点それぞれの座標を用いて検出点間の距離を測定する。 また、設定された位置検出点が3点以上であるときには検出点のうち任意の2点で形成される線分を2点の座標から測定し、該線分同士の角度及び/又は該線分の距離を検出点の座標を用いて測定する。

    さらに、本発明の断面情報検出装置では他の実施形態をも提供する。 この断面情報検出装置では、基準軸206を人体要素に基づく所定の方向に傾斜させることができ、且つ平面領域204は基準軸206とともに傾斜することができる。 ここで、人体要素の所定の方向の傾斜とは例えば、図6においてX方向で示す歯列方向の傾斜(近遠心の傾斜とも称する)やY方向で示す頬舌方向の傾斜を意味するものであり、前者は基準軸206の上端近傍(人工歯根画像においてはその頸部)を中心に近遠心に傾斜させ、後者は基準軸206の上端近傍を中心に頬舌方向に傾斜させるものである。 この傾斜における座標概念は、ワールドエリアにおいて通常意味する座標系とは異なる歯科医師等が施術時に想定している座標概念である。 ここで歯科医師が施術時に想定している座標概念についてさらに言及する。 歯科医師は、その施術の際に位置基準としているのは通常、咬合平面であり、患者の前方から咬合平面を見た状態の視点座標で施術の適正を判断している。 従って、歯科医師にとってワールドエリア上の座標平面で断面情報検出しても、それを施術に反映させようとすると実質的に咬合平面前方からの視点座標で再度変換想起する過程が必要とされる。 本実施形態では、この点に注目し従来、歯科医師が実質的に自己の頭の中で座標系を変換している過程を排除し、断面情報(これに基づく断面画像)自体を咬合平面を前方から視認した視点座標系で検出することとしている。 従って、歯科医師にとって所望する断面情報は必ずしも人工歯根の長軸を形成する基準軸206周りの断面情報が必要であるとは限らない。 具体的には、人工歯根を傾斜させて埋入させようと企図する場合、その傾斜が近遠心方向であるときには所望する断面情報は基準軸206周りの情報であるが、傾斜が頬舌方向であるときには基準軸206周りの情報は不要若しくは却って判断を困難にさせる情報となる。 この事情に鑑みて実施形態においては、基準軸は歯列方向(近遠心方向)にも頬舌方向にも傾斜させることができるが、断面情報を検出する平面領域204は、歯列方向の傾斜の場合にのみ基準軸206とともに歯列方向に傾斜させて基準軸周りに回転させることとし、頬舌方向の傾斜の場合には基準軸206は画像表示上は頬舌方向の傾斜状態を維持したまま回転させるが平面領域206は頬舌方向に傾斜していない状態を維持したまま回転させることとしている。 参照までに、図9は平面領域204に位置する断面情報を示した実際の画像図であり、参照番号206は基準軸を示している。 図10は、平面領域204と上下顎部との位置関係を示した画像図である。

    さらに、上顎部及び下顎部の3次元撮影情報(CT撮影情報)は上述するフィッティングにより上顎部及び下顎部の模型の3次元撮影情報と重ね合わされているが、人工歯根等の基準軸206周りの平面領域204に位置する上記断面情報に基づいて断面画像を表示する際には模型の断面情報をも含めて表示することが好ましい。 図9に示すように断面画像は前記CT値に基づいて濃淡表示されるが、歯列付近の軟組織形状(歯茎の形状)は空気部分とのCT差が小さく上下顎骨歯列に比してその外形が視認し難い。 その一方、上下顎部の模型(歯列模型)は硬質材の中空又は薄肉で形成されておりX吸収率も高いため、平面領域204に位置する上下顎部の3次元撮影情報と、平面領域に位置する人体模型の3次元撮影情報(図9の白点線又は図10の上下顎骨画像と歯列画像の間に位置する歯茎画像参照)とを抽出すれば同一断面画像上で軟組織形状を視認することが容易となり、オペレータのユーザビリティが大幅に向上する。 さらに、図10のごときCT撮影情報において断面情報を検出し人工歯根の埋入位置を検出する処理を実行する際に、オペレータは該断面画像を視認しながら人工歯根画像を歯列欠損部に嵌合させるが、このときに人工歯根画像や平面領域画像に予め規定したハンスフィールド値に相当するCT値をマッピングしても良い。 このようなマッピング処理を実行すれば、CT値に基づく濃淡で画像表示された上下顎部のCT撮影画像と同じ基準のグレースケールで仮想の人工歯根等を表示することができ、人工歯根表面やその周囲の人体組織(皮質骨や海綿骨)の状況を3次元的にも2次元的にも視認可能であり、オペレータのユーザビリティが向上する。

    以上、本発明の各装置に関する実施形態ついて例示説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。 例えば、実施形態においては概ね歯科医療分野での実施態様に言及したが、他の医療分野でも利用可能である。 また、本発明はCT撮影情報の問題点の解決手段としての実施形態が説明されてきたが、患者の位置決めが困難である又はノイズ情報を含む人体撮影であれば他の撮影方法でも利用することが可能である。

    CT撮影情報から得た顎部の3次元画像を例示している。

    本発明の人体情報抽出装置で咬合面を検出するステップを示したフロー図である。

    本発明の人体情報抽出装置で咬合面を検出する他のステップを示したフロー図である。

    位置決め部材を例示した略示図であり、図4−1、図4−2はそれぞれ一つの実施形態の側面図とラインX−X視図、図4−3、図4−4はそれぞれ他の実施形態の側面図とラインY−Y視図である。

    本発明の人体情報抽出装置で基準面(咬合平面)を一致させる様子を示した略示図である。

    本発明の断面情報検出装置においてディスプレイ上で基準面と平面領域とを設定する様子を示している。

    本発明の断面情報検出装置で基準軸周りの断面情報を検出するステップを示したフロー図である。

    上下歯列模型を固定するCT撮影用治具とこれを使用したフィッティング及び上下歯列のマーキングを示した図である。

    上下顎部の断面画像を例示した図である。

    本発明の断面情報検出装置で断面画像を取得する際の上下顎部のCT撮影画像と基準軸及び平面領域との位置関係を示した画像図である。

    (a)は、本発明の人体撮影情報の基準面変換方法で使用する固定治具に歯列模型に固定する方法を示しており、(b)は、該固定装置が揺動する状態を示したものである。

    本発明の人体撮影情報の基準面変換方法において固定治具を患者の撮影情報(CT撮影画像)に重ね合わせて基準面(咬合平面)を検出する手法を示している。

    図11、図12における本発明の人体撮影情報の基準面変換方法の変形例を示したものである。

    10…位置決め部材10a、10b…球状体30、30´…模型撮影用治具40…位置決め部材50…位置決め部材102、106…咬合平面204…平面領域206…インプラント(歯科用インプラント長軸)

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