式超音波口腔洗浄装置、及び流水式超音波口腔洗浄方法

申请号 JP2013524737 申请日 2012-07-11 公开(公告)号 JPWO2013012021A1 公开(公告)日 2015-02-23
申请人 学校法人昭和大学; 本多電子株式会社; 株式会社ジーシー; 发明人 松男 山本; 松男 山本; 尚 滝口; 尚 滝口; 佐藤 正典; 正典 佐藤; 健吾 植村; 健吾 植村; 智美 疋田; 智美 疋田; 克幸 稲垣; 克幸 稲垣; 秀雄 向坂; 秀雄 向坂; 宮本 年昭; 年昭 宮本;
摘要 【課題】 口腔 内を効率よく確実に洗浄することができる流 水 式超音波口腔洗浄装置を提供すること。【解決手段】流水式超音波口腔洗浄装置1において、洗浄液供給装置2の洗浄液W1が供給口26を介して振動子ケース21内に供給される。振動子ケース21内において振動子装着部23に装着された超音波振動子22から洗浄液W1に超音波S1が伝搬される。振動子ケース21内において先端部で洗浄液W1の流水が収束された後、流出口27から口腔内に出 力 される。流水式超音波口腔洗浄装置1において、直径が50mm以下の超音波振動子22に100W以下の電力を供給し、周 波数 が100kHz以上3MHz以下の超音波S1を洗浄液W1に伝搬させる。
权利要求
  • 超音波を伝搬させた洗浄液を流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄装置であって、
    前記洗浄液に超音波を伝搬させる超音波振動子と、
    一端側に設けられ前記超音波振動子を装着するための振動子装着部と、前記超音波振動子の振動面に洗浄液を供給する供給口と、前記振動子装着部と対向する他端側に行くに従って先細りした形状の先端部に設けられ、前記洗浄液を流水として出力する流出口とを有するケースと、
    前記ケースの供給口に接続され、前記ケース内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
    前記口腔内を超音波洗浄した使用済みの洗浄液を排水する洗浄液排水手段とを備え、
    前記超音波振動子を駆動する発振周波数は100kHz以上3MHz以下であり、前記超音波振動子の直径は50mm以下であり、前記超音波振動子への供給電力は100W以下であることを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 超音波を伝搬させた洗浄液を流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄装置であって、
    前記洗浄液に超音波を伝搬させる超音波振動子と、
    一端側に設けられ前記超音波振動子を装着するための振動子装着部と、前記超音波振動子の振動面に洗浄液を供給する供給口と、前記振動子装着部と対向する他端側に行くに従って先細りした形状の先端部に設けられ、前記洗浄液を流水として出力する流出口とを有するケースと、
    前記ケースの供給口に接続され、前記ケース内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
    前記口腔内を超音波洗浄した使用済みの洗浄液を排水する洗浄液排水手段とを備え、
    前記超音波振動子を駆動する発振周波数を100kHz以上としその周波数をf(kHz)、前記超音波振動子の直径をD(m)、前記超音波振動子への平均供給電力をP(W)としたとき、f×D×Pの演算式により算出される値が500以下となるように構成したことを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記ケースの流出口に、前記流水の方向を変更可能な曲げノズルを設置し、前記曲げノズルは、前記ケースの中心軸に対して5°以上90°以下の角度で曲げられていることを特徴とする請求項1または2に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記曲げノズルは、ノズル先端の開口方向とは反対側となる方向に一旦曲げてその先端側にて曲げ戻すように屈曲されており、前記曲げノズル内における屈曲部分には、前記超音波を前記開口方向に反射するための反射板が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記曲げノズルは、前記ノズル先端が前記ケースの中心軸上に配置されることを特徴とする請求項4に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記曲げノズルは、前記ノズル先端の開口径が前記超音波の波長よりも大きくなるよう形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記洗浄液排水手段は、扇型に拡がった吸入口を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記ケース内に設けられ、前記流水に光を伝搬させるための発光手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記ケースにおいて、前記流出口側に行くに従って先細りするように形成された外壁部の少なくとも2箇所に発光手段を設け、該各発光手段が発する光の交差位置にて洗浄ポイントを示すようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記発光手段のうちの少なくとも1つは、465nmの波長を有する光を出力することを特徴とする請求項8または9に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記洗浄液供給手段の洗浄液に炭酸ガスをバブリングするバブリング手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 前記洗浄液排出手段は、歯科治療ユニットに設けられたバキューム装置、電動ポンプ式吸引管、または、入院ベッドに設置された吸引用配管に接続可能なジョイント部を有していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の流水式超音波口腔洗浄装置。
  • 超音波を伝搬させた洗浄液を流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄方法であって、
    直径が50mm以下の超音波振動子に100W以下の電力を供給し、周波数が100kHz以上3MHz以下の超音波を洗浄液に伝搬させるステップと、
    前記超音波を伝搬させた洗浄液を流水として前記口腔内に出力し、処置部に前記流水を当てて超音波を作用させるステップとを含むことを特徴とする流水式超音波口腔洗浄方法。
  • 超音波を伝搬させた洗浄液を流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄方法であって、
    超音波振動子を駆動する発振周波数を100kHz以上としその周波数をf(kHz)、前記超音波振動子の直径をD(m)、前記超音波振動子への平均供給電力をP(W)としたとき、f×D×Pの演算式により算出される値が500以下となるように設定し、前記超音波振動子を用いて前記超音波を洗浄液に伝搬させるステップと、
    前記超音波を伝搬させた洗浄液を流水として前記口腔内に出力し、処置部に前記流水を当てて超音波を作用させるステップとを含むことを特徴とする流水式超音波口腔洗浄方法。
  • 说明书全文

    本発明は、口腔内において、歯の表面、歯科用インプラント及び口腔粘膜上の生物や食物残渣等を超音波洗浄する流式超音波口腔洗浄装置、及び流水式超音波口腔洗浄方法に関するものである。

    従来、歯科治療において、口腔内を高水圧のジェット水流で洗浄する口腔内洗浄装置が実用化されている。 この口腔内洗浄装置を用いる場合、洗浄液が大量に必要となる。 また、歯科治療時には、洗浄後の洗浄液を口腔内から排出する必要があるが、排液量が多くなると、排水装置の処理能を高める必要がある。 このため、洗浄液や排液処理のコストなどが増加してしまう。

    歯科治療においては、超音波振動を利用して歯垢等を除去する超音波スケーラや超音波歯ブラシなどの口腔清掃装置が実用化されている。 また、歯科治療の装置としての開示はないが、超音波振動を利用して異物を除去する超音波異物除去装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 特許文献1の超音波異物除去装置では、超音波振動子からの超音波振動がホーンに伝達され、ホーンの先端部によって異物除去が行われる。 この装置には、異物を洗い流す洗浄液を供給する供給手段と、洗浄液とともに異物を吸引するための吸引手段が設けられている。 この超音波異物除去装置を利用して口腔洗浄を行うことは可能である。

    上述した超音波スケーラ、超音波歯ブラシ、超音波異物除去装置などの清掃装置を用いて口腔洗浄を行う場合、洗浄液の使用量を抑えることが可能となる。

    特開平11−318917号公報

    ところで、超音波振動を利用した従来の口腔清掃装置では、振動部材(チップ、ブラシの毛先、ホーンなど)を歯に直接当てて、超音波振動によって歯垢を破壊し除去している。 このような口腔清掃装置を使用者が使いこなすには、相当な技量(操作熟練度)が必要となる。 すなわち、歯垢のある部位に確実に振動部材を当接させないと歯垢を除去することができないため、歯垢の除去に時間がかかることに加え、歯垢の取り残し等の問題が生じてしまう。 このため、使用者の技量にかかわらず口腔洗浄を効率よく確実に行える洗浄装置が望まれている。

    因みに、歯科治療以外の分野では、流水式超音波洗浄機が実用化されている。 この流水式超音波洗浄機では、ケース内に超音波振動子を備えており、ケース内に供給された洗浄液に超音波振動子から超音波を伝搬させる。 そして、その超音波を伝搬させた洗浄液の流水を放水ノズルから出力することで、半導体基板などの被洗浄物の洗浄が行われる。 この流水式超音波洗浄機では、比較的高い周波数(数MHz程度)の超音波が利用されており、半導体基板などに付着した微細な汚れを除去するようにしている。 ところが、この洗浄機で用いられている高周波の超音波は指向性が鋭く、放射ノズルの出口付近において超音波が比較的狭い範囲で強く収束している。 従って、熱に弱い被洗浄物(アクリル板など)をノズル近傍(焦点付近)に配置すると、被洗浄物が発熱して溶けてしまうことがある。 特に、口腔内を洗浄する場合では歯茎等が低温やけどになる可能性がある。 このため、従来では歯科治療の分野において流水式超音波洗浄機の使用は検討されていなかった。

    特許文献1の超音波異物除去装置では、ホーンの先端を振動させるために比較的低周波(30kHz〜50kHz)の超音波が用いられている。 このような低周波の超音波を流水式超音波洗浄機に用いる場合、超音波の指向性が鈍くなるため、超音波の焦点がぼやけ、歯垢等を除去するための十分な音圧を得ることができない。 また、低周波の超音波を用いる場合、使用する超音波振動子の直径を大きくすれば、超音波をある程度収束させることは可能であるが、洗浄装置が大型化する。 このため、歯科治療用の超音波洗浄装置として実用化することが困難となる。

    本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、口腔内を効率よく確実に洗浄することができる流水式超音波口腔洗浄装置及び流水式超音波口腔洗浄方法を提供することにある。

    上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、超音波を伝搬させた洗浄液を流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄装置であって、前記洗浄液に超音波を伝搬させる超音波振動子と、一端側に設けられ前記超音波振動子を装着するための振動子装着部と、前記超音波振動子の振動面に洗浄液を供給する供給口と、前記振動子装着部と対向する他端側に行くに従って先細りした形状の先端部に設けられ、前記洗浄液を流水として出力する流出口とを有するケースと、前記ケースの供給口に接続され、前記ケース内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記口腔内を超音波洗浄した使用済みの洗浄液を排水する洗浄液排水手段とを備え、前記超音波振動子を駆動する発振周波数は100kHz以上3MHz以下であり、前記超音波振動子の直径は50mm以下であり、前記超音波振動子への供給電力は100W以下であることを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置をその要旨とする。

    請求項1に記載の発明によると、洗浄液供給手段からの洗浄液が供給口を介してケース内に供給され、ケース内の振動子装着部に装着された超音波振動子により超音波が洗浄液に伝搬される。 ケースの先端部は流出口に向けて先細り形状となっており、ケース内において超音波が伝搬された洗浄液は、先端部で流水が収束された後、流出口から口腔内に出力される。 本発明に用いられる超音波振動子の発振周波数(超音波の周波数)は100kHz以上3MHz以下であり、超音波振動子の直径が50mm以下である。 この場合、超音波は、流出口付近において歯などの処置部のサイズに対応した幅をもって適度に収束される。 また、超音波振動子への供給電力は100W以下であるため、強い音圧の超音波が作用して歯茎等が低温やけどになるといった問題が回避される。 従って、口腔内の処置部に流水を当てることにより、適度な音圧の超音波が確実に作用し、歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等が効率よく除去される。 その後、口腔内を超音波洗浄した使用済みの洗浄液は洗浄液排水手段によって排水される。 本発明の流水式超音波口腔洗浄装置では、超音波振動子の直径が50mm以下であり、装置をコンパクトに形成できる。 このため、ケースを手で持って操作が可能となり、扱い易くなる。 このように、本発明の流水式超音波口腔洗浄装置を用いれば、使用者の技量にかかわらず口腔洗浄を効率よく確実に行うことができる。

    請求項2に記載の発明は、超音波を伝搬させた洗浄液を流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄装置であって、前記洗浄液に超音波を伝搬させる超音波振動子と、一端側に設けられ前記超音波振動子を装着するための振動子装着部と、前記超音波振動子の振動面に洗浄液を供給する供給口と、前記振動子装着部と対向する他端側に行くに従って先細りした形状の先端部に設けられ、前記洗浄液を流水として出力する流出口とを有するケースと、前記ケースの供給口に接続され、前記ケース内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記口腔内を超音波洗浄した使用済みの洗浄液を排水する洗浄液排水手段とを備え、前記超音波振動子を駆動する発振周波数を100kHz以上としその周波数をf(kHz)、前記超音波振動子の直径をD(m)、前記超音波振動子への平均供給電力をP(W)としたとき、f×D×Pの演算式により算出される値が500以下となるように構成したことを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置をその要旨とする。

    請求項2に記載の発明によると、請求項1の発明と同様に、口腔洗浄に適した音圧の超音波を口腔内の処置部に作用させることができ、歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等が効率よく除去される。 また、超音波振動子の大きさが制限されて装置をコンパクトに形成できる。 このため、ケースを手で持って操作が可能となり、扱い易くなる。 このようにしても、使用者の技量にかかわらず口腔洗浄を効率よく確実に行うことができる。

    請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記ケースの流出口に、前記流水の方向を変更可能な曲げノズルを設置し、前記曲げノズルは、前記ケースの中心軸に対して5°以上90°未満の度で曲げられていることをその要旨とする。

    請求項3に記載の発明によると、ケースの流出口に曲げノズルを設けることにより、流水の方向がケースの中心軸に対して5°以上90°以下の角度で変更される。 このようにすると、口腔内において前歯の後ろ側、奥歯、歯間などの部分にも確実に流水を当てることができる。

    請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記曲げノズルは、ノズル先端の開口方向とは反対側となる方向に一旦曲げてその先端側にて曲げ戻すように屈曲されており、前記曲げノズル内における屈曲部分には、前記超音波を前記開口方向に反射するための反射板が設けられていることを要旨とする。

    請求項4に記載の発明によると、曲げノズルを屈曲させることにより、流水の方向がケースの中心軸に対して5°以上90°以下の角度で変更することができる。 このようにすると、口腔内において前歯の後ろ側、奥歯、歯間などの部分にも確実に流水を当てることができる。 また、屈曲部分に設けられた反射板によってノズル先端に超音波を確実に導くことができ、前歯の後ろ側、奥歯、歯間などの部分に超音波を確実に作用させることができる。

    請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記曲げノズルは、前記ノズル先端が前記ケースの中心軸上に配置されることを要旨とする。

    請求項5に記載の発明によると、ノズル先端がケースの中心軸上に配置されるので、口腔内の処置部に対応する位置にノズル先端を容易に配置させることができ、口腔洗浄を効率よく確実に行うことができる。

    請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、前記曲げノズルは、前記ノズル先端の開口径が前記超音波の波長よりも大きくなるよう形成されていることを要旨とする。

    請求項6に記載の発明によると、ノズル先端の開口径(ノズル径)が超音波の波長よりも大きくなるよう形成されているので、ノズル先端での超音波の反射が少なくなる。 従って、超音波が減衰することなく流水に伝搬されるため、口腔内の処置部に超音波を確実に作用させることができる。

    請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、前記洗浄液排水手段は、扇型に拡がった吸入口を有することをその要旨とする。

    請求項7に記載の発明によると、洗浄液排水手段の吸入口は扇型に拡がっているので、口腔内の処置部に当たって下方に落ちる使用済みの洗浄液を確実に吸引して排水することができる。

    請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記ケース内に設けられ、前記流水に光を伝搬させるための発光手段を備えたことをその要旨とする。

    請求項8に記載の発明によると、発光手段によって流水に伝搬された光は、流出口から流水とともに出力される。 このようにすると、流水の洗浄ポイントを光で示すことができ、口腔洗浄を確実に行うことができる。

    請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記ケースにおいて、前記流出口側に行くに従って先細りするように形成された外壁部の少なくとも2箇所に発光手段を設け、該各発光手段が発する光の交差位置にて洗浄ポイントを示すようにしたことをその要旨とする。

    請求項9に記載の発明によると、超音波振動子から照射された超音波の音圧は、超音波振動子からの距離に応じて変化するが、口腔洗浄に適した音圧の洗浄ポイントを光の交差位置にて示すことができる。 従って、その交差位置にて示される洗浄ポイントを口腔内の処置部に合わせることにより、口腔洗浄を効率よく確実に行うことができる。

    請求項10に記載の発明は、請求項8または9において、前記発光手段のうちの少なくとも1つは、465nmの波長を有する光を出力することをその要旨とする。

    請求項10に記載の発明によると、発光手段から465nmの波長を有する光が口腔内に照射される。 ここで、歯周病を引き起こすグラム陰性菌を多く含むプラーク(歯垢)は、465nmの光に対して赤色の反射光がある。 この赤色の反射光の有無によって、プラークの落ち具合を目視で確認することができる。

    請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかにおいて、前記洗浄液供給手段の洗浄液に炭酸ガスをバブリングするバブリング手段をさらに備えたことをその要旨とする。

    請求項11に記載の発明によると、洗浄液に含まれる空気が炭酸ガスに置換されるので、超音波の照射によるソノケミカル反応を抑えることができる。

    請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11のいずれかにおいて、前記洗浄液排出手段は、歯科治療ユニットに設けられたバキューム装置、電動ポンプ式吸引管、または、入院ベッドに設置された吸引用配管に接続可能なジョイント部を有していることをその要旨とする。

    請求項12に記載の発明によると、歯科治療ユニットや入院ベッドに設けられた既存設備を利用して、口腔洗浄後の洗浄液を排水できるので、装置コストを低く抑えることができる。

    請求項13に記載の発明は、超音波を伝搬させた洗浄液を流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄方法であって、直径が50mm以下の超音波振動子に100W以下の電力を供給し、周波数が100kHz以上3MHz以下の超音波を洗浄液に伝搬させるステップと、前記超音波を伝搬させた洗浄液を流水として前記口腔内に出力し、処置部に前記流水を当てて超音波を作用させるステップとを含むことを特徴とする流水式超音波口腔洗浄方法をその要旨とする。

    請求項13に記載の発明によると、超音波振動子から出力された超音波は処置部のサイズに対応した幅をもって適度に収束され、歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等が効率よく除去される。 このようにすると、使用者の技量にかかわらず口腔洗浄を効率よく確実に行うことができる。

    請求項14に記載の発明は、超音波を伝搬させた洗浄液を流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄方法であって、超音波振動子を駆動する発振周波数を100kHz以上としその周波数をf(kHz)、前記超音波振動子の直径をD(m)、前記超音波振動子への平均供給電力をP(W)としたとき、f×D×Pの演算式により算出される値が500以下となるように設定し、前記超音波振動子を用いて前記超音波を洗浄液に伝搬させるステップと、前記超音波を伝搬させた洗浄液を流水として前記口腔内に出力し、処置部に前記流水を当てて超音波を作用させるステップとを含むことを特徴とする流水式超音波口腔洗浄方法をその要旨とする。

    請求項14に記載の発明によると、口腔洗浄に適した音圧の超音波を口腔内の処置部に作用させることができ、歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等が効率よく除去される。 このようにしても、使用者の技量にかかわらず口腔洗浄を効率よく確実に行うことができる。

    以上詳述したように、請求項1乃至14に記載の発明によると、口腔内を効率よく確実に洗浄することができる。

    一実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置を示す概略構成図。

    洗浄機本体及び吸引ノズルを示す斜視図。

    洗浄機本体を示す断面図。

    流水式超音波口腔洗浄装置を用いた洗浄方法を示す説明図。

    400kHzの超音波の音圧分布を示す説明図。

    2.4MHzの超音波の音圧分布を示す説明図。

    200kHzの超音波の音圧分布を示す説明図。

    超音波口腔洗浄前の上顎前歯部の唇側の写真を示す説明図。

    超音波口腔洗浄後の上顎前歯部の唇側の写真を示す説明図。

    ミニブタの歯肉粘膜の組織像を示す断面図。

    超音波口腔洗浄による歯垢除去率を示すグラフ。

    プラーク付着前の試験片のSEM写真を示す説明図。

    プラーク付着後の試験片のSEM写真を示す説明図。

    超音波口腔洗浄後の試験片のSEM写真を示す説明図。

    別の実施の形態の曲げノズルを示す断面図。

    別の実施の形態の洗浄機本体及び吸引ノズルを示す斜視図。

    別の実施の形態の洗浄機本体を示す断面図。

    別の実施の形態の洗浄機本体を示す断面図。

    別の実施の形態の洗浄機本体を示す断面図。

    別の実施の形態の洗浄機本体を示す断面図。

    別の実施の形態の洗浄機本体を示す断面図。

    別の実施の形態の洗浄液供給装置を示す概略構成図。

    別の実施の形態の洗浄機本体を示す斜視図。

    以下、本発明を流水式超音波口腔洗浄装置に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。

    図1は、本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1を示す概略構成図である。 図1に示されるように、流水式超音波口腔洗浄装置1は、洗浄液供給装置2(洗浄液供給手段)、流量コントローラ3、洗浄機本体4、超音波制御装置5及び吸引排水装置6を備えている。 流水式超音波口腔洗浄装置1は、超音波S1を伝搬させた洗浄液W1を流水として口腔内に注ぎながら超音波洗浄する。

    洗浄液供給装置2は、洗浄液W1を貯留する洗浄液タンク11と、その洗浄液タンク11に接続されるポンプ12とを備える。 洗浄液供給装置2は、供給配管13を介して洗浄機本体4に接続されており、ポンプ12を駆動することによって洗浄液タンク11内の洗浄液W1を洗浄機本体4に供給する。

    流量コントローラ3は、洗浄液供給装置2と洗浄機本体4とを接続する供給配管13の途中に設けられており、洗浄液W1の流量を調整するための操作ツマミ15を備えている。 流量コントローラ3は、操作ツマミ15の操作量に応じて、洗浄機本体4に供給する洗浄液W1の流量を3L〜0.1L/分の範囲内で制御する。

    洗浄機本体4は、ペン型の形状を有する振動子ケース21と、振動子ケース21内に装着され、洗浄液W1に超音波S1を伝搬させる円板状の超音波振動子22とを備える。 超音波振動子22の直径は、例えばφ30mmであり、400kHzの周波数の超音波S1を洗浄液W1中に出力する。 振動子ケース21において、一端側(図1では左側となる後端側)となる振動子装着部23に超音波振動子22が設けられている。 また、振動子ケース21の側面には、超音波振動子22の振動面24に洗浄液W1を供給するための供給口26が設けられており、その供給口26に供給配管13の端部が接続されている。 さらに、振動子ケース21は、超音波振動子と対向する他端側(図1では右側となる先端側)にいくに従って先細りした形状に形成され、その先端部には洗浄液W1を流水として出力する流出口27が設けられている。

    本実施の形態において、振動子ケース21の外径は、手で持つことが可能なサイズであり、例えば40mm程度である。 振動子ケース21における後端部の内径は、超音波振動子22のサイズに合わせて30mmとなっている。 また、振動子ケース21において、先端部の流出口27の口径は、例えば5mm程度であり、超音波振動子22の振動面24から流出口27までの距離は、例えば50mm程度である。 さらに、本実施の形態の洗浄機本体4において、振動子ケース21の流出口27には、流水の方向を変更可能な曲げノズル28が設けられている。 この曲げノズル28は、流水の方向が吸引ノズル30(洗浄液排水手段)側に向くように曲げられている。 具体的には、図3に示されるように、振動子ケース21の中心軸O1に対して、ノズル先端部の角度θ1が5°〜90°となるように曲げられている。 また、曲げノズル28におけるノズル先端の開口径(ノズル径)は、4mmであり、超音波の波長よりも大きくなるよう形成されている。 本実施の形態では、超音波の周波数が400kHz、洗浄液W1の音速が1500m/sであるため、超音波の波長は、3.75mm(=1500m/s÷400kHz)となる。

    本実施の形態では、振動子ケース21の流出口27及び曲げノズル28の断面形状は円形である。 また、曲げノズル28の角度θ1は、固定であってもよいし、自由に調整できるように構成してもよい。 具体的には、例えば、ノズル28を蛇腹状の管で構成し、ノズル28の角度θ1を調整してもよい。 また、振動子ケース21の中心軸O1を基準にしてノズル28の曲げ方向を回転可能に構成してもよい。 さらに、曲げノズル28の長さは、処置部となる奥歯、前歯、歯間などの洗浄位置に応じて適宜変更してもよい。 例えば、前歯を洗浄する場合には2cm程度の長さのノズルを用い、奥歯を洗浄する場合には5cm程度の長さのノズルを用いるようにしてもよい。

    本実施の形態において、振動子ケース21及び曲げノズル28は、ステンレスなどの金属材にて形成されている。 なお、振動子ケース21及び曲げノズル28は、金属以外に、ガラス、セラミック、樹脂などを用いて形成してもよい。

    図1に示されるように、超音波制御装置5は、発振回路31とフットスイッチ32とを備える。 フットスイッチ32は、使用者の足で操作する操作部材であり、超音波S1のオン・オフを制御する出力スイッチ33や、超音波の出力モード(連続モード、バーストモード)を切り替えるモード切り替えスイッチ34,35などが設けられている。

    フットスイッチ32は、各スイッチ33〜35の操作状況に応じたスイッチ信号を発振回路31に出力する。 発振回路31は、配線コード36を介して洗浄機本体4の超音波振動子22に電気的に接続されており、フットスイッチ32のスイッチ信号に応じた駆動信号を超音波振動子22に出力する。 ここで、超音波S1の出力モードとして連続モードが選択された場合、超音波振動子22が連続的に駆動され、バーストモードが選択された場合には、超音波振動子22が間歇的に駆動される。 本実施の形態において、超音波制御装置5の発振回路31から超音波振動子22に供給される平均供給電力は、約12Wである。 また、発振回路31の発振周波数は、400kHzである。

    吸引ノズル30は、イチョウの葉のように扇型に拡がった吸入口37と、吸入口37に接続された吸引配管38と、吸引配管38の基端に設けられたジョイント部39とを有し、ジョイント部39を介して吸引排水装置6に接続されている。 図2に示されるように、本実施の形態の吸引ノズル30は、振動子ケース21の外周面に突設された把持柄41に固定されている。 また、吸引ノズル30の吸入口37は、扇型の底面部37aとその両側に形成されたガイド部37bとを有し、口腔内を超音波洗浄した使用済みの洗浄液W1を処置部42(例えば、歯)の下側で受けて排水する(図4参照)。 なお、処置部42としては、歯の表面や歯根以外に歯科用インプラントなどであってもよい。

    図1に示されるように、吸引排水装置6は、洗浄液W1を回収する回収容器45と、回収容器45に接続されるポンプ46とを備える。 吸引排水装置6において、ポンプ46を駆動することにより、洗浄液W1を吸引ノズル30で吸引するとともに、吸引した洗浄液W1を回収容器45内に回収する。

    本実施の形態では、流水式超音波口腔洗浄装置1の電源として、例えば、家庭用電源(図示略)が用いられている。 なお、流水式超音波口腔洗浄装置1の電源をバッテリ電源に変更し、家庭用電源がない場所でも流水式超音波口腔洗浄装置1を利用できるように構成してもよい。

    次に、本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1を用いて口腔内を洗浄する方法について説明する。

    使用者(具体的には、歯医者)は、洗浄機本体4を片手で持って洗浄機本体4を移動させ、患者の口腔内の処置部42に曲げノズル28の先端を向けて配置するとともに、吸引ノズル30の扇型の吸入口37を処置部42の下方に配置する。 つまり、曲げノズル28と吸引ノズル30との間に処置部42の歯を挟み込むようにする(図4参照)。 また、使用者は、フットスイッチ32のモード切り替えスイッチ34,35を操作して、超音波S1の出力モードを選択する。 さらに、使用者は、流量コントローラ3の操作ツマミ15を操作し、洗浄液W1の流量を例えば0.9L/分に設定する。 この後、使用者は、洗浄液供給装置2及び吸引排水装置6の電源スイッチ(図示略)をオンして各ポンプ12,46を駆動するとともに、フットスイッチ32の出力スイッチ33をオンして発振回路31を駆動する。

    この結果、洗浄液供給装置2から洗浄機本体4に洗浄液W1が供給されるとともに、洗浄機本体4の振動子ケース21内において、超音波振動子22から洗浄液W1に400kHzの超音波S1が伝搬される。 振動子ケース21の先端部は流出口27に向けて先細り形状となっており、超音波S1が伝搬された洗浄液W1は、先端部にて流水が収束された後、流出口27及び曲げノズル28を介して口腔内の処置部42に当たる。 このとき、処置部42には洗浄液W1中を伝搬する超音波S1が作用して処置部42の汚れ(粘膜状の歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等)が除去される。 そして、使用者は、洗浄後の洗浄液W1を吸引ノズル30で吸引し、洗浄廃液として吸引排水装置6の回収容器45内に排水する。

    このようにして、患者の口腔内を超音波洗浄した後、フットスイッチ32の出力スイッチ33や図示しない電源スイッチ等をオフして各装置2,5,6を停止し、超音波洗浄の処理を終了する。

    本発明者らは、超音波振動子22から出力される400kHzの超音波S1の音圧をシミュレーションにて確認した。 その結果を図5に示している。 また、図6には、2.4MHzの超音波S1を出力する場合のシミュレーション結果を示し、図7には、200kHzの超音波S1を出力する場合のシミュレーション結果を示している。

    図5に示されるように、本実施の形態の場合、超音波振動子22からの距離が50mm(振動子ケース21の流出口27付近)〜100mm(ノズル28の先端付近)にて、音圧の強い領域が見られている。 また、図6に示す高周波(2.4MHz)の場合と比較して、超音波振動子22の径方向に比較的なだらかな広がりを持ち、強い収束が起きていないことが確認された。 実施の形態では、直径がφ30mmである超音波振動子22を用いたが、超音波S1が実際に出力される実効径はφ26mmであった。 なお、図6に示す2.4MHzの場合には実効径がφ11mmの超音波振動子22を用い、図7に示す200kHzの場合には実効径がφ30mmの超音波振動子22を用い、50mm付近で超音波S1の焦点を結ぶようにしている。

    図5〜図7に示されるように、高周波数では収束が強く起こり、低周波数ほど収束が緩やかになるが、超音波S1が収束して音圧が強くなる収束領域(振動子22の軸方向となるZ方向の領域)は、低周波数ほど短くなる。 Z方向の収束領域を広く取ろうとすると、超音波振動子22の直径を大きくする必要がある。 これらシミュレーション結果に基づいて、超音波S1が強く収束しすぎずに洗浄効果が得られること、超音波振動子22の直径が小さいこと、Z方向の収束領域が長いことの3点を考慮して、超音波振動子22の発振周波数(超音波S1の周波数)を100kHz以上3MHz以下の周波数とする。 このようにすると、口腔洗浄を効率よく行うことが可能となる。

    特に、歯の隙間の微細な汚れを確実に洗浄する場合、高周波数の超音波S1を用いることが好ましい。 この場合、周波数に応じて、超音波振動子22に供給する平均供給電力を小さくするとともに、振動子径を小さく設定する。 具体的には、超音波振動子22の発振周波数をf(kHz)、超音波振動子22の直径をD(m)、超音波振動子22への平均供給電力をP(W)としたとき、f×D×Pの演算式により算出される演算値が500以下となるように構成する。

    因みに、半導体基板の洗浄用として製品化されている従来の流水式超音波洗浄機には、以下のような商品A,B,Cがある。 具体的には、商品Aでは、周波数fが400kHz、振動子径Dが0.04m、供給電力Pが100Wである。 商品Bでは、周波数fが1MHz、振動子径Dが0.020m、供給電力Pが60Wである。 商品Cでは、周波数fが3MHz、振動子径Dが0.015m、供給電力Pが40Wである。

    これら商品A〜Cにおいて、周波数f(kHz)×振動子径D(m)×平均供給電力P(W)にて演算される演算値は、商品Aの場合で1600、商品Bの場合で1200、商品Cの場合で1800となり、いずれも500を超えている。 これに対して、周波数fに応じて、振動子径Dを小さく平均供給電力Pを小さくして、演算値を500以下とすることにより、口腔洗浄に適した音圧の超音波S1を口腔内の処置部42に作用させることができ、歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等が効率よく除去される。

    本発明者らは、本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1を用いて、上顎前歯部の唇側のプラークを除去する場合の洗浄効果を確認した。 ここでは、先ず、上顎前歯部100の唇側に付着しているプラークをプラーク染色液で染色する(図8参照)。 なお便宜上、図8では白黒の写真で上顎前歯部100のプラークが示されているが、実際のカラー写真では、プラーク付着部位が赤色に染色されている。 そして、流水式超音波口腔洗浄装置1における曲げノズル28の先端と歯面までの距離を約20mmに保ち、超音波S1が伝搬された洗浄液W1の流水を曲げノズル28からプラーク付着部位に60秒間作用させた。 その結果を図9に示している。 図9に示されるように、口腔洗浄後の上顎前歯部100では、染色されたプラークが表面から除去されていることが確認された。

    また、以下の手法で流水式超音波口腔洗浄装置1による組織障害性を確認した。 具体的には、ミニブタの歯肉粘膜を対象にして、曲げノズル28の先端から歯肉粘膜まで約20mm離した状態で洗浄処置を行い、超音波S1が伝搬された洗浄液W1の流水を曲げノズル28から歯肉粘膜に3分間作用させた。 図10には、その洗浄処置後において24時間経過した状態での組織像101を示している。 図10に示されるように、上皮における好中球の浸潤や固有層における単核細胞浸潤は観察されず、水腫等の急性炎症反応も観察されなかった。 このことから、流水式超音波口腔洗浄装置1による歯肉組織に対する為害作用は無いと判断することができた。

    さらに、本発明者らは、歯科用インプラント(チタン製鏡面加工及び粗面加工)に対する流水式超音波口腔洗浄装置1の洗浄効果を確認した。 具体的には、先ず、歯科用インプラントと同じ表面性状をもつ試験片(鏡面加工の試験片及び粗面加工の試験片)を用意する。 そして、試験片を着脱可能な入れ歯型装置に固定し、被験者の口腔内で3日間保持して表面に歯垢(バイオフィルム)を形成させた。 その後、試験片を口腔外に取り出して、本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1により3分間洗浄を行った。 この時の超音波振動子22への供給電力は12W、流水量は0.3L/分とした。 またここでは、洗浄前の試験片表面における歯垢をプラーク染色液で染色しておき、洗浄前及び洗浄後における歯垢の付着状態をデジタルマイクロスコープで観察することにより、歯垢除去率を算出した。

    ここでは、試験片の表面に付着している歯垢の破壊・除去後の状態について、試験片の表面形状を全焦点画像(図示略)を用いた三次元表示により測定した。 その結果、試験片上に付着したおよそ10μmの厚みの歯垢が剥離され、金属表面が露出していることが確認された。 また、歯垢除去率は、鏡面加工及び粗面加工の両試験片とも、80%以上であることが観察された(図11参照)。

    さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて細菌の除染程度を確認した。 ここでは、インプラント試験片として、図12のSEM写真で示される粗面加工の試験片103を用いている。 図12に示されるように、プラークを付着させていないプラーク非汚染表面では、粗面の凹凸が観察される。 一方、図13に示されるように、プラークを付着させた試験片103では、細菌塊・バイオフィルムが試験片103全体を覆うのが観察された。 このプラーク付着試験片103に対して、流水式超音波口腔洗浄装置1により流水洗浄(超音波照射)を行った。 その結果、図14に示されるように、試験片103の表面には細菌塊・バイオフィルムは観察されず、試験片103の粗面における凹凸が観察された。 このように、本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1を用いて口腔洗浄を行う場合、歯科用インプラントの歯垢除去にも効果的であることが確認された。

    従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。

    (1)本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1において、超音波振動子22の発振周波数fは400kHzであり、超音波振動子22の直径Dが30mmである。 このようにすると、超音波S1は、振動子ケース21の流出口27付近で処置部42のサイズに対応した幅をもって適度に収束される。 また、超音波振動子22への供給電力Pは12Wであり、従来製品と比較して小さくなっている。 このため、強い超音波S1が作用して歯茎等が低温やけどになるといった問題が回避される。 従って、口腔内の処置部42に流水を当てることにより、適度な音圧の超音波S1が確実に作用し、歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等が効率よく除去される。 このように、流水式超音波口腔洗浄装置1を用いれば、使用者の技量にかかわらず口腔洗浄を効率よく確実に行うことができる。

    (2)本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1において、超音波振動子22の発振周波数を100kHz以上としその周波数をf(kHz)、超音波振動子22の直径をD(m)、超音波振動子22への平均供給電力をP(W)としたとき、f×D×Pの演算式により算出される演算値が500以下となるように構成することが好ましい。 特に、発振周波数fが200kHz〜500kHzである場合には、演算値を200以下にすることがより好ましい。 具体的には、例えば、超音波振動子22の発振周波数fを400kHz、振動子径Dを0.03m、平均供給電力Pを12Wとする場合、演算値は144となる。 このようにすると、口腔洗浄に適した音圧の超音波S1を口腔内の処置部42に作用させることができ、歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等を効率よく除去することができる。

    (3)本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1では、超音波振動子22の直径Dが30mmであり、洗浄機本体4をコンパクトに形成することができる。 また、洗浄機本体4はペン型であるため、洗浄機本体4を片手で持って操作が可能となり、扱い易くなる。 具体的には、一方の手で洗浄機本体4を持ち、他方の手でミラーを持って、処置部42の位置をミラーで確認しながら口腔洗浄を確実に行うことができる。

    (4)本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1において、振動子ケース21の流出口27に曲げノズル28を設けることにより、流水の方向が振動子ケース21の中心軸O1に対して5°以上90°以下の角度θ1で変更される。 このようにすると、口腔内において前歯の後ろ側、奥歯、歯間などの部分にも確実に流水を当てることができる。

    (5)本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1では、曲げノズル28の先端の開口径(ノズル径)が超音波S1の波長よりも大きくなるよう形成されている。 ここで、超音波S1の波長よりも開口径が小さいと、超音波は反射によって出口から出なくなり、流水に乗る超音波が大きく減衰してしまう。 なお、超音波の反射とは、ノズル先端側から超音波振動子22に向かって超音波が戻ることであり、ノズル角度θ1が大きくなるほど反射が大きくなる。 これに対して、本実施の形態では、ノズル先端の開口径が超音波の波長よりも大きくなるよう形成されているので、ノズル先端での超音波の反射が少なくなる。 従って、超音波が減衰することなく流水に確実に伝搬されるため、口腔内の処置部42に超音波S1を確実に作用させることができる。

    (6)本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1において、吸引ノズル30は扇型に拡がった吸入口37を有するので、口腔内の処置部42に当たって下方に落ちた使用済みの洗浄液W1を確実に吸引して排水することができる。

    (7)本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1では、洗浄液W1の流水の流量を調整する流量コントローラ3を備えるので、処置部42の洗浄に適した流量に調整することができる。 また、超音波制御装置5において、フットスイッチ32を足で操作することより、超音波S1の出力モードを連続モードとバーストモードとに切り替えることができ、さらに超音波S1の出力をオン・オフ制御することができる。 このようにすると、使用者は足を使って、処置部42に作用させる超音波S1を適正に調整することができ、口腔洗浄をより確実に行うことができる。

    (8)本実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1は、洗浄液W1の流量を抑えることができるので、医療現場において大変使い易くなる。 また、洗浄液W1として水を用いても、十分な洗浄効果を得ることができる。 この場合、洗剤などの薬剤を使用する必要がなく、環境的にも優れた製品となる。

    なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。

    ・上記実施の形態において、洗浄機本体4の流出口27に設置される曲げノズル28は、同一方向(図3では下側方向)に屈曲するノズルであったが、これに限定されるものではない。 例えば、図15の曲げノズル28Aのように、ノズル先端の開口方向とは反対側となる方向(図15では上側方向)に一旦曲げてその先端側にて曲げ戻すように屈曲されたノズルであってもよい。 この曲げノズル28Aにおいても、振動子ケース21の中心軸O1に対して、ノズル先端部の角度θ1が5°〜90°となっている。 また、曲げノズル28A内における屈曲部分には、超音波S1をノズルの開口方向に反射する反射板29が設けられている。 さらに、曲げノズル28Aの先端が振動子ケースの中心軸O1上に配置されている。 このような曲げノズル28Aを用いても、口腔内において前歯の後ろ側、奥歯、歯間などの部分に、ノズル先端を容易に配置させることができ、流水を確実に当てることができる。 また、屈曲部分に設けられた反射板によってノズル先端に超音波を確実に導くことができ、前歯の後ろ側、奥歯、歯間などの部分に超音波を確実に作用させることができる。

    ・上記実施の形態において、洗浄機本体4の流出口27には流水の向きを変える曲げノズル28,28Aを設けたが、曲げノズル28,28Aを設けない洗浄機本体4を用い、洗浄液W1を流出口27から直接出力するように構成してもよい。

    ・上記実施の形態において、洗浄液排水手段としての吸引ノズル30は、扇型の吸入口37を備えるものであったが、これに限定されるものではない。 例えば、図16に示されるように、管状に形成された吸引ノズル50を用いてもよい。 図16の吸引ノズル50は、洗浄機本体4の流出口27近傍において洗浄液W1の流水が当たる洗浄ポイントに向かって開口するように吸入口51が開口している。 この吸引ノズル50を用いると、超音波洗浄時に口腔内に溜まった使用済みの洗浄液W1を素早く排水することができる。

    ・図17、図18、及び図19に示されるように、洗浄機本体4の洗浄ポイントを光で示すように構成してもよい。 具体的には、図17の洗浄機本体4では、振動子ケース21において、洗浄液W1の供給口26と対向する位置にLED53(発光手段)を設け、LED53から振動子ケース21内側に向けて光L1を発光する。 この場合、振動子ケース21内を流れる洗浄液W1中に光L1が伝搬し、ケース先端部に設けられた流出口27から流水とともに光L1が出力される。 この光L1の照射方向によって流水が当たる洗浄ポイントが示される。 このため、超音波洗浄が必要な処置部42に確実に流水を当てることができ、口腔洗浄を効率よく迅速に行うことができる。

    また、図18に示されるように、円環状(ドーナッツ状)の超音波振動子22Aを用い、超音波振動子22Aの中心位置にLED53を設け、LED53から流出口27に向けて光L1を発光するように構成してもよい。 なお、LED53と超音波振動子22Aの隙間にはゴムなどの制振部材54が介在されており、超音波振動がLED53に伝わらないように構成している。 このように超音波振動子22Aの中心部にLED53を設けると、図17のように振動子ケース21の側面にLED53を設ける場合と比較して、強い光L1を照射することができ、洗浄ポイントを確実に示すことができる。

    さらに、図19に示されるように、振動子ケース21において、流出口27側に行くに従って先細りするように形成された外壁部21aの2箇所にLED53を設け、各LED53が発する光L1の交差位置にて洗浄ポイントを示すように構成してもよい。 ここで、流水中の超音波S1の音圧は超音波振動子22からの距離に応じて異なるが、その超音波S1の音圧が強くなる最適な洗浄ポイントをLED53の光L1によって正確に示すことができる。

    また、LED53としては、465nmの波長の光L1を発する青色LEDを用いることがより好ましい。 具体的には、歯垢(プラーク)のうち、歯周病を引き起こし易いのは、グラム陰性菌を多く含むプラークで、赤血球を溶解しヘログロビンからヘムを産生する菌が多いときであるといわれている。 このプラークは、465nmの波長の光L1に対して赤色の微弱光を返してくる特性を有している。 従って、465nmの光L1をカットするサングラスをかけて、上述した口腔洗浄を行えば、プラークの落ち具合を目視で確認にすることができる。

    ・図20に示される洗浄機本体4のように、振動子ケース21内において、超音波振動子22の振動面24に超音波伝搬媒体W2(具体的には水)を保持する伝搬媒体保持層55と、洗浄液W1の流体が供給される供給層56との2重層構造に区画する媒体保持部材57を設けてもよい。 なお、各層55,56の仕切りに使う媒体保持部材57としては、ステンレス製のフィルムやポリエチレン製のフィルムなどの薄膜フィルムを用いる。 この場合、洗浄処理の停止時に、洗浄液W1が供給層56から排出されたときにも、超音波振動子22の振動面24に超音波伝搬媒体W2が確実に保持される。 このため、超音波S1の空焚きが防止され、空焚きによって超音波振動子22が故障するといった問題を回避することができる。

    また、図21に示される洗浄機本体4ように、振動子ケース21内を媒体保持部材57によって2重層構造に区画するとともに、伝搬媒体保持層55に冷却水W3を供給するように構成してもよい。 なお、媒体保持部材57は、超音波振動子22の振動面24に対して若干傾斜した状態で設けられており、伝搬媒体保持層55における冷却水W3の容量が十分に確保されるようになっている。 このようにすると、超音波S1の空焚きが防止されるのに加え、超音波振動子22を冷却することができるので、超音波振動子22の故障を確実に防止することができる。

    ・図22に示されるように、洗浄液供給装置2において、洗浄液W1に炭酸ガス(CO )をバブリングするバブリング装置60をさらに設けてもよい。 このように、洗浄液W1に炭酸ガスをバブリングすると、洗浄液W1中の空気が抜けて炭酸ガスに置換される。 この場合、洗浄液W1中において超音波S1の照射によるOHラジカル(ヒドロキシラジカル)の生成を抑制することができる。 一般に、洗浄液W1に強力な超音波S1を照射すると、キャビテーションが発生し、その圧縮、崩壊過程で高温の反応場が生成される。 このキャビテーションの温度は、溶存しているガスの種類によって異なり、単原子、2原子のガスの場合よりも炭素ガスのような3原子ガスのほうが低くなる。 このように、洗浄液W1中において炭酸ガスを含ませることでOHラジカルが生成され難くなり、OHラジカルによる分解反応(化学反応)が抑制される。 なお、炭酸ガスの他に笑気ガス(N O)のような3原子ガスを用いてOHラジカルの生成を抑えるようにしてもよい。

    ・上記実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1では、ペン型の洗浄機本体4を用いたがこれに限定されるものではなく、図23に示されるようなピストル型の洗浄機本体4Aを用いてもよい。 図23の洗浄機本体4Aは、振動子ケース21の後端部に把持部61が連結されており、その把持部61の前面には、流水の出力(出止水)を調整するためのトリガースイッチ62が突設されている。 また、把持部61の上端面には、流水の流量または流出口27の口径などを調整するための調整ダイヤル63が設けられている。 この洗浄機本体4Aを用いれば、流水の出力や流量などを片手で容易に調整することができ、口腔洗浄を迅速かつ確実に行うことができる。

    ・上記実施の形態において、振動子ケース21の流出口27の断面形状は円形であったが、この形状を楕円形状に変更してもよい。 この場合、一点ではなく、ライン状の洗浄が可能となる。 また、超音波振動子22は円板状であったが、楕円形状としてもよい。 この場合、超音波振動子22の最大径(長径)を50mm以下に設定する。 さらに、超音波振動子22は、矩形状の振動子を用いてもよい。 この場合、振動子ケース21の流出口27を超音波振動子22の形状に合わせてスリット状に変更する。 なお、スリットは、口腔の幅程度の長さにすることが好ましい。 このようにすると、洗浄機本体4の洗浄範囲をライン状に広げることができ、口腔洗浄を迅速に行うことができる。 このようなラインタイプの洗浄機本体4を用いる場合、超音波の周波数f(kHz)×超音波振動子22の面積S(m )×平均供給電力P(W)にて演算される演算値が100以下となるよう設定することが好ましい。 このようにすると、口腔洗浄に適した音圧の超音波S1を口腔内の処置部42に作用させることができ、歯垢や口腔粘膜上の微生物や食物残渣等が効率よく除去される。

    ・上記実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1では、専用の吸引排水装置6を備えるものであったが、これに限定されるものではない。 例えば、歯科治療ユニットには、バキューム装置や電動ポンプ式吸引管が設けられている。 このバキューム装置や電動ポンプ式吸引管に、吸引ノズル30のジョイント部39を接続して、流水式超音波口腔洗浄装置を構成してもよい。 また、病院の入院ベッドには、吸引用配管が設置されたものも実用化されている。 この吸引用配管に吸引ノズル30のジョイント部39を接続して、流水式超音波口腔洗浄装置を構成してもよい。 このように、既存の設備を利用して流水式超音波口腔洗浄装置を構成することにより、装置コストを低減することが可能となる。

    ・上記実施の形態の流水式超音波口腔洗浄装置1において、超音波制御装置5に、超音波振動子22の発振(超音波S1の出力)を音や光で知らせるための報知手段(例えば、ブザーやランプ)を設けてもよい。 このようにすると、臨床現場において、流水式超音波口腔洗浄装置1の効率的な使用が可能となる。

    次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。

    (1)請求項1乃至12のいずれか1項において、前記流水の流量または前記流出口の口径を調整可能な調整手段を備えることを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置。

    (2)請求項1乃至12のいずれか1項において、前記洗浄液排水手段は、前記流出口の近傍において前記流水が当たる洗浄ポイントに向かって開口する吸入口を有する吸引ノズルを備えたことを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置。

    (3)請求項8において、前記発光手段は、前記超音波振動子の中心位置に設けられ、前記流出口側に向けて光を発光するLEDであることを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置。

    (4)請求項8において、前記発光手段は、前記供給口と対向する位置に設けられ、前記ケースの内側に向けて光を発光するLEDであることを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置。

    (5)請求項1乃至12のいずれか1項において、前記ケースの後端部に連結された把持部と、その把持部から突出するように設けられ、前記流水の出力を制御するためのスイッチとを備えることを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置。

    (6)超音波を伝搬させた洗浄液をライン状の流水として注ぎながら口腔内を超音波洗浄する流水式超音波口腔洗浄装置であって、前記洗浄液に超音波を伝搬させる超音波振動子と、一端側に設けられ前記超音波振動子を装着するための振動子装着部と、前記超音波振動子の振動面に洗浄液を供給する供給口と、前記振動子装着部と対向する他端側に行くに従って先細りした形状の先端部に設けられ、前記洗浄液を流水として出力する流出口とを有するケースと、前記ケースの供給口に接続され、前記ケース内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記口腔内を超音波洗浄した使用済みの洗浄液を排水する洗浄液排水手段とを備え、前記超音波振動子を駆動する発振周波数をf(kHz)、超音波振動子の面積をS(m )、前記超音波振動子への平均供給電力をP(W)としたとき、f×S×Pの演算式により算出される値が100以下となるように構成したことを特徴とする流水式超音波口腔洗浄装置。

    1…流水式超音波口腔洗浄装置 2…洗浄液供給手段としての洗浄液供給装置 21…振動子ケース 21a…外壁部 22…超音波振動子 23…振動子装着部 24…振動面 26…供給口 27…流出口 28,28A…曲げノズル 29…反射板 30…洗浄液排水手段としての吸引ノズル 37…吸入口 53…発光手段としてのLED
    60…バブリング手段としてのバブリング装置 L1…光 O1…中心軸 S1…超音波 W1…洗浄液 θ1…角度

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