医療用レーザ光源システム

申请号 JP2015556835 申请日 2015-01-08 公开(公告)号 JPWO2015105154A1 公开(公告)日 2017-03-23
申请人 国立研究開発法人理化学研究所; 国立大学法人 東京医科歯科大学; 国立大学法人 東京医科歯科大学; 发明人 貞洋 中島; 貞洋 中島; 啓吾 長坂; 啓吾 長坂; 青木 章; 章 青木; 徳人 斎藤; 徳人 斎藤; 正樹 湯本; 正樹 湯本; 和田 智之; 智之 和田; 雄一 和泉; 雄一 和泉;
摘要 医療用レーザ 光源 システムであって、1.5μm以上、且つ2.2μm以下の波長を有する第1励起光と、1.5μm以上、且つ2.2μm以下の波長を有し、発振エネルギー強度、発振パルス幅、繰り返し周 波数 、およびピークパワーの少なくともひとつが第1励起光と異なる第2励起光とを発生する励起レーザ光源装置と、励起レーザ光源装置が発生した第1励起光および第2励起光を伝播させる長尺な光ファイバと、光ファイバから射出された第1励起光および第2励起光の少なくとも一方により、2.7μm以上、3.2μm以下のレーザ光を発生するレーザデバイスとを備える。
权利要求

1.5μm以上、且つ2.2μm以下の波長を有する第1励起光と、1.5μm以上、且つ2.2μm以下の波長を有し、発振エネルギー強度、発振パルス幅、繰り返し周波数、およびピークパワーの少なくともひとつが前記第1励起光と異なる第2励起光とを発生する励起レーザ光源装置と、 前記励起レーザ光源装置が発生した第1励起光および第2励起光を伝播させる長尺な光ファイバと、 前記光ファイバから射出された前記第1励起光および前記第2励起光の少なくとも一方により、2.7μm以上、3.2μm以下のレーザ光を発生するレーザデバイスと を備える医療用レーザ光源システム。前記レーザデバイスは、前記光ファイバの一端に配されたハンドピースに収容される請求項1に記載の医療用レーザ光源システム。前記光ファイバは、前記第1励起光および前記第2励起光の少なくとも一方を伝播させる石英ファイバを含む請求項1または2に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、前記第1励起光および前記第2励起光のいずれかを選択的に発生させる請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、前記第1励起光および前記第2励起光を発生する光源ユニットを有する請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、前記第1励起光および前記第2励起光を混合して前記光ファイバに伝播させる光混合器を有する請求項5に記載の医療用レーザ光源システム。前記レーザデバイスは、前記第1励起光および前記第2励起光の少なくとも一方により励起されて発振したレーザ光を射出し、且つ、前記第1励起光および前記第2励起光の少なくとも一方の一部を外部に向かって射出する請求項1から6のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記レーザデバイスは、前記第1励起光および前記第2励起光の少なくとも一方の少なくとも一部を透過させる出ミラーを含む請求項7に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置が発生した第1励起光および第2励起光を伝播させる長尺な他の光ファイバと、 前記他の光ファイバから射出された前記第1励起光および前記第2励起光の少なくとも一方により、2.7μm以上、3.2μm以下のレーザ光を発生する他のレーザデバイスと、 前記第1励起光および前記第2励起光の少なくとも一方を、前記光ファイバおよび前記他の光ファイバの少なくとも一方に伝播させる光切替スイッチと を備えた請求項1から8のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、前記第1励起光および前記第2励起光の少なくとも一方を発生するレーザ発振部と、前記レーザ発振部が発生するレーザ光の発振エネルギー強度、発振パルス幅、繰り返し周波数、およびピークパワーを設定するサブ制御器とをそれぞれが含む複数のレーザユニットを有する請求項1から9までのいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、遷移金属イオンをドープした二六族半導体を含むレーザ媒質を有する請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記遷移金属イオンは、Cr2+、Fe2+、およびCo2+のいずれかを含み、前記二六族半導体は、ZnSe、ZnS、CdSe、およびCdTeのいずれかを含む請求項11に記載の医療用レーザ光源システム。前記レーザ媒質は、波長1.92μmにおける吸収が50%以上となる濃度でCr2+イオンをドープした媒質長3mm以上のCdSeを含む請求項12に記載の医療用レーザ光源システム。前記レーザ媒質は、波長1.78μmにおける吸収が50%以上となる濃度でCr2+イオンをドープした媒質長3mm以上のZnSeを含む請求項12に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、1.5μm以上、且つ2.2μm以下の発振波長において、パルス発振する固体レーザ発振器、および連続発振する固体レーザ発振器の少なくとも一方を有する請求項1から14のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、1.5μm以上、且つ2.2μm以下の発振波長において、発振エネルギー強度0.01mJ以上、且つ2J以下、繰返し周波数1Hz以上、且つ1MHz以下、発振パルス幅10n秒以上、且つ1000μ秒以下の範囲でパルス発振する固体レーザ発振器を有する請求項15に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、DFB(Distributed FeedBack Laser)レーザをTmアクティブファイバで増幅して、発振パルス幅10n秒以上、且つ1000μ秒以下、発振エネルギー強度0.01mJ以上、且つ2J以下であり、繰返し周波数を1Hz以上、且つ1MHzの範囲で可変できるMOFA(Master Oscillator Fiber Amplifire)を有する請求項1から16のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記光ファイバは、OH濃度が10ppm以下の石英ファイバを含む請求項1から17のいずれか1項に記載の医療用レーザ光源システム。前記光ファイバは、前記励起レーザ光源装置および前記レーザデバイスの少なくとも一方に対して着脱自在に結合される請求項1から18のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。前記励起レーザ光源装置は、前記レーザデバイスに隣接する管路に空気およびの少なくとも一方を含む流体を供給するスプレー制御ユニットを更に備える請求項1から19のいずれか一項に記載の医療用レーザ光源システム。

说明书全文

本発明は、医療用レーザ光源システムに関する。

1988年にフラッシュランプ励起による波長2.94μmのErYAGパルスレーザの開発が報告されて以来(非特許文献1参照)、2012年1月には医療用レーザに関する研究成果をまとめた出版物が発表されている(非特許文献2参照)。

米国のシネロン社は、デンタルハンドピースに小型フラッシュランプ励起Erパルスレーザ発振器を組込んだ歯科治療器を製品化している(非特許文献4)。米国のマイスターらは、半導体レーザを石英ファイバにより伝送して、デンタルハンドピースに組み込んだErレーザ共振器を励起することを報告している(非特許文献5)。

また、波長2.94μmのレーザを伝播させる特殊な光ファイバを搭載した導光装置(特許文献1、特許文献2参照)、同光ファイバを乾燥空気で保護すること(特許文献3参照)、金属製フレキシブルチューブによる同光ファイバの保護構造(非特許文献3参照)等が提案されている。

更に、スロベニアのフォトナ社は、フラッシュランプ励起Erパルスレーザを用いた歯科治療器を製品化している(非特許文献6参照)。また、低いパルスエネルギーで、高ピークパワー・高繰り返し発振して滅菌効果を向上させる医療用レーザも提案されている(非特許文献7参照)。また更に、約2110nm〜約2840nmの間でレーザ発振が可能なレーザ媒質が開示されている(特許文献4参照)。 [先行技術文献] [特許文献] [特許文献1]特開平7−51285号公報 [特許文献2]特開2006−254986号公報 [特許文献3]特開平7−51287号公報 [特許文献4]特開2005−504437号公報 [非特許文献] [非特許文献1]中島貞洋,外1名,「高出3μmEr:YAGレーザと伝送系の開発」,1988年秋季応用物理学会予稿,4aR−9 [非特許文献2]青木章,外25名,「歯周治療・インプラント治療におけるEr:YAGレーザの使い方」,医学情報社 [非特許文献3]米国バイオレーズ社,「フラッシュランプ励起Er:YSGGパルスレーザ歯科治療器」 [online],[平成25年12月26日検索],インターネット

[非特許文献4]米国シネロン社,「Erパルスレーザ歯科治療器」,[online],[平成25年12月26日検索],インターネット

[非特許文献5]Jorg Meister,外3名,"Multireflection pumping concept for miniturerizeddiode−pumped solid−state lasers",2004年11月,APPLIED OPTICS/V43,NO31 [非特許文献6]スロベニア フォトナ社,[online],[平成25年12月26日検索],インターネット

[非特許文献7]Hiroyasu YAMAGUCI,外7名,"Effectsof Irradiation of an Erbium:YAG Laser on Root Surfaces",1997年12月,J.PERIODONTOL/V68,NO12

医療分野においては、利用方法毎にレーザ光源の種類が異なり、複合的にレーザを利用することが難しかった。

本発明の一態様によると、1.5μm以上、且つ2.2μm以下の波長を有する第1励起光と、1.5μm以上、且つ2.2μm以下の波長を有し、発振エネルギー強度、発振パルス幅、繰り返し周波数、およびピークパワーの少なくともひとつが第1励起光と異なる第2励起光とを発生する励起レーザ光源装置と、励起レーザ光源装置が発生した第1励起光および第2励起光を伝播させる長尺な光ファイバと、光ファイバから射出された第1励起光および第2励起光の少なくとも一方により、2.7μm以上、3.2μm以下のレーザ光を発生するレーザデバイスとを備える医療用レーザ光源システムが提供される。

なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。

医療用レーザ光源システム10の構成例を示す図である。

治療台50を含む医療用レーザ光源システム10の構成を示す図である。

デンタルハンドピース500の断面図である。

カップラ部350とデンタルハンドピース500との関係を示す図である。

小型2.9μm帯レーザデバイス40の断面図である。

小型2.9μm帯レーザデバイス40の設置状態を示す図である。

小型2.9μm帯レーザデバイス40の設置状態を示す図である。

小型2.9μm帯レーザデバイス40の設置状態を示す図である。

医療用レーザ光源システム10の他の構成例を示す図である。

治療台50を含む医療用レーザ光源システム10の他の構成を示す図である。

医療用レーザ光源システム10のまた他の構成例を示す図である。

複数の治療台を含む医療用レーザ光源システム10の構成を示す図である。

MOFA方式の励起レーザ光発振器211の構造を示す図である。

MOFA方式の励起レーザ光発振器211の他の構造を示す図である。

MOFA方式の励起レーザ光発振器211のまた他の構造を示す図である。

ファイバレーザ方式の励起レーザ光発振器211のまた他の構造を示す図である。

ファイバレーザ方式の励起レーザ光発振器211のまた他の構造を示す図である。

図17に示す励起レーザ光発振器211の制御波形例を示す図である。

図17に示す励起レーザ光発振器211の制御波形例を示す図である。

OCミラー430の構造を示す図である。

OCミラー430の構造を示す図である。

の吸収スペクトルを示すグラフである。

励起レーザ光発振器211の組み合せを説明する図である。

励起レーザ光発振器211の組み合せを説明する図である。

治療台50aを含む医療用レーザ光源システムの構成を示す図である。

他のデンタルハンドピース500の断面図である。

以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、下記の実施形態は請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。

[実施例1] 図1は、医療用レーザ光源システム10の構成例を示す図である。医療用レーザ光源システム10は、励起レーザ光源装置20と、長尺ファイバ導光装置30と、デンタルハンドピース500とを備える。

励起レーザ光源装置20は、励起レーザ光源ユニット210、冷却器ユニット220、スプレー制御ユニット225、電源ユニット230および制御ディスプレイユニット240などの要素ユニットを有する。

励起レーザ光源ユニット210の出射口には、集光器213が取付けられる。集光器213は、励起レーザ光発振器211から出射された励起レーザ光212を、長尺ファイバ導光装置30の励起光入射口311に集光する。長尺ファイバ導光装置30は、集光器213の出射口に脱着自在に装着される。

冷却器ユニット220は、励起レーザ光源ユニット210の発熱を冷却する。例えば、最大平均出力20Wの励起レーザ光源ユニット210の設定に対して発振効率が20%であることから、100W程度の冷却能力を持つ冷却器ユニット220を搭載する。

スプレー制御ユニット225は、スプレー水Wを貯水するための水タンクと、水タンクからスプレー水Wを供給するための小型ポンプと、スプレーエアAを供給するためのコンプレッサとを備え、スプレー水WおよびスプレーエアAの、それぞれの流量を電磁バルブで調整する。スプレー水WとスプレーエアAは、端子316から長尺ファイバ導光装置30を通りカップラ部350に導かれる。長尺ファイバ導光装置30を構成する端子316は、スプレー制御ユニット225に着脱自在に装着される。

スプレー制御ユニット225は、スプレー水WとスプレーエアAとの混合量、およびスプレー水WとスプレーエアAとの流量を制御する。これにより、デンタルハンドピース500に装着された照射チップ520から患部に向けてスプレー水WとスプレーエアAとが噴出される。これにより、2.9μm帯レーザ治療光501を患部に照射する場合に発生する不要な熱や蒸散物が除去される。

電源ユニット230は、各構成ユニットの駆動に必要な電力を供給している。制御ディスプレイユニット240は、メイン制御器241と、ディスプレイパネル242とを有している。

メイン制御器241は、ROMやRAM等の記憶部と、CPUなどの演算処理部とを搭載する。記憶部には、予め測定された励起レーザ光212とデンタルハンドピース500の先端から出射される2.9μm帯レーザ治療光501のパフォーマンス関係データや制御プログラムなどが記録される。演算処理部には、記憶部のデータを基に電源ユニット230や励起レーザ光源ユニット210を制御し、制御コンソール250での術者の設定に対して2.9μm帯レーザ治療光501を安全に出力させるためのCPUなどを搭載する。

また、記憶部には、スプレー制御ユニット225のスプレー水WとスプレーエアAの流量制御データや制御プログラムを記憶する。これにより、演算処理部が、冷却器ユニット220、スプレー制御ユニット225を制御することで、メイン制御器241が機器の冷却や噴霧スプレーを制御する。ディスプレイパネル242は、現在のレーザ出力の設定値、デンタルハンドピース500の使用状態、医療用レーザ光源システム10を構成する各ユニットの動作状態などを表示する。

長尺ファイバ導光装置30は、OHイオンの濃度が10ppm以下と低い石英ファイバコード312を有する。これにより、レーザ媒質410のための励起波長域1.5〜2.2μmの励起光を低損失に伝送する。石英ファイバコード312としては、例えば、株式会社フジクラのコア径400μmのSBシリーズステップインデックスタイプの石英ファイバコード312を使用できる。当該光ファイバコードは、シリコーン樹脂の1次被覆と、ポリアミドの2次被覆とを有し、更に、周囲にアラミド繊維の抗張力体とPVCの外被とを有する。これにより、圧縮力等の外力に強く、屈曲性に優れた長尺ファイバ導光装置30が形成できる。

なお、類似した構造を有する石英ファイバコード312が多くのファイバメーカにより製品化されており、それらを使用することもできる。また、長尺ファイバ導光装置30には、グレーデッドインデックスタイプの光ファイバを使用することもできる。長尺ファイバ導光装置30の励起光入射口311には、FCファイバコネクタを使用できるが、他のタイプのコネクタを使用することもできる。

長尺ファイバ導光装置30の前方部分は治療台50に配置される。長尺ファイバ導光装置30の前方先端には、カップラ部350が配される。カップラ部350に、小型2.9μm帯レーザデバイス40を内包させてもよい。

デンタルハンドピース500は、治療台50にて用いられる。デンタルハンドピース500は、カップラ部350に脱着自在に装着され、術者が患部を治療する場合に、手に持って使用する。

図2は、治療台50を含む医療用レーザ光源システム10の構成を示す図である。図示のように、治療台50には、制御コンソール250と、フットスイッチ251とが設置される。

制御コンソール250は、スイッチ類、設定表示のためのディスプレイ等を備える。これにより、ユーザは、2.9μm帯レーザ治療光501、スプレー等の出力を設定できる。

また、制御コンソール250は、励起レーザ光源装置20に組込まれた制御ディスプレイユニット240と通信用電気コード313で接続され、当該通信用電気コード313を通じて制御信号を通信する。通信用電気コード313は、長尺ファイバ導光装置30に内包してもよい。通信用電気コード313の両端は、励起レーザ光源装置20の電気端子243と制御コンソール250の電気端子にそれぞれ接続される。

フットスイッチ251は、2.9μm帯レーザ治療光501を出力させるスイッチとして術者が操作する。フットスイッチ251の制御電線は、制御コンソール250に接続してもよい。

図3は、カップラ部350およびデンタルハンドピース500の断面図である。カップラ部350は、石英ファイバコード312、管路315W、315A、および小型2.9μm帯レーザデバイス40を収容する。デンタルハンドピース500は、外筒内管路511A、511W、照射チップ520、チップ接続端子521、および集光素子522を有する。

デンタルハンドピース500の先端に、チップ接続端子521が設けられる。チップ接続端子521には、2.9μm帯レーザ治療光501を患部に照射する照射チップ520が脱着自在に装着される。

デンタルハンドピース500の内側には、照射チップ520に2.9μm帯レーザ治療光501を集光する集光素子522と、カップラ部350を介して供給されるスプレー水WとスプレーエアAを照射チップ520に導く外筒内管路511A、511Wとが配設される。外筒内管路511A内にはスプレーエアAが、外筒内管路511Wにはスプレー水Wが流れる。

スプレー水WとスプレーエアAは、長尺ファイバ導光装置30に内包された管路315Wおよび管路315Aを通じて、カップラ部350のカップラ内管路351A、351Wに導かれ、更に、デンタルハンドピース500に内設された外筒内管路511Aおよび511Wを通じて照射チップ520に導かれる。更に、スプレー水WとスプレーエアAは、照射チップ520の先端から照射部位に向けてスプレーされる。これらスプレー水WとスプレーエアAとの流量は、制御コンソール250を通じて術者によりマニュアルで設定されてもよいし、プリセットにより設定されてもよい。

尚、スプレー水WとスプレーエアAは、スプレー制御ユニット225の制御の下に、励起レーザ光源装置20に設けた水タンクと、スプレー水Wを供給する小型ポンプと、スプレーエアAを供給するコンプレッサとにより供給できる。また、デンタルドリル用の外部高圧水とエアを、水タンク、小型ポンプ、およびコンプレッサが治療施設内に既存の場合は、それを利用してもよい。更に、上記の例においては、カップラ部350のスプレー水Wの流路であるカップラ内管路351Wをレーザ媒質410の側方に設けることで、レーザ媒質410への冷却効果も得られる。

小型2.9μm帯レーザデバイス40は、カップラ部350の中に搭載されており、レーザ媒質410、フェルル412、HRミラー420、OCミラー430、および励起集光器440を有する。

小型2.9μm帯レーザデバイス40は、3mm(奥行き)×3mm(高さ)×10mm(長さ)のサイズのZnSe二六族半導体に、波長1.78μmで95%以上の光が吸収されるようにCr2+イオンをドープしたレーザ媒質410を有する。

レーザ媒質410の後端面にはHRミラー420が、前端面にはダブル反射防止膜411が形成されている。HRミラー420は、励起レーザ光212の波長1.78μmを高透過(本実施形態では80%以上)し、且つ2.9μm帯レーザ治療光501を高反射(本実施形態では99%以上)する。ダブル反射防止膜411は、1.78μmと2.9μm帯レーザ治療光501をそれぞれ、80%以上および99%以上透過する。

2.9μm帯レーザ治療光501を取り出すOCミラー430の後端面にはOC膜431を、前端面には反射防止膜432が形成されている。OC膜431は、励起レーザ光212の励起波長である1.78μmを高反射(本実施形態では80%以上)し、且つ2.9μm帯レーザ治療光501の一部を透過(本実施形態では40%)する。反射防止膜432は、2.9μm帯レーザ治療光501の99%以上を透過する。OCミラー430とHRミラー420とにより共振器が形成される。

フェルル412は、小型2.9μm帯レーザデバイス40の後端に装着される。フェルル412の前端部には、石英ファイバコード312が接続され、フェルル412の後端部には励起光出射口314が形成されている。

2.9μm帯レーザデバイス40において、励起光出射口314から出射された励起レーザ光212は、励起集光器440によりコリメートされてHRミラー420の後方からレーザ媒質410に集光される。レーザ媒質410で集光された励起レーザ光212は、Cr2+イオンを励起させ、OCミラー430より2.9μm帯レーザ治療光501が出射される。

図4は、カップラ部350とデンタルハンドピース500との関係を示す図である。図示のように、医療用レーザ光源システム10に搭載されているデンタルハンドピース500と、長尺ファイバ導光装置30の前方先端に取り付けられているカップラ部350とは、デンタルハンドピース500をワンタッチでカップラ部350と脱着できるように構成されている。また、デンタルハンドピース500は、各種の照射チップ520をワンタッチで脱着して交換できる。

上記のような構造により、治療ごとに患部に触れるデンタルハンドピース500と照射チップ520とを、カップラ部350から分離できるため、小型2.9μm帯レーザデバイス40が搭載されているカップラ部350を含む長尺ファイバ導光装置30の滅菌を不要にできる。

デンタルハンドピース500において、2.9μm帯レーザデバイス40から射出された2.9μm帯レーザ治療光501は、リレー光学素子450によりデンタルハンドピース500の前方に導光され、さらに前端内に装着されている集光素子522により集光されて、照射チップ520に導光される。斯くして、2.9μm帯レーザ治療光501は、照射チップ520の先端から出射される。

ここで、本実施形態では、レーザ媒質410としては、Cr2+:ZnSeを用いることができる。このレーザ媒質410は、石英ファイバによる長尺伝送が可能な波長域1.5〜2.2μmの励起光で励起して、2.9μm帯レーザ治療光501を発振できる。他にも、遷移金属イオン(Cr2+、Fe2+、Co2+など)をドープした二六族半導体(ZnSe、ZnS、CdSe、CdTeなど)を、レーザ媒質410として使用できる。

また、医療用レーザ光源システム10には、ゾーンメルト法やブリッジマン法などで製作した二六族半導体インゴットから切り出したロッドなどの側面に、遷移金属を堆積させアニールで拡散させ製造した長い媒質長(>3mm)を有する二六族半導体レーザ媒質で構成した励起レーザ光発振器211を搭載しており、同構成により、治療に必要とされるレーザエネルギーの出力を可能としている。

また、本実施形態では、カップラ部350のスプレー水Wの流路であるカップラ内管路351Wをレーザ媒質410の側方に設けている。これにより、スプレー水WおよびスプレーエアAにより、レーザ媒質410への冷却効果が得られる。

図2に示した治療台50において歯科硬組織の治療をする場合、励起レーザ光源ユニット210は、小型2.9μm帯レーザデバイス40に使われているCr2+:ZnSeからなるレーザ媒質410に、励起波長域である1.5〜2.2μm域の強パルス発振した励起レーザ光を供給する。

そこで、励起レーザ光源ユニット210としては、図13に示す、MOFA(Master Oscillator and Fiber Amplifier)方式の励起レーザ光発振器211を搭載して使用できる。図13に示した励起レーザ光発振器211は、Cr2+:ZnSeのピーク励起波長である1.74μmで発振する分布帰還型(DFB)レーザを第1種光260として、Tmアクティブファイバ290で増幅させる。これにより、発振パルス幅を10n秒〜1000μ秒、発振エネルギー強度を0.01mJ〜2J、繰返し周波数を1Hz〜1MHzまで可変できる。励起レーザ光源ユニット210については、図13を参照して後述する。

尚、励起レーザ光源ユニット210としては、他のレーザ光源を用いることもできる。例えば、1.5〜2.2μmにおいて強パルス発振できる2.0μm帯のLD励起Tm:YAGレーザ、OPOにより同波長域で発振するレーザなどの固体レーザを用いることができる。また、100Hz程度までの比較的低い繰返し周波数で充分な医療応用に対しては、2.1μm帯で発振するHo:YAGレーザ、1.7μm帯で発振するEr:YAGレーザなどのフラッシュランプ励起固体レーザも使用できる。更に他のレーザ光源を使用してもよいことはもちろんである。

上記の医療用レーザ光源システム10を用いることにより、例えば、歯科硬組織エナメル質の治療では、制御コンソール250で、200mJ、パルス幅50μ秒、繰返し周波数20Hzでの2.9μm帯レーザ治療光501の照射条件(同設定でのピークパワーは4kW)と、適切な噴霧を形成できるスプレー水WおよびスプレーエアAの量(例えば、スプレー水Wを10cc/分、スプレーエアAを2L/分)を設定してフットスイッチ251を踏むことで、照射チップ520の先端から2.9μm帯レーザ治療光501と噴霧とがエナメルに向け出射され、照射部を蒸散できる。

その後、制御コンソール250で、3mJ、パルス幅200n秒、繰り返し周波数10Hzでの2.9μmおびレーザ治療光501の照射条件(同設定でのピークパワーは15kW)と、適切な噴霧を形成できるスプレー水WおよびスプレーエアAの量(例えば、スプレー水Wを10cc/分、スプレーエアAを2L/分)を設定して、フットスイッチ251を含むことにより、以後の接着修復のための蒸散面の処理を施すこともできる。

また、口腔内の歯周病菌毒素等の滅菌は、0.4mJ、パルス幅500μ秒、繰返し周波数25kHz(同設定でのピークパワーは0.8kW)の照射条件と噴霧条件(例えば、スプレー水Wを0.5cc/分、スプレーエアAを1L/分)を設定して照射することで口腔内を滅菌できる。

図5は、小型2.9μm帯レーザデバイス40の他の構造を示す断面図である。この小型2.9μm帯レーザデバイス40においては、後端面にHRミラー420が、前端面にダブル反射防止膜411がコーティングされる。また、レーザ媒質410をフェルル412に半田付けで固定して、フェルル412の後端部に励起光出射口314を設置し、フェルル412の前端部にはOC膜431を設置した共振器構造としてもよい。励起光出射口314は、HRミラー420の直前に配置される。

上記小型2.9μm帯レーザデバイス40において、HRミラー420は、励起レーザ光212を高透過し且つ2.9μm帯レーザ治療光501を高反射する。ダブル反射防止膜411は、励起レーザ光212と2.9μm帯レーザ治療光501の反射を防止する。レーザ媒質410は、側面に銅がコーティングされた0.5mmφ×15mmのファイバロッド状に形成されている。OC膜431は、励起レーザ光212を高反射し且つ2.9μm帯レーザ治療光501の一部を透過する。

図6は、デンタルハンドピース500の他の形態を示す図である。図示のように、小型2.9μm帯レーザデバイス40を、従前のデンタルハンドピース500の導光素子533に設置して、照明と滅菌とに利用してもよい。

図7は、デンタルハンドピース500のまた他の形態を示す図である。図示のように、スケーラー先端部に、2.9μm帯レーザ治療光501の導光素子533を設けてもよい。これにより、スケーラーにおいても、照明と滅菌とにレーザ光を利用できる。

図8は、デンタルハンドピース500のまた他の形態を示す図である。図示のように、小型2.9μm帯レーザデバイス40を内視鏡先端に取付けてもよい。これにより、特殊伝送装置が不要になるこので、2.9μm帯レーザ治療光501による体内での蒸散治療や滅菌ができる。

[第2実施例] 図9は、他の医療用レーザ光源システム10の構成例を示す図である。医療用レーザ光源システム10は、励起レーザ光源装置20、長尺ファイバ導光装置30、およびデンタルハンドピース500を備える。

この医療用レーザ光源システム10は、次に説明する部分を除くと、実施例1と同じ構造を有する。よって、同じ構成要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。

この医療用レーザ光源システム10においては、励起レーザ光源装置20が、光切替スイッチ214を備える。光切替スイッチ214は、励起レーザ光発振器211より出射された励起レーザ光212を長尺ファイバ導光装置30の励起光入射口311に集光する集光器213の後端に搭載される。更に、光切替スイッチ214に複数の長尺ファイバ導光装置30が取付けられ、複数の長尺ファイバ導光装置30の各々の先端部にデンタルハンドピース500が接続される。

図示の医療用レーザ光源システム10においては、デンタルハンドピース500側に、小型2.9μm帯レーザデバイス40が配される。この小型2.9μm帯レーザデバイス40においては、7mm(奥行き)×7mm(高さ)×7mm(長さ)のサイズを有するレーザ媒質410が用いられる。また、レーザ媒質410は、波長1.92μmにおける光の吸収率が60%以上となるようにCr2+イオンをドープしたCdSeの二六族半導体が使われる。

レーザ媒質410の後端面にはHRミラー420が、前端面にはOCミラー430が形成されている。HRミラー420は、励起レーザ光212の波長1.92μmを高透過(本実施形態では85%以上)し、且つ2.9μm帯レーザ治療光501を高反射(本実施形態では99.8%以上)する。OCミラー430は、1.92μmを透過(本実施形態では85%以上)し、且つ2.9μm帯レーザ治療光501の一部を透過(本実施形態では20%)する。OCミラー430とHRミラー420とで共振器が構成される。

励起光出射口314から出射された励起レーザ光212は、励起集光器440により広いビーム径にコリメートされてHRミラー420の後方からレーザ媒質410に集光される。レーザ媒質410で集光された励起レーザ光212は、Cr2+イオンを励起させ、OCミラー430から2.9μm帯レーザ治療光501が出射される。

更に、吸収されなかった1.92μmの励起レーザ光212も、デンタルハンドピース500から同時に出射される。2.9μm帯レーザ治療光501と1.92μmの励起レーザ光212の混合されたレーザ光は、リレー光学素子450により、デンタルハンドピース500先端に装着されている照射チップ520に導光され、照射チップ520の先端から出射されて患部に照射される。これにより、歯牙組織も治療できる。よって、1.92μmの励起レーザ光212が適度に生体組織に吸収されることによる止血効果と、2.9μm帯レーザ治療光501が生体組織に急激に吸収されることによる高い蒸散効果との相乗効果により優れた切開性能を得ることが可能となる。

図10は、治療台50を含む医療用レーザ光源システム10の構成を示す図である。図示のように、医療用レーザ光源システム10は複数の治療台50を備え、複数の治療台50の各々に、制御コンソール250と、フットスイッチ251とが設置される。これにより、複数の治療台50の各々において、2.9μm帯レーザ治療光501を利用した治療が行える。また、この医療用レーザ光源システム10においては、光切替スイッチ214を切り替えることにより、使用していないデンタルハンドピース500への励起光の供給を遮断することもできる。

なお、図示の医療用レーザ光源システム10においては、治療台50の各々に設置された制御コンソール250と、励起レーザ光源装置20に組込まれた制御ディスプレイユニット240との間で、WiFi(無線LAN)を通じた通信ができる。これにより、長尺ファイバ導光装置30は、石英ファイバコード312と管路315A、315Wとを内包するが、通信用電気コード313を内包していない。

これにより、治療台50の各々と励起レーザ光源装置20との制御信号の通信を確保しつつ、長尺ファイバ導光装置30を細径化、軽量化して、デンタルハンドピース500の取り回しをよくしている。また、部品点数を低減することにより、コストダウンもできる。

[実施例3] 図11は、他の医療用レーザ光源システム10の構成例を示す図である。医療用レーザ光源システム10は、励起レーザ光源装置20、長尺ファイバ導光装置30、およびデンタルハンドピース500を備える。

この医療用レーザ光源システム10は、次に説明する部分を除くと、実施例1と同じ構造を有する。よって、同じ構成要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。

図示の医療用レーザ光源システム10において、励起レーザ光源装置20は、複数の励起レーザ光発振器211を有する。また、複数の励起レーザ光発振器211の出力は、共通の光混合器216を通じて、光混合器216の後段に配された光切替スイッチ214に結合される。の後段に配された搭載している。更に、光切替スイッチ214に複数の長尺ファイバ導光装置30が取付けられ、複数の長尺ファイバ導光装置30の各々の先端部にデンタルハンドピース500が接続される。

図12は、治療台50a、50b、50cを含む医療用レーザ光源システム10の構成を示す図である。図示のように、医療用レーザ光源システム10は複数の治療台50a、50b、50cを備える。複数の治療台50a、50b、50cの各々は、制御コンソール250と、フットスイッチ251とを有し、複数の治療台50の各々において、2.9μm帯レーザ治療光501を利用した治療が行える。

また、この医療用レーザ光源システム10においては、光切替スイッチ214を切り替えることにより、励起レーザ光源装置20に配された複数の励起レーザ光発振器211のいずれかから、異なる励起光の供給を受けることができる。よって、それぞれの治療に最適な全ての励起レーザ光発振器211のモジュールを励起レーザ光源ユニット210に装着させておくことにより、治療台50a、50b、50cそれぞれにおいて異なる治療目的の治療ができる。各モジュールは、制御ディスプレイユニット240を通し制御してもよい。

ここで、図示の医療用レーザ光源システム10における励起レーザ光源装置20として、1.5〜2.2μm帯域に発振波長を有するものであって、発振エネルギー強度や発振パルス幅、繰返し周波数、ピークパワーなどのレーザ発振パラメータが異なる、又はパラメータを異ならせることができる種々のレーザ仕様を持つ励起レーザ光発振器211をモジュール化して実装できる。

また、モジュール化した励起レーザ光発振器211は、予め用意されたラインナップから選択して、1台または複数台を、励起レーザ光源ユニット210に実装できる。いわば、パーソナルコンピュータにおけるメモリーボードのように、ユーザが用途に応じて差し込むことにより組込可能な構造としてもよい。

更に、図示の医療用レーザ光源システム10におけるデンタルハンドピース500として、互いに種類が異なるものを複数用意してもよい。例えば、2.7〜3.2μm内の単一或いは複数の適選した波長の2.9μm帯レーザ治療光501を発振でき、しかも、必要に応じ1.5〜2.2μmで発振する励起レーザ光発振器211からの励起レーザ光212の一部を治療光に加えられる種々の組合せをラインナップしてもよい。

また更に、図示の医療用レーザ光源システム10における長尺ファイバ導光装置30は、長尺ファイバ(長)導光装置320と長尺ファイバ(短)導光装置330とに分離できる。また、長尺ファイバ(長)側出口端子321と長尺ファイバ(短)側入口端子331とは脱着可能に接続でき、長尺ファイバ(長)側出口端子321は治療台50に設置されている。

これにより、種々の小型2.9μm帯レーザデバイス40が搭載され、ラインナップされている長尺ファイバ(短)導光装置330から、目的とする治療に適切な長尺ファイバ(短)導光装置330を適選し治療台50の長尺ファイバ(長)側出口端子321に接続させ、また、適選した長尺ファイバ(短)導光装置330に最適な励起レーザ光発振器211のモジュールを励起レーザ光源ユニット210に装着させることで、治療台50での治療目的に最適なレーザ治療光源をセットできる。なお、「長尺ファイバ(長)」および「長尺ファイバ(短)」という記載は、図中での長さを反映した記載であり、現実の光ファイバの寸法を規定する記載ではない。

上記のような励起レーザ光源装置20を用いることにより、複数の治療台50a、50b、50cの各々において、各励起レーザ光のパルス光を重ね合わせてピークパワーの高い励起レーザ光とすること、各励起レーザ光のパルス光をずらしてピークパワーを抑えてレーザエネルギーを取出すこと等、制御を個別且つ自在にできる。よって、高効率な蒸散、治癒の早い軟組織切開、殺菌処理など、目的に応じた治療を実現できる。

次に、上記医療用レーザ光源システム10で使用できる励起レーザ光発振器211のラインナップを形成し得るバリエーションについて説明する。励起レーザ光発振器211として用い得る1.5〜2.2μmの発振波長を有する固体レーザ発振器としては、MOFA方式のレーザ発振器を例示できる。

図13は、実施形態1において使用例を説明したMOFA方式による励起レーザ光発振器211の概要構成図である。Cr2+:CdSeの吸収が比較的高く、水の吸収も比較的高い1.92μmで発振するFBGレーザを第1種光260として、Tmアクティブファイバ290で増幅される。

図示のように、1.78μm分布帰還型レーザからの第1種光260を、794nm励起用LD280と第1混合器270で混合してTmアクティブファイバ290に通すことで1.78μm励起レーザ光212を増幅し出力させている。第1種光260の発振パルス幅と繰返し周波数、さらに励起用LD280の出力を変えて励起レーザ光212を変調することにより、小型2.9μm帯レーザデバイス40からの2.9μm帯レーザ治療光501を、発振パルス幅を10n秒〜1000μ秒、発振エネルギー強度を0.01mJ〜2J、繰返し周波数を1Hz〜1MHzの範囲で可変して出力できる。

図14は、MOFA方式を主とした他の固体励起レーザ方式を示す。図14に示すレーザは、図13に示したMOFA方式により発生した励起レーザ光212を更に増幅して、1J以上の高エネルギー出力を必要とする用途で用いる。励起レーザ光212の増幅は、Tm、Hoなどの希土類イオンをドープしたYAG、YLF等のレーザ結晶媒質、または、MOFAを増設したLD励起による固体レーザ増幅器215、或いは、フラッシュランプ励起による固体レーザ増幅器215による。

図15は、異なる波長を出力する2つの固体レーザからの出力光をMOFA方式によって増幅するタイプの励起レーザ方式を示す。図15に示すレーザは、1.78μmで発振する第1種光260と1.92μmで発振する第2種光261とのそれぞれの導光ファイバを第2混合器271で接続させる。更に、第1混合器270でTmアクティブファイバ290の励起用LD280の導光ファイバと接続して形成される。第1混合器270および第2混合器271を組合せることで1.5〜2.2μmの範囲内で、さらに多波長を発振させることができる。

また、第1実施例および第2実施例で用いた小型2.9μm帯レーザデバイス40において、HRミラー420およびOCミラー430を用いて形成する共振器を次のように設定してもよい。小型2.9μm帯レーザデバイス40の共振器において、HRミラー420の、波長1.70μmおよび波長1.92μmについての透過率を高く、例えば85%以上を有する。また、2.9μm帯レーザ治療光501に対して、反射率を高く、例えば、99.5%以上とする。

また、上記共振器において、OCミラー430は、波長1.70μmについて反射率を高く、例えば90%以上とし、波長1.92μmに対して透過率を高く、例えば80%以上とする。更に、2.9μm帯レーザ治療光501に対して、透過率を高く、例えば75%以上にする。

上記のような構造を有する小型2.9μm帯レーザデバイス40からは、2.9μm帯レーザ治療光501に加えて、1.92μmの励起レーザ光212も同時に射出される。1.92μmの励起レーザ光212は、生体組織に適度に吸収されて止血効果をもたらす。また、波長1.70μmの励起光と波長1.92μmの励起光とで高効率に発振される2.9μm帯レーザ治療光501は、高い切開効果を生じる。これら止血効果と切開効果を同時に生じることにより、相乗効果で優れた切開性能が得られる。

図16は、ファイバレーザ291を用いた固体励起レーザ方式のバリエーションを示す図である。図16には、Qスイッチのパルスファイバレーザ291と強パルス固体レーザ発振器281の励起レーザ光212を第3混合器272で混合させる構造を有する励起レーザ光発振器211が示される。

ここでは、強パルス固体レーザ発振器281として2.1μmで発振するフラッシュランプ励起Ho:YAGレーザを用い、1.95μmで発振するTmファイバレーザ291と混合する。さらに、ファイバレーザ291は、コンポーネント化された共振器素子293(HR−FBG)と共振器素子292(OC−FBG)、励起用LD280、Qスイッチコンポーネント294およびWDMカプラ295とを用いて構成することにより、生産性を向上させ、低コスト化できる。

励起レーザ光発振器211を搭載した医療用レーザ光源システム10の小型2.9μm帯レーザデバイス40は、波長1.95μmの励起レーザ光212と波長2.1μmの励起レーザ光212とで励起して2.94μmレーザ治療光501を出力するよう、HRミラー420およびOCミラー430の特性が設定される。これにより、水分子の吸収ピークである2.94μmで発振する医療用レーザ光源システム10を形成できる。

これにより、例えば、強パルス固体レーザ発振器281で励起した場合に得られる200mJ/パルス(パルス幅200μ秒)、20Hzの2.94μmのレーザ治療光501により硬組織を効率良く蒸散できる。また、100μJ/パルスで200kHzの高繰返し周波数のファイバレーザ291で励起して得られるレーザ治療光501により、止血しながら軟組織を切開できる。更に、60Hzの強パルス固体レーザ発振器281の励起による50mJ、100kHzのファイバレーザ291の励起による1Wの2.94μmレーザ治療光501により、熱損傷を最小限として、軟組織を効率よく止血切開できる。

なお、強パルス固体レーザ発振器281としては、2.1μm帯で発振するフラッシュランプ励起Ho:YAGレーザの他にも、2.0μm帯で発振するLD励起Tm:YAGレーザ、1.7μm帯で発振するフラッシュランプ励起Er:YAGレーザ、OPOにより同波長域で発振するレーザ等を用いてもよい。

図17は、ファイバレーザ291を用いた固体励起レーザ方式の他のバリエーションを示す図である。上述のコンポーネント化した光学素子で構成したパルスファイバレーザ291と、各パルスファイバレーザ291の制御データが記録されていてパルス幅、繰返し周波数や出力などを制御するサブ制御器296とで構成したファイバレーザモジュール297を複数搭載して、それら各ファイバレーザ291からの励起レーザ光212を積算して出力させる構造を有する。

ファイバレーザモジュール297には、1.5μm〜2.2μmの領域で発振するQスイッチTmファイバレーザモジュール297を適選し、目的とする治療に応じた出力を可能とする台数を励起レーザ光発振器211に搭載している。また、各ファイバレーザモジュール297は、例えば、各サブ制御器296によりパルス幅10n秒〜1000μ秒、繰返し周波数1〜1MHz、出力エネルギー〜10mJの範囲で励起レーザ光212を出力できるよう構成されている。

各ファイバレーザモジュール297に搭載されたサブ制御器296は、制御ディスプレイユニット240のメイン制御器241により制御される。制御コンソール250において指示され、設定された2.9μm帯レーザ治療光501の発振条件を反映させて、メイン制御器241の指示に応じた励起レーザ光212が各ファイバレーザモジュール297から出力される。

ファイバレーザも297の各々から射出された励起レーザ光212は、第4混合器273で混合集積されて、励起レーザ光源装置20の励起光入射口311から石英ファイバコード312に導光される。上記の構造により、単体ではパワーが小さいファイバレーザ291のパルスエネルギーを積算することにより、用途に応じた大きなパワーを含むパワーラインナップを容易に実現できる。

さらに、メイン制御器241で各ファイバレーザモジュール297のサブ制御器296を制御させる構造にしたことにより、励起レーザ光212で任意の波形を形成することができる。これにより、目的とする治療に最適な効果を与える2.9μm帯レーザ治療光501の波形を実現できる。

なお、上記のサブ制御器296は、図13、14、15に示すMOFA方式による励起レーザ光発振器211において、第1種光260を制御して発振繰返し周波数(1Hz〜1MHz)や発振パルス幅(10n秒〜1000μ秒)を制御してもよい。

また、上記のサブ制御器296は、図16に示す励起レーザ光発振器211において、Qスイッチコンポーネント294を制御して発振繰返し周波数(1Hz〜1MHz)や発振パルス幅(10n秒〜1000μ秒)を制御してもよい。

更に、図11に示す励起レーザ光発振器211に、図13、14、15に示したMOFA方式による励起レーザ光発振器211、または、図16に示した励起レーザ光発振器211を適用した場合、それぞれの励起レーザ光発振器211、それぞれのファイバレーザ291に対応した複数のサブ制御器296が備えられる。これにより、励起レーザ光発振器211の各々において、サブ制御器296がファイバレーザ291の、発振エネルギー強度、発振パルス幅、繰り返し周波数、およびピークパワーを個別に制御する。

図18は、メイン制御器241で各ファイバレーザモジュール297を制御して出力した励起レーザ光212の制御波形を模式的に示す図である。図示の例において、制御コンソール250から入力された設定は、パルス幅200μ秒、繰返し周波数25Hz、2.9μm帯レーザ治療光501パルスエネルギー200mJ、ピークパワー"高"であった。

上記の設定に対して、制御ディスプレイユニット240のメイン制御器241から、10個の各ファイバレーザモジュール297のサブ制御器296に、パルス幅300n秒、繰返し周波数250kHzで750μJの励起レーザ光212を同じタイミングで発振させる。更に、パルス幅200μ秒、繰返し周波数25kHzでマクロ発振させる信号を送り、各ファイバレーザモジュール297のパルス幅200μ秒のマクロ発振波形Miの中に、ピークパワー2.5kWを有す10個の発振波形miのマイクロパルス励起レーザ光212を同時に発振させる。

これらm1〜m10が積算された発振波形msのマイクロパルスで構成されるピークパワー25kWの発振波形MSを有する375mJ/マクロパルスの励起レーザ光212を発振制御させることができる。よって、小型2.9μm帯レーザデバイス40から硬組織の蒸散に適した約13kWのピークパワーを有する繰返し周波数25Hz、200mJ/マクロパルスの2.9μm帯レーザ治療光501をパルス発振できる。

なお、図17に示した励起レーザ光源ユニット210を搭載した医療用レーザ光源システム10においては、例えば、ピークパワーを"高"、"中"、"低"で選択できる制御コンソール250を搭載してもよい。

図19は、メイン制御器241で各ファイバレーザモジュール297を制御し出力した励起レーザ光212の制御波形を示す模式図である。図示の例では、制御コンソール250より入力された設定は、パルス幅1m秒、繰返し周波数100Hz、2.9μm帯レーザ治療光501パルスエネルギー50mJ、ピークパワー"低"である。

この設定に対して、メイン制御器241から、5個の各ファイバレーザモジュール297のサブ制御器296に、パルス幅400n秒、繰返し周波数500kHzで20μJ/マイクロパルスの励起レーザ光212をそれぞれ400n秒ずつタイミングをずらして発振させる。更に、パルス幅1m秒、繰返し周波数100Hzでマクロ発振させる信号を送り、各ファイバレーザモジュール297のパルス幅1m秒のマクロ発振波形Niの中に、ピークパワー0.05kWを有す5個の発振波形niのマイクロパルス励起レーザ光212を400n秒ずつタイミングをずらして発振させる。

これらn1〜n5が積算された発振波形nsのマイクロパルスで構成されるピークパワー0.05kWの発振波形NSを有する50mJ/マクロパルスの励起レーザ光212を発振制御させることができる。これにより、小型2.9μm帯レーザデバイス40からは、軟組織の止血切開に適した繰返し周波数が高く(100Hz)、約30Wの低いピークパワーで3W(30mJ/マクロパルス)の2.9μm帯レーザ治療光501を発振させることができる。

上記のように、図17の構造を有する励起レーザ光発振器211を搭載することにより、励起レーザ光発振器211を形成するファイバレーザモジュール297の各々からの励起レーザ光212のパルス光を重ね合わせて、ピークパワーの高い励起レーザ光212とすることができる(図18参照)。また、それらのパルス光をずらしてピークパワーを抑えることにより、取り出すことができるレーザエネルギーを自在に制御できる。

ところで、医療用レーザ光源システム10は、小型2.9μm帯レーザデバイス40を内設した長尺ファイバ(短)導光装置330を治療台50に着脱できる構造にしてもよい。特に、上記の第3実施例においては、長尺ファイバ導光装置30を、治療台50に対して脱着できる長尺ファイバ(短)導光装置330と分離できる。

さらに、小型2.9μm帯レーザデバイス40は、2〜3μmにブロードな発振波長域を有するレーザ媒質410で構成してもよい。これにより、対象となる臨床に最適な2〜3μm内の波長のレーザ治療光501を出射する小型2.9μm帯レーザデバイス40を内設した長尺ファイバ(短)導光装置330を治療台50に装着した治療が可能になる。

図20は、小型2.9μm帯レーザデバイス40においてレーザ共振器を構成するOCミラー430のOC膜431のレイアウトを例示する図である。図示のOC膜431を、波長2.94μmのレーザ発振に適した仕様にすることにより、小型2.9μm帯レーザデバイス40を内設した長尺ファイバ(短)導光装置330を治療台50に装着して、生体組織の蒸散を優先させる治療ができる。また、OC膜431を2.70μm用に形成したOCミラー430で構成した長尺ファイバ(短)導光装置330を治療台50に装着することで同波長の生体深達深さ(10μm)程度までの滅菌できる。

図21は、小型2.9μm帯レーザデバイス40のレーザ共振器を構成するOCミラー430のOC膜431を示す。このOCミラー430は、2.94±3μmを40%透過しそれ以外の発振波長域で高反射(99%以上)するOC膜431iを中心部に、2.70±3μmを5%透過しそれ以外の発振波長域で高反射(99%以上)するOC膜431oを周縁部に形成する。このようなOCミラー430で構成した長尺ファイバ(短)導光装置330を装着することで、2.70μmと2.94μmのレーザ治療光501を同時に照射できる。

図22は、の水分子の吸収スペクトルを示すグラフである。図示のように、水分子は、波長2.94をピークとする吸収帯域を有する。

一方、フラッシュランプ励起Erパルスレーザ治療器には、レーザ媒質の違いで、Er:YAGレーザとEr:YSGGの2種類が存在する。これらのレーザ媒質は発振波長域が決まっており、Er:YAGは2.94μmに、Er:YSGGは2.78μmに、それぞれ限定される。図22に示すように、2.9μm帯のどちらの波長も水に強く吸収されるが、2.94μmの水の吸収率の方が、2.78μmより3倍程高い。

このため、Er:YAGレーザは、硬組織と軟組織をシャープに蒸散できるが、軟組織の止血能力が低い。一方、Er:YSGGレーザは、止血能力では優っているが蒸散能力が劣る。たのため、いずれかの波長を単独で使用した場合は、いずれかの治療効果を排他的に選択することになる。また、フラッシュランプ励起は、高繰返し周波数が困難など、レーザ発振パラメータの制御範囲も限られ、このことも従来のErパルスレーザ治療器の臨床応用領域を制限している。

これに対して、上記のような第3実施例による医療用レーザ光源システム10によれば、図23に示すように、例えば、図17で構成した2台の励起レーザ光発振器211を搭載した励起レーザ光源ユニット210を用い、一方の励起レーザ光発振器211で図23(a−1)に示すレーザ治療光501を出力し、他方の励起レーザ光発振器211で図23(a−2)に示すレーザ治療光501を出力することで、図23(a−3)に示すレーザ治療光501を得ることができる。

すなわち、一方の励起レーザ光発振器211は、繰返し周波数20Hzで、パルス幅が30μ秒と短く、パルス当り20mJとエネルギーも低いが、ピークパワーが50kWと高い、2.94μmレーザ治療光501を出力する。また、他方の励起レーザ光発振器211は、繰返し周波数20Hzで、ピークパワーは5kWと比較的低いが、パルス幅が230μ秒で、パルス当り100mJのエネルギーによる2.94μmレーザ治療光501を出力する。

そして、一方の励起レーザ光発振器211の2.94μmレーザ治療光501と、他方の励起レーザ光発振器211の2.94μmレーザ治療光501とを混合することで、図23(a−3)に示すような、パルス当り120mJの2.94μmレーザ治療光501を得ることができる。

このような波形の2.94μmレーザ治療光501により、歯質硬組織のエナメル質を効率良く蒸散させるため必要とされたパルス当り200mJのエネルギーを、図23(a−3)に示す発振初期の高いピークパワーのパルスで、エナメル最表部にある最硬層を一気に蒸散することができるため比較エネルギーでも高効率な蒸散が可能となる。このような構造により、石英ファイバで伝送可能なダメージ閾値1MW/mm2以下で最適化したピークパワーとエネルギーを持つ発振波形を自在に作りだすことが可能となる。

ここで、長めのパルス幅を持った2.94μmレーザ治療光501を得るための励起レーザ光発振器211には、図17で構成した励起レーザ光発振器211以外にも、例えば、フラッシュランプ励起Ho:YAGレーザを搭載させることも可能である。

図24は、前述と同様に図17で構成した2台の励起レーザ光発振器211を搭載した励起レーザ光源ユニット210を用いる更に別の形態である。一方の励起レーザ光発振器211で図24(b−1)に示すレーザ治療光501を出力し、他方の励起レーザ光発振器211で図24(b−2)に示すレーザ治療光501を出力することで、図24(b−3)に示すレーザ治療光501を得ることができる。

一方の励起レーザ光発振器211は、パルス幅500μ秒で、繰返し周波数100Hz、パルス当り10mJであり、従ってピークパワー800Wで、平均パワー1Wの2.94μmレーザ治療光501を出力する。また、他方の励起レーザ光発振器211は、繰返し周波数1MHzの連続発振で、ピークパワーが30Wと低い平均パワー1Wの2.94μmレーザ治療光501を出力する。

そして、一方の励起レーザ光発振器211の2.94μmレーザ治療光501と、他方の励起レーザ光発振器211の2.94μmレーザ治療光501とを混合することで、図24(b−3)に示すような、総平均パワー2Wの2.94μmレーザ治療光501を得ることができる。

このような波形の2.94μmレーザ治療光501により、軟組織の切開を、軟組織に対しては充分に高いピークパワーである図24(b−1)の部分で軟組織を鋭く蒸散させるとともに、図24(b−2)のピークパワーが低い部分で軟組織を適度に加熱させて熱損傷部分を最小限にした止血ができるため治癒の早い軟組織切開が可能である。

ここで、連続発振の2.94μmレーザ治療光501を得るための励起レーザ光発振器211には、図17で構成した励起レーザ光発振器211以外にも、例えば、CWファイバレーザの搭載も可能である。但し、適切なピークパワーの調整が必要な場合は、図17の構成による励起レーザ光発振器211が適している(例えば、平均パワー1WのCWファイバレーザではピークパワーも1Wであるが、当該構成では平均パワーが1Wであってもピークパワーを高く設定可能な事から、熱損傷の調整が可能である)。

また、前述の図21に示すOCミラー430の構成で2.94μmと2.70μmに、さらに1.92μmの励起レーザ光212の一部を透過するよう設計された小型2.9μm帯レーザデバイス40を搭載した長尺ファイバ(短)導光装置330を治療台50に装着して、図24(b−2)に示すレーザ発振が可能である励起レーザ光発振器211を搭載することで、例えば、各0.5Wの1.92μmのレーザ光で、2.70μmおよび2.94μmのレーザ治療光501を同時に照射できる。この照射により、生体内100μmまでの殺菌処置を行うことができる(図22参考。深達深さ:2.94μm=約1μm、2.70μm=約10μm、1.92μm=約100μm)。

一方、第3実施例による医療用レーザ光源システム10の構成から明らかなように、ラインナップされた各種治療を可能とする小型2.9μm帯レーザデバイス40を搭載した長尺ファイバ(短)導光装置330を治療台50に1つでなく、複数装着(図25参照)することができる。

例えば、前述のレーザ発振パラメータの異なる3台の励起レーザ光発振器211を励起レーザ光源ユニット210に搭載し、さらに、治療台50に2.94μmレーザ治療光501用長尺ファイバ(短)導光装置330と、2.94μm/2.70μm/1.92μmレーザ治療光501用長尺ファイバ(短)導光装置330を装着して、術者が制御コンソール250に、それぞれの長尺ファイバ(短)導光装置330に対する処理条件(本ケースでは、硬組織切削と滅菌処置)を入力しフットスイッチ251を踏むことで、励起レーザ光源装置20内のメイン制御器241が、図23(a−1)および図23(a−2)に示す2.94μmレーザ治療光501を出力する励起レーザ光発振器211を制御し、さらに光混合器216および光切替スイッチ214を制御させ、図23(a−3)の形状の2.94μmレーザ治療光501を発振させ、一方、図24(b−2)に示すレーザ発振が可能である励起レーザ光発振器211を制御し、さらに光混合器216および光切替スイッチ214を制御させ図24(b−2)の形状の2.94μm/2.70μm/1.92μmレーザ治療光501を発振させることができる。つまり、それらに搭載されている2種類のデンタルハンドピース500を使い、歯周組織の滅菌と硬組織の切削処置とを同時に行うことができる。

さらに、図26に、小型2.9μm帯レーザデバイス40を搭載せず、励起レーザ光源ユニット210からの励起レーザ光212(励起光とは呼べないが)を直接、照射チップ520に集光できるデンタルハンドピース500を示す。

2.94μm帯のレーザ治療光501での治療以外にも、第3実施形態による医療用レーザ光源システム10に対し、図26に示すデンタルハンドピース500を装着した長尺ファイバ(短)導光装置330を治療台50に取付け、さらに、励起レーザ光源ユニット210に青色LED光源を搭載することで、レジン重合を施行することにも使える。

ここで、本形態では青色LEDを搭載しているが、その他にも沈痛効果があると言われる赤色LEDや赤外LEDを搭載させた治療も可能である。

以上のように、本実施形態は、医療用レーザ光源システム10を、励起レーザ光源装置20と、長尺ファイバ導光装置30と、小型2.9μm帯レーザデバイス40の少なくとも3つの主要要素部品で構成し、長尺ファイバ導光装置30を柔軟な屈曲性を持ち耐環境性に優れ機械的強度が高く光通信にも広く使われていて10ppm以下とOH濃度が低い石英ファイバで、小型2.9μm帯レーザデバイス40を低濃度OH石英ファイバで長尺伝送が可能な1.5〜2.2μm波長域で励起でき、しかも2.7μm〜3.2μmの広波長域に発振帯を有する遷移金属イオン(Cr2+、Fe2+、Co2+など)を高エネルギー発振可能な濃度ドープした媒質長3mm以上の二六族半導体(ZnSe、ZnS、CdSe、CdTeなど)からなるレーザ媒質410で、励起レーザ光源装置20を1.5〜2.2μmの波長域で発振する固体レーザ発振器で、構成している。

また、本実施形態による医療用レーザ光源システム10は、励起レーザ光源装置20内の励起レーザ光源ユニット210の集光器213の前端に光切替スイッチ214を搭載させ、治療施設内の治療台50に接続されている10ppm以下とOH濃度が低い石英ファイバを組込んでいる長尺ファイバ導光装置30を通して治療に使われる治療台50に励起レーザ光212が導光されるよう、術者が、光切替スイッチ214を切替て選択することで、選択された治療台50に接続されている小型2.9μm帯レーザデバイス40からレーザ治療光を出力するよう構成している。

歯科医院の治療施設内の例では、各治療台50に接続されている複数の長尺ファイバ導光装置30に、励起レーザ光212の導光を選択的に切替え伝送できるよう構成している。同構成により、医療用レーザ光源システム10を構成する比較的大きな装置である励起レーザ光源装置20を治療施設内の任意の場所に1台配置することで、ここから治療施設内に設置されている複数の治療台50まで、乾燥空気の充填も特殊な支持棒も必要とせず安価でシンプルな長尺ファイバ導光装置30を通し励起レーザ光212を導光できる。

そして、各治療台50に設置されている制御コンソール250を術者が操作することで、光切替スイッチ214により術者が選択した治療台50に励起レーザ光212を導光し、術者が持つデンタルハンドピース500の後端部内側に取付けられている小型2.9μm帯レーザデバイス40を励起することで治療に必要な2.9μm帯レーザ治療光501が提供される。

また、本実施形態による医療用レーザ光源システム10は、遷移金属イオンをドープした二六族半導体レーザ媒質の励起波長域と発振波長域とがブロードなことを利用して、2.9μm帯の光の特徴を最大限に活かし、しかも励起光源の波長帯の光も治療光に加え、臨床応用領域を格段に拡張できるよう以下の機構が付加されている。

つまり、1.5〜2.2μm帯域に発振波長を有し、発振エネルギー強度や発振パルス幅、繰返し周波数、ピークパワーなどのレーザ発振パラメータが異なる種々の励起レーザ光発振器211をモジュール化し、そのラインナップから適選した1台或いは複数台を励起レーザ光源ユニット210に容易に装着でき、それら励起レーザ光発振器211からの複数の励起レーザ光を長尺ファイバ導光装置30に集光させ小型2.9μm帯レーザデバイス40まで導光できるよう励起レーザ光源ユニット210を構成する。

さらに、2.7〜3.2μm内の単一或いは複数の適選した波長でレーザ治療光501を発振でき、しかも、必要に応じ励起レーザ光発振器211からの1.5〜2.2μm帯の励起レーザ光212の一部を治療光に加えられる種々の組合せを選択できる小型2.9μm帯レーザデバイス40を準備し、長尺ファイバ導光装置30を長尺ファイバ(長)導光装置320と小型2.9μm帯レーザデバイス40を先端に搭載している長尺ファイバ(短)導光装置330とに分離でき長尺ファイバ(長)側出口端子321と長尺ファイバ(短)側入口端子331で脱着可能に接続できるよう構成する。

以上の構成により、長尺ファイバ(短)導光装置330の(種々の組合せを選択できる各小型2.9μm帯レーザデバイス40が搭載されている)ラインナップから目的とする治療に適切な長尺ファイバ(短)導光装置330を適選し治療台50の長尺ファイバ(長)側出口端子321に接続させ、さらに、最適な励起レーザ光発振器211のモジュールを励起レーザ光源ユニット210に装着させることで、各臨床治療それぞれに最適な医療用レーザ光源システム10が提供される。

一方、本実施形態による医療用レーザ光源システム10には、ゾーンメルト法やブリッジマン法などで製作した二六族半導体インゴットから切り出したロッドなどの側面に、遷移金属を堆積させアニールで拡散させ製造した長い媒質長(>3mm)を有する二六族半導体レーザ媒質で構成した励起レーザ光発振器211を搭載しており、同構成により目的とする治療に必要とされるレーザエネルギーの出力を可能としている。

本実施形態による医療用レーザ光源システム10により、医療用レーザ光源システム10を構成する比較的大きな装置部分である励起レーザ光源装置20を治療施設内の任意の場所に配置することができ、ここから治療施設内の必要とされる生体組織の蒸散治療や滅菌を行う治療台50、例えば、歯科医院では、治療台50に設置したデンタルハンドピース500まで乾燥空気の充填も特殊な支持棒も必要としない安価でシンプルな長尺ファイバ導光装置30を通して励起レーザ光212を導光し、励起レーザ光212でデンタルハンドピース500の後端部内側に取付けられている小型2.9μm帯レーザデバイス40を励起することで治療や滅菌に必要な2.9μm帯レーザ治療光501を提供できることから、術者はストレスなく快適な治療を行える。

また、本実施形態では、光切替スイッチ214により、1台の励起レーザ光源装置20から、複数の治療台50に2.9μm帯レーザ治療光501を提供でき、術者が治療台50に設置されている制御コンソール250を操作することで、任意の治療台50より2.9μm帯レーザ治療光501を出射させ治療できる。

さらに、本実施形態では、1.5〜2.2μm帯域に発振波長を有し、発振エネルギー強度や発振パルス幅、繰返し周波数、ピークパワーなどのレーザ発振パラメータが異なる種々の励起レーザ光発振器211のモジュールから適選した1台或いは複数台の励起レーザ光発振器211を搭載し制御できる。また、それら励起レーザ光発振器211からの複数の励起レーザ光212を長尺ファイバ導光装置30に集光させ小型2.9μm帯レーザデバイス40まで導光できるように励起レーザ光源ユニット210を構成している。

さらに、2.7〜3.2μm内の単一或いは複数の適選した波長でレーザ治療光501を発振でき、しかも、必要に応じ励起レーザ光発振器211からの1.5〜2.2μm帯の励起レーザ光212の一部を治療光に加えられる種々の組合せを選択できる小型2.9μm帯レーザデバイス40を準備し、長尺ファイバ導光装置30を長尺ファイバ(長)導光装置320と小型2.9μm帯レーザデバイス40を先端に搭載している長尺ファイバ(短)導光装置330とに分離でき長尺ファイバ(長)側出口端子321と長尺ファイバ(短)側入口端子331で脱着可能に接続できるよう構成した。

これにより、長尺ファイバ(短)導光装置330のラインナップから目的とする治療に適切な長尺ファイバ(短)導光装置330を適選し治療台50の長尺ファイバ(長)側出口端子321に接続させ、また、最適な励起レーザ光発振器211のモジュールを励起レーザ光源ユニット210に装着させることで、目的とする治療に最適な医療用レーザ光源システム10を組むことが可能となり、従来のErレーザ治療器ではEr:YAGの2.94μm或いはEr:YSGGの2.78μmの1波長での治療しか行えなかったのに対し、2.7〜3.2μm内で適選した最適な単一或いは複数の波長での治療が行える。

更に、本実施形態では、1.5〜2.2μmで発振する励起レーザ光発振器211からの励起レーザ光212の一部を治療光に加えた治療も可能となり、さらに、発振パルス幅、繰返し周波数、ピークパワー、発振波形やレーザエネルギー出力強度などのレーザ発振パラメータを広範囲に制御することも可能となったことから、従来のErパルスレーザ治療器で行われていた歯の蒸散や歯周軟組織の切開だけでなく、外科手術や滅菌など臨床応用領域を格段に拡張でき、しかも、それぞれの治療目的に対し2.9μm帯の光の特徴を最大限に活かせる医療用レーザ光源システム10を準備できる。

また、本実施形態では、医療用レーザ光源システム10を、励起レーザ光源装置20と、前方先端に小型2.9μm帯レーザデバイス40を内包するカップラ部350が取り付けられている石英ファイバを導光材料とした長尺ファイバ導光装置30で構成させ、さらに、小型2.9μm帯レーザデバイス40を、1.5〜2.2μmにブロードな吸収波長域を有する。

更に、2.7〜3.2μmにブロードな発振波長域を有する遷移金属イオンをドープした二六族半導体で構成したことにより、上述したような励起レーザ光発振器211と小型2.9μm帯レーザデバイス40の組合せバリエーションが可能である。そして、これらの組合せバリエーションにより、前述の強パルス発振を必要とする臨床と、CW発振或いはCWに近い高繰返し周波数での発振を必要とする臨床と、の両臨床への応用を可能とでき、さらに、1波長に固定することなく適切な2.9μm帯の波長を適選できることから、従来の医療用レーザでは実現できない幅広い臨床への応用を実現できる。

以上説明したように、医療用レーザ光源システム10は、1台の励起レーザ光源装置20を治療施設内の任意の場所に配置して、全ての治療台と低OH石英の長尺ファイバ導光装置30で接続することで、治療に必要なレーザ治療光501を容易にそれらの治療台に供給することができる。そして、ブロードな1.5〜2.2μm帯の吸収波長域と2.7〜3.2μm帯の発振波長域を有する遷移金属イオンをドープした媒質長が3mmより長い二六族半導体をレーザ媒質410とした小型2.9μm帯レーザデバイス40を構成したことにより、適選した2.9μm帯の発振波長と励起レーザ光の一部とを治療光として出力できる多種の小型2.9μm帯レーザデバイス40をラインナップできる。

更に、医療用レーザ光源システム10は、1.5〜2.2μm帯内で発振する種々の固体励起レーザ光源を励起レーザ光発振器211もラインナップし、それらから1台或いは複数台を適選して搭載し制御できるように励起レーザ光光源装置を構成した。これにより、従来のErレーザ治療器では固定された2.9μm帯の波長でのしかも限られた制御(繰返し周波数が100Hz以下)の治療しか行えなかったのに対し、上記の医療用レーザ光源システム10は、2.7〜3.2μm内で適選した最適な1波長或いは複数の波長の治療光で、しかも1.5〜2.2μmで発振する励起レーザ光発振器211からの励起レーザ光212の一部を治療光に加えた治療ができる。

また更に、発振パルス幅、繰返し周波数、ピークパワー、発振波形やレーザエネルギー出力強度などのレーザ発振パラメータを広範囲に制御可能なため、従来のErパルスレーザ治療器で行われていた歯の蒸散や歯周軟組織の切開だけでなく、外科手術や滅菌など臨床応用領域を格段に拡張でき、しかも、それぞれの治療目的に対し2.9μm帯の光の特徴を最大限に活かせる医療用レーザ光源システム10を提供できる。

これにより、歯科治療においては、2.9μm帯でパルス発振させたレーザにより歯牙硬組織に含まれる水を蒸散させて切削することにより、デンタルタービンによる歯牙硬組織の機械的な切削に比べ、振動も発熱も少なく、このため無麻酔或いは最小限の麻酔での無痛治療が可能となる。また、出力を変化させることにより、2.9μm帯パルス発振によるレーザで、硬組織だけでなく軟組織や歯石除去など歯科治療にも応用できる。更に、非侵襲的な殺菌も行える。

以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。

請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。

10 医療用レーザ光源システム、20 励起レーザ光源装置、210 励起レーザ光源ユニット、211 励起レーザ光発振器、212 励起レーザ光、213 集光器、214 光切替スイッチ、215 固体レーザ増幅器、216 光混合器、220 冷却器ユニット、225 スプレー制御ユニット、230 電源ユニット、240 制御ディスプレイユニット、241 メイン制御器、242 ディスプレイパネル、243 電気端子、250 制御コンソール、251 フットスイッチ、260 第1種光、261 第2種光、270 第1混合器、271 第2混合器、272 第3混合器、273 第4混合器、280 励起用LD、281 強パルス固体レーザ発振器、290 アクティブファイバ、291 ファイバレーザ、292 共振器素子、293 共振器素子、294 Qスイッチコンポーネント、295 WDMカプラ、296 サブ制御器、297 ファイバレーザモジュール、30 長尺ファイバ導光装置、311 励起光入射口、312 石英ファイバコード、313 通信用電気コード、314 励起光出射口、315A、315W 管路、316 端子、320 長尺ファイバ(長)導光装置、321 長尺ファイバ(長)側出口端子、330 長尺ファイバ(短)導光装置、331 長尺ファイバ(短)側入口端子、350 カップラ部、351A、351W カップラ内管路、40 小型2.9μm帯レーザデバイス、410 レーザ媒質、411 ダブル反射防止膜、412 フェルル、420 HRミラー、430 OCミラー、431 OC膜、432 反射防止膜、440 励起集光器、450 リレー光学素子、50 治療台、500 デンタルハンドピース、501 レーザ治療光、511A、511W 外筒内管路、520 照射チップ、521 チップ接続端子、522 集光素子、W スプレー水、A スプレーエア

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