マニピュレータおよびレーザ装置

申请号 JP2012549545 申请日 2010-12-24 公开(公告)号 JPWO2012086055A1 公开(公告)日 2014-05-22
申请人 株式会社吉田製作所; 发明人 亙 菊地; 亙 菊地;
摘要 レーザ装置のマニピュレータ(10)は、ハンドピースを有すると共に関節(20)により回動可能に支持機構(11)に支持されるアーム機構と、該アーム機構の自重モーメント(Mw)を打ち消すバランスモーメント(Mb)を発生させるバネ(41)を有するバランス部材(40)と、バランスモーメント(Mb)により、自重モーメント(Mw)によるアーム機構の回動が防止されているバランス状態が維持されないバランス異常状態のとき、アーム機構の回動を阻止するロック機構(50)とを備える。バランス異常状態のときには、ロック機構(50)により、バランス状態が維持されないことにより発生するアーム機構の回動に起因するハンドピースの操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。
权利要求
  • 操作者により操作される操作対象部を有すると共に関節により回動可能に支持されるアーム機構と、前記アーム機構の自重により発生する自重モーメントを打ち消すバランスモーメントを発生させるバランス部材とを備え、前記アーム機構は、前記バランスモーメントにより、前記自重モーメントによる前記アーム機構の回動が防止されているバランス状態を維持するマニピュレータにおいて、
    前記バランス状態が維持されないバランス異常状態のとき、前記バランス状態が維持されないことにより発生する前記アーム機構の回動を阻止するロック機構を備えることを特徴とするマニピュレータ。
  • 前記バランス異常状態を検出するバランス状態検出手段を備え、前記ロック機構は、前記バランス状態検出手段により前記バランス異常状態が検出されたときに、前記アーム機構の回動を阻止すべく作動することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のマニピュレータ。
  • 前記バランス異常状態のときに、前記アーム機構の回動を阻止するための作動を前記ロック機構に開始させるトリガ部材を備え、
    前記ロック機構は、非作動位置と作動位置との間で移動可能なストッパ部材と、前記作動位置を占める前記ストッパ部材と当接可能な回動制限部とを有して、前記ストッパ部材と前記回動制限部との当接により前記自重モーメントによる前記アーム機構の回動を阻止し、
    前記トリガ部材は、前記バランス異常状態のときに、前記非作動位置から前記作動位置への前記ストッパ部材の移動を開始させることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のマニピュレータ。
  • 前記バランス異常状態は、前記バランス部材の破損を含む前記バランス部材の異常に起因する前記バランスモーメントの減少であることを特徴とする請求の範囲第1項または請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ。
  • 前記ロック機構は、前記ストッパ部材を作動位置に向けて付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求の範囲第3項記載のマニピュレータ。
  • 前記付勢部材はバネまたは磁石であることを特徴とする請求の範囲第5項記載のマニピュレータ。
  • 前記トリガ部材は、前記ストッパ部材との当接により前記ストッパ部材を前記非作動位置に保持し、前記ストッパ部材との当接の解除により前記ストッパ部材に前記作動位置への移動を開始させ、
    前記ロック機構は、前記バランス異常状態のときに、前記トリガ部材と前記ストッパ部材とを互いに離隔させる離隔力を発生する離隔力発生部材を備えることを特徴とする請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ。
  • 前記ロック機構は、前記自重モーメントによる前記アーム機構の回動を規制する一方、前記自重モーメントによる前記アーム機構の回動方向とは反対方向への前記アーム機構の回動を許容するラチェット機能を有することを特徴とする請求の範囲第1項または請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ。
  • 前記バランス部材は、前記バランスモーメントを前記アーム機構に伝達する伝達部材を有し、
    前記伝達部材は前記トリガ部材を兼ねることを特徴とする請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ。
  • 前記バランス部材は、前記バランスモーメントを発生させるバネまたは錘を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のマニピュレータ。
  • 請求の範囲第1項または請求の範囲第3項に記載のマニピュレータと、レーザ発生器とを備えるレーザ装置であって、
    前記操作対象部は、前記レーザ発生器が発生したレーザ光を照射対象部位に照射するレーザ照射部を有するハンドピースであり、
    前記マニピュレータは、前記レーザ光を前記ハンドピースまで導くことを特徴とするレーザ装置。
  • 说明书全文

    本発明は、操作者により操作される操作対象部を支持するアーム機構と、関節により回動可能なアーム機構の自重により発生する自重モーメントを打ち消すバランスモーメントを発生させるバランス部材とを備えるマニピュレータ、および、該マニピュレータを備えるレーザ装置に関する。 そして、該レーザ装置は、例えば歯科診療に使用される。

    例えば、レーザ装置において、操作者が操作する操作対象部(ハンドピース)を有すると共に関節により回動可能に支持されるアーム機構と、該アーム機構の自重により発生する自重モーメントを打ち消すバランスモーメントを発生させるバランス部材とを備えるマニピュレータにおいて、操作者が操作するスイッチで作動するロック機構により、アーム機構を固定するものは知られている(例えば、特許文献1,2参照)。

    実公平3−19366号公報

    特開昭59−37942号公報

    関節により回動可能とされたアーム機構の自重により発生する自重モーメントを打ち消すバランスモーメントを発生するバランス部材を備えるマニピュレータにおいて、バランス部材に異常が発生して、バランスモーメントが減少し、アーム機構に対するバランスモーメントによるバランス機能が失われた場合、アーム機構が自重モーメントにより回動する。
    このため、操作者が操作対象部を操作しているとき、アーム機構のバランス状態が維持できない状態になると、アーム機構の自重または自重モーメントの基づく荷重が操作対象部に作用するために、操作対象部による操作性が著しく低下して、操作対象部による作業の円滑な遂行が阻害される原因になる。

    本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アーム機構の自重により発生する自重モーメントを打ち消すバランスモーメントを発生させるバランス部材を備えるマニピュレータにおいて、バランスモーメントにより自重モーメントとのバランス状態が維持されないバランス異常状態のときに、バランス状態が維持されないことにより発生するアーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下による影響を回避または軽減することを目的とする。
    また、本発明は、さらに、前記バランス状態が維持されないことにより発生するアーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下による影響が回避または軽減されたマニピュレータを備えるレーザ装置を提供することを目的とする。

    請求の範囲第1項に記載の発明は、操作者により操作される操作対象部(37)を有すると共に関節(20)により回動可能に支持されるアーム機構(30)と、前記アーム機構(30)の自重により発生する自重モーメント(Mw)を打ち消すバランスモーメント(Mb)を発生させるバランス部材(40)とを備え、前記アーム機構(30)は、前記バランスモーメント(Mb)により、前記自重モーメント(Mw)による前記アーム機構(30)の回動が防止されているバランス状態を維持するマニピュレータ(10,110)において、前記バランス状態が維持されないバランス異常状態のとき、前記バランス状態が維持されないことにより発生する前記アーム機構(30)の回動を阻止するロック機構(50)を備えることを特徴� ��するマニピュレータ(10,110)である。

    これによれば、バランスモーメントによるアーム機構の自重モーメントとのバランス状態が維持されないバランス異常状態のときに、アーム機構の回動がロック機構により阻止されるので、操作者が操作対象部を操作している際に、アーム機構が回動することに基づく荷重が操作対象部に作用することを抑制することができる。 この結果、バランス異常状態のときのアーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下が抑制され、該操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。 このため、例えば、バランス異常状態のときのアーム機構の回動に起因して操作対象部が暴れることにより、予期しない方向へレーザ光が照射される恐れを回避できる。

    請求の範囲第2項に記載の発明は、請求の範囲第1項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記バランス異常状態を検出するバランス状態検出手段(42,84,42a)を備え、前記ロック機構(50)は、前記バランス状態検出手段(42,84,42a)により前記バランス異常状態が検出されたときに、前記アーム機構(30)の回動を阻止すべく作動するものである。
    これによれば、マニピュレータがバランス異常状態を検出するバランス状態検出手段を備えるので、バランス異常状態が検出されたときに、自動的に、かつ速やかにロック機構を作動させて、自重モーメントによるアーム機構の回動を阻止することが可能になる。

    請求の範囲第3項に記載の発明は、請求の範囲第1項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記バランス異常状態のときに、前記アーム機構(30)の回動を阻止するための作動を前記ロック機構(50)に開始させるトリガ部材(70)を備え、前記ロック機構(50)は、非作動位置と作動位置との間で移動可能なストッパ部材(51)と、前記作動位置を占める前記ストッパ部材(51)と当接可能な回動制限部(60)とを有して、前記ストッパ部材(51)と前記回動制限部(60)との当接により前記自重モーメント(Mw)による前記アーム機構(30)の回動を阻止し、前記トリガ部材(70)は、前記バランス異常状態のときに、前記非作動位置から前記作動位置への前記ストッパ部材(51)の移動を開� ��させるものである。
    これによれば、自重モーメントによるアーム機構の回動を阻止するために、非作動位置と、回動制限部と当接する作動位置との間で移動可能であるストッパ部材を備えるロック機構において、トリガ部材を使用することにより、ストッパ部材の移動開始時期を、簡単に、かつ確実に制御することができる。

    請求の範囲第4項に記載の発明は、請求の範囲第1項または請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記バランス異常状態は、前記バランス部材(40)の破損を含む前記バランス部材(40)の異常に起因する前記バランスモーメント(Mb)の減少であるものである。
    これによれば、バランス部材に異常が発生して、バランスモーメントが減少するときに、自重モーメントによるアーム機構の回動をロック機構により阻止することができて、自重モーメントによるアーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下を抑制できる。

    請求の範囲第5項に記載の発明は、請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記ロック機構(50)は、前記ストッパ部材(51)を作動位置に向けて付勢する付勢部材(55;57,58)を備えるものである。
    これによれば、付勢部材の付勢により、非作動位置から作動位置に向かうストッパ部材の移動を速めることができるので、ストッパ部材と回動制限部との当接時期を早めることができる。 この結果、バランス異常状態の発生時期からアーム機構の回動阻止までの時間を短縮できて、アーム機構の回動阻止を迅速化でき、その分、アーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下による影響を一層軽減できる。

    請求の範囲第6項に記載の発明は、請求の範囲第5項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記付勢部材(55;57,58)はバネ(55)または磁石(57,58)であるものである。
    これによれば、付勢部材がバネまたは磁石により構成されるので、簡単な構造により、ストッパ部材を作動位置に向けて付勢することができる。

    請求の範囲第7項に記載の発明は、請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記トリガ部材(70)は、前記ストッパ部材(51)との当接により前記ストッパ部材(51)を前記非作動位置に保持し、前記ストッパ部材(51)との当接の解除により前記ストッパ部材(51)に前記作動位置への移動を開始させ、前記ロック機構(50)は、前記バランス異常状態のときに、前記トリガ部材(70)と前記ストッパ部材(51)とを互いに離隔させる離隔力を発生する離隔力発生部材(56)を備えるものである。
    これによれば、バランス異常状態のときには、離隔力発生部材が発生する離隔力により、ストッパ部材に対するトリガ部材の離隔を迅速化および確実化できるので、バランス異常状態の発生時に、非作動位置から作動位置へのストッパ部材の移動開始時期を早めることができる。 この結果、バランス異常状態の発生時期からアーム機構の回動阻止までの時間を短縮できて、アーム機構の回動阻止を迅速化できる。

    請求の範囲第8項に記載の発明は、請求の範囲第1項または請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記ロック機構(50)は、前記自重モーメント(Mw)による前記アーム機構(30)の回動を規制する一方、前記自重モーメント(Mw)による前記アーム機構(30)の回動方向とは反対方向への前記アーム機構(30)の回動を許容するラチェット機能を有するものである。
    これによれば、バランス異常状態において自重モーメントによるアーム機構の回動がロック機構により阻止されている場合にも、ロック機構のラチェット機能により、アーム機構を自重モーメントの方向とは反対方向に回動させることができるので、アーム機構を、自重モーメントによる伸展状態よりもコンパクトな収縮状態にすることができる。 この結果、バランス異常状態のマニピュレータをコンパクトな形態とすることができて、マニピュレータまたはマニピュレータを備える装置の修理などのための搬送や運搬が容易になる。

    請求の範囲第9項に記載の発明は、請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記バランス部材(40)は、前記バランスモーメント(Mb)を前記アーム機構(30)に伝達する伝達部材(42,84,42a)を有し、前記伝達部材(42,84,42a)は前記トリガ部材(70)を兼ねるものである。
    これによれば、バランス部材の構成部材である伝達部材がトリガ部材を兼ねるので、バランス部材およびトリガ部材を備えるマニピュレータの構造を簡単化および小型化することができる。

    請求の範囲第10項に記載の発明は、請求の範囲第1項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記バランス部材(40)は、前記バランスモーメント(Mb)を発生させるバネ(41)または錘(81)を有するものである。
    これによれば、自重モーメントを打ち消すためのバランスモーメントが、バネのバネ力、または錘の重量により生成されるマニピュレータにおいて、例えばバネまたは錘に異常が発生してバランス異常状態が生じた場合にも、バランス状態が維持されないことに起因する操作対象部の操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。

    請求の範囲第11項に記載の発明は、請求の範囲第1項または請求の範囲第3項に記載のマニピュレータ(10,110)と、レーザ発生器(4)とを備えるレーザ装置(1,101)であって、前記操作対象部(37)は、前記レーザ発生器(4)が発生したレーザ光を照射対象部位に照射するレーザ照射部(38)を有するハンドピース(37)であり、前記マニピュレータ(10,110)は、前記レーザ光を前記ハンドピース(37)まで導くレーザ装置(1,101)である。
    これによれば、マニピュレータにバランス異常状態が発生したときのアーム機構の回動に起因するハンドピースの操作性の低下が抑制され、該レーザ照射部を有するハンドピースの操作性の低下による影響を回避または軽減することができるレーザ装置が得られる。

    本発明によれば、アーム機構の自重により発生する自重モーメントを打ち消すバランスモーメントを発生させるバランス部材を備えるマニピュレータにおいて、バランスモーメントにより自重モーメントとのバランス状態が維持されないバランス異常状態のときに、バランス状態が維持されないことにより発生するアーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。
    また、本発明によれば、前記バランス状態が維持されないことにより発生するアーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下による影響が回避または軽減されたマニピュレータを備えるレーザ装置を得ることができる。

    本発明の第1実施形態を示し、マニピュレータを備えるレーザ装置の全体斜視図である。

    図1のマニピュレータのアーム機構の回動中心線を含む平面での一部を省略した断面図であり、図5のII−II線断面図に相当する。

    図1のマニピュレータの、カバーが外された状態での要部斜視図である。

    図1のマニピュレータのロック機構を中心とした要部斜視図であり、(a)は、ロック機構の非作動状態を示し、(b)は、ロック機構の作動状態を示す。

    図2のV−V線断面図である。

    図5のVI−VI線断面図であり、(a)は、ロック機構の非作動状態を示し、(b)は、ロック機構の作動状態を示す。

    図1のマニピュレータのロック機構によるアーム機構の回動停止位置を説明する模式図である。

    本発明の第1実施形態の第1変形例を示し、(a)は、図6(a)に相当する図であり、(b)は、図6(b)に相当する図である。

    本発明の第1実施形態の第2変形例を示し、(a)は、図6(a)に相当する図であり、(b)は、図6(b)に相当する図であり、(c)は、(a)のc部分の拡大図である。

    本発明の第2実施形態を示し、図1に相当する図である。

    図10のレーザ装置の断面図を示し、(a)は、図2の要部に相当する図であって、(b)のa−a線断面図に相当し、(b)は、(a)のb−b線断面図であって、ロック機構の非作動状態を示し、(c)は、(b)の要部に相当し、ロック機構の作動状態を示す。

    本発明の第2実施形態の変形例を示し、図5に相当する図である。

    以下、本発明の実施形態を、図1〜図12を参照して説明する。
    本発明の実施形態において、マニピュレータ10,110(図1,図10参照)を備える装置としてのレーザ装置1,101(図1,図10参照)は、医療用装置としての歯科診療用装置である。

    図1〜図7は、本発明の第1実施形態を説明する図である。
    レーザ装置1の全体斜視図である図1を参照すると、第1実施形態に係るレーザ装置1は、操作者(例えば、術者)が操作する操作対象部としてのハンドピース37を有するマニピュレータ10と、マニピュレータ10を支持するベース部材としての装置本体2とを備える。

    装置本体2は、ハウジング3と、レーザ光を発生するレーザ発生器4と、レーザ発生器4の作動を制御する制御装置5と、レーザ発生器4によるレーザ光に関する各種設定(例えば、レーザ光の出力の大きさ、出力パターン、出力時間など)を行うために操作者により操作される操作設定部としての操作パネル6と、操作者が行う作業の開始および停止としてのレーザ光の照射および停止のための操作制御部であるフットスイッチ7と、レーザ装置1の移動などのために把持される把持部8と、ハウジング3を支持する脚部としての4つのキャスタ9とを備える。
    操作者は、マニピュレータ10のハンドピース37を手で操作する一方、フットスイッチ7を足で操作する。

    レーザ発生器4および制御装置5を収納するハウジング3は、操作パネル6およびマニピュレータ10が設けられる上壁3aと、上部に把持部8が設けられる前壁3bとを有する。
    操作パネル6およびフットスイッチ7からの各操作信号が入力信号として入力される制御装置5は、中央演算処理装置、入出力装置および記憶装置などを有するコンピュータを備え、前記入力信号に基づいてレーザ発生器4を制御する。

    図1、マニピュレータ10の要部断面図である図2、およびマニピュレータ10の要部斜視図である図3を参照すると、多関節型のマニピュレータ10は、ハウジング3の上壁3aにおいて上方に突出して設けられた支持基部としての支持管12とアーム側関節20とを有する支持機構11と、アーム側関節20により回動中心線L1を中心に回動可能に支持機構11に支持されるアーム機構30と、該アーム機構30の自重に基づいて発生する自重モーメントMwを打ち消すバランスモーメントMbを発生させるバランス部材40と、バランスモーメントMbによる自重モーメントMwとのバランス状態が維持されない状態であるバランス異常状態のときにアーム機構30の回動を阻止するロック機構50と、該バランス異常状態のときに� ��ック機構50の作動を開始させるためのトリガ部材70と、を備える。

    ここで、バランス状態とは、自重モーメントMwとバランスモーメントMbとが釣り合う状態、または、バランスモーメントMbが、自重モーメントMwと釣り合うときに比べてハンドピース37の操作性が損なわれない程度に自重モーメントMwよりも僅かに大きい状態であるほぼ釣り合う状態である。 このため、バランス状態では、バランスモーメントMbにより、自重モーメントMwの作用によるアーム機構30の、支持機構11に対する回動が防止されている。

    そして、バランス状態にあるアーム機構30が自然状態でのアーム機構30の収納位置Pa(図1に示される位置であり、図7参照。)を安定的に占めるように、該収納位置Paは、アーム機構30の第1アーム31と、支持機構11または装置本体2に設けられる位置規制部(例えば、支持機構11の支持軸15の位置規制部15a(図5参照))との当接により規定されてもよい。

    また、アーム機構30の自然状態とは、アーム機構30が操作者により拘束されていない(例えば、ハンドピース37を含めてアーム機構30が把持されていない)ときの状態、すなわちアーム機構30が操作者により操作されていないときの状態である。
    さらに、アーム機構30の収納位置Paとは、レーザ装置1が使用されないときに、自然状態にあるアーム機構30が占める初期位置(図1,図7に示されている。)である。 そして、操作者がアーム機構30を操作する(例えば、ハンドピース37を操作する)とき、アーム機構30は、収納位置Paから回動し、許容回動範囲A(図7参照)において、収納位置Paを除く任意の操作位置を占める。

    このように、バランス部材40により発生するバランスモーメントMbがアーム機構30の自重モーメントMwを打ち消すことから、操作者がアーム機構30のハンドピース37を操作する際に、操作者がハンドピース37を通じてアーム機構30自体の重量を支える必要は殆どない。 このため、アーム機構30自体の重量またはアーム機構30の自重モーメントMwに起因してハンドピース37に作用する荷重によるハンドピース37の操作性の低下が回避されて、ハンドピース37の良好な操作性が確保される。

    図1、図2を参照すると、アーム機構30を装置本体2に支持させるための支持機構11は、支持管12およびアーム側関節20のほかに、上壁3aに固定された支持管12に対して回動中心線L0を中心に相対的に回動可能に連結されるベース側関節13と、バランス部材40およびロック機構50を囲んでそれらを径方向外方から覆う円筒状のカバー16とを有する。
    なお、特に断らない限り、径方向は、回動中心線L1を中心とする径方向であるとし、中心線方向は、回動中心線L1に平行な方向であるとする。 また、回動中心線L1を中心とする回動方向は、回動中心線L1を中心とする周方向である。

    ベース側関節13は、支持管12に回動可能に連結される関節本体部14と、回動中心線L0を中心に関節本体部14と一体に回動するように連結される支持部材としての支持軸15とを有する。 関節本体部14および支持軸15は、この実施形態では、別個の部材が着脱可能に結合手段(例えば、ネジ)により、回動中心線L1を中心とした相対回動が不能に結合されて一体化されるが、一体成形により1つの部材により構成されてもよい。

    アーム側関節20は、アーム機構30が回動中心線L1を中心に一体に回動するように連結される関節本体部21と、関節本体部21と一体に回動するように連結される軸部22と、ロック機構50のストッパブロック51を支持するストッパ支持部23とを有する。 関節本体部21、軸部22およびストッパ支持部23は、この実施形態では、別個の部材が着脱可能に結合手段(例えば、ネジ)により、回動中心線L1を中心とした相対回動が不能に結合されて一体化されるが、少なくとも2つの部材または全体が一体成形された部材により構成されてもよい。

    中空の支持軸15の内側に該支持軸15と同軸に配置される軸部22は、1対の軸受17を介して、支持軸15に回動中心線L1を中心に回動可能に支持される被支持部である。 ストッパ支持部23は、軸部22に摺動可能に嵌合される一方、結合手段としての結合用ネジ(図示されず)により軸部22に固定されて、アーム機構30の第1アーム31と一体に回動可能である。

    カバー16は、中心線方向での両端部16a,16bのうちの一方の端部16aで関節本体部14に固定され、他方の端部16bで関節本体部21に接触する位置、または関節本体部21との間に微小な空隙を形成して非接触となる位置に配置されて、支持軸15、軸部22およびストッパ支持部23を径方向外方で囲む。

    図1を参照すると、アーム機構30は、支持機構11を介して装置本体2に支持されるアーム機構本体30aと、アーム機構本体30aに連結されるハンドピース37とを有する。 アーム機構30の自由端部でもある先端部を構成するハンドピース37は、アーム機構本体30aの自由端部でもあると共に先端部を構成する後記第2中間関節34bを取付部として、該第2中間関節34bに着脱可能に取り付けられて、操作者により、把持されて操作される。

    1以上のアームまたは1以上の関節を有するアーム機構本体30a、この実施形態では複数の関節を有する多関節型のアーム機構本体30aは、アーム側関節20により回動中心線L1を中心に回動可能に支持機構11を介して装置本体2に支持される基端側アームとしての第1アーム31と、先端側アームとしての第2アーム32と、第1アーム31と第2アーム32とを連結する第1連結機構33と、第2アーム32とハンドピース37とを連結する第2連結機構34とを有する。 関節本体部21と第1アーム31とは、回動中心線L2を中心とした相対回動が不能に結合されて一体化される。

    第1連結機構33は、第1アーム31の中心軸線を回動中心線L2として第2アーム32を回動可能とする第1中間関節33aと、該第1中間関節33aの回動中心線に交差する直線、ここでは直交する直線を回動中心線として第2アーム32を回動可能とする別の第1中間関節33bとを有する。 また、第2連結機構34は、第2アーム32の中心軸線を回動中心線としてハンドピース37を回動可能とする第2中間関節34aと、該第2中間関節34aの回動中心線に交差する直線、ここでは直交する直線を回動中心線としてハンドピース37を回動可能とする別の第2中間関節34bとを有する。

    そして、アーム機構30が収納位置Pa(図7参照)にあるとき、図1に示されるように、第2アーム32は、第1中間関節33bにより、該第2アーム32の自重およびハンドピース37の自重で、鉛直方向に延びており、またハンドピース37は、第2中間関節34bにより、ハンドピース37の自重で鉛直方向に延びている。

    図1,図2を参照すると、支持管12、支持軸15、第1,第2アーム31,32、各関節13,20および各連結機構33,34は、いずれも管状部材により構成されて、レーザ発生器4で発生したレーザ光を、マニピュレータ10においてハンドピース37に導く導光路18(図2、図5にその一部が示されている。)を形成する導光路形成部材である。 各関節13,20,33a,33b,34a,34bには、導光路18においてレーザ光を偏向させる反射ミラー(図2には、関節13,20における反射ミラー19が示されている。)が配置される。 したがって、マニピュレータ10は導光路形成用マニピュレータである。

    ハンドピース37は、その先端部にレーザ照射部38(図1参照)を有する。 レーザ照射部38は、レーザ発生器4から放射されて、マニピュレータ10の内部に設けられた導光路18を通じて伝達されたレーザ光を、照射対象部位である患者の治療部位に照射する。 操作者の操作に応じて、マニピュレータ10の各アーム31,32およびハンドピース37が各関節13,20,33a,33b,34a,34bにより適度な度を占め、レーザ照射部38を所望の位置および向きに設定することができる。

    図2、図3を参照すると、バランス部材40は、バランスモーメントMbを生成するためのバランス力としてのバネ力を発生するバランス力発生部材としてのバランス力発生用のバネ41と、捩りコイルバネから構成されるバネ41を両関節13,20の間で各関節13,20に保持するための1対の保持部材42,48とを有する。
    バネ41および環状の各保持部材42,48は、それらの外周側に配置されて両関節本体部14,21に保持されるカバー16(図2では、二点鎖線で示される。)により覆われる。

    1対の保持部材42,48の一方の保持部材である可動保持部材42には、バネ41の一方の被保持部としての一端部41aが係止される。 可動保持部材42は、軸部22に回動可能に支持される被支持部としての嵌合部43と、嵌合部43から径方向外方に突出すると共に一端部41aが係止される係止部46が設けられた押圧部44とを有する。 嵌合部43は、軸部22の外周に摺動可能に嵌合されると共に、中心線方向でアーム側関節20の関節本体部21とバネ41との間に、中心線方向での移動が規制された状態で支持される。

    可動保持部材42は、押圧部44において、バランスモーメントMbの作用によりストッパ支持部23の当接部24と当接し、該当接部24を、自重モーメントMwの方向(自重モーメントMwによるアーム機構30の第1アーム31の回動方向でもあり、以下、「自重モーメント方向」という。)とは反対の方向(バランスモーメントMbの方向であり、以下、「反自重モーメント方向」という。)に押圧することで、ストッパ支持部23、軸部22および関節本体部21を通じて、バランスモーメントMbをアーム機構30の第1アーム31に伝達する伝達部材である。

    また、1対の保持部材42,48の他方の保持部材である固定保持部材48には、バネ41の他方の被保持部としての他端部41bが係止される。 中心線方向でベース側関節13の関節本体部15とバネ41との間に配置される固定保持部材48は、バネ41の初期バランス力としての初期バネ力が調整可能となるように、支持軸15に摺動により回動可能に、かつ中心線方向に移動可能に支持される一方、結合手段としての結合用ネジ(図示されず)により支持軸15に対して移動不能に固定される。 前記初期バネ力は、ハンドピース37の重量等に応じて、マニピュレータ10のバランス状態が得られるように調整される。

    そして、バランス部材40が正常であるとき、すなわち、バランス部材40が、ハンドピース37を含めたアーム機構30の自重による自重モーメントMwを打ち消すバランスモーメントMbを発生させているときの状態であるバランス正常状態では、マニピュレータ10のバランス状態が維持される。
    一方、バランス部材40に異常が発生して、バランス状態が維持されない状態であるバランス異常状態となる場合には、マニピュレータ10のバランス状態が維持されないことに起因して、操作者によるハンドピース37の操作性の低下を招来する。

    例えば、各保持部材42,48における破損などによる各保持部材42,48からのバネ41の外れ、バネ41の破断、または経年変化による前記結合用ネジの緩みに起因する固定保持部材48の回動など、バランス部材40に異常が発生した場合には、バランスモーメントMbが減少する(バランスモーメントMbが消失する場合を含む。)ために、自重モーメントMwに基づく荷重が、操作者が操作しているハンドピース37に作用することになって、ハンドピース37の円滑な操作や所望の操作が困難になる。
    そこで、ロック機構50は、マニピュレータ10がバランス異常状態にあるときに、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動を阻止する。 これにより、バランス異常状態に起因するハンドピース37の操作性の低下による影響を、回避すること、または限定的なものとすることができる。

    図2、図3、マニピュレータ10のロック機構50を中心とした要部斜視図である図4、および、図2のV−V線断面図である図5を参照すると、支持機構11に設けられるロック機構50は、トリガ部材70と当接可能なストッパ部材としてのストッパブロック51と、ストッパブロック51と当接(または、係合)可能な回動制限部60と、ストッパブロック51をトリガ部材70と当接する非作動位置から回動制限部60と当接する作動位置(または、回動制限部60)に向けて付勢する付勢力をストッパブロック51に作用させるストッパ用付勢部材としてのストッパ用のバネ55と、トリガ部材70とストッパブロック51とを回動方向で互いに離隔させる離隔力としてのバネ力をトリガ部材70およびストッパ支持部23の少な� ��とも一方に、この実施形態ではトリガ部材70およびストッパ支持部23の両者に作用させる離隔用のバネ56とを有する。 離隔力発生部材としてのバネ56は、圧縮コイルバネから構成される。

    ここで、ストッパブロック51の作動位置(図4(b)に示される位置である。)とは、ストッパブロック51が、回動制限部60との当接により自重モーメントMwによるアーム機構30の第1アーム31の回動を阻止する位置であり、非作動位置(図3、図4(a)に示される位置である。)とは、ストッパブロック51が、トリガ部材70との当接により作動位置への移動が阻止された位置である。 そして、ストッパブロック51が作動位置を占めるとき、ロック機構50は作動状態になり、ストッパブロック51が非作動位置を含む、作動位置以外の位置を占めるとき、ロック機構50は非作動状態になる。

    ストッパブロック51を移動可能に支持するストッパ支持部23は、軸部22の外周側において、中心線方向で可動保持部材42に隣接して配置される環状の部材であり、ストッパブロック51と回動制限部60との、回動方向および中心線方向での相対的な位置が調整可能となるように、回動可能および中心線方向に移動可能に軸部22に支持される一方、結合手段としての結合ネジ(図示されず)により軸部22に対して移動不能(したがって、回動不能でもある。)に固定される。
    このように、関節本体部21および軸部22に対してストッパ支持部23が回動方向に位置調整可能であることにより、ストッパブロック51と回動制限部60との、回動方向での相対的な位置の設定の自由度、および、収納位置Paに対する回動制限部60の、回動方向での位置の設定の自由度を大きくすることができる。

    ストッパ支持部23は、可動保持部材42の押圧部44と回動方向で対向および当接する当接部24と、ストッパブロック51をストッパ支持部23に対して移動可能、ここでは回動可能に支持する支持部としての支持ピン26とを有する。 このため、ストッパブロック51は、ストッパ支持部23を介して軸部22および関節本体部21と共に回動中心線L1を中心にして回動する。 そして、ストッパブロック51は、ストッパ支持部23に対して、概ね径方向に沿った回動中心線を中心に回動し、ストッパブロック51の非作動位置と作動位置との間での移動方向(以下、「ストッパ移動方向」という。)の主たる方向は、中心線方向である。

    回動方向で押圧部44と当接する当接面25を有する当接部24は、中心線方向でバネ41に向かって突出する突出部から構成され、ストッパブロック51が収容される収容空間27を形成する。 収容空間27は、自重モーメントMwの方向(または、自重モーメントMwによる第1アーム31およびアーム側関節20の回動方向)でトリガ部材70に向かって開放し、中心線方向で回動制限部60に向かって開放する。 当接部24は、ストッパブロック51を径方向外方から覆う覆い部でもあることから、ストッパブロック51またはバネ55が径方向外方に過度に移動したとしても、ストッパブロック51またはバネ55がカバー16と干渉することを防止できる。

    当接部24は、押圧部44との当接により、可動保持部材42を通じて伝達されるバランスモーメントMbを、軸部22および関節本体部21を通じてアーム機構30の第1アーム31に作用させる。 したがって、ストッパ支持部23、軸部22および関節本体部21は、すなわちアーム側関節20は、バランスモーメントMbをバランス部材40からアーム機構30に伝達する伝達部である。

    このように、ストッパブロック51は、第1アーム31と一体に回動するアーム側関節20と、支持機構11においてアーム側関節20を回動可能に支持する支持軸15を有するベース側関節13との、一方の部材としてのアーム側関節20におけるストッパ支持部23に設けられる。 一方、回動制限部60は、アーム側関節20およびベース側支持軸15の他方の部材としてのベース側関節13における支持軸15に設けられる。
    したがって、ロック機構50は、支持機構11において、アーム側関節20とベース側関節13とに亘って設けられる。

    ほぼ直方体形状のストッパブロック51は、トリガ部材70により移動が規制された位置である非作動位置において、回動制限部60と当接することなく収容空間27に収容される。 さらに、ストッパブロック51は、バネ55により付勢されることでトリガ部材70と係合する係合部としての爪52を有する。 ストッパブロック51において自重モーメント方向に突出している爪52がトリガ部材70と係合することで、ストッパブロック51は、確実に、かつ容易に非作動位置に保持される。
    別の例として、爪52が設けられなくてもよく、この場合には、バランス異常状態のときに、爪52がない分、当接部24に対する自重モーメント方向へのトリガ部材70の少ない回動量で、ストッパブロック51の作動を開始させることができて、ロック機構50による回動阻止機能をより早期に発揮させることが可能になる。

    捩りコイルバネから構成されるバネ55は、径方向でストッパブロック51および収容空間27を貫通して当接部24に保持される支持ピン26を囲んで、かつ径方向でストッパブロック51とストッパ支持部23の当接部24との間にストッパブロック51と直列に配置される。 そして、バネ55は、図5において反時計方向にストッパブロック51を付勢するように、一端部でストッパ支持部23に係止され、他端部でストッパブロック51に係止される。

    図5のVI−VI線断面図である図6を併せて参照すると、回動制限部60は、1以上、ここでは複数である所定数としての4つの局所制限部としての凹部61,62,63,64から構成される。 支持軸15の先端部に中心線方向でストッパブロック51と対向可能な位置に設けられる各凹部61〜64は、ストッパ移動方向に移動するストッパブロック51に対応して、中心線方向に開放するように凹んでいる。 そして、非作動位置から作動位置に向かって回動するストッパブロック51が、凹部61〜64内に進入して、自重モーメント方向での各凹部61〜64における当接部位としての側壁66に当接することにより、支持機構11および装置本体2に対する、自重モーメントMwによる第1アーム31、ひいてはハンドピース37を含むアーム機構30の回動が阻止される。

    図4、図6、および、マニピュレータ10のロック機構50によるアーム機構30の回動停止位置を説明する模式図である図7を参照すると、前記所定数としての4つの凹部61〜64は、回動方向に所定の回動角度θ1,θ2,θ3での間隔をおいて設けられる。 この実施形態では、各回動角度θ1〜θ3は等しい角度(例えば、25°)であるが、全てが異なる角度である場合を含めて、2以上の異なる角度であってもよい。

    したがって、アーム機構30の第1アーム31は、支持機構11に対し、最大回動位置Pbに達するまでに、予め設定された許容回動範囲A(例えば、90°)において、凹部61〜64に対応して前記所定数(ここでは、4つ)の回動停止位置P1,P2,P3,P4で回動が阻止される。 なお、最大回動位置Pbは、支持機構11または装置本体2に設けられる位置規制部(例えば、支持機構11の支持軸15の位置規制部15b(図5参照))との当接により規定される。
    そして、収納位置Paに最も近い回動停止位置P1は、収納位置Paから回動角度θ1,θ2,θ3よりも小さい第1設定角度(例えば、7.5°)だけ自重モーメント方向に回動した位置にあり、最大回動位置Pbに最も近い回動停止位置P4は、最大回動位置Pbから回動角度θ1〜θ3よりも小さい第2設定角度(例えば、7.5°)だけ反自重モーメント方向に回動した位置にある。

    このように、許容回動範囲A内で、各凹部61〜64により複数の回動停止位置P1〜P4が設定されることにより、バランス異常状態が発生した後には、最寄りの回動停止位置P1〜P4で回動を阻止することができるので、ストッパブロック51と回動制限部60との当接によりアーム機構30の回動を阻止するロック機構50において、操作性低下の影響を、迅速に回避すること、または最小限化する(すなわち、最小限に近づける)ことが可能になる。

    図3、図4、図6を参照すると、押圧部44と当接部24とを、および、トリガ部材70とストッパブロック51とを、回動方向で互いに離隔させるバネ56は、押圧部44に設けられた孔からなる収容室47内に収容され、押圧部44および当接部24の当接面45,25同士が当接するバランス正常状態のときに、該バネ56の一方の端部が当接面25と当接した状態で、かつ圧縮状態で、収容室47内に収容される。 そして、バネ56は、バランス異常状態のときに、当接面45,25同士の当接、および、トリガ部材70とストッパブロック51および爪52との当接を解除する。

    トリガ部材70は、この実施形態では、可動保持部材42の押圧部44と一体成形された部材、または可動保持部材42が兼ねる部材である。 このため、トリガ部材70とストッパブロック51との当接および非当接を含む動作は、回動方向での可動保持部材42とストッパブロック51との当接および非当接を含む動作と等価である。
    トリガ部材70は、バランス正常状態のときに、ストッパブロック51との当接によりストッパブロック51を非作動位置に保持する一方、バランス異常状態のときに、ストッパブロック51との当接解除によりストッパブロック51に作動位置への移動を開始させる。

    そして、バランス正常状態においては、アーム機構30が操作位置を占めるとき、バランスモーメントMbにより、押圧部44およびトリガ部材70と、当接部24およびストッパブロック51とは、互いに当接状態を維持して、回動中心線L1を中心に一体に回動する。
    一方、バランス異常状態においては、アーム機構30が操作位置を占めるとき、アーム機構30を操作している操作者がアーム機構30を拘束していることに基づいて、押圧部44およびトリガ部材70と当接部24およびストッパブロック51との間には、当接部24に対する自重モーメント方向への可動保持部材42およびトリガ部材70の相対的な移動に基づく離隔が生じ、また、トリガ部材70と当接部24との間で作用するバネ56のバネ力、および、ストッパブロック51を介してトリガ部材70に作用するバネ55のバネ力に基づく離隔が生じる。

    このように、可動保持部材42は、バランス正常状態およびバランス異常状態に対応して、回動方向において当接部24に対して当接および離隔を行うことから、当接部24との当接および離隔に基づいてバランス正常状態およびバランス異常状態を検出するバランス状態検出手段でもある。

    また、ストッパブロック51は、作動位置を占めるときに、各凹部61〜64に中心線方向で当接可能であり、かつ各側壁66と自重モーメント方向で当接可能なストッパ部53と、ストッパブロック51が作動位置を占めている状態で反自重モーメント方向に向かうにつれてストッパ移動方向で回動制限部60から遠ざかる方向に傾斜する傾斜面54とを有する。 該傾斜面54は、ストッパブロック51においてストッパ移動方向で回動制限部60と対向する対向面である。
    この構造により、ロック機構50は、自重モーメント方向へのアーム機構30の回動を規制する一方、ストッパブロック51がストッパ支持部23と共に反自重モーメント方向に回動するときには、該ストッパブロック51は、各凹部61〜64における反自重モーメント側の部位である他方の側壁67との当接によりバネ55のバネ力に抗して非作動位置に向かって回動可能であることから、アーム機構30において、反自重モーメント方向への第1アーム31の回動、つまり収納位置Paへの回動を許容するラチェット機能を有する。 この結果、ロック機構50により自重モーメント方向へのアーム機構30の回動が阻止されるバランス異常状態のときにも、回動が阻止された位置からアーム機構30を反自重モーメント方向に回動させることができる。

    図4,図6を参照して、ロック機構50の動作を中心に説明する。 図4(a),図6(a)に示されるように、マニピュレータ10がバランス正常状態であるとき、可動保持部材42は、バランスモーメントMbの作用により、押圧部44の当接面45においてストッパ支持部23の当接部24の当接面25と当接して、該当接部24を押圧し、アーム側関節20およびアーム機構30にバランスモーメントMbを伝達する。 また、ロック機構50のストッパブロック51は、自重モーメント方向でトリガ部材70と当接し、爪52がストッパ移動方向でトリガ部材70に係合することにより、非作動位置を占める。

    図4(b),図6(b)に示されるように、マニピュレータ10がバランス異常状態である(例えば、バネ41が破断したとき。)とき、バランスモーメントMbが消失するため、可動保持部材42は、バネ55,56のバネ力により、当接部24およびストッパブロック51に対して自重モーメント方向に相対的に回動し、押圧部44と当接部24とが回動方向で離隔する。 そして、トリガ部材70と爪52との係合が解除されてストッパブロック51が作動を開始して、支持ピン26を中心として回動し、回動制限部60において最寄りの凹部61〜64(図4(b),図6(b)では、凹部62)に当接し、側壁66との当接により、アーム機構30の第1アーム31が自重モーメント方向へ回動することが阻止される。
    その後、操作者が収納位置Paに向かう方向への力をアーム機構30に加えることで、ロック機構50のラチェット機能により、アーム機構30が収納位置Paまで戻される。

    次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
    操作者により操作されるハンドピース37を有すると共にアーム側関節20により回動可能に支持機構11に支持されるアーム機構30と、アーム機構30の自重モーメントMwを打ち消すバランスモーメントMbを発生させるバランス部材40とを備え、アーム機構30は、バランスモーメントMbにより、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動が防止されているバランス状態を維持するレーザ装置1のマニピュレータ10は、バランス状態が維持されないバランス異常状態のとき、バランス状態が維持されないことにより発生するアーム機構30の回動を阻止するロック機構50を備える。

    この構造により、バランスモーメントMbによるアーム機構30の自重モーメントMwとのバランス状態が維持されないバランス異常状態のときに、アーム機構30の第1アーム31の回動がロック機構50により阻止されるので、操作者がハンドピース37を操作している際に、アーム機構30が回動することに基づく荷重がハンドピース37に作用することを抑制することができる。 この結果、マニピュレータ10がバランス異常状態のときに、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動に起因するハンドピース37の操作性の低下が抑制され、該操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。 そして、照射対象部位に照射するハンドピース37の操作性の低下による影響を回避または軽減することができるレーザ装置1が得られる。 このため、例えば、バランス異常状態のときのアーム機構30の回動に起因してハンドピース37が暴れることにより、予期しない方向へレーザ光が照射される恐れを回避できる。

    そして、マニピュレータ10のバランス部材40が、バランスモーメントMbを発生させるバネ41と、該バネ41を保持する1対の保持部材42,48とを有することにより、バランスモーメントMbがバネ41のバネ力により生成されるマニピュレータ10において、バネ41または1対の保持部材42,48に異常が発生してバランス異常状態が生じた場合にも、バランス状態が維持されないことに起因するハンドピース37の操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。

    マニピュレータ10は、ストッパ支持部23の当接部24に対する回動方向での当接および離隔に応じてバランス正常状態およびバランス異常状態を検出するバランス状態検出手段を兼ねる可動保持部材42を備え、バランスモーメントMbの減少に起因して可動保持部材42の押圧部44が当接部24から回動方向に相対的に離隔してバランス異常状態が検出されたときに、ロック機構50がアーム機構30の第1アーム31の回動を阻止すべく作動する。
    この構造により、マニピュレータ10がバランス異常状態を検出するバランス状態検出手段を備えるので、バランス異常状態が検出されたときに、自動的に、かつ速やかにロック機構50を作動させて、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動を阻止することが可能になる。 また、ロック機構50の可動保持部材42がバランス状態検出手段を兼ねるので、ロック機構50およびバランス状態検出手段を備えるマニピュレータ10の構造が簡単化される。

    マニピュレータ10は、バランス異常状態のときに、アーム機構30の回動を阻止するための作動をロック機構50に開始させるトリガ部材70を備え、ロック機構50は、非作動位置と作動位置との間で移動可能なストッパブロック51と、作動位置を占めるストッパブロック51と当接可能な回動制限部60とを有することにより、ストッパブロック51と回動制限部60との当接により自重モーメントMwによるアーム機構30の回動を阻止し、トリガ部材70は、バランス異常状態のときに、非作動位置から作動位置へのストッパ部材の移動を開始させる。
    この構造により、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動を阻止するために、非作動位置と、回動制限部60と当接する作動位置との間で移動可能であるストッパブロック51を備えるロック機構50において、トリガ部材70を使用することにより、ストッパブロック51の移動開始時期を、簡単に、かつ確実に制御することができる。

    バランス異常状態は、バランス部材40の破損、各保持部材42,48における破損などによる各保持部材42,48からのバネ41の外れ、経年変化による固定保持部材48の回動を含むバランス部材40の異常に起因するバランスモーメントMbの減少である。
    これにより、バランス部材40に異常が発生して、バランスモーメントMbが減少するときに、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動をロック機構50により阻止することができて、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動に起因するハンドピース37の操作性の低下を抑制できる。

    ロック機構50は、ストッパブロック51を作動位置に向けて付勢するストッパ用バネ55を備えることから、該バネ55の付勢力であるバネ力により、非作動位置から作動位置に向かうストッパブロック51の移動を速めることができるので、ストッパブロック51と回動制限部60との当接時期を早めることができる。 この結果、バランス異常状態の発生時期からアーム機構30の回動阻止までの時間を短縮できて、アーム機構30の回動阻止を迅速化でき、その分、アーム機構30の回動に起因するハンドピース37の操作性の低下による影響を一層軽減できる。

    ストッパブロック51を作動位置に向けるための付勢力をストッパブロック51に作用させる付勢部材がバネ55により構成されるので、簡単な構造により、ストッパブロック51を作動位置に向けて付勢することができる。

    トリガ部材70は、ストッパブロック51との当接によりストッパブロック51を非作動位置に保持し、ストッパブロック51との当接の解除によりストッパブロック51に作動位置への移動を開始させ、ロック機構50は、バランス異常状態のときに、トリガ部材70とストッパブロック51とを互いに離隔させる離隔力をトリガ部材70およびストッパブロック51に作用させる離隔用バネを備える。
    この構造により、バランス異常状態のときには、離隔力発生部材が発生する離隔力により、ストッパブロック51に対するトリガ部材70の離隔を迅速化および確実化できるので、バランス異常状態の発生時に、非作動位置から作動位置へのストッパブロック51の移動開始時期を早めることができる。 この結果、バランス異常状態の発生時期からアーム機構30の回動阻止までの時間を短縮できて、アーム機構30の回動阻止を迅速化できる。

    さらに、トリガ部材70(または押圧部44)とストッパブロック51(または当接部24)との間には、ストッパブロック51を介してトリガ部材70に作用するストッパ用バネ55のバネ力が、トリガ部材70(または押圧部44)とストッパブロック51(または当接部24)と回動方向に離隔させるように作用しているので、バランス異常状態のときに、このバネ55のバネ力により、ストッパブロック51に対するトリガ部材70の離隔を迅速化および確実化することができる。 この結果、バランス異常状態の発生時に、非作動位置から作動位置へのストッパブロック51の移動開始時期を早めることができるので、この点でも、アーム機構30の回動阻止を迅速化できる。

    ロック機構50は、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動を規制する一方、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動方向(すなわち、自重モーメント方向)とは反対方向(すなわち、反自重モーメント方向)へのアーム機構30の回動を許容するラチェット機能を有する。
    この構造により、バランス異常状態において自重モーメントMwによるアーム機構30の回動がロック機構50により阻止されている場合にも、ロック機構50のラチェット機能により、アーム機構30を反自重モーメント方向に回動させることができるので、アーム機構30を、自重モーメントMwによる伸展状態よりもコンパクトな収縮状態まで、例えば収納位置Paまで、回動させることができる。 この結果、バランス異常状態のマニピュレータ10をコンパクトな形態(例えば、収納位置Paを占めるときのアーム機構30の形態)とすることができて、マニピュレータ10またはマニピュレータ10を備えるレーザ装置1の修理などのための搬送や運搬が容易になる。

    バランス部材40は、バランスモーメントMbをアーム機構30に伝達する伝達部材としての可動保持部材42を有し、該可動保持部材42はトリガ部材70を兼ねる。 この構造により、バランス部材40の構成部材である可動保持部材42がトリガ部材70を兼ねるので、バランス部材40およびトリガ部材70を備えるマニピュレータ10の構造を簡単化および小型化することができる。

    次に、図8〜図12を参照して、本発明の第1実施形態の変形例と、本発明の第2実施形態およびその変形例とを説明する。 第2実施形態および各変形例において、第1実施形態と同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。 なお、第1実施形態の部材等と同一の、または該部材等に対応する部材等については、必要に応じて同一の符号が付されている。

    第1実施形態の第1変形例を示す図8を参照すると、ロック機構50は、第1実施形態のロック機構50におけるバネ55の代わりに、付勢部材としての1対の磁石57,58を有する。 各磁石57,58は、この実施形態では、永久磁石により構成されるが、別の例として電磁石から構成されてもよい。
    そして、1対の磁石57,58において、一方の磁石57は、ストッパブロック51に固定されて設けられるストッパ側磁石であり、他方の磁石58はストッパ支持部23に固定されて設けられる固定側磁石である。 両磁石57,58は、中心線方向でストッパ支持部23とストッパブロック51との間において、同じ極同士(例えば、N極同士)が中心線方向またはストッパ移動方向で対向するように配置される。 それゆえ、1対の磁石57,58は、磁気力としての磁気反発力を、ストッパブロック51を非作動位置から作動位置に向けて付勢する付勢力とする。

    そして、図8(a)に示されるように、1対の磁石57,58は、バランス正常状態では、両磁石57,58の磁気反発力によるトリガ部材70と爪52との係合により、ストッパブロック51が非作動位置を占める状態で、中心線方向で最も近接した位置を占め、両磁石57,58の反発力を付勢力として、ストッパブロック51を作動位置に向けて付勢している。
    また、図8(b)に示されるように、バランス異常状態では、可動保持部材42およびトリガ部材70が当接部24およびストッパブロック51に対して自重モーメント方向に相対的に回動することで、トリガ部材70と爪52との係合が解除されて、ストッパブロック51が支持ピン26を中心に回動して、作動位置に向けて移動を開始する。 そして、ストッパブロック51は、自重モーメント方向で最寄りの凹部61〜64(図8(b)では、凹部62)において回動制限部60と当接し、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動を阻止する。

    第1実施形態の第2変形例を示す図9を参照すると、ロック機構50は、第1実施形態の第1変形例と同様に、磁気反発力を付勢力とする1対の磁石57,58と、第1実施形態の支持ピン26の代わりに、ストッパブロック51を、非作動位置と作動位置との間で中心線方向に平行に直線的に移動するように、すなわちストッパ移動方向が回動中心線L1(図2参照)に平行となるように、移動可能に支持する支持部としてのガイド部材である1対のガイドピン28とを有する。
    なお、図9において、ストッパブロック51と後記する1対の磁石57,58は、図5のVI−VI線断面とは異なる断面になっている。

    ストッパブロック51は、作動位置を占めるときに、各凹部61〜64に中心線方向で当接可能であり、かつ各側壁66と自重モーメント方向で当接可能なストッパ部としての爪59を有する。
    ロック機構50は、第1実施形態での離隔用バネ56(図4,図5参照)を有している。 また、ロック機構50がラチェット機能を有するようにするために、図9(c)に二点鎖線で示されるように、爪59が傾斜面59aを有しているか、または、各凹部61〜64の側壁67が傾斜面(図9(a)では、代表して、凹部62の側壁67の傾斜面67aが示されている。)を有していてもよい。 傾斜面59aおよび傾斜面67aは、傾斜面54と同様に、ラチェット機能を実現するための面である。

    そして、図9(a)に示されるように、1対の磁石57,58は、バランス正常状態では、両磁石57,58の磁気反発力によるトリガ部材70と爪52との係合により、ストッパブロック51が非作動位置を占める状態で、中心線方向で最も近接した位置を占め、両磁石57,58の反発力を付勢力として、ストッパブロック51を作動位置に向けて付勢している。
    また、図9(b)に示されるように、バランス異常状態では、当接部24およびストッパブロック51に対して可動保持部材42およびトリガ部材70が自重モーメント方向に相対的に回動することで、トリガ部材70と爪52との係合が解除されて、ストッパブロック51が、1対のガイドピン28に案内されて中心線方向に平行に、作動位置に向けて移動を開始し、自重モーメント方向で最寄りの凹部61〜64((図9(b)では、凹部62)において回動制限部60と当接し、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動を阻止する。

    そして、これら第1,第2変形例によれば、第1実施形態と同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。
    すなわち、ストッパブロック51を非作動位置から回動制限部60と当接する作動位置(または、回動制限部60)に向けて付勢する付勢部材である1対の磁石57,58が、中心線方向でストッパ支持部23とストッパブロック51との間に配置されるので、ロック機構50を径方向で小型化でき、ひいてはロック機構50が設けられる支持機構11を径方向で小型化できる。

    本発明の第2実施形態であるレーザ装置101を全体斜視図である図10、および、レーザ装置101のマニピュレータ110のロック機構50を中心とする要部断面図である図11を参照すると、レーザ装置101は、ハンドピース37を有するマニピュレータ110と、第1実施形態と同様の装置本体2とを備える。 多関節型のマニピュレータ110は、支持機構11とアーム機構30と、第1実施形態のバネ41の代わりに、バランス力発生部材としての錘81を有するバランス部材40と、ロック機構50と、トリガ部材70(図11(a)では二点鎖線で示される。)と、を備える。

    バランス部材40は、バランスモーメントMbを生成するためのバランス力としての重量を発生する錘81のほかに、錘81をストッパ支持部23に回動中心線L1を中心に回動可能に支持するための可動保持部材84を有する。 錘81は、錘本体82と、錘本体82と可動保持部材84とを連結すると共に可動保持部材84に保持される被保持部としての軸状の連結部83とを有する。 なお、連結部83は、カバー16に設けられた回動方向に長いスリット(図示されず)を径方向に貫通して、カバー16に対して回動中心線L1を中心に回動可能になっている。

    可動保持部材84は、ストッパ支持部23に回動可能に支持されると共に連結部83が結合される嵌合部85と、嵌合部85から中心線方向に突出する押圧部86(図11(a)では二点鎖線で示される。)とを有する。 嵌合部85は、ストッパ支持部23に、その外周に摺動可能に嵌合されると共に、中心線方向での移動が規制された状態で支持される。
    そして、可動保持部材84は、バランス正常状態およびバランス異常状態を検出するバランス状態検出手段でもあり、また、バランスモーメントMbをアーム機構30(図10参照)の第1アーム31に伝達する伝達部材でもある。

    このレーザ装置101において、例えば、可動保持部材84における破損、または錘81の連結部83の破断など、バランス部材40に異常が発生した場合には、バランス異常状態となる。
    そして、マニピュレータ110がバランス異常状態にあるときに、自重モーメントMwによるアーム機構30の回動を阻止するためのロック機構50は、ストッパブロック51と、支持軸15の外周部に設けられた回動制限部60と、中心線方向でストッパ支持体23とストッパブロック51との間に配置されたバネ55と、押圧部86に保持されるバネ56とを有する。

    ストッパ支持部23は、可動保持部材84の押圧部86と回動方向で対向および当接する当接部24と、中心線方向に平行に配置される支持ピン26とを有する。 このため、ストッパブロック51は、ストッパ支持部23に対して、回動中心線L1に平行な回動中心線を中心にして回動する。 したがって、非作動位置と作動位置との間でのストッパブロック51の移動方向であるストッパ移動方向の主たる方向は、径方向である。

    当接部24により形成される収容空間27は、自重モーメントMwの方向でトリガ部材70に向かって開放し、径方向で回動制限部60に向かって開放し、さらに中心線方向にも開放する。 回動制限部60は、径方向外方に開放する所定数の凹部61〜64から構成される。
    そして、ストッパブロック51は、作動位置を占めるとき(図11(c)参照)、各凹部61〜64に径方向で当接可能であり、かつ各側壁66と自重モーメント方向で当接可能なストッパ部53と、傾斜面54とを有する。 このため、ロック機構50はラチェット機能を有する。

    図11を参照して、ロック機構50の動作を中心に説明する。 図11(b)に示されるように、マニピュレータ10がバランス正常状態であるとき、可動保持部材84は、バランスモーメントMbの作用により、押圧部86の当接面87においてストッパ支持部23の当接部24の当接面25と当接して、該当接部24を押圧し、アーム側関節20およびアーム機構30の第1アーム31にバランスモーメントMbを伝達する。 また、ロック機構50のストッパブロック51は、自重モーメント方向でトリガ部材70と当接し、爪52がストッパ移動方向で径方向内方に向かってトリガ部材70に係合することにより、非作動位置を占める。

    図11(c)に示されるように、マニピュレータ10がバランス異常状態である(例えば、バネ41が破断したとき。)とき、バランスモーメントMbがほぼ消失するため、可動保持部材84は、バネ56のバネ力により、当接部24およびストッパブロック51に対して自重モーメント方向に相対的に回動し、押圧部86と当接部24とが回動方向で離隔する。 そして、トリガ部材70と爪52との係合が解除されてストッパブロック51が作動を開始して、支持ピン26を中心として回動し、回動制限部60において最寄りの凹部61〜64(図11(c)では、凹部62)に当接し、側壁66との当接により、アーム機構30の第1アーム31が自重モーメント方向へ回動することが阻止される。

    第2実施形態の変形例を示す図12を参照すると、ロック機構50は、第1実施形態のロック機構50と同様である。
    バランス部材40は、錘本体82と、錘本体82と可動保持部材84とを連結する連結部83とを有する錘81と、第1実施形態の可動保持部材42に対応する可動保持部材42aとを有する。 このレーザ装置101において、例えば、可動保持部材42aにおける破損、または錘81の連結部83の破断など、バランス部材40に異常が発生した場合には、バランス異常状態となる。

    可動保持部材42aは、軸部22に回動可能に支持される嵌合部43と、嵌合部43から径方向外方に突出する押圧部44aとを有する。 押圧部44aには、第1実施形態の押圧部44とは異なり係合部46が設けられず、連結部83が結合される。 そして、可動保持部材42aは、バランス正常状態およびバランス異常状態を検出するバランス状態検出手段でもあり、また、バランスモーメントMbをアーム機構30(図1参照)の第1アーム31に伝達する伝達部材でもある。
    る。
    ロック機構50、ストッパ支持部23およびトリガ部材70の各構造は、第1実施形態と同様である。

    そして、第2実施形態およびその変形例によれば、バランス力発生部材として錘81を備えるマニピュレータ110およびレーザ装置101において、第1実施形態と同様の作用および効果が奏される。
    例えば、マニピュレータ110のバランス部材40が、バランスモーメントMbを発生させる錘81と、該錘81を保持する可動保持部材84,42aとを有することにより、バランスモーメントMbが錘81の重量により生成されるマニピュレータ110において、錘81または保持部材42aに異常が発生してバランス異常状態が生じた場合にも、バランス状態が維持されないことに起因するハンドピース37の操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。

    以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
    各実施形態および各変形例において、離隔用バネ56の代わりに、離隔力として磁気反発力を発生する1対の磁石が使用されてもよい。
    第2実施形態およびその変形例において、ストッパ用のバネ55の代わりに磁気力としての磁気反発力を付勢力とする1対の磁石が、ストッパ用付勢部材として使用されてもよい。 これによっても、簡単な構造で、ストッパブロック51を作動位置に向けて付勢することができる。
    また、ストッパ用付勢部材として磁石が使用される場合、磁石の配置に応じて、付勢力として、磁気吸引力が利用されてもよい。

    アーム機構本体30aは、1つまたは3以上のアームを有するものでもよい。
    回動制限部60を構成する1以上の局所制限部は、凸部により構成されてもよい。 また、ストッパブロック51が支持軸15に設けられ、回動制限部60がアーム側関節20に設けられてもよい。

    バランス状態検出手段が、センサ(例えば、ストッパとアーム側部材との接触・非接触を検出する接触スイッチ、アーム側部材に対するストッパの変位を検出する変位センサ、または、押圧部が当接部24を押圧する押圧力を検出する力センサ(例えば圧電素子から構成される。))から構成され、ロック機構は、該センサからの信号に基づいて制御装置5により制御されて作動する電気駆動式または圧力(例えば、空気圧または油圧)駆動式のものでもよい。 これによっても、マニピュレータ10,110がバランス異常状態を検出するバランス状態検出手段を備えるので、バランス異常状態が検出されたときに、自動的に、かつ速やかにロック機構を作動させることが可能になる。

    トリガ部材70は、可動保持部材42,84,42aとは別個の部材により構成されてもよい。
    収容室47は、押圧部44に設けられる代わりに、バネ56が当接部24に収納されるように、当接面25に開口して当接部24に設けられてもよく、また、バネ56が押圧部44および当接部24に跨って収納されるように、押圧部44および当接部24に設けられてもよい。
    バランス力発生部材は、制御装置5により作動が制御される電気駆動式または圧力駆動式のアクチュエータであってもよい。 この場合、該アクチュエータに異常が発生して、バランスモーメントMbが減少または増加することで、バランス状態が維持できないバランス異常状態において、アーム機構30の第1アーム31の回動がロック機構50により阻止されてもよい。
    導光路18は、マニピュレータ10,110に支持される光ファイバにより形成されてもよい。
    マニピュレータ10,110を備えるレーザ装置は、歯科診療以外の医療に使用されるレーザ装置であってもよい。 また、マニピュレータ10,110を備える装置は、歯科診療を含む医療において、レーザ装置以外に、操作対象部としてのライト、ミラー、プローブ、穿孔工具、切削工具または研削工具などを備える装置であってもよく、さらに、医療以外の装置(例えば、操作対象部としての工具を備える工作機械)であってもよい。 例えば、マニピュレータ10,110は、歯科診療に使用される装置において、操作対象部としての無影灯を有するバランスアームであってもよく、また、操作対象部としてのテーブル(例えば、操作パネル、モニタ、歯科用施術器具を保持するホルダ、または、操作スイッチなどが設けられドクターテーブル。)を有するバランスアームであってもよい。

    1,101 レーザ装置10,110 マニピュレータ20 関節30 アーム機構37 ハンドピース(操作対象部)
    38 レーザ照射部40 バランス部材41 バネ42,42a,84 可動保持部材(バランス状態検出手段、伝達部材)
    50 ロック機構51 ストッパブロック(ストッパ部材)
    55 バネ(付勢部材)
    56 バネ(離隔力発生部材)
    57,58 磁石(付勢部材)
    60 回動制限部70 トリガ部材81 錘Mw 自重モーメントMb バランスモーメント

    請求の範囲第1項に記載の発明は、操作者により操作される操作対象部(37)を有すると共に関節(20)により回動可能に支持されるアーム機構(30)と、前記アーム機構(30)の自重により発生する自重モーメント(Mw)を打ち消すバランスモーメント(Mb)を発生させるバランス部材(40)とを備え、前記アーム機構(30)は、前記バランスモーメント(Mb)により、前記自重モーメント(Mw)による前記アーム機構(30)の回動が防止されているバランス状態を維持するマニピュレータ(10,110)において、前記バランス状態が維持されないバランス異常状態のとき、前記バランス状態が維持されないことにより発生する前記アーム機構(30)の回動を阻止するロック機構(50)を備え、前記バラン� ��異常状態のときに、前記アーム機構(30)の回動を阻止するための作動を前記ロック機構(50)に開始させるトリガ部材(70)を備え、前記ロック機構(50)は、非作動位置と作動位置との間で移動可能なストッパ部材(51)と、前記作動位置を占める前記ストッパ部材(51)と当接可能な回動制限部(60)とを有して、前記ストッパ部材(51)と前記回動制限部(60)との当接により前記自重モーメント(Mw)による前記アーム機構(30)の回動を阻止し、前記トリガ部材(70)は、前記バランス異常状態のときに、前記非作動位置から前記作動位置への前記ストッパ部材(51)の移動を開始させ、前記ストッパ部材(51)との当接により前記ストッパ部材(51)を前記非作動位置に保持し、前記ストッ� �部材(51)との当接の解除により前記ストッパ部材(51)に前記作動位置への移動を開始させることを特徴とする。

    これによれば、バランスモーメントによるアーム機構の自重モーメントとのバランス状態が維持されないバランス異常状態のときに、アーム機構の回動がロック機構により阻止されるので、操作者が操作対象部を操作している際に、アーム機構が回動することに基づく荷重が操作対象部に作用することを抑制することができる。 この結果、バランス異常状態のときのアーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下が抑制され、該操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。 このため、例えば、バランス異常状態のときのアーム機構の回動に起因して操作対象部が暴れることにより、予期しない方向へレーザ光が照射される恐れを回避できる。
    また、自重モーメントによるアーム機構の回動を阻止するために、非作動位置と、回動制限部と当接する作動位置との間で移動可能であるストッパ部材を備えるロック機構において、トリガ部材を使用することにより、ストッパ部材の移動開始時期を、簡単に、かつ確実に制御することができる。

    請求の範囲第3項に記載の発明は、請求の範囲第1項または請求の範囲第2項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記バランス異常状態は、前記バランス部材(40)の破損を含む前記バランス部材(40)の異常に起因する前記バランスモーメント(Mb)の減少であるものである。
    これによれば、バランス部材に異常が発生して、バランスモーメントが減少するときに、自重モーメントによるアーム機構の回動をロック機構により阻止することができて、自重モーメントによるアーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下を抑制できる。

    請求の範囲第4項に記載の発明は、請求の範囲第1項から第3項のいずれか1項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記ロック機構(50)は、前記ストッパ部材(51)を作動位置に向けて付勢する付勢部材(55;57,58)を備えるものである。
    これによれば、付勢部材の付勢力により、非作動位置から作動位置に向かうストッパ部材の移動を速めることができるので、ストッパ部材と回動制限部との当接時期を早めることができる。 この結果、バランス異常状態の発生時期からアーム機構の回動阻止までの時間を短縮できて、アーム機構の回動阻止を迅速化でき、その分、アーム機構の回動に起因する操作対象部の操作性の低下による影響を一層軽減できる。

    請求の範囲第5項に記載の発明は、請求の範囲第4項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記付勢部材(55;57,58)はバネ(55)または磁石(57,58)であるものである。
    これによれば、付勢部材がバネまたは磁石により構成されるので、簡単な構造により、ストッパ部材を作動位置に向けて付勢することができる。

    ※旧請求項7の後段 請求の範囲第6項に記載の発明は、請求の範囲第1項から第5項のいずれか1項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記ロック機構(50)は、前記バランス異常状態のときに、前記トリガ部材(70)と前記ストッパ部材(51)とを互いに離隔させる離隔力を発生する離隔力発生部材(56)を備えるものである。
    これによれば、バランス異常状態のときには、離隔力発生部材が発生する離隔力により、ストッパ部材に対するトリガ部材の離隔を迅速化および確実化できるので、バランス異常状態の発生時に、非作動位置から作動位置へのストッパ部材の移動開始時期を早めることができる。 この結果、バランス異常状態の発生時期からアーム機構の回動阻止までの時間を短縮できて、アーム機構の回動阻止を迅速化できる。

    請求の範囲第7項に記載の発明は、請求の範囲第1項から第6項のいずれか1項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記ロック機構(50)は、前記自重モーメント(Mw)による前記アーム機構(30)の回動を規制する一方、前記自重モーメント(Mw)による前記アーム機構(30)の回動方向とは反対方向への前記アーム機構(30)の回動を許容するラチェット機能を有するものである。
    これによれば、バランス異常状態において自重モーメントによるアーム機構の回動がロック機構により阻止されている場合にも、ロック機構のラチェット機能により、アーム機構を自重モーメントの方向とは反対方向に回動させることができるので、アーム機構を、自重モーメントによる伸展状態よりもコンパクトな収縮状態にすることができる。 この結果、バランス異常状態のマニピュレータをコンパクトな形態とすることができて、マニピュレータまたはマニピュレータを備える装置の修理などのための搬送や運搬が容易になる。

    請求の範囲第8項に記載の発明は、請求の範囲第1項から第7項のいずれか1項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記バランス部材(40)は、前記バランスモーメント(Mb)を前記アーム機構(30)に伝達する伝達部材(42,84,42a)を有し、前記伝達部材(42,84,42a)は前記トリガ部材(70)を兼ねるものである。
    これによれば、バランス部材の構成部材である伝達部材がトリガ部材を兼ねるので、バランス部材およびトリガ部材を備えるマニピュレータの構造を簡単化および小型化することができる。

    請求の範囲第9項に記載の発明は、請求の範囲第1項から第8項のいずれか1項に記載のマニピュレータ(10,110)において、前記バランス部材(40)は、前記バランスモーメント(Mb)を発生させるバネ(41)または錘(81)を有するものである。
    これによれば、自重モーメントを打ち消すためのバランスモーメントが、バネのバネ力、または錘の重量により生成されるマニピュレータにおいて、例えばバネまたは錘に異常が発生してバランス異常状態が生じた場合にも、バランス状態が維持されないことに起因する操作対象部の操作性の低下による影響を回避または軽減することができる。

    請求の範囲第10項に記載の発明は、請求の範囲第1項から第9項のいずれか1項に記載のマニピュレータ(10,110)と、レーザ発生器(4)とを備えるレーザ装置(1,101)であって、前記操作対象部(37)は、前記レーザ発生器(4)が発生したレーザ光を照射対象部位に照射するレーザ照射部(38)を有するハンドピース(37)であり、前記マニピュレータ(10,110)は、前記レーザ光を前記ハンドピース(37)まで導くレーザ装置(1,101)である。
    これによれば、マニピュレータにバランス異常状態が発生したときのアーム機構の回動に起因するハンドピースの操作性の低下が抑制され、該レーザ照射部を有するハンドピースの操作性の低下による影響を回避または軽減することができるレーザ装置が得られる。

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