Laser probe

申请号 JP21213496 申请日 1996-07-24 公开(公告)号 JPH1033549A 公开(公告)日 1998-02-10
申请人 Shinji Kokubu; 信司 國分; 发明人 KOKUBU SHINJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To improve durability by reducing damage on the emitting end face of an optical fiber provided for a laser probe when evaporating a scleroid viable tissue. SOLUTION: A laser beam generation source 13 generates a pulse-shaped laser beam having the wavelength from 1.0μm to 5.5μm and emission energy from 1mJ to 2500mJ and this beam is guided through a light guide 14 to a contact type handpiece 15. A user contacts an emitting end face 17 of an optical fiber 9 of a probe 16 freely attachably and detachably fitted to the top end of the handpiece 15 with the surface of table scleroid viable tissue. Concerning the optical fiber 9, an intermediate layer having a refraction factor lower than that of a clad 26 is interposed between a core 25 and the clad and the distribution of refraction factor, in which the refraction factor of the core 25 gets larger from a central axial line toward the surroundings, is shown. The laser beam guided to the handpiece 15 is passed through the optical fiber 9 of such a probe 16 and emitted from the emitting end face 17, the diseased part is irradiated with this beam and the scleroid viable tissue of that part is evaporated.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 レーザ光発生源から発振される波長が1.0μm〜5.5μm、出射エネルギが1mJ〜25
    00mJ、パルス幅が1n秒〜9m秒、およびパルス周期が1pps〜200ppsのパルスレーザ光を、レーザ光導光手段によってハンドピースに導光し、このハンドピースの先端部に着脱自在に設けられ、コアと、このコアの外周面上に形成されるクラッドとを有する光ファイバを備える硬組織用レーザプローブにおいて、 前記光ファイバは、コアの中心部の屈折率がその周囲のコアの屈折率よりも低い屈折率分布を有することを特徴とするレーザプローブ。
  • 【請求項2】 前記光ファイバは、 コアとクラッドとの間にクラッドの屈折率よりも低い屈折率を有する中間層を有し、 クラッドの屈折率がコアの中心部の屈折率よりも低く、 コアと中間層との界面および中間層とクラッドとの界面において、屈折率が急峻に変化する屈折率分布を有することを特徴とする請求項1記載のレーザプローブ。
  • 【請求項3】 前記光ファイバのコアは、コアの中心部の濃度よりも周辺部の濃度が小さい濃度分布でGeO 2
    が添加されたSiO 2から成り、 前記光ファイバの中間層は,フッ素が添加されたSiO
    2から成り、 前記光ファイバのクラッドは、SiO 2単体から成ることを特徴とする請求項2記載のレーザプローブ。
  • 【請求項4】 前記光ファイバのコアの直径は0.2m
    m〜3.0mmであり、 前記レーザ光の波長が2.7μm〜3.2μmであることを特徴とする請求項1記載のレーザプローブ。
  • 【請求項5】 前記光ファイバは、出射端面のコアの中心部に凹部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーザプローブ。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、術者が把持するレーザハンドピースの先端部に装着され、たとえば骨などの硬組織の患部に接触させてレーザ光を照射するために用いられるレーザプローブに関する。

    【0002】

    【従来の技術】レーザ治療では、患部へのレーザ光の照射は、各種の医療分野において上皮、筋、神経などの軟組織の蒸散、切開、凝固止血、ならびに骨、歯牙などの硬組織の蒸散などを目的として用いられている。 軟組織の凝固および止血には、たとえばNd:YAG固体レーザが用いられる。 石英およびサファイアで形成された円錐形のレーザプローブ先端部においてレーザ光を集光させ、該レーザ光を生体軟組織に照射して蒸散、切開、
    凝固、および止血などの治療をしている。

    【0003】一方、硬組織の治療のためのレーザ治療装置として、波長2.94μmのEr:YAG固体レーザを用いるレーザ治療装置であって、光ファイバを備えるレーザプローブをハンドピースの先端部に着脱自在に装着して、ハンドピースに導光されたレーザ光をレーザプローブの光ファイバから出射する装置が知られている。
    この装置では、生体硬組織の患部に該レーザ光を照射して、硬組織を蒸散して治療している。

    【0004】一般に光ファイバは、コアとクラッドとジャケットとの3重構造を有する。 内側の芯に当たるコアの屈折率は、コアを覆うクラッドの屈折率よりも高い。
    これらのコアおよびクラッドをジャケットが覆って保護している。 また光ファイバは、コアの断面半径方向の屈折率分布において、該方向で屈折率が一様なステップ型光ファイバと、該方向でコア中心部からクラッドに近付くにつれて屈折率が除々に減少するグレーテッド型光ファイバとの2種類のファイバに大別することができる。
    ステップ型光ファイバでは、光がコアとクラッドとの境界で全反射してファイバ内を伝搬するのに対し、グレーテッド型光ファイバでは、光がコア内を蛇行しながら伝搬する。 このようなステップ型光ファイバの出射端から出射されるレーザ光の照射面におけるエネルギ密度分布は、光ファイバの中心軸線の延長線付近を中心として、
    ガウス分布となることが多い。 すなわち、光ファイバの中心軸線の延長上近傍のエネルギ密度が大きく、コアとクラッドとの境界の延長上近傍のエネルギ密度が小さくなる。

    【0005】上述した生体硬組織用のレーザ治療装置に用いられる従来技術のレーザプローブには、主にこのようなステップ型光ファイバが使用されている。 このようなステップ型光ファイバを用いたレーザプローブは、5
    分程連続パルスでレーザ光の照射を行うと、その出射端面が損傷剥離して、硬組織の蒸散効率が低下する。 また損傷剥離が生じることによって、プローブの耐久性が極めて低い。 これらのことは以下の理由で生じると考えられる。

    【0006】レーザ治療装置では、レーザ光は、レーザ光発生源からレーザ光導光手段の導光用ファイバを介してハンドピース本体に導光された後、該導光用ファイバと中心光軸線が一致したレーザプローブの光ファイバに入射される。 このとき、導光手段の導光用ファイバ内では、該レーザ光はたとえばその中心軸線近傍ほどエネルギが高くなるように導光されている。 このような導光用ファイバからレーザ光が導かれる従来のレーザプローブの光ファイバには、レーザ光のエネルギ分布を変化させて均一にする機能がない。 したがって、このレーザ光をそのまま前述したレーザプローブの光ファイバに入射すると、光ファイバの出射端面でのレーザ光のエネルギ密度は、コア中心部がコア周辺部よりも大きくなる。 これによって、出射端面のコアの中心部が剥離して損傷が起こり、プローブの耐久性を低下させている。

    【0007】さらに、上述した硬組織用レーザ治療装置では、生体硬組織の蒸散を行うとき、上述したように主にステップ型の従来の光ファイバを用いたレーザプローブをハンドピース本体の先端部に取付け、該レーザプローブを生体硬組織に接触させてレーザ光を照射する。 このとき、蒸散した生体硬組織の成分であるリン、硫黄およびカルシウムなどの有機質成分がレーザプローブの光ファイバの出射端面に付着する。

    【0008】レーザプローブの光ファイバの出射端面に上記有機物成分が付着していると、その付着物にレーザ光が吸収されることによる熱によって、出射端が高温になる。 同時に、該出射端面に有機物成分が付着することによって、コアの主材質である石英ガラス(SiO 2
    の融点が低下する。 これによって、レーザプローブの光ファイバの出射端が石英ガラスの融点以下の温度で溶解し、レーザプローブの出射端面が剥離して損傷する。 この損傷は、特にエネルギ密度が集中するコアの中心軸線近傍で激しく進行する。 そのうえ、上述したように該レーザ治療装置で生体硬組織を治療するとき、患部にはが霧状に供給されることが多い。 このとき、レーザプローブの光ファイバの出射端面で熱応が生じて、さらに出射端面が剥離損傷しやすくなる。

    【0009】図17は、前述した従来技術のレーザプローブの光ファイバ1を示す断面図であって、前述した従来技術のレーザ治療装置に取付けて生体硬組織に対して連続して20〜30秒間パルスでレーザ光を照射して蒸散させた後の光ファイバ1の出射端部の状態を示す断面図である。 なお、便宜上ジャケットは省略する。 光ファイバ1は、コア4とクラッド5とを有し、このような光ファイバ1を有するレーザプローブを備えるレーザ治療装置に取付けて生体硬組織に対して連続パルスでレーザ光を照射して蒸散させると、たとえば図17に示すように、光ファイバ1は20〜30秒間の間で二点鎖線で示す使用前の出射端面6からコア4が削られ、出射端面2
    が後退する。 このようにコア4が削られると、出射端面2の形状が凹状になり平坦でなくなるので、出射端面2
    でレーザ光が散乱され、また患部との間に隙間が生じる。 これによって、生体硬組織の単位時間当たりの蒸散量が大きく低下し、患部を治療することができなくなる。

    【0010】レーザプローブの光ファイバ1は、たとえば20〜30秒間連続パルスで生体硬組織の蒸散を行うと、平均して約3割程蒸散能力が低下するので、均等に蒸散効率を維持しながら蒸散を連続して行うことが困難となる。 該レーザ治療装置において蒸散能力を保つには、光ファイバ1を備えるレーザプローブを頻繁に新しいものと交換する必要がある。

    【0011】特開平2−297986号公開公報には、
    レーザ発生装置から出力されたレーザビーム強度がガウス分布を示すレーザ光を、均一なレーザビーム強度のレーザ光に変換し、伝送して照射する照射装置が開示されている。 この照射装置では、レーザ発生装置とレーザを伝送する導光用ファイバとの間に多面プリズムが介在される。 たとえば縦横方向にそれぞれガウス分布を示すレーザ光は、多面プリズムを通過させることによって、強度分布が均一化される。 上述した照射装置では、レーザ発生装置から出力されたレーザ光の強度を均一化することができるけれども、レーザプローブの光ファイバ出射端において、光ファイバ内の屈折率などに起因するレーザ強度分布の不均一化を回避することが困難である。

    【0012】さらにまた、他の従来技術として、光ファイバを用いたレーザプローブによってレーザ光を患部へ照射する眼科用のレーザ治療装置が知られている。 該レーザ治療装置は、波長0.514μmのパルス状のアルゴンレーザを用い、網膜の眼内光凝固のために用いられる。 該装置でレーザ照射を行って治療すると、レーザプローブの光ファイバの出射端から被照射面へ均一なエネルギ密度でレーザ光を照射できるので、過凝固および未凝固が生じにくい。

    【0013】

    【発明が解決しようとする課題】上述したレーザ治療装置においてレーザ光の照射対象である眼は生体軟組織であるので、眼内光凝固用のレーザ光は、生体硬組織蒸散用のレーザ光と比較して、その照射エネルギレベルを示すパルスの尖頭値(パルス高さ)が約1000分の1程度と低い。 このようなレーザ光を上述した従来技術の光ファイバから成るレーザプローブを介して出射させるとき、該レーザ光のエネルギが低くレーザプローブの光ファイバの出射端面への影響が殆ど無いので、光ファイバの出射端面の損傷は生じない。 一方、前述したように、
    硬組織の蒸散に用いられる高出力レーザを出射するレーザプローブに関しても、光ファイバの出射端面の損傷によって耐久性が低いため、従来から光ファイバの出射端面の損傷をなくして耐久性を向上させることができる硬組織用のレーザプローブが求められている。

    【0014】本発明の目的は、生体硬組織の蒸散において光ファイバの出射端面の損傷を少なくして、耐久性が向上された光ファイバを備える生体硬組織治療用のレーザプローブを提供することである。

    【0015】

    【課題を解決するための手段】本発明は、レーザ光発生源から発振される波長が1.0μm〜5.5μm、出射エネルギが1mJ〜2500mJ、パルス幅が1n秒〜
    9m秒、およびパルス周期が1pps〜200ppsのパルスレーザ光を、レーザ光導光手段によってハンドピースに導光し、このハンドピースの先端部に着脱自在に設けられ、コアと、このコアの外周面上に形成されるクラッドとを有する光ファイバを備える硬組織用レーザプローブにおいて、前記光ファイバは、コアの中心部の屈折率がその周囲のコアの屈折率よりも低い屈折率分布を有することを特徴とするレーザプローブである。

    【0016】本発明のレーザプローブは、たとえば生体硬組織の蒸散を行うレーザ治療装置のハンドピースに取付け使用する。 このレーザ治療装置では、レーザ光発生源で発生させたレーザ光をレーザ光導光手段によってハンドピースに導く。 レーザプローブは光ファイバを備え、このレーザプローブはハンドピースの先端に取付けられる。 ハンドピースに導かれたレーザ光は、レーザプローブの光ファイバに入射され、光ファイバを通過してその出射端から生体硬組織の治療すべき患部に対して照射される。 レーザ光を生体硬組織に対して照射すると、
    生体硬組織に含まれる水分が加熱され急激に蒸発する。
    このとき生体硬組織を構成するリン、カルシウムおよび硫黄などの生体硬組織成分が水とともに蒸散する。

    【0017】このとき蒸散する生体硬組織成分は、レーザ光が出射される光ファイバの出射端面に付着する。 生体硬組織成分が光ファイバの出射端面に付着すると、光ファイバの出射端面が曇りレーザ光の照射を妨げるだけでなく、有機質成分である生体硬組織成分が光ファイバの出射端面に付着すると、光ファイバのコアを形成する石英ガラス(SiO 2 )の融点が低下する。

    【0018】たとえば従来の光ファイバを通過して、その出射端面からレーザ光が出射されるとき、その出力は光ファイバ内の屈折率によって、光ファイバの中心部で高く周辺部で低いガウス分布のエネルギ密度分布を示す。 ゆえに、光ファイバの出射端面において、中心部が周辺部よりもエネルギ密度が大きく発熱しやすい。 したがって、生体硬組織成分が付着した光ファイバの出射端面はその中央部から凹状に損傷し剥離する。 これによって、光ファイバの出射端面が均一な平面ではなくなり、
    光ファイバの出射端面においてレーザ光が散乱されて蒸散能力が低下する。

    【0019】本発明の生体硬組織治療用のレーザプローブが備える光ファイバは、コアの外周部をクラッドで覆う構成を有する。 コアは、中心部の屈折率がその周囲の屈折率よりも低い屈折率分布を有する。 このような光ファイバのコアにレーザ光を入射させたとき、出射されるレーザ光のエネルギ密度分布はコア半径方向で実質上均一になる。 したがって、コア全面に対応する範囲における光ファイバを通過して出射されるレーザ光のエネルギ密度分布を限りなく均一化することができる。 このレーザプローブの光ファイバの出射端面では、従来技術の光ファイバに生じたエネルギの中心軸線近傍への局部集中が生じない。 また、光ファイバの出射端面に生体硬組織成分が付着したときにも光ファイバの出射端面全体が実質上均一に発熱して損耗する。 したがって、このレーザ治療装置で生体硬組織の蒸散を行うとき、レーザプローブの光ファイバの出射端面に生体硬組織成分が付着しても、光ファイバの出射端面の中央部から凹状の剥離損傷が生じることを防止することができる。 また損傷が生じた光ファイバの出射端面においても、光ファイバの出射端面の全面にわたって実質上均一に損傷が生じるので、
    レーザプローブの光ファイバの出射端面の局部的な発熱に起因する蒸散能力の低下を防ぐことができる。

    【0020】従来技術の光ファイバを備えるレーザプローブを取付けたハンドピースを有するレーザ治療装置では、レーザプローブの光ファイバの出射端面の剥離損傷の進行速度が大きいために、レーザプローブの損耗速度が大きい。 このレーザプローブを用いた該レーザ治療装置で予め定める蒸散能力を保つには、レーザプローブを頻繁に新しいものと交換する必要があったが、本発明のレーザプローブを取付けたレーザ治療装置では、レーザプローブの光ファイバの出射端面で凹状損傷が生じにくい。 レーザ光のエネルギの大きさによっては、光ファイバの出射端面の損傷はまったく無い。 これによって、レーザプローブの損耗速度が従来技術の装置と比較して小さくなり、レーザプローブの交換回数を減少させることができる。

    【0021】レーザ光のエネルギレベルを生体硬組織の蒸散を行うことができ、かつレーザプローブの光ファイバの出射端面の過度な発熱を生じさせない程度に選ぶと、光ファイバの出射端面の損傷が殆ど生じないようにすることができる。 このようなレーザ光のエネルギは、
    従来技術にある眼のような生体軟組織の凝固に用いられるレーザ治療装置のレーザ光のエネルギと比較して高い。 本発明のレーザ治療装置のレーザプローブは、この高エネルギのレーザ光の照射に用いても、光ファイバの出射端面の剥離損傷を防止することができる。

    【0022】生体軟組織を治療する従来技術のレーザ治療装置では、レーザプローブの耐久性は考慮されていない。 本発明のレーザプローブは、光ファイバの出射端面の剥離損傷を防止する目的で、該レーザプローブの光ファイバの出射端面におけるエネルギ分布を実質上均一化させている。 また生体軟組織の治療に使用されるアルゴンレーザからのレーザ光は、波長が0.514μmでありエネルギレベルも低いので、このレーザ光を生体硬組織に照射しても生体硬組織を全く蒸散させることができない。 したがって、従来のレーザ治療装置のレーザと本件のレーザとは、出射するレーザ光の種類もレーザの作用、効果も異なる。

    【0023】本発明のレーザプローブが取付けられるハンドピースを有するレーザ治療装置では、照射されるレーザ光は、波長が1.0μm〜5.5μmであり、生体硬組織の蒸散に適している。 出射エネルギは1mJ〜2
    500mJであり、レーザ光のパルス幅が1n(ナノ)
    秒〜9m(ミリ)秒でパルス周期が1pps〜200p
    psであるパルス状にレーザを出力するレーザ発生源からのレーザにおいて、生体硬組織の蒸散を行うことができて、かつ光ファイバの出射端面を剥離損傷しにくいレベルが選ばれる。 このようなエネルギレベルのレーザ光を選ぶことによって、さらにレーザプローブの損耗速度を格段に小さく、または0にすることができる。

    【0024】また本発明の前記光ファイバは、コアとクラッドとの間にクラッドの屈折率よりも低い屈折率を有する中間層を有し、クラッドの屈折率がコアの中心部の屈折率よりも低く、コアと中間層との界面および中間層とクラッドとの界面において、屈折率が急峻に変化する屈折率分布を有することを特徴とする。

    【0025】本発明によれば、前記光ファイバは、コアとクラッドとの間に中間層を有する3層構造を有する。
    クラッドの屈折率はコアの中心部の屈折率よりも低く、
    中間層の屈折率はクラッドの屈折率よりも低い。 光ファイバ全体の屈折率分布は、コアと中間層との境界面および中間層とクラッドとの境界面において、屈折率が急峻に変化する。

    【0026】前述したように、生体硬組織の治療のためのレーザ治療装置に用いられるレーザ光は、レーザプローブの光ファイバの出射端面に至るとき、コアの断面の半径方向のエネルギ密度分布が均一であることが好ましい。 コアとクラッドとの間に中間層を介在させると、中間層との境界部分に対応する位置において、光ファイバのコア通過後のレーザ光のエネルギ密度が急峻に変化する。 ゆえに、中間層およびクラッドに対応する部分にエネルギが漏れることを防止することができる。 したがって、光ファイバの出射端面から出力されるレーザ光のエネルギの損失が少なくなるので、光ファイバのコアに入射するレーザ光のエネルギレベルを、損失がなくなった分だけ小さくすることができる。

    【0027】また本発明の前記光ファイバのコアは、コアの中心部の濃度よりも周辺部の濃度が小さい濃度分布でGeO 2が添加されたSiO 2から成り、前記光ファイバの中間層は,フッ素が添加されたSiO 2から成り、
    前記光ファイバのクラッドは、SiO 2単体から成ることを特徴とする。

    【0028】本発明に従えば、前記レーザプローブは、
    SiO 2 (石英ガラス)から形成される。 SiO 2は、
    添加物を添加することによって、その屈折率を容易に変化させることができる。 コア、中間層、およびクラッドに添加される添加物は、前述した屈折率の大小関係を形成するように選ばれる。

    【0029】たとえばコアには、屈折率を増加させる添加物であるGeO 2が添加される。 中間層には、屈折率を減少させる添加物であるフッ素が添加される。 クラッドは、SiO 2単体のままである。 これによって、屈折率は、コア、クラッド、中間層の順で小さくなる。 またコアは、その内部で添加物の添加濃度分布が、中心部の濃度よりも周辺部の濃度が小さくなるように形成される。 添加物濃度を中心軸からの距離に応じて変化させることによって、コア内部で屈折率を連続して変化させることができる。

    【0030】上述した添加物は、現在一般的に使用される光ファイバにも用いられており、入手が容易である。
    このような材質で実現される光ファイバを備えたレーザプローブをレーザ治療装置のハンドピースに取付けて生体硬組織の蒸散を行うと、光ファイバの出射端面の損傷剥離を低減させることができる。

    【0031】また本発明の前記光ファイバのコアの直径は0.2mm〜3.0mmであり、前記レーザ光の波長が2.7μm〜3.2μmであることを特徴とする。

    【0032】本発明に従えば、上述したレーザ光の波長範囲は、水の光吸収波長域の極大値近傍の範囲に含まれるので、この条件を満たすレーザ光は、生体硬組織の蒸散に特に適している。 これらの波長のレーザ光を使用することによって、蒸散効率を向上させて、生体硬組織を早く蒸散させることができる。 また、該光ファイバのコアの直径が小さいので、細径および狭部の患部に容易にレーザ光を照射させることができる。 したがって、このようなレーザ光を、前記構成の光ファイバのコアに入射するとき、光ファイバの出射端面の剥離損傷の発生を極めて小さくまたは0とすることができる。

    【0033】また本発明の前記光ファイバは、出射端面のコアの中心部に凹部を設けたことを特徴とする。

    【0034】本発明に従えば、上述した光ファイバの出射端面は、コアの中心部が凹状に形成される。 このような形状を有する光ファイバを備えたレーザプローブを上述したレーザ治療装置のハンドピースに取付けて生体硬組織の蒸散を行うと、光ファイバの出射端面でレーザ光が規則的に半径方向外方に分散されて、レーザ光をより広範囲に照射することができて、しかもほぼ均一な深さで生体硬組織の蒸散を行うことができる。

    【0035】

    【発明の実施の形態】図1(1)は、本発明の第1実施形態であるレーザ治療装置11の構成を示すブロック図である。 レーザ治療装置11は、たとえば骨である生体組織の硬組織の蒸散、切開、および止血に用いられる。
    レーザ治療装置11は、レーザ光発生源13、導光路1
    4およびハンドピース15を含んで構成される。

    【0036】レーザ光発生源13で発生されたレーザ光は、導光路14を介してハンドピース15に導かれる。
    ハンドピース15の先端には、レーザプローブ16が着脱自在に取付けられる。 すなわち、ハンドピース15
    は、ハンドピース本体10とレーザプローブ16とから成り、ハンドピース本体10にレーザプローブ16が装着されている。 レーザ治療装置(以下、「治療装置」と略記する場合がある)11の使用者は、ハンドピース1
    5に取付けられるレーザプローブ(以下、「プローブ」
    と略記する場合がある)16の出射端面17をレーザ光を照射すべき患部に接触させる。 ハンドピース15に導かれたレーザ光はプローブ16を通過して出射端面17
    から出射され、患部に照射される。 患部表面には、たとえば水が霧状に供給されて水の薄膜が形成されることが望ましい。

    【0037】図1(2)はプローブ16の光ファイバ9
    の構造を示す部分断面図であって、軸線を含む一仮想平面で部分的に切断した拡大断面図である。 プローブ16
    は光ファイバ9より形成されている。 プローブ16の光ファイバ9は、プローブ16の出射端面となる光ファイバ9の出射端面17と入射端面との断面形状が合同である円柱状の部材である。 光ファイバ9の入射端面19の中心軸線20と出射端面17の中心軸線18とは、同一の直線と一致する。

    【0038】生体硬組織は多くの水を含む。 このような生体硬組織に波長1.0μm〜5.5μmのレーザ光を照射すると、レーザ光が水に瞬間的に吸収される。 吸収された光エネルギは水分子の熱振動となり、水の温度を上昇させて瞬間的に蒸発させる。 これによって、生体硬組織は水を失い、硬組織が分解し、蒸散して、該硬組織に穿孔ができる。 このような過程を経て、その生体硬組織が蒸散される。

    【0039】レーザ光発生源13は、レーザ光を予め定めるパルス幅およびパルス周期でパルス出力する。 該レーザ光の予め定めるパルス幅は、たとえば1n(ナノ)
    秒〜9m(ミリ)秒である。 該レーザ光の予め定めるパルス周期は、たとえば1pps〜200pps(pulse
    per second)である。 該レーザ光発生源13で発生されるレーザ光の許容波長範囲は1.0μm〜5.5μmである。 かつこのレーザ光がプローブ16の出射端面17
    から出力されるときの単一パルス当たりの出射エネルギの許容レベルは1mJ〜2500mJである。

    【0040】なお、パルス幅はノーマルパルスで20〜
    30μ(マイクロ)秒から9m(ミリ)秒の範囲が可能で、AOQスイッチ(Acousto-Optical Q-switch)で変調すると20〜30n(ナノ)秒まで可能であり、またEOQスイッチ(Electro-Optical Q-switch)で変調すると1n(ナノ)秒まで可能である。

    【0041】このように、レーザ治療装置11では、患部に照射されるレーザ光のパルス幅は、1n(ナノ)秒〜9m(ミリ)秒の範囲で選ばれる。 たとえばパルス幅が1n(ナノ)秒未満であるパルス状のレーザ光を患部に照射したとき、1パルスで同じエネルギの光を照射しようとすると、そのパルスの高さ(尖頭値)が大きくなる。 この場合、1パルス当たりの蒸散深さが深くなり、
    患部を所望とする深さ以上に蒸散させてしまうことがある。 さらにまた、尖頭値が大きくなると、光ファイバ9
    の出射端面17での熱衝撃が大きくなり、プローブ16
    の耐久性が低下する可能性がある。

    【0042】これとは逆に、パルス幅が9m(ミリ)秒より大きいパルスでレーザ光を患部に照射したとき、生体軟組織の切開における切開能力、および止血能力などが向上される可能性があるが、生体硬組織の蒸散において蒸散された硬組織の表層に溶解が生じ、治療されている患者が感じる痛みが生じることがある。 また、1パルス分のレーザ光における熱影響が大きくなるので、硬組織表面の熱変性層が大きくなることがあり、患部に対して熱影響が及ぼされることがある。

    【0043】また、照射されるレーザ光のパルス周期は、上述したように1〜200ppsに選ばれる。 パルス周期が1pps未満であるとき、周期が0ppsに極めて近くなるので、レーザ光を照射する意味がなくなる。 また、パルス周期が200ppsよりも大きいとき、生体硬組織に対する蒸散速度が向上するが、レーザ光発生装置が大型化し、装置のコストが増大する。 さらに、生体硬組織の蒸散において、患部への熱影響が生じる事がある。

    【0044】このような事情から、上述したレーザ治療装置11では、パルス幅が1n(ナノ)秒〜9m(ミリ)秒であって、パルス周期が1pps〜200pps
    であるレーザ光を用いることが好ましい。

    【0045】図2は、光の波長と消散長さとの関係を示すグラフである。 消散長さは、水表面からレーザ光を入射させたとき、水表面からレーザ光のエネルギが1/1
    0に低下する位置までの長さである。 すなわち波長が1.0μm〜5.5μmの許容波長範囲内であるレーザ光は、その他の波長のレーザ光と比較して、水を含む生体硬組織の表面から硬組織内部方向に対してレーザ光の影響が浸透する深さが浅い。 したがって、生体硬組織においてレーザ光を照射した部分の表面だけが、レーザ光のエネルギが与えられて蒸散される。 波長5.5μmを越えるレーザ光は、生体硬組織を形成する炭酸カルシウムおよびリンに対する吸収効率が高く、硬組織が炭化するので、生体硬組織の治療に使用することは実質的に困難である。

    【0046】前述した1.0μm〜5.5μmの許容波長範囲の波長を出力するレーザ光発生源13として、たとえばEr:YAG(エルビウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)固体レーザが挙げられる。 E
    r:YAG固体レーザから出力されるレーザ光の波長は、2.94μmである。 また、波長2.79μmのレーザ光を出力するEr:YSGG(エルビウム:イットリウム・スカンジウム・ガリウム・ガーネット)固体レーザが用いられてもよい。

    【0047】これらのレーザ光発生源からのレーザ光の波長は、許容波長範囲のうちで水の光吸収波長域の極大値を含む範囲(図2の範囲W1)である2.7μm〜
    3.2μmの波長範囲に含まれる。 本発明のレーザ治療装置で生体硬組織の蒸散を行うとき、図2の範囲W1に示す特に波長が2.7μm〜3.2μmのこのようなレーザ光発生源を用いることによって、水分に対する吸収特性の最も高い範囲を利用して、効率的な治療を行うことができる。

    【0048】また、前記許容波長範囲の波長を出力するレーザ光発生源13として、他にたとえばHo:YAG
    (ホロミウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)固体レーザが挙げられる。 Ho:YAG固体レーザから出力されるレーザ光の波長は、2.09μmである。 また、波長2.08μmのレーザ光を出力するH
    o:YSGG(ホロミウム:イットリウム・スカンジウム・ガリウム・ガーネット)固体レーザが用いられてもよい。 さらにまた、波長2.01μmのレーザ光を出力するTh:YAG(ソリウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)固体レーザが用いられてもよい。 また、波長1.75μm〜2.5μmのレーザ光を出力するコバルトバナジウムフルオライド固体レーザが用いられてもよい。 さらにまた、波長1.54μmのレーザ光を出力するEr:GLASS(エルビウム:ガラス)固体レーザが用いられてもよい。 また、波長1.060μ
    mのレーザ光を出力するNd:GLASS(ネオジウム:ガラス)固体レーザが用いられてもよい。 さらにまた、波長1.064μmのレーザ光を出力するNd:Y
    AG(ネオジウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)固体レーザが用いられてもよい。

    【0049】また、1.0μm〜5.5μmであり許容波長範囲の波長を出力することができるレーザ光発生源であれば、上述した固体レーザ以外のその他の構成を有するレーザ発生源を用いてもよい。 たとえば、波長5.
    3μmのCOレーザであるような気体レーザ発生源を用いてもよい。 上述した図2のグラフにおいて、実線19
    上の白丸p1〜p9は、ルビーレーザ、Nd:YAG固体レーザ、Er:GLASS固体レーザ、Ho:YSG
    G固体レーザ、Ho:YAG固体レーザ、Er:YSG
    G固体レーザ、Er:YAG固体レーザ、COレーザ、
    およびCO 2レーザである各レーザ光発生源から出力されるレーザ光の波長をそれぞれ示す。

    【0050】上述した許容波長範囲のレーザ光は、生体硬組織の蒸散、切開、および止血などの治療行為に適している。 たとえば上述した許容波長範囲のうち、特に2.7μm〜3.2μm(図2のW1参照)である波長範囲に含まれる波長のレーザ光は、水の光吸収波長域の極大値を含む範囲と一致する。 このようなレーザ光は水を含んだ生体硬組織に対する蒸散効率が高く、特に骨などの硬組織を早く蒸散させるのに適している。

    【0051】導光路14は、たとえば前述した許容波長範囲のレーザ光を可及的に少なくして導光することができる光ファイバで実現される。 また、中空状の部材および反射鏡から成り、反射鏡によってレーザ光の光路を屈曲させつつ部材内の中空部分を通過させる多関節マニピュレータが用いられてもよい。

    【0052】図3は、プローブ16を形成する光ファイバ9とレーザ光の照射対象である生体硬組織21との接触状態を示す拡大図である。 レーザ治療装置11を用いて生体硬組織の蒸散を行うとき、使用者は、ハンドピース15を保持して、プローブ16を形成する光ファイバ9の出射端面17を生体硬組織21の表面に接触させる。 このとき、光ファイバ9を生体硬組織21表面に対してほぼ垂直となるように接触させる。 これによって、
    レーザ発生源13で発生され、導光路14を介してハンドピース15に導かれたレーザ光は、光ファイバ9のコア25を通過し、生体硬組織21の表面に照射され、二点鎖線22で示すように生体硬組織21表面からその内部に浸透する。

    【0053】プローブ16は、レーザ光の出射端部17
    から出射後のエネルギ密度がコアに対応する範囲で実質上均一となる光ファイバ9より形成されている。 たとえばプローブ16の光ファイバ9は、図3に示すように、
    コア25、中間層26およびクラッド27を含んで構成される。

    【0054】該光ファイバ9は、円筒状のコア25の外周側に、中間層26が形成され、さらにその外周側にクラッド27が形成される。 コア25、中間層26およびクラッド27は、コア25の中心軸線29に直交する仮想平面から見て同心円状に形成される。 コア25の材質の屈折率n1は、コア25内部で中心軸線29から遠ざかるほど大きくなる。 クラッドの材質の屈折率n2は、
    コア25の中心軸線29近傍の材質の屈折率n1cよりも小さい。 また、中間層26の材質の屈折率n3は、クラッドの材質の屈折率n2よりも小さい。

    【0055】コア25、中間層26およびクラッド27
    は、それぞれ添加物質が添加された石英ガラス(SiO
    2 )によって形成される。 添加物質は、SiO 2の屈折率を増加または減少させて制御するためのものである。 屈折率を増加させることができる添加物質は、たとえばG
    eO 2 、TiO 2 、P 25 、Al 23である。 屈折率を減少させることができる添加物質は、たとえばフッ素(F)、B 23である。 これら添加物質のSiO 2に対する添加濃度を増加させるほど、SiO 2単体の屈折率と比較して、屈折率を増加または減少させることができる。

    【0056】図4(1)は、本発明の図3のプローブ1
    6を形成する光ファイバ9の中心軸線29に垂直な半径方向での屈折率分布を示すグラフである。 該グラフは、
    プローブ16の中心軸線29からの距離を横軸とし、各位置での材質の屈折率を縦軸とする。 この屈折率分布は、断面方向で中心軸線29を中心として線対称となり、該グラフ上では左右に対称な変化を示す。 中心軸線29を中心として半径r1の円内の範囲にあるコア25
    の屈折率n1は、中心軸線29上での屈折率n1cを基準として、中心軸線29から離れるほど大きくなり、コア25と中間層26との境界面で急激に低下する。

    【0057】中心軸線29を中心とした半径r3の円よりも外側で半径r2の円より内側である範囲にあるクラッド27の屈折率n2は、コア25の中心軸線29上の屈折率n1cよりも小さい。 中心軸線29を中心とした半径r1の円より外側で半径r3の円より内側である範囲にある中間層26の屈折率n3は、クラッド27の屈折率n2よりも小さい。 中間層26の屈折率n3とクラッド27の屈折率n2との差は、コア25の中心軸線2
    9上での屈折率n1cとクラッド27の屈折率n2との差よりも小さい。

    【0058】図4(2)は、本発明の図4(1)に示す屈折率分布を示す光ファイバ9に入射されて通過したレーザ光の出射後のエネルギ密度分布を示すグラフである。 出射後のレーザ光のエネルギ密度は、コア25の中心軸線29の位置を中心として分布し、コア25に対応する距離(−r1)以上(+r1)未満の範囲ではエネルギ密度レベルがほぼ均一であり最大値Emaxとなる。 また、上述したコア25に対応する範囲外では、エネルギ密度レベルは最小値Eminなる。 コア25と中間層26との界面部分に対応する部分において、エネルギ密度レベルは急激に低下するので、エネルギの漏れが少ない。

    【0059】図3に示すプローブ16を形成する光ファイバ9のコア25の材質としては、GeO 2が添加されたSiO 2が選ばれる。 中間層26の材質としては、フッ素が添加されたSiO 2が選ばれる。 さらにクラッド27の材質としては、単体のSiO 2が選ばれる。 コア25、中間層26およびクラッド27の材質は、前述した屈折率の大小関係を満たすならば、他の材料が選ばれてもよい。 たとえば、コア25の材質として、B 23が添加されたSiO 2を用いてもよい。

    【0060】このような光ファイバ9は、図4(1)と同じ屈折率分布を示すファイバ母材から形成される。 たとえば、最初に中心のコア25の母材を形成する。 コア25の母材は、まずVAD(Vapour phase Axial Deposi
    tion;気相軸付け法)を用いて図5(1)に示す屈曲率分布を示す透明母材を生成し、この母材の外周部をプラズマ炎によってエッチングする。 これによって、図5
    (2)に示す屈曲率分布を示すコア25の母材が生成される。 コア25の母材の材質は、たとえばGeO が添加されたSiO 2である。 コア25の母材の屈曲率分布は、母材内部において屈折率がほぼ均一であり、母材と外部物質との境界面において屈折率が急峻に変化する。

    【0061】このようにして得られたコア25の母材の外側周囲に、たとえば外付けCVD(Chamical Vapor D
    eposition;化学的気相堆積)法を用いて、中間層26
    の原料を積層し堆積させて、中間層26の母材を形成する。 この中間層26の母材の材質は、たとえばフッ素が添加されたSiO 2である。 さらに中間層26の母材の外側周囲に、クラッド27の母材が、中間層26の母材と同様の手法によって生成され、ファイバ母材となる。

    【0062】レーザ発生源13をEr:YAG固体レーザとした図1のレーザ治療装置11のハンドピース15
    に図3で示す構造の光ファイバ9を備えた本発明のプローブ16を取付け、生体硬組織にレーザ光を照射させて、プローブ16の耐久性を確認した。 以下にその手順および結果を詳細に説明する。

    【0063】この確認動作においてプローブ16に備えられた光ファイバ9のコア25は、GeO 2が添加されたSiO 2で実現される。 さらにこの光ファイバ9には、クラッド27の外周面にジャケットを構成する第1
    および第2皮膜が形成される。 第1皮膜の材料はシリコン材である。 第2皮膜の材質はナイロン系の高分子またはテフロン(ポリテトロフルオロエチレン)系の高分子である。 このような第1および第2皮膜から成るジャケットによって、コア25、中間層26およびクラッド2
    7が保護されている。

    【0064】この確認動作では、このような光ファイバ9よりなるプローブ16を、ハンドピース15の先端に取付け、その出射端面17を生体硬組織の表面に垂直に接触させる。 この状態において、1パルス当たり予め定めるエネルギのレーザ光を連続して照射する。 蒸散対象となる生体硬組織21は、骨である。 レーザ光の連続照射時間は、照射開始から生体硬組織21に照射されたレーザ光のパルス数から換算される。 たとえば繰り返し周波数を10pps(pulse per second)とするとき、
    予め定めるパルス幅のパルスのレーザ光が1秒間に10
    回照射されることになる。

    【0065】確認動作として、まず前述した本発明のレーザプローブ16を備えたレーザ治療装置11を用い、
    Er:YAG固体レーザを用いて、1パルス当たりのレーザ光のエネルギが100mJであり繰り返し周波数が10ppsであるレーザ光(以後、「100mJ×10
    ppsのレーザ光」と略称する)を、予め定める方向に予め定める速度で移動される生体硬組織21に連続照射する。 これによって生体硬組織21のレーザ光の照射位置は、たとえば1パルス分のレーザ光が照射されるたびに変更され、1パルス分のレーザ光の照射のたびに生体硬組織21の新たな部分が蒸散されて欠損し、蒸散部分が形成される。 上述したように生体硬組織21に該レーザ光を連続照射すると、照射位置の経時移動に応じて、
    生体硬組織21上に複数の蒸散部分が形成されることになる。

    【0066】図6は、本発明の図3のプローブ16を取付けた図1のレーザ治療装置11を用いて生体硬組織2
    1に対してレーザ光の連続照射を開始する前に、このエネルギにおける初期の蒸散状態を確認するために、生体硬組織21aに1パルス分のレーザ光を照射することによって形成された生体硬組織21aの蒸散部分31aの拡大部分断面図である。 図7は、該治療装置11を用いてレーザ光の連続照射を行ったとき、照射開始から30
    分経過後において1パルス分のレーザ光を照射したことによって形成された生体硬組織21bの蒸散部分31b
    の拡大部分断面図である。

    【0067】図6および図7に示される生体硬組織21
    a,21bを比較する。 生体硬組織21aには、レーザ光の連続照射する前のプローブ16を用いて1パルス分のレーザ光が照射され、該レーザ光が照射された範囲が欠球状に蒸散されて、欠球状の蒸散部分31aが形成される。 生体硬組織21bには、レーザ光を30分間連続照射した後のプローブ16を用いて1パルス分のレーザ光が照射され、該レーザ光が照射された範囲が欠球状に蒸散されて、欠球状の蒸散部分31bが形成される。 これら2つの蒸散部分31a,31bを比較すると、その形状、面積および深さがほとんど変化していないことがわかる。 また、各蒸散部分31a,31bの表面の粗さもほとんど変化していないことが分かる。 したがって、
    30分間の連続照射において、治療装置11の蒸散能力に変化がない。

    【0068】治療装置11の蒸散能力は、プローブ16
    を形成する光ファイバ9の出射端面17に凹状の剥離損傷が生じると低下するので、上述した条件のレーザ光を30分間連続照射した後でも蒸散能力が変化しないことから、該条件のレーザ光を照射するときには出射端面1
    7に損傷がないと考えられる。 前述の条件でレーザ光を30分間生体硬組織21に照射したプローブ16を形成する光ファイバ9の出射端面17を確認すると、くもり状の汚れの付着が見られる以外は使用前の出射端面17
    の状態とほぼ等しく、出射端面の剥離損傷は見られない。

    【0069】図17に示す従来技術の光ファイバ1よりなるプローブから、蒸散対象である生体硬組織に対し1
    00mJ×10ppsのパルス状のレーザ光を、生体硬組織に対して該硬組織を予め定める方向に予め定める速度で移動させながら5分間連続照射する。 このような条件でレーザ光を5分間連続照射させた後の光ファイバ1
    の出射端面2は、図8に示すように凹状に損傷した。 この損傷は、光ファイバ1のコア4の中心に近づくほど深くなる。 このとき、出射端面2は石英ガラス(Si
    2 )が完全に溶解状になっていた。

    【0070】上述の結果から、従来技術の光ファイバ1
    よりなるプローブを光ファイバ9よりなるプローブ16
    に代えた治療装置11に取付け100mJ×10pps
    のレーザ光を照射させたとき、5分間の連続照射で蒸散能力が半分以下となるので、実際の生体硬組織の治療に用いることができなくなることがわかる。 したがって、
    本発明のプローブ16をレーザ治療装置11のプローブとして使用するとき、該プローブ16の代わりに従来技術のプローブを用いたときと比較して、蒸散能力の低下を押えてプローブの交換頻度を低減させることができる。

    【0071】本実施形態のプローブ16の他の例として、図9に示すように、予めコア25の中央部が凹状に抉られた形状の出射端面33を有する光ファイバ34よりなるプローブが考えられる。 該光ファイバ34よりなるプローブを光ファイバ9よりなるプローブ16の代わりに治療装置11に取付けて生体硬組織の蒸散を行わせるとき、レーザ照射光が出射端から分散して生体硬組織21の蒸散部分の底面を、実線35に示すような広範囲な平坦な形状とすることができる。 この光ファイバ34
    よりなるプローブの出射端面33は、実線で示すように円錐状に抉られた形状となっていても良いし、2点鎖線33aで示すように椀状に抉られた形状となっていても良い。

    【0072】図10は、レーザ治療装置11のハンドピース15に取付けられる本発明の第2実施形態であるプローブが備える光ファイバ81を示し、軸線を含む一仮想平面で部分的に切断した拡大部分断面図である。 本実施形態の光ファイバ81を備えるプローブを除くレーザ治療装置11の構成は、図1のレーザ治療装置11と同様の構成を有する。 本実施形態のプローブを形成する光ファイバ81は第1実施形態のプローブ16を形成する光ファイバ9と類似の構成を有し、対応する部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。

    【0073】本実施形態のプローブを形成する光ファイバ81は第1実施形態のプローブ16を形成する光ファイバ9と同じ断面構造であり、コア25、中間層26、
    クラッド27がこの順で中心軸線側から同心円状に配置される。 光ファイバ81は、入射端面83から出射端面85までの断面形状および大きさが等しい円柱状の部材である。 また、光ファイバ81は該光ファイバ81の長手方向に、その軸線を含む一仮想平面上で湾曲している。 したがって、一直線状の入射端面の中心軸線84と出射端面85の中心軸線86は曲部Rで湾曲して接続されて、一本の曲線となっている。 レーザ光は、該曲線に沿って中心軸線84の延長線上から湾曲して出射端に導かれ、一直線状の中心軸線86にほぼ沿う方向に出射される。 照射されるレーザ光のエネルギ分布は、出射端面85におけるコア25の面積に対応する範囲内で実質上均一になる。

    【0074】レーザ光を照射すべき患部には、レーザ光をその表面に直交する法線方向から照射することが望ましい。 第1実施形態のプローブ16を取付けたハンドピース15は、レーザ光を照射する方向とハンドピース1
    5の中心軸線とが同一方向を向いている。 したがって、
    たとえば患部がハンドピース15を自在に動かしにくい狭い場所にあるとき、レーザ光の照射方向を患部表面の法線方向とすることが困難となることがある。 このとき、本実施形態の光ファイバ81を備えるプローブを取付けたハンドピース15を用いると、レーザ光の照射方向86aが、ハンドピース15の中心軸線と一致する入射端面83の中心軸線84から度θだけ方向変換されるので、レーザ光を患部表面の法線方向から照射することが容易となる。 このような光ファイバ81よりなるプローブを取付けたハンドピース15は、たとえば見にくい所および体腔内の狭い場所の患部に対してレーザ光を照射するときに好適に用いられる。

    【0075】図11は、レーザ治療装置11のハンドピース15に取付けられる本発明の第3実施形態であるプローブが備える光ファイバ91を示し、軸線を含む一仮想平面で部分的に切断した拡大部分断面図である。 本実施形態の光ファイバ91よりなるプローブを除くレーザ治療装置11の構成は、図1のレーザ治療装置11と同様の構成を有する。 本実施形態の光ファイバ91よりなるプローブは第1実施形態のプローブ16と類似の構成を有し、対応する部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。

    【0076】本実施形態のプローブが備える光ファイバ91は第1実施形態のプローブ16よりなる光ファイバ9と同じ断面構造であり、コア25、中間層26、クラッド27がこの順で中心軸線側から同心円状に配置される。 光ファイバ91は、入射端面93から長手方向中央部までが、その断面形状および大きさが等しい円柱状の部材で実現され、中央部から出射端面95までが、断面形状が相似しその大きさが出射端面95に近づくほど小さくなる略円錐状の部材で実現される。 入射端面93の中心軸線94と出射端面95の中心軸線96とは同一の仮想直線と一致する。 このように光ファイバ91は、その長手方向中央部から出射端に至るまでに光ファイバ9
    1の直径が小さくなる。 この光ファイバ91は、たとえば長手方向中央部から出射端までの部分において、その界面97の法線と中心軸線94との成す角度θ1がこの光ファイバ91の臨界角以上となり、入射光が界面97
    での全反射しながら出射端まで伝搬するように形成される。 これによって、レーザ光の減衰量は小さくなる。

    【0077】このような光ファイバ91の入射端面93
    からコア25に入射したレーザ光は、出射端面95から出射されるときには絞られて光の密度が増大する。 出射されるレーザ光のエネルギ分布は、出射端面におけるコア25の面積に対応する範囲内で均一とされる。 これによって、出射後のレーザ光のエネルギ密度が中心軸線の延長線付近において該対応する範囲でさらに均一に高くなり、蒸散効率が増加する。 また、照射面積が第1実施形態のプローブ16よりも小さくなり、細かい作業がしやすくなる。

    【0078】図12は、レーザ治療装置11のハンドピース15に取付けられる本発明の第4実施形態であるプローブの光ファイバ101を示し、軸線を含む一仮想平面で部分的に切断した拡大部分断面図である。 本実施形態の光ファイバ101よりなるプローブを除くレーザ治療装置11の構成は、図1のレーザ治療装置11と同様の構成を有する。 本実施形態のプローブを形成する光ファイバ101は第1および第3実施形態のプローブ16
    をそれぞれ形成する光ファイバ9,91と類似の構成を有し、対応する部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。

    【0079】本実施形態のプローブを形成する光ファイバ101は第1実施形態のプローブ16を形成する光ファイバ9と同じ断面構造であり、コア25、中間層2
    6、クラッド27がこの順で中心軸線側から同心円状に配置される。 光ファイバ101は、入射端面103から出射端面105までが、断面形状が相似しその大きさが出射端面105に近づくほど小さくなる略円錐状の部材で実現される。 入射端面103の中心軸線104と出射端面105の中心軸線106とは同一の仮想直線と一致する。 このように光ファイバ101は、その入射端面1
    03から出射端面105に至るまでに光ファイバ101
    の直径が小さくなる。 このような光ファイバ101を備えたハンドピース15では、出射端面105から出射されるレーザ光の密度が該面のコアの面積に対応する範囲で均一に増大し、蒸散効率が増加する。 また照射面積が第1実施形態のプローブ16よりも小さいので、細かい作業がしやすい。

    【0080】この光ファイバ101は、たとえばその界面107の法線と中心軸線104との成す角度θ2が、
    この光ファイバ101の臨界角以上となり、入射光が界面107で全反射しながら出射端まで伝搬するように形成される。 また、光ファイバ101の入射端面103から出射端面105までの長さが第3実施形態のプローブの光ファイバ91の長さと等しく、入射端面93,10
    3および出射端面95,105がそれぞれ合同であるとき、光ファイバ101の界面107の法線と中心軸線1
    04との角度θ2はプローブ91の界面97の法線と中心軸線91の角度θ1よりも小さい。 これによって、第3実施形態のプローブ91を用いたときと比較してレーザ光の減衰量がさらに小さくなる。

    【0081】図13は、レーザ治療装置11のハンドピース15に取付けられる本発明の第5実施形態であるプローブを形成する光ファイバ111を示し、軸線を含む一仮想平面で部分的に切断した拡大部分断面図である。
    本実施形態の光ファイバ111bよりなるプローブを除くレーザ治療装置11の構成は、図1のレーザ治療装置11と同様の構成を有する。 本実施形態のプローブを形成する光ファイバ111は第1〜第3実施形態のプローブ16をそれぞれ形成する光ファイバ9,81,91と類似の構成を有し、対応する部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。

    【0082】本実施形態のプローブの光ファイバ111
    は第1実施形態のプローブ16の光ファイバ9と同じ断面構造および材質であり、コア25、中間層26、クラッド27がこの順で中心軸線側から同心円状に配置される。 光ファイバ111は、入射端面113から長手方向中央部までが円柱状の部材であり、長手方向中央部から出射端面115までが略円錐状の部材で実現される。 この光ファイバ111は、その軸線を含む一仮想平面上で長手方向に湾曲しており、その入射端面113の中心軸線114と出射端面115の中心軸線116とが、該仮想平面上で交差する。 このように光ファイバ111が湾曲しているので、レーザ光はハンドピース15の中心軸線114の延長線から湾曲して出射端に導かれ、中心軸線116の延長線に沿った方向に照射される。 これによって、たとえばハンドピース15を自在に動かしにくい狭い所にある患部に容易にレーザ光を照射することができるとともに、照射するレーザ光を出射端面115のコアの面積に対応する範囲で実質上均一に絞り蒸散効率を高めることができる。

    【0083】図14(1)は、レーザ治療装置11のハンドピース15に取付けられる本発明の第6実施形態であるプローブを形成する光ファイバ121を示し、軸線を含む一仮想平面で部分的に切断した拡大部分断面図である。 図14(2)は、光ファイバ121の出射端面1
    25の拡大正面図である。 本実施形態の光ファイバ12
    1を備えるプローブを除くレーザ治療装置11の構成は、図1のレーザ治療装置11と同様の構成を有する。
    本実施形態のプローブの光ファイバ121は第1実施形態のプローブ16の光ファイバ9と類似の構成を有し、
    対応する部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。

    【0084】本実施形態の光ファイバ121は第1実施形態のプローブ16の光ファイバ9と同じ断面構造で同じ材質であり、コア25、中間層26、クラッド27がこの順で中心軸線側から同心円状に配置される。 光ファイバ121は、入射端面123から長手方向中央部付近までが円柱状の部材であり、該中央部よりも出射端面1
    25近傍に至るほど断面形状が順次的に円形から楕円形状に変化する部材で実現される。 入射端面123の中心軸線124と出射端面125の中心軸線126とは同一の仮想直線と一致する。 このように光ファイバ121
    は、その入射端面123と出射端面125との形状が異なる。 照射されるレーザ光のエネルギ分布は、出射端面125のコアの面積に対応する範囲で実質上均一となる。 このような光ファイバ121よりなるプローブを備えるハンドピース15では、楕円形状の照射端面の楕円の短軸方向にプローブを移動することによって、1回の走査でのレーザ光の照射範囲が第1実施形態のプローブ16を備えるハンドピース15の照射範囲よりも大きくなるので、少ない操作回数でより広い面積の患部を効率的に蒸散することができる。

    【0085】図15(1)は、レーザ治療装置11のハンドピース15に取付けられる本発明の第7実施形態であるプローブを形成する光ファイバ131を示し、軸線を含む一仮想平面で部分的に切断した拡大部分断面図である。 図15(2)は、光ファイバ131の出射端面1
    35をA−A方向から見た拡大正面図である。 本実施形態の光ファイバ131よりなるプローブ以外のレーザ治療装置11の構成は、図1のレーザ治療装置11と同様の構成を有する。 本実施形態のプローブの光ファイバ1
    31は第1および第2実施形態のプローブ16の光ファイバ9,81と類似の構成を有し、対応する部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。 この光ファイバ131は図10の湾曲した光ファイバ81と同様に湾曲しており、出射端が幅広の縦長の楕円形に形成されている。

    【0086】本実施形態のプローブの光ファイバ131
    は第1実施形態のプローブ16の光ファイバと同じ断面構造および材質であり、コア25、中間層26、クラッド27がこの順で中心軸線側から略同心円状に配置される。 光ファイバ131は、入射端面133から長手方向中央部までが円柱状の部材であり、長手方向中央部から出射端面135までが断面形状が円状から楕円形状に順次的に変化する部材で実現される。 この光ファイバ13
    1は、その軸線を含む一仮想平面上で長手方向に湾曲しており、該仮想平面上でその入射端面133の中心軸線134と出射端面135の中心軸線136とが交差する。 図15(2)に示すように、この光ファイバ131
    の出射端は、出射端面135の形状が該仮想平面に平行な長軸線137を有する偏平な楕円形であるように形成される。 図15(1)における一仮想平面は図15を記す紙面と同一であり、図15(2)では、該仮想平面に平行な方向を矢符138で示す。

    【0087】このように光ファイバ131が鍬状に湾曲しているので、レーザ光はハンドピース15の一直線状の中心軸線134の延長線から湾曲して出射端へ導かれ、中心軸線136に沿う方向に向かって、出射端面1
    35のコアの面積と対応した範囲内で均一に照射される。 これによって、たとえば歯周ポケットであるような、ハンドピースを自在に動かしにくい狭い場所において、プローブの照射端面の短軸方向に走査させることによって比較的広い面積を有する患部を効率良く蒸散することができる。

    【0088】図16(1)は、レーザ治療装置11のハンドピース15に取付けられる本発明の第8実施形態であるプローブを形成する光ファイバ141を示し、軸線を含む一仮想平面で部分的に切断した拡大部分断面図である。 図16(2)は、光ファイバ141の出射端面1
    45をB−B方向から見た正面図である。 本実施形態の光ファイバ141を備えるプローブ以外のレーザ治療装置11の構成は、図1のレーザ治療装置11と同様の構成を有する。 本実施形態のプローブの光ファイバ141
    は第1および第8実施形態のプローブ16の光ファイバ9,131と類似の構成を有し、対応する部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。 この光ファイバ141は図15の湾曲した光ファイバ131と同様に湾曲し、出射端が幅広の横長の楕円形に形成されている。

    【0089】本実施形態のプローブの光ファイバ141
    は第1実施形態のプローブ16の光ファイバ9と同じ断面構造および材質であり、コア25、中間層26、クラッド27がこの順で中心軸線側から略同心円状に配置される。 光ファイバ141は、入射端面143から長手方向中央部までが円柱状の部材であり、長手方向中央部から出射端面145までが断面形状が円状から楕円形状に順次的に変化する部材で実現される。 この光ファイバ1
    41は、その軸線を含む一仮想平面上で長手方向に湾曲しており、該仮想平面上でその入射端面143の中心軸線144と出射端面145の中心軸線146とが交差する。 図16(2)に示すように、この光ファイバ141
    の出射端は、出射端面145の形状が該一仮想平面に垂直な長軸線147を有する横長の偏平な楕円形であるように形成される。 図16(1)における一仮想平面は第7実施形態の仮想平面と等しく、図16(2)では該仮想平面に平行な方向を矢符148で示す。

    【0090】このように光ファイバ141が湾曲しているので、レーザ光はハンドピースの一直線状の中心軸線144の延長線から湾曲して出射端へ導かれ、出射端面145のコアの面積と対応した範囲内で実質上均一に照射される。 これによって、たとえば臼歯であるような、
    ハンドピース15を自在に動かしにくい狭い場所においてプローブの照射端面の短軸方向に走査することによって1回の操作で比較的広い面積を有する患部を効率良く蒸散することができる。

    【0091】また、第7および第8実施形態に示すプローブの光ファイバ131,141の他の例として、長手方向に湾曲し出射端面が楕円形状の光ファイバであって、出射端面の楕円の長軸線と湾曲した光ファイバの軸線を含む一仮想平面とが交差する光ファイバが挙げられる。 この光ファイバの出射端は、その出射端面を該面の法線方向からみるとき、図16(2)に示すように、光ファイバ131,141の出射端面135,145の長軸線137,147と該仮想平面との成す角度の中間の角度で、このプローブの出射端面の長軸線が該仮想平面と交わるように形成される。 また、この出射端面は、2
    点鎖線151で示す長軸線の傾きが右上がりの楕円形状であっても良いし、2点鎖線152で示す左上がりの楕円形状のいずれであっても良い。 さらに該出射端面の長軸線と仮想平面との成す角度は、0度および90度以外であればどのような角度であっても良い。

    【0092】また、上述した第1〜第8実施形態のレーザ治療装置11に用いられるプローブは、たとえばコアの直径が0.2mm〜3.0mmである光ファイバより形成される。 上述した各実施形態のうち、第4、第6〜
    第8実施形態の装置に用いられるプローブに関しては、
    その入射端面におけるコアの直径が上述した0.2mm
    〜3.0mmである光ファイバが用いられる。

    【0093】たとえばコア直径が0.2mm未満の光ファイバをプローブとするとき、細径および狭部の患部に対してだけしかレーザ光を照射することができない。 また、コア直径が3.0mmより大きい光ファイバをプローブにするとき、レーザ光発生装置を大型化する必要が生じる。 ゆえに、装置のコストが増大する。 このような事情から、上述した各実施形態のレーザ治療装置では、
    コアの直径が0.2mm〜3mmである光ファイバをプローブにすることが好ましい。

    【0094】さらにまた、該レーザ治療装置では、上述したようにプローブの光ファイバ出射端面においてレーザ光のエネルギレベルが上述した1mJ〜2500mJ
    の範囲であることが好ましい。 たとえばエネルギレベルが5mJ〜2500mJであるレーザ光は、コアの直径が0.2mm〜3.0mmである光ファイバをプローブとしたレーザ治療装置で生体硬組織の蒸散に充分なエネルギを有する。 エネルギレベルを2500mJよりも大きいレーザ光を生体硬組織の蒸散に使用しても、エネルギレベルが2500mJであるときと比較して組織ダメージが大きくなる。 さらに、レーザ光のエネルギレベルが1mJ以下であるとき、生体硬組織の蒸散に充分なエネルギを得ることができない。

    【0095】第1、第2、第4〜第8実施形態のプローブの光ファイバ9,81,91,111,121,13
    1,141は、それぞれ入射端面近傍の形状が等しく、
    出射端面近傍の形状だけが異なるので、この出射端面の形状に応じた互換性がある。 これらプローブの光ファイバ入射端面の直径が等しいとき、このプローブをハンドピース15に取付けるための取付部材を同一の構造として取付ることができる。 こうすることによって、これらのプローブを同一のレーザ治療装置11のハンドピース15に取付けることができる。 また、これらの実施形態のレーザ治療装置11に備えられる光ファイバは、非接触型のプローブとして用いてもよい。 さらにまた、光ファイバ9,81,91,111,121,131,14
    1は、エネルギレベルを実質上均一にすることができるものであれば、中間層26が形成されない構成の光ファイバであってもよい。 さらに、第2〜第8実施形態のプローブの光ファイバ81,91,111,121,13
    1,141の出射端面は、コアの中心がけずられた凹状の形状に成形してもよい。

    【0096】また各実施形態のレーザ治療装置では骨以外のたとえば歯牙および軟骨などの他の硬組織を蒸散させることができる。 さらにまた、上述したレーザ治療装置は、レーザ光の波長およびエネルギを変更して、生体軟組織の切開、蒸散、止血を行う装置としてもよい。

    【0097】

    【発明の効果】以上のように本発明によれば、レーザプローブの光ファイバは、そのコアの断面の半径方向で、
    中心部が小さく周辺部が大きい屈曲率分布を示す。 この光ファイバのコアを通過したレーザ光は、コアに対応する範囲でエネルギ密度分布が実質上均一となる。 この光ファイバを備えたレーザプローブをレーザ治療装置のハンドピースに取付けて生体硬組織の蒸散を行わせるとき、出射端面でエネルギの局部集中が生じないので、光ファイバの出射端面に硬組織成分が付着しても、出射端面が凹状に損傷し剥離することを防止することができる。 したがって、光ファイバの損耗速度を従来技術のレーザプローブと比較して著しく低減させることができる。

    【0098】したがって、このレーザプローブを取り付けたレーザ治療装置では、レーザ治療装置に取付けられるレーザプローブの交換回数を減少させても、蒸散能力を保つことができるので、レーザ治療装置のメンテナンスが容易となり、消耗品の数を減少させることができる。

    【0099】さらに、このレーザプローブから出射されるレーザ光は、波長が1.0μm〜5.5μmであって出射エネルギが1mJ〜2500mJである。 また該レーザ光は、パルス幅が1n(ナノ)秒〜9m(ミリ)秒であり、パルス周期が1〜200ppsであるパルス状に患部に照射される。 このようなレーザ光は、生体硬組織の蒸散などに適している。 またこのレーザ光を該レーザプローブを通過して患部に照射させるとき、光ファイバの出射端面の剥離損傷の発生を極めて小さく、または0とすることができる。

    【0100】また本発明によれば、前記光ファイバは、
    同心円状に内側からコア、中間層、クラッドの3層構造を有する。 光ファイバ全体の屈折率分布は、コア周辺部、コア中心部、クラッド、中間層の順で小さくなる。
    光ファイバは、この構造を有することによって、該光ファイバを通過するレーザ光のエネルギ密度を、コアに対応する領域内で均一に集約させて、中間層より外側に漏らさない。 したがって、光ファイバのコアに入射されたレーザ光のエネルギを、コアに対応する範囲に集中させることができるので、入射するレーザ光のエネルギレベルを低減させることができる。

    【0101】さらにまた本発明によれば、前記光ファイバのコアはGeO 2が添加されたSiO 2で形成される。 中間層は、フッ素が添加されたSiO 2で形成され、クラッドはSiO 2で形成される。 また、コア内部では、GeO 2の添加濃度が中央部から周辺部に向けて小さくなる。 このように本発明のレーザプローブの光ファイバは、従来から用いられる添加物を添加して屈折率を制御したSiO 2で形成されるので、実現が容易である。 また、このような材質で実現される光ファイバを備えたレーザプローブを生体硬組織の治療用のレーザ治療装置のハンドピースに取付けて生体硬組織の蒸散を行うと、レーザプローブを形成する光ファイバの出射端面の損傷剥離を低減させることができる。

    【0102】また本発明によれば、前記光ファイバのコアの直径は0.2mm〜3.0mmであり、細径および狭部の患部に対して容易にレーザ光を照射することができる。 また、レーザ光の波長は、水の吸収特性の極大値に近く生体硬組織に対して蒸散効率が高い2.7μm〜
    3.2μmに選ばれるので、効率的な治療を行うことができる。

    【0103】また本発明によれば、前記光ファイバの出射端面はコア中央部を凹状の形状に形成される。 このような出射端面を有する光ファイバをレーザプローブにするとき、レーザ光が出射端部で拡散し生体硬組織をより広範囲に蒸散することができる。 これによって、レーザ光が照射される範囲を均一に蒸散させることができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の第1実施形態であるレーザ治療装置1
    1の構成を示すブロック図およびプローブ16の部分断面図である。

    【図2】レーザ光の波長と消散長さとの関係を示すグラフである。

    【図3】プローブ16の光ファイバ9とレーザ光の照射対象である生体硬組織21との接触状態を示す図である。

    【図4】図3のプローブ16に用いられる光ファイバ9
    の屈折率分布を示すグラフ、およびこの光ファイバ9に入射されたレーザ光の出射後のエネルギ密度分布を示すグラフである。

    【図5】図3のプローブ16の光ファイバ9の透明母材の屈折率分布とコアの母材の屈折率分布とを示すグラフである。

    【図6】本発明のプローブ16の光ファイバ9を通過して照射される(100mJ×10pps)のレーザ光を用いた生体硬組織の蒸散の時間的変化を確認するために、連続照射する前に1パルスの該レーザ光を照射した後の生体硬組織21aの拡大部分断面図である。

    【図7】本発明のプローブ16の光ファイバ9を通過して照射される(100mJ×10pps)のレーザ光を用いた生体硬組織の蒸散の時間的変化を確認するために、該レーザ光を30分間連続照射した後に1パルスのレーザ光を照射した生体硬組織21bの拡大部分断面図である。

    【図8】従来技術のプローブの光ファイバ1を通過して照射される(100mJ×10pps)のレーザ光を用いた生体硬組織の蒸散の時間的変化を確認するために、
    該レーザ光を5分間連続照射した後の従来技術のプローブの光ファイバ1aの出射端の拡大断面図である。

    【図9】第1実施形態の他の例であり、蒸散部分の底面の形状が平坦となるレーザ照射装置に備えられるプローブの光ファイバ34の出射端を示す拡大断面図である。

    【図10】本発明の第2実施形態であるレーザ治療装置のハンドピースに取付けられるプローブの光ファイバ8
    1を示す拡大部分断面図である。

    【図11】本発明の第3実施形態であるレーザ治療装置のハンドピースに取付けられるプローブの光ファイバ9
    1を示す拡大部分断面図である。

    【図12】本発明の第4実施形態であるレーザ治療装置のハンドピースに取付けられるプローブの光ファイバ1
    01を示す拡大部分断面図である。

    【図13】本発明の第5実施形態であるレーザ治療装置のハンドピースに取付けられるプローブの光ファイバ1
    11を示す拡大部分断面図である。

    【図14】本発明の第6実施形態であるレーザ治療装置のハンドピースに取付けられるプローブの光ファイバ1
    21を示す拡大部分断面図、およびその出射端面125
    の拡大正面図である。

    【図15】本発明の第7実施形態であるレーザ治療装置のハンドピースに取付けられるプローブの光ファイバ1
    31を示す拡大部分断面図、およびその出射端面135
    の拡大正面図である。

    【図16】本発明の第8実施形態であるレーザ治療装置のハンドピースに取付けられるプローブの光ファイバ1
    41を示す拡大部分断面図、およびその出射端面145
    の拡大正面図である。

    【図17】従来技術のレーザ治療装置のプローブの光ファイバ1を示す拡大断面図である。

    【符号の説明】

    9,81,91,101,111,121,131,1
    41 光ファイバ 11 レーザ治療装置 13 レーザ光発生源 14 導光路 15 ハンドピース 16 プローブ 17,85,95,105,115,125,135,
    145 出射端面 21 生体硬組織 25 コア 26 中間層 27 クラッド

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