歯科用レーザシステムおよび治療方法

申请号 JP2013552504 申请日 2011-02-02 公开(公告)号 JP5961632B2 公开(公告)日 2016-08-02
申请人 コンバージェント デンタル, インコーポレイテッド; 发明人 モンティー, ネイサン ピー.;
摘要
权利要求

硬組織を治療するためのシステムであって、 レーザビームを生成するためのレーザビーム発生器であって、前記レーザビームは、9〜10μmの範囲の波長と、0.5kHzを上回る繰り返し数と、焦点領域と、非焦点領域とを有する、レーザビーム発生器と、 前記硬組織の露出面に前記レーザビームを方向付けるための光学構成要素と、 前記レーザビームの前記非焦点領域においてパルスエネルギーを用いた切除によって前記硬組織の前記露出面の少なくとも一部分が除去されるように、前記パルスエネルギーを生成するために、レーザビーム波長と、パルス長と、パルス繰り返し数と、ビーム径とのうちの少なくとも1つを制御するためのレーザビームコントローラと、 を備える、システム。前記レーザビームパラメータは、最大30μ秒の範囲内のパルス長である、請求項1に記載のシステム。前記レーザビームは、最大50J/cm2の範囲内のフルエンスを含む、請求項1に記載のシステム。前記レーザビームパラメータは、最大4kHzの繰り返し数である、請求項1に記載のシステム。前記レーザビームは、最大2000μmの公称直径を有する、請求項1に記載のシステム。前記レーザビーム発生器は、CO2レーザビーム発生器である、請求項1に記載のシステム。前記CO2レーザビーム発生器は、260トルから600トル(34,700〜80,000Pa)の範囲内のガスで動作する、請求項6に記載のシステム。前記ガスは、12C(18O)2ガスおよび12C(16O)2ガスから成る群より選択される、請求項7に記載のシステム。前記光学構成要素は、中空導波管を備える、請求項1に記載のシステム。前記硬組織の前記露出面に対して前記中空導波管を手動で位置付けるためのハンドピースをさらに備える、請求項9に記載のシステム。前記硬組織の前記露出面に対して前記中空導波管を位置付けるためのロボットコントローラをさらに備える、請求項9に記載のシステム。前記ロボットコントローラは、前記硬組織の前記露出面に対して前記レーザビームを移動させて、前記硬組織の前記露出面の一部分を増分的に除去するように構成される、請求項11に記載のシステム。前記硬組織の残りの部分は、いかなる実質的炭化も呈さない、請求項1に記載のシステム。前記硬組織は、最大0.5g/秒の速度で除去される、請求項1に記載のシステム。前記硬組織は、最大1.7cm3/秒の体積速度で除去される、請求項1に記載のシステム。前記パルスエネルギーは、最大30mJの範囲を含む、請求項1に記載のシステム。前記硬組織は、爆発的な蒸発によって切除される、請求項1に記載のシステム。前記硬組織の前記露出面に流体流動を方向付けるための流体ディスペンサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。前記流体ディスペンサによって分注される前記流体流動は、流体、ガス、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項18に記載のシステム。前記流体流動は、 前記硬組織の温度を制御することに寄与すること、および 前記硬組織の前記露出面上への除去された物質の再堆積を低減させることに寄与すること のうちの少なくとも1つを行うように適合される、 請求項18に記載のシステム。前記流体ディスペンサは、65度から90度の範囲内の入射で、前記流体流動を前記硬組織の前記露出面に方向付ける、請求項18に記載のシステム。前記硬組織は、歯のエナメル質、象牙質、および骨から成る群より選択される、請求項1に記載のシステム。単一のパルス中に前記レーザビームが方向付けられる、前記硬組織の前記露出面は、最大0.03cm2の断面積を有する、請求項1に記載のシステム。前記レーザビームコントローラは、最大3分にわたるパルスのシーケンスとして前記レーザビームを構成する、請求項1に記載のシステム。前記光学構成要素は、最大90度の入射角で、前記レーザビームを前記硬組織の前記露出面に方向付けるように構成される、請求項1に記載のシステム。前記光学構成要素は、レンズを備え、前記レンズは、前記レンズに対する前記硬組織の前記露出面の距離とは異なる焦点距離を有する、請求項1に記載のシステム。前記光学構成要素は、修正されたレーザビームのプロファイルが非ガウス性であるように、前記レーザビームを修正する、請求項1に記載のシステム。

说明书全文

本発明は、虫歯を除去する、硬組織を切除、掘削、または成形する、軟組織を除去および切除する、齲蝕抑制のために硬組織を修正する、硬組織への接着を補助するために、硬組織の表面の状態を修正するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、口腔組織、歯肉、および歯、例えば、ヒトまたは動物の口腔組織、歯肉、および歯、ならびに他の生物学的物質に適用される。

歯は、3つの層を有する。最外層は、最も硬く、歯の他の部分のための保護層を形成する、エナメル質である。歯の中央および大部分は、象牙質でできており、最内層は、歯髄である。エナメル質および象牙質は、組成が類似し、ほぼ85%が無機物の炭酸ヒドロキシアパタイトである一方で、歯髄は、圧および温度に敏感である血管および神経を含有する。エナメル質および象牙質を掘削する、または輪郭形成する、または調節する(conditioning)本願では、歯髄の温度感受性は、懸念対象である。摂氏5.5度の温度の上昇は、歯髄の永久的損傷につながり得る。

過去10〜15年にわたって、歯髄を加熱することなく、歯のエナメル質および象牙質が除去される、掘削される、輪郭形成される、または調節される(全て除去プロセスである)ことを可能にする、レーザパラメータを定義するために、研究が行われてきた。理想的には、レーザパルスは、エナメル質および象牙質を蒸発させ、歯髄を加熱する最小限の残留エネルギーが象牙質の中に残っている状態で、質量をガスに変換するべきである。

レーザの導入以来、歯科でのレーザの使用が考慮されてきた。掘削および切断するために使用される歯科用レーザが、最初の用途であった。高エネルギー密度パルスが最初に使用されたが、これらのパルスは、歯髄または軟組織を潜在的に損傷し得るため、より低いエネルギーのパルス構成が模索された。より低いピーク電力のエネルギーパルスでは、より長いパルス時間が使用され、これは歯のエナメル質に悪影響を及ぼしていた。

光学的結合効率を理解するために、紫外線から遠赤外線まで、種々のレーザ波長の相互作用が模索された。光学的結合は重要であり、最大の結合は、2.7〜3.0μmおよび9.3〜9.6μmの波長範囲内であったことが見出された。反射率を考慮すると、9.3〜9.6μmの範囲が、任意の他の波長範囲より最大で3倍も良好に結合することが分かった。

最も効果的な結合波長を同定したことによって、硬組織を切除する時間および閾値を決定しなければならなかった。研究では、約5mJ(ミリジュール)の閾値切除エネルギーで、硬組織の熱緩和時間が1〜2μ秒であることが示されている。

マイクロ秒パルス幅および5〜15mJのパルスエネルギーで、9.3〜9.6μメートルの波長範囲内のレーザパルスに対する必要性の認識から、DC励起TEA(逆励起大気)レーザが、採用された。TEAレーザが、非常に短いパルス長、すなわち、数百ナノ秒を有するため、TEAレーザは、長いパルス動作および修正されたパルス形状用に修正された。加えて、RF(無線周波数)CW(連続波)レーザが研究されたが、その最短パルス長がわずか50μ秒であったため、パルスは、より短いパルス幅よりも有意に硬組織を加熱することになった。

現在まで、最大RF対光学効率を追求するRF励起CO2CWレーザは、典型的には、70〜100トル(または約9,332〜13,332パスカル(Pa))で動作し、生成される最短パルス長は、典型的には、50μ秒である。従来技術で使用された通常のRF励起CO2CWレーザの典型的なガス圧力は、80トル(または約10,665Pa)である。大気圧で動作するCO2TEAレーザは、数百ナノ秒のパルス長で9.3〜9.6μメートルのパルスを生成する。TEAレーザは、概して、密閉動作では動作せず、長い動作寿命も高いパルス繰り返し数も有さず、かつパッケージ化が高価である。最適なCO2レーザパルシングパラメータを生じるように、「長パルス」TEAレーザを製造することができる一方で、TEAレーザは、RF励起レーザよりも大きく、かつ高価であり、したがって、サイズおよび費用が重要である、歯科用レーザ用途に理想的に適合するものではない。したがって、現在までのアプローチのうちのいずれも、歯髄を加熱することなくエナメル質および象牙質と効果的に作用するための商業的に容認可能な形式で、完全な一式の最適パラメータを生成していない。

一側面によれば、硬組織を治療するための方法が提供され、本方法は、約0.5kHzを上回る繰り返し数でレーザビームを生成するステップと、硬組織(例えば、歯のエナメル質、象牙質等)の露出面にレーザビームを方向付けるステップと、隣接組織(例えば、歯髄)の温度を実質的に上昇させることなく、硬組織の露出面の少なくとも一部分を除去するステップとを含む。レーザビームは、約9μmから約10μmの範囲内の波長、最大約30μ秒の範囲内のパルス長、最大約50J/cm2のフルエンス、最大約4kHzの繰り返し数、および最大約2000μmの公称直径のうちの1つ以上を有してもよい。いくつかの実施形態では、硬組織を治療するための方法のレーザビームは、各パルスと関連付けられるパルスエネルギーが最大約30mJの範囲内であるようなレーザパルスを含む。

いくつかの実施形態では、硬組織を治療するための方法のレーザビームは、CO2レーザによって生成される。CO2レーザは、約260トルから約600トルの範囲内のガスで動作してもよく、ガスは、12C(18O)2ガスまたは12C(16O)2ガスであってもよい。

いくつかの実施形態では、レーザビームは、中空導波管を利用して、硬組織の露出面に方向付けられる。硬組織の露出面に対する中空導波管の位置付けは、手動またはロボットで制御されてもよい。レーザビームは、硬組織の露出面の一部分を増分的に除去するように、硬組織の露出面に対して移動させられてもよい。いくつかの実施形態では、硬組織の残りの部分は、いかなる実質的炭化も呈さない。硬組織は、最大約0.5g/秒の速度で、または最大約1.7cm3/秒の体積速度(volumetric rate)で除去される。硬組織は、爆発的な蒸発によって除去されてもよい。

いくつかの実施形態では、硬組織を治療するための方法は、硬組織の露出面に流体流動(fluidic flow)を方向付けるステップを含む。流体流動は、流体、ガス、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。流体流動は、硬組織の温度を制御すること、または硬組織の露出面上への除去された物質の再堆積を低減させることのいずれか、あるいはそれらの両方に寄与するように適合されてもよい。流体流動は、約0度から約90度の範囲内の入射で硬組織の露出面に方向付けられてもよい。本方法によって治療される硬組織は、エナメル質、象牙質、骨、またはそれらの組み合わせであってもよい。

いくつかの実施形態では、単一のパルス中にレーザビームが方向付けられる、硬組織の露出面は、最大約0.03cm2の断面積を有する。いくつかの実施形態では、レーザビームを方向付けるステップは、最大約3分にわたってパルスのシーケンスを送達するステップを含む。レーザビームは、最大約90度の入射角で硬組織の露出面に方向付けられてもよい。レーザビームを方向付けるステップは、焦点距離を有するレンズを使用して、レーザビームの焦点を合わせるステップと、焦点距離よりもわずかに小さい距離で、レンズに対して硬組織の露出面を位置付けるステップとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、レーザビームを方向付けるステップは、修正されたレーザビームのプロファイルが非ガウス性であるように、光学系を使用してレーザビームを修正するステップを含む。

別の側面によれば、硬組織を治療するためのシステムが提供され、本システムは、約0.5kHzを上回る繰り返し数でレーザビームを生成するためのレーザビーム発生器を含む。本システムはまた、硬組織の露出面にレーザビームを方向付けるための光学構成要素と、隣接組織の温度を実質的に上昇させることなく、硬組織の露出面の少なくとも一部分が除去されるように、少なくとも1つのレーザビームパラメータを制御するためのレーザビームコントローラとを含む。

レーザビームパラメータは、約9μmから約10μmの範囲内の波長、最大約30μ秒の範囲内のパルス長、最大約50J/cm2のフルエンス、最大約4kHzの繰り返し数、最大約2000μmの公称直径、および最大約30mJの範囲内のパルスエネルギーのうちの1つ以上であってもよい。

硬組織を治療するためのシステムのレーザビーム発生器は、CO2レーザビーム発生器であってもよい。CO2レーザビーム発生器は、約260トルから約600トルの範囲内のガスで動作してもよく、ガスは、12C(18O)2ガスまたは12C(16O)2ガスであってもよい。

いくつかの実施形態では、硬組織を治療するためのシステムの光学構成要素は、中空導波管を含む。硬組織を治療するためのシステムは、硬組織の露出面に対して中空導波管を手動で位置付けるためのハンドピースを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本システムは、硬組織の露出面に対して中空導波管を位置付けるためのロボットコントローラを含む。ロボットコントローラは、硬組織の露出面に対してレーザビームを移動させて、硬組織の露出面の一部分を増分的に除去するように構成されてもよい。

いくつかの実施形態では、硬組織は、最大約0.5g/秒の速度で、または最大約0.17cm3/秒の体積速度で除去される。硬組織は、爆発的な蒸発によって除去されてもよい。硬組織の残りの部分は、いかなる実質的炭化も呈し得ない。

いくつかの実施形態では、硬組織を治療するためのシステムは、硬組織の露出面に流体流動を方向付けるための流体ディスペンサを含む。流体ディスペンサによって分注される流体流動は、流体、ガス、およびそれらの組み合わせであってもよい。流体流動は、硬組織の温度を制御すること、または硬組織の露出面上への除去された物質の再堆積を低減させることのいずれか、あるいはそれらの両方に寄与するように適合されてもよい。流体ディスペンサは、約0度から約90度の範囲内の入射角で、流体流動を硬組織の露出面に方向付けてもよい。硬組織は、歯のエナメル質、象牙質、骨、またはそれらの組み合わせであってもよい。

いくつかの実施形態では、硬組織を治療するためのシステムのレーザビームコントローラは、最大約3分にわたるパルスのシーケンスとしてレーザビームを構成する。単一のパルス中にレーザビームが方向付けられ得る、硬組織の露出面は、最大約0.03cm2の断面積を有してもよい。

いくつかの実施形態では、光学構成要素は、最大約90度の入射角で、レーザビームを硬組織の露出面に方向付けるように構成される。光学構成要素は、レンズに対する硬組織の露出面が、焦点距離よりもわずかに小さい距離にあるように、レーザビームの焦点を合わせるための焦点距離を有する、レンズを含んでもよい。いくつかの実施形態では、修正されたレーザビームのプロファイルが非ガウス性であるように、光学構成要素は、レーザビームを修正する。 特定の実施形態では、例えば以下が提供される: (項目1) 硬組織を治療するための方法であって、 約0.5kHzを上回る繰り返し数でレーザビームを生成するステップと、 前記硬組織の露出面に前記レーザビームを方向付けるステップと、 隣接組織の温度を実質的に上昇させることなく、前記硬組織の前記露出面の少なくとも一部分を除去するステップと、 を含む、方法。 (項目2) 前記レーザビームは、約9μmから約10μmの範囲内の波長を含む、項目1に記載の方法。 (項目3) 前記レーザビームは、最大約30μ秒の範囲内のパルス長を含む、項目1に記載の方法。 (項目4) 前記レーザビームは、最大約50J/cm2のフルエンスを含む、項目1に記載の方法。 (項目5) 前記レーザビームは、最大約4kHzの繰り返し数を含む、項目1に記載の方法。 (項目6) 前記レーザビームは、最大約2000μmの公称直径を有する、項目1に記載の方法。 (項目7) 前記レーザビームは、CO2レーザによって生成される、項目1に記載の方法。 (項目8) 前記CO2レーザは、約260トルから約600トルの範囲内のガスで動作する、項目7に記載の方法。 (項目9) 前記ガスは、12C(18O)2ガスおよび12C(16O)2ガスから成る群より選択される、項目8に記載の方法。 (項目10) 前記レーザビームは、中空導波管を利用して、前記硬組織の前記露出面に方向付けられる、項目1に記載の方法。 (項目11) 前記硬組織の前記露出面に対する前記中空導波管の位置付けは、手動で制御される、項目10に記載の方法。 (項目12) 前記硬組織の前記露出面に対する前記中空導波管の位置付けは、ロボット制御される、項目10に記載の方法。 (項目13) 前記レーザビームは、前記硬組織の前記露出面の一部分を増分的に除去するように、前記硬組織の前記露出面に対して移動させられる、項目1に記載の方法。 (項目14) 前記硬組織の残りの部分は、いかなる実質的炭化も呈さない、項目1に記載の方法。 (項目15) 前記硬組織は、最大約0.5g/秒の速度で除去される、項目1に記載の方法。 (項目16) 前記硬組織は、最大約1.7cm3/秒の体積速度で除去される、項目1に記載の方法。 (項目17) 前記レーザビームは、最大約30mJの範囲内のパルスエネルギーを含む、項目1に記載の方法。 (項目18) 前記硬組織は、爆発的な蒸発によって除去される、項目1に記載の方法。 (項目19) 前記硬組織の前記露出面に流体流動を方向付けるステップをさらに含む、項目1に記載の方法。 (項目20) 前記流体流動は、流体、ガス、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、項目19に記載の方法。 (項目21) 前記流体流動は、 前記硬組織の温度を制御することに寄与する、および 前記硬組織の前記露出面上への除去された物質の再堆積を低減させることに寄与する、のうちの少なくとも1つを行うように適合される、 項目19に記載の方法。 (項目22) 前記流体流動は、約0度から約90度の範囲内の入射角で前記硬組織の前記露出面に方向付けられる、項目19に記載の方法。 (項目23) 前記硬組織は、歯のエナメル質、象牙質、および骨から成る群より選択される、項目1に記載の方法。 (項目24) 単一のパルス中に前記レーザビームが方向付けられる、前記硬組織の前記露出面は、最大約0.03cm2の断面積を有する、項目1に記載の方法。 (項目25) 前記レーザビームを方向付けるステップは、最大約3分にわたってパルスのシーケンスを送達するステップを含む、項目1に記載の方法。 (項目26) 前記レーザビームは、最大約90度の入射角で前記硬組織の前記露出面に方向付けられる、項目1に記載の方法。 (項目27) 前記レーザビームを方向付けるステップは、 焦点距離を有するレンズを使用して、前記レーザビームの焦点を合わせるステップと、 前記焦点距離よりもわずかに小さい距離で、前記レンズに対して前記硬組織の前記露出面を位置付けるステップと、 を含む、項目1に記載の方法。 (項目28) 前記レーザビームを方向付けるステップは、 修正されたレーザビームのプロファイルが非ガウス性であるように、光学系を使用して前記レーザビームを修正するステップを含む、 項目1に記載の方法。 (項目29) 硬組織を治療するためのシステムであって、 約0.5kHzを上回る繰り返し数でレーザビームを生成するためのレーザビーム発生器と、 前記硬組織の露出面に前記レーザビームを方向付けるための光学構成要素と、 隣接組織の温度を実質的に上昇させることなく、前記硬組織の前記露出面の少なくとも一部分が除去されるように、少なくとも1つのレーザビームパラメータを制御するためのレーザビームコントローラと、 を備える、システム。 (項目30) 前記レーザビームパラメータは、約9μmから約10μmの範囲内の波長である、項目29に記載のシステム。 (項目31) 前記レーザビームパラメータは、最大約30μ秒の範囲内のパルス長である、項目29に記載のシステム。 (項目32) 前記レーザビームパラメータは、最大約50J/cm2のフルエンスである、項目29に記載のシステム。 (項目33) 前記レーザビームパラメータは、最大約4kHzの繰り返し数である、項目29に記載のシステム。 (項目34) 前記レーザビームは、最大約2000μmの公称直径を有する、項目29に記載のシステム。 (項目35) 前記レーザビーム発生器は、CO2レーザビーム発生器である、項目29に記載のシステム。 (項目36) 前記CO2レーザビーム発生器は、約260トルから約600トルの範囲内のガスで動作する、項目35に記載のシステム。 (項目37) 前記ガスは、12C(18O)2ガスおよび12C(16O)2ガスから成る群より選択される、項目36に記載のシステム。 (項目38) 前記光学構成要素は、中空導波管を備える、項目29に記載のシステム。 (項目39) 前記硬組織の前記露出面に対して前記中空導波管を手動で位置付けるためのハンドピースをさらに備える、項目38に記載のシステム。 (項目40) 前記硬組織の前記露出面に対して前記中空導波管を位置付けるためのロボットコントローラをさらに備える、項目38に記載のシステム。 (項目41) 前記ロボットコントローラは、前記硬組織の前記露出面に対して前記レーザビームを移動させて、前記硬組織の前記露出面の一部分を増分的に除去するように構成される、項目40に記載のシステム。 (項目42) 前記硬組織の残りの部分は、いかなる実質的炭化も呈さない、項目29に記載のシステム。 (項目43) 前記硬組織は、最大約0.5g/秒の速度で除去される、項目29に記載のシステム。 (項目44) 前記硬組織は、最大約1.7cm3/秒の体積速度で除去される、項目29に記載のシステム。 (項目45) 前記レーザビームは、最大約30mJの範囲内のパルスエネルギーを含む、項目29に記載のシステム。 (項目46) 前記硬組織は、爆発的な蒸発によって除去される、項目29に記載のシステム。 (項目47) 前記硬組織の前記露出面に流体流動を方向付けるための流体ディスペンサをさらに備える、項目29に記載のシステム。 (項目48) 前記流体ディスペンサによって分注される前記流体流動は、流体、ガス、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、項目47に記載のシステム。 (項目49) 前記流体流動は、 前記硬組織の温度を制御することに寄与する、および 前記硬組織の前記露出面上への除去された物質の再堆積を低減させることに寄与する、のうちの少なくとも1つを行うように適合される、 項目47に記載のシステム。 (項目50) 前記流体ディスペンサは、約0度から約90度の範囲内の入射角で、前記流体流動を前記硬組織の前記露出面に方向付ける、項目47に記載のシステム。 (項目51) 前記硬組織は、歯のエナメル質、象牙質、および骨から成る群より選択される、項目29に記載のシステム。 (項目52) 単一のパルス中に前記レーザビームが方向付けられる、前記硬組織の前記露出面は、最大約0.03cm2の断面積を有する、項目29に記載のシステム。 (項目53) 前記レーザビームコントローラは、最大約3分にわたるパルスのシーケンスとして前記レーザビームを構成する、項目29に記載のシステム。 (項目54) 前記光学構成要素は、最大約90度の入射角で、前記レーザビームを前記硬組織の前記露出面に方向付けるように構成される、項目29に記載のシステム。 (項目55) 前記光学構成要素は、前記レンズに対する前記硬組織の前記露出面が、焦点距離よりもわずかに小さい距離にあるように、前記レーザビームの焦点を合わせるための焦点距離を有する、レンズを備える、項目29に記載のシステム。 (項目56) 前記光学構成要素は、修正されたレーザビームのプロファイルが非ガウス性であるように、前記レーザビームを修正する、項目29に記載のシステム。

本発明は、添付図面および付随の発明を実施するための形態を考慮して、より明白となるであろう。その中で描写される実施形態は、制限としてではなく、一例として提供され、類似参照数字は、類似または同一要素を指す。図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、本発明の側面を例証することに重点が置かれる。

図1は、本発明の側面による、歯科用レーザシステムの実施形態のブロック図である。

図2は、本発明の側面による、CO

2歯科用レーザシステムからレーザ光学エネルギーを出力することの実施形態のフローチャートである。

図3は、本発明による、典型的なレーザパラメータおよび歯科用システム性能パラメータの表である。

図4は、種々の波長およびパルス幅での歯のエナメル質による放射線の吸収を描写する。

図5は、本発明による、実験レーザシステムの動作中に測定されたレーザパラメータおよび性能パラメータの表である。

図6は、本発明による、異なるパラメータを有するレーザビームを使用した治療に対応する、重量による歯のエナメル質の除去速度を描写する。

図7は、本発明による、一式のレーザパラメータに対応する、異なる臼歯上の歯のエナメル質の除去速度の表を表す。

図8は、本発明による、実験システムを使用した治療中に種々の熱電対によって観察された温度を示す。

図9は、本発明による例示的なレーザシステム、および従来のシステムの相対的性能を描写する。

以降では、添付図面を参照して、それに従って例証的実施形態を説明することによって、本発明の側面が説明されるであろう。これらの実施形態を説明する一方で、周知の物品、機能、または構成の詳細な説明は、典型的には、簡潔にするために省略される。

要素が、別の要素の「上にある」、あるいはそれに「接続されている」または「連結されている」と称されるとき、それは、他の要素の直接上にあり得、あるいはそれに接続または連結することができ、または介在要素が存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が、別の要素の「直接上にある」、あるいはそれに「直接接続されている」または「直接連結されている」と称されるとき、いずれの介在要素も存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、類似様式で解釈されるべきである(例えば、「間で」対「直接的に間で」、「隣接する」対「直接隣接する」等)。

本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、本発明を制限することを意図していない。本明細書で使用されるように、「1つの」(「a」、「an」)、および「該」(「the」)という単数形は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「備える」(「comprises」、「comprising」)、および/または「含む」(「includes」、「including」)という用語は、本明細書で使用されるとき、記述された特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないことが理解されるであろう。

歯科用レーザシステムに関して、ヒドロキシアパタイトへの最大吸収を伴う波長は、9.3〜9.6μメートル範囲内であることが決定され、ヒドロキシアパタイトの熱緩和時間は、9.3〜9.6μm波長範囲で最大2μ秒であることが決定されている。したがって、ヒドロキシアパタイトを除去するための理想的なパルスパラメータは、50μ秒未満の形式で9.3〜9.6μメートルのエネルギーであると考えられる。1つの好ましい実施形態によれば、50μ秒未満の形式で9.3〜9.6μm波長のエネルギーを使用して、ヒドロキシアパタイトを除去するためのパルスパラメータを有するビームを生じる、レーザが提供される。

9.3〜9.6μmのエネルギーは、典型的には、12C(18O)2のレーザガス混合物、波長選択的共振光学機器、より高価な空洞間波長デバイス、またはこれら3つの組み合わせとともに、CO2レーザを使用して産生される。本発明によれば、50μ秒パルスは、レーザガス圧力によって達成される、速いパルス立ち上がり時間およびパルス下降時間で生成される。長さが50μ秒以下のパルスを生成するために、少なくとも約260トル(または約34,663Pa)のガス圧力が使用される。

1つの好ましい実施形態では、約260トルから約600トル(または約34,700〜80,000Pa)の範囲内であるガスで充填される、導波管またはスラブ共振器形式のいずれかであるCO2ガスレーザが、全ての歯科用途で使用するためにRF励起される。約260から約600トル(または約34,700〜80,000Pa)の範囲が、多くの歯科用途で好ましくあり得る。導波管およびスラブ共振器は、概して、当技術分野で公知であるため、本明細書では詳細に論議されない。

いくつかの実施形態では、圧力は、例として、約280〜550トル(または約37,330〜73,327Pa)、または約300〜500トル(または約39,996〜66,661Pa)、約320〜450トル(または約42,663〜59,995Pa)、約340〜400トル(または約45,329〜53,328Pa)の範囲内であり得る。

レーザは、それぞれ、切断および掘削用途のために、CWまたはパルスモードで動作され得る。DCおよびRF電源は、高ピーク電力パルス動作を支持しながら、低電力CW動作を支援するように構成される。レーザ出力は、光学エネルギーを患者に送達するように、ビーム送達システムに連結される。レーザは、小型の信頼できるパッケージにおいて、速いパルス立ち上がり時間およびパルス下降時間(例えば、約50μ秒以下、典型的には、20μ秒以下)、封鎖動作、高い繰り返し数で、9.3〜9.6μmのエネルギー波長を提供する。

図1は、本発明の側面による、歯科用レーザシステム100の実施形態を示す。図1の実施形態では、AC入力電力(図示せず)として整流する、DC電源10が提供される。1つの好ましい実施形態では、DC電源10は、連続波(CW)DCセクション12およびパルスDCセクション14から成る。DCセクション12は、軟組織の切断等のCW用途のためのレーザを実行するようにサイズ決定され、ピーク電力DCセクション14は、硬組織または骨の修正等のパルシング用途のためのピークエネルギーを供給する。

物品20は、DCエネルギーを40〜125MHz範囲内のRFエネルギーに変換するための無線周波数(RF)電源である。物品30は、入力としてRFエネルギー、および出力カプラ32を介した出力として9.3〜9.6μメートルの光学エネルギーを用いたCO2レーザである。そして物品40は、レーザから患者の口を表す物品50へ光学エネルギーを送達する、ビーム送達装置である。

この実施形態におけるCO2レーザ30は、後部鏡34と、レーザ放出領域36とを含む。鏡34は、レーザ放出領域36を通して光学エネルギーを方向付ける。出力カプラ32は、レーザからのビームを結合する。この場合、レーザはガスレーザであるため、出力カプラは、レーザガスを外に出させることなく、レーザからのビームを結合する。CO2レーザ30はまた、約260〜約600トル(または約34,700〜80,000Pa)の範囲内の圧力におけるガスで充填される、レーザガス圧力容器38を含む。

出力レーザエネルギーは、ビーム送達装置40に提供され、次いで、患者の口等の標的に方向付けることができる。この実施形態では、ビーム送達装置40は、平面または曲面鏡、あるいはCO2レーザからの光学エネルギー出力を導くように構成される組み合わせを含むことができる。

この例示的構成では、歯科用レーザシステム100は、歯肉および口腔組織を切断するために、例えば、<10ワットの低電力CW動作、および最大10kHzの1〜50μ秒パルス幅にて、例えば、>5mJパルスエネルギーの高ピーク電力パルシング動作の両方で、動作することができる。CO2レーザ30は、9〜11μmの間の波長で動作することができる。レーザシステム100は、好ましくは、歯の硬組織内のヒドロキシアパタイトに対する理想的な吸収波長で高ピーク電力パルシング動作を提供する。パルス幅およびパルスエネルギーは、動作中に最大10kHzで歯髄を損傷する残留熱を歯にほとんど残さず、ヒドロキシアパタイトを切除するのに理想的に適している。

図2は、CO2歯科用レーザシステムからレーザ光学エネルギーを出力する方法の実施形態である。方法200は、ステップ210で直流(DC)電源を提供することと、ステップ220でDC電源に連結される無線周波数(RF)電源を提供することと、ステップ230で所定の圧力範囲(例えば、約260〜約600トル(または約34,700〜80,000Pa))内の圧力でのガスでCO2レーザを充填することと、ビーム送達システムを使用して、CO2レーザからのレーザ光学エネルギー出力を患者へ導くステップ240とを含む。

図3は、以下でより詳細に論議される、いくつかの典型的なレーザ動作パラメータおよび関連歯科用システム性能パラメータを列挙する表である。値は、最小および最大の条件、ならびに種々の実施形態とともに、本発明の種々の用途で使用するために考慮される公称条件について提供される。最小値および最大値は境界ではなく、実際の値は、各パラメータの全範囲の10%または20%以上低くまたは高くあり得ることに留意されたい。

より具体的には、歯のエナメル質および象牙質等の硬組織は、および無機物を含む。広範な歯科用レーザ研究が、硬組織の水および無機物吸収帯で行われている一方で、研究の重点は、吸収の効率に置かれてきた。歯科での実施は、主に、切断速度および分解能に関与している。以前の研究からの効率の結果を基に、実施例において以下で詳細に説明されるように、例示的な歯科用レーザシステムが、切断効率を向上させるように、パルス幅を変化させる融通性、および硬組織の無機物吸収帯での平均電力レベルを伴って構築された。

歯の硬組織を切断または掘削することは、主に、歯の最も硬い外層であるエナメル質を除去することと同等である。エナメル質は、概して、体積で約12%の水、約85%の無機物(炭酸ヒドロキシアパタイト)、ならびに約3%のタンパク質および脂質を含有する、生物学的複合物である。したがって、エナメル質の85%無機成分を切断または掘削することによって、高い効率が達成され得る。エナメル質の無機物含有量は、9.6μmにおいてピーク吸収(8000cm?1)を有し、10.6μmまたは可視あるいは他の赤外領域中の他のレーザ波長よりも最大10倍高く電磁放射線を吸収することが示されている。実施例で説明される例示的システムでは、9.4μmレーザが、現在、9.6μmに近い波長を有する市販のレーザであるため、「概念実証」として使用された。図4は、9.4μmおよび9.6μmにおける吸収の差が有意ではないことを示す。

歯における残留エネルギーERの堆積を最小限化しながら、実用的な切除速度を達成することができるように、歯の硬組織切除用のレーザパラメータ、すなわち、パルス持続時間およびレーザ波長が選択されることが望ましい。残留エネルギーは、組織切除を引き起こさないが、代わりに、周辺組織に吸収される、レーザビームによって硬組織(例えば、歯のエナメル質)に方向付けられるエネルギーであり得る。一般に、エナメル質への放射線の吸収は、エナメル質の固有の微細構造により不均一である。結果として、切除の機構は、レーザ放射が吸収される、一次吸収体の性質ともに変化する。例えば、水への吸収が、水媒介切除をもたらし、エナメル小柱の大部分への吸収が、融解または爆発的な蒸発につながる。上記で説明されるように、9.6μmにおける吸収は、エナメル小柱の無機物含有量で起こり、典型的には、以下で説明されるように爆発的な蒸発を引き起こす。歯のエナメル質が約85%の無機物を含むため、エナメル質の切除効率は、通常、9.6μmの無機物吸収波長において、またはその付近で高くなる。

CO2レーザ放射の強力な波長吸収により、レーザエネルギーは、通常、硬組織(例えば、歯のエナメル質)の表面における非常に薄い吸収層中に堆積される。これは、小さな体積の硬組織の中で強力な内圧上昇をもたらし得る。圧力上昇時間が組織の熱緩和時間(例えば、硬組織内で生成された熱が放散される時間)よりも短い場合、圧力は、最終的に、組織の極限の引張り強さを超え、爆発的な蒸発とも呼ばれる、局部的な微小爆発において組織を引き裂かせる。過剰な熱は、加熱された切除破片とともに排出され、したがって、組織から除去される。したがって、爆発的な蒸発において、周辺組織への熱損傷を防止することができる。CO2レーザは、小さな組織体積を極めて急速に加熱することができるように、それらの波長が骨組織の無機物成分(ヒドロキシアパタイト)に強力に吸収されるため、爆発的な蒸発に好適であり得る。

上記で説明されるように、爆発的な蒸発は、圧力上昇時間が組織の熱緩和時間よりも短いときに起こり得る。爆発的な蒸発の性質により、入射レーザエネルギーは、切除プロセスで消費および放出されるか、または熱あるいは残留エネルギーERの形態で組織に吸収されるかのいずれかである。残留エネルギーは、硬組織の切除とは対照的に、周辺組織(例えば、歯の内部組織)の加熱を引き起こし得る。したがって、ERを最小限化することにより、切除効率を増加させることができる。

所望のパルス持続時間またはパルス長は、組織表面内の堆積エネルギーの軸方向熱伝導(τz)の緩和時間に類似し得る。τzよりも実質的に長いレーザパルス持続時間については、レーザエネルギーは、レーザパルス中に、歯のエナメル質表面から内部歯髄の中へ伝導され、非効率的な表面加熱をもたらし得る。しかしながら、パルス持続時間が短すぎる場合、爆発的な蒸発を引き起こすための必要とされる出力密度が高くなりすぎ得て、表面を遮蔽して切除の効率を低減させる、切除された物質のプルームにおけるプラズマの生成を引き起こし得る。

約9.6μmの波長におけるエナメル質内の堆積レーザエネルギーの熱緩和時間は、約1μ秒である。したがって、9.6μmの無機物吸収波長における、またはそれに近い放射波長を使用した、硬組織の切除効率は、持続時間が約1μ秒のパルスを使用して増加させられてもよい。1つの実験では、5μ秒パルス長および15J/cm2フルエンス(以下で説明される)を使用して、最低残留エネルギーが9.6μm波長において観察され、入射エネルギーの25%未満が残留エネルギーとして吸収された。

短い持続時間のパルスは、吸収される残留エネルギーの量を減少させることによって、切除効率を増加させることができるが、パルス長が長くなるほど、平均レーザ出力の1ワットあたりの費用が低くなる。したがって、吸収される残留エネルギーの量およびレーザ出力の1ワットあたりの費用を同時に減少させることができる、パルス長を選択することが有益である。したがって、パルス長の関数として、残留エネルギー、ERを理解することが重要である。例えば、5〜20μ秒である、より短いレーザパルスが、有意に低い切除閾値で切除し、1つのパルスにつきより高い切除速度を達成することができる、より長いレーザパルスよりも低い残留エネルギーを残す。10J/cm2以上のフルエンスを伴う20μ秒以下のパルス長が、低い残留エネルギーおよび高い切断効率につながる。例えば、20μ秒よりも長い、より長いパルス長は、1つのパルスにつきより高い切除速度につながり得るが、より高い残留エネルギーおよびより低い切除効率につながり得る。例えば、持続時間が5〜20μ秒である、より短いパルス長は、より高い切除効率およびより低い残留エネルギーを有し得るが、1つのパルスにつきより低い切除速度をもたらし得る。デューティサイクル(すなわち、パルス間の合計時間で割られるパルス長)を、所望に応じて変化させることができる。典型的なデューティサイクル値については、図3を参照されたい。

高い切除効率のために必要とされる吸収波長およびパルス長に加えて、爆発的な蒸発につながる、硬組織エナメル小柱加熱速度は、概して、一般的にフルエンスと呼ばれる、パルスエネルギー密度に依存する。言い換えれば、1つのレーザパルスによって標的組織に送達される全エネルギーは、フルエンスおよび治療部位の面積の積として表され得る。閾値、すなわち、最小放射線暴露фth(J/cm2)が、十分な圧力上昇を引き起こすことによって治療部位において切除微小爆発を誘発するために、理論的に必要である。しかしながら、放射線の拡散または反射による損失を考慮すると、エナメル質に向かって方向付けられるように要求される実際のフルエンスは、理論的最小値より大きくあり得る。例えば、理論的エネルギー閾値に達するように、硬組織の吸収層内で必要なエネルギーを蓄積するために、エネルギーは、熱拡散からの損失を補うよう、十分速く蓄積する必要があり得る。したがって、必要とされる最小フルエンス閾値がある。例えば、切除閾値は、反射率損失の補正後、それぞれ、9.6μmおよび10.6μmに対して約0.5および3J/cm2である。望ましいフルエンスは、爆発的な蒸発のための閾値を上回るが、残留エネルギーERを最小限化し、高い切除効率につながるものである。1μ秒の熱緩和時間および0.5J/cm2の切除閾値を考慮すると、一実施形態における低い残留エネルギーは、5μ秒パルス長および15J/cm2フルエンスで発生する。エナメル質の切除速度は、25J/cm2超で飽和し得、したがって、所望のフルエンスは、概して、約1から約25J/cm2の間である。しかしながら、最大約50J/cm2である、より高いフルエンスを使用できることに留意されたい。例えば、エナメル質の表面に穴を開けて、カバー層または被覆の接着を増加させるために、1J/cm2よりも低いフルエンスを使用することができる。

概して、硬組織の切除速度は、使用される平均レーザ出力に依存する。平均レーザ出力は、1パルスあたりの出力およびパルスの数の積、または1パルスあたりの出力×パルス繰り返し数として表すことができる。例えば、持続時間が25μ秒よりも長い、より長いパルスは、1パルスにつきより多くの物質を切除することができるが、例えば、持続時間が20μ秒よりも短い、より短いパルスは、歯の硬組織を切除することにおいてより効率的である。同様の平均出力を仮定すると、1パルスあたりの切除およびパルス繰り返し数の積によって、切除速度を決定することができる。したがって、より高い繰り返し数である、1秒あたりのより多くのパルスを、同じ平均出力に利用することができるため、より低い残留エネルギーレベルを有する、より短いパルス長は、より高い歯科切断効率につながり得る。実用的な懸念なしで、より高い平均出力は、より速い歯科用レーザシステム切除速度につながる。しかし、より高いレーザ平均出力は、より高い製品費用につながり得、しかも、人間の手は、約1〜2kHzの繰り返し数を上回る走査効率を制限する。最大4kHzの割合が採用されてもよい。加えて、硬組織へのレーザビームの適用および場所を正確に制御するため、例えば、クラウンまたは予備成形充填を受容するように輪郭を切断するために、コンピュータ制御されたロボットシステムが、有利には、採用されてもよい。

9.3μm波長の実験歯科用システムでは、1〜6J/cm2のフルエンスおよび最大400ヘルツの繰り返し数とともに、35〜75μ秒のパルス幅を使用した。一体型スキャナを伴う、この歯科用レーザシステムは、実質的に温度上昇を伴わずに歯の硬組織を切断するのに効果的であったが、非常にゆっくりとした切断であった。長いパルス長および低いフルエンスは、一般臨床用途には望ましくなく、回転歯科用バーを使用した従来の掘削システムより有意に良好ではない、切断速度につながった。

多くの既知の歯科用レーザシステムは、2.7〜3.0μmの波長において硬組織内の水を爆発させることによって動作する。水分吸収を通して硬組織を切断することは、「熱機械的」または「水媒介」切除と呼ばれる。急速な加熱中に、慣性閉じ込め水分は、周辺無機物基質の爆発的除去につながり得る、非常に大きな基礎構造圧力を生成することができる。3.0μmにおける、またはその付近の放射波長λでの硬組織切除のいくつかの研究は、大型の粒子が高速で排出されることを示し、水媒介爆発プロセスの機構を強く支持する。1つの市販の2.78μm波長歯科用レーザシステムは、最大50ヘルツの繰り返し数を有し、140μ秒の比較的長いパルス幅、32〜60J/cm2のフルエンスで動作する。このシステムの比較的高いパルスエネルギーは、同等の平均出力レベルに対応する、低い繰り返し数を必要とする。より長いパルス長、および関連するより高いパルスエネルギーもまた、歯におけるより高い残留エネルギーERにつながる。

約5〜20μ秒のパルス幅、約4〜15J/cm2のフルエンス、約250〜2000ヘルツの繰り返し数を用いて、9.4μm波長で動作するように、実験歯科用レーザシステムが構築された。波長、パルス幅、フルエンス、および繰り返し数等のこの歯科用レーザシステムのパラメータは、商業用システムのレベルに実質的に類似する平均出力レベルを提供し、2つのシステムの性能の比較を可能にする。

抜歯されたヒトの臼歯サンプルが、この実験システムを使用した、その上のエナメル質の切除に使用された。臼歯は、家庭用漂白剤の中に保管され、イソプロピルアルコールを用いて手で洗浄された。臼歯は、横向きに、または歯根によって、焼石膏の中に載置された。水溶性切断流体を使用し、ダイヤモンド先端ドリルおよび鋸を用いて熱電対穴が作成された。掘削された臼歯は、切断流体を除去するように、水道水を用いて手動で洗い流された。臼歯の最小限の調製は、歯科医院用途を模倣するように意図的に行われた。

臼歯サンプルは、Coherent(Bloomfield, CT)からのRF電源モデル番号D64/84 RF Amp/LC Filterで励起されたCoherent DiamondTM 225iスラブレーザを用いて照射された。レーザが光ビーム補正構成要素を含有するため、ビーム品質は、1.3のM2で特定される。レーザビームは、両方ともIntraAction Corporation(Bellwood, IL)からのRF電源モデル番号E41277とともにAOスイッチ、モデル番号AGM−4010AJ1MDによって、方向付けられ、変調された。レーザ変調パルスは、Laser Mechanisms(Novi, MI)からの関節動作アームモデル番号PLATA1042を通して送達された。レーザは、78mmFL平面/球面レンズを使用して、直径169μmのスポットサイズに集中させた。臼歯のうちのいくつかが、横向きに焼石膏の中に載置されたため、種々の臼歯咬頭領域の幾何学形状の差を排除するように、臼歯の比較的平坦な側面上で、切断試行が行われた。

臼歯は、135psiにおける圧縮空気を使用して、CoolMist Portamistモデル番号60M12による切断中に水和させられた。噴霧角は、切断角に対して約45°であり、切断角(すなわち、レーザビームの入射角)は、ほぼ90°、すなわち、切断面と垂直または直角であった。しかしながら、これらの角度は例証的であり、90°以外の切断角および45°以外の噴霧角も本発明の範囲内であることを理解されたい。 レーザパルス立ち上がり時間は、全てのレーザパルシングが75μ秒にわたって開始されるように、75μ秒と測定された。次いで、AOスイッチが、立ち上がり時間または下降時間を伴わずに5〜20μ秒パルス幅を生成するようにトリガされた。225iレーザの平均出力は、Coherentによって工場でチェックされ、Ophirモデル番号FL−30OA−LP−SH、およびOphir Nova、シリアル番号44797、光学出力表示計に接続されたモデル番号F−150A−SH−V1−ROHSの両方を用いて、最終構成で確認された。5、10、15、および20μ秒のパルス持続時間が、臼歯のエナメル質を切断するために、250、500、1000、および1500ヘルツの繰り返し数とともに使用された。動作中に測定されるような、このシステムのレーザおよび性能パラメータが、図5の表に提示される。

抜歯されたヒトの臼歯のうちのいくつかは、それらの歯根が焼石膏の中にある状態で載置された。歯は、幾何学形状が変化し、エナメル質の厚さが最大となる臼歯咬頭上で切断された。臼歯は、上記で説明されるように水和させられた。20μ秒パルス長および2kHz繰り返し数が使用されたことを除いて、上記で説明されるレーザ光学およびビーム送達構成が使用された。

臼歯の内部における種々の場所で温度の上昇を測定するように、熱電対が、臼歯における種々の場所に載置された。1つの熱電対が、臼歯根によって載置された。3つの他の熱電対が、それぞれ、エナメル質線(enamel line)より下側に、エナメル質線に、およびエナメル質線より上側に載置された。既製絶縁熱電対である、K型Chromel−Alumel、0.05″直径ケーブルが、小型のK型コネクタとともに、温度測定に使用された。熱電対は、良好に熱接触して掘削された穴の中に載置され、熱伝導性エポキシ、Resin Technology Group、部品番号DPO 12209−1を用いて、定位置で保持された。熱電対電圧が、Fluke 77系デジタル電圧計の中に直接載置されたFluke 80TK熱電対モジュール、モデル番号FLU890TKを使用して、温度に変換された。上記で説明されたものと同じ光学的構成が使用され、2kHz繰り返し数における20μ秒パルス長が利用され、3分にわたって連続的に切断した。

2つの付加的な臼歯が、歯根によって焼石膏の中に載置され、上記で説明されるように同じ光学系を用いて切断され、そして水和させられた。20μ秒パルス長および2kHz繰り返し数が、これら2本の臼歯の切断に使用された。

16本の臼歯が、重量によるエナメル質の除去速度を測定するために切断された。図6は、各臼歯が、パルス長および繰り返し数の独特の組み合わせ(例えば、5μ秒および250Hz、5μ秒および1.5kHz、15μ秒および250Hz、15μ秒および1kHz、20μ秒および1.5kHz等)を使用して切断される、16本の臼歯に対する除去速度を描写する。図6はまた、エルビウム歯科用レーザ等の従来のシステムを使用した、重量による平均切断速度も示す。一次補間によって得られた、予測される達成可能な切断速度も図6に示される。

レーザビームパラメータ(例えば、パルス長、繰り返し数、パルスエネルギー、焦点でのフルエンス等)に加えて、エナメル質切断速度に影響を及ぼすことができる変数は、臼歯の側面の平坦性、臼歯が抜歯されてからの経過時間、手持ち式レーザシステム切断先端の安定性を含む。約1kHz以上のパルス繰り返し数が使用されるとき、硬組織の標的領域の走査が使用されてもよい。実質的に着実にレーザビームを標的領域に方向付けることにより、切断速度に影響を及ぼすことができる。しかしながら、一般に、この実験システムは、約0.31および0.33cm3/分の体積除去速度を有するEr:YAGおよびEr:YSGGシステムを含む、既知のシステムよりも約5倍速かった。

5本の臼歯が、重量によるエナメル質の除去速度を測定するように切断された。これらの臼歯は、20μ秒パルス長、2kHz繰り返し数、9.7mJパルスエネルギー、および21J/cm2焦点フルエンスのパルスを送達するように構成された、レーザビームを用いて照射された。エナメル質、例えば、炭酸ヒドロキシアパタイトの典型的な平均密度は、2.94g/cm3である。(重量による)除去速度は、図7で提示される表に列挙される。

スポットサイズ(すなわち、治療領域の面積)およびスポットサイズを覆うエネルギープロファイルも、重要なパラメータである。例えば、より低いフルエンスでさえも、約20J/cm2のフルエンスをもたらす、より小さいスポットサイズ(例えば、直径が169μm)と比較して、約10J/cm2のフルエンスをもたらし得る、直径が約250μmのスポットサイズにおいて、より高い切断速度が達成された。より低いフルエンスでの増加した切断速度の理由のうちの1つは、スポットサイズを横断するエネルギー分布である。平面/凸面焦点レンズが使用されるとき、集中させたスポットエネルギープロファイルは、ガウス性であってもよく、すなわち、実質的な量のパルスエネルギーが、通常は、スポットの中心付近の領域である、レンズの焦点で、またはその付近で送達される。比較的少量のエネルギーが、スポットの残りの領域に送達される。場合によっては、スポットの焦点領域に送達されるエネルギーが、切除閾値を上回り得る一方で、非焦点領域に送達されるエネルギーは、切除閾値を下回り得る。切除エネルギーを下回る「ガウス性エネルギーパルスプロファイルの翼部(wing)」におけるエネルギー(すなわち、非焦点領域に方向付けられるエネルギー)は、組織の望ましくない加熱を引き起こす残留エネルギーとして吸収され得る。

したがって、エナメル質が実質的に焦点に位置付けられたときの切断は、切断面より下側に小さいクレーターを引き起こすことができる。焦点よりわずかに上側にエナメル質を位置付けることによって、焦点領域で、またはその付近で送達されるエネルギー量を低減させることができ、したがって、より少ないエネルギーが、切断表面より下側のエナメル質の切除部分において消費される。それに対応して、より多くのパルスエネルギーが、スポットサイズの非焦点領域中での切除に利用可能となり、それにより、標的スポットにおいて実質的に均一な切除を達成することができる。実質的に全てのパルスエネルギーが、硬組織の表面を切除するために利用されるように、非球面適合ビーム成形光学機器もまた、比較的少ないパルスエネルギーが焦点領域付近で送達され、比較的多くのエネルギーがスポットの非焦点領域に送達され得るように、焦点に「フラットトップ」または「トップハット」エネルギー分布を生成するために使用されてもよい。代替として、または加えて、非ガウス性になるように光パルスエネルギー分布を修正して、スポット全体におけるエネルギーを切除閾値よりも上に実質的に維持し、それにより、消費される残留エネルギーの量を低減させるために、適合光学機器が使用されてもよい。

本発明による、このシステムの性能が、商業用システムの性能と比較された。商業用システムが使用されたときに、炭化が歯において発生した。この例示的なシステムが、商業用システムよりも約5倍速く歯のエナメル質を切断したとしても、この例示的なシステムを使用した切断は、隣接組織の温度の大幅な上昇を引き起こさず、かつ炭化を引き起こさなかった。さらに、より大きいパルス長およびより大きいパルスエネルギーにより、商業用システムは、例示的なシステムと比較して、あまり正確ではなかった。商業用システムのより大きいパルスエネルギーもまた、歯の質感に影響を及ぼした場合がある。例えば、商業用システムを使用して切断された歯の底部で、エナメル質の一部が分離し、象牙質から剥離した。分離は、象牙質よりも速く熱膨張し、そこから機械的に分離し得る、エナメル質の望ましくない加熱によって引き起こされた場合がある。したがって、本発明は、より正確な除去場所に加えて、より高い除去速度を提供し、現在利用可能であるよりもはるかに好適な歯科治療システムをもたらす。

この例示的なシステムによって引き起こされる臼歯の内部組織の加熱を測定するために、4本の臼歯が、上記で説明されるようにその中に載置された熱電対を用いて切断された。第1の臼歯では、熱電対は、神経腔の中に位置した。第2の臼歯では、熱電対は、エナメル質線より下側に位置した。第3の臼歯では、熱電対は、エナメル質線に位置した。第4の臼歯では、熱電対は、エナメル質より上側に位置した。

4本の臼歯の温度プロファイルが、図8に示される。神経腔より約2mm上側に載置された熱電対では、治療の開始時に、臼歯の神経腔の温度は、臼歯への水霧の対流効果により降下し、次いで、わずかにのみ上昇して、実質的に最初の温度に達した。生体内で、臼歯は、より高い温度にあり、水霧は、これらの臼歯にさらに有意な冷却効果を及ぼすであろう。一般に、手順が残りの物質の温度を実質的に上昇させないことが望ましい。例えば、歯髄の温度上昇の上限として、最大約5℃の局所温度上昇が好適であり得る。患者の快適性を提供するように、より低い温度上昇値が、概して好ましい(例えば、最大約1〜3℃)。

上記で説明される切断実験は、例示的なレーザシステムが、従来の回転歯科用ハンドピースバーと少なくとも同じくらい迅速に、かつ従来の歯科用レーザシステムよりもはるかに迅速に切断できることを示す。本発明による、この例示的なシステム、従来のバー掘削システム、および従来の歯科用レーザシステムに対応する切断速度が、図9に示される。

前述の内容は、最良の様態であると見なされるもの、および/または他の好ましい実施形態を説明しているが、種々の修正をそれらに行うことができ、1つまたは複数の本発明は、種々の形態および実施形態で実装されてもよく、それらは、多数の用途で適用されてもよく、そのうちのいくつかのみが本明細書で説明されていると理解される。例えば、骨を切断すること、または輪郭形成すること等の他の(非歯科)用途で、説明されたレーザおよびレーザシステムを使用できる可能性がある。以下の請求項によって、各請求項の範囲内に入る全ての修正および変形例を含む、文字通り説明されるもの、およびその全ての同等物を主張することが意図される。

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