Laser processing equipment

申请号 JP2012090896 申请日 2012-04-12 公开(公告)号 JP5550674B2 公开(公告)日 2014-07-16
申请人 三菱電機株式会社; 国立大学法人北海道大学; 发明人 優 金岡; 平 荻田; 融 村井; 茂 但野; 正浩 東藤;
摘要 An osseointegration method of integrating bone and implant material includes, for integrating the bone and the implant material shortly and easily, a drilling step of drilling a hole in a bone 51 or implant material 52 through to a junction of the bone 51 and the implant material 52 by applying a laser beam to the bone 51 or the implant material 52, and an integrating step of integrating the bone 51 and the implant material 52 by applying a laser beam to the junction of the bone 51 and the implant material 52 through the hole drilled at the drilling step.
权利要求
  • 骨およびインプラント材にレーザ光を照射して前記骨およびインプラント材のレーザ加工を行うレーザ加工装置において、
    前記インプラント材および前記骨にレーザ光を照射することによって、前記インプラント材および前記骨に穴をあけるとともに前記骨と前記インプラント材とを接合するレーザ照射部と、
    前記骨とインプラント材とを接合させる際の加工条件を決定する加工条件決定部と、
    前記加工条件決定部が決定した加工条件に基づいて、前記レーザ照射部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記レーザ照射部が、前記インプラント材にレーザ光を照射して前記インプラント材に穴をあけ、かつ前記インプラント材に近接配置された骨にレーザ光を照射することによって前記インプラント材を溶融させるとともに前記骨に穴あけを行い、溶融させた前記インプラント材を膨張させた状態で前記骨の穴内に充填させることによって前記骨と前記インプラント材とを接合するよう、前記加工条件に基づいて前記レーザ照射部を制御することを特徴とするレーザ加工装置。
  • 前記インプラント材は前記骨の上部側に近接配置され、
    前記制御部は、
    前記レーザ照射部が、前記インプラント材の上部側から前記インプラント材にレーザ光を照射することによって前記インプラント材の上部側から前記骨に至る穴を前記インプラント材にあけ、かつ前記インプラント材にあけた穴を介して前記骨にレーザ光を照射することによって前記骨を穴あけするよう、前記加工条件に基づいて前記レーザ照射部を制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  • 前記加工条件は、前記インプラント材を溶融させる溶融時間、前記インプラント材を溶融させる溶融領域、前記インプラント材にレーザ光を照射する照射時間、前記インプラント材に照射するレーザ光の焦点位置、前記インプラント材に照射するレーザ光のエネルギーレベル、前記骨にレーザ光を照射する照射時間、前記骨に照射するレーザ光の焦点位置および前記骨に照射するレーザ光のエネルギーレベルの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
  • 骨およびインプラント材にレーザ光を照射して前記骨およびインプラント材のレーザ加工を行うレーザ加工装置において、
    予め穴があけられたインプラント材に対して近接配置された骨にレーザ光を照射することによって、前記骨に穴をあけるとともに前記骨と前記インプラント材とを接合するレーザ照射部と、
    前記骨とインプラント材とを接合させる際の加工条件を決定する加工条件決定部と、
    前記加工条件決定部が決定した加工条件に基づいて、前記レーザ照射部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記レーザ照射部が、前記骨にレーザ光を照射することによって前記インプラント材を溶融させるとともに前記骨に穴あけを行い、溶融させた前記インプラント材を膨張させた状態で前記骨の穴内に充填させることによって前記骨と前記インプラント材とを接合するよう、前記加工条件に基づいて前記レーザ照射部を制御することを特徴とするレーザ加工装置。
  • 前記インプラント材は前記骨の上部側に近接配置され、
    前記制御部は、
    前記レーザ照射部が、前記インプラント材の上部側から前記インプラント材にレーザ光を照射することによって、前記インプラント材の上部側から前記骨に至る前記インプラント材の穴を介して前記骨にレーザ光を照射し、照射したレーザ光によって前記骨を穴あけ するよう、前記加工条件に基づいて前記レーザ照射部を制御することを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
  • 前記加工条件は、前記骨にレーザ光を照射する照射時間、前記骨に照射するレーザ光の焦点位置および前記骨に照射するレーザ光のエネルギーレベルの少なくとも1つであることを特徴とする請求項4または5に記載のレーザ加工装置。
  • 骨およびインプラント材にレーザ光を照射して前記骨およびインプラント材のレーザ加工を行うレーザ加工装置において、
    前記インプラント材と前記インプラント材の横側に近接配置された前記骨との境界部にレーザ光を照射することによって、前記骨に穴をあけるとともに前記骨と前記インプラント材とを接合するレーザ照射部と、
    前記骨とインプラント材とを接合させる際の加工条件を決定する加工条件決定部と、
    前記加工条件決定部が決定した加工条件に基づいて、前記レーザ照射部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記レーザ照射部が、前記境界部にレーザ光を照射することによって前記インプラント材を溶融させるとともに前記骨に穴あけを行い、溶融させた前記インプラント材を膨張させた状態で前記骨の穴内に充填させることによって前記骨と前記インプラント材とを接合するよう、前記加工条件に基づいて前記レーザ照射部を制御することを特徴とするレーザ加工装置。
  • 前記加工条件は、前記インプラント材を溶融させる溶融時間、前記インプラント材を溶融させる溶融領域、前記境界部にレーザ光を照射する照射時間、前記境界部に照射するレーザ光の焦点位置および前記境界部に照射するレーザ光のエネルギーレベルの少なくとも1つであることを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。














  • 说明书全文

    本発明は、骨とインプラント材とを接合するレーザ加工装置に関するものである。

    近年、骨(骨組織)と生体材料であるセラミックや複合素材などのインプラント材とを接合させる技術(外科手術用の装置など)の開発が進められている。 このような、インプラント材と骨の接合においては、インプラント材と骨との接合中に相互の位置関係に僅かなずれが発生した場合であっても、その接合完了は大幅に遅れる。 また、僅かなずれに気づかずインプラント材と骨との接合を継続した場合、ずれを有した状態で最終結合してしまうこととなる。 従来、これらの相互の位置関係に僅かなずれを発生させないために、強固でしかも重量の大きな固定用の治具にてその結合個所を固定していたため、インプラント材と骨の接合には手間がかかった。

    さらに、インプラント材と骨の接合の強度を増すためには、チタンなどの金属性製結合ボルトを用いてインプラント材と骨とを完全に結合させた後、ボルトを撤去していたため、インプラント材と骨の接合に多大な時間を要し患部の治療などに多くの時間を費やしていた。 このため、骨とインプラント材の接合を短時間で容易に行なうことが望まれている。

    これまで、骨接着を助成して骨に対するインプラント材(外科用の移植材料)の位置を安定化するために、インプラント材にテクスチャ加工表面を使用して、骨組織とインプラント材とを短時間で結合させていた。 例えば、患者の大腿骨内に定着する大腿骨副集合体および患者の股臼内に定置する股臼副集合体かなる人工臀部においては、大腿骨副集合体が例えばテクスチャー加工表面を設けられた人工幹を含んでおり、股臼集合体が例えばテクスチャー加工面を設けられた人工カップを含んでいる。

    これらのテクスチャー加工表面は、骨の増殖を促進するために設けられているものであるが、骨とインプラント材の結合までには、(1)位置決め、(2)ギプスによる固定、(3)骨の増殖の工程を必要とし、最終的な完治の固定(接合)までには数ヶ月の期間を要することもあった。

    例えば、特許文献1のレーザ加工方法では、インプラント材と骨との「スクラッチ嵌合」を容易にするアンダーカットおよび相互結合凹部を含む表面を提供して、インプラント材と骨との接合時間を短縮し、安定化させている。

    また、特許文献2のレーザ加工方法は、酸化リン灰石により強に吸収される波長のレーザ光線を発生し、歯組織を切断している。 また、特許文献3のレーザ加工方法では、ヒドロキシアパタイトに強吸収される波長のレーザ光線を発生させ、歯のエナメル質ならびに象牙質および骨を含む無機質化生理組織を切除している。

    また、特許文献4に記載のレーザ加工方法は、歯のエナメル質や象牙質の2.0から3.0μmの波長を持つレーザ光によって歯のエナメル質や象牙質を取り除いている。 また、特許文献5に記載のレーザ加工方法では、9.6μmの放出波長を有するレーザを使用して、骨物質、歯の硬質物質および動脈硬化性沈着を剥離している。

    また、これまで、骨との間で強固な接合を容易に行なえるインプラント材の研究として、骨の接着を助成して骨に対するインプラント材の位置を安定化させる技術の研究が進められている。 例えば、多孔性生態材料に関する技術は、細胞浸潤性に優れる特性として期待され、盛んに研究が行われている。

    従来までの多孔性生態材料に関する研究では、セラミックス本来の剛性を保つことができないスポンジ状構造体に関する研究であったり、製造工程が複雑で品質的にばらつきが多くなる多孔相を基材に接合する研究であった。 また、生成した孔の寸法制御が困難になるアパタイト粉末を溶射する研究であったり、セラミックスの表面のみへの凹凸生成で、その内側構造への検討がなされていない研究であった。 また、従来までのレーザ加工方法では、インプラント材などの除去加工を行なっているが、表面改質に関する検討は全くなされていない。

    例えば、特許文献6には、炭酸アパタイトをスポンジ状に呈した多孔質や超多孔質に設定し、これをコラーゲンと複合化する技術が開示されている。 また、特許文献7には、ヒドロキシアパタイトとゲル状コラーゲンを有するスポンジを、形成外科用骨補填材料として使用する技術が開示されている。 また、特許文献8,9には、骨補填材料の設計において基材全体に多孔性を付与する技術が開示されている。

    また、特許文献10には、緻密基体と多孔質基体とを別工程で作成した後、接触させた状態で乾燥させ焼結する技術が開示されている。 また、特許文献11には、ガラス層にアパタイト粉末を混合分散し、焼成後にエッチングで空孔を露出させる技術が開示されている。 また、特許文献12には、ハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムの粉末をプラズマアークを使用して基材表面に溶着させる技術が開示されている。

    特開2002-301091号公報

    特開平4−53550号公報

    特開平4−300535号公報

    特開平2−504478号公報

    特開昭62−502170号公報

    特開2003−169845号公報

    米国特許第5071436号明細書

    米国特許第5776193号明細書

    米国特許第6187047号明細書

    特開昭64−37475号公報

    特開平6−7425号公報

    特開昭64−52471号公報

    しかしながら、上記1つ目の従来技術では、骨の増殖を促進することはできるが、骨とインプラント材の間を短時間で容易に固定(接合)することはできないといった問題があった。

    また、上記2つ目の従来技術では、水酸化リン灰石によって強力に吸収される波長のレーザ光線を発生させて歯組織を切断しているため、他の物質の切断や接合を短時間で容易に行なえないといった問題があった。

    また、上記3つ目および4つ目の従来技術では、無機質化生理組織の切断除去はできるが、歯とインプラント材の穴空けや接合には対応できないといった問題があった。

    また、上記5つ目の従来技術では、骨物質などの除去加工後に骨とインプラント材の接合を容易に行なうことはできず、骨とインプラント材の間を短時間で容易に接合することはできないといった問題があった。

    また、上記1つ目の従来技術では、インプラント材と骨との接合面のみに凹凸部を提供しているので、インプラント材料内部への組織の浸潤浸透がほとんど起こらない。 このため、インプラント材と骨との間の強固な接合を短時間で行なうことができないといった問題があった。

    また、上記5つ目の従来技術は、硬質物質および動脈硬化性沈着の除去加工に関するものであり、インプラント材の組織の浸潤浸透がほとんど起こらない。 このため、インプラント材と骨との間の強固な接合を短時間で行なうことができないといった問題があった。

    また、上記6つ目〜9つ目の従来技術では、細胞浸潤性に優れたアパタイトの構造の要素として気泡の重要性が指摘されているが、アパタイト材料全体が同一の気泡割合や同一の結晶構造を有する素材となっている。 このため、気泡割合が多い素材、スポンジ状の素材、多孔性材料などによって成形された生体部品は、強い応力の加わる部分に使われた場合に破損する恐れがある。 このことから、これらの生体部品は、比較的小さな応力が加わる部分へしか適用することができないといった問題があった。 さらに、これらの生体部品の製造工程は複雑であり、品質管理が困難であるといった問題があった。

    また、上記10番目〜12番目の従来技術では、表面改質部分の素材と基材とを別工程で製造するとともに、これらの製造工程とは別に表面改質部分の素材と基材とを接合する工程を要するため、工程が複雑になるといった問題があった。 このため、品質管理が複雑になり、完成品の寸法精度が悪化するといった問題があった。

    本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、骨とインプラント材との間を短時間で容易に接合するレーザ加工装置を得ることを目的とする。

    上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、骨およびインプラント材にレーザ光を照射して前記骨およびインプラント材のレーザ加工を行うレーザ加工装置において、 前記インプラント材および前記骨にレーザ光を照射することによって、前記インプラント材および前記骨に穴をあけるとともに前記骨と前記インプラント材とを接合するレーザ照射部と、前記骨とインプラント材とを接合させる際の加工条件を決定する加工条件決定部と、前記加工条件決定部が決定した加工条件に基づいて、前記レーザ照射部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記レーザ照射部が、前記インプラント材にレーザ光を照射して前記インプラント材に穴をあけ、かつ前記インプラント材に近接配置された骨にレーザ光を照射することによって前記インプラント材を溶融させるとともに前記骨に穴あけを行い、溶融させた前記インプラント材を膨張させた状態で前記骨の穴内に充填させることによって前記骨と前記インプラント材とを接合するよう、前記加工条件に基づいて前記レーザ照射部を制御することを特徴とする。

    この発明によれば、骨とインプラント材との接合位置にレーザ光を照射して骨とインプラント材とを接合させるので、骨とインプラント材とを短時間で容易に接合することが可能になるという効果を奏する。

    図1は、実施の形態に係るレーザ加工装置の構成を示すブロック図である。

    図2は、骨にレーザ光を照射して穴あけを実施した場合の処理結果を示す図である。

    図3は、インプラント材にレーザ光を照射して溶融させた場合の処理結果を示す図である。

    図4は、骨とインプラント材の境界部分にレーザ照射を行なった場合の接合処理を説明するための図である。

    図5は、下部がインプラント材で上部が骨である被加工物の上部からレーザ照射を行なった場合の接合処理を説明するための図である。

    図6は、下部が骨で上部がインプラント材である被加工物の上部からレーザ照射を行なった場合の接合処理を説明するための図である。

    図7は、厚板の骨とインプラント材の接合処理を説明するための図である。

    図8は、薄板の骨とインプラント材を接合した場合の画像を示す図である。

    図9は、本発明の実施の形態2に係るアパタイトの構造を示す図である。

    図10は、発泡層の含有成分の分析結果の一例を示す図である。

    図11は、骨の欠損部へインプラント材を充填してアパタイトを製造する手順を説明するための図である。

    図12は、図11に示した手順によって製造したアパタイトの画像を示す図である。

    図13は、インプラント材の上面に骨を配設してアパタイトを製造する手順を説明するための図である。

    図14は、アパタイト表面層を溶融させるための加工条件の一例を示す図である。

    以下に、本発明に係るレーザ加工装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。 なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。

    実施の形態1.
    図1は、本発明の実施の形態に係るレーザ加工装置の構成を示すブロック図である。 レーザ加工装置1は、レーザ照射部10、エネルギーレベル制御部21、レーザ切替制御部22、焦点位置制御部23、加工条件決定部30、輝度検出部41、時間計測部42を備えている。

    なお、ここでのエネルギーレベル制御部21、レーザ切替制御部22、焦点位置制御部23が特許請求の範囲に記載の制御部に対応し、ここでの輝度検出部41、時間計測部42が特許請求の範囲に記載の加工状態検出部に対応する。 また、輝度検出は作業者の熟練度に応じて、熟練した作業者の視覚的判断で処理することも可能であるため、輝度検出部41を備えない装置でも対応することはできる。

    レーザ加工装置1は、インプラント材(人口骨や人工歯根)と骨(歯)との接合工程(結合工程)において、骨の増殖が十分促進するまでの間および将来に渡ってインプラント材と骨との接合位置関係を強固に保つため、所定の制御に基づいてインプラント材や骨にレーザを照射する装置である。 ここでのレーザ加工装置1は、インプラント材や骨にレーザを照射して、インプラント材や骨への穴あけを行なうとともに、インプラント材と骨の接合を行なう。

    レーザ照射部10は、インプラント材や骨などの被加工物にレーザを照射する。 レーザ照射部10は、エネルギーレベル制御部21、レーザ切替制御部22、焦点位置制御部23と接続しており、エネルギーレベル制御部21、レーザ切替制御部22、焦点位置制御部23の制御に基づいて所定の加工条件でインプラント材や骨にレーザ照射を行なう。

    レーザ切替制御部22は、加工条件決定部30からの指示に基づいて、レーザ照射部10が被加工物に照射するレーザ光の種類を切替させる。 レーザ切替制御部22は、例えばCO 2レーザ、YAG(Yttrium Aluminium Garnet)レーザ、COレーザ、UV(Ultra Violet rays)−YAGレーザ、グリーンレーザ、エキシマレーザなどから1つのレーザ光を選択してレーザ照射部10が被加工物に照射するレーザ光の種類を切替させる。

    焦点位置制御部23は、加工条件決定部30からの指示に基づいて、レーザ照射部10が被加工物に照射するレーザ光の焦点位置を制御する。 エネルギーレベル制御部21は、加工条件決定部30からの指示に基づいて、レーザ照射部10が被加工物に照射するレーザ光のエネルギーレベルを制御する。

    加工条件決定部30は、所定の加工条件でインプラント材や骨にレーザ照射を行なうよう、エネルギーレベル制御部21、レーザ切替制御部22、焦点位置制御部23に指示を送る。 加工条件決定部30は、被加工物に照射するレーザ光のエネルギーレベルに関する指示をエネルギーレベル制御部21に送り、被加工物に照射するレーザ光の種類に関する指示をレーザ切替制御部22に送り、被加工物に照射するレーザ光の焦点位置に関する指示を焦点位置制御部23に送る。

    加工条件決定部30は、輝度検出部41から受けた被加工物の輝度や時間計測部42から受けた計測時間(レーザ加工を開始してからの時間など)に基づいて、インプラント材や骨にレーザ照射を行なう際の加工条件を決定し、決定した加工条件に基づいてエネルギーレベル制御部21、レーザ切替制御部22、焦点位置制御部23に指示を送る。

    輝度検出部41は、被加工物の加工状態として被加工物の輝度(被加工物のレーザ光照射部の輝度)を検出し、加工条件決定部30に送る。 時間計測部42は、被加工物の加工状態としてレーザ加工を開始してからの経過時間、インプラント材の穴あけを開始してからの経過時間、骨の穴あけを開始してからの経過時間、インプラント材と骨を接合するために接合部分(骨とインプラント材の結合部分)にレーザ光を照射した場合の経過時間などを計測し、計測中の経過時間を加工条件決定部30に送る。

    なお、ここでのインプラント材としては、例えばチタンやステンレスなどの金属、レジンなどの樹脂、アパタイトセラミックスなどの生体活性セラミックスやアルミナセラミックスなどの生体不活性セラミックスなどを用いる。 なお、これら以外の材料をインプラント材として用いてもよい。

    つぎに、レーザ加工装置1による具体的なレーザ加工処理について説明する。 レーザ加工装置1のレーザ照射部10は、例えばレーザ光として直径約0.3mm以下に集光させたエネルギ密度が10 3 W/cm 2以上の高エネルギ密度を適用する。 これにより、レーザ光による加工領域を絞る(局部的にする)ことが可能となり、かつ短時間で被加工物への穴あけ加工や溶融加工が可能となる。 また、レーザ加工装置1は、加工条件決定部30による加工条件(レーザ光の出力条件)の選択(決定)によって、被加工物を溶融させる時間(溶融時間)、被加工物の溶融範囲を制御することができる。 また、レーザ加工装置1は、加工条件決定部30による加工条件の選択によって、金属、樹脂、セラミックスなどの被加工物を幅広く穴あけ処理や溶融処理することができる。

    つぎに、レーザ加工装置1による具体的なレーザ加工処理として、被加工物の穴あけ処理について説明する。 図2は、骨にレーザ光を照射して穴あけを実施した場合の処理結果を示す図である。 ここでは、厚さ10mmの骨にCO 2レーザ(レーザ光の出力が500W)を照射した場合の骨の上面を示している。 図2では、照射したレーザ光のビームオン(照射オン)時間を0.5秒と1.0秒として穴あけを実施した場合の骨の外観写真(穴径を拡大させた結果)を、焦点位置Z毎に示している。

    焦点位置Z=0は、焦点を骨表面に合わせた場合であり、焦点位置Z=5は、焦点を骨表面から上方に5mmずらした場合であり、焦点位置Z=10は、焦点を骨表面から上方に10mmずらした場合である。

    図2に示すように、焦点位置のずれ量が大きくなるに従って、骨表面でのレーザ光のビーム径が大きくなり、エネルギー密度が低下している。 このため、焦点位置上方での加工の方が焦点位置下方での加工よりも穴径は大きくなるが、穴深さは小さくなっている。 すなわち、焦点位置上方ではビーム径の増加に伴って穴径は大きくなり、穴深さは小さくなる。

    レーザ加工装置1によって、骨の治療を行なう場合、レーザ加工によって達せられる加工部分の熱影響を小さくすることは、治療期間の短縮や正常細胞への悪影響を抑える上で非常に有効である。

    ここでは、何れの加工条件(焦点位置0〜10mm、ビームオン時間(レーザ照射時間)0.5秒または1.0秒)においても穴径は約0.4mm〜1.5mmの範囲内で加工(制御)できており、穴周囲に発生する熱影響は約0.1〜0.3mmと極めて僅かな領域の範囲に制限される。

    図2に示した焦点位置10mmでの穴径よりも穴径をさらに大きくする必要がある場合には、焦点位置10mmよりも上方に焦点位置を設定すればよい。 また、図2に示したビームオン時間0.5秒での穴径よりも穴径をさらに小さくする必要がある場合にはビームオン時間を0.5秒よりも小さくすればよい。

    なお、レーザ光による穴加工は、被加工物の表面側から内部へ加工が進展するに従って、レーザエネルギーが加工で消費されて減衰するため、穴径は内部ほど小さくなる。 また、CO 2レーザの波長の10分の1の波長である1.06μmのYAGレーザを用いて穴あけ加工を行なった場合であっても、CO 2レーザと同様に熱影響の小さな穴加工が可能である。

    また、穴あけ加工では、レーザ光の波長が紫外線領域となるUV−YAGレーザやエキシマレーザ、可視光領域となるグリーンレーザを使用すると、紫外線光や可視光による電子励起の結合分解が起こって光化学加工(アブレーション加工)となり、骨やインプラント材などへの熱影響を赤外レーザであるCO 2レーザやYAGレーザよりも小さくすることが可能である。

    また、UV−YAGレーザ、エキシマレーザ、グリーンレーザを用いて、骨やインプラント材へ穴加工を実施すると、赤外レーザであるCO 2 、YAGレーザよりも微小な穴加工が可能である。 すなわち、使用するレーザの種類(赤外レーザであるCO 2レーザやYAGレーザ、紫外レーザであるUV−YAGレーザ、エキシマレーザ、グリーンレーザ)に関わらず、熱影響の小さな骨およびインプラント材への穴あけ加工が可能である。

    なお、穴あけ処理は、CO 2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ、UV−YAGレーザなどの何れのレーザ光も適しており、接合処理はCO 2レーザやYAGレーザなど赤外波長を有するレーザ光が適している。

    なお、レーザ加工装置1によって、被加工物の穴あけ加工と接合加工を連続して行うためには、これら両方の加工をレーザで行ってもよいし、穴あけの熱影響を低減させるために切削などによって予め穴あけを行う工程を実施し、その穴を利用して接合を行うためのレーザ光を照射してもよい。

    つぎに、レーザ加工装置1からのレーザ光によるインプラント材の接合処理について説明する。 図3は、インプラント材にレーザ光を照射して溶融させた場合の処理結果を示す図である。 ここでは、インプラント材がセラミックの一種であるアパタイトである場合のインプラント材の上面および断面の一例(種々の熱サイクル下で観察されるアパタイトの溶融状態の一例)を示している。

    図3の写真(上面)において中央部に穴があり、その周辺に黒色に見える部位が溶融している領域である。 レーザ光が照射された中央部は被加工物を一気に溶融から蒸発させるまで温度上昇が発生し、穴が形成されている。 一方、穴周辺の部分では、蒸発にいたるまでの熱サイクルが付加されず、溶融から凝固への変化形態をとる。 したがって、インプラント材(アパタイト)の溶融処理では、レーザ光の照射条件を変更することによって溶融部の拡大が図れる。

    ここでは、波長1.06μmのYAGレーザを用い、レーザ光照射の出力は250W、焦点位置Zは5mmの一定に設定し、ビームオン時間を0.5秒、9.0秒、12.0秒に変化させた場合の溶融部の状態を示している。 なお、ここでのアパタイトの主成分はリン酸カルシウムであり、フリットはコディエライトである。

    レーザ照射時間を長くすると、レーザ光照射部の溶融領域が1.7mmから2.3mmに拡大する。 なお、ここでは図示していないが、焦点位置を変化させることによって、溶融領域を増大させることができる。 また、レーザ出力を変化させることによって溶融深さを大きくすることが可能になる。

    一般的に、セラミックの局部的加熱による溶融では、被加工物の膨張と収縮によりクラックが発生してしまうため、炉中で被加工物全体を過熱し溶融と接合を行う。 しかしながら、外科的手術の現場では、このような加工法をとることは空間的にも生体への悪影響を与える面からも困難である。 実施の形態のレーザ加工装置1(レーザ照射部10)によるレーザ加工は、外科手術の際にも狭い空間で生体へ悪影響を及ぼすことなくクラックの発生しないセラミックの溶融を可能としている。 換言すると、レーザ加工装置1(レーザ照射部10)からのレーザ光による加熱は、加工条件決定部30による加工条件の指示(エネルギーレベル制御部21、レーザ切替制御部22、焦点位置制御部23からの制御)によって、被加工物を温度上昇させる領域が空間的および時間的にクラック発生を抑える範囲内で加工を終了させる特長を有しており、外科的手術方法としても有効である。

    また、レーザ照射の時間は長く設定するほど溶融領域が拡大するため、接合の強度に応じてレーザ照射の時間を変更する。 すなわち、加工条件決定部30は、接合に強い強度を要求する場合はレーザ照射時間を長く設定し、接合に強い強度が必要でない場合にはレーザ照射時間を短く設定する。 加工条件決定部30は、ユーザからの指示(入力手段からの指令)に基づいてレーザ照射時間を設定してもよいし、輝度検出部41が検出する輝度に基づいてレーザ照射時間を設定してもよい。

    また、レーザ加工装置1は、焦点位置の調整や集光光学部品の選択によっても溶融領域を拡大することができる。 このため、加工条件決定部30は、溶融領域に応じた焦点位置を加工条件として選択し、焦点位置制御部23に指示する。 また、レーザ加工装置1において、レーザ加工毎に溶融領域に応じた集光光学部品を選択可能な構成としておいてもよい。 例えば、加工条件決定部30からの指示に基づいて自動で集光光学部品を変更するようレーザ加工装置1を構成しておく。 なお、レーザ加工装置1の使用者が予め手動で集光光学部品を変更してもよい。

    また、加工条件決定部30は、被加工物から有害で副次的な効果を発生させないエネルギーレベルで穴あけを行なうよう加工条件を決定してエネルギーレベル制御部21に指示を送る。

    つぎに、レーザ加工装置1による被加工物の接合処理(異なる材料同士の接合)について説明する。 まず、骨とインプラント材の境界部分にレーザ照射を行なった場合の接合処理について説明する。

    図4は、骨とインプラント材の境界部分にレーザ照射を行なった場合の接合処理を説明するための図である。 例えば、骨51として板厚3mmの骨を用い、インプラント材52としてリン酸カルシウムを主成分とするセラミックスを用いて被加工物の接合処理を行なう。 また、レーザ光は波長10.6μmのCO 2レーザを用い、加工条件はレーザ出力250W,レーザ光照射時間0.5秒、焦点位置3mm上方として被加工物の接合処理を行なう。

    レーザ光の照射位置を骨51とインプラント材52の境界部として、レーザ加工装置1が被加工物にレーザ光を照射すると瞬時に骨51に穴があきインプラント材52は溶融する。 レーザ加工装置1がさらにレーザ照射を続けると、その後インプラント材52の溶融物が骨51の穴部に進入する。 そして、溶融したインプラント材52が凝固に至って、骨51とインプラント材52の接合が完了する。 このように、レーザ加工装置1は、骨51とインプラント材52の沸点の差を利用している。 すなわち、骨51はインプラント材52よりも沸点が低いため、レーザ加工装置1からのレーザ照射によって穴があき、インプラント材52は溶融するだけで穴はあかない。 そして、穴のあいた沸点の低い骨51側に沸点の高いインプラント材52が流れ込み、骨51とインプラント材52が接合する。

    レーザ光の照射位置を骨51とインプラント材52の境界部として被加工物を接合させる際、レーザ加工装置1の輝度検出部41は、レーザ光の照射位置(骨51とインプラント材52の境界部)の輝度を検出する。 輝度検出部41が検出した輝度は、加工条件決定部30に送られる。

    加工条件決定部30は、輝度検出部41が検出した輝度に基づいて、レーザ光の照射位置に応じたレーザ光、エネルギーレベル、焦点位置を選択(決定)する。 このとき、加工条件決定部30は、予め設定された加工条件(インプラント材52の種類、骨51の強度、被加工物の加工領域、所望の接合強度など)を用いて、レーザ光、エネルギーレベル、焦点位置を選択してもよい。

    加工条件決定部30は、時間計測部42が計測するレーザの照射時間や輝度検出部41が検出する輝度に基づいて、所定時間だけ被加工物にレーザ照射を行なわせ、骨51とインプラント材52の接合を完了する。

    このように、骨51とインプラント材52の接合にレーザ光を用いるので、瞬時に良好(強固)な接合部が得られる。 また、加工条件決定部30は、輝度検出部41が検出した輝度や時間計測部42が計測する時間に基づいて加工条件を決定し、レーザ照射を行なっているので、被加工物に応じた適切なレーザ照射を行なうことができ、被加工物(骨51とインプラント材52の境界部)に応じた適切な接合を行なうことが可能となる。

    また、レーザ加工装置1による被加工物の接合では、骨51やインプラント材52の厚みに関わらず良好な接合部が得られる。 このため、種々の生体部位に対してもレーザ光による接合処理が可能となる。

    なお、ここではインプラント材52にリン酸カルシウムを用いたが、リン酸カルシウム以外のセラミックスを用いてもよい。 また、レーザ加工装置1がレーザ光としてYAGレーザを用いた場合であっても、YAGレーザはファイバー伝送ができるため、CO 2レーザよりも容易に医療現場へ適用できる。 また、骨とインプラント材の境界部分にレーザ照射を行なう場合に、レーザ加工装置1がレーザ光としてYAGレーザを用いた場合であっても、CO 2レーザと同様に良好な接合部を得ることができる。

    つぎに、骨51とインプラント材52の接合面に略垂直な方向からレーザ照射(継ぎ手へのレーザ照射)を行なった場合の接合処理について説明する。 ここでは、まず下部がインプラント材52で上部が骨51である被加工物の上部(骨51側)からレーザ照射を行なって骨51とインプラント材52を接合する場合について説明し、その後、下部が骨51で上部がインプラント材52である被加工物の上部(インプラント材52側)からレーザ照射を行なって骨51とインプラント材52を接合する場合について説明する。

    図5は、下部がインプラント材で上部が骨である被加工物の上部からレーザ照射を行なった場合の接合処理を説明するための図である。 例えば、骨51には板厚3.0mmの牛骨を用い、インプラント材52にはリン酸カルシウムを主成分とするセラミックスを用いて被加工物の接合処理を行なう。

    予め骨51とインプラント材52とを密着させておく。 レーザ加工装置1は、まず第1ステップとしてレーザ光を骨51に照射して骨51の穴あけを実行する(図5の中央に示す状態)。 さらに、第2ステップとして骨51の穴部(穴あけされた箇所)を介してインプラント材52にレーザ光を照射し、骨51とインプラント材52を接合する(図5の右に示す状態)。

    レーザ加工装置1の加工条件決定部30は、輝度検出部41が検出した輝度、時間計測部42が計測する時間、予め設定された加工条件に基づいて、被加工物の加工条件を決定する。 なお、加工条件決定部30は、骨51とインプラント材52との密着状態や要求強度(骨51とインプラント材52との接合(加工後))に要求される強度に基づいて、被加工物の加工条件を決定してもよい。 レーザ加工装置1は、骨51への穴あけを目的とした第1ステップとして、例えばレーザ出力400W,焦点位置30mm上方、照射時間0.2秒の加工条件で骨51のレーザ加工を行なう。

    レーザ加工装置1によって骨51への穴あけが完了すると、輝度検出部41が検出する輝度が変化する。 これにより、レーザ加工装置1は、骨51の穴部(インプラント材52の表面)にレーザ光を照射して骨51とインプラント材52を接合させることを目的とした第2ステップとして、例えばレーザ出力500W、焦点位置30mm上方、照射時間1.0秒の加工条件でレーザ加工を行なう。

    なお、レーザ加工装置1は、時間計測部42が計測する時間に基づいて、第2ステップの加工条件を変更してもよい。 すなわち、加工条件決定部30は、予め設定された骨51の板厚、インプラント材52の種別、第1ステップで決定した加工条件などを用いて、骨51の穴あけが完了する時間を算出しておき、この算出した時間を用いて第2ステップへの加工条件に切り換えてもよい。

    レーザ加工装置1が第1ステップのレーザ加工処理を実施した後に骨51(牛骨)を観察すると、例えばレーザ照射側の穴径(円柱の上面)は2.6mm、レーザ照射と反対側の穴径(円柱の下面)は1.0mmとなり、テーパ形状を有した穴加工となる。

    また、レーザ加工装置1が第2ステップのレーザ加工処理を実施した後に被加工物(加工試料)を確認すると、例えば骨51とインプラント材52が良好に強く接合されている。 これは、骨51側からレーザ光を照射すると、インプラント材52の溶融部に骨成分が混合され、その結果混合部が膨張して骨の穴部分に充填されるよう膨張がおきるからである。 すなわち、レーザ加工装置1は膨張させたインプラント材52を骨51に開けられた穴に充填させるよう被加工物にレーザ照射を行なっている。 これにより、レーザ加工装置1のレーザ加工によってテーパ形状の加工が施された骨51の穴に対してインプラント材52の溶融物が膨張して接合し、接合部が引張強度とはく離強度に関して高い接合強度を有することとなる。

    また、下部がインプラント材で上部が骨である被加工物の上部からレーザ照射を行なった場合に、レーザ加工装置1がレーザ光としてYAGレーザを用いた場合であっても、CO 2レーザと同様に良好な接合部を得ることができる。

    図6は、下部が骨で上部がインプラント材である被加工物の上部からレーザ照射を行なった場合の接合処理を説明するための図である。 ここでは、例えば、骨51には板厚3.0mmの牛骨を用い、インプラント材52にはリン酸カルシウムを主成分とするセラミックスを用いて被加工物の接合処理を行なう。 レーザ加工装置1は、例えば波長10.6μmのCO 2レーザを用いてレーザ加工を行う。

    インプラント材52がレーザ照射側となる場合、図5で説明した現象とは異なる接合プロセスを経て骨51とインプラント材52が接合する。 すなわち、インプラント材52がレーザ照射側の場合、まずレーザ光によってインプラント材52に穴あけが施される(第1ステップ)。 次に、レーザ光によってインプラント材52の穴壁面が溶融する(第2ステップ)。 さらに、レーザ照射を続けると、レーザ光によって骨51に穴があき、インプラント材52の溶融物が骨51の穴部に埋め込まれる(第3ステップ)。

    具体的には、レーザ加工装置1によってインプラント材52への穴あけが完了すると、輝度検出部41が検出する輝度が変化する。 これにより、レーザ加工装置1は、インプラント材52の穴部(骨51の表面)にレーザ光を照射してインプラント材52の穴壁面を溶融させることを目的とした第2ステップとして、所定の加工条件でレーザ加工を行なう。 また、レーザ加工装置1によって穴壁面のインプラント材52が溶融すると、輝度検出部41が検出する輝度が変化する。 これにより、レーザ加工装置1は、骨51への穴あけと穴部へのインプラント材52の埋め込みを目的とした第3ステップとして、所定の加工条件でレーザ加工を行なう。

    なお、図5で説明した接合処理と同様に、レーザ加工装置1は、時間計測部42が計測する時間に基づいて、第2ステップの加工条件を変更してもよい。 すなわち、加工条件決定部30は、予め設定された骨51の板厚、インプラント材52の種別、第1ステップで決定した加工条件などを用いて、骨51の穴あけが完了する時間を算出しておき、この算出した時間を用いて第2ステップ、第3ステップへの加工条件に切り換えてもよい。

    また、下部が骨で上部がインプラント材である被加工物の上部からレーザ照射を行なった場合に、レーザ加工装置1がレーザ光としてYAGレーザを用いた場合であっても、CO 2レーザと同様に良好な接合部を得ることができる。

    つぎに、インプラント材52と厚板(板の厚さが厚い板)の骨51を骨51側からレーザ照射した場合の接合処理について説明する。 ここでは、板厚10mmの牛骨ブロック(骨51)とインプラント材52の接合を行なう場合について説明する。

    図7は、厚板の骨とインプラント材の接合処理を説明するための図である。 例えば、インプラント材52にはリン酸カルシウムを主成分とするセラミックスを用いて被加工物の接合処理を行なう。

    下部がインプラント材52で上部が厚板の骨51である被加工物の上部(骨51側)からレーザ照射を行なって骨51とインプラント材52を接合する際、レーザ加工装置1は、例えば波長10.6μmのCO 2レーザを用いてレーザ加工を行う。 ここでは、接合時間と骨51の穴あけ時間の短縮を図るため、例えば骨51の穴あけ処理と接合処理(骨51とインプラント材52の接合処理)を同一の加工条件下で行なう。

    レーザ加工装置1は、例えばレーザ出力500W、焦点位置20mm上方、照射度(インプラント材52の上面に対する照射角度)45度、レーザ照射時間1.0秒の加工条件でレーザ加工を行う。 ここでは、例えば骨51とインプラント材52の境界より骨51側に0.3mmずらした位置を加工位置としてのレーザ加工装置1にレーザ照射を行なわせる。

    骨51とインプラント材52の接合のプロセスは図4で説明したプロセスと同じである。 すなわち、まずレーザ光によって骨51に穴あけが施され(第1ステップ)、レーザ光によって溶融したインプラント材52が骨の穴方向に膨張して接合がなされる(第2ステップ)。 このように、図7に示した接合処理においてもレーザ加工装置1は、骨51とインプラント材52の接合にレーザ光を用いるので、瞬時に良好な接合部が得られる。

    つぎに、インプラント材52と薄板(板の厚さが薄い板)の骨51を骨51側からレーザ照射した場合の接合処理について説明する。 図8は、薄板の骨とインプラント材を接合した場合の画像を示す図である。 図8に示すように骨51が薄板の場合であっても、骨51が厚板の場合と同様に、レーザ加工装置1は、骨51とインプラント材52の接合にレーザ光を用いるので、瞬時に良好な接合部が得られる。 すなわち、レーザ加工装置1は、骨51の厚みによらず、レーザ光によって骨51とインプラント材52と接合することができる。

    なお、厚板の骨51や薄板の骨51とインプラント材52を接合する場合に、レーザ加工装置1がレーザ光としてYAGレーザを用いた場合であっても、CO 2レーザと同様に良好な接合部を得ることができる。

    なお、レーザ加工装置1は、何れのレーザ発振器や集光光学部品を用いてもよい。 レーザ加工装置1は、例えば穴あけの工程では、高いエネルギ密度を得ることが可能なレーザ発振器や集光光学部品を用いることによって微小な穴を得ることが可能となる。

    また、レーザ加工装置1は、高いエネルギー密度のレーザ発振器や集光光学部品を用いることによって、骨51やインプラント材52への熱影響を小さくすることが可能となる。

    ところで、良好な接合部が得られる場合と、良好でない接合がなされる場合とでは、接合部近傍の輝度が異なる。 このため、例えば、輝度のモニタリングを行なわずにレーザ加工を行なうと、穴あけや接合に必要な入熱量以上のレーザエネルギーが骨51やインプラント材52に付加されることとなる。 そして、被加工物において熱影響を受ける部分が大きくなるとともに、溶融物が凝固せずに飛散し接合が良好になされない。 一方、本実施の形態のレーザ加工装置1は、輝度検出部41が輝度の検出(モニタリング)を行なうとともに、検出した輝度を用いて加工条件を決定しているので、良好な接合部を得ることが可能となる。

    また、インプラント材52にアパタイトを使用した場合は、インプラント材52は熱衝撃に弱いため、入熱量が大きくなるとインプラント材52にクラックが発生する場合がある。 実施の形態のレーザ加工装置1は、インプラント材52にアパタイトを使用する場合であっても、輝度検出部41が輝度を検出して加工条件を決定するので、安定した良好な接合部を得ることが可能となる。

    なお、実施の形態ではレーザ加工装置1が輝度検出部41や時間計測部42を備える構成としたが、レーザ加工装置1が輝度検出部41や時間計測部42を備えない構成としてもよい。 この場合、レーザ加工装置1の使用者が目視によって被加工物の加工状態を検出し、加工条件決定部30は使用者からの指示情報の入力に基づいて加工条件を決定する。 すなわち、レーザ加工装置1は、輝度検出部41や時間計測部42による加工状態の検出を行なうことなく、被加工物の加工条件を決定する。

    また、レーザ加工装置1が加工する被加工物は、骨51とインプラント材52の配置は何れが上で何れが下でもよく、また骨51とインプラント材52の継ぎ手は重ね継ぎ手、突合せ継ぎ手のいずれでもよい。 また、本実施の形態では、骨として牛骨を用いたが、レーザ加工装置1は、人骨を含む何れ動物の骨をレーザ加工してもよい。 また、本実施の形態において説明したレーザ加工装置1の各処理のうち、自動的に行なうものとして説明した処理の全部または一部を手動で行なうこととしてもよい。

    また、レーザ加工装置1は、骨51とインプラント材52の接合を、動物の体内で行ってもよいし、動物から骨51を取り出して動物の体外で行なってもよい。 動物から骨51を取り出して骨51とインプラント材52を接合した場合、必要に応じて接合後の骨51とインプラント材52が動物の体内に戻される。

    このように実施の形態1によれば、骨とインプラント材の接合の際に、CO 2レーザやYAGレーザなどのレーザ光を照射するので、骨とインプラント材との間を短時間で容易に接合することが可能となる。

    また、加工条件決定部30は、輝度検出部41が検出した輝度や時間計測部42が計測する時間に基づいて加工条件を決定し、被加工物にレーザ照射を行なっているので、被加工物に応じた適切なレーザ照射、接合処理を行なうことができる。

    また、加工条件決定部30は、加工条件としてレーザ光のエネルギーレベル、レーザ光の種類、焦点位置、レーザ光の照射時間などを決定し、決定した加工条件に基づいて被加工物にレーザ照射を行なわせるので、被加工物の穴あけ処理や接合処理毎に安定した適切な穴あけ処理、接合処理を行なうことが可能となる。

    また、レーザ加工装置1は骨とインプラント材との間を短時間で容易に接合できるので、骨とインプラント材を接合する治療の際にインプラント材と骨との結合中に相互の位置関係にずれが発生することを防止でき、治療を短期間で容易に行なうことが可能となる。 また、従来まで接合治療中に必要であった大掛かりな固定用治具が不要となり、治療中であっても快適な生活を提供することが可能となる。

    実施の形態2.
    つぎに、図1および図9〜14を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。 実施の形態2では、非発泡層を基材としたインプラント材52にレーザ光を照射して、非発泡層の表面層に発泡層(非発泡層を改質した新たな加工層)を形成する。 そして、この発泡層の形成によって、発泡層と非発泡層からなる二層構造のインプラント材を作成する。

    従来、発泡セラミックスを製造する際には、発泡性原料のセラミックスを溶融させる過程で、セラミックスにガスを発生させる成分(ガス発生成分)を付加することが必要である。 ガス発生成分としては、例えば炭化珪素、窒化珪素などを用いる。 炭化珪素には、例えば粒径10μm以下の微紛を用いる。

    このような発泡セラミックス製造手順としては、まず発泡性原料および非発泡性原料の各構成成分を所定の割合で混合することによって調整する。 そして、得られた発泡性原料および非発泡性原料をスプレードライヤー等によって造粒し粒状物にする。 次いで、造粒した両粒物を混合し、この混合物を成形原料として形成、焼成する。 このときの焼成温度は、ガス発生成分が分解してガスを発生させる温度であって、かつ良好な気泡(気泡壁面)が形成される温度範囲を選定する。 これにより、例えばガス発生成分が炭化珪素の場合、焼成により炭化珪素が分解してガス(一酸化炭素)を発生させ、このガスにより焼結層に気泡が形成される。

    本実施の形態では、骨にレーザ光などを照射して骨を燃焼させ、骨の燃焼によって生じるガス雰囲気の中でインプラント材を焼結させる。 これにより、インプラント材に発泡状態の気泡を閉じ込めて凝固させた発泡層を生成する。

    なお、混合物(発泡性原料および非発泡性原料の粒状物)の焼成温度が1000℃より低いと、素地に十分な粘性がないために気泡ができない。 一方、混合物の焼成温度が1300℃よりも高いと、焼成素地が低粘性となるので形成された気泡が会合して粗大気泡が形成されるようになり、焼結体の強度が低下する。

    つぎに、実施の形態2に係るインプラント材の一例として、先述の発泡セラミックスと同様の性質(機能)を有したアパタイトについて説明する。 ここでは、まず実施の形態2に係るアパタイトの構造について説明し、その後、このアパタイト製造装置と製造方法について説明する。

    図9は、本発明の実施の形態2に係るアパタイトの構造を示す図である。 図9に示すアパタイト101は、非発泡層(基部層)の表面層の一部(骨との間で接合対象となる接合部)に表面処理を施して発泡層を形成した二層構造を有している。

    高エネルギを局部的に付加する表面処理によって形成された気泡を混在させた発泡層100は、基材200(非発泡層であるアパタイト基材など)の表面層に形成されている。 発泡層100の気泡は、発泡層100が骨と接合した際に、発泡層100への骨細胞の増殖を助けるための例えば10〜500μm径の気泡である。

    発泡層100と非発泡層である基材200(先述のインプラント材52など)との境界部150は、接合面が凹凸状態で互いに入り組んだ構造をなしており、強固な接合となっている。 基材200は、緻密な構造であり、応力が加わった場合への十分な強度を有している。

    アパタイト101を生成する際には、ガス発生成分として基材200の表層部(上面部や側面部などの基材200の加工部近傍)に骨(先述の骨51など)を配置する。 そして、骨をレーザ光などで燃焼させた後、その燃焼ガス成分を含んだ雰囲気中で基材200(成形済みの緻密質基体)を溶融させることによって、発泡層100に骨の成分が混入することとなる。

    図10は、発泡層の含有成分の分析結果の一例を示す図である。 図10では、発泡層100の含有成分(Vol%)の分析を実施した結果の一例を示している。 ここでの発泡層100は、含有成分としてCa(カルシウム)、C(炭素)、O(酸素)、P(リン)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)を含んでいる。 Ca、C、Oは、骨の成分濃度に近く、Pは骨の成分濃度よりも少し減少している。 Pの減少は、基材200を溶融させる際の高エネルギによって、Pが昇華したためであると考えられる。

    骨の燃焼と基材200の溶融の後に、発泡層100の表面(骨との間の接合面)を研削または研磨することによって、発泡層100の表面にある閉気泡が研削され、閉気泡の断面が露出する。 これにより、骨との接合面である表面改質層を有した本実施の形態に係るアパタイト(発泡アパタイト)が得られる。

    本実施の形態では、骨の成分に近い成分がアパタイトに含まれているので、骨とアパタイトとの接合の際に、アパタイトに細胞浸潤性の作用が働いて骨とアパタイト101が短時間で結合する。 また、発泡層100の表面において閉気泡の断面が露出しているので、閉気泡の断面が露出していない場合よりも、短時間で骨とアパタイト101が結合する。

    なお、骨の燃焼と基材200の溶融に、電子ビームやプラズマアークなどの熱源を使用しても、レーザ光で骨の燃焼と基材200を溶融させた場合と同様の効果が得られる。 この場合、レーザ照射部(熱源照射部)10から電子ビームやプラズマアークなどの熱源を照射する。 また、複数の熱源がある場合は、レーザ切替制御部(熱源切替制御部)22が熱源の種類を変更する。 また、加工条件(骨や基材200に加える熱源エネルギ)を適宜調整することによって、発泡層100内の気泡の数量や径を調整できる。 このため、アパタイト101の用途に応じて加工条件を調整することによって、所望の性質を有したアパタイト101を得ることができる。 例えば、骨や基材200に加えるレーザ光、電子ビーム、プラズマアークなどの熱源エネルギ(加工条件)を適宜調整することによって、要求品質のアパタイト101を得ることができる。 以下では、レーザ加工装置をアパタイト101の製造装置の一例として、アパタイト101の製造処理を説明する。 ここでは、レーザ加工装置の構成を説明した後、アパタイト101の製造手順について説明する。

    本発明の実施の形態2に係るレーザ加工装置の構成は、実施の形態1の図1で示したレーザ加工装置1と同様の装置である。 ここでは実施の形態1のレーザ加工装置2と同一機能を達成する構成要素についてはその説明を省略し、実施の形態1のレーザ加工装置1と異なる機能について説明する。 なお、輝度検出は作業者の熟練度に応じて、熟練した作業者の視覚的判断で処理することも可能であるため、輝度検出部41を備えない装置でも対応することはできる。

    ここでのレーザ加工装置1は、インプラント材52(アパタイト)などの基材200にレーザ光を照射してインプラント材52などに発泡層100を形成させ、アパタイト101などの新たなインプラント材を作成する。 レーザ加工装置1は、必要に応じて骨51にレーザ光を照射して骨51の穴あけを行う。

    本実施の形態の輝度検出部41は、被加工物の加工状態として被加工物の輝度を検出し、加工条件決定部30に送る。 時間計測部42は、被加工物の加工状態としてレーザ加工を開始してからの経過時間(インプラント材52へのレーザ照射を開始してからの経過時間)などを計測し、計測中の経過時間を加工条件決定部30に送る。

    つぎに、レーザ加工装置1によるレーザ加工処理について説明する。 レーザ加工装置1のレーザ照射部10は、例えばレーザ光として直径約0.3mm以下に集光させたエネルギ密度が10 3 W/cm 2以上の高エネルギ密度を適用する。 これにより、レーザ光による加工領域を絞る(局部的にする)ことが可能となり、かつ短時間で被加工物への穴あけ加工や溶融加工が可能となる。 また、レーザ加工装置1は、加工条件決定部30による加工条件(レーザ光の出力条件)の選択(決定)によって、被加工物を溶融させる時間(溶融時間)、被加工物の溶融範囲を制御することができる。 また、レーザ加工装置1は、加工条件決定部30による加工条件の選択によって、金属、樹脂、セラミックスなどの被加工物を幅広く穴あけ処理や溶融処理することができる。

    つぎに、レーザ加工装置1によるアパタイト101の製造方法について説明する。 図11は、骨の欠損部へインプラント材を充填してアパタイトを製造する手順を説明するための図である。 まず、初期欠損状態の骨51の欠損部に非発泡層であるアパタイト(基材200であるインプラント材52)を挿入する。 これにより、骨51の欠損部へアパタイト(インプラント材52)を充填する。

    つぎに、レーザ光をアパタイト(インプラント材52)に照射し、インプラント材52の上部(表面層)に発泡アパタイトを生成する。 そして、生成した発泡アパタイト(発泡層100)で骨51の欠損部を充填させることによってアパタイト101を製造する。

    レーザ光をインプラント材52に照射する際には、レーザ加工装置1の輝度検出部41は、レーザ光の照射位置(インプラント材52の上面)の輝度を検出しておく。 輝度検出部41が検出した輝度は、加工条件決定部30に送られる。

    加工条件決定部30は、輝度検出部41が検出した輝度に基づいて、インプラント材52や骨51の種類(材質、サイズなど)に応じたレーザ光、エネルギーレベル、焦点位置などの加工条件を選択する。

    なお、加工条件決定部30は、予め設定された加工条件を用いて、レーザ光、エネルギーレベル、焦点位置などを選択してもよい。 また、加工条件決定部30は、骨51と発泡層100との密着状態や要求強度に基づいて、被加工物の加工条件を決定してもよい。

    また、レーザ光をインプラント材52に照射する際、レーザ照射の時間を長く設定するほどインプラント材52の溶融領域が拡大する。 このため、欠損部へ充填させたインプラント材52のサイズ(上面の面積)に応じてレーザ照射の時間を変更してもよい。 また、加工条件決定部30は、ユーザからの指示に基づいてレーザ照射時間を設定してもよい。

    レーザ加工装置1は、加工条件決定部30が決定した加工条件を用いてインプラント材52の加工を開始する。 加工条件決定部30は、時間計測部42が計測するレーザの照射時間や輝度検出部41が検出する輝度に基づいて、所定時間だけ被加工物(インプラント材52)にレーザ照射を行なわせ、レーザ加工装置1は、アパタイト101の製造を完了する。

    このように、加工条件決定部30は、輝度検出部41が検出した輝度や時間計測部42が計測する時間に基づいて加工条件を決定し、レーザ照射を行なっているので、被加工物に応じた適切なレーザ照射を行なうことができ、被加工物(骨51とインプラント材52)に応じた適切なアパタイト101の製造を行なうことが可能となる。 なお、インプラント材52が溶融して発泡層100が形成されると、輝度検出部41が検出する輝度が変化するので、この輝度の変化に応じて加工条件を変更してもよい。

    固体状態の非発泡アパタイト(インプラント材52)を、骨51の欠損部に対して充填させるためには、非発泡アパタイトの寸法を欠損部の寸法よりも小さくせざるを得ない。 このため、従来までは、非発泡アパタイトを骨51に充填しても、非発泡アパタイトと骨51との間に隙間を生じ、骨51への非発泡アパタイトの固定が困難であった。

    本実施の形態では、非発泡アパタイトを骨51の欠損部に充填した後に非発泡アパタイトにレーザ光を照射しているので、非発泡アパタイトが溶融される熱で骨51も燃焼する。 これにより、骨51が気泡の生成を増加させるガスを発生させ、非発泡アパタイトの表面層に発泡層100を形成する。 この発泡層100は、レーザ光を照射する前の非発泡アパタイトよりも体積が増加しているので、骨51と発泡層100との密着性が増加し、欠損部内でアパタイト(非発泡アパタイトと発泡層100)を固定する効果がある。

    図12は、図11に示した手順によって製造したアパタイトの画像を示す図である。 ここでは、レーザ加工装置101が骨51の欠損部に発泡アパタイトを生成させた例を示している。

    なお、レーザ加工装置1によるアパタイト101の製造(発泡層100の生成)は、歯の欠損部へも適用可能であり、骨51の場合と同様に品質の高い充填を行なうことができる。 また、骨51の欠損部に挿入するアパタイトの形状は、粒状、粉末、粉砕破片など、何れの形状であってもよい。

    つぎに、インプラント材52の上面に骨51を配設してアパタイトを製造する手順について説明する。 図13は、インプラント材の上面に骨を配設してアパタイトを製造する手順を説明するめの図である。 ここでは、骨51を高エネルギの熱源で燃焼することによって発生したガス雰囲気中で、アパタイト表面層を高エネルギの熱源で溶融させアパタイトを表面改質する方法を示している。

    まず、インプラント材52の表面改質を予定している箇所の近傍(インプラント材52の上面)に骨51を配置し、レーザ光などの高エネルギ熱源を用いて骨51を上面側(インプラント材52と反対側の面)から骨51を燃焼させる。 これにより、骨51に穴が開き、インプラント材52が露出する。 このときの骨51の燃焼によって発生するガス雰囲気中でアパタイト表面(インプラント材52)を高エネルギ熱源にて溶融させる。 これにより、インプラント材52の溶融層に骨51の燃焼物が進入し発泡層100が形成される。

    発泡層100は、生体系セラミックス部品(アパタイト101)の表層のみに形成されるので、生体系セラミックス部品全体への入熱が少なく、精度の高い生体系セラミックス部品を得ることができる。

    つぎに、アパタイト表面層を溶融させるための加工条件について説明する。 図14は、アパタイト表面層を溶融させるための加工条件の一例を示す図である。 ここでは、アパタイト表面層を溶融させるための加工条件の一例として、CO 2レーザ加工でアパタイト表面層を0.8mmだけ溶融させるための加工条件示している。

    アパタイト表面層へのレーザ出力が大きくなるほど、アパタイト表面層を溶融させるためのレーザ照射時間は短くなる。 また、アパタイト表面層へのレーザ出力が小さくなるほど、アパタイト表面層を溶融させるためのレーザ照射時間のばらつきが大きくなる。

    一般に、発泡セラミックス(アパタイト表面層)の生成温度(焼成温度)が低い場合(例えば1000℃)、溶融する基材200が高粘性となり気泡の径は小さくなる。 一方、発泡セラミックスの生成温度が高い場合(例えば1300℃)、溶融する基材200が低粘性となり、形成される気泡が会合して気泡の径が大きくなる。 また、発泡セラミックスへの気泡の含有量は、気泡が拡散される時間が大きく影響し、溶融する基材200の溶融時間が長いほど気泡の含有量が増加する。

    図14に示したレーザ光の出力量とレーザ光の照射時間の関係を示す加工条件で、アパタイト101を生成すると、レーザ光の出力量が大きいほど、気泡の径は大きくなる。 また、レーザ光の照射時間が長いほど、気泡の径は大きくなり、気泡の径が大きく含有量が大きくなる。

    気泡の径は、300〜400μmで細胞(骨51)の浸潤性が高くなるが、強度は低下する。 このため、アパタイト101と骨51との接合面の一部分においては、細胞の成長を高めることを優先して気泡径を300〜400μmとし、これ以外の他の部分は接合面の強度を優先して気泡径を200μm以下となるよう、発泡層100の種類を組み合わせてアパタイト101を作成してもよい。 例えば、骨51とアパタイト101の接合面積400mm 2のうち、200mm 2を出力1000Wでレーザ加工し、残りの200mm 2を出力400Wでレーザ加工するなどの加工条件の切り替えを行ってアパタイト101を作成する。

    加工物(アパタイト101)を挿入する骨51の位置や、加工物を挿入する骨の種類(例えば骨51とアパタイト101との接合対象者の年齢)に応じて、骨51とアパタイト101との間に加わる応力の度合いが異なる。 このため、骨51とアパタイト101との接合処理毎に、アパタイト101に形成する発泡層100の種類の最適面積比をシュミレーションし、加工条件に応じた基材200の加工面積の割合を決定してもよい。

    ところで、アパタイト101を製造する場合に、アパタイト101に良好な表面改質層(インプラント材52の表面層)が得られる場合と、良好な表面改質層が得られない場合(骨51との間で良好でない接合がなされる場合)とでは、表面改質部近傍の輝度が異なっている。 このため、例えば、輝度のモニタリングを行なわずにレーザ加工を行なうと、発泡層の形成に必要な入熱量以上のレーザエネルギーがインプラント材52に付加されることとなる。 そして、被加工物において熱影響を受ける部分が大きくなるとともに、インプラント材52などの溶融物が凝固せずに飛散しアパタイト101の表面改質が良好になされない。 一方、本実施の形態のレーザ加工装置1は、輝度検出部41が輝度の検出(モニタリング)を行なうとともに、検出した輝度を用いて加工条件を決定しているので、良好な表面改質部を得ることが可能となる。

    また、アパタイトは、熱衝撃に弱いため、入熱量が大きくなるとアパタイトにクラックが発生する場合がある。 本実施の形態のレーザ加工装置1は、輝度検出部41が輝度を検出して加工条件を決定するので、安定した良好な接合部を得ることが可能となる。

    なお、本実施の形態ではレーザ加工装置1が輝度検出部41や時間計測部42を備える構成としたが、レーザ加工装置1が輝度検出部41や時間計測部42を備えない構成としてもよい。 この場合、レーザ加工装置1の使用者が目視によって被加工物の加工状態を検出し、加工条件決定部30は使用者からの指示情報の入力に基づいて加工条件を決定する。 すなわち、レーザ加工装置1は、輝度検出部41や時間計測部42による加工状態の検出を行なうことなく、被加工物の加工条件を決定する。

    これにより、細胞浸潤性に優れた性質のアパタイト101を得ることができ、骨組織と生体材料であるセラミックや複合素材などのインプラント材料(外科用の移植材料)を強固に接合することができる。

    このように、今回、我々が鋭意研究した結果、形成済みのアパタイト材料の表面層のみに発泡層を形成する技術を開発することに成功した。 これにより、アパタイト成分から製造された生体部品を発泡層と非発泡層との少なくとも二層構造にしたり、非発泡層の一部を発泡層にすることが可能となった。

    この結果、生体組織に対して親和性に優れた材料に対して、細胞の浸潤を増長させることが必要な部分のみを発泡層とし、大きな応力を受ける部分を非発泡層とする設計が可能となる。

    また、生体部品を作成する際のエネルギの制御によって、発泡層の気泡径や気泡密度を、生体部品の用途に応じて最適化することができる。 さらに、骨を蒸発させた雰囲気ガス中でインプラント材の発泡層を生成するため、骨成分がインプラント材の内部に残留し、骨細胞の成長を補助することができる。 これにより、骨とアパタイトを接合した際に、骨細胞の成長を促すことが可能となり、迅速に骨とアパタイトを接合することが可能となる。

    なお、本実施の形態では、基材がアパタイトであるインプラント材を用いて新たなアパタイト(インプラント材)を作成することとしたが、アパタイト以外のインプラント材(樹脂やセラミックスなど)を基材として新たなインプラント材を作成してもよい。

    このように実施の形態2によれば、インプラント材52の表面改質位置にレーザ光などの熱源エネルギを照射しているので、非発泡層(インプラント材52)の一部に発泡層100を形成したアパタイト101を容易に得ることができる。 これにより、アパタイト101と骨とを接合した際に、発泡層100で骨細胞の成長を促進できるとともに、非発泡層で応力の加わる部分を強固に固定できる。 したがって、骨とインプラント材との間を短時間で容易に接合できるアパタイトを得ることが可能となる。

    また、加工条件決定部30は、輝度検出部41が検出した輝度や時間計測部42が計測する時間に基づいて加工条件を決定し、被加工物にレーザ照射を行なっているので、被加工物に応じた適切なレーザ照射、表面改質処理を行なうことができる。

    以上のように、本発明に係るレーザ加工装置は、骨とインプラント材との接合に適している。

    1 レーザ加工装置 10 レーザ照射部 21 エネルギーレベル制御部 22 レーザ切替制御部 23 焦点位置制御部 30 加工条件決定部 41 輝度検出部 42 時間計測部 51 骨 52 インプラント材 100 発泡層 101 アパタイト 150 境界部 200 基材

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