Dental treatment device

申请号 JP236094 申请日 1994-01-14 公开(公告)号 JP2723119B2 公开(公告)日 1998-03-09
申请人 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション; 发明人 BARII DEIIN GUTSUDOMAN; JEIMUZU JEFURII WAIN; HAASHERU UIRIAMU KAUFUMAN; JEISON MASHUU JAKOBUSU;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】紫外光を発生するレーザと、 前記紫外光のエネルギー・フルエンスを、歯のエナメル質を切除する閾値以上のエネルギー・フルエンスに、又はカリエス質を切除する閾値以上で且つ前記エナメル質を切除する閾値よりも低いエネルギー・フルエンスに選択的に設定する設定手段と、 外部からの選択を前記設定手段に伝え、前記紫外光のエネルギー・フルエンスを前記エナメル質を切除する閾値以上のエネルギー・フルエンスに、又は前記カリエス質を切除する閾値以上で且つ前記エナメル質を切除する閾値よりも低いエネルギー・フルエンスに設定させる伝達手段と、 前記歯の選択された領域に前記紫外光の光線を到達させる手段とを有する歯科処置装置。
  • 【請求項2】前記設定手段は前記紫外光のエネルギー・
    フルエンスを前記カリエス質を切除する閾値よりも低いエネルギー・フルエンスに設定することができ、前記伝達手段から伝達される外部からの選択に応答して前記紫外光のエネルギー・フルエンスを前記カリエス質を切除する閾値よりも低いエネルギー・フルエンスに設定させることを特徴とする請求項1に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項3】前記レーザが紫外光レーザ・パルスを発生することを特徴とする請求項1に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項4】前記紫外光レーザ・パルスが歯を加熱しないように該紫外光レーザ・パルスの反復速度を遅くするように調整する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項5】前記紫外光の波長は、185nm乃至22
    0nm又は300nm乃至400nmであることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項6】前記紫外光のエネルギー・フルエンスを設定するための手段が、該紫外光のエネルギー・フルエンスを5.8J/cm 2以上のレベルに設定し、そして1.3J/cm 2以下のレベルに設定することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項7】紫外光を発生するレーザと、 前記紫外光のエネルギー・フルエンスを、歯のエナメル質を切除する閾値以上のエネルギー・フルエンスに、又はカリエス質を切除する閾値以上で且つ前記エナメル質を切除する閾値よりも低いエネルギー・フルエンスに選択的に設定する設定手段と、 外部からの選択を前記設定手段に伝え、前記紫外光のエネルギー・フルエンスを前記エナメル質を切除する閾値以上のエネルギー・フルエンスに、又は前記カリエス質を切除する閾値以上で且つ前記エナメル質を切除する閾値よりも低いエネルギー・フルエンスに設定させる伝達手段と、 前記歯の選択された領域に前記紫外光の光線を到達させる手段と、 前記切除の間に生じる破裂音又は色つきの噴煙を検出する検出手段と、 該検出手段に接続され、前記エナメル質の切除中に前記カリエス質の切除が開始されたことを検出して前記紫外光のエネルギー・フルエンスを前記カリエス質を切除する閾値以上で且つ前記エナメル質を切除する閾値よりも低いエネルギー・フルエンスに設定するように前記設定手段を制御する手段とを有する歯科処置装置。
  • 【請求項8】前記検出手段が、前記色つきの噴煙の強度又は波長スペクトルを検知する検知器を含むことを特徴とする請求項7に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項9】紫外光を発生するレーザと、 前記紫外光のエネルギー・フルエンスを、歯質を切除するエネルギー・フルエンスに、又は該歯質を切除するエネルギー・フルエンスよりも低いエネルギー・フルエンスに選択的に設定する設定手段と、 前記歯の選択された領域に前記紫外光の光線を到達させる手段と、 前記切除の間に有害な生物学的物質が生じたことを表す検出信号を発生する検出手段とを有し、 前記設定手段は、前記検出信号に応答して前記紫外光のエネルギー・フルエンスを、前記歯質を切除するエネルギー・フルエンスよりも低いエネルギー・フルエンスに設定することを特徴とする歯科処置装置。
  • 【請求項10】紫外レーザ・パルスを発生するレーザと、 前記紫外レーザ・パルスのエネルギーを、歯のエナメル質を切除する量に、該エナメル質を切除する量よりも少ない量であってカリエス質を切除する量に、又は該カリエス質を切除する量よりも少ない量であって象牙質を切除する量に選択的に設定する設定手段と、 外部からの選択を前記設定手段に伝え、前記紫外光のエネルギーを、前記エナメル質を切除する量に、前記カリエス質を切除する量に、又は前記象牙質を切除する量に設定させる伝達手段と、 前記歯の選択された領域に前記紫外レーザ・パルスを到達させる手段とを有する歯科処置装置。
  • 【請求項11】紫外レーザ・パルスを発生するレーザと、 前記紫外レーザ・パルスのエネルギーを、歯のエナメル質を切除する量に、該エナメル質を切除する量よりも少ない量であってカリエス質を切除する量に、又は該カリエス質を切除する量よりも少ない量であって象牙質を切除する量に選択的に設定する設定手段と、 外部からの選択を前記設定手段に伝え、前記紫外光のエネルギーを、前記エナメル質を切除する量に、前記カリエス質を切除する量に、又は前記象牙質を切除する量に設定させる伝達手段と、 前記歯の選択された領域に前記紫外レーザ・パルスを到達させる光ファイバ伝送手段と、 前記歯の切除部分近傍の温度又は圧力を感知し、該温度又は圧力が所定の量を超えたことに応答して前記紫外レーザ・パルスの反復速度を低下させる手段とを有する歯科処置装置。
  • 【請求項12】紫外光パルスを発生するレーザ・システムと、 前記紫外光パルスのエネルギー・フルエンスを、歯のエナメル質を切除する閾値以上の第1のエネルギー・フルエンスに、カリエス質を切除する閾値以上で且つ前記エナメル質を切除する閾値よりも低い第2のエネルギー・
    フルエンスに、又は象牙質を切除する閾値以上で且つ前記カリエス質を切除する閾値よりも低い第3のエネルギー・フルエンスに選択的に設定する設定手段と、 外部からの選択を前記設定手段に伝え、前記紫外光のエネルギー・フルエンスを前記第1のエネルギー・フルエンスに、前記第2のエネルギー・フルエンスに又は前記第3のエネルギー・フルエンスに設定させる伝達手段と、 前記歯の選択された領域に前記紫外光パルスを到達させる手段と、 前記切除の間に生じる破裂音又は色つきの噴煙を検出する検出手段と、 該検出手段に接続され、前記カリエス質の切除中に前記象牙質の切除が開始されたことを検出して前記紫外光パルスのエネルギー・フルエンスを前記第3のエネルギー・フルエンスに設定するように前記設定手段を制御する手段とを有する歯科処置装置。
  • 【請求項13】前記紫外光パルスの波長域は、185n
    m乃至220nm及び300nm乃至400nmであることを特徴とする請求項12に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項14】前記紫外光パルスが歯を加熱しないように該紫外光パルスの反復速度を遅くするように調整する手段を含むことを特徴とする請求項12又は請求項13
    に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項15】患者の口腔内の有害な生物学的物質の存在を感知する手段と、該感知手段の出力に応答して前記紫外光パルスのエネルギー・フルエンスを前記歯から歯質を切除しないエネルギー・フルエンス・レベルへ自動的に低下させる手段とを含むことを特徴とする請求項1
    2、請求項13又は請求項14に記載の歯科処置装置。
  • 【請求項16】前記第1のエネルギー・フルエンスは5.8J/cm 2以上のレベルであり、そして前記第2
    のエネルギー・フルエンスは1.36J/cm 2よりも大きく5.8J/cm 2以上よりも小さいことを特徴とする請求項12、請求項13、請求項14又は請求項1
    5に記載の歯科処置装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、紫外光照射を用いた歯の処置のための改善された装置に関するものであり、選択されたエネルギー・フルエンスをもつ紫外レーザ・パルスを用いることにより、歯に見られる異なる材質に応じていくつかの異なる処置を行うことが可能になる。

    【0002】

    【従来の技術】レーザは、レーザ光線を発生する材料中の原子もしくは分子を励起することによって特定の波長を持つ強く細い光線を発生する光学的装置である。 レーザ光を発生する材料には、気体、液体、及び固体が含まれ、様々である。 通常、レーザはエネルギーを与えられた場合に光を放出する元素または化合物によって命名されており、例えば炭酸ガス、アルゴン、銅蒸気、ネオジムドープ・イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Nd:YAG)、エルビウム、ホルミウム、希ガス・
    ハロゲンガス混合物によるArF、XeCl、KrF
    (エキシマ)等、アレクサンドライト、ルビー、TEサファイア、及び多くの染料がある。 人体の組織に適用された場合、レーザにより発生した光線は、通常光を熱へと変換するプロセスにより部分的に吸収される。 これは、人体組織をエッチング(食刻)したり、切断したりする目的でその組織の状態を変えるために利用される。
    非紫外光発生レーザの場合、エッチングや切断のための主要なメカニズムは、熱によるものである。 しかしながら、紫外レーザ・パルスの場合、照射する波長及び照射される材料に依存する閾値を越えるエネルギー・フルエンスを持つものについては、「冷」エッチングが可能であり、周囲の組織への熱伝導を最小限にする。 そのかわり、基本的に紫外線照射パルスのエネルギーは、照射される組織から吹き飛ばされるあるいは削られる粒子の運動エネルギーへと変換される。 この基本的な知見及びその医学的及び歯学的応用は、米国特許第4784135
    号に記載されている。

    【0003】特殊な歯学的及び医学的応用のためのレーザ・システムの開発において考慮すべき要素としては、
    レーザにより発生する光の波長、照射パルスのパルス幅、1パルスあたりのエネルギー、目標上におけるレーザ光のスポットの大きさ、並びに照射される組織へレーザ光を供給するための装置及び方法がある。 切断のためのメカニズムが熱によるものであれ、パルス状紫外線照射を用いた切除的光分解によるものであれ、組織へ正確な量の光を供給することが必要である。 組織へ高エネルギーを適用する場合は、急激な吸収と加熱を生じる可能性があり、それによって照射された領域の周辺部分に不測の損傷を与える結果となることがある。 一般に、連続波による照射よりもパルス形式の動作が好ましいとされる。 なぜなら、一連のパルスを供給することにより、相互作用、照射線吸収、及び全体的なプロセスに対する付加的な制御が可能になるからである。 従って、エッチングの深さ及び周囲の組織への損傷の程度をさらに制御できることになる。

    【0004】レーザの利用に関する医学的研究は、長年続けられている。 例えば近視の矯正のための眼科分野におけるレーザの利用は、非常に熱心に研究された課題であり、良好な結果が得られている。 多くの異なる形式のレーザが使用されたが、現在、パルス状紫外線照射が可能な希ガスハロゲン化物エキシマ・レーザの利用によって顕著な成果が得られている。 この応用の他にも、現在レーザは様々な医学的応用に利用されており、例えば、
    婦人科、泌尿器科、皮膚科、循環器科、及び形成外科等においてである。 レーザは、一般的な外科においても、
    胃腸疾患の治療におけると同様に、鼻、喉に関する外科的処置に関連して利用されている。 いくつかの医学的応用について一般的に挙げられるレーザの長所としては、手術の痛みの軽減、感染及び出血の軽減、傷跡の縮小、及び術後の痛みの軽減と共に術後の鎮痛剤の必要度を低減すること等である。

    【0005】歯科におけるレーザの利用もまた、重要な研究及び開発行為の課題であった。 これらの従来の努には、柔らかい組織または堅い組織へのレーザの熱的影響を制御した適用も含まれていた。 このようなレーザ歯科において排除すべき問題としては、熱のために、また口腔中の限定された領域中にレーザ・パルスを供給するための技術がしばしば不満足なものであるために歯を破壊することが含まれる。 様々の形式の連結されたアーム及び光ファイバ伝送システムが、後者の問題を解決するために開発された。 現在では、レーザ歯科において様々な形式のレーザ・システムの試験が行われており、普通に用いられるレーザとしては、Nd:YAGレーザ、C
    2レーザ、ホルミウム・レーザ、アルゴン・レーザ、
    及びエルビウム・レーザがある。

    【0006】歯科医療においては、堅い組織の処置のみでなく柔らかい組織の処置が含まれる。 柔らかい組織の処置には、余分な歯茎もしくは疾患のある歯茎の除去、
    歯茎の形状をならすこと、生体組織検査を行うこと、歯冠(crown)及びブリッジ(bridge)のために歯茎の準備をすること、歯冠及びブリッジを合わせるために歯茎の形状を整えること、様々な形の歯茎の疾患及び歯茎と歯との間の感染部分の処理をすること、及び止血(出血の抑制)が含まれる。 堅い組織の処置には、穴開け、歯から虫歯の部分を除去すること、充填のために歯の準備をすること、虫歯になりにくくするために歯質を堅くすること、歯垢の除去、歯の感覚を鈍くし麻酔をかけることが含まれる。 米国特許第5055048号は、多くの異なる歯科処置に対して有用なNd:YAG歯科用レーザ装置を開示している。

    【0007】歯科市場においてはパルス状Nd:YAG
    レーザが主流であるが、このレーザの利用は、歯茎の除去や整形等の柔らかい組織の処置に限られていた。 このレーザは、にほとんど吸収されない1.06ミクロンの波長を与える。 しかしながら、Nd:YAGレーザは堅い組織を除去するためには有効に利用することができず、しかも組織の近傍の加熱を正確に制御することが必要な場合には望ましくないことがしばしばある(例えば、隣接する歯を傷つけることなく小さな歯茎片を除去しなければならない場合等)。 CO 2レーザは、柔らかい組織への歯科的適用においてさらに適しているが、堅い組織への使用には適さない。 なぜなら必要とされるエネルギー・レベルが非常に高いために周辺の組織を損傷してしまうからである。 美容的及び修復的な歯科分野においては、約488nmにおいて動作するアルゴン・レーザが好ましいことがわかっている。 この形式のレーザを用いると、穴や割れ目の中の充填材を重合させることができ、修復材料を速やかに硬化させることができる。

    【0008】エルビウム・レーザは使用する際に融通が利き且つ安全であるので、(水と共に用いる場合には)
    堅い組織への歯科器具としてより適しているようである。 他に堅い組織に適用できるものとしては、短パルス且つ高エネルギーのCO 2レーザである。 しかしながら、この形式のレーザが全ての歯科的適用に利用可能であるかは明らかではなく、その利用は選択された歯科的処置に限定されるであろうと思われる。

    【0009】以上のことから、レーザ歯科の発展はその初期段階にあり、且つ市販されているレーザは全て、選択された歯科的処置へ適用が限定されている点において本質的な欠点がある。 これらのレーザにおける主要な問題は、それらが全て、熱を発生するためにレーザ・エネルギーの吸収に依存しており、反面それが歯茎の除去のためにも用いられる。 このことから、例えば、熱拡散や熱メカニズムが異な留歯質によって様々であるために制御が困難である等、照射される歯質の種類に依存する問題が生じる。 照射された部分の周辺領域にも熱が拡散するため、隣接する組織の損傷が起き易い。 さらに、組織の除去のために利用されるエネルギーについては、レーザ・パルスの適用を照射部分内で非常に厳密に制御しなければならないことがしばしばである。 多くの状況においてレーザ歯科の現状は、機械的ドリル等の汎用的に使用されている道具を越える顕著な有益性を与えるに至っていない。 特に重要な点は、穴開け操作を行うことが現在のところほとんどのレーザにとって不可能であることである。 即ち、市販されているレーザの中でエナメル質を切断するために使用できるものはない。 さらに市販のレーザには、歯のカリエスを除去したり、歯の根管の外科手術を可能にするためにうまく働くものはない。

    【0010】歯科的処置に利用されてきた可視レーザ及び赤外レーザに加えて、米国特許第4784135号は、エキシマ・レーザ等の紫外レーザの歯科的作業への利用を開示している。 一般的に、1パルスあたりのエネルギー・フルエンスが切除を行うために十分である場合、パルス状紫外レーザが用いられる。 J. Wynne及びR.
    Laneによる参考文献(Lasers and Applications, p.5
    9, Nov. 1984)には、紫外レーザ・パルスによるエナメル質及び象牙質の切除が記載されているが、歯のカリエスの除去、微妙な切除閾値、あるいは実際の歯科技術については触れていない。

    【0011】前述の特許の他に、米国特許第51075
    16は、動脈の歯苔を除去するために切除を行う2レーザ・フィードバック・システムを開示し、さらに歯科への適用の可能性について言及している。 独国特許第DE
    4015066A1号は、各レーザ・パルスの持続性及び/またはエネルギーを評価するために差動反射測定法を用いる技術を開示している。 この中では、歯のカリエスの除去のために利用するレーザとして紫外レーザが可能であるとしている。 別のPCT出願第PCT/DE8
    9/00010に基づく独国特許第DE3800555
    A1号は、象牙質やエナメル質等の堅い歯質を切除するための、193nmにおけるArFエキシマ・レーザ供給システムの利用を開示している。 シールされ真空にされた連結アーム及び反射材を含む供給システムが、紫外線を供給するために用いられる。

    【0012】これらの従来技術のシステムにおいては、
    紫外線照射を歯科において利用してはいるが、通常、安全な操作を保証するために付加的な手段を必要とする。
    この例として、独国特許第DE4015066号においては、健康な組織を除去しないようにレーザ制御を行うため、フィードバック・ループの中に差動反射測定法が用いられている。 これとは対照的に本発明は、目標の組織を識別するために反射や分光的技術を必要としない。
    そのかわりに、異なる種類の歯質に対して新規に見い出された差別化切除閾値を用いることによって歯質の除去を行う。 これらの異なる閾値の発見及び認識に基づいて、様々な動作のウィンドウが規定され、それによって、患者への危険性もなくまた微妙な目標組織識別の必要性もなく単一のレーザをいくつかの異なる処置に利用することが可能になる。

    【0013】

    【発明が解決しようとする課題】本発明の主要な目的は、堅い組織及び柔らかい組織の双方への処置を含む様々な歯科的処置を行うために単一のレーザ・システムを安全に利用できる、レーザ歯科処置装置を提供することである。 本発明の別の目的は、堅い組織及び柔らかい組織の双方の除去を可能にするために1パルスあたりのエネルギー・フルエンスを可変にするレーザ歯科処置装置を提供することである。 本発明の別の目的は、照射された体積の周囲において細胞の損傷を最小限にするレーザ歯科処置装置を提供することである。 本発明の別の目的は、堅い組織及び柔らかい組織に対する従来の機構である熱的メカニズムに依らないレーザ歯科処置装置を提供することである。 本発明の別の目的は、殺菌消毒を行う紫外線を利用することによって処置中の感染の危険性を軽減する、歯科への適用のための紫外レーザ処置装置を提供することである。 本発明の別の目的は、堅い組織のレーザ・パルスによる除去を安全に且つ効果的に行うことができる歯科処置装置を提供することである。 本発明の別の目的は、同じレーザが堅い組織及び柔らかい組織への適用に用いられ且つレーザ出力パルスの自動的制御ができ、動作ウィンドウを与えるために切除的光分解が利用される紫外線歯科処置装置を提供することである。
    本発明の別の目的は、歯のフッ素処理のためのレーザ処置装置を提供することである。

    【0014】

    【課題を解決するための手段】選択的に歯質を除去するためにパルス状紫外光、好ましくはレーザから得られるものを用いたレーザ歯科のための技術及び装置を記載する。 歯質の除去すべき箇所における歯の表面にレーザ光をあてることによって、カリエス病巣、象牙質、及びエナメル質を、レーザ・フルエンスとパルス数の正確な組み合わせを用いて深さを制御しながら除去することができる。 その場合、切除される歯質の周囲の歯に生じる損傷及び熱を最小にする。 歯質を除去するための閾値を越えるエネルギー・フルエンスを持つ紫外光は、照射された歯質の表層に吸収され、そして吸収されたエネルギーが隣接する部分へ熱的に拡散していく時間に比べて短い時間内に供給される。 本発明の実施例においては、パルス状紫外光を用いてカリエス病巣、象牙質、またはエナメル質を切除することができる。 それらの歯質はそれぞれ一定のエネルギー・フルエンス閾値を有しており、それ以下ではその歯質は除去されない。 この閾値は、動作ウィンドウもしくは許容エネルギー範囲を与えるので、
    いくつかの処置において歯科医は安全に紫外光を利用することができる。 1パルスあたりの除去される歯質の深さは、閾値を越えてフルエンスが増加するほど大きくなる。 意外なことに、紫外光によるカリエス病巣の除去のための閾値は、象牙質のそれよりも大きかった。 しかしながら、閾値を越える所定のフルエンスに対して除去されるカリエス病巣の量は、除去される象牙質の量よりも遥かに多い。

    【0015】選択可能なエネルギー・フルエンスを持つレーザ照射を供給するために適した装置は、一連のミラーとレンズを用いた光学システムにより照射される歯の上にレーザ光の焦点を合わせることで実現できる。 それに代わるものとして、光ファイバの末端にそのファイバ内にレーザ光を導入し且つそのファイバから出る光の焦点を歯の上に合わせるための適当な光学部品(レンズ等)を設けた光ファイバ伝送システムによってレーザ・
    エネルギーを与えることもできる。 ホット・スポット(hot spot)が存在しないようにレーザ光の強度を均一にすることを保証するビーム・ホモジナイザを用いることができる。 これは、レーザ光の様々な部分を交差させ及び重複させる一連のレンズあるいは一連の高伝送チャネルを用いて実現できる。 光ファイバを用いる場合は、
    内部全反射がこの効果を実現する。 これらの手段は、歯科医が歯の上の目的とする箇所にレーザ光を当てるために器具を操作できるように設けられる。

    【0016】パルス状紫外光は、特定の歯質の除去のための閾値に適合するに十分なエネルギー・フルエンスを持つ紫外光を発生する何らかの光源によって与えることができる。 エキシマ・レーザは、例えば、193nm、
    248nm、308nm、及び351nm等様々な波長の紫外光を与えるために利用できる。 Nd:YAG及びTi:サファイア等の周波数逓倍型の近赤外レーザ及び可視レーザである固体レーザ、ダイオード・レーザ及びマイクロレーザもしくはマイクロレーザ・アレイも用いることができる。 米国特許第5144630号にはいくつかの固体レーザが記載されており、それらは紫外域及び赤外域の複数の波長においてコヒーレント光を発生することができる。 DNAは約250nmにおいて吸収ピークを持つので、この波長近傍の紫外光出力を与えるレーザは避けた方がよい。 特に適した波長域は、約185
    乃至220nm及び300乃至400nmである。

    【0017】切除される歯質の種類(エナメル質、象牙質、及びカリエス)に固有の切除特性に基づく自動フィードバック制御システムを記載する。 これらのシステムを用いることによってもまた、歯科医に対して有害な生物細菌の存在を警告し、且つ患者の快適さを保証するためにUVレーザ・パルスの繰り返し速度を制御することができる。

    【0018】

    【実施例】人間の歯が、閾値エネルギー・フルエンスを越えるレーザからのパルス状紫外光に曝されるとき、歯質がその歯の表面から切除される。 閾値エネルギー・フルエンス以下では、いずれの歯質も除去されない。 健康なエナメル質、健康な象牙質、及びカリエス病巣は、切除に対してそれぞれ異なるエネルギー・フルエンス閾値を有している。 同様に、紫外光の吸収される深さを表す吸収係数もそれぞれの歯質によって異なっている。 このことから、単一の紫外レーザ・システムを利用するだけでいくつかの歯科処置を安全に行うことが可能になり、
    その際に異なる動作ウィンドウを規定することができる。

    【0019】図1及び図2は、紫外光を歯に供給するために使用可能な装置の適切な形態を示したものである。
    図1においてパルス状紫外光レーザ10は、約400n
    mよりも小さい波長域の光線12を与える。 希ガスハロゲン化物エキシマ・レーザを、193nm(ArF)、
    248nm(KrF)、308nm(XeCl)の紫外光出力を与えるための光源として用いることができる。
    さらに、3倍波Nd:YAG等の固体レーザを、355
    nmの出力を与えるために用いることができる。 命令によってレーザ光12をブロックできるように、シャッター13が設けられる。 ビーム・ホモジナイザ14は、レーザ光の強度の均一性を保証するために任意に設けられる。 ビーム・ホモジナイザは周知の技術であり、Y. Oza
    ki and K. Takamoto, Applied Optics, Vol. 28,p.106
    (1989)を参照されたい。 実施例の1つでは、ホモジナイザ14は一連のレンズ(前記文献参照)または一連の高伝送チャネル(M. Wagner et al., Measurement Scienc
    e and Technology, Vol. 1,p.1193(1990))から構成することができ、これらは、レーザ光の様々な部分を交差させ及び重複させることによって強度変動を平滑化してホット・スポットを取り除く。 エキシマ・レーザは、マルチ・モード・レーザであるので、ホット・スポットが生じる。 一般的にホモジナイザは、レーザ光を細い線束に分割した後、レーザ光の断面の強度をより均一にするためにそれらを再結合する。

    【0020】レーザ光12は、その後回動可能なミラー16へ当たり、これによりレンズ18へと反射される。
    このレンズ18は、レーザ光の焦点を歯20に、特に照射される局所的領域22に合わせるために十分な焦点距離を有するように選択される。 領域22は、例えば歯の上のカリエス病巣等の疾患の部分である。 図1における歯は、人の歯茎24の断片として概略的に描かれている。 実際には、歯科医が普通に使用する型式の連結されたアームに装置(レーザ10も含む)を設置することができる。

    【0021】それ以外に、回動可能なミラー16及びレンズ18を曲面状の凹ミラーに置き換えることができる。 これは、レーザ光を偏向させると共に焦点を合わせるものである。 Alもしくは多層誘電体等の高反射材料を塗装したミラーも用いることができる。

    【0022】図2は、紫外光供給システムの別の実施例を示したものである。 図1に示したものと同じ機能を有する構成要素には、同じ符号を付している。 従って、図2のレーザ10は、約400nm未満の波長の出力レーザ・パルス12を与える。 シャッター13は、歯科医よって要望するレーザ光12を遮るために用いられる。 レンズ26は、焦点の合ったレーザ光28を光ファイバ3
    0に向け、且つレーザ・パルスを伝達する光ファイバ3
    0と結合させるために用いられる。 レーザ・パルスは光ファイバ30から出て、歯20上に、特に領域22上に当たるパルス列32を与える。 光ファイバ30内で生じる複数の内部全反射によって、レーザ光の均一化が自動的に起きるので、出力光32の断面における強度は十分に均一であることを保証される。

    【0023】図2の装置は、光ファイバ伝送システムの伝送末端からなる器具を歯科医が手で持つことができる点において望ましい。 その後歯科医は、この器具を操作してレーザ光を歯の上の目的とする箇所22に当てる。
    光ファイバ30の伝送末端に位置する焦点距離の非常に短いレンズ34があるので、歯科医は器具を持って歯に近づけ、十分に焦点の合ったレーザ光を照射される領域22に与えることができる。 光ファイバの末端は、レンズとなるように形成することもできるし、あるいはレンズを光ファイバの末端に取り付けることもできる。 従って、歯科医が容易に観察できる非常に制御された領域において歯質が歯から切除される。

    【0024】人間の象牙質、エナメル質、及びカリエス病巣に関して定量的実験が行われた。 約2mmの厚さの断面が、ダイヤモンド製の薄刃を持つBuchler Isometソーを用いていくつかの臼歯の歯冠の3分割中央部分から切除された。 各断面の表面は双方とも、先ず320の粗さの、次に600の粗さのカービメット(carbimet)紙ヤスリを用いて研磨された。 その後断面は、6%のクエン酸に浸され、汚れた層を除去するために2分間振る。
    それから、脱イオン化水によって濯がれて、70%エタノール中に保存された。 これらの断面状の人の歯の慎重に選択された領域が、所定のフルエンスの308nmX
    eClエキシマ・レーザからの所定のパルス数のレーザ光に曝された。 機械的プロフィロメータを用いて、切除された溝の深さを測定した。 レーザ光のエネルギー・フルエンスは、半対数用紙上にパルスあたりの切除溝深さの関数としてプロットされ、そのデータに直線を当てはめた。 Beerの法則が正確に歯の中の紫外光吸収を記述するものと仮定すると、以下の式によって、除去される歯質の量と適用されるエネルギー・フルエンスとの間の関係が示される。

    【0025】

    【数1】

    ここでFは、照射される歯の深さlにおけるレーザ光のフルエンスである。 F

    0は、照射される領域表面における紫外光のフルエンスである。 αは、切除される歯質における吸収係数である。

    【0026】レーザ・フルエンスの関数として切除される穴のパルスあたりの深さdを測定することによって、
    切除のためのフルエンス閾値F th及び、切除される歯質の吸収係数αが決定される。

    【0027】

    【数2】

    照射される歯質の深さlにおいて堆積される単位体積E


    あたりのエネルギーは、その深さのエネルギー・フルエンスF、及び適用されたフルエンスの対数対深さのプロットの傾きαから求められる。 E=Fα 単位体積Eあたりのエネルギーが、単位体積あたりの閾値エネルギーE

    thを越えるとき、切除できる。 傾きα


    は、各歯質(エナメル質、象牙質、及びカリエス質)について定数である。 E

    th =F

    th α

    【0028】各歯質の切除に関するデータのプロットは図3乃至図6に示されている。 図3は、象牙質切除に関するデータを、図4はエナメル質切除に関するデータを、そして図5はカリエス質切除に関するデータをそれぞれ示している。 図6は、図3乃至図5のデータを統合したプロットである。 図3の象牙質については、切除閾値フルエンスF thは、1.04±0.06J/cm 2であり、吸収係数αは、2.7±0.1μm -1である。 エネルギー閾値E thは、従って2.8×10 4 J/cm 3となる。 図4のエナメル質については、F thは、5.9±
    0.3J/cm 2であり、αは、3.8±1.5μm -1
    であり、E thは、22×10 4 J/cm 3となる。

    【0029】象牙質についてのパルスあたりの切除深さは、入射フルエンス2.3J/cm 2に対して約0.3
    μmである。 このフルエンスにおいてはエナメル質は切除されない。 エナメル質についてのパルスあたりの切除深さは、入射フルエンス6.6J/cm 2に対して約0.03μmである。 これらの測定から、エナメル質がレーザ光に曝されるにも関わらずこれを損傷することなく象牙質を切除できる広いフルエンスのウィンドウがあることがわかる。

    【0030】さらに、カリエス質の切除についての閾値エネルギー・フルエンスを決定するための実験も行われた。 これらの解析には、308nmのエキシマ・レーザを用いた。 カリエスを有する歯は、アルコール溶液とともに保存され、その後エメリー紙を用いて研磨することにより平坦な表面が形成された。 これによって、紫外光パルスのエッチング効果を判断するための、照射の前後における視覚的検査が容易になる。 その後、異なるフルエンスの紫外光パルスを適用することによって、約0.
    3mm 2の断面積の5個の穴がカリエス質に掘られた。
    各穴の深さは、機械的プロフィロメータを用いて測定され、その結果をプロットしたものが図5である。 図5で示すように、カリエス質についてのF thは、1.36J
    /cm 2であり、傾き(α)は、0.25μm -1であり、E thは、従って0.34×10 4 J/cm 3となる。

    【0031】その後前述の実験は、同じ歯を用いて、アルコール溶液で濯ぎその歯の異なる領域を研磨した後に繰り返された。 新たな5個の穴がカリエス質に掘られた。 最初の実験で用いたものと同じマスクが用いられ、
    穴の断面積は約0.3mm 2である。 再び、各穴の深さが測定され、適用された既知のエネルギー・フルエンスに対してプロットされた。 入射光の波長はやはり308
    nmである。 この結果は、図5のものと実質的に同一であった。

    【0032】象牙質の切除閾値フルエンスが、カリエス質に対するそれよりも小さいことは最初は意外であった。 カリエス質は元々有機物の特性を持っているので、
    カリエス質に対する切除閾値は堅い象牙質に対するそれよりも小さいと予想された。 しかしながら切除するために越えなければならない単位体積あたりの閾値エネルギーは、前述の通りである。 図5の直線の傾きを図3のそれと比較すると、図5の直線の方が象牙質に対する図3
    の直線よりもずっと緩やかであるであることがわかる。
    従って、カリエス質に対する吸収係数αは象牙質に対するそれよりも小さく、エネルギー閾値は8分の1以下となり、従って同じフルエンスの紫外光を適用された場合、健康な象牙質より遥かに多くのカリエス質が除去されることになる。 所定のエネルギー・フルエンスにおいて除去されるカリエス質の量は、除去される象牙質の量の10倍にもなる。 レーザ光はカリエス質の中により深く侵入するので、カリエスを切除するためには、レーザ光の侵入の浅い象牙質の除去閾値に比べてより高い閾値フルエンスが要求される。 カリエス質の閾値エネルギーを越えて操作する場合、象牙質はカリエス質と同様に切除されることになるが、切除される象牙質の量はカリエス質のそれに比べて極めてわずかである。 簡単に比較するために、図3乃至図5からのデータを、共通の目盛りで図6にプロットしている。 図6は、歯質の種類によって異なる閾値と除去速度を示している。

    【0033】安全性要素を設けるために、即ち、カリエス質を除去しようとする場合に健康な象牙質を過剰に切除しないために、歯科医に対して切除される歯質の性質を示す「指標」が必要である。 カリエスの閾値フルエンスを越えると、オレンジ色の噴煙と共に大きな破裂音が聞こえる。 カリエス質が全て除去され、そして健康な象牙質が紫外光パルスに曝されると、切除される歯質の量が少ないのでこの破裂音が弱くなる。 これによって、切除されている歯質を標示することができる。

    【0034】切除プロセスの1つの見方として、単位体積あたりの十分なエネルギーが歯質中に堆積されて歯質を気体中に飛ばすというものがある。 歯質は、エッチングされた穴から膨張して吹き飛ばされる。 単位体積あたりのエネルギーによってこのような結果を生じるために、エネルギー・フルエンスは十分高くなければならない。 本発明によって全ての種類の歯組織をうまく除去するメカニズムが、熱的な結合の破壊によるものであるか、あるいは光化学的な結合の破壊によるものであるかは、それほど重要ではない。 切除的光分解または切除という用語は、一般的な意味で、紫外光の適用によって照射されない歯質への熱拡散を最小限にして照射された歯質が十分な速度で吹き飛ばされる場合に、熱的結合の破壊及び光化学的結合の破壊の双方の意味を含んでいる。
    もし紫外光パルスの繰り返し速度が速すぎる場合あるいはパルス幅が大きすぎる場合、切除生成物は、照射された歯質から十分に速く「吹き飛ぶ」ことができず、過剰な熱拡散を防ぐことができない。 この場合、照射領域の縁の熱損傷が生じてしまう。

    【0035】切除の指標は、レーザ・パルスと同期した気付きやすい破裂音である。 この音は、切除後の測定によって確認されるように歯質が切除されているときにのみ聞こえる。 この音は、表面から切除される気体状態の歯質によって発生する。 この音に伴うものとして、切除表面から発散するオレンジ色の「噴射(jet)」がある。 これらの2つの指標は、閾値を越えてフルエンスが増加するほどより明瞭になる。 これらは、切除閾値以下では生じない。 結果的に、この音及びオレンジ色の噴射は、どの種類の歯質がレーザ・パルスによって切除されているかを判断するための単純で迅速な方法である。 エナメル質を切除するための閾値を越える所定のフルエンスに対し、この同じフルエンスが象牙質に向けられた場合には破裂音及び噴射の大きさは遥かに明瞭になる。 従って、歯の表面のエナメル質を切除しているとき、エナメル質から下層の象牙質へ切除溝が貫通したとたんに破裂音及びオレンジ色の噴射が劇的に強まることになる。
    これによって、不要な象牙質への貫通を防ぐためにレーザ・フルエンスを低減したり遮断したりするための、その場での標示が可能になる。 もちろん歯科医は、処置の間いつでも紫外光照射の結果を観察するために停止することができる。

    【0036】虫歯の歯質、それは主に有機物であるが、
    エナメル質の切除閾値以下の切除閾値を有する。 虫歯の歯質は、エナメル質を切除する閾値フルエンスよりも低い2.3J/cm 2 (308nm)のエネルギー・フルエンスを用いて、下層にある象牙質及びエナメル質から選択的に除去された。 さらに、2.3J/cm 2のエネルギー・フルエンスは、より明瞭な破裂音とオレンジ色の噴射の標識によって示されるように、象牙質よりも効果的に(即ち、極めて高速に)虫歯の歯質を切除することができた。

    【0037】象牙質細管中の有機物を、象牙質の切除閾値より低い閾値の紫外光照射によって除去できることがわかっている。 細管中の有機物は、細管を詰まらせことなく除去される。 従ってこの選択的切除技術は、歯の感度を鈍らせることを助ける前述のように、他の紫外波長を用いることができる。 図3、図4、及び図5に示した実験における308nmは、308nm用の光ファイバ伝送システムがあったことに基づいて選択した。 これらの光ファイバは歯質切除のために十分なエネルギー・フルエンスを伝送することができる。 この波長における光ファイバに適した材料の例としては、以下のようなものがある。 即ち、水晶、溶融シリカ、及び選択されたサファイアである。 紫外波長の適用に適したレンズ材料としては、水晶、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、
    溶融シリカ、及び紫外サファイアから作製されたものが含まれる。

    【0038】このレーザ・システムはさらに、歯の歯垢を除去することも示された。 ほとんど全ての場合、歯垢は、エナメル質表面の有機皮膜の変色したものである。
    この物質は本質的に有機物で、唾液蛋白質から成り、厚さ僅か数μmの堆積膜を形成する。 摩擦技術を用いた従来の方法で歯垢を除去する代わりに、紫外光を用いることができる。 有機歯垢物質は、エナメル質の切除閾値よりも低い切除閾値を有するので、下層にあるエナメル質に影響を及ぼすことなく容易に除去することができる。
    歯石または石灰化した歯苔もまた紫外光照射により除去することができる。 さらに紫外光照射を用いることによって、非常に歯に敏感な人の感覚を鈍らせることも可能であると考えられる。 この脱感は、象牙質細管をシールするに十分なほど温度を上げることによって実現されるであろう。

    【0039】BD Goodman 及び HW Kaufman による J. Dental Research, p 1201, October 1977 に報告されているように、レーザ照射は、人間の歯のエナメル質へのフッ素吸収を促進し、また、エナメル質の酸への溶解を抑制することによって虫歯になりにくくする。 この報告においては、波長514.5nmのアルゴン・レーザが用いられた。 その後の研究では、CO 2レーザの方がさらに効果的であることが示された(J. of the Ja
    panese Society of Laser Medicine, vol.6, pp.231-23
    4, 1986)。 本発明の実施例では、レーザに曝されても焼かれたりしない、フッ素(NaFまたは他のフッ化物)を溶解した溶液であるフッ化物キャリアを紫外レーザ光源と組み合わせて用いることができる。 フッ化物キャリアとしては、フッ化物を溶解するがレーザによっては焼かれない水から化合物まで多岐にわたっている。 フッ化物キャリアは、紫外光の下で焼かれない無機物キャリアが好ましく、そのキャリアは、紫外光を少なくとも約70%透過する。 この照射は、歯質の切除を生じるエネルギー・フルエンスよりも小さいエネルギー・フルエンスで適用される。 さらに、フッ素含有層全体の厚さは、歯の表面への紫外光透過が約70%以下になる厚さよりも薄い。 適切な厚さは、通常約1乃至2mm以下である。 これによって、歯の痛みや損傷を引き起こすまでに歯の温度を上昇させてしまうほどのエネルギーを吸収させることなく歯の表面上でのフッ化リン灰石の生成が促進される。

    【0040】さらに、紫外レーザと、柔らかい組織用の赤外光または可視光を発生するレーザの双方を設けることもできる。 また、赤外光と紫外光の双方を発生可能な単一のレーザを用いることもできる。 そのようなレーザには、例えば、Nd、Ho、Er:YAGレーザ等の周波数逞倍固体赤外レーザ、Ti:サファイア・レーザ、
    またはダイオード・レーザがある。 紫外及び赤外の波長範囲の双方をよく透過するレンズを設けることは困難であるので、双方の波長を組み合わせて用いる場合には、
    それに代わる構成として曲面状の凹ミラーを図1の平面状ミラー16及び18に置き換えて用いることが好ましい。 赤外照射パルスを変動させることもまた、殺菌の目的に用いることができる。

    【0041】穴開け中の冷却のために用いる水が過剰に溜まらないように、通常吸引装置によって、血、組織、
    唾液、及び噴射水と共にカリエス質を除去する。 歯科医のドリルは汚染されがちなので、ドリルを定期的に殺菌しなければならない。 これと対照的に、レーザ・パルスの適用は非接触技術であり、紫外光照射自体を歯科処置中の歯の殺菌に用いることができる。 この目的の際には、紫外光を切除閾値以下の強度に抑える。 この形式の紫外光処置は、切除過程の前でも後でも行うことができる。 またそれ以外にも、低出力の紫外光パルスを切除パルスの間に分散させることによって切除中に充満する噴煙を緩和することができる。 これを実行する簡単な方法は、ビーム・スプリッタを用いて切除パルスを2つのパルスに分割してそれらのパルス内の1つを遅らせることである。 もしそうしたい場合は、遅らせたパルスもまた強度を弱めることができる。 遅らせたパルスは、噴煙の生体活性を抑えるかまたは除去するために用いられる。

    【0042】切除過程の間、切除箇所から吹き飛ばされ、他の物質も含む微粒子から成る噴煙は、吸引器によって吸引することができる。 図7は、これを実行する技術の一例を示している。 歯科医により把持される器具3
    6には、歯40へ紫外光を照射するための光ファイバ3
    8と、吸引ポンプ44からさらにフィルタ(図示せず)
    へと接続される吸引機構の吸引口となる細管42とが共に設けられている。

    【0043】他の例として、図8に示すように吸引管
    2を光ファイバ38と同心状の同心管にすることもできる。 光ファイバ38及び同心吸引管42の双方とも歯科器具36内に配置されている。

    【0044】紫外レーザ・パルスのパルス幅及びパルス反復速度は、歯質の除去のための主要なメカニズムが切除的光分解となるように選ばれる。 即ち、歯や歯茎の周辺領域への熱拡散が最小限になる。 切除的光分解を生じるように、切除閾値に適合させるかまたはこれを越えるようにしなければならないが、パルスのエネルギー・フルエンスの上限は過剰な熱または損傷を引き起こすものであり、即ちそれ以上のエネルギーはエッチングに適したものである。 さらに、パルス反復速度及びパルス幅のパラメータについては注意深く選ばれる。 エキシマ・レーザは、現在、通常のパルス持続時間が約10nsで反復速度約1乃至2000Hzを与えるものが利用できる。 パルス幅を50乃至100nsに広げて用いると、
    光ファイバの損傷を最小限にすることができる。 約20
    Hz以下の反復速度においてパルス幅を約100ns以下の場合、過剰な熱拡散(痛みや火傷を生じる)が起きない。 さらに広いパルス幅及び/またはより速い反復速度の場合には、水冷却を用いて望ましくない熱の影響を軽減することができる。

    【0045】前述のエキシマ・レーザの他に、窒素レーザが、337nmの紫外光を与えるために利用できる。
    しかしながらこのレーザは、通常非常に低出力である。
    また、フッ素レーザは、157nmの出力を与える。 パルス反復速度200Hz、パルス幅約15nsを持つ1
    93nmにおいて動作する様々な市販のレーザを利用することができる。 適正なレンズ素子を用いると、0.5
    mm×0.5mmまたはそれ以下の大きさの丸みのある正方形のスポットを与えることができる。

    【0046】図9は、歯質を切除する紫外光を発生するレーザの出力を自動的に調整するために切除中の歯質(エナメル質、象牙質、またはカリエス質)の「標識」
    を用いる、レーザ歯科装置の概略図である。 この方法では、歯科医は、切除中の歯質の種類を判断するために自らの熟練度に頼る必要がない。 これによって、切除すべきでない歯質の除去を最小限にするために、レーザ出力のエネルギー・フルエンス/パルス、パルス反復速度等を非常に微妙に制御することが可能になる。

    【0047】具体的には、レーザ46(エキシマ・レーザ、周波数逓倍型固体レーザ等)は、歯52上の領域5
    0へ到達させるための光ファイバ48等の伝送システムに紫外光パルスを供給する。 これらの紫外レーザ・パルスは、エナメル質、象牙質、またはカリエス質のいずれであっても照射される歯質を切除するに十分なエネルギー・フルエンス/パルスを有する。 前述のように、これらの異なる歯質の切除は、異なるエネルギー閾値において生じ、そしてそれぞれの切除の際には異なる標識を発生する。 切除される表面から放散される「破裂音」及びオレンジ色の噴射の双方とも、その切除されている表面がエナメル質、象牙質、またはカリエス質であるかによって異なる。 例えば、オレンジ色の噴射は、エナメル質が切除されている場合より象牙質が切除されている場合の方が強くなり色も変化したりする(同じエネルギー・
    フルエンスにおいて)。 虫歯を切除する場合は、象牙質を切除する場合よりも遥かに速く切除されるので、さらに明瞭な破裂音とさらに明白なオレンジ色の噴射を生じることになる。 この破裂音とオレンジ色の噴射の双方または一方を検知するセンサを用いると、レーザ46の出力パルスの特性を制御するための制御信号が与えられる。

    【0048】図9では、2色ミラー56を透過して光ファイバ58に入る第2のレーザ54が、切除される領域50から放散する噴煙部分へ到達するレーザ・パルスを与える。 切除されている歯質に依って異なる濃さのオレンジ色が観られ、それが異なる波長及び/または強度としてファイバ58の中に戻ってくる。 このリターン信号は、ミラー56によって検知器または解析装置60へと反射される。 噴煙の色標識に依って、レーザ出力制御装置62へ信号が与えられる。 制御装置62は、切除される歯質の種類に従ってレーザ46の出力、反復速度等を調整するために信号をレーザ46へ与える。

    【0049】レーザ54からの出力パルスは、制御装置62とレーザ54との間にある遅延装置64を用いることにより、レーザ46からのパルスに対応させて遅らせることができる。 この方法では、検知器または解析装置60が歯52上の領域50から異なる歯質が切除されていることを検知すると即座に、切除レーザ46からの出力を速やかに調整することができる。 もしシステムが、
    切除されている歯質の解析のために最初の僅かの切除パルスを用いるように設計されている場合は、遅延装置6
    4を省くことができる。 解析の後、制御装置62は紫外レーザ・パルスのエネルギーを適切に設定するために調整を行う。

    【0050】破裂音標識を用いて制御を行うために、小型の音響センサ49、または、光ファイバ圧力センサもしくは光ファイバ・マイクロフォンが、歯52に近づけるように光ファイバ58の末端に設けられている。 センサ49は、ライン51を介して電気信号を解析装置60
    に与える変換器である。 その後のフィードバック制御は、前述の第2レーザ54における場合と同様である。

    【0051】図10は、肝炎、HIV等による生物学的汚染の発生を防止するために使用可能なレーザ歯科装置の概略図である。 この装置では、光ファイバ・バイオセンサが、患者の口腔内の生物学的状態を認識するために用いられる。 例えば、光ファイバ・センサが、歯から切除される歯質中に特定のウィルスの存在を検知すると、
    フィードバック信号が自動的に切除レーザを停止させるか、あるいは望ましくないウィルスを殺したり減少させる殺菌効果を与えるために低出力で動作するよう切除パルスにトリガをかける一方、歯の切除はそれ以上行わないようにする(そして、空気感染する生物学的細菌がさらに発生することを防止する)。 この方法は、汎用的な機械的ドリルを用いた場合に患者から出る汚染された歯質を吸引してしまう問題と比べ、対照的である。

    【0052】図10では、レーザ66が、歯72上の領域70へ到達させるための光ファイバ68等の伝送システムに紫外光パルスを供給する。 別の光ファイバ74は照射された部分70からの応答を検知器76へ伝送する。 検知器の出力は、解析装置78へ送られ、そこで切除される照射部分70から放散する噴煙中に何らかの有害な生物学的物質存在しないかを判断する。 その後、解析装置78はレーザ制御装置80に信号を与え、そして制御装置80は、レーザ66に対してレーザ66を停止させるかもしくは紫外光パルスのエネルギー/パルスを低下させるための信号を、または他の何らかの方法で操作者に警告するための信号(例えば、警報や標示灯)を与える。

    【0053】(抗体、DNA、化学薬品等の)生物学的感知認識素子の層82が、光ファイバ68及び74の先端に設けられている。 照射領域70から受け取る信号に従って、認識素子層82はバイオセンサとして機能し、
    即ち、照射領域近傍の生物学的物質を認識する。 この物質があると、ファイバ74を介して検知器に反射される光が変化する。 David R. Walt による文献、Proceeding
    s of the IEEE, Volume 60, No. 6, June 1992, p. 903
    には生物学的認識素子を持つ別の種類の光ファイバ・センサが記載されている。 センサ層82は、レーザ66からファイバへ送られる光を変動させる。 照射領域の周辺部分からの反射光の変動量は、ファイバ先端に接触する特定の物質の量(有無を含めて)の目安とすることができる。

    【0054】切除速度によって歯から発生する熱量を制御したい場合に、センサ層82を温度及び/または圧力の標示として利用できる。 その動作は、温度または圧力が所定の量を超えると、レーザ・パルスの反復速度及び/またはエネルギー/パルスを低下させるためにフィードバック信号でトリガをかけるものである。 さらに、光ファイバ74は、検知器76へ異なる波長の照射を伝えるためにも利用できる。 検知されている波長は、そのシステムの設計、即ち、そのシステムが設置し検知しようとする標識の種類に依って決まっているからである。

    【0055】図10では、別々のファイバ68と74を示したが、単一のファイバまたはファイバ束も利用可能であることは自明である。 また、分岐したファイバも利用可能であり、その場合、励起する照射が一方の部分を介して伝送され、戻る信号が他方の部分を介して伝送されるようにファイバは分割されている。

    【0056】検知器76は、検知される標識の種類に感度を持つように設計される。 即ち、波長、強度等に応答するように選ぶことができる。 適切な検知器としては、
    様々なダイオード及びダイオード・アレイ、電荷結合素子(CCD)、光電子増倍管等がある。

    【0057】米国特許第5107516号は、2つのレーザを用いた分光学的フィードバック・システムを開示している。 この中では、切除レーザを制御するフィードバック信号を与えるために共鳴蛍光が利用されている。
    この特許のシステムでは、検知されるものは、主要な歯苔と通常の組織との間の違いである。 医学的及び歯学的応用においてレーザと共に用いるフィードバック・システムを一般的に記載している他の文献としては、DR W
    yman et al. Proceedings of the IEEE, Vol 80, No.
    6, p.890, June 1992、及び独国特許第DE40150
    66A1号がある。 これらの文献と比較すると、以上に記載したように本発明は、歯の組織の処置のために用いる切除レーザ出力を制御するために音及び/または色付きの噴煙という標識、及び/または組織の温度を利用するものである。

    【0058】特定の実施例に関して本発明を記載したが、本発明の主旨からはずれることなく様々な変形が可能であることは当業者には自明であろう。 堅い組織及び柔らかい組織の歯科的処置を選択的に行うための紫外光の利用を可能にする切除閾値ウィンドウがあることが示唆された。 この特徴は、これまでは歯科医が利用できなかったものである。 エナメル質、象牙質、カリエス質等を含む様々な歯質の種類に対して、選択された紫外光の波長に依って僅かに異なる切除閾値が存在する。 しかしながら、選択された波長に拘わらず、図3乃至図6のプロットに関して記述した手順によってこれらの切除閾値を決定することができる。

    【0059】本明細書に記載した動作ウィンドウによって、他の処置についても安全に選択的に行うことができる。 例えば、歯の構造を結合する樹脂を硬化させること、歯の根管及び他の表面を消毒すること、及び歯表面から歯垢を除去することなどである。

    【0060】また、本発明は種々の観点から、以下のような項目として把握することができる。 1)歯の一部の周辺部分への熱拡散を最小限にする機構によって該歯の一部からエナメル質を切除するために十分なエネルギー・フルエンスF 1の紫外光を該歯の一部に照射するステップと、所望の量のエナメル質が前記歯の一部から除去されるまで前記照射を持続するステップと、エナメル質を切除するために必要なエネルギー・フルエンスよりも小さいが前記歯のカリエス質を切除するためには十分なエネルギー・フルエンスF 2へと前記紫外光のエネルギー・フルエンスを変化させるステップと、前記歯のカリエス質を切除するために十分な期間の間エネルギー・フルエンスF 2の紫外光を該歯のカリエス質に照射することにより、該歯をより健康な状態に回復させるステップとを含む、歯科処置方法。 2)項目1)の歯科処置方法において、エネルギー・フルエンスF 1が、約5.8J/cm 2以上であるようにした方法。 3)項目2)の歯科処置方法において、エネルギー・フルエンスF 2が、約5.8J/cm 2以下であり且つ約1.3J/cm 2以上であるようにした方法。 4)項目1)の歯科処置方法において、紫外光が、波長約100乃至400nmの範囲であるようにした方法。 5)項目1)の歯科処置方法において、紫外光が、波長約300乃至400nmの範囲であるようにした方法。 6)項目1)の歯科処置方法において、紫外光が、波長約185乃至220nmの範囲であるようにした方法。 7)項目1)の歯科処置方法において、カリエス質及び象牙質の双方を切除するに十分なエネルギー・フルエンスを用いて該カリエス質及び該象牙質の双方に照射を行い、該象牙質の除去速度よりも速い速度で該カリエス質を除去するステップを含むようにした方法。 8)項目1)の歯科処置方法において、象牙質、カリエス質、及びエナメル質を切除するために必要なレベルよりも低いレベルに紫外光のエネルギー・フルエンスを落として、該紫外光を口腔内の殺菌をするために用いるようにした方法。 9)項目1)の歯科処置方法において、紫外光のフルエンスを、F 1及びF 2よりも小さく且つ象牙質を切除するに必要な閾値量よりも大きいF 3に変更し、該フルエンスF 3の紫外光を象牙質を切除するために歯に照射するようにした方法。 10)エナメル質を切除するために必要な閾値エネルギー・フルエンスF 1以上のエネルギー・フルエンスを持つ紫外光パルスを歯の一部に照射するステップと、所望の量のエナメル質が前記歯から除去されるまで前記照射を持続するステップと、カリエス質を切除するために必要な閾値エネルギー・フルエンスF 2よりも大きいが該F 1よりも小さい第2のエネルギー・フルエンスの紫外光パルスを前記歯に照射するステップと、所望の量のカリエス質が前記歯から除去されるまで前記第2のエネルギー・フルエンスのレベルでの前記照射を持続するステップと、カリエス質及びエナメル質を切除するために必要な前記閾値エネルギー・フルエンスよりも小さいが象牙質を切除するために必要な閾値エネルギー・フルエンスF 3よりも大きい第3のエネルギー・フルエンスの紫外光パルスを前記歯に照射することにより、該歯から象牙質を除去し、所望の量の象牙質が除去されるまで該照射を持続するステップとを含む、歯科処置方法。 11)項目10)の方法において、レーザが、エキシマ・レーザであるようにした方法。 12)項目10)の方法において、紫外光が、波長約1
    00乃至400nmの範囲であるようにした方法。 13)項目10)の方法において、紫外光が、波長約3
    00乃至400nmの範囲であるようにした方法。 14)項目10)の方法において、紫外光が、波長約1
    85乃至220nmの範囲であるようにした方法。 15)紫外光を発生するレーザと、歯のエナメル質を切除するために十分な量の前記紫外光のエネルギー・フルエンスを設定する手段と、前記エナメル質を切除するために十分な量よりも小さいがカリエス質を切除するために必要な閾値量よりも大きい前記紫外光のエネルギー・
    フルエンスを設定するための手段と、前記歯の選択された領域からエナメル質及びカリエス質を選択的に切除するために該歯の選択された該領域に前記紫外光の光線を到達させるための手段とを有する、歯科処置装置。 16)項目15の歯科処置装置において、歯からカリエス質を切除するために必要な閾値量よりも小さいエネルギー・フルエンスを設定するための手段を含むようにした装置。 17)項目15の歯科処置装置において、レーザが、パルスを発生するようにした装置。 18)項目17の歯科処置装置において、光線を到達させる手段が、歯に紫外光を伝送するための光ファイバを含むようにした装置。 19)項目18の歯科処置装置において、パルス状紫外光が歯を過熱しないように該パルスの反復速度を遅くするよう調整するための手段を含むようにした装置。 20)項目15の歯科処置装置において、レーザが、波長約300乃至400nmの範囲のレーザ光を発生するようにした装置。 21)項目15の歯科処置装置において、レーザが、波長約220nm以下のレーザ光を発生するようにした装置。 22)項目15の歯科処置装置において、レーザが、波長約100乃至400nmの範囲のパルス状レーザ光を発生するようにした装置。 23)項目22の歯科処置装置において、パルス状レーザの反復速度を調整するための手段を含むようにした装置。 24)項目15の歯科処置装置において、紫外光のエネルギー・フルエンスを設定するための手段が、該エネルギー・フルエンスを約5.8J/cm 2以上のレベルに設定可能であり、且つ約1.3J/cm 2以下のレベルに設定可能であるようにした装置。 25)紫外レーザ・パルスを与えるためのレーザ・システムと、処置される歯の領域中の歯質を切除するために十分なエネルギーの紫外光パルスを当て、且つ該切除中に該領域から破裂音と色付きの噴煙を有する標識が出る該パルスを当てる手段と、前記パルスを照射されている前記領域におけるエナメル質、象牙質、またはカリエス質の存在によって前記紫外光パルスのエネルギーを変えるために前記レーザ・システムを制御する制御手段と、
    前記音標識または前記色標識に応答して前記制御手段へ信号を与え、それによって前記パルスを照射されている前記領域のエナメル質、象牙質、またはカリエス質の存在に従い前記レーザのエネルギー出力を調整するセンサ手段とを有する、歯科処置装置。 26)項目25)の歯科処置装置において、センサ手段が、色付きの噴煙の強度または波長スペクトルを検知する検知器、及び該検知器の出力を解析する解析装置を含むようにした装置。 27)項目26)の歯科処置装置において、照射された部分から出る生物学的物質を検知するためのバイオセンサを含み、該バイオセンサの出力が該レーザの出力を制御するためにフィードバックされるようにした装置。 28)歯の選択された領域から歯質を切除するために十分なエネルギーの紫外レーザ・パルスを該領域に照射し、且つ該切除によって該領域から可聴音を伴う色付きの噴煙を放出し、エナメル質、象牙質、またはカリエス質のいずれが該領域から切除されているかによって該色付きの噴煙及び該可聴音が特徴を有する、該照射するステップと、前記色付きの噴煙を表す信号を発生するために該色付きの噴煙を検知するステップと、前記領域から切除されている歯質を判断するために前記信号を解析するステップと、照射されている前記領域からエナメル質、象牙質、またはカリエス質のいずれが切除されているかによって前記紫外光パルスの特性を変えるために制御信号を与えるステップとを含む、歯科処置方法。 29)項目28)の歯科処置方法において、紫外レーザパルスが、切除されている歯質がエナメル質、象牙質、
    またはカリエス質であるかに依って変化するようにした方法。 30)項目28)の歯科処置方法において、照射された部分から出る選択された生物学的物質の存在を検知し、
    且つ該選択された生物学的物質の有無に依って紫外レーザパルスのエネルギーを制御するステップを含むようにした方法。 31)項目28)の歯科処置方法において、可聴音を検知して該可聴音を表す信号を発生し、該信号を解析し、
    そして、照射部分から切除されている歯質がエナメル質、象牙質、カリエス質のいずれであるかに依って紫外レーザパルスの特性を変更する制御信号を与えるステップを含むようにした方法。 32)歯から歯質を切除することによって、切除されている該歯質の種類の特徴を有し且つ切除されている該歯質がエナメル質、象牙質、またはカリエス質のいずれであるかによって区別される音を生じる、該歯から該歯質を切除するために十分なエネルギーの紫外レーザ・パルスを発生するレーザ・システムと、切除されている歯質の種類を示す信号を発生するために前記音に応答し、該信号を制御手段へと伝送する検知手段と、前記検知手段から受信した前記信号によって前記レーザ・パルスのエネルギーを変えるために前記レーザ・システムを調整する制御手段とを有する、歯科処置装置。 33)項目32)の歯科処置装置において、レーザ・パルスのエネルギーが、エナメル質の切除するために十分な量F 1 、それより小さいカリエス質を切除するために十分な量F 2 、及びそれよりさらに小さい象牙質を切除するために必要な量F 3の間で変更されるようにした装置。 34)項目32)の歯科処置装置において、検知手段が、音響トランスジューサ及び該音響トランスジューサの出力を解析するための解析装置を含むようにした装置。 35)フッ化物を含む層を歯に形成するために、紫外光を照射されても焼かれず且つ少なくとも約70%の紫外光透過率を持つフッ化物キャリアを該歯に接触させるステップと、波長域100乃至400nmであって、痛みの感覚を生じる温度よりも低温に歯を維持するよう十分小さいエネルギーを持つ紫外光を前記フッ化物キャリアに照射するステップとを含む、歯科処置方法。 36)項目36)の歯科処置方法において、キャリアが、フッ素化合物のための無機溶媒であるようにした方法。 37)エナメル質、象牙質、及びカリエス質を含む歯質を歯から切除するために十分な選択されたエネルギー・
    フルエンスの紫外レーザ・パルスを発生するレーザと、
    前記紫外レーザ・パルスを前記歯に到達させるための光ファイバ伝送システムと、前記紫外レーザ・パルスを照射されている前記歯に十分近接して設置され、切除されている該歯の領域近傍における温度及び/または圧力を検知可能であり、該温度及び/または圧力を示す出力を与える、温度及び/または圧力に応答する検知手段と、
    前記検知手段の前記出力を受信し、前記紫外レーザ・パルスの反復速度を変えるために前記レーザを調整するフィードバック制御手段とを有する、歯科処置装置。 38)紫外光パルスを発生するレーザ・システムと、歯に実質的な熱を発生することなく該歯から歯質を切除するために、該歯に前記紫外光パルスを到達させる伝送手段と、前記歯から切除されている前記歯質の種類によって前記紫外光パルスのエネルギー・フルエンスを自動的に制御し、選択された紫外波長において少なくともエナメル質を切除するために必要な閾値フルエンスF 1である第一の選択されたエネルギー・フルエンスと、該選択された紫外波長において該フルエンスF 1よりも小さいが少なくともカリエス質を切除するために必要な閾値フルエンスF 2よりも大きい第2の選択されたエネルギー・フルエンスとを持つ制御手段とを有する、歯科処置装置。 39)項目38)の歯科処置装置において、制御手段が、切除される歯質の種類を検知するためのセンサ手段と、該制御手段に信号を与えるためのフィードバック手段を有し、該制御手段が第1または第2の選択されたエネルギー・フルエンスを持つ紫外光パルスを与えるようにレーザ・システムを調整するようにした装置。 40)項目38)の歯科処置装置において、制御手段が、象牙質を切除するために必要な閾値F 3よりも大きいがF 2よりも小さい第3の選択されたエネルギー・フルエンスへと、紫外光パルスのエネルギー・フルエンスを制御することが可能であるようにした装置。 41)項目38)の歯科処置装置において、選択された紫外光波長が、約185乃至220nmの範囲であるようにした装置。 42)項目38)の歯科処置装置において、選択された紫外光波長が、約300乃至400nmの範囲であるようにした装置。 43)項目38)の歯科処置装置において、歯をレーザにより切除する過程で、第1と第2の選択されたエネルギー・フルエンスの間で紫外光パルスのエネルギー・フルエンスを自動的に変更する手段を含むようにした装置。 44)項目38)の歯科処置装置において、歯をレーザにより切除する過程で、紫外光パルスの反復速度を自動的に変更する手段を含むようにした装置。 45)項目38)の歯科処置装置において、患者の口腔内の有害な生物学的物質の存在を感知するための手段、
    及び、歯から歯質を切除するには不十分なエネルギー・
    フルエンス・レベルへ紫外光パルスのエネルギー・フルエンスを自動的に低下させるための手段を含むようにした装置。 46)項目43)の歯科処置装置において、選択された紫外光波長が、185乃至220nmまたは300乃至400nmの範囲であるようにした装置。 47)項目37)の歯科処置装置において、第1の選択されたエネルギー・フルエンスが、少なくとも約5.8
    J/cm 2であり、第2の選択されたエネルギー・フルエンスが、約1.36J/cm 2以上且つ約5.8J/
    cm 2以下であるようにした装置。 48)項目47)の歯科処置装置において、選択された紫外光波長が、185乃至220nmまたは300乃至400nmの範囲であるようにした装置。 49)項目48)の歯科処置装置において、レーザ・システムが、固体レーザを含むようにした装置。 50)項目49)の歯科処置装置において、伝送手段が、紫外光パルスを歯に伝達させる光ファイバを含むようにした装置。 51)項目50)の歯科処置装置において、歯から切除されている歯質の種類を示す信号を与えるために、光ファイバの先端近傍に設置されたセンサを含むようにした装置。 52)歯垢部分を形成する物質を切除するためには十分であり且つエナメル質を切除するよりも小さいエネルギー・フルエンスを持つ紫外光パルスを、歯の歯垢部分に照射するステップを含む、歯から歯垢を除去する方法。

    【0061】

    【発明の効果】本発明によって、堅い組織及び柔らかい組織の双方への処置を含む様々な歯科的処置を行うために単一のレーザ・システムを安全に利用できる、レーザ歯科装置が提供される。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】適切な波長及びエネルギー・フルエンスを持つパルス状レーザ光を与えるための、ビーム・ホモジナイザを伴う一連の反射素子及びレンズを用いて、歯の上に適切なパルス状紫外光を適用するために装置の概略図である。

    【図2】光ファイバ伝送システムを利用した、本発明によるレーザ歯科を実行するための別の装置の概略図である。

    【図3】308nmにおけるパルス状紫外光を用いた、
    象牙質の切除的光分解についてのエネルギー・フルエンスに対する1パルスあたりのエッチング深さのプロットである。

    【図4】308nmにおける出力を与えるエキシマ・レーザを用いた、エナメル質の切除的光分解についてのエネルギー・フルエンスに対する1パルスあたりのエッチング深さのプロットである。

    【図5】308nmにおけるパルス状紫外光を用いた、
    カリエス質の除去についてのエネルギー・フルエンスに対する1パルスあたりのエッチング深さのプロットである。

    【図6】308nmにおけるパルス状紫外光を用いた、
    エナメル質、象牙質、及びカリエス質の除去についてのエネルギー・フルエンスに対する1パルスあたりのエッチング深さのプロットであり、これらの歯質の切除的光分解の比較を容易にするために図3乃至図5のデータを共通の目盛りでプロットしたものである。

    【図7】歯から切除された歯質の噴煙中の微粒子及び他の物質を除去するために用いる吸引管を用いる、本発明による歯科器具の概略図である。

    【図8】歯から切除された歯質の噴煙中の微粒子及び他の物質を除去するために用いる吸引管を用いる、本発明による歯科器具の概略図である。

    【図9】紫外レーザ切除パルスの特性を自動的に調整するために、切除されている歯質の種類の標識を用いるレーザ歯科器具の概略図である。

    【図10】紫外光処置の間に患者の口腔から出る有害な生物学的生成物により歯科医が汚染されることを防ぐために利用できるレーザ歯科器具の概略図である。

    【符号の説明】

    10、46、66 紫外レーザ 13 シャッター 14 ビーム・ホモジナイザ 16 ミラー 18、26、34 レンズ 20、52、72 歯 22、50、70 照射領域 24 歯茎 30、48、58、68、74 光ファイバ 49 音響センサ 54 レーザ 60、78 解析装置 62、80 レーザ制御装置 64 遅延装置 76 検知器 82 バイオセンサ層

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジェイムズ・ジェフリー・ワイン アメリカ合衆国10549 ニューヨーク州、 マウント・キスコ、クロウ・ヒル・ロー ド アールエフディー・ナンバー5 (72)発明者 ハーシェル・ウィリアム・カウフマン アメリカ合衆国11733 ニューヨーク州、 セトーケット、ロバート・タウンゼン ト・ドライブ 3 (72)発明者 ジェイソン・マシュー・ジャコブス アメリカ合衆国11510 ニューヨーク州、 ボールドウィン、ファースト・プレイス 2777 (56)参考文献 特表 平2−504478(JP,A)

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