Caries cutting auxiliary emission

申请号 JP2002580831 申请日 2002-04-15 公开(公告)号 JP2004532069A 公开(公告)日 2004-10-21
申请人 アドバンスト リサーチ アンド テクノロジー インスティテュート; 发明人 ブッチャラ,ウォルフギャング; レノン,アイネ,エム.;
摘要 本発明は、齲蝕の治療中に(残留齲蝕を含めた)歯の齲蝕を検出するための改善された方法及び装置を提供する。 本発明による歯科用ハンドピースは、一体構造型ドリルヘッド(または、齲蝕を切削するための他の器具)と、歯に発光をもたらすために使用可能な一体構造型 光源 との両者を含んでいる。 前記の光源は、歯科用ハンドピースがドリルヘッドで歯を治療すべく操作可能な 位置 に配置されたときに、その歯に発光を生じさせることができるように構成されている。 治療中、観察者は、それぞれの発光特性により、齲蝕歯質と非齲蝕歯質とを識別することができる。 特に、青色−紫色の光が照射されたときには、歯の齲蝕領域は、緑色の強く発光した領域で取り囲まれた赤色−オレンジ色の中央領域として現れることが見出されている。 前述の強く発光した領域は、赤色−オレンジ色の中央領域と暗色の外側リングとの中間に位置付けられる。 本発明の方法によれば、中央に位置する前記の赤色−オレンジ色の領域が、齲蝕病巣のバクテリアで侵されているゾーンとして識別され、除去される。
权利要求
  • 歯科用ハンドピースであって、当該ハンドピースが:
    ハウジング;
    前記ハウジングから突き出たドリルヘッドであって、該ドリルヘッドが前記ハウジングに取り付けられたモーターに操作可能に接続されているドリルヘッド;及び前記ハウジングに取り付けられた光源であって、該光源は、前記ハウジングに設けられた開口を通じる光を生成するために使用可能であり、前記開口は、該光源によって生成された前記光が、ほぼ、前記ドリルヘッドが該ハウジングから突き出ている方向に投射されるように、前記ハウジングに位置付けられており、そして、前記光が、歯に発光を生じさせるべく機能可能な望ましい波長を有している光源;
    を含むことを特徴とする歯科用ハンドピース。
  • 当該ハンドピースが、更に:
    前記光源を前記開口に接続する光ファイバー束;
    を含んでいることを特徴とする、請求項1記載の歯科用ハンドピース。
  • 当該ハンドピースが、更に:
    前記光源を前記開口に接続するガラスロッドアセンブリ;
    を含んでいることを特徴とする、請求項1記載の歯科用ハンドピース。
  • 前記光源によって生成される前記光が、可視スペクトルのうちの青色−紫色領域における波長を有していることを特徴とする、請求項1記載の歯科用ハンドピース。
  • 前記光源によって生成される前記光が、405nmの波長を有していることを特徴とする、請求項1記載の歯科用ハンドピース。
  • 前記光源がフィルターガラスバブルを有する白熱電バブルからなることを特徴とする、請求項1記載の歯科用ハンドピース。
  • 前記光源が半導体素子からなることを特徴とする、請求項1記載の歯科用ハンドピース。
  • 歯科用ハンドピースであって、当該ハンドピースが:
    ハウジング;
    歯の一部を占有している齲蝕物質部分を切削するための切削手段;
    歯に発光を生じさせるべく機能可能な望ましい波長の光を放射するための照明手段であって、前記ハウジングに取り付けられている照明手段;及び前記照明手段から放射された光を前記ハウジングに設けられた開口へ導くためのガイド手段であって、該開口は、前記切削手段が前記齲蝕物質部分を切削すべく操作可能に位置付けられたときに、該放射された光が前記歯に投射されるように、該ハウジングに配置されているガイド手段;
    を含むことを特徴とする歯科用ハンドピース。
  • 前記切削手段が、前記ハウジングから突き出ていて、且つ、該ハウジングに取り付けられたモーターに操作可能に接続されているドリルヘッドからなることを特徴とする、請求項8記載の歯科用ハンドピース。
  • 前記照明手段が、あるカットオフ波長を有するフィルターガラスバブルを伴う白熱電バブルからなっていて、該カットオフ波長により、前記放射される光が該スペクトルのうちの青色−紫色領域になることを特徴とする、請求項8記載の歯科用ハンドピース。
  • 前記照明手段が半導体素子からなることを特徴とする、請求項8記載の歯科用ハンドピース。
  • 前記放射された光が405nmの波長を有していることを特徴とする、請求項11記載の歯科用ハンドピース。
  • 歯のエナメル質層及びゾウゲ質層の一部を占有している齲蝕領域の除去を容易化するための装置であって、当該装置が:
    歯科用ハンドピースであって、該ハンドピースが:
    ハウジング;
    前記ハウジングから突き出たドリルヘッドであって、該ドリルヘッドが、前記ハウジングに取り付けられたモーターに操作可能に接続されているドリルヘッド;及び前記ハウジングに取り付けられた光源であって、該光源は、前記ハウジングに設けられた開口を通じる光を生成すべく操作可能であり、前記開口は、該光源によって生成された前記光が、ほぼ、前記ドリルヘッドが該ハウジングから突き出ている方向に投射されるように、該ハウジングに位置付けられていて、前記光が歯に発光を生じさせるべく機能可能な望ましい波長を有している光源;
    を含む歯科用ハンドピース;
    前記光源により生成された前記光によってもたらされた該歯の発光を濾光するためのフィルター手段であって、該フィルター手段は、あるカットオフ波長を有していて、このカットオフ波長により、前記光源によって生成された前記光が該フィルター手段を横断することができなくなるフィルター手段;
    を含むことを特徴とする装置。
  • 前記フィルターの前記カットオフ波長が、可視スペクトルのうちの緑色部分におけるある波長からなっていて、これにより、可視スペクトルのうちの緑色部分かそれ以上の波長を有する光のみが該フィルター手段を横断することを特徴とする、請求項13記載の装置。
  • 歯の齲蝕を識別する方法であって、当該方法が:
    望ましい波長の光を歯に投射するステップであって、該光が歯の発光をもたらす投射ステップ;
    該歯の発光を観察するステップ;
    強く発光した領域と暗色の外側リングにより取り囲まれた赤色−オレンジ色の中央領域を識別するステップであって、これにより、前記強く発光した領域が該赤色−オレンジ色の中央領域と該暗色の外側リングとの中間に位置する、赤色−オレンジ色の中央領域の識別ステップ;及び該赤色−オレンジ色の中央領域をバクテリアで侵された領域として認識するステップ;
    を含むことを特徴とする方法。
  • 該赤色−オレンジ色の中央領域と該暗色の外側リングとの中間の前記強く発光した領域が緑色の領域からなることを特徴とする、請求項15記載の方法。
  • 発光性の放射を観察する前記ステップが、該歯と観察者の目との中間にフィルターを配置し、該フィルターを通じて発光性の放射を観察するステップからなることを特徴とする、請求項15記載の方法。
  • 当該方法が、更に:
    該歯のゾウゲ質層を識別するステップであって、そのゾウゲ質層は、該暗色の外側リングの外側に位置する発光した領域からなり、また、そのゾウゲ質層は、前記強く発光した領域よりも少なめに強く発光しており、これにより、該ゾウゲ質層が黄色−緑色を呈する、ゾウゲ質層の識別ステップ;
    を含むことを特徴とする、請求項15記載の方法。
  • 当該方法が、更に:
    該歯のエナメル質層を識別するステップであって、そのエナメル質層は、該歯の前記ゾウゲ質層からなる前記発光した領域を越えた領域からなり、該エナメル質層が前記ゾウゲ質層よりも少なめに発光しているエナメル質層の識別ステップ;
    を含むことを特徴とする、請求項18記載の方法。
  • 前記フィルターが、可視スペクトルのうちの緑色領域にカットオフ波長を有するハイパスフィルターからなることを特徴とする、請求項17記載の方法。
  • 前記望ましい波長が405nmからなることを特徴とする、請求項15記載の方法。
  • 歯の齲蝕物質を切削する方法であって、当該方法が:
    ハウジングと、該ハウジングから突き出たドリルヘッドとを有する歯科用ハンドピースを準備するステップであって、該ドリルヘッドは、前記ハウジングに取り付けられたモーターに操作可能に接続されており、前記歯科用ハンドピースは、更に、該ハウジングに取り付けられた光源を含んでいて、その光源は、該ハウジングに設けられた開口を通じる光を生成させるべく操作可能であり、該開口は、前記光源によって生成された光が、ほぼ、前記ドリルヘッドが該ハウジングから突き出ている方向に投射されるように、該ハウジングに位置付けられていて、前記光が歯に発光を生じさせるべく機能可能な望ましい波長を有している、歯科用ハンドピースの準備ステップ;
    前記光を生成させるべく該光源を作動させるステップ;
    前記光を該歯に投射させるべく前記歯科用ハンドピースを位置付けるステップであって、前記光が該歯の発光をもたらす、歯科用ハンドピースの位置付けステップ;
    該歯の発光を観察し、これにより、該齲蝕物質を識別するステップ;
    前記ドリルヘッドを始動させるステップ;及び該ドリルヘッドを該齲蝕物質に適用するステップ;
    を含むことを特徴とする方法。
  • 前記望ましい波長が405nmからなることを特徴とする、請求項22記載の方法。
  • 該歯の発光を観察し、これにより、該齲蝕物質を識別する前記ステップが:
    強く発光した黄色−緑色領域と暗色の外側リングにより取り囲まれた赤色−オレンジ色の中央領域を識別し、これにより、該強く発光した領域が前記赤色−オレンジ色の中央領域と前記暗色の外側リングとの中間に位置する、赤色−オレンジ色の中央領域の識別ステップ;及び前記赤色−オレンジ色の中央領域をバクテリアで侵されたゾーンとして認識するステップ;
    を含むことを特徴とする、請求項22記載の方法。
  • 該歯の発光を観察し、これにより、該齲蝕物質を識別する前記ステップが、更に:
    該歯と観察者の目との中間にフィルターを配置するステップ;及び前記フィルターを通じて該歯の発光を観察するステップ;
    を含むことを特徴とする、請求項24記載の方法。
  • 当該方法が、更に:
    該歯のゾウゲ質層を識別するステップであって、そのゾウゲ質層は、該暗色の外側リングの外側に位置する発光した領域からなり、また、そのゾウゲ質層は、前記強く発光した領域よりも少なめに強く発光しており、これにより、該ゾウゲ質層が黄色−緑色を呈する、ゾウゲ質層の識別ステップ;
    を含むことを特徴とする、請求項24記載の方法。
  • 当該方法が、更に:
    該歯のエナメル質層を識別するステップであって、そのエナメル質層は、該歯の前記ゾウゲ質層からなる前記発光した領域を越えた領域からなり、該エナメル質層が前記ゾウゲ質層よりも少なめに発光しているエナメル質層の識別ステップ;
    を含むことを特徴とする、請求項26記載の方法。
  • 歯の齲蝕物質を切削する方法であって、当該方法が:
    歯科用ハンドピースを準備するステップであって:ハウジング;該歯の一部を占有している齲蝕物質部分を切削するための切削手段であって、該切削手段が前記歯科用ハンドピースと一体的に構成されている切削手段;歯に発光を生じさせるべく機能可能な望ましい波長の光を放射するための照明手段であって、該照明手段が前記ハウジングに取り付けられている照明手段;及び、前記照明手段から放射された光を該ハウジングに設けられた開口へ導くためのガイド手段であって、該開口は、前記切削手段が該齲蝕物質部分を切削するために操作可能に位置付けられたときに、前記放射された光が該歯に投射されるように、前記ハウジングに配置されているガイド手段;を有する歯科用ハンドピースの準備ステップ;
    前記光を生成させるべく該照明手段を作動させるステップ;
    前記光を該歯に投射させるべく前記歯科用ハンドピースを位置付けるステップであって、前記光が該歯の発光をもたらす、歯科用ハンドピースの位置付けステップ;
    該歯の発光を観察し、これにより、該齲蝕物質を識別するステップ;
    前記切削手段を始動させるステップ;及び前記切削手段を該齲蝕物質に適用するステップ;
    を含むことを特徴とする方法。
  • 該歯の発光を観察し、これにより、該齲蝕物質を識別する前記ステップが:
    強く発光した黄色−緑色領域と暗色の外側リングにより取り囲まれた赤色−オレンジ色の中央領域を識別し、これにより、該強く発光した黄色−緑色領域が前記赤色−オレンジ色の中央領域と前記暗色の外側リングとの中間に位置する、赤色−オレンジ色の中央領域の識別ステップ;及び前記赤色−オレンジ色の中央領域をバクテリアで侵されたゾーンとして認識するステップ;
    を含むことを特徴とする、請求項28記載の方法。
  • 該歯の発光を観察し、これにより、該齲蝕物質を識別する前記ステップが、更に:
    該歯と観察者の目との中間にフィルターを配置するステップ;及び前記フィルターを通じて該歯の発光を観察するステップ;
    を含むことを特徴とする、請求項29記載の方法。
  • 说明书全文

    【技術分野】
    【0001】
    発明の分野【0002】
    本発明は、例えば歯の冒された領域(即ち、エナメル質及びゾウゲ質)に修復物を取り付ける前に、齲蝕領域におけるバクテリアで侵されたほぼすべての歯質の除去を容易化するための方法及び装置に関するものである。 より詳細には、本発明は、健全な歯の組織を最大限に保存しながら、バクテリアで侵されたほぼすべての歯質の除去を容易化するため、齲蝕領域の除去中に、その齲蝕領域におけるバクテリアで侵された歯質を発光により検出するための改善された方法及び装置に関するものである。
    【背景技術】
    【0003】
    例えば修復物を位置合わせする前等、齲蝕の切削を果たすためには、歯科医師は、除去すべき齲蝕歯質と、保存すべき健全な歯質とを識別しなければならない。 現在、齲蝕歯質と非齲蝕歯質とを識別する幾つかの方法を利用することができる。
    【0004】
    一つの利用可能な方法は、齲蝕歯質と非齲蝕歯質との硬さの相違を利用するものである。 歯質を探り、その組織が軟質であるか硬質であるかを決定するため、鋭い歯科用エクスプローラーが使用される。 一般的に、軟質の組織は齲蝕に冒されていると考えられ、一方、硬質の組織は齲蝕に冒されていないと見なされる。 この技術の使用は、実施するのに比較的時間がかかる。 その上、このプロセスは(例えば、主観的な分析が用いられるため)不正確であり、従って、健全な(即ち、齲蝕に冒されていない)歯質を除去する結果をもたらしかねず、また、齲蝕に冒された歯質を見落とす結果ももたらしかねない。 更に、歯髄腔に近接した歯のゾウゲ質領域の探索は、歯髄腔を不都合に露出させる結果をもたらしかねない。
    【0005】
    また、齲蝕の除去を果たすべく化学機械技術も用いられている。 化学機械的な方法による齲蝕の除去は、先ず適切なコンパウンド、即ち、齲蝕歯質を軟化するコンパウンドの混合が行われる。 混合後、そのコンパウンドは、歯の齲蝕に冒された領域へ用いるため、適当な機器内へ移される。 もう一つの方法として、混合後、そのコンパウンドを歯に直接的に用いることもできる。 齲蝕に冒されたゾウゲ質は前記のコンパウンドで厚く覆われなければならず、そして、ある時間の間(例えば30秒間)そのコンパウンドをその場に置いておかなければならない。 その後、軟化された歯質を掻き出すべく、機器が使用される。 形成された空洞はきれいに拭われ、プローブを用いて齲蝕の除去がチェックされる。 プローブで探ったときに、関連する歯の表面が硬く感じられるまで、前記のコンパウンドを用いるステップと、軟化された歯質を掻き取るステップとが繰り返される。 最後に、このプロセスで形成された空洞は、修復物を取りつける前に、手または回転式の機器で整える必要があり得る。 明らかに、この化学機械的な方法による齲蝕の除去は、比較的時間がかかり、そして、鋭いプローブを用いて行われる齲蝕除去の評価を必然的に含む。 上で指摘したように、鋭いプローブを用いて行われる齲蝕歯質と非齲蝕歯質との識別は、不正確な評価をもたらしかねない主観的なものであり、従って、歯科医師は、残留齲蝕を残した状態で、前記の実施可能なコンパウンドの適用を終えてしまう可能性がある。
    【0006】
    切削中に齲蝕歯質と非齲蝕歯質を識別するための更なる方法は、齲蝕歯質と非齲蝕歯質との視覚的触知識別を容易化するために染料を用いる方法である。 この技術の場合、齲蝕歯質を着色するが、健全な歯質を着色しない染料が、圧縮空気で乾燥させた歯に用いられる。 この場合、歯の外面のみが染色されるため、染料の連続的な再使用が必要になる。 その上、それらの染料は、非齲蝕歯質を誤って着色し、健全な歯質の不必要な除去をもたらしかねないことが判明している。
    【0007】
    問題として、(例えば、修復物を受け入れることができるように歯の下処理をするために)齲蝕の除去を果たしながら齲蝕歯質と非齲蝕歯質とを識別するための前記確認されている技術は、取り扱いにくく時間がかかり、そして、一般的に、冒されている部位におけるほぼすべての齲蝕歯質の除去をもたらさないか、あるいは、非齲蝕歯質の除去をもたらしかねないかのいずれかである。 もし齲蝕に冒されたすべての物質が除去されない場合には、残ったバクテリア及び齲蝕物質(即ち、残留齲蝕)が再発性齲蝕をもたらしかねない。
    【0008】
    実験室的な環境において、齲蝕歯質と非齲蝕歯質を識別するために蛍光を利用する技術が知られている。 抜歯された歯の組織学的薄片が、顕微鏡下で歯の蛍光を評価できるように作成される。 更に、歯に齲蝕が存在しているか存在していないかを判断するための試みにおいて、歯の蛍光を評価するためのコンピューター制御装置を用い、歯の外面から初期齲蝕を識別するために歯の蛍光を評価する技術も知られている。 一つの既知の装置においては、レーザーダイオードがパルス光を発生し、その光が歯に差し向けられる。 このレーザーダイオードにより生成された光によって発せられた蛍光がハンドピースを通じて運ばれ、コンピューター制御装置で評価される。 そのコンピューター制御装置は、放射された蛍光に基づいて数値出を指示するために使用される表示器に接続されている。
    【0009】
    更に、初期齲蝕を検出するため、赤色領域のスペクトルにおける歯の蛍光を視覚的に検査する技術も提案されている。 この視覚的触知検出は、歯のエナメル質における初期齲蝕を除去するためのレーザー療法装置と共に利用されている。 この既知の装置は、初期齲蝕が赤色領域の可視スペクトルにおける明るいスポットとして表示されるように、歯の蛍光を評価する際、620nmのカットオフ波長を用いている。 また、この既知の装置は、歯の蛍光を生じさせるため、360nmから580nmまでのスペクトル範囲の励起放射線を用いている。 歯のエナメル質における初期齲蝕の治療を果たすため、(歯に蛍光を生じさせるために利用される)この放射光の放射線強度は、初期齲蝕を死滅させるだけの充分に強い強度に高められる。
    【0010】
    更に、歯の治療(即ち、穿孔処置)中に齲蝕を検出するため、歯の蛍光を視覚的に検査する種々の試行が為されている。 このタイプの方法では、歯の治療(即ち、穿孔処置)中に光線を歯に差し向けるべく一つの別個な光源(例えばアルゴンレーザー)が使用される。 このタイプの方法は、治療中に2つの別個な装置(即ち、ドリルと光源)を口腔内または口腔の近くに同時に配置しなければならないため、実行するのが難しい。 これらの装置の使用を簡易化するため、時として光源に光ファイバー導線が取り付けられ、そして、ドリルを包含する歯科用ハンドピースにその光ファイバー導線を選択的に付加するためにクリップが使用される。 この配置は、尚も歯科医師が2つの装置(即ち、レーザーとドリル)を巧みに取り扱わねばならず、そして、問題として、治療中にこれらの装置の連結部(例えば電源コード)が絡み合ってしまう可能性があるため、この装置の欠陥を克服するものではない。 更に、この装置の別個な光源はうまくバランスが取られておらず、寧ろ反対に、装置の後側が比較的重くなっている。 従って、この装置(即ち、光源)は手の中でたやすくバランスを取ることができず、また、この装置は、ある程度の精度を持って巧みに取り扱うこともできない。 この装置を用いる齲蝕の除去方法は、歯質が蛍光を発している間、齲蝕が暗部として現れ、そして、齲蝕の除去を果たすためには、蛍光を発している歯の暗部領域を切削して取り除かねばならないことを示している。
    【発明の開示】
    【発明が解決しようとする課題】
    【0011】
    当技術において必要とされるものは、齲蝕の除去中における歯質(例えばエナメル質及びゾウゲ質)の発光の視覚的触知検査を、例えば修復物を取りつけるため等、歯をしつらえている間に、齲蝕領域におけるバクテリアで侵されたほぼすべての歯質の正確な除去を容易化するために利用することができる装置及び方法であって、実行するのが比較的簡単な装置及び方法である。
    【0012】
    当技術において更に必要とされるものは、歯質の発光の視覚的触知検査により、齲蝕領域におけるバクテリアで侵された歯質を識別するための方法であって、齲蝕の切削中に健全な歯質を保存することができるように、齲蝕領域におけるバクテリアで侵された歯質の更に正確な目安をもたらす方法である。
    【課題を解決するための手段】
    【0013】
    発明の概要【0014】
    本発明は、歯に発光を生じさせるために使用可能な光源を収容した歯科用ハンドピースを提供することにより、上で確認されている従来技術の欠点を克服する。 本発明の歯科用ハンドピースのハウジングは、齲蝕(例えば、歯のエナメル質層、ゾウゲ質層、及びセメント質層の齲蝕占有部分)を切削するためのメカニズム、並びに、光源と、歯質(即ち、齲蝕歯質及び非齲蝕歯質)に発光を生じさせるべく機能可能な光を、齲蝕を切削するための前記のメカニズム(例えばドリルヘッド、即ち、齲蝕の切削を果たすために使用される振動式または回転式のドリルビットの操作可能な端部)を用いて治療されるべきある歯の領域に差し向ける光導波路との両方を含んでいる。 一つの典型的な実施形態では、前記の光源は、スペクトルの可視範囲の下端(例えば可視スペクトルのうちの青色−紫色部分)かそれ以下の波長を有する光を生成する。 以下で更に説明されている如く、齲蝕が存在しているか存在していないかを決定するため、歯科医師が歯の発光を一層良好に評価できるようにフィルターが使用される。 本発明は、齲蝕を切削するためのメカニズムを、歯に発光を生じさせるために使用可能な光源と共に単一の機器に有利に組み込むことにより、従来技術が有する多くの短所を克服する。 更に、本発明の方法は、歯の発光を介して齲蝕が存在しているか存在していないかを決定するための一層正確な方法を提供する。
    【0015】
    本発明の方法によれば、歯質に発光を生じさせるべく機能可能な波長を有する光(例えば、可視スペクトルのうちの青色−紫色領域における波長等、可視スペクトルの下端寄りの波長を有する光)が、冒されている歯に投射される。 一つの典型的な実施形態では、このとき、照射されている領域を調べるため、可視スペクトルにおける緑色領域の下端にカットオフ波長を有するフィルターが使用される。 齲蝕病巣は、緑色を呈する強く発光した領域と暗色の外側リングにより取り囲まれた明るいオレンジ色−赤色の中央領域を含め、異なる色の多数の領域として現れる。 本発明の方法によれば、前記の明るいオレンジ色−赤色の中央領域が、バクテリアで侵されている領域として識別される。 暗色の外側リングの外側に位置する領域は、冒されていない歯質(例えばエナメル質及びゾウゲ質)からなっている。 赤色−オレンジ色の中央領域(即ち、齲蝕病巣)と暗色の外側リングとの中間に位置する強く発光したゾーン(緑色)は、暗色の外側リングの外側に位置する正常なゾウゲ質よりもずっと明るくなっている。 中央の赤色−オレンジ色のゾーンは、バクテリアで侵された除去すべき歯質からなっているが、暗い赤色−オレンジ色の中央領域と暗色の外側リングとの中間に位置する強く発光したゾーンは除去すべきではない。 (治療しながら、即ち、齲蝕を穿孔しながら)齲蝕領域を決定するために歯質の蛍光を利用する既知の方法は、蛍光を発している歯質の暗い領域を齲蝕物質として認識し、それらの領域を除去すべく指示している。 このタイプの除去技術によれば、本発明により識別される暗色の外側リングまでの除去が指示されることとなり、従って、バクテリアで侵されていない歯質の不必要な除去をもたらすであろう。 本発明の方法を用いた場合には、歯科医師は、齲蝕の除去中、バクテリアで侵された歯質を(可視域の発光により)正確に判別することができ、従って、健全な歯質を効果的に保存することができる。
    【0016】
    本発明は、それの一つの形態においては、ハウジングから突き出たドリルヘッドを伴うハウジングを有する歯科用ハンドピースからなっている。 そのドリルヘッドは、ハウジングに取り付けられたモーターに操作可能に接続されている。 また、ハウジングには光源も取り付けられており、その光源は、ハウジングに設けられた開口を通じる光を生成すべく操作可能である。 ハウジングに設けられているこの開口は、光源によって生成された光が、ほぼ、ドリルヘッドがハウジングから突き出ている方向に投射されるように配置されている。 その光は、歯に発光を生じさせるべく機能可能な望ましい波長を有している。
    【0017】
    本発明は、それの別の形態においては、歯の一部を占有している齲蝕物質を切削するための切削手段を伴うハウジングを有する歯科用ハンドピースからなっている。 この歯科用ハンドピースは、更に、歯に発光を生じさせるべく機能可能な望ましい波長の光を放射するための照明手段を含んでいる。 その照明手段は、切削手段と共に、ハンドピースのハウジングに取り付けられている。 また、照明手段から放射された光をハウジングに設けられた開口へ導くためにガイド手段が用いられている。 その開口は、切削手段が歯のバクテリアで侵された領域を切削すべく操作可能に位置付けられたときに、前記の放射光がその歯に投射されるようにしてハウジングに配置されている。
    【0018】
    本発明の装置は、更に、歯科用ハンドピースに設けられた光源によって生成される光によりもたらされる歯の発光を濾光するためのフィルター手段も含んでいてよい。 本発明のこの形態では、前記のフィルター手段は、光源によって生成された光がフィルター手段を横断することができないカットオフ波長を有している。 一般的に、そのフィルター手段は、可視スペクトルのうちの赤色領域と緑色領域との間の波長を有する光のみの通過を許す。 一つの典型的な実施形態では、フィルターは500nmのカットオフ波長を有しており、これにより、500nmかそれ以上の波長を有する光のみがフィルター手段を横断することができる。 本発明に従って使用されるフィルター手段は、例えば着色ガラスフィルター、コーティングガラスフィルター、またはミラー(即ち、ダイクロイックミラー)を含むことができる。
    【0019】
    本発明は、それの別の形態においては、歯の齲蝕を識別するための方法からなっている。 本発明におけるこの形態の方法は、以下のステップ:望ましい波長の光を歯に投射するステップであって、その光が歯の発光を生じさせる投射ステップ;歯の発光を観察するステップ;強く発光した領域と暗色の外側リングにより取り囲まれた赤色−オレンジ色の中央領域を識別するステップであって、これにより、強く発光した領域が赤色−オレンジ色の中央領域と暗色の外側リングとの中間に位置する、赤色−オレンジ色の中央領域の識別ステップ;及び、前記の赤色−オレンジ色の中央領域をバクテリアで侵された領域として認識するステップ;を含む。
    【発明の効果】
    【0020】
    本発明の利点は、例えば修復物を受け入れるため等、歯の下処理をしている間に、バクテリアで侵されていない歯の組織の除去を回避しながら、バクテリアで侵されているほぼすべての歯質を正確に除去できる能力を備えていることである。
    【0021】
    本発明の別の利点は、歯の冒された部位においてバクテリアで侵されているほぼすべての歯質の除去を果たすための比較的取り扱いにくくない方法及び装置が提供されることである。
    【0022】
    更なる別の利点は、従来技術に比べ、齲蝕歯質の除去を果たすために必要な時間を短縮する能力を備えていることである。 本発明の方法は、時間がかかる機器の交換及び/又は多数の機器の同時使用、並びに、染料の塗布及び再塗布が回避されるため、従来の技術に比べ、比較的効率がよい。
    【発明を実施するための最良の形態】
    【0023】
    添付図面と結び付けて行われる本発明の一つの実施形態に関する以下の説明を参照することにより、本発明の前記の特徴及び利点並びに他の特徴及び利点、更には、それらを達成する方法が一層明らかになり、また、本発明自体が一層良好に理解されよう。
    【0024】
    幾つかの図面全体を通じ、同じ参照符号は同じ部分を示している。 それらの図面は本発明の実施形態を表しているが、それらの図面は必ずしもスケールを示すためのものではなく、本発明をより良好に例証及び説明するため、特定の特徴が誇張されている場合がある。 ここで説明されている例示は本発明の典型的な実施形態を例証するものであり、決して、そのような例示を、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
    【0025】
    次に、図面、特には図1を参照すると、歯科用ハンドピース22は、内部に包含されたモーター(図示せず)を有するモーターハウジング20を伴うハウジング10を含んでいる。 一つの代替的な実施形態では、ハウジング10は、モーターを含んでおらず、もっと正確に言えば、(下文にて検討される)ドリルヘッド18に隣接して配置されたエアータービンを含んでいる。 歯科用ハンドピース22は、更に、光源12を含んでいる。 図示されているように、光源12はモーターハウジング20内に包含されているが、光源12をハウジング10内の様々な代替的な位置に配置し得ることが想定されている。 光源12は、光導波路14を介して、ハウジング10に設けられた開口16に接続されている。 歯科用ハンドピース22は、更に、モーターハウジング20内に収容されたモーターに操作可能に接続されているドリルヘッド18(または、健全でない歯質を切削するための他の装置)を含んでいる。 歯科用ハンドピース22は、当技術における従来の如く、適切な動力源に接続されている。 開口16は、光源12によって作成された光が、歯科用ハンドピース22から、ほぼ、ドリルヘッド18が歯科用ハンドピース22から突き出ている方向に投射されるように構成されている。
    【0026】
    図2は、齲蝕領域32の治療を果たすべく歯30に歯科用ハンドピース22を適用した様子を描いている。 図2に示されているように、光源12は、光導波路14をたどって開口16へ至る光を生成すべく稼働される。 光源12によって作成された光を導くため、その光が開口16から出るようにレンズまたは他の適切な装置を用いてよい。 使用中、歯に発光を生じさせるため、光源12によって作成された光が歯30に当てられる。 このとき、観察者24は、バクテリアで侵されている領域32の位置を決定すべく、歯30の発光を評価することができる。 図2に描かれているように、観察者24と歯30の中間にフィルター26が位置付けられる。 フィルター26は、下文にて更に説明されているように、バクテリアで侵されている領域32の位置を決定するための歯の発光の評価を容易化するために使用することができる。
    【0027】
    図3は、歯30の発光領域を概略的な形態で描いている。 図3に示されているように、歯30の発光は、(緑色を呈する)強く発光した領域36と暗色の外側リング34とにより取り囲まれた赤色−オレンジ色の中央領域32を含んだ状態で観察される。 強く発光した領域36は、外側リング34と赤色−オレンジ色の中央領域32との中間に位置している。 ゾウゲ質38とエナメル質40は、漸減強度の発光を有することが観察され、即ち、ゾウゲ質38は、エナメル質40よりも高い強度の発光を有している。 更に、強く発光した領域36の発光は、ゾウゲ質38の発光よりも強い。 赤色−オレンジ色の中央領域32と暗色の外側リング34、並びに、(漸減する発光強度を有する)発光領域36、38、及び40を認識する際、観察者24は、赤色−オレンジ色の中央領域32を容易に認識することができ、そして、本発明により、その赤色−オレンジ色の中央領域32をバクテリアで侵された領域として識別することができる。 その後、赤色−オレンジ色の中央領域32にドリルヘッド18を適用し、その冒されている領域の除去を果たすことができる。 都合のよいことに、歯科医師は、冒されている領域を除去すべくドリルヘッド18を適用しながら、バクテリアで侵された領域32を絶えず観察及び評価することができる。
    【0028】
    外側リング34は、組織学的に説明されているように、半透明なゾーンとして観察される。 この無機質過剰化領域は、齲蝕病巣の進行性最前部の前にあるゾウゲ質細管の内腔が無機質で満たされたときに生じる。 強く発光した領域36は、脱無機質化されたゾウゲ質では蛍光放射輝度の増大が認められるため、脱無機質化ゾーンに相当するものとして観察される。 ゾウゲ質における発蛍光団の蛍光は、その発蛍光団がヒドロキシアパタイトと結合したときに消光され、そして、ゾウゲ質の脱無機質化は消光低下をもたらすことが示唆されている。 従って、外側リング34は、多くのヒドロキシアパタイトが存在していて消光が起こっているため、暗く見え、一方、強く発光した領域36は、消光低下の結果として明るく見える。 赤色−オレンジ色の中央領域32では、バクテリアが歯を侵している。 口腔生物は赤色の蛍光を生成することが知られており、このため、バクテリアで侵されたゾーンは赤色−オレンジ色を呈する。
    【0029】
    慣習的には、歯質は外側リング34まで切削されるであろう。 本発明の識別メカニズムは、有利なことに、歯30のバクテリアで侵された領域32を正確に認識することを可能にし、従って、歯30のバクテリアで冒されていない歯質を効果的に保存しながら、バクテリアで侵された領域32を除去することができる。 その上、本発明の技術は、石灰化組織のバクテリアで侵された様々な領域の識別をも可能にするであろう。
    【0030】
    一つの代替的な実施形態では、歯科用ハンドピース22にビデオカメラを取り付けるか、もしくは、ビデオカメラを一体的に組み込むことができる。 例えば、歯科用ハンドピース22内の感光部材としてCCD(電荷結合素子)カメラを使用することができる。 ビデオカメラを利用する一つの実施形態では、作業領域の拡大映像をモニター上に表示させることができ、そして、歯科医師と患者は、治療中に、その表示された映像を見ることができよう。 更に、本発明の方法により作成された映像は、齲蝕領域を一層容易に認識することができるように、擬似色彩でモニター上に表示させることもできよう。
    【0031】
    図3で識別されている様々な領域は、使用中、これらの領域の部分が歯質(例えばエナメル質)により遮られるため、識別可能な程度は様々に変動するであろう。 図4に描かれているように、バクテリアで侵されている領域32の部分は、空洞48を通じて直接的に見ることができる。 齲蝕領域32の除去を果たすべく空洞48が拡張されると、空洞48を通じて、齲蝕領域32のもっと大きな部分を直接的に見ることができよう。 もし齲蝕領域32を越えて空洞48が拡張された場合には、空洞48を通じて、強く発光した領域36を直接的に見分けることができ、そして、強く発光した領域36と遭遇したときに切削が中止されよう。 図4に描かれているように、図3の概略図は、図4に描かれている歯の線III−IIIに沿って取った歯の断面図に相当するものである。
    【0032】
    更に、本発明による装置は、プラーク及び歯石の除去を容易化することも意図されている。 プラーク及び歯石は、共に、赤色の発光を生じる。 都合のよいことに、これらの赤色の発光領域は、歯質(健全な歯質と健全でない歯質の両方)の発光を生じさせるべく機能可能な発光スペクトルを有する光源と、例えば掻き取り装置または回転式ブラシ等のプラーク及び歯石を除去すべく操作可能な機器との両者を備えた本発明による一体化装置を用いて容易に除去することができる。
    【0033】
    また、本発明の装置は、充填物質をこれまでよりもっと容易に取り除くために使用することもできる。 現代の歯科学においては、しばしば、歯の色をした充填物質が利用される。 歯の色をした充填物質を取り除かねばならない状況において、充填物質から健全な歯への変わり目を見分けるのは難しい場合がある。 歯の色をした充填物質は、歯質とは異なる蛍光を発し、それ故、そのような物質を取り除くために本発明の装置を有利に使用することができる。 更に、本発明の装置は、置換用のアマルガム充填物を取り除くために有利に使用することもできる。 銀イオンがアマルガムから組織に浸透するため、アマルガム充填物の下側にあるゾウゲ質は暗色に染まっていることが多い。 アマルガム充填物によりもたらされた変色領域と(白色光の下で茶色または変色した領域を呈し得る)齲蝕とを見分けるのが難しいため、これらの暗色領域は、白色光下における齲蝕の検出を妨害する可能性がある。 従って、本発明の装置及び方法は、前記説明のように、齲蝕が赤色−オレンジ色を呈するため、ゾウゲ質がアマルガム充填物で汚されているような状況においても、齲蝕の識別を有利に容易化するであろう。
    【0034】
    更に、本発明の装置は、埋伏または保定された歯もしくは歯胚の除去中に有利に使用できることも意図されている。 歯または歯胚は強く蛍光を発し、一方、それが埋伏されている骨は強い蛍光を発しないであろう。 それ故、本発明による装置は、埋伏または保定されている歯もしくは歯胚の除去中に有利に使用することができる。 本発明の装置の更なる別の用途は、歯を抜いた後に顎に残っている折れた歯根の除去における適用である。 そのような歯根は骨内に残っているため、それらの歯根に到達し、それらを取り除くためには、歯科医師は、通常、骨を除去しなければならない。 歯根は、それが包含されている骨とは異なる蛍光を発するので、骨の保存を効果的に維持しながら、そのような折れた歯根を取り除くために本発明の装置を有利に使用することができる。
    【0035】
    本発明の装置は、更に、歯内療法においても有用である。 特に、根管治療に先立って、根管を見つけるのは難しい場合がある。 通常は、根管を見つけることができるまで、歯質が穿孔されて取り除かれる。 例として、図4に根管50が描かれている。 本発明の装置及び方法を用いた場合、歯髄腔52(図4)は緑色の蛍光を発しないので、ゾウゲ質組織物の緑色の発光を通じて歯髄腔を見ることができる。 歯髄腔52の位置が決定されれば、健全な歯質を不必要に失うことなく、根管50は容易に見つけることができる。 空洞を切削する際、歯科医師は歯髄腔52(図4)内へ掘り進むことを望まないので、歯髄腔の識別は、更に、空洞を切削するときに有用である。 その上、バクテリアで侵されている歯髄は赤色を呈するため、本発明の方法によれば、歯髄腔または根管のバクテリアで侵されている部分を決定することが可能であろう。
    【0036】
    一つの典型的な実施形態では、フィルター26(図2)は、500nm(即ち、可視スペクトルの緑色領域における最低の波長)のカットオフ波長を有する光学的ロングパスフィルターからなっている。 別の典型的な実施形態では、フィルター26は、500nm−780nmの波長がフィルター26を横断することを許容する帯域通過フィルターからなっている。 典型的には、光源12は、500nm未満の波長(即ち、可視スペクトルのうち、青色−紫色領域かそれ以下の波長)を有する光を生成すべく操作可能であろう。 ゾウゲ質38の発光は黄色−緑色の光を生成し、一方、中央領域32は赤ないしオレンジ色を呈するであろう。 従って、フィルター26は、可視スペクトルのうちの緑色部分、黄色部分、オレンジ色部分、及び赤色部分の波長を有する可視光のみがフィルター26を横断するので、齲蝕領域における種々の部分の識別を容易化するであろう。 光学フィルター26は、一対の眼鏡に組み込んでもよいし、あるいは、観察者24が現在掛けている眼鏡と共に使用するためのクリップ留めユニットに組み込むこともできる。 更に、フィルター26は、使い捨て式のマスクに組み込んでもよいし、あるいは、歯科アシスタントが保持するシールドに組み込むこともできる。
    【0037】
    光源12は、例えば白熱電バブルまたは半導体素子(例えばレーザーダイオードまたは発光ダイオード)からなっていてよい。 白熱電バブルを使用する場合、望ましい波長、即ち、可視スペクトルのうちの下端におけるある波長を生成するため、フィルターガラスバブルや他の付加的なフィルターを使用することができる。 更に、光源12としてアルゴンアーク燈を使用することもできる。 前記の如く、歯に発光を生じさせるべく機能可能なあらゆる波長が許容可能であるが、望ましい波長は、典型的には、500nmかそれ未満である。 一つの典型的な実施形態では、光源12は、405nmの波長を有する光を生成する。 通常の光源(歯に望ましい/必要な発光を生じさせるべく機能できない光源)を有する現存の歯科用ハンドピースに別個な光源を組み込んでもよい。 更に、開口16(図1及び2)を出る望ましい波長を生成するため、付加型フィルターを使用することもできる。 開口16に付加型フィルターを使用する場合には、光源12は通常の白色光源であってよい。 このようにして、通常の光源を有する歯科用ハンドピースを、本発明の方法を用いて使用できるように容易に改良することができる。 光導波路14は、例えばガラスロッドアセンブリまたは光ファーバー束からなっている。 白熱電バブル、または、発光スペクトルの一部が望ましい励起スペクトルの外側のスペクトルを有するランプが光源12として使用される場合には、光導波路14は、開口16を出る光を(前記)望ましい波長に制限するための適切な光学フィルターを含んでいてよい。 また、フィルター(例えば、着色ガラスフィルター、コーティングガラスフィルター、プリズム、ミラー(即ち、ダイクロイックミラー)、または回折格子)を、光源12の前に直接的に配置することもできるし、あるいは、光源12により生成される光路のどこか別な箇所に配置することもできる。
    【0038】
    前記の典型的な実施形態はドリルヘッド18を含むものとして説明されてきたが、例えば様々なバー、ドリル、ダイヤモンド付け刃器具、または他の既知の装置等を含め、齲蝕歯質を切削するための様々なメカニズムを使用し得ることが意図されている。 これらの様々なメカニズムは、回転式または振動式のいずれであってもよい。 更に、ドリルヘッド18は、例えばプラークまたは歯石等の健全でない歯質を掻き取るための鋭いプローブまたは鋭い凹面、スプーンの様な器具で置換されてよい。 歯石の除去は、例えばスケーラー等の手持ち式器具や音波または超音波振動式器具を用いて、本発明により果たすことができる。 更に、本発明に従って空気研磨を利用することもできる。 通常、空気研磨はエアースケーラーを用いて実施され、そこでは、塩の結晶が空気流と混合され、そして、ダストの分散を防ぐためにを加えながら、それらの結晶が治療領域へ差し向けられる。 更に、空洞をしつらえるため、シリカ粒子を用いる空気研磨を利用することも知られている。 当技術分野において既知の如く、シリカ粒子を用いる空気研磨は、それが有する比較的強い研磨特性により、歯石を除去するのとは対照的に、空洞をしつらえるために利用される。 更に、本発明に従ってプラーク、汚れ、及び歯石を取り除くため、ブラシヘッドを用いてもよい。
    【0039】
    本発明は、更に、白色光源と前記の如き発光を生成する光源との両方を有する装置も意図している。 そのような実施形態では、ハンドピースを通常の方法と本発明の方法を果たすためとの両方で使用できるようにするため、白色光照明と励起照明を交互にオン・オフ切り替えすることができる。 更に、本発明に従って可動式フィルターを使用し、本装置が白色光または前記の如き望ましい励起波長を有する光を交互に放射できるように、その可動式フィルターを白色光源から発生する光路に選択的に位置付けることもできる。 もう一つの方法として、可動部の必要性を伴うことなく、望ましい波長領域間での切り替えを行うため、液晶フィルターまたは当技術分野において知られた他の手段を使用することもできる。
    【0040】
    本発明の方法及び装置に関する以下の研究は、幾つかの従来法との比較における本発明の利点を概要説明するものである。
    【0041】
    この研究では、以下の略語が使用される:
    【0042】
    【表1】

    【0043】


    この研究の目的上、VLを用いる残留齲蝕の検出は、前記バクテリアで侵されている領域の検出を示している。


    1. 仮説【0044】


    最初に、以下の2つの仮説がたてられた。


    1. 残留齲蝕が存在する場合、VLを用いてそれを検出することができる。


    2. VLを用いて残留齲蝕を検出できなかった場合、その空洞床には齲蝕は存在しない。


    2. 材料及び方法【0045】


    本研究の概要が図5に与えられており、また、下文にて更に説明されている。


    サンプルの選択及び保管【0046】


    抜歯された人間の歯の咬翼X線写真を撮影し、D

    及びD

    冠齲蝕を有する40本の歯を選択するために使用した。 それらの選択された歯は、0.01%のチモール溶液中で保管された。 それらのサンプルが乾ききらないように、実験中ずっと注意を払った。


    総体齲蝕の除去【0047】


    エナメル質が除去されて、少量の残留齲蝕のみがVLを用いて検出可能になるまで、連続的な水冷下でサンドペーパー(グリット600)を用いて齲蝕表面に垂直に歯を研削することにより、総齲蝕を取り除いた。 詳細には、それらのサンプルを、アルゴンアーク燈と、バンド幅が80nmで370nmにピーク透過を有する帯域通過フィルターとを用いて生成された青色−紫色の光で照明した。 また、それらのサンプルを(515nmのカットオフ波長を有する)フィルターを通じて観察した。 その後、図6に示されているように、その病巣の位置を恒久的なマーカーを用いてエナメル質に記録した。 詳細には、研削された歯42にマーキング44を形成するために恒久的マーカーを使用した。 図示されているように、マーキング44は、齲蝕病巣46の位置を識別するために使用することができる。


    残留齲蝕の除去【0048】


    その後、それらの歯をそれぞれ20本の歯からなる2つのグループ(A&B)に無作為に分けた。 グループAでは、それらの歯を処置せずにそのままの状態にしておいた。 グループBでは、VLを用いて残留齲蝕が検出できなくなるまで、それらの歯を本発明の方法及び装置により処置した。


    サンプルの検査【0049】


    その後、「どちらのグループに属するかを知らされていない」一人の検査者が、以下で概要説明されている技術を用いて、残留齲蝕の存在または不在についてすべてのサンプル(n=40)を検査した。


    1. KaVo社(Biberach、Germany)から入手可能なDIAGNODENT装置を用いて、各サンプルに対してレーザー蛍光測定を行った。 詳細には、DIAGNODENT型番2095を用いた。 このDIAGNODENT装置は、レーザーを用いて歯の蛍光を検出し、次いで、その蛍光が、この歯の蛍光に基づいて数値出力を表示するコンピューター制御装置へ伝達される。 この機器を製造業者の指示に従ってキャリブレーションした。 圧縮空気を用いてそれらのサンプルを短時間乾燥させ、そして、各サンプルに対して、前記のマーキングされた病巣領域から得られた最高のDIAGNODENT読取り値を記録した。 健全な組織に対するカットオフ値は15に設定された。


    2. 視覚的触知検査では、圧縮空気を用いて歯を短時間乾燥させ、通常の歯科診療室の光の下でそれらの歯を観察した。 検査者は、鋭い探り針の助けを借りて、前記のマーキングされた病巣領域の色及び硬さにより、残留齲蝕の存在または不在を決定した。


    3. 各サンプルのマーキングされた病巣領域にKuraray社(日本)から入手可能な齲蝕検出用染料(即ち、Caries DetectorR)を10秒間適用した後、水ですすいだ。 検査者は、マーキングされた病巣領域が染色されているときに、残留齲蝕の存在を記録した。


    薄片の調製【0050】


    SCIFAB社(Lafayette、CO、U.S.A.)から入手可能な硬質組織用ミクロトーム(即ち、Series 1000 Deluxe Hard Tissue Microtome)を用いて、病巣の中央を通って齲蝕の除去中に切断された表面に垂直に、各歯から薄片(150μm)を作成した。


    組織学【0051】


    PLMを用いて残留齲蝕の存在または不在を決定すべく組織学的検査を実行した。 それらの薄い切片をキノリン中に24時間浸漬した。 その後、それらの薄片を、透過光で、160倍までの倍率における交差極線間において検査した。 バクテリア侵入ゾーンの存在または不在を記録した。


    統計的方法【0052】


    最も基準となる検査としてPLMを用いて、各方法での検出感度、特定性、ppv、npv、及び%正確度を算出した。 対になった2値数データに対する多重マクネマー検定を用いて、検出感度、特定性、及び%正確度の相違に関する種々の方法間の比較を行った。 多重比較に対する調整は行わなかった。 p−値が0.05未満のときに比較を統計的に明確と見なした。


    3. 結果【0053】


    提示された両仮説は真実であることが立証された:


    残留齲蝕が存在するときには、VLを用いてそれを検出することができる(100%の検出感度)。


    VLを用いて齲蝕を検出できなかったときには、それらのサンプルには齲蝕は存在しない(100%のnpv)。


    【0054】


    各方法に対する検出感度、特定性、ppv、npv、及び%正確度が以下の表2に与えられている。 検出感度は、切削された空洞に齲蝕が存在しないことの指標であり、一方、特定性は、特有の方法によって検出された齲蝕が真の齲蝕であることの指標である。 詳細には、検出感度、特定性、ppv、npv、及び%正確度は、以下の如くにして決定される:


    %正確度=(特定の試験方法が前記の最も基準となる検査と一致する結果の個数)/(サンプルの総数);


    検出感度=((前記の最も基準となる検査が陽性のときの)特定の試験法による陽性試験数)/(最も基準となる検査による陽性試験数);


    特定性=((前記の最も基準となる検査が陰性のときの)特定の試験法による陰性試験数)/(最も基準となる検査による陰性試験数);


    ppv=((問題としている方法が陽性のときの)最も基準となる検査による陽性試験数)/(問題としている方法による陽性試験数);及びnpv=((問題としている方法が陰性のときの)最も基準となる検査による陰性試験数)/(問題としている方法による陰性試験数)。


    例えば、視覚的触知検査(VT)での%正確度、特定性、検出感度、npv、及びppvは、以下の如くにして算出される:


    %正確度

    VT =33/40=83%


    特定性

    VT =17/22=77%


    検出感度

    VT =16/18=89%


    npv

    VT =17/19=89%


    ppv

    VT =16/21=76%。


    【0055】


    【表2】


    VLは、試験したあらゆる方法のうちで最大の検出感度、特定性、%正確度、及び予測値を示した。 また、VLは、DIAGNODENT(85%)及び齲蝕検出用染料(50%)よりも明確に高い%正確度(95%)を示した。 視覚的触知方法はDIAGNODENTよりも低い%正確度(83%)を示したが、この相違は、0.05の明確性カットオフ値に近いものの、統計的に明確ではなかった。 VLは齲蝕検出用染料よりも明確に高い検出感度を示した。 種々の方法間で明確な検出感度の相違は他には見られなかった。 種々の方法間における比較の結果が表IIIに与えられている。 VL、視覚的触知方法、及びDIAGNODENTは、齲蝕検出用染料よりも明確に高い特定性を示したが、相互間では明確に異ならなかった。


    【0056】


    【表3】


    各方法での個々の結果が以下の表4に与えられている。


    4. 結論【0057】


    可視発光は、試験したあらゆる方法のうちで最大の検出感度、特定性、%正確度、及び予測値を示した。 この方法は、上で概要説明されている残留齲蝕検出のための現在利用可能な補助手段と比べて進歩を遂げていると結論付けることができる。


    【0058】


    【表4】


    【0059】


    一つの好適な設計を有するものとして本発明を説明してきたが、本発明は、この開示の精神及び範囲内で更に変更することができる。 従って、この出願は、本発明の一般原理を用いる本発明のあらゆる変形態様、使用、または改変をカバーすべく意図されている。 更に、この出願は、本発明が関係する技術分野における既知または慣習的な実践の範囲内にあるような本開示からの逸脱、及び、添付の特許請求項の範囲に収まるような本開示からの逸脱をカバーすべく意図されている。


    【図面の簡単な説明】


    【0060】


    【図1】本発明による歯科用ハンドピースの平面図である。


    【図2】本発明による歯科用ハンドピースを歯の冒された部位へ適用した様子を示す平面図である。


    【図3】齲蝕病巣を含む歯の発光の概略図である。


    【図4】齲蝕病巣を有する臼歯の縦断面図である。


    【図5】前記説明の本発明の方法及び装置に関する研究の概要を示す表である。


    【図6】上で概要説明されている研究で使用した歯の部分的な斜視図であり、上文にて説明されている如き齲蝕病巣のマーキングが示されている。

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