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根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法と、根こぶ病抵抗性ブロッコリーの育種方法

申请号 JP2014147528 申请日 2014-07-18 公开(公告)号 JP5784194B1 公开(公告)日 2015-09-24
申请人 みかど協和株式会社; 发明人 三上 麻希; 三上 孝治;
摘要 【課題】根こぶ病抵抗性遺伝子のQTL解析によってDNAマーカーを開発し、そのマーカー選抜と形質選抜を組み合わせることによって、表現形質が良く、根こぶ病抵抗性を有するアブラナ科 植物 個体を効率的に識別する方法と、その育種方法と、根こぶ病抵抗性と表現形質に優れた根こぶ病抵抗性アブラナ科植物の提供。 【解決手段】DNA配列多型を持つ個体を識別することで、根こぶ病抵抗性を有するアブラナ科植物個体を識別する方法において、次の(1)から(4)に記載されるDNAを検出する方法。(1)特定の塩基配列を含むDNAであって、それぞれの塩基配列中の一部又は全部のDNA、(2)ゲノム上で、特定の 位置 にあるDNA、(3)(1)に記載されるDNAから10cM以内の遺伝距離にあるDNA、(4)(1)に記載されるDNAから5cM以内の遺伝距離にあるDNA。 【選択図】図1
权利要求

DNA配列多型を持つ個体を識別することで、根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体を識別する方法において、 次の(1)又は/及び(2)に記載されるDNAを検出することを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法。 (1)配列番号1、2、4、5、6のいずれか一又は二以上に記載される塩基配列中のSSRを含む部分又は全部のDNA (2)配列番号3に記載される塩基配列中の61位のSNPを含む部分又は全部のDNA請求項1記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体を識別する方法において、 さらに次の(A)に記載されるDNAを検出することを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法。 (A)ゲノム上で、配列番号1と2に挟まれる位置にあるDNA請求項1記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体を識別する方法において、 さらに次の(a)又は(b)に記載されるDNAを検出することを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法。 (a)請求項1の(1)又は(2)に記載されるDNAから10cM以内の遺伝距離にあるDNA (b)請求項1の(1)又は(2)に記載されるDNAから5cM以内の遺伝距離にあるDNA請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、 請求項1の(1)又は/及び(2)に記載されるDNA配列を増幅し、増幅後のDNA配列に関して次の(i)から(iii)のいずれか一又は二以上の工程を含むことを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法。 (i)増幅したDNA配列の多型を蛍光ラベル法により識別し検出する工程 (ii)増幅したDNA配列の多型をハイブリダイゼーションにより識別する工程 (iii)増幅したDNAをそのまま、又は制限酵素処理しゲルで分離する工程請求項2又は請求項3記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、 請求項2の(A)又は請求項3の(a)又は(b)に記載されるDNA配列を増幅し、増幅後のDNA配列に関して次の(i)から(iii)のいずれか一又は二以上の工程を含むことを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法。 (i)増幅したDNA配列の多型を蛍光ラベル法により識別し検出する工程 (ii)増幅したDNA配列の多型をハイブリダイゼーションにより識別する工程 (iii)増幅したDNAをそのまま、又は制限酵素処理しゲルで分離する工程請求項4又は請求項5記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、 DNA配列の増幅にプライマーを使用し、当該プライマーが請求項1の(1)又は/及び(2)に記載のDNAの配列を含むオリゴヌクレオチドであることを特徴とするブロッコリー個体の識別方法。請求項4又は請求項5記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、 DNA配列の増幅にプライマーを使用し、当該プライマーが請求項2の(A)又は請求項3の(a)又は(b)に記載のDNAの配列を含むオリゴヌクレオチドであることを特徴とするブロッコリー個体の識別方法。請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法と、少なくとも葉の開張性、葉の凹凸、わき芽の発生、花蕾位置の高さ、花蕾形状、早晩性、根こぶ病以外の病害抵抗性のいずれか一又は二以上の表現形質を識別する表現形質の識別方法を組み合わせることにより、前記表現形質中の一又は二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性植物個体を識別することを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法。請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法と、少なくとも葉の開張性、葉の凹凸、わき芽の発生、花蕾位置の高さ、花蕾形状、早晩性、根こぶ病以外の病害抵抗性のいずれか一又は二以上の表現形質を識別する表現形質の識別方法のうち早生性又は極早生性の表現形質の識別方法と、それ以外のいずれか一又は二以上の表現形質の識別方法とを組み合わせることにより、前記表現形質中の二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性植物個体を識別することを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法。根こぶ病抵抗性ブロッコリーの育種方法において、 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法により、根こぶ病抵抗性を備え且つ一又は二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性ブロッコリーを育種することを特徴とする根こぶ病抵抗性ブロッコリーの育種方法。根こぶ病抵抗性ブロッコリーの育種方法において、 請求項1から請求項7のいずれか1項又は請求項9記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法により、根こぶ病抵抗性を備え且つ二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性ブロッコリーを育種することを特徴とする根こぶ病抵抗性ブロッコリーの育種方法。

说明书全文

本発明は、DNAマーカーを利用して根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体を識別する方法と、前記方法に表現形質の識別を組み合わせた根こぶ病抵抗性ブロッコリーの育種方法に関するものである。

根こぶ病は、ネコブカビ属のPlasmodiophora brassicaeによって引き起こされる、ブロッコリー、キャベツ、ハクサイ、カブ、ナタネなどのアブラナ科植物の土壌伝染性病害の一つである。根こぶ病に罹病すると、根がこぶ状に肥大して細根を失い、分や栄養源の吸収が妨げられるため、生育が阻害され、枯死、萎れ、収量の低下などを引き起こす。感染は土壌中の休眠胞子が根に侵入して起こるが、休眠胞子は罹病株から土壌中に大量に放出され、長期間感染能を保持したまま地中に生存するため、輪作により密度を低減させる効果も少なく、連作圃場では菌密度が高まるため、耕種的防除は難しい。そのため、対策には根こぶ病抵抗性品種か化学農薬の利用が効果的である。

これまでに、Brassica rapa作物においては、近縁種である飼料用カブに複数の抵抗性遺伝子が見いだされ、ハクサイなどに導入して抵抗性品種が育成されてきた(特許文献1)。これらの抵抗性は、量的形質遺伝子座(QTL;Quantitative trait loci)に支配される量的形質であり、遺伝学的に解析されてDNAマーカーの開発や遺伝子の同定が行われ、育種に利用されている(特許文献1)。

ブロッコリーなどのBrassica olerasea作物においては、キャベツ、ケール、ブロッコリーなどに抵抗性素材が見いだされている(特許文献2、非特許文献1〜4)。ブロッコリーでは根こぶ病に抵抗性を示す系統を用いた育種が行われ、根こぶ病抵抗性品種が育成されてきた(非特許文献5)。この抵抗性は量的形質であるため、抵抗性を発揮するには複数の抵抗性遺伝子を集積することが必要である。そのため、交配による抵抗性の系統育成を行う場合、遺伝子の集積が困難で、かつ長期間を要した。しかも、人工接種による根こぶ病抵抗性表現型による選抜では、エスケープ個体(感染を免れて病徴を示さない個体)が出現する可能性があることや、植物体の生育程度によって病徴の程度が変わることなどの理由により、抵抗性個体選抜の精度や効率性の点に問題があった。

従来のブロッコリーの育種においては、抵抗性系統の表現形質の改良のために、形質の良い系統と抵抗性系統とを掛け合わせ、後代を人工接種により選抜する方法で形質の改良が行われてきた。しかし、抵抗性の個体では、抵抗性系統が持つ劣悪形質(晩生、花蕾色が淡い、わき芽の発生が多い、など)を引き継ぐ現象(連鎖引きずり)が起こり、形質の改良が困難であった。形質を改良するためには、形質選抜を行う必要がある。しかし、人工接種の栽培環境が通常の栽培環境と異なり、植物の生育の状態も通常とは異なるため、人工接種を経た個体はその世代では正しい形質選抜ができない。そのため、接種後に抵抗性個体を選抜し、その個体で採種を行い、次世代で形質選抜を行う必要があった。これらの理由から、育種に相当の年月を要した。また、採種のための栽培や人工交配にかかるコストも多く発生した。しかも、根こぶ病抵抗性も優良形質もQTLに支配される形質であるため、それらを併せ持つ個体は、複数の形質に関与する複数のQTLをも併せ持つ必要があり、その出現頻度は極めて低く、選抜の効率は極めて悪かった。

選抜育種において、DNAマーカーの利用は作業の効率化のために非常に有効である。DNAマーカーの中でも、SSR(Simple sequence repeat)マーカーやSNP(Single nucleotide polymorphism)マーカーは共優性マーカーであり、供試個体の遺伝子型(ホモ、ヘテロ型)を識別できるため、育種における遺伝子の固定(ホモ化)に有効である。前述のB.rapaのDNAマーカーもSSRを利用したものが発表され、利用されている(非特許文献1〜3)。これらのことから、根こぶ病抵抗性のDNAマーカーがあれば育種において極めて有用であり、DNAマーカーによる選抜と形質選抜を組み合わせることで、根こぶ病抵抗性で望ましい形質を持つ個体を選抜でき、さらに育種年限を短縮しそのコストも下げることができる可能性をもたらすと考えられた。 以下に、本発明に関連する先行技術文献情報を示す。

特開2012−65567号公報

特開2010−284166号公報

Hatakeyamaら、(2013)PROS ONE Volume8 Issue1

Nagaokaら、(2010)Theor Appl Genet. DOI 10.1007surasshus00122-010-1259-z

Voorripsら、(1997)Theor Appl Genet. 94:75-82

吉川宏昭 アブラナ科野菜の根こぶ病抵抗性育種に関する研究(3) 野菜試験場報告8号 p.1-21 1981年11月

みかど協和総合カタログ(2007-2008)

本発明の課題は、根こぶ病抵抗性遺伝子のQTL解析によってDNAマーカーを開発し、そのマーカー選抜と形質選抜を組み合わせることによって、表現形質が良く、根こぶ病抵抗性を保持するブロッコリーを効率的に識別する方法と、その育種方法である。

本発明は、DNA配列多型を持つ個体を識別することで、根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体を識別する方法において、次の(1)又は/及び(2)に記載されるDNAを検出することを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別する方法である。 (1)配列番号1、2、4、5、6のいずれか一又は二以上に記載される塩基配列中のSSRを含む部分又は全部のDNA (2)配列番号3に記載される塩基配列中の61位のSNPを含む部分又は全部のDNA

前記根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、さらに次の(A)に記載されるDNAを検出することを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別する方法である。 (A)ゲノム上で、配列番号1と2に挟まれる位置にあるDNA

前記根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、さらに次の(a)又は(b)に記載されるDNAを検出することを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別する方法である。 (a)請求項1の(1)又は(2)に記載されるDNAから10cM以内の遺伝距離にあるDNA (b)請求項1の(1)又は(2)に記載されるDNAから5cM以内の遺伝距離にあるDNA

前記根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、請求項1の(1)又は/及び(2)に記載されるDNA配列を増幅し、増幅後のDNA配列に関して次の(i)から(iii)のいずれか一又は二以上の工程を含むことを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法とすることができる。 (i)増幅したDNA配列の多型を蛍光ラベル法により識別し検出する工程 (ii)増幅したDNA配列の多型をハイブリダイゼーションにより識別する工程 (iii)増幅したDNAをそのまま、又は制限酵素処理しゲルで分離する工程

前記根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、請求項2の(A)又は請求項3の(a)又は(b)に記載されるDNA配列を増幅し、増幅後のDNA配列に関して次の(i)から(iii)のいずれか一又は二以上の工程を含むことを特徴とする根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法とすることができる。 (i)増幅したDNA配列の多型を蛍光ラベル法により識別し検出する工程 (ii)増幅したDNA配列の多型をハイブリダイゼーションにより識別する工程 (iii)増幅したDNAをそのまま、又は制限酵素処理しゲルで分離する工程

前記根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、DNA配列の増幅にプライマーを使用し、当該プライマーが請求項1の(1)又は/及び(2)に記載のDNAの配列を含むオリゴヌクレオチドを使用することができる。

前記根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法において、DNA配列の増幅にプライマーを使用し、当該プライマーが請求項2の(A)又は請求項3の(a)又は(b)に記載のDNAの配列を含むオリゴヌクレオチドを使用することができる。

本発明の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法は、前記根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法と、少なくとも葉の開張性、葉の凹凸、わき芽の発生、花蕾位置の高さ、花蕾形状、早晩性、根こぶ病以外の病害抵抗性のいずれか一又は二以上の表現形質を識別する表現形質の識別方法を組み合わせることにより、前記表現形質中の一又は二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性植物個体を識別する方法である。ここでの劣悪形質は、葉が開張性である、葉の凹凸が激しい、わき芽の発生が多い、花蕾位置が低い、花蕾形状が悪い(花蕾の盛り上がりがない、色が淡い、凹凸が多い、花蕾粒が大きい、リーフィー(花蕾の下から葉が伸びる現象)が発生する、キャッツアイ(花蕾粒の大きさが不揃いになる)が発生する、中晩生である、根こぶ病以外の病害抵抗性がないなどである。

前記表現形質の識別は、葉の開張性、葉の凹凸、わき芽の発生、花蕾位置の高さ、花蕾形状(花蕾の盛り上がり、色、凹凸、花蕾粒の大きさ・揃い、リーフィー、キャッツアイ)、早晩性、根こぶ病以外の病害抵抗性を識別する方法である。表現形質の優れたものは、葉が開張性でない(立性である)、葉の凹凸が少ない、わき芽の発生が少ない、花蕾位置が高い、花蕾形状が良い(花蕾の盛り上がりがある、色が濃い、凹凸が少ない、花蕾粒が細かく揃っている、リーフィーが発生しない、キャッツアイが発生しない)、早生・中生性である、根こぶ病以外の病害抵抗性も有するものなどである。これら表現形質の少なくとも一つ、好ましくは複数の形質を備えたものを識別(選抜)する。

本発明の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法は、前記根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法と、少なくとも葉の開張性、葉の凹凸、わき芽の発生、花蕾位置の高さ、花蕾形状、早晩性、根こぶ病以外の病害抵抗性のいずれか一又は二以上の表現形質を識別する表現形質の識別方法のうち早生性又は極早生性の表現形質の識別方法と、それ以外のいずれか一又は二以上の表現形質の識別方法とを組み合わせることにより、前記表現形質中の二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性植物個体を識別する方法である。

本発明は根こぶ病抵抗性ブロッコリーの育種方法でもあり、請求項1から8のいずれか1項に記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法により、根こぶ病抵抗性を備え且つ一又は二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性ブロッコリーを育種する方法である。ここでの劣悪形質は、前記と同様である。また、請求項1から7のいずれか1項又は請求項9記載の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法により、根こぶ病抵抗性を備え且つ二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性ブロッコリーを育種する方法でもよい。

本発明の効果は次の通りである。 1.根こぶ病抵抗性を有するブロッコリーをDNAマーカーによって識別し、識別後の個体の形質を評価し選抜することによって、抵抗性系統が持つ劣悪形質の連鎖引きずりを解消した個体を効率的に見出すことが可能になる。 2.特に、QTLに支配される形質である根こぶ病抵抗性を効率よく選抜できるため、複数の劣悪形質を解消できる可能性が高まる。 3.これまでは、根こぶ病抵抗性品種は連鎖引きずりによる劣悪形質のために市場価値は高くなかったが、本発明により、劣悪形質を含まない、より市場価値の高い根こぶ病抵抗性品種を作出することが可能になる。 4.根こぶ病抵抗性品種を用いることで、根こぶ病のための農薬を用いる必要がなくなり、市場価値の高い作物を供給できれば、農業経営においても効果がある。

人工接種したブロッコリーの根こぶ病発病程度と発病スコア。

(a)〜(e)は抵抗性系統LOを含むアブラナ科植物の、各県の圃場から採取した根こぶ病菌に対する抵抗性程度(発病評点)。

(a)〜(f)は配列番号1〜6に示した各DNAマーカーの多型を示すバンドパターン。

配列番号1〜6に示した各DNAマーカーのタイピング結果と発病評点の比較。

本発明を実施形態の一例を以下に説明する。本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。

本発明は、根こぶ病抵抗性遺伝子のQTLに連鎖するDNA配列をマーカーとして検出し、さらに作物の通常の栽培条件において表現形質の識別を行うことを特徴とする。また、根こぶ病抵抗性遺伝子を有し、かつ、望ましい表現形質を持つブロッコリーを育成する方法を提供する。

本発明の前記マーカー配列としては、好ましくは、配列番号1から6のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA、もしくは該塩基配列を含むDNAを挙げることができる。

本発明では、オリゴヌクレオチドをプライマーとして、アブラナ科植物から抽出されたDNAを鋳型とするPCR法によって増幅されるDNAもまた、本発明に含まれる。

この実施形態では、抵抗性系統LOと罹病性系統HIの交配後代集団において、前記の得られたDNAマーカーによる選抜と形質選抜を行った。選抜で得られた個体を自殖系統とし、後代を調査したところ、その個体は抵抗性親系統LOに由来する劣悪形質を持たず、かつ抵抗性を保持していることが人工接種検定により確認された。さらに、前記DNAマーカーを併せ持つように植物同士を交配し、マーカーを集積した個体を得た。この個体は強い抵抗性を有することが確認された。このことから、得られたDNAマーカーにより根こぶ病抵抗性個体を選抜することができ、かつ形質選抜を行うことで劣悪形質を除くことができることが明らかとなり、本発明を完成するに至った。

本発明において根こぶ病抵抗性遺伝子を有するか否かの判別が可能な植物は、ブロッコリーである。以下の実施形態は、ブロッコリーを使用して行ったものである。

[根こぶ病抵抗性系統LOの育種] ブロッコリーの根こぶ病抵抗性について、QTL解析をより正確なものにするため、より強度の抵抗性を持つブロッコリー抵抗性系統LOを育成した。育成は、従来の交配と人工接種による選抜によって行った。人工接種は、根こぶ病菌を混合した培土に播種をする非特許文献4に記載されている病土挿入接種法に従って行った。

図1に、根こぶ病発病程度とその発病スコアを示した。発病スコア0は無病徴、発病スコア1は数個の小さなこぶ症状、発病スコア2は複数の側根にこぶ症状、発病スコア3は主根にこぶ症状、側根に大きなこぶ症状を示すものとした。

発病評点(DI)=(10×発病スコア1の個体数+20×発病スコア2の個体数+100×発病スコア3の個体数)/(3×全個体数) ここで、10、20、100は加重係数であり、発病スコアを基にして抵抗性の区別を明らかにするための重み付けの係数である。

人工接種検定での発病評点は、環境の影響を受け接種年度によって多少増減するが、抵抗性系統LOで0から30程度、罹病性品種HIでは90から100、既存の抵抗性品種「しげもり」(本件出願人の商品)では50から70程度の点を示す。

図2(a)〜(e)は、抵抗性系統LOを含むアブラナ科植物の、各県の圃場から採取した根こぶ病菌に対する抵抗性程度を示すものであって、各図における0〜100は発病評点を示す。図2(a)埼玉県の圃場から分離した根こぶ病菌株を接種した場合の発病評点、図2(b)(c)は岩手県の圃場から分離した根こぶ病菌株A、Bを接種した場合の発病評点、図2(d)(e)は千葉県の圃場と石川県の圃場のそれぞれから分離した根こぶ病菌株を接種した場合の発病評点を示す。各図の外側(100)は発病評点が高く、発病評点が高いものが罹病性である。アブラナ科植物は、罹病性ブロッコリー品種、罹病性キャベツ品種、罹病性ハクサイ品種、抵抗性系統LO、LOの兄弟系統A、B、従来の根こぶ病抵抗性ブロッコリー品種(既存抵抗性品種「しげもり」、「たかもり」)、根こぶ病抵抗性の育種素材として知られているケール、ケールとキャベツのF1を用いた。抵抗性系統LOは、前記した根こぶ病菌株だけでなく、各県の圃場から採種した根こぶ病菌株に対しても抵抗性を示した。

得られた抵抗性系統LOは、従来の抵抗性系統よりも抵抗性程度が高く、これをDNAマーカー開発に用いることによってより正確に抵抗性QTLを検出できると考えられた。しかし、抵抗性系統LOは連鎖引きずりによる劣悪形質を多く持っていた。抵抗性系統LOが持つ劣悪形質として、わき芽の発生が多い、花蕾の色が淡い、花蕾の形状に凹凸が多い、中晩生である、葉が開張性である、リーフィー(花蕾の下から葉が伸びる現象)が発生する、キャッツアイ(花蕾粒の大きさが不揃いになる)、葉の凹凸が激しい、などがあった。

[根こぶ病抵抗性個体の識別用DNAマーカーの選択] 抵抗性系統LOと罹病性系統HIを交配し、交配後代のF2分離集団を得た。この集団について個体別にDNAマーカーのタイピングと人工接種による抵抗性程度の評価を行った。マーカー多型の分布と、抵抗性程度の分離パターンを解析した結果、6つの根こぶ病抵抗性のQTLを検出し、根こぶ病抵抗性に関与するDNAマーカー(配列番号1から6)を同定した。前記DNAマーカーで選抜することで、抵抗性を持つ個体を選抜できることを確認した。

図3(a)〜(f)に配列番号1から6のDNAマーカーの多型のバンドパターンを示す。それぞれ、Rが抵抗性型、Sが罹病性型、Hがそのヘテロ型のDNAマーカータイプを示す。

[根こぶ病抵抗性個体の識別] 本発明の好ましい態様においては、抵抗性遺伝子のQTLに連鎖するDNA配列を検出し、マーカー型に基づいて、根こぶ病抵抗性遺伝子を有するブロッコリー個体であるか否かを識別する。

前記識別においては、まず対象とするブロッコリー個体のDNAを調整し、鋳型となるDNAの配列情報に基づいて、設計した当該配列を増幅するプライマーでPCRを行うことにより対象DNAを増幅する。増幅したDNAは、SSRマーカーであればその長さに、SNPマーカーであれば塩基対に差異があることから、アガロースやポリアクリルアミドなどを用いた電気泳動における移動度の差、増幅DNA断片の制限酵素処理後の電気泳動における特異的配列の消化の有無による移動度の変化、配列特異的なハイブリダイゼーション、多型塩基配列に特異的な標識したオリゴヌクレオチドによる検出などにより区別できる。

前記DNA配列の検出は、特に制限されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;Polymerase Chain Reaction)法により、好適に実施することができる。PCR反応の鋳型となるDNA配列中に差異が見られる場合、増幅されるDNA断片にも差異が生じる。一般的に、SSRマーカーを使用した場合は、増幅DNA断片長の差を電気泳動によってバンドパターンの違いとして観察することができ、SNPマーカーを使用した場合は、増幅DNA断片のSNPの差をハイブリダイゼーションや、蛍光物質、化学的標識物質、放射性同位体などで標識されたプライマーによる増幅、制限酵素による増幅DNAの切断パターンの検出などによって観察できる。

本発明においては、配列番号1から6のいずれかに記載のDNAを使用するが、マーカー塩基配列の差異に基づいて根こぶ病抵抗性遺伝子を有するアブラナ科植物個体であるか否かの識別を行うことから、必ずしも、配列番号1から6のいずれかに記載のDNA領域全体の検出を行わなくともよい。即ち、検出すべきDNAは、前記配列の差異を調べ得る程度の範囲のDNA領域であれば特に制限されない。従って、例えば、前記配列番号1から6のいずれかに記載の塩基配列の部分断片DNAや、ゲノム上で十分に近接しており連鎖して遺伝するDNA配列を検出することによっても、本発明の方法を実施することができる。

本発明の識別方法における「PCR」は、前記配列を含むDNAを鋳型(テンプレート)として、該配列を増幅し得るプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を用いることにより、当業者においては容易に実施することができる。

[プライマー] 本発明において使用される配列を増幅し得るプライマーの配列は、当業者においては、鋳型となるDNAの配列情報に基づいて、設計することが可能である。より具体的には、下記のプライマーを例示することができるが、これらのプライマーのみに特に限定されるものではない。下記で例示するプライマーオリゴヌクレオチドの塩基配列において、例えば、5’末端側に数ベース程度の他の塩基への置換変異を有する、もしくは5’末端側に任意の塩基が付加されたオリゴヌクレオチドであっても、本発明のプライマーとして利用することが可能であるものと考えられる。従って本発明におけるオリゴヌクレオチドは、前記配列番号1から6、又はその一部を増幅し得るプライマーであれば、特に限定されない。

配列番号1から6の配列を増幅するためのプライマーの配列は、例えば表1のものがある。

本発明の好ましい態様においては、例えば、以下のようにして実施される。まず、前記のいずれかに記載のプライマーを用いてDNA領域を増幅し、次いで、増幅したDNAをゲル電気泳動法で分離しDNAのゲルにおける移動度を対照と比較する。SNPマーカーの場合は、増幅したDNAを制限酵素で処理したのち、DNAのゲルにおける移動度を対照と比較する。

(根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法、根こぶ病抵抗性ブロッコリーの育種方法の実施形態) DNAマーカーにより抵抗性遺伝子を有すると判定された植物体を、作物の通常の栽培条件で栽培し、その形質を調査し、抵抗性系統LOに由来する劣悪形質を持たない個体を選抜することにより、劣悪形質との連鎖引きずりを断ち切った個体を得ることができる。

得られた選抜個体同士を、より多くの抵抗性型マーカーが集積するように交配し、その後代をDNAマーカーで選抜し、抵抗性型マーカーが集積した個体を選抜する。このことによって、抵抗性の表現型を示し、かつ、抵抗性系統LOに由来する劣悪形質を持たない系統(個体)を得ることができる。

具体的には例えば、本発明で示したDNAマーカー配列について、植物個体の育苗段階で識別し、二つ以上のマーカーが抵抗性型である植物個体を選抜し、栽培のため圃場に定植する。その後通常の野菜栽培と同様に栽培管理を行う。その過程で、劣悪形質の有無を調査する。劣悪形質は例えば花蕾形状が悪い(花蕾の盛り上がりがある、色が淡い、凹凸が多い、花蕾粒が細かい、花蕾粒が揃っていない、リーフィーが発生する、キャッツアイが発生する)、わき芽の発生が多い、花蕾位置が低い、葉が開張性である、葉の凹凸が激しい、晩生性、根こぶ病以外の病害に対する罹病性などがあげられる。これらの劣悪形質を多く持たない個体(劣悪形質が少ない個体)を選抜する。このことによって、根こぶ病抵抗性を持ち、劣悪形質を多く持たない個体を得ることができる。

(根こぶ病抵抗性ブロッコリーの実施形態1) 本発明の根こぶ病抵抗性ブロッコリーは、前記したいずれかの根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法により識別され、前記した根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法における表現形質の識別方法により識別されて、根こぶ病抵抗性を備え、更に、一又は二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性ブロッコリーである。

(根こぶ病抵抗性ブロッコリーの実施形態2) 本発明の根こぶ病抵抗性ブロッコリーは、次の式で求められる発病評点が0〜30、好ましくは0〜25であり、配列番号1から6のいずれか三以上のDNA配列を備えたものである。前記DNA配列は、配列番号1から6のいずれか四以上が好ましく、配列番号1から6の全てを備えたものが特に好ましい。これらの場合、配列番号1から6のそれぞれのDNA中の一部又は全部の塩基配列を含むものであってもよい。発病評点が30以下では根こぶ病抵抗性が強く、30を超えると根こぶ病抵抗性にやや弱いきらいがある。

(式) 発病評点(DI)=(10×発病スコア1の個体数+20×発病スコア2の個体数+100×発病スコア3の個体数)/(3×全個体数)

(根こぶ病抵抗性ブロッコリーの実施形態3) 本発明の根こぶ病抵抗性ブロッコリーは、前記実施形態1の根こぶ病抵抗性を備え、更に、一又は二以上の劣悪形質が除かれた根こぶ病抵抗性ブロッコリーを一方の片親とし、他のブロッコリーを他方の片親として交配により得られたものであってもよい。前記得られた根こぶ病抵抗性ブロッコリーは雑種第一代(F1)に限らず、その次世代植物を含む。

(根こぶ病抵抗性ブロッコリーの実施形態4) 本発明の根こぶ病抵抗性ブロッコリーは、前記実施形態2の根こぶ病抵抗性ブロッコリーを片親とし、他のブロッコリーを他方の片親として交配により得られた植物であり、発病評点が0〜70、好ましくは0〜60のものである。発病評点が30以下では根こぶ病抵抗性が強く且つ劣悪形質を持つ根こぶ病抵抗性ブロッコリーとなり、70以上では形質は優れるが根こぶ病抵抗性が弱いきらいがある根こぶ病抵抗性ブロッコリーとなる。前記得られた根こぶ病抵抗性ブロッコリーも雑種第一代(F1)に限らず、その次世代植物を含む。

(実験例) 本発明の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法、育種方法、その植物についての実験例を以下に示す。

(根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別方法の実験例) 本発明の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の識別(選抜)方法は、(1)DNAの調整、PCRによるDNA増幅、多型検出の工程と、(2)表現型(表現形質)を調査する工程に分けて行った。以下それぞれについて具体的に説明する。

[(1)DNAの調整、PCRによるDNA増幅、多型検出の工程] 前記(1)の工程について以下に説明する。 DNAの調整は、ブロッコリーの組織からDNAを、次のPCRが可能な程度の純度と濃度の溶液に調整することであり、その方法は特に限定されない。DNA抽出に用いる試料は、葉、根、茎などどの組織でもよい。DNAは、ゲノムDNAを含んでいればよく、特定の組織からの抽出でなくともよい。具体的には、CTAB(臭化セシルトリメチルアンモニウム)法(Murray M.G. ,Thompson.W.F. Nucleic Acids Res., 8, 4321-4325(1980))、市販のDNA抽出キット(QIAGEN DNeasy Plant mini kit、キアゲン社)などを用いて実施することができる。

以下にCTAB法を改変した方法を例に挙げて説明する。 1.葉組織50から100mg程度をキャップ付きの1.2mLサンプルチューブに採取し、2×CTAB(2%CTAB、1.4M NaCl、100mM Tris−HCl pH8.0、20mM EDTA)を200μL加え、ステンレスビーズを入れて強く振とうし組織を破砕した。さらにクロロホルム−イソアミルアルコール(24:1)を200μL加え、転倒混和した。 2.遠心分離機を用いて8000rpmで20分間遠心した。上清50μLを新しいチューブに回収し、イソプロパノールを同量加えて転倒混和したのち、8000rpmで20分間遠心した。上清を除去し、70%エタノール200μLを加えて沈殿物を洗浄した。8000rpmで数秒間遠心し、上清を十分に除去した。 3.沈殿物(DNA)を30μLのTE(10mM Tris−HCl pH8.0、1mM EDTA)に溶解し、これをDNA溶液とし、PCRに用いた。

本発明におけるPCRは、配列番号1から6に示したDNA配列について、相補的な配列のプライマーを用い、任意のDNA断片を増幅する工程である。通常は、反応液やポリメラーゼを含む市販のキット、市販のPCR装置(サーマルサイクラーなど)によって好適に実施することができる。当業者においては、市販のPCR用酵素BioTaq(日本ジェネティクス社)を用い、抽出したDNAおよそ2から10ngをPCRに供試した。PCRの反応液は、DNAに加え、各最終濃度が0.2mMのdNTP、1.5mMのMgCl2、1×のBioTaq buffer、0.02UのBioTaq、0.5μMのフォワード・リバースプライマーとなるように、総量を10μlとして調整し、サーマルサイクラーVeriti(Life Technologies社)によりPCRを行った。PCRの温度条件は、94℃1分後、94℃45秒、50℃45秒、72℃45秒のサイクルを40回繰り返した。

配列番号3に示したDNAマーカーはSNPマーカーであり、増幅断片長だけではその多型を検出できない。そこで、SNP存在箇所(塩基配列AATATT)を認識する制限酵素SspIで処理することにより、消化されるかしないかで異なるバンドパターンを得ることができる。具体的には、10μLのPCR産物に、制限酵素SspI(New England Biolab社)添付のバッファー1/10量、5Uの制限酵素SspIを加え、37℃で2時間以上処理した。これを下記の通り電気泳動することにより、多型を検出した。

PCRによる増幅産物の多型の検出は、例えば、PCR増幅産物のゲル電気泳動法によって、DNA配列の差異を検出する工程である。当業者においては、4%アガロースゲルをTBAバッファー中で電気泳動し、得られたバンドパターンを調査し、抵抗性系統と同じ長さの増幅断片を示す個体を抵抗性マーカーを持つ個体とした。当業者においては、Takara社のNuSieveとSeaChemを3:1に混合したアガロース粉末を0.5xTBEバッファー(45mM Tris−borate、1mM EDTA)に混合し加熱して溶解させた。このゲル液をコームをセットしたゲル板に流し込み、室温で冷却し固化させた。TBEバッファーを満たした電気泳動漕にセットし、PCRによる増幅産物と2μLのローディングバッファー(0.25%ブロモフェノールブルー、30%グリセロール)を混合したものを10μLアプライし、200V定電圧で電気泳動を行った。泳動後はエチジウムブロマイドを0.5mg/L含むTBEバッファーにゲルを浸漬してDNAを染色したのち、紫外線下で観察してバンドパターンを記録した。

抵抗性マーカーをホモ型で持つ場合を「R」、罹病性型マーカーをホモ型で持つ場合を「S」、それらのヘテロ型を持つ場合を「H」とあらわし、それぞれのバンドパターンを図3(a)〜(f)に示した。Mは分子量マーカーレーンで、そのうち300bpのバンドを矢印で示した。

[(2)表現形質を調査する工程] 前記(2)の表現形質を調査し識別する工程は以下の通り行った。 表現形質の評価は、一般的なブロッコリー栽培を行い、収穫適期まで生育させたのち、その形質を調査し評価した。劣悪形質として、花蕾形状や草姿(花蕾の盛り上がり、色、凹凸、花蕾粒の大きさ、揃い、リーフィー)を調査し、多くの劣悪形質(花蕾に盛り上がりがない、花蕾の凹凸が激しい、花蕾の色が淡い、花蕾粒が大きい、リーフィーが発生する、わき芽が発生する)を持たない個体を選抜した。

(根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の育種方法の実験例) 本発明の根こぶ病抵抗性を有するブロッコリー個体の育種方法は、DNAマーカーを集積する(選抜された個体を交配し次世代を得る)ことにより行った。以下に具体的に説明する。

根こぶ病抵抗性DNAマーカーを保持する個体を選抜し、生育させてつぼみ受粉による交配を行い、自殖種子または交配種子を得る。このとき交配にはその個体が持っていないDNAマーカーを持っている個体を用いる。このことにより次世代種子の中にはより多くのDNAマーカーを集積する個体が得られ、そのような個体は根こぶ病抵抗性のQTLを集積しており、根こぶ病に対して抵抗性を示した。

抵抗性のDNAマーカーを集積した個体における発病評点を図4に示した。 図中にRで示す抵抗性型のDNAマーカーを集積した個体は低い発病評点を示し、図中にSで示す罹病性型マーカーを持つ個体は高い発病評点を示した。このことから、抵抗性型マーカーを集積することで、強い抵抗性を持つことが確認された。また、抵抗性を示す個体でも、劣悪形質を持たなかったことから、従来の方法では得られなかった、劣悪形質を持たない個体を育成できたことが確認された。 図4は各DNAマーカーのタイピング結果と発病評点の比較を示す図である。2012年にDNAマーカーによるタイピングを行い、その自殖後代種子を用いて人工接種検定を行って発病評点を算定した。

(根こぶ病抵抗性ブロッコリーの実験例) 本発明の根こぶ病抵抗性ブロッコリーは以下のようにして得られた。

抵抗性系統LOと罹病性系統HI、罹病性系統SCの戻し交配第一世代(BC1)において、2つの根こぶ病抵抗性マーカーの有無と表現型を調査した。その結果、抵抗性系統LOと罹病性系統HIのBC1で個体番号09-1043、09-1094を、抵抗性系統LOと罹病性系統SCのBC1で09-2015、09-2051を、形質が良く抵抗性型DNAマーカーを持っている個体として選抜した。

形質が良く、さらにマーカーを併せ持つ個体を作出するため、09-1043と09-1094、09-2015と09-2051の交配を行い、それぞれの後代10-1163、10-1188を得、DNAマーカーによるタイピングを行った。さらに、マーカーを集積するため、10-1163と10-1188を交配し、11-3010を得た。マーカー選抜によって、より多くの抵抗性型マーカーを持つ個体を選抜し、自殖した。これを繰り返し、F3世代である系統番号13-945を得た。これをマーカー選抜し、マーカーが抵抗性型になっているものを選び、圃場へ定植して表現型を確認した。その結果、この系統は、抵抗性系統LOが持っていた劣悪形質であるわき芽を持たず、花蕾色が抵抗性系統LOより濃く、リーフィーや花蕾の凹凸も少なく、より早生であった。この結果、マーカー選抜によってマーカーを集積させた個体の選抜と、圃場での形質選抜を組み合わせることによって、劣悪形質との連鎖を断ち切ることができた。

この系統の接種検定の結果は、2012年のF2世代では発病評点85であったが、2013年にマーカー選抜したF3世代では発病評点65であった。評点が下がったことは、この系統の抵抗性をマーカーによって選抜できたことを示している。この結果、この方法によって、劣悪形質を持たない抵抗性系統を育成することが可能であることを示した。

配列番号1:根こぶ病抵抗性ブロッコリーの選抜用マーカー(CAL) 配列番号2:根こぶ病抵抗性ブロッコリーの選抜用マーカー(OI11-G11) 配列番号3:根こぶ病抵抗性ブロッコリーの選抜用マーカー(CnaSNP9) 配列番号4:根こぶ病抵抗性ブロッコリーの選抜用マーカー(OI12-AO4) 配列番号5:根こぶ病抵抗性ブロッコリーの選抜用マーカー(BRAMS042-2) 配列番号6:根こぶ病抵抗性ブロッコリーの選抜用マーカー(OI10-B02) 配列番号7:プライマー(CAL Forward primer) 配列番号8:プライマー(CAL Reverse primer) 配列番号9:プライマー(OI11-G11 Forward primer) 配列番号10:プライマー(OI11-G11 Reverse primer) 配列番号11:プライマー(CnaSNP9 Forward primer) 配列番号12:プライマー(CnaSNP9 Reverse primer) 配列番号13:プライマー(OI12-AO4 Forward primer) 配列番号14:プライマー(OI12-AO4 Reverse primer) 配列番号15:プライマー(BRAMS042-2 Forward primer) 配列番号16:プライマー(BRAMS042-2 Reverse primer) 配列番号17:プライマー(OI10-B02 Forward primer) 配列番号18:プライマー(OI10-B02 Reverse primer)

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