コンパクトな成長習性をもつ新しいキュウリ植物

申请号 JP2010532494 申请日 2008-11-07 公开(公告)号 JP5639893B2 公开(公告)日 2014-12-10
申请人 ヌンヘムス・ベー・ヴェーNunhems B.V.; ヌンヘムス・ベー・ヴェーNunhems B.V.; 发明人 クリエネン,ヤック; リウリング、ゲールハルト; セハーズ,バール; ファン・デ・ヴァル,マリオン;
摘要
权利要求
  • NCIMBナンバー41266で寄託された種子から得られるコンパクト遺伝子をゲノムがホモ接合形またはヘテロ接合形で含むキュウリ植物であって、
    以下:
    コンパクト遺伝子を欠如する通常のキュウリ植物型と比べて、そして該コンパクト遺伝子をホモ接合形で含む植物の場合は、該コンパクト遺伝子をヘテロ結合形で含む植物と比べても、短い側枝、短い節間、小さな葉、小さな花および短い果実の表現型特性、ここで特性の比較は少なくとも10の植物の平均値の比較を含む、の組み合わせ を発現し、
    前記植物とガーキンまたはショートキュウリ植物とを雑種形成すること、ならびに該雑種形成により得られたF1植物を、AFLP法と、配列番号3および配列番号8により形成される約873.6塩基対のバンド、配列番号4および9により形成される約280.2塩基対のバンド、配列番号2および7により形成される約211.5塩基対のバンド、配列番号1および6により形成される約179.0塩基対のバンド、配列番号5および10により形成される約426.1塩基対のバンド、配列番号5および10により形成される約411.0塩基対のバンドもしくは配列番号5および配列番号10により形成される約402.9塩基対のバンドのうち少なくとも一つのマーカーとを用いて分析することにより、コンパクト遺伝子の存在が実証され、
    Arkansas Little Leaf型に存在するLittle Leafローカス(ll)を含まない、キュウリ植物。
  • 基質から測定したとき80cmを超える15節間の主茎長を備える、請求項1記載の植物。
  • 無限伸育である、請求項1または2記載の植物。
  • ロングキュウリ型である、請求項1〜3のいずれか一項記載の植物。
  • コンパクト遺伝子の発現が、該コンパクト遺伝子についてホモ接合性である植物において以下:
    a)播種39日後の該コンパクト遺伝子を有する植物における本葉10枚目の葉身面積が、播種39日後の通常のキュウリ型の植物の葉身面積の最大50%であり、b)該コンパクト遺伝子を有する植物の播種39日後の花弁の最大幅が、該通常のキュウリ型の植物の播種39日後の花弁の最大幅の最大75%であり、c)該コンパクト遺伝子を有する植物の播種56日後の側枝長が、該通常のキュウリ型の植物の播種56日後の側枝長の最大60%であり、そしてd)該コンパクト遺伝子を有する植物の播種56日後の側枝の節間数が、該通常のキュウリ型の植物の播種56日後の側枝の節間数の最大70%であるの特徴をもつことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の植物。
  • コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含み、自家生殖後に以下:
    約25%の植物が該コンパクト遺伝子を欠如した植物の通常の表現型特性を有する植物であり、約50%が中間コンパクト特性を有する植物であり、そして約25%がホモ接合性コンパクト特性を有する植物であるの比率を有する分離集団を生じる、請求項1〜 のいずれか一項記載の植物。
  • 通常のキュウリ型の植物が、KorindaまたはSabrina型の植物であり、該Korinda植物がNCIMBアクセッションナンバー41585で寄託された種子から得ることができる、請求項1〜 のいずれか一項記載の植物。
  • コンパクト遺伝子をホモ接合形で含み、倍加半数体植物である、請求項1〜 のいずれか一項記載の植物。
  • NCIMBナンバー41266で寄託された種子から成長した植物とショートキュウリまたはガーキンとの雑種形成の場合に、コンパクト遺伝子が、AFLPマーカーの対である配列番号3および配列番号8により形成される約873.6塩基対のバンドならびに配列番号4および9により形成される約280.2塩基対のバンドにより隣接される遺伝子である、請求項1〜 のいずれか一項記載の植物。
  • ゲノムにコンパクト遺伝子を含む、請求項1〜 のいずれか一項記載の植物の種子、細胞または組織。
  • 請求項 10記載の種子、細胞または組織から成長した植物。
  • ショートキュウリもしくはガーキンと形成した雑種においてコンパクト遺伝子に連結した少なくとも一つの多型性AFLPマーカーにより、および/または一つもしくは複数のコンパクト特性の表現型選択により選択がもたらされる、Cucumis sativus種の別の植物に該コンパクト遺伝子を導入するために、請求項1〜 のいずれか一項記載の植物と他のキュウリ植物を交雑するための方法。
  • AFLPマーカーが、配列番号3および配列番号8により形成される約873.6塩基対のバンド、配列番号4および9により形成される約280.2塩基対のバンド、配列番号2および7により形成される約211.5塩基対のバンド、配列番号1および6により形成される約179.0塩基対のバンド、配列番号5および10により形成される約426.1塩基対のバンド、配列番号5および10により形成される約411.0塩基対のバンドならびに配列番号5および配列番号10により形成される約402.9塩基対のバンドから、またはこれらに由来するマーカーから選択される、請求項 12記載の方法。
  • コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含み、中間コンパクト特性を発現している雑種植物である、請求項1〜 のいずれか一項記載の植物。
  • 雑種がコンパクト遺伝子をヘテロ接合状態で含有し、in vitro細胞培養の使用を含む、請求項1〜 のいずれか一項記載の植物から雑種植物の種子を産生するための方法。
  • コンパクト遺伝子を含む、請求項 14記載の雑種植物の細胞、果実または種子。
  • キュウリ植物の育種工程の様々な段階において植物、果実、種子、植物組織または植物細胞中のコンパクト遺伝子の存在を検出するために、少なくとも一つのAFLPマーカー配列番号3および配列番号8により形成される約873.6塩基対のバンド、配列番号4および9により形成される約280.2塩基対のバンド、配列番号2および7により形成される約211.5塩基対のバンド、配列番号1および6により形成される約179.0塩基対のバンド、約配列番号5および10により形成される426.1塩基対のバンド、配列番号5および10により形成される約411.0塩基対のバンドもしくは配列番号5および配列番号10により形成される約402.9塩基対のバンド、またはこれらに由来するマーカーを使用するための方法。
  • キュウリの植物、種子、細胞または組織から誘導された生物学的材料中のコンパクト遺伝子の存在を検出するために、少なくとも一つのAFLPマーカー配列番号3および配列番号8により形成される約873.6塩基対のバンド、配列番号4および9により形成される約280.2塩基対のバンド、配列番号2および7により形成される約211.5塩基対のバンド、配列番号1および6により形成される約179.0塩基対のバンド、配列番号5および10により形成される約426.1塩基対のバンド、配列番号5および10により形成される約411.0塩基対のバンドもしくは配列番号5および配列番号10により形成される約402.9塩基対のバンド、またはこれらに由来するマーカーを使用するための方法。
  • コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む、請求項1〜 または 14のいずれか一項記載の植物に成長しているキュウリ果実を、収穫ロボットの助けを借りて収穫するための方法。
  • コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む、請求項1〜 のいずれか一項に定義されたキュウリ植物を、ハイワイヤー栽培によりさらに少数の労働集約性で成長させるための技法。
  • 品種Korindaなどの通常型のキュウリの栽培よりも少なくとも20%多い茎が1m あたりに保持される、請求項 20記載の方法。
  • 植物が、1m あたり2.2本よりも大きい茎密度で成長される、請求項 20記載の方法。
  • 说明书全文

    発明の分野
    新しい特性のキュウリ植物、特にCucumis sativus spp. sativus、さらに詳細にはロングキュウリ(long cucumber)型、そして中でもオランダキュウリとして発現に至るキュウリゲノムの改変に関するが、本発明は、また、ガーキン(gherkins)、ショートキュウリ(short cucumber)、ロングキュウリ、スライス型キュウリなどの全ての種類および型のキュウリ植物にも使用することができる。 本発明による植物は、好ましくは心止まりよりもむしろ無限伸育であって、矮性型ではない。 この新しい植物型は、植物1本あたり多くの果実を提供する一方で、キュウリの生産に労働集約的な栽培をあまり必要としない。 本発明の一態様では、キュウリの栽培に高い植物密度を得ることができる。 本発明による植物は、キュウリの標準的な栽培に広まりつつあるハイワイヤー栽培システムにとても適する(Boonekamp, 2006; Honkoop, 2006)。 本発明のコンパクトで開放型のキュウリ植物は、ハイワイヤー栽培および/または果実の機械収穫に大きく有利である。 本発明の具体的な態様では、新しいコンパクトなキュウリ植物は、通常型のロングキュウリ(参考品種KorindaまたはSabrinaなど)よりも、短い節間(および15節間あたりで短い茎長)、短い側枝、小さく長期間緑色を保つ色の濃い葉、「凹凸(bumpy)」の少ない葉(平坦)、小さな花、 平方向の葉、短い果実、およびとりわけ遅い成長速度を有する。 この新しい特性の組み合わせは、市販用キュウリ品種、特に無限伸育ロングキュウリの開発に非常に価値がある。 これらの特性を付与している本明細書において「コンパクト遺伝子」と呼ぶ遺伝子についてヘテロ接合性および/またはホモ接合性であるキュウリ植物において、これらの特性はロングキュウリ型と統計的に有意差がある。 これらの特性は、一遺伝子中間遺伝を有する単一の遺伝子ローカスの発現が原因であり、すなわちその特性は「中間」表現型を与えるヘテロ接合性植物よりもホモ接合性植物で顕著である。 この遺伝子ローカスは、この遺伝子ローカスを含むキュウリ植物と、この遺伝子ローカスを有さないショートキュウリ型またはガーキン型植物とから雑種形成することにより得られた子孫における隣接AFLPマーカーの助けを借りて実証およびモニターすることができ、問題の遺伝子ローカスは、雑種形成により本発明によるキュウリ植物と雑種形成することのできるあらゆる植物に、場合により胚レスキューの後に、および/またはこれらの種もしくはCucumis sativus種の植物のような関連種との雑種を得るために採用された他の方法の使用後に、導入することができる。 したがって、(コンパクト遺伝子により付与された特性の)表現型選択および/または分子マーカー選択の両方を採用して、コンパクト遺伝子を検出し、かつ/または種Cucumis sativusの植物に移入することができ、そしてホモ接合性コンパクト表現型またはヘテロ接合性(中間)コンパクト表現型の植物を発生させることができる。 その遺伝子は、任意のキュウリ品種または育種系統に、一態様では特にロングキュウリ品種または系統に導入することができ、したがって、その発現は、成長が速い閉鎖型植物から、その遺伝子により付与されるコンパクト特性を有する成長が遅い植物に品種/系統の表現型を変えることができる。 したがって、この遺伝子は、コストと労を減らし、植物密度と果実の収穫量を増加させて、ハイワイヤー栽培でロングキュウリ品種を栽培する可能性を開く。 そこで、本発明によるキュウリ植物は、果実を長期間収穫できることから、好ましくは無限伸育である。

    従来技術との比較
    通常の、栽培されたキュウリ植物(Cucumis sativus L.)は、野生型ガーキン/キュウリ原植物から植物育種により開発され、表現型が後者と本質的に同一である。 植物育種は、雌花だけをもつ我々の一般型のキュウリを生み出した。 キュウリ果実は、いかなる種類の受粉も受精もなしに成長するため、単為結実性である。 消費者によって野菜として用いられることを意図する一般的なキュウリ果実は、いくつかの薄く疎らな種子だけを有する。 ガーキン、ロングキュウリ、ショートキュウリ、ミニキュウリ、スナックキュウリ、Beith Alphaキュウリおよびスライス型キュウリ全てが、種Cucumis sativusに属す。 キュウリ自体と共に、ズッキーニ、メロン、カボチャおよびパティソン(patisson)(カスタードマロウ)も全てウリ科(Cucurbitaceae)に属する。 現在のキュウリ品種の大部分は、二つの遺伝的に異なる親系統を交配することにより得られた雑種(F1)である。

    キュウリの栽培は、最良の収穫量を得ようとするならば多大な世話および労力を要する非常に集約的な農作業である。 オランダ、カナダおよび周辺諸国では、その栽培は主に温室で一年中行われる。 高収穫量の果実を確実に得るためには、過剰な栄養成長でエネルギーが失われないように、余剰の葉を適時に摘除しなければならず、植物は、その作業を容易にするために十分に開放されて保たれる。 さらに、開放された植物は、果実の品質を改善する。 しかし、植物における最適な光合成、蒸発および呼吸を確実にするために十分な数の葉は保たなければならない。

    通例のロングキュウリ型を産生する通常タイプのキュウリ植物は、特性、すなわち成長速度、側枝の長さ、葉の大きさ、葉の色、緑色の葉色の保持、節間長、花の大きさ、果実の長さおよびそれらの成長速度にほとんど変異を示さない。 表1は、本明細書ではロングキュウリ型栽培品種Korindaについての温室における植物、葉、花および果実の典型的な特性を提供する。

    キュウリの温室栽培に現在使用されている通例の(伝統的な)方法において、植物の主茎は、地上約2メートルの高さに水平に渡した鉄ワイヤーに誘引される。 植物がこの高さに達し、ワイヤーに接触したときに、さらなる繁殖を終わらせるためにその成長点を除去することによりその植物を「摘芯」し、そこに側枝が発生し始める。 これらの側枝を地上約1メートルの高さまで下に成長させ、次にそれらから成長点を除去する。 これに続いて、茎および側枝または巻きひげの両方に開花させて結実させるが、巻きひげの果実は茎の果実よりも後に結実する。 播種約6週間後に果実を収穫する。 これは、伝統的な栽培方法として知られている。

    最良の収穫量および高品質の産物を保証するために、植物は、栽培期間に正しい受精、潅水、気候コントロール、病気の防除および過剰の葉、黄葉または枯葉の除去の形で集中した世話を必要とする。 このように、植物の生育条件は、植物の表現型に環境因子が及ぼす影響を減らして完全にコントロールされる。 この集約的な作業および使用する高価な温室のせいで、これは比較的費用のかかる栽培法である。 したがって、果実の品質を保持または改良さえするやり方で作業を減らし、キュウリの生産を高め、加速する方法が常に探究されている。 例えば一つの試みでは、脇の巻きひげを成長させず、全ての収穫物を茎から出す。 ハイワイヤー栽培と呼ばれるこのアプローチは、必要な作業がより少なく、品質的により良い農産物をより高い収穫量で与える。 しかし、現在の品種は、迅速な成長および長い節間のせいで長く成長しすぎることから、この方法にあまり適さない。 本明細書に記載された植物のコンパクトな性質は、この種の新しい栽培にさらに適したキュウリ植物または品種を開発することを可能にする。 別の発展は、オランダのUniversity and Research Centre of WageningenでのGreen Vision Service(see http://www.greenvision.wur.nl/)により考案された現存のものなどの収穫ロボットの使用に関する。 本発明による新しいコンパクトな植物は、より小さく水平な葉を有するので、それらの果実は、通常型の植物の場合よりも目立ち、これらのロボットが摘み取り易い。 収穫ロボットを使用する場合は、これにより収穫量がかなり上がる。

    さらに、本発明によるコンパクト遺伝子を好ましくはヘテロ接合形で含む(中間コンパクト表現型を有する)キュウリは、最初に1m 2あたりより多くの植物を植えるか、またはその後栽培の間により多くの茎を発生させるかのいずれかにより、キュウリ生産の分野で周知であるよりも高い茎密度で生育させることができる。 そこで、理想的な条件でのオランダにおけるロングキュウリの現在のハイワイヤー栽培において1m 2あたり植物(または茎)約2.2本の茎密度であるのに比べて、理想的な条件でのオランダにおけるロングキュウリのハイワイヤー栽培において、1m 2あたり植物約2.6〜2.8本の茎密度が可能になる。 したがって、本発明の一態様では、本発明によるキュウリ植物は、1m 2あたり植物(または茎)2.2本を超える、好ましくは1m 2あたり少なくとも植物(または茎)2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3.0本以上;さらに好ましくは1m 2あたり茎約2.6〜2.8本の茎密度で成長される。 本発明の一形態では、本発明によるコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物などの、よりコンパクトな植物の場合のハイワイヤー栽培では、(KorindaまたはSabrinaなどの、本発明によるコンパクト遺伝子を欠如した伝統的なキュウリに比べて)1m 2あたり少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約22%、23%または24%多い茎を利用することができる。

    従来技術では、植物1本あたりより多数の側枝(多枝性)と共に小さな葉を有するガーキン(ピクルス用キュウリ)型は露地栽培される。 この植物はアーカンソーで同定され、H−19またはArkansas Little Leafと命名された(US Plant Variety Protection No. 8900073)。 より小さな葉の表現型のこれらのショートガーキン植物は、単一の劣性遺伝子が原因であることが証明されている(Wehner et al., 1987; Goode et al, 1980)。 この表現型は、ロングオランダキュウリなどの通常のロングキュウリの栽培に利用できない。 本発明による植物の場合と異なり、劣性遺伝子がここに関与することから、この表現型の中間形は不可能である。 これらの小さな葉のキュウリの果実の品質は、通常の葉を有する被験系統よりも劣っていることが見い出された(Schultheis et al., 1998)。 また、本発明による植物は、Little Leafに見られるように多枝性ではない。

    また、突然変異cpまたはcp2のいずれかを含むいわゆる「コンパクトな」キュウリ植物が従来技術に記載されている(Kauffman and Lower, 1976 and Kubicki et al., 1986)。 同じ名前にも関わらず、これらの二つの遺伝子突然変異は、どちらもゲノムの中で本発明のコンパクト遺伝子とは異なるローカスに存在する。 (ホモ接合性の場合にコンパクト表現型を発現するがヘテロ接合性の場合に中間コンパクト表現型を発現する)一遺伝子中間遺伝である本発明のコンパクト遺伝子とは対照的に(表1のヘテロ接合性植物型を参照されたい)、cpおよびcp2はホモ接合性劣性であり、2コピーの突然変異アレルが存在する場合にのみ、より短い節間を発現し、突然変異アレルがヘテロ接合形の場合には「通常の」表現型を有する。 したがって、本発明のコンパクト遺伝子のヘテロ接合体は、cpまたはcp2のヘテロ接合体とは表現型が非常に異なり、cpまたはcp2のヘテロ接合体は通常の(非コンパクトまたは野生型)表現型を示す。 cp2突然変異体は、「中間形」を生み出すが、それはホモ接合性(cp2/cp2)の場合にbu(bushy)と呼ばれる別の突然変異と相互作用している場合だけである。 加えて、本発明によるホモ接合性コンパクト植物とホモ接合性のcpまたはcp2植物の特性を比較した場合、これらは表現型特性が異なる。 ホモ接合性cp2/cp2植物は、50cm未満(15〜35cm)の主つる長を有し、矮性型を示し、ずっと長い茎(果実の連続生産のための標準的なオランダの夏季温室条件で好ましくは播種50日後に100cm超)を必要とする伝統的な栽培またはハイワイヤー栽培に適さない。 ホモ接合性cp/cp植物は「極矮性」植物(35cm未満の茎長を有する)であり、これもまた伝統的な栽培またはハイワイヤー栽培に適さない。 cp突然変異は、果実の品質低下(cp突然変異を欠如した許容可能な商業用栽培品種よりも薄い色、やや小さな果実、大きな種子腔などのマイナスの効果に関連する(Kauffman and Lower, 1976, page 151、最後の段落参照)。

    標準的なオランダ夏季温室条件、またはオランダ夏季温室条件は、夏季にオランダのキュウリ育種家によって通常使用される条件である。 明らかに、育種家の好みによるこれらの条件、行う投資、利用可能な資源などに変動がありうるが、そのような変動は、本明細書に記載される方法および/またはマーカーを使用して常に明らかに同定されるであろうコンパクト遺伝子の特性に影響を有さない。 本発明の一態様では、本明細書に使用されるような標準的なオランダ夏季温室条件は:
    28℃でバーミキュライトに播種(7月4日)後に、温度約21℃で苗床のロックウールブロックに通常の13〜17本/m2になるように移植する。
    播種の約21〜23日後に、オランダのガラス温室の中でロックウール平板に植え付け、そこに点滴潅水により水および養分を加える。 水のECは約2.0(mS/m)で、pHは約5.5である。 天候条件に応じて、ECを最大3.0に上げることができる。 オランダの状況におけるこれらの条件は、栽培者毎に変化することがある。
    温室内の温度は、好ましくは日中約21℃、夜間18〜18.5℃の温度に固定される。 より高い日射が原因で温度が上昇するおそれがあるが、好ましくは28℃を超えてはならない(換気、屋根ガラスの水冷またはスクリーンを用いた遮光による)。 植物密度は、好ましくは約1.4本/m2である。
    植物は、高さ約2.0〜2.2mの水平のワイヤーまで垂直のロープに絡ませる。
    そこで植物を摘芯し、二つの脇芽を上から下に成長させる。 最後の2または3個の脇芽を除き標準的な全ての脇芽を主茎から除去する。
    最初の4〜5個の葉腋は果実を除く。 次の葉腋では好ましくは1個の果実を成熟した果実まで発育させる。 ワイヤーの直下の植物先端の最大3節には、栽培者が葉腋に2個の果実をつけておくときがある。
    主茎から約400〜450gの成熟果実を収穫後に、栽培者は側枝の果実を収穫し続ける。
    上に挙げた条件で、温室のスラブの上に移植後16〜19日で植物は生産を始める。

    コンパクト遺伝子が、同じ複数の特性を付与している別の遺伝子(存在しそうにないが)と同じであるかどうかは、形質の対立性をチェックすることにより証明することができる。 例えば、表現型が類似または同一の二つの植物(例えばコンパクト遺伝子を有する一つおよびコンパクト遺伝子の存在を試験しようとする一つ)を交雑し、特性の分離についてF1および/またはF2子孫を分析する。 または、子孫に着目し、表現型のメンデル分離を判定することにより被験遺伝子の遺伝を判定する。 劣性遺伝する遺伝子は、中間遺伝する遺伝子とも優性遺伝する遺伝子とも同じでありえない。

    本発明によるコンパクト遺伝子を含むキュウリ植物(ロング、ショート、ガーキン型など)のどれも「矮性」植物(それは伝統的な栽培にもハイワイヤー栽培にも適さないであろう)ではなく、本発明によるコンパクト遺伝子を欠如した同じ植物に比べてもまだ背が高い植物であること、すなわち本発明によるコンパクト植物は「矮性」植物よりもずっと背が高いことが言及されている。 本明細書に使用されるような「矮性」植物は、生活環全体にわたり、ゆえに同じく通常の成長条件で播種50日後に、50cm未満の主茎を有することと定義される。 KauffmanおよびLower(1979、2〜5行目)は、コンパクトな心止まり植物は8週間で12cm以下であると述べている。 対照的に、本発明による植物は、「矮性」植物ではなく、オランダ夏季温室条件などの標準的な温室条件で成長した場合に、播種50日後に50cmを超える、好ましくは70cm、80cm、90cmまたは100cmを超える茎長を備える。 また、同じ条件(例えば実施例に記載したようなオランダ夏季温室条件)で成長した場合に、高さを15節間で測定および比較することができるが、本発明による植物は、cpまたはcp2植物よりもずっと背が高く、(基質(substrate)から測定したとき)15節間で50cmを超える、好ましくは80cm、90cmまたは100cmを超える茎長を備える。 キュウリ植物に関する15節間での茎長の平均値が、通常のキュウリ植物について147cm、ヘテロ接合性コンパクト植物について126cm、およびホモ接合性コンパクト植物について109cm(通常の植物の値の74%)であった表1も参照されたい。

    発明の概要
    本発明は、ゲノムにコンパクト遺伝子をホモ接合形またはヘテロ接合形のいずれかで含むキュウリ植物に関し、その場合にこの(ホモ接合性またはヘテロ接合性)コンパクト遺伝子の発現は、同じ条件(例えばオランダ夏季温室条件)で成長した場合に以下の表現型特性の組み合わせを示すことにより、これらの植物が通常のロングキュウリ型(例えば栽培品種KorindaまたはSabrina)などの通常型のキュウリ植物と異なることを確実にする:短い側枝、短い節間、小さな葉、小さな花、短い果実、および特に遅い成長速度、短い側枝、短い節間、小さく脆い葉、濃い緑色で「凹凸」の少ない(いぼ状突起の少ない)葉、水平の普通葉、小さな花、および重量の少ない短い果実(表1も参照)。 態様の一つによると、コンパクト遺伝子を有するこれらの植物は、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む雑種ロングキュウリ植物などのロングキュウリ型である。 そのような雑種は、例えば二つの好ましくはホモ接合性の親系統、例えば通常のロングキュウリの系統または品種(コンパクト遺伝子を欠如する)と、コンパクト遺伝子をホモ接合形で含む本発明による植物と交雑することにより産生される。 そのような植物と、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で有する植物を交雑し、(本明細書の他の部分に記載するような表現型および/またはマーカー選択を使用して)コンパクト遺伝子を含む雑種子孫を選択することによってもまた、コンパクト遺伝子を欠如した植物にコンパクト遺伝子を導入することができる。 通常のキュウリ(ロング型)、ヘテロ接合性コンパクト植物およびホモ接合性コンパクト植物の間の平均的な表現型の差については表1も参照されたい。

    本発明の一形態は、コンパクト遺伝子が以下の特性を与える上記キュウリ植物の一つに関する:a)コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物の場合、播種39または35日後の本葉10枚目の葉身面積は、播種39または35日後の通常型のキュウリ(例えば栽培品種Korinda)のキュウリ植物葉身面積の最大50%、好ましくは最大40%であり、b)コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物の場合、播種39または45日後の花弁最大幅は、播種39日または45日後の通常型キュウリの花弁最大幅の最大75%、好ましくは最大70%であり、c)コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物の場合、播種56日後の側枝長は通常型キュウリ植物の播種56日後の側枝長の最大60%、好ましくは最大50%であり、そしてd)コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物の場合、播種56日後の側枝の節間数は、通常型のキュウリ植物の播種56日後の側枝の節間数の最大70%、好ましくは最大60%である。

    本発明の一形態は、コンパクト遺伝子が以下の特性を与える上記キュウリ植物の一つに関する:a)コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物の場合、(例えば播種約56日後に)15節間の茎長は、(例えば播種56日後に)通常型のキュウリ(例えば栽培品種Korinda)のキュウリ植物の茎長の最大85%、好ましくは最大80%または75%であり、b)(例えば播種35日後の)コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物の場合、葉の幅は、(例えば播種35日後の)通常型のキュウリの葉の幅の最大70%、好ましくは最大60%であり、そしてc)コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物の場合、(例えば播種35日後の)葉の長さは、(例えば播種35日後の)通常型のキュウリの葉の長さの最大75%、好ましくは最大70%または65%である。

    本発明の別の態様では、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含み、(少なくとも約10本以上の植物の平均値に基づき、同じ条件で同時に成長した対照植物に比べて)以下の組み合わせのコンパクト型特性を含むキュウリ植物、好ましくはロング型キュウリ植物が提供される:基質から第15節間までの平均茎長は、コンパクト遺伝子を欠如した通常の(例えばロング)キュウリ植物の平均茎長の95%以下、好ましくは90%または88%以下であり;平均節間長は、コンパクト遺伝子を欠如した通常の(例えばロング)キュウリ植物の平均節間長の90%以下、より好ましくは85%以下であり;平均葉長は、通常の(例えばロング)キュウリ植物の95%以下、好ましくは93%または91%であり;平均葉幅は、コンパクト遺伝子を欠如した通常の(例えばロング)キュウリ植物の90%以下、好ましくは88または87%であり;平均葉身面積は、コンパクト遺伝子を欠如した通常の(例えばロング)キュウリ植物の90%以下、好ましくは85または80%である。 上記に加えて、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む本発明による上記植物は、以下の特性を含みうる:葉の方向は、1〜9の尺度(1は垂直に垂れ下がり、9は水平)で少なくとも4、好ましくは4.5以上のスコアを有して、通常の(例えばロング)キュウリ型よりも水平であり;葉の色は、1〜9の尺度(1は薄い緑、9は濃い緑)で少なくとも5、好ましくは少なくとも6、6.5または7のスコアを有して通常の(例えばロング)キュウリ型よりも濃く;葉の色は、実施例に記載したようにクロロフィル含量を測定することによっても測定することができ(コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で有する植物から得られた葉の平均葉クロロフィル含量は、通常のキュウリ型よりも高く、実施例に記載したようなエタノール抽出を用いて3000μg/g以上の濃度、すなわち同じ齢で同じ条件で成長したがコンパクト遺伝子を欠如する葉のクロロフィル濃度の少なくとも105%、好ましくは少なくとも108%、110%、より好ましくは少なくとも115%、120%または130%の濃度である);花弁の長さがコンパクト遺伝子を欠如した通常の(例えばロング)キュウリ型の花弁の85%以下、好ましくは82%、より好ましくは80%であり、花弁の幅が、通常(例えばロング)キュウリ型の花弁の幅の80%以下、好ましくは75%、74%または70%である点で花は小さく;果実の長さもまた、コンパクト遺伝子を欠如した通常の(例えばロング)キュウリ果実の95%以下、好ましくは90%、さらに好ましくは89%の長さを有し、コンパクト遺伝子を欠如した通常の(例えばロング)キュウリ型よりも短い。

    そのような植物の種子、収穫された果実および植物の部分(細胞または組織培養物、花粉、花など)もまた本明細書に提供される。 一態様では、上記中間コンパクト特性を有する植物は、NCIMBアクセッションナンバー41266(ロング型キュウリ、コンパクト遺伝子に関してホモ接合性)で寄託された種子から成長した植物(または例えば自殖によるそれに由来する植物)と、コンパクト遺伝子を欠如したロング型キュウリ植物を交雑し、該交雑から雑種種子を収集することによりそのような種子から得られる。 コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含み、「中間コンパクト」表現型および良好な農学的特性を有する雑種を発生させるために、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形でロング型キュウリ植物に導入するために多数の異なる交雑および/または自殖を行えることが了解されている。 任意のそのような雑種が本明細書に包含される。 コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む雑種の選択は、表現型的に(表現型のコンパクト特性に基づき)、および/またはコンパクト遺伝子に連結している本明細書に記載されるAFLPマーカーもしくは記載されたマーカーに由来するAFLPマーカー、もしくはコンパクト遺伝子を欠如したキュウリ植物とコンパクト遺伝子を含むキュウリ植物との間で多型のAFLPマーカーなどの分子マーカーを使用してのいずれかで行うことができる。 本出願に開示したAFLPマーカーは、ロングキュウリ型において多型ではないことから、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含むロングキュウリ型の選択は、そのような植物(またはヘテロ接合性と疑われる植物)とショートキュウリまたはガーキン(共にコンパクト遺伝子を欠如する)を交雑すること、ならびにコンパクトローカスに連結した一つまたは複数のAFLPマーカーおよび/またはこれらに由来するマーカーを用いてそのような交雑の子孫(例えばF1および/またはF2世代)を分析することを含む。 したがって、そのような分析は、ショートキュウリまたはガーキンとの交雑において親として使用されたロングキュウリにおいてコンパクト遺伝子がヘテロ接合形で存在することを検証するために使用することができる。

    本発明によるAFLPマーカーに「由来」するマーカーは、コンパクト遺伝子ローカスに依然カップリングしているが、原AFLPマーカーから5kb以内、好ましくは5kb、好ましくは4、3、2、1、0.5kb、またはそれ未満以内の隣接領域に、または原AFLPマーカー配列自体の中に見い出される分子マーカーである。 したがって、由来するマーカーは、本発明の原AFLPマーカーおよび/または原AFLPマーカー配列を使用して開発してもよい。 例えば、AFLPマーカーを配列決定することができ(例えばDNAマーカーのバンドをゲルから得て配列決定する)、AFLPマーカーの配列を用いて、またはAFLPマーカーのいずれかの側に隣接する配列を用いて多型を同定することができる(例えば原AFLPマーカーの配列から約1、2、3、4または5kb以内)。 次に、本明細書により同定された多型は、分子検出アッセイを使用して検出される。 例えば、AFLPマーカーを配列決定し、技法が当技術分野で周知であるCAPSアッセイで検出可能なCAPSマーカー(切断され増幅された多型配列)(Akopyanz et al., Nucleic Acid Research, 20:6221-6225 (1992)およびKonieczny & Ausubel, The Plant Journal, 4:403-410 (1993)参照)またはインデル(挿入/欠失)マーカーに変換してもよい。 CAPSアッセイは、PCRによりマーカーのローカスを増幅することに続いて制限酵素を用いて消化することを含む。 AFLPマーカーは、また、当技術分野で公知の方法を使用してSTSマーカーもしくはSNPマーカー/アッセイに、または任意の他の派生分子マーカーに変換することができる。 派生マーカーがたとえ明白に記載されていないとしても、本明細書においてAFLPマーカーを参照するときはいつもそれに由来するマーカーが一態様として包含されることが了解されている。

    本発明の一形態では、コンパクト遺伝子がヘテロ接合で存在するせいで、自殖により得られた子孫が、コンパクト遺伝子を欠如した通常のロングキュウリ植物、ヘテロ接合(中間コンパクト)型の植物、およびコンパクト遺伝子についてホモ接合性のコンパクトに成長している植物の間で約1:2:1の比で分離した集団を有するか、またはコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物の倍加半数体生産後に、コンパクト遺伝子を欠如した通常型のキュウリ植物約50%およびコンパクト遺伝子についてホモ接合性のコンパクトに成長している植物約50%に分離する集団を有するキュウリ植物が提供される。 本発明は、また、コンパクト遺伝子の表現型特性が一遺伝子中間遺伝を有し、コンパクト遺伝子がホモ接合状態であるときの表現型(すなわち最も強いコンパクト表現型を有する)で主として発現される上記植物を扱う。

    上に挙げたように、本発明は、ヘテロ接合性(例えば雑種)キュウリ植物(および/またはヘテロ接合形でコンパクト遺伝子を含むと疑われるおそれのあるもの)を含み、そのキュウリ植物では、これらの植物とガーキンまたはショートキュウリ植物を交雑すること、およびAFLP法の助けを借りて、そして以下に示す少なくとも一つ、または少なくとも2、3、4、5もしくは6個のAFLPマーカーを使用して、得られたF1植物(および/またはF2植物)を分析することによって、コンパクト遺伝子の存在を実証することができる:E14/M61_M873.6、E19/M50_M280.2、E24/M49_M211.5、E17/M54_M179.0、E16/M47_M426.1、E16/M47_M411.0および/もしくはE16/M47_M402.9、またはこれらに由来するマーカー、またはコンパクト遺伝子に隣接する他の多型AFLPマーカー、特にAFLPマーカーE14/M61_M873.6および/もしくはE19/M50_M280.2、またはそれらに由来するマーカー(ここで、コンパクト遺伝子が実証されたF1植物を自殖させて得られた分離F2集団は、コンパクト特性と、これらのAFLPマーカーまたはそれらに由来するマーカーの少なくとも一つ(または少なくとも2、3、4、5もしくは6個、または7個全て)との同時分離を示す)。 したがって、コンパクトヘテロ接合性とガーキンまたはショートキュウリとの交雑から得られたF1植物は、ヘテロ接合性コンパクト特性:通常特性について1:1に分離し、マーカーはコンパクト特性と同時分離するであろう。 ヘテロ接合性コンパクトF1植物を自殖することにより得られたF2ファミリーは、ホモ接合性コンパクト:ヘテロ接合性コンパクト:通常特性について1:2:1に分離し、マーカーはコンパクト特性と同時分離するであろう。

    コンパクト遺伝子ローカスに「隣接する」マーカー(「隣接マーカー」)は、コンパクト遺伝子ローカスのいずれかの側に位置するマーカー、すなわちそのローカスの一方の側にあるマーカーまたはそのローカスの他方の側にあるマーカーを示す。 好ましくは、本明細書に記載した任意のマーカー介助性選択または検出法には、一方の隣接マーカーがローカスの一方の側で、他方のマーカーがローカスの他方の側にある隣接マーカーの対が使用される。 しかし、単一のフランキングマーカーもまた使用することができる。 図1おいて、例えばE14/M61_M873.6およびE19/M50_M280.2は、それぞれ0.05cMおよび0.67cMの距離に位置する隣接マーカーの対である。

    本明細書においてコンパクト遺伝子に連結した特異的AFLPマーカーを参照する態様は、コンパクト遺伝子を含む植物とコンパクト遺伝子を欠如した植物との間で多型性であって、コンパクトローカスに連結している他のAFLPマーカーに、そして同じくこれらに由来するマーカーにも、適用可能である。 そのような他の多型AFLPマーカーは、例えば異なる分離集団を作ることにより、および/またはより多くのAFLPプライマーの組み合わせをスクリーニングし、多型マーカーを同定し、コンパクトローカス近くのマーカーを位置決定することにより見い出すことができる。 したがって、コンパクトローカスに連結し、ロングキュウリとコンパクトローカスを含む植物との間で多型であるAFLPマーカーを見い出すことができ、本発明により、例えば別の植物にコンパクト遺伝子を移入するために、または植物中のコンパクト遺伝子を検出するために使用することができる。 これは、本発明によるコンパクト植物を使用することによってのみ可能であることから、従来技術の材料に基づくと不可能であった。

    本発明の一形態では、結果として生じる通常型のキュウリ植物(その植物と本発明による植物が比較される)には、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物の自家受精により発生した1:2:1の分離集団におけるコンパクトな成長を有さない約25%の植物、またはコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物の倍加半数体生産後にコンパクトな成長を行わない約50%の植物が含まれる。 本発明の態様の一つでは、通常のキュウリ型植物は、SabrinaまたはKorinda品種に属する。 したがって、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性と疑われる植物は、a)該植物を自殖させ、ホモ接合性コンパクト:ヘテロ接合性コンパクト:上記通常特性の1:2:1の分離比について自殖した植物を分析すること、またはb)植物から倍加半数体(DH)を生産すること、およびDH植物における通常:ホモ接合性コンパクト特性の1:1分離を分析することのいずれかにより分析/同定/選択することができる。

    本発明は、また、コンパクト遺伝子についてホモ接合性で、コンパクト特性を示すキュウリ植物を含める。 そのような植物は、交雑および選択によりコンパクト遺伝子を任意の他のキュウリ植物に導入するために、ならびに植物におけるコンパクト遺伝子の存在を検出するために適する。 一態様では、コンパクト遺伝子についてホモ接合性である植物は、NCIMBナンバー41266で寄託されたロングキュウリ型種子の植物(コンパクト遺伝子についてホモ接合性)またはその種子から得られた植物である。 コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物は、好ましくはロングキュウリ型であるが、他のキュウリ型(ショートまたはガーキンなど)であってもよい。

    本発明は、また、2005年3月29日にブダペスト条約に基づいてNunza BV社(現在はNunhems BVと呼ばれる)によりNCIMB Ltd.にナンバー41266で寄託された種子(コンパクト遺伝子についてホモ接合性のロングキュウリ型植物の種子)から得ることができる、コンパクト遺伝子を含む任意の上記植物を扱い、NCIMB Ltd.の住所は、Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn, Aberdeen AB21 9YA, Scotlandである。 これは、これらの寄託された種子から成長した植物の表現型および遺伝型特性のセット全体を有する植物に限定されない。 本発明は、また、ゲノムにコンパクト遺伝子を含む上記植物の一つの種子、細胞または組織、ならびに上記種子から成長した植物、およびコンパクト特性を有し、本発明によるコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性またはホモ接合性のいずれかであるこれらの植物の種子、細胞または組織から成長した植物を含む。

    本発明は、また、NCIMBナンバー41266で寄託されたキュウリ植物および植物部分、ならびにそれから誘導され、コンパクト遺伝子をホモ接合形またはヘテロ接合形で含むキュウリ植物および植物部分を含む。 したがって、コンパクト遺伝子は、種子寄託物から得ることができ、該寄託物の植物(または該寄託物の植物を交雑および/または自殖することにより得られる植物)と別のキュウリ植物を交雑することおよび該交雑から子孫を得ることによって他のキュウリ植物に移入することができる。 したがって、コンパクト遺伝子を含む植物は、寄託された種子から通例の育種により得ることができ、本明細書に記載した任意の植物は、好ましくは植物トランスフォーメーションではなく通例の育種により得られる(すなわち、その植物はトランスジェニック植物ではない)。 コンパクト遺伝子を含み、NCIMB 41266に由来し/由来可能なキュウリ植物は、ロングキュウリ、ショートキュウリ、ガーキン、またはその他のいずれかであり、好ましくは成長が無限伸育である。

    本発明の一形態では、一方でNCIMBナンバー41266で寄託された種子から成長した植物と、他方でショートキュウリまたはガーキン植物との雑種形成の場合に、特に例えばManar F1などのショートキュウリ系統または品種の植物との雑種形成の場合に、コンパクト遺伝子は、AFLPマーカーE14/M61_M873.6および/またはE19/M50_M280.2に隣接する遺伝子である。

    本発明は、また、種Cucumis sativusの他の植物にコンパクト遺伝子を導入するために、コンパクト遺伝子をホモ接合形またはヘテロ接合形で含む任意の上記植物と他のキュウリ植物を交雑するための方法を含む。 一態様では、コンパクト遺伝子が移入された植物は、一つまたは複数のコンパクト遺伝子特性に基づき表現型が選択される。 子孫は交雑の直接の子孫(F1)またはさらなる自殖および/または交雑により得られた子孫でありうる。 本発明の別の態様では、移入は追加的にまたは単独で実施してもよく、および/またはショートキュウリまたはガーキン植物との雑種形成の場合に、もしくは倍加半数体を調製する生物学的工程もしくはin vitro細胞培養が使用される場合に、コンパクト遺伝子に隣接する少なくとも一つの多型性AFLPマーカーまたはそれに由来するマーカーが使用される技術工程の助けを借りて、コンパクト遺伝子の存在について子孫がチェックされる。

    したがって、以下の工程:
    (a)コンパクト遺伝子を欠如したCucumis sativus植物、例えば通常のロングキュウリ系統または品種を提供すること;
    (b)(a)の植物と、コンパクト遺伝子を例えばホモ接合形で含むCucumis sativus植物を交雑すること;
    (c)該交雑から雑種種子を得ることを含む、種Cucumis sativusの植物にコンパクト遺伝子を導入するため、および/または種Cucumis sativusの雑種種子を発生させるための方法が提供される。

    場合により、コンパクト遺伝子特性の表現型分析は、工程(a)、(b)および/または(c)で実施することができる。 また場合により、AFLPマーカーの分析は、ショートキュウリまたはガーキンとの試験交雑を行うこと、およびそれらの交雑の子孫におけるマーカーの存在/不在を分析することによって実施してもよい。

    また、以下の工程:
    (a)コンパクト遺伝子を含むことが疑われる植物と、ショートキュウリ植物もしくはガーキン植物(コンパクト遺伝子を欠如する)を交雑してF1植物を得ること、またはコンパクト遺伝子を含むことが疑われる植物を自殖してS1植物を得ること;
    (b)一つもしくは複数のAFLPマーカーまたはそれから得られたマーカーを用いて(a)から得られたF1またはS1子孫を分析すること、
    (c)(a)から得られたコンパクト遺伝子を含むF1またはS1子孫を自殖させ、F2またはS2植物を得ること、および一つもしくは複数のAFLPマーカーまたはそれらに由来するマーカーを用いて、得られたF2またはS2植物を分析すること、ならびに(d)工程(b)および/または(c)におけるAFLPマーカーおよびコンパクト特性の同時分離に基づき、原植物がコンパクト遺伝子をホモ接合形またはヘテロ接合形で含んだかどうかを結論づけることを含む、植物がコンパクト遺伝子をホモ接合形またはヘテロ接合形で含むかどうかを判定するための方法が提供される。

    本発明の別の態様では、工程b)が省略される以外は上記方法と同一の代替法が提供される。

    使用されるAFLPマーカーは、本明細書の他の箇所に記載されたマーカー、すなわちコンパクト遺伝子に連結したマーカーである。

    上記方法は、植物表現型もまた工程bおよびcにおいて分析される、すなわちコンパクト特性の存在または不在が判定されることを意味する。

    原植物がコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性であるならば、F1は、コンパクト遺伝子に連結したAFLPマーカーを含む(そしてヘテロ接合性コンパクト特性を有する)植物およびAFLPマーカーを欠如した(そしてコンパクト特性を欠如した)植物が1:1に分離するであろう。 次に、コンパクト遺伝子を含む植物を自殖させることにより得られたF2は、コンパクト遺伝子をホモ接合形で含む(そしてAFLPマーカーおよびコンパクト特性を含む)植物:コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む(そしてAFLPマーカーおよびコンパクト特性を(中間形で)含む)植物:AFLPマーカーおよびコンパクト特性を欠如した植物が1:2:1に分離するであろう。 同様に、原植物がコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性であるならば、S1は1:2:1(ホモ接合性コンパクト1:ヘテロ接合性コンパクト2:非コンパクト/通常1)に分離するであろう。

    原植物がコンパクト遺伝子についてホモ接合性であるならば、全てのF1植物は、AFLPマーカーおよびコンパクト特性を含むヘテロ接合性であり、F2は上記のように1:2:1に分離するであろう。 原植物がコンパクト遺伝子についてホモ接合性ならば、全てのS1植物は同様にホモ接合性であろう。

    本発明は、また、コンパクト遺伝子をホモ接合状態で含む上記植物の一つを使用することにより、コンパクト遺伝子がヘテロ接合状態で存在する雑種キュウリ植物の種子を生産するための方法、特にin vitro細胞培養の使用を含む方法を含み、コンパクト遺伝子を含む本発明による雑種植物の植物、果実および種子も含む。

    一態様では、種Cucumis sativusの植物にコンパクト遺伝子を導入するための、および/または種Cucumis sativusの雑種種子を生成するための方法が提供され、そのような方法は、以下の工程:
    (a)コンパクト遺伝子を欠如したCucumis sativus植物、例えば通常のロングキュウリ系統または品種を提供すること;
    (b)(a)の植物と、コンパクト遺伝子をホモ接合形で含むCucumis sativus植物を交雑すること、
    (c)該交雑からF1種子を得ること、
    (d)in vitro細胞培養を使用して該F1種子またはF1植物から倍加半数体(DH)植物を生成すること、
    (e)コンパクト遺伝子についてホモ接合性の倍加半数体植物を選択すること、およびコンパクト遺伝子を欠如したDH植物を廃棄すること;
    (f)コンパクト遺伝子を欠如した植物との交雑に親としてDH植物を使用して、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む雑種を生産することを含む。

    本発明のさらなる態様では、コンパクト遺伝子をホモ接合形またはヘテロ接合形で含む本発明による植物を維持および/または増殖させるために、例えば種子による増殖を避けるために、および/またはin vitro技法により同一の雑種を増殖させるために、in vitro技法を使用する。 そのような方法は、例えば、一例として細胞培養または組織培養技法を使用した本発明による植物のクローン繁殖または栄養繁殖を含む。 したがって、コンパクト遺伝子を含む複数のクローン再生または栄養再生された植物ならびにそれらの植物の種子、果実、花および組織と同様に、コンパクト遺伝子を含む植物の外植片のin vitro細胞培養または組織培養が本明細書に包含される。 in vitro技法は、当技術分野において公知であり、例えばMohammadi and Sivritepe (2007, J of Biol. Sciences 7: 653-657)、Ahmad and Anis (2005, Turk J Botany 29: 237-240)またはHandley and Chambliss (1979, HortScience 14:22-23)を参照されたい。

    本発明は、また、少なくとも一つ(または少なくとも2、3、4、5、6または7個全て)のAFLPマーカーE14/M61_M873.6、E19/M50_M280.2、E24/M49_M211.5、E17/M54_M179.0、E16/M47 M426.1、E16/M47_M411.0および/もしくはE16/M47_M402.9、特にAFLPマーカーE19/M50_M280.2および/もしくはE14/M61_M873.6、またはそれらに由来するマーカーが、植物育種工程の様々な段階において植物、果実、種子、植物組織または細胞中のコンパクト遺伝子の存在を検出するために使用される方法を扱うと同様に、植物、種子、細胞または組織から生じた生物学的材料(例えばDNA)におけるコンパクト遺伝子の存在を検出するための方法を含む。

    さらに、コンパクト遺伝子を含む植物でキュウリ果実が成長する本発明の一形態は、収穫ロボットの助けを借りてキュウリ果実を収穫するための方法に関し、それと同様に問題のキュウリ植物が上記植物の一つであるキュウリ植物をハイワイヤー工程により栽培するための方法、特にキュウリの通常の栽培よりも1m 2あたり茎が少なくとも5%、10%、15%または20%多い、この種の方法に関する。

    発明の詳細な説明
    本発明は、本明細書において「コンパクト遺伝子」と呼ばれる特定の遺伝子を有するキュウリ植物に関し、その遺伝子は、同じ環境条件で成長した場合に、通常のロングキュウリ型(例えば栽培品種Korinda)などのこの遺伝子を欠如した従来のキュウリ植物の表現型の場合よりも成長速度が遅く、そして小さく、色が濃く、長期間緑色を保つ葉を有する植物を形成することにより(ヘテロ接合性またはホモ接合性)コンパクト表現型で発現する。 この「コンパクト型」の葉は、通常の型の葉よりも脆いので、中肋(rib)で折れ易い。 しかし、黄色く成長し、すぐに萎びる通常型の植物の損傷した葉とは異なり、破れた葉は緑色で健康なままである。 さらに、コンパクト型の葉は水平で、通常のキュウリ型の場合のように垂れ下がらない。 したがって、コンパクト表現型は植物のより良い換気を可能にし、その開放型構造は植物および果実をより見易く、作業を簡単にする。 また、花はより小さく、短く幅の狭い花弁を有する(図2も参照されたい)。 この植物は、また、コンパクト遺伝子を欠如した植物よりも短い側枝および短い節間長を有する。 ホモ接合性コンパクト表現型の植物自体は、より遅く成長することからロングキュウリの標準的な商業栽培にあまり適さないが、他のキュウリ型の栽培に、およびコンパクト遺伝子の表現型特性(「コンパクト特性」と呼ぶ)を中間形に示す雑種(ヘテロ接合性)ロングキュウリ植物の作出に、非常に有用である。 商業栽培では、主に、二つの遺伝的に異なる親系統を交雑することにより得られた雑種植物(コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性)が使用される。 コンパクト遺伝子がホモ接合状態で存在する親系統を使用し、この植物と、コンパクト遺伝子が不在の(通常のロングキュウリ品種または系統などの)別の植物系統を雑種形成/交雑するならば、中間発現で「コンパクト特性」の独特の組み合わせを示すヘテロ接合性雑種植物(「ヘテロ接合性または中間コンパクト」表現型)が得られることにより、「ホモ接合性コンパクト型」の植物よりも例えば大きな果実および速い成長を有するが、ゲノムにコンパクト遺伝子を欠如した通常型の植物よりも例えば短い節間を有する雑種植物が得られる。 各図の中央部がヘテロ接合性中間植物を表す図2a、2bおよび2cを参照されたい。 本発明による植物の使用は、また、高収量の果実をもたらすことができる。 それらの特別な組み合わせの特性のせいで、本発明によるヘテロ接合性雑種植物は、通常の(温室)法により、より小数の労働集約性の栽培を可能にする最適な成長をし、それに加えて収量は高く、得られるキュウリの品質は高い。

    通常のロングキュウリ型の場合に、本発明によるコンパクト遺伝子の発現を原因とするこの最適な組み合わせの特性は公知ではない。 「ショートキュウリ」植物型およびガーキンと形成した従前の雑種は、まだこの独特の植物型をもたらさなかった(実施例の表2も参照されたい)。 植物の育種において雑種形成により一つの植物から別の植物に所望の特性を移入し、その所望の特性にカップリングした何か他の望まれない特性を移入しないことは困難である。 戻し交配および選択によりこれらの望まれない特性を除去することは、多くの場合に不可能であるか、または特に困難である。 本明細書に記載される発明は、カップリングした不利な特性を全く有さずに、簡単な遺伝的基盤を有する植物において開発された点で独特である。

    本発明によるコンパクト遺伝子は、また、他の植物に導入することができるし、一つの遺伝子または少数の遺伝子により産生される他の有用な特性と組み合わせることができる。 例えば、病害に対する完全抵抗性または部分(中間)抵抗性のいずれかをもち、本発明によるコンパクト特性を有する抵抗性雑種を生み出すために、本発明による植物と、例えばウドンコ病(Sphaerotheca fuliginea (Schlecht. ex Fr.)および/またはErysiphe cichoracearum (DC. ex Merat emend. Salm)、白変病(white disease)とも呼ばれる)の抵抗性を含むキュウリ植物を交雑することにより、コンパクト遺伝子を含む植物と他のキュウリ植物との雑種を作出することが可能である。 例えば、コンパクト遺伝子は、また、公開された欧州特許出願EP1,433,378に記載されたように、冬季栽培の間にネクローシスを起こさない、ウドンコ病に完全抵抗性を有するキュウリ植物に導入することができる。 キュウリ葉脈黄化ウイルス(CVYV)抵抗性(参考品種Tornacに存在する抵抗性など)および/またはキュウリ黄色萎縮ウイルス(CYSDV)に対する抵抗性を有するヘテロ接合性コンパクト雑種植物を得ることもまた可能である。 例えばEP1,317,558またはPCT国際公開公報第2007/05,301号を参照されたい。 さらに、CPVOプロトコールの付録1、44〜51番(参考文献参照)に挙げられたように、公知のキュウリ種を使用することにより、Didymella bryoniae(黒斑病またはMycosphaerella - van Steekelenburg, 1986)に対する耐性もしくは抵抗性または一つもしくは複数の病原体抵抗性を有するヘテロ接合性コンパクト雑種植物を得ることが可能である。

    本明細書を説明するために、そして特許請求の範囲およびその説明の解釈を助けるために、本明細書に以下の定義が含まれるが、これらの定義は、本出願に基づく法的保護の範囲を限定することを意図しない。

    「分子マーカー」は、ゲノムにおける遺伝子、アレルまたはローカスに連結したDNA性マーカーであり、分子的方法を使用して検出され、その際、核酸ハイブリダイゼーション(例えばRFLPマーカー)またはPCR増幅(RAPDマーカー、AFLPマーカー、一塩基多型すなわちSNPマーカー、または配列タグ部位すなわちSNSマーカーなど)またはPCRと制限酵素分析の組み合わせ(CAPSマーカーなど)に基づくマーカーなどのマーカーの存在は、遺伝子、アレルまたはローカスの存在を示す。

    「AFLPマーカー」すなわち増幅フラグメント長多型マーカーは、当技術分野で周知の分子マーカーであり、制限酵素およびプライマー対を利用したAFLP分析を使用して検出することができ、そのプライマー対は、Vosら(1995)により記載されたように、使用されるアダプターに相補的な配列、酵素特異性配列、それに加えて1、2または3個の選択的ヌクレオチドを含む。 実施例も参照されたい。 例えば、マーカーを含むテンプレートDNA(遺伝子に連結したDNA領域)を増幅した場合、増幅は、あるサイズのDNAバンドをポリアクリルアミドゲル上に生じるが、そのマーカー配列が異なっている植物のテンプレートDNAを使用した場合に、そのサイズのバンドは存在しない可能性がある(その場合、本明細書ではマーカーは「不在」であると言う)。 使用する制限酵素およびプライマーと同様に、多型性バンド(マーカー)のサイズもマーカーの名前に表示される。

    「含む」という用語は、述べられた部分、段階または構成要素の存在を特定するが、一つまたは複数の追加的な部分、段階または構成要素の存在を排除しないと解釈すべきである。

    「表現型」は、植物の遺伝子型とその環境の間の相互作用に起因する植物の観察可能な外観である。 それには、観察可能な植物の形態学的および生理学的特性の全てが含まれる。

    「遺伝子型」は、部分的に環境因子の影響下で、特定の方法で表現型の発現をもたらす生物の遺伝情報全体である。

    本明細書に使用されるような「キュウリ植物」は、Cucumis sativus L.種の植物、種子もしくは胚または任意の他の植物部分を意味する。 「キュウリ果実」という用語は、果実を具体的に表すために使用される。 このキュウリ果実は、ガーキン、ロングキュウリ、ショートキュウリ、ミニキュウリ(Beith Alphaキュウリ)またはミディキュウリでありうる。 本発明は、また、本発明による植物から収穫されたキュウリ果実を扱い、同様にその任意の使用および任意の加工を扱う。 キュウリ植物は、栽培された植物または育種系統でありうるが、好ましくは野生植物または野生登録物またはPlant Introduction (PI)/genebank登録物ではない。

    「通常のキュウリ植物型」または「通常の」キュウリ型の「通常のキュウリ植物」は、上記と同義であるが、そのゲノムに本発明によるコンパクト遺伝子を欠如し、コンパクト特性を欠如したキュウリ植物である(さらに下を参照)。 コンパクト遺伝子は、交雑および選択により通常の植物に導入することができる(表現型および/またはマーカーに基づく選択)。 通常のキュウリ植物の例は、栽培品種KorindaまたはSabrina他のロングキュウリ型である。 型植物Korinda (F1雑種)に成長する種子は、ブダペスト条約に基づき2008年9月23日にNCIMB(Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn, Aberdeen, AB21 9YA, Scotland)にアクセッションナンバーNCIMB 41585で出願人Nunhems BVによって寄託された。 Korindaは、キュウリ育種家に周知の公的に入手可能なキュウリ植物型であるが、本出願人は、単に十分な注意のためにKorindaの種子を寄託した。

    「コンパクト遺伝子を欠如した」または「コンパクト遺伝子を有さない」植物は、本明細書において本発明によるコンパクト遺伝子の(突然変異)アレルをゲノムに含まない(例えばNCIMB 41266の種子に由来する植物から入手可能な)植物を表し、そうではなくそのコンパクト遺伝子のアレルの一つまたは二つのコピーがゲノムに存在する場合は、(ホモ接合性またはヘテロ接合性)「コンパクト特性」の植物(下記定義と同様)が生じる。 代わりに、そのような「コンパクト遺伝子を欠如した」植物は、例えば栽培品種Korindaの場合のように「通常の表現型」を生じ、コンパクト遺伝子の(2コピーの)「野生型」アレルを含む。 したがって、「野生型」アレルは、通常のキュウリ植物に見られる遺伝子のアレルであり、ホモ接合形で存在する場合に通常のキュウリ表現型(非コンパクト)を生じるアレルである。

    「栽培品種」(「cv」と略記)および「品種」という用語は、本明細書において同義語として使用される。

    「系統」または「育種系統」は、非常に類似した遺伝子型および表現型を有する植物の群である。 それは、自家受精または植物細胞、細胞培養もしくは組織培養を使用した栄養増殖により、あるいはキュウリ植物からDH系統を生み出すことにより得られた数世代後の植物子孫によって形成することができる。

    「表現型選択」は、形態学的および生理学的特性などの一つまたは複数の表現型特性に基づく植物の選択を表し、例えば一つまたは複数のコンパクト特性を表現型から選択することができる。

    「分子マーカーに基づく選択」は、一つまたは複数の分子マーカーに基づく植物の選択を表す。 例えば、一つの植物から別の植物へのコンパクト遺伝子の移入は、その遺伝子に連結した一つもしくは複数の分子マーカーの助けを借りて行うことができ、かつ/または植物におけるコンパクト遺伝子の存在もしくは不在は、その遺伝子に連結した一つもしくは複数の分子マーカーの助けを借りて判定することができる。

    「雑種形成すること」または「雑種形成(ハイブリダイゼーション)」は、本明細書において植物を交雑すること(一つの植物と別の植物を他家受粉することおよび受粉した植物から子孫を得ること)を意味し;核酸の文脈では、一つの核酸から相補的核酸への分子結合を表す。

    「トランスフォーメーションされた植物」は、キメラ相同または異種遺伝子が当技術分野で公知のトランスフォーメーションにより導入された植物である。 対照的に、非トランスフォーメーション植物は、ゲノムにキメラ遺伝子を含まない。 本発明によるキュウリ植物は、好ましくは、コンパクト遺伝子がトランスフォーメーション法なしに導入された、通例の育種によって入手可能な非トランスフォーメーション植物であり、その際、その植物はベクターまたはキメラ遺伝子の全てまたは一部を含まない。

    「植物品種」は、(植物育種家の権利の承認のための条件が満たされたかどうかとは無関係に)ある遺伝子型または遺伝子型の組み合わせに起因する特性の発現に基づいて定義することができ、それらの特性の少なくとも一つの発現により任意の他の植物と区別することができ、かつ全く変化なしに増殖させることができることから実体と見なすことができる、公知の最下尺の植物分類群が同じである植物群である。 したがって、一群の植物を全て一つのローカスまたは遺伝子(またはこの単一ローカスもしくは遺伝子が原因の一連の表現型特性)の存在により特徴付けた場合にたとえ同じ種類であっても、他の点では他のローカスまたは遺伝子に関して互いに大きく異なるおそれがあるならば、「植物品種」という用語をその一群の植物を意味するために使用することはできない。 コンパクト型の植物、すなわち本発明によるコンパクト遺伝子を含み、NCIMBナンバー41266で寄託された基準種子に由来しうる植物は、寄託された種子とは非常に異なる表現型特性および遺伝型組成を有する多数の異なるキュウリ植物を含むが、共通特性(コンパクト遺伝子)が一つだけで、表現型が異なるそのような植物群は、植物品種の上記定義に入らない。 したがって、コンパクト特性を含むキュウリ植物を作出する技術的実現可能性は、単一のキュウリ品種に限定されず、任意のキュウリ品種に応用することができる。

    コンパクト遺伝子の存在が原因の、本発明による植物の表現型特性は、本明細書において「コンパクト特性」と呼ばれることから、これらの特性を有する植物は、「コンパクト植物」、「コンパクト型」または「コンパクト植物型」と呼ばれる。 これらの植物は、コンパクト遺伝子についてホモ接合性またはヘテロ接合性のことがあり、それぞれ「ホモ接合性コンパクト」植物、コンパクト型またはコンパクト植物型、および「ヘテロ接合性コンパクト」または「中間コンパクト」植物、コンパクト型またはコンパクト植物型と呼ばれる。

    一遺伝子性「劣性」遺伝子は、二つだけの表現型の発現、すなわち優性表現型(その遺伝子に関してホモ接合性またはヘテロ接合性の植物は全て同じ優性表現型を有する)および劣性表現型(劣性アレルに関してホモ接合性の植物は劣性表現型を発現する)を有する。 対照的に、一遺伝子性「中間」遺伝子は、ホモ接合性劣性植物が表現型特性の強い発現を有し、ホモ接合性優性植物は表現型特性を弱発現し、ヘテロ接合性植物は強い値と弱い値の間にある表現型特性を有するという三つの表現型発現を有する。 疑いを避けるために、「間にある」という表現は、(平均)スコアが両極端の中間にあることを意味せず、(平均)スコアが高スコアの下および低スコアの上にあることを意味する。

    コンパクト特性の「中間発現」または「中間表現型/表現型発現」は、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む植物が発現するコンパクト特性を表し、その特性は、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物により示されるコンパクト特性とコンパクト遺伝子を欠如した植物により示されるコンパクト特性の間にある。 例えば、コンパクトヘテロ接合体の節間長は、コンパクト遺伝子を欠如した植物よりも短いが、コンパクトホモ接合体よりも長い。 表1もまた参照されたい。

    「ローカス」は、所与の遺伝子が位置するゲノム上の位置である。

    「F1、F2など」は、二つの親植物または親系統を交雑後に得られた連続する関連世代を表す。 二つの親植物の交雑後に得られた種子から成長した植物は、「F1」植物または雑種と呼ばれる。 これらのF1植物の自家生殖から、F2世代などが生じる。

    「倍加半数体」(またはDH)は、植物の半数体細胞(花粉、小胞子または卵細胞など)のゲノムを倍加するための技術的(in vitro)工程を使用すること、および従来技術(例えば米国特許第5,492,827号またはGemes-Juhaszら、2002年の公表)から公知のように、それらから二倍体植物を再生することにより得られる植物である。

    「雑種」、「F1雑種」または「雑種植物」という用語は、二つの遺伝的に異なる親系統を雑種形成することにより得られた種子およびその種子から成長した植物を意味するために使用される。 F1雑種植物は、続く世代、すなわちF2世代における典型的な特性の分離を特徴とする。 したがって、これらの特性は、雑種において遺伝的に不安定である。 雑種を開発する方法は、従来技術から周知である(例えば米国特許第4,822,949号に記載された方法参照)。 例えば、コンパクト遺伝子を欠如した通常のキュウリ型雌性親系統と、コンパクトをホモ接合形で含む雄性親系統(またはその逆で、コンパクト遺伝子をホモ接合形で含む雌性親系統とコンパクト遺伝子を欠如した雄)を交雑するとコンパクト特性を中間発現したF1雑種が得られるが、このことは、ロングキュウリなどのキュウリの商業栽培に、より詳細にはハイワイヤー栽培の場合に大きな関心が持たれる。

    本明細書に使用されるような「ショートキュウリ品種または系統」または「ショートキュウリ植物または型」は、典型的な「首」なしまたは実際的に首なしの、長さ約15〜20cmで、滑らかまたはやや稜のある果皮を有し、単為結実する緑色の果実を特徴とする(参考文献のCPVOプロトコール付録1番号23の説明を参照されたい)。 葉は、一般に中大型または大型である。 ショートキュウリ型品種の例は、品種AlamirおよびTurbulence、またはCPVOプロトコールによる果実の長さ1〜6のスコアを与えられたキュウリ植物である(このプロトコール付録1番号19参照)。 ショートキュウリ品種の他の例は:Manar、Beit Alpha、Maximum、Saric、Tornac、Kian、Arabella、Melita、Isatis、Vitaraである。

    本明細書に使用されるような「ガーキン品種または系統」または「ガーキン植物」は、ときにやや明るいマーブル模様の先端を有し、約12〜15cmの長さおよびイボのあるトゲの多い果皮を有するが、多くの場合に中肋を有さない中緑色の果実を特徴とする。 葉は、一般にコンパクトまたは中大型である。 ガーキン型の例は、CapraおよびDelphina品種である。

    本明細書に使用されるような「ロングキュウリ品種または系統」または「ロングキュウリ植物」または「ロングキュウリ型」は、幾分首を有し、少し稜のある、色が中緑色の果皮を有し、単位結実の、長さ約30〜37cm(または、より長い、例えば40cmまたは42cm以上)の果実を特徴とする。 葉は、一般に大型または非常に大型である。 ロングキュウリ型の例は、SabrinaおよびKorinda品種、またはCPVOプロトコールにより果実の長さについてスコア7〜9が与えられたキュウリ植物である(このプロトコールの付録1番号19を参照されたい)。 他のロングキュウリ品種は、例えばBodega、Bologna、Kamaro、Flamingo、Discover、Kalunga、Kasja、Logica、Millagon. Nicola、Milika、Manuela、Frida、Activa、Alaya、Savanna、Sienna、Bella、Sheila、Bornandである。

    本発明の一態様では、コンパクト遺伝子は、ロングキュウリ植物、ショートキュウリ植物またはガーキンに、特に無限伸育キュウリ植物に存在する。 「無限伸育」キュウリは、仮軸の芽が花組織に変換されたせいで植物の成長が終止せず、すなわちその植物は生活環全体にわたり長さが成長し続け、また、その間じゅう果実を生産し続ける(すなわち心止まりキュウリ植物とは対照的に一度に結実しない)。 本発明の特定の態様では、コンパクト遺伝子は、ロングキュウリ植物に、特に商業栽培に適した特に温室内のロングキュウリ植物に存在する。 本発明の一形態では、この温室栽培はハイワイヤー栽培である。 本発明の別の形態では、本発明によるコンパクト遺伝子は、H−19またはArkansas Little Leaf型に存在するLittle Leafローカス(ll)を有さないキュウリ植物に存在し、そのようなキュウリ植物は、ロングキュウリの商業的温室栽培、より具体的にはハイワイヤー栽培によるものに特に適する。 本発明のなお別の態様では、本発明によるコンパクト遺伝子は、cpまたはcp−2ローカスを有さないキュウリ植物に存在する。

    「コンパクト遺伝子」は、キュウリゲノムのあるローカスに位置し、例えば通常のロングキュウリ型(通例のロングキュウリ型の植物、例えばKorinda品種など)に比べて本明細書に定義された典型的なコンパクト特性の形成によりコンパクト植物の表現型発現をもたらす遺伝的特徴である。

    本明細書に使用するような「コンパクト特性」という用語は、本発明によるコンパクト遺伝子が(ホモ接合形またはヘテロ接合形で)植物ゲノムに存在することによる表現型特性の総体の特徴を意味する。 本発明の一形態では、これらの特性のいくつかは、コンパクト遺伝子と共に続く世代に遺伝される。 ホモ接合性コンパクト特性は、ヘテロ接合性コンパクト遺伝子よりも小さな花弁および葉ならびに小さな果実を有するなおいっそうコンパクトな植物をもたらす。 さらに具体的には、コンパクト特性は、その遺伝子を欠如した通常のロングキュウリに導入した場合に強度または中度付与される、以下の(統計的に有意な)表現型特性の組み合わせを含む(表1も参照):15節間でのより短い茎長、より短い節間、より小さな葉、より小さな花、およびより短い果実。 本発明の一形態では、コンパクト特性は、以下の特性の組み合わせを扱う:15節間でのより短い茎長、より遅い成長速度、より短い節間、より小さな葉、より水平(直立)、より平坦(凹凸または結節が少ない)、より濃い緑色、およびより脆い(すぐに破れるおそれ)、より小さな花、より小さく軽い果実、および特にコンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(NCIMBナンバー41266で寄託された種子から成長したホモ接合性植物、またはコンパクト遺伝子についてホモ接合性の倍加半数体植物、およびコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物から得られたものなど)で明らかな特性。 それらの植物は、全て通常キュウリ型の植物などの野生型植物(すなわちコンパクト遺伝子を有さない)よりも15節間で有意に短い茎長、短い側枝、短い節間、小さな葉、小さな花および短い果実を有し、ここで、例えばコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物の自家生殖後の1:2:1分離集団における約25%の植物がコンパクト成長を有さず、またコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物からの倍加半数体生産後に得られた約50%の植物がコンパクト成長を有さない。 「約25%の植物」および「約50%の植物」はある特性のメンデル分離を表すと、遺伝学および遺伝の知識を有する専門家は十分に理解している。 ある特性について1:2:1の比で分離する100本の植物の集団において、すなわち通常:中間コンパクト:コンパクト表現型を有する約25%:約50%:約25%の植物において、遺伝的要因および非遺伝的要因がメンデル分離に影響を与えるおそれがあることから、正確に25、50および25個の植物が記載された表現型を有する必要はなく、統計的に約25%、50%および25%が指摘された表現型であると理解されている。

    したがって、上記コンパクト遺伝子特性は、コンパクト遺伝子と共に遺伝され、よってコンパクト遺伝子が導入される植物に導入されるいくつかの表現型特性である。 特性の強度は、コンパクト遺伝子がホモ接合形またはヘテロ接合形のどちらで存在するかに依存する。 したがって、コンパクト特性は、通常のキュウリ(コンパクト遺伝子を欠如する)と、ホモ接合形もしくはヘテロ接合形でコンパクト遺伝子を含むキュウリの間で比較されるか、またはコンパクト遺伝子をホモ接合形で含む植物と、コンパクト遺伝子をヘテロ接合形で含む植物の間で比較されるかのいずれかである。 任意の植物間変異を説明するために、そのような特性の比較は、常に、同じ条件で成長したいくつかの植物(例えば、少なくとも10、15、20本以上の植物)の平均値の比較を伴うと理解されている。

    本発明によるコンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物は、野生型の植物(コンパクト遺伝子を有さない植物、例えばKorinda品種)と、特に15節間の茎長(ホモ接合形の野生型よりも有意に短い)、葉の長さおよび幅(ホモ接合状態の野生型よりも有意に小さい)、葉身の面積(ホモ接合状態の野生型よりも有意に小さい)、花弁の長さおよび幅(ホモ接合状態の野生型よりも有意に小さい)、果実の重量(ホモ接合状態の野生型よりも有意に小さい)、果実の長さ(ホモ接合状態の野生型よりも有意に短い)および側枝の節間の数(ホモ接合状態の野生型よりも有意に少ない)に関して有意に異なる顕著なコンパクト特性により最も容易に同定される。 添付の図2A、2Bおよび2Cは、通常のロングキュウリ(Korinda品種を例とする)と、本発明によるヘテロ接合性およびホモ接合性コンパクト植物との間に、果実の長さ、葉の大きさおよび花の大きさに関して明らかに認識可能な表現型の差を示す。

    本発明の一形態では、同じ成長条件(すなわちオランダ夏季温室条件で、好ましくは夏季に播種し、可能性があることには一年中)においてコンパクト遺伝子を有さない植物(本明細書において対照植物と呼ぶ。その遺伝子を欠如した同型のキュウリ品種または系統など)と比べたとき、本発明によるコンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物は、各型の少なくとも20本の植物、すなわち一方ではホモ接合性コンパクト植物、他方では対照植物に行った測定の平均値に基づくと、以下:
    − コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物を播種39または35日後の本葉10枚目の最大幅は、播種39または35日後の対照植物の葉10枚目の幅の最大70%、好ましくは最大60%であり、
    − コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物を播種39または35日後の葉10枚目の葉身面積(0.5×葉の最大幅×葉裂片の最低点から葉の先端までの葉の最大長さ)は、播種39または35日後の対照植物の葉身面積の最大50%、好ましくは最大40%であり、
    − コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物を播種39または45日後の花弁の最大幅は、播種39または45日後の対照植物の花弁の最大幅の最大75%、好ましくは最大70%であり、
    − コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物を播種56日後の側枝長は、対照植物を播種56日後の側枝長の最大60%、好ましくは最大50%であり(この長さは側枝が主茎に接する点から側枝の末端までを測定)、そして− コンパクト遺伝子をホモ接合状態で有する植物を播種56日後の側枝の節間数は、対照植物を播種56日後の側枝の節間数の最大70%、好ましくは最大60%であるの典型的なコンパクト特性の組み合わせを特徴とする。

    上記比較試験で使用される対照植物は、例えばコンパクト遺伝子を有さない派生した植物のことがあり、例えばコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物の自殖後の分離集団から選択されるか、またはコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物から生じる倍加半数体(DH)集団の約50%からの植物(コンパクト遺伝子を有さない)、もしくはそうでなければコンパクト遺伝子を有さない同型のキュウリ植物を代表するキュウリ植物、例えばKorindaまたはSabrina品種のキュウリ型植物などのロングキュウリ植物でありうる。

    したがって、コンパクト遺伝子を有する植物は、常にコンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物における上記明白な表現型特性の独特の組み合わせに基づき同定することができる。 コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物を作製することは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物からコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物を得るための標準的な実施とちょうど同様に、従来技術において標準的な手順である。 これらのヘテロ接合性コンパクト植物もまた、本発明の対象である。

    葉の大きさなどの植物の表現型特性は、栽培方法および環境因子(例えば温度、光、湿度および養分の量)により幾分差を示すことがあるため、全てが同条件で成長した野生型(コンパクト遺伝子を欠如)と本発明によるヘテロ接合性および/またはホモ接合性植物を比較するために、同じ成長条件が採用されることは明らかであり、例えばキュウリ栽培の標準/伝統法またはハイワイヤー法を使用してもよい。

    コンパクト特性は、コンパクト遺伝子を含むことが疑われる植物から開始して自殖後または倍加半数体の形成後に得られた派生植物の特性を比較することにより、およびそのコンパクト特性が一遺伝子中間遺伝にしたがってヘテロ接合性、ホモ接合性および野生型植物(コンパクト遺伝子を欠如)から予想されるパターンにしたがって一緒に伝えられることを確立することにより、例えばコンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の雑種植物から同定することができる。 ホモ接合性植物の相互雑種形成(または自殖)では特性の分離はないが、この場合もなお、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物と、従来技術で公知のロングキュウリ植物、例えばKorinda品種の植物などの野生型(ホモ接合性)植物を交雑することにより得られた植物の自殖後に、コンパクト特性の遺伝を実証することができる。

    本明細書に使用するようなコンパクト遺伝子ローカスは、雑種形成により、さらに詳細には、NCIMBナンバー41266で寄託された種子から成長した植物と、ショートキュウリまたはガーキン植物、例えばManar F1型のショートキュウリ植物との雑種形成において、ショートキュウリまたはガーキン植物に導入後に以下のAFLPマーカーの少なくとも一つ、すなわちE14/M61_M873.6、E19/M50_M280.2、E24/M49_M211.5、E17/M54_M179.0、E16/M47_M426.1、E16/M47_M411.0および/またはE16/M47_M402.9、ならびに特にAFLPマーカーE14/M61_M873.6(およそ0.05cMの距離)および/またはE19/M50_M280.2(およそ0.67cMの距離)、またはこれらのAFLPマーカーの一つに由来するマーカー(STSまたはSNPマーカーまたはCAPSマーカー)により隣接されるローカスである。

    本発明によるコンパクト遺伝子がヘテロ接合性植物に存在することを示すものは、ヘテロ接合性キュウリ植物の自殖後に約25%のホモ接合性コンパクト型、約50%のヘテロ接合性コンパクト型および約25%の野生型(コンパクト特性またはコンパクト遺伝子を有さない)のコンパクト特性の1:2:1比の分離、または倍加半数体における約50%のDHがコンパクト遺伝子についてホモ接合性であり、残りの約50%が野生型についてホモ接合性(すなわちコンパクト遺伝子を有さない)の1:1比の分離である。 これらのコンパクト特性が、ショートキュウリまたはガーキン植物と形成した雑種においてコンパクト遺伝子に隣接する特定のAFLPマーカーと同時分離するならば、これは、下記のようにショートキュウリまたはガーキン植物と形成した雑種のAFLPマーカー分析により確立することができる。 分離するキュウリ植物のこの表現型比較において、もちろん同じ成長条件が使用され、同じ比較測定および観察が同じ時点で行われる。 余分の対照植物が含まれる場合、それらは、SabrinaまたはKorinda品種、特にKorinda品種の植物などの通常のロングキュウリ型の植物から選択することができる。 コンパクト遺伝子を欠如した植物の自殖は、全ての子孫が複数のコンパクト特性を欠如することになるであろう。

    本発明のAFLPマーカーは、問題の植物が本発明によるコンパクト遺伝子を有することを確立するために使用することができる。 これは、分析される植物と、ショートキュウリまたはガーキン植物との雑種形成ならびに得られたF1および/またはF2世代におけるマーカーおよび/または表現型分析の後に、(本発明によるAFLPマーカーにより決定されるように)コンパクト特性がキュウリゲノム上のあるローカスと同時分離することに基づき行うことができる。 図2に示され、表1および2に表示された表現型のコンパクト特性が明らかに観察可能なことから、マーカー分析は必須の工程ではない。

    マーカー分析のために、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性であると疑われる、雑種の可能性があるキュウリ植物をガーキンまたはショートキュウリ植物と交雑する。 AFLPマーカーをその背景で採用できるという条件で、このためにショートキュウリおよびガーキンの品種または系統の大部分を使用することができる。 表現型を容易に決定するために、本発明によるコンパクト植物と可能な限り異なる表現型を有するホモ接合性系統からのショートキュウリまたはガーキン植物(例えば薄い色の葉を有する大型葉のショートキュウリ型)を使用することが最良であり、その植物と本発明によるコンパクト植物を交雑する。 特に適切なのは、少なくともAFLPマーカーE16/M47_M426.1により同定されたショートキュウリ型、例えば周知のショートキュウリ品種Manar F1の植物または、Manar F1品種に類似した表現型を有するホモ接合性植物である。

    雑種の可能性があるキュウリ植物(コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性)とガーキンまたはショートキュウリ植物との間のこの雑種形成において、約50%の植物がコンパクト特性(および隣接AFLPマーカー)を有し、残りが有さない1:1の比でコンパクト特性は存在する。 原(雑種)植物がコンパクト遺伝子について実際にヘテロ接合性であったならば、ガーキンまたはショートキュウリ植物との雑種形成から得られたコンパクト特性を有する植物の自殖後に、コンパクト遺伝子またはコンパクト特性についてホモ接合性の(および隣接AFLPマーカーを含む)植物、コンパクト遺伝子またはコンパクト特性についてヘテロ接合性の(および隣接AFLPマーカーを含む)植物、および野生型で、コンパクト遺伝子またはコンパクト特性を欠如した(および隣接AFLPマーカーを欠如した)植物の間で1:2:1の比で分離を示すF2植物が得られる。

    次に、少なくとも一つのAFLPマーカーE14/M61_M873.6、E19/M50_M280.2、E24/M49_M211.5、E17/M54_M179.0、E16/M47_M426.1、E16/M47_M411.0および/またはE16/M47_M402.9、特にマーカーE14/M61_M873.6および/またはE19/M50_M280.2を用いたマーカー分析は、これらの植物の遺伝子型決定のために実施することができる。 表現型分析(コンパクト特性の表現型の分離)と遺伝子分析(ショートキュウリまたはガーキンの雑種形成における少なくとも一つのマーカーの分離)を比較する場合、目的は、本発明によるコンパクト遺伝子がこれらの植物に存在するならば生じる本発明のコンパクト特性とAFLPマーカーとの同時分離を確立することである。

    本発明の一形態では、本発明によるコンパクト植物のいくつかの表現型特性(コンパクト特性)は、本発明によるコンパクト植物の子孫により一緒に遺伝される。 本発明の一つまたは複数のAFLPマーカー(図1に示されるAFLPマーカーの一つなど)とコンパクト表現型との同時分離は、本発明による植物でのコンパクト遺伝子の存在を示す。

    より多くの植物育種作業の結果として、コンパクト遺伝子は、雑種形成によりさらに他の遺伝的背景に導入される。 コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物および雑種では、コンパクト特性を表現型から検出することがあまり容易ではない可能性がある。 しかし、コンパクト遺伝子は、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物の自己受精後に、または倍加半数体の形成後に、コンパクト特性の上記分離の基づいて常に同定することができる。 この表現型分析を上記マーカー分析で確認することができる。 キュウリの栽培に関係する通常の熟練者は、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物でのいくつかのコンパクト特性の組み合わせを分離集団から確証することができる。 コンパクト遺伝子を含む植物は、常にこのように認識することができる。

    本発明の特定の態様では、コンパクト遺伝子はホモ接合状態で存在する。 そのような植物は、コンパクト遺伝子をヘテロ接合状態で含み中間表現型を有する雑種キュウリ植物の生産のための親系統として非常に有用である。

    本発明の別の特定の態様では、ホモ接合性コンパクトの植物とコンパクト遺伝子を有さない植物(例えば通常のロングキュウリ型の植物)を雑種形成するならば、コンパクト遺伝子はヘテロ接合状態で存在する。 ホモ接合性コンパクト型と他の植物との雑種形成は、実施例に表示した態様と異なる、本発明の他の特定の態様に相当する。

    本発明は、また、周知の一般法(例えば反復選択、胚レスキューなど)を使用した雑種形成によりこのコンパクト遺伝子を他の植物に導入することによる、他のキュウリ品種および系統またはCucumis属の他の植物におけるコンパクト遺伝子の使用を扱い、その際、レシピエント植物は、例えばCucumis sativus種の他の植物、特にロングキュウリ型の植物である。

    本発明は、また、上記のようにショートキュウリまたはガーキンに雑種形成に基づいて導入後に、少なくとも一つのAFLP マーカーE14/M61 M873.6、E19/M50_M280.2、E24/M49_M211.5、E17/M54_M179.0、E16/M47_M426.1、E16/M47_M411.0および/またはE16/M47_M402.9の助けを借りた、特にマーカーE14/M61_M873.6および/もしくはE19/M50_M280.2、またはこれらに由来するマーカー(これらのAFLPマーカーの少なくとも一つから誘導されたSTS、SNPまたは他のマーカー)を用いた、様々な雑種形成産物および植物育種工程の段階におけるこのコンパクト特性の検出およびモニタリングを含む。 本発明は、また、そのようなマーカーを含むキットを含む。 AFLP技法およびAFLPマーカーは、EP0,534,858B1に詳細に記載されており、その文書の内容およびその文書の4〜6頁の5.1節でなされた定義もまた、本発明のために使用することができる。 簡潔には、AFLPマーカーの使用は、以下の段階を含む:a)分析されるキュウリ植物のゲノムDNAを提供すること、b)各植物のゲノムDNAを、二つの制限酵素、例えば本明細書ではEcoRIおよびMseIなどで制限分解すること、c)制限フラグメントの両端にアダプター、すなわちEcoRIおよびMseIアダプターを連結すること(そのアダプターは使用した制限酵素に特異的である)、d)マーカーについて記載されたプライマーの組み合わせ(例えば、コンパクト遺伝子が植物のDNAに存在するならば、約873塩基のバンドを増幅するためのプライマー対E14およびM61または約280塩基のバンドを増幅するためのプライマー対E19およびM50)を使用して、PCRにより制限フラグメントのサブセットを増幅すること。 AFLPプライマーは、アダプター配列(コア配列)に相補的な一部および制限酵素認識配列の一部を含み、さらに加えて1、2または3個の選択的ヌクレオチドを有する。 例えばE14およびE15は、二つの選択的ヌクレオチドを有し、一方でM61およびM50は3個の選択的ヌクレオチドを有する。 AFLPプライマーおよびアダプターの配列は、当技術分野で公知である。

    添付の特許請求の範囲に特定された保護の範囲を限定することを意図せずに、本発明の態様の一つを例示するために以下の実施例を示す。

    本明細書において「4001−ローカス」(実施例2参照)と呼ぶコンパクトローカスの遺伝子地図を示す図である。 4001ローカスの遺伝子地図を、その上のEcoRI/MseI AFLPマーカーと共に示すが、そのマーカーは、植物とショートキュウリまたはガーキン植物との雑種形成においてコンパクト遺伝子の存在を検出するために使用することができる。 遺伝的距離は、植物4001(コンパクト遺伝子についてホモ接合性)とManar F1(ショートキュウリ)との雑種形成に起因する4180個体から成るF2集団に基づく。

    同条件の栽培で得られた植物の果実、花および葉(常に播種の35〜40日後に摘除)の比較を示す図であり、葉はそれぞれの場合で15枚目の葉である。 図2aは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(左)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびコンパクト遺伝子を欠如したKorinda型対照植物(右)から収穫した典型的な果実の比較を示す。 図2bは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(右)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびKorinda型の対照植物(左)から摘除した典型的な葉および花の比較を示す。 図2cは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(右)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびKorinda品種の対照植物(左)から摘除した典型的な花の花弁の詳細な比較を示す。

    同条件の栽培で得られた植物の果実、花および葉(常に播種の35〜40日後に摘除)の比較を示す図であり、葉はそれぞれの場合で15枚目の葉である。 図2aは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(左)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびコンパクト遺伝子を欠如したKorinda型対照植物(右)から収穫した典型的な果実の比較を示す。 図2bは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(右)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびKorinda型の対照植物(左)から摘除した典型的な葉および花の比較を示す。 図2cは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(右)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびKorinda品種の対照植物(左)から摘除した典型的な花の花弁の詳細な比較を示す。

    同条件の栽培で得られた植物の果実、花および葉(常に播種の35〜40日後に摘除)の比較を示す図であり、葉はそれぞれの場合で15枚目の葉である。 図2aは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(左)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびコンパクト遺伝子を欠如したKorinda型対照植物(右)から収穫した典型的な果実の比較を示す。 図2bは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(右)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびKorinda型の対照植物(左)から摘除した典型的な葉および花の比較を示す。 図2cは、コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(右)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(中央)およびKorinda品種の対照植物(左)から摘除した典型的な花の花弁の詳細な比較を示す。

    コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(試料1および4)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(試料2、5および6)および通常のキュウリ植物(試料3および7)の葉試料中のクロロフィル吸収(図3a)およびクロロフィル濃度(μg/g)を示す図である。

    コンパクト遺伝子についてホモ接合性の植物(試料1および4)、コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物(試料2、5および6)および通常のキュウリ植物(試料3および7)の葉試料中のクロロフィル吸収(図3a)およびクロロフィル濃度(μg/g)を示す図である。

    実施例
    実施例1 − コンパクト植物の表現型分析
    オランダでオランダロングキュウリを栽培したとき、F1雑種集団から異常表現型を有するよりコンパクトな植物が予想外に見い出された。 この植物を「4001型」と呼び、その原因となるローカスを「4001ローカス」と呼んだ。 主に節間が短いことが原因で、そのコンパクトな植物の成長は、例えばKorinda品種のような他のロングキュウリ植物に比べて中程度で、その主茎はゆっくりと成長することが確証された。 よりコンパクトなこの植物の葉は、通常のロングキュウリ品種よりも顕著に小さく色が濃かった。 よりコンパクトな植物の普通葉は、より水平で、葉はあまり凹凸がなく、すなわちより平坦であった。 よりコンパクトな植物は、通常のロングキュウリ品種よりも顕著に開放された植物構造を有した。 その果実は、ロングキュウリ型植物よりも短く、重量が軽かった。

    4001ローカス(コンパクトローカスとも呼ばれる)についてヘテロ接合性の植物の自家生殖により得られたこれらの植物集団の分析から、コンパクト特性が一遺伝子性中間遺伝から予想されるように分離したことが示された。 ヘテロ接合性中間型に加えて、非常にコンパクトの成長、小さな葉、短い果実および短い節間などの典型的な上記コンパクト特性についてホモ接合性の植物もまた存在した。

    植物の分離パターンは、以下:
    それらの約25%はホモ接合性コンパクト植物であり、
    それらの約50%はヘテロ接合性中間コンパクト植物であり、
    それらの約25%は通常のロングキュウリ植物であったのように見い出された。

    このメンデル分離比1:2:1は、ヘテロ接合性遺伝子型の中間表現型発現を有する、単一ローカス上の一遺伝子の分離を指す。 4001型のホモ接合性植物(Cucumis sativus ssp. sativus)の種子は、ブダペスト条約に基づき2005年3月29日にNunza BV社(その後社名はNunhems BVに変更)によってNCIMB(住所:Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn, Aberdeen, AB21 9YA, Scotland)にNCIMBナンバー41266で寄託された。 適用可能と認められるときは、特許の付与の記載まで、または出願が拒絶された、取り下げられたまたは取り下げられたと見なされるならば、出願日から20年間は、本出願人は、この生物学的材料およびそれから誘導された任意の材料の試料が、EPC規則32(1)または類似の規制を有する国/地域または条約の関連立法により指名された専門家にのみ譲渡されることを要求する。

    コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性のキュウリ植物の半数体細胞、例えば花粉、小胞子細胞または卵細胞では、コンパクト遺伝子は存在するか、不在であるかのいずれかのはずである。 コンパクト遺伝子についてヘテロ接合性の植物から得られた倍加半数体(本明細書においてDHと略す)の分析は、実際に以下:
    DHの約50%はコンパクト遺伝子がホモ接合状態で存在するせいでホモ接合性コンパクト植物型を示し、
    DHの約50%はコンパクト特性についての遺伝子が不在のせいで通常の植物型を示した。 これらの植物は、通常のロング型キュウリについてホモ接合性であるの結果を与えた。

    倍加半数体の分離比では二つの異なるホモ接合性遺伝子型が1:1の比で生じる。 これに関与し、最も確からしくは一遺伝子性特性であるのは確かに単一ローカスであること示している。

    他のキュウリ栽培品種の農業的価値を上げるために、ホモ接合性コンパクト植物と様々なロング型キュウリ植物との雑種を生産した。 使用したロング型は、春、夏および秋季条件に適するロング型で、様々な耐病性(ウドンコ病(Sphaerotheca fuligineaおよび/またはErisyphe cichoracearum)に中抵抗性または抵抗性;CVYV、CMVおよび/またはCYSDVに抵抗性)を有するロング型であった。 これらの雑種およびそれらのさらなる選択から、例えばより良い耐病性を有する植物が導かれ、ホモ接合性コンパクト植物よりも長い果実が得られたが、その植物はコンパクト遺伝子をまだ有し、より開放された植物形態を有した。 したがって、生み出された雑種は、中間コンパクト表現型を有し、従来の温室栽培またはハイワイヤー栽培に適した。 したがって、異なる遺伝的背景のそのように得られた植物の全てが有用な特性を有し、好都合なコンパクト特性を示した。

    ホモ接合状態の上記特定の産物およびヘテロ接合状態の特定の産物と通常のロングキュウリ型(一例としてKorinda品種を使用)をいくつかの関連特性について比較した。 その結果を表1に示す。

    表1は、通常のロングキュウリ型(通常型のKorinda品種)、ホモ接合性「コンパクト型」およびヘテロ接合性中間型の間の比較を、これらの植物型に明らかに特有の特徴について示す。 問題の結果を与えたこれらの比較試験の種子は、2005年7月4日に播種した。 2005年7月8日にオランダNunhemのNunhems Companyに属する育苗用温室の中で実生をロックウールポットに移植した、そこではキュウリ生産者によって用いられている通常の実際的な条件が普及していた。 2005年7月26日に、ロックウールマットおよびキュウリの標準養分を備える生産型キュウリ温室に若いキュウリ植物を移植した。 植物密度は1m 2あたり約1.2本であった。 通常の方法で植物をワイヤーまで成長させた。 植物がワイヤーに接触したら、そこで「摘芯」し、その後上から3個の側枝を残し、成長させた。 その下の主茎の最初の6個の葉腋(果実なし)をかき取り、その後2個の果実を保ち(7/8番目の葉腋)、次に根元の果実が容易に発達できるように数個の葉腋を再びかき取った。 下に提示した観察は、各型の植物の少なくとも20本で行い、結果として得られた測定平均値を表1に挙げる。

    表1に挙げた測定を行った日付もまた表に示す。 これらの絶対値は測定または観察の時間および場所により異なることから、ヘテロ接合型およびコンパクト型について得られた測定値および計算値について、通常型に対するパーセンテージもまた示す。

    表1に使用した用語の説明CBPコード:CPVOプロトコールによる付番(参考文献参照)
    観察の種類:(観察の型)
    M = センチメートル(cm)、グラム(g)または数単位の測定C = 計算、V = 目視観察Nに対する割合(%):通常または野生型について得られた値に対するパーセンテージとして表した、ヘテロ接合性またはホモ接合性コンパクト型について観察された値LSD:それぞれ0.5%および0.1%の確率または信頼性レベル95%または99%でのScheffeの対応のある検定(1953, 1959)による最小有意差有意差:NS=有意でない* = 5%レベルで有意** = 1%レベルで高度に有意N/H = 通常型とヘテロ接合型の間N/C = 通常型とホモ接合性コンパクト型の間H/C = ヘテロ接合型とホモ接合性コンパクト型の間

    表1に挙げた特性の説明植物成長速度:基質から測定した播種44日後の茎長15節間の茎長:基質から15節間にわたり測定した茎長側枝の長さ:播種56日後の主茎の接点と側枝先端の間の長さ側枝の節間数:播種56または66日後の側枝の節間の総数

    葉葉1:10枚目の葉(高さ約1〜1.5m)
    葉2:11枚目の葉(高さ約1〜1.5m)
    長さ:裂片最低点から葉の先端までの葉の最大長(CPVOプロトコールに用いた葉の長さとは異なる)
    幅:葉の最大幅(参考文献のCPVOプロトコール、具体的には付録1「説明および方法」の番号11の本文参照)
    長さ/幅の比:葉の長さをその幅で割った値葉身の面積:0.5×葉の幅×葉の長さ(cm2)
    方向:1は垂直に垂れ下がる、9は水平緑色の濃淡:1は淡緑色、9は濃緑色凹凸の強弱:1は極強、9は平坦な葉脆さ:手を使った葉の破り易さの尺度;1は柔軟、9は脆い

    花花弁の長さ:接点から先端までの花弁の最大長花弁の幅:花弁の最大幅花弁の長さ/幅比:花弁の長さをその幅で割った値

    果実重量:植物1本あたり2個の果実の平均重量を2で割った値長さ:果実における果柄の着生部から果実における花の着生部まで測定した長さ

    コンパクト特性は見た目に非常に明らかであるので、表2は、通常の(ロング)キュウリ型(例としてKorinda使用)、ショートキュウリ型、ガーキンおよび(ホモ接合性)コンパクト型の視覚的特性の比較により得られたデータを示す。 表2は、これらのキュウリ型全ての差および類似性の調査を表す。 最終欄はホモ接合性コンパクト型とガーキン(C/G)との間およびコンパクト型とショートキュウリ(C/Sh)との間の重複を示す。 これらの特性の多くの場合に重複がないことから、コンパクト型の特性が独特な組み合わせであることが本明細書において明らかに説明される。 このために使用した視覚的スケールでは、1は最低または最短の形態の発現であり、9は最高または最長の形態の発現であり、略号は表1と同じである。

    これらの植物に行った最初の測定において、本発明者らは、また、通常のロングキュウリ(例としてKorinda使用)に比べてホモ接合性コンパクト植物の葉のクロロフィル含量に有意差を見い出したが、このことは、コンパクト遺伝子を有する植物の葉の方が濃い緑色であることを説明している。

    クロロフィル含量を測定するために、標準的なオランダ夏季温室条件で成長した、播種65日後のホモ接合性コンパクト植物(試料1および4)、ヘテロ接合性コンパクト植物(試料2、5および6)および通常のロングキュウリ植物(試料3および7)からの葉の1試料あたり葉のディスク3枚(ディスクの大きさ6番)をランダムに採取した。 ディスクを5mlエタノール中に入れ、1倍希釈した。 665nmでの吸光度を測定した。 その結果を図3aに示す。 次の変換式を用いて、吸光度を葉組織1gあたりのクロロフィル濃度に変換した:
    クロロフィル濃度(μg/ml)=25.13×A665×希釈倍率クロロフィル濃度(μg/g)=25.13×補正したA665×抽出容量×希釈倍率/質量

    試料のクロロフィル濃度を図3bに示す。

    したがって、コンパクト遺伝子を含む植物の葉の濃い緑色は、実際に、コンパクト遺伝子を欠如した植物(3000μg/g葉未満)よりもホモ接合性コンパクトおよびヘテロ接合性コンパクト植物(3000または3500μg/g葉を超える)で有意に高いクロロフィル含量と相関する。 したがって、葉のクロロフィル含量は、本発明により植物を同定するための、およびそのような植物と、コンパクト遺伝子を欠如した通常の植物を識別するためのコンパクト特性として使用することができる。

    実施例2 − DNAマーカーに基づく特徴づけ
    キュウリゲノムにおけるコンパクト遺伝子の位置もまた、分子マーカーの助けを借りて実証することができる。

    AFLP分析によりコンパクト遺伝子を位置決定した(P. Vos et al., 1995参照)。

    よく使われている制限酵素の組み合わせEcoRI/MseIをAFLP分析に採用した。 EcoRIの文字EおよびMseIの文字Mは、文献における一般的な慣例と同様にマーカー名に付けられている。 類似の標準的な慣例と同様に、文字EまたはMの後の略号は、EcoRIおよびMseIプライマーの3'末端部位上の選択的ヌクレオチドに対応する(ウェブサイトwww.keygene.com/keygene/pdf/KF%20Primer%20enzyme%20combinations.pdfおよびhttp://wheat.pw.usda.gov/ggpages/keygeneAFLPs.htmlのAFLPコードが記載され入手可能な一覧を参照されたい)。

    例えば制限酵素EcoRI(E)について、3'末端(−3)の選択的ヌクレオチドおよび対応するプライマーのコードは以下の通りである:

    文字Eが、M(MseI)などの異なる制限酵素を表す文字に交換されていることを除き、他の酵素についても同じコード付けを使用する。

    名称は、このコードの次にマーカーのサイズを含む。 例えば、E14/M61−M873.6は、AFLPにおいてプライマーE14およびM61を用いて約863.6塩基対のバンドを形成するAFLPマーカーである。 従来技術からマーカーのサイズは、使用する検出法(放射性法対蛍光法)によりやや変動しうることが分かっていることに留意されたい。 上述の事柄に基づいて、AFLPを熟知する者は、これらのマーカーを再現することができる。

    本明細書に使用するAFLPマーカーについて、プライマー配列は、以下のような適切な配列リストに示すが、ここで3'選択ヌクレオチドを縦線の後に示す:

    4001ローカスにカップリングしたマーカーを同定するために大量分離分析(BSA)のプール戦略を使用して、ロングキュウリについてスクリーニングを実施した。 本発明者らは、倍加半数体集団および4001植物の近交系集団に対して256組の異なるAFLPプライマーの組み合わせを試験した。 しかし、ロングキュウリにおいて密接にカップリングしたマーカーは同定されなかった。

    これに続いて、異なるバックグランドで4001型についてのマーカーを同定した。 コンパクト遺伝子は、単一ローカスに位置した。 本発明者らは、本明細書において一遺伝子特性を扱うか、またはこれはありそうにないが、いくつかの密接にカップリングした遺伝子を扱う。 コンパクト遺伝子(マーカーはローカスから短距離にある)の微細位置決定のために、4001ローカスについてホモ接合性のキュウリ植物(ホモ接合性コンパクト)をショートキュウリ植物と交雑した。 ガーキン、ショートキュウリおよびロングキュウリの間の遺伝的距離は比較的大きいことから、ロングキュウリとガーキンまたはショートキュウリとの間に形成した雑種の子孫には、コンパクト遺伝子周囲の領域により多くのマーカーが存在する。 本発明者らは、本明細書においてショートキュウリのバックグランドに雑種形成により導入した後の126個のF2個体(4001とショートキュウリ型Manar F1との雑種形成によるF1植物を自殖)を試験した。 128組の異なるAFLPプライマーの組み合わせをBSAスクリーニングに使用した。 同じ集団のさらに多くの個体、すなわち632個のF2個体(4001とManar F1との雑種形成によるF1個体を同系交配)に関してそれらを試験することにより、このプロジェクトで同定されたマーカーをさらに研究した。

    4001ローカスにカップリングした最初のマーカーを同定する目的で行ったこの作業の後に、本発明者らは、二つのマーカーを用いて4180個体から成る大集団をスクリーニングした(ハイスループットのTaqMan(登録商標)SNP遺伝子型決定アッセイ)が、そのマーカーは4001遺伝子が中に入る約12cM領域をカバーした。 これらのマーカーは、ロングキュウリとショートキュウリの間で多型であり、ロングキュウリとショートキュウリとの雑種形成の場合に、4001遺伝子(コンパクト遺伝子)の領域をたどるために、そして遺伝子の微細位置決定用のリコンビナントを同定するために使用することができる。 本発明者らは、二つの隣接共優性マーカー、すなわち両方のアレル(野生型および4001)を認識し、したがって4001遺伝子をヘテロ接合状態で有する植物と、同遺伝子をホモ接合状態で有する植物とを識別することができるマーカーを使用し、その試験を次のように行った:

    MAS4:一つの隣接マーカー(AFLPマーカーE23M49_M373.0に由来)を用いて試験:

    これらの二つのプライマーをPCRに使用し、その際、以下のラベルされた試料を添加した:


    (このプローブは、コンパクト遺伝子を有さない通常型およびヘテロ接合性コンパクト植物型(配列番号13)を認識する)、および



    (このプローブは、ヘテロ接合性およびホモ接合性コンパクト植物型(配列番号14)を認識する)。

    MAS37:別の隣接マーカー(AFLPマーカーE23M80_M433.3に由来)を用いて試験:

    これら二つのプライマーをPCRに使用し、以下のラベルされたプローブを添加した:


    (このプローブは、通常型(コンパクト遺伝子を有さない)およびヘテロ接合性コンパクト植物型を認識する、配列番号17)および


    (このプローブは、ヘテロ接合性コンパクト植物型およびホモ接合性コンパクト植物型を認識する、配列番号18)。

    検出は、この種のアッセイについての従来技術から周知のように、プローブからのシグナルに基づいた。

    これらの試験は、被験DNAが、コンパクト遺伝子に隣接する二つのマーカーのいずれかについて、ホモ接合性野生型、ヘテロ接合性コンパクト型およびホモ接合性コンパクト型のDNAを有したかどうかを示す。 これらのアッセイは、リコンビナントの検出のためのApplied Biosystemsの標準プロトコールに準じて実施した(Taqman(登録商標)SNP遺伝子型決定MGBアッセイ、例えばwww.appliedbiosystems.com参照)。

    491個の同定されたリコンビナントをさらに研究し、137個体が4001ローカス近くに組換えを示すことが見い出された。 これに続いて、関連ドメイン中でシス(4001型)およびトランス(通常型)にカップリングしたマーカーを同定するために、それぞれ2.0および2.4cMの非常に小さなスクリーニングウインドウを有する4個のプールに関して大量分離分析(BSA)を行った。 4個のプールに関して合計で512組のEcoRI/MseI AFLPプライマーの組み合わせで実施した。

    BSA法により同定した候補マーカーは、これらのマーカーについて137個の近縁リコンビナントの遺伝子型を決定することにより位置決定した。

    F3系統のスコアが得られたF3個体に関して遺伝子型および表現型両方のスコアの全てを立証することで、明白なF2のスコアが得られた。 表現型の立証を、137個の近縁リコンビナントの選択に関して実施した。 選択されたものは、126個のF3植物系統から成った。 各F3植物系統について15個体で表現型決定を行った。 4001ローカスの正確な位置決定後に、64個のF3植物系統に関してマーカーのスコアを検証した。 このために、1系統あたり15個体を播種した。 この中からDNAを単離し、二つのハイスループットマーカーについてF3植物1系統あたり15個体の遺伝子型を決定した。 結果として得られた遺伝子型の分析後に、F3植物1系統あたり4個体を選択したが、それは、各遺伝クラス、すなわちホモ接合性4001、ヘテロ接合性4001、およびホモ接合性通常型を代表したものであった。 密接にカップリングしたEcoRI/MseI AFLPマーカーの全てをこれらの64×4個体に関して試験し、そこから本発明者らは、マーカーに関する信頼できるF2遺伝子型を引き出すことができたことにより、組換えを正確に判定することができた。

    いくつかのマーカーについては、明白なスコアを得るためにF3系統の個別の植物さらに12本をこれらのマーカーについて遺伝子型決定した。

    得られたデータから、図1に示す4001ローカスの信頼できる遺伝子マップが得られる。 見い出されたAFLPマーカーの位置は、4001ローカス(コンパクトローカス)を指し示している。

    このように、AFLP法の助けを借りて隣接カップリングマーカーを見い出した。 隣接マーカーE14/M61_M873.6は、この集団においてコンパクトローカスから0.05cMの距離にあり、隣接マーカーE19/M50_M280.2は、コンパクトローカスから0.67cMの距離にある。 これらのマーカーはロングキュウリにおいて多型ではない。






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