液体圧送用ポンプ

申请号 JP2016572614 申请日 2015-06-01 公开(公告)号 JP2017518461A 公开(公告)日 2017-07-06
申请人 コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングContinental Automotive GmbH; コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングContinental Automotive GmbH; 发明人 マギン ジョルジュ; マギン ジョルジュ;
摘要 液体圧送用ポンプ(1)であって、少なくとも1つの入口(3)と、少なくとも1つの出口(4)と、内周面(13)と、幾何学上の軸線(23)とを有する少なくとも1つのポンプケーシング(2)を備え、ポンプケーシング(2)の内部には偏心体(5)が配置されており、偏心体(5)は、幾何学上の軸線(23)を中心としてポンプケーシング(2)に対して相対的に偏心運動可能である。ポンプケーシング(2)の内周面(13)と偏心体(5)の外面(6)との間のポンプギャップ(11)には、変形可能な部材(7)が配置されており、変形可能な部材(7)とポンプケーシング(2)の内周面(13)とによって、少なくとも1つの入口(3)から少なくとも1つの出口(4)まで圧送通路(8)が形成されており、更に、変形可能な部材(7)は、偏心体(5)の外面(6)により、圧送通路(8)の少なくとも一部に沿ってポンプケーシング(2)に押し付けられ、これにより、圧送通路(8)の少なくとも1つの移動可能なシール(9)と、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積(10)とが、圧送通路(8)内に形成されており、圧送通路(8)の少なくとも1つの移動可能なシール(9)と、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積(10)とは、液体を圧送するために、圧送通路(8)に沿った偏心体(5)の偏心運動によって、入口(3)から出口(4)まで移動可能であり、偏心体(5)の外面(6)は、構造化された表面(15)を有している。
权利要求

液体圧送用ポンプ(1)であって、少なくとも1つの入口(3)と、少なくとも1つの出口(4)と、内周面(13)と、幾何学上の軸線(23)とを有する少なくとも1つのポンプケーシング(2)を備え、該ポンプケーシング(2)の内部には偏心体(5)が配置されており、該偏心体(5)は、前記幾何学上の軸線(23)を中心として前記ポンプケーシング(2)に対して相対的に偏心運動可能であり、前記ポンプケーシング(2)の前記内周面(13)と前記偏心体(5)の外面(6)との間のポンプギャップ(11)には、変形可能な部材(7)が配置されており、該変形可能な部材(7)と前記ポンプケーシング(2)の前記内周面(13)とによって、前記少なくとも1つの入口(3)から前記少なくとも1つの出口(4)まで圧送通路(8)が形成されており、更に、前記変形可能な部材(7)は、前記偏心体(5)の前記外面(6)により、前記圧送通路(8)の少なくとも一部に沿って前記ポンプケーシング(2)に押し付けられ、これにより、前記圧送通路(8)の少なくとも1つの移動可能なシール(9)と、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積(10)とが、前記圧送通路(8)内に形成されており、前記圧送通路(8)の少なくとも1つの移動可能なシール(9)と、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積(10)とは、液体を圧送するために、前記圧送通路(8)に沿った前記偏心体(5)の偏心運動によって、前記入口(3)から前記出口(4)まで移動可能であり、前記偏心体(5)の前記外面(6)は、構造化された表面(15)を有していることを特徴とする、液体圧送用ポンプ(1)。前記構造化された表面(15)に基づき、前記変形可能な部材(7)の前記移動可能なシール(9)の領域に、前記圧送通路(8)に沿って、少なくとも1つの局所的な最大圧部(17)と、少なくとも1つの局所的な最小圧力部(18)とを形成する圧力分布(16)が存在している、請求項1記載のポンプ(1)。前記構造化された表面(15)は、前記局所的な最小圧力部(18)のところで前記変形可能な部材(7)にかかる圧力が、予め規定された当該ポンプ(1)の最大運転圧力(12)よりも大きくなるように形成されている、請求項2記載のポンプ(1)。前記偏心体(5)は、外側の軸受輪(30)と、内側の偏心体領域(29)とを有しており、前記外側の軸受輪(30)と前記内側の偏心体領域(29)との間に軸受(31)が配置されており、該軸受(31)により、前記内側の偏心体領域(29)の偏心的な回動が、前記外側の軸受輪(30)の偏心的な円運動に変換され、且つ前記外側の軸受輪(30)に、前記構造化された表面(15)を有する前記外面(6)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記偏心体(5)の外側の軸受輪(30)は、前記ポンプケーシング(2)に対して相対回動不能である、請求項4記載のポンプ(1)。前記構造化された表面(15)は、前記幾何学上の軸線(23)に対して平行に向けられた、波山(32)と波谷(33)とを備えた波形(19)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記波形(19)の波山(32)は、前記圧送通路(8)に沿った周方向(27)における、前記移動可能なシール(9)の広がりよりも小さな相互間隔を有しており、前記波山(32)によって、前記移動可能なシール(9)に、前記圧送通路(8)に沿って少なくとも2つの局所的な最大圧力部(17)が形成される、請求項1から6までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記構造化された表面(15)は、前記外面(6)の凹部(40)による所定のパターンを有しており、これらの凹部(40)はそれぞれ周方向において制限されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記偏心体(5)の前記外面(6)の前記構造化された表面(15)は、前記幾何学上の軸線(23)を中心とした所定の度区分(41)内で中断されており、該角度区分(41)は少なくとも前記入口(3)又は前記出口(4)をカバーしている、請求項1から8までのいずれか1項記載のポンプ(1)。内燃機関(37)と、該内燃機関(37)の排ガスを浄化するための排ガス処理装置(38)と、請求項1から9までのいずれか1項記載のポンプ(1)とを備える自動車において、前記ポンプ(1)は、排ガス浄化用の液状添加剤を、タンク(21)からインジェクタ(34)へ圧送するために設けられており、前記液状添加剤は、前記インジェクタ(34)によって前記排ガス処理装置(38)に供給することができるようになっていることを特徴とする、自動車。

说明书全文

本発明は、液体圧送用ポンプに関する。このポンプは特に、自動車において排ガス浄化用の液状添加剤を、タンクから排ガス処理装置内へ圧送するために使用することができる。

液状添加剤を必要とする排ガス処理装置は、例えばSCR法に必要とされる。SCR法(SCR=Selective Catalytic Reduction/選択触媒還元)では、内燃機関の排ガス中の窒素酸化化合物を、アンモニアを用いて窒素、及びCO2等の無害な物質に還元する。SCR法用のアンモニアは通常、液状のアンモニア前駆体溶液から生成され、この液状のアンモニア前駆体溶液はタンク内に貯蔵され、タンクから、説明するポンプにより排ガス処理装置へ圧送されてよい。この液状のアンモニア前駆体溶液は、液状添加剤、還元剤、又は還元剤前駆体とも呼ばれる。この液体は、好適には尿素水溶液である。特に好適には、商品名AdBlue(登録商標)で入手可能な約32.5%の尿素を含有する尿素水溶液である。この液体は、排ガス外で(そのために設けられた反応器において)且つ/又は排ガス中で(排ガス処理装置において)アンモニアに変化させられる。

このような液体を圧送するポンプにおける問題点は、この液体が低温で凍結する恐れがある、という点にある。上記の32.5%の尿素水溶液は、例えば−11℃で凍結する。このように低い温度は、自動車の場合、特に冬季の長時間の停止段階中に生じることがある。凍結すると、液体は膨張する。ポンプは、凍結状態の液体によって損傷されないように設計されていなくてはならない、又は、低い温度が生じた場合には、ポンプを空にする必要がある。ポンプを空にすることができるようにするためには通常、ポンプが空気も圧送可能である、ということが必要とされる。

特に液体としての尿素水溶液において更に問題なのは、ポンプの運転に影響を及ぼす恐れがある、例えば結晶状の尿素析出物又は気体状のアンモニア分離物が形成されることがある、という点である。結晶状の尿素析出物は、摩擦によりポンプの構成部材に影響を及ぼして、ポンプの構成部材における材料剥離を生ぜしめる恐れがある。

このような液体を排ガス処理装置へ圧送するためのポンプは、好適には液体を可能な限り正確に調量して、排ガス処理装置に圧送することもできるようになっていることが望ましい。このことは、追加的な液体調量手段を省くことを可能にする。追加的な調量手段は、例えば調量を(調量弁の開放時間にわたって)時間制御式に行うことができる調量弁である。このような調量弁に比べ、ポンプによる調量は大幅に正確であることが多い。

ポンプは更に、可能な限り高い機械的な効率を有していることが望ましく、これにより、液体の圧送及び調量には可能な限り小さな所要エネルギが必要になると同時に、ポンプの加熱は可能な限り少なくなる。

米国特許第2544628号明細書(US 2,544,628)、米国特許第3408947号明細書(US 3,408,947)、独国特許発明第2853916号明細書(DE 2 853 916)及び独国特許出願公開第3815252号明細書(DE 38 15 252 A1)から公知のポンプタイプは、オービタルポンプとも呼ばれる。このポンプタイプは、一方では凍結時の液体の体積膨張に対して比較的耐久性がある。他方では、このポンプタイプは逆の圧送方向で運転することもできるようになっているので、圧送モジュールを、技術的に簡単に空にすることが可能である。但し、このポンプタイプをSCR法の環境での要求に適合させる必要がある。特に、調量精度に関してこのポンプタイプの改良が行われることが望ましい。このポンプタイプは、特に効率及び調量精度に関して問題がある。なぜならば、一方では構造上必要なダイヤフラムエレメントを変形させる、極めて多くの機械的エネルギが必要であり、且つ他方ではこのエレメントの変形により、所定の調量精度がもたらされるからである。

このことを起点として本発明の課題は、上記の諸問題を少なくとも部分的に解決し、特に排ガス浄化用の液体(特に尿素水溶液)の圧送に適した、特に有利な液体圧送用ポンプを提供することにある。

この課題は、特許請求項1の特徴部に記載のポンプによって解決される。ポンプの別の有利な構成は、従属請求項に記載されている。指摘しておくと、個々の特許請求項に記載された特徴は、技術的に有意な任意の形式で互いに組み合わせることができ、明細書で説明する事情に基づき補足されてよく、この場合はポンプの別の変化態様を表している。

説明する液体圧送用ポンプは、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口と、内周面と、幾何学上の軸線とを有する少なくとも1つのポンプケーシングを備えている。ポンプケーシングの内部には、幾何学上の軸線を中心としてポンプケーシングに対して相対的に偏心運動可能な偏心体が配置されている。ポンプケーシングの内周面と偏心体の外面との間のポンプギャップには、変形可能な部材が配置されており、変形可能な部材とポンプケーシングの内周面とによって、少なくとも1つの入口から少なくとも1つの出口まで圧送通路が形成されている。更に、変形可能な部材は、偏心体の外面により、圧送通路の少なくとも一部に沿ってポンプケーシングに押し付けられ、これにより、圧送通路の少なくとも1つの移動可能なシールと、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積とが、圧送通路内に形成されており、圧送通路の少なくとも1つの移動可能なシールと、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積とは、液体を圧送するために、圧送通路に沿った偏心体の回動により、入口から出口まで移動可能である。更に、偏心体の外面は、構造化された表面を有している。

このような構造を有するポンプは、オービタルポンプとも呼ばれる。このポンプは、幾何学上の(中心)軸線を有しており、この軸線を中心として偏心体が偏心運動可能である。このために、好適には駆動軸線に沿って駆動軸が延びており、駆動軸は偏心体を、(少なくとも1つの電気的な)駆動装置に接続している。ポンプ及びポンプのコンポーネントを3次元で説明するために、以下において、半径方向は、ポンプの幾何学上の軸線に対して垂直であり且つポンプの幾何学上の軸線を起点として半径方向外側に向かって延在するものと仮定する。ポンプを3次元で説明するために、更に、幾何学上の軸線に対して接線方向であり且つポンプケーシングの内周面に対して接線方向を、周方向と仮定する。ポンプを説明するために、ポンプの中間面も規定する。この中間面は、幾何学上の軸線に対して垂直に配置されていて、半径方向と周方向とによって張設される。圧送通路は、ポンプの入口から出口まで、少なくとも部分的に周方向に沿って、ポンプケーシングを通って又はポンプケーシングの内周面に沿って延在している。中間面内には、ポンプケーシングと、偏心体と、変形可能な部材と、圧送通路とが位置しており、中間面は、好適にはポンプケーシング、偏心体及び変形可能な部材の対称面も形成している。上記内周面は、好適には上記幾何学上の軸線に対して回転対称である。

ポンプのポンプケーシングは、好適にはリング又は円筒状の室の形式で形成されており、(内部には)偏心体が配置されている。このポンプケーシングは、ポンプの(アウタ)ステータと見なされてもよく、この場合、偏心体は(インナ)ロータと呼ばれてよい。動作機構の逆転の意味で、本発明は、入口及び出口を備えたポンプケーシングが内側に位置しており、偏心体はポンプケーシングを外側で取り囲むような構造にも適用され、ポンプギャップは、内側に位置するポンプケーシングの外周面と、偏心体の内面との間に位置している。ポンプの動作機構の上記逆転の際に、以下でより詳しく規定する、構造化された表面は、偏心体の内面に配置されている。ポンプの動作機構の逆転に基づき、ポンプケーシングを(インナ)ステータ、又は偏心体を(アウタ)ロータと呼ぶことができる。入口及び出口はポンプケーシングに配置されており、ポンプケーシング又は圧送通路内への液体の流入及び流出を可能にする。ポンプケーシングは、好適にはプラスチックから成っている。但し、ポンプケーシングは、金属、金属‐プラスチック複合材料又は任意の別の材料から成っていてもよい。

「偏心体」とは、本明細書では特に、幾何学上の軸線に対して偏心的に(中心外に)配置された円形構造体を意味する。幾何学上の軸線を中心とした偏心運動は、回動運動(回動)と呼ぶこともある。基本的には2つの形式の偏心運動が可能である。第1の形式の偏心運動は、幾何学上の軸線を中心とした偏心体全体の純粋な回転である。第2の形式の偏心運動は、偏心体及び/又は偏心体の外面の円形移動である。両形式の偏心運動はそれぞれ、ポンプケーシングに対する偏心体の外面の空間位置、及び偏心体の動きによるポンプのポンプギャップの変形に同じ影響を及ぼす。偏心体全体が純粋に回転する際には、円形移動時には生じない、偏心体の外面の回転が、付加的に行われる。

ポンプケーシングと偏心体との間のポンプギャップは、特にリング形、三日月形であるか、又は周方向に延在している。ポンプギャップのギャップ幅は、偏心体の偏心運動により、その都度部分的に変化させられる。圧送通路は、(ギャップ内で)特に変形可能な部材とポンプケーシングとの間に配置されていて、ポンプケーシングと変形可能な部材とによって画定される。ポンプギャップは、少なくとも1つの狭幅箇所を有しており、この狭幅箇所は、偏心体の回動又は偏心運動により、周方向でポンプケーシング又は圧送通路に沿って移動する。狭幅箇所のところで、変形可能な部材はケーシングに押し付けられており、これにより、移動可能なシールが形成されている。変形可能な部材は、弛緩状態において好適にはポンプケーシングの内周面の直径と少なくとも同じであるか又はそれよりも大きな直径を有している。ポンプギャップは特に、変形可能な部材がポンプケーシングに挿入されていて、偏心体により部分的に偏心させられて特に強にポンプケーシングに押し付けられることによって得られる。これにより、特に偏心体の偏心部とは反対の側に位置するポンプギャップが得られる。ポンプギャップの形成は、付加的にポンプ内に存在する液体により支援される。液体は、変形可能な部材をポンプケーシング内で圧縮するので、ポンプケーシング内での変形可能な部材の実際の直径は、弛緩状態での直径よりも小さくなっている。

1価の偏心体と多価の偏心体とは区別され得る。1価の偏心体は、移動可能な狭幅部を1つだけ形成し、延いては移動可能なシールも1つだけ形成する偏心体である。1価の偏心体は、好適には円形の、特に円筒状の外面を有している。これにはいわゆる「多価の」偏心体も含まれており、「多価の」偏心体は、ポンプギャップの複数の狭幅箇所又は複数の移動可能なシールを形成する。このような「多価の」偏心体は、例えば変形可能な部材の内側で転動して複数の狭幅箇所を形成する、複数のローラによって形成されていてもよい。この場合は、ローラの表面が偏心体の外面を形成している。この場合、上述した構造化された表面は、ローラの外面に配置されていてよい。「多価の」偏心体は、例えば楕円形に形成された外面を有していてよいカムディスクによって形成されていてもよい。

圧送通路は、ポンプケーシングと変形可能な部材との間に、液体が通流可能な通路横断面を有しており、通路横断面は、例えば(ポンプの大きさに応じて)少なくとも1つの移動可能なシールに対する最大間隔を有する最大箇所で、1mm2〜50mm2であってよい。入口と出口とは、ポンプの圧送方向において、好適には(中間面内で測定して)互いに270°を上回る距離を開けて配置されている。よって、圧送方向とは逆の方向では、入口と出口とは互いに90°未満の角距離を有することになる。

変形可能な部材は、好適には偏心体とポンプケーシングとの間に配置されていて、偏心体が変形可能な部材を部分的にポンプケーシングの周面に押し付けるようになっており、これにより、少なくとも1つの移動可能なシールが形成されている。シールのところには、変形可能な部材とポンプケーシングの内周面との間の、液体が通流不能な(線状又は面状の)接触部が存在している。換言すると、変形可能な部材は、移動可能なシールの領域において完全にポンプケーシングに当て付けられているので、この移動可能なシールの範囲内の通路横断面は、最早通流可能な横断面積を有してはいない。つまり、圧送通路は、移動可能なシールの範囲では中断されている。これにより、圧送通路内には、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積も形成されていることになる。閉じられたポンプ容積とは、(圧送通路に沿った上流側又は下流側において)少なくとも片側が閉じられた圧送通路部分が存在していることを意味する。移動可能なシールが移動することにより、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積も移動させられ、その結果、閉じられたポンプ容積内の液体が圧送されるようになっている。好適には、ポンプ作動時に、複数の閉じられたポンプ容積が、ポンプの入口からポンプの出口まで移動させられ、これにより、液体を圧送することができるようになっている。よって、閉じられたポンプ容積は、(定義したように少なくとも片側を閉じられて)入口付近に形成され、次いで出口のところで(定義したように少なくとも片側を再び開けられて)解消される。入口のところで閉じられたポンプ容積は、下流側において片側(だけ)を、移動可能なシールによって閉じられており、上流側では入口と接続されているので、液体は入口を通って、閉じられたポンプ容積に流入可能である。出口のところで閉じられたポンプ容積は、上流側において(まだ)片側をシールにより閉じられていて、下流側では出口に接続されているので、液体は閉じられたポンプ容積から出口を通って流出可能である。その間には(閉じられたポンプ容積の、入口から出口までの経路上に)、閉じられたポンプ容積が、上流側と下流側とにおいて、少なくとも1つの移動可能なシールによって(両側を)閉じられている段階が存在する。移動可能なシールがただ1つしか設けられていない場合、この1つだけの移動可能なシールは、入口と出口の両方を閉鎖するように位置決めされている。

変形可能な部材は、変形可能なダイヤフラムと呼ばれることもある。この場合、「ダイヤフラム」という用語は必ずしも、変形可能な部材が面状の広がりを有しているか否かを説明するものではない。「ダイヤフラム」という用語は、変形可能な部材が、液体を圧送するために変形可能であり、且つ少なくとも1つの移動可能なシール及び少なくとも1つの移動可能なポンプ容積を形成するために適した柔軟な構造体である、ということを示唆するものである。変形可能な部材又は変形可能なダイヤフラムのための材料としては、好適にはエラストマ(例えばゴム又はラテックス)が用いられる。耐久性向上及び/又は柔軟性の形成及び保持のために、変形可能な部材の材料は、添加剤を含有していてよい。好適には、変形可能な部材は、あらゆる方向(軸方向、半径方向及び周方向)において柔軟である。但し変形可能な部材は、部分的に方向付けられた柔軟性を有することも可能である。例えば変形可能な部材は、半径方向において、周方向及び軸方向における柔軟性よりも高い柔軟性を有していてよい。変形可能な部材の1つの方向への変形は、典型的には別の方向への変形をも引き起こす。変形可能な部材は、半径方向に押し潰されると、例えば軸方向及び/又は周方向に広がる。

ポンプには、(圧送方向に反した)出口から入口への液体の望ましくない(直接的な)逆流を防ぐ、好適には固定されたシールも設けられている。固定されたシールは、ポンプケーシングで以て位置固定して提供することができる。通常、固定されたシールは、出口と入口との間に(位置固定されて)位置決めされている。ポンプケーシングと変形可能な部材との間の流体密なシールを永続的に保証するために、変形可能な部材は、固定されたシールの領域において、例えばポンプケーシングに緊締又は接着されていてよい。固定されたシールは、偏心体の位置に関係無く流体密である。

ポンプは、好適にはポンプの中間面の軸方向両側に、各1つの(環状の固定された)軸方向シールを更に有しており、この軸方向シールは、ポンプケーシングと変形可能な部材とを互いにシールしており、延いては圧送通路を側方において制限している。つまり、好適には、2つの(環状の)軸方向シールが存在している。これらの半径方向のシールは、例えばポンプケーシングに対する変形可能な部材の緊締及び/又は当付けによって実現されていてよい。好適には、両軸方向シールは、固定されたシールに直接に移行している。このようにして、固定されたシールのところで出口から入口へ逆流する漏れを一切生じさせないことが保証される。

ポンプは、好適には入口から出口まで、液体を圧送方向に圧送するために設計されている。偏心体の偏心(回動)運動の方向転換により、場合によっては(入口から出口までに代えて、逆に出口から入口までの)圧送方向の転換も可能である。

偏心体の外面の構造化された表面は、構造体又は成形部と呼ばれることもある。構造化された表面は特に、偏心体の表面のマイクロ構造を形成しているという点において優れており、この場合、構造深さは好適には少なくとも1mm(ミリメートル)である。構造化された表面又は成形部又は構造体は、特に偏心体の偏心とは区別される。偏心体の偏心によっては、偏心体の外面のマクロ構造が形成され、このマクロ構造は、狭幅箇所と移動可能なシールとに向かって連続して先細になるポンプギャップのテーパと、狭幅箇所と移動可能なシールとから離れる方向に連続して拡大するポンプギャップとを形成している。これに対して、構造化された表面又は成形部又は構造体は、偏心体の外面のマイクロ構造を形成している。構造化された表面に基づき、ポンプギャップはどこでも(移動可能なシールにおける狭幅箇所の領域でも、その他の全ての領域でも)、周方向に沿って急変する幅を有することになる。偏心体の外面の構造化された表面に基づき、変形可能な部材は、偏心体の外面によって部分的にしか支持されない。偏心体の外面における、このような構造化された表面により、ポンプ内の摩擦力と、特に変形可能な部材における摩擦力とを大幅に低下させることができることが判った。これにより、偏心体の偏心運動に必要な駆動トルクも大幅に減少されることになる。

特に有利なポンプは、構造化された表面に基づき、変形可能な部材の移動可能なシールの領域に、圧送通路に沿って、少なくとも1つの局所的な最大圧力部と、少なくとも1つの局所的な最小圧力部とを形成する圧力分布が存在している場合である。

局所的な最大圧力部及び局所的な最小圧力部はそれぞれ、周方向に見て最大圧力部又は最小圧力部の側方で、変形可能な部材にかかる圧力が、より小さく又はより大きくなることを意味する。変形可能な部材において、圧力は、移動可能なシールのところにかかる。なぜならば、変形可能な部材は、移動可能なシールの領域で偏心体により圧縮されるからである。変形可能な部材にかかる圧力は、典型的には周方向において規定された、移動可能なシールの中間点で最大になる。外面の構造化された表面は、移動可能なシールのところで、変形可能な部材に圧力分布の波形の累積を生ぜしめる。好適には、移動可能なシールのところの変形可能な部材には、周方向に沿って複数の(又はそれどころか多数の)最大圧力部と最小圧力部とが存在している。これらの最大圧力部と最小圧力部とは、好適には周方向において位置固定されている。移動可能なシールが移動すると、圧送方向に見て移動可能なシールの後方の最大圧力部及び最小圧力部の圧力は低下するのに対し、圧送方向に見て移動可能なシールの前方の最大圧力部及び最小圧力部の圧力は上昇する。移動可能なシールの周方向における中間点で、最大圧力部及び最小圧力部の圧力は最大になる。

移動可能なシールの移動時には、必然的に、変形可能な部材を変形させる変形エネルギが消費される。この変形エネルギは、変形可能な部材が圧縮される際に、固定されたシールの下流側の領域において変形可能な部材に機械的に導入され、部分的に熱に変換される。固定されたシールの上流側の領域において変形可能な部材が弛緩すると、変形可能な部材に機械的に蓄えられた変形エネルギの残りもまた、熱として解放される。

更に好適なポンプは、局所的な最小圧力部のところで変形可能な部材にかかる圧力が、予め規定されたポンプの最大運転圧力よりも大きくなるように、構造化された表面が形成されている場合である。

最大運転圧力は、ポンプにより出口において供給され得る最大の圧力である。最大運転圧力は、一般に3〜8barの範囲内であり、ポンプの規格に基づいて規定される。構造化された表面又は成形部の適当な構成に基づき、(圧送通路に沿った、移動可能なシールの位置に関係無く)局所的な最小圧力部のところで変形可能な部材にかかる圧力が、予め規定された最大運転圧力未満に低下することは決してない、ということを達成できる。これにより、液体の逆流が、固定されたシールによって常に確実に防止される。

更に有利なポンプは、偏心体が外側の軸受輪と内側の偏心体領域とを有しており、外側の軸受輪と内側の偏心体領域との間に軸受が配置されており、この軸受により、内側の偏心体領域の偏心的な回動が、外側の軸受輪の偏心的な円運動に変換され、且つ外側の軸受輪に、構造化された表面を有する外面が配置されている場合である。

軸受は、好適には玉軸受、針状ころ軸受又はころ軸受である。偏心体の内側の偏心体領域は、運転中、軸線を中心として回動する。このために、内側の偏心体領域は、駆動軸を介してポンプの駆動装置と接続されている。偏心体の偏心的な配置に基づき、且つ場合によっては偏心体の外側形状にも基づいて、内側の偏心体領域の偏心的な回動により、偏心体の外面の偏心的な円運動が生ぜしめられる。この偏心運動は、外側の軸受輪に伝達される。内側の偏心体領域と外側の軸受輪との間の軸受によって、内側の偏心体領域の運動の回動成分が外側の軸受輪に一緒に伝達されることなく、内側の偏心体領域の偏心的な回動を、外側の軸受輪の偏心的な円運動に変換することができる。外側の軸受輪の運動は回動成分を一切有していないという事実は、変形可能な部材における剪断応力と、ポンプの内部摩擦力とを減少させることを可能にする。変形可能な部材は、偏心体の運動により加圧収縮される(に過ぎない)。偏心体の外面における、偏心体又は外側の軸受輪と、変形可能な部材との接触面には、好適には押圧力「だけ」が作用し、摩擦力はほとんど作用しない。動作機構の逆転の意味で、偏心体が(内側の)ポンプケーシングを包囲するように配置されたアウタロータである場合も、偏心体を内側の偏心体領域と外側の軸受輪とに相応に分割することは可能である。

特に好適なポンプは、偏心体の外側の軸受輪が、ポンプケーシングに対して相対回動不能である場合である。よって、偏心体の外面で外側の軸受輪に配置された、構造化された表面も、ポンプケーシングに対してやはり相対回動不能に位置決めされている。したがって、構造化された表面によって移動可能なシールの領域で変形可能な部材に生ぜしめられる局所的な最大圧力部と局所的な最小圧力部とは、偏心体の運動によっては移動しない。外側の軸受輪をポンプケーシングに対して相対回動不能にするために、外側の軸受輪はポンプケーシングに結合されていてよい。結合は、例えば固定されたシールのところで実現されていてよい。

更に有利なポンプは、構造化された表面が、幾何学上の軸線に対して平行に向けられた、波山と波谷とを備えた波形を有している場合である。

このように構造化された表面に基づいて、変形可能な部材には、圧送通路に対してそれぞれ垂直に配置された局所的な最大圧力部と局所的な最小圧力部とが存在している。上記のような波形は、圧送通路の特に良好なシールを生ぜしめると同時に、移動可能なシールの移動時に、変形可能な部材の変形に消費されるエネルギ(変形エネルギ)を、特に大幅に減少させることが判った。波山と波谷とは、好適には偏心体又は変形可能な部材の全幅にわたって軸方向に延在している。

好適には、偏心体の外面は、構造化された表面によって部分的に中断されている、円筒形の基本形状を有している。このことは、開示する全ての構造化された表面に関して有利である。波形を備えて形成された構造化された表面に関して、このことは、波形が外面の円筒形の基本形状の凹部(のみ)によって形成されていて、外面の円筒形の基本形状を越えて延在する隆起部は一切存在していないことを意味する。

更に有利なポンプは、波形の波山が、圧送通路に沿った周方向における、移動可能なシールの広がりよりも小さな相互間隔を有しており、波山によって、移動可能なシールに、圧送通路に沿って少なくとも2つの局所的な最大圧力部が形成されている場合である。

更に好適には、波形の波山の間隔は、圧送通路に沿った周方向における、移動可能なシールの広がりよりも大幅に小さくなっている。好適には、上記間隔は、10倍又はそれどころか20倍小さくなっている。これにより、移動可能なシールの領域内で、変形可能な部材における最大圧力及び最小圧力の特に均一な分布を達成することができる。

また、構造化された表面が、外面の凹部による所定のパターンを有しており、凹部がそれぞれ周方向において制限されている場合も、有利なポンプである。

このような(幾何学的な又は繰り返される)パターンにより、移動可能なシールの領域で変形可能な部材を変形させる変形エネルギ延いては偏心体を移動させるための所要トルクも、同様に効果的に減少することができる。

更に、構造化された表面が、外面のゴルフボール表面を有していると有利である。

ゴルフボール表面は、外面の、それぞれほぼ半球状の複数の凹部によって形成されており、これらの凹部が規則的なパターンを形成している。所要変形エネルギと所要トルクとは、このようなパターンによってもやはり効果的に減少することができる。

特に有利なのは、偏心体の構造化された表面が、柔軟な移行部を備えて形成されており、これにより、特に変形可能な部材において、変形可能な部材と偏心体との接触箇所に生じる恐れのある切欠き力が回避されるようになっている場合である。

更に好適なのは、ポンプの偏心体の外面の構造化された表面が、幾何学上の軸線を中心とした所定の角度区分内で中断されており、この角度区分が少なくとも入口又は出口をカバーしている場合である。

上記角度区分の範囲において、外面は、構造化された表面を有していてはならない。よって、上記角度区分における外面は構造化されていないか、又は平滑である。角度区分の範囲内では、特に構造化された表面を形成する波形、又は構造化された表面を形成する凹部によるパターンが中断されている。ポンプの入口と出口とをカバーする角度区分における構造化された表面の中断に基づき、入口及び出口の範囲内でポンプ内の液体の流れが中断されることはないことが保証される。既に上で説明したように、偏心体はポンプケーシングに対して好適には相対回動不能なので、構造化された表面を有さない偏心体の角度区分は、該角度区分によって入口及び出口がカバーされているように、入口及び出口に対して永続的に位置決めされていてよい。同時に、それにもかかわらず、上記角度区分外の領域の構造化された表面により、偏心体を駆動するための所要トルクは低下されている。上記角度区分は、好適には90°未満であると同時に、特に好適には50°よりも大きい。この場合、構造化された表面は、上記角度区分外の、残りの270°〜310°の角度にわたって延在している。

更に、内燃機関と、この内燃機関の排ガスを浄化するための排ガス処理装置と、説明したポンプとを備える自動車を提案する。ポンプは、排ガス浄化用の液状添加剤を、タンクからインジェクタへ圧送するために設けられており、液状添加剤は、インジェクタにより排ガス処理装置に供給することができるようになっている。

排ガス処理装置は、好適には、ポンプにより圧送される液状添加剤(例えば尿素水溶液)を用いてSCR法を実施可能なSCR触媒を有している。

以下に、本発明並びに技術環境を図面に基づき詳しく説明する。図面は、本発明の特に好適な実施形態を示すものであるが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。図面と、特に図示の縮尺とは概略的なものに過ぎないことを特に指摘しておく。

説明するポンプの立体図である。

説明するポンプを中間面に沿って切断した図である。

説明するポンプのための偏心体を示す図である。

説明するポンプの移動可能なシールの機能を示す図である。

説明するポンプの移動可能なシールの領域の、変形可能な部材における圧力分布を示す図である。

説明するポンプにおける偏心体の外面の第1の変化態様を示す図である。

説明するポンプにおける偏心体の外面の第2の変化態様を示す図である。

説明するポンプにおける偏心体の外面の第3の変化態様を示す図である。

説明するポンプにおける偏心体の外面の第4の変化態様を示す図である。

説明するポンプの別の変化態様における、固定されたシールの機能を示す図である。

説明するポンプの更に別の変化態様における、固定されたシールの機能を示す図である。

説明するポンプの断面図である。

説明するポンプの特別な変化態様を中間面に沿って切断した図である。

説明するポンプを有する自動車を示した図である。

図1には、ポンプ1の立体図が示されている。ポンプ1を立体的に説明するために、幾何学上の軸線23が規定されている。更に、ポンプを立体的に説明するために、半径方向28と周方向27とが示されている。ポンプ1は、入口3及び出口4を備えたポンプケーシング2を有している。ポンプケーシング2の上側には、幾何学上の軸線23に沿ってポンプ1の駆動装置24が配置されており、駆動装置24は、駆動軸26を介してポンプケーシング2内の偏心体(ここでは図示せず)に接続されている。ポンプケーシング2と偏心体(ここでは図示せず)とが位置する中間面14も規定されており、中間面14は、好適には少なくとも、ポンプケーシング2及び偏心体の対称面を形成している。

図2には、図1に示したポンプを、図1に示した中間面14に沿って切断した図が示されている。方向に関して、図2には周方向27と半径方向28とが示されている。入口3と出口4とを備えたポンプケーシング2が認められる。ポンプケーシング2内には偏心体5が位置しており、偏心体5は、内側の偏心体領域29と、外側の軸受輪30と、軸受31とを有している。偏心体5とポンプケーシング2との間にはポンプギャップ11が存在しており、ポンプギャップ11の幅は、偏心体5の偏心運動に基づき(その都度局所的に)変化され得る。ポンプギャップ11は、特に、ポンプケーシング2の内周面13と、偏心体5の外面6との間に形成されている。ポンプギャップ11内には(環状の)変形可能な部材7が配置されている。変形可能な部材7とポンプケーシング2との間のポンプギャップ11内には、圧送通路8が形成されている。偏心体5が偏心していることにより、移動可能なシール9が形成されており、移動可能なシール9のところで、変形可能な部材7はポンプケーシング2に直接に当接しているので、圧送通路8は中断される。移動可能なシール9により、圧送通路8は複数の移動可能なポンプ容積10に分けられている。移動可能なシール9は特に、変形可能な部材7がポンプケーシング2の内周面13に当接することによって形成される。ポンプ1は更に、圧送通路8の固定されたシール25を有している。ここでは、固定されたシール25は、変形可能な部材7が、出口4と入口3との間で、ピン22によりポンプケーシング2に緊締されることによって形成されている。固定されたシール25のところで、ポンプケーシング2と変形可能な部材7との間を液体が通流することはできない。このようにして、固定されたシール25は、液体が圧送通路8に沿って出口4から入口3に向かって逆流することを防いでいる。偏心体5の偏心運動により、液体は、圧送方向43を有する圧送通路8を通って圧送される。偏心体5の偏心運動の方向転換により、圧送方向43も逆転する。偏心体5の外面6は、構造化された表面15を有しており、これにより、偏心体5は部分的にしか変形可能な部材7に当接していないか、又は部分的にしか変形可能な部材7に押し付けられていない。

図3には、外面6を有する、変形可能な部材の偏心体5が立体図で示されている。外面6は、構造化された表面15として、波山32と波谷33とを備えた波形19を有している。方向に関して、図3にも、幾何学上の軸線23と、半径方向28と、周方向27とが示されている。

図4には、ここで説明するポンプの移動可能なシール9の機能を示す図が示されている。図4に示す図面は、実際には湾曲している圧送通路を直線的に書き換えたものに相当する。ポンプケーシング2と、偏心体5と、ポンプケーシング2と偏心体5との間に配置された変形可能な部材7とが認められる。方向に関しては、半径方向28及び周方向27が矢印で示されている。偏心体5は、その外面6に、波山32と波谷33とを備える波形19の成形部の形式で構造化された表面15を有している。

図5には、図4に示した移動可能なシール9において、偏心体5の構造化された表面15に基づき変形可能な部材に生じる圧力分布16の様子が線図で示されている。線図の垂直方向の軸線は、圧力を表す圧力軸線44である。線図の水平方向の軸線は、周方向に相当する。偏心体が構造化された表面を有していない場合に、移動可能なシールの領域で、偏心体の偏心に基づいて変形可能な部材に生じると考えられる、理論上の圧力分布45も認められる。構造化された表面に基づき、実際の圧力分布16は、理論上の圧力分布45とは異なっている。波形に形成された、構造化された表面の波谷の領域では、最小圧力18が変形可能な部材に生じているのに対し、波形に形成された、構造化された表面の波山の領域では、最大圧力17が生じている。図5に示す線図には、運転圧力12も示されている。最小圧力18は、運転圧力12よりも大きいことが認められる。

図6、図7、図8及び図9にはそれぞれ、偏心体5用の外面6が示されている。図面に関しては、それぞれ図4に相応して直線的に示された図面が選択された。図6、図7、図8及び図9に示す偏心体5の外面6は、それぞれ構造化された表面15を有している。

図6では、構造化された表面15は、波山32と波谷33とを備える波形19として形成されており、波谷33はそれぞれ、半円形の横断面を有する溝として実現されている。

図7には、構造化された表面15が、波山32と波谷33とを備える波形19として示されており、波谷33と波山32とはそれぞれ方形に形成されている。

図8にも、同様に波山32と波谷33とを有する波形19として形成された、構造化された表面15が示されているが、図8では、波谷33は、それぞれ軸方向において制限されている。これにより、波谷33は同時に、偏心体5の外面6に複数の凹部40も形成している。

図9に示す構造化された表面15は、ゴルフボール表面42と呼ぶこともでき、規則的に配置された、好適には(半)球状の複数の凹部40を、偏心体5の外面6に有している。

図10及び図11は、本明細書で説明したポンプに極めて類似した、ポンプの別の又は代替的な変化態様を説明するものである。本明細書でポンプに関して説明した構成の特徴(特に従属請求項で請求する構成の特徴)は同様に、図10及び図11において説明するポンプの代替的な変化態様にも転用することができる。図10及び図11において説明する代替的な変化態様は、偏心体5の外面6の構造化された表面の代わりに用いられてよい。図10及び図11に基づき規定される変化態様は、特に請求するポンプの変化態様には関係なく、本明細書で説明するものであり、場合によっては分割出願の枠内で継続する可能性がある。

図10及び図11にはそれぞれ、ポンプケーシング2と、偏心体5と、変形可能な部材7とが、図4に示した図面に相応して図示されている。方向に関しては、半径方向28及び周方向27が示されている。ポンプケーシング2と偏心体5との間のポンプギャップ11と、ポンプギャップ11内に配置された変形可能な部材7とが認められる。移動可能なシール9のところで、変形可能な部材7は、偏心体5によってポンプケーシング2に押し当てられる。

偏心体5の外面6における構造化された表面15の代わりに、図10では、構造化された表面15は、変形可能な部材7の、外面6に面した側に形成されている。この構造化された表面15に対しては、図6、図7、図8及び図9に示した全ての変化態様を選択することができる。変形可能な部材7に形成された、このような構造化された表面15に基づき、変形可能な部材7において、図5に示した圧力分布に相当する圧力分布を達成することができる。

図11では、構造化された表面の代わりに、変形可能な部材7の内部に複数のインサート46が部分的に配置されている。これらの材料インサート46は、例えば図6、図7、図8及び図9に示すパターンに相応する、規則的なパターンで配置されていてよい。これらのインサート46に基づき、変形可能な部材7において、図5に示した圧力分布に相当する圧力分布が同様に実現されていてもよい。

図12には、説明する任意のタイプのポンプを図2に示した断面方向B−Bに沿って切断した図が示されている。ポンプの半径方向28と、幾何学上の軸線23とが認められる。図示されているのは、特にポンプケーシング2と、偏心体5と、変形可能な部材7である。図12には、圧送通路8を(軸方向)両側でシールするために、ポンプケーシング2と変形可能な部材7との間で圧送通路8の両側にそれぞれ形成された、環状の軸方向シール20が示されている。これらの環状の軸方向シール20は、例えばポンプケーシング2における変形可能な部材7の緊締又は接着によって生ぜしめられていてよい。

図13に示すポンプ1の断面図は、図2に示したポンプ1の断面図に相当する。図13に示すポンプ1の偏心体5の外面6は、付加的に、構造化された表面15を有さない角度区分41を有している。この角度区分41は、入口3と出口4とに対向するように配置されており、入口3と出口4とをカバーしている。

図14に示す自動車36は、内燃機関37と、この内燃機関37の排ガスを浄化するための排ガス処理装置38とを備えている。排ガス処理装置38内には、選択触媒還元法により内燃機関37の排ガスを浄化することができるSCR触媒39が配置されている。排ガス処理装置38にはインジェクタ34が配置されており、インジェクタ34には、排ガス浄化用の液体を、タンク21から説明したポンプ1を介して供給することができる。このために、タンク21とポンプ1とインジェクタ34とは、導管35を介して互いに接続されている。

1 ポンプ 2 ポンプケーシング 3 入口 4 出口 5 偏心体 6 外面 7 変形可能な部材 8 圧送通路 9 移動可能なシール 10 ポンプ容積 11 ポンプギャップ 12 運転圧力 13 内周面 14 中間面 15 構造化された表面 16 圧力分布 17 局所的な最大圧力 18 局所的な最小圧力 19 波形 20 環状のシール 21 タンク 22 ピン 23 幾何学上の軸線 24 駆動装置 25 固定されたシール 26 駆動軸 27 周方向 28 半径方向 29 偏心体領域 30 軸受輪 31 軸受 32 波山 33 波谷 34 インジェクタ 35 導管 36 自動車 37 内燃機関 38 排ガス処理装置 39 SCR触媒 40 凹部 41 角度区分 42 ゴルフボール表面 43 圧送方向 44 圧力軸線 45 理論上の圧力分布 46 インサート

QQ群二维码
意见反馈