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申请号 JP2001363731 申请日 2001-11-29 公开(公告)号 JP3965982B2 公开(公告)日 2007-08-29
申请人 松下電工株式会社; 发明人 斉 北野; 司 法上; 直幸 近藤;
摘要
权利要求
  • 固定スクロールと可動スクロールとにそれぞれ渦巻き状の羽根部を形成し、一方の羽根部が他方の羽根部間に位置するように固定スクロールと可動スクロールとを重ね合わせ、可動スクロールが所定半径で公転して両方の羽根部間に形成される密閉空間を移動圧縮するスクロール型ポンプにおいて、可動スクロールの背面側に複数の摺動部材を配置し、 摺動部材一個に対して背圧付加手段が一個となるようにそれぞれの摺動部材の背面に背圧付加手段を独立して取り付け、背圧付加手段の伸張により摺動部材を背面側より押圧することで摺動部材を介して可動スクロールを固定スクロールの方へ押圧すると共に、摺動部材を背圧付加手段の伸張方向と直交する方向に撓む範囲内で前記押圧方向と略直交する方向に移動可能とすることを特徴とするスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材を可動スクロールの公転中心を中心とする円周上に等間隔に配置して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 背圧付加手段を固体の弾性体で形成して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 背圧付加手段をゴムで形成して成ることを特徴とする請求項3記載のスクロール型ポンプ。
  • 背圧付加手段をばねで形成して成ることを特徴とする請求項3記載のスクロール型ポンプ。
  • 背圧付加手段をコイルばねで形成して成ることを特徴とする請求項5記載のスクロール型ポンプ。
  • 背圧付加手段をベローズ式の伸縮機構部材で形成して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材をPPS樹脂をベースとしてカーボンフィラーを充填した材料で形成して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材と摺動する可動スクロールの背面角部に面取りを形成して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材の背面に背圧付加手段が係合される摺動部材側の凹部又は凸部を形成して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 背圧付加手段の摺動部材が設けられる側と反対側の端部が取り付けられるハウジングに該背圧付加手段の端部が係合されるハウジング側の凹部又は凸部を形成して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部に背圧付加手段の端部を圧入して取り付けて成ることを特徴とする請求項10又は11記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部とこれに取り付けられる背圧付加手段の端部との間に伸縮変形する部材を介在させて成ることを特徴とする請求項12記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側又はハウジング側の凸部として突起部を設け、背圧付加手段の一端部に前記突起部が嵌入される凹所を形成し、突起部の基部と先端部とをそれぞれ前記凹所の径より小径,大径に形成して成ることを特徴とする請求項12記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側又はハウジング側の凸部として複数の突起を設けると共に背圧付加手段の一端部に前記複数の突起が挿入される凹所を形成し、それぞれの突起の先端部に凹所に被嵌される爪部を形成して成ることを特徴とする請求項12記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部に背圧付加手段の端部を接着して取り付けて成ることを特徴とする請求項10又は11記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部に背圧付加手段の端部をすきまばめ状に挿入して取り付けて成ることを特徴とする請求項10又は11記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部に背圧付加手段の端部を螺子締結して取り付けて成ることを特徴とする請求項10又は11記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材あるいはハウジングを射出成形する時に金型により摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部を一体成形して成ることを特徴とする請求項10又は11記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部を、凸部であれば先端側、凹部であれば奥側に行く程断面積が小さくなるように形成して成ることを特徴とする請求項10又は11記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部を、凸部であれば先端側、凹部であれば奥側に行く程断面積が小さな円錐台側面状に形成して成ることを特徴とする請求項20記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部を、凸部であれば基部側、凹部であれば開口側に円筒側面部を有し、且つ円筒側面部に隣接して凸部であれば円筒側面部の先端側、凹部であれば円筒側面部の奥側に行く程断面積が小さくなるように形成して成ることを特徴とする請求項20記載のスクロール型ポンプ。
  • 摺動部材と背圧付加手段とをインサート成形にて一体に形成して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 背圧付加手段の摺動部材が設けられる側と反対側の端部が取り付けられるハウジングと背圧付加手段とをインサート成形にて一体に形成して成ることを特徴とする請求項1記載のスクロール型ポンプ。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、固定スクロールと可動スクロールとにそれぞれ渦巻き状の羽根部を形成し、一方の羽根部が他方の羽根部間に位置するように固定スクロールと可動スクロールとを重ね合わせ、可動スクロールが所定半径で公転して両方の羽根部間に形成される密閉空間を移動圧縮するスクロール型ポンプに関するものである。
    【0002】
    【従来の技術】
    従来より、固定スクロールと可動スクロールとにそれぞれ渦巻き状の羽根部を形成し、一方の羽根部が他方の羽根部間に位置するように固定スクロールと可動スクロールとを重ね合わせ、可動スクロールが所定半径で公転して両方の羽根部間に形成される密閉空間を移動圧縮するスクロール型ポンプが良く用いられる。
    【0003】
    このようなスクロール型ポンプにあっては、可動スクロールと固定スクロールとの間の密閉空間を移動・圧縮することでポンプ機能を達成するのであるが、密閉空間を圧縮するにしたがって、可動スクロールと固定スクロールとは互いに離れる方向にを受けるものである。 このため、可動スクロールの背面側より可動スクロールを固定スクロールに押圧する背圧付加手段及び、背圧付加手段にて可動スクロールに直接押圧される摺動部材が設けられるものである。
    【0004】
    背圧付加手段及び摺動部材は、図29に示すように、可動スクロール2の下面に円枠状をした摺動部材3'を配置し、この摺動部材3'の背面側に複数の背圧付加手段4を取り付けるものである。
    【0005】
    しかしながら、このようなスクロール型ポンプにあっては、一つの摺動部材3'に複数の背圧付加手段4が取り付けられるものであるため、一つの摺動部材3'を複数の背圧付加手段4にて押圧することによる摺動部材3'に対する背圧のバラつきや摺動部材3'の変形によって、摺動部材3'が可動スクロール2に片当り状に当たって局部的な接触となってしまい、可動スクロール2に均等に背圧力を付加することが不可能であった。
    【0006】
    【発明が解決しようとする課題】
    本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、摺動部材が複数の背圧付加手段によって押圧されるもののように背圧のバラつきや摺動部材の変形によって摺動部材が可動スクロールに片当り状に当たってしまうことがなく、可動スクロールに均等に背圧力を付加することができるスクロール型ポンプを提供することを課題とするものである。
    【0007】
    【課題を解決するための手段】
    上記課題を解決するために本発明に係るスクロール型ポンプは、固定スクロール1と可動スクロール2とにそれぞれ渦巻き状の羽根部10,20を形成し、一方の羽根部10が他方の羽根部20間に位置するように固定スクロール1と可動スクロール2とを重ね合わせ、可動スクロール2が所定半径で公転して両方の羽根部10,20間に形成される密閉空間Sを移動圧縮するスクロール型ポンプにおいて、可動スクロール2の背面側に複数の摺動部材3を配置し、 摺動部材3一個に対して背圧付加手段4が一個となるようにそれぞれの摺動部材3の背面に背圧付加手段4を独立して取り付け、背圧付加手段4の伸張により摺動部材3を背面側より押圧することで摺動部材3を介して可動スクロール2を固定スクロール1の方へ押圧すると共に、摺動部材3を背圧付加手段4の伸張方向と直交する方向に撓む範囲内で前記押圧方向と略直交する方向に移動可能とすることを特徴とするものである。 このような構成とすることで、摺動部材3が複数の背圧付加手段4によって押圧される場合に背圧のバラつきや摺動部材3の変形によって摺動部材3が可動スクロール2に片当り状に当たってしまうようなことを防止することができる。 また、摺動部材3の押圧方向と略直交する方向に摺動部材3が移動可能となっているため、摺動部材3がハウジング5に固定されて相対的な運動ができない場合と比べて、摺動部材3と可動スクロール2との間での摩擦,発熱が低減される。
    【0008】
    また、摺動部材3を可動スクロール2の公転中心を中心とする円周上に等間隔に配置することが好ましい。 このような構成とすることで、摺動部材3にて可動スクロール2を均等に押圧することが可能となる。
    【0009】
    また、背圧付加手段4を固体の弾性体で形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4の力−変位関係により安定した背圧力が得られるように設計可能となる。
    【0010】
    また、背圧付加手段4をゴムで形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4の力−変位関係により安定した背圧力が得られるように設計可能となる。
    【0011】
    また、背圧付加手段4をばねで形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4の力−変位関係が線形となって安定した背圧力が得られるように設計可能となる。
    【0012】
    また、背圧付加手段4をコイルばねで形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4の力−変位関係が線形となって安定した背圧力が得られるように設計可能となる。
    【0013】
    また、背圧付加手段4をベローズ式の伸縮機構部材で形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧力の変動を抑えることができると共に、振動を減衰させることでこれを低減し、騒音も低減することができ、安定して可動スクロール2を支持することが可能となる。
    【0014】
    また、摺動部材3をPPS樹脂をベースとしてカーボンフィラーを充填した材料で形成することが好ましい。 このような構成とすることで、摺動部材3が変形し難くなり局部的な摩耗が生じるのを抑えることができ、消費電力が小さくなると共に耐摩耗性が向上してポンプ特性の低下が抑制され、スクロール型ポンプの長寿命化が図られる。
    【0015】
    また、摺動部材3と摺動する可動スクロール2の背面部に面取り2aを形成することが好ましい。 このような構成とすることで、摺動部材3と可動スクロール2の摩耗や応力集中、摩擦力を低減することができて、スクロール型ポンプの長寿命化が図られると共に消費電力が低減される。
    【0016】
    また、摺動部材3の背面に背圧付加手段4が係合される摺動部材3側の凹部31又は凸部32を形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4の摺動部材3に対する組立て性及び位置決め精度が向上する。
    【0017】
    また、背圧付加手段4の摺動部材3が設けられる側と反対側の端部が取り付けられるハウジング5に該背圧付加手段4の端部が係合されるハウジング5側の凹部52又は凸部53を形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4のハウジング5に対する組立て性及び位置決め精度が向上する。
    【0018】
    また、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53に背圧付加手段4の端部を圧入して取り付けることが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4と摺動部材3あるいはハウジン5グとが確実に固定されて、スクロール型ポンプの作動中に背圧付加手段4が摺動部材3あるいはハウジング5より外れるのを防止することができる。
    【0019】
    また、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53とこれに取り付けられる背圧付加手段4の端部との間に伸縮変形する部材81を介在させることが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4と摺動部材3あるいはハウジング5との間に生じる力を緩和することができて応力が低減され、これらの部品の変形,破壊を防止することができるものである。
    【0020】
    また、摺動部材3側又はハウジング5側の凸部32,53として突起部60を設け、背圧付加手段4の一端部に前記突起部60が嵌入される凹所43を形成し、突起部60の基部61と先端部62とをそれぞれ前記凹所43の径より小径,大径に形成することが好ましい。 このような構成とすることで、摺動部材3あるいはハウジング5の突起部60を背圧付加手段4の凹所43に嵌め込むと、突起部60の先端部62は凹所43内に弾圧されると共に、基部61が位置する凹所43の開口縁は突起部60の先端部62より小径となるため、スクロール型ポンプの作動中に背圧付加手段4が摺動部材3あるいはハウジング5より抜け落ちるのを防止することができる。
    【0021】
    また、摺動部材3側又はハウジング5側の凸部32,53として複数の突起63を設けると共に背圧付加手段4の一端部に前記複数の突起63が挿入される凹所43を形成し、それぞれの突起63の先端部62に凹所43に被嵌される爪部64を形成することが好ましい。 このような構成とすることで、爪部64を形成した突起63を片持ち状に設けてあるので容易に突起63が撓んで背圧付加手段4の凹所43に嵌入することができ、突起63を背圧付加手段4の凹所43に嵌入後には突起63の弾性復元力にて爪部64が背圧付加手段4の凹所43を弾圧して、スクロール型ポンプの作動中に背圧付加手段4が摺動部材3あるいはハウジング5より抜け落ちるのを防止することができる。
    【0022】
    また、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53に背圧付加手段4の端部を接着して取り付けることが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4と摺動部材3あるいはハウジング5とを容易に固定することができ、スクロール型ポンプの作動中に背圧付加手段4が摺動部材3あるいはハウジング5より抜け落ちるのを防止することができ、また、摺動部材3と背圧付加手段4との間でのガタつきが無くなり、振動・騒音やこの間の摺動による部品の損傷を低減することができる。
    【0023】
    また、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53に背圧付加手段4の端部をすきまばめ状に挿入して取り付けることが好ましい。 このような構成とすることで、摺動部材3あるいはハウジング5を背圧付加手段4に取り付けるのに力を加えることなく容易に組立てることが可能となる。
    【0024】
    また、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53に背圧付加手段4の端部を螺子締結して取り付けることが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4を摺動部材3あるいはハウジング5に取り付けるのに力を加えることなく容易に組立てることが可能となる。
    【0025】
    また、摺動部材3あるいはハウジング5を射出成形する時に金型82により摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53を一体成形することが好ましい。 このような構成とすることで、摺動部材3と凸部32とを別々に形成して取り付けるものと比較して部品点数が低減される。
    【0026】
    また、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53を、凸部であれば先端側、凹部であれば奥側に行く程断面積が小さくなるように形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4を摺動部材3又はハウジング5に取り付ける際に背圧付加手段4がテーパによって誘導され、取付位置からずれることなく取り付けることができる。
    【0027】
    また、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53を、凸部であれば先端側、凹部であれば奥側に行く程断面積が小さな円錐台側面状に形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4を摺動部材3又はハウジング5に取り付ける際に背圧付加手段4がテーパによって誘導され、取付位置からずれることなく取り付けることができる。
    【0028】
    また、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53を、凸部であれば基部61側、凹部であれば開口側に円筒側面部33を有し、且つ円筒側面部33に隣接して凸部32であれば円筒側面部33の先端側、凹部であれば円筒側面部33の奥側に行く程断面積が小さくなるように形成することが好ましい。 このような構成とすることで、背圧付加手段4を摺動部材3又はハウジング5に取り付ける際に背圧付加手段4がテーパによって誘導され、取付位置からずれることなく取り付けることができると共に、円筒側面部33が凹所43に嵌入されてスクロール型ポンプの作動中に摺動部材3が抜け落ちるのを防止することができる。
    【0029】
    また、摺動部材3と背圧付加手段4とをインサート成形にて一体に形成することが好ましい。 このような構成とすることで、摺動部材3と背圧付加手段4とを確実に固定することができると共に、摺動部材3に別体の背圧付加手段4を取り付ける作業が省略される。
    【0030】
    また、背圧付加手段4の摺動部材3が設けられる側と反対側の端部が取り付けられるハウジング5と背圧付加手段4とをインサート成形にて一体に形成することが好ましい。 このような構成とすることで、摺動部材3とハウジング5とを確実に固定することができると共に、摺動部材3に別体のハウジング5を取り付ける作業が省略される。
    【0031】
    【発明の実施の形態】
    以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
    【0032】
    本実施形態のスクロール型ポンプは、図1,図2に示すように、ハウジング5と、ハウジング5に固定される固定スクロール1と、固定スクロール1に対して相対運動を行う可動スクロール2と、可動スクロール2を固定スクロール1側に押圧するための背圧付加手段4及び摺動部材3と、可動スクロール2を駆動するモータ71とで主体が構成される。
    【0033】
    ハウジング5は、上面側に可動スクロール2が配設されると共に固定スクロール1が固定され、下面側にモータ71が配設されるものである。
    【0034】
    ハウジング5は、大略で高さが低い有底円筒状をしたもので、底板部51の中央部には貫通穴51aが穿設され、モータ71の出力軸71a及び偏芯カム72等からなる駆動部が配設される。 モータ71は上下蓋面を有する円筒状をしたもので、その上蓋面がハウジング5の底板部51の下面に当接され、上蓋面より突出した出力軸71aがハウジング5の底板部51の貫通穴51aに挿通される。 そしてこのモータ71の出力軸71aは、偏芯カム72の下端部に穿設した出力軸孔73に嵌入される。 偏芯カム72は、平面視中央部の下端部に出力軸71aが嵌入される上述した出力軸孔73が穿設され、上面には、平面視中央部から偏芯した位置に遊嵌孔74が穿孔されて後述する可動スクロール2の下突部21が遊嵌される。
    【0035】
    可動スクロール2は、背面即ち下面が摺動平面となる平面視略円形状をした鏡板で、その上面側には渦巻き状をした羽根部20が形成される。 また、可動スクロール2の平面視中央部の下面側には、下突部21が下方に突設される。 下突部21は、その径が偏芯カム72の遊嵌孔74の径より小さく形成され、遊嵌孔74に遊嵌されるものである。 このように、偏芯カム72を介してモータ71に接続される可動スクロール2は、モータ71の出力軸71aの回転によって偏芯カム72が出力軸孔73を中心に回転し、これによって偏芯カム72の遊嵌孔74及びこの遊嵌孔74に遊嵌される可動スクロール2の下突部21が出力軸孔73を中心に偏芯量を所定半径として回転することで、可動スクロール2が平面視においてモータ71の出力軸71a(即ち偏芯カム72の出力軸孔73)を中心に前記所定半径の旋回運動を行うものである。 なお、本実施形態では、可動スクロール2はオルダムリング75によって自転を伴わない公転のみの旋回運動を行うものであり、これについては後で説明する。 そして、このような旋回運動を行う可動スクロール2は、これと重なり合うように配置される固定スクロール1との協同によって、密閉空間Sを形成してこの密閉空間Sを移動圧縮してポンプとしての機能を果たすものである。
    【0036】
    固定スクロール1は、平面視略円形状をした大略板状のもので、その下面側には可動スクロール2と同様の渦巻き状をした羽根部10が形成される。 この固定スクロール1の羽根部10と可動スクロール2の羽根部20とは、一方の羽根部が他方の羽根部の間に配置可能なように平面視において同方向に渦巻くように形成されるものである。 この固定スクロール1は、ハウジング5の側筒部上端に固定され、その羽根部10が可動スクロール2の羽根部20の間に位置するように可動スクロール2に重ね合わせて配置される。 なお、図中84は固定スクロール1と可動スクロール2との間に介在される摺動材を示す。
    【0037】
    次に、オルダムリング75による可動スクロール2の自転を伴わない公転のみの旋回運動について説明する。 オルダムリング75は、平面視円形状の枠部材で、可動スクロール2とハウジング5の底板部51との間に配置される。 オルダムリング75には、上面(即ち可動スクロール2側の面)の円周上の対向する2点に上係合突起75a(図示せず)を突設し、下面(即ちハウジング5側の面)の円周上の対向する2点に下係合突起75b(図示せず)を突設するのであるが、上係合突起75a同士を結ぶ線分と下係合突起75b同士を結ぶ線分とが平面視において直交するように突設してある。 また、ハウジング5の底板部51の上面には、オルダムリング75の下係合突起75bが係合される下係合溝56が平面視直線状に形成してあり、オルダムリング75を底板部51の貫通穴51aの周りに配置してその下係合突起75bを下係合溝56に係合させることで、オルダムリング75がハウジング5に対して下係合溝56方向、即ちオルダムリング75の下係合突起75b同士を結ぶ線分方向に移動自在に係合されるものである。 これと同様にして、可動スクロール2の下面には、オルダムリング75の上係合突起75aが係合される上係合溝22が平面視直線状に形成してあり、オルダムリング75の上係合突起75aを可動スクロール2の上係合溝22に係合させることで、オルダムリング75が可動スクロール2に対してオルダムリング75の上係合突起75a同士を結ぶ線分方向に移動自在に係合されるものである。
    【0038】
    このようにすることで、オルダムリング75を介して可動スクロール2がハウジング5に対して自転を伴わない公転のみによる旋回運動を行うことが可能となり、これによって、可動スクロール2の羽根部20と固定スクロール1の羽根部10との間に形成される密閉空間Sが外周側から中心側へと容積を小さくしながら移動・圧縮され、固定スクロール1の中心部に形成された吐出口11より吐出されるものである。
    【0039】
    また、本実施形態では、偏芯カム72に遊嵌孔74が形成されるスライダー76を設けてある。 これは、図に示すように、偏芯カム72の上端部にスライド溝77を形成し、これに遊嵌孔74を形成したスライダー76をスライド自在に嵌め込むと共に、スライド溝77の一側壁とスライダー76との間に弾性体78を介在させてスライダー76を付勢するもので、これによって可動スクロール2の羽根部20が固定スクロール1の羽根部10に確実に接触して密閉空間Sの密閉度を高くすることができる。
    【0040】
    上記のようにして、可動スクロール2と固定スクロール1との間の密閉空間Sを移動圧縮するのであるが、密閉空間Sを圧縮するにしたがって、可動スクロール2と固定スクロール1とは互いに離れる方向に力を受けるものである。 このため、可動スクロール2の背面側より可動スクロール2を固定スクロール1に押圧する背圧付加手段4及び、背圧付加手段4にて可動スクロール2に直接押圧される摺動部材3を設けるものである。
    【0041】
    背圧付加手段4は、本実施形態ではコイルばねからなるものである。 この背圧付加手段4は、ハウジング5の底板部51の上面の取付部55に下端部が嵌入されて取り付けられる。 取付部55は、コイルばねの径とほぼ同径の略円筒状をしたもので、ハウジング5の底板部51の上面において平面視でモータ71の出力軸71aを中心とする円周上に等間隔に8個設けられ、その内部に形成される上方に開口した凹部52に背圧付加手段4のコイルばねが嵌入される。 これによって可動スクロール2を均等に押圧することができる。 そして、背圧付加手段4の上端部には、摺動部材3が取り付けられる。
    【0042】
    摺動部材3は、略円板状をしたもので、本実施形態ではPPS樹脂をベースとしてカーボンフィラーを充填した材料で形成される。 この摺動部材3は、背圧付加手段4一個に対して一個設けられるもので、本実施形態では図14に示すように、摺動部材3にはその背面即ち下面に凸部32が形成してあり、この凸部32を背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43に嵌め込んで取り付け、摺動部材3の上面が可動スクロール2を上方へ押圧しながら可動スクロール2の下面に摺接するものである。
    【0043】
    また、背圧付加手段4は、摺動部材3の押圧方向と略直交する方向に摺動部材3が移動可能となっている。 即ち本実施形態では、背圧付加手段4はコイルばねで形成してあり、コイルばねの下端部がハウジング5に取り付けてあるため、コイルばねの上端部に取り付けてある摺動部材3は、コイルばねが伸張方向と直交する方向に撓む範囲内で、押圧方向(即ち上方向)と略直交する方向(横方向)に移動可能となっている。
    【0044】
    以上のような構成によれば、背圧付加手段4によって摺動部材3を介して可動スクロール2が固定スクロール1側に押圧され、可動スクロール2と固定スクロール1とで密閉空間Sを移動圧縮する際に可動スクロール2と固定スクロール1とが互いに離れる方向に力がかかっても、背圧付加手段4の背圧力でこれらが離れて密閉空間Sの密閉度が低下するのを防止することができる。 そして摺動部材3は、背圧付加手段4一個に対して一個設けてあるので、摺動部材3が複数の背圧付加手段4によって押圧される場合に背圧のバラつきや摺動部材3の変形によって摺動部材3が可動スクロール2に片当り状に当たってしまうようなことを防止することができる。 また、背圧付加手段4は、摺動部材3の押圧方向と略直交する方向に摺動部材3が移動可能となっているため、摺動部材3がハウジング5に固定されて相対的な運動ができない場合と比べて、摺動部材3と可動スクロール2との間での摩擦,発熱が低減される。
    【0045】
    なお、摺動部材3の材料としては、本実施形態では上述したようにPPS樹脂をベースとしてカーボンフィラーを充填した材料を用いるものである。 これは、摺動部材3に変形及び摩耗が発生し難いために用いるもので、ポリフェニレンサルファイド樹脂にカーボン繊維を充填したものである。 これによって、剛性が高いポリフェニレンサルファイド樹脂にカーボン繊維を加えて更に剛性を高め、カーボン繊維の高摺動性及び耐摩耗性が加わることで、摺動部材3が変形し難くなり局部的な摩耗を抑えることができ、消費電力が小さくなると共に耐摩耗性が向上してポンプ特性の低下が抑制されて長寿命化が図られる。 ちなみに、摺動部材の材料として、金属が用いられる場合には剛性は高いものの耐摩耗性が劣ることになり、ポリエチレンやテトラフルオロエチレンやポリアセタール等の合成樹脂が用いられる場合には摺動性及び耐摩耗性が優れるものの剛性が低くなるものであり、ポリフェニレンサルファイドのような剛性の高い合成樹脂にポリエチレンやテトラフルオロエチレンやポリアセタール等の合成樹脂を分散したものの場合には摺動性が改善されるものの耐摩耗性の改善効果が小さいものであった。
    【0046】
    また、背圧付加手段4をコイルばねで形成してあることで、コイルばねは力−変位関係が線形であるため安定した背圧力が得られるように設計することが容易となると共に、押圧方向と略直交する方向へも大きく移動可能とすることができる。 更に、コイルばねは他のばねと比較して弾性係数を小さく形成することが可能であるため、同じ大きさの力に対して撓み量を大きくすることができ、部品の製造誤差による背圧力のばらつきを抑えることができる。
    【0047】
    また、図11に示すように、摺動部材3と摺動する可動スクロール2の背面角部に面取り2aを形成してあってもよい。 また更に、図12に示すように、摺動部材3の可動スクロール2と摺動する上面角部に面取り3aを形成してあってもよい。 これは、摺動部材3,可動スクロール2の平面度の精度が悪い場合に、可動スクロール2の摺動面が傾いて摺動部材3や可動スクロール2の角部に接触して摩耗したり、摩擦力が増加してしまうのを予め面取りを形成しておくことで防止するものである。 これによって、摺動部材3と可動スクロール2の摩耗や応力集中、摩擦力を低減することができて、スクロール型ポンプの長寿命化が図られると共に消費電力が低減される。
    【0048】
    また、背圧付加手段4としてはコイルばねに限定されず、例えば板ばねのように一般的なばね、更には固体の弾性体で形成してあってもよい。 このようにすることで、背圧付加手段4の力−変位関係により(ばねの場合には力−変位関係は線形)安定した背圧力が得られるように設計可能となる。 また、図7に示すように、背圧付加手段4をゴムで形成してあってもよい。 このようにすることで、金属製のコイルばね等からなる背圧付加手段4を用いる場合と比較して、振動・騒音を低減させることが可能となると共に、軽量化することも可能となる。
    【0049】
    次に、摺動部材3やハウジング5への背圧付加手段4の取り付け方法の他例について説明する。 まず、摺動部材3を上述したようなコイルばねからなる背圧付加手段4の上端部に取り付ける方法について説明する。
    【0050】
    これは、図16に示すように、摺動部材3の凸部32を背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43に圧入して取り付けるものである。 摺動部材3の凸部32の径はコイルばねの上端凹所43の径より大きく形成してあり、摺動部材3の凸部32をコイルばねの上端凹所43にしまり嵌め状に嵌め込むものである。 このようにすることで、摺動部材3と背圧付加手段4とが確実に固定されて、スクロール型ポンプの作動中に摺動部材3が外れるのを防止することができる。
    【0051】
    また、図17に示すように、摺動部材3側の凸部32と該凸部32が嵌め込まれる背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43との間に伸縮変形する部材81を介在させてもよい。 伸縮変形する部材81としては、加硫ゴム,エラストマー、シリコンゴム等のゴム弾性を有する材料が好ましいものである。 伸縮変形する部材81は、円枠状に形成してあり、その内径を摺動部材3の凸部32の外形とほぼ同径に形成してこの凸部32に圧入して被嵌する。 なお、圧入する方法としては、熱可塑製性樹脂を射出成形して摺動部材3を形成し、その後で伸縮変形する部材81を熱可塑性エラストマーを用いて背圧付加手段4の内径に対して圧入可能な形状の金型82に射出成形して一体形成してもよい。 このようにすることで、摺動部材3と背圧付加手段4との間に生じる力を緩和することができて、摺動部材3と背圧付加手段4との間の応力が低減され、これらの部品の変形,破壊を防止することができるものである。
    【0052】
    また、図18に示すように、摺動部材3の凸部32として突起部60を設け、この突起部60の基部61と先端部62とをそれぞれ背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43の径より小径,大径に形成し、コイルばねの上端凹所43に嵌め込んでもよい。 突起部60は、摺動部と突起部60とを別々に作製した後で、突起部60を接着,圧入,ねじ止め等の方法によって固定することができる。 このようにすることで、摺動部材3の突起部60を背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43に嵌め込むと、突起部60の先端部62はコイルばねの上端凹所43内に弾圧されると共に、基部61が位置するコイルばねの上端凹所43の開口縁は突起部60の先端部62より小径となるため、スクロール型ポンプの作動中に摺動部材3が背圧付加手段4から抜け落ちるのを防止することができる。
    【0053】
    また、図19に示すように、摺動部材3の凸部32として二個の突起63を設け、それぞれの突起63の先端部に凹所43に被嵌される爪部64を形成し、背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43に嵌め込んでもよい。 本実施形態においては突起63は二個形成されるものであるが、本数については特に限定されない。 複数の突起63の先端部には外側に突出する爪部64を設け、片持ち状の爪部64をコイルばねの上端凹所43に嵌入して摺動部材3を背圧付加手段4に取り付けるものである。 このようにすることで、突起63,爪部64を片持ち状に形成してあるので容易に突起63が撓んでコイルばねの上端凹所43に嵌入することができ、突起63をコイルばねの上端凹所43に嵌入後には突起63の弾性復元力にて爪部64がコイルばねの上端凹所43を弾圧して、スクロール型ポンプの作動中に摺動部材3が背圧付加手段4から抜け落ちるのを防止することができる。 また、突起63の突出基部には応力が集中するため、図19(b)のように応力集中を回避するためのRを設けてもよい。
    【0054】
    また、図20に示すように、摺動部材3の凸部32と背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43とを接着材83にて接着してもよい。 このようにすることで、摺動部材3と背圧付加手段4とを容易に固定することができ、スクロール型ポンプの作動中に摺動部材3が背圧付加手段4から抜け落ちるのを防止することができる。 また、摺動部材3と背圧付加手段4との間でのガタつきが無くなり、振動・騒音やこの間の摺動による部品の損傷を低減することができる。
    【0055】
    また、図21に示すように、摺動部材3の凸部32を背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43にすきまばめ状に挿入して取り付けてもよい。 このようにすることで、摺動部材3を背圧付加手段4に取り付けるのに力を加えることなく容易に組立てることが可能となる。
    【0056】
    また、図22に示すように、摺動部材3の凸部32に螺子部を形成し、背圧付加手段4のコイルばねの上端凹所43に螺子締結してもよい。 本例では摺動部材3の凸部32に雄螺子を形成するものであるが、これは摺動部材3側又はハウジング5側の凸部32,53に螺子部を形成する場合には雄螺子部を、摺動部材3側又はハウジング5側の凹部31,52に螺子部を形成する場合には雌螺子部を形成するものである。 更に本例の場合には、コイルばねの上端凹所43内においてコイル間の凹みを雌螺子として利用するものである。 このようにすることで、摺動部材3を背圧付加手段4に取り付けるのに力を加えることなく容易に組立てることが可能となる。
    【0057】
    また、図23に示すように、摺動部材3を射出成形する金型82に凸部32となる部分を形成し、射出成形によって摺動部材3と凸部32とを一体成形してもよい。 本例では摺動部材3に凸部32を一体に形成するものであるが、これは摺動部材3あるいはハウジング5を射出成形する時に金型82により摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53を一体成形するものである。 このようにすることで、摺動部材3と凸部32とを別々に形成して取り付けるものと比較して部品点数が低減される。
    【0058】
    また、摺動部材3の凸部32は、図25に示すように、先端側に行く程断面積が小さな円錐台側面状に形成してもよい。 本例では摺動部材3に凸部32を円錐台側面状に形成するものであるが、摺動部材3側又はハウジング5側の凹部31,52を奥側に行く程断面積が小さくなるテーパ状に(図24(a)(b)参照)、摺動部材3側又はハウジング5側の凸部32,53を先端側に行く程断面積が小さくなるテーパ状に(図24(c)(d)参照)、特に円錐台側面状に形成するものである。 このようにすることで、背圧付加手段4を摺動部材3やハウジング5に取り付ける際に背圧付加手段4がテーパによって誘導され、取付位置からずれることなく取り付けることができる。
    【0059】
    また、図26に示すように、摺動部材3の凸部32の基部側に円筒側面部33を形成し、この円筒側面部33の先端側を上述したようなテーパ状に形成してもよい。 本例では摺動部材3の凸部32に円筒側面部33とその先端側をテーパ状に形成するものであるが、これは、摺動部材3側の凹部31又は凸部32あるいはハウジング5側の凹部52又は凸部53を、凸部であれば基部側、凹部であれば開口側に円筒側面部33を有し、且つ円筒側面部33に隣接して凸部32であれば円筒側面部33の先端側、凹部であれば円筒側面部33の奥側に行く程断面積が小さくなるようにするものである。 このようにすることで、背圧付加手段4を摺動部材3やハウジング5に取り付ける際に背圧付加手段4がテーパによって誘導され、取付位置からずれることなく取り付けることができると共に、円筒側面部33が背圧付加手段4の上端凹所43に嵌入されてスクロール型ポンプの作動中に摺動部材3が背圧付加手段4から抜け落ちるのを防止することができる。
    【0060】
    また、摺動部材3と背圧付加手段4,ハウジング5とは、インサート成形にて一体に形成してもよい。 これは、図27に示すように、摺動部材3とコイルばねとをインサート成形にて一体に形成したり、図28に示すように、コイルばねの摺動部材3が設けられる側と反対側の端部が取り付けられるハウジング5とコイルばねとをインサート成形にて一体に形成したりするものである。 このようにすることで、摺動部材3と背圧付加手段4,ハウジング5とを確実に固定することができると共に、摺動部材3に別体の背圧付加手段4,ハウジング5を取り付ける作業が省略される。
    【0061】
    次に、図9に示すように、背圧付加手段4として、ベローズ式の伸縮機構部材を用いてもよい。 これは、大略円筒状をした表皮をベローズ式の伸縮機構部材で形成し、その内部空間に気体を加圧封入するものである。 このベローズ式の伸縮機構部材は、組立て時にはベローズの内部には気体は封入せずに無負荷状態としておき、スクロール型ポンプ使用時に内部に気体を加圧封入するに従って、ベローズ式の伸縮機構部材が伸張して背圧力が上昇するもので、背圧力はベローズの剛性と内部に加圧封入する気体の圧力とによって決定される。 このようなベローズ式の伸縮機構部材は、上端部に取り付けられる摺動部材3が伸張方向と直交する方向にも移動可能となっている。 このようなベローズ式の伸縮機構部材を用いることで、背圧力の変動を抑えることができると共に、振動を減衰させることでこれを低減し、騒音も低減することができ、安定して可動スクロール2を支持することができる。
    【0062】
    【発明の効果】
    上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、固定スクロールと可動スクロールとにそれぞれ渦巻き状の羽根部を形成し、一方の羽根部が他方の羽根部間に位置するように固定スクロールと可動スクロールとを重ね合わせ、可動スクロールが所定半径で公転して両方の羽根部間に形成される密閉空間を移動圧縮するスクロール型ポンプにおいて、可動スクロールの背面側に複数の摺動部材を配置し、 摺動部材一個に対して背圧付加手段が一個となるようにそれぞれの摺動部材の背面に背圧付加手段を独立して取り付け、背圧付加手段の伸張により摺動部材を背面側より押圧することで摺動部材を介して可動スクロールを固定スクロールの方へ押圧すると共に、摺動部材を背圧付加手段の伸張方向と直交する方向に撓む範囲内で前記押圧方向と略直交する方向に移動可能としたので、可動スクロールと固定スクロールとで密閉空間を移動圧縮する際に可動スクロールと固定スクロールとが互いに離れる方向に力がかかっても、背圧付加手段の背圧力でこれらが離れて密閉空間の密閉度が低下するのを防止することができると共に、摺動部材が背圧付加手段一個に対して一個設けてあるので、摺動部材が複数の背圧付加手段によって押圧される場合に背圧のバラつきや摺動部材の変形によって摺動部材が可動スクロールに片当り状に当たってしまうようなことを防止することが可能となる。 また、摺動部材の押圧方向と略直交する方向に摺動部材が移動可能となっているため、摺動部材がハウジングに固定されて相対的な運動ができない場合と比べて、摺動部材と可動スクロールとの間での摩擦,発熱が低減される。
    【0063】
    また請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、摺動部材を可動スクロールの公転中心を中心とする円周上に等間隔に配置したので、可動スクロールを均等に押圧することが可能となる。
    【0064】
    また請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、背圧付加手段を固体の弾性体で形成したので、背圧付加手段の力−変位関係が線形となって安定した背圧力が得られるように設計可能となる。
    【0065】
    また請求項4記載の発明にあっては、上記請求項3記載の発明の効果に加えて、背圧付加手段をゴムで形成したので、背圧付加手段の力−変位関係が線形となって安定した背圧力が得られるように設計可能となる。
    【0066】
    また請求項5記載の発明にあっては、上記請求項3記載の発明の効果に加えて、背圧付加手段をばねで形成したので、背圧付加手段の力−変位関係が線形となって安定した背圧力が得られるように設計可能となる。
    【0067】
    また請求項6記載の発明にあっては、上記請求項5記載の発明の効果に加えて、背圧付加手段をコイルばねで形成したので、背圧付加手段の力−変位関係が線形となって安定した背圧力が得られるように設計可能となる。
    【0068】
    また請求項7記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、背圧付加手段をベローズ式の伸縮機構部材で形成したので、背圧力の変動を抑えることができると共に、振動を減衰させることでこれを低減し、騒音も低減することができ、安定して可動スクロールを支持することが可能となる。
    【0069】
    また請求項8記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、摺動部材をPPS樹脂をベースとしてカーボンフィラーを充填した材料で形成したので、摺動部材が変形し難くなり局部的な摩耗を抑えることができ、消費電力が小さくなると共に耐摩耗性が向上してポンプ特性の低下が抑制されて長寿命化が図られる。
    【0070】
    また請求項9記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、摺動部材と摺動する可動スクロールの背面角部に面取りを形成したので、摺動部材と可動スクロールの摩耗や応力集中、摩擦力を低減することができて、スクロール型ポンプを長寿命化が図られると共に消費電力が低減される。
    【0071】
    また請求項10記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、摺動部材の背面に背圧付加手段が係合される摺動部材側の凹部又は凸部を形成したので、背圧付加手段の摺動部材に対する組立て性及び位置決め精度が向上する。
    【0072】
    また請求項11記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、背圧付加手段の摺動部材が設けられる側と反対側の端部が取り付けられるハウジングに該背圧付加手段の端部が係合されるハウジング側の凹部又は凸部を形成したので、背圧付加手段のハウジングに対する組立て性及び位置決め精度が向上する。
    【0073】
    また請求項12記載の発明にあっては、上記請求項10又は11記載の発明の効果に加えて、摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部に背圧付加手段の端部を圧入して取り付けたので、背圧付加手段と摺動部材あるいはハウジングとが確実に固定されて、スクロール型ポンプの作動中に背圧付加手段が摺動部材あるいはハウジングより外れるのを防止することができる。
    【0074】
    また請求項13記載の発明にあっては、上記請求項12記載の発明の効果に加えて、摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部とこれに取り付けられる背圧付加手段の端部との間に伸縮変形する部材を介在させたので、背圧付加手段と摺動部材あるいはハウジングとの間に生じる力を緩和することができて、背圧付加手段と摺動部材あるいはハウジングとの間の力が低減され、これらの部品の変形,破壊を防止することができるものである。
    【0075】
    また請求項14記載の発明にあっては、上記請求項12記載の発明の効果に加えて、摺動部材側又はハウジング側の凸部として突起部を設け、背圧付加手段の一端部に前記突起部が嵌入される凹所を形成し、突起部の基部と先端部とをそれぞれ前記凹所の径より小径,大径に形成したので、摺動部材あるいはハウジングの突起部を背圧付加手段の凹所に嵌め込むと、突起部の先端部は凹所内に弾圧されると共に、基部が位置する凹所の開口縁は突起部の先端部より小径となるため、スクロール型ポンプの作動中に背圧付加手段が摺動部材あるいはハウジングより抜け落ちるのを防止することができる。
    【0076】
    また請求項15記載の発明にあっては、上記請求項12記載の発明の効果に加えて、摺動部材側又はハウジング側の凸部として複数の突起を設けると共に背圧付加手段の一端部に前記複数の突起が挿入される凹所を形成し、それぞれの突起の先端部に凹所に被嵌される爪部を形成したので、爪部を形成した突起を片持ち状に設けてあるので容易に突起が撓んで背圧付加手段の凹所に嵌入することができ、突起を背圧付加手段の凹所に嵌入後には突起の弾性復元力にて爪部が背圧付加手段の凹所を弾圧して、スクロール型ポンプの作動中に摺動部材が背圧付加手段から抜け落ちるのを防止することができる。
    【0077】
    また請求項16記載の発明にあっては、上記請求項10又は11記載の発明の効果に加えて、摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部に背圧付加手段の端部を接着して取り付けたので、背圧付加手段と摺動部材あるいはハウジングとを容易に固定することができ、スクロール型ポンプの作動中に背圧付加手段が摺動部材あるいはハウジングから抜け落ちるのを防止することができ、また、背圧付加手段と摺動部材あるいはハウジングとの間でのガタつきが無くなり、振動・騒音やこの間の摺動による部品の損傷を低減することができる。
    【0078】
    また請求項17記載の発明にあっては、上記請求項10又は11記載の発明の効果に加えて、摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部に背圧付加手段の端部をすきまばめ状に挿入して取り付けたので、背圧付加手段を摺動部材あるいはハウジングに取り付けるのに力を加えることなく容易に組立てることが可能となる。
    【0079】
    また請求項18記載の発明にあっては、上記請求項10又は11記載の発明の効果に加えて、摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部に背圧付加手段の端部を螺子締結して取り付けたので、背圧付加手段を摺動部材又はハウジングに取り付けるのに力を加えることなく容易に組立てることが可能となる。
    【0080】
    また請求項19記載の発明にあっては、上記請求項10又は11記載の発明の効果に加えて、摺動部材あるいはハウジングを射出成形する時に金型により摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部を一体成形したので、摺動部材と凸部とを別々に形成して取り付けるものと比較して部品点数が低減される。
    【0081】
    また請求項20記載の発明にあっては、上記請求項10又は11記載の発明の効果に加えて、摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部を、凸部であれば先端側、凹部であれば奥側に行く程断面積が小さくなるように形成したので、背圧付加手段を摺動部材又はハウジングに取り付ける際に背圧付加手段がテーパによって誘導され、取付位置からずれることなく取り付けることができる。
    【0082】
    また請求項21記載の発明にあっては、上記請求項20記載の発明の効果に加えて、摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部を、凸部であれば先端側、凹部であれば奥側に行く程断面積が小さな円錐台側面状に形成したので、背圧付加手段を摺動部材又はハウジングに取り付ける際に背圧付加手段がテーパによって誘導され、取付位置からずれることなく取り付けることができる。
    【0083】
    また請求項22記載の発明にあっては、上記請求項20記載の発明の効果に加えて、摺動部材側の凹部又は凸部あるいはハウジング側の凹部又は凸部を、凸部であれば基部側、凹部であれば開口側に円筒側面部を有し、且つ円筒側面部に隣接して凸部であれば円筒側面部の先端側、凹部であれば円筒側面部の奥側に行く程断面積が小さくなるように形成したので、背圧付加手段を摺動部材やハウジングに取り付ける際に背圧付加手段がテーパによって誘導され、取付位置からずれることなく取り付けることができと共に、円筒側面部が凹所に嵌入されてスクロール型ポンプの作動中に摺動部材が抜け落ちるのを防止することができる。
    【0084】
    また請求項23記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、摺動部材と背圧付加手段とをインサート成形にて一体に形成したので、摺動部材と背圧付加手段とを確実に固定することができると共に、摺動部材に別体の背圧付加手段を取り付ける作業が省略される。
    【0085】
    また請求項24記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、背圧付加手段の摺動部材が設けられる側と反対側の端部が取り付けられるハウジングと背圧付加手段とをインサート成形にて一体に形成したので、摺動部材とハウジングとを確実に固定することができると共に、摺動部材に別体のハウジングを取り付ける作業が省略される。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】本発明の一実施形態の側断面図である。
    【図2】同上の分解斜視図である。
    【図3】同上の実施形態の可動スクロールと摺動部材と背圧付加手段の分解斜視図である。
    【図4】同上の側面図である。
    【図5】同上の側断面図である。
    【図6】同上の実施形態において摺動部材が円周上に等間隔で配置される状態を説明する説明図である。
    【図7】ゴムからなる背圧付加手段と可動スクロールと摺動部材の側断面図である。
    【図8】コイルばねからなる背圧付加手段を示し、(a)は側断面図であり、(b)は斜視図である。
    【図9】ベローズ式の伸縮機構からなる背圧付加手段と可動スクロールと摺動部材の側断面図である。
    【図10】(a)は背圧付加手段が取り付けられた摺動部材の斜視図であり、(b)は摺摺動部材の斜視図である。
    【図11】可動スクロールに形成される面取りを説明する説明図であり、(a)は可動スクロールと摺動部材の分解斜視図であり、(b)は可動スクロールと摺動部材の側断面図である。
    【図12】摺動部材に形成される面取りを説明する説明図であり、(a)は可動スクロールと摺動部材の分解斜視図であり、(b)は可動スクロールと摺動部材の側断面図である。
    【図13】摺動部材と背圧付加手段の側断面図の断面箇所を説明する摺動部材と背圧付加手段の分解斜視図である。
    【図14】摺動部材の一例と背圧付加手段の側断面図である。
    【図15】背圧付加手段をハウジングの凸部に嵌め込むのを説明する説明図である。
    【図16】摺動部材の他例と背圧付加手段の側断面図である。
    【図17】摺動部材の更に他例と背圧付加手段の側断面図である。
    【図18】摺動部材の更に他例と背圧付加手段の側断面図である。
    【図19】(a)は摺動部材の更に他例の側面図であり、(b)は(a)の摺動部材にRを形成したものの側断面図である。
    【図20】摺動部材の更に他例と背圧付加手段の側断面図である。
    【図21】摺動部材の更に他例と背圧付加手段の側断面図である。
    【図22】摺動部材の更に他例と背圧付加手段の側断面図である。
    【図23】摺動部材と凸部の金型による一体成形の説明図であり、(a)は金型の側断面図であり、(b)は金型にて成形される一次成形品の斜視図であり、(c)は金型にて成形される二次成形品の斜視図である。
    【図24】(a)(b)は摺動部材側又はハウジング側の凹部を奥側に行く程断面積が小さくなるテーパ状に形成する場合を説明する説明図であり、(c)(d)は摺動部材側又はハウジング側の凸部を先端側に行く程断面積が小さくなるテーパ状に形成する場合を説明する説明図である。
    【図25】先端側に行く程断面積が小さな円錐台側面状をした摺動部材の凸部を説明する図であり、(a)は摺動部材と背圧付加手段の分解斜視図であり、(b)は摺動部材の斜視図である。
    【図26】摺動部材の更に他例を説明する説明図であり、(a)は凹部を形成した摺動部材の側断面図であり、(b)は凸部の斜視図であり、(c)は凸部と側背圧付加手段の側断面図である。
    【図27】背圧付加手段のコイルばねをインサート成形にて一体に形成した摺動部材の側断面図である。
    【図28】背圧付加手段のコイルばねをインサート成形にて一体に形成したハウジングの側断面図である。
    【図29】従来例の可動スクロールと摺動部材と背圧付加手段を示し、(a)は分解斜視図であり、(b)は側面図である。
    【符号の説明】
    1 固定スクロール10 羽根部2 可動スクロール20 羽根部3 摺動部材4 背圧付加手段

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