ベーンポンプ

申请号 JP2016059822 申请日 2016-03-24 公开(公告)号 JP2017172472A 公开(公告)日 2017-09-28
申请人 大豊工業株式会社; 发明人 池田 諭; 中牟田 謙;
摘要 【課題】部品点数の増加を抑制可能で、摺動界面のシール性を確保しやすいベーンポンプを提供することを課題とする。 【解決手段】ベーンポンプ1は、ポンプ室Cを有するハウジング2と、ポンプ室Cに収容され直径方向に対向する一対のベーン保持溝300aを有する筒状の周壁部300と、周壁部300の内側に区画され潤滑油Oが貯留される油室Aと、を有するロータ3と、一対のベーン保持溝300aに保持され、油室Aを直径方向に横切って移動するベーン4と、を備える。ハウジング2の内面、および内面との間に摺動界面Bを区画する周壁部300の端面のうち少なくとも一方は、潤滑油O用の油溝300b〜300hを有する。 【選択図】図1
权利要求

ポンプ室を有するハウジングと、 前記ポンプ室に収容され直径方向に対向する一対のベーン保持溝を有する筒状の周壁部と、前記周壁部の内側に区画され潤滑油が貯留される油室と、を有するロータと、 一対の前記ベーン保持溝に保持され、前記油室を直径方向に横切って移動するベーンと、 を備えるベーンポンプであって、 前記ハウジングの内面、および前記内面との間に摺動界面を区画する前記周壁部の端面のうち少なくとも一方は、前記潤滑油用の油溝を有することを特徴とするベーンポンプ。前記油溝は、周方向に対して交差する方向に延在する請求項1に記載のベーンポンプ。前記油溝の一端は、前記油室に開口する請求項2に記載のベーンポンプ。前記油溝の他端は、前記ポンプ室に開口する請求項3に記載のベーンポンプ。前記油溝は、周方向に延在する請求項1に記載のベーンポンプ。

说明书全文

本発明は、例えば車両のエンジンにより駆動されるベーンポンプに関する。

ベーンポンプは、ロータとベーンとハウジングとを備えている。ハウジングは、凹部を有するハウジング本体と、凹部を封止するカバーと、を備えている。ハウジングの内部には、ポンプ室が区画されている。ロータおよびベーンは、ポンプ室に、回転可能に収容されている。ロータの軸方向一端面(スラスト面)とカバーの内面との間の摺動界面には、油膜が形成されている。油膜が途切れると、ロータとカバーの内面とが摺接しやすくなる。このため、ロータやカバーが摩耗しやすくなる。

この点、特許文献1には、複数の付勢部(コイルばね)付きのベーンポンプが開示されている。複数の付勢部は、カバーの内面からスラスト面が離れる方向(摺動界面が拡がる方向)に、ロータを付勢している。このため、同文献のベーンポンプによると、ロータとカバーとが摺接しにくくなる。

また、特許文献2には、一対の油溝付きのベーンポンプが開示されている。第一の油溝は、カバーの内面に形成されている。第二の油溝は、ハウジング本体の凹部の底面に形成されている。径方向外側から見て、一対の油溝は、互いに対位置に配置されている。ポンプ室においてロータが傾動しても、ロータの軸方向一端側(スラスト面側)の角部は、第一の油溝に逃げ込むことができる。同様に、ロータの軸方向他端側の角部は、第二の油溝に逃げ込むことができる。このため、同文献のベーンポンプによると、ロータとハウジング(カバー、ハウジング本体)とが片当たりしにくくなる。したがって、ロータ傾動時における、スラスト面やカバーの内面の局所的な摩耗を抑制することができる。

特開2008−231954号公報

特開2004−263690号公報

しかしながら、特許文献1のベーンポンプの場合、付勢部が必要な分だけ、部品点数が増加してしまう。また、複数の付勢部は、ハウジング本体の凹部の底面に固定されている。一方、ロータは回転している。このため、複数の付勢部とロータとの間に、別途、摺動部材を介装する必要がある。この点においても、同文献のベーンポンプの場合、部品点数が増加してしまう。

一方、特許文献2のベーンポンプによると、付勢部は不要である。このため、部品点数が増加しない。ところが、特許文献2のベーンポンプの場合、一対の油溝の溝深さの分だけ、ロータの傾動量が、さらに大きくなるおそれがある。このため、摺動界面のシール性が低下するおそれがある。そこで、本発明は、部品点数の増加を抑制可能で、摺動界面のシール性を確保しやすいベーンポンプを提供することを目的とする。

上記課題を解決するため、本発明のベーンポンプは、ポンプ室を有するハウジングと、前記ポンプ室に収容され直径方向に対向する一対のベーン保持溝を有する筒状の周壁部と、前記周壁部の内側に区画され潤滑油が貯留される油室と、を有するロータと、一対の前記ベーン保持溝に保持され、前記油室を直径方向に横切って移動するベーンと、を備えるベーンポンプであって、前記ハウジングの内面、および前記内面との間に摺動界面を区画する前記周壁部の端面のうち少なくとも一方は、前記潤滑油用の油溝を有することを特徴とする。

ハウジングの内面、およびロータの周壁部の端面のうち少なくとも一方は、油溝を備えている。油溝は、ロータの油室と、直接あるいは間接的に連通している。このため、油溝には、ロータの油室の潤滑油が、直接あるいは間接的に流れ込む。したがって、本発明のベーンポンプによると、内面と端面との間の摺動界面に、油膜が形成されやすくなる。よって、摺動界面のシール性を確保しやすい。また、スラスト荷重から、摺動界面を保護しやすい。また、本発明のベーンポンプによると、摺動界面のシール性を確保するために、特許文献1の付勢部、摺動部材のような部材を、追加配置する必要がない。このため、部品点数の増加を抑制することができる。

第一実施形態のベーンポンプの径方向断面図である。

図1のII−II方向断面図である。

同ベーンポンプの径方向断面図である。

図3のIV−IV方向断面図である。

図4の枠V内の拡大図である。

第二実施形態のベーンポンプの径方向断面図である。

(a)は、その他の実施形態(その1)のベーンポンプの摺動界面付近の軸方向断面図である。(b)は、その他の実施形態(その2)のベーンポンプの摺動界面付近の軸方向断面図である。(c)は、その他の実施形態(その3)のベーンポンプの摺動界面付近の軸方向断面図である。(d)は、その他の実施形態(その4)のベーンポンプの摺動界面付近の軸方向断面図である。

その他の実施形態(その5)のベーンポンプの径方向断面図である。

以下、本発明のベーンポンプの実施の形態について説明する。

<第一実施形態> [ベーンポンプの構成] まず、本実施形態のベーンポンプの構成について説明する。図1に、本実施形態のベーンポンプの径方向断面図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。図3に、同ベーンポンプの径方向断面図を示す。図4に、図3のIV−IV方向断面図を示す。なお、図1は、図2のI−I方向断面に対応している。また、図3は、図4のIII−III方向断面に対応している。図1、図2に示すベーンポンプ1に対して、図3、図4に示すベーンポンプ1は、ロータ3およびベーン4が、90°だけ回転(進行)している。ベーンポンプ1は、ブレーキ装置の倍装置の負圧源である。ベーンポンプ1は、カムシャフト(図略)により回転駆動される。図1〜図4に示すように、ベーンポンプ1は、ハウジング2と、ロータ3と、ベーン4と、を備えている。

(ハウジング2) ハウジング2は、エンジン(図略)の側面に固定されている。ハウジング2は、ハウジング本体20と、カバー21と、ポンプ室Cと、を備えている。カバー21の後面は、本発明の「ハウジングの内面」の概念に含まれる。

ハウジング本体20は、前側に開口する有底楕円筒状を呈している。ハウジング本体20は、周壁部200と底壁部201とを備えている。周壁部200は、楕円筒状を呈している。周壁部200は、吸気孔200aを備えている。吸気孔200aは、周壁部200を上下方向に貫通している。吸気孔200aは、逆止弁付きの吸気通路(図略)を介して、ブレーキ装置の倍力装置に連結されている。底壁部201は、周壁部200の後側の開口を封止している。底壁部201は、貫通孔201aと、排気孔201dと、油溝P3と、を備えている。貫通孔201aは、底壁部201を前後方向(軸方向)に貫通している。油溝P3は、貫通孔201aの内周面の上端に凹設されている。油溝P3は、前後方向に延在している。排気孔201dは、底壁部201を前後方向に貫通している。排気孔201dは、ポンプ室Cの、ベーン4の回転方向前端付近に配置されている。排気孔201dは、リードバルブ(図略)により、開閉可能である。

カバー21は、ハウジング本体20の前側の開口を封止している。複数のボルト90および複数のナット(図略)により、カバー21は、ハウジング本体20に固定されている。カバー21とハウジング本体20との間には、Oリング92が介装されている。

ポンプ室Cは、ハウジング2の内部に区画されている。前側から見て、ポンプ室Cは、楕円形状を呈している。ポンプ室Cは、吸気孔200a、吸気通路を介して、ブレーキ装置の倍力装置に連通している。また、ポンプ室Cは、排気孔201d、リードバルブを介して、ベーンポンプ1の外部(エンジンルーム)に連通している。

(ロータ3) ロータ3は、カムシャフトと共に、回転可能である。ロータ3は、ロータ本体30と、連結凸部31と、油室Aと、を備えている。ロータ本体30は、前側に開口する有底真円筒状を呈している。ロータ本体30は、周壁部300と底壁部301とを備えている。周壁部300は、真円筒状を呈している。周壁部300は、ポンプ室Cに収容されている。周壁部300の前端面は、本発明の「周壁部の端面」の概念に含まれる。周壁部300は、一対のベーン保持溝300aと、複数の油溝300bと、を備えている。一対のベーン保持溝300aは、周壁部300を直径方向に貫通している。

複数の油溝300bは、周壁部300の前端面に凹設されている。前側から見て、複数の油溝300bは、ロータ3の径方向中心に対して、所定角度ずつ離間して、放射状に配置されている。複数の油溝300bは、各々、ロータ3の径方向中心に対して、径方向に延在している。油溝300bの横断面形状(延在方向に対して直交する方向の断面形状)は、C字状を呈している。油溝300bの溝深さは、100μm程度である。また、油溝300bの溝幅は、100μm程度である。図5に、図4の枠V内の拡大図を示す。図5に示すように、カバー21の後面と、周壁部300の前端面と、の間には、摺動界面Bが区画されている。摺動界面Bの前後方向の隙間幅は、50μm程度である。当該隙間には、油膜Fが形成されている。

図2、図4に示すように、底壁部301は、周壁部300の後側の開口を封止している。底壁部301は、貫通孔201aに収容されている。底壁部301は、油孔P2を備えている。油孔P2は、底壁部301を直径方向に貫通している。図2に示すように、油孔P2は、所定の回転角度に限って、油溝P3に連通可能である。

連結凸部31は、底壁部301の後側に連なっている。連結凸部31は、底壁部301の直径方向に延在している。連結凸部31は、収容凹部310と油孔P1とを備えている。収容凹部310は、連結凸部31の後端面に凹設されている。油孔P1は、前後方向に延在している。油孔P1は、収容凹部310と油孔P2とを連通している。連結凸部31とカムシャフトとは、カップリング(図略)および給油ジョイント(図略)により、連結されている。カップリングは、カムシャフトからロータ3に、回転力を伝達している。給油ジョイントは、カムシャフトからロータ3(具体的には収容凹部310)に、潤滑油を供給している。

油室Aは、ロータ3の内部に区画されている。前側から見て、油室Aは、真円形状を呈している。油室Aは、ベーン4により、一対の半円形状に分断されている。油室Aは、一対のベーン保持溝300a、摺動界面B(複数の油溝300bを含む)を介して、ポンプ室Cに連通している。

(ベーン4) ベーン4は、ロータ3およびカムシャフトと共に、回転可能である。ベーン4は、ベーン本体40と、一対のキャップ41と、を備えている。ベーン本体40は、矩形板状を呈している。ベーン本体40は、ポンプ室Cに収容されている。ベーン本体40は、一対のベーン保持溝300aに沿って、ロータ3の直径方向に往復動可能である。ベーン本体40は、回転角度に応じて、ポンプ室Cを複数の作動室C1〜C3に区画可能である。ベーン本体40の後端面と底壁部301との間には、隙間P4が区画されている。

一対のキャップ41は、ベーン本体40の直径方向両端に配置されている。キャップ41は、ベーン本体40に対して、径方向外側に突出可能である。キャップ41は、周壁部200の内周面に摺接している。

[ベーンポンプの動き] 次に、本実施形態のベーンポンプの動きについて説明する。図2に示すように、ベーンポンプ1駆動時(ロータ3、ベーン4回転時)においては、所定の回転角度に限って、油孔P2が油溝P3に連通する。この際、カムシャフトと油室Aとの間に、油路Pが確保される。油路Pは、上流側から下流側に向かって、油孔P1、P2、油溝P3、隙間P4を備えている。潤滑油Oは、油路Pを経由して、カムシャフトから油室Aに導入される。潤滑油Oは、油室Aに貯留される。なお、油室Aにおける潤滑油Oの貯留量、貯留状態等は、特に限定しない。

図5に示すように、油溝300bは、上流端(内径端)300b1と、下流端(外径端)300b2と、を備えている。油溝300bの上流端300b1は、本発明の「油溝の一端」の概念に含まれる。油溝300bの下流端300b2は、本発明の「油溝の他端」の概念に含まれる。油室Aの潤滑油Oは、上流端300b1を介して、油溝300bに供給される。油溝300bの潤滑油Oは、摺動界面Bに供給される。供給された潤滑油Oは、ロータ3の回転に伴って、摺動界面Bの全面に行き渡る。このため、摺動界面Bに油膜Fが形成される。油膜F形成後の潤滑油Oは、下流端300b2を介して、ポンプ室Cに排出される。このように、摺動界面Bには、油溝300bの潤滑油Oにより、連続的かつ流動的に、油膜Fが形成される。

図1、図3に示すように、ベーン4の回転に伴って、複数の作動室C1〜C3の容積は、拡縮変化する。当該容積変化に伴って、吸気孔200aを介して、作動室C1〜C3は、倍力装置から、空気を吸引する。吸引された空気は、排気孔201dを介して、作動室C1〜C3から外部に排気される。

[ベーンポンプの作用効果] 次に、本実施形態のベーンポンプの作用効果について説明する。図4、図5に示すように、ロータ3の周壁部300の前端面は、油溝300bを備えている。油溝300bは、ロータ3の油室Aと、直接、連通している。このため、油溝300bには、油室Aの潤滑油Oが、直接、流れ込む。したがって、本実施形態のベーンポンプ1によると、摺動界面Bに、油膜Fが形成されやすくなる。よって、摺動界面Bのシール性を確保しやすい。また、スラスト荷重から、摺動界面Bを保護しやすい。このため、周壁部300の前端面やカバー21の後面が、摩耗しにくい。また、本実施形態のベーンポンプ1によると、摺動界面Bのシール性を確保するために、特許文献1の付勢部、摺動部材のような部材を、追加配置する必要がない。このため、部品点数の増加を抑制することができる。

また、図4、図5に示すように、油溝300bは、径方向(周方向に対して交差する方向)に延在している。このため、摺動界面Bの径方向に、潤滑油Oを流動させることができる。また、ロータ3の回転により、摺動界面Bの周方向に、潤滑油Oを行き渡らせることができる。したがって、摺動界面Bの全面に、油膜Fを形成することができる。

また、摺動界面Bには、油膜Fを形成する必要がある。このため、摺動界面Bの前後方向の隙間幅(図5参照)は微小である。したがって、潤滑油Oは、油室Aから摺動界面Bに流れ込みにくい。一方、油室Aには、図2に示す油路Pを介して、次々と潤滑油Oが流れ込む。このため、図4に示すように、油室Aには、潤滑油Oが溜まりやすい。よって、潤滑油Oが非圧縮性流体であることとも相俟って、油室Aは、ポンプ室Cに対して、高圧になりやすい。油室Aが高圧になると、圧力を逃がすために、油室Aの潤滑油Oは、一度にかつ大量に、摺動界面Bを介して、ポンプ室Cに流れ込む。また、潤滑油Oの流動に伴い、油室Aの圧力は、大きく変動する。このため、油室Aの圧力変動に伴って、摺動界面Bの前後方向の隙間幅の分だけ、ロータ3が前後方向に動きやすくなる。

なお、当該課題は、「ロータ3の油室Aに潤滑油Oが溜まりやすいこと」に起因している。このため、特許文献1に開示されているタイプのベーンポンプ(ロータの径方向内側にシャフトが挿通されており、ロータ内部に油室を有しないベーンポンプ)には、起こり得ない課題である。

この点、本実施形態のベーンポンプ1によると、ロータ3の周壁部300の前端面に、油溝300bが配置されている。油溝300bの上流端300b1は、油室Aに開口している。このため、潤滑油Oは、油室Aから摺動界面Bに流れ込みやすい。また、油溝300bの下流端300b2は、ポンプ室Cに開口している。このため、潤滑油Oは、摺動界面Bからポンプ室Cに流れ込みやすい。したがって、油室Aは、ポンプ室Cに対して、高圧になりにくい。また、潤滑油Oが流動しても、油室Aの圧力は、大きく変動しない。よって、摺動界面Bの前後方向の隙間幅が安定しやすい。すなわち、ロータ3が前後方向に動きにくい。

また、油溝300bの下流端300b2は、ポンプ室Cに開口している。このため、摺動界面Bに潤滑油Oが過剰供給される場合であっても、過剰分の潤滑油Oを、摺動界面Bからポンプ室Cに、排出することができる。

また、油溝300bは、ロータ3の周壁部300の前端面に凹設されている。このため、油溝300bをカバー21の後面に凹設する場合と比較して、カバー21の前後方向の板厚を、薄肉化することができる。したがって、カバー21、延いてはベーンポンプ1を小型化することができる。

<第二実施形態> 本実施形態のベーンポンプと、第一実施形態のベーンポンプとの相違点は、油溝が、径方向ではなく周方向に延在している点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図6に、本実施形態のベーンポンプの径方向断面図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図6に示すように、前側から見て、複数の油溝300cは、ロータ3の径方向中心に対して、同心円状に配置されている。複数の油溝300cは、各々、ロータ3の径方向中心に対して、周方向に無端環状に延在している。複数の油溝300c同士は、摺動界面を介して、間接的に連通している。また、複数の油溝300cは、摺動界面を介して、油室Aおよびポンプ室Cと、間接的に連通している。

本実施形態のベーンポンプ1と、第一実施形態のベーンポンプとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態のベーンポンプ1によると、ロータ3の回転方向と、油溝300cの延在方向と、が一致している。このため、摺動界面に油膜を形成しやすい。本実施形態のベーンポンプ1のように、油溝300cは、油室Aおよびポンプ室Cと、直接、連通していなくてもよい。

<その他> 以上、本発明のベーンポンプの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。

図7(a)に、その他の実施形態(その1)のベーンポンプの摺動界面付近の軸方向断面図を示す。図7(b)に、その他の実施形態(その2)のベーンポンプの摺動界面付近の軸方向断面図を示す。図7(c)に、その他の実施形態(その3)のベーンポンプの摺動界面付近の軸方向断面図を示す。図7(d)に、その他の実施形態(その4)のベーンポンプの摺動界面付近の軸方向断面図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。

図7(a)に示すように、油溝300dの溝深さが上流端300d1から下流端300d2に向かって浅くなるように、油溝300dを形成してもよい。こうすると、ポンプ室Cから油室Aに、潤滑油Oが逆流しにくい。

図7(b)に示すように、油溝300eの溝深さが鋸歯状に変化するように、油溝300eを形成してもよい。また、径方向平面a0に対する、任意の鋸歯部分の油室A向きの斜面a10の傾斜角度をθ1、径方向平面a0に対する、任意の鋸歯部分のポンプ室C向きの斜面a20の傾斜角度をθ2とした場合、傾斜角度θ1<傾斜角度θ2としてもよい。こうすると、ポンプ室Cから油室Aに、潤滑油Oが逆流しにくい。

図7(c)に示すように、周壁部300の前端面の径方向内縁に面取部を形成することにより、油溝300fを配置してもよい。油溝300fは、ロータ3の径方向中心に対して、周方向に無端環状に延在している。油溝300fを配置すると、摺動界面Bに潤滑油Oが導入されやすい。また、摺動界面Bの前後方向の隙間幅が安定しやすい。

図7(d)に示すように、周壁部300の前端面の径方向外縁に面取部を形成することにより、油溝300gを配置してもよい。油溝300gは、ロータ3の径方向中心に対して、周方向に無端環状に延在している。油溝300gを配置すると、摺動界面Bから潤滑油Oが排出されやすい。また、摺動界面Bの前後方向の隙間幅が安定しやすい。

また、周壁部300の前端面に、油溝300fおよび油溝300gを配置してもよい。この場合は、油溝300fの溝深さを、油溝300gの溝深さよりも、大きくする方がよい。こうすると、摺動界面Bに潤滑油Oが導入されやすい。並びに、摺動界面Bから潤滑油Oが排出されやすい。また、摺動界面Bの前後方向の隙間幅が安定しやすい。

図8に、その他の実施形態(その5)のベーンポンプの径方向断面図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図8に示すように、周壁部300の前端面に、格子状の油溝300hを凹設してもよい。こうすると、摺動界面Bに潤滑油Oが導入されやすい。並びに、摺動界面Bから潤滑油Oが排出されやすい。また、摺動界面Bの前後方向の隙間幅が安定しやすい。

油溝300b〜300hの配置数、延在形状、溝長さ、溝深さ、溝幅は特に限定しない。例えば、図5に示す油溝300bの上流端300b1は、油室Aに開口していなくてもよい。同様に、下流端300b2は、ポンプ室Cに開口していなくてもよい。また、図6、図7(c)、図7(d)に示す油溝300c、300f、300gは、前側から見て、無端環状に連なっていなくてもよい。例えば、部分弧状(C字状)であってもよい。また、油溝300b〜300hの全長に亘って、溝深さ、溝幅は一定でなくてもよい。また、油溝300b〜300hの横断面形状は特に限定しない。例えば、C字状、U字状、V字状、W字状などであってもよい。図7(c)、図7(d)に示す、油溝300f、300g形成用の面取部の形状は特に限定しない。平面取状、または点線a2、b2、a3、b3で示すように、丸面取状(凹面取状、凸面取状)でもよい。

油溝300b〜300hを、カバー21の後面(摺動界面Bを区画する部分)に配置してもよい。この場合であっても、摺動界面Bの前後方向の隙間幅が安定しやすい。また、油溝300b〜300hを、周壁部300の前端面およびカバー21の後面の双方に、配置してもよい。この場合であっても、摺動界面Bの前後方向の隙間幅が安定しやすい。

また、周壁部300の前端面、およびカバー21の後面のうち少なくとも一方に、凹凸形状(例えば、テーパランド形状、ディンプル形状、梨地模様など)を付与してもよい。この場合であっても、摺動界面Bの前後方向の隙間幅が安定しやすい。

1:ベーンポンプ、2:ハウジング、20:ハウジング本体、200:周壁部、200a:吸気孔、201:底壁部、201a:貫通孔、201d:排気孔、21:カバー、3:ロータ、30:ロータ本体、300:周壁部、300a:ベーン保持溝、300b〜300h:油溝、300b1:上流端、300b2:下流端、300d1:上流端、300d2:下流端、301:底壁部、31:連結凸部、310:収容凹部、4:ベーン、40:ベーン本体、41:キャップ、90:ボルト、92:Oリング、A:油室、B:摺動界面、C:ポンプ室、C1〜C3:作動室、F:油膜、O:潤滑油、P:油路、P1:油孔、P2:油孔、P3:油溝、P4:隙間、a0:径方向平面、a10:斜面、a20:斜面、θ1:傾斜角度、θ2;傾斜角度。

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