密閉容器のシール構造、これを備えた車両用冷媒圧縮機

申请号 JP2015197039 申请日 2015-10-02 公开(公告)号 JP2017067273A 公开(公告)日 2017-04-06
申请人 三菱重工オートモーティブサーマルシステムズ株式会社; 发明人 藤田 勝博; 加藤 雅大; 毛路 智久; 末武 秀樹;
摘要 【課題】Oリングを用いた簡素で安価な構造により、良好なシール性を得る。 【解決手段】このシール構造は、ハウジング(容器)を構成する一方の容器構成部材2Aに環状に形成された一方のシール面2aと、ハウジングを構成する他方の容器構成部材2Bに環状に形成されて一方のシール面2aに重なる他方のシール面2bと、一方のシール面2aと他方のシール面2bの少なくとも片方に形成された同心円状且つ複数のOリング溝33,34と、これら複数のOリング溝33,34に嵌入される複数のOリング31,32とを備えている。ハウジングの内部側に 位置 するOリング溝33におけるOリング31の充填率よりも、ハウジングの外部側に位置するOリング溝34におけるOリング32の充填率の方が大きくされている。 【選択図】図6
权利要求

容器を構成する一方の容器構成部材に環状に形成された一方のシール面と、 前記容器を構成する他方の容器構成部材に環状に形成されて前記一方のシール面に重なる他方のシール面と、 前記一方のシール面と前記他方のシール面の少なくとも片方に形成された同心円状且つ複数のOリング溝と、 複数の前記Oリング溝に嵌入される複数のOリングと、を備え、 前記容器の内部側に位置する前記Oリング溝における前記Oリングの充填率よりも、前記容器の外部側に位置する前記Oリング溝における前記Oリングの充填率の方が大きいことを特徴とする密閉容器のシール構造。前記容器の内部側に位置する前記Oリング溝における前記Oリングの充填率を目標範囲70〜75%、最大許容値90%とし、 前記容器の外部側に位置する前記Oリング溝における前記Oリングの充填率を、目標範囲80〜85%、最大許容値98%とした請求項1に記載の密閉容器のシール構造。前記容器の内部側に位置する前記Oリング溝の断面と、前記容器の外部側に位置する前記Oリング溝の断面とを同じ形状寸法とし、 前記容器の外部側に位置する前記Oリングの線径を、前記容器の内部側に位置する前記Oリングの線径よりも太くすることによって外部側の前記Oリングの充填率を内部側の前記Oリングの充填率よりも大きくした請求項1または2に記載の密閉容器のシール構造。前記容器の内部側に位置する前記Oリングの線径と、前記容器の外部側に位置する前記Oリングの線径とを同じにし、 前記容器の外部側に位置する前記Oリング溝の内容積を、前記容器の内部側に位置する前記Oリング溝の内容積よりも小さくすることによって外部側の前記Oリングの充填率を内部側の前記Oリングの充填率よりも大きくした請求項1または2に記載の密閉容器のシール構造。請求項1から4のいずれかに記載の密閉容器のシール構造を備えた車両用冷媒圧縮機。

说明书全文

本発明は、車両用冷媒圧縮機のハウジングシール面や、密封容器のフランジシール面等に複数本のOリングを介装して液密的にシールするようにした密閉容器のシール構造、これを備えた冷媒圧縮機に関するものである。

特許文献1には、車両用冷媒圧縮機のハウジングシール面において、内外二重にOリングを設けることにより、該シール面の間に分や塩分等の腐食成分が浸入することを抑制し、該シール面における腐食の発生を防止したシール構造が開示されている。

また、特許文献2には、電機器を密封する密封容器のフランジシール面において、Oリングと環状パッキン材とを内外二重に設け、外周側の環状パッキン材によって雨水等の進入を防止し、内周側のOリングによって気密を保つようにしたシール構造が開示されている。

一般に、Oリングを用いてハウジングシール面やフランジシール面等をシールする場合には、シール面に形成されたOリング溝の内部におけるOリングの充填率、即ちOリング溝の内容積(断面積)に対するOリングの体積(断面積)の比率は、その設定基準範囲の中央値を75%程度とし、最大でも90%以下とすることが推奨されている。

特開平9−42156号公報

実開平2−9373号公報

車両用冷媒圧縮機においては、雨水や、道路に散布された融剤が溶解した塩水等の腐食成分がハウジングにかかり、ハウジングシール面の奥に浸透しようとするため、シール面に内外二重のOリングを設置することは効果的である。 しかしながら、現状では内周側および外周側のOリングの充填率中央値が上記のように75%程度であるため、腐食成分が外周側のOリングを浸透通過してしまう可能性があり、二重のOリングを設けたことによるシール効果が十分に発揮されていなかった。

特許文献2のシール構造のように、外周側に、Oリングに代えて環状パッキン材を使用すれば、Oリングよりも優れたシール性を得ることができる。 ところが、車両用冷媒圧縮機の場合は、ハウジングと、その内部に収容されるスクロール圧縮機構との間の隙間公差が非常にシビアであるため、組立ボルトの締結トルクによってシール面隙間が変化する環状パッキン材は使用に適さない。

一方、Oリングを使用すれば、ハウジングのシール面同士が直接触れ合う、所謂メタルタッチとなり、組立ボルトの締結トルクによってシール面隙間の大きさが左右されないため、ハウジングとスクロール圧縮機構との間の隙間にもバラつきが無くなり、車両用冷媒圧縮機の品質を安定させることができる。

また、Oリングの方が環状パッキン材よりも安価であり、その組み付けも容易であることから、製造コストの面でもメリットが大きい。このため、車両用冷媒圧縮機のハウジングシール面におけるシール部材としてOリングの使用が継承されている。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、Oリングを用いた簡素で安価な構造により、良好なシール性を得ることができる密閉容器のシール構造、これを備えた車両用冷媒圧縮機を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用する。 即ち、本発明に係る密閉容器のシール構造は、容器を構成する一方の容器構成部材に環状に形成された一方のシール面と、前記容器を構成する他方の容器構成部材に環状に形成されて前記一方のシール面に重なる他方のシール面と、前記一方のシール面と前記他方のシール面の少なくとも片方に形成された同心円状且つ複数のOリング溝と、複数の前記Oリング溝に嵌入される複数のOリングと、を備え、前記容器の内部側に位置する前記Oリング溝における前記Oリングの充填率よりも、前記容器の外部側に位置する前記Oリング溝における前記Oリングの充填率の方が大きいことを特徴とする。

上記構成のシール構造によれば、外部側のOリングの充填率(圧縮率)が、内部側のOリングの充填率よりも大きくなるため、外部側のOリングのシール性が高くなる。これにより、従来では長期の間に浸透を許していた外部からの腐食成分を、外部側のOリングによって効果的に阻止することができる。

このシール構造によれば、部品種類の変更や、構造の変更等を必要とせず、従来と同じくOリングおよびOリング溝を用いた簡素で安価な構造により、良好なシール性を得ることができる。

上記のシール構造においては、前記容器の内部側に位置する前記Oリング溝における前記Oリングの充填率を目標範囲70〜75%、最大許容値90%とし、前記容器の外部側に位置する前記Oリング溝における前記Oリングの充填率を、目標範囲80〜85%、最大許容値98%とするのがよい。

こうすれば、内部側のOリングの充填率が従前通りになり、外部側のOリングの充填率が内部側のOリングよりも大きくなる。例えば、車両用冷媒圧縮機のハウジングや、高圧容器等のように、容器の内部が高圧になるものにおいては、内部側のOリングには、Oリング溝への充填に伴う圧縮に加え、容器の内部圧力による応力も加わる。このため、内部側のOリングの充填率を従来よりも高くしてしまうと、その耐久性が損なわれる虞がある。

したがって、容器の内部圧力が直接加わらない外部側のOリングの充填率を内部側のOリングの充填率よりも高めることにより、外部側のOリングおよび内部側のOリングの耐久性を損なうことなくシール性を向上させることができる。

上記のシール構造においては、前記容器の内部側に位置する前記Oリング溝の断面と、前記容器の外部側に位置する前記Oリング溝の断面とを同じ形状寸法とし、前記容器の外部側に位置する前記Oリングの線径を、前記容器の内部側に位置する前記Oリングの線径よりも太くすることによって外部側の前記Oリングの充填率を内部側の前記Oリングの充填率よりも大きくしてもよい。

上記構成によれば、容器側のOリング溝に変更を施すことなく、外部側のOリングの線径を内部側のOリングの線径よりも太くする、つまり外部側のOリングを変更するだけで、外部側のOリングの充填率を大きくすることができる。このため、非常に簡素かつ安価な構成により、良好なシール性を得ることができる。

上記のシール構造においては、前記容器の内部側に位置する前記Oリングの線径と、前記容器の外部側に位置する前記Oリングの線径とを同じにし、前記容器の外部側に位置する前記Oリング溝の内容積を、前記容器の内部側に位置する前記Oリング溝の内容積よりも小さくすることによって外部側の前記Oリングの充填率を内部側の前記Oリングの充填率よりも大きくしてもよい。

上記構成によれば、内外のOリングを変更することなく、外部側のOリング溝の内容積を、内部側のOリング溝の内容積よりも小さくすることにより、外部側のOリングの充填率を大きくすることができる。Oリング溝の形状変更は、Oリング溝を形成する切削加工機の設定を変更することにより容易に実現できる。このため、非常に簡素かつ安価な構成により、良好なシール性を得ることができる。

また、本発明に係る車両用冷媒圧縮機は、上記のずれかの密閉容器のシール構造を備えている。 このため、従来と同じくOリングを用いた簡素で安価な構造により、従来では長期の間に浸透を許していた外部からの腐食成分を、外部側のOリングによって効果的に阻止することができる。

以上のように、本発明に係る密閉容器のシール構造、これを備えた車両用冷媒圧縮機によれば、Oリングを用いた簡素で安価な構造により、良好なシール性を得ることができる。

本発明の実施形態に係るシール構造を備えた車両用冷媒圧縮機の一例を示す縦断面図である。

図1のII部を拡大してOリングの第1配置例を示す縦断面図である。

Oリングの第2配置例を示す縦断面図である。

Oリングの第3配置例を示す縦断面図である。

Oリングの第4配置例を示す縦断面図である。

本発明に係るシール構造の第1実施形態を示す縦断面図であり、(A)は締結前、(B)は締結後を示す。

本発明に係るシール構造の第2実施形態を示す縦断面図であり、(A)は締結前、(B)は締結後を示す。

以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

図1は、本発明に係る車両用冷媒圧縮機の一例を示す縦断面図である。この車両用冷媒圧縮機1は、例えば自動車の空調装置に組み込まれて図示しないエンジンの動力により駆動され、冷媒ガスを圧縮して空調装置の冷媒回路に供給するものである。

車両用冷媒圧縮機1は、フロントハウジング2A(一方の容器構成部材)にリアハウジング2B(他方の容器構成部材)が複数のボルト3によって締結された構成のハウジング2(容器)を備えており、このハウジング2の内部にスクロール圧縮機構5が収容されている。

スクロール圧縮機構5は、公知のように、ハウジング2(2B)にボルト7等で固定された固定スクロール8と、この固定スクロール8に対向して冷媒ガスを圧縮する圧縮室9を形成する旋回スクロール10と、旋回スクロール10のスラスト方向の荷重を支持するスラスト板12と、旋回スクロール10を駆動する主軸14とを有した構成である。主軸14は、ベアリング15,16によってフロントハウジング2A側に軸支され、その先端部が外部に突出し、ここに図示しない駆動プーリーが取り付けられる。

固定スクロール8と旋回スクロール10は、それぞれ円板状の端板8a,10aの一面側に渦巻状のラップ8b,10bが一体に形成されている。各ラップ8b,10bは、その先端部が対向する端板8a,10aに対して滑らかに摺動可能に当接し、端板8a,10aとラップ8b,10bとに囲まれて一対の圧縮室9が形成される。

主軸14に設けられた偏心ピン14aがブッシュ21とベアリング22を介して旋回スクロール10のボス10c内周に嵌合されており、主軸14が回転すると旋回スクロール10が図示しない自転防止機構によって自転を防止されながら旋回する。このため、固定スクロール8と旋回スクロール10のラップ8b,10b間に形成された一対の圧縮室9が外周側から内周側に移動しつつその容積が減少し、フロントハウジング2A内の低圧室25に設けられた図示しない吸入口から吸入された冷媒ガスが圧縮室9内に吸入されて圧縮され、この高圧に圧縮された冷媒ガスが、吐出弁27と高圧室28とを経てリアハウジング2Bに設けられた図示しない吐出口から吐出される。

冷媒ガスの圧縮時には、圧縮された冷媒ガスの反力が、固定スクロール8の端板8aと旋回スクロール10の端板10aとに加わるため、固定されている固定スクロール8に対して可動式の旋回スクロール10が軸方向に離れる方向(スラスト方向)に押圧される。この旋回スクロール10のスラスト荷重は、スラスト板12によって支持される。

フロントハウジング2Aとリアハウジング2Bとの間には内外2重のOリング31,32が介装されてハウジング2内部の気密性が保たれている。図2にOリング31,32の第1配置例を拡大して示すように、フロントハウジング2Aには環状のシール面2a(一方のシール面)が形成され、リアハウジング2Bにも環状のシール面2b(他方のシール面)が形成されている。これらのシール面2a,2bは、ハウジング2の長手軸方向に直交する平面状に形成されており、互いに密着(メタルタッチ)している。ここに環状パッキン材(ガスケット)を介装するのはハウジング2とスクロール圧縮機構5(8,10)との間の軸方向隙間がボルト3の締付トルクにより変化してしまうため好ましくない。

例えば、フロントハウジング2A側のシール面2aには、内外2つのOリング溝33,34が同心円状に形成されており、これらのOリング溝33,34に、それぞれハウジング2の内部側に位置するOリング31と、ハウジング2の外部側に位置するOリング32とが嵌入されている。ここで言う「内部側」とは、ハウジング2の内部に近い方であり、「外部側」とは、ハウジング2の外部に近い方である。

これらのOリング溝33,34は、リアハウジング2B側のシール面2bに形成してもよい。また、Oリング溝33,34およびOリング31,32の配置レイアウトは、図2に示す第1配置例に限らず、例えば図3〜図5に示す第2〜第4配置例およびその他の配置例を採用してもよい。Oリング31,32の材質としては、耐油性、耐薬品性に優れたEPDM(エチレンプロピレンゴム)、HNBR(水素化ニトリルゴム)等を例示することができる。

図3に示すOリング31,32の第2配置例では、フロントハウジング2Aのシール面2aと、リアハウジング2Bのシール面2bとが、ハウジング2の長手軸を中心とする円筒面状に形成されており、シール面2aの内側にシール面2bが密に挿入されるようになっている。ここではOリング溝33,34がシール面2b側に外周Oリング溝として形成されているが、シール面2a側に内周Oリング溝として形成してもよい。この第2配置例ではOリング31,32の直径が同一となる。

図4に示すOリング31,32の第3配置例では、図2と同様に、シール面2a,2bがハウジング2の長手軸方向に直交する平面状に形成されており、例えばシール面2bに内部側のOリング溝33が形成され、シール面2aに外部側のOリング溝34が形成され、それぞれにOリング31,32が嵌入されている。

図5に示すOリング31,32の第4配置例では、図3と同様に、フロントハウジング2Aのシール面2aと、リアハウジング2Bのシール面2bとが、ハウジング2の長手軸を中心とする円筒面状に形成されており、例えばシール面2bに内部側のOリング溝33が形成され、シール面2aに外部側のOリング溝(段部)34が形成され、それぞれにOリング31,32が嵌入されている。

図2〜図5に示す第1〜第4のいずれのOリング配置例においても、ハウジング2の内部側に位置するOリング溝33におけるOリング31の充填率よりも、ハウジング2の外部側に位置するOリング溝34におけるOリング32の充填率の方が大きくなるように設定されている。充填率は、Oリング溝33,34の内容積(断面積)に対するOリング31,32の体積(断面積)の比率である。

[第1実施形態] 図6(A),(B)は、本発明に係るシール構造の第1実施形態を示す縦断面図であり、(A)は図1に示すボルト3の締結前、(B)はボルト3の締結後を示している。 図6(A)に示すように、内部側のOリング溝33の断面と、外部側のOリング溝34の断面は同じ形状寸法に形成されている。つまり、Oリング溝33の深さHおよび幅Wと、Oリング溝34の深さHおよび幅Wは同じ寸法となっている。したがって、Oリング溝33,34の内容積は同一である。 一方、Oリング31,32の線径は、内部側のOリング31の線径D1よりも、外部側のOリング32の線径D2の方が太くされている。

このため、図1に示すボルト3が締結されて図6(B)に示すようにフロントハウジング2A(シール面2a)とリアハウジング2B(シール面2b)とが密着すると、外部側のOリング32の充填率が内部側のOリング31の充填率よりも大きくなる。

具体的なOリング溝33,34の寸法例として、深さ寸法H=2.4mm、幅寸法W=3.0mmを例示することができる。また、Oリング31の線径D1=2.6mm、Oリング32の線径D2=2.9mmを例示することができる。上記の各寸法とした場合、内部側のOリング31の充填率は74%程度となり、外部側のOリング32の充填率は92%程度となる。

また、例えば内部側のOリング31の線径D1を2.7mmとした場合の充填率は80%程度となり、外部側のOリング32の線径D1を3.0mmとした場合の充填率は98%程度となる。これらの充填率は、Oリング31,32の材質や、Oリング溝33,34のH,Wの寸法比率によって多少変化する。

以上のような構成のシール構造によれば、外部側のOリング32の充填率(圧縮率)が、内部側のOリング31よりも大きくなるため、外部側のOリング32のシール性が内部側のOリング31のシール性よりも高くなる。これにより、従来では長期の間に浸透を許していた外部からの腐食成分を、外部側のOリング32によって効果的に阻止することができる。

しかも、従来から用いられてきたOリング溝とOリングとの組み合わせによるシール構造であるため、部品種類の変更や、構造の変更等を必要とせず、簡素で安価な構造により、良好なシール性を発揮することができる。

内部側のOリング31の充填率を目標範囲70〜75%、最大許容値90%に設定し、外部側のOリング32の充填率を目標範囲80〜85%、最大許容値98%に設定することにより、内部側のOリング31の充填率は従前通りとなり、外部側のOリング32の充填率は内部側のOリング31よりも大きくなる。

車両用冷媒圧縮機1のハウジング2のように内部が高圧になる密閉容器においては、内部側のOリング31には、Oリング溝33への充填に伴う圧縮に加え、ハウジング2の内部冷媒圧力による応力も加わる。このため、内部側のOリング31の充填率を従来よりも高くしてしまうと、内部側のOリング31の耐久性が損なわれる虞がある。

したがって、ハウジング2の内部冷媒圧力が直接加わらない外部側のOリング32の充填率を内部側のOリング31の充填率よりも高めることにより、外部側のOリング32および内部側のOリング31の耐久性を損なうことなくシール性を向上させることができる。

また、この第1実施形態の構成によれば、図6に示すように、内部側と外部側のOリング溝33,34を同じ断面形状寸法とし、外部側のOリング32の線径D2を、内部側のOリング31の線径D1よりも太くして外部側のOリング32の充填率を大きくすることができる。このように、Oリング溝33,34に変更を施すことなく、外部側のOリング32の線径D2のみを変更するだけで、外部側のOリング32の充填率を大きくすることができ、非常に簡素かつ安価な構成によって良好なシール性を得ることができる。

[第2実施形態] 図7(A),(B)は、本発明に係るシール構造の第2実施形態を示す縦断面図であり、(A)は図1に示すボルト3の締結前、(B)はボルト3の締結後を示している。 ここでは、図7(A)に示すように、内部側のOリング31の線径Dと外部側のOリング32の線径Dは同じである。一方、外部側のOリング溝34の内容積は、内部側のOリング溝33の内容積よりも小さくされており、これによって外部側のOリング32の充填率が内部側のOリング31の充填率よりも相対的に大きくされている。

具体的には、内外のOリング31,32の線径Dは2.6mmを例示することができる。また、Oリング溝33の深さ寸法H1=2.4mm、幅寸法W1=3.0mm、Oリング溝34の深さ寸法H2=2.2mm、幅寸法W2=2.6mmを例示することができる。上記の各寸法とした場合、内部側のOリング31の充填率は74%程度となり、外部側のOリング32の充填率は93%程度となる。これらの充填率は、Oリング31,32の材質や、Oリング溝33,34のH,Wの寸法比率によって多少変化する。

この第2実施形態の構成によれば、内外のOリング31,32を変更することなく、外部側のOリング溝34の内容積を、内部側のOリング溝33の内容積よりも小さくすることにより、外部側のOリング31の充填率を内部側のOリング31の充填率よりも相対的に大きくすることができる。Oリング溝33,34の形状変更は、切削加工機の設定を変更することにより容易に実現できる。このため、非常に簡素かつ安価な構成により、良好なシール性を得ることができる。

この第2実施形態の構成と、図3に示すOリング31,32の第2配置例とを組み合わせることにより、内外のOリング31,32は線径も直径も同じ同一部品となる。このため、Oリングの種類を減らしてコストダウンに貢献するとともに、内外のOリング31,32の組み間違いを防止することができる。

以上に説明したように、上記実施形態に係るハウジング2のシール構造およびこれを備えた車両用冷媒圧縮機1によれば、Oリング31,32を用いた簡素で安価な構造により良好なシール性を得て、従来では長期の間に浸透を許していた外部からの腐食成分を、外部側のOリング32によって効果的に阻止し、車両用冷媒圧縮機1の耐久性を飛躍的に高めることができる。

なお、本発明は上記実施形態の構成のみに限定されるものではなく、適宜変更や改良を加えることができ、このように変更や改良を加えた実施形態も本発明の権利範囲に含まれるものとする。

例えば、上記実施形態では、車両用冷媒圧縮機1のハウジング2を構成するフロントハウジング2Aとリアハウジング2Bとの間のシール面2a,2bにおけるOリング31,32およびOリング溝33,34の構成に本発明を適用した例について説明したが、他の種の密閉容器にも本発明を適用することができる。

また、Oリング31,32の本数や位置を変更したり、Oリング31とOリング32の材質や硬度を異ならせてもよい。Oリングの硬度を異ならせる場合は、固くて圧縮されにくい方の材質を外側のOリング32に適用することが考えられる。これにより、外側のOリング32がOリング溝34およびフロントハウジング2Bに圧接される圧力を内側のOリング31よりも高くしてシール性をより向上させることができる。

また、Oリング31とOリング32の材質を異ならせる場合は、外側のOリング32の材質をHNBR、内側のOリング31の材質をEPDMとすることが考えられる。外側の材質をHNBRとすることで圧縮機外方にエンジンオイル等の鉱油が垂れた場合でもゴムの健全性を確保できる。また内側の材質をEPDMとすることで、極低温での冷媒シール性をHNBRよりも良好にすることができる。

さらに、Oリング溝33,34の断面形状は、上記実施形態で適用したチャンネル溝状に限らず、V溝、U溝等、他の断面形状の溝であってもよい。Oリング31,32の断面形状も丸型に限らず、型等に変更することができる。

1 車両用冷媒圧縮機 2 ハウジング(容器) 2A フロントハウジング(一方の容器構成部材) 2B リアハウジング(他方の容器構成部材) 2a シール面(一方のシール面) 2b シール面(他方のシール面) 31 内部側のOリング 32 外部側のOリング 33 内部側のOリング溝 34 外部側のOリング溝

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