スクロール圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置

申请号 JP2014200554 申请日 2014-09-30 公开(公告)号 JP2016070178A 公开(公告)日 2016-05-09
申请人 日立アプライアンス株式会社; 发明人 近野 雅嗣; 太田原 優; 中村 聡; 長谷川 修士; 中野 泰典; 坪野 勇;
摘要 【課題】軸受部、吸込室及び圧縮室へのそれぞれの給油量を制御して、適正量の給油を実現する。 【解決手段】スクロール圧縮機1は、固定スクロール7と旋回スクロール8を備え、旋回スクロールを旋回運動させて吸込室20及び圧縮室13を形成する。また、旋回スクロールの背面中心部に形成され密閉容器底部の潤滑油が導かれて吐出圧 力 に近い圧力となる第1の空間33と、旋回スクロールの背面で第1の空間よりも外周側に設けられ吐出圧力と吸込圧力との間の圧力となる第2の空間18と、第1の空間内の一部の油を第2の空間へ漏出させる第1の油漏出路と、第1の空間内の大部分の油を密閉容器内の底部へ戻す油戻し通路26と、第2の空間内の油の一部を吸込室へ漏出させるための第2の油漏出路と、圧縮室内の圧力と第2の空間内の圧力との差に応じて、第2の空間内の油を圧縮室に逃がすようにして第2の空間内の圧力を調整する第3の油漏出路を備える。 【選択図】図1
权利要求

台板に渦巻状のラップを立設した固定スクロールと、鏡板に立設した渦巻状のラップを有し前記固定スクロールと噛み合わされて旋回運動をする旋回スクロールとを備え、前記固定スクロールに対して前記旋回スクロールを旋回運動させることにより吸込室及び圧縮室を形成するように構成しているスクロール圧縮機において、 前記旋回スクロールの背面中心部に形成され密閉容器底部に貯留された潤滑油が導かれて吐出圧に近い圧力となる第1の空間と、 前記旋回スクロールの背面で前記第1の空間よりも外周側に設けられ吐出圧力と吸込圧力との間の圧力となる第2の空間と、 前記第1の空間内の一部の油を前記第2の空間へ漏出させる第1の油漏出路と、 前記第1の空間内の大部分の油を密閉容器内の底部へ戻す油戻し通路と、 前記第2の空間内の油の一部を前記吸込室へ漏出させるための第2の油漏出路と、 圧縮室内の圧力と前記第2の空間内の圧力との差に応じて、前記第2の空間内の油を圧縮室に逃がすようにして前記第2の空間内の圧力を調整する第3の油漏出路と を備えることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記第3の油漏出路は、前記固定スクロールに設けられ、圧縮室内の圧力と前記第2の空間内の圧力との差に応じて開閉する背圧弁を備え、前記第2の空間内の油を圧縮室に逃がすようにして前記第2の空間内の圧力を調整する構成としていることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項2に記載のスクロール圧縮機において、前記第3の油漏出路は、前記第2の空間と前記背圧弁とを連通させる背圧弁流入路と、前記圧縮室と前記背圧弁とを連通させる背圧弁流出路とを備え、前記背圧弁流出路は吸込過程を完了して圧縮を開始した後の圧縮室へ連通させるように構成していることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記第3の油漏出路は、前記旋回スクロールに設けられ、圧縮室内の圧力と前記第2の空間内の圧力との差に応じて、前記第2の空間内の流体を圧縮室に逃がす背圧孔で構成され、前記第2の空間内の流体を圧縮室に逃がすことで前記第2の空間内の圧力を調整するようにしていることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項4に記載のスクロール圧縮機において、前記背圧孔は、吸込過程を完了して圧縮を開始した後の圧縮室と前記第2の空間とを連通させるように構成していることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記第3の油漏出路は、旋回外線側圧縮室と旋回内線側圧縮室の両方に連通する位置に開口していることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面側には回転軸と連結するための旋回ボス部が設けられ、この旋回ボス部には前記第1の空間の少なくとも一部が形成されると共に、この旋回ボス部端面側に、前記第1の空間から前記第2の空間へ必要最小限の油を漏出させるための前記第1の油漏出路が形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項7に記載のスクロール圧縮機において、前記第2の空間は、前記固定スクロールと、該固定スクロールを取り付けているフレームと、前記旋回スクロールとで形成され、 前記旋回ボス部の前記第1の空間と前記第2の空間とは旋回ボス部端面側に設けたシール部材で区切られ、 前記第1の油漏出路は、前記旋回ボス部端面側に設けられた前記シール部材と、前記旋回スクロールの旋回運動により前記第1空間内の油を、前記シール部材を介して前記第2空間に間欠的に供給するように形成された溝により構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項8に記載のスクロール圧縮機において、前記第1の油漏出路を構成する前記溝は、前記旋回ボス部端面に形成されたスリット或いは1以上の穴で構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記第2の油漏出路は、旋回スクロールの鏡板面に設けられ、前記第2の空間と前記吸込室とを前記旋回スクロールの旋回運動により間欠的に連通する溝であることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項1に記載のスクロール圧縮機において、断熱指数が1.09より大きい冷媒を作動流体としていることを特徴とするスクロール圧縮機。請求項1に記載のスクロール圧縮機を用いて構成した冷凍空調用の冷凍サイクル装置。

说明书全文

本発明は、冷凍サイクルに使用されるスクロール圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置に係り、特に、旋回スクロールの背面中心部に形成された吐出圧に近い圧力となる第1の空間と、この第1の空間よりも外周側に設けられた吐出圧力と吸込圧力との間の圧力となる第2の空間を備えるスクロール圧縮機に関する。 する。

冷凍用や空調用などの冷凍サイクル装置に使用されるスクロール圧縮機としては、特開2011−58439号公報(特許文献1)に記載されたものなどがある。この特許文献1のものには、端板(台板、鏡板)と該端板に立設された渦巻状のラップを有する固定スクロール及び旋回スクロールと、これら固定スクロール及び旋回スクロールを互いに噛み合わせて形成される圧縮室と、前記旋回スクロールを旋回運動させるためのクランク軸と、前記旋回スクロールの背面ボス部に設けられ前記クランク軸の偏心ピン部に対し前記旋回スクロールを軸方向に移動可能でかつ回転自在に支持するための旋回軸受と、前記旋回スクロールの背面側に対向するように設けられた静止側のフレームと、このフレームに設けられ前記クランク軸を回転自在に支持する主軸受と、前記旋回スクロール背面側と前記フレームとの間をシールするシール部材と、このシール部材により区画された内周側の高圧油圧室と外周側の背圧室とを備え、前記高圧油圧室には吐出圧力にほぼ等しい圧力の潤滑油が供給されてほぼ吐出圧力に維持され、前記背圧室は吐出圧力より低い圧力に維持されるように構成したスクロール圧縮機において、前記シール部材に対向する部分の旋回スクロール背面部或いは前記フレームに小孔を設け、この小孔は前記旋回スクロールの旋回運動に伴い前記シール手段を跨いで前記高圧油圧室側と背圧室側の両方に交互に開口するようにして、高圧油圧室の油を背圧室側に供給する給油手段と、前記旋回スクロール或いは前記フレームに設けられ、前記高圧油圧室と背圧室を連通し差圧で高圧油圧室の油を背圧室側に供給する給油路とを備えたスクロール圧縮機が記載されている。

また、特開2005−163655号公報(特許文献2)には、端板(台板)とそれに立設する渦巻体(ラップ)とを有する非旋回スクロール(固定スクロール)、端板(鏡板)とそれに立設する渦巻体とを有すると共に、前記非旋回スクロールと噛み合って旋回運動をすることにより該非旋回スクロールとの間に吸込室または圧縮室を形成する旋回スクロール、該旋回スクロールに前記非旋回スクロールへの押付力を付与するための背圧室、該背圧室の圧力を維持するために該背圧室に流体を流入させるための背圧室流体流入手段、前記背圧室に流入した流体を前記吸込室または圧縮室に流出させるための背圧室流体流出手段などを備えたスクロール圧縮機が記載されている。

また、この特許文献2のものには、前記背圧室流体流出手段が、前記背圧室と前記吸込室または圧縮室とを繋ぐ背圧室流体流出路に、前後の差圧を制御する背圧制御弁と、絞り流路部と、前記旋回スクロール部材の旋回運動により間欠的に連通する間欠流路部とを直列に配したものが記載されている。

更に、特開2012−92773号公報(特許文献3)には、鏡板(台板)とそれに立設されたスクロールラップを有する固定スクロールと、鏡板とそれに立設されたスクロールラップを有し、前記固定スクロールと噛み合わされて旋回運動を行うことによって前記固定スクロールとの間に圧縮室を形成する旋回スクロールと、前記旋回スクロールに前記固定スクロールへの引付力を与える背圧室と、前記背圧室に圧縮機吐出側の油を導入する給油路とを有するスクロール圧縮機において、前記背圧室と閉込み開始後の前記圧縮室に連通されると共に前後の差圧で開閉する背圧弁を備え、背圧室の油を圧縮室へ流出させて前記背圧室の圧力を制御する圧縮室連通路と、前記背圧室と前記圧縮室に至る吸込領域と連通し、閉込み開始後の前記圧縮室には連通しないように構成され、前記背圧室の油を前記吸込領域へ供給する吸込域連通路とを備えているものが記載されている。

特開2011−58439号公報

特開2005−163655号公報

特開2012−92773号公報

上記特許文献1のものでは、高圧油圧室の油を背圧室側に供給する給油手段及び給油路を備え、高圧油圧室から背圧室へ流入する油量を調整できるようにしているが、背圧室に供給された油は、その後全て吸込室に流入し、この吸込室を経由して圧縮室に流れる構成となっている。このため、吸込室で必要な給油量に圧縮室で必要な給油量も加算されて多量の高温の油が吸込室に流入することになり、吸込ガスが加熱されて加熱損失(吸込加熱損失)が大きくなってしまうことに対する配慮が為されていない。

また、上記特許文献2のものは、軸受部に給油された油のほとんどが背圧室に流入する構成となっており、その後背圧室の油は全て吸込室に流れる構成のため、吸込室には軸受で必要な極めて多量の油が流入することになり、上記特許文献1のものより、はるかに多くの油が吸込室に流入するため、吸込ガスが加熱されて加熱損失が更に大きくなること、圧縮室にも大量の油が供給されるため、油圧縮を引き起こす可能性があることに対する配慮が為されていない。

更に、上記特許文献3のものも、上記特許文献2のものと同様に、軸受部に給油された油のほとんどが背圧室に流入する構成となっている。また、この特許文献3のものでは、吸込域連通路の他に圧縮室連通路も備えることで、背圧室の油の一部を、吸込室を経由しないで直接圧縮室に供給できるため、背圧室から吸込室への給油量は、上記特許文献2のものより少なくすることはできる。しかし、軸受部に給油された油のほとんどが背圧室に流入するため、特許文献2のものより、吸込室への給油量を減少させることはできるものの、吸込室に必要とされる給油量よりはるかに多くの油が吸込室に流入することは回避することは困難である。即ち、軸受部で必要とする給油量は、吸込室や圧縮室で必要とされる給油量の例えば10倍程度と、はるかに多いが、軸受部に供給された油のほとんどが背圧室に流入するため、吸込室への給油量も必然的に多くなることは回避できない。このため、吸込ガスが加熱されて加熱損失が大きくなることは回避することができない。また、圧縮室には背圧室から大量の油が供給され、吸込室からの油と合流するので、圧縮室への給油量が多くなって油圧縮を引き起こす可能性があることは上記特許文献2と同様であり、これらの課題に対する配慮が為されていない。

本発明の目的は、軸受部への給油量、吸込室への給油量及び圧縮室への給油量のそれぞれを制御して、それぞれに適正な量の給油を実現することのできるスクロール圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置を得ることにある。

上記目的を達成するため、本発明は、台板に渦巻状のラップを立設した固定スクロールと、鏡板に立設した渦巻状のラップを有し前記固定スクロールと噛み合わされて旋回運動をする旋回スクロールとを備え、前記固定スクロールに対して前記旋回スクロールを旋回運動させることにより吸込室及び圧縮室を形成するように構成しているスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面中心部に形成され密閉容器底部に貯留された潤滑油が導かれて吐出圧力に近い圧力となる第1の空間と、前記旋回スクロールの背面で前記第1の空間よりも外周側に設けられ吐出圧力と吸込圧力との間の圧力となる第2の空間と、前記第1の空間内の一部の油を前記第2の空間へ漏出させる第1の油漏出路と、前記第1の空間内の大部分の油を密閉容器内の底部へ戻す油戻し通路と、前記第2の空間内の油の一部を前記吸込室へ漏出させるための第2の油漏出路と、圧縮室内の圧力と前記第2の空間内の圧力との差に応じて、前記第2の空間内の油を圧縮室に逃がすようにして前記第2の空間内の圧力を調整する第3の油漏出路とを備えることを特徴とする。

本発明の他の特徴は、上記のように構成されたスクロール圧縮機を用いて構成した冷凍空調用の冷凍サイクル装置にある。

本発明によれば、軸受部への給油量、吸込室への給油量及び圧縮室への給油量のそれぞれを制御して、それぞれに適正な量の給油を実現することのできるスクロール圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置を得ることができる効果がある。

本発明のスクロール圧縮機の実施例1を示す縦断面図。

図1に示す固定スクロールと旋回スクロールとの噛み合っている状態を示す図で、図1のII−II方向から見た図。

図1に示す旋回スクロールを上方から見た斜視図。

図1に示すスクロール圧縮機における背圧弁周辺の拡大断面図。

旋回スクロールの他の例を説明する図で、図2に相当する斜視図。

本発明のスクロール圧縮機の実施例2を説明する図で、図4に相当する図。

本発明の実施例3を説明する図で、スクロール圧縮機を用いた冷凍サイクル装置の例を示す冷凍サイクル構成図。

以下、本発明の具体的実施例を、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。

本発明のスクロール圧縮機の実施例1を図1〜図5を用いて説明する。図1は本発明のスクロール圧縮機の実施例1を示す縦断面図、図2は図1に示す固定スクロールと旋回スクロールとの噛み合っている状態を示す図で、図1のII−II方向から見た図、図3は図1に示す旋回スクロールを上方から見た斜視図、図4は図1に示すスクロール圧縮機における背圧弁周辺の拡大断面図、図5は旋回スクロールの他の例を説明する図で、図3に相当する斜視図である。

まず、図1により、本実施例のスクロール圧縮機の全体構成を説明する。 スクロール圧縮機1は、ケース(密閉容器)9内に、圧縮機構部2及びモータ部16などを収容して構成されている。 前記圧縮機構部2では、フレーム17に固定された固定スクロール7に、旋回スクロール8が噛み合わされて、圧縮室13が形成され、前記モータ部16の回転により、クランクシャフト(回転軸)10を介して、前記旋回スクロール8を旋回運動させることにより、前記圧縮室13の容積を減少させて圧縮動作を行う。

この圧縮動作に伴って、作動流体が吸込ポート14から吸込室20(図3参照)へ吸込まれ、吸込まれた作動流体は圧縮室13での圧縮行程を経て、吐出ポート15からケース9内の吐出空間54に吐出される。この吐出空間54に吐出された作動流体は、前記固定スクロール7の外周と前記フレーム17の外周に形成された通路(図示せず)を通って、モータ室52に流れ、その後吐出パイプ6からケース9外に吐出されるように構成されている。

前記固定スクロール7は、円板状の台板7a、この台板7aに渦巻状に立設されたラップ7b、前記台板7aの外周側に位置し、前記ラップ7bの先端面とほぼ同じ高さの鏡板面7eを有してラップ7bを囲むように筒状に設けられた支持部7dを備えている。前記ラップ7bが立設された台板7aの表面は、ラップ7bの間にあるため、歯底7cと呼ばれる。

前記鏡板面7eは、固定スクロール7の支持部7dが、旋回スクロール8の鏡板8aと接する摺動面となっている。固定スクロール7は、前記支持部7dをボルト等により前記フレーム17に固定しており、固定スクロール7と一体に結合された前記フレーム17は溶接等の固定手段により前記ケース9に固定されている。

前記旋回スクロール8は、固定スクロール7に対向して配置され、固定スクロール7のラップ7bと旋回スクロール8のラップ8bとが噛み合わされて、フレーム17内に旋回可能に設けられている。この旋回スクロール8は、円板状の鏡板8aの表面である歯底8cから立設された渦巻状のラップ8b、及び前記鏡板8aの背面中央に設けられた旋回ボス部(ボス部)8dを有する。また、前記鏡板8aの外周部の前記固定スクロール7と接する表面は、旋回スクロール8の鏡板面8eとなっている。

前記旋回スクロール8のラップ8bの先端部(ラップ歯先)は前記固定スクロール7の歯底7cと微小すき間をもって相対するように構成されている。同様に、固定スクロール7のラップ7bの先端部(ラップ歯先)も前記旋回スクロール8の歯底8cと微小すき間をもって相対するように構成されている。

前記圧縮機構部2及びモータ部16等を収容している密閉容器構造の前記ケース9の底部には、潤滑油(冷凍機油)を溜める油溜り53が設けられている。前記モータ部16は回転子16aと固定子16bにより構成され、前記回転子16aにはクランクシャフト10が一体に固定されている。このクランクシャフト10は前記フレーム17に主軸受5を介して回転自在に支持され、固定スクロール7の中心軸線と同軸となっている。

前記クランクシャフト10の先端には偏心したクランク部10aが設けられており、このクランク部10aは、前記旋回スクロール8の旋回ボス部8dに設けられた旋回軸受11に挿入され、前記旋回スクロール8はクランクシャフト10の回転に伴い旋回可能に構成されている。

前記旋回スクロール8の中心軸線は、前記固定スクロール7の中心軸線に対して所定距離だけ偏心した状態となる。また、旋回スクロール8のラップ8bは、固定スクロール7のラップ7bに対し、周方向に所定度(一般には180度)だけずらして重ね合わせられている。 12は、前記旋回スクロール8を前記固定スクロール7に対して、自転しないように拘束しながら相対的に旋回運動させるためのオルダムリングである。

図2は前記固定スクロール7と旋回スクロール8との噛み合い状態を説明する図で、図1のII−II方向から見た図であるため、旋回スクロール8については、旋回スクロールラップ8bが断面で示され、旋回スクロール8の鏡板8aの外周に相当する部分は二点鎖線(想像線)で示している。

この図2に示すように、固定スクロールラップ7bと旋回スクロールラップ8b間には三日月状の複数の圧縮室13(旋回内線側圧縮室13a、旋回外線側圧縮室13b)が形成され、旋回スクロール8を旋回運動させると、各圧縮室13は中央部の方向に移動するに従い、連続的にその容積が縮小されていく。 20は吸込室で、流体を吸入している途中の空間である。この吸込室20は、旋回スクロール8の旋回運動の位相が進んで、流体の閉じ込みを完了した時点から圧縮室13となる。

前記吸込ポート14は、図1及び図2に示すように、固定スクロール7に設けられている。この吸込ポート14は、前記吸込室20と連通するように、固定スクロール7の台板7aの外周側に穿設されている。 前記吐出ポート15は、最内周側の圧縮室13と連通するように、前記固定スクロール7の台板7aの渦巻中心付近に穿設されている。

図1に示す前記モータ部16により前記クランクシャフト10を回転させると、前記旋回スクロール8は、前記固定スクロール7の中心軸線を中心に、所定の旋回半径をもって旋回運動する。これにより、前記吸込ポート14から吸込まれた作動流体、例えば冷凍サイクルを循環する冷媒ガス(以下、単に流体ともいう)を前記各圧縮室13内で順次圧縮し、圧縮された作動流体は前記吐出ポート15から前記吐出空間54に吐出され、上述したように、前記吐出パイプ6から、圧縮機外の例えば冷凍サイクルに供給される。

前記クランクシャフト10の下端には、容積型または遠心式の給油ポンプ21が設けられており、前記クランクシャフト10の回転と共に、前記給油ポンプ21も回転し、前記ケース9底部の油溜り53に溜められた潤滑油を、給油ポンプケース22の潤滑油吸込口22aから吸入して、前記給油ポンプ21の吐出口21aから吐出する。吐出された潤滑油は、前記クランクシャフト10内に軸方向に形成されている貫通穴(給油穴)3を通って、前記クランク部10aの上端の旋回ボス部8d内空間へ送られる。

なお、前記貫通穴3を流れる潤滑油の一部は、前記クランクシャフト10に設けられている横穴24を介して副軸受23に送られ、該副軸受23を潤滑後、ケース9底部の前記油溜り53に戻る。前記貫通穴3を流れるその他の大部分の潤滑油は、前記クランク部10aの上端の前記旋回ボス部空間に達し、前記クランク部10aの外周面に設けた油溝57を通って前記旋回軸受11を潤滑する。この潤滑油は、その後、前記旋回軸受11の下部に設けた前記主軸受5を潤滑した後、排油穴26a及び排油パイプ26bで構成されている油戻し通路26を通ってケース9底部の前記油溜り53に戻される。

ここで、前記油溝57と前記旋回軸受11などで形成される前記旋回ボス部内空間と、前記主軸受5を収める空間(フレーム17、クランクシャフト10、フレームシール56、旋回ボス部8dに設けられたつば部34及びシール部材32で形成された空間)を合わせて第1の空間33と呼ぶことにする。この第1の空間33は吐出圧力に近い圧力を有する空間である。

前記主軸受5及び前記旋回軸受11の潤滑のために前記第1の空間33に流入した潤滑油の大部分は、前記排油穴26a及び前記排油パイプ26b(油戻し通路)を通って、ケース9底部の前記油溜り53に戻る。また、前記潤滑油の一部は、前記オルダムリング12の潤滑、前記固定スクロール7と旋回スクロール8との摺動部の潤滑、及び前記各ラップ7b,8bの先端すき間などのシール(密閉)に必要な量が、前記シール部材32の上端面と、前記旋回ボス部8dの前記つば部34端面との間に設けられた第1の油漏出路を介して、前記第1の空間33よりも外周側に設けられ吐出圧力と吸込圧力との間の圧力となる第2の空間である背圧室18に流入する。

前記シール部材32は、前記フレーム17の前記つば部34と対向する面に設けられた円環溝31に、波状バネ(図示せず)と共に設けられており、吐出圧力となっている前記第1の空間33と、吸込圧力と吐出圧力の中間の圧力となっている前記背圧室(第2の空間)18とを仕切っている。

前記第1の油漏出路は、例えば、旋回ボス部8dの前記つば部34に設けられた一つまたは複数の半径方向に長いスリット60(溝)と、前記シール部材32とにより構成され、前記スリット60は、前記旋回スクロール8の旋回運動により間欠的に、前記シール部材32を跨ぐように配置されることで、間欠的に前記第1の空間33と前記背圧室18を連通するように構成されている。

これにより、前記第1の空間33と前記背圧室18との圧力差により、前記第1の空間33から前記背圧室18へ、微小すき間である前記スリット60を介して、油を流入させることができる。 なお、前記スリット60の配置は、旋回スクロール8の旋回運動に伴い間欠的に前記シール部材32を跨ぐ構成とするものには限られず、常にシール部材32を跨ぐようにしてもよい。

また、前記スリット60の代わりに、旋回ボス部の前記つば部34に、1つまたは複数個、即ち1以上の油溜めとなる穴(例えば円形の溝)を設け、この穴が、旋回スクロール8の旋回運動に伴って前記シール部材32を跨いだ円運動を行うように構成する。これにより、前記穴は、前記第1の空間33と前記背圧室18との間を移動し、前記第1の空間33の潤滑油を該穴に溜め、前記背圧室18に間欠的に移送して排出することができ、第1の空間33内の油を背圧室18に供給することができる。このように前記第1の油漏出路を構成しても良い。

本実施例では、前記背圧室18に流入した潤滑油の一部は、後述する第2の油漏出路を介して前記吸込室20に流入するように構成されており、ラップ摺動面やラップ先端すき間などを潤滑すると共に、圧縮室間などのシールにも利用される。

また、前記背圧室18に流入した潤滑油の残りは、後述する第3の油漏出路を介して前記圧縮室13に流入するように構成されており、圧縮室のラップ摺動面やラップ先端すき間などを潤滑すると共に、圧縮室間などのシールに利用される。

このように、本実施例では、前記第1の空間33から前記第2の空間(背圧室)18へ、前記第1の油漏出路を介して、ラップ摺動面やラップ先端すき間などの潤滑や、圧縮室間などのシールに必要な量だけ潤滑油を漏出させ、残りの潤滑油は、各軸受部を潤滑後、前記排油穴26a及び排油パイプ26bを介して油溜り53に戻すことができる。従って、本実施例では、各軸受部の潤滑に必要な給油量と、背圧室18への給油量を独立に制御することができる。従って、背圧室18への給油量を必要最小限にすることができる。

また、前記背圧室18へ流入した潤滑油は、前記第2の油漏出路を介して吸込室20に必要な給油量だけ供給することができ、残りの潤滑油は前記第3の油漏出路を介して圧縮室13に供給する。従って、吸込室20及び圧縮室13への給油量をそれぞれ必要最小限にすることができるから、前記吸込室20での吸込加熱損失を最小限にすることができ、また前記圧縮室13での油の過剰供給による油圧縮や加熱損失などを防止できるから、高効率で信頼性の高いスクロール圧縮機を実現することができる。

次に、前記第2の油漏出路の構成について、図2及び図3を用いて説明する。 64は、図3に示すように、旋回スクロール8の鏡板面8eに設けられ油溜めとなる油穴(溝)で、この油穴64は、図2に示すように、旋回スクロール8の旋回運動に伴い、図2に示す軌跡65を描いて、背圧室(第2の空間)18と、吸込室20に連通した溝部66とに間欠的に連通する。

前記油穴64が背圧室18に連通している状態では、背圧室18内(圧力は吐出圧力と吸込圧力の中間の圧力)の油が前記油穴64内に溜められる。また、前記油穴64が、旋回スクロール8の旋回運動に伴い、前記溝部66(圧力は吸込圧力)に連通すると、前記油穴64内の油が、圧力差により前記溝部66を経由して前記吸込室20に導入される。この作用を繰り返すことにより、前記背圧室18内の油は、順次吸込室20に移送される。前記油穴64の容積や個数を調整することにより、前記背圧室18から前記吸込室20への給油量を任意に調整することが可能となる。

次に、前記第3の油漏出路の構成について、図1、図2及び図4を用いて説明する。 まず、前記背圧室(第2の空間)18の機能について説明する。スクロール圧縮機1では、その圧縮作用により、固定スクロール7と旋回スクロール8を互いに引離そうとする軸方向の力(引き離し力)が発生する。この軸方向の力により、前記両スクロールが引き離される、いわゆる旋回スクロール8の離脱現象が発生すると、圧縮室13の密閉性が悪化し、圧縮機効率を低下させる。

そこで、旋回スクロール8の鏡板8a背面側に、吐出圧力と吸込圧力の間の圧力となる背圧室18を設け、この背圧室18の圧力(背圧)により、前記引き離し力を打ち消すと共に、旋回スクロール8を固定スクロール7に押付けるようにしている。このときの押付力が大きすぎると、旋回スクロール8の鏡板面8eと固定スクロール7の鏡板面7eとの摺動損失が増大し、圧縮機効率が低下する。

つまり、前記背圧には最適な値が存在し、小さすぎると圧縮室の密閉性が悪化して熱流体損失が増大し、大きすぎると摺動損失が増大する。従って、背圧を最適な値に維持することが、圧縮機の高性能化、高信頼性化において重要である。

この最適な背圧値を得るため、本実施例のスクロール圧縮機では、図1に示すように、前記背圧室18の背圧を調整するための背圧弁61を有する前記第3の油漏出路(圧縮室連通路)が前記固定スクロール7の支持部7dに備えられている。 図1における背圧弁61周辺の構成を示す拡大図である図4を用いて、前記第3の油漏出路の構成を詳細に説明する。

前記第3の油漏出路(圧縮室連通路)は、前記背圧室18と前記背圧弁61を連通する背圧弁流入路(背圧室18と通じている空間)62a、前記背圧弁61と前記圧縮室13を連通する背圧弁流出路(圧縮室13に通じている空間)62c、及び前記背圧弁61を収容している空間62bにより構成されている。前記背圧弁61は、前記背圧弁流入路62aと前記背圧弁流出路62cを仕切るようにバルブ61aが配置されている。このバルブ61aは、ストッパ61cに固定されたばね61bにより、前記背圧弁流入路62aの開口部に押付けられるように設けられている。

前記バルブ61aは、前記背圧弁流入路62a内の圧力、即ち背圧が、前記背圧弁流出路62cを介して導入される前記空間62b内の圧力、即ち圧縮室の圧力と、ばね61bの押付力に対応する圧力の合計よりも高くなった場合に、上方へ移動して、前記背圧弁流入路62aと前記背圧弁流出路62cとを連通させる。つまり、前記背圧弁61は、背圧室18内の圧力がある値よりも高くなった場合に、該背圧室18内の流体を前記圧縮室13に逃がし、前記背圧室18の背圧を適正値に調整するものである。

前記圧縮室13へ流入した油は、ラップ摺動面やラップ先端すき間などを潤滑すると共に、圧縮室間などのシールに利用され、その後、前記吐出ポート15から吐出空間54に吐出される。この吐出された油の一部は、例えば冷媒ガスと共に前記吐出パイプ6から冷凍サイクルへ吐出され、残りはケース9内で冷媒ガスと分離されてケース底の前記油溜り53に貯留される。

上記特許文献2や特許文献3に記載の従来のスクロール圧縮機では、前記第1の空間、即ち軸受部へ給油された潤滑油のほぼ全てが背圧室18に流入し、その後吸込室20及び圧縮室13へと流れる。このため、吸込室20への給油量も圧縮室13への給油量も過多になってしまい、高温の潤滑油により冷媒が加熱されて膨張し、吸込加熱損失が増大すると共に、吸込室20に吸引できる冷媒量も減少するため体積効率が低下する。また、圧縮室13へは軸受部へ給油された潤滑油のほぼ全てが流入するため、加熱損失の増大と油圧縮による圧縮動力の増大が生じる。

一方、上記特許文献1のものでは背圧室18への給油量を独立に制御できるが、吸込室での吸込加熱損失を抑制するために、背圧室18へ流入する潤滑油量を抑えると、圧縮室13へ十分な給油ができず、圧縮室13における油による密閉効果が低下するため、漏れ損失が増大する。

即ち、従来のものでは、吸込室20及び圧縮機13にそれぞれ適切な量の潤滑油を供給することはできなかった。 これに対し、本実施例は、前記第1の油漏出路により、各軸受部への給油量と背圧室への給油量を独立に制御できるようにし、また第2の油漏出路により背圧室18から吸込室20に給油する給油量を独立に制御し、更に背圧室18から背圧弁61を介して、吸込過程を完了した後の圧縮室13に給油する第3の油漏出路を備えているので、各軸受部、吸込室20及び圧縮室13へのそれぞれの給油量を適切に調整できるようにしたものである。

なお、本実施例において、前記背圧弁流出路62cは、吸込過程を完了して圧縮を開始した後の圧縮室13に連通している。即ち、この圧縮室13は、吸込過程を完了した後の圧縮途中の圧縮室であり、吸込室20とは隔離された圧縮室である。また、前記背圧弁流出路62cは、図2に示すように、旋回スクロールの旋回運動により旋回外線室13bと旋回内線室13aの両方に交互に連通する位置としている。 なお、図4に示す63は止め栓であり、背圧弁流出路62cを設けるために形成された横穴の端部を密閉して塞ぐためのものである。

本実施例では、前記背圧弁61を有する第3の油漏出路を設けているので、背圧室18内の油を、吸込室20を経由することなく、前記背圧弁61を介して圧縮室13に直接供給することができる。この圧縮室13への給油量は、前記第1の油漏出路による前記第1の空間33から前記背圧室18への給油量と、前記第2の油漏出路による前記背圧室18から吸込室20への給油量との差分となる。即ち、前記背圧室18へは前記第1の油漏出手段を介して第1の空間33から油が供給されるが、その油のうち第2の油漏出路により決定される量だけが吸込室に導入され、残りの油は圧縮室13に導入される。

従って、前記第1の油漏出路と第2の油漏出路のそれぞれの給油量を調整することにより、吸込室への給油量と圧縮室への給油量をそれぞれ適切な量に制御することが可能となる。

一般に、圧縮室13のシールに必要な給油量は吸込室のシールに必要な給油量より多くなるので、例えば上記特許文献1のものでは、第1の油漏出路での給油量を、圧縮室のシールに必要な給油量に設定した場合、吸込室20では給油過多となり吸込加熱損失が増大する。逆に、第1の油漏出路での給油量を、吸込室20のシールに必要なだけの少ない給油量に設定した場合には、圧縮室では給油不足となり油による密閉効果が低下して漏れ損失が増大する。

これに対し、本実施例では、吸込室と圧縮室のそれぞれに適量の油を供給することが可能なため、上記特許文献1のものに比べ、吸込加熱損失や漏れ損失を低減することができる。 更に、背圧弁流出路62cは、旋回スクロールの旋回運動により、前記旋回外線室13bと前記旋回内線室13aの両方に交互に連通する位置に形成されているため、両方の圧縮室に油を供給することができ、何れかの圧縮室13で給油が不足する不具合を回避することができる。

また、第1の油漏出路による給油量が、第2の油漏出路による給油量より多くなるように各給油量を設定することで、第1の油漏出路と第2の油漏出路の給油量の差分を圧縮室13に供給できるから、圧縮室13への給油量を確実に確保することができる。

更に、作動流体として、高温になりやすい、断熱指数が1.09より大きい冷媒、例えばR32などを用いるスクロール圧縮機に本実施例を適用すれば、吸込加熱損失をより低減でき、より効率の高いスクロール圧縮機を得ることができる。

なお、上述した実施例では、図3に示したように、前記第2の油漏出路を、旋回スクロール8の鏡板面8eに円形の油穴(溝)64を設けて構成した例を説明したが、これに限るものではない。即ち、図5に示すように、前記油穴64に代えて、深さの浅いスリット(溝)67とし、このスリット67が常時または間欠的に、背圧室18と、吸込室20に連通した溝部66とに連通するようにして、圧力差により、背圧室18の油を吸込室20に導入するように構成しても良い。この場合でも、前記スリットの深さ、幅、長さ或いは個数などを調整することにより給油量を制御できる。

本発明のスクロール圧縮機の実施例2を、図6を用いて説明する。図6は、上述した図4に相当する図であり、この図6において、上述した図1〜図5と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。

本実施例2においても、上述した実施例1と同様に、前記第1の油漏出路により、各軸受部への給油量と背圧室への給油量を独立に制御できるようにし、また第2の油漏出路により背圧室18から吸込室20に給油する給油量を独立に制御できるようにしている。しかし、本実施例2では、図4に示したような、背圧室18から背圧弁61を介して圧縮室13に給油するような第3の油漏出路は備えていない。本実施例2における前記第3の油漏出路は、固定スクロール7の支持部7dには備えられておらず、図6に示すように、旋回スクロール8の鏡板8aに形成した背圧孔68により構成されている。

前記背圧孔68は、背圧室(第2の空間)18と、吸込過程を完了して圧縮を開始した後の圧縮室13とを連通するように前記旋回スクロール鏡板8aに設けた構成にしている。即ち、前記背圧孔68は、吸込室20とは隔離された圧縮室13にのみ連通する位置に設けられている。この背圧孔68により、前記背圧室18内の圧力を、圧縮室13内の平均圧力に近い値に維持することができる。

上述したように、前記第1の油漏出路、前記第2の油漏出路、及び前記背圧孔68(第3の油漏出路)を備えることにより、上記実施例1と同様に、各軸受部、吸込室20及び圧縮室13へのそれぞれの給油量を適切に調整することが可能となる。

以上述べた本発明の各実施例によれば、軸受部への給油量、吸込室への給油量及び圧縮室への給油量のそれぞれを制御して、それぞれに適正な量の給油を実現して、損失の小さい高効率なスクロール圧縮機を実現することができる。なお、前記第1〜第3の油漏出路から漏出する油(潤滑油)には、一般に冷媒も含まれているが、本発明では油に冷媒が含まれているものも油として説明している。

本発明の実施例3を図7により説明する。図7は、上述した本発明のスクロール圧縮機を用いた冷凍空調用の冷凍サイクル装置の一例を示す冷凍サイクル構成図である。

本実施例では、冷凍サイクル装置としての空気調和機に適用した場合の例を図7により説明する。図7において、1はスクロール圧縮機、43は四方弁、40は室外側熱交換器(冷房運転時は凝縮器、暖房運転時は蒸発器となる)、41は電子膨張弁などで構成された膨張弁、42は室内側熱交換器(冷房運転時は蒸発器、暖房運転時は凝縮器となる)であり、これらの機器は冷媒配管により順次接続されて、空気調和機の冷凍サイクルが構成されている。前記スクロール圧縮機1は、本実施例では、上記各実施例に記載されたスクロール圧縮機の何れかが使用されている。

この図7に示すような空気調和機に、上述した本発明の何れかの実施例に記載のスクロール圧縮機を組み合わせることにより、空気調和機の運転効率を大幅に向上することができ、空気調和機の通年エネルギー消費効率(APF)を大幅に向上でき、年間を通じて消費電力量が小さく且つ運転範囲の広く、使い勝手の良い空気調和機(冷凍サイクル装置)を得ることができる。

なお、本実施例3では、室外側熱交換器40が1台、室内側熱交換器42が1台の空気調和機に適用した場合について説明したが、前記室内側熱交換器42が複数台のマルチ型の空気調和機などにも同様に適用でき、更に冷房専用の空気調和機や冷凍機などの冷凍サイクル装置にも同様に適用することができる。

以上説明したように、本発明の各実施例によれば、軸受部への給油量、背圧室への給油量、吸込室への給油量、圧縮室への給油量を、それぞれに必要な量だけの適正な給油量にすることできるので、効率の高いスクロール圧縮機及びこれを用いた冷凍空調用の冷凍サイクル装置を得ることができる。

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。更に、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

1:スクロール圧縮機、2:圧縮機構部、 3:貫通穴(給油穴)、5:主軸受、6:吐出パイプ、 7:固定スクロール、7a:台板、7b:ラップ、7c:歯底、 7d:支持部、7e:鏡板面、 8:旋回スクロール、8a:鏡板、8b:ラップ、8c:歯底、 8d:旋回ボス部(ボス部)、8e:鏡板面、 9:ケース(密閉容器)、 10:クランクシャフト(回転軸)、10a:クランク部、 11:旋回軸受、12:オルダムリング、 13:圧縮室、13a:旋回内線側圧縮室、13b:旋回外線側圧縮室、 14:吸込ポート、15:吐出ポート、 16:モータ部、16a:回転子、16b:固定子、 17:フレーム、 18:背圧室、20:吸込室、 21:給油ポンプ、21a:給油ポンプ吐出口、 22:給油ポンプケース、22a:潤滑油吸込口、 23:副軸受、24:横穴、 26:油戻し通路(26a:排油穴、26b:排油パイプ)、 31:円環溝、32:シール部材、33:第1の空間、34:つば部、 40:室外側熱交換器、41:膨張弁、42:室内側熱交換器、43:四方弁、 52:モータ室、53:油溜り、54:吐出空間、 56:フレームシール、57:油溝、60:スリット(溝)、 61:背圧弁、61a:バルブ、61b:ばね、61c:ストッパ、 62a:背圧弁流入路、62b:空間、62c:背圧弁流出路、 63:止め栓、64:油穴(溝)、65:油穴の軌跡、 66:溝部、67:スリット(溝)、68:背圧孔。

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