ギヤポンプ及びギヤポンプの運転方法

申请号 JP2013126685 申请日 2013-06-17 公开(公告)号 JP6052794B2 公开(公告)日 2016-12-27
申请人 株式会社神戸製鋼所; 发明人 岩崎 伸; 入谷 一夫;
摘要
权利要求

吸入口及び吐出口を備えたケーシングと、ギヤ部と軸部とが一体に構成され、且つ前記ケーシングの内部で互いに噛み合い状態で配備された一対のギヤロータと、前記ギヤロータが回転自在となるように前記軸部を支持する軸受部と、を備えているギヤポンプにおいて、 前記軸受部が、前記ギヤロータのスラスト方向に沿って移動可能とされており、 前記軸受部をスラスト方向に移動させることにより、前記ギヤロータと当該軸受部との隙間を調整する隙間調整手段が設けられており、 前記軸受部には、当該軸受部の温度を計測する軸受温度計測部が設けられており、前記ケーシングには、当該ケーシングの温度を計測するケーシング温度計測部が設けられていて、前記隙間調整手段は、前記ケーシング温度計測部で計測されたケーシング温度と、前記軸受温度計測部で計測された軸受温度に基づいて、前記スラスト方向に沿って軸受部を移動させることを特徴とするギヤポンプ。前記軸受温度計測部は、前記軸受部の径方向における内側に取り付けられてなり、 前記ケーシング温度計測部は、前記ケーシングの前記ギヤ部の外周に対向する部分に取り付けられてなることを特徴とする請求項1に記載のギヤポンプ。前記隙間調整手段には、予め、前記軸受部の温度と前記ケーシングの温度との温度差に応じた軸受部の規定移動量が入されており、前記隙間調整手段は、前記ケーシング温度と前記軸受温度との温度差に基づいて選択された規定移動量に従って、前記軸受部を移動させるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のギヤポンプ。前記隙間調整手段は、前記軸受部をスラスト方向に移動させる油圧シリンダを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のギヤポンプ。吸入口及び吐出口を備えたケーシングと、ギヤ部と軸部とが一体に構成され、且つ前記ケーシングの内部で互いに噛み合い状態で配備された一対のギヤロータと、前記ギヤロータが回転自在となるように前記軸部を支持し、且つ、当該ギヤロータの回転軸心方向であるスラスト方向に沿って移動可能に構成された軸受部と、を備えているギヤポンプの運転 方法において、 前記軸受部の温度を計測すると共に、前記ケーシングの温度を計測し、 計測した軸受部の温度とケーシングの温度に基づいて、スラスト方向に沿って軸受部を移動させることを特徴とするギヤポンプの運転方法。予め、前記軸受部の温度と前記ケーシングの温度との温度差に応じた軸受部の規定移動量を規定しておき、 計測した軸受部の温度とケーシングの温度の温度差に基づいて選択された規定移動量に従って、前記軸受部を移動させることを特徴とする請求項5に記載のギヤポンプの運転方法。

说明书全文

本発明は、ギヤポンプ及びギヤポンプの運転方法に関する。

例えば、混練した樹脂を造粒してペレットにする樹脂混練造粒装置においては、混練され溶融された樹脂を混練機の下流側に位置するスクリーンや押出ダイへ圧送するための昇圧装置として、ギヤポンプが一般に採用される。このギヤポンプは、内部が空洞とされたケーシング(ポンプケーシング)に、ギヤロータを噛み合い状態で一対備えたものであり、ケーシング内に取り込まれた樹脂材料をギヤロータを用いて圧送する構成となっている。

ところで、樹脂混練造粒装置の生産性を高めるためには、ギヤポンプの大型化や高速化を行うことが必要となる。しかし、このようにギヤロータを大型化したり高回転で回転させたりすると、ポンプ内で熱が発生しやすくなり、発生した熱によって部材が熱膨張してギヤロータと軸受との隙間が狭くなり、ギヤロータのスムーズな回転が損なわれるといった問題を引き起こす場合がある。

そのため、特許文献1には、冷却された媒体を流通させることで、ギヤロータや軸受を冷却可能なギヤポンプが開示されている。このようにギヤロータや軸受を冷却すれば、ポンプ内の部材の熱膨張を抑制することが可能となる。 また、ギヤロータや軸受といった部材が加熱されたり冷却されたりすれば、部材間での伸縮状態に差が出て、ギヤロータと軸受との隙間を調整することが必要となる。

このような問題に対応すべく、特許文献2には、ポンプ内の部材間に生じる隙間の調整技術が開示されている。 すなわち、特許文献2の技術は、駆動ギヤからケーシングの外側に突出するギヤロータの駆動軸に、駆動ギヤの側面とケーシングとのサイドクリアランスを一定に維持する隙間調整機構を設けている。この隙間調整機構でサイドクリアランスを一定にすれば、駆動軸を介して繋がるポンプ内のギヤロータと軸受との隙間も一定の間隔に維持される。

特開平10−141247号公報

特許第3988258号公報

ところで、特許文献1の技術は、ギヤポンプに設けられた部材の中で、ギヤロータや軸受に対して冷却媒体を流すものとされており、この技術では、運転条件や樹脂材料の種類によっては軸受やギヤロータのみが冷却され、かえってこれらの部材とケーシングとの間に大きな温度差が生じてしまうといった不都合も起こり得る。そのような場合には、各部品間の熱膨張量の差から、軸受のスラスト面とギヤロータとの間の隙間が大きくなって、軸受とギヤロータとの隙間が設計上の許容範囲から逸脱することになる。

例えば、上述した隙間が設計上の許容範囲の下限値を下回ると、軸受とギヤロータとが近接し過ぎて両者の金属接触が発生しやすくなる。また、上述した軸受の隙間が許容範囲の上限値を上回ると、軸受とギヤロータが離間しすぎて溶融樹脂が漏れギヤポンプのポンプ効率が低下する。 特に、上述した隙間とポンプ効率との関係を考えると、ギヤポンプのポンプ効率は式(1)に示すように隙間の3乗に比例することが知られている。

つまり、上述した式(1)からも分かるように、特許文献1のギヤポンプでは、上述した軸受の隙間が少しでも許容範囲から外れるとポンプ効率が急激に低下してしまうことが起こり得る。 また、特許文献1のギヤポンプでは、軸受のスラスト面とギヤロータとの間の隙間を調整するためには、調整ワッシャー(シム)などの部品の交換や追加が必要となる。それゆえ、特許文献1のギヤポンプでは、運転中に隙間を調整することは実際問題として不可能であるし、仮にこれらの作業が可能であったとしてもギヤポンプの分解作業を伴うため、作業自体が非常に大掛かりなものとなってしまう。

一方、特許文献2のギヤポンプでも、駆動ギヤから駆動軸をハウジングの外側へ突出させた上で、突出した駆動軸に上述した隙間調整機構を設けねばならず、装置の構成は複雑なものとなりやすい。また、サイドクリアランスを調整する機構は、概して大型になりやすく、隙間の調整作業自体も大掛かりなものとなる可能性が高い。 本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でありながら、軸受とギヤロータとの隙間を精度良く調整可能なギヤポンプ及びギヤポンプの運転方法を提供することを目的とする。

上記課題を解決するため、本発明は以下の技術的手段を講じた。 即ち、本発明のギヤポンプは、吸入口及び吐出口を備えたケーシングと、ギヤ部と軸部とが一体に構成され、且つ前記ケーシングの内部で互いに噛み合い状態で配備された一対のギヤロータと、前記ギヤロータが回転自在となるように前記軸部を支持する軸受部と、を備えているギヤポンプにおいて、前記軸受部が、前記ギヤロータのスラスト方向に沿って移動可能とされていることを特徴とする。

なお、好ましくは、前記軸受部をスラスト方向に移動させることにより、前記ギヤロータと当該軸受部との隙間を調整する隙間調整手段が設けられているとよい。 なお、好ましくは、前記軸受部には、当該軸受部の温度を計測する軸受温度計測部が設けられており、前記ケーシングには、当該ケーシングの温度を計測するケーシング温度計測部が設けられていて、前記隙間調整手段は、前記ケーシング温度計測部で計測されたケーシング温度と、前記軸受温度計測部で計測された軸受温度に基づいて、前記スラスト方向に沿って軸受部を移動させるものであるとよい。

なお、好ましくは、前記軸受温度計測部は、前記軸受部の径方向における内側に取り付けられてなり、前記ケーシング温度計測部は、前記ケーシングの前記ギヤ部の外周に対向する部分に取り付けられてなるものであるとよい。 なお、好ましくは、前記隙間調整手段には、予め、前記軸受部の温度と前記ケーシングの温度との温度差に応じた軸受部の規定移動量が入されており、前記隙間調整手段は、前記ケーシング温度と前記軸受温度との温度差に基づいて選択された規定移動量に従って、前記軸受部を移動させるものであるとよい。

なお、好ましくは、前記隙間調整手段は、前記軸受部をスラスト方向に移動させる押し引きボルトを備えているとよい。 なお、好ましくは、前記隙間調整手段は、前記軸受部をスラスト方向に移動させる油圧シリンダを備えているとよい。 一方、本発明のギヤポンプの運転方法は、吸入口及び吐出口を備えたケーシングと、ギヤ部と軸部とが一体に構成され、且つ前記ケーシングの内部で互いに噛み合い状態で配備された一対のギヤロータと、前記ギヤロータが回転自在となるように前記軸部を支持し、且つ、当該ギヤロータの回転軸心方向であるスラスト方向に沿って移動可能に構成された 軸受部と、を備えているギヤポンプの運転方法において、前記軸受部の温度を計測すると共に、前記ケーシングの温度を計測し、計測した軸受部の温度とケーシングの温度に基づいて、スラスト方向に沿って軸受部を移動させることを特徴とする。

なお、好ましくは、予め前記軸受部の温度と前記ケーシングの温度との温度差に応じた軸受部の規定移動量を規定しておき、計測した軸受部の温度とケーシングの温度の温度差に基づいて選択された規定移動量に従って、前記軸受部を移動させるとよい。 また、本発明に係るギヤポンプ及びギヤポンプの運転方法の最も好ましい形態は、吸入口及び吐出口を備えたケーシングと、ギヤ部と軸部とが一体に構成され、且つ前記ケーシングの内部で互いに噛み合い状態で配備された一対のギヤロータと、前記ギヤロータが回転自在となるように前記軸部を支持する軸受部と、を備えているギヤポンプにおいて、前記軸受部が、前記ギヤロータのスラスト方向に沿って移動可能とされており、前記軸受部をスラスト方向に移動させることにより、前記ギヤロータと当該軸受部との隙間を調整する隙間調整手段が設けられており、前記軸受部には、当該軸受部の温度を計測する軸受温度計測部が設けられており、前記ケーシングには、当該ケーシングの温度を計測するケーシング温度計測部が設けられていて、前記隙間調整手段は、前記ケーシング温度計測部で計測されたケーシング温度と、前記軸受温度計測部で計測された軸受温度に基づいて、前記スラスト方向に沿って軸受部を移動させることを特徴とする。

本発明のギヤポンプ及びギヤポンプの運転方法によれば、簡単な構成でありながら、軸受部とギヤロータとの隙間を精度良く調整することができる。

第1実施形態のギヤポンプを示す図である。

第1実施形態のギヤポンプの軸受部の拡大図である。

第2実施形態のギヤポンプを示す図である。

第3実施形態のギヤポンプを示す図である。

図面を参照しながら、本発明の実施形態によるギヤポンプ1について説明する。 本実施形態ギヤポンプ1は、樹脂などの材料(以降、樹脂材料という)を混練する混練設備の下流側に設けられて、混練済みの材料をペレタイザなどに送るものである。 具体的には、図1に示すように、上述したギヤポンプ1は、吸入口及び吐出口を備えたケーシング2と、ギヤ部3と軸部4とが一体に構成され、且つケーシング2の内部で互いに噛み合い状態で配備された一対のギヤロータ5、5と、ギヤロータ5が回転自在となるように軸部4を支持する軸受部6と、を備えている。

なお、ギヤロータ5は、軸部4にギヤ部3を焼き嵌めしたものであってもよく、ギヤ部3と軸部4とをいわゆる一体成形(monolithic molding)したものでもよい。すなわち、ギヤ部3と軸部4の両者が一体に構成されておればよく、その製造方法(ギヤ部3と軸部4とが一体に構成される方法)が限定されるものではない。 上述したギヤロータ5は、平方向に向かって長尺棒状に形成された部材であり、上下に並んで一対設けられている。

上下それぞれのギヤロータ5は、いずれも水平方向に軸心を向けるようにして回転自在に配備された軸部4と、この軸部4の長手方向中途側に形成されたギヤ部3とを備えている。この軸部4の一端側(基端側)は図示しない駆動機構に連結されており、この駆動機構により軸部4は回転駆動されている。また、軸部4の他端側(先端側)はケーシング2の側面からさらに外側に向かってやや突出した状態で取り付けられている。

ギヤロータ5のギヤ部3は、軸部4より大径な円板状に形成されており、その外周側の端面には周方向に複数のギヤ歯が形成されている。これらのギヤ歯の間は、ケーシング2の内周面との間に樹脂材料を保持できるように凹状に形成されており、軸部4と一緒にギヤ部3を回転させることでギヤ歯とケーシング2内周面との間に保持された樹脂材料が圧送可能となっている。

また、上側のギヤロータ5に設けられた下側のギヤ歯と、下側のギヤロータ5に設けられた上側のギヤ歯とは、互いに上下に噛み合うようになっている。 さらに、上述したギヤロータ5のギヤ部3は、前側(反駆動機構側)の軸受部6と後側(駆動機構側)の軸受部6との間に挟み込まれた状態で、これらの軸受部6により回転自在に支持されている。なお、これらの軸受部6については後述する。

ケーシング2は、内部が空洞とされた筺状に形成されており、その内部には上述したギヤロータ5や軸受部6などが収容される。ケーシング2には、ケーシング2の内部に樹脂材料を取り込む吸入口と、取り込まれた樹脂材料をケーシング2の外部に取り出す吐出口とが形成されている。これらの吸入口及び吐出口は、ギヤロータ5の軸心に対して垂直となる方向を向くようにケーシング2の側面に開口している。そして、吸入口を介して、上下のギヤロータ5の間(噛み合わせ部)に樹脂材料を供給できるように構成され、また吐出口を介して、樹脂材料を排出できるように構成されている。

上記したケーシング2は、軸方向の両端が開口した筒状のケーシング本体7と、ケーシング本体7の両端の開口に嵌め込み状に取り付けられたベアリングリテーナー8と、を備えている。 ケーシング本体7は、ギヤロータ5の軸長よりも短尺に形成された筒状の部材であり、軸心を水平方向に向けるようにして設けられている。このケーシング本体7の水平方向の中途側は、ギヤロータ5のギヤ部3と軸受部6との双方に対応した部分だけを包囲できるようになっている。また、ケーシング本体7の開口は、ギヤロータ5の軸方向の先端側と基端側との双方に向かって、ギヤロータ5や軸受部6が挿通できる程度の大きさに形成されている。

ベアリングリテーナー8は、上下方向(軸垂直方向)に沿って配備された板状の部材であり、ケーシング本体7の軸方向両端側に形成された開口をそれぞれ閉鎖するように、ケーシング本体7の端縁にボルトなどの締結具9を用いて取り付けられている。ベアリングリテーナー8のギヤ部3側を向く表面には、軸受部6が配備されている。この軸受部6は、ベアリングリテーナー8により軸方向に移動を規制された状態でケーシング2の内側に収容されており、ベアリングリテーナー8により押さえ込まれた状態で保持されている。

また、ベアリングリテーナー8には、このベアリングリテーナー8を軸方向に貫通する貫通孔が複数の箇所に亘って形成されている。これら複数の貫通孔は、ケーシング本体7の軸心に近い側に形成された第1貫通孔10と、ケーシング本体7の軸心から遠い側に形成された第2貫通孔11とで構成されており、第1貫通孔10には後述する押し引きボルトの押しボルト12が挿通されると共に、第2貫通孔11には後述する押し引きボルトの引きボルト13が挿通されている。

軸受部6は、ギヤ部3に対して軸方向の先端側(反駆動機構側)に設けられた先端側軸受部14と、軸心方向の基端側(駆動機構側)に設けられた基端側軸受部15とで構成されており、本実施形態ではいずれにも自己潤滑式の滑り軸受が用いられている。これらの軸受部6は、いずれもギヤロータ5と同軸な円環状に形成されており、ベアリングリテーナー8(ケーシング本体7)に対してギヤロータ5を回転自在に支持している。

本実施形態のギヤポンプ1は、上述した軸受部6が、ギヤロータ5のスラスト方向に沿って移動可能とされている。言い換えれば、本実施形態のギヤポンプ1は、軸受部6をスラスト方向に移動させることにより、ギヤロータ5とこの軸受部6との隙間を調整する隙間調整手段を備えたものとなっている。このような隙間調整手段を設ければ、ギヤロータ5と軸受部6との間に形成される隙間を適正に保つことが可能となり、ギヤポンプ1の内部で熱が発生しても隙間を適正に保ちつつギヤロータ5を良好な回転状態に維持することができるので、ギヤポンプ1の大型化や高速化を行うことも可能となる。

次に、本発明のギヤポンプ1の特徴である隙間調整手段について、詳しく説明する。 なお、本発明の隙間調整手段としては、押し引きボルトを用いて軸受部6を移動させる手段や、油圧シリンダ18を用いて軸受部6を移動させる手段など、さまざまな手段を採用することができる。以降の第1実施形態では、押し引きボルトを用いてギヤロータ5と軸受部6との隙間を調整するものを例に挙げて本発明のギヤポンプ1を説明する。

図1及び図2に示すように、押し引きボルトは、ケーシング2、正確にはベアリングリテーナー8に対して軸受部6をスラスト方向に移動させるものである。具体的には、押し引きボルトは、ベアリングリテーナー8の外側から内側に向かって軸受部6を押動する押しボルト12と、ベアリングリテーナー8の内側から外側に向かって軸受部6を引き寄せる引きボルト13とで構成されている。

これら2種類のボルトについては、押しボルト12がギヤロータ5の軸心から遠い側(径外側)に配備されており、また引きボルト13がギヤロータ5の軸心に近い側(径内側)に配備されている。 また、押しボルト12は、上述したベアリングリテーナー8の第1貫通孔10に挿通されたボルトである。この押しボルト12の外周面には雄ねじ部が形成されている。一方、押しボルト12が挿通される第1貫通孔10の内周面には、この雄ねじ部に螺合可能な雌ねじ部が形成されている。そして、押しボルト12の先端は軸受部6を押しやすいように 平坦面状乃至は球面状に形成されており、押しボルト12の基端は工具などを用いて回動可能な形状(例えば、六柱状)のねじ頭となっている。

つまり、押しボルト12のねじ頭を工具などを用いて軸回りに一方向(例えば、ねじ頭からみて、時計周りの方向)に回動させれば、押しボルト12がベアリングリテーナー8の内側(第1貫通孔10の奥側)に向かって前進する。そして、平坦な押しボルト12の先端が軸受部6に接触しつつ前進し、軸受部6をベアリングリテーナー8から離れる方向に押動する。

また、押しボルト12のねじ頭を工具などを用いて軸回りに他方向(例えば、ねじ頭からみて、反時計周りの方向)に回動させれば、押しボルト12がベアリングリテーナー8の外側(第1貫通孔10の手前側)に向かって後退し、押しボルト12の先端と軸受部6との間が軸方向に離間する。このように押しボルト12の先端と軸受部6との間を離間しておけば、引きボルト13で軸受部6をベアリングリテーナー8に引き寄せる際に、押しボルト12が邪魔になることがない。

図2に示すように、引きボルト13は、上述した第2貫通孔11に挿通されたボルトである。この引きボルト13の外周面にも上述した押しボルト12と同様に雄ねじ部が形成されている。しかし、押しボルト12とは異なり、引きボルト13が挿通される第2貫通孔11の内周面には雌ねじ部は形成されていない。 つまり、引きボルト13の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部は、第2貫通孔11の内周面ではなく、第3貫通孔16の内周面に設けられている。この第3貫通孔16は、第2貫通孔11の開口に対応した軸受部6の表面(側面)に、第2貫通孔11と連通した状態で形成されている。この第3貫通孔16は、軸受部6の外側の側面から水平方向に沿って軸受部6の内側に向かって伸び、その先端は軸受部6の中心付近の内部に達している。そして、この第3貫通孔16の内周面に、上述した引きボルト13の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成されている。

また、第2貫通孔11の開口には、引きボルト13のねじ頭を差し込み可能な収容部17が形成されている。また、第2貫通孔11の内径は引きボルト13の雄ねじ部の外径よりもやや大きく形成されている。 つまり、引きボルト13のねじ頭を工具などを用いて軸回りに一方向に回動させれば、そのねじ頭に収容部17が差し込まれ、ねじ頭の根元部分と収容部17の底部とが接するまでは、引きボルト13が第3貫通孔16の奥側(内側)に向かって前進する。そして、ねじ頭の根元部分と収容部17の底部とが接した状態で(言い換えれば、引きボルト13の軸方向での位置が所定位置に定まった状態で)さらに引きボルト13のねじ頭を一方向に回動させれば、軸受部6にベアリングリテーナー8側に引き寄せる力が作用する。このとき、押しボルト12の先端と軸受部6との間が離間していれば、軸受部6をベアリングリテーナー8側に引き寄せることが可能となる。

一方、引きボルト13のねじ頭を工具などを用いて軸回りに他方向に回動させれば、引きボルト13が第3貫通孔16の内部から手前側(外側)に向かって後退し、引きボルト13のねじ頭の根元部分が収容部17の底部から軸方向に離間する。このように引きボルト13のねじ頭の根元部分を収容部17の底部から浮き上がらせておけば、上述した押しボルト12の回動によって、押しボルト12で軸受部6をベアリングリテーナー8からさらに引き離すことができる。

次に、上述した隙間調整手段を用いてギヤロータ5と軸受部6との隙間を調整する方法、言い換えれば本発明のギヤポンプ1の運転方法について説明する。 まず、「調整前」のギヤポンプ1に対して、上述した隙間調整手段を用いて、ギヤロータ5と軸受部6との隙間を狭める場合を考える。 このような場合は、隙間調整手段の押し引きボルトのうち、押しボルト12を一方向に回動させると共に、引きボルト13を他方向に回動させる。そうすると、押しボルト12が軸受部6側(内側)に向かって前進し、押しボルト12の先端で軸受部6を押動して、ギヤロータ5と軸受部6との隙間を狭めることが可能となる。また、引きボルト13をさらに他方向に回動させると、引きボルト13が押しボルト12の先端による軸受部6の押 動時とは反対側に向かって後退し、引きボルト13のねじ頭の根元部分が第2貫通孔11の開口に形成された収容部17の底部から離間し、引きボルト13による規制が無くなって、ギヤロータ5と軸受部6との隙間がさらに狭まる方向に軸受部6を移動させることが可能となる。

次に、図2に示すように、上述した隙間調整手段を用いて、ギヤロータ5と軸受部6との隙間を広げる場合を考える。 つまり、隙間調整手段の押し引きボルトのうち、押しボルト12を他方向に回動させると共に、引きボルト13を一方向に回動させる。そうすると、押しボルト12が軸受部6から離れる方向に向かって後退し、押しボルト12の先端が軸受部6から離間する。その結果、押しボルト12による規制が無くなり、ギヤロータ5と軸受部6との隙間を小さくすることが可能となる。その上で、さらに引きボルト13を一方向に回動させると、軸受部6をベアリングリテーナー8に引き寄せることが可能となる。

上述したように、本発明のギヤポンプ1は、押し引きボルトを用いた隙間調整手段を用いて軸受部6がスラスト方向に沿って移動可能に構成されているため、熱膨張の差に起因して軸受部6とギヤロータ5との間に隙間が生じた場合や、生産する樹脂の種類や運転条件が変わった場合にも、この隙間を精度良く調整することができる。 それゆえ、軸受部6とギヤロータ5との隙間によって変動しやすいギヤポンプ1の効率を常に最適化することが可能となり、従来の冷却方式のようにポンプ23効率の低下による動力ロスを最小に留めることができる。

また、上述した隙間調整手段を用いて軸受部6とギヤロータ5との隙間を最適なものに保持すれば、隙間から漏れる樹脂量を低減することが可能となり、せん断発熱による樹脂の劣化を防止することが可能となる。 さらに、軸受部6とギヤロータ5との間で部材の温度に差が生じることで、熱膨張の差から軸受部6とギヤロータ5との隙間が狭くなって、軸受部6とギヤロータ5とが接触するといった不具合を解消することも可能となる。

また、油圧シリンダのような複雑な機構を採用する必要がないため、既設の改造で軸受部6とギヤロータ5との隙間を調整することが可能となり、コストをかけることなく隙間の調整が可能となる。 [第2実施形態] 次に、第2実施形態のギヤポンプ1について、説明する。

図3及び図4に示すように、第2実施形態のギヤポンプ1は、上述した軸受部6を移動させる手段に、押し引きボルトではなく、油圧シリンダ18を用いたものである。また、第2実施形態のギヤポンプ1は、軸受部6の温度(軸受温度)とケーシング2の温度(ケーシング温度)とを実際に計測し、計測された軸受温度とケーシング温度(あるいはそれらの温度差)に応じて軸受部6とケーシング2との隙間が最適となるように、油圧シリンダ18の伸縮量を制御する構成となっている。

次に、第2実施形態のギヤポンプ1を構成する軸受温度計測部19、ケーシング温度計測部20、制御部21及び油圧シリンダ18について説明する。 図4に示すように、軸受温度計測部19は、熱電対などの温度センサから構成されており、軸受部6に設けられて軸受部6の温度を実測可能となっている。つまり、軸受温度とケーシング温度が想定されている温度から大きく乖離したり、軸受部6とケーシング2との温度差が大きくなると、軸受部6とギヤロータ5との隙間が変化する可能性があるので、軸受温度計測部19により軸受部6側の温度を実測する。

具体的には、軸受温度計測部19は、軸受部6の中でも、ギヤロータ5の温度の影響を受けやすい軸受部6の内周面に近い場所(径方向における内側)に取り付けられている。軸受温度計測部19で計測された温度は、上述した制御部21に送られる。 ケーシング温度計測部20は、軸受温度計測部19と同様に熱電対などの温度センサから構成されており、ケーシング2に設けられてケーシング2の温度を実測可能となっている。具体的には、ケーシング温度計測部20は、ケーシング2の中でもケーシング本体7であり、そのケーシング本体7の(ギヤロータ5の)ギヤ部3の外周に対向する部分に、 さらに詳しく言えば、ケーシング本体7における軸方向(水平方向)の中央側に、取り付けられている。ケーシング温度計測部20で計測された温度も、上述した制御部21に送られる。

図3及び図4に示すように、油圧シリンダ18は、上下のギヤロータ5を回転自在に支持する4つの軸受部6のそれぞれに対応して4つ設けられている。それぞれの油圧シリンダ18は、シリンダ部に加えられた油圧を受けて軸方向に移動可能なロッド22(ピストンロッド)を有している。このロッド22の先端は軸受部6に連結されており、油圧シリンダ18は、ロッド22を軸方向に伸縮させることで軸受部6を軸方向に移動させる構成となっている。

それぞれの油圧シリンダ18には、油圧シリンダ18にポンプ23で加圧された油を供給する配管が設けられている。具体的には、ポンプ23で加圧された圧油をピストンのシリンダ部の基端側(ロッド22が設けられていない側)に供給する第1配管24と、加圧された圧油をピストンのシリンダ部の先端側(ロッド22が突出する側)に供給する第2配管25とが設けられている。

第1配管24及び第2配管25の中途には、各配管を、ポンプ23と蓄油タンク26との間で切り替える切替弁27が設けられている。 例えば、この切替弁27を一方側に切り替えると、上述した第1配管24とポンプ23とが連通し、且つ第2配管25と蓄油タンク26とが連通する。そのため、ピストンのシリンダ部の基端側に圧油が供給され、ロッド22が伸長するようになる。

また、上述した切替弁27を他方側に切り替えると、上述した第2配管25とポンプ23とが連通し、且つ第1配管24と蓄油タンク26とが連通する。そのため、ピストンのシリンダ部の先端側に圧油が供給され、ロッド22が縮退するようになる。 なお、それぞれの油圧シリンダ18のロッド22には、軸方向に沿ったロッド22の伸縮量を計測可能な位置センサ28が設けられている。この位置センサ28で計測された油圧シリンダ18の伸縮量は、制御部21に信号として送られている。

制御部21には、その記憶部に予めギヤロータ5(特にギヤ部3)を構成する材質の線膨張係数α、軸受部6を構成する材質の線膨張係数βに相当するデータが記憶されている。制御部21は、それら線膨張係数α、βや、ケーシング温度計測部20から送られてきたケーシング温度と、軸受温度計測部19から送られてきた軸受温度に基づいて、想定される、軸受部6とギヤロータ5との隙間の距離を計算する。そして、計算された軸受部6とギヤロータ5との隙間の距離に基づき、その距離が予め設定された隙間量になるよう、スラスト方向に沿った軸受部6の移動量、言い換えれば油圧シリンダ18の伸縮量を計算し、実際に位置センサ28で計測された油圧シリンダ18の伸縮量が計算された伸縮量となるように油圧シリンダ18の移動量を計算する。

次に、制御部21では、軸受部6とギヤロータ5との隙間の実際の距離が予め設定された隙間量になるように、上述の計算によって算出された軸受部6の移動量、ひいては油圧シリンダ18の伸縮量に基づき、隙間調整手段である油圧シリンダ18を伸縮させる。例えば、切替弁27を一方側に切り替え、ロッド22を伸長させて、軸受部6をケーシング2の内側へ押し込むようにしたり、切替弁27を他方側に切り替え、ロッド22を縮退させて、軸受部6をケーシング2の外側へ引き戻したりする。油圧シリンダ18の伸縮量は、位置センサ28にて計測され、制御部21へフィードバックされるようになっている。

このように軸受部6とギヤロータ5との隙間が予め設定された隙間量となるように軸受部6を隙間調整手段を用いて移動させれば、連続的にギヤポンプ1の運転条件が変化しても、軸受部6とギヤロータ5との隙間から漏れる樹脂材料の漏れ量を最小にすることができ、せん断発熱による樹脂劣化を防止することが可能となる。 なお、予め、軸受部6の温度とケーシング2の温度との温度差に応じた軸受部6の移動量(規定移動量)を規定しておき、隙間調整手段(より具体的には、制御部21)には、予め、その規定移動量を入力しておき、その予め入力されている規定移動量から、計測した軸受部6の温度とケーシング3の温度差に基づいて所定の規定移動量を選択し、その選択された規定移動量に従って軸受部6を移動させるよう構成してもよい。

この場合、制御部21には、その記憶部に、上述の規定移動量のデータを入力し、記憶しておく。そして、制御部21は、ケーシング温度計測部20から送られてきたケーシング温度と、軸受温度計測部19から送られてきた軸受温度に基づいて、それらの温度差を計算する。さらに、制御部21は、算出された温度差と、記録されている規定移動量のデータから、算出された温度差に応じた適切な規定移動量を選択する。そして、制御部21、ひいては隙間調整手段は、その選択された規定移動量に従い、軸受部6を移動する。これは、ギヤロータ5(特にギヤ部3)を構成する材質の線膨張係数α、軸受部6を構成する材質の線膨張係数βが同等であるか近似しており、さらにケーシング2の温度がギヤロータ5の温度に近似する場合には、特に有効である。

上述のような隙間調整手段を採用すれば、軸受部6とケーシング2との隙間が、それらの温度(あるいはそれらの温度差)に応じた最適な値に調整される。その結果、熱膨張の差に起因して軸受部6とギヤロータ5との間に隙間が生じた場合や、樹脂の種類や生産条件が変わった場合にも、この隙間を精度良く調整することができる。 なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。

1 ギヤポンプ 2 ケーシング 3 ギヤ部 4 軸部 5 ギヤロータ 6 軸受部 7 ケーシング本体 8 ベアリングリテーナー 9 締結具 10 第1貫通孔 11 第2貫通孔 12 押しボルト 13 引きボルト 14 先端側軸受部 15 基端側軸受部 16 第3貫通孔 17 収容部 18 油圧シリンダ 19 軸受温度計測部 20 ケーシング温度計測部 21 制御部 22 ロッド 23 ポンプ 24 第1配管 25 第2配管 26 蓄油タンク 27 切替弁 28 位置センサ

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