スクリュー圧縮機

申请号 JP2017501840 申请日 2015-10-28 公开(公告)号 JP6403027B2 公开(公告)日 2018-10-10
申请人 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社; 发明人 岩井 聡; 米本 龍一郎; 加藤 英介;
摘要
权利要求

スクリューロータと、該スクリューロータを駆動するための電動機と、前記スクリューロータを支持する軸受と、これらを収納するケーシングを備えるスクリュー圧縮機において、 前記ケーシングに形成され、高圧側の油を前記軸受に低圧側との差圧で給油するための給油通路と、この給油通路の途中に設けられた給油量調整部を備え、 前記給油量調整部は、シリンダと、このシリンダ内を往復動自在に設けられた弁体と、該弁体に設けられ流路面積の異なる複数の流路を有し、 前記高圧側と低圧側の差圧に応じて前記弁体を移動させることにより前記複数の流路を切り替えて、前記軸受に供給される給油量を調整する ことを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項1に記載のスクリュー圧縮機において、スクリュー圧縮機における吸入圧を検出する吸入圧力測定装置と、吐出圧力を検出する吐出圧力測定装置を備え、これらの測定装置で測定された吸入圧力と吐出圧力との差圧に応じて、前記弁体を操作して前記複数の流路を切り替えることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項1に記載のスクリュー圧縮機において、前記弁体に設けられている複数の流路は、流路面積の大きな第1流路と、この第1流路の流路面積よりも小さな流路面積の第2流路で構成されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項3に記載のスクリュー圧縮機において、前記弁体の一方側の面に、圧縮機の吐出側圧力を導いて付与するための吐出側連通路と、圧縮機の吸込側圧力を導いて付与するための吸入側連通路とを設け、前記各連通路を開閉することにより、前記弁体の一方側の面に吐出側圧力または吸込側圧力を付与して前記弁体を移動させることにより、該弁体に形成されている前記第1流路と前記第2流路を切り替えることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項4に記載のスクリュー圧縮機において、前記弁体の他方側の面には常時吸込側圧力を付与すると共に、前記弁体を前記他方側から前記一方側に付勢するバネを設けていることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項4に記載のスクリュー圧縮機において、前記弁体の他方側の面には常時吐出側圧力を付与すると共に、前記弁体を前記一方側から前記他方側に付勢するバネを設けていることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項4に記載のスクリュー圧縮機において、前記吸入側連通路を開閉する電磁弁と、前記吐出側連通路を開閉する電磁弁と、圧縮機における吸入圧力を検出する吸入圧力測定装置と、吐出圧力を検出する吐出圧力測定装置を備え、前記吸入圧力測定装置と前記吐出圧力測定装置で測定された吸入圧力と吐出圧力との差圧に応じて、前記電磁弁を開閉することにより、前記弁体を移動させて、前記第1流路と前記第2の流路を切り替えることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項7に記載のスクリュー圧縮機において、前記両電磁弁は、電源が遮断された場合には閉じるように動作するものを使用し、前記両電磁弁への電源が遮断されて閉状態となった場合には、流路面積の大きな前記第1流路を介して油が軸受に供給されるように前記弁体を付勢して移動させるバネを備えることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項6に記載のスクリュー圧縮機において、前記弁体に、該弁体の他方側の面と前記給油通路とを連通させるための油通路を形成し、前記弁体の他方側の面に常時吐出側圧力を付与する構成としていることを特徴とするスクリュー圧縮機。スクリューロータと、該スクリューロータを駆動するための電動機と、前記スクリューロータを支持する軸受と、これらを収納するケーシングを備えるスクリュー圧縮機において、 前記ケーシングに形成され、高圧側の油を前記軸受に低圧側との差圧で給油するための給油通路と、この給油通路の途中に設けられた給油量調整部を備え、 前記給油量調整部は、シリンダと、このシリンダ内を往復動自在に設けられた弁体と、 該弁体に設けられ流路面積の大きな第1流路と、この第1流路の流路面積よりも小さな流路面積の第2流路と、 前記弁体の一方側の面に、圧縮機の吸込側圧力を導いて付与するための吸入側連通路と、 該吸入側連通路を開閉する電磁弁と、 前記弁体に設けられ、前記給油通路の油を前記弁体の一方側の面に漏出させる漏出手段を備え、 前記高圧側と低圧側の差圧に応じて前記電磁弁を開閉することにより、前記弁体を移動させ、前記第1流路と前記第2流路を切り替えることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項1に記載のスクリュー圧縮機において、前記給油通路の途中に設けられた前記給油量調整部を、前記給油通路に複数直列に配設していることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項1に記載のスクリュー圧縮機において、前記軸受は、前記スクリューロータを低圧側で支持する低圧側軸受と、前記スクリューロータを高圧側で支持する高圧側軸受とを備え、前記給油量調整部は、高圧側の油を前記低圧側軸受に差圧で給油するための給油通路の途中に設けられていることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項10に記載のスクリュー圧縮機において、前記給油通路の途中に設けられた前記給油量調整部を、前記給油通路に複数直列に配設していることを特徴とするスクリュー圧縮機。請求項10に記載のスクリュー圧縮機において、前記軸受は、前記スクリューロータを低圧側で支持する低圧側軸受と、前記スクリューロータを高圧側で支持する高圧側軸受とを備え、前記給油量調整部は、高圧側の油を前記低圧側軸受に差圧で給油するための給油通路の途中に設けられていることを特徴とするスクリュー圧縮機。

说明书全文

本発明はスクリュー圧縮機に関し、特に、空気調和機、チラーユニット、冷凍機などに使用される密閉型或いは半密閉形のスクリュー圧縮機に好適なものである。

スクリュー圧縮機は、例えば、互いに噛み合う雄ロータと雌ロータの一対のスクリューロータを備えており、前記雄ロータと雌ロータはそれぞれころ軸受と玉軸受により回転可能に支持されている。

前記ころ軸受や玉軸受には、転がり面や滑り面があるが、これらの面に薄い油膜を形成して、金属と金属が直接接触するのを防止する必要があり、このため油潤滑が必要となる。なお、油潤滑の効果としては、摩擦及び磨耗の低減の他、摩擦熱の排出、軸受寿命の延長、さび止め、異物の侵入防止などの効果がある。

前記スクリューロータは高速回転するため、前記各軸受部には摩擦熱が発生する。そこで、潤滑油を軸受内に強制的に供給して前記各軸受を潤滑すると共に、前記各軸受では、発生する摩擦熱を前記強制給油された潤滑油を介して外部へ排出する強制潤滑方式を採用している。

即ち、前記各軸受に連通する油通路をスクリュー圧縮機のケーシングなどに設け、該スクリュー圧縮機の吐出側の圧と吸込側の圧力との差圧を利用して潤滑油を、前記油通路を介して前記各軸受に強制給油する強制潤滑が行われる。 なお、この種従来技術としては、特開2014−118931号公報(特許文献1)に記載のものなどがある。

特開2014−118931号公報

前記軸受へ強制給油された潤滑油(以下、単に油ともいう)の一部は、スクリュー圧縮機への吸入ガスと共に前記スクリューロータで形成される圧縮室に流入し、スクリューロータの潤滑、シール、圧縮熱の冷却などを行うが、この軸受への給油量を適正な量に調整することにより、吸入ガスの油による加熱や油の攪拌による損失を抑制することができ、圧縮機性能の向上に効果がある。

一般に、従来の差圧による強制潤滑方式においては、給油経路中に給油絞り(オリフィス)を設けて、この給油絞りの寸法により給油量を調整するようにしている。しかし、給油量は、前記給油絞りの寸法と差圧により決まるため、最悪条件である最低差圧条件においても軸受が必要とする給油量を確保することを最優先して、前記給油絞りの寸法を決めていた。このため、最低差圧条件以外の運転条件では差圧が大きくなるほど給油量が増加して適切な給油量に調整することが困難であり、給油量が多くなると軸受潤滑後に吸入側に排出される油の増加に伴い吸入ガスの加熱量が増加して性能が低下する。また、吸入側に排出された油は圧縮作動室に吸い込まれるので、給油量の増加に伴い圧縮作動室内で油が攪拌されることによる動力損失も増加し、この面からも性能が低下する。

前記給油絞りの絞り量を大きくして給油量を少なくすると、最低差圧条件において軸受が必要とする給油量を十分確保することができず、軸受の信頼性が低下するだけでなく、圧縮作動室内の油の不足により、該圧縮作動室に形成されるシールラインからの漏れが増加して性能低下を引き起こす課題があった。

なお、上記特許文献1のものでは、高圧側軸受を潤滑する油が流通する潤滑路と、圧縮室に供給された後の油を前記潤滑路に流通させるための隙間が設けられたシール部と、油溜りと前記潤滑路を連通する連通路と、差圧が所定圧力よりも大きい場合に前記連通路を閉じ、差圧が所定圧力よりも小さい場合に前記連通路を開く弁体を有している。これにより前記高圧側軸受に対する給油量を最適化するように構成している。

しかし、特許文献1のものでは、前記弁体の反バネ側には高圧の油圧が作用し、前記弁体のバネ側には低圧の油圧が作用しているから、起動直後のような高低差圧が無い状態、若しくは所定の圧力以下の場合のみ給油量を増やすことができるが、高低差圧が所定の圧力以上確保されている場合には、前記弁体はバネ側に移動し閉止するため、運転中に給油量を可変することができない課題がある。更に、圧縮機の発停頻度の多い使い方をした場合、前記弁体が圧縮機の発停に合わせて開閉を繰り返すため、摩耗粉の発生や摺動部に割れが発生して、軸受の信頼性が低下する可能性がある。

本発明の目的は、運転中に給油量を可変できるようにして、差圧が小さい場合でも軸受が必要とする十分な給油量を確保し、性能が要求される標準運転条件となって差圧が増加した場合でも、給油量が必要以上に増加するのを抑制できるスクリュー圧縮機を得ることにある。

上記目的を達成するため本発明は、スクリューロータと、該スクリューロータを駆動するための電動機と、前記スクリューロータを支持する軸受と、これらを収納するケーシングを備えるスクリュー圧縮機において、前記ケーシングに形成され、高圧側の油を前記軸受に低圧側との差圧で給油するための給油通路と、この給油通路の途中に設けられた給油量調整部を備え、前記給油量調整部は、シリンダと、このシリンダ内を往復動自在に設けられた弁体と、該弁体に設けられ流路面積の異なる複数の流路を有し、前記高圧側と低圧側の差圧に応じて前記弁体を移動させることにより前記複数の流路を切り替えて、前記軸受に供給される給油量を調整することを特徴とする。

本発明の他の特徴は、スクリューロータと、該スクリューロータを駆動するための電動機と、前記スクリューロータを支持する軸受と、これらを収納するケーシングを備えるスクリュー圧縮機において、前記ケーシングに形成され、高圧側の油を前記軸受に低圧側との差圧で給油するための給油通路と、この給油通路の途中に設けられた給油量調整部を備え、前記給油量調整部は、シリンダと、このシリンダ内を往復動自在に設けられた弁体と、該弁体に設けられ流路面積の大きな第1流路と、この第1流路の流路面積よりも小さな流路面積の第2流路と、前記弁体の一方側の面に、圧縮機の吸込側圧力を導いて付与するための吸入側連通路と、該吸入側連通路を開閉する電磁弁と、前記弁体に設けられ、前記給油通路の油を前記弁体の一方側の面に漏出させる漏出手段を備え、前記高圧側と低圧側の差圧に応じて前記電磁弁を開閉することにより、前記弁体を移動させ、前記第1流路と前記第2流路を切り替えることにある。

本発明によれば、運転中に給油量を可変することができ、差圧が小さい場合でも軸受が必要とする十分な給油量を確保し、性能が要求される標準運転条件となって差圧が増加した場合でも、給油量が必要以上に増加するのを抑制できるスクリュー圧縮機を得ることができる効果がある。

本発明の実施例1に係るスクリュー圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。

図1に示すスクリュー圧縮機の要部を示す平断面図である。

図2に示す給油量調整部の構成を拡大して説明する断面図で、弁体の第1流路を介して軸受に給油している状態を示す図である。

図3と同様の図で、弁体の第2流路を介して軸受に給油している状態を示す図である。

実施例1における差圧と給油量との関係を説明する線図である。

実施例1における弁体の拡大図で、(a)は正面図、(b)は左側面図である。

本発明のスクリュー圧縮機の実施例2を説明する図で、図3に相当する図である。

本発明のスクリュー圧縮機の実施例2を説明する図で、図4に相当する図である。

本発明のスクリュー圧縮機の実施例3における弁体の構造を説明する拡大図で、(a)は正面図、(b)は右側面図である。

実施例3における給油量調整部を説明する図で、図3に相当する図である。

実施例3における給油量調整部を説明する図で、図4に相当する図である。

本発明の実施例4を説明する図で、図3に相当する図である。

本発明の実施例4を説明する図で、図4に相当する図である。

給油量調整部を2個直列に接続した場合の差圧と給油量との関係を説明する線図である。

給油量調整部を2個直列に配置したときの上流側の弁体(a)と下流側の弁体(b)を説明する弁体正面図である。

弁体の第1流路と第2流路の溝形状の第1例を説明する要部拡大図である。

弁体の第1流路と第2流路の溝形状の第2例を説明する要部拡大図である。

弁体の第1流路と第2流路の溝形状の第3例を説明する要部拡大図である。

以下、本発明のスクリュー圧縮機の具体的実施例を、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。

以下、本発明のスクリュー圧縮機の実施例1を図1〜図6を用いて説明する。 図1は本発明の実施例1に係るスクリュー圧縮機の全体構成を示す縦断面図、図2は図1に示すスクリュー圧縮機の要部を示す水平断面図である。これら図1及び図2を用いて本実施例1のスクリュー圧縮機の全体構成を説明する。

図1に示す本実施例1に係るスクリュー圧縮機100は、密閉形のツインスクリュー圧縮機である。しかし、本発明は、密閉型のツインスクリュー圧縮機に限定されるものではなく、半密閉型のものでも良く、或いは上記特許文献1に記載のように、スクリューロータが1本のシングルスクリュー圧縮機のものであっても良い。

図1において、スクリュー圧縮機100は、互いに密封関係に接続されたモータケーシング1、メインケーシング2及び吐出ケーシング3によりケーシングが構成されている。なお、前記ケーシングは鋳物で形成されている。 前記モータケーシング1には、圧縮機構部を駆動させるための駆動用モータ(電動機)4が収納されている。この駆動用モータ4は、前記モータケーシング1内に固定されたステータ20と、このステータ20の内側に回転自在に設けられたモータロータ21とを備え、前記モータケーシング1の外部の端子箱51内に設けられた電源端子52とケーブル53を介して前記駆動用モータ4に電力が供給される。

前記モータケーシング1の端部には、吸入口18が設けられ、この吸入口18には異物を捕集するストレーナ19が取り付けられている。このストレーナ19は、固定フランジ65と前記モータケーシング1に挟まれて固定されている。また、前記固定フランジ65には、冷凍サイクル(図示せず)を循環する冷媒を吸入するための吸入配管64が接続されている。

前記メインケーシング2には、円筒状ボア5と、この円筒状ボア5に冷媒ガスを導入するための吸入ポート6が形成されている。また、前記円筒状ボア5内には、図2に示すように、ころ軸受7A,8A,9A及び玉軸受10Aで回転可能に支持された雄ロータ11Aと、ころ軸受8B,9B及び玉軸受10Bで回転可能に支持された雌ロータ11Bが互いに噛み合わせて収納され、前記雄ロータ11Aと前記雌ロータ11Bにより、互いに噛み合う雄・雌一対のスクリューロータが構成されている。このスクリューロータと前記メインケーシング2に形成された円筒状ボア5などにより前記圧縮機構部が構成されている。

図1、図2に示すように、前記雄ロータ11Aの軸は、低圧側で前記駆動用モータ4のモータロータ21に直結されている。また、前記メインケーシング2の側面には、油分離器12が一体に形成されており、前記圧縮機構部で圧縮された冷媒ガスと油が前記油分離器12に入って分離され、分離された油は前記油分離器12下部に形成された油溜め14に溜められるように構成されている。従って、この油溜め14部の圧力は吐出側圧力と同等の圧力となっている。

前記吐出ケーシング3には、前記ころ軸受9A,9B及び玉軸受10A,10Bが収納され、また前記油分離器12に連通する冷媒ガスの吐出通路(図示せず)が形成されている。この吐出ケーシング3は、ボルトによって前記メインケーシング2に固定されている。また、前記吐出ケーシング3内には、前記ころ軸受9A,9B及び玉軸受10A,10Bを収納する軸受室16A,16Bが形成されており、更に前記軸受室16A,16Bを閉止する遮蔽板17が前記吐出ケーシング3の外方側端部に取り付けられている。

前記雄ロータ11A及び前記雌ロータ11Bの低圧側の軸は前記ころ軸受7A,8A,8Bで支持され、前記雄ロータ11A及び前記雌ロータ11Bの高圧側の軸は前記ころ軸受9A,9B,及び前記玉軸受10A,10Bで支持されている。従って、前記ころ軸受7A,8A,8Bは低圧側軸受を構成し、前記ころ軸受9A,9B及び前記玉軸受10A,10Bは高圧側軸受を構成している。

スクリュー圧縮機100の前記各ケーシング1〜3には、図2に示すように、前記油分離器12の油溜め14の油を前記各軸受に差圧で供給するための給油通路15A,15B,15Cが形成されている。また、本実施例では、前記低圧側軸受(ころ軸受7A,8A,8B)への前記給油通路15Bと、前記高圧側軸受(ころ軸受9A,9B及び玉軸受10A,10B)への前記給油通路15Cの途中には、それぞれ後述する給油量調整部30が設けられている。

また、図1に示すように、前記スクリュー圧縮機100には、スライド弁26、ロッド27、油圧ピストン28及びコイルばね29などにより構成される容量制御機構部が設けられている。前記スライド弁26は前記メインケーシング2内に軸方向に形成された凹部2a内に往復動自在に収納されている。このスライド弁26の位置を移動させることにより、前記雄ロータ11Aと雌ロータ11Bとの噛合い部に吸込まれた冷媒ガスの一部を吸入側へバイパスして、圧縮機の容量を制御可能に構成している。

前記ロッド27、油圧ピストン28及びコイルばね29は前記吐出ケーシング3に収納されている。また、前記油圧ピストン28及びコイルばね29は吐出ケーシング3内に軸方向(図1の左右方向)に形成したシリンダ3a内に設けられている。前記コイルばね29は、前記シリンダ3a内において前記油圧ピストン28よりも前記スライド弁26側に配置され、油圧ピストン28を常に反スライド弁26側(図示右方向)に押圧する力を付与している。

前記油圧ピストン28は、前記シリンダ3a内に軸方向に摺動可能に収納されており、前記シリンダ3aのシリンダ室Q内に油を給排して、前記シリンダ室Q内の油量を調整することにより、前記油圧ピストン28を移動させる。この油圧ピストン28の動作が前記ロッド27を介して前記スライド弁26に伝達されることにより、該スライド弁26の位置が軸方向に移動され、圧縮機を所定の容量で運転することが可能となる。 なお、図1では、シリンダ室Q内に油を給排して油量を調整するための油圧系統や該油圧系統を開閉する電磁弁などの図示を省略している。

次に、図1、図2に示すスクリュー圧縮機における冷媒ガス及び油の流れについて説明する。前記モータケーシング1に設けられた前記吸入口18から吸入された低温、低圧の冷媒ガスは、前記ストレーナ19で異物が捕集された後、前記駆動用モータ4とモータケーシング1の間に設けられたガス通路4a、及び駆動用モータ4のステータ20とモータロータ21間のエアギャップ4bを通過し、駆動用モータ4を冷却する。

前記駆動用モータ4を冷却後の冷媒ガスは、前記メインケーシング2に形成された前記吸入ポート6から、前記雄ロータ11Aと雌ロータ11Bの噛み合い歯面と、メインケーシング2により形成される圧縮室(圧縮作動室)に吸入される。その後、前記駆動用モータ4と直結された前記雄ロータ11Aの回転と共に、該雄ロータ11Aと雌ロータ11Bの噛み合い歯面と、メインケーシング2により形成される前記圧縮室に密閉され、該圧縮室の縮小により徐々に圧縮され、高温、高圧の冷媒ガスとなって、前記メインケーシング2に一体に形成されている前記油分離器12内へ吐出される。

上記圧縮時に前記雄ロータ11A及び雌ロータ11Bに作用する圧縮反力の内、ラジアル荷重については前記ころ軸受7A,8A,8B,9A,9Bにより支持し、スラスト荷重については前記玉軸受10A,10Bにより支持する。

これらころ軸受7A,8A,8B,9A,9B及び玉軸受10A,10Bへの潤滑用の油の供給について説明する。まず、前記メインケーシング2の高圧側である前記油分離器12の油溜め14の油を、低圧側との差圧により、前記給油通路15Aを介して導入し、前記給油通路15B,15Cに分岐する。前記給油通路15Bに分岐された油は、前記給油量調整部30を通り、前記低圧側軸受(吸入側軸受;ころ軸受7A,8A,8B)を潤滑及び冷却し、前記吸入ポート6側へ排出される。

また、前記給油通路15Cに分岐された油も、前記給油通路15Cに設けられている前記給油量調整部30を通り、前記高圧側軸受(吐出側軸受;ころ軸受9A,9B、玉軸受10A,10B)を潤滑及び冷却し、前記吸入ポート6側或いは吸込完了直後の圧縮室などへ排出される。

前記各軸受潤滑後に排出された油は、圧縮冷媒ガスと共に前記圧縮作動室を潤滑しながら流れて、前記圧縮冷媒ガスと共に吐出され、前記油分離器12内へ流入する。この油分離器12内で、油は該油分離器12下部に設けた油溜め14に再び溜められ、前記圧縮冷媒ガスは前記冷凍サイクルへと送られる。

なお、図1に示す46はスクリュー圧縮機100に吸入される吸入冷媒ガスの圧力を測定するために前記吸入配管64に設けられた吸入圧力測定装置(吸入圧力センサ)、47はスクリュー圧縮機100から吐出される圧縮冷媒ガスの圧力を測定するために吐出配管66に設けられた吐出圧力測定装置(吐出圧力センサ)、48は前記吸入圧力測定装置46と前記吐出圧力測定装置47で測定された吸入圧力と吐出圧力との差圧に応じて、前記給油量調整部30を制御するためのコントローラである。なお、詳細に説明すると、前記コントローラ48では、前記吸入圧力測定装置46と前記吐出圧力測定装置47からの信号を吸入圧力と吐出圧力に変換し、これら吸入圧力と吐出圧力との差から前記差圧を計算し、この差圧を予めコントローラ48に設定されている所定値と比較し、この比較結果に応じて前記給油量調整部30を制御するものである。

次に、図3及び図4を用いて、図2に示す給油通路15B側に設けた給油量調整部30付近の構成を詳細に説明する。なお、給油通路15C側に設けた給油量調整部30についても同様の構成であるので、説明を省略する。 図3は図2に示す給油量調整部30の構成を拡大して説明する断面図で、弁体の第1流路36を介して軸受に給油している状態を示す図、図4は図3と同様の図で、弁体の第2流路37を介して軸受に給油している状態を示す図である。

図3及び図4において、前記給油通路15Bに設けられた前記給油量調整部30は、前記給油通路15B途中の前記ケーシングに形成されたシリンダ35と、このシリンダ35内を摺動して往復動自在に設けられた弁体31と、該弁体31に設けられ流路面積の異なる複数の流路(第1流路36、第2流路37)と、前記弁体31の右側のシリンダ35内に配置され、前記弁体31を常に図示左方向に押圧する力を付与するバネ34を有している。前記弁体31は高圧側(吐出側)と低圧側(吸入側)の差圧に応じて移動され、これにより前記複数の流路を切り替えて、前記低圧側軸受(ころ軸受7A,8A,8B)に供給される給油量を調整するように構成されている。

即ち、前記弁体31には、流路面積の大きな前記第1流路36と、この第1流路36の流路面積よりも小さな流路面積の前記第2流路37が形成されている。また、前記弁体31の一方側の面(弁体左面)32に、圧縮機の吸入側圧力を導いて付与するための吸入側連通路40Aと、圧縮機の吐出側圧力を導いて付与するための吐出側連通路40Bとを設け、前記各連通路40A,40Bを開閉することにより、前記弁体31の一方側の面32に吐出側圧力または吸入側圧力を付与して前記弁体31を移動させ、該弁体31に形成されている前記第1流路36と前記第2流路37を切り替えるようにしている。

なお、39Aは圧縮機内部の吸入側(低圧側)圧力を前記弁体31の右面33に付与するための連通孔、39Bは前記弁体31の左面32に、前記吸入側連通路40Aからの吸入側圧力または前記吐出側連通路40Bからの吐出側圧力を導入するための連通孔である。また、42は弁体31とシリンダ35と間に形成されている隙間である。

前記吸入側連通路40Aには電磁弁38Aが、前記吐出側連通路40Bには電磁弁38Bが設けられており、これらの電磁弁38A,38Bはコントローラ48により制御される。即ち、図1に示すように、吸入圧力を測定する前記吸入圧力測定装置46と、吐出圧力を測定する吐出圧力測定装置47を備えており、前記吸入圧力測定装置46と前記吐出圧力測定装置47で測定された吸入圧力と吐出圧力との差圧に応じて、前記コントローラ48は前記電磁弁38A,38Bの開閉を制御する。

例えば、前記測定された吸入圧力と吐出圧力との差圧が前記コントローラ48に予め設定された所定値よりも小さい場合、図3に示すように、前記コントローラ48は前記電磁弁38Aを閉、前記電磁弁38Bを開とすることにより、前記吐出側連通路40B及び前記連通孔39Bを介して吐出側の高圧油を前記シリンダ35内に導入して、圧縮機の吐出側圧力Pdを前記弁体31の左面32に付与する。本実施例では、前記弁体31の右面33には前記連通孔39Aを介して吸入側圧力Psが付与されている。

ここで、前記バネ34のバネ力は、圧縮機の運転条件内で、吐出圧力(高圧側圧力;吐出側の油圧)と吸入圧力(低圧側圧力)との最低差圧時に、この差圧により前記弁体31に生じる力よりも小さく設定されている。従って、弁体左面32と弁体右面33に生じる差圧による力が、前記バネ力に打ち勝ち、前記弁体31は図3に示すように、右側に移動し、給油通路15Bに弁体31の第1流路36が連通する。この第1流路36は流路面積が大となっているので、前記差圧が小さい場合でも十分な油を前記低圧側軸受7A,8A,8Bに供給することができる。

また、前記測定された吸入圧力と吐出圧力との差圧が前記コントローラ48に予め設定された所定値以上の場合には、図4に示すように、前記コントローラ48は前記電磁弁38Aを開、前記電磁弁38Bを閉とする。これにより、吐出側連通路40Bからの高圧の油は前記電磁弁38Bで閉止され、前記連通孔39B内の高圧の油圧は前記電磁弁38Aを通り吸入側に流出する。従って、前記吸入側連通路40A及び前記連通孔39Bを介して圧縮機の吸入側圧力Psが前記弁体31の左面32に付与されることになる。前記弁体右面33にも吸入側圧力Psが付与されているが、前記弁体31は前記バネ34により左側に押圧されているので、前記弁体31は図4に示すように左側に移動し、給油通路15Bに弁体31の第2流路37が連通する。この第2流路37は流路面積が小さいので、前記差圧が大きい場合でも前記低圧側軸受7A,8A,8Bへの油の供給が過剰になるのを抑制することができる。

このように本実施例によれば、前記弁体31に作用する差圧とバネ力により、該弁体31を動かして、流路面積の異なる第1流路溝36と第2流路37を任意に切り替えることができ、運転条件に対して適切な油量を前記低圧側軸受7A,8A,8Bに供給することができる。 なお、前記電磁弁38A,38Bの代わりに、三方弁を用いて前記吸入側連通路40Aと前記吐出側連通路40Bを切り替えるように構成しても良い。

次に、前記高圧側と低圧側の差圧に応じて前記弁体を移動させることにより、前記第1流路と第2流路を切り替えて軸受への給油量を変化させる具体例を、図5を用いて説明する。図5は実施例1における前記差圧と給油量との関係を説明する線図であり、図において、曲線Aは給油通路15Bに前記弁体31の第1流路36が開口している場合の差圧に対する給油量の変化、曲線Bは給油通路15Bに前記弁体31の第2流路37が開口している場合の差圧に対する給油量の変化を示している。第1流路36の流路面積は第2流路37の流路面積よりも大きいので、差圧に対する給油量も多くなっている。

なお、図5では、差圧が所定値(第1所定値)c1よりも小さいときの運転状態を低差圧運転、差圧が前記所定値c1以上のときの運転状態を標準運転としている。更に、本実施例では、差圧が前記所定値c1よりも大きい所定値(第2所定値)c2も設定されており、差圧が特に大きくなる前記第2所定値c2以上の運転状態を高負荷運転としている。これらの所定値c1,c2は前記コントローラ48に予め設定されている。

差圧が前記所定値c1よりも小となる低差圧運転時は、図3に示したように、給油通路15Bの油を、前記第1流路36を介して流すことにより、差圧が小さい場合でも十分な給油量を確保して、軸受の潤滑及び冷却を促進することで、軸受の信頼性を向上することができる。

また、差圧が前記所定値c1以上となり、性能が要求される標準運転条件となった場合には、前記弁体31を動かし、第1流路36から第2流路37に切り替え(図4参照)、給油通路15Bの油を、前記第2流路37を介して流す。これにより、図5の曲線Bに示すように、給油量の増加を抑制することができ、軸受冷却後の高温の油により吸入冷媒ガスが加熱されるのを減少させることができる。更に、圧縮室に吸い込まれた油の攪拌損失も減少させることができるので、性能向上を図ることが可能となる。

更に、本実施例では、差圧が前記所定値c2以上となる高負荷運転時には、軸受負荷が大きくなり且つ圧縮ガスの温度も高温になるので、軸受への油の供給量を増加させて信頼性を高めると共に、冷却も促進するため、再び給油通路15Bの油を、前記第1流路36を介して流すことにより、図5の曲線Aで示すように、給油量を増大するように制御している。

次に、図6により、前記弁体31の構造を説明する。図6は実施例1における弁体31の拡大図で、(a)は正面図、(b)は左側面図である。この図に示すように、弁体31の弁体左面32には、弁体31の外周側から中心側に向かう溝49が形成されている。この溝49は、前記弁体31とシリンダ35との間の前記隙間42(図3、図4参照)と連通するように形成され、この溝49を介して、前記隙間42と前記弁体左面32のシリンダ室内或いは前記連通孔39Bとが連通するようにしている。

また、図3、図4に示した前記電磁弁38A,38Bは、本実施例では、通電開方式の電磁弁(電磁弁に通電すると開、通電停止すると閉に動作する電磁弁)を使用している。

このようにすることにより、例えば、前記電磁弁38A,38Bが故障し、電磁弁を開くことができない場合、給油通路15Bの高圧の油が、前記弁体31と前記シリンダ35との間の前記隙間42から、前記溝49を介して、弁体左面32側のシリンダ室或いは前記連通孔39Bに流入する。従って、前記弁体左面32に作用する圧力は徐々に上昇するので、前記弁体31は右側(バネ側)に移動し、流路面積が大きい前記第1流路36が前記給油通路15Bに開口する。従って、前記電磁弁38A,38Bが故障した場合には、運転条件に関わらず、常に十分な量の油を軸受に供給することができるから、運転中に故障が発生しても信頼性を確保できる効果がある。

また、電磁弁38Bのコイルのみが故障して電磁弁38Bを開くことができなくなった場合には、電磁弁38Aを閉じることで、給油通路15Bの高圧の油が、弁体31とシリンダ35間の前記隙間42から前記溝49を介して、弁体左面32側のシリンダ室或いは前記連通孔39Bに流入し、上記と同様に、前記弁体31は右側に移動して、流路面積の大きい前記第1流路36が前記給油通路15Bに開口する。従って、前記電磁弁38Bのみが故障した場合でも、常に十分な量の油を軸受に供給することができる。

電磁弁38Aのコイルのみが故障して電磁弁38Bを開くことができなくなった場合には、電磁弁38Bを常時開にすることで、給油通路15Bの高圧の油は、前記電磁弁38Bを経由して連通孔39B及び弁体左面32のシリンダ室に流入するから、弁体31は右側に移動し、流路面積の大きい前記第1流路36が給油通路15Bに開口する。従って、この場合も運転条件に拠らず十分な量の油を軸受に供給することができる。

以上は、前記電磁弁38A,38Bとして通電開方式のものを使用した場合の例であるが、通電閉方式の電磁弁を使用した場合には、電磁弁が故障した時には該電磁弁は常に開となる。

通電閉方式の電磁弁38A,38Bが両方または電磁弁38Aのみ故障した場合、電磁弁38Bを常に開けておくことで、弁体左面32に作用する圧力は上昇し、低圧側圧力よりも高い圧力になり、弁体31が常に右側へ押し付けられるように前記バネ34のバネ力を調整して構成することにより、流路面積が大きい第1流路36が給油通路15Bに開口し、運転条件に関わらず常に十分な量の油を軸受に供給可能になり、運転中に前記電磁弁が故障しても信頼性を確保することができる。

以上説明した本発明の実施例によれば、運転中に給油量を可変することができ、差圧が小さい場合でも軸受が必要とする十分な給油量を確保して軸受の潤滑及び冷却を促進することができる。また、性能が要求される標準運転条件となって差圧が増加した場合でも、給油量が必要以上に増加するのを抑制して、軸受冷却後の高温の油により吸入ガスの加熱量が増加するのを抑制できる。更に、高負荷運転時には、軸受への油の供給量を増加させるので、信頼性を高めると共に、冷却を促進できる効果が得られる。

次に、本発明のスクリュー圧縮機の実施例2を、図7及び図8を用いて説明する。図7は本実施例2を説明する図で、図3に相当する図、図8は本実施例2を説明する図で、図4に相当する図である。実施例2において上述した実施例1と同様の部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を中心に説明する。

本実施例2においては、バネ35が前記弁体31の左側のシリンダ35内に設置され、常に前記弁体31を図示右方向に押圧する力を付与するように構成している。また、前記弁体31の右面33には、給油通路15Bから分岐した高圧の油が導入されるように連通路40Cが形成されている。

前記弁体31の左面32側には、上記実施例1と同様に、吸入圧力または吐出圧力(高圧油)を導入するために、吸入側連通路40A、吐出側連通路40B、連通孔39Bを備えている。また、前記各連通路40A,40Bの経路中には、電磁弁38A,38Bが設けられており、前記電磁弁38A,38Bはコントローラ48に接続されている。前記コントローラ48は検出された吸入圧力と吐出圧力との差圧に応じて前記電磁弁38A,38Bを開閉制御するように構成されている。

本実施例2では、前記弁体31の右面33に前記連通路40Cを介して給油通路15Bからの高圧油を導入するよう構成しているので、圧縮機吸入側への油の排出をより低減することができ、高温の油による吸入冷媒ガスの加熱を減少して、加熱損失を低減できる。

次に、給油量調整部30の制御について説明する。 軸受に供給する油量を増やす場合は、図7に示すように、前記弁体31を右側に移動させ、流路面積大の第1流路36を給油通路15Bに開口させるようにする。このためには、電磁弁38Aを閉とし、電磁弁38Bを開とする。これにより、吐出側の高圧油が、前記吐出側連通路40B及び前記連通孔39Bを通り、弁体左面32側のシリンダ35内に流入し、弁体左面32には圧縮機の吐出側圧力Pdが作用する。また、弁体右面33にも前記連通路40Cを介して吐出側の高圧油(吐出側圧力Pd)が常に作用しているから、弁体31の左面32と右面33に生じる差圧はなく、前記バネ34のバネ力で弁体31は右側へ移動する。

軸受に供給する油量を減じる場合は、図8に示すように、前記弁体31を左側に移動させ、流路面積小の第2流路37を給油通路15Bに開口させる。このため、電磁弁38Aを開、電磁弁38Bを閉とすることで、吐出側の高圧油は電磁弁38Bで閉止され、前記連通孔39B内の高圧の油は、前記電磁弁38Aを通り吸入側に流出して、弁体左面32には吸入側圧力Psが作用する。また、弁体右面33には、前記連通孔40Cにより、吐出側圧力Pdが常に作用している。なお、前記バネ34のバネ力は、圧縮機の運転条件内で、吐出圧力(高圧側圧力Pd)と吸入圧力(低圧側圧力Ps)との最低差圧時に、この差圧により前記弁体31に生じる力よりも小さく設定されている。従って、弁体31の左面32と右面33に生じる差圧による力がバネ力に打ち勝ち、弁体31は左側へ移動する。 なお、他の構成は上記実施例1と同様であるので、説明を省略する。

本実施例2においても、上記実施例1と同様に、前記弁体31に作用する差圧とバネ力により、該弁体31を動かして、流路面積の異なる第1流路溝36と第2流路37を任意に切り替えることができ、運転条件に対して適切な油量を前記低圧側軸受7A,8A,8Bに供給することができる。

なお、本実施例2においても前記電磁弁38A,38Bは、通電開方式の電磁弁を使用している。 例えば、前記電磁弁38A,38Bが故障し、電磁弁を開くことができない場合、給油通路15Bの高圧の油が、前記弁体31と前記シリンダ35との間の前記隙間42から、前記溝49(図6参照)を介して、弁体左面32側のシリンダ室或いは前記連通孔39Bに流入する。従って、前記弁体左面32に作用する圧力は徐々に上昇するので、弁体左面32と弁体右面33に生じる差圧が無くなるから、前記弁体31は右側(反バネ側)に移動し、流路面積が大きい前記第1流路36が前記給油通路15Bに開口する。従って、前記電磁弁38A,38Bが故障した場合には、運転条件に関わらず、常に十分な量の油を軸受に供給することができるから、運転中に故障が発生しても信頼性を確保できる効果がある。

また、電磁弁38Bのコイルのみが故障して電磁弁38Bを開くことができなくなった場合には、電磁弁38Aを閉じることで、給油通路15Bの高圧の油が、弁体31とシリンダ35間の前記隙間42から前記溝49を介して、弁体左面32側のシリンダ室或いは前記連通孔39Bに流入し、上記と同様に、前記弁体31は右側に移動して、流路面積が大きい前記第1流路36が前記給油通路15Bに開口する。従って、前記電磁弁38Bのみが故障した場合でも、常に十分な量の油を軸受に供給することができる。

電磁弁38Aのコイルのみが故障して電磁弁38Bを開くことができなくなった場合には、電磁弁38Bを常時開にすることで、給油通路15Bの高圧の油は、前記電磁弁38Bを経由して連通孔39B及び弁体左面32のシリンダ室に流入するから、上記と同様に、弁体31は右側に移動し、流路面積の大きい前記第1流路36が給油通路15Bに開口する。従って、この場合も運転条件に拠らず十分な量の油を軸受に供給することができる。

以上は、前記電磁弁38A,38Bとして通電開方式のものを使用した場合の例であるが、通電閉方式の電磁弁を使用した場合には、電磁弁が故障した時には該電磁弁は常に開となる。 通電閉方式の電磁弁38A,38Bが両方故障した場合、電磁弁38A及び38Bの両方とも開となり、弁体左面32に作用する圧力は低圧側圧力より高い圧力になり、またバネ34のバネ力も加わり、弁体31は右側へ押し付けられ、流路面積が大きい第1流路36が油通路15Bに開口し、十分な量の油を軸受に供給可能なため、運転中に故障が生じても信頼性を確保可能となる。

電磁弁38Aのみ故障した場合、電磁弁38Bを開とすることで、上記と同様に、弁体左面32に作用する圧力は低圧側圧力より高い圧力になり、またバネ34のバネ力も加わり、弁体31は右側へ押し付けられ、流路面積が大きい第1流路36が給油通路15Bに開口し、十分な量の油を軸受に供給可能なため、運転中に故障が生じても信頼性を確保可能となる。また、電磁弁38Bを閉とすることにより、弁体左面32に作用する圧力は低圧側(吸入側)圧力Psとなるので、弁体31を左側に移動でき、流路面積が小さい第2流路37を給油通路15Bに開口させることも可能となる。

電磁弁38Bのみ故障した場合、電磁弁38Aを閉とすれば、弁体31を右側に移動でき、流路面積が大きい第1流路36を油通路15Bに開口させることができる。なお、電磁弁38Aを開としても、上記と同様に、弁体左面32に作用する圧力は低圧側圧力より高い圧力になり、またバネ34のバネ力も加わり、弁体31を右側に移動でき、流路面積が大きい第1流路36を油通路15Bに開口させることができる。

本発明のスクリュー圧縮機の実施例3を図9〜図11により説明する。図9は本実施例3における弁体の構造を説明する拡大図で、(a)は正面図、(b)は右側面図、図10は実施例3における給油量調整部を説明する図で、図3または図7に相当する図、図11は実施例3における給油量調整部を説明する図で、図4または図8に相当する図である。また、この実施例3において上述した実施例1や2と同様の部分については説明を省略し、実施例1や2と異なる部分を中心に説明する。

図9は、本実施例3における弁体31の構造を示す。本実施例3においても、弁体31には第1流路36、第2流路37を設けている点では同じであるが、本実施例では、前記第1流路36及び第2流路37に、前記弁体31の外周側から中心に向かうキリ穴(油通路)43A,43Bを形成し、また前記弁体31の中心には弁体右面33に開口する軸方向のキリ穴(油通路)43Cを形成し、前記キリ穴43A,43Bと前記キリ穴43Cとが連通するように構成したものである。他の構成は上記各実施例と同様である。

図10及び図11を用いて本実施例3における給油量調整部30の構成を説明する。 前記キリ穴43A、43B、43Cを有する前記弁体31は、ケーシング(モータケーシング1またはメインケーシング2)に形成したシリンダ35内を摺動して往復運動可能に設けられている。また、本実施例では、上記実施例2と同様に、バネ34が前記弁体左面32側のシリンダ35内に配置され、常に弁体31を図示の右方向に押圧する力を付与している。前記弁体31の右面33側のシリンダ35は閉じられており、上述した連通孔39A(実施例1)や連通路40C(実施例2)は形成されていない。

なお、上記実施例1や2と同様に、前記弁体左面32側のシリンダ35内には、低圧側(吸入側)圧力Psや高圧側(吐出側)圧力Pdを導入するために、連通孔39B、吸入側連通路40A及び吐出側連通路40Bを備えている。また、前記シリンダ35内の弁体右面側には空間44を設け、弁体右面33への油圧作用面を確保している。

上記実施例1、2と同様に、前記各連通路40A,40Bの経路中には、電磁弁38A,38Bが設けられており、また前記電磁弁38A,38Bはコントローラ48に接続され、前記圧力測定装置46,47(図1参照)により測定された吸入圧力と吐出圧力との差圧に応じて、前記電磁弁38A,38Bの開閉制御を行うようにしている。

前記弁体右面33の前記空間44には、前記キリ穴(油通路)43A,43B,43Cを介して給油通路15Bを流れる高圧油の一部が導かれ、前記空間44には高圧油が溜まるので、前記弁体右面33には吐出側(高圧側)圧力Pdが作用している。 本実施例3では上記実施例2に対して、弁体右面33に高圧油を導入するための連通路40Cをケーシングに設ける必要がないため、給油経路を簡素化できる。

次に、本実施例3の制御について、図10及び図11を用いて説明する。 軸受に供給する油量を増やす場合は、図10に示すように、前記弁体31を右側に移動させ、流路面積大の第1流路36を給油通路15Bに開口させるようにする。このためには、電磁弁38Aを閉とし、電磁弁38Bを開とする。これにより、吐出側の高圧油が、前記吐出側連通路40B及び前記連通孔39Bを通り、弁体左面32側のシリンダ35内に流入し、弁体左面32には圧縮機の吐出側圧力Pdが作用する。また、前記シリンダ35内の弁体右面33側の空間44にも、前記キリ穴43A,43B,43Cを介して吐出側の高圧油が流れて油が溜まるので圧力は徐々に上昇し、この結果前記弁体右面33にも吐出側圧力Pdが作用する。従って、弁体31の左面32と右面33に生じる差圧はなくなるので、前記バネ34のバネ力で弁体31は右側へ移動する。

軸受に供給する油量を減じる場合は、図11に示すように、前記弁体31を左側に移動させ、流路面積小の第2流路37を給油通路15Bに開口させる。このため、電磁弁38Aを開、電磁弁38Bを閉とすることで、吐出側の高圧油は電磁弁38Bで閉止され、前記連通孔39B内の高圧の油は、前記電磁弁38Aを通り吸入側に流出して、弁体左面32には低圧側(吸入側)圧力Psが作用する。また、前記シリンダ35内の弁体右面33側の空間44にも、前記キリ穴43A,43B,43Cを介して吐出側の高圧油が流れて油が溜まるので圧力は徐々に上昇し、この結果前記弁体右面33には高圧側(吐出側)圧力Pdが作用する。

なお、前記バネ34のバネ力は、圧縮機の運転条件内で、吐出圧力(高圧側圧力Pd)と吸入圧力(低圧側圧力Ps)との最低差圧時に、この差圧により前記弁体31に生じる力よりも小さく設定されている。従って、弁体31の左面32と右面33に生じる差圧による力がバネ力に打ち勝ち、弁体31は左側へ移動する。 なお、他の構成は上記実施例1または2と同様であるので、説明を省略する。

本実施例3においても、上記実施例1や2と同様に、前記弁体31に作用する差圧とバネ力により、該弁体31を動かして、流路面積の異なる第1流路36と第2流路37を任意に切り替えることができ、運転条件に対して適切な油量を前記低圧側軸受7A,8A,8Bに供給することができる。 なお、前記電磁弁38A,38Bの故障時の動作については、上述した実施例2と同様の動作をさせることにより、圧縮機の信頼性を確保することができる。

本発明のスクリュー圧縮機の実施例4を図12及び図13により説明する。図12は実施例4における給油量調整部を説明する図で、図3に相当する図、図13は実施例4における給油量調整部を説明する図で、図4に相当する図である。また、この実施例4において上述した実施例1〜3と同様の部分については説明を省略し、実施例1〜3と異なる部分を中心に説明する。

本実施例4においても、弁体31には第1流路36、第2流路37を設けている点では同じであるが、前記第1流路36は弁体31の右側に、前記第2流路37は左側に形成している点で上記実施例1〜3と異なっている。

なお、前記弁体31は、ケーシング(モータケーシング1またはメインケーシング2)に形成したシリンダ35内を摺動して往復運動可能に設けられている点、バネ34が前記弁体右面33側のシリンダ35内に配置され、常に弁体31を図示の左方向に押圧する力を付与している点、圧縮機吸入側圧力Psを前記弁体31の右面33に付与するための連通孔39Aを備える点などは上述した実施例1と同様である。

また、本実施例4では上記実施例1と異なり、前記弁体左面32のシリンダ35内には連通孔39Bを介して、吸入側連通路40Aのみが接続されている。前記吸入側連通路40Aの経路中には、電磁弁38Aが設けられており、前記電磁弁38Aはコントローラ48に接続されていて、上記実施例1と同様に、前記各圧力測定装置46,47(図1参照)により測定された吸入圧力と吐出圧力との差圧に応じて、前記電磁弁38Aの開閉制御を行うようにしている。 他の構成は上記実施例1と同様である。

次に、本実施例4の制御について、図12及び図13を用いて説明する。 軸受に供給する油量を増やす場合は、図12に示すように、前記弁体31を左側に移動させ、流路面積大の第1流路36を給油通路15Bに開口させるようにする。このためには、電磁弁38Aを開とする。これにより、前記連通孔39Bを介して吸入側圧力Psが前記弁体31の左面32に作用する。また、前記弁体31右面33には、前記連通孔39Aから低圧側(吸入側)圧力Psが常に作用しているから、弁体31の左面32と右面33に生じる差圧はなくなり、前記バネ34のバネ力で前記弁体31を左側へ移動する。

軸受に供給する油量を減じる場合は、図13に示すように、前記弁体31を右側に移動させ、流路面積小の第2流路37を給油通路15Bに開口させる。このため、電磁弁38Aを閉とすることで、給油通路15Bの高圧油が弁体31とシリンダ35間の隙間(漏出手段)42から溝49(図6参照)を通じて前記連通孔39Bに流入して高圧油が溜まる。この結果、弁体31の左面32に作用する圧力は徐々に上昇し、高圧側(吐出側)圧力Pdになり、弁体31は右側(バネ側)に移動する。

本実施例4においても、上記実施例1〜3と同様に、前記弁体31に作用する差圧とバネ力により、該弁体31を動かして、流路面積の異なる第1流路溝36と第2流路37を任意に切り替えることができ、運転条件に対して適切な油量を前記低圧側軸受7A,8A,8Bに供給することができる。 また、本実施例4によれば、上記各実施例における吐出側連通路40B、この吐出側連通路40Bに設ける電磁弁38Bが不要となるから、構成を簡素化でき、コスト低減を図ることができる。

次に、図14及び図15を用いて、上記各実施例の変形例を説明する。図14は上記各実施例における前記給油量調整部30を2個直列に接続した場合の差圧と給油量との関係を説明する線図、図15は前記給油量調整部30を2個直列に配置したときの上流側の弁体(a)と下流側の弁体(b)を説明する弁体正面図である。

以下説明する変形例は、上記実施例1〜4の何れの形態でも適用可能である。本変形例では、上記実施例1〜4における前記給油量調整部30を前記給油通路15Bに直列に2個所設けることで、図14に示すように差圧に対する給油量の調整を更に細かく行うことができるようにしたものである。

即ち、本変形例では、前記給油通路15Bに、上流側給油量調整部30Aと下流側給油量調整部30Bを設けている。前記上流側給油量調整部30Aにおける弁体31Aは図15の(a)図に示すように、流路面積の大きな第1流路36Aと、流路面積の小さい第2流路37Aを具備している。また、下流側給油量調整部30Bにおける弁体31Bは図15の(b)図に示すように、流路面積の大きな第1流路36Bと、流路面積の小さい第2流路37Bを具備している。

更に、前記弁体31Bの第1流路36Bは前記弁体31Aの第1流路36A以上の流路面積を持ち、前記弁体31Bの第2流路37Bは前記弁体31Aの第2流路37Aより狭い流路面積となるように構成している。

次に、前記高圧側と低圧側の差圧に応じて前記各弁体31A,31Bを操作することにより、各弁体における第1流路36A,36B、第2流路37A,37Bを切り替えて軸受への給油量を変化させる具体例を、図14を用いて説明する。

図14において、曲線Aは、給油通路15Bに、前記弁体31Aの第1流路36Aと前記弁体31Bの第1流路36Bを開口させるように組み合わせた流路における差圧に対する給油量の変化、曲線Bは給油通路15Bに、前記弁体31Aの第2流路37Aと前記弁体31Bの第1流路36Bを開口させるように組み合わせた流路における差圧に対する給油量の変化、曲線Cは、給油通路15Bに、前記弁体31Aの第2流路37Aと前記弁体31Bの第2流路37Bを開口させるように組み合わせた流路における差圧に対する給油量の変化を示している。

また、図14において、差圧が所定値(第1所定値)c1よりも小さいときの運転状態を低差圧運転、差圧が前記所定値c1以上のときの運転状態を標準運転、また、差圧が前記所定値c1よりも特に大きくなる所定値(第2所定値)c2以上の運転状態を高負荷運転としている。更に、図14では上記所定値c1とc2の間の所定値(第3所定値)も設定されている。これらの所定値c1,c2,c3は前記コントローラ48に予め設定されている。

差圧が前記所定値c1よりも小となる低差圧運転時は、曲線Aに示すように、給油通路15Bの油を、前記弁体31Aの第1流路36Aと、前記弁体31Bの第1流路36Bとの組合せとして流すことにより、差圧が小さい場合でも十分な給油量を確保して、軸受の潤滑及び冷却を促進することで、軸受の信頼性を向上することができる。

また、差圧が前記所定値c1以上c2以下の性能が要求される標準運転条件となった場合には、差圧が前記所定値c1以上c3未満の場合、前記弁体31Aの第2流路37Aと、前記弁体31Bの第1流路36Bとの組合せとして流すことにより、図14の曲線Bに示すように、給油量の増加を抑制することができ、軸受冷却後の高温の油により吸入冷媒ガスが加熱されるのを減少させることができ、更に、圧縮室に吸い込まれた油の攪拌損失も減少させることができるので、性能向上を図ることが可能となる。

差圧が前記所定値c3以上c2未満の場合、前記弁体31Aの第2流路37Aと、前記弁体31Bの第2流路37Bとの組合せとして流すことにより、図14の曲線Cに示すように、差圧が大きくなっても給油量の増加を更に抑制することができる。従って、差圧が大きくなっても吸入冷媒ガスが加熱されるのを更に抑制でき、また圧縮室に吸い込まれた油の攪拌損失も抑制して更に性能向上を図ることが可能となる。

差圧が前記所定値c2以上となる高負荷運転時には、軸受負荷が大きくなり且つ圧縮ガスの温度も高温になるので、軸受への油の供給量を増加させて信頼性を高めると共に、冷却を促進するため、再び曲線Aに示すように、給油通路15Bの油を、前記弁体31Aの第1流路36Aと、前記弁体31Bの第1流路36Bとの組合せとして流す。これにより、給油量を増大して、軸受への給油量を増加させ、軸受の潤滑及び冷却を促進することで軸受の信頼性を向上させることができる。

このように、給油量調整部30を2個直列に配置することにより、図14に示すように、弁体31A及び31Bを操作し、第1流路36Aと36B、第2流路37Aと36Bの組合せを切り替えることで、差圧(運転条件)に対して給油量をきめ細かく調整することができる。特に、性能が要求される標準運転条件では、運転条件に合わせて給油量を調整できるから、圧縮機の性能向上に特に有効である。

なお、前記曲線Bでは第2流路37Aと第1流路36Bの組み合わせとしたが、第1流路36Aと第2流路37Bの組み合わせとしても良い。また、前記第2流路37Aと37Bの流路面積を変えることにより、更に細かい給油量制御も可能となる。更に、前記給油量調整部30を2個直列に配置するものには限られず、複数個であれば3個以上直列に配置するようにしても良い。

図16〜図18は前記各実施例における弁体31,31A,31Bに形成されている前記第1流路36,36A,36B、第2流路37,37A,37Bの溝形状45の例を示すものである。 図16は、前記溝形状45の第1例を示す要部拡大図で、弁体31,31A,31Bに形成する溝形状45をエッジ形状とした例である。 図17は、前記溝形状45の第2例を示す要部拡大図で、弁体31,31A,31Bに形成する溝形状45を円弧形状とした例である。 図18は、前記溝形状45の第3例を示す要部拡大図で、弁体31,31A,31Bに形成する溝形状45をV字形状とした例である。 なお、前記第1流路36,36A,36B、第2流路37,37A,37Bの溝形状45は、図16〜図18に示すものには限られず、これら以外の形状にしても良い。

また、上述した各実施例では、低圧側軸受7A,8A,8Bへの給油通路15Bに設けた前記給油量調整部30について説明したが、高圧側軸受9A,9B,10A,10Bへの給油通路15Cに設けた前記給油量調整部30についても同様に実施することができる。即ち、スクリューロータを支持する軸受に差圧で給油する給油通路を備えるものであれば、その給油通路の途中に上述した各実施例で示したような給油量調整部30を設けることにより、本発明は同様に実施できるものである。

以上説明したように、本発明の各実施例によれば、高圧側と低圧側の差圧に応じて、流路面積の異なる複数の流路を有する弁体を移動させることにより、前記複数の流路を切り替えて、前記低圧側軸受に供給される給油量を調整するように構成しているので、運転中に給油量を可変することができ、差圧が小さい場合でも軸受が必要とする十分な給油量を確保して軸受の潤滑及び冷却を促進することができ、性能が要求される標準運転条件となって差圧が増加した場合でも、給油量が必要以上に増加するのを抑制して、軸受冷却後の高温の油により吸入ガスの加熱量が増加するのを抑制できる効果が得られる。更に、高負荷運転時にも軸受への油の供給量を増加させるようにすることにより、信頼性を更に高めると共に冷却を促進できる効果も得られる。

このように、本発明の各実施例によれば、給油量を圧縮機の運転中に調整可能であるため、給油量を圧縮機の運転状況に応じて適切に制御することができ、給油量が過多となって、油の攪拌損失が増大したり、吸入ガスの油による加熱損失を抑制することができるから、圧縮機性能の向上を図ることができる。

また、弁体を動かす機構にバネを有し、電磁弁の故障など、弁体を動かす機構に問題が生じた場合においても、油の流路面積が大となるように弁体を構成することにより、信頼性の高いスクリュー圧縮機を得ることができる。

特に、本発明は、R32のような低GWP冷媒を圧縮するスクリュー圧縮機に好適である。即ち、R32のような高温冷媒を圧縮するスクリュー圧縮機では、油は前記高温冷媒により加熱されてより高温になり、この高温の油が軸受潤滑後に吸入ポート側に排出されるため、吸入ポートを流れる吸入冷媒ガスはより高い温度に加熱されて、加熱損失が特に増大する。これに対し、本発明を採用することにより、給油量を適正量に低減することができるから、圧縮室に吸込まれる冷媒ガスの加熱損失を抑制でき、冷媒ガスの加熱損失による性能低下を抑制できる。

また、HFO1234yfやHFO1234zeのような低密度冷媒おいては、必要とする冷凍能力を得るためには増速しなければならない。このため、吸込ガスの流速が増加し、吸入ポートに排出された油との熱交換がより促進され、冷媒ガスが加熱されることになる。これに対しても、本発明を採用することにより、給油量を適正量に減ずることができるから、冷媒ガスの加熱損失による性能低下を抑制できる効果がある。

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例ではツインスクリュー圧縮機に本発明を適用した例について述べたが、シングルスクリュー圧縮機等にも同様に適用できるものである。 また、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。更に、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

また、各機能を実現するプログラム、各判定値等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。

1:モータケーシング、2:メインケーシング、2a:凹部、3:吐出ケーシング、3a:シリンダ、4:駆動用モータ(電動機)、4a:ガス通路、4b:エアギャップ、5:円筒状ボア、6:吸入ポート、7A,8A,8B,9A,9B,10A,10B:軸受(7A,8A,8B:ころ軸受(低圧側軸受)、9A,9B:ころ軸受(高圧側軸受)、10A,10B:玉軸受(高圧側軸受))、11A:雄ロータ(スクリューロータ)、11B:雌ロータ(スクリューロータ)、12:油分離器、14:油溜め、15A,15B,15C:給油通路、16A,16B:軸受室、17:遮蔽板、18:吸入口、19:ストレーナ、20:ステータ、21:モータロータ、22:吐出口、26:スライド弁、27:ロッド、28:油圧ピストン、29:コイルばね、30,30A,30B:給油量調整部、31,31A,31B:弁体、32:弁体左面、33:弁体右面、34:バネ、35:シリンダ、36,36A,36B:第1流路、37,37A,37B:第2流路、38A,38B:電磁弁、39A,39B:連通孔、40A:吸入側連通路、40B:吐出側連通路、40C:連通路、42:隙間(漏出手段)、43A,43B,43C:キリ穴(油通路)、44:空間、45:溝形状、46:吸入圧力測定装置、47:吐出圧力測定装置、48:コントローラ、49:油溝、51:端子箱、52:電源端子、53:ケーブル、64:吸入配管、65:固定フランジ、66:吐出配管、100:スクリュー圧縮機。

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