Variable displacement vane pump and control method for variable displacement pump

申请号 JP2006063851 申请日 2006-03-09 公开(公告)号 JP2007239626A 公开(公告)日 2007-09-20
申请人 Hitachi Ltd; 株式会社日立製作所; 发明人 YAMAMURO SHIGEAKI; KONISHI HIDEO; SENBA NOBUO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a variable displacement vane pump capable of improving its response property while avoiding increase of its size. SOLUTION: This variable displacement vane pump has a first member and a second member provided on both sides in the axial direction of a cam ring, a suction port provided in at least either of the first member and the second member and opened in a region where volumes of a plurality of pump chambers are increased, a discharge port opened in a region where volumes of the plurality of pump chambers are reduced, a seal member provided on an outer peripheral side of the cam ring and partitioning an outer peripheral side space of the cam ring into a first fluid pressure chamber provided in the direction for increasing amount of discharge of the pump and a second fluid pressure chamber provided in the direction for reducing amount of discharge of the pump, a communicating passage for communicating the first fluid pressure chamber or the second fluid pressure chamber with a pump suction side or a pump discharge side, an opening and closing valve letting pressure in the front and the rear in the communicating passage act and opening and closing the communicating passage, and an electromagnetic actuator for opening, closing, and controlling the opening and closing valve. COPYRIGHT: (C)2007,JPO&INPIT
权利要求
  • ポンプボディと、
    前記ポンプボディに軸支される駆動軸と、
    前記ポンプボディ内に設けられ、前記駆動軸に回転駆動されるロータと、
    前記ロータの周方向に複数個設けられたスロットに出没自在に収装されたベーンと、
    前記ポンプボディ内であって移動可能に設けられるとともに、内周側に前記ロータおよび前記ベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、
    前記カムリングの軸方向両側に設けられた第1部材および第2部材と、
    前記第1部材または第2部材のうち少なくとも一方側に設けられ、前記複数のポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、前記複数のポンプ室の容積が縮小する領域に開口する吐出ポートと、
    前記カムリングの外周側に設けられ、このカムリングの外周側空間をポンプ吐出量が増大する方向に設けられた第1流体圧室と、ポンプ吐出量が減少する方向に設けられた第2流体圧室とに隔成するシール部材と、
    前記第1流体圧室とポンプ吐出側、ならびに前記第2流体圧室とポンプ吸入側またはポンプ吐出側とを連通する連通路と、
    前記連通路を開閉する開閉弁と、
    前記開閉弁を開閉制御する電磁アクチュエータと を有することを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプは、
    前記吐出ポートに連通する吐出通路に設けられたオリフィスの前後差圧が導入され、前記第1流体圧室または前記第2流体圧室の圧力を制御する制御バルブをさらに有すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項2に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記第2流体圧室には吸入圧が導入され、
    前記制御バルブは前記第1流体圧室に供給される圧力を吐出圧と吸入圧とに選択的に切り換えること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項2に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記制御バルブは前記第1流体圧室に前記オリフィス上流側の圧力を導入し、前記第2流体圧室に前記オリフィス下流側の圧力を導入すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項4に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記連通路は、前記第1流体圧室に開口して吐出圧が導入され、
    前記開閉弁は、前記連通路から前記第1流体圧室へ供給される吐出圧を制御すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項4に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記連通路は、前記第1流体圧室に開口して前記開閉弁を介して吸入側と連通し、
    前記開閉弁は、前記第1流体圧室から前記連通路へ排出される圧力を制御すること を特徴とする可変容量型べーンポンプ。
  • 請求項2に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記制御バルブは、前記第2流体圧室に供給される圧力を、吐出圧と吸入圧とに選択的に切り換えること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項7に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記連通路は、前記第2流体圧室に開口して吐出圧が導入され、
    前記開閉弁は、前記連通路から前記第2流体圧室へ供給される吐出圧を制御すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項2に記載の可変容量型ベーンポンプは、
    前記第2流体圧室側に設けられた第3流体圧室と前記第2流体圧室とを隔成する隔成部材をさらに備え、
    前記連通路は前記第3流体圧室に連通し、
    前記開閉弁は前記連通路に設けられること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプは、
    前記ポンプボディの外側に設けられ、前記吸入ポートと、作動油を貯留するリザーバタンクと、を接続する吸入パイプをさらに備え、
    前記電磁アクチュエータは前記吸入パイプと隣接配置されること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプは、
    前記ポンプボディの外側に設けられ、前記吸入ポートと、作動油を貯留するリザーバタンクと、を接続する吸入パイプをさらに備え、
    前記電磁アクチュエータは前記駆動軸に対し垂直に設けられていること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記連通路は前記第1部材または前記第2部材に形成された開口部に接続されること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項12に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記開口部は、前記カムリングの偏心量が最大のときに、このカムリングによって完全に遮蔽されない位置に形成されること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記開閉弁は、前記電磁アクチュエータが正常に作動しないときに閉じる構成であること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項14に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記開閉弁は、前記電磁アクチュエータが非通電状態のときに閉じる構成であること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記開閉弁は、吐出圧および吸入圧を選択的に切り換えること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項16に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記開閉弁は、前記第1流体圧室の圧力を制御すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項16に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記開閉弁は、前記第2流体圧室の圧力を制御すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項16に記載の可変容量型ベーンポンプは、
    前記第2流体圧室側に設けられた第3流体圧室と、前記第2流体圧室と、を隔成する隔成部材をさらに備え、
    前記連通路は、前記第3流体圧室に連通し、
    前記開閉弁は、前記連通路に設けられて前記第3流体圧室の圧力を制御すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • ポンプボディと、
    前記ポンプボディに軸支される駆動軸と、
    前記ポンプボディ内に設けられ、前記駆動軸に回転駆動されるロータと、
    前記ロータの周方向に複数個設けられたスロットに出没自在に収装されたベーンと、
    前記ポンプボディ内であって移動可能に設けられるとともに、内周側に前記ロータおよび前記ベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、
    前記カムリングの軸方向両側に設けられた第1部材および第2部材と、
    前記第1部材または第2部材のうち少なくとも一方側に設けられ、前記複数のポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、前記複数のポンプ室の容積が縮小する領域に開口する吐出ポートと、
    前記カムリングの外周側に設けられ、このカムリングの外周側空間をポンプ吐出量が増大する方向に設けられた第1流体圧室と、ポンプ吐出量が減少する方向に設けられた第2流体圧室とに隔成するシール部材と、
    前記第2流体圧室側に設けられた第3流体圧室と、前記第2流体圧室とを隔成する隔成部材と、
    前記第3流体圧室に連通する連通路と、
    前記連通路を開閉する開閉弁と を有することを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項20に記載の可変容量型ベーンポンプは、
    前記第3流体圧室に吐出圧を導入する高圧通路をさらに備え、
    前記連通路は、前記第3流体圧室と吸入側とを連通し、
    前記開閉弁は、前記第3流体圧室から前記連通路へ排出される圧力を制御すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項20に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記連通路には吐出圧が導入され、
    前記開閉弁は、前記連通路から前記第3流体圧室へ供給される吐出圧を制御すること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • ポンプボディ内に移動可能に設けられ、内部にポンプ室を形成するカムリングと、
    前記カムリングを移動制御する圧力室内の圧力を制御する制御バルブと、
    前記圧力室と吸入側または吐出側との連通、遮断を切り換えることにより、この圧力室の圧力を制御するとともに、電磁アクチュエータで駆動制御される開閉弁と を有する可変容量ポンプの制御方法において、
    前記制御バルブは、少なくとも吐出通路に形成されたオリフィスの前後差圧を導入することにより移動制御され、
    前記開閉弁は、車両の運転状態に基づき前記圧力室の圧力を補正すること を特徴とする可変容量型ポンプの制御方法。
  • 請求項23に記載の可変容量型ポンプの制御方法において、
    前記開閉弁は、この開閉弁の失陥時において閉弁すること を特徴とする可変容量型ポンプの制御方法。
  • ポンプボディと、
    前記ポンプボディに軸支される駆動軸と、
    前記ポンプボディ内に設けられ、前記駆動軸に回転駆動されるロータと、
    前記ロータの周方向に複数個設けられたスロットに出没自在に収装されたベーンと、
    前記ポンプボディ内であって移動可能に設けられるとともに、内周側に前記ロータおよび前記ベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、
    前記カムリングの軸方向両側に設けられた第1部材および第2部材と、
    前記第1部材または第2部材のうち少なくとも一方側に設けられ、前記複数のポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、前記複数のポンプ室の容積が縮小する領域に開口する吐出ポートと、
    前記カムリングの外周側に設けられ、このカムリングの外周側空間をポンプ吐出量が増大する方向に設けられた第1流体圧室と、ポンプ吐出量が減少する方向に設けられた第2流体圧室とに隔成するシール部材と、
    前記吐出ポートに連通する吐出通路に設けられたオリフィスの前後差圧が導入され、前記第1流体圧室または前記第2流体圧室の圧力を制御する制御バルブと、
    前記第1流体圧室とポンプ吐出側、ならびに前記第2流体圧室とポンプ吸入側またはポンプ吐出側とを連通する連通路と、
    前記連通路を開閉する開閉弁と、
    前記開閉弁を開閉制御する電磁アクチュエータと を有することを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 請求項25に記載の可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記連通路は、前記第1部材または前記第2部材に形成された開口部に接続されること を特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  • 说明书全文

    本発明は、可変容量型のポンプに関し、特にパワーステアリング用の可変容量型ベーンポンプに関する。

    従来、特許文献1に記載される可変容量型ベーンポンプにあっては、カムリングを揺動することによりポンプ室の容積を変化させ、ポンプ高回転時には吐出量が減少するように制御されている。 また、制御バルブのオリフィス下流側圧が導入される第2パイロット室とタンクとの連通路にソレノイドバルブを設け、この開度を制御することにより第2パイロット圧室の圧力を制御している。 これに伴い制御バルブの位置が制御され、第1、第2圧力室に導かれる圧力が制御されるため、カムリングの揺動位置を可変制御している。

    特開2004−218430号公報

    しかしながら上記従来技術にあっては、上記のように制御することで例えば車速や信号に基づいて流量制御を行うことができるものの、第1、第2圧力室の圧力を制御して実際にカムリングを揺動制御するためには制御バルブを動かす必要があるため、ソレノイドに駆動信号が入力されてから実際にカムリングが駆動されるまでの応答性に問題があった。 また、制御バルブには吐出通路に設けられたオリフィス前後の圧力が作用しているため、ソレノイドはこのオリフィス前後の圧力に抗して制御バルブを動かす必要があるため、ソレノイドが大型化する、という問題もある。

    本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、大型化を回避しつつ応答性を改善した可変容量型ベーンポンプを提供することにある。

    上記目的を達成するため、本発明では、ポンプボディと、前記ポンプボディに軸支される駆動軸と、前記ポンプボディ内に設けられ、前記駆動軸に回転駆動されるロータと、前記ロータの周方向に複数個設けられたスロットに出没自在に収装されたベーンと、前記ポンプボディ内であって移動可能に設けられるとともに、内周側に前記ロータおよび前記ベーンとともに複数のポンプ室を形成するカムリングと、前記カムリングの軸方向両側に設けられた第1部材および第2部材と、前記第1部材または第2部材のうち少なくとも一方側に設けられ、前記複数のポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、前記複数のポンプ室の容積が縮小する領域に開口する吐出ポートと、前記カムリングの外周側に設けられ、このカムリングの外周側空間をポンプ吐出量が増大する方向に設けられた第1流体圧室と、ポンプ吐出量が減少する方向に設けられた第2流体圧室とに隔成するシール部材と、前記第1流体圧室とポンプ吐出側、ならびに前記第2流体圧室とポンプ吸入側またはポンプ吐出側とを連通する連通路と、前記連通路を開閉する開閉弁と、前記開閉弁を開閉制御する電磁アクチュエータとを有することとした。

    よって、大型化を回避しつつ応答性を改善した可変容量型ベーンポンプを提供できる。

    以下、本発明を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。

    [ベーンポンプの概要]
    (第1流体圧室に制御圧、第2流体圧室に吸入圧)
    実施例1につき図1ないし図4に基づき説明する。 実施例1のベーンポンプ1は、y軸正方向側の第2流体圧室A2に吸入圧を導入し、y軸負方向側の第1流体圧室A1に制御圧を導入するベーンポンプである。

    図1はベーンポンプ1の軸方向断面図、図2は径方向断面図である。 図2ではカムリング4が最もy軸負方向に位置する場合(偏心量最大)を示す。 なお、駆動軸2の軸方向をx軸とし、第1、第2ハウジング11,12へ駆動軸が挿入される方向を正とする。

    また、カムリング4の揺動を規制するスプリング71(図2参照)の軸方向カムリング4側をy軸負方向、x軸およびy軸と直交する軸であって吸入、吐出口IN,OUT側をz軸正方向とする。

    ベーンポンプ1は、駆動軸2、ロータ3、カムリング4、アダプタリング5、ポンプボディ10、およびソレノイドバルブ300(開閉弁)を有する。 駆動軸2はプーリを介して図外のエンジンと接続され、ロータ3と一体回転する。

    ロータ3の外周には軸方向溝である複数のスロット31が放射状に形成され、各スロット31にベーン32が径方向に出没可能に挿入される。 また、各スロット31の内径側端部には背圧室33が設けられ、吐出圧が供給されてベーン32を径方向外側に付勢する。 背圧室33への吐出圧の供給は、プレッシャープレート6のx軸正方向側面61、および第2ハウジング12のx軸負方向側面120に設けられた背圧導入溝64,124によって行う。

    ポンプボディ10は第1ハウジング11および第2ハウジング12(第2部材)から形成される。 第1ハウジング11はx軸正方向側に開口する有底カップ形状であり、底部111には円盤状のプレッシャープレート6(第1部材)が収装される。 第1ハウジング11内周部であるポンプ要素収容部112であってプレッシャープレート6のx軸正方向側には、アダプタリング5、カムリング4、およびロータ3が収装される。

    第2ハウジング12はx軸正方向側からアダプタリング5、カムリング4、およびロータ3と液密に当接し、アダプタリング5、カムリング4、およびロータ3はプレッシャープレート6および第2ハウジング12に挟持されることとなる。

    また、第2ハウジング12のx軸負方向側面120には高圧導入溝9が設けられている。 この高圧導入溝9はx軸負方向側面120上であってカムリング4と常時摺動する位置に設けられ、吐出ポート122と接続してカムリング4と第2ハウジング12との摺接面に吐出圧を導入する。 摺接面のほぼ全周にわたって吐出圧を導入することで、摺接面にかかる圧力を均一化させる。

    プレッシャープレート6のx軸正方向側面61および第2ハウジング12のx軸負方向側面120にはそれぞれ吸入ポート62,121および吐出ポート63,122が設けられ、ロータ3とカムリング4の間に形成されるポンプ室Bへの作動油の給排を行う。

    吸入ポート62,121および吐出ポート63,122は第1ハウジング11のz軸正方向側に設けられた吸入口IN(ポンプ吸入側)、吐出口OUT(ポンプ吐出側)とそれぞれ接続し、作動油の給排が行われる。 なお、吸入口INは吸入口側連通路C2を介してソレノイドバルブ300と連通する。

    アダプタリング5はy軸側を長軸、z軸側を短軸とする略楕円状の円環部材であり、外周側において第1ハウジング11に収装されるとともに、内周側においてカムリング4を収装する。 ポンプ駆動時に第1ハウジング11内で回転しないよう、アダプタリング5の外周は第1ハウジング11に対し回転を規制されて嵌合される。

    カムリング4は略真円の円環部材であり、外周はアダプタリング5の短軸とほぼ同径に設けられている。 したがって、略楕円状のアダプタリング5に収装されることにより、アダプタリング5内周とカムリング4外周の間には流体圧室Aが形成され、カムリング4はアダプタリング5内においてy軸方向に揺動可能となる。

    また、アダプタリング5の内周面53のz軸正、負方向端部には、それぞれシール部材50およびピン40が設けられている。 このピン40とシール部材50により、カムリング4とアダプタリング5との間の流体圧室Aはy軸負、正方向に画成されて第1、第2流体圧室A1,A2を形成する。

    ロータ3の外径はカムリング内周面41よりも小径に設けられ、カムリング4内周側に収装される。 カムリング4が揺動し、ロータ3とカムリング4の相対位置が変化した場合であっても、ロータ3の外周はカムリング内周面41と当接しないよう設けられている。

    また、揺動によりカムリング4が最もy軸正方向に位置する場合、カムリング内周面41とロータ3外周との距離Lはy軸負方向側において最大となる。 カムリング4が最もy軸負方向に位置する場合は、距離Lはy軸正方向側において最大となる。

    ここで、ベーン32の径方向長さは距離Lの最大値よりも大きく設けられており、そのためベーン32は、カムリング4とロータ3との相対位置によらず、常にスロット31に挿入されつつカムリング内周面41に当接した状態を維持することとなる。 これにより、ベーン32は常時背圧室33から背圧を受け、カムリング内周面41と液密に当接する。

    したがって、カムリング4とロータ3との間の領域は、隣り合うベーン32によって常時液密に画成されてポンプ室Bを形成する。 揺動によりロータ3とカムリング4が偏心状態にあれば、ロータ3の回転に伴って各ポンプ室Bの容積が変化する。

    プレッシャープレート6および第2ハウジング12に設けられた吸入ポート62,121および吐出ポート63,122はロータ3の外周に沿って設けられ、各ポンプ室Bの容積変化により作動油の給排が行われる。

    また、プレッシャープレート6のx軸正方向側面61には吸入ポート63と第2流体圧室A2とを連通する吸入圧導入溝65が設けられ、第2流体圧室A2に吸入圧Pinを導入する。

    アダプタリング5のy軸正方向端部には径方向貫通孔51が設けられている。 また、第1ハウジング11のy軸正方向端部にはプラグ部材挿入孔114が設けられ、有底カップ形状のプラグ部材70が底部73をy軸負方向側に向けて挿入される。 プラグ部材挿入孔114は蓋部材72によって閉塞される。

    プラグ部材70の内周にはスプリング71がy軸方向に伸縮可能に挿入され、蓋部材72によりy軸正方向側を係止されてプラグ部材70をy軸負方向に付勢する。 これによりプラグ部材70の底部73はアダプタリング5の径方向貫通孔51を貫通してカムリング4に当接し、第2流体圧室A2に至ってカムリング4をy軸負方向へ付勢する。

    なお、プラグ部材70の内周と制御バルブ200とを連通させて高圧を供給し、この高圧によってプラグ部材70をy軸負方向に付勢し、カムリング4を付勢してもよい(実施例3で詳述)。

    カムリング4の偏倚量はy軸負方向側に向かって大きくなるため、スプリング71の付勢方向は偏倚量が最大となる方向となる。 また、プラグ部材70の外周74はプラグ部材挿入孔114に対し液密に摺動し、第2流体圧室A2と第1、第2ハウジング11,12外部との液密を保つ。

    [制御バルブ]
    図3は制御バルブ200の拡大断面図である。 制御バルブ200は弁体210をスプールとするバルブであり、弁体210およびリリーフバルブ220から形成されて第1ハウジング11内のバルブ収装孔115に収装される。

    弁体210はy軸正方向に開口する有底カップ形状であり、弁体付勢スプリング230によりy軸負方向に付勢される。 内周211にはリリーフバルブ220が収装され、外周212は第1、第2摺動部213,214においてバルブ収装孔115に対し液密に摺動可能に設けられている。

    第1、第2摺動部213,214は外周212において他の部分よりも大径に設けられ、第1、第2摺動部213,214の間には凹部215が形成される。 これによりバルブ収装孔115は、第1摺動部213よりもy軸負方向側の第1油室D1、第2摺動部214よりもy軸正方向側の第2油室D2、および第1、第2摺動部213,214と凹部215により形成された第3油室D3、の3つの油室D1〜D3に隔成される。

    第1油室D1は油路21を介して吐出ポート63,122と接続し、第2油室D2は油路22を介して吐出ポート63,122と接続する。 したがって第1油室D1には吐出圧Poutが導入される。 油路22にはオリフィス8が設けられており、第2油室D2にはオリフィス下流圧Pfbが導入される。 オリフィス下流圧Pfbは、オリフィス8の圧力降下分だけ吐出圧Poutよりも低圧となる。

    第3油室D3は油路23を介して吸入口INと接続して吸入圧Pinが導入され、凹部215に設けられた径方向孔216により弁体内周211と連通する。 弁体内周211にはリリーフバルブ220が収装され、第2、第3油室D2,D3はこのリリーフバルブ220により隔成される。

    第1ハウジング11およびアダプタリング5のz軸正方向側であってシール部材50のy軸負方向側には、第1油室油路113および第1流体圧室連通孔52が設けられている。 第1油室油路113は第1流体圧室側連通路C1を介してソレノイドバルブ300と連通する。

    この第1油室油路113のバルブ収装孔115側開口部113aは、ポンプ非駆動時において弁体210の凹部215とy軸方向に対し重複する位置に開口し、第3油室D3と連通する。 弁体210のy軸正方向移動に伴って第1摺動部213が開口部113aよりもy軸正方向に移動すると、第1油室油路113は第1油室D1と連通する。

    ここで、弁体210には第1油室D1からのy軸正方向側への力Fv1、第2油室D2からのy軸負方向側への力Fv2、弁体付勢スプリング230のy軸負方向への付勢力Fc1が作用し、バランス条件は Fv1=Fv2+Fc1
    である。

    したがって、
    Fv1≦Fv2+Fc1・・・(a)
    であれば、弁体210はy軸負方向に移動し、開口部113aは第1摺動部213よりもy軸正方向に位置する。 これにより第1油室油路113と第3油室D3とが連通する。
    一方、
    Fv1>Fv2+Fc1・・・(b)
    であれば、開口部113aは第1摺動部213よりもy軸負方向に位置し、第1油室D1と連通する。
    したがって、弁体付勢スプリング230の付勢力Fc1を変更することにより、第1油室油路113と第1、第3油室D1,D3の連通条件を変更可能である。

    [リリーフバルブ]
    リリーフバルブ220はy軸正方向から順に弁座221、ボール弁222、スプリング係止部223、およびリリーフバルブスプリング224から形成される。

    弁座221は制御バルブ200の弁体210に対し軸方向摺動可能に収装され、第2油室D2と弁体内周211を液密に隔成する。 また、弁座221には軸方向貫通孔221aが設けられ、第2油室D2の液圧による力Fv2がボール弁222に作用する。

    リリーフバルブスプリング224は弁体210の底部217にy軸負方向側を係止される。 ボール弁222はスプリング係止部223を介してリリーフバルブスプリング224にy軸正方向に付勢される。

    したがって、ボール弁222にはy軸正方向側から第2油室D2の液圧による力Fv2が作用するとともに、y軸負方向側からリリーフバルブスプリング224の付勢力Fc2が作用する。

    これにより、
    Fv2≦Fc2・・・(c)
    であれば、ボール弁222は弁座221に当接して軸方向貫通孔221aを閉塞し、リリーフバルブ220は第2、第3油室D2,D3を遮断する。
    一方、
    Fv2>Fc2・・・(d)
    であれば、ボール弁222は弁座221から離間して第2、第3油室D2,D3が連通される。 このため第3油室D3は吸入口INおよび第2油室D2と連通する。
    したがって、リリーフバルブスプリング224の付勢力Fc2を変更することによりリリーフバルブ220の開弁条件を変更可能となっている。

    [制御バルブと第1流体圧室の連通関係]
    (i). 第1油室D1と第1油室油路113が連通する場合(上記(a)式)
    この場合、第1流体圧室A1には第1油室油路113および第1流体圧室連通孔52を介して常時第1油室D1から吐出圧Pout(オリフィス8の上流側圧力)が導入される。

    (ii). 第3油室D3と第1油室油路113が連通する場合(上記(b)式)
    この場合、リリーフバルブ220が連通/遮断いずれであるかによって第3油室D3の圧力が変化し、第1流体圧室A1へ導入される圧力が異なる。
    (ii)−1. リリーフバルブ220が遮断状態の場合(上記(c)式)
    第2、第3油室D2,D3が遮断され、第1流体圧室A1には油路23、第3油室D3を介して吸入圧Pinが導入される。
    (ii)−2. リリーフバルブ220が連通状態の場合(上記(d)式)
    第3油室D3は油路23に加え第2油室D2とも連通し、第3油室D3の圧力は吸入圧Pinと第2油室D2のオリフィス下流側圧力Pfbとの混合圧Pm(吐出圧Pout>Pm>吸入圧Pin)として第1流体圧室A1に導入される。

    このように、制御バルブ200から第1流体圧室A1に供給される制御バルブ圧Pvは、上記(i)の場合はPv=吐出圧Pout、(ii)−1の場合はPv=吸入圧Pin、(ii)−2の場合はPv=混合圧Pmとなる。

    すなわち、制御バルブ200には第1油室D1に吐出圧Poutが導入され、第2油室D2にオリフィス8の下流圧Pfbが導入される。 また、第3油室D3には吸入圧Pinが導入され、この3種の圧力Pout,Pfb,Pinの差圧によって制御バルブ圧Pvを生成して第1流体圧室A1の圧力P1を制御する。

    制御バルブ圧Pvは弁体付勢スプリング230の付勢力Fc1およびリリーフバルブスプリング224の付勢力Fc2に拘束されるため、Fc1,Fc2を適宜変更することにより、第1油室油路113と第1、第3油室D1,D3の連通条件およびリリーフバルブ220の開弁条件を変更して制御バルブ圧Pvを変更することが可能となっている。

    なお、実施例1では制御バルブ200の圧力を第1流体圧室A1に導入することとしたが、第2流体圧室A2に導入することとしてもよく特に限定しない。

    [カムリングの揺動]
    カムリング4が第1流体圧室A1の圧力P1から受けるy軸正方向の付勢力F1が、第2流体圧室A2の油圧P2とスプリング71から受けるy軸負方向の付勢力の和F2よりも大きくなれば、カムリング4はピン40を回転中心としてy軸正方向に揺動する。 揺動によりy軸正方向側のポンプ室By+は容積が拡大し、y軸負方向側のポンプ室By-は容積が減少する。

    y軸負方向側のポンプ室By-の容積が減少すると、単位時間あたりに吸入ポート62,121から吐出ポート63,122へ供給される油量が減少し、吐出圧が低下する。 これに伴い吐出圧が導入されている第1流体圧室A1の圧力P1も低下し、y軸負方向への付勢力の和F2に抗し切れなくなると、カムリング4はy軸負方向側に揺動する。

    y軸正、負方向の付勢力F1,F2がほぼ等しくなると、カムリング4に作用するy軸方向の力が釣り合ってカムリング4は静止する。 吐出圧がさらに低下すると、カムリング4はさらにy軸負方向に揺動してロータ3と同一軸心となり、y軸正、負方向側のポンプ室By+,By-の容積が等しくなって吸入圧=吐出圧=0となる。

    これに伴い第1流体圧室A1の圧力P1も0となり、カムリング4はスプリング71の付勢力Fによりy軸負方向に付勢される。 このように、吐出オリフィス前後の差圧が一定となるように、カムリング4の偏心量を調整する。

    [ソレノイドバルブ]
    ソレノイドバルブ300は第1流体圧室A1と吸入口INとを接続する連通路C上に設けられている。 連通路Cであってソレノイドバルブ300と第1流体圧室A1とを接続する部分を流体圧室側第1流体圧室側連通路C1、吸入口IN側を吸入口側連通路C2とする。

    ソレノイドバルブ300は第1ハウジング11のz軸正方向側かつy軸負方向側に設けられたバルブ収装孔117に収装され、第1流体圧室側連通路C1を介して第1油室油路113に接続するとともに、吸入口側連通路C2を介して吸入口INと接続する。 これにより、第1流体圧室A1と吸入口INとの連通/遮断を行う。

    図4はソレノイドバルブ300の拡大断面図である。 ソレノイドバルブ300はスリーブ310、スプール320、スプリング330、ロッド340、プランジャ350、コイル360を有する。 以下、ロッド340、プランジャ350、コイル360をソレノイドSOLと総称する。

    スリーブ310は有底カップ形状であり、バルブ収装孔117に収装される。 内周側にはy軸負方向側から順にスプール320およびスプリング330が収装され、スプリング330はスリーブ底部311にy軸正方向側を係止されてスプール320をy軸負方向に付勢する。

    スプール320はスリーブ310内部においてほぼ液密を保ったまま軸方向摺動可能に設けられている。 スプール320とスリーブ底部311とが離間することにより、スリーブ310内周とスプール320とによって第4油室D4が隔成される。

    スリーブ310の外周部312には全周にわたる溝313、および2つの径方向孔314が設けられている。 溝313および径方向孔314によって、吸入口側連通路C2とスリーブ310の内周が連通される。

    スリーブ310の全周に設けられた溝313により、径方向孔314の位置によらず吸入口側連通路C2とスリーブ310の内周は連通可能となっている。 また、スリーブ310の底部311にはy軸方向貫通孔315が設けられ、第4油室D4とスリーブ310の内周と第1流体圧室側連通路C1とが連通される。

    スプール320は円筒部材であり、y軸正方向側端部には凹部321が設けられてスプリング330を係止する。 また、y軸方向の貫通孔322、および貫通孔322と外周とを連通する径方向孔323が設けられ、この貫通孔322および径方向孔323によってスプール320の外周と凹部321とが連通される。

    スプール320が軸方向移動し、スリーブ310の径方向孔314とスプール320の径方向孔323が互いに連通することにより、スリーブ310、スプール320の径方向孔314,323および第4油室D4を介して吸入口側連通路C2と第1流体圧室側連通路C1とが連通される。

    ロッド340はプランジャ350と接続し、コイル360の励磁力によりy軸方向移動する。 ロッド340のy軸正方向端部341はスプール320のy軸負方向端面324と当接し、励磁力によりスプール320をy軸正方向に押圧する。 スプール320のy軸負方向端面324において、ロッド340との当接面は軸方向貫通孔322の開口部に対し位置をずらして設けられ、ロッド340の押圧力を確実にスプール320に伝達させる。

    この励磁力がスプリング330の付勢力に抗して大きくなった場合、スプール320はy軸正方向に移動する。 非励磁時にはスプリング330の付勢力によりスプール320は最もy軸負方向側に位置し、励磁力を大きくすることによりスリーブ310、スプール320の径方向孔314,323が互いに開口する。

    これによりソレノイドバルブ300は開弁され、吸入口側連通路C2と第1流体圧室側連通路C1とが連通される。 励磁力を変化させて径方向孔314,323の開口面積を変更することにより、連通路Cの流量が変化する常閉比例弁として機能する。

    [ソレノイドバルブによる第1流体圧室の圧力制御]
    ソレノイドバルブ300を開弁することにより、連通路Cが連通されて第1流体圧室A1と吸入口INとが連通する。 このため第1流体圧室A1の圧力P1>吸入圧Pinであれば、この差圧によってソレノイドバルブ300を介して第1流体圧室A1から作動油が吸入口INへ流出する。 P1=Pinであれば作動油は流出しない。

    したがって、制御バルブ200の第3油室D3と第1流体圧室A1とが連通し、かつリリーフバルブ220が遮断状態の場合(上記(b)式かつ(c)式を満たす場合)には、ソレノイドバルブ300を開弁しても第1流体圧室A1から作動油は流出せず、第1流体圧室A1の圧力P1は吸入圧Pinのまま変化しない。

    一方、それ以外の場合(上記(b)式または(c)式を満たさない場合)は、第1流体圧室A1は第1油室D1または第2油室D2と連通し、第1流体圧室A1の圧力P1=吐出圧Poutまたは制御バルブ圧Pvである。 したがってP1>吸入圧Pinであり、ソレノイドバルブ300を開弁することにより第1流体圧室A1の圧力P1は低下する。

    このように、ソレノイドバルブ300を吸入口INおよび第1流体圧室A1に連通させることで、ソレノイドバルブ300により第1流体圧室A1内の作動油を吸入口INに流出させ、第1流体圧室A1の圧力P1を低下させる。 ソレノイドバルブ300の開度を適宜変更することにより、圧力P1の低下量を制御可能となっている。

    このように、制御バルブ200に手を加えることなくソレノイドバルブ300の駆動のみによって第1流体圧室A1の圧力P1を制御する。 なお、本願実施例1では制御バルブ200によって制御バルブ圧Pvを第1流体圧室A1に導入することによりあらかじめ第1流体圧室A1の圧力P1を制御している。 そのため、ソレノイドバルブ300による圧力制御は簡易なものでよい。

    [実施例1の効果]
    (1)本願実施例1では、ポンプボディ10と、ポンプボディ10に軸支される駆動軸2と、ポンプボディ10内に設けられ、駆動軸2に回転駆動されるロータ3と、ロータ3の周方向に複数個設けられたスロット31に出没自在に収装されたベーン32と、ポンプボディ10内であって移動可能に設けられるとともに、内周側にロータ3およびベーン32とともに複数のポンプ室Bを形成するカムリング4と、カムリング4の軸方向両側に設けられたプレッシャープレート6および第2ハウジング12と、プレッシャープレート6または第2ハウジング12のうち少なくとも一方側に設けられ、複数のポンプ室Bの容積が増大する領域に開口する吸入ポート62,121と、複数のポンプ室Bの容積が縮小する領域に開口する吐出ポート63,122と、カムリング4の外周側に設けられ、このカムリング4の外周側空間をポンプ吐出量が増大する方向に設けられた第1流体圧室A1と、ポンプ吐出量が減少する方向に設けられた第2流体圧室A2とに隔成するシール部材50と、第1流体圧室A1とポンプ吐出側、ならびに第2流体圧室A2とポンプ吸入側またはポンプ吐出側とを連通する連通路Cと、連通路Cを開閉するソレノイドバルブ300と、ソレノイドバルブ300を開閉制御するソレノイドSOLとを有することとした。

    これにより、制御バルブ200に手を加えることなくソレノイドバルブ300の駆動のみによって、第1流体圧室A1の圧力P1または第2流体圧室A2の圧力P2を制御することが可能となり、制御応答性に優れた可変容量型ベーンポンプ1を提供することができる。 また、ソレノイドバルブ300は第1流体圧室A1の圧力P1または第2流体圧室A2の圧力P2のいずれかのみを制御するため、ソレノイドバルブ300の小型化を図ることができる。

    (2)吐出ポート63,122に連通する油路22に設けられたオリフィス8の前後差圧が導入され、第1流体圧室A1または第2流体圧室A2の圧力を制御する制御バルブ200をさらに有することとした。 制御バルブ200によって制御バルブ圧Pvを第1流体圧室A1に導入することによりあらかじめ第1流体圧室A1の圧力P1を制御しているため、ソレノイドバルブ300による圧力制御を簡易なものとすることができる。

    (3)第2流体圧室A2には吸入圧Pinが導入されることとした。 これにより、第2流体圧室A2に吸入圧Pinを導入することで、第2流体圧室A2の圧力P2を低く保ち、第2流体圧室A2から吸入ポート62,121へのリークを抑制することができる。

    (14)ソレノイドバルブ300は、コイル360が正常に作動しないときに閉じる構成であることとした。 これにより、ソレノイドSOLが正常に作動しないときにはソレノイドバルブ300を閉弁することで、ソレノイドバルブ300が省略された可変容量型ベーンポンプとして使用を継続することができる。

    (15)ソレノイドバルブ300は、コイル360が非通電状態のときに閉じる常閉弁であることとした。 コントローラや電源異常によりソレノイドSOLに電力が供給されなくなった場合であっても、常閉のためソレノイドバルブ300が省略された可変容量型ベーンポンプとして使用を継続することができる。

    以下、実施例1の変形例を示す。
    [実施例1−1]
    (第1流体圧室とソレノイドバルブを直接連通)
    図5は実施例1−1におけるベーンポンプ1の径方向断面図である。 実施例1では第1流体圧室側連通路C1は第1油室油路113に開口していた。

    これに対し実施例1−1では、第1流体圧室側連通路C1を第1流体圧室A1に直接開口させ、ソレノイドバルブ300と第1流体圧室A1とを直接連通した例である。 実施例1−1にあっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。

    [実施例1−2]
    (ソレノイドバルブを介して第1流体圧室に吐出圧を導入)
    図6は実施例1−2におけるベーンポンプ1の径方向断面図である。 実施例1−1ではソレノイドバルブ300は吸入口側連通路C2を介して吸入口INに接続し、作動油を吸入口INに導入することで第1流体圧室A1の圧力を低下させていた。

    これに対し実施例1−2のソレノイドバルブ300では、吐出口側連通路C2'を介して吐出口OUTに接続させることとする。 吐出口側連通路C2'は油路22のオリフィス8上流に開口するため、ソレノイドバルブ300には吐出圧Poutが導入される。 実施例1−1と同様、第1流体圧室側連通路C1は直接第1流体圧室A1に連通する。

    実施例1で示したように、第1流体圧室A1には制御バルブ200を介して吐出圧Pout(上記(i))、吸入圧Pin(上記(ii)−1)、混合圧Pm(上記(ii)−2)のいずれかが導入されている。

    したがって、吸入圧Pinまたは混合圧Pmが導入されている場合は、吐出口側連通路C2'を介してソレノイドバルブ300を開弁することにより第1流体圧室A1に吐出圧Poutが導入され、第1流体圧室A1の圧力P1を増加させることができる。 所望のポンプ性能に合わせて実施例1、実施例1−1および実施例1−2を適宜選択することで、幅広いポンプ性能を得ることができる。

    (7)実施例1において、制御バルブ200は第2流体圧室A2に供給される圧力を、吐出圧Poutと吸入圧Pinとに選択的に切り換えることとしてもよい。 第2流体圧室A2を制御する場合であっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。

    (8)また、連通路Cは、第2流体圧室A2に開口して吐出圧Poutが導入され、ソレノイドバルブ300は、連通路Cから第2流体圧室A2へ供給される吐出圧Poutを制御することとしてもよい。 車両運転状態に基づき適切に吐出流量を低下させることができる。

    [制御バルブにより第1、第2流体圧室双方を制御]
    (第1流体圧室とソレノイドバルブを直接連通)
    実施例2につき図7に基づき説明する。 基本構成は実施例1と同様であるため異なる点についてのみ説明する。 実施例1ではプレッシャープレート6のx軸正方向側面61に吸入圧導入溝65を設けて第2流体圧室A2に常時吸入圧Pinを導入し、制御バルブ200は第1流体圧室A1の圧力のみを制御していた。

    これに対し実施例2では、第2流体圧室A2と制御バルブ200の第2油室D2と連通し、制御バルブ200によって第1流体圧室A1に加え第2流体圧室A2をも制御する点で実施例1と異なる。 他の点は実施例1−1と同様である。

    図7は実施例2におけるベーンポンプ1の径方向断面図である。 第1ハウジング11およびアダプタリング5のz軸正方向側であってシール部材50のy軸正方向側には、第2油室D2と第2流体圧室A2とを連通する第2油室油路119および第2流体圧室連通孔54が設けられている。

    この第2油室油路119のバルブ収装孔115側開口部119aは、ポンプ非駆動時において第2油室D2とy軸方向に対し重複する位置に開口し、オリフィス下流圧Pfbを第2流体圧室A2に導入する。

    弁体210のy軸正方向移動に伴って第2摺動部214が開口部119aよりもy軸正方向に移動すると、第2油室油路119は第2油室D2と遮断され、第3油室D3と連通する。 実施例1で示したように、第3油室D3の圧力は、リリーフバルブ220が閉弁されている際は吸入圧Pinであり、リリーフバルブ220が開弁された際にはオリフィス下流圧Pfbが導入されて混合圧Pmとなる。

    このため第2流体圧室A2には、制御バルブ200によってオリフィス下流圧Pfbまたは吸入圧Pinのいずれかが導入され、第2流体圧室A2の圧力P2は制御バルブ200により制御されることとなる。 吐出圧Poutおよびオリフィス下流圧Pfbは高圧であり、リリーフバルブ200が遮断されている場合は第2流体圧室A2にはオリフィス下流圧Pfbが導入され、第1、第2流体圧室A1,A2にはともに高圧が導入される。

    [実施例2の効果]
    (4)実施例2にあっては、制御バルブ200は第1流体圧室A1にオリフィス8の上流側圧力(吐出圧)Poutを導入し、第2流体圧室A2にオリフィス8の下流側圧力Pfbを導入することとした。 これにより、第1、第2流体圧室A1,A2に高圧を導入し、カムリング4の安定性を向上させることができる。

    (6)実施例2にあっても、実施例1−1と同様に第1流体圧室側連通路C1をソレノイドバルブ300を介して第1流体圧室A1に直接開口させ、ソレノイドバルブ300と第1流体圧室A1とを直接連通する。 このように、制御バルブ200によって第1流体圧室A1に加え第2流体圧室A2をも制御するベーンポンプにおいても、実施例1−1と同様の作用効果を得ることができるとともに、車両運転状態に基づき適切に吐出流量を低下させることができる。

    以下、実施例2の変形例を示す。
    [実施例2−1]
    (ソレノイドバルブを介して第1流体圧室に吐出圧を導入)
    図8は実施例2−1におけるベーンポンプ1の径方向断面図である。 実施例1−2と同様、ソレノイドバルブ300を吐出口側連通路C2'を介して吐出口OUTに接続させる例である。

    (5)連通路Cは、第1流体圧室A1に開口して吐出圧Poutが導入され、ソレノイドバルブ300は、連通路Cから第1流体圧室A1へ供給される吐出圧Poutを制御することとした。 第1、第2流体圧室A1,A2の圧力P1,P2をともに制御バルブ200によって制御するタイプであっても、実施例1−2と同様の作用効果が得られるとともに、車両運転状態に基づき適切に吐出流量を低下させることができる。

    [第3流体圧室をソレノイドバルブで制御]
    (第3流体圧室を減圧制御)
    実施例3につき図9に基づき説明する。 基本構成は実施例1と同様である。 実施例3では、ポンプボディ10のカムリング4を支持する支持面Nは、y−z平面内においてy軸正方向に向かうに連れてz軸方向位置が低くなるよう設けられている。

    また、プラグ部材70の内周と蓋部材72によって隔成された空間を第3流体圧室A3とし、この第3流体圧室A3と制御バルブ200の第3油室D3とを連通して制御バルブ圧Pvを第3流体圧室A3に導入する。

    この第3流体圧室A3の圧力P3によってプラグ部材70を介してカムリング4をy軸負方向に付勢するとともに、第3流体圧室A3と吸入口INとをソレノイドバルブ300を介して接続し、ソレノイドバルブ300によって第3流体圧室A3の圧力P3を制御する点で実施例1と異なる。

    図9は実施例3におけるベーンポンプ1の径方向断面図である。 ソレノイドバルブ300は、第3流体圧室側連通路C3および吸入口側連通路C4からなる連通路C上に設けられる。

    ポンプボディ10のカムリング4を支持する支持面Nは、吸入ポート62,121の終端部と吐出ポート63,122の始端部との第1中間点M1と、吐出ポート63,122の終端部と吸入ポート62,121の始端部との第2中間点M2とを結んだ仮想線K−Kに対し、第1流体圧室A1側から第2流体圧室A2側に向かって徐々に離間し、y軸正方向かつz軸負方向に傾斜するように形成される。

    そのためカムリング4の偏心量が大きい状態(吐出圧Poutが高い状態)でカムリング4のz軸方向位置を高くし、偏心量が小さい状態(吐出圧Poutが低い状態)でz軸方向位置を低くすることで、吐出圧Poutによるカムリング4の沈み込み(z軸負方向への移動)をキャンセルし、高回転、低回転領域ともに脈動、ノイズを抑制する。

    また、有底カップ形状のプラグ部材70は底部73をy軸負方向側に向けて第1ハウジング11のプラグ部材挿入孔114に挿入される。 挿入時には、プラグ部材70の外周とプラグ部材挿入孔114は液密を保ってy軸方向摺動可能に設けられる。

    プラグ部材挿入孔114は蓋部材72によって液密に閉塞され、プラグ部材70の内周と蓋部材72によって第3流体圧室A3が隔成される。 またプラグ部材70の内周にはスプリング71がy軸方向に伸縮可能に挿入され、蓋部材72によりy軸正方向側を係止されてプラグ部材70をy軸負方向に付勢する。

    これによりプラグ部材70の底部73はアダプタリング5の径方向貫通孔51を貫通してカムリング4に当接し、第2流体圧室A2に至ってカムリング4をy軸負方向へ付勢する。

    さらに、実施例3の第1ハウジング11内には、第3流体圧室側連通路C3と制御バルブ200とを接続する油路24が設けれている。 油路24は制御バルブ200を収容するバルブ収装孔115に開口し、ポンプ非駆動時における開口部24aのy軸方向位置は、制御バルブ200の弁体210における第2摺動部214の位置に相当する。

    このためポンプ非駆動時には、油路24の開口部24aは第2摺動部214によって閉塞されているが、ポンプ駆動に伴って吐出圧Poutが発生すると、第1油室D1に作用する吐出圧Poutと第2油室D2に作用するオリフィス下流圧Pfbとの差圧によって弁体210はy軸正方向に移動する。

    これにより開口部24aは第3油室D3に開口し、第3流体圧室A3と第3油室D3とが連通され、第3流体圧室A3の圧力P3=第3油室D3の圧力Pv3となる。

    実施例1で述べたように、第3油室D3の圧力Pv3は、リリーフバルブ220が遮断状態であればPv3=吸入圧Pinとなり、リリーフバルブ220が連通状態であればPv3=吸入圧Pinとオリフィス下流圧Pfbの混合圧Pm(Pm>Pin)となる。 混合圧Pmは吸入圧Pinよりも高圧であるため、この第3流体圧室A3の圧力によってカムリング4が第2流体圧室A2側(y軸負方向側)に倒れることを防止する。

    とりわけ実施例3では、カムリング4を支持する支持面Nは、吸入ポート62,121の終端部と吐出ポート63,122の始端部との第1中間点M1と、吐出ポート63,122の終端部と吸入ポート62,121の始端部との第2中間点M2とを結んだ仮想線K−Kに対し、第1流体圧室A1側から第2流体圧室A2側に向かって徐々に離間し、y軸正方向かつz軸負方向に傾斜するように形成される。

    そのため、本願ベーンポンプ1を車載する際に仮想線K−Kを平として搭載する場合、ポンプ室Bにおける吐出圧Poutの作用により、カムリング4はz軸負方向へ沈み込みやすくなるが、支持面Nがy−z平面内においてy軸正方向に向かうに連れてz軸方向位置が低くなるよう設けられているため、カムリング4のz軸負方向への沈み込みをキャンセルし、高回転、低回転領域ともに脈動、ノイズを抑制するものである。

    ここで、実施例3のソレノイドバルブ30は第1ハウジング11のy軸正方向側かつz軸正方向側に設けられ、第3流体圧室側連通路C3と接続するとともに吸入口側連通路C4を介して吸入口INに接続する。 したがって、第3流体圧室A3はソレノイドバルブ300を介して吸入口INに接続し、ソレノイドバルブ300は第3流体圧室A3と吸入口INとの連通/遮断を行うこととなる。

    したがって、第3流体圧室A3の圧力が混合圧Pm(>吸入圧Pin)の場合、ソレノイドバルブ300を連通状態とすることにより、高圧の第3流体圧室A3における作動油が低圧の吸入口INに流出し、第3流体圧室A3の圧力P3が低下する。

    [実施例3の効果]
    ポンプボディ10のカムリング4を支持する支持面Nは、吸入ポート62,121の終端部と吐出ポート63,122の始端部との第1中間点M1と、吐出ポート63,122の終端部と吸入ポート62,121の始端部との第2中間点M2とを結んだ仮想線K−Kに対し、第1流体圧室A1側から第2流体圧室A2側に向かって徐々に離間するように形成されることとした。

    カムリング4の偏心量が大きい状態(吐出圧Poutが高い状態)でカムリング4のz軸方向位置を高くし、偏心量が小さい状態(吐出圧Poutが低い状態)でz軸方向位置を低くすることで、吐出圧Poutによるカムリング4の沈み込み(z軸負方向への移動)をキャンセルすることが可能となり、高回転、低回転領域ともに脈動、ノイズを抑制することができる。

    (9)第2流体圧室A2側に設けられた第3流体圧室A3と第2流体圧室A2とを隔成するプラグ部材70をさらに備え、連通路Cは第3流体圧室A3に連通し、ソレノイドバルブ300は連通路Cに接続されることとした。

    これにより、第3流体圧室A3の圧力によってカムリング4が第2流体圧室A2側(y軸負方向側)に倒れることを防止することができる。 すなわち、ソレノイドバルブ300によって第3流体圧室A3を減圧制御し、カムリング4に対するy軸負方向への付勢力を制御してカムリング4の揺動量を調整することができる。

    以下、実施例3の変形例を示す。
    [実施例3−1]
    (第3流体圧室を増圧制御)
    図10は、ソレノイドバルブ300を吐出口側通路C4'を介して吐出口OUTに接続した例である。 この場合、ソレノイドバルブ300の開弁により第3流体圧室A3と吐出口OUTとが連通される。 第3流体圧室A3には制御バルブ200から吸入圧Pinまたは混合圧Pm(ともに吐出圧Poutよりも低圧)が導入されているため、ソレノイドバルブ300を開弁することにより第3流体圧室A3に吐出圧Poutが導入される。

    これにより、ソレノイドバルブ300により第3流体圧室A3の増圧制御を行い、カムリング4に対するy軸負方向への付勢力を増加制御してカムリング4の揺動量を調整することができる。

    [第3流体圧室にオリフィス下流圧導入]
    (ソレノイドバルブを吸入口に接続)
    実施例4につき図11に基づき説明する。 基本構成は実施例3と同様である。 実施例3では第3流体圧室A3を制御バルブ200の第3油室D3に接続したが、実施例4では第2油室D2に接続する点で実施例3と異なる。

    図11は実施例4におけるベーンポンプ1の径方向断面図である。 第3流体圧室A3は高圧通路25を介して第3流体圧室側連通路C3に接続し、第3流体圧室A3と第2油室D2とが接続される。 高圧通路25はバルブ収装孔115であって第2油室D2に開口し、開口部25aは制御バルブ200の弁体210の位置によらず常時第2油室D2に開口するものとする。

    したがって、第3流体圧室A3は常に第2油室D2と連通し、第3流体圧室A3の圧力P3は常時第2油室D2の圧力P2=オリフィス下流圧Pfbとなる。 実施例4においても、ソレノイドバルブ300は第3流体圧室A3と吸入口INとの連通/遮断を行い、第3流体圧室A3の圧力P3を減圧制御を行う。

    [実施例4の効果]
    (20)実施例4では、ポンプボディ10と、ポンプボディ10に軸支される駆動軸2と、ポンプボディ10内に設けられ、駆動軸2に回転駆動されるロータ3と、ロータ3の周方向に複数個設けられたスロット31に出没自在に収装されたベーン32と、ポンプボディ10内であって移動可能に設けられるとともに、内周側にロータ3およびベーン32とともに複数のポンプ室Bを形成するカムリング4と、カムリング4の軸方向両側に設けられたプレッシャープレート6および第2ハウジング12と、プレッシャープレート6または第2ハウジング12のうち少なくとも一方側に設けられ、複数のポンプ室Bの容積が増大する領域に開口する吸入ポート62,121と、複数のポンプ室Bの容積が縮小する領域に開口する吐出ポート63,122と、カムリング4の外周側に設けられ、このカムリング4の外周側空間をポンプ吐出量が増大する方向に設けられた第1流体圧室A1と、ポンプ吐出量が減少する方向に設けられた第2流体圧室A2とに隔成するシール部材50と、第2流体圧室A2側に設けられた第3流体圧室A3と、第2流体圧室A2とを隔成するプラグ部材70と、第3流体圧室A3に連通する連通路Cと、連通路Cを開閉するソレノイドバルブ300とを有することとした。

    これにより、制御バルブ200を介さずに第3流体圧室A3の圧力P3を直接制御するため、制御応答性に優れ、またソレノイドSOLの小型化を図ることができる。

    (21)第3流体圧室A3に吐出圧Poutを導入する高圧通路25をさらに備え、連通路Cは、第3流体圧室A3と吸入側とを連通し、ソレノイドバルブ300は、第3流体圧室A3から連通路Cへ排出される圧力を制御することとした。 これにより、運転状態に基づき吐出流量を増加または減少させることができる。

    以下、実施例4の変形例を示す。
    [実施例4−1]
    (ソレノイドバルブを吐出口に接続)
    図12は実施例4−1におけるベーンポンプ1の径方向断面図である。 実施例4−1では、ソレノイドバルブ300を吐出口OUTに接続し、第3流体圧室A3と吐出口OUTとの連通/遮断を行うこととする。 それ以外は実施例4と同様である。

    第3流体圧室A3に常時導入されるオリフィス下流圧Pfbは吐出圧Poutよりも低圧であるため、ソレノイドバルブ300を開放することにより第3流体圧室A3に吐出圧Poutを導入し、第3流体圧室A3を増圧制御する。

    (22)連通路Cには吐出圧が導入され、ソレノイドバルブ300は、連通路Cから第3流体圧室A3へ供給される吐出圧Poutを制御することとした。 これにより、運転状態に基づき吐出流量を増加または減少させることができる。

    [ソレノイドバルブと流体圧室を軸方向油路で接続]
    (ソレノイドバルブを吸入口に隣接配置)
    実施例5につき図13ないし図15に基づき説明する。 基本構成は実施例1と同様である。 実施例1では、ベーンポンプ1の径方向に設けられた第1流体圧室側連通路C1により、ソレノイドバルブ300と第1流体圧室A1とを連通した。 これに対し実施例5では、ソレノイドバルブ300を吸入口INに隣接配置し、ベーンポンプ1の軸方向に設けられた連通路C5によってソレノイドバルブ300と第1流体圧室A1とを連通する点で異なる。

    図13は実施例5におけるベーンポンプ1の軸方向断面図、図14、15は径方向断面図である。 図14はカムリング4が最もy軸負方向に位置する場合(偏心量最大)、図15はカムリング4が最もy軸正方向に位置する場合(偏心量最小)を示す。

    ソレノイドバルブ300は第1ハウジング11のx軸正方向側かつz軸正方向側に設けられ、吸入口INに隣接して配置されている。 また、ソレノイドバルブ300と第1流体圧室A1とは、第1ハウジング11内に設けられた連通路C5により接続される。 ソレノイドバルブ300は、連通路C5および吸入口側連通路C6からなる連通路C上に設けられる。

    図14、15に示すように、この連通路C5は、プレッシャープレート6または第2ハウジング12に形成された開口部C5aに開口し、カムリング4の揺動位置によらず常に第1流体圧室A1と連通する。 これにより第1流体圧室A1とソレノイドバルブ300とを連通する。

    [実施例5の効果]
    (10)ポンプボディ10の外側に設けられ、吸入ポート62,121と、作動油を貯留する図外のリザーバタンクと、を接続する吸入口INをさらに備え、ソレノイドバルブ300は吸入口INと隣接配置されることとした。 これにより、ポンプボディ10の外側に設けられる部材を集中配置することにより、装置全体を小型化することができる。

    (12)連通路Cはプレッシャープレート6または第2ハウジング12に形成された開口部C5aに接続されることとした。 プレッシャープレート6および第2ハウジング12に開口部C5aを形成することにより、第1または第2流体圧室A1,A2の圧力P1,P2を直接ソレノイドバルブ300により制御することができる。

    (13)開口部は、カムリング4の偏心量が最大のときに、このカムリング4によって完全に遮蔽されない位置に形成されることとした。 これにより、カムリング4の偏心量が最大、最小の場合であっても開口部C5aが完全に遮断されないため、最大、最小偏心後の制御応答性を向上させることができる。

    (26)連通路Cは、プレッシャープレート6または第2ハウジング12に形成された開口部C5aに接続されることとした。 プレッシャープレート6および第2ハウジング12に開口部C5aを形成することにより、第1または第2流体圧室A1,A2の圧力P1,P2を直接ソレノイドバルブ300により制御することができる。

    このように、ソレノイドバルブ300を吸入口INに隣接配置した場合であっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。 制御バルブ200と第1、第2流体圧室A1,A2との連通関係を適宜変更することにより、実施例2〜4の作用効果も得ることができる。

    以下、実施例5の変形例である。
    [実施例5−1]
    (ソレノイドバルブを駆動軸に垂直配置)
    (11)図16はソレノイドバルブ300を駆動軸2に対し垂直に配置した例であり、ポンプボディ10の外側に設けられ、吸入ポート62,121と、作動油を貯留するリザーバタンクと、を接続する吸入口INをさらに備え、ソレノイドバルブ300は駆動軸2に対し垂直に設けられていることとした。

    駆動軸2のy軸負方向側にはプーリが設けられ、このプーリは駆動軸2の径方向に広がる形状となっているため、径方向にソレノイドバルブ300を設けることにより装置全体の小型化を図ることができる。 径方向には元々スペースをとっているため、y軸方向に拡大することを抑制できる。

    [制御バルブ省略]
    実施例6につき図17に基づき説明する。 基本構成は実施例1〜5と同様であるが、実施例6では制御バルブ200を省略した点で異なる。

    [ソレノイドバルブによる吸入・吐出圧の切り換え]
    図17は実施例6におけるベーンポンプ1の径方向断面図である。 ソレノイドバルブ300'は吸入口側連通路C8によって吸入ポート62,121と接続する。 また、アダプタリング5に設けられた第1流体圧室連通孔52、および第1ハウジング11に設けられた第1流体圧室側連通路C7によってソレノイドバルブ300'は第1流体圧室A1と接続される。 さらに、吐出口側連通路C9を介してソレノイドバルブ300'は吐出口OUTとも接続される。

    したがって、ソレノイドバルブ300'は第1流体圧室側連通路C7、吸入口側連通路C8、吐出口側連通路C9からなる連通孔C上に設けられる。

    一方、第2流体圧室A2は高圧通路26および第2流体圧室連通孔54を介して吐出口OUTと接続し、常時吐出圧Poutが導入される。

    ソレノイドバルブ300'はスプール320'、スプリング330'、ロッド340、プランジャ350、コイル360を有する。 実施例1〜5と異なり、スリーブ310は省略される。

    スプール320'は円筒部材であり、バルブ収装孔117'において液密を保ったまま軸方向摺動可能に収装されている。 スプール320'とバルブ収装孔117'のy軸負方向端面117b'の間隙に第5油室D5'が形成され、スプリング330'が設けられる。 スプリング330'は、バルブ収装孔117'のy軸正方向端面117a'にy軸正方向側を係止されてスプール320'をy軸負方向に付勢する。

    バルブ収装孔117'のy軸負方向端面117b'とスプール320のy軸負方向端面321'とが離間することで第4油室D4'が形成され、この第4油室D4'に吸入ポート62,121と接続する吸入口側連通路C8が開口する。 この吸入口側連通路C8の開口部C8aは常時第4油室D4'に開口し、スプール320'が移動した際にも閉塞されないよう設けられている。

    また、吸入口側連通路C8の開口部C8aのy軸正方向側には、第1流体圧室側連通路C7の開口部C7aが設けられ、さらにy軸正方向側には吐出口OUTと接続する吐出口側連通路C9の開口部C9aが設けられている。 加えてスプール320'の外周部322'には全周にわたって溝323'が設けられている。

    スプール320'がy軸負方向側に移動すると、溝323'によって第1流体圧室側連通路C7の開口部C7aと吸入口側連通路C8の開口部C8aが連通し、スプール320'がy軸正方向側に移動すると溝323'は開口部C7aと吐出口側連通路C9の開口部C9aとを連通する。 吸入口側連通路C8の開口部C8aと吐出口側連通路C9の開口部C9aとは、互いに連通することはない。

    したがってスプール320'は、y軸方向移動することにより第1流体圧室側連通路C7と吸入口側連通路C8、または第1流体圧室側連通路C7と吐出口側連通路C9とを連通し、第1流体圧室A1と吸入ポート62,121または吐出口OUTとの連通を行う。

    また、スプール320'にはy軸方向の貫通孔324'が設けられ、第4油室D4'と第5油室D5'を連通し、第4油室D4'に供給される吸入圧Pinを第5油室D5'に導入する。 したがってスプール320'にはy軸両側から吸入圧Pinが作用する。 また、吐出圧Poutは溝323'においてのみスプール320'に作用ため、y軸方向に対し吸入圧Pinおよび吐出圧Poutは互いにキャンセルされる。

    したがって、スプール320'のy軸方向に作用する吸入圧Pinおよび吐出圧Poutはキャンセルされてスプール320'のy軸方向移動に影響を与えない。 したがってソレノイドSOLの励磁力はスプリング330'に抗するものであればよく、必要以上に大きな励磁力を発生させなくともよいため、ソレノイドSOLを小型化することが可能である。

    ソレノイドバルブ300'は、コイル360の励磁力によりアーマチュア350を駆動し、ロッド340を介してスプール320'をy軸方向摺動させ、第1流体圧室A1と吸入ポート62,121または吐出口OUTとを選択的に切り換えるものである。

    第2流体圧室A2には吐出圧Poutが常時導入されており、ソレノイドバルブ300'により第1流体圧室A1に吐出圧Poutまたは吸入圧Pinを選択的に導入することで、カムリング4の揺動量を調整する。

    [実施例6の効果]
    (16)ソレノイドバルブ300は、吐出圧Poutおよび吸入圧inを選択的に切り換えることとした。 ソレノイドバルブ300が制御する第1、第2流体圧室A1,A2の圧力P1,P2の増圧、減圧がともに可能となり、圧力調整幅を大きくとることができる。

    (17)ソレノイドバルブ300は、第1流体圧室A1の圧力を制御することとした。 これにより、運転状態に基づき吐出流量を増加または減少させることができる。

    以下、実施例6の変形例である。 実施例6−1〜実施例6−5においても、吸入圧Pinはスプール320'のy軸両側に作用し、吐出圧Poutは溝323'のみに作用して互いにキャンセルされる。 このためソレノイドSOLの励磁力は、スプリング330'の付勢力に打ち勝つだけの小さいものでよい。
    [実施例6−1]
    図18は、吸入口INおよび吐出口OUTの位置を変更した例である。 実施例6と同様の作用効果が得られる。

    [実施例6−2]
    (第2流体圧室に吸入圧導入)
    図19は、実施例6−1を基本として第2流体圧室A2に吸入圧Pinを供給する例である。 第1ハウジング11に高圧通路26'を設け、第2流体圧室A2と吸入口INとを接続する。 作用効果は実施例6と同様である。

    [実施例6−3]
    (第2流体圧室をソレノイドバルブで制御)
    図20は、実施例6−1において第1流体圧室A1のかわりに第2流体圧室A2をソレノイドバルブ300'に接続した例である。

    第1流体圧室A1は吐出口側連通路C8'によって吐出口OUTと接続され、第2流体圧室A2は第2流体圧室側連通路C7'および第2流体圧室連通孔54によってソレノイドバルブ300'と接続する。 油路21'にはオリフィス8が設けられる。 これにより吸入圧Pinと吐出圧Poutが選択的に第2流体圧室A2に導入される。 実施例6−1と異なり、ソレノイドバルブ300'は第1ハウジング11のy軸正方向側に設けられている。

    (18)ソレノイドバルブ300は、第2流体圧室A2の圧力を制御することとした。 これにより、運転状態に基づき吐出流量を増加または減少させることができる。

    [実施例6−4]
    (第1流体圧室に吸入圧導入)
    図21は、実施例6−3を基本として第1流体圧室A1に吸入圧Pinを供給する例である。 吸入口側連通路C8''によって第1流体圧室A1と吸入口INとを連通する。 作用効果は実施例6−3と同様である。

    [実施例6−5]
    (第3流体圧室をソレノイドバルブで制御)
    図22は、実施例3(第3流体圧室A3の圧力P3をソレノイドバルブ300で制御)において制御バルブ200を省略した例である。

    プラグ部材70と蓋部材72との間には第3流体圧室A3が形成されており、ソレノイドバルブ300'は第3流体圧室側連通路C3'によって第3流体圧室A3と接続し、吐出口側連通路C9'によって吐出口OUTと接続する。 また、吸入口側連通路C8''によって吸入口INとも接続する。 これにより、ソレノイドバルブ300'によって第3流体圧室A3に吸入圧Pinと吐出圧Poutを選択的に供給する。

    (19)第2流体圧室A2側に設けられた第3流体圧室A3と、第2流体圧室A2と、を隔成するプラグ部材70をさらに備え、連通路Cは、第3流体圧室A3に連通し、ソレノイドバルブ300は、連通路Cに設けられて第3流体圧室A3の圧力を制御することとした。 これにより、運転状態に基づき吐出流量を増加または減少させることができる。

    [他の実施例]
    以上、本発明を実施するための最良の形態を各実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。

    実施例1におけるベーンポンプの軸方向断面図である。

    実施例1におけるベーンポンプの径方向断面図(最大揺動時)である。

    実施例1における制御バルブの拡大断面図である。

    実施例1におけるソレノイドバルブの拡大断面図である。

    実施例1−1(第1流体圧室とソレノイドバルブを直接連通)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例1−2(ソレノイドバルブを介して第1流体圧室に吐出圧を導入)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例2(第1流体圧室とソレノイドバルブを直接連通)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例2−1(ソレノイドバルブを介して第1流体圧室に吐出圧を導入)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例3(第3流体圧室を減圧制御)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例3−1(第3流体圧室を増圧制御)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例4(ソレノイドバルブを吸入口に接続)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例4−1(ソレノイドバルブを吐出口に接続)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例5(ソレノイドバルブを吸入口に隣接配置)におけるベーンポンプの軸方向断面図である。

    実施例5におけるベーンポンプの径方向断面図(偏心量最大)である。

    実施例5におけるベーンポンプの径方向断面図(偏心量最小)である。

    実施例5−1(ソレノイドバルブを駆動軸に垂直配置)におけるベーンポンプの軸方向断面図である。

    実施例6(制御バルブ省略)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例6−1(吸入、吐出口の位置変更)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例6−2(第2流体圧室に吸入圧導入)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例6−3(第2流体圧室をソレノイドバルブで制御)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例6−4(第1流体圧室に吸入圧導入)におけるベーンポンプの径方向断面図である。

    実施例6−5(第3流体圧室をソレノイドバルブで制御)におけるベーンポンプの軸方向断面図である。

    符号の説明

    1 ベーンポンプ2 駆動軸3 ロータ4 カムリング5 アダプタリング6 プレッシャープレート8 オリフィス9 高圧導入溝10 ポンプボディ11,12 第1、第2ハウジング21〜26 油路30 ソレノイドバルブ31 スロット32 ベーン33 背圧室40 ピン41 カムリング内周面50 シール部材51 径方向貫通孔52 連通孔53 内周面54 流体圧室連通孔61 軸正方向側面62,121 吸入ポート63,122 吐出ポート64,124 背圧導入溝65 吸入圧導入溝70 プラグ部材71 スプリング72 蓋部材73 底部74 外周111 底部112 ポンプ要素収容部113 油路113a 開口部114 プラグ部材挿入孔115 バルブ収装孔117 バルブ収装孔120 x軸負方向側面200 制御バルブ210 弁体211 内周212 外周213,214 第1、第2摺動部215 凹部216 径方向孔217 底部220 リリーフバルブ221 弁座221a y軸方向貫通孔222 ボール弁223 スプリング係止部224 リリーフバルブスプリング230 弁体付勢スプリング300 ソレノイドバルブ310 スリーブ311 スリーブ底部312 外周部313 溝314 径方向孔315 軸方向貫通孔320 スプール321 凹部322 y軸方向貫通孔323 径方向孔324 y軸負方向端面330 スプリング340 ロッド341 y軸正方向端部350 アーマチュア350 プランジャ360 コイルA1〜A3 第1〜第3流体圧室B ポンプ室C1〜C9 連通路D1〜D4 第1〜第4油室IN 吸入口OUT 吐出口

    QQ群二维码
    意见反馈