ギヤポンプ装置

申请号 JP2015091645 申请日 2015-04-28 公开(公告)号 JP6311644B2 公开(公告)日 2018-04-18
申请人 株式会社SOKEN; 株式会社アドヴィックス; 发明人 羽柴 隆志; 袴田 尚樹; 永沼 貴寛; 川端 倫明;
摘要
权利要求

内歯部を有するアウターロータ(19a、39a)および前記アウターロータと複数の空隙部(19c、39c)を形成しつつ噛み合わされるインナーロータ(19b、39b)を有し、前記インナーロータの中心孔(71a)に挿通される軸(54)の回転に基づいて前記アウターロータおよび前記インナーロータが回転させられることで流体の吸入吐出動作を行うギヤポンプ(19、39)と、 前記ギヤポンプが収容される収容部(100a、100b)を形成するケース(71、72、101)と、 前記ケースと前記ギヤポンプにおけるポンプ軸方向端面の一方との間に配設される機構であって、前記ギヤポンプのうち前記流体を吸入する吸入側および前記軸の周りを含む低圧側と前記流体が吐出される吐出側および前記アウターロータの外周と前記ケースとの間の隙間の一部を含む高圧側とを区画するシール機構(111、115)とを備え、 前記シール機構の押し付けに基づいて前記ギヤポンプにおけるポンプ軸方向端面の他方の端面が前記ケースの摺動面(71b、71c)に当接されることで、当該端面での前記ギヤポンプの低圧側と高圧側との間がシールされるギヤポンプ装置において、 前記摺動面には、前記ギヤポンプの中心から放射状に伸びる筋によって構成され、前記高圧側となる前記アウターロータの外周と前記ケースとの間の隙間の流体が導入される流体導入溝(71f)を有し、 前記流体導入溝は、前記中心孔および前記吸入側から離間させられていることを特徴とするギヤポンプ装置。前記流体導入溝は、前記複数の空隙部のうち体積が最大となる閉じ込み部(19d、39d)が位置する範囲には形成されていないことを特徴とする請求項1に記載のギヤポンプ装置。前記流体導入溝は、前記複数の空隙部のうち前記吸入側に連通させられて低圧状態となるものと連通し得る場所に形成された部分を低圧部(71fa)とし、高圧状態となる前記アウターロータの外周と前記ケースとの間の隙間と連通する場所を高圧部(71fb)として、前記低圧部と前記高圧部とが分離されていることを特徴とする請求項1または2に記載のギヤポンプ装置。前記流体導入溝は、放射状の曲線によって構成され、該流体導入溝それぞれの両端よりも該両端の間に位置する中間位置の方が前記ギヤポンプの回転方向の前方に位置していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のギヤポンプ装置。前記流体導入溝は、前記ギヤポンプの中心位置に仮想円(C)を設定し、該仮想円の接線方向に伸びる放射状とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のギヤポンプ装置。前記流体導入溝は、該流体導入溝のうち前記ギヤポンプの内周側の端部の方が外周側の端部よりも前記ギヤポンプの回転方向の前方に位置するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のギヤポンプ装置。

说明书全文

本発明は、ギヤの噛み合いによって流体を圧送するトロコイドポンプなどのギヤポンプ装置に関するものである。

従来より、ギヤポンプ装置において、ギヤポンプの軸方向の両端面共に樹脂などで形成されるシール部材を用いたシール方法を採用することはコストアップの要因となることから、一方をメカニカルシールとしてコスト削減を図る構造が提案されている。具体的には、ギヤポンプに備えられるインナーロータおよびアウターロータの一端面側のみをシール部材にてシールし、他端面側は各ロータが収容されるケースの摺動面に各ロータを直接押し当てるメカニカルシールとしている。

このメカニカルシールは金属製のインナーロータ及びアウターロータを金属製のケースにシール部材の弾性や高圧流体の圧力に基づいて強く押し当ててシールする構造である。よって、アウターロータ、インナーロータ、およびケースの摺動面の損失トルクが大きいとポンプ吐出能力に影響を与え、モータ体格を大きくしなければならない等の弊害を生じる。また、アウターロータ、インナーロータとケース間の摺動面において回転の損失トルクが大きい部分と小さい部分とが生じる場合、ポンプの高速あるいは長時間の回転に伴って損失トルクが大きい部分で発熱を生じる。この発熱部分が膨張することによるポンプ吐出能力への弊害も考えられる。

そこで、特許文献1において、これらの課題に対応したギヤポンプ装置が提案されている。具体的には、ケースのうちのメカニカルシール機能を担う摺動面に、放射状の研磨筋を施している。これにより、ケースの摺動面と両ロータとの接触面積を減少させられ、摩擦係数を減少させるため、摺動面への油の供給が促進される。これにより、損失トルクの低減を測ることが可能となるようにしている。

特開2003−129964号公報

しかしながら、特許文献1に記載されたギヤポンプ装置では、ケースの摺動面において、アウターロータよりも外側からシャフトが配置されるインナーロータよりも内側にかけて全面に放射状の研磨筋を設けている。このため、アウターロータよりも外側の高圧領域とインナーロータよりも内側の低圧領域とが研磨筋を介して連通し、高圧領域から高圧流体が低圧領域側に洩れてしまう。これにより、シール部材の弾性力に対して、高圧領域の高圧流体によってケースの摺動面側から両ロータ側に向けて押し返す押し返し効果が十分に得られず、損失トルクの低減効果が低下するという問題がある。

本発明は上記点に鑑みて、ケースの摺動面側から両ロータ側に向けて押し返す押し返し効果を向上させ、損失トルクの更なる低減を行うことができるギヤポンプ装置を提供する。

上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内歯部を有するアウターロータ(19a、39a)およびアウターロータと複数の空隙部(19c、39c)を形成しつつ噛み合わされるインナーロータ(19b、39b)を有し、インナーロータの中心孔(71a)に挿通される軸(54)の回転に基づいてアウターロータおよびインナーロータが回転させられることで流体の吸入吐出動作を行うギヤポンプ(19、39)と、ギヤポンプが収容される収容部(100a、100b)を形成するケース(71、72、101)と、ケースとギヤポンプにおけるポンプ軸方向端面の一方との間に配設される機構であって、ギヤポンプのうち流体を吸入する吸入側および軸の周りを含む低圧側と流体が吐出される吐出側およびアウターロータの外周とケースとの間の隙間の一部を含む高圧側とを区画するシール機構(111、115)とを備え、シール機構の押し付け力に基づいてギヤポンプにおけるポンプ軸方向端面の他方の端面がケースの摺動面(71b、71c)に当接されることで、当該端面でのギヤポンプの低圧側と高圧側との間がシールされるギヤポンプ装置において、摺動面には、ギヤポンプの中心から放射状に伸びる筋によって構成され、高圧側となるアウターロータの外周とケースとの間の隙間の流体が導入される流体導入溝(71f)を有し、流体導入溝は、中心孔および吸入側から離間させられていることを特徴としている。

このような構成の流体導入溝を形成した場合、流体導入溝が高圧な吐出圧とされる外周高圧領域と連通させられていることから、流体導入溝内に高圧な流体が導入される。このため、高圧な流体に基づいてギヤポンプを押し返す押し返し効果を得ることができる。そして、流体導入溝を外周高圧領域に連通させていても、低圧領域となる各部には連通させていない。このため、流体導入溝内を高圧に保つことができ、押し返し効果が低減することを抑制できる。したがって、損失トルクの低減効果の低下を防ぐことができ、損失トルクの更なる低減を行うことが可能となる。

なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。

本発明の第1実施形態にかかるギヤポンプ装置を適用した車両用ブレーキ装置1の油圧回路を示す図である。

ギヤポンプ装置の断面図である。

図2のIII−III'断面図である。

ギヤポンプ19もしくはギヤポンプ39側から見たときのシリンダ71を示した図である。

シリンダ71に形成される研磨筋71fとシリンダ71の摺動面71b、71cなどでの圧力分布との関係を示した図である。

本発明の第2実施形態にかかるギヤポンプ装置に備えられるギヤポンプ19もしくはギヤポンプ39側から見たときのシリンダ71を示した図である。

シリンダ71に形成される研磨筋71fとシリンダ71の摺動面71b、71cなどでの圧力分布との関係を示した図である。

ギヤポンプ装置における吐出圧領域Ra、吸入圧領域Rbおよび中間圧領域Rcを示した図である。

ギヤポンプ19、39とシリンダ71の摺動面71b、71cとの間における圧力分布を示した図である。

本発明の第3実施形態にかかるギヤポンプ装置に備えられるギヤポンプ19もしくはギヤポンプ39側から見たときのシリンダ71を示した図である。

本発明の第4実施形態にかかるギヤポンプ装置に備えられるギヤポンプ19もしくはギヤポンプ39側から見たときのシリンダ71を示した図である。

以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。

(第1実施形態) 本発明の一実施形態にかかるギヤポンプ装置を適用した車両用ブレーキ装置1の油圧回路について、図1を参照して説明する。なお、ここでは前後配管の油圧回路を構成する車両に本発明にかかる車両用ブレーキ装置1を適用した例について説明するが、右前輪と左後輪を第1配管系統、左前輪と右後輪を第2配管系統とするX配管などにも適用可能である。

図1に示されるように、車両用ブレーキ装置1には、ブレーキペダル11と、倍力装置12と、M/C13と、W/C14、15、34、35と、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50とが備えられている。また、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50にはブレーキECU70が組み付けられ、このブレーキECU70にて、車両用ブレーキ装置1が発生させる制動力を制御している。

ブレーキペダル11は、倍力装置12およびM/C13に接続されており、ドライバがブレーキペダル11を踏み込むと、倍力装置12にて踏力が倍力され、M/C13に配設されたマスタピストン13a、13bを押圧する。これにより、マスタピストン13a、13bによって区画されるプライマリ室13cとセカンダリ室13dとに同圧のM/C圧が発生させられる。このM/C13に発生させられるM/C圧が、液圧経路を構成するブレーキ液圧制御用アクチュエータ50を通じて各W/C14、15、34、35に伝えられる。

また、M/C13には、プライマリ室13cおよびセカンダリ室13dそれぞれと連通された通路を有するマスタリザーバ13eが接続されている。マスタリザーバ13eは、M/C13内にブレーキ液を供給したり、M/C13内の余剰のブレーキ液を貯留したりする。

ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50は、第1配管系統50aと第2配管系統50bとを有している。第1配管系統50aは、右後輪RRと左後輪RLに加えられるブレーキ液圧を制御するリア系統、第2配管系統50bは、左前輪FLと右前輪FRに加えられるブレーキ液圧を制御するフロント系統とされる。

以下、第1、第2配管系統50a、50bについて説明するが、第1配管系統50aと第2配管系統50bとは、略同様の構成であるため、ここでは第1配管系統50aについて説明し、第2配管系統50bについては第1配管系統50aを参照する。

第1配管系統50aは、上述したM/C圧を左後輪RLに備えられたW/C14および右後輪RRに備えられたW/C15に伝達し、W/C圧を発生させる主管路となる管路Aを備えている。この管路Aを通じて各W/C14、15それぞれにW/C圧が発生させられることで、制動力が発生させられる。

管路Aには、連通状態と差圧状態に制御できる差圧制御弁16が備えられている。この差圧制御弁16は、ドライバによるブレーキペダル11の操作に対応した制動力を発生させる通常ブレーキ時(運動制御が実行されていない時)には連通状態となるように弁位置が調整されている。そして、差圧制御弁16は、差圧制御弁16に備えられるソレノイドコイルに電流が流されると、この電流値が大きいほど大きな差圧状態となるように弁位置が調整される。この差圧制御弁16が差圧状態とされていると、W/C圧がM/C圧よりも差圧量分高くなるようにブレーキ液の流動が規制される。

管路Aは、この差圧制御弁16よりも下流になるW/C14、15側において、2つの管路A1、A2に分岐する。管路A1にはW/C14へのブレーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁17が備えられ、管路A2にはW/C15へのブレーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁18が備えられている。

増圧制御弁17、18は、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成されている。増圧制御弁17、18は、増圧制御弁17、18に備えられるソレノイドコイルに制御電流が流されない非通電時には連通状態、ソレノイドコイルに制御電流が流される通電時には遮断状態に制御されるノーマルオープン型とされている。

管路Aにおける増圧制御弁17、18および各W/C14、15の間と調圧リザーバ20とを結ぶ減圧管路としての管路Bには、減圧制御弁21と減圧制御弁22とがそれぞれ配設されている。これら減圧制御弁21、22は、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成され、非通電時に遮断状態となるノーマルクローズ型とされている。

調圧リザーバ20と管路Aとの間には、還流管路となる管路Cが配設されている。この管路Cには調圧リザーバ20からM/C13側あるいはW/C14、15側に向けてブレーキ液を吸入吐出するように、モータ60によって駆動される自吸式のギヤポンプ19が設けられている。

そして、調圧リザーバ20とM/C13の間には補助管路となる管路Dが設けられている。この管路Dを通じ、ギヤポンプ19にてM/C13からブレーキ液を吸入し、管路Aに吐出することで、横滑り防止制御やトラクション制御などの運動制御時において、W/C14、15側にブレーキ液を供給し、制御対象輪のW/C圧を加圧する。

一方、上述したように、第2配管系統50bは、第1配管系統50aにおける構成と略同様となっている。具体的には、差圧制御弁16は、差圧制御弁36に対応する。増圧制御弁17、18は、それぞれ増圧制御弁37、38に対応し、減圧制御弁21、22は、それぞれ減圧制御弁41、42に対応する。調圧リザーバ20は、調圧リザーバ40に対応する。ギヤポンプ19は、ギヤポンプ39に対応する。また、管路A、管路B、管路C、管路Dは、それぞれ管路E、管路F、管路G、管路Hに対応する。以上のようにして、車両用ブレーキ装置1の液圧回路が構成されており、ギヤポンプ装置は、これらのうちのギヤポンプ19、39を一体化したものである。ギヤポンプ装置の詳細構造については後述する。

ブレーキECU70は、車両用ブレーキ装置1の制御系を司るもので、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成される。ブレーキECU70は、ROMなどに記憶されたプログラムに従って各種演算などの処理を実行し、横滑り防止制御等の車両運動制御を実行する。具体的には、ブレーキECU70は、図示しないセンサ類の検出に基づいて各種物理量を演算し、その演算結果に基づいて車両運動制御を実行するか否かを判定する。そして、ブレーキECU70は、車両運動制御を実行する際には、制御対象輪に対する制御量、すなわち制御対象輪のW/Cに発生させるW/C圧を求める。その結果に基づいて、ブレーキECU70が各制御弁16〜18、21、22、36〜38、41、42およびギヤポンプ19、39を駆動するためのモータ60を制御することで、制御対象輪のW/C圧が制御され、車両運動制御が行われる。

例えば、トラクション制御や横滑り防止制御のようにM/C13に圧力が発生させられていないときには、ギヤポンプ19、39を駆動すると共に、差圧制御弁16、36を差圧状態にする。これにより、管路D、Hを通じてブレーキ液を差圧制御弁16、36の下流側、つまりW/C14、15、34、35側に供給する。そして、増圧制御弁17、18、37、38や減圧制御弁21、22、41、42を適宜制御することで制御対象輪のW/C圧の増減圧を制御し、W/C圧が所望の制御量となるように制御する。

また、アンチスキッド(ABS)制御時には、増圧制御弁17、18、37、38や減圧制御弁21、22、41、42を適宜制御すると共に、ギヤポンプ19、39を駆動することでW/C圧の増減圧を制御し、W/C圧が所望の制御量となるように制御する。

次に、上記のように構成される車両用ブレーキ装置1におけるギヤポンプ装置の詳細構造について、図2〜図5を参照して説明する。なお、図2は、ポンプ本体100をブレーキ液圧制御用アクチュエータ50のハウジング101に組付けたときの様子を示してあり、例えば、図2および図3の紙面上下方向が車両天地方向となるように組付けられる。

上述したように、車両用ブレーキ装置1は、第1配管系統50aと第2配管系統50bの2系統から構成されている。このため、ポンプ本体100には第1配管系統50a用のギヤポンプ19と、第2配管系統50b用のギヤポンプ39の2つが備えられている。

ポンプ本体100に内蔵されるギヤポンプ19、39は、モータ60が第1ベアリング51および第2ベアリング52で支持された回転軸54を回転させることによって駆動される。ポンプ本体100の外形は、アルミニウム製のシリンダ71およびプラグ72によって構成されている。第1ベアリング51はシリンダ71に配置され、第2ベアリング52はプラグ72に配置されている。

シリンダ71とプラグ72が同軸的に配置された状態でシリンダ71の一端側がプラグ72に対して圧入されることで一体化され、ポンプ本体100の外形が構成されている。そして、シリンダ71やプラグ72と共にギヤポンプ19、39や各種シール部材等が備えられることによりポンプ本体100が構成されている。

このようにして一体構造のポンプ本体100が構成されている。この一体構造とされたポンプ本体100が、アルミニウム製のハウジング101に形成された略円筒形状の凹部101a内に紙面右方向から挿入されている。そして、凹部101aの入口に掘られた雌ネジ溝101bにリング状の雄ネジ部材(スクリュー)102がネジ締めされて、ポンプ本体100がハウジング101に固定されている。この雄ネジ部材102のネジ締めによってポンプ本体100がハウジング101から抜けない構造とされている。

このようにポンプ本体100がハウジング101に固定されることでギヤポンプ装置が構成されている。そして、シリンダ71、プラグ72およびハウジング101によってギヤポンプ装置のケースが構成され、このケースの内部にギヤポンプ19、39が収容されている。

なお、本明細書では、このポンプ本体100のハウジング101の凹部101aへの挿入方向のことを単に挿入方向という。また、ポンプ本体100や各ギヤポンプ19、39の軸方向および周方向、換言すると回転軸54の軸方向や周方向と一致するポンプ軸方向やポンプ軸周方向を単に軸方向や周方向という。

凹部101aにおける挿入方向前方の先端位置、つまり凹部101aの底部のうち回転軸54の先端(図2における左側端部)と対応する位置において、円形状の第2の凹部101cが形成されている。この第2の凹部101cの径は、回転軸54の径よりも大きくされ、この第2の凹部101c内に回転軸54の先端が位置し、回転軸54がハウジング101と接触しないようにされている。

シリンダ71およびプラグ72には、それぞれ、中心孔71a、72aが備えられている。これら中心孔71a、72a内に回転軸54が挿入され、シリンダ71における中心孔71aの内周に固定された第1ベアリング51とプラグ72における中心孔72aの内周に固定された第2ベアリング52にて支持されている。

第1ベアリング51の両側、つまり第1ベアリング51よりも挿入方向前方の領域と第1、第2ベアリング51、52に挟まれた領域それぞれに、ギヤポンプ19、39が備えられている。

図3に示すように、ギヤポンプ19は、シリンダ71の一端面を円形状に凹ませた凹部にて構成されるロータ室(収容部)100a内に配置されている。ギヤポンプ19は、ロータ室100a内に挿通された回転軸54によって駆動される内接型ギヤポンプ(トロコイドポンプ)で構成されている。

具体的には、ギヤポンプ19は、内周に内歯部が形成されたアウターロータ19aと外周に外歯部が形成されたインナーロータ19bとからなる回転部を備えており、インナーロータ19bの中心孔19baに回転軸54が挿入された構成となっている。そして、回転軸54に形成された穴54a内にキー54bが嵌入されており、このキー54bによってインナーロータ19bへのトルク伝達がなされる。

アウターロータ19aとインナーロータ19bは、それぞれに形成された内歯部と外歯部とが噛み合わさって複数の空隙部19cを形成している。そして、回転軸54の回転によって空隙部19cが大小変化することで、ブレーキ液の吸入吐出が行われる。

一方、図2に示すように、ギヤポンプ39は、シリンダ71のもう一方の端面を円形状に凹ませた凹部にて構成されるロータ室(収容部)100b内に配置されており、ロータ室100b内に挿通される回転軸54にて駆動される。ギヤポンプ39も、ギヤポンプ19と同様にアウターロータ39aおよびインナーロータ39bを備え、インナーロータ39bの中心孔39ba内に回転軸54が挿入された構成となっている。そして、各ロータ39a、39bの両歯部が噛み合わさって形成される複数の空隙部39cにてブレーキ液の吸入吐出を行う内接型ギヤポンプで構成されている。このギヤポンプ39は、回転軸54を中心としてギヤポンプ19をほぼ180°回転させた配置となっている。このように配置することで、ギヤポンプ19、39のそれぞれの吸入側の空隙部19c、39cと吐出側の空隙部19c、39cとが回転軸54を中心として対称位置となるようにし、吐出側における高圧なブレーキ液圧が第1ベアリング51に与える力を相殺できるようにしている。

これらギヤポンプ19、39は、基本的には同じ構造となっている。そして、本実施形態では、このようなギヤポンプ19、39のケースの一部を構成しているシリンダ71のうちの摺動面71b、71cに形成される研磨筋71f(図4、図5参照)の構成を従来に対して変更している。これによって、損失トルクの低減を図るようにしている。この研磨筋71fの構造の詳細については後で説明する。

また、シリンダ71の一端面側において、ギヤポンプ19を挟んでシリンダ71と反対側、つまりシリンダ71およびギヤポンプ19とハウジング101との間には、ギヤポンプ19をシリンダ71側に押圧するシール機構111が備えられている。さらに、シリンダ71のもう一方の端面側において、ギヤポンプ39を挟んでシリンダ71と反対側、つまりシリンダ71およびギヤポンプ39とプラグ72との間には、ギヤポンプ39をシリンダ71側に押圧するシール機構115が備えられている。

シール機構111は、回転軸54が挿入される中空部を有するリング状部材で構成されている。このシール機構111にて、アウターロータ19aおよびインナーロータ19bをシリンダ71側に押圧することにより、ギヤポンプ19のうちの一端面側での比較的低圧な部位と比較的高圧な部位とをシールしている。具体的には、シール機構111は、ハウジング101の外郭となる凹部101aの底面およびアウターロータ19aやインナーロータ19bの所望位置と当接することでシール機能を発揮している。

本実施形態の場合、シール機構111は、中空枠形状とされた内側部材112と環状ゴム部材113および中空枠形状とされた外側部材114とを有した構成とされている。そして、内側部材112の外周壁と外側部材114の内周壁との間に環状ゴム部材113を配した状態で外側部材114内に内側部材112を嵌め込んだ構成とされる。

また、シール機構111の外径は、少なくとも図2の紙面上方においてハウジング101の凹部101aの内径よりも小さくされている。このため、紙面上方におけるシール機構111とハウジング101の凹部101aとの間の隙間を通じてブレーキ液が流動できる構成とされている。この隙間が吐出室80を構成しており、ハウジング101の凹部101aの底部に形成された吐出用管路90に接続されている。このような構造により、ギヤポンプ19は、吐出室80および吐出用管路90を吐出経路としてブレーキ液を排出することができる。そして、ポンプ19の動作時には、高圧な吐出側のブレーキ液圧によって外側部材114がギヤポンプ19側に押圧され、よりシール機構111によるギヤポンプ19の一方の端面のシール性が確保されるようになっている。

さらに、シリンダ71には、ギヤポンプ19の吸入側の空隙部19cと連通する吸入口81が形成されている。この吸入口81は、シリンダ71のうちギヤポンプ19側の端面から外周面に至るように延設されており、ハウジング101の凹部101aの側面に設けられた吸入用管路91に接続されている。また、図2および図4に示すように、シリンダ71のうちギヤポンプ19側の端面には、中心孔71aと吸入口81とを連通させる吸入溝71dが形成されている。このような構造により、ギヤポンプ19は、吸入用管路91および吸入口81を吸入経路としてブレーキ液を導入することができる。

一方、シール機構115も、回転軸54が挿入される中心部を有するリング状部材で構成されている。このシール機構115にて、アウターロータ39aおよびインナーロータ39bをシリンダ71側に押圧することにより、ギヤポンプ39のうちの一端面側での比較的低圧な部位と比較的高圧な部位とをシールしている。具体的には、シール機構115は、プラグ72のうちシール機構115が収容される部分の端面およびアウターロータ39aやインナーロータ39bの所望位置と当接することでシール機能を発揮している。

シール機構115も、中空枠形状とされた内側部材116と環状ゴム部材117および中空枠形状とされた外側部材118とを有した構成とされている。そして、内側部材116の外周壁と外側部材118の内周壁との間に環状ゴム部材117を配した状態で外側部材118内に内側部材116を嵌め込んだ構成とされる。

このシール機構115は、シール機構111と基本構造は同じ構造であるが、上記したシール機構111とシールを構成する面が反対側となっていることから、それに合わせて構造を変えてある。具体的には、シール機構115については、シール機構111に対する対称形状で構成してあり、回転軸54を中心としてシール機構111に対して180°位相をずらして配置してある。それ以外については、シール機構115は、シール機構111と同様の構造である。

なお、シール機構115の外径は、少なくとも紙面下方においてプラグ72の内径よりも小さくなっている。このため、紙面下方におけるシール機構115とプラグ72との間の隙間を通じてブレーキ液が流動できる構成とされている。この隙間が吐出室82を構成しており、プラグ72に形成された連通路72bおよびハウジング101の凹部101aの側面に形成された吐出用管路92に接続されている。このような構造により、ギヤポンプ39は、吐出室82や連通路72bおよび吐出用管路92を吐出経路としてブレーキ液を排出することができる。そして、ポンプ39の動作時には、高圧な吐出側のブレーキ液圧によって外側部材118がギヤポンプ39側に押圧され、よりシール機構115によるギヤポンプ39の一方の端面のシール性が確保されるようになっている。

一方、シリンダ71のうちギヤポンプ19、39側の端面がシール面としても機能する摺動面71b、71c、つまり各ロータ19a、19b、39a、39bが摺動させられる面にギヤポンプ19、39が当接することでシール(メカニカルシール)が為されている。これにより、ギヤポンプ19、39のうちの他端面側での比較的低圧な部位と比較的高圧な部位とをシールしている。

また、シリンダ71には、ギヤポンプ39の吸入側の空隙部39cと連通する吸入口83が形成されている。この吸入口83は、シリンダ71のうちギヤポンプ39側の端面から外周面に至るように延設されており、ハウジング101の凹部101aの側面に設けられた吸入用管路93に接続されている。このような構造により、ギヤポンプ39は、吸入用管路93および吸入口83を吸入経路としてブレーキ液を導入することができる。

なお、図2において、吸入用管路91および吐出用管路90が図1における管路Cに相当し、吸入用管路93および吐出用管路92が図1における管路Gに相当する。

また、シリンダ71の中心孔71aのうち第1ベアリング51よりも挿入方向後方には、径方向断面がU字状とされた環状樹脂部材120aと、環状樹脂部材120a内に嵌め込まれた環状ゴム部材120bとを備えたシール部材120が収容されている。このシール部材120により、シリンダ71の中心孔71a内での2系統の間のシールがなされている。

また、プラグ72の中心孔72aは、挿入方向前方から後方に向かって内径が三段階に縮径させられて段付き形状とされており、その最も挿入方向後方側となる一段目の段付部にシール部材121が収容されている。このシール部材121は、ゴムなどの弾性部材からなるリング状の弾性リング121aを、径方向を深さ方向とする溝部が形成されたリング状の樹脂部材121bに嵌め込んだものであり、弾性リング121aの弾性力によって樹脂部材121bが押圧されて回転軸54と接するようになっている。

なお、中心孔72aのうちシール部材121が配置された段の隣の段となる二段目の段付部には、上述したシール機構115が収容されている。上述した連通路72bは、この段付部からプラグ72の外周面に至るように形成されている。また、中心孔72aのうち最も挿入方向前方側となる三段目の段付部には、シリンダ71の挿入方向後方側の端部が圧入されている。シリンダ71のうちプラグ72の中心孔72a内に嵌め込まれる部分は、シリンダ71の他の部分よりも外径が縮小されている。このシリンダ71のうち外径が縮小されている部分の軸方向寸法が中心孔72aの三段目の段付部の軸方向寸法よりも大きくされているため、シリンダ71がプラグ72の中心孔72a内に圧入されたときに、プラグ72の先端位置にシリンダ71とプラグ72とによる溝部74cが形成されるようになっている。

さらに、プラグ72の中心孔72aは、挿入方向後方でも部分的に径が拡大されており、この部分にオイルシール(シール部材)122が備えられている。このように、シール部材121よりもモータ60側にオイルシール122を配置することで、基本的には、シール部材121によって中心孔72aを通じた外部へのブレーキ液洩れを防止し、オイルシール122により、より確実にその効果が得られるようにしている。

このように構成されたポンプ本体100の外周において、各部のシールを行うように環状シール部材としてのOリング73a〜73dが備えられている。これらOリング73a〜73dは、ハウジング101に形成された2系統の系統同士の間や各系統の吐出経路と吸入経路との間などにおけるブレーキ液をシールするものである。Oリング73aは吐出室80および吐出用管路90と吸入口81および吸入用管路91との間に配置されている。Oリング73bは吸入口81および吸入用管路91と吸入口83および吸入用管路93の間に配置されている。Oリング73cは吸入口83および吸入用管路93と吐出室82および吐出用管路92の間に配置されている。Oリング73dは吐出室82および吐出用管路92とハウジング101の外部の間に配置されている。Oリング73a、73c、73dは、回転軸54を中心として周方向を一周囲むように単に円形状に配置されているが、Oリング73bは、回転軸54を中心として周方向を囲んでいるものの軸方向にずらして配置されることで、回転軸54の軸方向において寸法縮小を可能にしている。

なお、Oリング73a〜73dが配置できるように、ポンプ本体100の外周には溝部74a〜74dが備えられている。溝部74a、74bは、シリンダ71の外周を部分的に凹ませることで形成されている。溝部74cは、シリンダ71の外周の凹ませた部分とプラグ72の先端部分によって形成されている。凹部74dは、プラグ72の外周を部分的に凹ませることで形成されている。このような各溝部74a〜74d内にOリング73a〜73dが嵌め込まれた状態でポンプ本体100をハウジング101の凹部101a内に挿入することで、各Oリング73a〜73dが凹部101aの内壁面に押し潰され、シールとして機能させられる。

さらに、プラグ72の外周面は、挿入方向後方において縮径され、段付き部を構成している。上記したリング状の雄ネジ部材102はこの縮径された部分に嵌装され、ポンプ本体100が固定されるようになっている。

以上のような構造によってギヤポンプ装置が構成されている。次に、上述したギヤポンプ19、39のケースの一部を構成しているシリンダ71の摺動面71b、71cの詳細構造について説明する。なお、摺動面71b、71cは同様の構成とされているため、図4および図5では摺動面71b、71cの両方が同じものであるとして図示してある。

シリンダ71のうちギヤポンプ19、39を挟んでシール機構111、115と反対側の端面により、図4および図5に示すような摺動面71b、71cが構成されている。具体的には、当該端面の中央位置に中心孔71aが形成されていると共に、中心孔71aを挟んだ両側に吸入口81、83および吐出室80、82と対応する位置に配置された吐出溝71eが形成されている。そして、当該端面における中心孔71a、吸入口81および吐出溝71e以外の部分が、ギヤポンプ19、39の駆動時に両ロータ19a、19b、39a、39bが摺動する摺動面71b、71cとされている。

摺動面は71b、71cには、流体導入溝を構成する研磨筋71fが形成されている。研磨筋71fは、例えば研磨加工によって形成される。本実施形態では、研磨筋71fは、ギヤポンプ19、39の中心から放射状に伸びるように複数本が形成されている。ここでは、ギヤポンプ19、39の中心を中心孔71aの中心としているが、中心孔71aに対して放射状に研磨筋71fが形成されていれば良く、特定の位置を中心として設定していなくても良い。

複数本の研磨筋71fは、それぞれ、ロータ室100a、100bのうちアウターロータ19a、39aよりも外側の部位(以下、外周高圧領域という)に連通させられている。そして、複数本の研磨筋71fは、外周高圧領域に連通させられた部分が低圧領域となる中心孔71aや吸入口81、83および吸入溝71dとは連通させられないようにされている。本実施形態の場合、複数本の研磨筋71fのうち内周側の端部が中心孔71aや吸入口81、83および吸入溝71dから離間させられている。

以上のようにして、シリンダ71の摺動面71b、71cに研磨筋71fが形成されている。

このような構成の研磨筋71fを形成した場合、研磨筋71fが高圧な吐出圧とされる外周高圧領域と連通させられていることから、研磨筋71f内に高圧なブレーキ液が導入される。このため、高圧なブレーキ液圧に基づいてギヤポンプ19、39を押し返す押し返し効果を得ることができる。そして、研磨筋71fを外周高圧領域に連通させていても、低圧領域となる各部には連通させていない。このため、研磨筋71f内を高圧に保つことができ、押し返し効果が低減することを抑制できる。したがって、損失トルクの低減効果の低下を防ぐことができ、損失トルクの更なる低減を行うことが可能となる。

(第2実施形態) 本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して研磨筋71fを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。

図6および図7に示すように、本実施形態では、研磨筋71fをギヤポンプ19、39の中心から放射状に伸びるように複数本が形成しつつ、研磨筋71fのうち低圧状態の空隙部19c、39cと連通し得る低圧部71faを、それよりも外周側の外周高圧領域と連通させられる高圧部71fbから分離している。

具体的には、ギヤポンプ19、39における各部の流体圧は図8のように示され、吐出圧が導入される高圧領域Ra、吸入圧が導入される低圧領域Rbおよびそれらの中間となる中間圧領域Rcが存在する。そして、ギヤポンプ19、39とシリンダ71の摺動面71b、71cとの間における圧力については図9のように示される。このため、図8および図9に示される圧力関係に基づき、低圧部71faは低圧領域Rbを含む範囲に形成され、高圧部71fbは低圧領域Rbには形成されないようにしている。

図8に示すように、吸入口81、83や吸入溝71dおよび中心孔71aは低圧となる。そして、空隙部19c、39cは、吸入口81、83や吸入溝71dと連通しているとき、さらにはそれらと連通してから体積が増加するまでの間には低圧状態となる。このため、研磨筋71fのうち低圧状態の空隙部19c、39cと連通し得る場所を低圧部71faとし、高圧状態のアウターロータ19a、39aの外周とシリンダ71との間の隙間と連通する場所を高圧部71fbとして、これらを分離している。

換言すれば、所定の領域では研磨筋71fを形成していない。具体的には、図6および図8に示すように、空隙部19c、39cのうち高圧領域Raの部位と低圧領域Rbの部位のいずれも連通しない中間圧領域Rcとなる閉じ込み部19d、39dが位置する範囲には研磨筋71fを形成していない。つまり、閉じ込み部19d、39dの通過軌跡の範囲には研磨筋71fを形成していない。また、空隙部19c、39cが低圧状態となる領域よりも外周側において空隙部19c、39cの移動軌跡に沿った範囲で研磨筋71fを形成していない。

ここでいう綴じ込み部19d、39dは、空隙部19c、39cのうち体積が最大となるときのものを意味している。具体的には、ギヤポンプ19、39の回転方向において、空隙部19c、39cは吸入口81、83と連通している部位から吐出室80、82に連通している部位に移動するまでの間に体積が最大となり、その最大となるときの空隙部19c、39cを閉じ込み部19d、39dと呼んでいる。

なお、空隙部19c、39cは、体積が最小となるときの閉じ込み部19e、39eもあるが、この閉じ込み部19e、39eについては研磨筋71fの低圧部71faと連通している。閉じ込み部19e、39eについては体積が小さいので、低圧部71faと連通したとしても圧力変動などの影響は少ない。このため、低圧部71faを閉じ込み部19e、39eに連通させているが、この領域についても研磨筋71fを備えないようにしても良い。

このように、吸入口81、83などの低圧領域Rbと連通させられる低圧部71faと吐出室80、82などの高圧領域Raに連通させられる高圧部71fbとを分離させるように研磨筋71fを構成しても良い。このようにすれば、より高圧領域から高圧流体が低圧領域側に洩れることを抑制できる。したがって、さらに損失トルクの低減効果の低下を防ぐことができ、損失トルクの更なる低減を行うことが可能となる。

(第3実施形態) 本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して研磨筋71fを変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。

図10に示すように、本実施形態では、研磨筋71fをギヤポンプ19、39の中心から伸びる放射状の曲線によって構成している。各研磨筋71fの低圧部71faや高圧部71fbは、両端部よりもその中間位置の方がギヤポンプ19、39の回転方向の前方に位置するようにしている。すなわち、低圧部71faや高圧部71fbを湾曲させて凸形状とし、凸部が回転方向の前方を向くようにしている。

このように、低圧部71faや高圧部71fbを放射状の曲線にて構成すると、ギヤポンプ19、39の回転の際に湾曲させられた部分が楔の役割を果たし、内部に導入されるブレーキ液が内周方向に流動することの妨げとなる。このため、研磨筋71f内のブレーキ液が高圧領域から低圧領域側に抜け難くなって、研磨筋71fの高圧状態を維持できる。これにより、さらに損失トルクの低減効果の低下を防ぐことができ、損失トルクの更なる低減を行うことが可能となる。

(第4実施形態) 本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して研磨筋71fを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。

図11に示すように、本実施形態では、ギヤポンプ19、39の中心位置に図中一点鎖線で示した仮想円Cを設定し、その仮想円Cの接線方向に伸びるように研磨筋71fを設けるようにしている。具体的には、研磨筋71fのうちギヤポンプ19、39の内周側の端部の方が外周側の端部よりも回転方向の前方に位置するように研磨筋71fが設けられている。仮想円Cの大きさについては任意であり、例えば中心孔71aの径以下とされる。

このように、研磨筋71fを仮想円Cに対する接線方向に延びるようなレイアウトとしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、研磨筋71fのうちギヤポンプ19、39の内周側の端部の方が外周側の端部よりも回転方向の前方に位置するように研磨筋71fを設けている。このため、ギヤポンプ19、39の回転運動に基づいて、外周側の端部より流入したブレーキ液が内周側の端部に流動させられ易くなる。したがって、研磨筋71fの全域において高圧状態を確保し易くなり、より第1実施形態に示した効果を得ることが可能となる。

(他の実施形態) 本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。

例えば、流体導入溝として放射状の研磨筋71fを備える例を挙げたが、研磨筋71f以外の溝によって流体導入溝を構成しても良い。例えば、レーザ加工によるレーザ加工溝によって流体導入溝を構成しても良い。レーザ加工溝とする場合、機械加工によって生じるようなバリが発生しないことから、バリによる影響を無くすことができる。また、レーザ加工の場合、加工面が奥まった位置にある場合でも加工可能であることから、流体導入溝の形成容易化を図ることも可能である。

また、上記各実施形態では、内接型ギヤポンプにて構成された2つのギヤポンプ19、39を有するギヤポンプ装置を例に挙げた。しかしながら、1つのギヤポンプのみが適用されるギヤポンプ装置であっても良い。また、上記各実施形態では、2つのギヤポンプ19、39を備えたギヤポンプ装置とし、各ギヤポンプ19、39の収容部(ロータ室100a、100b)を構成するケースをハウジング101やシリンダ71およびプラグ72によって構成している。しかしながら、これも一例を示したにすぎず、例えばポンプ本体100の外形を構成するもののみでケースが構成されていても良い。

また、シリンダ71の一端面に吸入溝71dを形成しているが、吸入溝71dを備えていない構造であっても良い。その場合、吸入溝71dが位置している部分にも研磨筋71fを形成すると好ましい。

100…ポンプ本体、101…ハウジング、101a…凹部、19、39…回転式ポンプ、19a、39a…アウターロータ、19b、39b…インナーロータ、54…回転軸、71…シリンダ、71a…中心孔、71b、71c…摺動面、71d…吸入溝、71e…吐出溝、71f…研磨筋、71fa…低圧部、71fb…高圧部、72…プラグ、80、82…吐出室、81、83…吸入口、90、92…吐出用管路、91、93…吸入用管路、111、115…シール機構

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