スクロール圧縮機

申请号 JP2014554084 申请日 2013-11-12 公开(公告)号 JP6277556B2 公开(公告)日 2018-02-14
申请人 パナソニックIPマネジメント株式会社; 发明人 作田 淳; 山田 定幸; 尾形 雄司; 今井 悠介; 新宅 秀信; 森本 敬;
摘要
权利要求

密閉容器内に圧縮機構部とモータ部とを収納し、 前記圧縮機構部は、 鏡板から渦巻状のラップが立ち上がる固定スクロールと、 同じく鏡板から渦巻状のラップが立ち上がり、前記固定スクロールと噛み合わせて複数の圧縮室を形成する旋回スクロールと、 シャフトと、 前記シャフトを支持するメインフレームと、 前記旋回スクロールの姿勢を規制する自転拘束機構と から構成され、 前記シャフトの一端には偏心軸が一体に形成され、 前記偏心軸は前記旋回スクロールに形成された偏心軸受部材と嵌合し、 前記シャフトの主軸は前記メインフレームに形成された主軸受部材と嵌合し、 前記圧縮機構部で圧縮した冷媒を、前記固定スクロールの吐出口から吐出するスクロール圧縮機であって、 前記主軸受部材の直径をDm、長さをLm、前記偏心軸受部材の直径をDe、長さをLeとしたとき、前記主軸受部材の前記長さと前記直径の比(=Lm/Dm)と、前記偏心軸受部材の前記長さと前記直径の比(=Le/De)が、Le/De≦Lm/Dm≦1の関係を満たし、 前記偏心軸受部材の前記長さと前記直径の前記比(=Le/De)が0.5以上であり、 前記偏心軸受部材が前記主軸受部材よりも扁平である ことを特徴とするスクロール圧縮機。前記密閉容器内に仕切板を設け、 前記仕切板で仕切られた下部低圧室に前記圧縮機構部と前記モータ部を収納し、 前記圧縮機構部で圧縮した前記冷媒を、前記固定スクロールの前記吐出口を介して前記仕切板で仕切られた上部高圧室に吐出する請求項1に記載のスクロール圧縮機。前記シャフトにロータを備え、 前記ロータに対して前記主軸と反対側に位置する前記シャフトに副軸を形成し、 前記副軸を支持する副軸受部材を前記密閉容器内に配置した請求項1から3のいずれかに記載のスクロール圧縮機。前記主軸受部材と前記主軸のクリアランス、前記偏心軸受部材と前記偏心軸のクリアランス、前記副軸受部材と前記副軸のクリアランスが各直径の10/10,000〜40/10,000倍である請求項3に記載のスクロール圧縮機。

说明书全文

本発明は、冷暖房空調装置や冷蔵庫等の冷却装置、あるいはヒートポンプ式の給湯装置や温暖房装置等に用いられるスクロール圧縮機に関するものである。

従来、空調装置や冷却装置などに用いられる圧縮機は、一般に、ケーシング内に圧縮機構部とその圧縮機構部を駆動する電動機部を備えている。圧縮機内では、冷凍サイクルから戻ってきた冷媒ガスを圧縮機構部で圧縮し、冷凍サイクルへと送り込む。冷媒ガスを圧縮する際、ガス圧縮が圧縮機構部に作用し、この荷重はジャーナル軸受で支承される。一般的にジャーナル軸受は、軸方向の長さを拡大することによって面圧を低減させ、信頼性を確保していた。特に偏心軸受は、主軸受に比べ径が小さくなる分、長さを相対的に拡大し、面圧を低減させる傾向にあった(例えば、特許文献1参照)。主軸受部材の直径をDm、長さをLm、偏心軸受部材の直径をDe、長さをLeとすると、特許文献1の場合においては、Lm/Dm

一方、主軸受部材の長さLmを長くすることで、Lm/Dm>Le/Deとする構成もある(例えば、特許文献2参照)。主軸受部材を長くすることで、シャフトと軸受部材の接点距離を離し、シャフトの傾きを抑制する。すなわち、特許文献1と同じように、両軸受部材及びシャフトの信頼性の確保を狙っている。

特許第3731068号公報

特許第3152472号公報

しかしながら、特許文献1に示す従来の構成では、シャフトが傾いた状態で運転された場合に、主軸受部材と主軸、または偏心軸受部材と偏心軸がそれぞれの軸受部材の両端のエッジ部で接触し、エッジ部でガス圧縮力を受ける。特に偏心軸にガス圧縮力が作用するため、偏心軸におけるたわみ量が大きくなり、偏心軸は、主軸よりも大きく傾く。また旋回スクロールのチルティング現象が発生すると、偏心軸受部材のエッジ部で接触する頻度は、主軸受部材のエッジ部での接触頻度よりも高くなる。エッジ部での接触は、軸受部材とシャフトの接触面積が非常に小さいため、面圧が極端に大きくなるため、軸受部材もしくはシャフトには局所的な摩耗が発生する。この状態で運転が継続されると、摩耗が進行し、信頼性を低下させてしまう恐れがある。

また特許文献2に示す従来の構成では、主軸受部材を長くしているため、主軸の傾きは主軸受部材によって規制され、同時に偏心軸の傾きも抑制される。その結果、偏心軸受部材におけるエッジ部接触は解消する。さらに主軸受部材と主軸間には油膜が十分に形成され、主軸受部材のエッジ部周辺の油膜がガス圧縮力を受け、主軸受部材や主軸にかかる面圧は低減する傾向にある。しかしながら、一方で主軸受部材と主軸との摺動面積が大きくなりすぎると、オイルによる粘性損失が増大するため、圧縮性能の低下を引き起こすという課題も生じる。

本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、軸受部材もしくはシャフトの局所的な摩耗を抑制することで高信頼性を実現しつつ、粘性損失を押さえた高効率なスクロール圧縮機を提供することにある。

本発明のスクロール圧縮機は、密閉容器内に圧縮機構部とモータ部とを収納し、圧縮機構部は、鏡板から渦巻状のラップが立ち上がる固定スクロールと、同じく鏡板から渦巻状のラップが立ち上がり、固定スクロールと噛み合わせて複数の圧縮室を形成する旋回スクロールと、シャフトと、シャフトを支持するメインフレームと、旋回スクロールの姿勢を規制する自転拘束機構とから構成され、シャフトの一端には偏心軸が一体に形成され、偏心軸は旋回スクロールに形成された偏心軸受部材と嵌合し、シャフトの主軸はメインフレームに形成された主軸受部材と嵌合し、圧縮機構部で圧縮した冷媒ガスを、固定スクロールの吐出口から吐出するスクロール圧縮機であって、主軸受部材の直径をDm、長さをLm、偏心軸受部材の直径をDe、長さをLeとしたとき、主軸受部材の長さと直径の比(=Lm/Dm)と、偏心軸受部材の長さと直径の比(=Le/De)が、Le/De≦Lm/Dm≦1とし、偏心軸受部材の長さと直径の比(=Le/De)が0.5以上であり、偏心軸受部材が主軸受部材よりも扁平としたものである。

これによって、高信頼性かつ高効率を実現するスクロール圧縮機を提供できる。

本発明によれば、シャフトが傾いた際に軸受部材の両端のエッジ部でシャフトが接触する、いわゆるこじれを防止することができる。すなわち、面圧の上昇を防止できるため、軸受部材やシャフトの局所的な摩耗を抑制することができる。

また本発明によれば、主軸受部材を長くすることなく、軸受部材の信頼性、特に偏心軸受部材の信頼性を確保することができる。すなわち、主軸受部材と主軸にオイルが介在することで発生する粘性損失を低減させつつ、高信頼性を実現することができる。

本発明の実施の形態による圧縮機の縦断面図

本発明の実施の形態による圧縮機断面の模式図

本発明の実施の形態による軸受部拡大断面図

1 密閉容器 2 高圧室 3 低圧室 4 圧縮機構部 5 モータ部 5a ロータ 6 仕切板 10 固定スクロール 11 旋回スクロール 11e 偏心軸受部材 12 メインフレーム 12m 主軸受部材 13 シャフト 13e 偏心軸 13m 主軸 13s 副軸 14 可動偏心部材 15 自転拘束機構 16 副軸プレート 16s 副軸受部材 D 軸受部材の直径(Dm、De) L 軸受部材の長さ(Lm、Le) δ クリアランス

第1の発明は、密閉容器内に圧縮機構部とモータ部とを収納し、圧縮機構部は、鏡板から渦巻状のラップが立ち上がる固定スクロールと、同じく鏡板から渦巻状のラップが立ち上がり、固定スクロールと噛み合わせて複数の圧縮室を形成する旋回スクロールと、シャフトと、シャフトを支持するメインフレームと、旋回スクロールの姿勢を規制する自転拘束機構とから構成され、シャフトの一端には偏心軸が一体に形成され、偏心軸は旋回スクロールに形成された偏心軸受部材と嵌合し、シャフトの主軸はメインフレームに形成された主軸受部材と嵌合し、圧縮機構部で圧縮した冷媒ガスを、固定スクロールの吐出口から吐出するスクロール圧縮機であって、主軸受部材の直径をDm、長さをLm、偏心軸受部材の直径をDe、長さをLeとしたとき、主軸受部材の長さと直径の比(=Lm/Dm)と、偏心軸受部材の長さと直径の比(=Le/De)が、Le/De≦Lm/Dm≦1の関係を満たし、偏心軸受部材の長さと直径の比(=Le/De)が0.5以上であり、偏心軸受部材が主軸受部材よりも扁平としたものである。

この構成によれば、シャフトが傾いた際に軸受部材の両端のエッジ部でシャフトが接触する、いわゆるこじれを防止することができる。すなわち、面圧の上昇を防止できるため、軸受部材やシャフトの局所的な摩耗を抑制することができる。

またこの構成によれば、主軸受部材を長くすることなく、軸受部材の信頼性、特に偏心軸受部材の信頼性を確保することができる。すなわち、主軸受部材と主軸にオイルが介在することで発生する粘性損失を低減させつつ、高信頼性を実現することができる。

またこの構成によれば、オイルによる粘性損失を低減しつつ、かつこじれの発生を防止することができる。

第2の発明は、第1の発明において、密閉容器内に仕切板を設け、仕切板で仕切られた下部低圧室に圧縮機構部とモータ部を収納し、圧縮機構部で圧縮した冷媒ガスを、固定スクロールの吐出口を介して仕切板で仕切られた上部高圧室に吐出するものである。

この構成によれば、旋回スクロールのチルティング現象が発生しやすい場合でも、偏心軸受部材や偏心軸の局所的な摩耗を抑制することができる。

第3の発明は、第1から3の発明において、シャフトにロータを備え、ロータに対して主軸と反対側に位置するシャフトに副軸を形成し、副軸を支持する副軸受部材を密閉容器内に配置したものである。

この構成によれば、シャフトを主軸と副軸の2点で支持することになるため、シャフトの傾きやたわみ量を抑制することができ、こじれの発生をより一層防止することができる。

第4の発明は、第3の発明において、主軸受部材と主軸のクリアランス、偏心軸受部材と偏心軸のクリアランス、副軸受部材と副軸のクリアランス各直径の10/10,000〜40/10,000倍に設定したものである。

この構成によれば、各部のシャフトの傾きやたわみ量を各部のクリアランスで吸収することができ、こじれの発生を防止することができる。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

(実施の形態) 図1は、本発明の実施の形態による圧縮機の縦断面図である。図1に示すように、本実施の形態による圧縮機は、密閉容器1内に、冷媒ガスを圧縮する圧縮機構部4と、圧縮機構部4を駆動するモータ部5とを備えている。

密閉容器1内は、仕切板6によって上部が高圧室2、下部が低圧室3に仕切られている。そして、低圧室3には圧縮機構部4とモータ部5とオイル9aを貯留するオイル溜まり部9を配置している。

密閉容器1には、吸入管7と吐出管8が溶接によって固定されている。吸入管7と吐出管8は密閉容器1の外部に通じ、冷凍サイクルを構成する部材と接続されている。吸入管7は密閉容器1の外部から冷媒ガスを導入し、吐出管8は高圧室2から密閉容器1の外部に圧縮された冷媒ガスを導出する。

メインフレーム12は、密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどで固定され、シャフト13を軸支している。このメインフレーム12には、固定スクロール10がボルト止めされている。固定スクロール10と噛み合う旋回スクロール11は、メインフレーム12と固定スクロール10で挟み込まれている。メインフレーム12、固定スクロール10、及び旋回スクロール11は、スクロール式の圧縮機構部4を構成している。

冷媒ガスを圧縮すると、高圧になるため旋回スクロール11には固定スクロール10から離れる方向に冷媒ガスの圧力が作用する。そのため、旋回スクロール11はメインフレーム12に形成したスラスト軸受12tによって冷媒ガスの圧力を受ける。また旋回スクロール11と固定スクロール10とは、圧縮された冷媒ガスの圧力によって離されるため、旋回スクロール11と固定スクロール10とのそれぞれのラップ先端にチップシールを装着している。これにより、ラップ先端隙間からの冷媒ガスの漏れを抑制し、高い圧縮効率を実現している。

旋回スクロール11と固定スクロール10は、オルダムリングなどによる自転拘束機構15によって互いの位置関係が規制されている。また自転拘束機構15は、旋回スクロール11の自転を防止し、旋回スクロール11が円軌道運動するように案内する役割も果たす。旋回スクロール11は、シャフト13の上端に設けている偏心軸13eに可動偏心部材14を嵌合することによって偏心駆動される。この偏心駆動により、固定スクロール10と旋回スクロール11の間に形成している圧縮室17は、外周から中央部に向かって移動し、容積を小さくして圧縮を行う。

モータ部5は密閉容器1の内壁面側に固定されたステータ5bと、このステータ5bの内側に回転自在に支持されたロータ5aからなり、このロータ5aにはシャフト13が貫通状態に結合されている。このシャフト13の一方にある主軸13mはメインフレーム12に設けられた主軸受部材12mに回転自在に支持されている。シャフト13の他方にある副軸13sは副軸プレート16に設けられた副軸受部材16sに回転自在に支持されている。

次に冷媒ガスの流れについて説明する。 吸入管7から吸い込まれた冷媒ガスは、密閉容器1内に導かれ、一部は圧縮機構部4へと直接供給され、一部はモータ部5を冷却した後、圧縮機構部4へと供給される。これにより、モータ部5の冷却を行い、モータ部5の巻線温度が所定の温度以上に上昇しないよう制御している。圧縮機構部4へと供給された冷媒ガスは、圧縮室17の容積変化によって圧縮されるとともに、固定スクロール10及び旋回スクロール11の中心部に移動する。固定スクロール10の中央部には、吐出口10aが形成されている。吐出口10aには、リードバルブやフロートバルブなどの逆止弁18が設けられている。所定の圧力に到達すると、冷媒ガスは逆止弁18を押し開け、高圧室2へと流れ込み、吐出管8から冷凍サイクルへと送り込まれる。

次にオイル9aの流れについて説明する。 シャフト13の下端にはオイルピックアップ19が装着され、オイルピックアップ19の内部にはオイルハネ20を備えている。シャフト13が回転することにより、オイルハネ20によってオイル溜まり部9のオイル9aが吸い上げられ、その後シャフト13の内部に形成されたオイル通路13iを上昇する。オイル通路13iは、回転軸の中心に対して偏心した状態で形成されており、オイル9aには遠心力が働く。これにより、オイル9aはシャフト13の主軸13m、更にはシャフト13の端部まで導かれる。主軸13mに到達したオイル9aはシャフト13に形成された横穴13hを通過し、主軸受部材12mと主軸13mの嵌合部へと供給され、潤滑油として作用する。同じく、シャフト13の端部に到達したオイル9aは偏心軸受部材11eと偏心軸13eの嵌合部へと供給され、潤滑油として作用する。各軸受の嵌合部を潤滑したオイル9aは、メインフレーム12と旋回スクロール11の鏡板で囲まれた背面空間21に到達する。その後、オイル9aは、スラスト軸受12tを潤滑し、メインフレーム12の内部通路12cを経由して、密閉容器1の内周面に導かれ、ステータ5bの切欠きなどを通過してオイル溜まり部9に戻る。

以下に本実施の形態による軸受構成を説明する。 一般的にジャーナル軸受では、軸方向の長さを拡大することによって面圧を低減させ、信頼性を確保していた。特に偏心軸13eにはガス圧縮力が働き、その荷重によってシャフト13にたわみが発生するため、偏心軸受部材11eの両端のエッジ部と接触するといった、いわゆるこじれが起こりやすい。こじれが起こると、偏心軸受部材11eと偏心軸13eの接触面積が非常に小さくなるため、面圧が極端に大きくなり、偏心軸受部材11eもしくは偏心軸13eに局所的な摩耗が発生する。この状態で運転が継続されると、摩耗が進行し、信頼性を低下させてしまう恐れがある。これは偏心軸受部材11eと偏心軸13eに限ったことではなく、主軸受部材12mと主軸13mにも同様の現象が起こりうる。

図2は圧縮機断面の模式図である。 図2に示すように、主軸受部材12mの直径をDm、長さをLm、偏心軸受部材11eの直径をDe、長さをLeとする。このとき、主軸受部材12mの長さと直径の比(=Lm/Dm)と、偏心軸受部材11eの長さと直径の比(=Le/De)が、Le/De≦Lm/Dm≦1とすることで、こじれを防止することができる。 具体的には、偏心軸受部材11eが主軸受部材12mよりも扁平であるので、偏心軸受部材11eの傾きに対する許容度が上がる。言い換えると、偏心軸13eが傾いても、偏心軸受部材11eの両端のエッジ部で接触することがなくなる。さらに、主軸13mの傾きに対し、主軸受部材12mの両端のエッジ部での接触を防止するため、及び、オイル9aによる主軸受部材12mの粘性損失を極力低減させるためには、長さと直径の比(=Lm/Dm)を1以下にするのが望ましい。本実施の形態では、軸受部材12m、11e、16sと軸13e、13m、13sのクリアランスを、直径に対し一定比率で設定した場合を想定しているが、この条件では扁平な軸受部材になるほど、傾きに対する許容度は上がるので、偏心軸受部材11eの両端のエッジ部での接触は回避されることになる。以上のことから、本実施の形態では、高信頼性と高効率を両立したスクロール圧縮機を実現することができる。

また前述したように、密閉容器1内に仕切板6を設け、この仕切板6で上部の高圧室2と下部の低圧室3を仕切る。低圧室3には圧縮機構部4とモータ部5を収納し、圧縮機構部4で圧縮した冷媒ガスを、固定スクロール10の吐出口10aを介して仕切板6で仕切られた高圧室2に吐出する。この場合、圧縮機構部4が低圧室3に配置されているため、旋回スクロール11は基本的に固定スクロール10から離れる方向に力を受ける。そのため、起動時や圧力の過渡時などでは、旋回スクロール11の軸方向の力のつり合いが崩れてしまい、チルティング現象が発生しやすい。本実施の形態では、主軸受部材12mの長さと直径の比(=Lm/Dm)よりも、偏心軸受部材11eの長さと直径の比(=Le/De)の方が小さい。そのため、仮にチルティング現象が発生した場合であっても、偏心軸受部材11eの両端のエッジ部の接触は回避される。すなわち低圧室3に圧縮機構部4が収納される低圧型圧縮機においては、より一層本実施の形態の効果が得られることになり、偏心軸受部材11eや偏心軸13eの局所的な摩耗が抑制される。よって、高い信頼性のスクロール圧縮機を提供することができる。

また、偏心軸受部材11eの長さと直径の比(=Le/De)を0.5以上とすることで、オイル9aによる粘性損失を低減しつつ、こじれも防止することができる。仮に偏心軸受部材11eの長さと直径の比(=Le/De)が0.5を下回ると、偏心軸受部材11eと偏心軸13e間に油膜が十分に形成されず、結果として偏心軸受部材11eと偏心軸13eが接触する。そのため、スクロール圧縮機は、性能悪化だけでなく、信頼性の低下も引き起こす恐れがある。このことから、偏心軸受部材11eの長さと直径の比(=Le/De)を0.5以上とするのが望ましい。

また、シャフト13にロータ5aを備え、ロータ5aを介して主軸13mと反対側に副軸13sを形成し、副軸13sを支持する副軸受部材16sを密閉容器1内に配置する。これにより、シャフト13を主軸13mと副軸13sの2点で支持することになるため、シャフト13の傾きやたわみ量を抑制することができる。すなわち、主軸受部材12mに対する主軸13mの傾きや、偏心軸受部材11eに対する偏心軸13eの傾きが小さくなることで、こじれの発生をより一層防止することができる。

図3は軸受部の拡大断面図である。図3に示すように、各軸受部材12m、11e、16sのクリアランスδを直径Dに対する比率で設定する。具体的には、主軸受部材12mと主軸13mのクリアランスδm、偏心軸受部材11eと偏心軸13eのクリアランスδe、副軸受部材16sと副軸13sのクリアランスδsを各軸受部材12m、11e、16sの直径D(=Dm、De、Ds)の10/10,000〜40/10,000倍とする。これにより、各軸受部におけるシャフト13の傾きやたわみ量をそれぞれのクリアランスδm、δe、δsで吸収することができ、こじれの発生を防止することができる。またクリアランスδm、δe、δsが10/10,000倍を下回る場合、シャフト13の傾きに対する許容度が低くなり、偏心軸受部材11eの両端のエッジ部での接触が発生する恐れがある。また、40/10,000倍を上回る場合、傾きに対する許容度は高くなるが、クリアランスδが大きすぎるため、クリアランスδが冷媒ガスの圧縮力の逃げ場となり、油膜力が作用しにくくなる。以上のことから、クリアランスδm、δe、δsとしては、軸受部材12m、11e、16sの直径D(=Dm、De、Ds)の10/10,000〜40/10,000が望ましい。

また図1に示すように、偏心軸13eに可動偏心部材14を備えることで性能の安定化を図ることができる。可動偏心部材14を用いると、冷媒ガスの圧縮力を利用して、旋回スクロール11のラップ壁面を固定スクロール10のラップ壁面に積極的に押し付けることができる。そのため、仮に各軸受部材12m、11e、16sのクリアランスが広く設定された場合においても、可動偏心部材14を採用することで、旋回スクロール11のラップと固定スクロール10のラップが径方向で確実に接点を持つことになる。よって、高信頼性と高効率が両立するスクロール圧縮機を提供することができる。

本発明は、小型から大型に至るスクロール圧縮機に適用でき、製品である、ルームエアコン等の空調機、ヒートポンプ式給湯機、ヒートポンプ式温水暖房機、冷凍機に搭載できる。そうすることで、より省エネで環境に優しい快適な製品を実現することが可能となる。

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