Variable displacement pump and the power steering apparatus using the same

申请号 JP2009033412 申请日 2009-02-17 公开(公告)号 JP5154469B2 公开(公告)日 2013-02-27
申请人 日立オートモティブシステムズ株式会社; 发明人 重明 山室; 真 多田; 智史 野中;
摘要
权利要求
  • 車両用操舵装置に作動液を供給する可変容量形ポンプであって、
    内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジングと、
    該ポンプハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
    前記ポンプ要素収容部内に前記駆動軸の軸心に対して偏心可能に収容されたカムリングと、
    該カムリングの内周側に配置されて、前記駆動軸が回転駆動することによって吸入した作動液を加圧して吐出すると共に、前記駆動軸に対する前記カムリングの偏心量の変化に伴い1回転あたりの吐出流量である固有吐出量を変化させるポンプ要素と、
    前記ポンプハウジング内に設けられて、前記ポンプ要素の吸入領域に開口する吸入ポート及び吐出領域に開口する吐出ポートと、
    車両の運転状態に応じて制御される通電量の変化に基づいて駆動制御されて、前記カムリングの偏心量を制御するソレノイドと、を備え、
    前記ソレノイドへの通電量の変化量に対する前記固有吐出量の変化の割合を、前記固有吐出量の大きい状態よりも前記固有吐出量の小さい状態において小さくなるように設定したことを特徴とする可変容量形ポンプ。
  • 前記ソレノイドへの通電量が小さくなるほど前記固有吐出量が小さくなるように、前記ソレノイドにより前記カムリングの偏心量を制御することを特徴とする請求項1に記載の可変容量形ポンプ。
  • 前記ソレノイドの制御において異常が発生した際には、前記ソレノイドへの通電を停止することを特徴とする請求項2に記載の可変容量形ポンプ。
  • 車両の速度を検出する車速センサをさらに備え、
    該車速センサによって検出された車速に基づき前記ソレノイドを制御することを特徴とする請求項1に記載の可変容量形ポンプ。
  • 車両用操舵装置のステアリングホイールの操舵角速度を検出又は推定する操舵角速度検出器をさらに備え、
    該操舵角速度検出器によって検出された操舵角速度が高いほど前記固有吐出量が大きくなるように、前記ソレノイドによって前記カムリングを制御することを特徴とする請求項1に記載の可変容量形ポンプ。
  • 車両の速度を検出する車速センサをさらに備え、
    該車速センサによって検出された車速が高いほど前記操舵角速度の変化量に対する前記固有吐出量の変化量が小さくなるように、前記ソレノイドによって前記カムリングを制御することを特徴とする請求項5に記載の可変容量形ポンプ。
  • 前記吐出ポートに接続される吐出通路に設けられて、前記ソレノイドのアーマチュアの軸方向移動に伴い流路断面積を可変制御するように構成された可変オリフィスと、
    前記ポンプハウジング内に収容配置されて、前記可変オリフィスの前後の差圧に基づいて前記カムリングの偏心量を制御するための制御圧力を制御する制御弁と、をさらに備え、
    前記可変オリフィスを、前記ソレノイドのアーマチュアの軸方向移動量の変化量に対する前記流路断面積の変化量が非線形となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の可変容量形ポンプ。
  • 前記可変オリフィスを、前記吐出通路に設けられた複数のオリフィスと、前記ソレノイドのアーマチュアの軸方向移動に伴って前記複数のオリフィスとのオーバーラップ量を変化させる弁部と、から構成し、
    前記複数のオリフィスを、少なくとも2以上の異なる径に設定したことを特徴とする請求項7に記載の可変容量形ポンプ。
  • 前記複数のオリフィスを、径の大きさの順に前記アーマチュアの移動方向に沿って配置すると共に、前記弁部が当該複数のオリフィスの径の大きい側から小さい側へ相対移動するほど前記可変オリフィスの流路断面積を縮小して前記固有吐出量が減少するように配置したことを特徴とする請求項8に記載の可変容量形ポンプ。
  • 前記吐出ポートに接続される吐出通路に設けられて、前記ソレノイドによって流路断面積が可変制御される可変オリフィスと、
    前記ポンプハウジング内に収容配置されて、前記可変オリフィスの前後の差圧に基づいて軸方向移動することにより前記カムリングの偏心量を制御するための制御圧力を制御する弁体及び該弁体を軸方向一方側へ付勢するばね部材から構成される制御弁と、をさらに備え、
    前記ばね部材を、ヤング率が非線形特性となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の可変容量形ポンプ。
  • 前記吐出ポートに接続される吐出通路に設けられて、前記ソレノイドによって流路断面積が可変制御される可変オリフィスと、
    前記ポンプハウジング内に収容配置されて、前記可変オリフィスの前後の差圧によって前記カムリングの偏心量を制御するための制御圧力を制御する制御弁と、をさらに備え、
    前記ソレノイドを、当該ソレノイドへの通電量の変化量に対するアーマチュアの吸引力の変化量が非線形となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の可変容量形ポンプ。
  • 前記吐出ポートに接続される吐出通路に設けられて、前記ソレノイドによって流路断面積が可変制御される可変オリフィスと、
    前記ポンプハウジング内に収容配置されて、前記可変オリフィスの前後の差圧によって前記カムリングの偏心量を制御するための制御圧力を制御する制御弁と、
    前記吐出通路において前記可変オリフィスと並列に設けられて、流路断面積が変化しない固定オリフィスと、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の可変容量形ポンプ。
  • 車両用操舵装置に作動液を供給する可変容量形ポンプであって、
    内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジングと、
    該ポンプハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
    前記ポンプ要素収容部内に前記駆動軸の軸心に対して偏心可能に収容されたカムリングと、
    該カムリングの内周側に配置されて、前記駆動軸が回転駆動することによって吸入した作動液を加圧して吐出すると共に、前記駆動軸に対する前記カムリングの偏心量の変化に伴い1回転あたりの吐出流量である固有吐出量を変化させるポンプ要素と、
    前記ポンプハウジング内に設けられて、前記ポンプ要素の吸入領域に開口する吸入ポート及び吐出領域に開口する吐出ポートと、
    車両の運転状態に応じて制御される通電量の変化に基づいて駆動制御されて、前記カムリングの偏心量を制御するソレノイドと、を備え、
    前記操舵量の変化量に対する前記固有吐出量の変化の割合を、前記固有吐出量の大きい状態よりも前記固有吐出量の小さい状態において小さくなるように設定したことを特徴とする可変容量形ポンプ。
  • 操舵量を検出する操舵量センサをさらに備え、
    該操舵量センサによって検出された操舵量に基づき前記ソレノイドへの通電量を制御することを特徴とする請求項13に記載の可変容量形ポンプ。
  • 前記ソレノイドへの通電量が小さくなるほど前記固有吐出量が小さくなるように、前記ソレノイドによって前記カムリングの偏心量を制御することを特徴とする請求項14に記載の可変容量形ポンプ。
  • 車両用操舵装置のステアリングホイールの操舵角速度を検出又は推定する操舵角速度検出器をさらに備え、
    該操舵角速度検出器によって検出された操舵角速度に基づき前記ソレノイドへの通電量を制御することを特徴とする請求項13に記載の可変容量形ポンプ。
  • 一対の液圧室を有し、該各液圧室に供給される作動液によって車両の転舵輪に与える操舵力を発生させるパワーシリンダと、
    該パワーシリンダに作動液を供給するポンプと、
    該ポンプから吐出された作動液をステアリングホイールの操舵の方向及び量に応じて前記一対の液圧室へ選択的に供給するコントロールバルブと、を有するパワーステアリング装置であって、
    前記ポンプは、内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジングと、
    該ポンプハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
    前記ポンプ要素収容部内に前記駆動軸の軸心に対して偏心可能に収容されたカムリングと、
    該カムリングの内周側に配置されて、前記駆動軸が回転駆動することによって吸入した作動液を加圧して吐出すると共に、前記駆動軸に対する前記カムリングの偏心量の変化に伴い1回転あたりの吐出流量である固有吐出量を変化させるポンプ要素と、
    前記ポンプハウジング内に設けられて、前記ポンプ要素の吸入領域に開口する吸入ポート及び吐出領域に開口する吐出ポートと、
    車両の運転状態に応じて制御される通電量の変化に基づいて駆動制御されて、前記カムリングの偏心量を制御するソレノイドと、を備え、
    前記ソレノイドへの通電量の変化量に対する前記固有吐出量の変化の割合を、前記固有吐出量の大きい状態よりも前記固有吐出量の小さい状態において小さくなるように設定したことを特徴とする パワーステアリング装置
  • 前記ソレノイドへの通電量が小さくなるほど前記固有吐出量が小さくなるように、前記ソレノイドによって前記カムリングの偏心量を制御することを特徴とする請求項17に記載のパワーステアリング装置。
  • 前記ソレノイドの制御において異常が発生した際には、前記ソレノイドへの通電を停止することを特徴とする請求項18に記載のパワーステアリング装置。
  • 操舵量を検出する操舵量センサをさらに備え、
    該操舵量センサによって検出された操舵量に基づき前記ソレノイドへの通電量を制御することを特徴とする請求項17に記載のパワーステアリング装置。
  • 说明书全文

    本発明は、車両用のパワーステアリング装置及びこれに作動液を供給する可変容量形ポンプに関する。

    車両用のパワーステアリング装置に用いる従来の可変容量形ポンプとしては、例えば、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。

    概略を説明すれば、この可変容量形ポンプは、駆動軸(ポンプ要素)の軸心に対するカムリングの偏心量を制御する制御弁と、該流量制御弁の弁体の軸方向の移動量を制御するソレノイドと、を備えており、車両の運転状態に応じてソレノイドへの通電量を変化させてアーマチュアの軸方向の移動量を制御することで、制御弁の弁体の軸方向位置に基づくカムリングの偏心量を制御し、これによってポンプ1回転当たりの吐出流量(固有吐出量)を制御するようになっている。

    特開2007−92761号公報

    しかしながら、前記従来の可変容量形ポンプにあっては、ソレノイドの通電量の変化とポンプの固有吐出量の変化との関係については何ら考慮されていないことから、ポンプの吐出流量の制御性が不十分であった。

    本発明は、前記従来の可変容量形ポンプの技術的課題に鑑みて案出されたもので、ポンプの吐出流量の制御性を向上し得る可変容量形ポンプ等を提供することを目的としている。

    本願発明は、とりわけ、ソレノイドへの通電量の変化量に対する固有吐出量の変化の割合を、固有吐出量の大きい状態よりも固有吐出量の小さい状態において小さくなるように設定したことを特徴としている。

    この発明によれば、固有吐出量が小さい状態においては、ソレノイドへの通電量の変化量に対する固有吐出量の変化が小さいことから、当該状態における吐出流量の過敏な変化を抑制することが可能となり、ポンプ吐出流量の制御性の向上が図れる。

    特に、操装置では、高速走行時において固有吐出量が小さくなるように制御されることから、前記固有吐出量の変化量特性によって当該高速走行時における吐出流量の変化を穏やかにすることができ、操舵安定性の向上に供される。

    本発明に係るパワーステアリング装置の概略を示す概略図である。

    本発明に係る可変容量形ポンプの概略を示す概略図である。

    図4のA−A線断面図である。

    図3のB−B線断面図である。

    図4のC−C線断面図である。

    本発明の第1実施形態に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の全体の構成を示す図3の部分拡大図であって、非通電時の状態を表したものである。

    同実施形態に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の全体の構成を示す図3の部分拡大図であって、通電時の状態を表したものである。

    図7の要部拡大図である。

    同実施形態に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の各弁孔の配置及び当該各弁孔の開閉の状態を示す概略図である。

    電磁弁の失陥判断処理の内容を示すフローチャートである。

    電磁弁の通電量制御処理の内容を示すフローチャートである。

    電磁弁のフェール処理の内容を示すフローチャートである。

    本発明に係る可変容量形ポンプの基本的な吐出流量制御に係る吐出流量制御マップであって、車速と固有吐出流量との関係を表したものである。

    本発明に係る可変容量形ポンプの基本的な吐出流量制御に係る吐出流量制御マップであって、操舵速度と固有吐出量との関係を表したものである。

    第1実施形態に係る電磁弁の電磁弁ストローク量と付勢部材の付勢との関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁ストローク量と電磁弁吸引力Fとの関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁通電量と電磁弁ストローク量との関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁ストローク量とポンプの固有吐出量との関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁通電量とポンプの固有吐出量との関係を示すグラフである。

    本発明に係る可変容量形ポンプのポンプ回転数と固有吐出量との関係を示すグラフである。

    図19において付勢部材の付勢力を調整した場合の電磁弁通電量と固有吐出量との関係を示すグラフある。

    本発明の第1実施形態の変形例に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の全体の構成を示す図3の部分拡大図である。

    図22の要部拡大図である。

    同変形例に係る電磁弁の電磁弁通電量とポンプの固有吐出量との関係を示すグラフである。

    本発明の第2実施形態の変形例に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の要部を示す図であって、電磁弁の縦断面に係る要部拡大図である。

    同実施形態に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の各弁孔の配置及び当該各弁孔の開閉の状態を示す概略図である。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁ストローク量と付勢部材の付勢力との関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁通電量と電磁弁ストローク量との関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁ストローク量とポンプの固有吐出量との関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁通電量とポンプの固有吐出量との関係を示すグラフである。

    本発明の第3実施形態の変形例に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の要部を示す図であって、電磁弁の縦断面に係る要部拡大図である。

    同実施形態に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の各弁孔の配置及び当該各弁孔の開閉の状態を示す概略図である。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁ストローク量と電磁弁吸引力Fとの関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁通電量と電磁弁ストローク量との関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁ストローク量とポンプの固有吐出量との関係を示すグラフである。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁通電量とポンプの固有吐出量との関係を示すグラフである。

    本発明の第4実施形態に係る可変容量形ポンプに用いる電磁弁の全体の構成を示す当該電磁弁の縦断面図である。

    図37の要部拡大図である。

    同実施形態に係る電磁弁の電磁弁通電量とポンプの固有吐出量との関係を示すグラフである。

    以下に、本発明に係る可変容量形ポンプ等の実施形態を図面に基づいて詳述する。 なお、各実施の形態では、この可変容量形ポンプ等を、従来と同様に車両の油圧パワーステアリング装置に適用した例を示している。

    図1〜図21は、本発明の第1実施形態を示しており、まず、本発明に係る可変容量形ポンプ(以下、「オイルポンプ」という。)が適用されるラック・ピニオン式の油圧パワーステアリング装置について説明すれば、該パワーステアリング装置は、図1に示すように、一端側がステアリングホイール1に連係された操舵軸2と、該操舵軸2の他端側に図外のトーションバーを介して一端側が連結され、先端側の外周にピニオン歯を有するピニオン軸3と、軸方向の所定範囲に前記ピニオン歯に噛合するラック歯を有し、車体幅方向に延出して両端が図外のナックルを介して左右の転舵輪WL,WRに連係されたラック軸4と、該ラック軸4をピストンロッドとして構成されたパワーシリンダ5と、該パワーシリンダ5内を循環する作動液である作動油を貯留するリザーバタンク6と、該リザーバタンク6から作動油を吸い上げて、これをパワーシリンダ5へと圧送するオイルポンプ10と、前記トーションバーの捩れ変形により操舵軸2とピニオン軸3とが相対回転することによって開閉し、該両軸2,3の相対回転量(前記トーションバーの捩れ量)に応じて前記パワーシリンダ5に供給する作動油の油量を制御するコントロールバルブ7と、車両に搭載されたECUである電子コントローラ70に接続され、前記ステアリングホイールの舵角を検出する舵角センサ71と、を備えている。

    そして、かかる構成に基づき、前記パワーステアリング装置は、ステアリングホイール1に追従して回転するピニオン軸3の回転に伴いラック軸4が軸方向へ移動することによって転舵輪WL,WRの向きが変更され、その際に、コントロールバルブ7によって運転者の操舵操作に基づくステアリングホイール1の回転トルク(操舵トルク)に応じた油圧がパワーシリンダ5内に作用することで、運転者の操舵操作が補助されるようになっている。

    前記パワーシリンダ5は、ほぼ円筒状に形成されたシリンダチューブ5aと、該シリンダチューブ5a内を軸方向へ移動可能に設けられた図外のピストンと、を備えていて、前記ピストンによってシリンダチューブ5a内が図1中の左側の第1圧力室P1と右側の第2圧力室P2とに隔成されている。 そして、このパワーシリンダ5の軸方向各端側の外周部には、前記第1、第2圧力室P1,P2とコントロールバルブ7とを連通させる第1配管8a及び第2配管8bが接続されていて、コントロールバルブ7を介して前記各圧力室P1,P2の一方の圧力室に作動油を選択的に供給すると共に他方の圧力室の作動油をリザーバタンク6に還流するようになっている。

    前記オイルポンプ10は、図2〜図5に示すように、軸方向一端側の内周部にほぼ円柱状の空間であるポンプ要素収容部12を有するポンプボディ11と該ポンプボディ11の一端開口を閉塞するカバー部材13とに分割形成されたアルミ合金材からなるポンプハウジングと、該ポンプハウジングにおいてポンプボディ11の軸方向他端側の内周部及びカバー部材13の内周部に配設された第1、第2軸受14a,14bによって回転自在に支持され、図外のエンジンの駆動力をもって回転駆動される駆動軸15と、前記ポンプ要素収容部12の周壁に嵌着されたほぼ円環状のアダプタリング16と、該アダプタリング16の内周側に駆動軸15の軸心に対して偏心(移動)可能に収容されたほぼ円環状のカムリング17と、該カムリング17の内周側に収容配置され、駆動軸15に図3中の反時計方向に回転駆動されることによってポンプ作用を行うポンプ要素18と、該ポンプ要素18が1回転することによって吐出される作動油の吐出流量(固有吐出量)を制御する制御弁40と、該制御弁40を構成する弁体41の軸方向移動量を制御するソレノイドである電磁弁50と、を備えている。

    前記アダプタリング16は、その内周部における周方向の所定位置に、横断面ほぼ半円状の保持溝16aが軸方向に連続形成されており、該保持溝16a内には、カムリング17の揺動支点を構成する棒状の揺動支点ピン19が保持されている。 また、前記アダプタリング16の内周面には、前記揺動支点ピン19と径方向においてほぼ対向する位置にシール部材が軸方向に沿って配設されており、このシール部材と揺動支点ピン19によって、当該アダプタリング16とカムリング17との径方向間には、このカムリング17の揺動制御に供される第1流体圧室20aと第2流体圧室20bが隔成されている。

    前記カムリング17は、鉄系金属材を焼結してなるいわゆる焼結材からなり、外周部に軸方向へ沿って切欠形成された横断面ほぼ半円状の支持溝17aを介して揺動支点ピン19によって支持され、該揺動支点ピン19を支点として第1流体圧室20a側又は第2流体圧室20b側へ揺動自在となっている。

    前記ポンプ要素18は、駆動軸15の外周に固定され、カムリング17の内周側において回転自在に収容されたロータ21と、該ロータ21の外周部に径方向へ沿って放射状に切欠形成された複数のスロット21a内にそれぞれ出没自在に収容保持された矩形板状のベーン22と、から構成されている。 さらに、このポンプ要素18は、カバー部材13の内側部に突設された突出部13aの端面と、ポンプ要素収容部12内において該ポンプ要素収容部12の内側面とアダプタリング16の端面によって挟持されたほぼ円盤状のプレッシャプレート23の一端面と、によってほぼ挟持状態に設けられている。

    また、前記カムリング17とロータ21との間に形成される空間には、隣接する二枚のベーン22,22によって複数のポンプ室24が画成されており、カムリング17を、揺動支点ピン19を支点として揺動させることで、前記各ポンプ室24の容積を増減させることが可能となっている。

    前記第2流体圧室20bには、ポンプボディ11に螺着されたボルト状のスプリングリテーナに一端が弾持されたコイルばね25が配設されており、該スプリングリテーナによって予圧が付与されたコイルばね25により、カムリング17を第1流体圧室20a側、すなわち前記各ポンプ室24の容積が最大となる方向へと常時付勢するように構成されている。

    また、前記カバー部材13における前記突出部13aの端面には、図4に示すように、前記ロータ21の回転に伴い各ポンプ室24の容積が漸次拡大する領域であるいわゆる吸入領域に該当する部分に、図3に示すような円弧状の吸入ポート26が周方向へ沿って切欠形成されている。 そして、この吸入ポート26には、その中央部に、カバー部材13内に径方向へ沿って形成された吸入通路27に開口する吸入孔28が貫通形成されており、リザーバタンク6から吸入通路27を通じて導かれた作動油を、吸入孔28を介して前記各ポンプ室24内へと供給するようになっている。

    一方で、前記プレッシャプレート23におけるロータ21との対向端面には、第1吸入ポート26に対しほぼ軸対称となる位置であって、ロータ21の回転に伴い前記各ポンプ室24の容積が漸次縮小する領域であるいわゆる吐出領域に該当する部分に、円弧状の吐出ポート29が周方向へ沿って切欠形成されている。 そして、この吐出ポート29の所定箇所には、当該吐出ポート29とこのポート29に吐出された作動油を外部へ導く吐出通路31とを連通する複数の吐出孔30が貫通形成されている。

    前記吐出通路31は、吐出孔30に開口形成された圧力室32を介して二股状に分岐形成されており、前記圧力室32と、該圧力室32内に導入された作動油の一部を前記制御弁40の弁体41により画成される一方側の圧力室(後述する高圧室44)へ導く第1接続通路33と、圧力室32内の作動油を外部へと導く第2接続通路34と、から構成され、該第2接続通路34の終端部側に前記電磁弁50が配設されている。

    前記制御弁40は、図3〜図5に示すように、ポンプボディ11における軸方向一端側の上端内部に駆動軸15と直交する方向へ沿って配置されていて、図2、図3に示すように、前記ポンプボディ11の軸方向一端側の上端内部に穿設された弁孔11a内に摺動自在に収容された弁体41と、該弁体41を前記弁孔11aの一端開口部に螺着されたプラグ42に当接させるように図中の左方向へと付勢するバルブスプリング43と、前記プラグ42と弁体41の両先端部間に形成され、前記電磁弁50内部に構成される後記のメータリングオリフィス60の上流側の油圧、つまり第1接続通路33を介して圧力室32内に吐出された吐出油の一部が導入される高圧室44と、前記バルブスプリング43が収容されると共に、後記のメータリングオリフィス60の下流側の油圧、つまり第2接続通路34を通じて後記の連通絞り34dを介して導入される中圧室45と、を備えており、前記高圧室44と中圧室45との圧力差が所定以上になると前記弁体41がバルブスプリング43のばね力に抗して図3中の右方向へと移動するようになっている。

    なお、前記第1接続通路33の終端部には、通路径を縮径した第1オリフィス61が設けられており、高圧室44内に導入される作動油の油圧の脈動による影響を低減すると共に、弁体41の油振を防止するダンピングにもなっている。

    前記弁体41が図3中の左側に位置するときには、前記第1流体圧室20aと弁孔11aとを連通する連通油路47を介して第1流体圧室20aが弁体41の外周側に画成された低圧室46に接続される。 この低圧室46は、図2に示すように、吸入通路27から分岐形成された低圧通路48に接続されており、この低圧通路48を介して第1流体圧室20aに吸入通路27からの低圧な作動油が導入されるようになっている。

    これに対して、前記高圧室44と中圧室45の差圧によって弁体41が図3中の右側へ摺動した場合には、第1流体圧室20aは低圧室46との連通が遮断されて高圧室44と連通することとなり、該第1流体圧室20aには高圧な作動油が導入されるようになっている。 すなわち、第1流体圧室20a内には、低圧室46の油圧と後記のメータリングオリフィス60の上流側の油圧とが選択的に供給されるようになっている。

    なお、前記制御弁40には、図2、図3に示すように、前記弁体41の内部にリリーフバルブ49が構成されており、前記中圧室45内の圧力が所定以上に達したとき、つまり負荷側(前記パワーステアリング装置側)の圧力が所定以上に達したときにこれを開放して、作動油の一部を、低圧通路48を介して吸入通路27へ還流するようになっている。

    一方、前記第2流体圧室20bは、特に図2に示すように、当該第2流体圧室20bに開口形成された円弧状の吸入圧導入ポート35と連係する連通路36を介して吸入通路27と連通するように構成され、吸入側の油圧(低圧)が常時導入されるようになっている。 これによって、カムリング17は、前記吸入側の油圧とコイルばね25の付勢力によって第1流体圧室20a側へ常時押し付けられている。

    前記電磁弁50は、図2〜図5に示すように、ポンプボディ11の上端部に前記制御弁40とほぼ平行に配置されており、図6〜図8に示すように、該ポンプボディ11に外部から穿設されて底部側にて第2接続通路34の終端部側に接続されたバルブボディ収容孔11bに軸方向一端側が嵌挿され、第2接続通路34の一部を構成するほぼ円筒状のバルブボディ51と、該バルブボディ51の一端側内周部である弁体収容孔51a内に固定状態に配置された弁体52と、一端がバルブボディ51の他端側外周に取付固定され、他端が外方へと延出するカップ状のケーシング53と、該ケーシング53の内周側に収容されたほぼ円筒状のコイルユニット54と、該コイルユニット54の内周側に固定状態に配置されて磁性リング59を介してバルブボディ51の他端部に連結された磁性材からなるほぼ円筒状の固定コア55と、前記バルブボディ51の他端部内周側において弁体52に対し摺動可能に支持され、前記固定コア55と対峙状態に設けられたアーマチュアである可動コア56と、前記固定コア55の内周部に螺着され、後記の付勢部材58の付勢力(予圧)を調整する調整プラグ57と、前記可動コア56の先端部である固定コア55との対向端部に設けられたリテーナ部材56aと調整プラグ57との間に介装され、可動コア56を固定コア55から離間する方向へと付勢する付勢部材58と、から主として構成されている。 なお、本実施形態では、前記付勢部材58として、いわゆるコイルばねを適用した例を示している。

    そして、前記電磁弁50は、図1に示すように、前記電子コントローラ70に接続されている前記舵角センサ71及び車両速度(車速)を検出する車速センサ72の検出結果に基づいて、当該電子コントローラ70からの制御電流によって駆動制御されるようになっている。 具体的には、前記パワーステアリング装置においては、後述するように、操舵角が大きいほど大きな操舵アシスト力が必要になるため、当該電磁弁50への通電量は、操舵角の増大に伴って増大することとなる。 一方、車速と電磁弁50への通電量との関係については、低速運転時ほど大きな操舵アシスト力が必要になることから、電磁弁50への通電量は、車速の減少に伴って増大することとなる。

    前記バルブボディ51は、軸方向の中間位置に拡径状に設けられたフランジ部を介してポンプボディ11に取り付けられており、前記バルブボディ収容孔11bに嵌挿される一端側の嵌挿部51bの基端部には、前記フランジ部に隣接して環状の括れ部51cが周方向に連続して設けられており、この括れ部51cの外周側には、当該括れ部51cの外周面とバルブボディ収容孔11bの内周面との間に環状通路64が画成されている。 また、前記バルブボディ51の嵌挿部51bには、その内部において、前記括れ部51cから先端にかけて軸方向へ沿って貫通形成され、第2接続通路34の一部を構成する第1油通路37が設けられており、該第1油通路37を介してバルブボディ収容孔11bの上流側と下流側とが常時連通するようになっている。 そして、かかる第1油通路37の途中には、その通路径を縮小することにより構成された固定オリフィスである第2オリフィス62が設けられている。

    また、前記バルブボディ51の他端側内周部には、前記嵌挿部51bの内径に対して拡径形成され、可動コア56を軸方向移動可能に収容する可動コア収容部51dが設けられている。 さらに、前記バルブボディ51の嵌挿部51b内には、前記環状通路64と前記可動コア収容部51dとを連通する連通孔65が貫通形成されている。 これにより、第2接続通路34上においてバルブ収容孔11bの上流に傾斜状に構成された圧力室22とバルブボディ収容孔11bとを連通する導入通路34aを介して圧力室22からバルブボディ収容孔11b内へと導かれた吐出油が、前記環状通路64及び連通孔65を介して前記可動コア収容部51d内に導入されるようになっている。

    前記弁体52は、一端が開口形成されて他端が閉塞された円筒状を呈し、その内周側に、第2接続通路34上においてバルブボディ収容孔11bの下流に構成された排出通路34bに臨む通路66が構成されていると共に、他端側における所定の軸方向位置には、オリフィスとして機能する複数の弁孔67がそれぞれ径方向に沿って貫通形成されており、これら弁孔67により当該弁体52の内周側と外周側とが連通するようになっている。

    前記各弁孔67は、前記電磁弁50が非通電状態、つまり前記コイルユニット54に励磁電流が通電されていない状態では、図6中に示すような最後退位置にある可動コア56の後端部であって本発明に係る弁部56bによってそれぞれ閉塞され、前記コイルユニット54に励磁電流が通電されて、図7中に示すように、該コイルユニット54に発生する磁力に基づき可動コア56が固定コア55側へと進出移動した際に、それぞれ開口するような位置関係をもって設けられている。 なお、図6、図7中に記載の矢印は、それぞれポンプ吐出油の流れを示している。

    ここで、本実施形態を含む本発明の各実施形態においては、前記可動コア56が、いわゆるアーマチュアと、従来の電磁弁においては前記アーマチュアとは別体に設けられている弁部材と、が一体に構成されたものとなっている。 これにより、これらを別部品とすることによって生ずる電磁弁全体の重量増や大型化を抑制して、電磁弁としての応答性の向上や省エネ化を図りつつ、ほぼ円筒状のような単純な形状とすることで、製造コストの低減化に供している。

    そして、かかる可動コア56の軸方向移動に基づき前記各弁孔67が開口した際は、連通孔65及び可動コア収容部51d内において弁体52と可動コア56とによって画成された環状空間Sと通路66とが連通することとなって、これらよって一連の油通路である第2油通路38が構成される。 かかる構成から、前記各弁孔67の開口時には、吐出油の一部が前記第2油通路38を通じて排出通路34bへと流通するようになっている。

    ここで、前記各弁孔67は、弁体52に対する可動コア56の相対位置に基づく可動コア56の弁部56bとのオーバーラップ量、つまり電磁弁50に対する通電量に基づいてその開口量が変化するようになっており、これによって、前記第2油通路38には、当該各弁孔67と前記可動コア56の弁部56bとにより可変オリフィスである第3オリフィス63が構成されている。

    このようにして、前記第2接続通路34上には、電磁弁50への導入通路34aと電磁弁50からの排出通路34bとの間に前記第2、第3オリフィス62,63が設けられ、これら固定オリフィスとしての第2オリフィス62と可変オリフィスとしての第3オリフィス63とによってポンプ吐出圧の可変制御を行うメータリングオリフィス60が構成されている。

    すなわち、前記メータリングオリフィス60においては、前記コイルユニット54に励磁電流が通電されていない状態では、可動コア56には固定コア55側への吸引力が作用せず、付勢部材58の付勢力によって当該可動コア56が図6中に示すような最後退位置にて保持されるため、第3オリフィス63は可動コア56の後端部により閉塞されたまま、第2オリフィス62のみを介して前記圧力室32が、前記排出通路34b、該排出通路34bから外部へと通ずる吐出通路34c及び該吐出通路34cと制御弁40の中圧室45とを連通する連通絞り34dを経て、前記中圧室45と連通することになる。

    これによって、前記メータリングオリフィス60としての流路断面積は最小となり、当該メータリングオリフィス60の上流側と下流側の圧力差、つまり制御弁40の高圧室44と中圧室45の差圧が大きくなることから、当該制御弁40において高圧室44の内圧がバルブスプリング43のばね力に打ち勝って弁体41を中圧室45側へ押しのけ、第1流体圧室20a内に高圧となるポンプ吐出圧が導入されることとなる。 この結果、当該第1流体圧室20aの内圧が高まり、カムリング17がロータ21に対する偏心量が減少する方向へ揺動することになるため、固有吐出量が減少することとなり、これに伴ってポンプ吐出量も減少する。 なお、ポンプ吐出量が減少すると、メータリングオリフィス60の上流側と下流側の圧力差が元に戻ることとなり、この結果、制御バルブ40も調圧位置に戻ってバランスすることとなる。

    一方で、前記コイルユニット54に励磁電流が通電された場合には、バルブボディ51側から固定コア55側へ向かう磁界が発生して可動コア56を固定コア55側へと引きつける吸引力が生じることとなり、図7に示すように、かかる吸引力に基づき可動コア56が付勢部材58の付勢力に抗して図中の右方向へ進出移動する。 これにより、第3オリフィス63が開口され、前記圧力室32は、第2オリフィス62に加え第3オリフィス63を介して排出通路34bと連通すると共に、該排出通路34bから吐出通路34c及び連通絞り34dを経て前記中圧室45とを連通することとなり、前記メータリングオリフィス60の流路断面積が第3オリフィス63の開口分だけ増大することになる。

    ここで、当該メータリングオリフィス60の流路断面積については、前述したように、コイルユニット54に供給される電流の増大に伴って連続的に増大するようになっていることから、コイルユニット54に供給される電流の増大に伴い、メータリングオリフィス60の上流側と下流側との圧力差が漸次減少することから、当該制御弁40において高圧室44の内圧とバルブスプリング43のばね力とによって弁体41が高圧室45側へと押圧され、第1流体圧室20a内には低圧となるポンプ吸入圧が導入されることとなる。 この結果、当該第1流体圧室20aの内圧が低下して、カムリング17がコイルばね25のばね力に負けてロータ21に対する偏心量が増大する方向へ揺動することとなるため、固有吐出量が増大することとなり、これに伴ってポンプ吐出量も増大する。 このようにして、前記オイルポンプ10は、電磁弁50を駆動制御することで、カムリング17のロータ21に対する偏心量を制御して、任意のポンプ吐出量を得ることが可能となっている。

    前記ケーシング53は、開口端部である一端部がポンプボディ51の他端側に外嵌されてカシメ等によって固定されている一方、他端部である底壁53aには、その中央位置に、固定コア55の内径よりも若干大きく設定され、所定の工具を外方から挿入することによって前記調整プラグ57を回転させるのに供される貫通孔53aが貫通形成されている。

    前記コイルユニット54は、その両端部にフランジを有するほぼ円筒状に形成され、前記両コア53,54の対向端部の外周側に嵌着されたボビン54aと、該ボビン54aの外周面に捲回されたコイル54bと、該コイル54bと共に前記ボビン54aの外周側を包囲するほぼ円筒状のヨーク54cと、から主として構成されている。 なお、前記コイル54bには、前記ケーシング53の底壁53aに嵌挿されたグロメット54dを介して前記電子コントローラ70から引き出されたハーネス54eが接続されている。

    前記固定コア55は、可動コア56との対向端面に、通電時の前記吸引作用によって可動コア56が固定コア55に引きつけられた際に当該可動コア56の先端部が嵌合する凹状の嵌合部55aが穿設されている。 この嵌合部55aは、可動コア56の先端部に対応する形状に形成されていて、可動コア56との当接時において、該可動コア56の先端面が前記嵌合部55aの内底面に当接するようになっている。 換言すれば、本実施形態では、いわゆるフラットな磁極をもって可動コア56が固定コア55に吸引される構造となっている。

    また、以上のような構成を有する前記電磁弁50は、図19中のグラフに太実線で示すように、当該電磁弁50への通電量が小さい状態では固有吐出量の変化の割合が小さく、当該電磁弁50への通電量が大きい状態において固有吐出量の変化の割合が大きくなる、といった当該電磁弁50への通電量に対する固有吐出量の変化の割合がいわゆる非線形となるような特性に設定されている。 なお、本実施形態では、かかる特性の設定が、前記各弁孔67を特徴的に配置することによって行われている。

    これについて、具体的に説明すれば、前記各弁孔67は、数種の異なる内径を有するものから構成されている。 なお、本実施形態では、前記各弁孔67として、特に図8、図9に示すように、3種類の異なる内径を有するもの(以下、小径孔67a、中径孔67b、大径孔67cという。)を設けた例を示している。

    これらの弁孔67a〜67cは、特に図9に示すように、同一の内径を有する弁孔については、前記弁体52において同一の軸方向位置に周方向に沿って所定間隔をもってほぼ等間隔をもって配置される一方、内径の異なる弁孔同士については、可動コア56の移動方向へ沿って内径の小さいものから順に弁体52の他端側へ向かって互いに周方向位置をずらした状態で配置されている。

    すなわち、前記各弁孔67a〜67cは、前記弁体52の所定の軸方向位置に、周方向に沿って前記各小径孔67aが形成され、該各小径孔67aが形成された軸方向位置から弁体52の他端側へ所定量L1だけオフセットさせた位置に、周方向に沿って前記各中径孔67bが形成され、該各中径孔67bが形成された軸方向位置からさらに弁体52の他端側へ所定量L2だけオフセットさせた位置に、周方向に沿って前記各大径孔67cが形成されている。 換言すれば、これらの弁孔67a〜67cは、可動コア56が固定コア55側へ移動した際に、最初に前記各小径孔67aが開口し、続いて前記各中径孔67bが開口して、最後に前記各大径孔67cが開口する、といったように内径の小さい弁孔から順に段階的に開口する位置関係をもってそれぞれ配列されている。

    これによって、前記可動コア56が、前記各弁孔67a〜67cのうち、内径の小さい側から大きい側へ、つまり前記各小径孔67a側から前記各大径孔67c側へ軸方向移動するほど流路断面積が拡大されて固有吐出量が増大し、反対に、当該可動コア56が前記各大径孔67c側から前記各小径孔67a側へ軸方向移動するほど流路断面積が縮小されて固有吐出量が減少するようになっている。

    以下、前記電磁弁50の具体的な通電量制御について、図10〜図12に示すフローチャートに基づいて説明する。

    前記電磁弁50の通電量制御を行うにあたって、まず、最初に、図10に示すフローチャートに基づいて当該電磁弁50の失陥についての判断を行う。

    この失陥判断処理は、ステップS101で、電磁弁50における現在の通電量Igを確認する。 そして、ステップS102において、現通電量Igが既定の適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっているか否かの判断を行う。

    ここで、前記現通電量Igが前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっていると判断された場合には、ステップS103にて、再判断処理回数Fngが0とされ、前記通電量制御に移行する。

    一方、前記現通電量Igが前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっていないと判断された場合において、当該現通電量Igが前記適正最小電流値Iminに満たないときは、その原因がノイズ等による一時的なものであって後記のフェール処理は不要なものであるか又は断線等の完全な失陥によるものであってフェール処理が必要なものであるかを確認すべく、ステップS111にて、再度、前記ステップS102の判断処理を行う。

    そして、前記ステップS111の再判断処理において、現通電量Igについて前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっていると判断された場合には、ステップS112にて、前記再判断処理回数Fngが1とされて、前記通電量制御に移行する一方、現通電量Igについて前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっていないと判断された場合には、次のステップS113に進んで前記ステップS102の判断処理が繰り返される。 そして、かかる再判断処理が任意の回数(本実施形態では5回)に達した場合には、後記のフェール処理に移行する。

    また、前記ステップS102において、前記現通電量Igが前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっていないと判断された場合において、現通電量Igが前記適正最小電流値Imaxを超えているときは、その原因がノイズ等による一時的なものであって後記のフェール処理は不要なものであるか又は過電流等の完全な失陥によるものであってフェール処理が必要なものであるかを確認すべく、ステップS121にて、再度、前記ステップS102の判断処理を行う。

    そして、前記ステップS121の再判断処理については、前述の現通電量Igが前記適正最小電流値Iminに満たないときと同様に行われ、当該再判断処理回数Fngが任意の回数(本実施形態では5回)未満で現通電量Igについて前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっていると判断された場合には、前記通電量制御に移行する一方、当該再判断処理回数Fngが前記5回に達した場合には、後記のフェール処理に移行する。

    続いて、前記電磁弁50についての失陥判断処理が行われた後に、当該電磁弁50に対する具体的な通電量制御が、図11に示すフローチャートに基づいて行われる。

    この電磁弁50の通電量制御においては、まず、ステップS201で前記車速センサ72により車速Vを検出する。 この車速Vは、後述するように、いわゆる操舵アシスト力と密接な関連があると共に、この操舵アシスト力は固有吐出量に基づくものであることから、当該車速Vに基づいて電磁弁50を制御することで、より適切な吐出流量制御に供される。

    続いて、ステップS202にて前記操舵角センサ71によって操舵角θを検出し、次ステップS203において、前ステップS202にて検出した前記操舵角θに基づいて単位時間sあたりの操舵角θである操舵角速度Vθ(|θ/s|)を算出する。 なお、この操舵角速度Vθも、後述するように、前記車速Vと同様、操舵アシスト力、つまりは固有吐出量と密接な関連があることから、当該操舵角速度Vθに基づいて電磁弁50を制御することによっても、より適正な吐出流量制御に供される。

    そして、ステップS204にて、図13又は図14に示すような吐出流量制御マップに基づいて必要なオイルポンプ10の固有吐出量Qを検索する。 なお、図13については、車速Vと固有吐出量Qとの関係に基づく吐出流量制御マップを示しており、図14については、操舵角速度Vθと固有吐出量Qとの関係に基づく吐出流量制御マップを示している。

    さらに、かかる吐出流量制御マップに基づいてオイルポンプ10の固有吐出量Qを検索した後、次のステップS205にて、前ステップS204にて検索した固有吐出量Qに基づき図19に示す仮目標通電量マップを検索する。

    続いて、次のステップS206において、前記仮目標通電量マップに基づいて検索した仮目標電流値Imが前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっているかどうかを判断する。

    ここで、前記仮目標電流値Imが前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっていると判断された場合には、ステップS207で当該仮目標電流値Imが目標電流値Ioとして設定される。

    一方、前記仮目標電流値Imが前記適正電流値の範囲Imin〜Imax内に収まっていないと判断された場合においては、当該仮目標電流値Imが適正最小電流値Iminに満たないときは、ステップS217にて目標電流値Ioは適正最小電流値Iminとされ、当該仮目標電流値Imが適正最大電流値Imaxを超えているときは、ステップS227にて目標電流値Ioは適正最小電流値Imaxとされる。

    そして、前記各ステップS207,S217,S227で設定された目標電流値IoがステップS208にて電磁弁50に出力され、前記電磁弁50についての失陥判断処理において、後記のフェール処理を行う判断がなされた場合には、図12に示すフローチャートに基づいて以下のフェール処理行われ、該フェール処理が不要である場合には、当該通電量制御処理は終了する。

    前記フェール処理については、ステップS301にて、前記目標電流値Ioが0とされて電磁弁50への通電が遮断され、ステップS302において、ワーニングランプの表示信号が出力される。

    このように、前記電磁弁50の異常を検知した場合には、前記フェール処理において電磁弁50への通電を遮断することによって当該電磁弁50による吐出流量制御を停止するようになっていることから、異常な吐出流量制御により操舵操作の安全性が損なわれるのを回避することができ、操舵操作の安全性の向上に供される。

    次に、前記オイルポンプ10の基本的な吐出流量制御について、図13及び図14に示す前記各吐出流量制御マップに基づいて説明する。

    前記パワーステアリング装置は、例えば車両を右左折させる場合等の低速走行時には、通常、比較的大きな転舵量が必要になり、このためには当該転舵量に相応する大きな操舵アシスト力が必要となる。 したがって、このような低速走行状態では、パワーステアリング装置においては、多くの吐出流量(固有吐出量Q)が必要とされる。

    反対に、高速走行時においては、大きな転舵量が必要となる場合は低速走行時と比べて少なく、また、その際の転舵速度である操舵角速度Vθもより緩やかになることから、パワーステアリング装置においては、前記低速走行時ほど大きな操舵アシスト力は必要とされない。 したがって、かかる高速走行状態にあっては、パワーステアリング装置において必要とされる吐出流量(固有吐出量Q)は、低速走行時と比較して少量で足りる。

    また、例えば駐車時等の極低速走行時には、より大きな転舵量が必要になると共に、そのときの操舵角速度Vθもより速くなることから、パワーステアリング装置による操舵アシスト力についてもより大きな力が必要となる。 したがって、このような極低速走行時には、パワーステアリング装置においては、より多くの吐出流量(固有吐出量Q)が必要とされる。

    このように、前記オイルポンプ10の固有吐出量Qは、図13の吐出流量制御マップに示すように、車速Vの増加に伴い小さくなるように制御される。 ここで、同図中の実線は、その線が太いほど操舵角速度Vθが高い状態を示しており、図中の上方側の操舵角速度Vθが高い状態では、パワーステアリング装置においてより多くの吐出流量(固有吐出量Q)が必要とされるため、当該オイルポンプ10の固有吐出量Qは、操舵角速度Vθの増加に伴い大きくなるように制御される。

    さらには、車速Vが低い状態ほど操舵角θは大きく、また、これに伴い操舵角速度Vθも大きくなることから、これによってパワーステアリング装置において必要とされる吐出流量(固有吐出量Q)も大きくなる。 このことから、当該固有吐出量Qの変化幅についても、図13中の左側の車速Vが低い領域における固有吐出量Qの変化幅Lw1の方が、同図中の右側の車速Vが高い領域における固有吐出量Qの変化幅Lw2よりも大きくなる。

    一方で、図14に示す吐出流量制御マップは、操舵角速度Vθを基準として構成されたものであり、前述のように、オイルポンプ10の固有吐出量Qは、操舵角速度Vθの増加に伴い大きくなるように制御されることが示されている。 なお、同図中の実線は、その線が太いほど車速Vが高い状態にあることを示しており、図中の下方へ向かって、つまり車速Vの増加に伴って固有吐出量Qが小さくなるように制御されることが示されている。

    次に、以上のように制御される電磁弁50を介して固有吐出量Qが制御される本実施形態に係るオイルポンプ10の特徴的な作用である前述の特異な弁孔67の配列に基づいたオイルポンプ10の固有吐出量Qの変化について、図15〜図19に基づいて説明する。 なお、ここで、各図中における電磁弁ストローク量Lとは、可動コア56が固定コア55に当接した状態を0とした場合における当該可動コア56の固定コア55からの離間量を意味している。

    まず、最初に、図15〜図17の内容について説明すれば、図15については、電磁弁ストローク量Lと付勢部材58の付勢力fとの関係を示しており、通電時に発生する吸引力F(以下「電磁弁吸引力F」という。)に抗する付勢部材58として、いわゆるコイルばねを用いていることから、同図中に示すように、電磁弁ストローク量Lの減少に伴って付勢部材58の付勢力fは線形的に増大することになる。

    また、図16については、電磁弁ストローク量Lと電磁弁吸引力Fとの関係を示しており、本実施形態では、固定コア55に対して可動コア56がフラットな磁極を介して吸引される構造であるため、同図中に複数の実線で示すように、当該電磁弁吸引力Fは、電磁弁50への通電量I(以下「電磁弁通電量I」という。)に応じて変化するものの、電磁弁50の使用域において、電磁弁ストローク量Lに対しては一定となる。 なお、図中に記載の各実線は、線が太いものほど電磁弁通電量Iが大きい状態を示している。

    さらに、図17については、電磁弁通電量Iと電磁弁ストローク量Lとの関係を示すものであって、上述したような付勢部材58の付勢力fと電磁弁吸引力Fとの関係から、当該電磁弁50においては、同図中に示すように、電磁弁通電量Iの増加に伴って電磁弁ストローク量Lが線形的に減少することとなる。

    かかる電磁弁50の特性から、当該電磁弁50に励磁電流が通電された場合、可動コア56は、電磁弁通電量Iの増加に伴って図17に示すような一定の割合で最後退位置X0から固定コア55側へ移動して、図18に示すように、電磁弁ストローク量Lが漸次減少することとなる。 ここで、図中の軸方向位置X1まで移動したとすると、前記各小径孔67aが開口することになる。 しかし、これらの小径孔67aは極小径に形成されていることから、当該各小径孔67aと可動コア56とによって構成される前記第3オリフィス63を通過する吐出油量は極めて少量となる。 このため、オイルポンプ10の固有吐出量Qはほとんど増大せずに、その変化の割合は極めて小さいものとなる。

    続いて、前記可動コア56が前記軸方向位置X1から軸方向位置X2まで移動したとすると、さらに前記各中径孔67bが開口することになる。 そうすると、第3オリフィス63を通過する吐出油量は、当該各中径孔67bの開口面積分だけ増大することになる。 これにより、オイルポンプ10の固有吐出量Qは、前記各小径孔67aのみが開口した状態と比べて若干増大することとなり、その変化の割合についても、前記各小径孔67aのみが開口した状態と比べて若干大きいものとなる。

    その後、前記可動コア56が前記軸方向位置X2から最大進出位置X3まで移動したとすると、さらに前記各大径孔67cが開口することになる。 そうすると、第3オリフィス63を通過する吐出油量は、当該各大径孔67cの開口面積分だけさらに増大することになる。 この結果、オイルポンプ10の固有吐出量Qは、前記各小、中径孔67a,67bのみ開口した状態に比べて格段に増大することとなり、その変化の割合についても、前記各小、中径孔67a,67bのみ開口した状態と比べて格段に大きいものとなる。

    このように、前記電磁弁50では、可動コア56の移動に伴って内径の異なる前記各弁孔67a〜67cが順時開口する構成となっていることから、当該可動コア56の軸方向移動量の変化量が線形であっても、第3オリフィス63の流路断面積の変化量は、図18に示すように、可動コア56のストローク量、つまり電磁弁ストローク量Lの減少量に対し非線形となる。 これにより、オイルポンプ10の固有吐出量Qは、図19中のグラフに太実線で示すように、非線形となる二次曲線的に増大することとなる。 この結果、同図中の前記二次曲線に対して細実線で追記した複数の接線で示すように、前記電磁弁通電量Iの変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合(図中の前記各接線の傾きΔQ)が、前記固有吐出量Qが大きい状態(ΔQ2)よりも小さい状態(ΔQ1)の方が小さくなる。

    また、前記電磁弁50に供給される通電量は操舵角の増大に伴って大きくなることから、言い換えれば、操舵角θ(操舵量)の変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合も、当該固有吐出量Qの大きい状態と比べて小さい状態の方が小さくなる。

    ここで、前記固有吐出量Qが小さい状態とは、前述のように、直進状態であるか、あるいは、操舵操作が行われてもその操舵角(転舵量)が少なく操舵角速度Vθが小さい状態であって、かかる状態は、車両の運転時において多くの割合を占める、いわばオイルポンプ10の常用域である。 そして、前記固有吐出量Qの変化の割合が小さいということは、当該固有吐出量Qがほとんど変化せず小さい状態が維持されることから、前記メータリングオリフィス60における圧力損失を最小限に抑えることができると共に、操舵アシスト力の過敏な変化を抑制することができる。

    したがって、本実施形態に係るオイルポンプ10にあっては、前記電磁弁50の特異な構成に基づき、前記固有吐出量Qが小さい状態、つまりオイルポンプ10の常用域において、電磁弁50の複雑な制御を伴うことなく簡素な機械的構造によって固有吐出量Qの変化の割合を小さくすることができ、省エネ化と操舵安定性の向上との両立を図ることが可能となる。

    そして、前記パワーステアリング装置においては、特に図13に示すような車速Vが高い状態、つまり高速走行状態において、固有吐出量Qが小さくなるように制御されることから、当該高速走行状態における固有吐出量Qの変化を穏やかなものとすることができる。 これによって、高速走行時における操舵安定性の向上が図れる。

    また、とりわけ、前記パワーステアリング装置においては、操舵角速度Vθが低い状態、換言すれば、操舵角θが小さい状態において、固有吐出量Qが小さくなるように制御されることから、当該操舵角θが小さい状態における固有吐出量Qの変化を穏やかなものとすることができる。 これによって、操舵角θが小さいいわゆる小転舵時における操舵安定性の向上も図れる。

    しかも、前記第3オリフィス63において、該第3オリフィス63の流路断面積は、可動コア56が小径孔67a側から大径孔67c側へ軸方向移動することに伴って大きくなるように構成されている、換言すれば、可動コア56が大径孔67c側から小径孔67a側へ軸方向移動することに伴って小さくなるように構成されていることから、前記固有吐出量Qが小さい状態においては、当該固有吐出量Qを前記各小径孔67aによって制御することができる。 このため、当該固有吐出量Qが小さい状態での吐出流量変化をより穏やかなものとすることが可能となり、前記高速走行時や小転舵時などにおける操舵安定性のさらなる向上に供される。

    また、前記オイルポンプ10では、電磁弁通電量Iが小さい状態において固有吐出量Qの変化の割合が小さくなるよう構成されていることから、電磁弁50への通電を遮断する場合にも、その前後における固有吐出量Qの変化(ギャップ)を小さくすることができる。 これによって、当該電磁弁50への通電を遮断する際に運転者に与える操舵違和感を抑制することができる。

    さらに、前記メータリングオリフィス60は、図20に示すように、固定オリフィスとしての第2オリフィス62と可変オリフィスとしての第3オリフィス63とによって構成したことから、電磁弁50に失陥等の異常が発生した場合であっても、同図中にて実線で示すように、第2オリフィス62によって操舵アシストに最低限必要な固有吐出量Qminを確保することができるため、操舵安定性の向上に供される。

    また、前記オイルポンプ10は、前記付勢部材58の付勢力fを調整することにより、図21中に破線にて示すように、前記固有吐出量Qが小さい状態の方がその変化量も小さいといった本実施形態に係る電磁弁50の特異な特性を維持しつつ、固有吐出量Qの最大値Qmax、つまりは当該固有吐出量Qの変化の幅を調整することができる。 なお、同図中では、曲線Z1は前記調整プラグ57を緩めて前記付勢力fを減少させた場合を示し、曲線Z2は調整プラグ57を締め込んで前記付勢力fを増大させた場合を示している。 しかも、この付勢部材58の付勢力fの調整は、調整プラグ57を軸方向に移動させるだけの簡単な作業により行えることから、前記固有吐出量Qの変化幅の調整を容易に行うことができる。

    図22〜図24は、本発明に係る第1実施形態の変形例を示しており、前記第1実施形態における電磁弁通電量Iに対する固有吐出量Qの変化が逆位相となるように、つまり電磁弁通電量Iの増大に伴って固有吐出量Qが漸次減少するように構成したものである。 なお、図22、図23では、電磁弁50の中心線より上側に、可動コア56が最後退位置にある状態を示し、当該中心線より下側に、可動コア56が最大進出位置にある状態を示している。

    本変形例に係る電磁弁50も、基本的な構成は前記第1実施形態と同様であり、異なるところは、図22及び図23に示すように、可動コア56の後端部に段差状に縮径する縮径部56cが設けられていて、該縮径部56cと可動コア収容部51dとの径方向間に、前記環状空間S及び連通孔65を介して環状通路64に臨む環状油路80が画成されている。

    さらに、この可動コア56は、前記縮径部56cの基端部の近傍に、周方向に連続して切欠形成された第1環状溝81が設けられていると共に、当該可動コア56の後端部側の内周面に、前記第1環状溝81と径方向において重合するように設けられた所定の溝幅を有する第2環状溝82が切欠形成されており、該第2環状溝82と前記第1環状溝81とは、前記重合部において互いに連通するようになっている。

    また、前記第2環状溝82は、所定の溝幅を有し、可動コア56の軸方向位置に応じて、後述するように配列された各弁孔67a〜67cと所定の位置関係をもって連通するようになっていて、この連通時には、連通孔65、環状空間S、環状油路80、第1、第2環状溝81,82、及び通路66によって一連の前記第2油通路38が構成されるようになっている。

    前記第2環状溝82と前記各弁孔67a〜67cとが連通する態様について具体的に説明すれば、本変形例では、前記各弁孔67a〜67cが前記第1実施形態とは逆順に配列されていて、可動コア56が最大進出状態にあるときに全ての弁孔67a〜67cが閉塞され、当該可動コア56が後退、つまり固定コア55から離間するに従って内径の小さい前記各小径孔67aから順に漸次開口するようになっている。

    すなわち、この変形例においては、図24に示すように、前記電磁弁通電量Iが最大となる電磁弁ストローク量Lが0のときに全ての弁孔67a〜67cが閉塞された状態となり、電磁弁通電量Iの減少に基づく電磁弁ストローク量Lの増大に伴って、前記各弁孔67a〜67cの開口量である第3オリフィス63の流路断面積が非線形となる二次曲線的に増大し、この結果、固有吐出量Qが二次曲線的に増大するようになっている。 このように、本変形例に係る電磁弁50は、同図中のグラフにて太実線で示すように、電磁弁通電量Iの増大に伴い固有吐出量Qが二次曲線的に漸次減少するようになっており、同図中に太破線で記載した前記第1実施形態の特性に対して逆位相となっている。

    したがって、この変形例においても、図24中の前記二次曲線に対して細実線で追記した複数の接線で示すように、電磁弁通電量Iの変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合(図中の前記各接線の傾きΔQ)が、前記固有吐出量Qが大きい状態(ΔQ2)よりも小さい状態(ΔQ1)の方が小さくなり、前記第1実施形態と同様の作用効果が奏せられることとなる。

    図25〜図30は、本発明に係る第2実施形態を示しており、前記第1実施形態の構成を基本として、前記電磁弁50の特性を、前記各弁孔67の配列ではなく、前記付勢部材58の弾性特性(ヤング率)によって設定するよう構成したものである。 以下、前記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。

    すなわち、本実施形態では、前記弁孔67が、図26に示すように、前記大径孔67cに相当する同一の内径を有する弁孔67が所定の軸方向位置に周方向へ複数配置されている。 これらの弁孔67は、電磁弁50の非通電時においては、可動コア56の弁部56bにより完全に閉塞され、当該電磁弁50が通電された際に、可動コア56の弁部56bの移動に伴って漸次開口するようになっている。

    そして、前記付勢部材58は、前記第1実施形態に係るコイルばねのようなヤング率が線形特性を有するものではなく、例えば皿ばねなど、ヤング率が非線形特性を有するもので構成されている。 なお、本実施形態では、図25に示すように、同一の形状をなす複数の皿ばね58aを、同じ径を有する端部同士を突き合わせるようにして軸方向へ沿って結合させたものが用いられている。

    かかる構成によれば、前記付勢部材58のヤング率が非線形的な特性となっていることから、図27に示すように、可動コア56の進出移動量、つまり電磁弁ストローク量Lの減少量に対して当該付勢部材58の付勢力fが非線形な二次曲線的に増大することとなる。 ここで、前記電磁弁吸引力Fは、前記第1実施形態と同様、電磁弁ストローク量Lの変化量に対し一定となるため、電磁弁通電量Iの変化量に対する電磁弁ストローク量Lの変化量も、前述した電磁弁ストローク量Lと前記付勢部材58の付勢力fの変化量の関係に基づき、図28に示すような二次曲線的なものとなる。

    このことから、本実施形態に係る電磁弁50の場合、前記コイルユニット54に励磁電流が通電されると、前記電磁弁通電量Iと電磁弁ストローク量Lとの関係から、可動コア56が前記非線形的な割合をもって固定コア55側へと移動することになる。 そうすると、前記各弁孔67は、電磁弁通電量Iに対して二次曲線的に増大する移動量に基づいて移動する可動コア56の弁部56bにより漸次開口されることになるため、その開口面積たる第3オリフィス63の流路断面積の増加の割合も、図29に示すような二次曲線的なものとなる。

    このようにして、固有吐出量Qは、図30中のグラフにて太実線で示すように、電磁弁通電量Iの増加に伴い二次曲線的に増大することとなり、かかる特性から、電磁弁通電量Iの変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合(図中の前記各接線の傾きΔQ)が、同図中の前記二次曲線に対して細実線で追記した複数の接線で示すように、固有吐出量Qが大きい状態(ΔQ2)よりも小さい状態(ΔQ1)の方が小さくなる。 なお、電磁弁50に供給される通電量は操舵角の増大に伴い大きくなることから、操舵角θ(操舵量)の変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合としても、当該固有吐出量Qの大きい状態よりも小さい状態の方が小さくなる。

    したがって、この実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の作用効果が奏せられるのは勿論のこと、とりわけ、本実施形態では、前記付勢部材58のヤング率を変更するのみでポンプの固有吐出量Qの変化の割合を変更することができるため、設計変更を行いやすいというメリットがある。

    図31〜図36は、本発明に係る第3実施形態を示しており、前記第2実施形態の構成を基本として、前記電磁弁50の特性を、前記付勢部材58の弾性特性ではなく、前記固定コア55と可動コア56の磁極の形状によって設定するよう構成したものである。 以下、前記第2実施形態と異なる点についてのみ説明する。

    すなわち、本実施形態では、前記付勢部材58に前記第1実施形態と同様のコイルばねを用いる代わりに、図31、図32に示すように、前記固定コア55と可動コア56のそれぞれの対向端部であるいわゆる磁極の形状がテーパ形状に形成されている。 具体的には、可動コア56の先端部外周に先細り状となるテーパ面56dが形成されていると共に、固定コア55における前記嵌合部55aの周壁が可動コア56の前記テーパ面56dに対応するテーパ面55b、つまりテーパ面56dとほぼ平行となるテーパ面55bとして形成されている。

    かかる構成によれば、前記両コア55,56のそれぞれの対向端部である磁極の形状がテーパ形状になっていることから、図33に示すように、電磁弁通電量Iの増加量に対して電磁弁吸引力Fが非線形的に、つまり二次曲線的に増大することとなる。 なお、同図中における各実線は、線が太いものほど電磁弁通電量Iが大きい状態を示している。 ここで、前記付勢部材58の付勢力fは、前記第1実施形態と同様、電磁弁ストローク量Lの増加に伴い線形的に増大することになるため、電磁弁通電量Iの変化量に対する電磁弁ストローク量Lの変化量も、前述した電磁弁通電量Iの変化量に対する電磁弁吸引力Fの変化量の関係に基づき、図34に示すような二次曲線的なものとなる。

    このことから、本実施形態に係る電磁弁50の場合、前記コイルユニット54に励磁電流が通電されると、前記電磁弁通電量Iと電磁弁吸引力Fとの関係から、可動コア56が前記非線形的な割合をもって固定コア55側へと移動することになる。 そうすると、前記各弁孔67は、電磁弁通電量Iに対して二次曲線的に増大する移動量に基づいて移動する可動コア56の弁部56bにより漸次開口されることとなるため、その開口面積たる第3オリフィス63の流路断面積の増加の割合も、図35に示すような二次曲線的なものとなる。

    このようにして、固有吐出量Qは、図36中のグラフにて太実線で示すように、電磁弁通電量Iの増加に伴い二次曲線的に増大することとなり、かかる特性から、電磁弁通電量Iの変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合(図中の前記各接線の傾きΔQ)が、同図中の前記二次曲線に対して細実線で追記した複数の接線で示すように、固有吐出量Qが大きい状態(ΔQ2)よりも小さい状態(ΔQ1)の方が小さくなる。 なお、電磁弁50に供給される通電量は操舵角の増大に伴い大きくなることから、操舵角θ(操舵量)の変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合としても、当該固有吐出量Qの大きい状態よりも小さい状態の方が小さくなる。

    したがって、この実施形態のように、電磁弁通電量Iの変化量に対し電磁弁吸引力Fが非線形となるように構成することによっても、前記第1実施形態と同様の作用効果が奏せられるのは勿論のこと、とりわけ、本実施形態では、前記両コア55,56の磁極のテーパ角を変更するのみによってポンプの固有吐出量Qの変化の割合を変更することができるため、設計変更を行いやすいというメリットがある。

    図37〜図39は、本発明に係る第4実施形態を示しており、前記第1実施形態の構成を基本として、前記第1実施形態に係る弁体5と第1油通路37を廃止して、バルブボディ51と可動コア56によって前記第2、第3オリフィス62,63を形成するように構成したものである。 なお、図37、図38では、電磁弁50の中心線より上側に、可動コア56が最後退位置にある状態を示し、当該中心線より下側に、可動コア56が最大進出位置にある状態を示している。 以下、前記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。

    すなわち、本実施形態では、図37に示すように、前記可動コア56の軸方向の長さが前記第1実施形態と比べて若干長尺化されると共に、当該可動コア56の後端部が段差状に縮径された縮径部56eとして形成され、可動コア56が最後退位置にあるときに、前記縮径部の56eの先端部が弁体収容孔51a内に嵌挿されるように構成されている。

    前記縮径部56eは、図38に示すように、その外径が弁体収容孔51aの内径よりも僅かに小さく設定されており、可動コア56が最後退位置にあるときは、当該縮径部56eと弁体収容孔51aとの間には、微小となる所定の径方向隙間Cからなるポンプ吐出油の流路が形成されるようになっている。 なお、同図中に記載した矢印は、ポンプ吐出油の流れを示している。

    ここで、本実施形態においては、前記第1実施形態に係る弁体52を廃止したことにより、前記弁体収容孔51a自体が前記通路66を構成するようになっていて、前記連通孔65、可動コア収容部51d内に前記縮径部56eにより画成された環状空間S、前記径方向隙間Cからなる流路、及び通路66によって一連の前記第2油通路38が構成されていると共に、一定の横断面積を有する前記径方向隙間Cからなる流路が、固定オリフィスである前記第2オリフィス62として機能するようになっている。

    また、前記縮径部56eには、可動コア56が最後退位置にあるときに弁孔収容孔51a内に嵌挿される先端部外周に、所定の半径に設定された縦断面円弧状の球状部56fが設けられており、可動コア56が進出移動した際には、前記球状部56fと弁体収容孔51aの内端側の孔縁との間に形成される径方向隙間C'によってポンプ吐出油の流路が構成されることとなる。 そして、この径方向隙間C'からなる流路は、前記球状部56fの先細り形状に基づき可動コア56の進出移動量に伴って漸次増大するようになっていることから、本実施形態では、当該径方向隙間C'からなる流路が、可変オリフィスである前記第3オリフィス63として機能するようになっている。

    かかる構成によれば、前記コイルユニット54に励磁電流が通電された際には、可動コア56は通電量に対して線形的なストローク量をもって移動することになるが、前記球状部56fの形状から、電磁弁ストローク量Lの変化量に対する第3オリフィス63の流路断面積の開口量、すなわち電磁弁通電量Iの変化量に対する固有吐出量Qの変化量は、図39に示すように、二次曲線的なものとなる。

    この結果、ポンプの固有吐出量Qは、図36中のグラフにて太実線で示すように、電磁弁通電量Iの増加に伴い二次曲線的に増大することとなり、かかる特性から、電磁弁通電量Iの変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合(図中の前記各接線の傾きΔQ)が、同図中の前記二次曲線に対して細実線で追記した複数の接線で示すように、固有吐出量Qが大きい状態(ΔQ2)よりも小さい状態(ΔQ1)の方が小さくなる。 なお、電磁弁50に供給される通電量は操舵角の増大に伴い大きくなることから、操舵角θ(操舵量)の変化量に対する固有吐出量Qの変化の割合としても、当該固有吐出量Qの大きい状態よりも小さい状態の方が小さくなる。

    したがって、この実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の作用効果が奏せられるのは勿論のこと、とりわけ、本実施形態では、前記弁体52の廃止によって部品点数が削減できると共に、前記第1油通路37の廃止によって加工工数の削減も図れるため、製造コストの低廉化に寄与することができる。 また、前記球状部56fの半径を変更するのみによってポンプの固有吐出量Qの変化の割合を変更することができるため、設計変更を行いやすいというメリットもある。

    本発明は、前記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、電磁弁50の取付位置や該電磁弁50内における第1、第2油通路37,38の取り回し等は、パワーステアリング装置や車両の仕様等に応じて自由に変更することができる。

    また、前記各実施の形態では、操舵角速度については、前記舵角センサ71の検出値を微分することによって算出しているが、操舵角速度を直接検出するように構成してもよい。

    11…ポンプボディ(ポンプハウジング)
    12…ポンプ要素収容部13…カバー部材(ポンプハウジング)
    15…駆動軸17…カムリング18…ポンプ要素50…電磁弁(ソレノイド)

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