Method of estimating service life of rotating machine, and manufacturing device having rotating machine

申请号 JP2002287944 申请日 2002-09-30 公开(公告)号 JP2004124765A 公开(公告)日 2004-04-22
申请人 Toshiba Corp; 株式会社東芝; 发明人 SAMATA SHUICHI; USHIKU YUKIHIRO; NAKAO TAKASHI; FURUHATA TAKEO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method of estimating a service life of a stable and accurate rotating machine having high sensitivity.
SOLUTION: This method of estimating a service life of a rotating machine includes a step for determining a starting time of the abnormal condition just before the rotating machine for a monitor is stopped on the basis of a monitor time series data about a characteristic rate of the rotating machine for a monitor, which is used in a manufacturing process for a monitor, and for statistically analyzing the monitor time series data to obtain a value at the characteristic rate abnormal condition starting time as a threshold value of the determination of abnormality, a step for measuring the time series data of the characteristic rate of the motor current of the rotating machine to be diagnosed during the manufacturing process, a step for forming the diagnosis data for evaluation from the time series data, of which characteristic rate is fluctuated during the manufacturing process, and a step for determining the time when the diagnosis data for evaluation exceeds the threshold value as a service life of the rotating machine to be diagnosed.
COPYRIGHT: (C)2004,JPO
权利要求
  • モニタ用製造工程に用いたモニタ用回転機の特徴量のモニタ時系列データから、前記モニタ用回転機が停止する直前の異常状態の開始時刻を判定し、前記モニタ時系列データを統計的に解析して、前記特徴量の前記異常状態の開始時刻での値を異常判断の閾値として求めるステップと、
    診断対象回転機のモータ電流の特徴量の時系列データを製造工程中に測定するステップと、
    前記製造工程中に前記特徴量が変動する前記時系列データから、評価用診断データを作成するステップと、
    前記評価用診断データが前記閾値を越えた時刻を前記診断対象回転機の寿命を判定するステップとを含むことを特徴とする回転機の寿命予測方法。
  • 前記閾値が、マハラノビス距離から決定されることを特徴とする請求項1に記載の回転機の寿命予測方法。
  • 前記モータ電流の特徴量が、前記製造工程中に発生する電流ピーク数を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転機の寿命予測方法。
  • 前記評価用診断データが、前記異常状態になる前の正常状態において前記閾値を越えて、異常と誤診断される過誤の危険率が相違する複数の前記特徴量より作成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転機の寿命予測方法。
  • 前記モータ電流の電源による変動が、前記診断対象回転機のモータ電圧及びモータ電力のうち少なくとも一つをモニタして選別されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転機の寿命予測方法。
  • 製造工程を行う診断対象回転機と、
    前記診断対象回転機のモータ電流の特徴量の時系列データを前記製造工程中に測定する測定ユニットと、
    前記製造工程中に前記特徴量が変動する前記時系列データから、評価用診断データを作成し、前記評価用診断データが、モニタ用回転機の特徴量のモニタ時系列データから統計的に求められた閾値を越えた時刻を前記診断対象回転機の寿命と判定するデータ処理ユニットとを備えることを特徴とする製造装置。
  • 前記測定ユニットが、前記診断対象回転機のモータ電圧及びモータ電力を測定する電圧計及び電力計のうち少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項6に記載の製造装置。
  • 前記診断対象回転機が、半導体製造装置用のドライポンプであることを特徴とする請求項6又は7に記載の製造装置。
  • 前記データ処理ユニットが、ローカルエリアネットワーク上のコンピュータに備えられることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造装置。
  • 前記データ処理ユニットが、コンピュータ統合生産システム上のデータ処理システムに備えられることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造装置。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は製造装置用回転機の寿命の予測・診断技術に係り、特に真空ポンプ等の回転機の寿命の予測方法、及びこの回転機を有する製造装置に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    半導体デバイスの製造を効率的に行うために半導体製造装置の故障診断が重要になって来ている。 また、近年、システムLSIでは特に少量多品種生産の傾向が強まり、これに対応した小回りの利く効率的な半導体デバイスの製造方法が必要になって来た。 効率的な半導体生産には小規模の生産ラインを用いることがある。 しかし、大規模生産ラインを単に小さくしただけでは製造装置の稼働率低下等の問題が発生するため投資効率が低下する問題がある。 この対策としては複数の製造工程を一つの製造装置で行う方法があるが、例えばドライポンプを排気系に用いている減圧化学気相成長(LPCVD)装置ではプロセスの種類の相違により反応ガスや反応生成物が異なり、ドライポンプ内部での生成物の発生状況が異なる。 このため、プロセスの種類が変わると、寿命が変動してしまう。
    【0003】
    製造プロセス中にドライポンプが停止すると、製造中のロットが不良になってしまうだけではなく、製造装置内部に微小ダストが発生する。 そのため、製造装置に余分なメンテナンスが必要になり、半導体デバイスの製造効率が大幅に低下する。 このプロセス中の突然の停止を防止するために、ポンプのメンテナンス時間に余裕を見るとポンプのメンテナンス頻度が膨大になる。 更に、メンテナンスコストの増加だけでなくポンプ交換による半導体製造装置の稼働率低下が顕著になるため、半導体デバイスの製造効率が大幅に低下してしまう。 効率良い小規模生産ラインに必要な装置の共用化を実現するためには、ドライポンプの寿命を的確に診断し、寿命ぎりぎりまでポンプを使用することが必要である。 したがって高精度の寿命予測が必須となる。
    【0004】
    ドライポンプの寿命診断方法は現在までにいくつかの方法が提案されている。 基本的にはドライポンプの状態をモータ電流、振動、温度で把握し、これらの状態量の変化から寿命を予測するという方法がとられてきた(例えば、特許文献1参照)。 特に、ドライポンプの寿命診断方法として、複数の状態量の基準値からのずれをニューラルネットワークを用いて解析する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
    【0005】
    【特許文献1】
    特開2000−283056号公報(第3−5頁、第1図)
    【0006】
    【特許文献2】
    特開2000−64964号公報(第3−4頁、第1図)
    【0007】
    【発明が解決しようとする課題】
    ドライポンプのモータ電流推移により寿命予測を行う場合、ガス流量等のプロセス条件、あるいは電源電圧変動の影響を受けるため、感度や精度のよい安定した寿命予測が困難であるという問題があった。
    【0008】
    このように、モータ電流を用いる従来のドライポンプの寿命予測方法では精度や安定性に問題があり、より高感度で安定した高精度の寿命予測方法の確立が望まれていた。
    【0009】
    本発明は、このような課題を解決し、高感度で安定した高精度の回転機の寿命予測方法、及びこの回転機を有する製造装置を提供することを目的とする。
    【0010】
    【課題を解決するための手段】
    上記課題を解決するため、本発明の第1の特徴は、(イ)モニタ用製造工程に用いたモニタ用回転機の特徴量のモニタ時系列データから、モニタ用回転機が停止する直前の異常状態の開始時刻を判定し、モニタ時系列データを統計的に解析して、特徴量の異常状態の開始時刻での値を異常判断の閾値として求めるステップと、(ロ)診断対象回転機のモータ電流の特徴量の時系列データを製造工程中に測定するステップと、(ハ)製造工程中に特徴量が変動する時系列データから、評価用診断データを作成するステップと、(ニ)評価用診断データが閾値を越えた時刻を診断対象回転機の寿命と判定するステップとを含む回転機の寿命予測方法であることを要旨とする。
    【0011】
    本発明の第1の特徴によれば、高感度で安定した高精度の回転機の寿命予測方法を提供することができる。
    【0012】
    本発明の第1の特徴において、閾値が、マハラノビス距離から決定されることが好ましい。 また、モータ電流の特徴量が、製造工程中に発生する電流ピーク数を含むことが好ましい。 電流ピークは、診断対象回転機の停止直前になって発生するため高感度に寿命を診断できる。 また、評価用診断データが、異常状態になる前の正常状態において閾値を越えて、異常と誤診断される過誤の危険率が相違する複数の特徴量より作成されることが好ましい。 過誤の危険率の高い特徴量により回転機停止の予兆を診断し、過誤の危険率の低い特徴量により回転機の寿命を予測すればよい。 更に、モータ電流の電源による変動が、診断対象回転機のモータ電圧及びモータ電のうち少なくとも一つをモニタして選別されることが好ましい。
    【0013】
    本発明の第2の特徴は、(イ)製造工程を行う診断対象回転機と、(ロ)診断対象回転機のモータ電流の特徴量の時系列データを製造工程中に測定する測定ユニットと、(ハ)製造工程中に特徴量が変動する時系列電流データから、評価用診断データを作成し、評価用診断データが、モニタ用回転機の特徴量のモニタ時系列データから統計的に求められた閾値を越えた時刻を診断対象回転機の寿命と判定するデータ処理ユニットとを備える製造装置であることを要旨とする。
    【0014】
    本発明の第2の特徴によれば、高感度で安定した高精度の寿命予測ができる回転機を有する製造装置を提供することができる。
    【0015】
    本発明の第2の特徴において、測定ユニットが、診断対象回転機のモータ電圧及びモータ電力を測定する電圧計及び電力計のうち少なくとも一つを備えることが好ましい。 モータ電圧及びモータ電力より電源変動を選別できる。 また、診断対象回転機が、半導体製造装置用のドライポンプであることが好ましい。 また、データ処理ユニットが、ローカルエリアネットワーク上のコンピュータに備えられる手もよい。 あるいは、データ処理ユニットが、コンピュータ統合生産システム上のデータ処理システムに備えられてもよい。
    【0016】
    【発明の実施の形態】
    以下図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。 以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。 但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。 したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。 また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
    【0017】
    本発明の実施の形態に係る半導体製造装置としてのLPCVD装置は、図1に示すように、CVDチャンバ1を真空排気するドライポンプ3(回転機)と、ドライポンプ3の寿命を予測する寿命予測システム39を備えている。
    【0018】
    寿命予測システム39は、各種のドライポンプ3の特徴量を測定する測定ユニット7と、特徴量の時系列データを評価用診断データとして作成して、ドライポンプ3の寿命を予測するデータ処理ユニット7等を備えている。
    【0019】
    更に、測定ユニット6は、ドライポンプ3のモータ電流、モータ電圧、及びモータ電力を測定する電流計61、電圧計62、及び電力計63と、ドライポンプ3のボディに取り付けられて、振動を測定する振動計64と温度を測定する温度計65等を備えている。 本発明の実施の形態においては、主にドライポンプ3のモータ電流推移を測定してドライポンプ3の寿命を診断し予測する。 電流計61で測定されたモータ電流は、測定ユニット6において弱電信号に変換され、データ処理ユニット7に出力される。 データ処理ユニット7では、弱電信号をAD変換して、モータ電流の特徴量の時系列データを評価用診断データとして作成し寿命の診断を行う。
    【0020】
    LPCVD装置のCVDチャンバ1にはガス配管51、52、53が接続されている。 このガス配管51、52、53には、CVDチャンバ1に導入される種々の原料ガス及びキャリアガスを制御するためのマスフローコントローラ41、42、43がそれぞれ接続されている。 つまり、マスフローコントローラ41、42、43によって、その流量が制御された原料ガス等は、ガス配管51、52、53を通って一定の減圧化のCVDチャンバ1に導入される。 CVDチャンバ1は外気遮断と雰囲気を保持することが可能なような密閉構造をしている。 CVDチャンバ1の内部をドライポンプ3で真空排気するために、CVDチャンバ1の排気側には真空配管32が接続され、この真空配管32の排気側にゲートバルブ2が接続されている。 ゲートバルブ2の排気側には更に他の真空配管33が接続されている。 真空配管33の排気側にドライポンプ3の吸気側が接続されている。 ゲートバルブ2は必要に応じてCVDチャンバ1とドライポンプ3を分離し、或いは排気コンダクタンスを調整する。 そして、ドライポンプ3はCVDチャンバ1に導入された未反応の原料ガス及び反応副生成物を排気するために用いられている。
    【0021】
    図1に示すLPCVD装置を用いて、例えば、シリコン窒化膜(Si 膜)を成膜する場合は、減圧状態にされたCVDチャンバ1に、六塩化ニ珪素(Si Cl )ガスをマスフローコントローラ41を介して導入し、アンモニア(NH )ガスをマスフローコントローラ42を介して導入する。 そして、CVDチャンバ1の内部でシリコン(Si)基板を加熱し、六塩化ニ珪素ガスとアンモニアガスとの化学反応により、シリコン基板上にSi 膜を成膜する。 この化学反応は、Si 膜を生成するとともに、反応副生成物として塩化アンモニウム(NH Cl)ガス及び素(H )ガスを発生する。 水素は気体であり、ドライポンプ3によって排気される。 塩化アンモニウムは、生成時においては、反応炉内が650℃程度の高温下及び数100Pa若しくはサブ数100Pa以下の減圧下であるために、気体状である。 図示を省略しているが、通常,LPCVD装置には、固体の反応副生成物を捕集するトラップがCVDチャンバ1とドライポンプ3との間に設置されている。 トラップは、圧力が低いため、反応副生成物の完全な捕集は不可能である。 捕集しきれない反応副生成物は、ドライポンプ3まで到達する。 ドライポンプ3では、気体の圧縮によって0.1Pa程度から大気圧まで圧力が増加する。 反応副生成物は、状態図における昇華曲線に従って、低圧下では気体として存在するが、より高圧化で固化を始める。 ポンプ内部では、ガスの圧縮が繰り返され,数100Paの圧力から大気圧まで圧力が変化していくために、排気ガス中のガス状反応副生成物は、圧力上昇とともにドライポンプ3の内部で固化し始める。 ドライポンプ3の配管内で固化し始めると、わずかであるが堆積物が回転軸を弾性変形させる。 その結果として、ドライポンプが故障することにつながる。
    【0022】
    図2に示すように、第1の実施の形態に係る半導体製造装置(LPCVD装置)に用いるドライポンプ3は、3枚の羽根がついた2つのロータ10a、10bがそれぞれ回転軸11a、11bで回転する構造である。 ドライポンプ3は、ボディ13、ボディ13の吸気側に設けられた吸気フランジ14、及び、ボディ13の排気側に設けられた排気フランジ15を有している。 CVDチャンバ1からゲートバルブ2を通ってきたガス流は、吸気フランジ14よりドライポンプ3内に入る。 ドライポンプ3内に入ったガスは2つのロータ10a、10bが回転軸11a、11bで回転することにより圧縮される。 圧縮されたガスは排気フランジ15より排気される。
    【0023】
    ロータ10a、10bはモータで回転させる。 反応副生成物がドライポンプ3内部に発生する状況で使用する場合、反応副生成物の蓄積量が限界を超えるとロータ10a、10b間、あるいはロータ10a、10bとボディ13内壁間で反応副生成物が擦れ、最後にはロータ10a、10bが停止する。 ロータが停止するほど反応副生成物の蓄積量が多くない場合は、モータ負荷が増加するため、モータ電流が増加する。 モータ電流増加はドライポンプ3内部の反応副生成物の蓄積量が増えるほど大きくなる。 反応副生成物の蓄積後のモータ電流推移では、図3に示すように、成膜ステップでのモータ電流増加に加え、大小の電流ピークの増加が観察される。 特に、モータ電流の大ピークは、ポンプ停止直前になって急増する。 反応副生成物の蓄積量が増えると大きな塊がロータ10a、10bとボディ13内壁間などですり潰される現象が起こるため、短時間でモータ電流が増加し、電流ピークが見られるようになる。 モータ電流増加や電流ピーク数等の特徴量に対して、ドライポンプ3停止から一定時間前を異常状態として、正常状態との境界を統計的手法を適用して求めて、寿命判断の閾値とする。 このようにして、反応副生成物の詰りに起因するドライポンプ3の寿命が予測可能になる。
    【0024】
    成膜ステップでのモータ電流の増加は、ガス種、ガス流量、あるいは温度等の成膜条件に依存して一定時間後から起こる。 例えば、六塩化ニ珪素ガス;50sccm、アンモニアガス;1000sccm、成膜温度;650℃の成膜条件で、ドライポンプ3のモータ電流の推移を測定した結果、図4に示すように、反応ガスをCVDチャンバ1に流入してから約10分後にドライポンプ3のモーター電流増加が確認された。 この例では、ドライポンプ3内部には、既に反応副生成物が数μm以上蓄積している。 例えば、図5に示すように、成膜ステップ開始後、短時間で成膜が終了する成膜条件ではモータ電流の増加は観察されない。 したがって、モータ電流の増加を寿命診断データとして用いる場合は、所定時間以上の成膜ステップでモータ電流データを測定する必要がある。
    【0025】
    寿命予測に用いることができるモータ電流の特徴量には、成膜ステップでの電流最大値、電流増加値(増加部分の合計)、及び電流ピーク数等がある。 電流ピークは、ピーク値により発生数推移が異なるため、一定値より大きい「大ピーク」と小さい「小ピーク」に分けて寿命の診断に用いることが必要である。 また、モーター電流は電源変動の影響を受けるため、電源変動の影響を取り除く必要がある。 そのため、モータ電圧及びモータ電力をモータ電流と同時に電圧計62及び電力計63で測定し、電圧変動あるいは電力変動と同期した電流変動を電源変動の影響として除去する。
    【0026】
    ドライポンプ3の寿命の診断では、判定基準となる閾値の決め方が重要である。 通常は、モータ電流値の変動が大きくなる時点での値を用いている。 図4に示したデータでは、ドライポンプ3停止2日前から電流最大値の増加速度が上昇している。 そこで、例えば、ドライポンプ3停止の3日前の電流最大値を閾値とする。 モータ電流の増加が認められる成膜時間10分以上の成膜ステップにおいて、ドライポンプ3の電流最大値の時系列データをドライポンプ3が停止するまで測定した。 その結果、ドライポンプ3停止の1週間以上前に特徴量の電流最大値が閾値を越える場合があることが判った。
    【0027】
    閾値は、上記した電流値変動から決める方法のほかに、反応副生成物の詰りによるドライポンプ3停止から一定時間前の間を異常状態、それ以前を正常状態として、閾値を設定する方法がある。 異常状態と正常状態の境界での特徴量の値を統計的手法で求めるのが精度が高い。 例えば、成膜ステップでのモータ電流の特徴量がドライポンプ3停止前に大きく変化する場合は、この変化後を異常状態として、正常状態との境界を定めれば一層精度が上がる。 正常状態と異常状態の境界の特徴量の閾値を、例えばマハラノビス距離等の統計的手法で求めるとよい。 マハラノビス距離を利用するには、マハラノビス空間の取り方がキーになる。 本発明の実施の形態では、マハラノビス空間は、LPCVDの成膜ステップの特徴量としてモータ電流変動だけでなく、モータ電圧、モータ電力、ドライポンプ3の振動及び温度等の時系列データが用いられる。 例えば、ドライポンプ3の状態を評価するデータの3日前の特徴量の時系列データを「基準用時系列振動データ」として用い、3日間でのマハラノビス距離の変化の推移を調べることにより、成膜条件の変動の影響を除外することができる。
    【0028】
    マハラノビス距離を用いて成膜ステップでのモータ電流の電流最大値の閾値X1を求めている。 ここで、ドライポンプ3の正常状態と異常状態の境界を、モータ電流の増加が顕著となるドライポンプ3停止の2日前としている。 同様にして、成膜ステップでのモータ電流の小ピーク数、及び大ピーク数についてもマハラノビス距離を用いて閾値Y1及びZ1を求めている。 図6〜図8には、正常状態及び異常状態における電流最大値、小ピーク数及び大ピーク数の分布が箱髭図を用いて示されている。 電流最大値、小ピーク数及び大ピーク数の分布の中央値は、いずれも正常状態では閾値以下で、異常状態で閾値を越えていることがわかる。 このように、マハラノビス距離を用いて設定された閾値を用いてドライポンプ3の寿命の診断あるいは予測が可能である。 電流最大値及び小ピーク数では、図6及び図7に示されているように、正常状態の第3四分位数が閾値X1及びY1を越え、また、異常状態の第1四分位数が閾値X1及びY1以下となっている。 実際、電流最大値及び小ピーク数は、ドライポンプ3停止の4日前、及び1週間前に異常状態判定の閾値X1及びY1を越えるようになることが確認されている。 一方、大ピークは、図8に示されているように、正常状態ではほとんど発生せず、異常状態になって急激に増加していることがわかる。 大ピーク数は、ドライポンプ3停止の2日以内で閾値Z1を越えるようになる。
    【0029】
    ドライポンプ3内部の反応副生成物の蓄積が均一に増加するわけではないので、モータ電流の電流最大値や小ピーク数、大ピーク数に変動が発生する。 そのため、閾値の設定方法や解析対象とする特徴量によっては予測精度に差が出ることになる。 例えば、図7の小ピーク数では、異常状態と正常状態の境界が明確でなく、検定における第1種の過誤の危険率(αリスク)が5%以上、第2種の過誤の危険率(βリスク)が10%以上となっている。 そのため、正常状態において評価用診断データが閾値を越えてしまい、異常と誤判断する可能性が高い。 したがって、小ピーク数では、ドライポンプ3内部の反応副生成物の蓄積状況をモニタして異常の予兆を捕らえ、境界が明確な特徴量、例えば大ピーク数で寿命を判断すると、寿命予測の精度が一層高まる。 本発明の実施の形態において、成膜ステップでのモータ電流の電流最大値、小ピーク数及び大ピーク数の3種の特徴量の評価用診断データを用い、異常判断の閾値をマハラノビス距離から求めることで、1週間前から2日前までのドライポンプ3の寿命予測が可能となる。
    【0030】
    次に、図9に示すフローチャートを用いて、本発明の実施の形態に係る製造装置用回転機の寿命予測方法を説明する。 具体的には、Si 薄膜を形成するLPCVD装置に用いられるドライポンプ3の寿命を予測する。
    【0031】
    (イ)まず、ステップS101では、LPCVD装置のドライポンプ3の寿命予測に用いる異常判断の閾値を設定する。 閾値の算出には、モニタ用ドライポンプ(モニタ用回転機)3で測定されたモータ電流の時系列データを用いる。 例えば、成膜ステップでの電流最大値、小ピーク数及び大ピーク数等の異常判断の閾値をマハラノビス距離より求める。
    【0032】
    (ロ)次にステップS102において、電流計61により、診断対象となるドライポンプ(診断対象回転機)3の成膜ステップでのモータ電流の時系列データをサンプリング測定する。 例えば、サンプリング測定間隔は1秒である。 電流計61で測定されたモータ電流を、測定ユニット6において弱電信号に変換し、データ処理ユニット7に出力する。
    【0033】
    (ハ)ステップS103において、データ処理ユニット7では、弱電信号をAD変換して、特徴量の時系列データを評価用診断データとして作成する。 特徴量は、例えば、電流最大値、小ピーク数及び大ピーク数である。
    【0034】
    (ニ)その後、ステップS104において、データ処理ユニット7により、評価用診断データを閾値と比較してドライポンプ3の寿命が判断される。 評価用診断データがすべて閾値以下であれば、引き続き測定を繰り返す。 また、小ピーク数と電流最大値の一方又は両方だけが閾値を越えている場合は、異常の予兆とし、引き続き測定を繰り返す。
    【0035】
    (ホ)そして、小ピーク数、電流最大値及び大ピーク数の評価用診断データが共にそれぞれの閾値を越えている場合は、ステップS105で、寿命予測システム39は、LPCVD装置に付随する表示装置、表示パネル、若しくは表示ランプにポンプ停止直前(寿命)の表示を行う。
    【0036】
    本発明の実施の形態に係る半導体製造装置の寿命予測方法によれば、高感度で安定に精度良く異常の予兆及び寿命を捕らえることができる。
    【0037】
    (その他の実施の形態)
    上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。 この開示から当業者にはさまざまな代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
    【0038】
    本発明の実施の形態では、異常状態、正常状態の境界を決めるのにマハラノビス距離を用いたが、その他にも、例えばt検定やχ 検定などの統計的方法であれば同様の効果が得られる。
    【0039】
    また、ドライポンプ3の寿命を予測する解析は本発明の実施の形態では、LPCVD装置に付随する寿命予測システム39のデータ処理ユニット7で実施したが、寿命判定解析はLPCVD装置の他のコンピュータで行ってもよい。 例えば、ドライポンプ3の制御装置(図示省略)に内蔵してもよい。 また、図10に示すように、本発明の他の実施の形態に係る半導体生産システムは、ローカルエリアネットワーク(LAN)71に半導体製造装置70、コンピュータ77、コンピュータ統合生産システム(CIM)72等が接続されている。 CIM72は、サーバ73、データ処理システム74あるいは外部記憶装置75等が接続されている。 測定された時系列加速度データをLAN71を介して伝送し、CIM72上のデータ処理システム74で寿命判定解析を実施してもよい。 また、LAN71上のコンピュータ77や、CIM72上のサーバ73あるいは他のコンピュータで寿命判定解析を実施してもよい。 さらに、寿命判定解析用の特徴量の時系列データをCIM72上の外部記憶装置75に格納してもよい。
    【0040】
    また、上記において、六塩化2珪素ガスとアンモニアガスとの反応で、シリコン窒化膜を成膜する場合を例示したが、原料ガスは、六塩化2珪素やアンモニアガスに限定されないことは勿論である。 例えば、六塩化ニ珪素ガスに替えてジクロロシラン(SiH Cl )ガス等を用いてもよい。 更に、Si 膜のLPCVDの例に限られず、他の材料の薄膜のLPCVDでも同様に適用出来る。 また、単一の種類の薄膜を成長する場合の例を示したが、Si 膜、TEOS酸化膜、多結晶シリコン等の複数種類の薄膜を同一のLPCVD装置で形成する場合でも同様の効果が得られる。
    【0041】
    また、本発明の実施の形態では、回転機としてルーツ型のドライポンプ3を用いた例を述べたが、スクリュー型のドライポンプでも同様の効果が得られることを確認している。 また、回転機は、ドライポンプだけでなく、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプあるいはロータリポンプ等、如何なるポンプも対象とすることができる。
    【0042】
    なお、本発明の実施の形態ではLPCVDプロセスの例を示したが、本発明は回転機の内部に反応生成物が堆積し回転機(ポンプ)が停止する場合には同様の効果が確認されており、CVDプロセス全般、ドライエッチングプロセスなどに適用できる。
    【0043】
    このように、本発明はここでは記載していない様々な実施例等を含むことは勿論である。 したがって、本発明の実施の形態に係る技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
    【0044】
    【発明の効果】
    本発明によれば、高感度で安定した高精度の回転機の寿命予測方法、及びこの回転機を備えた製造装置を提供することができる。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】本発明の実施の形態に係る半導体製造装置の概略を示す図である。
    【図2】図1に示した回転機(ドライポンプ)の内部構造を示す断面図である。
    【図3】モータ電流の経時変化の一例を示すグラフである。
    【図4】成膜ステップでのモータ電流の経時変化の一例を示すグラフである。
    【図5】成膜ステップでのモータ電流の経時変化の他の例を示すグラフである。
    【図6】モータ電流の電流最大値の正常状態及び異常状態での箱髭図である。
    【図7】モータ電流の小ピーク数の正常状態及び異常状態での箱髭図である。
    【図8】モータ電流の大ピーク数の正常状態及び異常状態での箱髭図である。
    【図9】本発明の実施の形態に係る半導体製造装置用回転機の寿命予測方法を説明するためのフローチャートである。
    【図10】本発明の他の実施の形態に係る半導体製造装置用回転機の寿命予測を行う半導体生産システムの構成例を示したブロック図である。
    【符号の説明】
    1 CVDチャンバ2 ゲートバルブ3 ドライポンプ(回転機)
    6 測定ユニット7 データ処理ユニット10a、10b ロータ11a、11b 回転軸13 ボディ14 吸気フランジ15 排気フランジ32,33 真空配管39 寿命予測システム41,42,43 マスフローコントローラ51,52,53 ガス配管61 電流計62 電圧計63 電力計64 振動計65 温度計70 半導体製造装置71 LAN
    72 CIM
    73 サーバー74 データ処理システム75 外部記憶装置77 コンピュータ

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