Turning of the drive unit

申请号 JP2007143285 申请日 2007-05-30 公开(公告)号 JP4311478B2 公开(公告)日 2009-08-12
申请人 ダイキン工業株式会社; 发明人 茂敏 下尾; 利幸 酒井;
摘要
权利要求
  • 非旋回体(11)に対して回転自在に取り付けられた旋回体(20)を旋回させるための駆動装置であって、
    電気を供給されて駆動力を発生させる電動機(32)と、
    作動油を供給されて駆動力を発生させる油圧機構(40,110)と、
    上記電動機(32)及び上記油圧機構(40,110)により回転駆動される出力軸(35)とを備え、
    上記旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度未満のときは、上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作が実行可能となっており、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度以上のときは、上記電動機(32)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作が行われ、
    上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満のときは、上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作と、上記電動機(32)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作とが選択的に行われることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項1において、
    上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満のときは、上記出力軸(35)の回転トルクである出力トルクの要求値が所定の基準トルクよりも大きいときに上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作を行い、上記出力トルクの要求値が上記基準トルク以下のときに上記電動機(32)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作を行うことを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項2において、
    上記基準速度を上側基準速度として該上側基準速度よりも低い値を下側基準速度としたときに、上記旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度以下のときは、上記基準トルクがゼロに設定され、上記旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度よりも大きくて上側基準速度未満のときは、上記基準トルクがゼロよりも大きな所定値に設定されることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項3において、
    上記旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度よりも大きくて上側基準速度未満のときは、上記基準トルクは、上記旋回体(20)の旋回速度が速くなるほど高い値に設定されることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 非旋回体(11)に対して回転自在に取り付けられた旋回体(20)を旋回させるための駆動装置であって、
    電気を供給されて駆動力を発生させる電動機(32)と、
    作動油を供給されて駆動力を発生させる油圧機構(40,110)と、
    上記電動機(32)及び上記油圧機構(40,110)により回転駆動される出力軸(35)とを備え、
    上記旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度未満のときは、上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作が実行可能となっており、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度以上のときは、上記電動機(32)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作が行われ、
    上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満のときは、上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作と、上記油圧機構(40,110)と上記電動機(32)の両方で上記出力軸(35)を駆動する動作とが選択的に行われることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項5において、
    上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満のときは、上記出力軸(35)の回転トルクである出力トルクの要求値が所定の基準トルクよりも大きいときに上記油圧機構(40,110)と上記電動機(32)の両方で上記出力軸(35)を駆動する動作を行い、上記出力トルクの要求値が上記基準トルク以下のときに上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作を行うことを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項6において、
    上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満で且つ上記出力トルクの要求値が上記基準トルク以下のときは、上記電動機(32)が上記出力軸(35)により駆動されて発電を行い、上記出力トルクを調節するために上記電動機(32)での発電量が調節されることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項7において、
    上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満で且つ出力トルクの要求値が上記基準トルク以下のときは、上記油圧機構(40,110)から上記出力軸(35)へ付与される駆動トルクが一定に保たれることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項6において、
    上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満で且つ上記出力トルクの要求値が上記基準トルクよりも大きいときは、上記油圧機構(40,110)から上記出力軸(35)へ付与される駆動トルクが一定に保たれると共に、上記出力トルクを調節するために上記電動機(32)から上記出力軸(35)へ付与される駆動トルクが調節されることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項1乃至9の何れか1つにおいて、
    上記電動機(32)は、上記出力軸(35)と常に連結状態となる一方、
    上記油圧機構(40,110)は、上記出力軸(35)に対して断続可能に構成されていることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 請求項1乃至9の何れか1つにおいて、
    上記電動機(32)と上記油圧機構(40,110)の両方が上記出力軸(35)と常に連結状態となる一方、
    上記油圧機構(40)では、作動油を供給されて上記出力軸(35)を回転駆動する駆動動作と、上記出力軸(35)により駆動されて空転する空転動作とが切り換え可能となっていることを特徴とする旋回体の駆動装置。
  • 说明书全文

    本発明は、油圧ショベルの上部旋回体等の旋回体を旋回させるための駆動装置に関する。

    特許文献1には、油圧ショベルの上部旋回体を旋回させるための駆動装置が開示されている。 この駆動装置は、駆動を発生させるための電動機を備えている。 また、この駆動装置では、電動機の出力軸に油圧モータが連結されている。 そして、この駆動装置は、旋回体の旋回を停止させるためのブレーキとして油圧モータを利用し、慣性力の大きな旋回体を速やかに停止させるようにしている(特許文献1の0007段落や0010段落を参照)。 また、この駆動装置では、電動機の高速回転域でのトルク低下を油圧モータで補うようにしている(特許文献1の0025段落を参照)。

    特開2005−344431号公報

    ところで、例えば油圧ショベルで溝を掘る場合は、油圧ショベルのバケットを溝の側壁に押し付けながら掘削を行うことがある。 このような押付け掘削中において、油圧ショベルの上部旋回体を駆動する駆動装置には、殆ど回転しない状態で比較的大きな回転トルクを発生させることが要求される。

    上記特許文献1の駆動装置を備える油圧ショベルで押付け掘削を行う場合は、殆ど回転していない電動機に比較的大きな電流を流す必要がある。 ところが、殆ど回転していない電動機に大電流を流すと、電動機のコイルで多量のジュール熱が発生する。 このため、電動機を備える駆動装置では、その運転状況によっては電動機の焼損等のトラブルが発生する可能性が高くなり、その信頼性を確保するのが困難になるという問題があった。

    本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、旋回体を旋回させるための駆動装置のうち電動機を備えるものにおいて、回転速度が低い状態における電動機での発熱を抑えて信頼性を確保することにある。

    第1,第5の各発明は、非旋回体(11)に対して回転自在に取り付けられた旋回体(20)を旋回させるための駆動装置を対象とする。 そして、電気を供給されて駆動力を発生させる電動機(32)と、作動油を供給されて駆動力を発生させる油圧機構(40,110)と、上記電動機(32)及び上記油圧機構(40,110)により回転駆動される出力軸(35)とを備え、上記旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度未満のときは、上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作が実行可能となっており、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度以上のときは、上記電動機(32)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作が行われるものである。

    第1,第5の各発明では、駆動装置(30)に電動機(32)と油圧機構(40,110)とが設けられる。 電動機(32)と油圧機構(40,110)は、何れも出力軸(35)を駆動可能に構成されている。 旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度以上の場合、駆動装置(30)は、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作を行い、油圧機構(40,110)で出力軸(35)を駆動する動作は行わない。 一方、旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度未満の場合、駆動装置(30)では、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作が実行可能となる。 旋回体(20)の旋回速度が低くなると、出力軸(35)の回転速度も低くなる。 そこで、この発明の駆動装置(30)では、旋回体(20)の旋回速度がある程度低くなって電動機(32)での発熱量が過多となり得る状況において、油圧機構(40,110)による出力軸(35)の駆動が可能となっている。

    第1の発明は、 上記の構成に加えて 、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満のときは、上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作と、上記電動機(32)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作とが選択的に行われるものである。

    第1の発明では、旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度未満である状態において、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作と、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作の何れか一方が行われる。 油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作中には、電動機(32)で消費される電力がゼロになる。

    第2の発明は、上記第1の発明において、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満のときは、上記出力軸(35)の回転トルクである出力トルクの要求値が所定の基準トルクよりも大きいときに上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作を行い、上記出力トルクの要求値が上記基準トルク以下のときに上記電動機(32)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作を行うものである。

    第2の発明では、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作と、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作の何れか一方が、出力トルクの要求値に応じて選択される。

    この第2の発明において、出力トルクの要求値が所定の基準トルクよりも大きいときは、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われる。 上述したように、旋回体(20)の旋回速度が比較的低くて且つ出力トルクの要求値が比較的高い状況において、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動しようとすると、電動機(32)での発熱量が過多になるおそれがある。 そこで、この発明では、旋回体(20)の旋回速度が基準速度未満で且つ出力トルクの要求値が基準トルクよりも大きいときは、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動することによって、電動機(32)での発熱を抑制している。

    また、この第2の発明において、出力トルクの要求値が基準トルク以下のときは、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われる。 旋回体(20)の旋回速度が比較的低くても、出力トルクの要求値がそれ程高くなければ、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動しても、電動機(32)で消費される電力はそれ程多くなく、従って電動機(32)での発熱量もそれ程多くならない。 そこで、この発明では、旋回体(20)の旋回速度が基準速度未満で且つ出力トルクの要求値が基準トルク以下のときは、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する。

    第3の発明は、上記第2の発明において、上記基準速度を上側基準速度として該上側基準速度よりも低い値を下側基準速度としたときに、上記旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度以下のときは、上記基準トルクがゼロに設定され、上記旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度よりも大きくて上側基準速度未満のときは、上記基準トルクがゼロよりも大きな所定値に設定されるものである。

    第3の発明において、旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度以下のときは、基準トルクがゼロに設定される。 つまり、旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度以下のときは、出力トルクの要求値がどの様な値であっても、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われる。 一方、旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度よりも大きくて上側基準速度未満のときは、出力トルクの要求値が基準トルクよりも大きければ油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われ、出力トルクの要求値が基準トルクよりも小さければ電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われる。

    第4の発明は、上記第3の発明において、上記旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度よりも大きくて上側基準速度未満のときは、上記基準トルクは、上記旋回体(20)の旋回速度が速くなるほど高い値に設定されるものである。

    第4の発明において、旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度よりも大きくて上側基準速度未満のときは、旋回体(20)の旋回速度が速くなるほど基準トルクの値が高くなる。 つまり、このときは、旋回体(20)の旋回速度が遅くなるほど基準トルクの値が低くなる。 電動機(32)から出力軸(35)に付与される駆動力が同じでも、旋回体(20)の旋回速度が遅いほど電動機(32)での発熱量が多くなる。 そこで、この発明の駆動装置(30)では、基準トルクの値を旋回体(20)の旋回速度に応じて変化させている。

    第5の発明は、 上記の構成に加えて 、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満のときは、上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作と、上記油圧機構(40,110)と上記電動機(32)の両方で上記出力軸(35)を駆動する動作とが選択的に行われるものである。

    第5の発明では、旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度未満である状態において、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作と、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作の何れか一方が行われる。 油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作中において、電動機(32)で消費される電力は、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する場合に比べて少なくなる。

    第6の発明は、上記第5の発明において、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満のときは、上記出力軸(35)の回転トルクである出力トルクの要求値が所定の基準トルクよりも大きいときに上記油圧機構(40,110)と上記電動機(32)の両方で上記出力軸(35)を駆動する動作を行い、上記出力トルクの要求値が上記基準トルク以下のときに上記油圧機構(40,110)だけで上記出力軸(35)を駆動する動作を行うものである。

    第6の発明では、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作と、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作の何れか一方が、出力トルクの要求値に応じて選択される。 具体的に、この発明の駆動装置(30)において、出力トルクの要求値が所定の基準トルク以下のときは、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われ、出力トルクの要求値が所定の基準トルクよりも大きい時は、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作が行われる。 上述したように、旋回体(20)の旋回速度が比較的低くて出力トルクの要求値が比較的高い状況において、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動すると、電動機(32)での発熱量が過多になるおそれがある。 それに対し、この発明の駆動装置(30)は、このような状況では油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動し、電動機(32)での発熱量を低減している。

    第7の発明は、上記第6の発明において、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満で且つ上記出力トルクの要求値が上記基準トルク以下のときは、上記電動機(32)が上記出力軸(35)により駆動されて発電を行い、上記出力トルクを調節するために上記電動機(32)での発電量が調節されるものである。

    第7の発明において、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作中には、出力トルクを調節するために電動機(32)での発電量が調節される。 仮に油圧機構(40,110)から出力軸(35)へ付与される駆動力が一定であっても、電動機(32)での発電量が多くなるほど出力トルクは小さくなる。

    第8の発明は、上記第7の発明において、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満で且つ出力トルクの要求値が上記基準トルク以下のときは、上記油圧機構(40,110)から上記出力軸(35)へ付与される駆動トルクが一定に保たれるものである。

    第8の発明において、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作中には、油圧機構(40,110)から出力軸(35)へ付与される駆動力が一定に保たれる。 また、この動作中には、電動機(32)での発電量を調節することによって、駆動装置(30)の出力トルクが調節される。 つまり、この発明の駆動装置(30)は、油圧機構(40,110)に対する出力制御は行わずに、電動機(32)に対する発電量の調節だけを行うことで、駆動装置(30)の出力トルクを調節する。

    第9の発明は、上記第6の発明において、上記旋回体(20)の旋回速度が上記基準速度未満で且つ上記出力トルクの要求値が上記基準トルクよりも大きいときは、上記油圧機構(40,110)から上記出力軸(35)へ付与される駆動トルクが一定に保たれると共に、上記出力トルクを調節するために上記電動機(32)から上記出力軸(35)へ付与される駆動トルクが調節されるものである。

    第9の発明において、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作中には、油圧機構(40,110)から出力軸(35)へ付与される駆動力が一定に保たれる。 また、この動作中には、電動機(32)から出力軸(35)へ付与される駆動力を調節することによって、駆動装置(30)の出力トルクが調節される。 この発明の駆動装置(30)は、油圧機構(40,110)に対する出力制御は行わずに、電動機(32)に対する出力制御だけを行うことで、駆動装置(30)の出力トルクを調節する。

    第10の発明は、 第1〜第9の何れか1つの発明において、上記電動機(32)は、上記出力軸(35)と常に連結状態となる一方、上記油圧機構(40,110)は、上記出力軸(35)に対して断続可能に構成されるものである。

    第10の発明において、電動機(32)は、出力軸(35)に対して常に連結された状態となっている。 電動機(32)によって出力軸(35)を駆動する状態か否かにかかわらず、電動機(32)の回転子は駆動装置(30)の出力軸(35)と共に回転する。 一方、油圧機構(40,110)は、出力軸(35)に対して断続可能となっている。 油圧機構(40,110)で出力軸(35)を駆動する動作中には、油圧機構(40,110)が出力軸(35)に対して連結された状態となる。 電動機(32)で出力軸(35)を駆動する動作中(即ち、油圧機構(40,110)で出力軸(35)を駆動しない動作中)には、油圧機構(40,110)が出力軸(35)から切り離された状態となる。 従って、この状態の油圧機構(40,110)において、出力軸(35)の回転動力は全く消費されない。

    第11の発明は、 第1〜第9の何れか1つの発明において、上記電動機(32)と上記油圧機構(40,110)の両方が上記出力軸(35)と常に連結状態となる一方、上記油圧機構(40)では、作動油を供給されて上記出力軸(35)を回転駆動する駆動動作と、上記出力軸(35)により駆動されて空転する空転動作とが切り換え可能となっているものである。

    第11の発明において、電動機(32)と油圧機構(40)は、何れも出力軸(35)に対して常に連結された状態となっている。 電動機(32)によって出力軸(35)を駆動する状態か否かにかかわらず、電動機(32)の回転子は駆動装置(30)の出力軸(35)と共に回転する。 一方、油圧機構(40)では、駆動動作と空転動作が切り換え可能となっている。

    この第11の発明において、油圧機構(40)で出力軸(35)を駆動する動作中には、油圧機構(40)が駆動動作を行い、油圧機構(40)で発生した駆動力が駆動装置(30)の出力軸(35)に伝達される。 電動機(32)で出力軸(35)を駆動する動作中(即ち、油圧機構(40)で出力軸(35)を駆動しない動作中)には、油圧機構(40)が空転動作を行う。 空転動作中の油圧機構(40)は、駆動装置(30)の出力軸(35)に連結された状態で空回りする。 つまり、空転動作中の油圧機構(40)は、出力軸(35)の回転動力を殆ど消費せずに、出力軸(35)により駆動されて空回りする。

    本発明の駆動装置(30)では、旋回体(20)の旋回速度がある程度低くなって電動機(32)での発熱量が過多となり得る状況において、油圧機構(40,110)による出力軸(35)の駆動が可能となっている。 旋回体(20)の旋回速度が低い状態において、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動すれば、電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する場合に比べて電動機(32)を流れる電流を削減できる。 また、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動すれば、電動機(32)で消費される電力がゼロになる。 従って、本発明によれば、旋回体(20)の旋回速度がある程度低い状況においても、電動機(32)における発熱量を削減でき、電動機(32)の焼損等のトラブルを未然に防止することができる。

    上記第1の発明では、旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度未満である状態において、油圧機構(40,110)と電動機(32)の何れか一方が出力軸(35)を駆動する。 このため、旋回体(20)の旋回速度がある程度低い状況では、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動することによって電動機(32)での発熱量を抑えることが可能となる。

    上記第2の発明では、出力トルクの要求値が所定の基準トルクよりも大きいときは油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われ、出力トルクの要求値が基準トルク以下のときは電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われる。 このため、旋回体(20)の旋回速度が比較的低くて出力トルクの要求値が比較的高い状況、即ち電動機(32)だけで出力軸(35)を駆動すると電動機(32)での発熱量が過多になる可能性の高い状況では、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動することによって電動機(32)での発熱量を確実に低減することができる。

    上記第3,第4の各発明では、旋回体(20)の旋回速度が下側基準速度以下になると、出力トルクの要求値の大きさにかかわらず、常に油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動している。 このため、電動機(32)での発熱量を一層確実に低減することができ、電動機(32)での発熱に起因するトラブルを一層確実に回避できる。

    上記第5の発明では、旋回体(20)の旋回速度が所定の基準速度未満である状態において、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作が可能となっている。 このため、旋回体(20)の旋回速度がある程度低い状況では、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動することによって電動機(32)での発熱量を抑えることが可能となる。

    上記第6〜第9の各発明では、旋回体(20)の旋回速度が比較的低くて出力トルクの要求値が比較的高い状況において、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動している。 このため、電動機(32)での発熱量を一層確実に低減することができる。

    特に、 第7,第8の各発明では、油圧機構(40,110)だけで出力軸(35)を駆動する動作中に、電動機(32)での発電量を調節することによって駆動装置(30)の出力トルクを調節している。 また、 第9の発明では、油圧機構(40,110)と電動機(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作中に、電動機(32)の出力を調節することによって駆動装置(30)の出力トルクを調節している。 従って、 第7〜第9の各発明によれば、油圧機構(40,110)に対する出力制御を行うことなく、電動機(32)への制御だけを行うことによって駆動装置(30)の出力トルクを調節でき、駆動装置(30)の制御動作を簡素化できる。

    上記第10の発明において、油圧機構(40,110)で出力軸(35)を駆動しない動作中には、油圧機構(40,110)が出力軸(35)から切り離された状態となる。 また、上記第11の発明において、油圧機構(40)で出力軸(35)を駆動しない動作中には、油圧機構(40)が出力軸(35)に連結された状態で空回りする。 従って、これらの発明によれば、電動機(32)で出力軸(35)を駆動する動作中に油圧機構(40,110)で消費される出力軸(35)の回転動力を削減でき、駆動装置(30)の効率低下を抑えることができる。

    以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

    《発明の実施形態1》
    本発明の実施形態1について説明する。 本実施形態は、本発明に係る駆動装置(30)を備えた油圧ショベル(10)である。

    本実施形態の油圧ショベル(10)は、いわゆるシリーズ型のハイブリッド車両となっている。 つまり、この油圧ショベル(10)では、内燃機関によって発電機が駆動され、発電機で発生した電力がバッテリに蓄えられ、更にはバッテリから給電される電気モータによって油圧ポンプが駆動される。 そして、この油圧ショベル(10)は、油圧ポンプから吐出された高圧の作動油を用いて走行や掘削作業を行う。

    〈油圧ショベルの全体構成〉
    図1に示すように、油圧ショベル(10)は、非旋回体である下部走行体(11)と、旋回体である上部旋回体(20)とを備えている。 上部旋回体(20)は、下部走行体(11)の上に回動自在に設置されている。

    下部走行体(11)では、その左右の側部に走行用のクローラ(12)が1つずつ設けられると共に、その前部に整地作業等を行うためのブレード(14)が設けられている。 また、下部走行体(11)には、クローラ(12)を駆動するための走行用油圧モータ(13)と、ブレード(14)を駆動するための油圧シリンダ(15)とが設けられている。

    上部旋回体(20)には、運転者の乗車空間を形成するオペレータキャビン(21)と、作動油を貯留する作動油タンク(22)と、内燃機関や発電機、バッテリ等を収容するマシンキャブ(23)とが設けられている。 なお、マシンキャブ(23)に収容された内燃機関等については、その図示を省略する。

    また、上部旋回体(20)には、ブーム(24)とアーム(26)とバケット(28)とが設けられている。 ブーム(24)は、その基端が上部旋回体(20)に回動自在に取り付けられており、油圧シリンダ(25)によって駆動される。 アーム(26)は、その基端がブーム(24)の先端に回動自在に取り付けられており、油圧シリンダ(27)によって駆動される。 バケット(28)は、その基端がアーム(26)の先端に回動自在に取り付けられており、油圧シリンダ(29)によって駆動される。

    また、上部旋回体(20)には、旋回用モータ(31)が設けられている。 この旋回用モータ(31)は、コントローラ(100)と共に駆動装置(30)を構成している。 なお、旋回用モータ(31)とコントローラ(100)の詳細については後述する。

    図2に示すように、旋回用モータ(31)は、概ね円筒状の形成されており、その出力軸(35)に取り付けられたピニオン(36)が下方に位置する姿勢で上部旋回体(20)に設置されている。 一方、下部走行体(11)には、内歯ギヤ(16)が設けられている(図2を参照)。 この内歯ギヤ(16)は、円環状に形成されており、上部旋回体(20)の回転軸Yと同軸に配置される。 内歯ギヤ(16)の内周面には歯が刻まれており、その歯が旋回用モータ(31)のピニオン(36)と噛み合わされる。

    〈旋回用モータ〉
    図3に示すように、旋回用モータ(31)は、電動機である電気モータ(32)と、油圧機構である油圧モータ(40)と、減速機(33)と、出力軸(35)とを備えている。 この旋回用モータ(31)では、下から上に向かって順に、減速機(33)と油圧モータ(40)と電気モータ(32)とが配置されている。 また、旋回用モータ(31)には、図示しないが、出力軸(35)の回転を防ぐためのブレーキが設けられている。

    電気モータ(32)と油圧モータ(40)は、1本のモータ軸(37)を共有している。 モータ軸(37)は、電気モータ(32)の回転子に常に連結された状態となっている。 モータ軸(37)の下端部は、減速機(33)の遊星歯車機構(34)の入力側に連結されている。 遊星歯車機構(34)の出力側には、出力軸(35)の上端部が連結されている。 出力軸(35)の下端には、ピニオン(36)が取り付けられている。 このピニオン(36)は、減速機(33)の下面から突出しており、内歯ギヤ(16)と噛み合わされる。

    油圧モータ(40)は、ハウジング(45)と、モータ機構部(50)と、クラッチ機構部(70)とを備えている。 ハウジング(45)は、概ね円筒状に形成されており、その内部にモータ機構部(50)とクラッチ機構部(70)とが収容されている。

    図5にも示すように、モータ機構部(50)は、いわゆるベーン型の油圧モータを構成している。 このモータ機構部(50)は、カムリング(51)とロータ(52)とを1つずつ備えると共に、8枚のベーン(54)を備えている。 なお、ベーン(54)の枚数は、単なる例示である。

    カムリング(51)は、断面が矩形の円環状に形成されており、その軸方向から見た内周面の形状が楕円形となっている。 このカムリング(51)は、モータ軸(37)と同軸に配置されている。 また、このカムリング(51)は、その内周面の長軸が図5の上下方向となる姿勢で設置されている。

    ロータ(52)は、断面が矩形の円環状に形成されており、カムリング(51)の内側に配置されている。 このロータ(52)は、カムリング(51)と同様に、モータ軸(37)と同軸に配置されている。 ロータ(52)の外周面とカムリング(51)の内周面との間には、作動油室(56)が形成されている。

    ロータ(52)には、その外周面から半径方向の内側へ延びるガイド溝(53)が形成されている。 このロータ(52)には、8本のガイド溝(53)が等度間隔で放射状に形成されている。 各ガイド溝(53)は、スリット状に形成された一定幅の溝である。 ただし、ガイド溝(53)は、その底部分(ロータ(52)の中心寄りの端部)だけが幾分拡大されている。

    各ガイド溝(53)には、平板状のベーン(54)が1枚ずつ挿入されている。 ロータ(52)のガイド溝(53)に挿入されたベーン(54)は、ロータ(52)の半径方向へ進退自在となっている。 ガイド溝(53)の底部とベーン(54)の間の空間へ作動油の油圧を作用させると、ベーン(54)がロータ(52)の外側へ押し出され、ベーン(54)の先端がカムリング(51)の内周面に押し付けられる。 作動油室(56)は、8枚のベーン(54)によって仕切られている。

    クラッチ機構部(70)は、断続用部材(71)と、断続用ピストン(74)と、摩擦板(75)と、スラストベアリング(76)とを備えている。

    断続用部材(71)は、円筒状(あるいは円管状)の筒状部(72)と、筒状部(72)の上端から外方へ延びるフランジ状の鍔部(73)とを備えている。 筒状部(72)には、モータ軸(37)が遊嵌されている。 断続用部材(71)は、モータ軸(37)の周方向に回転自在で且つその軸方向にスライド自在となっている。 また、筒状部(72)は、ロータ(52)の内側に挿入されており、キー(55)によってロータ(52)と連結されている。 断続用部材(71)は、ロータ(52)と一体となって回転する一方、ロータ(52)の軸方向にはスライド自在となっている。

    断続用ピストン(74)は、やや厚肉の短い円管状に形成されている。 この断続用ピストン(74)は、断続用部材(71)の下方に配置されており、断続用部材(71)の軸方向へスライド自在となっている。 断続用ピストン(74)の上端面は、断続用部材(71)の筒状部(72)の下端面に当接している。 断続用ピストン(74)の下端面に油圧が作用すると、断続用ピストン(74)が上方へ移動して断続用部材(71)を押し上げる。

    摩擦板(75)は、円形の薄板状に形成され、断続用部材(71)の鍔部(73)の上面と対面する位置に設けられている。 この摩擦板(75)は、モータ軸(37)に刻まれたスプラインと噛み合わされている。 このため、摩擦板(75)は、モータ軸(37)と一体となって回転する一方、モータ軸(37)の軸方向にはスライド自在となっている。

    スラストベアリング(76)は、電気モータ(32)の下面に取り付けられており、その下面が摩擦板(75)の上面と対面している。 スラストベアリング(76)と断続用部材(71)の鍔部(73)との間には、コイルばね(77)が設けられている。 コイルばね(77)は、その外径がスラストベアリング(76)の外径や断続用部材(71)の鍔部(73)の外径と概ね等しくなっている。 このコイルばね(77)は、予め圧縮された状態でスラストベアリング(76)と断続用部材(71)の間に設けられており、スラストベアリング(76)の周縁部分や鍔部(73)の周縁部分に当接している。

    油圧モータ(40)のハウジング(45)には、第1ポート(46)と第2ポート(47)とパイロットポート(48)とが形成されている。 これら3つのポート(46,47,48)は、後述する油圧回路(80)に接続されている。

    図5に示すように、第1ポート(46)及び第2ポート(47)の端部は、カムリング(51)の内周面に沿って延びる凹溝状に形成されている。 第1ポート(46)の端部は、図5における右上の位置と左下の位置に1つずつ形成されている。 第2ポート(47)の端部は、図5における左上の位置と右下の位置に1つずつ形成されている。

    パイロットポート(48)の端部は、断続用ピストン(74)の下端面と対面する位置に開口している。 パイロットポート(48)を通じて供給された作動油は、断続用ピストン(74)を上方へ押し上げる。 図4に示すように、断続用ピストン(74)に押されて断続用部材(71)が上方へ移動すると、摩擦板(75)が断続用部材(71)の鍔部(73)とスラストベアリング(76)に挟み込まれ、モータ機構部(50)のロータ(52)が断続用部材(71)と摩擦板(75)を介してモータ軸(37)と連結される。

    〈油圧回路〉
    油圧回路(80)について、図6及び図7を参照しながら説明する。 この油圧回路(80)は、作動油が流通する回路であって、旋回用モータ(31)の油圧モータ(40)に接続されている。

    油圧回路(80)には、第1主通路(81)と、第2主通路(82)と、主供給通路(83)と、主排出通路(84)とが設けられている。 第1主通路(81)と第2主通路(82)は、それぞれの一端が切換弁(91)に接続されている。 第1主通路(81)の他端は、油圧モータ(40)の第1ポート(46)に接続されている。 第2主通路(82)の他端は、油圧モータ(40)の第2ポート(47)に接続されている。 第1主通路(81)と第2主通路(82)のそれぞれには、リリーフ弁(94,95)が1つずつ接続されている。 主供給通路(83)と主排出通路(84)は、それぞれの一端が切換弁(91)に接続されている。 主供給通路(83)の他端は、油圧ポンプ等の油圧源(88)に接続されている。 主排出通路(84)の他端は、作動油タンク(22)に接続されている。

    切換弁(91)は、いわゆるパイロット作動型のスプール弁である。 この切換弁(91)は、スプールが移動することによって、第1主通路(81)及び第2主通路(82)と主供給通路(83)及び主排出通路(84)の間を遮断する中立状態(図6に示す状態)と、第1主通路(81)が主供給通路(83)に連通して第2主通路(82)が主排出通路(84)に連通する第1状態(図7に示す状態)と、第1主通路(81)が主排出通路(84)に連通して第2主通路(82)が主供給通路(83)に連通する第2状態(図示せず)とに切り換わる。

    この切換弁(91)には、スプールを駆動ための切換用電磁弁(92)が接続されている。 この切換用電磁弁(92)は、切換弁(91)に接続する第1切換用通路(86)及び第2切換用通路(87)の途中に配置されている。 切換弁(91)では、スプールの一端側に第1切換用通路(86)が接続され、スプールの他端側に第1切換用通路(86)が接続されている。 切換用電磁弁(92)は、第1切換用通路(86)及び第2切換用通路(87)と後述する操作器(96)との間を断続する。 切換用電磁弁(92)のオン状態(図7に示す状態)において、第1切換用通路(86)と第2切換用通路(87)は、一方が油圧ポンプ等のパイロット油圧源(89)に接続し、他方が作動油タンク(22)に接続する。

    また、油圧回路(80)には、パイロット通路(85)が設けられている。 パイロット通路(85)は、その一端が油圧モータ(40)のパイロットポート(48)に接続され、その他端がパイロット弁(93)に接続されている。 パイロット弁(93)は、電磁弁により構成されており、パイロット通路(85)を作動油タンク(22)に連通させるオフ状態(図6に示す状態)と、パイロット通路(85)をパイロット油圧源(89)に連通させるオン状態(図7に示す状態)とに切り換わる。

    操作器(96)は、油圧ショベル(10)の運転者によって操作される操作レバー(97)を備えている。 運転者が操作レバー(97)を操作すると、操作器(96)は、それに応じた指令信号をコントローラ(100)に対して出力する。 コントローラ(100)の詳細については後述する。 また、操作器(96)は、第1切換用通路(86)をパイロット油圧源(89)に接続して第2切換用通路(87)を作動油タンク(22)に接続する状態と、第1切換用通路(86)を作動油タンク(22)に接続して第2切換用通路(87)をパイロット油圧源(89)に接続する状態とを切り換える。

    〈コントローラ〉
    上述したように、コントローラ(100)には、操作器(96)からの指令信号が入力される。 このコントローラ(100)は、操作器(96)から入力された指令信号に基づいて、切換用電磁弁(92)とパイロット弁(93)と旋回用モータ(31)の電気モータ(32)に対する制御信号を出力する。

    コントローラ(100)には、旋回用モータ(31)を制御するための制御マップが記録されている。 この制御マップについて、図8を参照しながら説明する。

    制御マップは、横軸を「上部旋回体(20)の旋回速度(回転速度)」とし、縦軸を「旋回用モータ(31)の出力軸トルク(即ち、出力軸(35)の回転トルク)の絶対値」とした直交座標に表される。 この制御マップでは、基準トルク線(105)が設定されている。 基準トルク線(105)は、基準トルクT の値を上部旋回体(20)の旋回速度Rの関数として表したものである。 基準トルク線(105)を数式で表すと、下記の通りとなる。 なお、下記の数式において、「R 」は下側基準トルクであり、「R 」は上側基準トルクであって、両者の関係はR <R となっている。 また、「T max 」は、旋回用モータ(31)の出力軸トルクの最大値である。
    R<R の場合 :T = 0(ゼロ)
    ≦R≦R の場合:T = {T max /(R −R )}R−{R /(R −R )}T max
    <Rの場合 :T = T max

    この制御マップは、T <T≦T maxの場合は旋回用モータ(31)に油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動する動作を行わせ、T≦T の場合は旋回用モータ(31)に電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作を行わせるように設定されている。 なお、「T」は、旋回用モータ(31)に対する出力軸トルクの要求値である。

    つまり、この制御マップは、R<R の場合において、油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動する動作と、電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作の何れか一方を、出力軸トルクの要求値Tに基づいて選択するように構成されている。 なお、旋回用モータ(31)の出力トルクとは、旋回用モータ(31)によって上部旋回体(20)を駆動する場合(即ち、旋回用モータ(31)から上部旋回体(20)へ駆動力を付与する場合)における旋回用モータ(31)の出力軸トルクを意味する。

    −運転動作−
    油圧ショベル(10)の運転動作について説明する。 ここでは、油圧ショベル(10)で行われる運転動作のうち、駆動装置(30)と油圧回路(80)の動作について説明する。

    〈油圧モータ、油圧回路〉
    旋回用モータ(31)における油圧モータ(40)の動作と、油圧回路(80)の動作とについて説明する。

    油圧モータ(40)で出力軸(35)を駆動する動作を旋回用モータ(31)が行う場合、油圧回路(80)の切換用電磁弁(92)とパイロット弁(93)は、コントローラ(100)からの制御信号に基づいて図7に示すオン状態に設定される。 切換用電磁弁(92)がオン状態に設定されると、第1切換用通路(86)及び第2切換用通路(87)が連通状態となる。 第1切換用通路(86)及び第2切換用通路(87)が連通状態になると、切換弁(91)のスプールが移動し、第1主通路(81)及び第2主通路(82)の一方が油圧源(88)に接続して他方が作動油タンク(22)に接続する。 ここでは、切換弁(91)が第1状態(図7に示す状態)となり、第1主通路(81)が油圧源(88)に接続して第2主通路(82)が作動油タンク(22)に接続する場合を例に説明を行う。 一方、パイロット弁(93)がオン状態に設定されると、パイロット通路(85)がパイロット油圧源(89)に接続された状態となる。

    パイロット通路(85)がパイロット油圧源(89)に接続すると、パイロット通路(85)から油圧モータ(40)のパイロットポート(48)へ作動油が流入し、この作動油によって断続用ピストン(74)が上方へ押し上げられる(図4を参照)。 断続用ピストン(74)に押された断続用部材(71)は、コイルばね(77)を押し縮めながら上方へ移動する。 断続用部材(71)が上方へ移動すると、摩擦板(75)が断続用部材(71)の鍔部(73)とスラストベアリング(76)に挟み込まれ、モータ機構部(50)のロータ(52)が断続用部材(71)及び摩擦板(75)を介してモータ軸(37)と連結される。

    油圧モータ(40)では、第1ポート(46)が油圧回路(80)の第1主通路(81)を介して油圧源(88)に接続され、第2ポート(47)が油圧回路(80)の第2主通路(82)を介して作動油タンク(22)に接続される。 油圧源(88)から送り出された高圧の作動油は、作動油室(56)のうち第1ポート(46)と連通する部分へ流入する。 ベーン(54)の側面には作動油室(56)へ流入した作動油の油圧が作用し、その結果、ロータ(52)が図5における左回りに回転する。 作動油室(56)へ流入した作動油は、ロータ(52)の回転に伴って移動し、第2ポート(47)へ流出する。 第2ポート(47)へ流出した作動油は、油圧回路(80)の第2主通路(82)を通って作動油タンク(22)へ送り返される。

    なお、切換弁(91)を、第1主通路(81)が主排出通路(84)に連通して第2主通路(82)が主供給通路(83)に連通する第2状態に設定すれば、油圧源(88)から流出した高圧の作動油が作動油室(56)のうち第2ポート(47)と連通する部分へ流入し、ロータ(52)が図5における右回りに回転する。

    油圧モータ(40)で出力軸(35)を駆動する動作が行われていない状態では、図6に示すように、切換弁(91)が中立状態に、パイロット弁(93)がオフ状態に、切換用電磁弁(92)がオフ状態に、それぞれ設定される。 パイロット弁(93)がオフ状態になると、油圧モータ(40)では断続用部材(71)がコイルばね(77)によって押し下げられ、ロータ(52)がモータ軸(37)から切り離された状態となる(図3を参照)。

    ところで、上部旋回体(20)を固定するには、旋回用モータ(31)の出力軸(35)の回転を禁止する必要がある。 一方、電気モータは、外部から加えられたトルクに抗して出力軸(35)を保持する力を発生させることができない。 このため、上部旋回体(20)を駆動する動力源が電気モータだけの場合は、出力軸(35)の回転を禁止するためのブレーキを作動させる必要がある。

    一方、本実施形態において、切換弁(91)を中立状態(図6に示す状態)に設定すると、油圧回路(80)の第1主通路(81)及び第2主通路(82)と油圧モータ(40)とに作動油が封じ込められた状態となる。 この状態では、油圧モータ(40)のロータ(52)に外力が作用しても、ロータ(52)は回転しない。 このため、パイロット弁(93)をオン状態(図7に示す状態)に設定すれば、クラッチ機構部(70)を介してロータ(52)がモータ軸(37)と連結され、出力軸(35)の回転が禁止される。 従って、本実施形態では、ブレーキを作動させなくても上部旋回体(20)を固定することが可能である。

    〈コントローラ〉
    コントローラ(100)の動作について、図8を参照しながら説明する。

    先ず、上部旋回体(20)の加速時(即ち、上部旋回体(20)の旋回速度を上昇させる場合)において、旋回用モータ(31)に対する出力軸トルクの要求値Tは、上部旋回体(20)の旋回速度Rに応じて同図に一点鎖線で示すように変化することが多い。

    具体的に、出力軸トルクの要求値Tは、上部旋回体(20)が旋回し始めた直後から比較的高い値となる。 このため、旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)で出力軸(35)を駆動する動作が行われ、電気モータ(32)への給電は行われない。 出力軸トルクの要求値Tは、その最大値T maxにまで一旦上昇し、その後は次第に減少してゆく。

    旋回速度R=R となった時点で出力軸トルクの要求値Tが基準トルク線(105)上の値になると、旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)で出力軸(35)を駆動する動作が停止され、電気モータ(32)で出力軸(35)を駆動する動作が開始される。 その際、油圧モータ(40)では、パイロットポート(48)がパイロット油圧源(89)から切り離され、断続用部材(71)が押し下げられてロータ(52)がモータ軸(37)から切り離される。

    その後、出力軸トルクの要求値Tは、旋回速度Rが上昇するのにつれて次第に低下し、旋回速度Rがある程度高くなると概ね一定に保たれる。 その間、旋回用モータ(31)では、電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作が継続して行われる。

    次に、上部旋回体(20)の減速時(即ち、上部旋回体(20)の旋回速度を低下させる場合)において、旋回用モータ(31)に対する出力軸トルクの要求値Tは、上部旋回体(20)の旋回速度Rに応じて同図に二点鎖線で示すように変化することが多い。

    具体的に、出力軸トルクの要求値Tは、上部旋回体(20)の旋回速度Rがある程度高い間は出力軸トルクの最大値T maxに近い値に保たれる。 その間、旋回用モータ(31)では、電気モータ(32)が発電機として動作する。 つまり、旋回用モータ(31)では、出力軸(35)に連結されたモータ軸(37)によって電気モータ(32)が駆動され、電気モータ(32)が上部旋回体(20)の運動エネルギを電気エネルギに変換する。

    旋回速度R=R となった時点で出力軸トルクの要求値Tが基準トルク線(105)上の値になると、旋回用モータ(31)では、電気モータ(32)で出力軸(35)を減速する動作が停止され、油圧モータ(40)で出力軸(35)を減速する動作が開始される。 この動作中は、油圧モータ(40)が出力軸(35)によって駆動されてポンプとして動作し、油圧回路(80)の第1主通路(81)及び第2主通路(82)を流れる作動油に圧力損失を付与することで、出力軸(35)を減速させる。

    出力軸トルクの要求値Tは、その後も出力軸トルクの最大値T maxに近い値に保たれる。 旋回速度Rがゼロに近い値にまで低下した後は、出力軸トルクの要求値Tは、旋回速度Rが低下するのにつれて次第に低下し、上部旋回体(20)が停止した時点でゼロになる。 その間、旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)で出力軸(35)を減速する動作が継続して行われる。

    ところで、油圧ショベル(10)で溝を掘る場合は、油圧ショベル(10)のバケット(28)を溝の側壁に押し付けながら掘削を行うことがある。 このような押付け掘削中の油圧ショベル(10)は、旋回用モータ(31)が上部旋回体(20)に駆動力を付与することによって、バケット(28)を溝の側壁に押し付ける。 このため、押付け掘削中の旋回用モータ(31)には、出力軸(35)が殆ど回転しない状態で比較的大きな回転トルクを発生させることが要求される。

    押付け掘削中の油圧ショベル(10)では、上部旋回体(20)の旋回速度Rが低く、旋回用モータ(31)に対する出力軸トルクの要求値Tが高い状態となる。 つまり、図8に示す制御マップにおいて、押付け掘削中の運転状態は、油圧モータ(40)のみで出力軸(35)を駆動する動作が行われる領域に属する。 このため、押付け掘削中の旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)だけによって出力軸(35)が駆動され、電気モータ(32)に対して電力は供給されない。

    −実施形態1の効果−
    本実施形態の旋回用モータ(31)では、出力軸トルクの要求値Tが所定の基準トルクT よりも大きいときは油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われ、出力軸トルクの要求値Tが基準トルクT 以下のときは電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われる。

    ここで、上部旋回体(20)の旋回速度Rが比較的低くて出力軸トルクの要求値Tが比較的高い運転状態において、電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動すると、殆ど回転しない状態の電気モータ(32)に大電流が流れることになる。 このため、電気モータ(32)で多量の熱が発生し、コイルの焼損等のトラブルを招くおそれがある。

    それに対し、本実施形態の旋回用モータ(31)では、このような電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動すると電気モータ(32)での発熱量が過多になる可能性の高い運転状態において、油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動している。 このため、上部旋回体(20)の旋回速度Rが比較的低くて出力軸トルクの要求値Tが比較的高い運転状態においても、電気モータ(32)での発熱量を確実に低減することができ、電気モータ(32)での発熱に起因するトラブルを未然に防止することができる。

    また、電気モータ(32)で出力軸(35)の駆動や減速を行う動作中において、旋回用モータ(31)の油圧モータ(40)では、ロータ(52)がモータ軸(37)から切り離され、モータ軸(37)が回転していてもロータ(52)は回転しない状態となる。 従って、本実施形態の旋回用モータ(31)によれば、休止中の油圧モータ(40)で消費される出力軸(35)の回転動力を殆どゼロにすることができる。

    その結果、電気モータ(32)で出力軸(35)を駆動する動作中であれば、油圧モータ(40)で無駄に消費される動力を殆どゼロにすることができ、旋回用モータ(31)の効率を高く保つことができる。 また、上部旋回体(20)の減速時に出力軸(35)で電気モータ(32)を駆動する動作中であれば、油圧モータ(40)で消費される上部旋回体(20)の運動エネルギを殆どゼロにすることができ、上部旋回体(20)の運動エネルギのうち電気モータ(32)で電気エネルギに変換される分を増加させることができる。

    −実施形態1の変形例−
    本実施形態の制御マップでは、油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動する領域と、電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する領域だけでなく、油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方で出力軸(35)を駆動する領域が設けられていてもよい。

    その場合には、油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方で出力軸(35)を駆動する領域を、油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動する領域と、電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する領域との間に設けるのが望ましい。 例えば、上部旋回体(20)の加速時にその旋回速度Rが上昇してゆくと、旋回用モータ(31)は、“油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動する動作”から“油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作”へと切り換わり、その後に“油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作”から“電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作”へと切り換わる。

    《発明の実施形態2》
    本発明の実施形態2について説明する。 本実施形態の油圧ショベル(10)は、上記実施形態1において、旋回用モータ(31)の油圧モータ(40)の構成を変更したものである。 ここでは、本実施形態の油圧モータ(40)について、上記実施形態1と異なる点を説明する。

    図9及び図10に示すように、本実施形態の油圧モータ(40)では、クラッチ機構部(70)が省略されており、モータ機構部(50)だけが設けられている。 また、この油圧モータ(40)において、モータ機構部(50)のロータ(52)の内周面にはスプラインが刻まれており、このロータ(52)のスプラインがモータ軸(37)に刻まれたスプラインと噛み合わされる。 つまり、この油圧モータ(40)では、モータ機構部(50)のロータ(52)がモータ軸(37)と常に連結された状態となっている。

    本実施形態のロータ(52)の各端面(図9における上面と下面)には、円周溝(61)が1つずつ形成されている。 この円周溝(61)は、ロータ(52)の端面を掘り下げて形成された凹溝であって、その曲率中心がロータ(52)の中心軸上に位置している。

    本実施形態のロータ(52)では、ガイド溝(53)が12本形成されている。 各ガイド溝(53)では、ロータ(52)の中心寄りの部分の溝幅が、ロータ(52)の外周寄りの部分の溝幅に比べて広くなっている。 ロータ(52)の各ガイド溝(53)には、ベーン(54)と押出し用ピストン(63)とが1つずつ挿入されている。 押出し用ピストン(63)は、四角柱状の小片であって、その長手方向がロータ(52)の軸方向と平行になる姿勢でガイド溝(53)に挿入されている。 押出し用ピストン(63)の厚さは、ベーン(54)の厚さよりも厚くなっている。

    各ガイド溝(53)では、押出し用ピストン(63)が奥側(ロータ(52)の中心側)に配置され、ベーン(54)が外側(ロータ(52)の外周側)に配置されている。 ベーン(54)と押出し用ピストン(63)は、何れもがロータ(52)の半径方向へ進退自在となっている。 ベーン(54)の側面は、ガイド溝(53)のうち溝幅の狭い部分の側壁と摺接する。 押出し用ピストン(63)の側面は、ガイド溝(53)のうち溝幅の広い部分の側壁と摺接する。

    各ベーン(54)では、上下の側面に切り欠き部(62)が1つずつ形成されている。 この切り欠き部(62)は、ベーン(54)の基端寄り(ロータ(52)の中心寄り)に形成されている。 また、切り欠き部(62)は、ベーン(54)の位置に拘わらず少なくとも一部がロータ(52)の円周溝(61)とオーバーラップするような位置に形成されている。

    ロータ(52)の各端面に形成された円周溝(61)には、リングばね(64)が1つずつ設けられている。 リングばね(64)は、金属製の線材を渦巻き状に成形したものである。 このリングばね(64)は、ロータ(52)の円周溝(61)の内周壁を囲むように設けられ、各ベーン(54)の切り欠き部(62)に嵌め込まれている。 ベーン(54)及び押出し用ピストン(63)がロータ(52)の中心側へ引き込まれた状態(図10に示す状態)において、リングばね(64)は、無荷重状態か、あるいは径方向の外側へ幾分広げられた状態となっている。 つまり、リングばね(64)は、各ベーン(54)に対してロータ(52)の中心向きの力を作用させるために、各ベーン(54)の切り欠き部(62)に嵌め込まれている。

    本実施形態の油圧モータ(40)において、ハウジング(45)には、第1ポート(46)と第2ポート(47)とパイロットポート(48)と返油ポート(49)とが形成されている。 第1ポート(46)及び第2ポート(47)の端部の形状や位置は、上記実施形態1の場合と同様である。 また、実施形態1の場合と同様に、第1ポート(46)は油圧回路(80)の第1主通路(81)に接続され、第2ポート(47)は油圧回路(80)の第2主通路(82)に接続されている。

    また、油圧モータ(40)において、パイロットポート(48)の端部は、ハウジング(45)のうちロータ(52)の端面と対面する部分に開口している。 また、パイロットポート(48)の端部は、ロータ(52)のガイド溝(53)の底部(ロータ(52)の中心側の端部)と連通する位置に開口している。 なお、パイロットポート(48)が油圧回路(80)のパイロット通路(85)に接続されている点は、上記実施形態1の場合と同様である。

    また、油圧モータ(40)において、返油ポート(49)の端部は、ハウジング(45)のうちロータ(52)の円周溝(61)に臨む部分に開口している。 この返油ポート(49)は、作動油タンク(22)に接続されている。 ロータ(52)の円周溝(61)を満たす作動油の圧力は、作動油タンク(22)の内圧(ほぼ大気圧)と概ね等しくなる。

    −運転動作−
    本実施形態の油圧モータ(40)の運転動作について説明する。 この油圧モータ(40)では、ロータ(52)によってモータ軸(37)を回転駆動する駆動動作と、モータ軸(37)と連結されたロータ(52)が空転する空転動作とが切り換え可能となっている。

    駆動動作中の油圧モータ(40)では、パイロット油圧源(89)からの作動油が、パイロットポート(48)を通じて各ガイド溝(53)の底部へ導入される。 ガイド溝(53)の底部へ高圧の作動油が流入すると、図11に示すように、押出し用ピストン(63)の内周側の側面に作動油の油圧が作用し、押出し用ピストン(63)がロータ(52)の半径方向の外側へ押し出され、更にはベーン(54)が押出し用ピストン(63)に押される。 押出し用ピストン(63)に押されたベーン(54)は、リングばね(64)を変形させながらロータ(52)の半径方向の外側へ移動し、その先端がカムリング(51)の内周面に押し付けられる。

    この状態において、油圧モータ(40)は、上記実施形態1のものと同様の動作を行う。 つまり、第1ポート(46)が油圧源(88)に接続して第2ポート(47)が作動油タンク(22)に接続する状態では、高圧の作動油が第1ポート(46)を通って作動油室(56)へ流入し、ロータ(52)が図11における左回りに回転する。 また、第2ポート(47)が油圧源(88)に接続して第1ポート(46)が作動油タンク(22)に接続する状態では、高圧の作動油が第2ポート(47)を通って作動油室(56)へ流入し、ロータ(52)が図11における右回りに回転する。

    空転動作中の油圧モータ(40)では、パイロットポート(48)が作動油タンク(22)に接続される。 この状態において、ベーン(54)及び押出し用ピストン(63)は、リングばね(64)によってロータ(52)の中心側へ引き込まれ、ガイド溝(53)からパイロットポート(48)へと作動油が押し出される。 ベーン(54)がロータ(52)の中心側へ引き込まれた状態において、ベーン(54)の先端の位置は、ロータ(52)の外周面と面一となる位置か、ロータ(52)の外周面よりも僅かに引っ込んだ位置となる。

    上述したように、本実施形態の油圧モータ(40)では、ロータ(52)が常にモータ軸(37)と連結された状態となっている。 このため、空転動作中の油圧モータ(40)においても、モータ軸(37)が回転している間は、ロータ(52)も回転し続ける。 一方、空転動作中の油圧モータ(40)では、ベーン(54)がロータ(52)の中心側へ引き込まれた状態となっている。 このため、モータ軸(37)と共に回転するロータ(52)は、作動油室(56)内に残存する作動油を殆ど撹拌することなく、従ってモータ軸(37)の回転トルクを殆ど消費せずに空回りする。

    −実施形態2の効果−
    本実施形態においても、上記実施形態1と同様の制御マップに基づいて油圧モータ(40)と電気モータ(32)の使い分けが行われる。 従って、本実施形態によれば、上記実施形態1と同様に、上部旋回体(20)の旋回速度Rが比較的低くて出力軸トルクの要求値Tが比較的高い運転状態においても、電気モータ(32)での発熱量を確実に低減することができ、電気モータ(32)での発熱に起因するトラブルを未然に防止することができる。

    また、本実施形態において、空転動作中の油圧モータ(40)は、モータ軸(37)の回転トルクを殆ど消費せずに空回りする。 このため、本実施形態によれば、上記実施形態1と同様に、電気モータ(32)で出力軸(35)を駆動する動作中に旋回用モータ(31)の効率を高く保つことができ、更には上部旋回体(20)の減速時に出力軸(35)で電気モータ(32)を駆動する動作中に電気モータ(32)で発生する電力を増大させることができる。

    −実施形態2の変形例−
    本実施形態では、ベーン(54)と押出し用ピストン(63)が別体に形成されているが、ベーン(54)と押出し用ピストン(63)は一体に形成されていてもよい。

    《発明の実施形態3》
    本発明の実施形態3について説明する。 本実施形態の油圧ショベル(10)は、上記実施形態1において、旋回用モータ(31)の構成を変更したものである。 ここでは、本実施形態の旋回用モータ(31)について、上記実施形態1と異なる点を説明する。

    図12及び図13に示すように、本実施形態の旋回用モータ(31)には、実施形態1の油圧モータ(40)に代えて補助駆動機構(110)が油圧機構として設けられている。 また、この旋回用モータ(31)では、クラッチ機構部(70)の構成が上記実施形態1のものと相違している。

    補助駆動機構(110)は、1つの駆動用部材(111)と、2つの駆動用ピストン(115,116)と、2つのコイルばね(117,118)とを備えている。 この補助駆動機構(110)は、上記実施形態1の油圧モータ(40)と同様に、ハウジング(45)に収容されている。

    駆動用部材(111)は、1つの本体部(112)と、2つのアーム部(113,114)とを備えている。 本体部(112)は、断面が矩形状の円環状(あるいはドーナツ状)に形成されている。 アーム部(113,114)は、本体部(112)の外周面から径方向の外側へ向かって延びるように形成されている。 各アーム部(113,114)は、概ね四角柱状に形成されており、本体部(112)から外側へ向かって互いに反対方向へ突出している。 つまり、2つのアーム部(113,114)は、本体部(112)の周方向において180°離れた位置に設けられ、本体部(112)の直径と重なる直線に沿って延びている。

    駆動用部材(111)は、その本体部(112)にモータ軸(37)が挿通されており、モータ軸(37)と概ね同軸に配置されている。 この駆動用部材(111)は、モータ軸(37)に対して回転自在で、且つモータ軸(37)の軸方向にスライド自在となっている。

    2つの駆動用ピストン(115,116)は、それぞれが中実の比較的短い円柱状に形成されている。 第1駆動用ピストン(115)は、第1アーム部(113)の側方に配置されている。 第2駆動用ピストン(116)は、第2アーム部(114)の側方に配置されている。 各駆動用ピストン(115,116)は、ハウジング(45)に形成された穴に挿入されており、それぞれの軸方向(図13の上下方向)へ進退自在となっている。 各駆動用ピストン(115,116)は、それぞれの一方の端面(図13における下端面)が対応するアーム部(113,114)の一方の側面(図13における上側面)と対面するように設けられている。

    2つのコイルばね(117,118)は、各アーム部(113,114)の側方に1つずつ設けられている。 各コイルばね(117,118)は、対応するアーム部(113,114)を挟んで駆動用ピストン(115,116)とは反対側に設置されている。 各コイルばね(117,118)は、それぞれの一端が対応するアーム部(113,114)の他方の側面(図13における下側面)に当接し、アーム部(113,114)を駆動用ピストン(115,116)側へ押している。

    ハウジング(45)において、第1ポート(46)の一端は第1駆動用ピストン(115)の背面側に開口し、第2ポート(47)の一端は第2駆動用ピストン(116)の背面側に開口している。 上記実施形態1と同様に、第1ポート(46)には油圧回路(80)の第1主通路(81)が接続され、第2ポート(47)には油圧回路(80)の第2主通路(82)が接続されている。 駆動用ピストン(115,116)の背面に油圧が作用すると、駆動用ピストン(115,116)が押し出され、アーム部(113,114)が駆動用ピストン(115,116)に押されて駆動用部材(111)が回転する。

    本実施形態のクラッチ機構部(70)では、断続用部材(71)が省略されており、駆動用部材(111)が断続用部材(71)の機能を兼ねている。 このクラッチ機構部(70)において、摩擦板(75)は、その下面が駆動用部材(111)の本体部(112)の上面と対面するように設けられている。 実施形態1と同様に、摩擦板(75)は、モータ軸(37)に刻まれたスプラインと噛み合わされており、モータ軸(37)と一体となって回転する一方、モータ軸(37)の軸方向にはスライド自在となっている。 また、このクラッチ機構部(70)において、スラストベアリング(76)は、実施形態1と同様に、摩擦板(75)と電気モータ(32)の間に配置されている。

    このクラッチ機構部(70)において、断続用ピストン(74)は、断面が矩形の扁平な円環状に形成されており、その上面が駆動用部材(111)の本体部(112)の下面と対面するように配置されている。 ハウジング(45)では、パイロットポート(48)の一端が断続用ピストン(74)の下面側に開口している。 このパイロットポート(48)には、油圧回路(80)のパイロット通路(85)が接続されている。 断続用ピストン(74)の下面に油圧が作用すると、断続用ピストン(74)が上方へ押し上げられ、断続用ピストン(74)によって駆動用部材(111)が上方へ押し上げられる。 そして、摩擦板(75)が駆動用部材(111)とスラストベアリング(76)に挟み込まれ、駆動用部材(111)とモータ軸(37)が摩擦板(75)を介して連結される。

    −運転動作−
    本実施形態の旋回用モータ(31)では、出力軸(35)は殆ど回転しないものの出力軸(35)の回転トルクの要求値が大きい運転状態(例えば押付け掘削時の運転状態)でだけ補助駆動機構(110)による出力軸(35)の駆動が行われ、その他の運転状態では電気モータ(32)による出力軸(35)の駆動が行われる。

    補助駆動機構(110)で出力軸(35)を駆動する動作について説明する。 この動作中には、パイロットポート(48)がパイロット通路(85)を介してパイロット油圧源(89)に接続される。 そして、断続用ピストン(74)が上方へ押し上げられ、摩擦板(75)を介して駆動用部材(111)がモータ軸(37)と連結される。

    また、この動作中には、第1ポート(46)と第2ポート(47)の一方が油圧源(88)に接続されて他方が作動油タンク(22)に接続される。

    先ず、第1ポート(46)が第1主通路(81)を介して油圧源(88)に接続され、第2ポート(47)が第2主通路(82)を介して作動油タンク(22)に接続された場合について説明する。 この場合は、油圧源(88)から流出した作動油の油圧が第1駆動用ピストン(115)の背面に作用し、第1駆動用ピストン(115)が駆動用部材(111)の第1アーム部(113)側へ押し出される。 そして、第1駆動用ピストン(115)が第1アーム部(113)を図13における下側へ押し、駆動用部材(111)が同図における左回りに所定の角度だけ回転する。 第1ポート(46)と油圧源(88)の間が遮断されると、駆動用部材(111)は第1アーム部(113)に当接するコイルばね(117)の力によって同図における右回りに回転し、第1駆動用ピストン(115)が押し戻される。

    次に、第1ポート(46)が第1主通路(81)を介して作動油タンク(22)に接続され、第2ポート(47)が第2主通路(82)を介して油圧源(88)に接続された場合について説明する。 この場合は、油圧源(88)から流出した作動油の油圧が第2駆動用ピストン(116)の背面に作用し、第2駆動用ピストン(116)が駆動用部材(111)の第2アーム部(114)側へ押し出される。 そして、第2駆動用ピストン(116)が第2アーム部(114)を図13における下側へ押し、駆動用部材(111)が同図における右回りに所定の角度だけ回転する。 第2ポート(47)と油圧源(88)の間が遮断されると、駆動用部材(111)は第2アーム部(114)に当接するコイルばね(118)の力によって同図における左回りに回転し、第2駆動用ピストン(116)が押し戻される。

    電気モータ(32)で出力軸(35)を駆動する動作中には、パイロットポート(48)とパイロット油圧源(89)の間が遮断される。 この状態において、駆動用部材(111)はコイルばね(77)の力によって下方へ押し下げられ、駆動用部材(111)と接する断続用ピストン(74)も下方へ押し下げられる。 その結果、駆動用部材(111)は、モータ軸(37)から切り離された状態となる。

    《発明の実施形態4》
    本発明の実施形態4について説明する。 本実施形態の油圧ショベル(10)は、上記実施形態1において、コントローラ(100)の構成を変更したものである。 なお、本実施形態のコントローラ(100)は、上記実施形態2の油圧ショベル(10)にも適用可能である。

    本実施形態のコントローラ(100)では、制御マップが上記実施形態1のものと相違する。 ここでは、本変形例のコントローラ(100)の制御マップについて、図14を参照しながら説明する。

    本実施形態の制御マップは、横軸を「上部旋回体(20)の旋回速度(回転速度)」とし、縦軸を「旋回用モータ(31)の出力軸トルク(即ち、出力軸(35)の回転トルク)の絶対値」とした直交座標に表される。 その点は、上記実施形態1,2の制御マップと同様である。 この制御マップでは、「上部旋回体(20)の旋回速度」の基準値である基準速度R と、「旋回用モータ(31)の出力軸トルクの絶対値」の基準値である基準トルクT とが設定されている。 基準トルクT の値は、旋回用モータ(31)の出力軸トルクの最大値T maxよりも小さい。

    この制御マップでは、3つの領域が設定されている。

    第1領域は、横軸が基準速度R 以上であり、縦軸が0(ゼロ)以上で最大トルクT max以下の領域である。 旋回用モータ(31)の運転状態が第1領域に属する場合は、電気モータ(32)で出力軸(35)を駆動する動作が行われ、油圧モータ(40)で出力軸(35)を駆動する動作は行われない。

    第2領域は、横軸が0(ゼロ)以上で基準速度R 未満であり、縦軸が基準トルクT よりも大きくて最大トルクT max以下の領域である。 旋回用モータ(31)の運転状態が第2領域に属する場合は、電気モータ(32)と油圧モータ(40)の両方で出力軸(35)を駆動する動作が行われる。 この動作中には、油圧モータ(40)の出力が旋回用モータ(31)の出力軸トルクの要求値に拘わらず一定に保たれる一方、電気モータ(32)の出力が旋回用モータ(31)の出力軸トルクの要求値に応じて調節される。

    第3領域は、横軸が0(ゼロ)以上で基準速度R 未満であり、縦軸が0(ゼロ)以上で基準トルクT 以下の領域である。 旋回用モータ(31)の運転状態が第3領域に属する場合は、油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動する動作が行われる。 この場合において、油圧モータ(40)の出力は、旋回用モータ(31)の出力軸トルクの要求値に拘わらず一定に保たれる。 また、この場合には、電気モータ(32)がモータ軸(37)によって駆動されて発電する動作が行われ、出力軸(35)の回転トルク(即ち、出力トルク)を制御するために電気モータ(32)での発電量が調節される。

    −運転動作−
    コントローラ(100)の動作について、図14を参照しながら説明する。

    先ず、上部旋回体(20)の加速時(即ち、上部旋回体(20)の旋回速度を上昇させる場合)において、旋回用モータ(31)に対する出力軸トルクの要求値Tは、上部旋回体(20)の旋回速度Rに応じて同図に一点鎖線で示すように変化することが多い。

    具体的に、出力軸トルクの要求値Tは、上部旋回体(20)が旋回し始めた直後から比較的高い値となる。 このため、旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方によって出力軸(35)が駆動される。 その際、油圧モータ(40)の出力は一定に保たれ、電気モータ(32)の出力を制御することによって、旋回用モータ(31)の出力軸トルクが制御される。 出力軸トルクの要求値Tは、その最大値T maxにまで一旦上昇し、その後は次第に減少してゆく。

    旋回速度R=R となった時点で出力軸トルクの要求値Tが基準トルクT になると、旋回用モータ(31)では、電気モータ(32)に対する電力の供給が停止され、油圧モータ(40)だけで出力軸(35)を駆動する動作が開始される。 その後、出力軸トルクの要求値Tは、旋回速度Rが上昇するのにつれて次第に低下してゆく。 このため、旋回速度Rが上昇するのにつれて電気モータ(32)での発電量が引き上げられ、旋回用モータ(31)の出力軸(35)の回転トルクが削減される。

    旋回速度R=R になると、旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)で出力軸(35)を駆動する動作が停止され、電気モータ(32)で出力軸(35)を駆動する動作が開始される。 その際、油圧モータ(40)では、パイロットポート(48)がパイロット油圧源(89)から切り離され、断続用部材(71)が押し下げられてロータ(52)がモータ軸(37)から切り離される。

    その後、出力軸トルクの要求値Tは、旋回速度Rが上昇するのにつれて幾分低下し、その後は概ね一定に保たれる。 その間、旋回用モータ(31)では、電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する動作が継続して行われる。

    次に、上部旋回体(20)の減速時(即ち、上部旋回体(20)の旋回速度を低下させる場合)において、旋回用モータ(31)に対する出力軸トルクの要求値Tは、上部旋回体(20)の旋回速度Rに応じて同図に二点鎖線で示すように変化することが多い。

    具体的に、出力軸トルクの要求値Tは、上部旋回体(20)の旋回速度Rがある程度高い間は出力軸トルクの最大値T maxに近い値に保たれる。 その間、旋回用モータ(31)では、電気モータ(32)が発電機として動作する。 つまり、旋回用モータ(31)では、出力軸(35)に連結されたモータ軸(37)によって電気モータ(32)が駆動され、電気モータ(32)が上部旋回体(20)の運動エネルギを電気エネルギに変換する。

    旋回速度R=R になると、旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方で出力軸(35)を減速する動作が開始される。 この動作中は、油圧モータ(40)が出力軸(35)によって駆動されてポンプとして動作し、油圧回路(80)の第1主通路(81)及び第2主通路(82)を流れる作動油に圧力損失を付与することで、出力軸(35)が減速する。 また、電気モータ(32)は、出力軸(35)によって駆動されて発電する動作を継続して行う。 その後は、上部旋回体(20)が停止するまで、油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方で出力軸(35)を減速する動作が継続して行われる。

    上記実施形態1において述べたように、油圧ショベル(10)で溝を掘る場合は、油圧ショベル(10)のバケット(28)を溝の側壁に押し付けながら掘削を行うことがある。

    押付け掘削中の油圧ショベル(10)では、上部旋回体(20)の旋回速度Rが低く、旋回用モータ(31)に対する出力軸トルクの要求値Tが高い状態となる。 つまり、図14に示す制御マップにおいて、押付け掘削中の運転状態は、油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方で出力軸(35)を駆動する動作が行われる領域に属する。 このため、押付け掘削中の旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)へ油圧源(88)から高圧の作動油が供給されると共に、電気モータ(32)に対して電力が供給される。

    このように、本実施形態の旋回用モータ(31)では、上部旋回体(20)の旋回速度Rが比較的低くて出力軸トルクの要求値Tが比較的高い状況において、油圧モータ(40)と電気モータ(32)の両方で出力軸(35)を駆動している。 このため、電気モータ(32)だけで出力軸(35)を駆動する場合に比べて電気モータ(32)を流れる電流を削減することができ、電気モータ(32)での発熱量を低減することができるため、電気モータ(32)での発熱に起因するトラブルを未然に防止できる。

    《その他の実施形態》
    −第1変形例−
    上記各実施形態の旋回用モータ(31)では、上部旋回体(20)を減速する際に、油圧モータ(40)で出力軸(35)を減速させる動作が可能となっているが、電気モータ(32)で出力軸(35)を減速させる動作だけを行うようようにしてもよい。

    本変形例の旋回用モータ(31)において、上部旋回体(20)を加速する場合にはコントローラ(100)の制御マップに基づく制御動作が行われる一方、上部旋回体(20)を減速する場合には電気モータ(32)で出力軸(35)を減速させる動作が行われる。 つまり、上部旋回体(20)が停止するまでの間は、出力軸(35)で電気モータ(32)を駆動することによって電気モータ(32)で発電を行う動作だけが行われる。 その結果、上部旋回体(20)の運動エネルギのうち電気モータ(32)で電力に変換される分が多くなり、上部旋回体(20)を駆動する駆動装置(30)の効率を向上させることができる。

    −第2変形例−
    上記実施形態1,2,4の旋回用モータ(31)では、油圧モータ(40)のモータ機構部(50)がベーン型の油圧モータを構成しているが、モータ機構部(50)を構成する油圧モータ(40)の形式はベーン型に限定されない。 例えば、2つの歯車からなる歯車モータや、いわゆるラジアルピストン型の油圧モータによってモータ機構部(50)を構成してもよい。

    なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。

    以上説明したように、本発明は、油圧ショベルの上部旋回体等の旋回体を旋回させるための駆動装置について有用である。

    油圧ショベルの構成を示す概略斜視図である。

    旋回用モータと内歯ギヤの配置を示す油圧ショベルの要部の概略斜視図である。

    実施形態1の油圧モータの構成とクラッチ機構部が切り離された状態を示す旋回用モータの一部断面図である。

    実施形態1の油圧モータの構成とクラッチ機構部が締結された状態を示す旋回用モータの一部断面図である。

    実施形態1の油圧モータの構成を示す図3のA−A断面図である。

    油圧回路の構成と油圧モータが停止中の切換弁等の状態とを示す油圧回路図である。

    油圧回路の構成と油圧モータが運転中の切換弁等の状態とを示す油圧回路図である。

    実施形態1のコントローラにおける制御マップを示す説明図である。

    実施形態2の油圧モータの構成を示す旋回用モータの一部断面図である。

    空転動作中の実施形態2の油圧モータを示す図9のB−B断面図である。

    駆動動作中の実施形態2の油圧モータを示す図9のB−B断面図である。

    実施形態3の補助駆動機構の構成を示す旋回用モータの一部断面図である。

    実施形態3の補助駆動機構の構成を示す図12のC−C断面図である。

    実施形態4のコントローラにおける制御マップを示す説明図である。

    符号の説明

    10 油圧ショベル
    11 下部走行体(非旋回体)
    20 上部旋回体(旋回体)
    31 旋回用モータ
    32 電気モータ(電動機)
    35 出力軸
    40 油圧モータ(油圧機構)
    110 補助駆動機構(油圧機構)

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