ギアポンプの制御方法

申请号 JP2016042421 申请日 2016-03-04 公开(公告)号 JP2017154469A 公开(公告)日 2017-09-07
申请人 株式会社神戸製鋼所; 发明人 山田 紗矢香; 山口 和郎;
摘要 【課題】ギヤポンプの空転を検知して、ギヤポンプを安定して稼働する。 【解決手段】本発明のギアポンプ1の制御方法は、混練設備2の下流側に設けられて、混練設備2で混練された材料を下流側に送るギアポンプ1に対して、ギアポンプ1の回転数を制御するに際しては、ギアポンプ1が空転しているかどうかを判断し、判断の結果に応じてギアポンプ1の回転数を変更することを特徴とする。好ましくは、ギアポンプ1の入側の圧 力 P in を計測しておき、計測されたギアポンプ1入側の圧力P in が目標の圧力設定値P 0 よりも高くなった場合に、ギアポンプ1が空転しているかどうかを判断するとよい。 【選択図】図1
权利要求

混練設備の下流側に設けられて、当該混練設備で混練された材料を下流側に送るギアポンプに対して、前記ギアポンプの回転数を制御するに際しては、 前記ギアポンプが空転しているかどうかを判断し、前記判断の結果に応じて前記ギアポンプの回転数を変更する ことを特徴とするギアポンプの制御方法。前記ギアポンプの入側の圧Pinを計測しておき、前記計測されたギアポンプ入側の圧力Pinが目標の圧力設定値P0よりも高くなった場合に、前記ギアポンプが空転しているかどうかを判断することを特徴とする請求項1に記載のギアポンプの制御方法。前記ギアポンプの空転が生じているとの判断の結果が得られた場合には、前記ギアポンプの回転数を低くする制御を行い、 前記ギアポンプの空転が生じていないとの判断の結果が得られた場合には、前記ギアポンプの回転数を高くすることを特徴とする請求項1又は2に記載のギアポンプの制御方法。前記ギアポンプの入側の圧力Pin及び出側の圧力Poutを計測し、計測された入側の圧力Pin及び出側の圧力Poutが次式の関係を満足するときに、前記ギアポンプが空転していると判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のギアポンプの制御方法。前記ギアポンプの入側の圧力Pin及び出側の圧力Poutを計測し、計測された入側の圧力Pin及び出側の圧力Poutが次式の関係を満足するときに、前記ギアポンプが空転していないと判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のギアポンプの制御方法。前記ギアポンプを駆動している電動機の負荷を計測し、 計測された電動機の負荷が所定の値以下の場合に、前記ギアポンプが空転していると判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のギアポンプの制御方法。前記ギアポンプを駆動している電動機の負荷を計測し、 計測された電動機の負荷が所定の値より大きい場合に、前記ギアポンプが空転していないと判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のギアポンプの制御方法。

说明书全文

本発明は、混練設備に設けられたギアポンプの制御方法に関するものである。

一般に、連続混練機や押出機などの混練設備は、平方向に沿って長尺に形成された筒状のバレルと、このバレルの内部に挿入されて材料を混練する混練ロータとを備えている。このような混練設備では、バレル内に供給された材料が混練ロータによって混練され、混練設備の最も下流側に位置する排出部から排出される。排出部から排出された材料はスクリーンチェンジャに送られ、スクリーンチェンジャで異物が除去される。

このスクリーンチェンジャは目が細かいメッシュを重ね合わせた構造となっており、溶融樹脂をメッシュに通過させることで異物を除去する構成となっている。また、このメッシュを通過させるためには溶融樹脂の圧を上昇させる必要がある。そのため、特許文献1や特許文献2に示される混練設備では、スクリーンチェンジャの上流側に、溶融樹脂の圧力を高めるギアポンプが配備されている。

なお、このギアポンプは、スクリーンチェンジャを通過させる為に材料を昇圧させる機能だけでなく、混練度を調整する為に材料を滞留させる機能も備えている。 つまり、混練機の下流での混練度は、混練機の下流側に溶融樹脂がどの程度滞留しているかに影響を受け、例えば混練機の下流側における材料の充満率が高いほど材料の混練度も高くなる。そして、この混練機の下流側での材料の充満率は、ギアポンプの上流側の圧力が高いほど高くなる。つまり、混練度はギアポンプの回転数によって変化する。

そのため、従来の混練設備では、ギアポンプの入側の圧力を計測し、計測された圧力が所望の混練度に見合った圧力となるように、ギアポンプの回転数をPID制御器などを用いて調整している。例えば、計測されたギアポンプの入側の圧力が設定値より高いときには、入側での材料の充満率が高すぎるためであると考えられるので、ギアポンプの回転数を上げ、ギアポンプの出側に送られる樹脂の量を増やす。そうすると、ギアポンプの入側における材料の充満率が低下し、ギアポンプの入側の圧力を下げることができる。このように従来の混練設備では、ギアポンプの回転数を変化させることで、ギアポンプの入側の圧力を所望の圧力に調整していた。

特開平02−6118号公報

特開2013−180560号公報

ところで、特許文献1や特許文献2のギアポンプでは、ギアポンプの入側の圧力が設定値より高いときに、ギアポンプの回転数を上げる操作を行うが、このような操作を行っても圧力が下げられない場合がある。 例えば、ギアポンプの回転数を上げても、出側での吐出量がかえって低下してしまうことがある。このような場合は、回転数をいくら上げても出側での吐出量が一向に増加せず、ギアポンプの上流側から下流側に材料は全く移動しない。一方で、材料は混練設備側から連続して送られてくるため、ギアポンプの入側の圧力はさらに高くなる。その結果、ギアポンプの回転数をさらに上げるといった制御が働くといった悪循環が生じ、最終的には制御が発散して停止する。

本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ギヤポンプの空転を検知して、ギヤポンプを安定して稼働可能とするギアポンプの制御方法を提供することを目的とする。

上記課題を解決するため、本発明のギアポンプの制御方法は以下の技術的手段を講じている。 即ち、本発明のギアポンプの制御方法は、混練設備の下流側に設けられて、当該混練設備で混練された材料を下流側に送るギアポンプに対して、前記ギアポンプの回転数を制御するに際しては、前記ギアポンプが空転しているかどうかを判断し、前記判断の結果に応じて前記ギアポンプの回転数を変更することを特徴とする。

なお、好ましくは、前記ギアポンプの入側の圧力Pinを計測しておき、前記計測されたギアポンプ入側の圧力Pinが目標の圧力設定値P0よりも高くなった場合に、前記ギアポンプが空転しているかどうかを判断するとよい。 なお、好ましくは、前記ギアポンプの空転が生じているとの判断の結果が得られた場合には、前記ギアポンプの回転数を低くする制御を行い、前記ギアポンプの空転が生じていないとの判断の結果が得られた場合には、前記ギアポンプの回転数を高くするとよい。

なお、好ましくは、前記ギアポンプの入側の圧力Pin及び出側の圧力Poutを計測し、計測された入側の圧力Pin及び出側の圧力Poutが次式の関係を満足するときに、前記ギアポンプが空転していると判断するとよい。

なお、好ましくは、前記ギアポンプの入側の圧力Pin及び出側の圧力Poutを計測し、計測された入側の圧力Pin及び出側の圧力Poutが次式の関係を満足するときに、前記ギアポンプが空転していないと判断するとよい。

なお、好ましくは、前記ギアポンプを駆動している電動機の負荷を計測し、計測された電動機の負荷が所定の値以下の場合に、前記ギアポンプが空転していると判断するとよい。 なお、好ましくは、前記ギアポンプを駆動している電動機の負荷を計測し、計測された電動機の負荷が所定の値より大きい場合に、前記ギアポンプが空転していないと判断するとよい。

本発明のギアポンプの制御方法によれば、ギヤポンプの空転を検知して、ギヤポンプを安定して稼働することができる。

本発明のギアポンプの制御方法が行われる混練設備を示した図である。

運転中に正常に回転しているギアポンプ内の圧力の分布を、境界値0MPaで2色(黒塗りとドット)に色分けして示した図である。

運転中に正常に回転しているギアポンプ内の圧力の分布を、境界値1MPaで2色(黒塗りとドット)に色分けして示した図である。

運転中に正常に回転しているギアポンプ内の圧力の分布を、境界値10MPaで2色(黒塗りとドット)に色分けして示した図である。

運転中に正常に回転しているギアポンプ内の圧力の分布を、境界値11MPaで2色(黒塗りとドット)に色分けして示した図である。

運転中に空転が発生しているギアポンプ内の圧力の分布を、境界値0MPaで2色(黒塗りとドット)に色分けして示した図である。

運転中に空転が発生しているギアポンプ内の圧力の分布を、境界値1MPaで2色(黒塗りとドット)に色分けして示した図である。

第1実施形態の制御方法で制御されたギアポンプを備える混練設備を示した図である。

第1実施形態の制御方法においてコントローラに対して入出力される信号の流れを示す図である。

第1実施形態の制御方法を示すフローチャートである。

第2実施形態の制御方法で制御されたギアポンプを備える混練設備を示した図である。

第2実施形態の制御方法においてコントローラに対して入出力される信号の流れを示す図である。

第2実施形態の制御方法を示すフローチャートである。

ギアポンプが正常に運転している際の電動機負荷と、電動機負荷設定値との関係を示した図である。

従来の制御方法を示すフローチャートである。

[第1実施形態] 以下、本発明のギアポンプ1の制御方法の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。 まず、制御方法の説明に先立ち、この第1実施形態の制御方法が行われる混練設備2について説明する。 図1は、第1実施形態のギアポンプ1を備えた混練設備2について模式的に示したものである。この混練設備2は、ゴムやポリオレフィン系樹脂のような熱可塑性の樹脂材料を混練するものであり、実際には連続混練機や押出機などの設備が用いられる。混練設備2の軸数は単軸であっても多軸(2軸)であっても良く、また運転方式は連続式であってもバッチ式であっても良い。本実施形態では、2軸の異方向回転型の連続混練機を備えた設備を混練設備2として例に挙げている。

図1の上側に示すように、本実施形態の混練設備2(連続混練機)は、内部が空洞に形成されたバレル3と、バレル3の内部を軸心方向に沿って挿通する一対の混練ロータ4、4と、を有している。連続混練機では、一対の混練ロータ4、4は互いに異方向に向かって噛み合い状態で回転しており、一対の混練ロータ4、4間に材料を導いて材料(樹脂)の混練を行う構成とされている。

この混練設備2の排出部8からバレル3外に排出された材料は、ギアポンプ1に送られる。ギアポンプ1は、水平方向に沿って流れる材料に対して、材料が流れる向きとは直交する向きに軸心を備えた上下1対のギア5U、5Dを有している。これら一対のギア5U、5Dは、互いに噛み合い状態となっており、互いに異方向に回転するようになっている。具体的には、図1の例では、上側のギア5Uは軸心回りを時計方向に回転し、下側のギア5Dは軸心回りを反時計方向に回転するようになっている。

また、これら一対のギア5U、5Dはケーシング6内に形成された円筒体が重なり合ったような形状の収容部7に収容されており、収容部7はギア5(以降では、ギア5U、5Dを合わせてギア5という場合がある)の回転外径よりやや大きな内径を備えていて、ギア5の歯の凹んだ部分(凹部5a)と収容部7の内壁面7aとの間の隙間に入り込んだ材料が、ギア5の回転によって上流側から下流側に送られることで、材料を搬送する構成となっている。それゆえ、図1の例では、時計方向に回転する上側のギア5Uでは、この上側のギア5Uと、ケーシング7との間に案内された材料が、上側のギア5Uのさらに上方を通って、上流側から下流側に送られる。また、反時計方向に回転する下側のギア5Dでは、この下側のギア5Dと、ケーシング7との間に案内された材料が、下側のギア5Dのさらに下方を通って、上流側から下流側に送られる。

このようにしてギアポンプ1では、排出部8から排出された材料が上流側から下流側に送られ、スクリーンチェンジャ9に圧送され、このスクリーンチェンジャ9で異物が除去された材料は、ペレタイザ10に送られる。ペレタイザ10では、樹脂(材料)のペレットが製造される。 ところで、混練設備2の出側、言い換えればギアポンプ1の入側における材料の圧力は混練設備2の混練度を左右するものであり、ギアポンプ1の入側の圧力(後述するPin)はギアポンプ1の回転数を変化させることで調整することができる。

そのため、図9に示すような手順で、従来から、ギアポンプ1の入側の圧力Pin'が所望の入側圧力設定値P0'となるように、ギアポンプ1の回転数を制御している。 具体的には、ギアポンプ1の入側(混練機の出側)に圧力センサ12を設けておき、この圧力センサ12で入側の圧力Pin'を一定時間に亘って計測する(S31)。このようにして計測された入側の圧力Pin'は、コントローラに送られる。コントローラには入側の圧力として許容可能な圧力の値、つまり上限値と下限値を有する入側圧力設定値P0'が予め入力されており、コントローラは入側の圧力Pin'の計測値と入側圧力設定値P0'とに基づいてギアポンプ1の回転数を制御している。つまり、入側の圧力Pin'の計測値が入側圧力設定値P0'の範囲内であるかどうかを比較する(S32)。比較の結果、入側の圧力Pin'の計測値が入側圧力設定値P0'の範囲内である場合は、ギアポンプ1の回転数は変更しない(S33)。しかし、入側の圧力Pin'の計測値が入側圧力設定値P0'の範囲内でない場合は、次に「入側の圧力Pin'の計測値が入側圧力設定値P0'より高いかどうか」を判断する(S34)。「入側の圧力Pin'の計測値が入側圧力設定値P0'より高い」と判断されなかった場合には、ギアポンプ1の回転数を下げる制御が行われる(S36)。

このようにギアポンプ1の回転数を下げれば、ギアポンプ1の上流側から下流側に送られる材料の量が減り、ギアポンプ1の入側に材料が溜まりやすくなって、入側の圧力Pin'が上がる。 また、「入側の圧力Pin'の計測値が入側圧力設定値P0'より高い」と判断された場合には、ギアポンプ1の回転数を上げる制御が行われる(S36)。このようにギアポンプ1の回転数を上げれば、ギアポンプ1の上流側から下流側に送られる材料の量が増え、ギアポンプ1の入側に材料が溜まり難くなって、入側の圧力Pin'を下げることが可能となる。

このように従来の混練設備では、ギアポンプ1の入側の圧力Pin'を予め設定した設定値(入側圧力設定値P0')に維持するように、ギアポンプ1の回転数を制御している。 ところが、従来のギアポンプ1では、ギアポンプ1の入側の圧力が設定値より高いときに、ギアポンプ1の回転数を上げる操作を行うのであるが、このような操作を行っても圧力が下がらない場合がある。

すなわち、回転数をいくら上げても出側での吐出量が一向に増加せず、ギアポンプ1の上流側から下流側に材料は全く移動しなくなる。一方で、材料は混練設備側から連続して送られてくるため、ギアポンプ1の入側の圧力はさらに高くなる。その結果、回転数を上げたにも拘わらず入側の圧力がさらに高くなって、ギアポンプ1の回転数をさらに上げる制御が働くといった悪循環が生じ、最終的には制御が発散して停止する。

このように回転数をいくら上げてもギアポンプ1の上流側から下流側に材料は全く移動しないという問題が発生する理由に対し、本発明者らは鋭意研究を行った。その結果、「ギアポンプの空転」が、ギアポンプ内で材料が移動しない原因となっていることがわかってきた。 次に、この「ギアポンプの空転」について詳しく説明する。なお、図2A〜図2Dは、ギアポンプにおいて、通常の運転が行われている状況(空転なし)を示しており、図3A及び図3Bは、ギアポンプにおいて空転が発生している状況を示している。なお、図2A〜図2D、図3A、及び図3Bは、材料の圧力を境界値によって2色(黒色で塗りつぶした部分とドットパターンと)に分けてマッピングしたものである。つまり、図2A、図3Aは0MPaを境界値として、境界値以上を黒色、境界値未満をドットパターンとして2色で材料の圧力分布を示したものであり、図2B、図3Bは1MPaを境界値として同様に2色で圧力分布を示したものである。また、図2Cは10MPaを境界値として、図2Dは11MPaを境界値として2色で材料の圧力分布を示したものとなっている。

図2A〜図2D、図3A及び図3Bから明らかなように、「ギアポンプ1の空転」とは、ギアポンプ1の入側に位置するギア歯の凹部5aに材料が十分に入り込まないうちに、ギア5が回転してギア歯の凹部5aが出側に達してしまい、材料が十分に運ばれずにギア5のみが空回りしている状態を意味している。言い換えれば、空転を起こしていない図2A〜図2Dのギアポンプ1では、ギアポンプ1の入側においてギア歯の凹部5aに材料が隙間なく入り込み、ギアポンプ1の出側まで回転した凹部5aには殆ど空隙がなく材料が詰まっている。ところが、図3A及び図3Bのギアポンプ1の凹部5aにはまた空隙が残っていて材料が入る余地が残っている。

具体的には、図2A〜図2Dにおけるギア歯の凹部5の平均の充填率(平均凹部充填率)は75%であり、図3A及び図3Bにおける凹部充填率は50%である。このことから、平均凹部充填率での材料の充填率が50%以下、好ましくは40%以下となるような場合を「ギアポンプ1が空転している」ということができる。 また、図2におけるギア歯の凹部5の「D点」まで回転した凹部5aでの材料の充填率(D点充填率)は90%であり、図3におけるD部充填率は75%である。このことから、図中の「D点」まで回転した凹部5aでの材料の充填率が75%以下、好ましくは70%以下となるような場合を「ギアポンプ1が空転している」ということができる。

また、言い換えれば、「ギアポンプ1の空転」とは、ギアポンプ1の下流側で要求される材料の供給速度を、実際にギア5の回転で運ばれる材料の供給速度が下回る状態を意味しており、ギアポンプ1の出側(ギアポンプ1からスクリーンチェンジャ9に向かう途中)の材料排出部16が「材料で空隙なく満たされていない」状態を示している。そのため、「ギアポンプの空転」を材料排出部16における材料の充填率を用いて表現することもできる。

具体的には、空転を起こさずに正常に回転している(非空転状態で回転している)図2A〜図2Dのギアポンプ1において、「B点」として示されるギアポンプの材料排出部16では、ギアポンプ1の出側の材料排出部16が有する内容積のうち、材料が存在する容積が占める割合(排出部充填率)は90%(100%でないのは、実際は細かい気泡が含まれることを考慮)となっており、材料排出部16に空隙は殆ど存在していない。ところが、空転を起こしつつ回転している図3のギアポンプ1の場合、図2と同じ「B点」で比較すると、材料が存在する容積が占める割合(排出部充填率)は80%となっている。それゆえ、材料排出部における材料の充填率が80%以下、好ましくは75%以下となるような場合を「ギアポンプ1が空転している」ということもできる。

なお、ギアポンプ1の空転は上述したようにギアポンプ1の内部で起こっている現象に関係するものであるが、ギアポンプ1の入側と出側との圧力差や、ギアポンプ1を駆動する電動機11に加わる負荷を用いて、ギアポンプ1の空転の有無を判断することができる。 そのため、本発明のギアポンプ1の制御方法では、通常のギアポンプ1の制御を行うと共に、ギアポンプ1の入側と出側との圧力差や、ギアポンプ1を駆動する電動機11に加わる負荷を用いて、ギアポンプ1の空転状態を加味したギアポンプ1の制御を行っている。

以降では、まず、ギアポンプ1の入側と出側との圧力差に基づいて、ギアポンプ1の空転の有無を判断する例をギアポンプ1の制御方法の第1実施形態として説明する。 まず、第1実施形態の制御方法に用いられるギアポンプ1の制御機構17について説明する。 図4Aは、図1に示すギアポンプ1の制御機構17をブロック図の形で示したものである。図4Aに示す如く、第1実施形態のギアポンプ1において、ギアポンプ1の制御機構17は、ギアポンプ1の入側(材料導入部18、(図2A〜図2D、図3A及び図3B、図4Aにおける「A点」))に設けられた入側圧力センサ12と、ギアポンプ1の出側(材料排出部16、(図2A〜図2D、図3A及び図3B、図4Aにおける「B点」)に設けられた出側圧力センサ13と、ギアポンプ1を駆動させる電動機11と、電動機11を制御するコントローラ14と、を備えている。入側圧力センサ12で計測されたギアポンプ1の入側の圧力Pin及び出側圧力センサ13で計測されたギアポンプ1の出側の圧力Poutは、いずれもコントローラ14に送られる。

図4Bは、上述したコントローラ14に対する信号の入出力を示したブロック図である。このコントローラ14は、実際にはパソコンやPLCのような装置であり、図4Bに示すように、コントローラ14には入側の圧力計測値Pin及び出側の圧力計測値Pout以外にも、入側圧力設定値P0が予め入力されている。また、コントローラ14からはギアポンプ1に対してギアポンプ操作量信号、言い換えれば電動機11の回転数に対する制御信号が出力されている。

このコントローラ14では、これらのPin、Pout、P0、及びギアポンプ操作量信号を用いて、図5に示すような手順で信号処理が行われる。 図5に示すように、まず入側圧力センサ12でギアポンプ1の入側の圧力Pinが計測されると共に出側圧力センサ13でギアポンプ1の出側の圧力Poutが計測される(S11)。計測された圧力Pin及び圧力Poutの計測値がコントローラ14に送られる。

コントローラ14では、まず入力された入側の圧力Pinと、予め入力されていた上限値と下限値を有する入側圧力設定値P0とを比較し、「入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0の範囲内である」かどうかの判断、言い換えれば、入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0として設定された数値の範囲内に含まれているかどうかの判断が行われる(S12)。 判断の結果、「入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0の範囲内である」との判断、言い換えれば「YES」の判断が為された場合には、ギアポンプ1の運転状態を正常なものと考え、ギアポンプ1の運転状態を維持する。つまり、ギアポンプ1の回転数を変更しないものとする(S13)。

しかし、判断の結果、「入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0の範囲内でない」との判断、言い換えれば「NO」の判断が為された場合には、次に進んで、「入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0より高いか」かどうかの判断が行われる(S14)。 判断の結果、「入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0より高くない(入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0より低い)」との判断、言い換えれば「NO」の判断が為された場合には、ギアポンプ1の入側の圧力が下がっていることになるので、ギアポンプ1の回転を下げる(S15)。

しかし、判断の結果、「入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0より高い」との判断、言い換えれば「YES」の判断が為された場合には、ギアポンプ1の入側の圧力が上昇していることになるので、次のステップに進んでギアポンプ1が空転しているかどうかを判断する。 すなわち、次のステップでは、入力された入側の圧力Pinと出側の圧力Poutとを用いて、「入側の圧力Pinが出側の圧力Poutより高い」かどうかを判断する(S16)。

この「ギアポンプ1に空転が起こっているかどうか」の判断は、正常に運転していれば加圧されて入側より圧力が高いはずの出側の材料の圧力が、入側の材料の圧力よりも低くなっているかどうかで行われる。つまり、次の式(1)の関係が成立した場合に、「ギアポンプ1に空転が起こっている」と判断し、式(1’)の関係が成立した場合に、「ギアポンプ1に空転が起こっていない」と判断するものとなっている。

判断の結果、「入側の圧力Pin<出側の圧力Pout」との判断、言い換えれば「YES」の判断が為された場合には、ギアポンプ1は空転していないと判断し、ギアポンプ1の回転数を上げる(S17)。また、「入側の圧力Pin≧出側の圧力Pout」との判断、言い換えれば「NO」の判断が為された場合には、ギアポンプ1が空転していると判断し、ギアポンプ1の回転数を下げる(S18)。

上述したような第1実施形態のギアポンプ1の制御方法を用いれば、ギアポンプ1で空転が起こっている場合には、ギアポンプ1の回転数を下げる制御が行われ、ギアポンプ1の空転を抑制することが可能となる。そのため、ギアポンプ1が空転してまま回転数の制御が行われることもなくなり、制御が発散する問題も起こりにくくなって、より精度の良いギアポンプ1の回転数の制御が可能となる。 「第1実施形態の変形例」 上述した第1実施形態のギアポンプ1の制御方法では、式(1)及び式(1’)に示すように、入側圧力センサ12で計測された入側の圧力Pinと出側圧力センサ13で計測された出側の圧力Poutとを比較し、入側の圧力Pinが出側の圧力Poutを下回った場合に、「ギアポンプ1が空転している」と判断している。

しかし、ギアポンプ1が空転しているかどうかの判断は、入側の圧力Pinが出側の圧力Poutを下回るまで低下するのを待つ必要は必ずしもない。例えば、空転を起こさずに回転しているギアポンプ1では、入側の圧力Pinが0.5MPa程度、出側の圧力Poutが30MPa程度となっていて、ギアポンプ1の入側に比して出側は60倍程度の圧力に加圧されていることが多い。ところが、ギアポンプ1が空転すると、入側に対する出側の圧力の倍率が60倍よりも小さいものとなる。例えば、ギアポンプ1の出側の圧力が入側の10倍程度まで低下すれば、十分に「ギアポンプ1が空転している」と判断することができる。

そのため、上述した次の式(1)の関係に代えて式(2)の関係式を用い、次の式(1’)の関係に代えて式(2’)の関係式を用いれば、式(1)や式(1’)を用いるより「ギアポンプ1が空転している」という判断結果を手早く得ることができ、ギアポンプ1の空転を迅速に抑制することが可能となって、より精度の良いギアポンプ1の回転数の制御が可能となる。

例えば、「A点」での圧力値を、境界値を0MPaで色分けした図2Aと、境界値を1MPaで色分けした図2Bとで比較すると、図2Aでは「A点」の圧力値は0MPa以上の領域に位置しているが、図2Bでは1MPa未満の領域に位置していて、「A点」の圧力値は0〜1MPaの範囲になっていることがわかる。 一方、「B点」での圧力値を、境界値を10MPaで色分けした図2Cと、境界値を11MPaで色分けした図2Dとで比較すると、図2Cでは「B点」の圧力値は10MPa以上の領域に位置しているが、図2Dでは11MPa未満の領域に位置していて、「B点」の圧力値は10〜11MPaの範囲になっていることがわかる。

このことから、正常に回転しているギヤポンプ1では、圧力値が0〜1MPaである「A点」と、圧力値が10〜11MPaである「B点」との間には、10倍程度の圧力差があり、ギアポンプ1の出側の圧力が入側の10倍程度まで低下すれば、ギアポンプ1が空転している」と判断可能であることがわかる。 「第2実施形態」 なお、上述した第1実施形態の制御方法では、ギアポンプ1の入側と出側との圧力差に基づいて、ギアポンプ1の空転が生じているか否かの判断を行った。しかし、ギアポンプ1が空転しているか否かの判断は、ギアポンプ1を駆動している電動機11の負荷(トルク)に基づいて行うこともできる。

第2実施形態のギアポンプ1の制御方法は、ギアポンプ1を駆動している電動機11に、この電動機11に加わる負荷を推定し、推定された電動機11の負荷が所定の値以下の場合に、ギアポンプ1が空転していると判断するものである。つまり、空転状態にあるギアポンプ1ではギア歯の凹部5aに材料が入り込んでおらず、ギアポンプ1は殆ど負荷を受けずに回転することができる。そのため、ギアポンプ1を駆動する電動機11にも、あまり負荷が加わらない。

そこで、第2実施形態の制御方法では、電動機11に流れる電流の値などを基に、負荷(電動機11のトルク)を推定し、推定した負荷が所定の値より小さくなった場合に、「ギアポンプ1に空転が起こっている」と判断している。なお、電動機11に負荷計測手段15(トルク計)を設けておき、この負荷計測手段15で負荷(電動機11のトルク)を計測してもよい。

次に、第2実施形態のギアポンプ1の制御方法について説明する。 まず、第2実施形態の制御方法に用いられるギアポンプ1の制御機構17について説明する。 図6Aは、第2実施形態の制御方法が行われる混練設備2や制御機構17をブロック図の形で示したものである。図6Aに示す如く、第2実施形態のギアポンプ1の制御機構17は、第1実施形態と同様に材料導入部18に入側圧力センサ12を備えたものであるが、ギアポンプ1の出側(材料排出部16)には出側圧力センサ13が設けられていない。また、電流値から推定されたり、負荷計測手段15で計測された電動機11のトルクも、コントローラ14に出力されている。これ以外の制御機構17の構成については、第1実施形態と同様となっている。

図6Bは、第2実施形態のコントローラ14に対する信号の入出力を示したブロック図である。 図6Bに示すように、第2実施形態のコントローラ14には、入側の圧力計測値Pin以外に、電動機負荷T(ギアトルク信号T)が入力されており、出側の圧力計測値Poutは入力されていない。また、第2実施形態のコントローラ14には、入側圧力設定値P0の他に電動機11の負荷の設定である電動機負荷設定値T0が予め入力されている。

つまり、第2実施形態のコントローラ14では、これらのPin、P0、ギアトルク信号T及び電動機負荷設定値T0に加えて、ギアポンプ操作量信号を用いて、図7に示すような手順で信号処理が行われる。 図7には、第2実施形態のコントローラ14での信号処理方法、言い換えれば第2実施形態のギアポンプ1の制御方法が示されている。

第2実施形態のギアポンプ1の制御方法におけるS21〜S25までの動作は、第1実施形態のS11〜S15までの動作と同様であるため、説明を省略する。 S24において、「入側の圧力Pinが入側圧力設定値P0より高い」との判断がされた場合には、第1実施形態と同様に「ギアポンプ1に空転が起こっているかどうか」の判断が為される。この「ギアポンプ1に空転が起こっているかどうか」の判断は、ギアポンプ1に加わる電動機負荷T(ギアトルク信号T)が、予め入力された所定の電動機負荷設定値T0を下回っているかどうかで行われる。つまり、次の式(3)の関係が成立した場合に、「ギアポンプ1に空転が起こっている」と判断し、式(3’)の関係が成立した場合に、「ギアポンプ1に空転が起こっていない」と判断するものとなっている。

比較の結果、ギアトルク信号Tが電動機負荷設定値T0より低く、式(3)が成立する場合、言い換えれば「YES」の判断がされた場合には、ギアポンプ1が空転していると判断して、ギアポンプ1の回転数を下げる(S28)。 しかし、比較の結果、ギアトルク信号Tが電動機負荷設定値T0以上、式(3’)が成立する場合、言い換えれば「NO」の判断がされた場合には、ギアポンプ1は空転していないと判断して、ギアポンプ1の回転数を上げる操作が行われる(S27)。

なお、上述した電動機負荷設定値T0を設定する際には、図8に示すように、電動機11の負荷の変動を考えて行うのが好ましい。例えば、ギアポンプ1を運転した際に得られるギアトルクの平均値に対して、この平均値とほぼ同じ値に電動機負荷設定値T0を設定すると、計測バラツキのために「空転している」との誤った判断が頻繁に為されることになる。それゆえ、この平均値に対して、計測バラツキの幅より十分小さくなる値を電動機負荷設定値T0として設定するのが好ましい。このようにすれば、有意差を持って電動機11の負荷が設定値T0を下回った際にのみ「空転している」との判断を適正に行うことが可能となる。

上述したような第2実施形態のギアポンプ1の制御方法を用いても、ギアポンプ1で空転が起こっている場合には、ギアポンプ1の回転数を下げる制御が行われ、ギアポンプ1の空転を抑制することが可能となる。そのため、ギアポンプ1が空転してまま回転数の制御が行われることもなくなり、制御が発散する問題も起こりにくくなって、より精度の良いギアポンプ1の回転数の制御が可能となる。

この第2実施形態のギアポンプ1の制御方法は、ギアポンプ1の出側にセンサを設置するスペースがないなどの事情がある場合に、有効なものとなっている。 なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。

1 ギアポンプ 2 混練設備 3 バレル 4 混練ロータ 5 ギア 5a 凹部 5U ギア(上側) 5D ギア(下側) 6 ケーシング 7 収容部 7a 収容部の内壁面 8 排出部 9 スクリーンチェンジャ 10 ペレタイザ 11 電動機 12 入側圧力センサ 13 出側圧力センサ 14 コントローラ 15 負荷計測手段(トルク計) 16 材料排出部 17 ギアポンプの制御機構 18 材料導入部 Pin ギアポンプの入側の圧力 Pout ギアポンプの出側の圧力 P0 入側圧力設定値 T 電動機負荷(ギアトルク信号) T0 電動機負荷設定値

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