【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、ガスの圧縮を行う圧縮機に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来のこの種の圧縮機としては、代表的なものとして、スクロール型の圧縮機及びピストン型の圧縮機が知られている。 【0003】スクロール型の圧縮機においては、ハウジング内に、基板及び渦巻部を有する固定スクロール部材と、基板及び渦巻部を有する可動スクロール部材とが、 それらの渦巻部にて互いに噛み合わせた状態で配設され、両スクロール部材間に圧縮室が形成されている。 ハウジングには回転軸が支持され、その回転軸と可動スクロール部材との間には、回転運動を公転運動に変換するための偏心駆動機構が配設されている。 そして、モータまたはエンジン等の駆動源により回転軸が回転されたとき、偏心駆動機構を介して可動スクロール部材が固定スクロール部材の軸線の周りで公転され、圧縮室が渦巻部の外周側から中心側に移動されて、ガスの圧縮作用が行われる。 【0004】また、ピストン型の圧縮機においては、シリンダブロックに複数のシリンダボアが形成され、それらのシリンダボア内にはピストンが移動可能に収容されている。 各シリンダボア内の圧縮室と連通するように、 ハウジング内には吸入室及び吐出室が区画形成されている。 ハウジングには回転軸が支持され、その回転軸と各ピストンとの間には、回転運動を往復運動に変換するための斜板を含む駆動機構が配設されている。 そして、モータまたはエンジン等の駆動源により回転軸が回転されたとき、駆動機構を介してピストンが往復動され、吸入室からシリンダボア内の圧縮室にガスが吸入されるとともに、その圧縮室内で圧縮されたガスが吐出室へ排出される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの従来の圧縮機においては、回転軸をモータまたはエンジン等の駆動源に連結して、回転軸を回転させるようになっているため、大きな駆動源が必要であるとともに、駆動源を含む圧縮機全体の構成が大型になるという問題があった。 また、車両におけるエンジンを駆動源とした場合には、エンジンに大きな負荷が掛かって、車両の走行に悪影響を及ぼすという問題もあった。 【0006】さらに、従来のスクロール型の圧縮機では、回転軸の回転運動を可動スクロール部材の公転運動に変換するための偏心駆動機構が必要であるとともに、 ピストン型の圧縮機では、回転軸の回転運動をピストンの往復運動に変換するための駆動機構が必要である。 このため、圧縮機の構造が複雑で大重量になるとともに、 運動の変換が振動騒音の原因となったり運転効率の低下に繋がったりするという問題もあった。 【0007】この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。 その主たる目的は、モータまたはエンジン等の大きな駆動源に連結する必要がなく、駆動源を内部に組み込むことができて、全体の構成を小型かつ軽量にすることができる圧縮機を提供することにある。 【0008】この発明のその他の目的は、スクロール型の圧縮機において、回転運動を公転運動に変換するための偏心駆動機構を設ける必要がなく、可動スクロール部材を直接公転させることができて、構造の簡素化、振動騒音の低減及び運転効率の向上を図ることができる圧縮機を提供することにある。 【0009】この発明のその他の目的は、ピストン型の圧縮機において、回転運動を往復運動に変換するための駆動機構を設ける必要がなく、ピストンを直接往復動させることができて、構造の簡素化、振動騒音の低減及び運転効率の向上を図ることができる圧縮機を提供することにある。 【0010】この発明のその他の目的は、スクロール型の圧縮機では、可動スクロール部材の旋回半径を容易に変更できてその旋回軌道を真円軌道以外にも適宜に変更することができるとともに、ピストン型の圧縮機では、 ピストンのストロークを容易に変更することができて容量を適宜に変更することができる圧縮機を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、スクロール型の圧縮機において、可動スクロール部材を公転させるための駆動装置は、可動スクロール部材に対しその軸線と直交する平面内において複数の異なった方向へ移動力を付与するための複数の静電アクチュエータから構成し、各静電アクチュエータは、多数の帯状電極を一方向へ所定間隔おきに配列してなる第1部材と、多数の帯状電極を第1 部材の帯状電極と同方向へ所定間隔おきに配列してなる第2部材とから構成し、両部材の帯状電極に対する電圧印加に伴って両部材の帯状電極間に生じるクーロン力により、何れか一方の部材が他方の部材に対して帯状電極の配列方向へ移動されるように、両部材を互いに対向して配置したものである。 【0012】請求項2に記載の発明では、スクロール型の圧縮機において、可動スクロール部材を公転させるための駆動装置は、可動スクロール部材に対しその軸線と直交する平面内において複数の異なった方向へ移動力を付与するための複数の静電アクチュエータから構成し、 各静電アクチュエータは、多数の帯状電極を一方向へ所定間隔おきに配列してなる第1部材と、抵抗体層を有する第2部材とから構成し、第1部材の帯状電極に対する電圧印加に伴ってその帯状電極と第2部材の抵抗体層との間に生じるクーロン力により、何れか一方の部材が他方の部材に対して帯状電極の配列方向へ移動されるように、両部材を互いに対向して配置したものである。 【0013】請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の圧縮機において、前記可動スクロール部材がその軸線の周りで自転するのを防止するための自転防止機構を設けたものである。 【0014】請求項4に記載の発明では、請求項1〜3 の何れかに記載の圧縮機において、前記複数の静電アクチュエータにおいて、第1部材及び第2部材の内の静止側の部材をハウジングに固定し、可動側の部材を互いに連結して可動スクロール部材に固定したものである。 【0015】請求項5に記載の発明では、請求項1〜3 の何れかに記載の圧縮機において、前記複数の静電アクチュエータにおいて、1つの静電アクチュエータにおける第1部材及び第2部材の内の静止側の部材をハウジングに固定するとともに、可動側の部材上に他の静電アクチュエータを順に支持し、最上部に支持された静電アクチュエータの可動側の部材を可動スクロール部材に固定したものである。 【0016】請求項6に記載の発明では、請求項1〜5 の何れかに記載の圧縮機において、前記静電アクチュエータを2つ配設し、可動スクロール部材に対しその軸線と直交する平面内において、ほぼ直角に交差する2軸方向へ移動力を付与するようにしたものである。 【0017】請求項7に記載の発明では、請求項1〜5 の何れかに記載の圧縮機において、前記静電アクチュエータを3つ配設し、可動スクロール部材に対しその軸線と直交する平面内において、交差する3軸方向へ移動力を付与するようにしたものである。 【0018】請求項8に記載の発明では、ピストン型の圧縮機において、ピストンを往復動させるための駆動装置は、多数の帯状電極をピストンの移動方向へ所定間隔おきに配列してなる第1部材と、多数の帯状電極を第1 部材の帯状電極と同方向へ所定間隔おきに配列してなる第2部材とを備えた静電アクチュエータから構成し、前記両部材の帯状電極に対する電圧印加に伴って両部材の帯状電極間に生じるクーロン力により、何れか一方の部材が他方の部材に対して帯状電極の配列方向へ移動されるように、両部材を互いに対向して配置し、その静電アクチュエータにおける第1部材及び第2部材の何れか一方をピストンに連結したものである。 【0019】請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の圧縮機において、前記第1部材及び第2部材は円筒状に形成され、互いに同心状に配置されている。 【0020】 【作 用】請求項1〜請求項7に記載のスクロール型の圧縮機の発明によれば、駆動装置の各静電アクチュエータにおいて、帯状電極に電圧が印加されると、第1部材の帯状電極と第2部材の帯状電極との間、または第1部材の帯状電極と第2部材の抵抗体層との間にクーロン力が生じる。 これにより、一方の部材が他方の部材に対して帯状電極の配列方向へ移動される。 この移動力は各静電アクチュエータにおいて異なった方向に生起されるため、可動スクロール部材はその軸線と直交する平面内において、複数の異なった方向へ移動力を受けることになる。 従って、各静電アクチュエータの作動に基づき、可動スクロール部材は固定スクロール部材の軸線の周りで直接公転され、両スクロール部材間の圧縮室が渦巻部の外周側から中心側に移動されて、ガスの圧縮が行われる。 【0021】特に、請求項1に記載の発明によれば、第1部材及び第2部材の両部材に対して電圧を印加することにより、静電アクチュエータとして大きな駆動力を発生することができる。 【0022】請求項2に記載の発明によれば、第1部材に対してのみ電圧を印加すればよいので、静電アクチュエータを制御するための構成が簡単になる。 請求項3に記載の発明によれば、可動スクロール部材は、自転防止機構により軸線の周りでの自転を確実に阻止された状態で公転される。 【0023】請求項4に記載の発明によれば、各静電アクチュエータにおける可動側の部材が、互いに連結された状態でそれぞれ異なった方向へ移動力を付与されることにより、可動側の部材に固定されている可動スクロール部材は、一平面内において自由に移動可能である。 【0024】請求項5に記載の発明によれば、1つの静電アクチュエータにおける可動側の部材の移動に伴って、その上に支持された他の静電アクチュエータも同方向へ移動される。 又、他の静電アクチュエータにおける可動側の部材は前記移動方向とは異なる方向へ移動される。 これにより、最上部の静電アクチュエータの可動側の部材に固定されている可動スクロール部材は、一平面内において自由に移動可能である。 【0025】請求項6に記載の発明によれば、静電アクチュエータを極力少ない数で且つ極力簡単な制御で、可動スクロール部材を公転させることができる。 請求項7 に記載の発明によれば、可動スクロール部材を滑らかに公転させることができる。 【0026】請求項8及び請求項9に記載のピストン型の圧縮機によれば、静電アクチュエータにおいて、第1 部材及び第2部材の帯状電極に電圧が印加されると、両部材の帯状電極間にクーロン力が生じる。 これにより、 一方の部材が他方の部材に対して帯状電極の配列方向へ移動されて、ピストンが直接往復動される。 従って、吸入室からシリンダボア内の圧縮室にガスが吸入されるとともに、その圧縮室内で圧縮されたガスが吐出室へ排出される。 【0027】 【実施例】 (第1実施例)以下、この発明をスクロール型の圧縮機に具体化した第1実施例を、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。 【0028】図1及び図2に示すように、固定スクロール部材21はセンタハウジングを兼用し、その両端面にはフロントハウジング22及びリヤハウジング23が固定されている。 可動スクロール部材24は固定スクロール部材21に対向して配置され、フロントハウジング2 2内に配設された駆動装置25により、固定スクロール部材21の軸線の周りで公転される。 なお、固定スクロール部材21、フロントハウジング22及びリヤハウジング23は、圧縮機全体の軽量化を図るため、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されている。 また、可動スクロール部材24も、公転運動に伴う遠心力を抑制するとともに、圧縮機全体の軽量化を図るため、 アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されている。 【0029】前記固定スクロール部材21は、基板21 aとその内面に一体に形成された渦巻部21bとを備えている。 同様に、可動スクロール部材24も、基板24 aとその内面に一体形成された渦巻部24bとを備えている。 そして、両スクロール部材21,24は渦巻部2 1b,24bにおいて互いに噛み合わされ、各渦巻部2 1b,24bの軸線方向の端縁が、対向するスクロール部材21,24の基板21a,24aに当接されている。 この状態で、両スクロール部材21,24の基板2 1a,24a及び渦巻部21b,24bにて圧縮室26 が形成される。 【0030】吸入室27は前記固定スクロール部材21 の周壁と可動スクロール部材24の渦巻部24bの外周部との間に形成されている。 吸入ポート28はフロントハウジング22の斜め上部に形成され、この吸入ポート28から吸入室27内にガスが吸入される。 吐出孔29 は固定スクロール部材21の基板21aの中心に形成され、この吐出孔29を介して圧縮室26がリヤハウジング23内の吐出室30に連通される。 吐出弁31は吐出孔30の外端部に配設され、リテーナ32によりその開放位置が規制される。 【0031】鉄系材料よりなるリング状の固定プレート33は前記フロントハウジング22の内壁面に配設され、可動スクロール部材24の基板24aの外面と摺接される。 そして、前記圧縮室26内でのガス圧縮に伴って作用する圧縮反力のうちで、可動スクロール部材24 に対しその軸線方向に沿って作用する圧縮反力が、この固定プレート33によって受け止められる。 【0032】自転防止機構34は可動スクロール部材2 4とフロントハウジング22との間に装設され、この実施例では次のように構成されている。 すなわち、複数対のピン35,36は可動スクロール部材24の基板24 a及びフロントハウジング22の内壁に突設され、各一対のピン35,36の先端部が互いに所定間隔をおいて近接配置されている。 リング37は各一対のピン35, 36にそれぞれ嵌挿され、このリング37とピン35, 36との協働により、可動スクロール部材24の自転が規制されて、公転運動のみが許容される。 【0033】次に、前記駆動装置25について詳述すると、図1及び図2に示すように、この実施例の駆動装置25は2つの静電アクチュエータ38,39から構成されている。 そして、これら静電アクチュエータ38,3 9により、可動スクロール部材24に対してその軸線と直交する平面内で、ほぼ直角に交差する異なった2軸方向へ移動力が付与されるようになっている。 【0034】すなわち、前記各静電アクチュエータ3 8,39は、静止側の固定子としての第1部材40と、 その第1部材40に相対移動可能に配置された可動側の移動子としての第2部材41とを備えている。 各第1部材40は複数のシート状の絶縁材42を所定間隔おきに積層して構成され、それらの絶縁材42には多数の帯状電極43が一方向へ所定の配列ピッチで埋設されている。 同様に、各第2部材41も複数のシート状の絶縁材44を所定間隔おきに積層して構成され、それらの絶縁材44には多数の帯状電極45が第1部材40の帯状電極43と同一方向へ所定の配列ピッチで埋設されている。 【0035】そして、両静電アクチュエータ38,39 において、第1部材40の各絶縁材42が第2部材41 の各絶縁材44に対して、1枚ずつ交互に対向するように配置されている。 また、両静電アクチュエータ38, 39の第1部材40は、それらの帯状電極43がほぼ直交する方向へ延びるように対向配置された状態で、両端部において取付板46を介してフロントハウジング22 の内面に固定されている。 さらに、両静電アクチュエータ38,39の第2部材41は、それらの帯状電極45 がほぼ直交する方向へ延びるように対向配置された状態で互いに連結されて、可動スクロール部材24の基板2 4aに固定されている。 【0036】図3及び図4に示すように、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)47は前記各静電アクチュエータ38,39における両部材40,41の帯状電極43,45に接続されている。 このDSP47は制御装置48の制御に基づき、各静電アクチュエータ38, 39に対して、例えば図4(a)〜(c)に示すような第1〜第3制御信号SG1〜SG3を出力する。 同図に示すように、各制御信号SG1〜SG3は、位相が互いに2π/3異なる波形信号である。 即ち、第1〜第3制御信号SG1〜SG3は3相の交流信号である。 【0037】又、図3に示すように、各静電アクチュエータ38,39における両部材40,41の帯状電極4 3,45は、それぞれ第1〜第3電極43a〜43c, 45a〜45cという3つの電極群に分割されており、 各電極群における電極43a〜43c,45a〜45c が2つ置きに順次配列された構造となっている。 そして、各静電アクチュエータ38,39における第1部材40と第2部材41とでは、第1〜第3電極43a〜4 3c,45a〜45cの配列順序が互いに逆となっている。 【0038】そして、前記DSP47から出力される第1〜第3制御信号SG1〜SG3は、各静電アクチュエータ38,39における両部材40,41の第1〜第3 電極43a〜43c,45a〜45cに対し、アンプ4 9,50により増幅されて3相交流電圧として印加される。 【0039】このように、第1及び第2部材40,41 の帯状電極43,45に対し、それぞれ3相交流電圧としての第1〜第3制御信号SG1〜SG3が印加されると、各部材40,41上には所定波長の進行波W1,W 2が生起される。 しかし、第1部材40と第2部材41 とでは、第1〜第3電極43a〜43c,45a〜45 cの配列順序が互いに逆なので、図3に矢印で示すように、生起される進行波W1,W2の進行方向も互いに逆となる。 【0040】その結果、第1部材40の帯状電極43と第2部材41の帯状電極45との間に静電気のクーロン力が発生し、そのクーロン力により第2部材41が第1 部材40に対して、各帯状電極43,45の配列方向(図3では右方向)に移動される。 この場合、第1部材40における進行波W1と第2部材41における進行波W2とは、その進行速度が同じで且つ進行方向が互いに逆なので、第2部材41の移動速度ua は各進行波W 1,W2の進行速度の2倍になる。 【0041】尚、各静電アクチュエータ38,39において、第2部材41は第1部材40に対して帯状電極4 3,45の配列方向に移動力を付与されるが、その移動方向と直交する方向すなわち帯状電極43,45の延在方向には自由に移動可能である。 そして、第2部材41 は第1部材40に対して、帯状電極43,45の配列方向だけでなくその延在方向にも移動可能なように、その帯状電極43,45の延在方向における幅が第1部材4 0の幅より大きくなっている。 従って、帯状電極45がほぼ直交する状態で互いに連結されている両第2部材4 1は、一方の部材41に移動力が付与されたとき、その移動に伴って他方の部材41も同方向へ連れ移動され、 相手部材の移動を阻害することはない。 このため、第2 部材41に対して固定されている可動スクロール部材2 4は、各第2部材41にそれぞれ異なった方向へ移動力が付与されることにより、その異なった2軸方向を含む一平面内で自由に移動可能である。 【0042】前記制御装置48には、可動スクロール部材24を所定の旋回半径で旋回させるために必要なデータが予め記憶されているとともに、その旋回速度の指令値が入力される。 そして、制御装置48は、この記憶データ及び指令値に基づきDSP27を制御して、各静電アクチュエータ38,39に対して出力される第1〜第3制御信号SG1〜SG3の周波数や波形形状等を変更させる。 又、特に図示しないが、制御装置48、DSP 27及びアンプ49,50は圧縮機の外部に別に設けられ、アンプ49,50から延びる信号線が圧縮機内の両静電アクチュエータ38,39に対して接続されている。 【0043】次に、前記のように構成されたスクロール型圧縮機について動作を説明する。 さて、この圧縮機においては、制御装置48の制御に基づき、駆動装置25 の両静電アクチュエータ38,39に対し、DSP47 から各帯状電極43,45へ第1〜第3制御信号SG1 〜SG3が印加される。 すると、第1部材40の帯状電極43と第2部材41の帯状電極45との間にクーロン力が発生し、このクーロン力により第2部材41に対して、帯状電極43,45の配列方向へ移動力が付与される。 この移動力は各静電アクチュエータ38,39において同一平面内でほぼ直交する2軸方向になっているため、可動スクロール部材24はその軸線と直交する平面内において旋回運動される。 【0044】すなわち、図5(a)〜(h)は、可動スクロール部材24が所定の旋回軌道上を360度旋回される状態を、45度毎に示すものである。 尚、同図においては、可動スクロール部材24の軸心Pにおける旋回軌道を一点鎖線Lで示している。 例えば、図5(a)に示すように、可動スクロール部材24の軸心Pが旋回軌道L上における左側に位置している状態から、両静電アクチュエータ38,39の作動により可動スクロール部材24が45度旋回される。 すると、図5(b)に示すように、可動スクロール部材24はその軸心Pが旋回軌道L上における左上側に移動される。 この状態から、両静電アクチュエータ38,39の作動により可動スクロール部材24が更に45度旋回されると、図5(c)に示すように、可動スクロール部材24はその軸心Pが旋回軌道L上における上側に移動される。 引き続いて、両静電アクチュエータ38,39の作動により可動スクロール部材24が旋回されると、図5(d)〜図5(h) に順次示すように、可動スクロール部材24はその軸心Pが旋回軌道L上に沿って順次移動される。 【0045】このように、図5(a)から図5(h)までの動作が繰り返し行われることにより、可動スクロール部材24は固定スクロール部材21の軸線の周りで公転される。 その結果、両スクロール部材21,24間の圧縮室26が渦巻部21b,24bの外周側から中心側に移動され、その圧縮室26内のガスが圧縮される。 【0046】尚、可動スクロール部材24は、リング3 7及びピン35,36よりなる自転防止機構34によって、自転が規制された状態で公転運動される。 つまり、 両静電アクチュエータ38,39における第2部材41 は、その移動方向が規制されていないので、例えば図5 (h)に二点鎖線で示すように揺動して、可動スクロール部材24を自転させてしまうおそれがある。 しかしながら、自転防止機構34を設けることにより、そのような問題は生じない。 【0047】以上のように、この実施例のスクロール型圧縮機においては、移動力の付与方向が異なる2つの静電アクチュエータ38,39からなる駆動装置25により、可動スクロール部材24が直接公転されて、ガスの圧縮が行われる。 従って、従来の圧縮機のように、モータまたはエンジン等の大きな駆動源に連結する必要がなく、駆動源を内部に組み込むことができて、圧縮機全体の構成を小型かつ軽量にすることができる。 また、車両の空調用圧縮機に使用した場合には、エンジンに負担がかかるのを防止することができるとともに、圧縮機をエンジンの配置位置とは関係なく任意の位置に自由に設置することができる。 【0048】さらに、この実施例のスクロール型圧縮機においては、従来の圧縮機のように、回転軸の回転運動を可動スクロール部材の公転運動に変換するための偏心駆動機構を設ける必要がなく、可動スクロール部材24 を直接公転させることができる。 従って、圧縮機の内部構造を簡素にできるとともに、振動や騒音を低減することができ、しかも運転効率を向上させることができる。 【0049】又、この実施例では、両静電アクチュエータ38,39における第1部材40及び第2部材41 が、複数のシート状の絶縁材42,44を積層して構成されている。 このため、静電アクチュエータ38,39 として大きな駆動力を発生することができるとともに、 絶縁材42,44の積層枚数を変更することにより、圧縮機のタイプに応じて駆動力の大きさを容易に調整することができる。 しかも、大きな駆動力を得るために絶縁材42,44を多数積層しても、各絶縁材42,44はシート状の薄いものなので、静電アクチュエータ38, 39が大型化したり大重量になったりすることは殆どない。 【0050】(第2実施例)次に、この発明の第2実施例を図6及び図7に基づいて説明する。 さて、この第2 実施例は、可動スクロール部材24の自転を防止するための自転防止機構34において、前記第1実施例と相違している。 すなわち、この第2実施例においては、自転防止機構34がフロントハウジング22の内面と静電アクチュエータ38の第2部材41との間に配設されている。 【0051】さらに詳述すると、基板54はフロントハウジング22の内面に固定され、その側面には縦方向に延びる一対の第1レール55が形成されている。 第1規制板56は第1レール55に縦方向へ移動可能に支持され、その側面には横方向に延びる一対の第2レール57 が形成されている。 第2規制板58は第2レール57に横方向へ移動可能に支持され、この第2規制板58の側面に静電アクチュエータ38の第2部材41が固定されている。 【0052】従って、この第2実施例の圧縮機においては、自転防止機構34の両規制板56,58により、各静電アクチュエータ38,39の第2部材41の移動が縦方向及び横方向のみに規制されて、可動スクロール部材24の自転が防止される。 また、この第2実施例の圧縮機では、各静電アクチュエータ38,39における第2部材41の縦方向及び横方向への移動量が限定されないため、この移動量を制御装置48により設定変更すれば、可動スクロール部材24の旋回半径を容易に変更することができ、その旋回軌道を真円軌道以外にも適宜に変更することができる。 従って、例えば両スクロール部材21,24の渦巻部21b,24bを、全体として楕円形状をなすように形成した場合でも、可動スクロール部材24をその楕円形状に沿った楕円軌道上を容易に旋回させることができる。 その結果、スクロール型圧縮機として全体の断面形状が楕円形状をなすもの等、各種の形状のものを形成することが可能となる。 なお、その他については前記第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。 【0053】(第3実施例)次に、この発明の第3実施例を図8に基づいて説明する。 さて、この第3実施例は、自転防止機構34及び静電アクチュエータ38,3 9の組付構成において、前記第1実施例と相違している。 すなわち、この第3実施例においては、自転防止機構34が2つに分割された状態で各静電アクチュエータ38,39に組み付けられ、それらの静電アクチュエータ38,39の移動が縦方向または横方向へ各別に規制されるようになっている。 【0054】さらに詳述すると、第1支持板61はフロントハウジング22の内面に固定され、その側面には縦方向に延びる第1レール62を介して、第1移動板63 が移動可能に支持されている。 また、静電アクチュエータ38の第1部材40が第1支持板61の側面に取り付けられるとともに、第2部材41が第1移動板63の対向面に取り付けられている。 【0055】第2支持板64は前記第1移動板63上に固定され、その側面には横方向に延びる第2レール65 を介して、第2移動板66が移動可能に支持されている。 また、静電アクチュエータ39の第1部材40が第2支持板64の側面に取り付けられるとともに、第2部材41が第2移動板66の対向面に取り付けられている。 そして、第2移動板66が可動スクロール部材24 の基板24aに固定されている。 【0056】つまり、この第3実施例においては、自転防止機構34が第1支持板61及び第1移動板63と、 第2支持板64及び第2移動板66とに分割して構成されている。 また、一方の静電アクチュエータ38の第1 部材40は第1支持板61を介してフロントハウジング22に固定されている。 そして、他方の静電アクチュエータ39の第1部材40は第1移動板63及び第2支持板64を介して、一方の静電アクチュエータ38の第2 部材41上に支持されている。 さらに、他方の静電アクチュエータ39の第2部材41は第2移動板66を介して、可動スクロール部材24に連結されている。 【0057】従って、この第3実施例においても、前述した第1実施例及び第2実施例と同様な作用効果を発揮することができる。 (第4実施例)次に、この発明の第4実施例を図9に基づいて説明する。 【0058】さて、この第4実施例は、各静電アクチュエータ38,39の第2部材41において、前記第1実施例と相違している。 すなわち、この第4実施例においては、可動側の移動子としての第2部材41が、絶縁材70とその表面に形成された抵抗体層71とから構成されている。 なお、静止側の固定子としての第1部材40 は、前記第1実施例と同様に、絶縁材42内に多数の帯状電極43を所定配列ピッチで埋設して構成されている。 【0059】そして、この第4実施例の静電アクチュエータ38,39においては、まず図9(a)に示すように、第1部材40における帯状電極43の第1〜第3電極43a〜43cにそれぞれ+V,0,−V(v)の電圧が印加される。 すると、図9(b)に示すように、第2部材41の抵抗体層71上には、点線位置に示すような電極43上の電荷とは逆符号の誘導電荷72が発生する。 【0060】その後、図9(c)に示すように、第1部材40の帯状電極43に対する電圧が切り換えられると、各電極43の電位は瞬時に変化する。 ところが、この第1部材40と対向する第2部材41内の誘導電荷7 2は、抵抗値が高いため瞬時に移動することができない。 このため、両部材40,41間において、同一符号の電荷間で反発力が発生して、第2部材41が瞬時に浮上されるとともに、誘導電荷72が隣りの電極43上における異なる符号の電荷との間で吸引力を生じて、第2 部材41が矢印方向に移動される。 【0061】その結果、図9(d)に示すように、第2 部材41は帯状電極43の1配列ピッチ分だけ移動された状態で、第1部材40上に配置される。 そして、図9 (a)〜図9(d)の動作が繰り返し行われることにより、第2部材41が第1部材40の表面に沿って帯状電極43の配列方向へ移動される。 【0062】従って、このような静電アクチュエータ3 8,39の第1部材40に対して印加する電圧を、制御装置48により制御すれば、可動スクロール部材24に対してほぼ直角に交差する異なった2軸方向へ移動力を付与して、同部材24を旋回させることができる。 そのため、この第4実施例においても、前記第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。 【0063】特に、この第4実施例においては、可動側の移動子としての第2部材41に帯状電極が設けられていない。 このため、その第2部材41には電圧を印加する必要がなくて、第1部材40に電圧を印加するだけでよいので、静電アクチュエータ38,39を制御するための構成が簡単になる。 【0064】(第5実施例)次に、この発明をピストン型の圧縮機に具体化した第5実施例を図10及び図11 に基づいて説明する。 【0065】さて、シリンダブロック75はほぼ円柱状に形成され、その前端面にはフロントハウジング76が接合されるとともに、後端面には弁板77を介してリヤハウジング78が接合されている。 複数の通しボルト7 9はフロントハウジング76からシリンダブロック75 及び弁板77を通してリヤハウジング78に螺合され、 これらの通しボルト79によりフロントハウジング76 及びリアハウジング78がシリンダブロック75の両端面に締付固定されている。 【0066】複数のシリンダボア80は前記シリンダブロック75の両端部間に所定間隔おきで貫通形成され、 それらの内部にはピストン81が往復動可能に嵌挿支持されている。 複数の駆動装置82はピストン81に対応してフロントハウジング76内に配設され、ピストンロッド83を介してピストン81に各別に連結されている。 そして、この駆動装置82によりピストン81が往復動されて、シリンダボア80の圧縮室内でガスが圧縮される。 【0067】吸入室84は前記リヤハウジング78内の外周部に環状に区画形成され、吸入口85を介して図示しない外部回路に接続される。 吐出室86はリヤハウジング78内の中央部に区画形成され、吐出口87を介して外部回路に接続される。 吸入弁機構88は弁板77に形成され、この吸入弁機構88により、吸入室84から各シリンダボア80の圧縮室内にガスが吸入される。 吐出弁機構89は弁板77に形成され、この吐出弁機構8 9により、各シリンダボア80の圧縮室内で圧縮されたガスが吐出室86に吐出される。 【0068】次に、前記駆動装置82について詳述すると、この実施例の各駆動装置82はそれぞれ1つの静電アクチュエータ90から構成されている。 その静電アクチュエータ90は、フロントハウジング76の内面に固定された静止側の固定子としての管状部材91と、ピストンロッド83に連結された可動側の移動子としての円筒状部材92とから構成されている。 尚、この実施例において、管状部材91は第1部材を構成し、円筒状部材92は第2部材を構成している。 そして、この円筒状部材92が管状部材91内に同心状に配置され、軸線方向へ移動できるようになっている。 【0069】前記静電アクチュエータ90の管状部材9 1は、円管状の絶縁体93の内周に多数の帯状電極としての巻回状電極94を所定配列ピッチで埋設して構成されている。 また、円筒状部材92は、円筒状の絶縁体9 5の外周に多数の帯状電極としての巻回状電極96を所定配列ピッチで埋設して構成されている。 そして、両部材91,92の巻回状電極94,96には図3に示す第1実施例の構成と同様に、制御装置48の制御に基づいて、DSP47から3相交流電圧としての第1〜第3制御信号SG1〜SG3が印加される。 【0070】さて、この第5実施例のピストン型圧縮機において、静電アクチュエータ90における両部材9 1,92の巻回状電極94,96に第1〜第3制御信号SG1〜SG3が印加されると、第1実施例の場合と同様に、両電極94,96間にクーロン力が発生する。 そして、このクーロン力により、円筒状部材92が管状部材91に対して、巻回状電極94,96の配列方向に移動され、ピストンロッド83を介してピストン81がシリンダボア80内で往復動される。 それにより、吸入室84から吸入弁機構88を介してシリンダボア80の圧縮室内にガスが吸入されるとともに、そのガスが圧縮された後に、吐出弁機構89を介して吐出室86に吐出される。 このように、この第5実施例のピストン型圧縮機においては、静電アクチュエータ90からなる駆動装置82により、ピストン81が直接往復動されて、ガスの圧縮が行われる。 従って、従来の圧縮機のように、モータまたはエンジン等の大きな駆動源に連結する必要がなく、駆動源を内部に組み込むことができて、圧縮機全体の構成を小型かつ軽量にすることができる。 また、車両の空調用圧縮機に使用した場合には、エンジンに負担がかかるのを防止することができるとともに、圧縮機をエンジンの配置位置とは関係なく任意の位置に自由に設置することができる。 【0071】さらに、この第5実施例のピストン型圧縮機においては、従来の圧縮機のように、回転軸の回転運動をピストンの往復運動に変換するための駆動機構を設ける必要がなく、ピストン81を直接往復動させることができる。 従って、圧縮機の内部構造を簡素にできるとともに、振動や騒音を低減することができ、しかも運転効率を向上させることができる。 【0072】しかも、この第5実施例の圧縮機では、静電アクチュエータ90の管状部材91に対する円筒状部材92の移動量や移動速度を、制御装置48により容易に設定変更することができる。 このため、ピストン81 のストロークや移動速度を容易に変更することができ、 圧縮機の容量を必要に応じて適宜に変更することができる。 つまり、複雑な機械的構造を採ることなく、単に制御装置48による制御だけで、可変容量式圧縮機を実現することができる。 【0073】(その他の実施例)次に、この発明のその他の実施例を図12及び図13に基づいて説明する。 まず、図12に示す実施例では、前記第1〜第3実施例のスクロール型圧縮機において、可動スクロール部材24 を旋回運動させるための駆動装置25が、3つの静電アクチュエータ99,100,101から構成されている。 そして、この静電アクチュエータ99,100,1 01により、可動スクロール部材24に対してその軸線と直交する平面内において、ほぼ60度の角度で交差する異なった3軸方向へ移動力が付与されるようになっている。 【0074】そして、このような構成とすることにより、前記第1〜第3実施例と比較して、可動スクロール部材24をより滑らかに旋回運動させることができる。 次に、図13に示す実施例では、第1〜第3実施例のスクロール型圧縮機において、駆動装置25を構成する2 つの静電アクチュエータ38,39が直角以外の所定角度で交差する2軸方向へ移動されるようになっている。 従って、この実施例においては、両静電アクチュエータ38,39により、可動スクロール部材24に対してその軸線と直交する平面内において、所定角度で交差する異なった2軸方向へ移動力が付与される。 この場合の作用効果は、第1〜第3実施例と同様である。 【0075】なお、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。 (1) 第1〜第4実施例のスクロール型圧縮機において、駆動装置25を4つ以上の複数の静電アクチュエータから構成し、可動スクロール部材24に対してその軸線と直交する平面内で、4軸以上の多軸方向へ移動力が付与されるように構成すること。 【0076】(2) 図9に示す第4実施例の静電アクチュエータ38,39において、抵抗体層71を備えた第2部材41を静止側の固定子とし、帯状電極43を備えた第1部材40を可動側の移動子として構成すること。 【0077】(3) 図12及び図13に示す実施例を、第4実施例において具体化すること。 (4) 第1〜第5実施例において、静電アクチュエータ38,39,90が配設されているフロントハウジング22,76内に絶縁溶液を封入すること。 このようにすれば、静電アクチュエータ38,39,90の絶縁破壊強度がより向上されるので、静電アクチュエータ3 8,39,90に印加する電圧を高くしてその駆動力をより向上させることができる。 特に、空調用圧縮機においては、冷媒ガスを絶縁材として兼用することも可能となる。 【0078】(5) 第5実施例において、静電アクチュエータ90における管状部材91及び円筒状部材92 を、第1実施例のように複数層とすること。 又、管状部材91及び円筒状部材92を四角筒形状等、円筒形状以外の形状としてもよい。 更に、それら部材91,92を単なる平板形状としてもよい。 【0079】(6) 第1〜第5実施例において、静電アクチュエータ38,39,90に対して、3相の交流信号の代わりに、矩形波の波形信号を出力すること。 上記実施例から把握できる技術的思想について、以下に記載する。 【0080】(1) 第1部材及び第2部材は、帯状電極を備えたシート状の絶縁材を複数積層して構成されている請求項1に記載の圧縮機。 このようにすれば、静電アクチュエータとして大きな駆動力を発生できる。 【0081】 【発明の効果】この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。 請求項1〜請求項9 に記載の発明によれば、モータまたはエンジン等の大きな駆動源に連結する必要がなく、駆動源を内部に組み込むことができて、全体の構成を小型かつ軽量にすることができる。 【0082】請求項1〜請求項7に記載の発明によれば、スクロール型の圧縮機において、回転運動を公転運動に変換するための偏心駆動機構を設ける必要がなく、 可動スクロール部材を直接公転させることができる。 従って、構造を簡素にできるとともに、振動や騒音を低減することができ、しかも運転効率を向上させることができる。 又、可動スクロール部材の旋回半径を容易に変更できて、その旋回軌道を真円軌道以外にも適宜に変更することができる。 【0083】特に、請求項1に記載の発明によれば、第1部材及び第2部材の両部材に対して電圧を印加することにより、静電アクチュエータとして大きな駆動力を発生することができる。 【0084】請求項2に記載の発明によれば、第1部材に対してのみ電圧を印加すればよいので、静電アクチュエータを制御するための構成が簡単になる。 請求項3に記載の発明によれば、可動スクロール部材の自転を確実に阻止できる。 【0085】請求項6に記載の発明によれば、静電アクチュエータを極力少ない数で且つ極力簡単な制御で、可動スクロール部材を公転させることができる。 請求項7 に記載の発明によれば、可動スクロール部材を滑らかに公転させることができる。 【0086】請求項8及び請求項9に記載の発明によれば、ピストン型の圧縮機において、回転運動を往復運動に変換するための駆動機構を設ける必要がなく、ピストンを直接往復動させることができる。 従って、構造を簡素にできるとともに、振動や騒音を低減することができ、しかも運転効率を向上させることができる。 又、ピストンのストロークを容易に変更することができて、容量を適宜に変更することができ、複雑な機械的構造を採ることなく可変容量式圧縮機を実現することができる 【図面の簡単な説明】 【図1】 この発明の第1実施例を示すスクロール型の圧縮機の断面図。 【図2】 その圧縮機の要部を分解して示す斜視図。 【図3】 その圧縮機を駆動するための制御回路図。 【図4】 DSPからの第1〜第3制御信号を例示する説明図。 【図5】 その圧縮機の動作を説明するための説明図。 【図6】 この発明の第2実施例を示すスクロール型圧縮機の部分断面図。 【図7】 その圧縮機の自転防止機構を示す斜視図。 【図8】 この発明の第3実施例を示す駆動構成の分解斜視図。 【図9】 この発明の第4実施例を示す駆動構成の作動説明図。 【図10】この発明の第5実施例を示すピストン型の圧縮機の断面図。 【図11】 その圧縮機のシリンダブロックを示す側面図。 【図12】 この発明の別の実施例を示す駆動構成の分解正面図。 【図13】 この発明のその他の実施例を示す駆動構成の分解正面図。 【符号の説明】 21…固定スクロール部材、21a…基板、21b…渦巻部、22…フロントハウジング、23…リヤハウジング、24…可動スクロール部材、24a…基板、24b …渦巻部、25…駆動装置、26…圧縮室、34…自転防止機構、38,39…静電アクチュエータ、40…静止側の固定子としての第1部材、41…可動側の移動子としての第2部材、42…絶縁材、43…帯状電極、4 4…絶縁材、45…帯状電極、47…デジタル・シグナル・プロセッサ、48…制御装置、71…抵抗体層、7 5…シリンダブロック、80…シリンダボア、81…ピストン、82…駆動装置、84…吸入室、86…吐出室、90…静電アクチュエータ、91…第1部材を構成する管状部材、92…第2部材を構成する円筒状部材、 94,96…帯状電極としての巻回状電極、99,10 0,101…静電アクチュエータ。 |