回転子の製造方法

申请号 JP2016503838 申请日 2014-02-20 公开(公告)号 JP6377128B2 公开(公告)日 2018-08-22
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 田村 裕貴; 増本 浩二;
摘要
权利要求

鋼板を積層して形成され、中央部に第1貫通孔、前記第1貫通孔の周辺に少なくとも1つの第2貫通孔、及びリベット挿通孔を有する回転子鉄心と、 前記回転子鉄心の周方向に配置され、鋼板の積層方向に埋め込まれた複数の永久磁石と、 前記回転子鉄心の第1貫通孔に焼嵌めあるいは圧入された主軸と、 前記回転子鉄心の積層方向の両端に設けられ、前記第2貫通孔の軸心を中心とする第3貫通孔が形成され、前記リベット挿通孔に挿通されるリベットにより固定される上端板及び下端板と、を備えた回転子の製造方法であって、 前記回転子鉄心の前記第2貫通孔と、前記上端板及び前記下端板の前記第3貫通孔にピンを圧入し、 前記ピンの圧入後に前記回転子鉄心の第1貫通孔に主軸を焼嵌めあるいは圧入し、 前記主軸の焼嵌めあるいは圧入後に前記ピンを前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔から引き抜く回転子の製造方法。前記回転子は、前記回転子鉄心の積層方向の両端あるいは前記両端の何れか一方に、当該回転子鉄心を貫通するリベットにより固定されるバランスウエイトを備えており、 前記バランスウエイトには、前記第2貫通孔に圧入される前記ピンが貫通する前記第3貫通孔が設けられている請求項1記載の回転子の製造方法。前記第2貫通孔は、前記第1貫通孔の中心を挟む対称となる位置であって、当該中心から同じ距離の位置に設けられる請求項1又は2に記載の回転子の製造方法。

说明书全文

本発明は、回転子の製造方法に関するものである。

従来から、流体機械の一つである電動圧縮機(以下、単に「圧縮機」と称する)は、例えば空気調和装置、冷凍装置、給湯器のヒートポンプ装置等の一構成要素として利用されている。一般的な圧縮機は、圧縮機構部と電動機を備えている。電動機は、回転子と固定子で構成されており、回転を圧縮機構部に伝達するための主軸が回転子に固定されている。主軸は、回転子に焼嵌めあるいは圧入することで固定される(例えば、特許文献1参照)。

また、回転子の構成部品である回転子鉄心は、複数枚の鋼板を積層して構成され、積層鋼板の内部に永久磁石が埋め込まれており、積層鋼板の両端部に非磁性体からなる端板が設けられている。回転子鉄心は、端板と積層鋼板とを貫通するリベットにより締結されていることが多い。さらに、回転子鉄心の一端あるいは両端にバランスウエイトが設けられており、端板、積層鋼板、及びバランスウエイトをリベットで締結しているものもある。

一般的に回転子鉄心の工作性を向上させる方法としては、鋼板に複数個のカシメ部(密着する部分)を設け、鋼板を積層した際にカシメ部を圧入して、回転子鉄心を一体とすることが知られている。

また、回転子鉄心をリベットで締結を講じる場合は、各永久磁石に対して径方向の外周側か径方向の内周側のどちらか一方向に通常1極当たり1本で締結を行う方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。

また、回転子鉄心に主軸を焼嵌めあるいは圧入する際の工作性を向上させる方法として、回転子鉄心の永久磁石に対し径方向の外周側と内周側のそれぞれにリベットを配し、その締結力を調整することで、回転子鉄心の内径円筒度の精度を向上させることが知られている(例えば、特許文献3参照)。

さらに、回転子鉄心の内径円筒度の精度を向上させることで、主軸を焼嵌めあるいは圧入する際の工作性を向上させる方法としては、回転子鉄心の内径部に略円筒形状の金属パイプを挿入した構造とすることが知られている(例えば、特許文献4参照)。

特開2010−226932号公報(図2)

特開平6−14505号公報(図1)

特開2000−217285号公報(要約)

特開2005−20825号公報(要約)

従来より、回転子鉄心の工作性の向上を目的として、一枚独立の鋼板に対し複数個のカシメ部を設け、その鋼板を積層した際にカシメ部を圧入して一体とする構成が一般的に用いられている。また、積層鋼板には、絶縁コーティングがなされ、積層鋼板の各鋼板を絶縁することで上下に接する鋼板相互の導通を遮断し、回転子鉄心の軸方向の大きな渦電流を発生させない工夫がなされている。

しかしながら、前述のカシメ部を設けた構成では、圧入されたカシメ部が接点となり積層鋼板が軸方向に導通する状態となっている。このため、運転中の固定子と回転子の交番磁界により回転子鉄心の内部で発生する渦電流が、鋼板の表面だけでなく、積層方向のカシメ部を介して回転子鉄心の軸方向にも発生し、回転子の発熱を増幅させてしまうという課題があった。

この課題は、回転子鉄心に埋設される永久磁石の減磁、耐力低下だけでなく、圧縮機内部の温度上昇を招き、圧縮機の摺動部保護のための冷凍機油の劣化、シール材や電動機の絶縁材として使用される樹脂の劣化を引き起こす要因となる。特に、昨今の冷媒動向から、従来から使用されているR410A、R407C、R404A等の冷媒よりも圧縮時の温度上昇及び圧力上昇が高い性質を持つR32を含む混合冷媒を使用する際には、圧縮機内の温度上昇を抑制する手段が求められている。

また、回転子の工作性の向上を図る上で、回転子鉄心を構成する各鋼板に対し複数個のカシメ部を設け、その鋼板を積層した際にカシメ部を圧入して一体に構成することで、中央部に形成される貫通孔の内径円筒度の精度のバラツキを改善することができる。しかし、積層した鋼板をリベットで締結する際、積層方向に荷重をかけて締結する必要があるため、リベットの外径とリベットを挿通する貫通孔のクリアランス分の内径円筒度の悪化は免れない。このため、主軸の回転子鉄心への焼嵌めあるいは圧入の不良が発生する等の課題もあった。

本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、回転子の発熱の抑制、回転子の内径円筒度の精度バラツキの抑制を行うことができる回転子の製造方法を提供することを目的としている。

本発明に係る回転子の製造方法は、鋼板を積層して形成され、中央部に第1貫通孔、第1貫通孔の周辺に少なくとも1つの第2貫通孔、及びリベット挿通孔を有する回転子鉄心と、回転子鉄心の周方向に配置され、鋼板の積層方向に埋め込まれた複数の永久磁石と、回転子鉄心の第1貫通孔に焼嵌めあるいは圧入された主軸と、回転子鉄心の積層方向の両端に設けられ、第2貫通孔の軸心を中心とする第3貫通孔が形成され、リベット挿通孔に挿通されるリベットにより固定される上端板及び下端板とを備えた回転子の製造方法であって、回転子鉄心の第2貫通孔と、上端板及び下端板の第3貫通孔にピンを圧入し、ピンの圧入後に回転子鉄心の第1貫通孔に主軸を焼嵌めあるいは圧入し、主軸の焼嵌めあるいは圧入後にピンを第2貫通孔及び第3貫通孔から引き抜くものである。

本発明によれば、回転子鉄心の第2貫通孔に圧入された絶縁材のピンにより、回転子鉄心を一体としているので、カシメ部を設けることなく、あるいはカシメ部の個数を減らすことが可能となる。このため、運転中の回転子の発熱を抑えることができる。また、前述した絶縁材のピンにより、回転子鉄心を一体としているので、回転子鉄心の第1貫通孔の内径円筒度の精度バラツキの抑制を行うことができる。このため、主軸の回転子鉄心への焼嵌めあるいは圧入の不良が改善され、回転子の工作性が向上する。

実施の形態1に係る密閉型スクロール圧縮機の縦断面図。

図1の電動機を拡大して示す縦断面図。

図2の回転子を模式的に示す横断面図。

図3の回転子を模式的に示す縦断面図。

従来の電動機の要部を示す部分横断面図。

図5に示す回転子の縦断面図。

実施の形態2に係る密閉型スクロール圧縮機の回転子を示す縦断面図。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。

実施の形態1. 図1は実施の形態1に係る密閉型スクロール圧縮機の縦断面図である。

流体機械である例えば密閉型スクロール圧縮機100は、密閉容器8と、この密閉容器8の中に収容された圧縮機構部1及び電動機4とを備えている。密閉容器8は、円筒形状の中間部容器8aと、中間部容器8aの上部に設けられた上部容器8bと、中間部容器8aの下部に設けられた下部容器8cとで構成されている。中間部容器8aには、ガス冷媒を吸入するための吸入管9が接続されている。上部容器8bには、圧縮機構部1から上方に吐出された高温高圧のガス冷媒を密閉容器8外へ導く吐出管10が接続されている。下部容器8cは、潤滑油を貯留する油溜め14となっている。

圧縮機構部1は、例えばスクロール型の圧縮機構部であり、密閉容器8の中間部容器8aに固定された固定スクロール2及び固定スクロール2に対して揺動運動する揺動スクロール3を備えている。固定スクロール2には、揺動スクロール3と対向する面に立設する渦巻状突起のラップ部2aが形成されている。揺動スクロール3には、固定スクロール2と対向する面にラップ部2aと同一形状の渦巻状突起のラップ部3aが形成されている。固定スクロール2と揺動スクロール3とが組み合わされた状態では、ラップ部2a及びラップ部3aの巻方向が互いに逆となる。ラップ部2aとラップ部3aとの間には、相対的に容積が変化する圧縮室15が形成される。

固定スクロール2の中央部には、高温高圧のガス冷媒を吐出する吐出ポート2bが形成されている。揺動スクロール3は、固定スクロール2に対して公転旋回運動(揺動運動)を行うようになっており、ラップ部3aの形成面とは反対側の面の中央部に、円筒形状の揺動軸受3bが設けられている。この揺動軸受3bには、スライダー3cが回転自在に挿入され、このスライダー3cには、主軸7の上端に設けられた偏芯軸部7aが挿入されている。

電動機4は、例えば回転子6に永久磁石を備えた永久磁石型電動機であり、円筒形状に形成された固定子5と、固定子5の中空内に回転自在に設けられた回転子6とを備えている。固定子5は、外周部が中間部容器8aに固定されている。この固定子5の巻線22は、リード線13を介して端子11に接続されている。回転子6は、中央部に主軸7が焼嵌めあるいは圧入されており、その回転子6の下端部にバランスウエイト35が設けられている。

端子11は、中間部容器8aの側壁を貫通して設けられている。その貫通部分には、シール部材18によって密封されている。この端子11は、中間部容器8aに設けられた端子箱19内に、外部電源からの電線と接続できるように収納されている。

主軸7は、軸心方向の上下に設けられた上軸受部16と下軸受部17とによって回転自在に支持されている。この主軸7の下端部には、給油ポンプ12が連結されている。主軸7の回転に連動して給油ポンプ12が駆動すると、油溜め14の潤滑油が給油ポンプ12により吸引される。吸引された潤滑油は、主軸7内に設けられた給油通路7bを通って下軸受部17、上軸受部16等に給油され、これらを潤滑した後に再び下部容器8c内の油溜め14に戻る。

ここで、前述した電動機4の固定子5及び回転子6の構成について、図2、図3及び図4を用いて詳述する。 図2は図1の電動機を拡大して示す縦断面図、図3は図2の回転子を模式的に示す横断面図、図4は図3の回転子を模式的に示す縦断面図である。

固定子5は、固定子鉄心21と、固定子鉄心21に導線を複数回巻き付けて形成された巻線22とで構成されている。固定子鉄心21は、鉄等の高透磁率材料からなるリング形状の鋼板を積層して構成されている。巻線22には、前述したようにリード線13が接続されている。

回転子6は、主軸7と、回転子鉄心31とで構成されている。回転子鉄心31は、固定子5と同様に、鉄等の高透磁率材料からなるリング形状の鋼板を積層して構成されている。回転子鉄心31の中央部には、主軸7が圧入される第1貫通孔38が形成されている。この回転子鉄心31には、周方向に沿って複数(磁極に相当する数)の磁石挿入孔32が設けられ、この磁石挿入孔32と第1貫通孔38との間に周方向に例えば90度間隔に4つのリベット挿通孔40が設けられている。磁石挿入孔32には、永久磁石33が挿入(埋設)されており、4つのリベット挿通孔40には、リベット36が挿入されている。

また、回転子鉄心31は、積層方向の両端に、主軸7及びリベット36が貫通する孔を有する例えば非磁性材からなる上端板34aと下端板34bとを備えている。この上端板34aと下端板34bは、前述のリベット36の締め付けによって、両側から回転子鉄心31を積層方向に締め付けている。4本のリベット36のうち1本のリベット36は、回転子鉄心31の下端板34bに設けられたバランスウエイト35を貫通して下端板34bに締め付けている。なお、バランスウエイト35を回転子鉄心31の下端板34bに設けているが、これに加えて、回転子鉄心31の上端板34aにも設けてもよい。この場合、前述のリベット36よりも上端板34a及びバランスウエイト35の厚さ分長いリベット36によって固定される。

また、回転子鉄心31には、第1貫通孔38の中心を挟む対称となる位置に2つの第2貫通孔39が設けられている。2つの第2貫通孔39は、第1貫通孔38の中心から同じ距離の位置に設けられている。この2つの第2貫通孔39には、第2貫通孔39と略同一又は第2貫通孔39の内径以上の径を有する絶縁材からなるピン41が圧入されている。

前記のように構成された密閉型スクロール圧縮機100の動作について説明する。 電動機4の端子11及びリード線13を介して固定子5の巻線22に通電が行われると、固定子5の巻線22に電流が流れて磁界が発生し、この磁界によって回転子6に回転トルクが発生する。この回転トルクにより、回転子6及び回転子6の主軸7が回転する。この時、主軸7の偏芯軸部7aも連動して回転し、この回転に伴って揺動スクロール3が固定スクロール2に対して揺動運動を行う。つまり、揺動スクロール3と固定スクロール2との協働におけるスクロール圧縮機の圧縮原理によりガス冷媒が圧縮される。

この際、吸入管9からのガス冷媒が吸引され、密閉容器8内に流入した後、固定スクロール2と揺動スクロール3とによって形成された圧縮機構部1へ吸入され、前述の圧縮原理によりガス冷媒が高温高圧(圧縮)となり、固定スクロール2の吐出ポート2bから上部容器8b内に吹き出され、吐出管10を介して密閉容器8外の冷媒回路へ吐出される。

次に、本実施の形態1における電動機4の回転子6について、回転子にカシメ部(密着する部分)が施された従来の電動機と比較して説明する。 図5は従来の電動機の要部を示す部分横断面図、図6は図5に示す回転子の縦断面図である。なお、実施の形態1と同様あるいは相当部分に同じ符号を付している。 従来の電動機4の回転子鉄心31には、図5に示すように、周方向の複数箇所に積層方向にカシメ部37が設けられている。このカシメ部37の圧入によって、回転子鉄心31を構成する各鋼板が固定され、鋼板の積層ズレも規制されている。

このような回転子鉄心31を備えた電動機4においては、固定子5の巻線22に通電が行われると、固定子5と回転子6とに交番磁界が発生し、図5に示すように、回転子鉄心31の各鋼板に小さな渦電流(破線の円形)が発生する。また、図6に示すように、回転子鉄心31のカシメ部37が接点となって各鋼板が導通し、回転子鉄心31の積層方向の全体に渡って大きな渦電流(破線の楕円形)が発生する。この積層方向の渦電流により、回転子鉄心31が発熱する。さらに、積層された鋼板をリベット36で締結する際、積層方向に荷重をかけて締結する必要があるため、リベット36の外径rとリベット挿通孔40の径Rのクリアランス分の内径円筒度の悪化は免れない。このため、主軸7の回転子鉄心31への焼嵌めあるいは圧入の不良が発生することがある。つまり、鋼板の積層ズレが生じることがある。

一方、本実施の形態1においては、従来のように回転子鉄心31にカシメ部37を設けることなく、回転子鉄心31に設けられた第2貫通孔39に絶縁材のピン41を圧入して、そのピン41で回転子鉄心31の各鋼板を固定している。このように構成した場合、回転子鉄心31に小さな渦電流(破線の円形)が発生するものの、回転子鉄心31の積層方向に渡る渦電流の発生が軽減されている。

また、前述のピン41によって、回転子鉄心31の鋼板の積層ズレが規制されるため、回転子鉄心31に設けられた第1貫通孔38の内径円筒度の精度のバラツキを抑制することができる。さらに、ピン41を第1貫通孔38の中心を挟む対称となる位置に設けているため、回転子6の回転時のバランスへの影響もない。

以上のように実施の形態1においては、密閉型スクロール圧縮機100の電動機4の回転子6に、2本のピン41が圧入された回転子鉄心31を用いているので、回転子鉄心31の第1貫通孔38の内径円筒度の精度のバラツキがなくなる。このため、主軸7の回転子鉄心31への焼嵌めあるいは圧入を容易に行うことができ、回転子6の工作性が向上する。

また、回転子鉄心31を2本のピン41で固定するようにしているので、各鋼板に設けられたカシメ部37を圧入して固定する従来と比べ、回転子鉄心31に発生する渦電流を軽減できる。このため、回転子鉄心31の発熱を抑制でき、これに伴って渦電流損失や磁束量の低下、電動機4内の温度上昇を抑えることができる。これによって、密閉型スクロール圧縮機100の性能及び信頼性の向上を実現することができる。

また、前述の電動機4を密閉型スクロール圧縮機100に用いることで、密閉型スクロール圧縮機100の内部温度上昇を抑えることができるので、従来使用されているR410A、R407C、R404A等の冷媒よりも、圧縮時の温度及び圧力上昇が高い性質を持つR32を含む混合冷媒を使用することができる。

なお、本実施の形態1では、カシメ部37を完全に無くす構成としているが、従来の冷媒の使用を前提とする密閉型スクロール圧縮機100においては、カシメ部37を完全に無くす必要がない。つまり、回転子鉄心31に発生する渦電流、この渦電流によって回転子6の発熱量の抑制効果をそれほど必要としないような場合には、回転子鉄心31の周方向に設けられたカシメ部37のうち、少なくとも1箇所のカシメ部37を残して、回転子鉄心31にピン41を圧入する構成としても良い。この場合においても、回転子鉄心31の第1貫通孔38の内径円筒度の精度のバラツキを抑制することができる。

また、本実施の形態1では、ピン41が絶縁材からなると限定したが、これに限定されるものではない。例えば、前記と同様に、従来の冷媒の使用を前提とする密閉型スクロール圧縮機100においては、回転子鉄心31に、非絶縁材からなるピン41を圧入する構成としても良い。但し、この場合においては、回転子鉄心31の第1貫通孔38の内径円筒度の精度バラツキの抑制の効果は得ることができるが、カシメ部37を設けた場合と同等以上の渦電流と発熱量が発生する可能性があることに対し、十分留意する必要がある。

また、本実施の形態1では、ピン41を2本としているが、この本数に限定されるものではない。例えば、1本のピン41でも良い。1本のピン41だけでも十分に回転子鉄心31の第1貫通孔38の内径円筒度の精度のバラツキを抑制することができる。また、カシメ部37の導通で発生していた鋼板の積層方向に渡る渦電流(図6参照)をなくすこともできる。

但し、ピン41と回転子鉄心31との比重差による回転子6の回転時のバランスへの影響は回避することが不可能である。しかし、これについては、回転子鉄心31の積層方向の両端あるいは何れか一方に設けるバランスウエイト35により十分調整することができる。むしろピン41と回転子鉄心31との比重差と回転子6の回転時のバランスとを予め考慮した上で、第2貫通孔39の位置を設定すれば、バランスウエイト35を軽量化することもできる。

なお、本実施の形態1においては、回転子6を製造する方法として、以下の2つがある。

第1は、回転子鉄心31の第2貫通孔39にピン41を圧入して、その回転子鉄心31を固定し、その後に第1貫通孔38に主軸7を圧入する。そして、回転子鉄心31の積層方向の両端に上端板34a及び下端板34bを配置し、リベット36をリベット挿通孔40にリベット36を挿通させて、上端板34a及び下端板34bの両側から回転子鉄心31を積層方向に締め付ける。

第2は、予めプレス加工で鋼板を打ち抜いたときに成型される第2貫通孔39に合致する位置にピン41を固定し、鋼板の打ち抜きと同時に第2貫通孔39にピン41を圧入していく。そして、前記と同様に、回転子鉄心31の積層方向の両端に上端板34a及び下端板34bを配置し、リベット36をリベット挿通孔40にリベット36を挿通させて、上端板34a及び下端板34bの両側から回転子鉄心31を積層方向に締め付ける。

実施の形態2. 実施の形態1では、回転子鉄心31の第2貫通孔39に圧入されたピン41をそのまま残すようにしたが、本実施の形態2は、回転子鉄心31に主軸7を焼嵌めあるいは圧入した後に、ピン41を抜き取れるようにしたものである。

図7は実施の形態2に係る密閉型スクロール圧縮機の回転子を示す縦断面図である。なお、本実施の形態2においては、実施の形態1と同様の部分に同じ符号を付して説明する。 実施の形態2においては、密閉型スクロール圧縮機に組み込まれている電動機4は、実施の形態1と同様に、永久磁石型電動機であり、主軸7と回転子鉄心31とで構成される回転子6を備えている。

回転子鉄心31は、図7に示すように、中央部に主軸7が焼嵌めあるいは圧入される第1貫通孔38が形成されている。この回転子鉄心31には、周方向に沿って複数(磁極に相当する数)の磁石挿入孔32が設けられ、この磁石挿入孔32と第1貫通孔38との間に周方向に例えば90度間隔に4つのリベット挿通孔40が設けられている。磁石挿入孔32には、永久磁石33が挿入(埋設)されており、4つのリベット挿通孔40には、リベット36が挿入されている。

また、回転子鉄心31には、第1貫通孔38の中心を挟む対称となる位置に2つの第2貫通孔39が設けられている。2つの第2貫通孔39は、第1貫通孔38の中心から同じ距離の位置に設けられている。

また、回転子鉄心31の積層方向の両端に設置される上端板34aと下端板34bとには、主軸7が挿入される第1貫通孔38と、リベット36が挿入されるリベット挿通孔40と、第2貫通孔39の軸心を中心とする第3貫通孔42とが設けられている。つまり、上端板34aと下端板34bとには、第2貫通孔39と同様に、第1貫通孔38の中心を挟む対称となる位置に2つ第3貫通孔42が設けられている。バランスウエイト35には、実施の形態1と同様にリベット36が挿入されるリベット挿通孔40と、前述の第3貫通孔42と同様の第3貫通孔42が1つ設けられている。第3貫通孔42は、ピン41の外径以上の径を有している。

2本のピン41のうち一方のピン41は、上端板34aと下端板34bの厚み、及び回転子鉄心31の積層方向の厚みよりも長く形成され、もう一方のピン41は、一方のピンの長さに加えて、バランスウエイト35の厚み分長く形成されている。この2本のピン41は、第2貫通孔39に対する焼嵌めあるいは圧入と抜き取りに耐えうる強度を有している。

つまり、本実施の形態2における電動機4の回転子6には、回転子鉄心31に主軸7を焼嵌めあるいは圧入した後に、2本のピン41が引き抜かれた回転子鉄心31が使用されている。2本のピン41は、回転子鉄心31の組立性の向上のために積層鋼板を一体とする機能と、第1貫通孔38の内径円筒度の精度のバラツキを抑制する機能とを主としている。

本実施の形態2では、回転子鉄心31の第2貫通孔39は空洞となるが、実施の形態1のように第2貫通孔39内のピン41を介して回転子鉄心31の積層方向に導通して渦電流が発生するという心配がない。

なお、実施の形態2では、ピン41は第2貫通孔39に対する圧入と抜き取りに耐えうる強度を有しているので、再利用が可能な組立冶具として利用可能であり、また、主軸7への装着の際の位相決めのピン41としても利用可能となる。

以上、本発明を実施の形態1、2とに分けて説明したが、具体的な構成は、これらの実施の形態1、2に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、実施の形態1、2では、流体機械の一例として密閉型スクロール圧縮機を挙げて説明したが、実施の形態1、2に係る回転子6を搭載する流体機械、例えばや油等の液体を移動させるポンプなどにも適用可能である。

1 圧縮機構部、2 固定スクロール、2a ラップ部、2b 吐出ポート、3 揺動スクロール、3a ラップ部、3b 揺動軸受、3c スライダー、4 電動機、5 固定子、6 回転子、7 主軸、7a 偏芯軸部、7b 給油通路、8 密閉容器、8a 中間部容器、8b 上部容器、8c 下部容器、9 吸入管、10 吐出管、11 端子、12 給油ポンプ、13 リード線、14 油溜め、15 圧縮室、16 上軸受部、17 下軸受部、18 シール部材、19 端子箱、21 固定子鉄心、22 巻線、31 回転子鉄心、32 磁石挿入孔、33 永久磁石、34a 上端板、34b 下端板、35 バランスウエイト、36 リベット、37 カシメ部、38 第1貫通孔、39 第2貫通孔、40 リベット挿通孔、41 ピン、42 第3貫通孔、100 密閉型スクロール圧縮機。

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