Induction motor and a hermetic compressor

申请号 JP2010523665 申请日 2008-08-05 公开(公告)号 JP5042365B2 公开(公告)日 2012-10-03
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 智明 及川; 勇人 吉野; 貴弘 堤; 浩二 矢部; 義和 藤末; 和彦 馬場;
摘要
权利要求
  • 電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数積層して製作される固定子鉄心と、前記固定子鉄心の内周縁に沿って形成される複数の固定子スロットと、前記固定子スロットに挿入される巻線とを有する固定子と、
    前記固定子の内側に空隙を介して配置される回転子とを備え、
    前記回転子は、
    電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数積層して製作される回転子鉄心と、
    前記回転子鉄心外周縁に沿って形成され、導電性材料が充填された二重かご形の複数の回転子スロットと、
    回転軸が嵌合する前記回転子鉄心の回転軸穴の周囲に設けられ、前記回転軸穴に開口する三箇所以上の風穴部とを有し、
    前記二重かご形の回転子スロットに充填される前記導電性材料の両端を短絡するエンドリングの内径部を、少なくとも片側の前記エンドリングにおいて前記風穴部に近接するように配置し
    前記風穴部は三箇所に略等間隔に配置され、一つの前記風穴部の両端と前記回転軸の中心とのなす角度をα、隣接する二つの前記風穴部の近接側の二つの端部と前記回転軸の中心とのなす角度をβとした場合、2α+β<180度としたことを特徴とする誘導電動機。
  • 電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数積層して製作される固定子鉄心と、前記固定子鉄心の内周縁に沿って形成される複数の固定子スロットと、前記固定子スロットに挿入される巻線とを有する固定子と、
    前記固定子の内側に空隙を介して配置される回転子とを備え、
    前記回転子は、
    電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数積層して製作される回転子鉄心と、
    前記回転子鉄心外周縁に沿って形成され、導電性材料が充填された二重かご形の複数の回転子スロットと、
    回転軸が嵌合する前記回転子鉄心の回転軸穴の周囲に設けられ、前記回転軸穴に開口する三箇所以上の風穴部とを有し、
    前記二重かご形の回転子スロットに充填される前記導電性材料の両端を短絡するエンドリングの内径部を、少なくとも片側の前記エンドリングにおいて前記風穴部に近接するように配置し
    冷媒を圧縮する圧縮要素と共に密閉容器の内部に収納され、前記回転軸により前記圧縮要素を駆動する誘導電動機であって、
    前記圧縮要素は圧縮された冷媒を吐出する吐出穴を備え、前記吐出穴と前記風穴部の個数と位置関係を合わせ、更に前記吐出穴から高圧の吐出ガスが吐出されるときに前記吐出穴と前記風穴部との位置が略一致するようにしたことを特徴とする誘導電動機。
  • 前記回転子と前記回転軸を焼嵌により嵌合することを特徴とする請求項1 又は2記載の誘導電動機。
  • 前記風穴部は略半円形状であることを特徴とする請求項1 又は2記載の誘導電動機。
  • 前記風穴部は長穴形状であることを特徴とする請求項1 又は2記載の誘導電動機。
  • 前記回転子に設けられた前記風穴部に対応した位置で、前記回転軸に略軸方向全長に亘って形成される切欠きを設け、前記風穴部と前記切欠きとで風穴を形成することを特徴とする請求項1 又は2記載の誘導電動機。
  • 前記回転軸に略軸方向全長に亘って形成される切欠きを長穴形状とすることを特徴とする請求項 記載の誘導電動機。
  • 前記回転子鉄心はスキューをかけて積層され、前記回転子鉄心のスキュー角度に対応して前記切欠きを傾斜させるように設けたことを特徴とする請求項 記載の誘導電動機。
  • 請求項1 又は2記載の誘導電動機と、前記誘導電動機により駆動される圧縮要素を備えたことを特徴とする密閉型圧縮機。
  • 说明书全文

    この発明は、二重かご形状からなる回転子を有した誘導電動機及び密閉型圧縮機に関するものである。

    従来の誘導電動機において、回転子鉄心の内径部に二箇所の切欠きを設け、切欠きを潤滑油通過用切欠きとして使用しており、ダイカスト回転子を精度良く製作しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。

    また、従来の別の誘導電動機においては、回転子鉄心の内周領域までエンドリングを延在させた後、エンドリングと回転子鉄心に通風孔を形成するようにすることで、エンドリング内部に巣が生じることなく、機械的強度を改善している(例えば、特許文献2参照)。

    特開昭59−10159号公報

    特開昭61−244248号公報

    従来の誘導電動機では、回転子鉄心の内径部の切欠きが二箇所であるため、回転子鉄心と回転軸を焼嵌により嵌合させた場合、回転子鉄心の歪みが大きく、十分な嵌合強度が得られないという課題があった。

    また、従来の別の誘導電動機では、エンドリングのダイキャスト後に、穿孔装置を用いて、エンドリングと回転子鉄心の一部を削っているため、加工費が高いという課題があった。

    この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、焼嵌の嵌合強度を悪化させることなく、また起動トルクが高く、高効率な誘導電動機が得られ、また冷凍機油の油上がり量を抑制した信頼性の高い密閉型圧縮機を得ることを目的とする。

    この発明に係る誘導電動機は、電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数積層して製作される固定子鉄心と、前記固定子鉄心の内周縁に沿って形成される複数の固定子スロットと、前記固定子スロットに挿入される巻線とを有する固定子と、
    前記固定子の内側に空隙を介して配置される回転子とを備え、
    前記回転子は、
    電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数積層して製作される回転子鉄心と、
    前記回転子鉄心外周縁に沿って形成され、導電性材料が充填された二重かご形の複数の回転子スロットと、
    回転軸が嵌合する前記回転子鉄心の回転軸穴の周囲に設けられ、前記回転軸穴に開口する三箇所以上の風穴部とを有し、
    前記二重かご形の回転子スロットに充填される前記導電性材料の両端を短絡するエンドリングの内径部を、少なくとも片側の前記エンドリングにおいて前記風穴部に近接するように配置したことを特徴とする。

    また、この発明に係る誘導電動機は、前記回転子と前記回転軸を焼嵌により嵌合することを特徴とする。

    また、前記風穴部は略半円形状であることを特徴とする。

    また、前記風穴部は長穴形状であることを特徴とする。

    また、この発明に係る誘導電動機は、前記回転子に設けられた前記風穴部に対応した位置で、前記回転軸に略軸方向全長に亘って形成される切欠きを設け、前記風穴部と前記切欠きとで風穴を形成することを特徴とする。

    また、この発明に係る誘導電動機は、前記回転軸に略軸方向全長に亘って形成される切欠きを長穴形状とすることを特徴とする。

    また、前記回転子鉄心はスキューをかけて積層され、前記回転子鉄心のスキュー度に対応して前記切欠きを傾斜させるように設けたことを特徴とする。

    また、前記風穴部は三箇所に略等間隔に配置され、一つの前記風穴部の両端と前記回転軸の中心とのなす角度をα、隣接する二つの前記風穴部の近接側の二つの端部と前記回転軸の中心とのなす角度をβとした場合、2α+β<180度としたことを特徴とする。

    また、冷媒を圧縮する圧縮要素と共に密閉容器の内部に収納され、前記回転軸により前記圧縮要素を駆動する誘導電動機であって、前記圧縮要素は圧縮された冷媒を吐出する吐出穴を備え、前記吐出穴と前記風穴部の個数と位置関係を合わせ、更に前記吐出穴から高圧の吐出ガスが吐出されるときに前記吐出穴と前記風穴部との位置が略一致するようにしたことを特徴とする。

    また、この発明に係る密閉型圧縮機は、前記誘導電動機と、前記誘導電動機により駆動される圧縮要素を備えたことを特徴とする。

    この発明に係る誘導電動機は、回転軸が嵌合する回転子鉄心の回転軸穴の周囲に設けられ、回転軸穴に開口する三箇所以上の風穴部と、二重かご形の回転子スロットに充填される導電性材料の両端を短絡するエンドリングの内径部を、風穴部に近接するように配置したことにより、起動トルクを高くするとともに通常運転時に高効率な誘導電動機を得ることができる。

    実施の形態1.
    以下、実施の形態1について図面を参照しながら説明する。 図1乃至図7は実施の形態1を示す図で、図1は誘導電動機100の横断面図、図2はアルミバー30を充填した回転子スロット40の横断面図、図3は誘導電動機100の回転子11の斜視図、図4は誘導電動機100の回転子11の平面図、図5は誘導電動機100の回転子鉄心11aの平面図、図6は変形例の誘導電動機100の回転子11の平面図、図7は変形例の誘導電動機100の回転子鉄心11aの平面図である。

    図1に示す誘導電動機100は、二極の単相誘導電動機である。 誘導電動機100は、固定子12と、回転子11とを備える。

    固定子12は、固定子鉄心12aと、固定子鉄心12aの固定子スロット12bに挿入される主巻線20bおよび補助巻線20aとを備える。

    尚、固定子スロット12bには巻線(主巻線20bおよび補助巻線20a)と固定子鉄心12aとの間に絶縁を確保するために絶縁材(例えば、スロットセル、ウェッジ等)が挿入されるが、ここでは図示を省略している。

    固定子鉄心12aは、板厚が0.1〜1.5mmの電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数軸方向に積層し、抜きカシメや溶接等により固定して製作される。

    固定子鉄心12aには、内周縁に沿って固定子スロット12bが形成されている。 固定子スロット12bは、周方向にほぼ等間隔に配置される。

    固定子スロット12bは、半径方向に延在している。 固定子スロット12bは、内周縁に開口している。 この開口部をスロットオープニングと言う。 このスロットオープニングから巻線(主巻線20bおよび補助巻線20a)が挿入される。 図1の例では、固定子鉄心12aは、24個の固定子スロット12bを備える。

    主巻線20bは、同心巻方式の巻線である。 図1の例では、固定子スロット12b内の内周側(回転子11に近い方)に、主巻線20bが配置される。 ここでは、同心巻方式の主巻線20bは、大きさ(特に周方向の長さ)が異なる五個のコイルから構成される。 そして、それらの五個のコイルの中心が同じ位置になるように固定子スロット12bに挿入される。 そのため、同心巻方式と呼ばれる。 主巻線20bが五個のコイルのものを示したが、一例であって、その数は問わない。

    主巻線20bの五個のコイルを、大きい方(スロットピッチが11のもの)から順にM1、M2、M3、M4、M5とする。 その分布が、略正弦波になるように選ばれる。 主巻線20bに電流が流れた場合に発生する主巻線磁束が正弦波になるようにするためである。

    主巻線20bは、固定子スロット12b内の内周側、外周側のどちらに配置してもよい。 主巻線20bを固定子スロット12b内の内周側に配置すると、固定子スロット12b内の外周側に配置する場合に比べて、巻線周長が短くなる。 また、主巻線20bを固定子スロット12b内の内周側に配置すると、固定子スロット12b内の外周側に配置する場合に比べて、漏れ磁束が少なくなる。 よって、主巻線20bを固定子スロット12b内の内周側に配置すると、固定子スロット12b内の外周側に配置する場合に比べて主巻線20bのインピーダンス(抵抗値、漏れリアクタンス)が小さくなる。 そのため、誘導電動機100の特性が良くなる。

    主巻線20bに電流を流すことで、主巻線磁束が生成される。 この主巻線磁束の向きは、図1の上下方向である。 前述したように、この主巻線磁束の波形ができるだけ正弦波になるように、主巻線20bの五個のコイル(M1、M2、M3、M4、M5)の巻数が選ばれる。 主巻線20bに流れる電流は交流であるから、主巻線磁束も流れる電流に従って大きさと向きを変える。

    また、固定子スロット12bには、主巻線20bと同様の同心巻方式の補助巻線20aが挿入される。 図1では、補助巻線20aは、固定子スロット12b内の外側に配置されている。 補助巻線20aに電流を流すことで補助巻線磁束が生成される。 この補助巻線磁束の向きは、主巻線磁束の向きに直交する(図1の左右方向)。 補助巻線20aに流れる電流は交流であるから、補助巻線磁束も電流に従って大きさと向きを変える。

    一般的には主巻線磁束と補助巻線磁束のなす角度が電気角で90度(ここでは極数が二極であるため、機械角も90度である)になるように、主巻線20bと補助巻線20aとが固定子スロット12bに挿入される。

    図1の例では、補助巻線20aは大きさ(周方向の長さが特に)が異なる三個のコイルから構成される。 補助巻線20aの三個のコイルを、大きい方(スロットピッチが11のもの)から順にA1、A2、A3とする。 その分布が、略正弦波になるように選ばれる。 補助巻線20aに電流が流れた場合に発生する補助巻線磁束が正弦波になるようにするためである。

    そして、それらの三個のコイル(A1、A2、A3)の中心が同じ位置になるように固定子スロット12bに挿入される。

    補助巻線20aと直列に運転コンデンサ(図示せず)を接続したものに主巻線20bを並列に接続させる。 その両端を単相交流電源へ接続する。 運転コンデンサを補助巻線20aに直列に接続することにより、補助巻線20aに流れる電流の位相を主巻線20bに流れる電流の位相より約90度進めることができる。

    主巻線20bと補助巻線20aの固定子鉄心12aにおける位置を電気角で90度ずらし、且つ主巻線20bと補助巻線20aの電流の位相を約90度異なるようにすることにより、二極の回転磁界が発生する。

    固定子鉄心12aの外周面には、外周円形状を略直線状に切り欠いた略直線部をなす固定子切欠き12cが四ヶ所に設けられている。 四ヶ所の固定子切欠き12cは、隣り合うもの同士が略直角に配置される。 但し、これは一例であり、固定子切欠き12cの数、配置は任意でよい。

    密閉型圧縮機に図1の誘導電動機100を使用する場合、固定子12は密閉型圧縮機の円筒状の密閉容器の内周に焼き嵌めされる。 密閉型圧縮機の内部では、冷媒が誘導電動機100を通過する。 そのため、誘導電動機100には、冷媒の通路が必要である。 固定子切欠き12cを設けることにより、固定子12と密閉容器との間に冷媒の通路が形成される。 誘導電動機100の冷媒の通路には、この固定子鉄心12aの外周面の固定子切欠き12cによるもの以外に、例えば、回転子11の風穴部11b、固定子12と回転子11との間の空隙60がある。

    また、回転子11は回転子鉄心11aとかご形二次導体を備える。 回転子鉄心11aは、固定子鉄心12aと同様に板厚が0.1〜1.5mmの電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き、軸方向に積層して製作される。 通常、固定子鉄心12aの内側の部分の電磁鋼板を利用する。

    一般的に回転子鉄心11aは固定子鉄心12aと同一の材料から打ち抜くことが多いが、回転子鉄心11aは固定子鉄心12aと材料を変えても構わない。

    回転子鉄心11aには半径方向外周側に、回転子鉄心11aの外周縁に沿って設けられる外層スロット40aと、外層スロット40aの内周側に設けられた内層スロット40bと、外層スロット40aと内層スロット40bを連結する連結スロット40cからなる二重かご形状の回転子スロット40を有する(図2参照)。

    図1の例では、回転子スロット40の数は、30である。 結局、図1の誘導電動機100は、固定子鉄心12aのスロット数が24、回転子鉄心11aのスロット数が30の組合せである。 但し、これは一例であり、固定子鉄心12aのスロット数と回転子鉄心11aのスロット数との組合せは、この限りではない。

    かご形誘導電動機は、同期トルク、非同期トルク、振動・騒音等の異常現象があることが知られている。 かご形誘導電動機の異常現象は、空隙磁束密度中の空間高調波によって起きるものであることは明白であるが、その空間高調波が生じる原因としては次の二つが考えられる。 一つは巻線の配置のために起磁自身の中に含まれる高調波であり、他は溝が存在するために空隙のパーミアンス(磁気抵抗の逆数)が一様でないことから空隙磁束密度中に含まれる高調波である。

    このように、かご形誘導電動機では、固定子のスロット数と回転子のスロット数との組合せが、同期トルク、非同期トルク、振動・騒音等の異常現象に密接に関係する。 そのため、固定子のスロット数と回転子のスロット数との組合せは、慎重に選ばれる。

    外層スロット40a、内層スロット40bおよび連結スロット40cには、共に導電性材料であるアルミが鋳込まれて、外層アルミバー30a、内層アルミバー30bおよび連結アルミバー30cからなるアルミバー30を形成する。 導電性材料は、アルミが一般的であるが、銅でもよい。 また、ダイキャスティング以外に、バーをスロットに挿入後、エンドリングをバーに接合する方法もある。

    回転子11の積層方向端面に設けられたエンドリング32(図3参照)と共に二重かご形二次導体を形成する。 一般的にアルミバー30とエンドリング32はダイキャストにより同時にアルミを鋳込むことで製作される。

    図1、図4、図5に示すように、回転子鉄心11aの円形の回転軸穴31の周囲に、回転軸穴31に連通する略半円形の風穴部11bを設けている。 略半円形の風穴部11bは回転軸穴31に開口している。 図1、図4、図5の例では、六個の略半円形の風穴部11bを設けている。 風穴部11bは、三個(三箇所)以上にあればよい。

    密閉型圧縮機に回転子11を搭載する場合、回転子11は回転軸50に焼嵌により固定され、風穴部11bは回転軸との間で空洞が形成される。 この空洞は冷媒の流路の一部として使用される。 一般的に密閉型圧縮機の性能を確保するために、電動機に一定の冷媒の流路が必要である。

    二重かご形状の回転子11を有する誘導電動機100は、以下に示すような一般的な特徴を有する。 即ち、起動時はすべり周波数(回転磁界の周波数と回転子11の回転数との差)が高くなる。 内層アルミバー30bの漏れ磁束は、外層アルミバー30aの漏れ磁束より多くなる。 すべり周波数が大きい起動時には、リアクタンス分により電流分布が決まり、二次電流は外層アルミバー30aに主に流れる。 そのため、二次抵抗が大きくなることにより起動トルクが増大して起動特性が改善される。

    また通常運転時は、すべり周波数が低いので、二次電流はアルミバー30全体に流れるため、アルミ断面積が大きくなり、二次抵抗が小さくなる。 従って、二次銅損が低くなることで、高効率化が実現できるという特性を有している。

    また単相交流電源で駆動される単相誘導電動機は、三相交流電源で駆動される三相誘導電動機と比較すると、起動トルクが低くなる傾向がある。

    二次抵抗を小さくする方法としてエンドリング32の体積を大きくする方法があり、体積を拡大させる方法として、高さ方向(軸方向)を拡大する方法と、内径側に拡大する方法がある。

    エンドリング32の高さ方向を拡大する場合、回転子11の積層方向(軸方向)の長さが大きくなるため、電動機全長が長くなり、電動機の大型化を招く課題がある。

    またエンドリング32を内径側に拡大させた回転子11を密閉型圧縮機に搭載した場合、回転子11に風穴を設ける場所がなくなる課題がある。

    本実施の形態の誘導電動機100の回転子11は、回転子鉄心11aの円形の回転軸穴31の周囲に、回転軸穴31に連通する略半円形の風穴部11bを設けることで、エンドリング32を内径側に拡大することが可能である。

    エンドリング32を拡大することで二次抵抗が低くなり、高効率な誘導電動機100を得ると共に、その誘導電動機100を密閉型圧縮機に搭載する場合、冷媒の流路を確保した高性能な密閉型圧縮機を得ることができる。

    また回転子11に風穴を設けない場合について考察する。 風穴がない回転子11を密閉型圧縮機に搭載した場合、固定子12の外周に設けられた固定子切欠き12cと、固定子12と回転子11との間の空隙60が冷媒の流路となる。

    密閉型圧縮機には、冷媒と共に圧縮機構部の各摺動部の潤滑に必要な冷凍機油が、密閉容器の下部に貯留されており、冷凍機油の一部は冷媒と共に密閉容器から流出し、冷凍サイクル装置の冷媒回路に流入することがある。

    冷凍サイクル装置の冷媒回路に、圧縮された冷媒以外に過度の冷凍機油が流入する(油上がり量が増加する)と、冷凍サイクル装置の性能が悪化すると共に、圧縮機構の各摺動部の潤滑が悪化(不足)することで密閉型圧縮機が故障するなど信頼性が低くなる可能性がある。

    回転子11に風穴がない場合、冷媒の流路面積が小さいために冷媒の流速が速くなり、冷媒と共に冷凍機油が、固定子12の固定子切欠き12cを通って流出する傾向がある。 固定子切欠き12cを大きくすることで流速を抑えることができるが、固定子切欠き12cが大きくなると、逆に固定子鉄心12aの磁路面積が小さくなり、固定子鉄心12aの磁束密度が大きくなる。 磁束密度が大きくなると、励磁電流や鉄損が増加して誘導電動機100の入力が大きくなり、効率が低くなる。

    本実施の形態では、回転子鉄心11aの円形の回転軸穴31の周囲に、回転軸穴31に連通する略半円形の風穴部11bを設け、エンドリング32を内径側に拡大させて二次抵抗を小さくしている。 そのため、冷凍機油の油上がり量を抑制した信頼性の高い密閉型圧縮機を得ると共に、低損失な誘導電動機100を搭載した高効率な密閉型圧縮機を得ることができる。 尚、エンドリング32を内径側に拡大させるのは、片側のエンドリング32だけでもよい。

    回転子鉄心11aの円形の回転軸穴31の周囲に、回転軸穴31に連通する略半円形の風穴部11bを設け、エンドリング32を内径側に拡大させて二次抵抗を小さくしているが、二次抵抗R2を、アルミバー30の抵抗Rbar、エンドリング32の抵抗Rringで簡略化して表わすと次式のようになる。
    R2=k1×(Rbar+Rring) (1)
    ここで、k1は抵抗係数である。

    また、エンドリング32の抵抗Rringは、エンドリング32の平均直径Drに比例し、エンドリング32の断面積Arに反比例する。 即ち、
    Rring=k2×Dr/Ar (2)
    ここで、k2は係数である。

    従って、エンドリング32を内径側に拡大すれば、エンドリング32の平均直径Drが小さくなるとともに、エンドリング32の断面積Arが大きくなるので、エンドリング32の抵抗Rringが小さくなる。

    エンドリング32を内径側に拡大しても、アルミバー30の抵抗Rbarは変化しないが、エンドリング32の抵抗Rringが小さくなることにより、二次抵抗R2を小さくすることができる。

    二重かご形状でない(普通かご形)一般的な回転子スロット形状を有する回転子を用いて、エンドリングの断面積を大きくした場合、二次抵抗が低くなることで通常運転時の効率を改善することができるが、誘導電動機の起動トルクが低くなる課題がある。

    誘導電動機の起動トルクが低くなると、同一の起動トルクを得るために高い電源電圧が必要となる。 何らかの原因で電源電圧が低くなった場合、誘導電動機が起動できない場合がある。

    本実施の形態では、二重かご形の回転子スロット40を有する回転子11を用いている。 そのため、起動トルクを確保した信頼性の高い誘導電動機100を得ると共に、通常運転時に高効率な誘導電動機100を得ることができる。 特に単相交流電源で駆動される単相誘導電動機において、より大きな効果を奏する。 単相誘導電動機は、起動トルク/停動トルク(最大トルク)が三相誘導電動機のそれに比べて小さいからである。

    単純に起動トルクをアップさせる別の方式として、単相誘導電動機の補助巻線20aと直列に接続される運転コンデンサの容量を大きくする方式がある。 また運転コンデンサと並列に起動コンデンサとリレーを設けるなど、単相誘導電動機の外付け回路で対策を行う方式がある。 しかし、いずれの方式においてもコストアップを伴う。

    本実施の形態では、二重かご形の回転子スロット40を有する回転子11を用いて起動トルクをアップさせるので、特段の外付け回路を使用しなくてよい。 そのため、運転コンデンサなどの回路を含めた運転システムとして低コストな誘導電動機100を得ることができる。

    次に、回転子鉄心11aの風穴部11bの変形例を説明する。 図6、図7に示す回転子鉄心11aの風穴部11bは、長穴(略楕円)形状になっている。 長穴(略楕円)形状の風穴部11bを周方向に略等間隔に三個配置している。 但し、風穴部11bの個数は三個に限定されるものではない。 風穴部11bの個数、周方向の長さ、半径方向の長さは任意に選択される。

    風穴部11bを長穴形状にすることで、図4の略半円形の風穴部11bと比較すると、全体の風穴面積が同一の場合、長穴形状の風穴部11bは、径方向の寸法を短くすることができ、その分エンドリング32を内径側に拡大することが可能である。

    長穴形状の風穴部11bは、図4の略半円形の風穴部11bよりもエンドリング32を内径側に拡大できる。 そのため、更に二次抵抗を低くすることができ、更に高効率な誘導電動機100を得ることができる。

    本実施の形態では、二次導体の材質としてアルミを使用するが、導電性材料であれば良く、更に低抵抗な材料である銅などを用いても良い。

    あるいは内層スロット40bに棒状の銅材を入れた後に、ダイキャストでアルミを鋳込んでも良い。

    固定子スロット12bに挿入される巻線20(主巻線20b、補助巻線20a)は、同心巻方式の巻線を示したが、重ね巻方式や波巻方式でも同様の効果を得ることができる。

    また単相交流電源で駆動される単相誘導電動機について説明したが、固定子スロット12bに三相巻線を挿入し、三相交流電源で駆動される三相誘導電動機においても同様の効果を得ることができる。

    また二重かご形状として外層スロット40a、内層スロット40b、連結スロット40cからなる構成について説明したが、連結スロット40cを設けず、外層スロット40aと内層スロット40bを回転子鉄心11aで分離させた二重かご形状の回転子スロット40を構成しても同様の効果を得ることができる。

    以上のように、本実施の形態によれば、誘導電動機100の回転子鉄心11aの円形の回転軸穴31の周囲に、回転軸穴31に連通する略半円形の風穴部11bを設けることで、エンドリング32を内径側に拡大することが可能になり、エンドリング32を拡大することで二次抵抗が低くなり、高効率な誘導電動機100を得ると共に、その誘導電動機100を密閉型圧縮機に搭載する場合、冷媒の流路を確保した高性能な密閉型圧縮機を得ることができる。

    また、誘導電動機100の回転子鉄心11aの円形の回転軸穴31の周囲に、回転軸穴31に連通する略半円形の風穴部11bを設けることで、固定子12の固定子切欠き12cを、冷媒と共に冷凍機油が固定子12の固定子切欠き12cを通って流出するような大きさにする必要がないので、冷凍機油の油上がり量を抑制した信頼性の高い密閉型圧縮機を得ると共に、低損失な誘導電動機100を搭載した高効率な密閉型圧縮機を得ることができる。

    また、風穴部11bを長穴形状にすることで、略半円形の風穴部11bと比較すると、全体の風穴面積が同一の場合、長穴形状の風穴部11bは、径方向の寸法を短くすることができ、その分エンドリング32を内径側に拡大することが可能であり、更に二次抵抗を低くすることができ、更に高効率な誘導電動機100を得ることができる。

    また、二重かご形の回転子スロット40を有する回転子11を用いて起動トルクをアップさせるので、特段の外付け回路を使用しなくてよいため、運転コンデンサなどの回路を含めた運転システムとして低コストな誘導電動機100を得ることができる。

    実施の形態2.
    以下、実施の形態2について図面を参照しながら説明する。 図8乃至図11は実施の形態2を示す図で、図8は誘導電動機100の回転子11の平面図、図9および図10は回転軸50の一部(回転子11の積層方向長さに相当する部分)の斜視図、図11は誘導電動機100の回転子11の平面図である。

    図8において、回転子11の回転軸穴31に設けられた風穴部11bに対応した位置で、回転軸50に切欠き50aを設けたものである。 切欠き50aは、回転軸50の略軸方向全長に亘って形成されている。

    回転軸50の切欠き50aは、回転子11の回転軸穴31に設けられた風穴部11bと対応して配置される。 そして、回転軸50の一つの切欠き50aと一つの風穴部11bとで、一つの風穴を形成する。 図8の例では、六個の風穴を形成する。

    誘導電動機100を密閉型圧縮機に搭載する場合、回転子11は回転軸50に焼嵌固定されている。 回転子11の回転軸穴31に風穴部11bがある場合、回転軸50と焼嵌されるのは風穴部11b以外の円弧部の箇所であり、風穴部11bは焼嵌されない。

    図9に示すように風穴部11bに対応した位置で、回転軸50に切欠き50aを設けることで焼嵌の嵌合強度を低下させることなく、切欠き50aの分だけ冷媒の流路面積を増加させることができる。

    回転軸50に切欠き50aを設けない図4のケースと流路面積を同じにする場合は、回転軸50に切欠き50aを設けた分、風穴部11bの面積を小さくすることができる。

    風穴部11bの面積を小さくすることで、エンドリング32の断面積を増加させることができ、二次抵抗が小さくなり、高効率な誘導電動機100を得ることができる。

    また、図10は切欠き50aを回転軸50の円周方向にねじるように設けたものである。 誘導電動機100の回転子鉄心11aはスキューをかけて積層されることが一般的である。 誘導電動機100は、同期トルク、非同期トルク、振動・騒音等の異常現象があることが知られていて、誘導電動機100の異常現象は、空隙磁束密度中の空間高調波によって起きるものであることは既に述べたが、空隙磁束密度中の空間高調波の中で大きい溝高調波による高調波誘起電圧が回転子11のアルミバー30(二次導体)に誘起しないようにするために、誘導電動機100の回転子鉄心11aはスキューをかけて積層される。

    そのため風穴部11bは積層方向に対して垂直方向に配置されておらず、円周方向にねじるように配置されている。

    回転子鉄心11aのスキュー方向に対応するように、切欠き50aをねじって配置することで、焼嵌の嵌合強度を悪化させることなく、冷媒流路面積を増加させることで高性能な密閉型圧縮機を得ることができる。

    図11に示す誘導電動機100の回転子11は、長穴(略楕円)形状の風穴部11bに対応して、回転軸50の切欠き50aの形状も長穴(略楕円)形状にしたものである。

    一つの長穴(略楕円)形状の風穴部11bと、一つの長穴(略楕円)形状の切欠き50aとで一つの風穴を形成する。 図11のケースでは、三個の風穴が周方向に略等間隔に形成されている。 但し、風穴の個数は三個に限定されるものではない。 風穴の個数、周方向の長さ、半径方向の長さは任意に選択される。

    風穴部11bを長穴形状にすることで、図8の略半円形の風穴部11bと比較すると、全体の風穴面積が同一の場合、長穴(略楕円)形状の風穴部11bは、径方向の寸法を短くすることができ、その分エンドリング32を内径側に拡大することが可能である。

    冷媒の流路である風穴面積が同じ場合、長穴(略楕円)形状の切欠き50aを設けると切欠き深さ(半径方向深さ)が小さくなり、回転軸50の剛性低下を抑制することができる。 そのため回転軸50の強度が低下することなく、信頼性の高い密閉型圧縮機を得ることができる。

    以上のように、図9に示すように風穴部11bに対応した位置で、回転軸50に切欠き50aを設けることで焼嵌の嵌合強度を低下させることなく、切欠き50aの分だけ冷媒の流路面積を増加させることができる。

    また、回転軸50に切欠き50aを設けない図4のケースと流路面積を同じにする場合は、回転軸50に切欠き50aを設けた分、風穴部11bの面積を小さくすることができ、 風穴部11bの面積を小さくすることで、エンドリング32の断面積を増加させることができ、二次抵抗が小さくなり、高効率な誘導電動機100を得ることができる。

    また、回転子鉄心11aのスキュー方向に対応するように、切欠き50aをねじって配置することで、焼嵌の嵌合強度を悪化させることなく、冷媒流路面積を増加させることで高性能な密閉型圧縮機を得ることができる。

    また、風穴部11bを長穴形状にすることで、図8の略半円形の風穴部11bと比較すると、全体の風穴面積が同一の場合、長穴(略楕円)形状の風穴部11bは、径方向の寸法を短くすることができ、その分エンドリング32を内径側に拡大することが可能である。

    また、冷媒の流路である風穴面積が同じ場合、長穴(略楕円)形状の切欠き50aを設けると切欠き深さ(半径方向深さ)が小さくなり、回転軸50の剛性低下を抑制することができる。 そのため回転軸50の強度が低下することなく、信頼性の高い密閉型圧縮機を得ることができる。

    実施の形態3.
    以下、実施の形態3について図面を参照しながら説明する。 図12及び図13は実施の形態3を示す図で、誘導電動機100の回転子11(回転軸50は除く)の平面図である。

    図12において、回転子11の外径寸法をA、回転子11の内径とエンドリング32の内径との距離をBとした場合、回転子11の回転軸穴31に風穴部11bを設けると共に、B<0.1Aとなるように、エンドリング32の内径寸法を内周側に拡大させたものである。

    回転子11を密閉型圧縮機に搭載した場合、回転軸穴31に風穴部11bを設けているため、冷媒の流路が確保されているので高性能な密閉型圧縮機を得ることができる。 また冷凍機油の油上がり量を抑制した信頼性の高い密閉型圧縮機を得ることができる。

    図13において、回転軸穴31に三つの風穴部11b(ここでは長穴(略楕円)形状)を設けたもので、回転軸50の中心と風穴部11bの両端部(回転軸穴31の弧との交点)を結ぶ線のなす角度をα、隣接する二つの風穴部11bの近接側の二つの端部と回転軸50の中心とのなす角度をβとした場合、α+β≒120[度]、かつ2α+β<180[度]としたものである。

    3つの風穴部11bを略等間隔に設けるとα+β≒120[度]となるが、βに対してαが大きくなると、回転軸50と回転子11を焼嵌固定しても嵌合強度が低下してしまう課題がある。

    また、2α+βが180度以上になると、回転軸穴31の中心を通る直線が回転軸穴31の円弧部の二点を通過しなくなる。 即ち、回転軸穴31の中心と回転軸穴31の円弧部を通る直線は、回転軸穴31の円弧部の反対側(180度)では、風穴部11bを通る。 そのため回転軸50との嵌め合い寸法を管理する際に、回転子11の回転軸穴31の内径の測定を容易に行うことが困難になる。

    本実施の形態では、2α+β<180[度]に設定することで回転軸穴31の内径測定が容易になり、回転軸50との嵌め合い寸法の管理が簡単になる誘導電動機100の回転子11を得ることができる。

    実施の形態4.
    以下、実施の形態4について図面を参照しながら説明する。 図14乃至図16は実施の形態4を示す図で、図14は回転式圧縮機300(密閉型圧縮機の一例)の縦断面図、図15および図16は回転式圧縮機300の横断面図である。

    回転式圧縮機300における誘導電動機100の構造以外は公知のものである。 従って、図14を参照しながら一シリンダの回転式圧縮機300の構成を簡単に説明する。

    図14に示すように、回転式圧縮機300は密閉容器4内に、圧縮要素200と電動要素である誘導電動機100と図示しない冷凍機油とを収納している。 冷凍機油は、密閉容器4内の底部に貯留している。 冷凍機油は主に圧縮要素200の摺動部を潤滑する。 密閉容器4は、胴部1と上皿容器2と下皿容器3とから構成される。

    圧縮要素200は、シリンダ5、上軸受6(軸受の一例)、下軸受7(軸受の一例)、回転軸50、ローリングピストン9、吐出マフラ8、ベーン(図示せず)等で構成される。

    内部に圧縮室が形成されるシリンダ5は、外周が平面視略円形で、内部に平面視略円形の空間であるシリンダ室を備える。 シリンダ室は、軸方向両端が開口している。 シリンダ5は、側面視で所定の軸方向の高さを持つ。

    シリンダ5の略円形の空間であるシリンダ室に連通し、半径方向に延びる平行なベーン溝(図示せず)が軸方向に貫通して設けられる。

    また、ベーン溝の背面(外側)に、ベーン溝に連通する平面視略円形の空間である背圧室(図示せず)が設けられる。

    シリンダ5には、冷凍サイクルからの吸入ガスが通る吸入ポート(図示せず)が、シリンダ5の外周面からシリンダ室に貫通している。

    シリンダ5には、略円形の空間であるシリンダ室を形成する円の縁部付近(誘導電動機100側の端面)を切り欠いた吐出ポート(図示せず)が設けられる。

    ローリングピストン9が、シリンダ室内を偏心回転する。 ローリングピストン9はリング状で、ローリングピストン9の内周が回転軸50の偏心軸部50dに摺動自在に嵌合する。

    ベーンがシリンダ5のベーン溝内に収納され、背圧室に設けられるベーンスプリング(図示せず)でベーンが常にローリングピストン9に押し付けられている。 回転式圧縮機300は、密閉容器4内が高圧であるから、運転を開始するとベーンの背面(背圧室側)に密閉容器4内の高圧とシリンダ室の圧力との差圧による力が作用するので、ベーンスプリングは主に回転式圧縮機300の起動時(密閉容器4内とシリンダ室の圧力に差がない状態)に、ベーンをローリングピストン9に押し付ける目的で使用される。

    ベーンの形状は、平たい(周方向の厚さが、径方向及び軸方向の長さよりも小さい)略直方体である。

    上軸受6は、回転軸50の主軸部50b(偏心軸部50dより上の部分)に摺動自在に嵌合するとともに、シリンダ5のシリンダ室(ベーン溝も含む)の一方の端面(誘導電動機100側)を閉塞する。

    上軸受6に、吐出弁(図示せず)が取り付けられる。 上軸受6は、側面視略逆T字状である。

    下軸受7が、回転軸50の副軸部50c(偏心軸部50dより下の部分)に摺動自在に嵌合するとともに、シリンダ5のシリンダ室(ベーン溝も含む)の他方の端面(冷凍機油側)を閉塞する。 下軸受7は、側面視略T字状である。

    上軸受6には、その外側(誘導電動機100側)に吐出マフラ8が取り付けられる。 上軸受6の吐出弁から吐出される高温・高圧の吐出ガスは、一端吐出マフラ8に入り、その後吐出マフラ8の吐出穴8aから密閉容器4内に放出される。

    密閉容器4の横に、冷凍サイクルからの低圧の冷媒ガスを吸入し、液冷媒が戻る場合に液冷媒が直接シリンダ5のシリンダ室に吸入されるのを抑制する吸入マフラ(図示せず)が設けられる。 吸入マフラは、シリンダ5の吸入ポートに吸入管22を介して接続する。 吸入マフラは、溶接等により密閉容器4の側面に固定される。

    圧縮要素200で圧縮された高温・高圧のガス冷媒は、吐出マフラ8の吐出穴8aから誘導電動機100を通過して、吐出管70から外部の冷媒回路(図示せず)へ吐出される。

    図15および図16を用いて、圧縮要素200の一部である吐出穴8aと、誘導電動機100の一部である回転子11の風穴部11bとの位置関係について説明する。 ここでは、吐出マフラ8の吐出穴8aの個数は三個で、回転子11の風穴部11bの個数も三個の場合について説明する。 吐出マフラ8の吐出穴8aは、回転子11の風穴部11bと同様、周方向に略等間隔に配置されている。

    前述のように、圧縮要素200で圧縮されたガス冷媒の一部は、吐出穴8aから風穴部11bを通過するが、ガス冷媒は高圧であるため、流速も速くなっている。 本実施の形態では吐出穴8aと風穴部11bの個数と位置関係を合わせ、更に吐出穴8aから高圧の吐出ガスが吐出されるときに吐出穴8aと風穴部11bとの位置が略一致するようにして、より効果的に風穴部11bから冷媒を通過するようにしたものである。

    誘導電動機100の回転子11が一回転する度に、圧縮要素200では一回の圧縮・吐出が行われるが、吐出穴8aと風穴部11bの位置が略一致したときに、吐出穴8aから高圧の吐出ガスが吐出されるようにする。

    吐出穴8aと風穴部11bの個数と位置関係を合わせ、更に吐出穴8aから高圧の吐出ガスが吐出されるときに吐出穴8aと風穴部11bとの位置が略一致するようにして、より効果的に風穴部11bからガス冷媒を通過させることが可能であり、効率の高い回転式圧縮機300を得ることができる。

    ここでは吐出穴8aと風穴部11bの個数が同じ場合について説明したが、位相が合えば同様の効果が得られるため、それぞれの個数が整数倍の関係、例えば、吐出穴8aが三個で、風穴部11bの個数が六個であっても良い。

    また、ガス冷媒の風穴部11bへの通過量を増加させるためには、吐出穴8aを回転軸50の中心付近に設けることが、より望ましいが、その限りではない。

    実施の形態1を示す図で、誘導電動機100の横断面図。

    実施の形態1を示す図で、アルミバー30を充填した回転子スロット40の横断面図。

    実施の形態1を示す図で、誘導電動機100の回転子11の斜視図。

    実施の形態1を示す図で、誘導電動機100の回転子11の平面図。

    実施の形態1を示す図で、誘導電動機100の回転子鉄心11aの平面図。

    実施の形態1を示す図で、変形例の誘導電動機100の回転子11の平面図。

    実施の形態1を示す図で、変形例の誘導電動機100の回転子鉄心11aの平面図。

    実施の形態2を示す図で、誘導電動機100の回転子11の平面図。

    実施の形態2を示す図で、回転軸50の一部(回転子11の積層方向長さに相当する部分)の斜視図。

    実施の形態2を示す図で、回転軸50の一部(回転子11の積層方向長さに相当する部分)の斜視図。

    実施の形態2を示す図で、誘導電動機100の回転子11の平面図。

    実施の形態3を示す図で、誘導電動機100の回転子11(回転軸50は除く)の平面図。

    実施の形態3を示す図で、誘導電動機100の回転子11(回転軸50は除く)の平面図。

    実施の形態4を示す図で、回転式圧縮機300(密閉型圧縮機の一例)の縦断面図。

    実施の形態4を示す図で、回転式圧縮機300の横断面図。

    実施の形態4を示す図で、回転式圧縮機300の横断面図。

    符号の説明

    1 胴部、2 上皿容器、3 下皿容器、4 密閉容器、5 シリンダ、6 上軸受、7 下軸受、8 吐出マフラ、8a 吐出穴、9 ローリングピストン、11 回転子、11a 回転子鉄心、11b 風穴部、12 固定子、12a 固定子鉄心、12b 固定子スロット、12c 固定子切欠き、20 巻線、20a 補助巻線、20b 主巻線、30 アルミバー、30a 外層アルミバー、30b 内層アルミバー、30c 連結アルミバー、31 回転軸穴、32 エンドリング、40 回転子スロット、40a 外層スロット、 40b 内層スロット、40c 連結スロット、50 回転軸、50a 切欠き、50b 主軸部、50c 副軸部、50d 偏心軸部、60 空隙、70 吐出管、100 誘導電動機、200 圧縮要素、300 回転式圧縮機。

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