Electric pump and fluid-feeding device

申请号 JP2005049553 申请日 2005-02-24 公开(公告)号 JP2006233867A 公开(公告)日 2006-09-07
申请人 Aisin Seiki Co Ltd; アイシン精機株式会社; 发明人 KURITA HIROTAKA; MIYAJI EIJI; NAKAYOSHI HIDEKI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a simply-constituted electric pump provided with the function of preventing a loss of synchronization with reliability and provide a fluid-feeding device provided with the electric pump.
SOLUTION: The electric pump drives a rotor 4 housed in a pump body 1 by a sensorless-brushless motor in order to discharge a fluid, which is drawn in from a suction port 2 provided to the pump body 1, from a discharge port 3. Then the electric pump is provided with the function D of preventing the loss of synchronization of the sensorless-brushless motor. The sensorless-brushless motor refluxes part of the fluid discharged from the discharge port 3 to the suction port 2, or discharges part of the fluid outside of the pump body 1 so that the fluid pressure of the discharge port 3 does not exceed a preset pressure. Then the fluid-feeding device is provided with the electric pump.
COPYRIGHT: (C)2006,JPO&NCIPI
权利要求
  • ポンプ本体に設けた吸引ポートから吸引した流体を吐出ポートから吐出すべく、前記ポンプ本体に収容したロータをセンサレスブラシレスモータで駆動する電動ポンプであって、
    前記吐出ポートから吐出される流体の一部を前記吸引ポートに還流、または、前記ポンプ本体の外部に排出させて、前記吐出ポートの流体圧力が、予め設定した圧力を越えないようにする前記センサレスブラシレスモータの脱調防止機構を備えた電動ポンプ。
  • 前記脱調防止機構が、前記吐出ポートに連通する吐出側開口部、および、前記吸引ポートに連通する吸引側開口部を有するシリンダと、
    付勢部材によって前記吐出側開口部の側に付勢されるピストンとを備えており、
    前記吐出ポートの流体圧力により、前記付勢に抗って前記ピストンが所定の位置を越えて変位したとき、前記吐出側開口部と前記吸引側開口部とが連通するよう構成してある請求項1に記載の電動ポンプ。
  • 流体貯留部から流体を汲み上げる第1ポンプ、および、汲み上げた流体を流体供給先に搬送する第1供給路を備え、当該第1供給路の流体圧力が一定圧以上に高まるのを防止するリリーフ弁を前記第1供給路に備えると共に、
    前記流体貯留部と同一もしくは別に設けた流体貯留部から流体を汲み上げる吸引ポート、および、汲み上げた流体を吐出する吐出ポートを有する電動式の第2ポンプと、汲み上げた流体を、前記第1供給路のうち前記第1ポンプと前記リリーフ弁との間に合流させる第2供給路とを備える流体搬送装置であって、
    前記第2ポンプが、センサレスブラシレスモータで電動駆動するロータを有するとともに、前記吐出ポートから吐出される流体の一部を前記吸引ポートに還流、または、前記第2ポンプの外部に排出させて、前記吐出ポートの流体圧力が、前記リリーフ弁の作動圧力よりも低い値として予め設定した圧力を越えないようにする前記センサレスブラシレスモータの脱調防止機構を有する流体供給装置。
  • 说明书全文

    本発明は、ポンプ本体に設けた吸引ポートから吸引した流体を吐出ポートから吐出すべく、前記ポンプ本体に収容したロータをセンサレスブラシレスモータで駆動する電動ポンプ、および、当該電動ポンプを用いて構成する流体供給装置に関する。

    従来、流体を搬送する電動ポンプは、例えば、自動車のCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速装置)や、パワーステアリング装置等の油圧駆動部に作動オイルを供給するため等に用いられる。
    このうち、例えばCVTでは、油圧駆動するために機械式の第1ポンプと電動式の第2ポンプとを備えたものがある。 ここでは、エンジンの回転数が所定速度以上の場合には、機械式の第1ポンプのみが自動変速機に作動オイルを供給する。 一方、エンジンの回転数が所定速度未満の場合には、第1ポンプによるオイル吐出量の不足を補うために、電動式の第2ポンプが自動変速機に作動オイルを供給する。 また、エンジンが停止している場合には、第2ポンプのみがCVTに作動オイルを供給する。

    車両のCVTに用いる電動ポンプは、エンジンに付設して高温環境下で用いられ、また、雨等の水が付着する過酷な湿潤環境下で用いられる。 この場合に発生する熱によるモータブラシの摩耗の問題や、耐水性の問題を解消するには、例えば、モータのタイプをブラシレスモータにすることが考えられる。
    ただし、ブラシレスモータは、回転子の位置を検出するためのセンサが必要であり、やはり、当該センサの耐久性が問題となる。 このため、従来技術にあっては、例えば、CVTの補助油圧供給装置としてセンサレスブラシレスモータを用いるものがあった。 (特許文献1〔0017〕乃至〔2000〕段落参照)。

    このセンサレスブラシレスモータには、永久磁石タイプの小型同期電動機が用いられている。 ドライバにはインバータを備えており、バッテリからの直流電を交流電力に変えてモータに入力する。 与えられる交流電力の電圧が一定であれば、周波数が上昇すると、モータの電流位相は進む。 また、与えられる電圧および周波数が一定の状態で、例えばポンプによるオイル供給量が増大して負荷が上昇するとモータの電流位相は進む。 センサレスブラシレスモータでは、この関係を利用してモータを周波数制御する。

    一般的なセンサレスブラシレスモータでは、回転子の角度位置を検知するために、モータの逆起電力を回転子の位置信号として利用する。 つまり、モータに対して、ドライバからまず低い周波数の駆動電力を加える。 これにより回転子の引き込みを行い、モータの回転を開始させる。 モータが回転を始めると、回転数に同期して回転子に逆起電力が生じる。 この逆起電力の波形から回転子の角度位置を検知する。 この逆起電力の波形から回転子の回転周波数を検出し、初期の回転数となるように電流を制御する。 センサレスブラシレスモータとしては、このようなモータを用いることができる。

    ただし、以下のような、さらに改良を加えたセンサレスブラシレスモータを用いる場合もあった。 上記一般の角度位置検出手法では、回転子に与える駆動電力が方形波でなければならない。 よって、駆動電力が正弦波の場合には回転子の逆起電力を検知することができない。 一方、モータにとっては方形波の電圧制御よりも正弦波の電流制御の方が効率その他の特性上の点で望ましい。 そこで、モータの回転子の位置検出は行わず、ドライバからモータに正弦波の電力を加え、そのときの電圧と電流の位相差を検出してその差が零になるように周波数を制御し、かつ、その周波数が設定された値になるように電流を制御するモータを用いることも可能である。

    特開2002-27776号公報

    しかしながら、上記従来のセンサレスブラシレスモータは、モータの負荷が小さい場合には回転数の制御は安定するものの、負荷が増大した場合には、モータの回転が脱調したり、回転が停止するおそれがある。

    例えば、エンジンを停止した際に、CVTの状態を所定の状態に戻す等のために、補助の電動ポンプによって作動オイルを引き続きCVTに供給したい場合がある。 エンジンが停止すると、CVTに対する作動オイルの供給圧力が低下し、供給経路中に存在する作動オイルがオイルパンの側に戻り始める。 そのため、エンジンを停止したのち速やかに電動ポンプによってCVTに作動オイルを供給する必要がある。 ただし、電動ポンプによる作動オイルの供給が、エンジン停止直後のあまりにも早い時期であると、供給経路中には十分な量の作動オイルが残存しており、電動ポンプの吐出ポートの圧力が十分に高い状態を維持している場合がある。 このような場合に、電動ポンプの運転を開始しようとしても、ロータが吐出ポートからの抵抗を受けて、その回転速度が上がらず、脱調を起こしたり、回転始動そのものが出来ない場合がある。

    また、モータの回転が安定している状態で、電動ポンプの吐出側ポートの圧力が上昇した場合には、回転子の回転速度は減速する。 しかし、電流制御を行っているセンサレスブラシレスモータでは、回転速度を高めようとしてさらに電流値を大きく制御する。 この結果、回転子の回転速度と制御電流値とのズレが広がり、モータの脱調の程度が増大する。 これに伴ってモータの発熱が増加し、故障等の原因になる。

    このような不具合を解消するためには、例えば、電動ポンプの吐出ポートに圧力センサを設け、作動オイルの圧力が低下したことを確認して電動ポンプを起動することも考えられる。 しかしながら、別途新たなセンサを設けることは、CVTの構造を複雑にする上に、電動ポンプの製作工数を増大させ、生産コストの上昇を招く等好ましくない。

    そこで、本発明は上記実状に鑑み、簡便な構成でありながら、脱調防止を確実に行える機能を備えた電動ポンプ、および、当該電動ポンプを備えた流体供給装置を提供することを目的とする。

    (特徴構成1)
    本発明の電動ポンプは、ポンプ本体に設けた吸引ポートから吸引した流体を吐出ポートから吐出すべく、前記ポンプ本体に収容したロータをセンサレスブラシレスモータで駆動するものであって、前記吐出ポートから吐出される流体の一部を前記吸引ポートに還流、または、前記ポンプ本体の外部に排出させて、前記吐出ポートの流体圧力が、予め設定した圧力を越えないようにする前記センサレスブラシレスモータの脱調防止機構を備えた点に特徴を有する。

    (作用効果)
    本構成のごとく、センサレスブラシレスモータを用いることで、高温環境下あるいは湿潤環境下においても耐久性を有する電動ポンプを得ることができる。
    また、センサレスブラシレスモータは、回転子と誘導回路とが非接触であり、吐出ポートの流体圧力の増大に伴って脱調が生じ易い。 しかし、吐出ポートの流体の一部を吸引ポートに還流させるか、ポンプ本体の外部に排出する本構成であれば、吐出ポートの流体圧力を初期の範囲に設定することができる。 この結果、センサレスブラシレスモータの脱調を有効に防止でき、オイルの供給安定性に優れた電動ポンプを得ることができる。

    (特徴構成2)
    本発明の電動ポンプとしては、前記脱調防止機構が、前記吐出ポートに連通する吐出側開口部、および、前記吸引ポートに連通する吸引側開口部を有するシリンダと、付勢部材によって前記吐出側開口部の側に付勢されるピストンとを備えており、前記吐出ポートの流体圧力により、前記付勢に抗って前記ピストンが所定の位置を越えて変位したとき、前記吐出側開口部と前記吸引側開口部とが連通するよう構成することができる。

    (作用効果)
    本構成のごとく、脱調防止機構を、主にシリンダとピストン・付勢部材によって構成することで、特別な圧力センサを別途設けなくとも、付勢部材の付勢力のみを利用するだけで、吐出ポートの流体圧力の増大を抑制することができる。
    また、当該機構の構造が、付勢部材の付勢力と、吐出ポートの流体圧力との釣り合いでピストンの位置を決定するという簡便なものであるため、脱調防止機構として信頼性の高い装置を得ることができる。
    さらに、吐出ポートの流体を還流させる流体圧力の設定は、例えば、付勢部材を弾性係数の異なるものに変更することで容易に修正することができるため、適用範囲の広い電動ポンプを提供することができる。

    (特徴構成3)
    本発明は、上記電動ポンプを用いて流体供給装置を構成することもできる。
    すなわち、当該流体供給装置は、流体貯留部から流体を汲み上げる第1ポンプ、および、汲み上げた流体を流体供給先に搬送する第1供給路を備え、当該第1供給路の流体圧力が一定圧以上に高まるのを防止するリリーフ弁を前記第1供給路に備えると共に、前記流体貯留部と同一もしくは別に設けた流体貯留部から流体を汲み上げる吸引ポート、および、汲み上げた流体を吐出する吐出ポートを有する電動式の第2ポンプと、汲み上げた流体を、前記第1供給路のうち前記第1ポンプと前記リリーフ弁との間に合流させる第2供給路とを備え、前記第2ポンプが、センサレスブラシレスモータで電動駆動するロータを有するとともに、前記吐出ポートから吐出される流体の一部を前記吸引ポートに還流、または、前記第2ポンプの外部に排出させて、前記吐出ポートの流体圧力が、前記リリーフ弁の作動圧力よりも低い値として予め設定した圧力を越えないようにする前記センサレスブラシレスモータの脱調防止機構を有する点に特徴を有する。

    (作用効果)
    本構成のごとく、第2ポンプとして脱調防止機構を備えたセンサレスブラシレスモータを用い、第1ポンプによる流体供給に加えて当該第2ポンプによっても流体を供給できる構成にしておけば、過酷な使用環境下で使用可能な流体補助供給機能を備えた流体供給装置を得ることができる。 このとき、主たる流体供給装置である第1ポンプによる流体供給圧力と、従たる流体供給装置である第2ポンプによる流体供給圧力との間に大きな差が存在する場合でも、センサレスブラシレスモータの脱調し易いといった問題を解決した第2ポンプを用いることで、第2ポンプの運転に際して、ロータは確実に回転開始することが出来る。 また、一旦回転を始めたロータはその回転状態を確実に維持するから、作動安定性に優れた流体供給装置を得ることができる。

    (概要)
    本発明の装置は、ポンプ本体1に設けた吸引ポート2から吸引した流体を吐出ポート3から吐出すべく、前記ポンプ本体1に収容したロータ4をセンサレスブラシレスモータで駆動する電動ポンプ、および、当該電動ポンプを用いた流体供給装置に関するものである。
    以下、本発明の電動ポンプについて図面に基づいて説明する。

    図1は、本発明の電動ポンプについて、その回転軸心Xを含む平面で切断した断面図である。 図2は、当該電動ポンプを用いた流体供給装置の一実施例として、車両のCVTに作動オイルを供給するオイル供給装置を示す図である。 図3は、当該電動ポンプの特性を示す図である。 以下、本件発明につき、車両のCVTに適用した例に基づいて説明する。

    (電動ポンプ)
    当該電動ポンプのポンプ本体1は、第1ハウジング1aおよび第2ハウジング1b、第3ハウジング1cによって形成される。 第1ハウジング1aには、ロータ4を回転させるモータ5および当該モータ5を制御する制御手段6を設けてある。 ロータ4を構成する回転軸7の一端側には、回転子8を設けてある。 この回転子8の外周には永久磁石8aを取り付けてある。 当該回転子8は第1ハウジング1aの凹部9に挿入され、この回転子8を包囲して誘導コイル10が配置してある。 当該モータ5は、この回転子8をセンサレスブラシレスで回転させる周知のモータである。

    前記第1ハウジング1aに対し、前記回転軸7の延出方向に隣接して第2ハウジング1bを接続してある。 第2ハウジング1bには、インナーロータ41およびアウターロータ42を備えたポンプ機構が設けてある。 インナーロータ41は外歯車を有しており、前記回転軸7の他端側に嵌合してある。 このインナーロータ41に対し、内歯車を有するアウターロータ42が偏心しつつ噛合している。 これにより、前記外歯車と前記内歯車との間に偏って形成される空間11が周知のポンプ室を形成する。 第2ハウジング1bには、当該空間11に連通する吸引ポート2および吐出ポート3が形成してある。

    前記第2ハウジング1bに対し、さらに前記回転軸7の延出方向に隣接して第3ハウジング1cが連接してある。 前記第1ハウジング1a乃至第3ハウジング1cは、連結ボルト12によって接続されている。 第3ハウジング1cには、前記吐出ポート3からの流体の吐出圧力を調節してロータ4の回転を適切に維持する脱調防止機構Dを設けてある。 ここで用いるセンサレスブラシレスモータは回転子8と誘導コイル10とが非接触である。 よって、ロータ4が受ける流体抵抗が増大すると回転子8と誘導コイル10とが脱調する場合がある。

    図3に、センサレスブラシレスモータを運転した場合の吐出圧力と流体流量との関係を示す。 横軸に流体の吐出圧力をとり、縦軸に流体の流量をとる。 図中A線で示すように、圧力の増大に伴って流体流量は直線的に低下する。 つまり、吐出ポート3における流体圧力が増大することは、即ち流体を吐出する際の抵抗が増大することであるから、必然的に吐出流量が低下する。 当該モータ5は、電流制御を行っており、吐出圧力の増大に伴って回転子8の回転速度が低下すると、制御手段6は、回転子8の回転速度を高めるべく誘導コイル10に印加する電流値を増加する。 この結果、回転子8の回転には脱調の傾向が現れ始める。 しかし、直ちに回転子8およびロータ4の回転が停止することはなく、回転子8およびロータ4の回転速度はある程度維持され、図3において吐出圧力と流体流量との作動点がA線に沿って右方向に移動する。 しかしながら、圧力がPcに達すると、脱調の程度が過大となって回転子8およびロータ4の回転を維持できなくなり、これらが停止する。

    このような不都合を解消するために、本発明の電動ポンプでは、吐出ポート3の圧力の高まりを抑制する脱調防止機構Dを設けてある。 具体的には、図1に示すごとく、前記吐出ポート3に連通する吐出側開口部13と、前記吸引ポート2に連通する吸引側開口部14とを有するシリンダ15を前記第3ハウジング1cに形成する。 当該シリンダ15の延出方向は、前記回転軸7の延出方向に対して略直角である。 このような配置にすることで、第2ハウジング1bに設けた吐出ポート3と吸引ポート2とを前記シリンダ15を介して無理なく連結できるとともに、第3ハウジング1cが前記回転軸7の延出方向に大きく突出することが無いため、電動モータをコンパクトに構成することができる。

    前記吐出側開口部13は、前記シリンダ15の長手方向の端部底部に形成してある。 一方、前記吸引側開口部14は、前記シリンダ15の側壁に形成してある。 当該シリンダ15の内部に配置するピストン16には、当該ピストン16の内部を貫通する連絡通路17を形成してある。 この連絡通路17の一方は、ピストン16のうち、前記吐出側開口部13の側に向く頂部に開口している。 前記連絡通路17の他方は、ピストン16の外周面であって、周方向に沿った4箇所に均等に開口している。 4箇所に開口を設けることで、仮にピストン16が作動中に回転した場合でも何れかの吸引側開口部14が吸引ポート2に連通することができる。

    ピストン16は、コイルスプリングによって前記吐出側開口部13の側に常に付勢される。 吐出ポート3の流体圧力がそれ程上昇していない常時においては、ピストン16は吐出側開口部13に当接する(図1(a))。 吐出ポート3の流体圧力が上昇すると、ピストン16は、付勢部材18であるコイルスプリング18aの付勢力に抗って吐出側開口部13とは反対側に押し込まれる。 この結果、ピストン16の外周面に形成した前記連絡通路17の吸引側開口部14が吸引ポート2に連通する(図1(b))。 吐出ポート3の内部の流体は、この位置よりも低圧の吸引ポート2に還流し、吐出ポート3の圧力が減少する。 吐出ポート3の流体圧力が低下する結果、前記ロータ4の回転を妨げる抵抗が減り、ロータ4の回転が適切に維持される。

    電動ポンプの運転中に吐出ポート3の圧力が上昇すると、図3に示したごとく、圧力と流量との作動点は直線A上を右方向に移動する。 しかし、上記脱調防止機構Dを設けることで、圧力がある程度高まった時点で前記ピストン16が押し込まれる。 図3で明らかなごとく、圧力がPaになった時点で作動点はB線に沿って下降する。 つまり、前記吐出ポート3と前記吸引ポート2とが連通したときの吐出圧力がPaである。 吐出圧力がPaを越えた後も更に上昇する場合には、前記ピストン16も更に押し込まれる。 この結果、流体の吐出圧力が漸増し、Pbに達したとき流体流量がゼロになる。 つまり、ロータ4で吐出された流体が全て吸引ポート2に還流し、所謂電動ポンプが空回りする状態となる。 この圧力Pbは、ロータ4が脱調しない吐出圧力の範囲において予め設定しておく。 具体的には、ピストン16の断面積や、コイルスプリング18aの付勢力等に基いて決定される。 例えば、各種の弾性係数を有するコイルスプリング18aを交換することで、圧力Pbは所定の値に設定することができる。 図1に示すごとく当該コイルスプリング18aは栓ボルト19を取り外すだけで極めて容易に交換することができる。

    脱調防止機構Dをこのように構成すれば、特別な圧力センサを別途設けなくとも、付勢部材18の付勢力のみを利用するだけで、吐出ポート3の圧力変動に対処することができる。 つまり、電動ポンプの作動限界を超える負荷が発生するのを防止できるため、センサレスブラシレスモータが脱調するのを確実に防止することができる。 また、ピストン16を作動させる流体圧力は、例えば付勢部材18の付勢力を適宜調節することで最適な値に設定できるから、当該電動ポンプの適用範囲を広げることができる。

    尚、脱調防止機構Dは、上記のごとく吐出ポート3の流体が吸引ポート2に還流するものには限られない。 例えば、吐出ポート3の流体をポンプ本体1の外部に排出し、別途設けた流体の貯留部に戻す構成等を採用することもできる。

    また、脱調防止機構Dは、上記のごとくピストン16とシリンダ15とを用いるスプールタイプのものには限られない。 例えばこの他に、揺動する弁体を用いるものや、ボールタイプのチェック弁を用いるものなど各種のリリーフ機能を備えた機構を用いることができる。 要するに、吐出ポート3の流体圧力の高まりに応じて吐出ポート3の流体を吸引ポート2に還流させたり、あるいは、吐出ポート3とポンプ本体1の外部とを連通して流体を排出できるものであれば何れの機構を用いても良い。

    (オイル供給装置)
    図2には、本発明の電動ポンプをCVTの作動オイル供給装置に用いた例を示す。
    当該作動オイル供給装置は、まず、流体貯留部20としてのオイル貯留部20aからオイルを汲み上げる第1ポンプP1、および、汲み上げたオイルをオイル供給先であるCVTに搬送する第1供給路R1を備える。 当該第1ポンプP1は、エンジンのクランク軸等の回転力を利用する機械式のポンプである。 当該第1供給路R1には、オイルの圧力が一定圧以上に高まるのを防止するリリーフ弁21を設けてある。

    これら第1ポンプP1および第1供給路R1に並行して、前記オイル貯留部20aと同一もしくは別に設けたオイル貯留部20aからオイルを汲み上げる第2ポンプP2、および、一方向弁22を有する第2供給路R2を設ける。 当該第2ポンプP2は、上述の脱調防止機構Dを備えたセンサレスブラシレスモータを用いている。 また、第2供給路R2は、前記第1供給路R1のうち前記第1ポンプP1と前記リリーフ弁21との間に合流させる。

    当該第2ポンプP2は、例えば、エンジンが停止した段階で、CVTに作動オイルを供給したい場合などに用いる。 そのためには、エンジンが停止すると直ちに作動オイルを供給する必要がある。 しかし、エンジンが停止した直後は、第1供給路R1のオイル圧がまだ高い状態にある。 この状態で第2ポンプP2を作動させようとすると、吐出ポート3の油圧が十分に高く、第2ポンプP2の始動に対する抵抗となって、ロータ4の回転が開始されないか、脱調する等の不都合が生じる。
    そこで、本構成のごとく、吐出ポート3の油圧が高い状態では、吐出ポート3と吸引ポート2とを連通させ、あるいは、吐出ポート3と第2ポンプP2の外部とを連通させて、吐出ポート3の圧力を下げることで、ロータ4の回転状態が健全に維持されるのである。

    当該オイル供給装置では、オイル圧力の高まりを解消する手段として第1供給路R1に設けたリリーフ弁21と、第2供給路R2に設けた脱調防止機構Dとがある。 ただし、これら二つの手段の機能は全く異なる。
    前記リリーフ弁21は、オイル供給先であるCVTに対して過剰な圧力のオイル供給を防止する機能を有する。 第1ポンプP1は機械式ポンプであるため、高い圧力のオイルを容易に供給することができる。 ただし、オイル供給先の駆動機構によっては、必ずしも高い圧力のオイルが必要とは限らない。 このため、最適な圧力のオイルを供給するために前記リリーフ弁21を設けている。
    尚、第2供給路R2に設けた一方向弁22の作用により、第1ポンプP1が稼動している最中に、高圧のオイルが第2ポンプP2の側に逆流することはない。

    これに対し、前記第2ポンプP2に設けた脱調防止機構Dは、オイルの油圧による過負荷を抑制してロータ4の回転を維持するために設けたものである。 第2ポンプP2は、第1ポンプP1が停止した場合や、供給するオイルが低温状態にあるときなど、第1ポンプP1のオイル供給を補助し、あるいは、第1ポンプP1に代わってCVTにオイルを供給するものである。 しかし、第2ポンプP2の運転開始タイミングによっては、第1供給路R1に存在するオイル圧力が過大で、第2ポンプP2の運転開始が不可能であったり、運転中であってもモータが脱調する等の不都合が生じ易い。 このため、第2ポンプP2の適切な作動開始タイミングを図ることが非常に重要となる。 しかしながら、そのようなタイミングを図ることは別途センサを設ける必要があるなど容易ではなかった。
    このような脱調防止機構Dを備えたセンサレスブラシレスモータを用いて構成した当該オイル供給装置は、脱調の問題等を解決しつつ、様々な環境下で使用することが出来、従来のオイル供給装置に比べて、簡便な構成でありながら、作動安定性に優れた装置とすることができる。

    本発明に係る電動ポンプの構成を示す断面図

    本発明の電動ポンプを用いた流体供給装置の構成を示す模式図

    本発明に係る電動ポンプの動作特性を説明するグラフ

    符号の説明

    1 ポンプ本体 2 吸引ポート 3 吐出ポート 4 ロータ 13 吐出側開口部 14 吸引側開口部 15 シリンダ 16 ピストン 18 付勢部材 20 流体貯留部 21 リリーフ弁 D 脱調防止機構 P1 第1ポンプ P2 第2ポンプ R1 第1供給路 R2 第2供給路

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