【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、液体リングポンプに係り、更に詳細には、液体リングポンプの有する回転ハウジングの支持構造に関する。 【0002】 【従来の技術】回転ハウジングを有する液体リングポンプは、例えばスチュアート(Stewart)の米国特許第1,6 68,532 号公報およびコールスマン(kollsman)の米国特許第2,453,375 号公報等の資料に開示されるように公知である。 これらのポンプにおいては、円周方向へ離間されそして半径方向および軸方向へ延在する複数のブレードが中空環状のハウジング内に配置されている。 ロータは、その長手方向軸線周りを回転する。 ロータの軸線は、ハウジングの長手方向軸線に平行するがこれから側方へ偏位されている。 ハウジングは、ハウジング軸線周りを回転可能である。 ハウジングは、所定量のポンピング液(通常は水)を内臓する。 ロータが回転すると、ロータブレードがポンピング液に係合してこれをハウジング内で循環中空環状対、すなわちリングに形成する。 ロータとハウジングは偏心しているので、円周方向に隣接する2つのロータブレード間の全ての液体リングは、その半径方向内面を、ロータの回転に際してこのロータ軸に対して交互に近付けおよび遠ざけられる。 液体リングの内面がロータ軸から遠ざけられる領域では、ポンプは、ガスを、円周方向に隣接するロータブレードと液体リングの内面が画定する膨脹容積部内へと吸引することができる。 液体リングの内面がロータ軸へ近付けられる領域では、ポンプは、ガスを、隣接するロータブレードと液体リングの内面が画定する収縮容積部内に圧縮することができる。 ガスは、前記容積部、すなわちポンプ室が膨脹する領域でポンプへ導入される。 圧縮されたガスは、前記容積部、すなわちポンプ室が所要量だけ収縮される領域でポンプから吐出される。 固定ハウジングに代えて回転ハウジングを設ける主な理由は、回転液体とハウジング間の液体摩擦損失を低減することである。 【0003】全体を回転させるハウジングの代案として、ハウジングの内部に回転ライナを備えた固定ハウジングからなる液体リングポンプが知られている。 この種の構造は、例えば、ドイツ国特許第583,533 号公報およびロシヤ国発明者証第1,035,290 、1,038,583 、1,040, 221 、1,523,727 号公報等に開示されている。 回転ライナは、回転液体とハウジング間の液体摩擦損失を低減するよう作用する。 【0004】この種のライナをハウジングに回転可能に支持する装置は、種々公知である。 例えば、ボール軸受を使用することが、ドイツ国特許第587,533 号公報およびロシヤ国発明者証第1,035,290 、1,523,727 号公報等に開示されるように公知である。 また、液体軸受を使用することは例えばハービック(Haavik)の米国特許第5,10 0,300 号公報に開示されるように、ガス軸受を使用することはハービックの米国特許第5,295,794 号公報に開示されるように、それぞれ公知である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら形式の各ライナ軸受構造は、ある種の適用においてそれぞれ何等かの不利を有する。 例えば、ボール軸受は、比較的小さい軸受面積しか有しないので、ライナの表面に接触すると−これらライナが比較的高価且つ高級な材料から形成されていない限り−、比較的高い応力と高い摩耗率とを発生する。 一方、液体およびガス軸受は、ライナとハウジング間にかなり精密な制御間隙を必要とする。 このため、ポンプの製造コストが上昇する。 更に、 この種の構造は、液体またはガス軸受媒体の汚染にかなり敏感である。 このため、軸受媒体が汚染すると、ライナの回転が停止する。 【0006】また、回転ハウジングを支持する公知の構造も、同じく種々の不利を有する。 ハウジング支持装置の最も一般的な形式は、スチュアートの米国特許第1,66 8,532 号公報に開示される形式の軸受であり、そしてこの軸受は、ハウジングの本体から軸線方向に離間されている。 この種の軸受は、その保守が、一般にポンプを停止しそして実質的に分解することなしには、困難または不可能である。 このことは、液体リングポンプは多くの場合極めて長期に亘る中断されない作動を要求される(例えば、製紙機械等のような別の複雑且つ高価な操作の維持において、前記操作は、液体リングポンプの保守のために中断されるべきではかい)ことから、不都合である。 コールスマンの米国特許第2,453,375 号公報には、更に特異な回転ハウジング支持構造が開示されている。 これにおいては、回転ハウジングは可撓性ベルトまたは離間された一対のローラで支持されている。 しかるにこのような支持構造においても、また、ポンプを停止することなしには修理または交換が不可能である。 【0007】前述のことから、本発明の1つの目的は、 液体リングポンプの回転ハウジングに対する改良された支持構造を提供することにある。 【0008】更に詳細には、本発明の目的は、液体リングポンプの回転ハウジングに対する支持構造であって、 ポンプを停止または実質的に解体することなく容易に保守する(種々の軸受要素の修理および交換を含み)ことができる支持構造を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の前記およびその他の目的は、液体リングポンプの回転ハウジング周りに、固定支持構造−この支持構造は、ハウジングの実質的円筒状の表面に回転接触する比較的多数のローラを回転可能に支持している−を、本発明の原理に従い設けることにより達成される。 ローラは、円筒状ハウジング表面の軸線方向に沿い且つ円周方向周りに分散されている。 各ローラは、支持構造上に、この支持構造からハウジングの半径方向外側へ取外されるよう装着されている。 ローラの数および配置は、これらローラのいずれの1つでも、ポンプを停止する、すなわちハウジングの回転を停止することなく、(例えば、修理或いは交換のために)取外されるよう構成されている。 いずれか1つのローラが取外されている間は、残余のローラがハウジングを完全に支持し続ける。 【0010】本発明の更に別の特徴、並びにその性質および種々の利点は、添付図面および好適実施例に関する以下の詳細説明から更に明らかになるであろう。 【0011】 【実施例】先ず、回転ハウジングを有する液体リングポンプは広く公知であり、従ってこの種の装置の定型的な構造および作動を詳細に図示或いは説明することは不要である。 前述した先行技術文献はこれらの情報にも参照されるので、前記文献はここでもその目的のために利用される。 そこでここでは、本発明を理解するに必要な構造のみが、添付図面を参照しながら説明される。 【0012】図1および図2に示す例示的実施例において、液体リングポンプの回転ハウジングの実質的な円筒状表面が参照符号10で示されている。 ハウジング表面10は、固定環状の支持構造20により囲繞されている。 本実施例においては、支持構造20は中空円筒状の部材から形成されているが、この支持構造は、代案としてその他多くの形状をとりうることは理解されるであろう。 【0013】支持構造20は、その内側円筒面から外側円筒面へ貫通延在する比較的多数の穴部22を有する。 穴部22は、支持構造20に関してその軸方向および円周方向へ分散されている(支持構造20の“軸線”すなわち“長手方向軸線”は参照符号24で示され、そしてハウジング表面10の回転軸線に合致されている)。 図1および図2に示す特定実施例においては、穴部22 は、支持構造20上に、それぞれ4つの穴部からなる8 つの軸方向延在列として配置されている。 これら8列の穴部22は、支持構造20の円周周りに等距離で離間されている。 なお、より多数の別の穴部22或いはより多数の別配列の穴部22が可能であることは、勿論理解されるであろう。 例えば、図1および図2においては複数列内の穴部が全て支持構造20の周囲に整列されているが、これらの整列は、穴部をハウジング表面10上により広く分散させるために、互いに軸線方向へ偏位させることができる。 【0014】ローラ30が、各穴部22内において支持構造20上に回転可能に装着されている。 全てのローラ30の回転軸は、軸線24と実質的に平行している。 各ローラ30は実質的に円筒状の軸受表面32を有し、そしてこれらは、ハウジング表面10と回転接触している。 従って、ローラ30は、ハウジング表面10を支持構造20に関してその軸線24周りに回転するよう支持している。 【0015】各ローラ30は、軸34上に(例えば、ローラと軸間におけるローラ或いはボール軸受(図示せず)を介して)回転可能に装着されている。 各軸34のそれぞれの軸端部は、装着ブロック40内へ延在されている。 各装着ブロック40は、支持構造20の表面に(例えば、各装着ブロック40を貫通して支持構造20 内へ延在する一対のボルト42を介して)取外し可能に固定されている。 【0016】前述したことから、液体リングポンプが作動している間に、従ってまたポンプハウジング表面10 が軸24周りに回転している間に、ローラ30はそのいずれの1つでも(このローラの、例えば保守、修理或いは交換のために)ポンプ構造から取外され得ることは明らかであろう。 ハウジング表面10の回転支持を持続するためには、適宜に分散された十分に多数の別のローラ30が配置されている。 ローラ30は、そのいずれでも、ボルト42を関連装着ブロック40から取外すことにより、支持構造20から半径方向外側へ取外されることができる。 このように、ローラ30を半径方向外側へ取外せることにより、このローラの取外しを、ポンプ作動を中断或いは妨害することなく行うことが可能となる。 取外されたローラ(或いは、その交換ローラ)は、 いずれも、ローラ取外し操作を逆操作することによりポンプ上に再装着されることができる。 これもまた、ポンプ作動を何等妨害することなく行うことができる。 【0017】前述したことは、本発明の原理を例示するものに過ぎず、種々の変更が、本発明の範囲および精神を逸脱することなく同業者に可能であることは理解されるであろう。 例えば、ローラの数或いはローラの軸線および角度方向配置等のパラメータは、液体リングポンプの形式或いはハウジングの支持構造に対する負荷荷重等のファクタによって変更することができる。 本発明の範囲内の別の変更態様として、ローラ30は、図1および図2に示す特定方法とは別の方法で支持構造20上に取外し可能に装着することができる。 例えば、関連軸34 に軸支する代わりに、この軸に各ローラを固定し、そしてこの軸の軸線方向端縁部を関連装着ブロック40に軸支することができる。 【0018】 【発明の効果】前述した本発明による液体リングポンプの回転ハウジングに対する支持装置によれば、ポンプを停止または解体することなく、軸受要素の修理および交換等の保守を容易に達成することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る液体リングポンプの回転ハウジングに対する支持装置の一実施例を示す要部側面図である。 【図2】図1の2−2線に沿う要部断面図である。 【符号の説明】 10 ハウジング表面 20 支持構造 22 穴部 24 軸線 30 ローラ 32 軸受表面 34 軸 40 装着ブロック 42 ボルト フロントページの続き (72)発明者 クリストファー デー ボクザー アメリカ合衆国、コネチカット 06854、 ノーウォーク、トルーマン ストリート 43番 |