特に排ガス浄化添加剤を圧送するための液体圧送用ポンプ

申请号 JP2016557920 申请日 2015-03-18 公开(公告)号 JP2017514054A 公开(公告)日 2017-06-01
申请人 コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングContinental Automotive GmbH; コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングContinental Automotive GmbH; 发明人 ホジソン ヤン; ホジソン ヤン; マギン ジョルジュ; マギン ジョルジュ; コップ イヴ; コップ イヴ;
摘要 液体圧送用ポンプ(1)であって、少なくとも1つの入口(3)と、少なくとも1つの出口(4)と、回転対称的な内周面(13)と、幾何学上の軸線(23)とを有する少なくとも1つのポンプケーシング(2)を備え、ポンプケーシング(2)内には偏心体(5)が配置されており、偏心体(5)は、幾何学上の軸線(23)を中心として、ポンプケーシング(2)に対して相対回動可能であり、ポンプケーシング(2)の内周面(13)と、偏心体(5)の外面(6)との間のポンプギャップ(11)には、変形可能な部材(7)が配置されており、変形可能な部材(7)とポンプケーシング(2)の内周面(13)とによって、少なくとも1つの入口(3)から少なくとも1つの出口(4)まで圧送通路(8)が形成されており、変形可能な部材(7)は、偏心体(5)の外面(6)によって、ポンプケーシング(2)に部分的に押し付けられ、これにより、圧送通路(8)の少なくとも1つの移動可能なシール(9)と、液体を圧送するために圧送通路(8)に沿った偏心体(5)の回動によって入口(3)から出口(4)まで移動可能な少なくとも1つの閉じられたポンプ容積(10)とが、圧送通路(8)内に形成されるようになっており、変形可能な部材(7)は、幾何学上の軸線(23)の方向の片側又は両側に、変形可能な部材(7)に 接触 する偏心体(5)の外面(6)を越えて突出する突出部(20)を有していると共に、少なくとも1つの突出部(20)の内側に、センタリングリング(16)を有している。
权利要求

液体圧送用ポンプ(1)であって、少なくとも1つの入口(3)と、少なくとも1つの出口(4)と、回転対称的な内周面(13)と、幾何学上の軸線(23)とを有する少なくとも1つのポンプケーシング(2)を備え、該ポンプケーシング(2)内には偏心体(5)が配置されており、該偏心体(5)は、前記幾何学上の軸線(23)を中心として、前記ポンプケーシング(2)に対して相対回動可能であり、前記ポンプケーシング(2)の前記内周面(13)と前記偏心体(5)の外面(6)との間のポンプギャップ(11)には、変形可能な部材(7)が配置されており、該変形可能な部材(7)と前記ポンプケーシング(2)の前記内周面(13)とによって、前記少なくとも1つの入口(3)から前記少なくとも1つの出口(4)まで圧送通路(8)が形成されており、前記変形可能な部材(7)は、前記偏心体(5)の前記外面(6)によって、前記ポンプケーシング(2)に部分的に押し付けられ、これにより、前記圧送通路(8)の少なくとも1つの移動可能なシール(9)と、液体を圧送するために前記圧送通路(8)に沿った前記偏心体(5)の回動によって前記入口(3)から前記出口(4)まで移動可能な少なくとも1つの閉じられたポンプ容積(10)とが、前記圧送通路(8)内に形成されるようになっており、前記変形可能な部材(7)は、前記幾何学上の軸線(23)の方向の片側又は両側に、前記変形可能な部材(7)に接触する前記偏心体(5)の前記外面(6)を越えて突出する突出部(20)を有していると共に、少なくとも1つの前記突出部(20)の内側に、センタリングリング(16)を有していることを特徴とする、液体圧送用ポンプ(1)。前記少なくとも1つのセンタリングリング(16)は、L字形の横断面(17)を有していて、前記変形可能な部材(7)に部分的に係合している、請求項1記載のポンプ(1)。前記少なくとも1つのセンタリングリング(16)は、方形の横断面(17)を有していて、前記変形可能な部材(7)の内側に配置されている、請求項1記載のポンプ(1)。前記少なくとも1つのセンタリングリング(16)は、前記変形可能な部材(7)に挿入されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記変形可能な部材(7)の環状の前記少なくとも1つの突出部(20)が、前記ポンプケーシング(2)と前記少なくとも1つのセンタリングリング(16)との間で、半径方向(28)に緊締されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記少なくとも1つのセンタリングリング(16)は、前記幾何学上の軸線(23)の方向において前記ポンプケーシング(2)の当接面(32)に当接している、請求項1から5までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記少なくとも1つのセンタリングリング(16)は、半径方向(28)に可動に支持されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記変形可能な部材(7)の少なくとも1つの突出部(20)が、軸方向で前記ポンプケーシング(2)の前記当接面(32)の側方に当接している、請求項1から7までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記ポンプケーシング(2)は、前記変形可能な部材(7)の前記外面(6)が当接している内周面(13)を有しており、前記変形可能な部材(7)の前記少なくとも1つの突出部(20)は、前記ポンプケーシング(2)の前記内周面(13)に対する少なくとも1つの環状のシール接触部(12)を形成している、請求項1から8までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記変形可能な部材(7)の前記少なくとも1つの突出部(20)は、前記外面(6)に、周方向に延在する少なくとも1つの厚肉部(19)を有している、請求項9記載のポンプ(1)。前記少なくとも1つのセンタリングリング(16)は、前記変形可能な部材(7)に材料接続的に結合され取り付けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載のポンプ(1)。前記幾何学上の軸線(23)の方向で外側に配置された少なくとも1つの突出部(20)に、センタリングリング(16)を有しており、特に請求項1から11までのいずれか1項記載のポンプ(1)に適していることを特徴とする、変形可能な部材(7)。内燃機関(37)と、該内燃機関(37)の排ガスを浄化するための排ガス処理装置(38)と、請求項1から11までのいずれか1項記載のポンプ(1)とを備える自動車(36)であって、前記ポンプ(1)は、排ガスを浄化するための液状添加剤を、タンク(21)からインジェクタ(34)へ圧送するために設けられており、前記液状添加剤は、前記インジェクタ(34)によって前記排ガス処理装置(38)に供給可能であることを特徴とする、自動車(36)。

说明书全文

本発明は、液体圧送用ポンプに関し、特に、排ガス浄化添加剤(例えば尿素溶液等)を、内燃機関の排ガスを浄化するための排ガス処理装置内へ圧送するために適したポンプに関する。

排ガス浄化用の液状添加剤が使用される排ガス処理装置が、例えば自動車分野において広く知られており、特に排ガスから窒素酸化化合物も除去されることが望ましい。このような排ガス処理装置では、いわゆるSCR法(SCR=Selective Catalytic Reduction)が実施される。このSCR法では、排ガス中の窒素酸化化合物が、還元剤(通常はアンモニア)によって還元される。アンモニアは、しばしば自動車内に直接に貯蔵されるのではなく、液状の(排ガス)添加剤の形態で貯蔵され、この添加剤は、(そのためにわざわざ設けられた外部反応器において)排ガス外で及び/又は(排ガス処理装置において)排ガス中で、アンモニアに変えられる。これに関連して、液状添加剤として、好適には尿素水溶液が使用される。32.5%の尿素を含有する尿素水溶液は、AdBlue(登録商標)という商品名で入手可能である。

液状添加剤は、自動車において一般にはタンク内に蓄えられ、圧送モジュールによって排ガス処理装置に供給される。圧送モジュールには、特にポンプが含まれる。更に圧送モジュールには、とりわけ次のコンポーネント、即ち、フィルタ、センサ、弁及び/又は調量ユニットも対応配置されていてよい。

液状添加剤用の圧送モジュールにおける問題点は、この液状添加剤が低温で凍結する恐れがあるという点にある。32.5%の尿素水溶液は、例えば−11℃で凍結する。このように低い温度は、自動車分野では特に冬季の長時間の停止段階中に生じることがある。添加剤が凍結すると、圧送モジュールの導管、通路及び/又はコンポーネントを損傷又はそれどころか破壊する恐れのある体積増大が生じる。この場合、特にポンプも損傷する恐れがある。ポンプの破壊は、例えば圧送モジュールを非作動時に空にして、停止段階中に液状添加剤が圧送モジュール内に残留していないようにすることで、回避可能である。ポンプを保護する別の手段は、凍結時に液状添加剤の体積膨張による損傷が発生し得ないように、各コンポーネントを(フレキシブルに)設計することである。

特にポンプの内部では、凍結防止手段を保証することは技術的に困難である。なぜならば、ポンプは液状添加剤と激しく接触しているはずだからである。更に、ポンプを完全に空にすることも問題になることが多い。なぜならば、これにより運転停止後の圧送再開が著しく困難になるからである。更に、液状添加剤を圧送するポンプは廉価であると共に、高い耐久性を有していることが望ましい。これには、特に高い信頼性又は低い故障確率、並びに少ない劣化が含まれ、この場合、ここでは特に摩耗に基づくポンプの作動特性の変化を指す。

更に、場合によってはポンプにおける正確な圧送量圧送能も重要である。ここで正確な圧送量及び圧送能力又は「調量精度」とは、特に、ポンプによって実際に圧送される液体量が、一義的に決定可能な入力値によって正確に設定されていることを意味する。「入力値」とは特に、ポンプの駆動装置を電気的に制御すること(ポンプ駆動用の電圧プロファイル及び/又は電流プロファイル、ポンプ駆動用の電流パルスの周波数等)を表している。特に重要なのは、入力値に対する圧送量の依存性に影響を及ぼす横影響の数及び/又は関連性が少なく保たれることである。このような横影響は、例えばポンプの温度、ポンプ内の圧力等であり得る。重大な横影響が避けられない場合には、圧送量に対するこれらの横影響の影響をできるだけ正確に算出又は制御できるようになっていることが望ましい。ポンプの調量精度は、例えば期待された所望の圧送量と、実際に圧送された圧送量との間の統計上の差異に基づいて表すことができる。例えばポンプは、上記差異が平均して10パーセント未満の場合に、高い調量精度を有している。(SCR法における尿素水溶液圧送量に関する)調量精度は、例えば上記差異が平均して20パーセントを上回ると、低いと見なされる。これらのパーセント値は、それぞれ例であるに過ぎない。

米国特許第2,544,628号明細書、米国特許第3,408,947号明細書、独国特許出願公開第2853916号明細書及び独国特許出願公開第3815252号明細書の各刊行物から公知のポンプタイプは、オービタルポンプとも呼ばれる。このポンプタイプは、一方では凍結時の液体の体積膨張に対して比較的耐久性があり、且つ他方では、このポンプタイプは逆の圧送方向でも運転可能なので、技術的に簡単に圧送モジュールを空にすることができる。但し、このポンプタイプを、特に調量精度及び/又は(例えばポンプダイヤフラムの著しい緊張状態に基づく)劣化特性に関して、SCR法の環境における要求に適合させる必要がある。

このことを起点として、本発明の課題は、上記の諸問題を少なくとも部分的に解決する、特に(尿素水溶液等の)排ガス浄化用の液状添加剤の圧送に適した、特に有利な液体圧送用ポンプを提供することにある。

この課題は、特許請求項1の特徴部に記載のポンプによって解決される。このポンプの別の有利な構成は、従属する特許請求項に記載されている。指摘しておくと、個々の特許請求項に記載された各特徴は、技術的に有意な形式で任意に互いに組み合わせることができ、且つ明細書で説明する各態様によって補足可能であり、ポンプの別の変化態様が示される。

幾何学上の軸線を有する回転対称的な内周面と、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口とを有する少なくとも1つのポンプケーシングを備える液体圧送用ポンプを提案する。ポンプケーシング内には偏心体が配置されており、偏心体は、幾何学上の軸線を中心として、ポンプケーシングに対して相対回動可能であり、ポンプケーシングの内周面と、偏心体の外面との間のポンプギャップには、(環状の)変形可能な部材が配置されており、変形可能な部材と、ポンプケーシングの内周面とによって、少なくとも1つの入口から少なくとも1つの出口まで圧送通路が形成されており、更に、変形可能な部材は、偏心体の外面により、ポンプケーシングに部分的に押し付けられ、これにより、圧送通路の少なくとも1つの移動可能なシールと、液体を圧送するために圧送通路に沿った偏心体の回動により入口から出口まで移動可能な少なくとも1つの閉じられたポンプ容積とが、圧送通路内に形成されるようになっており、変形可能な部材は、幾何学上の軸線の方向の片側又は両側に、変形可能な部材に接触する偏心体の外面を越えて突出する突出部を有していると共に、少なくとも1つの突出部の内側に、センタリングリングを有している。

この構成を有するポンプは、オービタルポンプと呼ばれることもある。

ポンプは、幾何学上の(中心)軸線を有しており、この軸線を中心として偏心体が回動可能である。このために、好適には駆動軸線に沿って駆動軸が延びており、駆動軸は偏心体を、(電気的に作動可能な)駆動装置に接続している。駆動装置は、好適には上記軸線に沿って、ポンプケーシングの上側及び/下側に配置されている。ポンプ及びポンプのコンポーネントを3次元で説明するために、以下において半径方向は、ポンプの幾何学上の軸線に対して垂直であり且つポンプの幾何学上の軸線を起点として半径方向外側に向かって延在するものと仮定する。幾何学上の軸線及び半径方向に対して垂直であり、ポンプケーシングの内周面に対して接線方向を、周方向と規定するものとする。圧送通路は、ポンプの入口から出口まで、少なくとも部分的に周方向に沿って、ポンプケーシングを通って又はポンプケーシングの内周面に沿って延在している。ポンプを更に説明するために、ポンプの中間面も規定する。この中間面は、幾何学上の軸線に対して垂直に配置されている。中間面内には、ポンプケーシングと、偏心体と、変形可能な部材と、圧送通路とが位置している。

ポンプのポンプケーシングは、好適にはリング又は円筒状の室の形式で形成されており、内部には偏心体が配置されている。このポンプケーシングは、ポンプの(アウタ)ステータと見なされてもよく、この場合、偏心体は(インナ)ロータと呼ばれる。動作機構の逆転の意味で、本発明は、入口及び出口を備えたポンプケーシングが内側に位置しており偏心体が外側で回動するような構造にも適用される。この場合、ポンプギャップは、内側に位置するポンプケーシングの外周面と、偏心体の内面との間に位置しており、少なくとも1つのセンタリングリングが、変形可能な部材の突出部の外側に位置している。ポンプのこの実施形態では、ポンプケーシングが、偏心体によって包囲されたインナステータを形成することが可能である。この場合、偏心体はアウタロータを形成する。入口及び出口はポンプケーシングに配置されており、ポンプケーシング又は圧送通路内への液体の流入及び流出を可能にする。

ポンプケーシングは、好適にはプラスチックから成っている。ポンプケーシング内には、補強構造が組み込まれていてよい。1つの好適な変化態様では、プラスチックから成るポンプケーシングに、ポンプケーシングを補強する環状の金属インサートが組み込まれている。

「偏心体」とは、ここでは特に、幾何学上の軸線に対して偏心的に(中心外に)配置されていて、幾何学上の軸線を中心とした回動により偏心運動を行う円形構造体を意味する。ポンプケーシングと偏心体との間には、環状の又は周方向に延在するポンプギャップが形成されており、このギャップ内に変形可能な部材が配置されている。圧送通路は、(ギャップ内で)変形可能な部材とポンプケーシングとの間に配置されており、ポンプケーシングと変形可能な部材とによって画定される。ポンプギャップは、ポンプケーシング又は圧送通路に沿った偏心体の回動に基づき移動する、少なくとも1つの狭幅箇所を有している。狭幅箇所では、変形可能な部材がケーシングに押し付けられているので、そこには移動可能なシールが形成されていることになる。この場合、ポンプケーシングと偏心体との間のポンプギャップの複数の狭幅箇所を形成する、いわゆる「付加価値的な」偏心体も含まれている。このような「付加価値的な」偏心体は、例えば変形可能な部材において転動し且つ複数の狭幅箇所を形成する複数のローラによって形成されていてよい。この場合、ローラの表面が、偏心体の外面を形成している。圧送通路は、ポンプケーシングと変形可能な部材との間に、液体が通流可能な通路横断面を有しており、通路横断面は、例えば(ポンプの大きさに応じて)最大箇所で、1mm2(平方ミリメートル)〜50mm2であってよい。

圧送通路は、好適には軸線を中心として環状に又は周方向に延在するように形成されている。入口と出口とは、ポンプの圧送方向において、好適には(中間面内で測定して)互いに270°を上回る距離を開けて配置されている。よって圧送方向とは逆の方向では、入口と出口とは互いに90°未満の角距離を有することになる。

偏心体は、好適には複数の部分で構成されている。偏心体は、好適には偏心的な回動を行う内側領域を有している。付加的に、内側領域を取り囲む外側の軸受輪が設けられていてよい。内側領域と外側の軸受輪との間には、好適には少なくとも1つの軸受が位置している。この軸受は、玉軸受又は転がり軸受であってよい。偏心体の内側の偏心体領域は、作動中に軸線を中心として回動する。偏心体の偏心的な配置に基づいて、且つ場合によっては外側形状にも基づいて、偏心体の表面の偏心的な動きが生ぜしめられる。この偏心的な動きは、外側の軸受輪に伝達される。内側領域と軸受輪との間の軸受により、内側領域の運動の回動成分が一緒に伝達されることなく、内側領域の偏心的な回動を、軸受輪の偏心的な揺動に変換することができるようになっている。軸受輪の運動が回動成分を一切有さないという事実は、変形可能な部材における剪断応力と、ポンプの内部摩擦力とを低下させる、ということを可能にする。変形可能な部材は、偏心体の運動によって加圧収縮される。偏心体と変形可能な部材との接触面には、好適には押圧力しか作用せず、摩擦力が作用することはほとんどない。偏心体を、内側の偏心体領域と軸受輪とに適宜に分けることは、偏心体が、(内側の)ポンプケーシングの周りに配置されたアウタロータである場合でも可能である。外側の軸受輪を省いて、軸受の転動体が変形可能な部材において直接に転動するようにすることも可能である。

変形可能な部材は、好適には偏心体とポンプケーシングとの間に配置されていて、偏心体が変形可能な部材を部分的にポンプケーシングの内周面に押し付けるようになっており、これにより、少なくとも1つの移動可能なシールが形成されている。シールのところには、変形可能な部材とポンプケーシングの内周面との間の、液体が通流不能な(線状又は面状の)接触部が存在している。換言すると、変形可能な部材は完全にポンプケーシングに当て付けられているので、この移動可能なシールの範囲内の通路横断面は、横断面積を有していない。つまり圧送通路は、移動可能なシールの範囲では中断されている。これにより圧送通路内には、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積も形成されていることになる。閉じられたポンプ容積とは、(圧送通路に沿った上流側又は下流側において)少なくとも片側が閉じられた圧送通路部分が存在していることを意味する。移動可能なシールが移動することにより、少なくとも1つの閉じられたポンプ容積も移動させられ、その結果、閉じられたポンプ容積内の液体が圧送されるようになっている。好適には、ポンプ作動時に、複数の閉じられたポンプ容積がポンプの入口からポンプの出口まで移動させられ、これにより、液体を圧送することができるようになっている。よって、閉じられたポンプ容積は、(定義したように少なくとも片側を閉じられて)入口付近に形成され、次いで出口のところで(定義したように少なくとも片側を再び開けられて)解消される。入口のところで閉じられたポンプ容積は、下流側において片側(だけ)を、移動可能なシールによって閉じられており、上流側では入口と接続されているので、液体は入口を通って、閉じられたポンプ容積に流入可能である。しかしながら、出口のところで閉じられたポンプ容積は、上流側において(まだ)片側をシールにより閉じられていて、下流側では出口に接続されているので、液体は閉じられたポンプ容積から出口を通って流出可能である。その間には(閉じられたポンプ容積の、入口から出口までの経路上に)、閉じられたポンプ容積が上流側と下流側とにおいて、少なくとも1つの移動可能なシールによって閉じられている段階が存在する。

変形可能な部材は、変形可能なダイヤフラムと呼ばれることもある。この場合、「ダイヤフラム」という用語は、必ずしも、変形可能な部材が面状の広がりを有しているか否かを説明するものではない。「ダイヤフラム」という用語は、変形可能な部材が、液体を圧送するために変形され得るフレキシブルな構造体である、ということを示唆するものである。変形可能な部材又は変形可能なダイヤフラムのための材料としては、好適にはエラストマ材料(例えばゴム又はラテックス)が用いられる。耐久性向上及び/又はフレキシビリティーの形成及び保持のために、変形可能な部材の材料は、添加剤を含有していてよい。好適には、変形可能な部材は、あらゆる方向(軸方向、半径方向及び周方向)においてフレキシブルである。但し変形可能な部材は、部分的に方向付けられたフレキビリティーを有することも可能である。例えば変形可能な部材は、半径方向において、周方向及び軸方向におけるよりも高いフレキシビリティーを有していてよい。変形可能な部材の1つの方向への変形は、典型的には別の方向への変形をも引き起こす。変形可能な部材は、半径方向に押し潰されると、例えば軸方向及び/又は周方向に広がる。

ポンプには、(圧送方向に反した)出口から入口への液体の望ましくない逆流を防ぐ、好適には固定されたシールも設けられている。固定されたシールは、ポンプケーシングで以て位置固定して提供することができ、出口と入口との間に位置決めされていてよい。ポンプケーシングと変形可能な部材との間の流体密なシールを永続的に保証するために、変形可能な部材は、固定されたシールの領域において、例えばポンプケーシングに緊締又は接着されていてよい。固定されたシールは、偏心体の位置に関係無く流体密である。

ポンプにより、好適には液体を入口から出口まで圧送方向に圧送することが可能である。偏心体の回動方向の逆転により、場合によっては圧送方向の逆転(入口から出口に向かう方向に代えて、逆に出口から入口に戻る方向)も可能である。

変形可能な部材は、好適にはそれ自体が環状又は円筒状である。この場合、変形可能な部材は、幾何学上の軸線の方向において両側に、各1つの環状の突出部を有している。これらの突出部には、各1つの剛性のセンタリングリングが配置されている。変形可能な部材が剛性のセンタリングリングを備えてポンプケーシング内に配置されている場合、好適には、(剛性の)センタリングリングはポンプケーシングに対して(僅かに)可動である。剛性のセンタリングリングは、変形可能な部材により、ポンプケーシング内でセンタリングされる。剛性のセンタリングリングは、変形可能な部材の突出部を、ポンプケーシングの内周面とセンタリングリングとの間で、(好適には完全に周方向に延在して)緊締している。これにより、変形可能な部材の突出部において、変形可能な部材とポンプケーシングとの間のシール接触が保証される。シール接触部は、ポンプケーシングと変形可能な部材との間の圧送通路を、軸方向(両側)においてシールしている。突出部は、ポンプの幾何学上の軸線の方向の両側に、それぞれ変形可能な部材の縁部領域を形成している。

好適には、変形可能な部材には2つの剛性のセンタリングリングが存在しており、これらのセンタリングリングは両側で、変形可能な部材の周方向に延在する各突出部に配置されている。ここで「少なくとも1つの」センタリングリングについて言及する場合は特に、両側で変形可能な部材の突出部に配置された、正確には2つのセンタリングリングを有する変化態様も含まれていることとする。センタリングリングに関連して説明する別の要素(シール接触部、厚肉部、収容部、対応保持部、当接面、突出部等)についても、相応する構成が選択されたので、この場合も「少なくとも1つの」上記の要素に言及することが多い。但し好適には、これらの要素も両側に形成されていて、正確には各2つのシール接触部、厚肉部、収容空間、対応保持部、ストッパ面、突出部等が開示されていることが望ましい。この構成形式に基づき、上記各要素と、特に1つのセンタリングリングとが、ポンプの中間面の一方の側だけに形成されており、且つ中間面の他方の側では、ポンプの別の(異なる)構成が実現されているポンプも含まれていることが望ましい。但し好適なのは、ポンプが中間平面に対して対称的に形成されていることであり、ポンプの一方の側に存在する全ての要素(センタリングリング、対応保持部、シール接触部、厚肉部、収容空間、当接面、突出部等)が、中間面の他方の側にも(鏡像的に)再度設けられている。

説明した要素(センタリングリング、対応保持部、シール接触部、厚肉部、収容部、当接面、突出部等)は更に、好適には全て環状に形成されている。これは各要素が(少なくとも部分的に)、ポンプの軸線に対して回転対称的に形成されていることを意味する。但し、特に固定されたシールの領域では、各要素は通常、回転対称的な形状とは異なっている。そこで、各要素は、例えば中断されている。この場合、各要素は回転対称的な形状とは部分的に異なっているにもかかわらず、「環状」と表される。よってこの場合、「環状」は特に、「少なくとも部分的に環状」、「概ね環状」及び/又は「部分的に環状」ということも意味する。

少なくとも1つのセンタリングリングは、好適には(少なくとも部分的に)、変形可能な部材の内側に位置している。これにより、変形可能な部材の少なくとも1つの突出部が、好適には少なくとも1つのセンタリングリングとポンプケーシングとの間で押し潰されている。少なくとも1つのセンタリングリングは、変形可能な部材の少なくとも1つの突出部を支持している。圧送通路内の圧力が高まると、変形可能な部材の突出部又は突出部に位置する縁部領域が、少なくとも1つのセンタリングリングとポンプケーシングとの間で、より強力に押し潰されることになる。なぜならば、変形可能な部材のより多くの材料が、(軸方向)外側に向かって押圧されるからである。これにより、ポンプケーシングと変形可能な部材との間のシール接触部に対する押当て力が増大する。つまり、シール接触部のシール性は、圧力が上昇すると高まる。少なくとも1つのセンタリングリングは、変形可能な部材の突出部のための、少なくとも1つの対応保持部を形成している。少なくとも1つの対応保持部とポンプケーシングとの間には、(各対応保持部又は各センタリングリング毎に)変形可能な部材の突出部を収容する各1つの収容空間が形成されている。少なくとも1つのセンタリングリングは、好適には剛性である。特に、センタリングリングは変形可能な部材に比べて剛性が高いので、センタリングリングに実質的な変形が生じることなしに、変形可能な部材を、センタリングリングとポンプケーシングとの間で押し潰すことができるようになっている。

少なくとも1つのシール接触部に作用する押当て力は、軸方向、延いては移動可能なシール(及び場合によっては固定されたシール)に作用する押当て力に対して平行に働く。これにより、変形可能な部材内の多軸的な応力状態が効果的に防止される。

ポンプの上記構成に基づき、圧送通路内の異なる各圧力において、ポンプの特に高いシール性が達成され得る。またこれにより、ポンプ内の液体が凍結した場合の破壊に対するポンプの高度な安全性も保証される。圧送通路を(軸方向)側方においてシールするシール接触部を、センタリングリングと共に形成することにより、ポンプの高いシール性と同時に、変形可能な部材内の特に一様な応力分散が保証されるようになっている。特に、変形可能な部材に作用する全てのシール力は、(シール接触部、移動可能なシール及び好適には固定されたシールでも)互いにほぼ平行に、半径方向に作用する。これにより、変形可能な部材における多軸的な応力状態が低減又は回避される。変形可能な部材の内部における一様な応力分散と、特に多軸的な応力状態の回避とにより、ポンプの少ない劣化及び高い耐久性が生じる。センタリングリングのセルフセンタリング特性を特に小さな力で達成可能であることによって、変形可能な部材内の全体的な応力レベルも低く抑えることができる。なぜならば、シール接触部に対する押当て力が自動的に均一になるからである。このことは、ポンプの耐久性と劣化特性とを更に改善する。

特に好適なポンプは、少なくとも1つのセンタリングリングがL字形の横断面を有していて、変形可能な部材に部分的に係合している場合である。好適には、L字形の横断面を有する2つの相応するセンタリングリングが存在しており、これらのセンタリングリングは両側で(突出部において)、変形可能な部材に係合している。

上で既に述べたように、変形可能な部材は、好適には環状又は円筒状に形成されている。各突出部のところで、センタリングリングが好適には変形可能な部材に係合している。少なくとも1つのセンタリングリングのL字形の横断面の1つの脚部は、変形可能な部材の内側領域に延びている。L字形の横断面の別の脚部は、変形可能な部材を軸方向において遮断している。このような変形可能な部材は、センタリングリングによって囲まれている。センタリングリングのこのような構成により、変形可能な部材の特に良好なガイドが達成され得る。

更に有利なポンプは、少なくとも1つのセンタリングリングが方形の横断面を有していて、変形可能な部材の内側に配置されており、且つ変形可能な部材を少なくとも1つの突出部において支持している場合である。好適には、方形の横断面を有する2つの相応するセンタリングリングが存在しており、これらのセンタリングリングは両側で(縁部領域において)、変形可能な部材の内側に配置されている。

このように、(方形の横断面を有する)センタリングリングが必要とするポンプケーシング内の追加的な構成空間は、特に少ない。特に、変形可能な部材はこのようなセンタリングリングと共に、通常、変形可能な部材をセンタリングリングと一緒に使用することが想定されていないポンプのポンプケーシング内に挿入されてもよい。なぜならば、変形可能な部材の内側のセンタリングリングは、追加的な構成空間をあまり又はそれどころか全く必要としないからである。

これに関連して、特に有利なのは、少なくとも1つのセンタリングリングが変形可能な部材に挿入されている場合である。好適には、2つのセンタリングリングがそれぞれ変形可能な部材の両側で(突出部に)挿入されている。

センタリングリングは、例えば変形可能な部材の変形可能な材料の切欠きに挿入されていてよい。このようにして、少なくとも1つのセンタリングリングを特にしっかりと永続的に、変形可能な部材の材料に結合することができる。更に、変形可能な部材と少なくとも1つのセンタリングリングとによって、それ自体で完結した、1つのコンパクトな構成部材が形成される。

更に有利なポンプは、変形可能な部材の少なくとも1つの環状の突出部が、ポンプケーシングと少なくとも1つのセンタリングリングとの間で、半径方向に緊締されている場合である。好適には、変形可能な部材の、(軸方向に見て外側に位置する)2つの突出部が、それぞれポンプケーシングとセンタリングリングとの間で半径方向に緊締されている。

更に有利なポンプは、少なくとも1つのセンタリングリングが、軸方向においてポンプケーシングの当接面の側方に当接している場合である。好適には、双方がそれぞれ軸方向で、変形可能な部材の側方において当接面に当接している、2つのセンタリングリングが存在している。

これにより、変形可能な部材とポンプケーシングとの間の圧送通路内の追加的な圧力によって、少なくとも1つのセンタリングリングが移動することは不可能である。少なくとも1つのセンタリングリングは、変形可能な部材のための側方ストッパを形成しており、この場合もやはり、センタリングリングはポンプケーシングの当接面に当接している。このような構成は特に、変形可能な部材の軸方向の遮断部を形成するL字形のセンタリングリングに関して有利である。変形可能な部材の内側に配置された、方形の横断面を有するセンタリングリングの場合は通常、ポンプケーシングに対するセンタリングリングの(僅かな)軸方向の動きが許容されている。少なくとも1つのストッパ面は、好適にはポンプケーシングを軸方向において少なくとも部分的に閉鎖又は遮蔽する少なくとも1つのケーシングフランジによって、ポンプケーシングの主要部に形成される。

更に有利なポンプは、少なくとも1つのセンタリングリングが半径方向に可動に支持されている場合である。好適には、半径方向に可動に支持された2つのセンタリングリングが存在している。

特に、これらのセンタリングリングは、ポンプケーシングに結合されていないので、ポンプケーシングに対して半径方向にずらすことができる。このことは、ポンプケーシングに対するセンタリングリングのセルフセンタリング特性を可能にする。これにより、変形可能な部材内の応力が低下し、特に、ポンプケーシングと変形可能な部材との間のシール接触部におけるシール作用が、変形可能な部材内の特に小さな応力で以て実現されることになる。

更に有利なポンプは、変形可能な部材の少なくとも1つの突出部が、軸方向でポンプケーシングの当接面の側方に当接している場合である。好適には、変形可能な部材の双方の突出部が、軸方向両側において、ポンプケーシングの当接面の側方に当接している。

また、ポンプケーシングが、変形可能な部材の外面が当接している内周面を有しており、変形可能な部材の軸方向の突出部が、ポンプケーシングの内周面に対する環状のシール接触部を形成している場合も、有利なポンプである。

内周面は、好適には軸方向において、周面と変形可能な部材との間に形成された圧送通路よりも広幅である。これに関連して、圧送通路の幅は、双方の(環状の)シール接触部間の軸方向距離である。これにより、シール接触部の(軸方向での)側方ずれが生じた場合でも、シール接触部は常に、ポンプケーシングの周面に当接していることを保証できるようになっている。シール接触部の上記のような側方ずれは、例えば圧送通路内の圧力上昇によって生じ得る。

更に有利なポンプは、変形可能な部材の少なくとも1つの軸方向の突出部が、外面に、周方向に延在する少なくとも1つの厚肉部を有している場合である。好適には、双方の突出部の両側に、各1つの周方向に延在する厚肉部が形成されている。

突出部に形成された、周方向に延在する厚肉部によって、変形可能な部材の突出部には、変形可能な部材とポンプケーシングとの間のシール接触部を形成する追加的な材料が存在していることになる。各厚肉部は、圧送通路の両側をシールするOリングシールと同様に作用する。Oリングシールは特に効果的なシールコンセプトであり、そのシール作用は周知である。特に、圧送通路内の圧力に関連して、シール接触部の圧力に関連したシール作用を算出し、これに相応して厚肉部と収容部とを寸法設定することが可能である。

更に有利なポンプは、少なくとも1つのセンタリングリングが、変形可能な部材に材料接続的に結合され取り付けられている場合である。好適には、2つのセンタリングリングが、変形可能な部材に材料接続的に結合され取り付けられている。

少なくとも1つのセンタリングリングは、変形可能な部材に特に接して接着されているか、又は変形可能な部材の内部に接着されていてよい。変形可能な部材が、少なくとも1つのセンタリングリングに鋳込まれており及び/又は一体的に射出成形されていることも可能である。特に、少なくとも1つのセンタリングリングは、変形可能な部材によって被覆され射出成形されていてよい。これにより、センタリングリングと変形可能な部材とから、ポンプ製造中に問題なくポンプケーシングに挿入可能な、1つのユニットを成すコンパクトな構成部材が形成されることになる。

また、これに関連して説明しておきたいのは、変形可能な部材は単一の材料のみから成っていなくともよいという点である。変形可能な部材の特定の領域が、変形可能な部材の他の領域とは異なる複数の材料から製造されている、変形可能な部材の複合構成も考えられる。変形可能な部材において、部分的に意図的な材料変化を、例えば追加的なインサート、補強部等によって生じさせることも可能である。これにより、変形可能な部材をそれぞれ部分的に、(局所的な)所要特性に正確に適合させることができる。特に、変形可能な部材に意図的に、特に良好に変形可能な変形領域を配置することが可能である。このような変形領域は、例えば変形可能な部材に設けられた弾性的なインサートによって形成されてよい。変形領域は、特に突出部付近(変形可能な部材の突出部と中央領域との間)に配置されている。なぜならば、ポンプによる液体圧送時に、この領域に最も強い変形が生じるからである。これに関連して、ポンプの中間面内に位置する領域は、「中央」領域と呼ばれる。

また、本発明の枠内で述べておきたいのは、環状の変形可能な部材が、軸方向外側に位置する少なくとも1つの突出部に、剛体のセンタリングリングを有しており、特に説明したポンプに適している点である。特に好適には、変形可能な部材は軸方向両側において、各1つの剛体のセンタリングリングを備えているか、又は各1つの剛体のセンタリングリングによって画定されている。

上でポンプに関連して説明した、センタリングリングを備えた変形可能な部材の特別な特性は、同様に、変形可能な部材にも適用可能である。以下、変形可能な部材に関連した特別な特性及び特徴は、ポンプにも同様に適用可能である。

変形可能な部材のセンタリングリングは、剛体である。これは、センタリングリングが、変形可能な部材の材料に比べて実質的に増加した剛性又は強度を有していることを意味する。この増加した剛性又は強度は、変形可能な部材の材料を、センタリングリングとポンプケーシングとの間で押し潰すために必要である。センタリングリングは、例えば金属から成っていてよいのに対し、変形可能な部材は、ゴム材料から成っている。しかしまた、センタリングリングはプラスチック材料から成っていてもよい。前提条件は単に、変形可能な部材に比べてセンタリングリングが(大幅に)増加した剛性又は強度を有していて、上で説明した機能(センタリング作用、シール接触部の形成等)を生ぜしめることに適している、という点だけである。

また、ここで説明しておきたいのは、内燃機関と、内燃機関の排ガスを浄化するための排ガス処理装置と、ポンプとを備える自動車であって、ポンプは、排ガスを浄化するための液状添加剤を、タンクからインジェクタへ圧送するために設けられており、液状添加剤は、インジェクタによって排ガス処理装置に供給可能になっている、自動車である。

以下、本発明及び技術環境を図面に基づき詳しく説明する。図面と特に図示の縮尺とは概略的なものであるに過ぎないことを指摘しておく。図面は、説明するポンプの個々の特徴を具体的に示すために用いられる。各図面に示された異なる変化態様は、任意の形式で互いに組み合わせられてよい。特に、1つの図面に示された全ての特徴を、それぞれユニットと見なす必要はない。

ポンプの等角投影図である。

図1に示したポンプの断面図である。

図2に符号B−Bで示した、説明するポンプの第1の変化態様の部分断面図である。

図2に符号B−Bで示した、説明するポンプの第2の変化態様の部分断面図である。

図2に符号B−Bで示した、説明するポンプの第3の変化態様の部分断面図である。

説明するポンプのための変形可能な部材を示す図である。

説明するポンプを有する自動車を示す図である。

図1には、説明するポンプが等角投影図で示されている。図1は、図面においてより良好に方向を定めるために、幾何学上の軸線23と、この軸線23に沿って延在する軸方向と、半径方向28と、周方向27とから成る座標系を規定するものである。ポンプ1は、入口3と出口4とを有するポンプケーシング2を備えている。ポンプケーシング2内には、変形可能な部材7と偏心体5とが位置している(この図では両方とも図示せず)。ここではポンプケーシング2の上側に駆動装置24が示されており、駆動装置24により、駆動軸26を介してポンプケーシング2内の偏心体5を駆動することができるようになっている。ポンプをより良く説明するために中間面43も導入されている。中間面43内には、ポンプケーシング2と、偏心体5と、変形可能な部材7と、ポンプ1の圧送通路8とが位置していて、好適には偏心体5、変形可能な部材7等の対称面を形成している。

図2には、ポンプ1がポンプケーシング2の断面図で示されている。入口3と出口4とを有するポンプケーシング2が認められる。ここでも方向を定めるために、半径方向28と周方向27とが示されている。ポンプケーシング2内には偏心体5が配置されており、偏心体5は、内側の偏心体領域29と、外側の軸受輪30と、内側の偏心体領域29と外側の軸受輪30との間に配置された軸受31とに分かれている。偏心体5の外面6とポンプケーシング2の内周面13との間において、ポンプギャップ11内には変形可能な部材7と圧送通路8とが位置しており、圧送通路8は、入口3と出口4とを接続している。更に、圧送通路8は、変形可能な部材7と、ポンプケーシング2の内周面13との間に配置されている。圧送通路8は、変形可能な部材7が偏心体5の外面6によって部分的にポンプケーシング2に押し当てられることにより実現される、移動可能なシール9を有している。移動可能なシール9は、偏心体5の回動によって移動させられる。これにより、圧送通路8内の移動可能なポンプ容積10も移動することになり、入口3から出口4まで、圧送方向44での液体の圧送が行われるようになっている。出口4と入口3との間には固定されたシール25が形成されており、固定されたシール25によって、出口4から入口3への液体の逆流が防止される。固定されたシールは、偏心体5の位置とは無関係に、固定されたシール25の領域において変形可能な部材7をポンプケーシング2に押し当てるピン22によって調整され実現されていてよい。固定されたシール25の別の複数の変化態様も考えられる。変形可能な部材7は、例えばポンプケーシング2に接着されていてもよい。重要なのは、固定されたシール25のところで液体の逆流が効果的に防がれるという点だけである。

図3〜図5にはそれぞれ、ポンプの様々な変化態様を(図2に示したように)部分的にB−Bで切断した図が示されている。方向を定めるために、この場合は軸方向23と、半径方向28と、中間面43とがそれぞれ規定されている。ポンプケーシング2と、変形可能な部材7と、偏心体5とを備えたポンプ1がそれぞれ認められる。偏心体5は、それぞれ偏心体領域29と、軸受輪30と、軸受31とに分かれている。圧送通路8は、ポンプケーシング2と変形可能な部材7との間に存在していて、ポンプケーシング2の内周面13と、変形可能な部材7の通路表面33とによって画定される。通路表面33と内周面13とは、それぞれ線状で環状のシール接触部12において接触し合っており、これにより、ポンプ容積10を有する流体密な圧送通路8が形成されている。変形可能な部材7は、両側に剛性のセンタリングリング16を有している。これらのセンタリングリング16とポンプケーシング2との間には、それぞれ収容空間42が形成されており、収容空間42には、変形可能な部材7の突出部20が収容されている。変形可能な部材7の突出部20は、シール接触部12をより確実に且つ良好に形成できるようにするために、それぞれ厚肉部19を有している。センタリングリング16はそれぞれ、ポンプケーシング2に対して対応保持部15を形成しており、対応保持部15とポンプケーシング2との間に、変形可能な部材7又は変形可能な部材7の突出部20のための収容空間42が形成されている。

図3に示す変化態様では、センタリングリング16はそれぞれL字形の横断面を有していて、ポンプケーシング2の当接面32に当接しているので、圧送通路8内の圧力が増大した場合に、センタリングリング16が幾何学上の軸線23に沿って軸方向外側に向かって移動することはできなくなっている。これにより、同時に、変形可能な部材7の軸方向の画定部も形成されている。当接面32は、ねじ14によりポンプケーシング2の主要部に取り付けられたケーシングフランジ40によって形成される。

更に図3には、変形可能な部材7が複数の異なる領域、特に中央領域18と変形領域41とを有していてよいことが例示されている。中央領域18において液体圧送時に必要な、変形可能な部材7の変形は、変形領域41における変形よりも大幅に少ない。よって、変形可能な部材を、異なる各領域にそれぞれ異なる材料特性を備えて形成することが有利であり得る。例えば、変形可能な部材7は中央領域18において増加した剛性を有しており、且つ変形領域41では増加したフレキシビリティーを有していてよい。このことは、例えば変形領域41における弾性的なインサート、又は中央領域18における剛性のインサート又は補強部によって実現されていてよい。

図4に示す変化態様では、センタリングリング16はそれぞれ方形の横断面を有していて、変形可能な部材7の内側に配置されている。センタリングリング16はそれぞれ、中間面43によってポンプケーシング2と偏心体5とから隔てられており、これにより、センタリングリング16の自由な動きが可能になる。変形可能な部材7は、幾何学上の軸線23に沿った軸方向外側において、ポンプケーシング2の当接面32に直接に当接している。ポンプケーシング2の当接面32は、ケーシングフランジ40によって形成され、ケーシングフランジ40は、例えばねじ14によってポンプケーシング2の主要部に位置固定されていてよい。

図5に示す変化態様は、図4に示したポンプの変化態様とほぼ同じである。この場合、方形の横断面17を有するセンタリングリング16は、対応保持部15を形成していて、変形可能な部材7に挿入されている。

図6には、センタリングリング16を備えた変形可能な部材7の特に簡単な変化態様が、3次元で例示されている。図6において、変形可能な部材7は半分しか図示されておらず、それゆえ、この変形可能な部材7の、センタリングリング16を備えた内側が認められる。ここでは、図5に示したポンプの変化態様の変形可能な部材7が図示されている。方向を定めるために、幾何学上の軸線23と、半径方向28と、周方向27とが示されている。2つのセンタリングリング16は、それぞれ突出部20の領域において、変形可能な部材7に挿入されている。変形可能な部材7の突出部の領域には、変形可能な部材7の厚肉部19も認められ、これらの厚肉部19にはそれぞれ、変形可能な部材7の、ポンプケーシング(ここでは図示せず)とのシール接触部12(破線で図示)が形成されている。

図7に示す自動車36は、内燃機関37と、この内燃機関37の排ガスを浄化するための排ガス処理装置38とを備えている。排ガス処理装置38はSCR触媒39を有しており、SCR触媒39によって、内燃機関37の排ガスを選択触媒還元法で浄化することができる。このために排ガス処理装置38には、タンク21から導管35を通じてポンプ1により調量して供給される液状添加剤を、インジェクタ34によって供給することができるようになっている。

1 ポンプ 2 ポンプケーシング 3 入口 4 出口 5 偏心体 6 外面 7 変形可能な部材 8 圧送通路 9 移動可能なシール 10 ポンプ容積 11 ポンプギャップ 12 シール接触部 13 内周面 14 ねじ 15 対応保持部 16 センタリングリング 17 横断面 18 中央領域 19 厚肉部 20 突出部 21 タンク 22 ピン 23 幾何学上の軸線 24 駆動装置 25 固定されたシール 26 駆動軸 27 周方向 28 半径方向 29 偏心体領域 30 軸受輪 31 軸受 32 当接面 33 通路表面 34 インジェクタ 35 導管 36 自動車 37 内燃機関 38 排ガス処理装置 39 SCR触媒 40 ケーシングフランジ 41 変形領域 42 収容空間 43 中間面 44 圧送方向

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