容積型圧縮機

申请号 JP2012536217 申请日 2011-09-29 公开(公告)号 JPWO2012042894A1 公开(公告)日 2014-02-06
申请人 パナソニック株式会社; 发明人 長谷川 寛; 寛 長谷川; 岡市 敦雄; 敦雄 岡市; 雄司 尾形; 雄司 尾形;
摘要 ロータリ圧縮機100は、圧縮機構3、モータ2、吸入経路14、帰還経路16、可変容積機構30、インバータ42及び制御部44を備えている。帰還経路16は、作動室25から吸入経路14へと作動 流体 を戻す役割を担う。可変容積機構30は、帰還経路16に設けられ、圧縮機構3の吸入容積を相対的に小さくすべきときには帰還経路16を通じて作動室25から吸入経路14へと作動流体が戻ることを許容し、吸入容積を相対的に大きくすべきときには帰還経路16を通じて作動室25から吸入経路14へと作動流体が戻ることを禁止する。吸入容積の減少をモータ2の回転数の増加で補償するように可変容積機構30及びインバータ42が制御される。
权利要求
  • 作動室を有する圧縮機構と、
    前記圧縮機構を動かすモータと、
    圧縮するべき作動流体を前記作動室に導く吸入経路と、
    前記作動室から前記吸入経路へと作動流体を戻す帰還経路と、
    前記帰還経路に設けられ、前記圧縮機構の吸入容積を相対的に小さくすべきときには前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを許容し、前記吸入容積を相対的に大きくすべきときには前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを禁止する可変容積機構と、
    前記モータを駆動するインバータと、
    前記吸入容積の減少を前記モータの回転数の増加で補償するように前記可変容積機構及び前記インバータを制御する制御部と、
    を備えた、容積型圧縮機。
  • 前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを禁止した高容積モードで運転中に前記モータの回転数が第1回転数以下に低下した場合、又は前記高容積モードで前記モータの回転数を前記第1回転数まで下げたとしても作動流体の流量が過剰である場合に、前記制御部は、前記吸入容積を減らすための前記可変容積機構に関する処理と前記モータの回転数を上げるための前記インバータに関する処理とを実行する、請求項1に記載の容積型圧縮機。
  • 前記制御部は、前記吸入容積の増加を前記モータの回転数の減少で補償するように前記可変容積機構及び前記インバータを制御する、請求項1に記載の容積型圧縮機。
  • 前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを許容した低容積モードで運転中に前記モータの回転数が第2回転数以上に上昇した場合、又は前記低容積モードで前記モータの回転数を前記第2回転数まで上げたとしても作動流体の流量が足りない場合に、前記制御部は、前記吸入容積を増やすための前記可変容積機構に関する処理と前記モータの回転数を下げるための前記インバータに関する処理とを実行する、請求項3に記載の容積型圧縮機。
  • 前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを禁止した高容積モードで運転中に前記モータの回転数が第1回転数以下に低下した場合、又は前記高容積モードで前記モータの回転数を前記第1回転数まで下げたとしても作動流体の流量が過剰である場合に、前記制御部は、前記吸入容積を減らすための前記可変容積機構に関する処理と前記モータの回転数を上げるための前記インバータに関する処理とを実行し、
    前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを許容した低容積モードで運転中に前記モータの回転数が第2回転数以上に上昇した場合、又は前記低容積モードで前記モータの回転数を前記第2回転数まで上げたとしても作動流体の流量が足りない場合に、前記制御部は、前記吸入容積を増やすための前記可変容積機構に関する処理と前記モータの回転数を下げるための前記インバータに関する処理とを実行する、請求項3に記載の容積型圧縮機。
  • 前記第1回転数が30Hz以下の回転数に設定されている、請求項2又は5に記載の容積型圧縮機。
  • 作動流体を保持できる内部空間を有し、前記吸入経路及び前記帰還経路が接続されたアキュームレータをさらに備え、
    前記アキュームレータの前記内部空間を介して、前記帰還経路が前記吸入経路に接続されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容積型圧縮機。
  • 前記制御部は、当該容積型圧縮機の起動時において、前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを許容するように前記可変容積機構を制御する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の容積型圧縮機。
  • 前記可変容積機構が、前記帰還経路に設けられた開閉弁を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の容積型圧縮機。
  • 前記帰還経路が、前記圧縮機構の内部に形成された上流部分を含み、
    前記可変容積機構が、前記上流部分に設けられた逆止弁をさらに含み、
    前記逆止弁によって、前記帰還経路から前記作動室への作動流体の流れが阻止されている、請求項9に記載の容積型圧縮機。
  • 前記帰還経路が、前記圧縮機構の内部に形成された上流部分を含み、
    前記可変容積機構が、三方弁と、前記上流部分に設けられた容積制御弁と、圧縮された作動流体の圧力に等しい圧力を前記容積制御弁に供給する高圧経路と、を含み、
    前記三方弁は、前記吸入経路及び前記高圧経路のいずれかを前記帰還経路の前記上流部分に接続するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の容積型圧縮機。
  • 前記容積制御弁がプランジャ及びバネを含み、
    前記三方弁によって前記高圧経路が前記帰還経路の前記上流部分に接続されているときに前記容積制御弁が閉じて前記作動室から前記吸入経路への作動流体の流れが禁止され、
    前記三方弁によって前記吸入経路が前記帰還経路の前記上流部分に接続されているときに前記容積制御弁が開いて前記作動室から前記吸入経路への作動流体の流れが許容される、請求項11に記載の容積型圧縮機。
  • 前記圧縮機構は、シリンダと、自身の外周面と前記シリンダの内周面との間に前記作動室が形成されるように前記シリンダの内部に配置されたピストンと、前記作動室を吸入室と圧縮−吐出室とに仕切るベーンとを有するロータリ圧縮機構であり、
    前記シリンダを第1シリンダ、前記ピストンを第1ピストン、前記ベーンを第1ベーン、前記作動室を第1作動室、前記圧縮機構を第1圧縮機構と定義したとき、
    当該容積型圧縮機は、第2シリンダ、第2ピストン及び第2ベーンを有し、かつ前記第1圧縮機構と共通の前記モータによって前記第2ピストンが動かされる第2圧縮機構をさらに備え、
    前記第2圧縮機構の吸入容積が一定であり、
    前記第1圧縮機構の前記吸入容積のみを変更できるように、前記帰還経路が前記第1圧縮機構にのみ接続されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の容積型圧縮機。
  • 前記帰還経路を通じて前記第1作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを許容した低容積モードにおいて、前記第1圧縮機構の前記吸入容積が実質的にゼロである、請求項13に記載の容積型圧縮機。
  • 说明书全文

    本発明は、容積型圧縮機に関する。

    圧縮機のモータは、通常、インバータとマイクロコンピュータとで制御されている。 モータの回転数を下げれば、圧縮機が用いられた冷凍サイクル装置を定格よりも十分に低い能で運転できる。 特許文献1は、さらに、インバータ制御で実現できないような低い能力で冷凍サイクル装置を運転するための一つの技術を提供する。

    図19は、特許文献1に記載された空気調和装置の構成図である。 圧縮機915、四方弁917、室内側熱交換器918、減圧装置919及び室外側熱交換器920によって冷凍サイクルが構成されている。 圧縮機915のシリンダには、圧縮行程の開始から途中まで開口する中間吐出口が設けられている。 中間吐出口は、バイパス路923によって、圧縮機915の吸入路に接続されている。 バイパス路923には、流量制御装置921及び電磁開閉弁922が設けられている。 低い設定周波数の運転時にのみ、電磁開閉弁922を開く。 これにより、より低い能力での運転が可能となる。

    特開昭61−184365号公報

    ところで、冷凍サイクル装置の効率を上げるための近道は、圧縮機の効率を上げることである。 圧縮機の効率は、使用されたモータの効率に大きく依存する。 多くのモータは、定格回転数(例えば60Hz)の近傍の回転数で最も高い効率を発揮するように設計されている。 そのため、極端に低い回転数でモータを駆動したのでは、圧縮機の効率の向上は期待できない。

    こうした事情に鑑み、本発明は、低い能力が必要なとき(負荷が小さいとき)にも高い効率を発揮しうる容積型圧縮機を提供することを目的とする。

    すなわち、本発明は、
    作動室を有する圧縮機構と、
    前記圧縮機構を動かすモータと、
    圧縮するべき作動流体を前記作動室に導く吸入経路と、
    前記作動室から前記吸入経路へと作動流体を戻す帰還経路と、
    前記帰還経路に設けられ、前記圧縮機構の吸入容積を相対的に小さくすべきときには前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを許容し、前記吸入容積を相対的に大きくすべきときには前記帰還経路を通じて前記作動室から前記吸入経路へと作動流体が戻ることを禁止する可変容積機構と、
    前記モータを駆動するインバータと、
    前記吸入容積の減少を前記モータの回転数の増加で補償するように前記可変容積機構及び前記インバータを制御する制御部と、
    を備えた、容積型圧縮機を提供する。

    本発明によれば、帰還経路を使用して作動室から吸入経路へと作動流体を戻すことにより、相対的に小さい吸入容積で容積型圧縮機を運転できる。 他方、作動室から吸入経路へと作動流体が戻ることを禁止すれば、相対的に大きい吸入容積、つまり通常の吸入容積で容積型圧縮機を運転できる。 さらに、本発明によれば、吸入容積の減少をモータの回転数の増加で補償するように可変容積機構及びインバータが制御される。 すなわち、モータを低い回転数で駆動する代わりに、吸入容積を減らす。 従って、負荷が小さいときにも高い効率を発揮しうる容積型圧縮機を提供できる。

    本発明の第1実施形態に係るロータリ圧縮機の縦断面図

    図1に示すロータリ圧縮機のII-II線に沿った横断面図

    図1に示すロータリ圧縮機の動作原理図

    シャフトの回転度と吸入室の容積との関係を示すグラフ

    シャフトの回転角度と圧縮−吐出室の容積との関係を示すグラフ

    可変容積機構(開閉弁)及びインバータの制御フローチャート

    可変容積機構(開閉弁)及びインバータの別の制御フローチャート

    ロータリ圧縮機の能力、圧縮機構の吸入容積、開閉弁の状態及びモータの回転数の関係を示すグラフ

    ロータリ圧縮機の能力とロータリ圧縮機の効率との関係を示すグラフ

    シャフトの回転角度と吸入経路における冷媒の流速との関係を示すグラフ

    シャフトの回転角度と帰還経路における冷媒の流速との関係を示すグラフ

    シャフトの回転角度とアキュームレータの導入管における冷媒の流速との関係を示すグラフ

    第2実施形態に係るロータリ圧縮機の縦断面図

    図9に示すロータリ圧縮機のXX線に沿った横断面図

    帰還経路と第1作動室との接続位置の変形例を示す横断面図

    第3実施形態に係るロータリ圧縮機の縦断面図

    第4実施形態に係るロータリ圧縮機の縦断面図

    第5実施形態に係るロータリ圧縮機の縦断面図

    図14に示すロータリ圧縮機の低容積モードにおける部分拡大断面図

    図14に示すロータリ圧縮機の高容積モードにおける部分拡大断面図

    第6実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図

    第7実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図

    本実施形態のロータリ圧縮機を用いた冷凍サイクル装置の構成図

    従来の空気調和装置の構成図

    以下、本発明のいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。 なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではない。 容積型圧縮機の型式は特に限定されない。 容積型圧縮機として、例えば、ロータリ圧縮機、スクロール圧縮機、往復動圧縮機、スクリュー圧縮機及び斜板圧縮機が挙げられる。 本明細書では、ロータリ圧縮機及びスクロール圧縮機の実施形態を説明する。

    (第1実施形態)
    図1に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機100は、圧縮機本体40、アキュームレータ12、吐出経路11、吸入経路14、帰還経路16、可変容積機構30、インバータ42及び制御部44を備えている。

    圧縮機本体40は、密閉容器1、モータ2、ロータリ圧縮機構3及びシャフト4を備えている。 圧縮機構3は、密閉容器1内の下方に配置されている。 モータ2は、密閉容器1内において、圧縮機構3の上方に配置されている。 シャフト4によって、圧縮機構3とモータ2とが連結されている。 密閉容器1の上部には、モータ2に電力を供給するための端子21が設けられている。 密閉容器1の底部には、潤滑油を保持するためのオイル溜り22が形成されている。 圧縮機本体40は、いわゆる密閉型圧縮機の構造を有する。

    吐出経路11、吸入経路14及び帰還経路16は、それぞれ、冷媒管で構成されている。 吐出経路11は、密閉容器1の上部を貫通しているとともに、密閉容器1の内部で開口している。 吐出経路11は、圧縮された作動流体(典型的には冷媒)を圧縮機本体40の外部に導く役割を担う。 吸入経路14は、圧縮機構3に接続された一端と、アキュームレータ12に接続された他端とを有し、密閉容器1の胴部を貫通している。 吸入経路14は、圧縮するべき冷媒をアキュームレータ12から圧縮機構3の作動室25に導く役割を担う。 帰還経路16は、吸入経路14とは異なる位置で圧縮機構3に接続された一端と、アキュームレータ12に接続された他端とを有し、密閉容器1の胴部を貫通している。 帰還経路16は、圧縮機構3の作動室25に一旦吸入された冷媒を圧縮前に吸入経路14へと戻す役割を担う。

    圧縮機構3は、容積型の流体機構であり、冷媒を圧縮するようにモータ2によって動かされる。 図1及び図2に示すように、圧縮機構3は、シリンダ5、ピストン8、ベーン9、バネ10、上軸受6及び下軸受7で構成されている。 シリンダ5の内部には、自身の外周面とシリンダ5の内周面との間に作動室25が形成されるように、シャフト4の偏心部4aに嵌め合わされたピストン8が配置されている。 シリンダ5には、ベーン溝24が形成されている。 ベーン溝24には、ピストン8の外周面に接する先端を有するベーン9が収納されている。 バネ10は、ベーン9をピストン8に向かって押すようにベーン溝24に配置されている。 上軸受6及び下軸受7は、シリンダ5を閉じるようにシリンダ5の上側及び下側にそれぞれ設けられている。 シリンダ5とピストン8との間の作動室25はベーン9によって仕切られ、これにより、吸入室25a及び圧縮−吐出室25bが形成されている。 圧縮するべき冷媒は、吸入経路14及び吸入ポート27を通じて作動室25(吸入室25a)に導かれる。 圧縮された冷媒が作動室25(圧縮−吐出室25b)から密閉容器1の内部空間28に導かれるように、上軸受6に吐出ポート29が形成されている。 吐出ポート29には、図示しない吐出弁が設けられている。 なお、ベーン9は、ピストン8に一体化されていてもよい。 すなわち、ピストン8及びベーン9がいわゆるスイングピストンで構成されていてもよい。

    モータ2は、ステータ17及びロータ18で構成されている。 ステータ17は、密閉容器1の内周面に固定されている。 ロータ18は、シャフト4に固定されており、かつシャフト4とともに回転する。 モータ2により、シリンダ5の内部でピストン8が動かされる。 モータ2として、IPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Mortar)及びSPMSM(Surface Permanent Magnet Synchronous Mortar)等の回転数を変更可能なモータを使用できる。

    制御部44は、インバータ42を制御してモータ2の回転数、すなわち、ロータリ圧縮機100の回転数を調節する。 制御部44として、A/D変換回路、入出力回路、演算回路、記憶装置等を含むDSP(Digital Signal Processor)を使用できる。

    アキュームレータ12は、蓄積容器12a及び導入管12bで構成されている。 蓄積容器12aは、液冷媒及びガス冷媒を保持できる内部空間を有する。 導入管12bは、蓄積容器12aの上部を貫通しており、かつ蓄積容器12aの内部空間に向かって開口している。 蓄積容器12aの底部を貫通する形で、吸入経路14及び帰還経路16がアキュームレータ12にそれぞれ接続されている。 吸入経路14及び帰還経路16は、蓄積容器12aの底部から上方に延びており、一定の高さで蓄積容器12aの内部空間に向かって開口している。 すなわち、アキュームレータ12の内部空間を介して、帰還経路16が吸入経路14に接続されている。 なお、導入管12bから吸入経路14に液冷媒が直接進むことを確実に防ぐために、バッフル等の他の部材が蓄積容器12aの内部に設けられていてもよい。

    可変容積機構30は帰還経路16に設けられている。 本実施形態では、可変容積機構30が開閉弁32及び逆止弁35で構成されている。 すなわち、本実施形態では、可変容積機構30が冷媒を減圧する能力を有していない。 また、吸入室25aに吸入された冷媒が圧縮−吐出室25bで実質的に圧縮されることなく、帰還経路16を通じて吸入経路14へと戻される。 従って、圧力損失による効率の低下が極めて小さい。 ただし、ロータリ圧縮機100の効率に大きな影響を及ぼさない範囲であれば、可変容積機構30が冷媒を減圧する能力を有していてもよい。 同様の理由により、圧縮−吐出室25bで圧縮された冷媒が帰還経路16を通じて吸入経路14に戻されてもよい。

    開閉弁32は、圧縮機本体40の外部において、帰還経路16に設けられている。 他方、逆止弁35は、圧縮機本体40の内部に設けられている。 図1及び図2に示すように、帰還経路16は、圧縮機構3の内部(詳細には、シリンダ5の内部)に形成された上流部分16hと、作動室25と上流部分16hとを連通する帰還ポート16pとを含む。 逆止弁35は、上流部分16hに設けられている。 逆止弁35によって、帰還経路16から作動室25への冷媒の流れが阻止されている。 逆止弁35によれば、電気的な制御に頼ることなく、比較的簡素な構造で帰還経路16から作動室25への冷媒の流れを阻止できる。

    図2に示すように、逆止弁35は、弁体36、ガイド37及びバネ38で構成されている。 弁体36は、2つの面を有する薄い金属板でできており、帰還ポート16pを閉じる第1位置と、帰還ポート16pを開く第2位置との間を往復できるように、ガイド37の内側に配置されている。 弁体36の一方の面は帰還ポート16pに向かい合っており、他方の面はバネ38に向かい合っている。 バネ38は、弁体36を帰還ポート16pに向けて押している。 弁体36とガイド37との間には適切な広さの隙間が形成されている。 弁体36が帰還ポート16pから離れたとき、言い換えれば、弁体36が第2位置を占有したとき、作動室25が帰還経路16の上流部分16hに連通する。 弁体36が帰還ポート16pに接したとき、言い換えれば、弁体36が第1位置を占有したとき、作動室25は帰還経路16の上流部分16hから隔離される。

    可変容積機構30は、ロータリ圧縮機100の吸入容積(閉じ込め容積)を変更する役割を担う。 ロータリ圧縮機100の吸入容積を相対的に小さくすべきときには帰還経路16を通じて作動室25(詳細には圧縮−吐出室25b)から吸入経路14へと圧縮前の冷媒が戻ることを許容する。 具体的には、開閉弁32を開く。 他方、吸入容積を相対的に大きくすべきときには帰還経路16を通じて作動室25から吸入経路14へと圧縮前の冷媒が戻ることを禁止する。 具体的には、開閉弁32を閉じる。 開閉弁32が開いているとき、ロータリ圧縮機100は低容積モードで運転される。 開閉弁32が閉じているとき、ロータリ圧縮機100は高容積モードで運転される。

    可変容積機構30を制御してロータリ圧縮機100の運転モードが高容積モードから低容積モードへと切り替わったとき、吸入容積の減少をモータ2の回転数の増加で補償するようにインバータ42が制御される。 これにより、低い能力が必要なとき(負荷が小さいとき)にもモータ2の回転数を極端に下げずに済む。 すなわち、低い能力が必要なときにも高い効率を発揮しうる回転数でモータ2を駆動できる。 従って、ロータリ圧縮機100の効率も向上する。

    図2に示すように、帰還経路16の上流部分16h及び帰還ポート16pは、シャフト4の回転角度で180度の位置に形成されている。 本明細書では、ベーン9及びベーン溝24の位置をシャフト4の回転方向に沿った「0度」の基準位置と定義する。 言い換えれば、ベーン9がピストン8によってベーン溝24に最大限押し込まれた瞬間におけるシャフト4の回転角度を「0度」と定義する。

    高容積モードでは、圧縮−吐出室25bに閉じ込められた冷媒を圧縮する行程(圧縮行程)が0度の回転角度から始まる。 他方、低容積モードでは、圧縮−吐出室25bに閉じ込めた冷媒を帰還ポート16pから吐出する行程が0〜180度の期間において行われ、圧縮行程が180度の回転角度から始まる。 従って、高容積モードでの吸入容積をVとすると、低容積モードでの吸入容積はV/2である。 もちろん、変化させるべき吸入容積の比率に応じて、帰還ポート16p等の位置を適宜変更できる。 例えば、帰還ポート16pが90度の位置に形成されている場合、低容積モードでの吸入容積は{1+(1/2) 1/2 }V/2となる。

    次に、図3を参照して圧縮機構3の動きを説明する。

    図3は、シャフト4及びピストン8が反時計回りに回転する様子を表している。 シャフト4の回転に伴って吸入室25aの容積は増加する。 図3の左上図に示すように、シャフト4が一回転すると吸入室25aの容積は最大になる。 その後、吸入室25aは圧縮−吐出室25bへと変化する。 シャフト4の回転に伴って圧縮−吐出室25bの容積は減少する。 図4A及び図4Bに示すように、吸入室25aの容積が点A、点B及び点Cに沿って増加するとき、圧縮−吐出室25bの容積は点D、点E及び点Fに沿って減少する。

    開閉弁32が開いている場合、図3の右上図に示すように、圧縮−吐出室25bの容積の減少に伴って逆止弁35が開き、冷媒が帰還ポート16pを通って圧縮−吐出室25bの外に吐出される。 吐出された冷媒は、帰還経路16を通って吸入経路14へと戻される。 そのため、圧縮−吐出室25bの圧力は上昇しない。 図3の右下図に示すように、シャフト4の回転角度が180度に達すると、圧縮−吐出室25bが帰還経路16から隔離され、圧縮−吐出室25bで冷媒が圧縮され始める。 すなわち、圧縮機構3の吸入容積は「V/2」である。 圧縮行程は、圧縮−吐出室25bの圧力が密閉容器1の内部空間28の圧力に達するまで継続する。 圧縮−吐出室25bの圧力が内部空間28の圧力に達した後、シャフト4の回転角度が360度(0度)に達するまで、吐出行程が行われる。 図3の左下図及び左上図に示すように、シャフト4が1回転すると圧縮−吐出室25bの容積はゼロになる。

    開閉弁32が閉じている場合、冷媒は、帰還経路16を通って作動室25から吸入経路14へと戻ることができない。 そのため、圧縮機構3の吸入容積は「V」であり、吸入行程が終了したら直ちに圧縮行程が始まる。 このとき、帰還ポート16pから開閉弁32までの帰還経路16の部分、すなわち、帰還経路16の上流部分16hは、比較的高い圧力を有する。 なぜなら、開閉弁32を閉じると、中間圧まで圧縮された冷媒が上流部分16hに徐々に蓄積されるからである。 圧縮−吐出室25bの圧力が上流部分16hの圧力よりも低い場合には、逆止弁35により帰還経路16から圧縮−吐出室25bへの冷媒の逆流が防止される。 すなわち、開閉弁32から見て作動室25の側に逆止弁35が設けられているので、帰還経路16がデッドボリュームとなることを回避できる。 本実施形態では、シリンダ5の内部に形成された上流部分16hに逆止弁35が設けられているので、帰還経路16によるデッドボリュームは実質的にゼロである。

    次に、図5Aを参照して、制御部44による可変容積機構30(開閉弁32)及びインバータ42の制御手順を説明する。

    ステップS1において、要求された能力に応じてモータ2の回転数を調節する。 具体的には、必要な冷媒流量が得られるようにモータ2の回転数を調節する。 次に、ステップS2及びステップS6において、モータ2の回転数を下げたのか又は上げたのかを判断する。 ステップS1で回転数を下げる処理を行っている場合には、ステップS3に進み、現在の回転数が30Hz以下かどうかを判断する。 現在の回転数が30Hz以下であれば、ステップS4において、開閉弁32が閉じているかどうかを判断する。 開閉弁32が閉じている場合、ステップS5において、開閉弁32を開く処理と、モータ2の回転数を現在の回転数の2倍の回転数に上げる処理とを実行する。 ステップS5における各処理の順序は特に限定されないが、開閉弁32を開くのと概ね同時にモータ2の回転数を上げることができる。

    他方、ステップS1で回転数を上げる処理を行っている場合には、ステップS7に進み、現在の回転数が70Hz以上かどうかを判断する。 現在の回転数が70Hz以上であれば、ステップS8において、開閉弁32が開いているかどうかを判断する。 開閉弁32が開いている場合、ステップS9において、開閉弁32を閉じる処理と、モータ2の回転数を現在の回転数の1/2倍の回転数まで下げる処理とを実行する。 ステップS9における各処理の順序は特に限定されないが、開閉弁32を閉じるのと概ね同時にモータ2の回転数を下げることができる。

    図5Aのフローチャートに沿った制御を行うことにより、開閉弁32の状態とモータ2の回転数との関係は、図6に示すように、ヒステリシスを持ったものとなる。 このような制御によれば、圧縮機構3のハンチングを防止できる。

    開閉弁32を閉じた状態、すなわち、帰還経路16を通じて作動室25から吸入経路14へと冷媒が戻ることを禁止した高容積モードでの圧縮機構3の吸入容積は「V」である。 高容積モードで運転中にモータ2の回転数が高回転側から第1回転数(例えば30Hz)以下に低下した場合に、制御部44は、吸入容積を減らすための開閉弁32に関する処理とモータ2の回転数を上げるためのインバータ42に関する処理とを実行する。 吸入容積を減らすための開閉弁32に関する処理とは、開閉弁32を開く処理である。 モータ2の回転数を上げるためのインバータ42に関する処理とは、モータ2の目標回転数を直近の回転数の2倍に設定する処理である。

    また、制御部44は、吸入容積の増加をモータ2の回転数の減少で補償するように開閉弁32及びインバータ42を制御する。 開閉弁32を開いた状態、すなわち、帰還経路16を通じて作動室25から吸入経路14へと冷媒が戻ることを許容した低容積モードでの圧縮機構3の吸入容積は「V/2」である。 低容積モードで運転中にモータ2の回転数が第2回転数(例えば70Hz)以上に上昇した場合に、制御部44は、吸入容積を増やすための開閉弁32に関する処理とモータ2の回転数を下げるためのインバータ42の処理とを実行する。 吸入容積を増やすための開閉弁32に関する処理とは、開閉弁32を閉じる処理である。 モータ2の回転数を下げるためのインバータ42に関する処理とは、モータ2の目標回転数を直近の回転数の1/2倍に設定する処理である。

    図6に示すように、開閉弁32を閉じた状態でモータ2の回転数が30Hzまで低下すると、開閉弁32を開き、モータ2の回転数を60Hzに上げる。 開閉弁32を開いた状態でモータ2の回転数が70Hzまで上昇すると、開閉弁32を閉じ、モータ2の回転数を35Hzに下げる。 開閉弁32を開いてモータ2の回転数を上げたときのその回転数を第3回転数、開閉弁32を閉じてモータ2の回転数を下げたときのその回転数を第4回転数とすると、(第1回転数)<(第4回転数)、(第3回転数)<(第2回転数)の関係が成立している。 例えば、第1回転数を30Hz以下の回転数に設定することで、ロータリ圧縮機100をより幅広い能力で運転することが可能となる。 第1回転数の下限は特に限定されないが、例えば20Hzである。

    運転モードの切り替えを行ったとき、モータ2の回転数は、高容積モードでの吸入容積VHに対する低容積モードでの吸入容積VLの比率(VL/VH)に応じて調節されうる。 高容積モードから低容積モードへと切り替わるとき、モータ2の回転数(目標回転数)は、モード切り替えの直前におけるモータ2の回転数を比率(VL/VH)で除した回転数に設定される。 同様に、低容積モードから高容積モードへと切り替わるとき、モータ2の回転数は、モード切り替えの直前におけるモータ2の回転数に比率(VL/VH)を乗じた回転数に設定される。 このようにすれば、高容積モードと低容積モードとの間の運転モードの切り替えをスムーズに行うことができる。

    なお、吸入容積の減少によるロータリ圧縮機100の能力の減少をモータ2の回転数の増加によるロータリ圧縮機100の能力の増加で100%補償することは必須ではない。 図6に示す例では、開閉弁32を開いて吸入容積を1/2に減らしたとき、モータ2の回転数を2倍に増やしているので、モード切り替えによってロータリ圧縮機100の能力が変化していない。 しかし、モード切り替えが原因でロータリ圧縮機100の能力が増減したとしても特に問題ない。

    ロータリ圧縮機100の停止中に帰還経路16の上流部分16hに冷媒が閉じ込められることを防ぐために、開閉弁32を開いた状態でロータリ圧縮機100を停止してもよい。 開閉弁32として、ノーマリーオープン弁を使用できる。 逆止弁35は、薄い金属板で作られたリード及びストッパを備えた公知のリード弁であってもよい。

    次に、開閉弁32及びインバータ42の別の制御手順について説明する。

    高容積モードでモータ2の回転数を第1回転数(例えば30Hz)まで下げたとしても冷媒の流量が過剰である場合に、吸入容積を減らすための開閉弁32に関する処理とモータ2の回転数を上げるためのインバータ42に関する処理とを実行するように制御部44が構成されていてもよい。 つまり、モータ2の回転数を実際に第1回転数まで下げる前にモード切り替えの要否を判断するように、制御部44が構成されていてもよい。 同様に、低容積モードでモータ2の回転数を第2回転数(例えば70Hz)まで上げたとしても冷媒の流量が足りない場合に、吸入容積を増やすための開閉弁32に関する処理とモータ2の回転数を下げるためのインバータ42に関する処理とを実行するように制御部44が構成されていてもよい。 つまり、モータ2の回転数を実際に第2回転数まで上げる前にモード切り替えの要否を判断するように、制御部44が構成されていてもよい。 このような制御の例について、図5Bを参照して説明する。

    図5Bに示すように、まず、ステップS11でモータ2の必要な回転数を算出する。 「必要な回転数」は、例えば、必要な冷媒流量を得るための回転数を意味する。 次に、ステップS12において、必要な回転数が第1回転数(例えば30Hz)以下かどうかを判断する。 必要な回転数が第1回転数以下である場合、ステップS13において、開閉弁32が閉じているかどうかを判断する。 開閉弁32が閉じている場合、ステップS15において、開閉弁32を開くとともに、モータ2の回転数を必要な冷媒流量を得ることができる回転数に調節する。 開閉弁32が開いている場合、ステップS14でモータ2の回転数のみを調節する。

    他方、必要な回転数が第1回転数よりも大きい場合、ステップS16において、必要な回転数が第2回転数(例えば70Hz)以上かどうかを判断する。 必要な回転数が第2回転数以上である場合、ステップS17において、開閉弁32が開いているかどうかを判断する。 開閉弁32が開いている場合、ステップS18において、開閉弁32を閉じるとともに、モータ2の回転数を必要な冷媒流量を得ることができる回転数に調節する。 開閉弁32が閉じている場合、ステップS19でモータ2の回転数のみを調節する。

    図5A又は図5Bを参照して説明した制御を行うことにより、ロータリ圧縮機100は、図7に実線で示すように、低い能力が必要なとき(負荷が小さいとき)にも高い効率を発揮しうる。 図7において、ロータリ圧縮機100の定格能力を「100%」とする。 ロータリ圧縮機100の効率は、定格能力を基準とすると、発揮すべき能力の減少、すなわちモータ2の回転数の低下に伴って低下する。 破線で示すように、モータ2を定格回転数の50%の回転数以下で駆動したときに、効率の低下が顕著となる。 本実施形態では、相対的に低い能力が必要なときには吸入容積V/2の低容積モードで運転を行う。 これにより、モータ2をなるべく定格回転数に近い回転数で駆動することができる。 従って、必要な能力が定格能力の50%以下の領域においても、ロータリ圧縮機100は優れた効率を発揮できる。

    次に、アキュームレータ12の内部空間を介して帰還経路16が吸入経路14に連通していることに基づく効果を説明する。

    吸入経路14に存在する冷媒は、基本的に、全て吸入室25aに吸入される。 そのため、図8Aに示すように、吸入経路14における冷媒の流速は、吸入室25aの容積(図4A参照)の変化率に比例して変化する。 具体的には、吸入経路14における冷媒の流速は、理論的には、シャフト4の回転角度に対して正弦波のプロファイルを示す。

    開閉弁32が開いている場合、シャフト4の回転角度が0〜180度の期間において、圧縮−吐出室25bの冷媒が帰還ポート16pを通じて帰還経路16に吐出される。 圧縮−吐出室25bから帰還経路16に吐出される冷媒の量は、0〜180度の期間における圧縮−吐出室25bの容積の減少量に等しい。 図8Bに示すように、帰還経路16における冷媒の流速は、シャフト4の回転角度が0〜180度の期間に限り、圧縮−吐出室25bの容積(図4B参照)の変化率に比例して変化する。 具体的には、帰還経路16における冷媒の流速は、理論的には、0〜180度の期間で正弦波のプロファイルを示し、180〜360度の期間でゼロとなる。

    アキュームレータ12には、導入管12b及び帰還経路16の両方から冷媒が流入する。 アキュームレータ12に流入した冷媒は、吸入経路14にのみ進むことができる。 従って、アキュームレータ12の導入管12bにおける冷媒の流速は、吸入経路14における冷媒の流速と、帰還経路16における冷媒の流速との差に概ね一致する。 具体的には、図8Cに示すように、導入管12bにおける冷媒の流速は、理論的には、180〜360度の期間で正弦波のプロファイルを示し、0〜180度の期間でゼロとなる。

    シャフト4の回転角度が180度のとき、帰還経路16の冷媒の流れは、最大流速vからゼロまで急減する。 また、シャフト4の回転角度が180度のとき、導入管12bの冷媒の流れは、ゼロから最大流速vまで急増する。 このような急激な流速の変化は、撃の発生を助長し、吸入経路14及び帰還経路16を構成している配管の振動による信頼性の低下、騒音の発生といった問題を引き起こす可能性がある。 さらに、吸入経路14に伝わった圧力波が吸入室25aの体積効率を低下させ、これによりロータリ圧縮機100の効率が低下する可能性もある。 しかし、本実施形態では、アキュームレータ12の内部空間を介して、帰還経路16が吸入経路14に接続されている。 この構成によれば、水撃の発生を防止できるので、振動、騒音及び効率の低下を効果的に抑制できる。

    (第2実施形態)
    図9に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機200は、第1実施形態で説明した圧縮機構3に加えて、第2圧縮機構33を備えている。 以下、第1実施形態で説明した圧縮機構3の要素に「第1」を付して標記する。 例えば、シリンダ5を第1シリンダ5、ピストン8を第1ピストン8、ベーン9を第1ベーン9、作動室25を第1作動室25、圧縮機構3を第1圧縮機構3と標記する。 以下において、先に説明した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。

    図9及び図10に示すように、第2圧縮機構33は、第2シリンダ55、第2ピストン58、第2ベーン59及び第2バネ60で構成されている。 第2シリンダ55は、第1シリンダ5に対して同心状に配置されている。 第2シリンダ55の内部には、自身の外周面と第2シリンダ55の内周面との間に第2作動室75が形成されるように、シャフト4の第2偏心部4bに嵌め合わされた第2ピストン58が配置されている。 第2シリンダ55には、第2ベーン溝64が形成されている。 第2ベーン溝64には、第2ピストン58の外周面に接する先端を有する第2ベーン59が収納されている。 第2バネ60は、第2ベーン59を第2ピストン58に向かって押すように第2ベーン溝64に配置されている。 第2シリンダ55と第2ピストン58との間の第2作動室75は第2ベーン59によって仕切られ、これにより、第2吸入室75a及び第2圧縮−吐出室75bが形成されている。 圧縮するべき冷媒は、第2吸入経路15及び第2吸入ポート77を通じて第2作動室75(第2吸入室75a)に導かれる。 圧縮された冷媒が第2作動室75(第2圧縮−吐出室75b)から密閉容器1の内部空間28に導かれるように、上軸受6に第2吐出ポート79が形成されている。 第2吐出ポート79には、図示しない吐出弁が設けられている。

    下軸受7は、第1圧縮機構3で圧縮された冷媒を受け入れることができる内部空間を有するマフラ23で覆われている。 第1圧縮機構3の第1吐出ポート29は、下軸受7に形成されている。 第1圧縮機構3で圧縮された冷媒がマフラ23の内部空間から密閉容器1の内部空間28へと移動するように、下軸受7、第1シリンダ5、中板53、第2シリンダ55及び上軸受6を貫通する流路26が形成されている。

    第1偏心部4aの突出方向は、第2偏心部4bの突出方向と180度ずれている。 つまり、第1ピストン8の位相が第2ピストン58の位相とシャフト4の回転角度で180度ずれている。

    第1圧縮機構3に対して、第1吸入経路14を通じて冷媒が供給される。 第2圧縮機構33に対して、第2吸入経路15を通じて冷媒が供給される。 冷媒は、第1圧縮機構3又は第2圧縮機構33で圧縮され、密閉容器1の内部空間28に吐出される。 第1吸入経路14及び第2吸入経路15は、それぞれ、アキュームレータ12に接続されている。 なお、アキュームレータ12の内部又は外部において、吸入経路14及び15の一方が他方から分岐していてもよい。

    図9及び図10に示すように、第2圧縮機構33に帰還経路16は接続されていないので、第2圧縮機構33の吸入容積は常に一定である。 第1圧縮機構3の吸入容積のみを変更できるように、帰還経路16が第1圧縮機構3にのみ接続されている。 第1圧縮機構3の吸入容積のみを変更できるようにすることで、ロータリ圧縮機200の生産コストを抑制できる。 もちろん、圧縮機構3及び33の各吸入容積を変更できるように、帰還経路16が圧縮機構3及び33のそれぞれに接続されていてもよい。

    本実施形態では、第1圧縮機構3がモータ2から遠い側に配置され、第2圧縮機構33がモータ2に近い側に配置されている。 すなわち、シャフト4の軸方向に沿って、モータ2、第2圧縮機構33及び第1圧縮機構3がこの順番で並んでいる。 第2圧縮機構33は、一定の吸入容積を有しているので、低容積モードにおいても大きい負荷トルクを必要とする。 従って、第2圧縮機構33がモータ2から近い側に配置されていると、低容積モードでシャフト4に加わる荷重が軽減され、これにより、軸受6及び7等における損失を低減できる。 また、低容積モードで小さい吸入容積を有する第1圧縮機構3が下側に配置されていると、圧縮された冷媒がマフラ23を通じて密閉容器1の内部空間28へと流れることによって発生する圧力損失を低減できる。 ただし、第1圧縮機構3及び第2圧縮機構33の位置関係は、上記の関係に限定されない。

    第1実施形態で説明したように、帰還ポート16pを180度の位置に形成した場合、第1圧縮機構3の吸入容積として、「V」又は「V/2」を選択できる。 さらに、第2圧縮機構33の吸入容積が「V」のとき、圧縮機構3及び33の吸入容積の合計として、「2V」又は「1.5V」を選択できる。

    他方、帰還経路16を通じて第1作動室25から第1吸入経路14へと冷媒が戻ることを許容した低容積モードにおいて、第1圧縮機構3の吸入容積を実質的にゼロにすることもできる。 具体的には、図11に示すように、帰還ポート16pが第1吐出ポート29に近い位置に形成されていてもよい。 この構成によれば、低容積モードにおいて、第1吸入室25aに吸入された冷媒の略全部が圧縮されることなく帰還経路16を通じてアキュームレータ12に戻される。 つまり、第1圧縮機構3の機能をキャンセルすることができる。 低容積モードにおける圧縮機構3及び33の吸入容積の合計は、第2圧縮機構33の吸入容積Vに等しい。

    なお、「第1圧縮機構3の吸入容積を実質的にゼロにする」とは、第1圧縮機構3の吸入容積が完全にゼロであることを必ずしも意味しない。 例えば、高容積モードでの吸入容積がVであるとき、低容積モードでの吸入容積が{1−(1/2) 1/2 }V/2未満、好ましくはV/10未満となるように、帰還ポート16pの位置を決定することができる。 この構成によれば、低容積モードで第1圧縮機構3が冷媒に対して圧縮仕事を行っておらず、その機能が失われていると言える。

    (第3実施形態)
    図12に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機300は、第1実施形態のロータリ圧縮機100から逆止弁35を省略したものである。 第1及び第2実施形態では、可変容積機構30が開閉弁32及び逆止弁35で構成されている。 逆止弁35はデッドボリュームの低減に貢献するが、吸入容積の変更に直接関与していない。 従って、本実施形態のように、可変容積機構30が開閉弁32だけで構成されていたとしても、圧縮機構3の吸入容積を変更することができる。

    (第4実施形態)
    図13に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機400は、可変容積機構30として、帰還ポート16pを直接開閉できる弁80(電磁弁80)を備えている。 その他の構成は、第1実施形態の説明した通りである。

    電磁弁80は、プランジャ81、コイル83及びハウジング85で構成されている。 ハウジング85は、帰還経路16の上流部分としての内部流路85hと、作動室25に向かって開口している帰還ポート16pとを有している。 プランジャ81は、内部流路85hに沿って前進及び後退できるようにハウジング85に収容されている。 コイル83に通電すると、プランジャ81がシャフト4から遠ざかる方向に移動し、帰還ポート16pが開く。 これにより、冷媒は、帰還経路16を通じて作動室25から吸入経路14へと戻ることができる。 コイル83への通電を中止すると、プランジャ81がシャフト4に接近する方向に押し出され、プランジャ81の先端で帰還ポート16pが閉じられる。

    低容積モードでは、コイル83に通電して帰還ポート16pを開く。 高容積モードでは、コイル83への通電を中止して帰還ポート16pを閉じる。 帰還ポート16pをプランジャ81で直接開閉するので、帰還ポート16pを閉じたときのデッドボリュームは概ねゼロである。 すなわち、本実施形態の電磁弁80によれば、高容積モードと低容積モードとの切り替えだけでなく、高容積モードにおいて中間圧の冷媒が吸入室25aに逆流及び再膨張することも防止できる。 また、本実施形態によれば、低容積モードで帰還ポート16pが常時開いた状態となるため、吸入ポート27及び帰還ポート16pの両方から吸入室25aに圧縮するべき冷媒を供給できる。 このことは、吸入行程での圧力損失を低減する観点から好ましい。 この効果は、第3及び第5実施形態でも得られる。

    また、シャフト4の回転と同期して帰還ポート16pが開閉するようにソレノイド83を制御してもよい。 すなわち、帰還ポート16pの開閉時期を調節することで、圧縮機構3の吸入容積を多段階で、又は連続的に変化させることができる。 例えば、シャフト4の回転角度が0〜90度の期間において、帰還経路16に冷媒が流入できるようにコイル83に通電する。 シャフト4の回転角度が90〜360度の期間において、コイル83への通電を中止する。 このようにすれば、上記した高容積モード及び低容積モードに加えて、中容積モードでロータリ圧縮機400を運転できる。

    (第5実施形態)
    図14に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機500は、第1実施形態のロータリ圧縮機100のものと異なる構造の可変容積機構30を有している。 その他の構成は、第1実施形態で説明した通りである。

    ロータリ圧縮機500は、可変容積機構30として、三方弁90、容積制御弁91及び高圧経路92を有している。 帰還経路16は、圧縮機構3の内部(詳細には、シリンダ5の内部)に形成された上流部分16hと作動室25に向かって開口している帰還ポート16pとを有する。 帰還ポート16pを開閉できるように、上流部分16hに容積制御弁91が配置されている。 高圧経路92は、三方弁90に接続された一端と、オイル溜り22に接続された他端とを有する。 高圧経路92は、圧縮された冷媒の圧力に等しい圧力を容積制御弁91に供給するための経路である。 本実施形態のロータリ圧縮機500は、圧縮された冷媒で密閉容器1の内部空間28が満たされる、いわゆる高圧シェル型の圧縮機である。 オイル溜り22には、圧縮された冷媒の圧力に略等しい圧力を有するオイルが保持されている。 三方弁90は、吸入経路14と高圧経路92とのいずれかを帰還経路16の上流部分16hに接続できるように構成されている。 三方弁90を制御することにより、高容積モードと低容積モードとのいずれかのモードでロータリ圧縮機500を運転できる。

    図15A及び図15Bに示すように、容積制御弁91は、プランジャ96及びバネ97を含む。 プランジャ96は、帰還ポート16pに向かい合っている底面を有する筒の形状を有しており、筒状の上流部分16hにスライドできるように配置されている。 バネ97は、プランジャ96の内側に結合されており、プランジャ96に対し、帰還ポート16pから離れる方向の力を付与している。 帰還経路16の上流部分16hには、溝16gがプランジャ96の外周面に沿って形成されている。 溝16gは、プランジャ96のスライド方向に沿って延びているとともに、スライド方向に関して、プランジャ96の長さよりも長い寸法を有する。

    図15Aに示すように、低容積モードでは、吸入経路14が帰還経路16の上流部分16hに連通するように三方弁90を制御する。 すると、プランジャ96が帰還ポート16pから離れ、帰還ポート16p及び溝16gを通じて、作動室25から帰還経路16へと冷媒が流れることができる。 すなわち、三方弁90によって吸入経路14が帰還経路16の上流部分16hに接続されているときに容積制御弁91が開いて作動室25から吸入経路14への冷媒の流れが許容される。

    他方、図15Bに示すように、高容積モードでは、高圧経路92が帰還経路16の上流部分16hに連通するように三方弁90を制御する。 すると、オイル溜り22のオイルの圧力がプランジャ96の背面に作用し、バネ97の力よりも大きい力でプランジャ96が帰還ポート16pに押し付けられ、作動室25から帰還経路16へと冷媒が流れることができない状態となる。 すなわち、三方弁90によって高圧経路92が帰還経路16の上流部分16hに接続されているときに容積制御弁91が閉じて作動室25から吸入経路14への冷媒の流れが禁止される。

    第1実施形態で説明したように、逆止弁35を採用した場合は、逆止弁35がシャフト4の回転に同期して開閉する。 これに対し、本実施形態で採用された容積制御弁91は、常に開いた状態、又は常に閉じた状態となる。 そのため、振動、騒音及び圧力損失の低減に有利である。 また、本実施形態においても、容積制御弁91が帰還ポート16pを直接開閉するように構成されているので、デッドボリュームの問題を解決できる。

    本実施形態において、高圧経路92は、オイル溜り22に接続された(開口した)一端を有する。 容積制御弁91に高圧を供給する目的を達成するためには、高圧経路92の一端は、密閉容器1の内部空間28のどの部分に接続されていてもよい。 また、ロータリ圧縮機500を冷凍サイクル装置に使用した場合には、高圧経路92が冷媒回路の高圧部分(例えば、ロータリ圧縮機500と放熱器との間の部分)に接続されていてもよい。 ただし、本実施形態によれば、プランジャ96に高圧を作用させて容積制御弁91を閉じる場合に、オイルによるシール効果が得られる。 このことは、冷媒の漏れによる効率の低下を防止する観点で好ましい。 本実施形態によれば、帰還経路16の上流部分16hに液冷媒が蓄積して冷媒量が不足することを防止できる。 帰還経路16の上流部分16hがオイルで満たされていたとしても、温度変化に対するオイルの体積変化は小さい。 そのため、帰還経路16の上流部分16hにオイルが閉じ込められた状態でロータリ圧縮機500を停止しても不具合は生じない。 もちろん、吸入経路14が帰還経路16の上流部分16hに連通した状態でロータリ圧縮機500を停止してもよい。

    (第6実施形態)
    図16に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機600は、スクロール圧縮機構603を備えている。 圧縮機構603は、旋回スクロール607、固定スクロール608、オルダムリング611、軸受部材610及びマフラ616を備えている。 旋回スクロール607及び固定スクロール608は、それぞれ、渦巻き形状のラップ627及び628を有する。 ラップ627とラップ628との間には、三日月形状の作動室612が形成されている。 旋回スクロール607は、シャフト4の偏心軸4aに嵌合されているとともに、オルダムリング611によってその自転運動が禁止されている。 固定スクロール608の中央部には、吐出ポート638が形成されている。 固定スクロール608及び軸受部材610には、これらを貫通するように流路617が形成されている。

    シャフト4が回転すると、ラップ627がラップ628に噛み合いながら旋回スクロール607が旋回運動を行う。 作動室612が外側から内側に移動しながらその容積を縮小する。 これにより、吸入経路14から吸入された冷媒が圧縮される。 圧縮された冷媒は、吐出ポート638、マフラ616の内部空間619及び流路617をこの順に経由して密閉容器1の内部空間28に吐出される。 内部空間28に吐出された冷媒は、その後、吐出経路11を通じて圧縮機600の外部へと導かれる。

    スクロール圧縮機600は、第1実施形態で説明した可変容積機構30を有している。 本実施形態では、帰還経路16の上流部分16hが圧縮機構603の内部、詳細には、固定スクロール608の内部に形成されている。 固定スクロール608には、また、作動室612を帰還経路16に連通できるように帰還ポート16pが形成されている。 逆止弁35は、帰還ポート16pを開閉できるように固定スクロール608に取り付けられている。 ロータリ圧縮機100と同じように、帰還ポート16pの位置に応じて、高容積モードでの吸入容積に対する低容積モードでの吸入容積の比率が変化する。

    可変容積機構30の構成及び動作は、第1実施形態で説明した通りである。 高容積モードと低容積モードとを相互に切り替えるときの制御についても、第1実施形態で説明した通りである。 従って、スクロール圧縮機600によれば、ロータリ圧縮機100と同じ効果が得られる。 なお、本実施形態では、アキュームレータが設けられておらず、圧縮機構603の近くで帰還経路16が吸入経路14に直接接続されている。 ただし、先のいくつかの実施形態と同様に、アキュームレータが設けられていてもよい。

    (第7実施形態)
    図17に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機700は、三方弁90、容積制御弁91及び高圧経路92を含む可変容積機構30、すなわち、第5実施形態で説明した可変容積機構30を有している。 第6実施形態で説明したように、帰還経路16の上流部分16h及び帰還ポート16pは、固定スクロール608に形成されている。 容積制御弁91は、帰還ポート16pを開閉できるように固定スクロール608に取り付けられている。 スクロール圧縮機700において、可変容積機構30の構成及び動作は、第5実施形態で説明した通りである。 高容積モードと低容積モードとを相互に切り替えるときの制御についても、第5実施形態で説明した通りである。 従って、スクロール圧縮機700によれば、ロータリ圧縮機500と同じ効果が得られる。

    その他、図12及び図13を参照して説明した構成をスクロール圧縮機に適用することも可能である。

    (応用実施形態)
    図18に示すように、ロータリ圧縮機100を使用して冷凍サイクル装置800を構築できる。 冷凍サイクル装置800は、ロータリ圧縮機100、放熱器802、膨張機構804及び蒸発器806を備えている。 これらの機器は、冷媒回路を形成するように冷媒管によって上記の順番で接続されている。 放熱器802は、例えば空気−冷媒熱交換器で構成されており、ロータリ圧縮機100で圧縮された冷媒を冷却する。 膨張機構804は、例えば膨張弁で構成されており、放熱器802で冷却された冷媒を膨張させる。 蒸発器806は、例えば空気−冷媒熱交換器で構成されており、膨張機構804で膨張した冷媒を加熱する。 第1実施形態のロータリ圧縮機100に代えて、第2〜第5実施形態の圧縮機200,300,400,500,600又は700を使用してもよい。

    (その他)
    本明細書で説明したいくつかの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で相互に組み合わせることができる。 例えば、第1実施形態で説明した逆止弁35を第5実施形態で説明した三方弁90と組み合わせても、第1実施形態で説明した効果が得られる。

    また、ロータリ圧縮機100の起動時において、帰還経路16を通じて作動室25から吸入経路14へと冷媒が戻ることを許容するように可変容積機構30を制御することもできる。 つまり、起動時に一時的に低容積モードでロータリ圧縮機100を運転する。

    本発明は、給湯機、温水暖房装置及び空気調和装置等に利用できる冷凍サイクル装置の圧縮機に有用である。 本発明は、特に、幅広い能力が要求される空気調和装置の圧縮機に有用である。

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