Refrigerant compressor |
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申请号 | JP2010180275 | 申请日 | 2010-08-11 | 公开(公告)号 | JP2012036878A | 公开(公告)日 | 2012-02-23 |
申请人 | Hitachi Appliances Inc; 日立アプライアンス株式会社; | 发明人 | TAKATSUMA YUKO; MATSUNAGA MUTSUNORI; IMADA KOICHI; YANASE YUICHI; | ||||
摘要 | PROBLEM TO BE SOLVED: To obtain a refrigerant compressor capable of suppressing the occurrence of the galling and seizing of a bearing sliding part and capable of improving abrasion resistance.SOLUTION: The refrigerant compressor is provided with: a compression mechanism part for interlocking a fixed scroll 100 and a pivoting scroll 200 and for compressing refrigerant; and a rotary shaft 300 for driving the compression mechanism part. At least either an engagement part for the rotary shaft and the compression mechanism part or a rotation support part for supporting the rotary shaft is provided with slide bearings 210 and 401. The slide bearings are constituted from a lead-free resin impregnated material having a foreign substance embedding property for embedding abrasion particles. The rotary shaft is constituted from an iron-based material and a hard film 1000 having a hardness of 1000 Hv or greater is formed on the part of the rotary shaft that slides with the slide bearings. | ||||||
权利要求 | 冷媒を圧縮する圧縮機構部と、該圧縮機構部を駆動する回転軸とを備え、前記回転軸と前記圧縮機構部との係合部、或いは前記回転軸を支持する回転支持部の少なくとも何れかにすべり軸受を備えている冷媒圧縮機において、 前記すべり軸受は摩耗粒子を埋収させる異物埋収性を有する無鉛樹脂含浸材を用いて構成され、 前記回転軸は鉄系材料で構成されると共に、この回転軸の前記すべり軸受と摺動する部分には硬さが1000Hv以上の硬質被膜が設けられていることを特徴とする冷媒圧縮機。 請求項1に記載の冷媒圧縮機において、前記硬質被膜の硬度は1500〜3000Hvであることを特徴とする冷媒圧縮機。 請求項1または2に記載の冷媒圧縮機において、前記回転軸に設けた前記硬質被膜は、鉄系材料で構成された円筒部材の外周面に硬質被膜を形成し、この硬質被膜を形成した円筒部材を前記回転軸に嵌合することで設けられていることを特徴とする冷媒圧縮機。 請求項1〜3の何れかに記載の冷媒圧縮機において、前記硬質被膜は、クロム系被膜、チタン系被膜、硬質炭素系被膜、Si含有硬質炭素系被膜の少なくとも何れかであることを特徴とする冷媒圧縮機。 請求項4に記載の冷媒圧縮機において、前記硬質被膜は、前記回転軸を構成する鉄系材料の基材表面にクロム系被膜を形成し、このクロム系被膜の上に、該クロム系被膜より硬度の高い硬質炭素系被膜を形成して構成されていることを特徴とする冷媒圧縮機。 請求項4に記載の冷媒圧縮機において、前記硬質皮膜はSi含有硬質炭素系被膜であって、このSi含有硬質炭素系被膜は、前記回転軸を構成する鉄系材料の基材表面から摺動面にかけて、そのSi濃度が減少する傾斜膜に形成されていることを特徴とする冷媒圧縮機。 請求項1〜6の何れかに記載の冷媒圧縮機において、前記圧縮機構部は、台板に渦巻状のラップを有する固定スクロールと旋回スクロールを互いに組み合わせて構成されたスクロール圧縮機であることを特徴とする冷媒圧縮機。 |
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说明书全文 | 本発明は冷凍、空調用の冷媒圧縮機に関し、特に冷媒圧縮機の軸受摺動部の改良に関する。 冷媒圧縮機においては、機械部品が相互に摺動する摺動部である軸受の焼きつきや摩耗を防ぐため、表面材質を調整した軸受材料が開発されている。 例えば、RoHs指令(電気、電気機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令)に従い、PTFEを主成分とし鉛を含まない摺動材料が軸受材料として使用され、良好な摺動特性を得るようにしている。 近年、エネルギーの削減に向けた関心が高まり、種々の産業において効率向上が求められている。 特に、住環境に密接した空気調和機においては、世論の注目度が高いことから、より低コスト化、高効率化を達成できる製品の開発が求められている。 空気調和機においては、2006年の省エネ法改訂以降、効率を示す基準に、通年エネルギー消費効率(APF)が使用されている。 APFは使用状態に沿った空気調和機の効率であり、定格条件より低い負荷領域での効率が重視されているため、冷媒圧縮機において低速回転域の運転頻度が増している。 しかし、冷媒圧縮機を低速で運転すると、摺動部である軸受は油膜厚さを十分確保できず、境界潤滑領域に移行し易い。 更に、冷媒は冷凍機油に溶け込むため、油の粘度が低下する。 その結果、金属接触を誘発し、かじりや焼付き、或いは摩耗といった問題を引き起こし易く、冷媒圧縮機の性能や品質が低下する課題がある。 本発明の目的は、軸受摺動部におけるかじりや焼付きの発生を抑制でき、耐摩耗性も向上できる信頼性の高い冷媒圧縮機を得ることにある。 上記目的を達成するため、本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、該圧縮機構部を駆動する回転軸とを備え、前記回転軸と前記圧縮機構部との係合部、或いは前記回転軸を支持する回転支持部の少なくとも何れかにすべり軸受を備えている冷媒圧縮機において、前記すべり軸受は摩耗粒子を埋収させる異物埋収性を有する無鉛樹脂含浸材を用いて構成され、前記回転軸は鉄系材料で構成されると共に、この回転軸の前記すべり軸受と摺動する部分には硬さが1000Hv以上の硬質被膜が設けられていることを特徴とする。 本発明によれば、軸受摺動部におけるかじりや焼付きの発生を抑制でき、耐摩耗性も向上できる信頼性の高い冷媒圧縮機を得ることができる効果がある。 空気調和機における通年エネルギー消費効率(APF)は、使用状態に沿った空気調和機の効率であり、定格点よりも低い負荷領域での効率が重視されている。 このため冷媒圧縮機は低速回転で運転されることが多くなってきている。 冷媒圧縮機の軸受としては、特許文献1にも記載されているように含浸材料であるPTFE等の樹脂材料なども使用されており、このような樹脂材料は、金属粒子などの摩耗粒子(異物)を当該樹脂材料の中に埋収させる異物埋収性を有するので、摩耗粒子によるかじりや摩耗を低減できる効果がある。 しかし、低速運転で極度に軸受潤滑油の油膜厚さが低下する状況下では、樹脂材料の中に埋収された金属粒子(摩耗粒子)と回転軸とが金属接触を生じ、かじりや焼付きに発展するという課題があることがわかった。 図1は、本発明の冷媒圧縮機の実施例1を示す縦断面図で、冷媒圧縮機としてスクロール圧縮機に本発明を適用した例である。 前記電動機600によりそのロータに連結された回転軸300が回転すると、その回転により、回転軸300の先端に設けられたクランクピン301が偏心回転し、旋回スクロール200は、オルダム継手500の自転防止機構により、固定スクロール100に対して自転せずに旋回運動を行う。 これにより、ガスは、吸入管711及び吸入口103を介して、前記渦巻状のラップ102及び202で形成される密閉室に吸入され、前記旋回運動と共に、前記密閉室は中心部側へ移動しながらその容積を減少してガスを圧縮し、圧縮されたガスを吐出口104から吐出室710に吐出する。 吐出室710に吐出されたガスは、圧縮機構部や電動機部の周囲を循環したのち吐出管701から圧縮機外へ放出される。 次に給油経路について説明する。 下フレーム800には副軸受801を収容する軸受ハウジング802が取り付けられており、その軸受ハウジング802の下端にはポンプ部900が設けられている。 このポンプ部900は前記回転軸300の下端部に取り付けたポンプ継ぎ手310を介して駆動される。 回転軸300が回転すると、ポンプ部900により前記油溜り730の油が吸い上げられ、ポンプ部900から回転軸内に形成された油通路311を介して前記クランクピン301の上部に到達する。 このクランクピンの上部から、油は前記旋回すべり軸受210を潤滑した後、すべり軸受401へ流れ、すべり軸受401を潤滑した油は排油パイプ408を通り、前記油溜り730に戻る。 なお、前記旋回すべり軸受210を潤滑した後の油の一部は、旋回スクロールの前記ボス部203下面と前記フレーム400との間に設けたシール部402を通過して前記旋回スクロールの台板201の背面に流入し、ここから旋回スクロール台板201に形成した給油路220を介して、固定スクロール100と旋回スクロール200との摺動部及びラップ102,202の間を潤滑し、圧縮ガスと共に吐出室710に吐出される。 吐出室710に吐出された油はその後密閉容器700下部の油溜り730に戻る。 図2は図1に示す旋回すべり軸受210及びすべり軸受(主軸受)401付近の拡大断面図で、図1と同一符号を付した部分は同一部分である。 本実施例では、前記旋回すべり軸受210やすべり軸受401などのすべり軸受には無鉛樹脂含浸材を用いと共に、前記すべり軸受(主軸受)401と摺動する前記回転軸300の表面(外周面)、及び前記旋回すべり軸受210と摺動する前記クランクピン301の表面(外周面)には、1000Hv以上(好ましくは1500Hv以上)の硬度を有する硬質被膜1000を設けている。 前記無鉛樹脂含浸材としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの異物埋収性を有する樹脂材料を使用している。 異物埋収性を有する樹脂材料としては、他に、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)なども使用可能である。 このような異物埋収性を有する樹脂材料を使用することにより、金属粒子などの摩耗粒子(異物)を当該樹脂材料中に埋収させることができるので、前記摩耗粒子によるすべり軸受のかじりや摩耗を低減することができる。 しかし、冷媒圧縮機を低速運転で運転した場合、極度に軸受潤滑油の油膜厚さが低下する状況下では油膜切れを生じることがある。 このような場合、異物埋収性の高い無鉛樹脂含浸軸受では、埋集された金属粒子(摩耗粒子)と回転軸(クランクピンも含む)とが金属接触を生じ、かじりや焼付きに発展する恐れがある。 この課題に対し、本実施例では、すべり軸受401や旋回すべり軸受210と摺動する前記回転軸300や前記クランクピン301の表面(外周面)に、1000Hv以上(好ましくは1500Hv以上)の硬度を有する硬質被膜1000を設けているので、前記回転軸やクランクピンが前記摩耗粒子によって摩耗したり、かじりや線状傷が発生するのを著しく低減できる。 即ち、冷媒圧縮機において前記無鉛樹脂含浸軸受に埋収される摩耗粒子の硬度はほとんどが1000Hv未満であるため、回転軸300(クランクピン含む)が前記摩耗粒子により摩耗したり、かじりや線状傷が生じることを大幅に低減でき、特に1500Hv以上の硬質被膜とすることで、回転軸のかじりや焼付き、及び摩耗がほとんど進行しないことがわかった。 しかし、前記硬質被膜の硬度を更に高くした場合、回転軸の摩耗や線状傷に対する効果はほぼ同等であるものの、硬度を高くし過ぎると、例えば3000Hvを大きく超えるような硬度、例えば4000Hvの硬度を有する硬質被膜を使用すると、回転軸表面の粗さやうねりの影響、硬質被膜の剥離による軸表面の凹凸などにより、これと摺動する前記無鉛樹脂含浸軸受の摩耗が進行し易くなり、好ましくない。 図3は、回転軸に被覆した硬質被膜の硬度と前記無鉛樹脂含浸軸受の軸受摩耗量との関係を示すグラフである。 このグラフは、冷媒圧縮機(スクロール圧縮機)を、低速で油膜を形成し難い境界潤滑域で、過酷摺動試験を行い確認したもので、横軸は、回転軸表面の硬質被膜の種類(硬質被膜の硬度)であり、ノンコート(A)は鉄系材料としてS45Cを用い、摺動部に焼入れ処理を施して約600Hvの硬度とした硬質被膜のない回転軸、DCL(B)は鉄系材料の回転軸表面に硬度が3000HvのDLC被膜(硬質炭素系被膜)を施した回転軸、DLC(C)は鉄系材料の回転軸表面に硬度が4000HvのDLC被膜を施した回転軸である。 また、縦軸は、ノンコート(A)の回転軸を使用した場合にこれと摺動する異物埋収性のある無鉛樹脂含浸軸受の軸受摩耗量を基準(100)とし、他の硬質被膜を有する回転軸DLC(B),DLC(C)を使用した場合にこれと摺動する異物埋収性のある無鉛樹脂含浸軸受の軸受摩耗量(比摩耗量)を示している。 この図3から、硬度が3000HvのDLC被膜を施した回転軸を使用した場合にはこれと摺動する異物埋収性のある無鉛樹脂含浸軸受の軸受摩耗量はノンコート(A)の回転軸を使用した場合よりも低下している。 また、摺動後の回転軸及び軸受の損傷状態は良好で、回転軸及び軸受の双方共、線条傷は見られなかった。 一方、硬度が4000HvのDLC被膜を施した回転軸を使用した場合には、軸受摩耗量はノンコート(A)の回転軸を使用した場合よりも増大している。 また、摺動後の軸受には線条傷が生じていることを確認した。 この図3に示す結果から、硬度が3000Hv以下の硬質被膜を施した回転軸を使用することにより、異物埋収性のある無鉛樹脂含浸軸受の軸受摩耗量を減少させ且つ線状傷の発生も防止できることがわかった。 また、回転軸が金属粒子などの摩耗粒子と接触してもかじりや焼付きを生じず、良好な状態に保つには、前述したように、硬度が1000Hv以上の硬質被膜を施した回転軸を使用することが好ましい。 従って、本実施例では、硬度が1000Hv〜3000Hv(好ましくは1500〜3000Hv)の範囲の硬質被膜を施すことで、旋回すべり軸受210、すべり軸受401、回転軸300及びクランクピン301などの軸受摺動部におけるかじりや焼付きの発生を抑制でき、摩耗も低減できるから耐摩耗性の向上も図れる高い信頼性の冷媒圧縮機を得ることができる。 図4は図2の変形例を示すもので、図2と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示している。 図2に示した例では、回転軸(クランクピン含む)300の外周面に直接、硬質被膜1000の層を蒸着などにより形成するものであるが、図4に示す例では、旋回すべり軸受210及びすべり軸受401と摺動する回転軸300及びクランクピン301の表面に、硬質被膜1000を備えた鉄系材料からなる円筒部材302を嵌合することで、硬質被膜を設けたものである。 即ち、鉄系材料の円筒部材302の外周面に硬度が1000Hv以上(好ましくは1500Hv以上)の硬質被膜を蒸着などにより形成したものを予め製作しておき、この円筒部材302を、旋回すべり軸受210及びすべり軸受401と摺動する回転軸300及びクランクピン301の部分に嵌合して構成したもので、この例によれば、図2に示した例と比較して、生産性を約5〜10倍向上することが可能となり、その結果冷媒圧縮機のコストダウンを図ることができるものである。 図5は、図2や図4に示した基材(回転軸300や円筒部材302)と硬質被膜1000の部分の構成を示す図である。 前述した各硬質被膜は表面の平滑性を高めることができるため、物理的な摩耗や摩擦も引き起こしにくく、また1500Hv以上の硬度の硬質被膜を容易に得ることができる。 従って、前述した何れかの硬質被膜を、すべり軸受と摺動する回転軸表面に設けることにより、軸受摺動部におけるかじりや焼付きの発生を抑制でき、耐摩耗性も向上できる冷媒圧縮機を得ることができる。 図6は基材に硬質被膜を設ける他の例を説明する拡大断面図で、図5と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示す。 図5の例では、回転軸300を構成する鉄系材料(基材)の硬度が低い場合、硬度の高い硬質被膜、例えば硬度の高いDLC被膜を形成すると、それらの硬度差が大きくなり、冷媒圧縮機の運転時に、摺動部の変形等により、硬質被膜1000の剥離を生じる可能性がある。 図6に示す例は、硬質被膜1000の剥離防止に効果がある基材への硬質被膜の形成方法について説明するものである。 この例は、硬質被膜1000と基材(回転軸300や円筒部材302)の間に、基材と硬質被膜の間の中間的な硬度を有する中間層1001を設けたものである。 即ち、鉄系材料からなる回転軸300や円筒部材302を基材とし、まずこの基材の上に硬度が1000〜1500Hv程度のCr系被膜からなる中間層1001を形成し、この中間層1001の上に、硬度が2000〜3000Hv程度のDLC被膜からなる硬質被膜1000を形成したものである。 この例によれば、より硬度の高い硬質被膜を摺動面に形成できるので、軸受摺動部の摩耗や焼付きを防止できると共に、前記中間層1001に鉄系の基材と密着性の良いCr系被膜を設けているから、硬質被膜の剥離も防止できる信頼性のより高い冷媒圧縮機を得ることができる。 なお、この例においても、前記中間層1001や硬質被膜1000は、蒸着法などを用いて形成することができる。 図7は基材に硬質被膜を設ける更に他の例を説明する拡大断面図で、図5と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示す。 この図7に示す例は、鉄系材料からなる回転軸300や円筒部材302を基材とし、この基材の上に硬質被膜1000を形成する点では図5に示した例と同じであるが、前記硬質被膜1000は、基材側から摺動面側にかけて硬度が次第に高くなる傾斜膜とした点に特徴がある。 この例では、硬質被膜1000として、Si含有炭素系被膜(Si:DLC)を使用し、この被膜のSi量(Si濃度)を、基材表面側から摺動面側にかけて除々に減少させる傾斜膜とし、硬質被膜1000の基材側の硬度は1000Hv程度とし、摺動面側の硬度は1500Hv以上となるように構成したものである。 このような傾斜膜からなる硬質被膜も蒸着法などにより基材表面に形成することができる。 前記硬質被膜1000において、その下層(基材側)と上層(摺動面側)で組成の完全な境界を作らず、摺動面側から基材側にかけてDLCからDLC:Siへと緩やかに変化する傾斜膜に形成する方法としては、イオンプレーティング(IP)法、イオン蒸着法、スパッタリング法などがある。 これら以外の形成方法であっても、目的とする硬度範囲を満たす被膜硬度が得られるものであれば使用可能である。 ここでは、前記IP法の一種であるアークイオンプレーティング(AIP)法を用いて前記DLC:Si傾斜膜を形成する方法について説明する。 AIP法では、10 −3 〜10 −5 Paの真空度を持つ真空チャンバ内に前記基材(回転軸300や円筒部材302)を配置し、これに負のバイアスを印加する。 一方、硬質被膜を作るためのイオン化された原料を電気的に加速させ、前記基材に衝突させることで硬質被膜を基材表面に形成する。 DLC:Siの硬質被膜を形成する場合、DLCの形成にはC 6 H 6やC 2 H 2などの炭化水素系ガスを導入し、添加材であるSiの原料としてはテトラメチルシラン等のシラン系ガスを導入する。 AIP法による蒸着開始時には、前記炭化水素系ガス及び前記シラン系ガスの両方を真空チャンバ内に導入することで、基材の表面にはまずシラン系ガスの導入量に応じたDLC:Siの被膜が形成される。 その後、徐々にシラン系ガスの導入量を低下させていくことで、基材側から摺動面側にかけてSi濃度が徐々に低くなる傾斜膜を形成することができる。 DLC:Si被膜では、Si濃度が高いほど硬度は低くなり、またSi濃度が低くなるほど硬度は高くなるので、基材側については基材に近い硬度(例えば硬度が1000Hv)とし、摺動面側に近づくほど硬度が高くなるようにして、摺動面では硬度が2000〜3000Hvとなるようにすることができる。 このように構成することにより、初期摺動時の金属接触状態でも高い摺動特性が得られると共に、基材に向けて緩やかにSi量が増加するため、硬質被膜と基材との密着性が良くなり、硬質被膜の剥離も生じにくくなる。 従って、この例によれば、信頼性を更に向上できる冷媒圧縮機が得られる効果がある。 なお、基材付近の硬質被膜1000のSi量は、基材との密着性の観点から概ね20at.%とすることが望ましい。 以上説明した本実施例によれば、すべり軸受は摩耗粒子を埋収させる異物埋収性を有する無鉛樹脂含浸材を用いて構成され、回転軸は鉄系材料で構成されると共に、この回転軸の前記すべり軸受と摺動する部分には硬さが1000Hv以上の硬質被膜が設けられているので、冷媒圧縮機が低速回転で運転されてすべり軸受部の油膜厚さが低下した場合でも、回転軸と無鉛樹脂含浸軸受との摺動面にかじりや焼付きが発生するのを防止できる信頼性の高い冷媒圧縮機を得ることができる。 即ち、異物埋収性を有する無鉛樹脂含浸材を用いたことにより、摩耗粒子が無縁樹脂含浸材に埋収されるから、回転軸やすべり軸受にかじりや摩耗が発生するのを低減できるだけでなく、低速運転により油膜厚さを確保できず境界潤滑領域に移行し、前記埋収された摩耗粒子と回転軸とが金属接触を生じた場合でも、回転軸表面には摩耗粒子よりも硬度が高く摺動性も良い硬質被膜を設けているので、回転軸のかじりや焼付きを抑制して良好な摺動性を確保することができる。 従って、本実施例によれば、冷媒圧縮機の低速運転時にも、軸受摺動部におけるかじりや焼付きの発生を抑制して、良好な摺動性が得られ、且つ耐摩耗性も向上できる信頼性の高い冷媒圧縮機を得ることができる。 100 固定スクロール(101:台板、102:ラップ、103:吸入口、104:吐出口) |